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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017670
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】吊り下げ具
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20230131BHJP
   B65D 67/00 20060101ALI20230131BHJP
   B60N 3/00 20060101ALN20230131BHJP
【FI】
A47G29/00 B
B65D67/00 E
B60N3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021140526
(22)【出願日】2021-07-26
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】520183472
【氏名又は名称】葉吹 一平
(72)【発明者】
【氏名】葉吹 一平
【テーマコード(参考)】
3B088
3E067
3K100
【Fターム(参考)】
3B088CA01
3E067AA03
3E067AA11
3E067AB26
3E067CA02
3E067CA07
3E067ED13
3E067EE15
3E067HA10
3K100AA02
3K100AC05
3K100AD10
3K100AE20
3K100AG01
(57)【要約】
【課題】 弁当や飲料物などの不安定な荷物を車両で輸送する際、吊り下げた状態での縦方向の揺れと横方向の揺れを制御することを可能にした吊り下げ具を小型化し安価に提供する。
【解決手段】 本発明に係る吊り下げ具1は、荷物Aを吊り下げて上下方向の揺動を抑制するサスペンション機構12と、前後左右である横方向の揺動を抑制するカバー19とを有し、カバー19が荷物A及びサスペンション機構12の周囲を覆う伸縮性のある布製であって、かつ、上下方向への張りを持たせた状態で設置個所に固定されることにより、荷物Aの上下方向及び横方向への揺動を抑えることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を吊り下げて上下方向の揺動を抑制するサスペンション機構と、前後左右である横方向の揺動を抑制するカバーとを有し、前記カバーが前記荷物及び前記サスペンション機構の周囲を覆う伸縮性のある布製であって、かつ、上下方向への張りを持たせた状態で設置個所に固定されることを特徴とする吊り下げ具。
【請求項2】
前記サスペンション機構は、強度が異なる複数種類のバネからなることを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ具。
【請求項3】
前記カバーは、防水性のある袋状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吊り下げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を含む飲料品もしくは転倒等の可能性のある不安定な荷物(以下、「荷物」という。)を車内に置く際、上下左右から加わる揺動を抑制し安定的に状態を保持することを目的とした吊り下げ具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷物を車に積む際に支えることのできる同乗者がいない場合等には転倒による破損や液漏れの事態となることが多くみられる。
【0003】
特に、走行中の突発的な揺動により当該荷物を警戒しながらの運転は注意も散漫となるためとても危険な行為である。
【0004】
例えば、荷物を揺れによる転倒や液漏れの心配なく輸送する目的として、出前機、緩衝箱、袋保持装置(下記特許文献1~4参照)や、袋に入れた当該荷物を車中に吊り下げる装置(下記特許文献5参照)が知られているが、これらはいずれも大掛かりな業務用であり、費用や設置場所の問題から個人が気軽に使用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-347683号公報
【特許文献2】特開2021-75327号公報
【特許文献3】特開平11-193034号公報
【特許文献4】実用新案登録第3130410号公報
【特許文献5】実用新案登録第3020911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、4に開示されている出前機は、縦方向と横方向の各フレームにサスペンションを設け揺動時の荷物への衝撃吸収を目的とした構成で、自動二輪や自動車の車体に固定して使用する業務用の大掛かりな装置となっている。
【0007】
特許文献2は、免震構造と殺菌消毒灯を有する箱状の構成で、荷物を中に入れて揺動時の衝撃吸収する構造となっており、こちらも業務用を目的とした大掛かりな装置となっている。
【0008】
特許文献3は、袋に入れた荷物を吊り下げる構成で、横方向へは軸をスライドさせ、且つ前後の方向へは回転方向の可動域を設けることで揺動時の衝撃を吸収する構造となっている。
【0009】
特許文献5は、荷物を車両座席に吊り下げる事のみを目的としたものであり、揺動時の衝撃吸収までの効果は無い。
【0010】
このように、荷物を揺動時の衝撃から保護しつつ安価で簡易的に使用することの出来るものは、上記文献には示されていない。
【0011】
本発明は、吊り下げた荷物に対しての上下方向への揺れの抑制にサスペンション機構を用い、且つ横方向の揺れに対しては当該荷物を覆うカバーを下方向に張りを持たせることで横揺れを抑制することが可能であり、全方向からの揺動抑制を可能にする簡易的且つ優れた吊り下げ具を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の吊り下げ具は、荷物を吊り下げて上下方向の揺動を抑制するサスペンション機構と、前後左右である横方向の揺動を抑制するカバーとを有し、前記カバーが前記荷物及び前記サスペンション機構の周囲を覆う伸縮性のある布製であって、かつ、上下方向への張りを持たせた状態で設置個所に固定されることを特徴とするものであり、前記荷物の上下方向及び横方向への揺動を抑えることができる。
【0013】
特に、前記サスペンション機構は、強度が異なる複数種類のバネであり、前記バネの組み合わせにより、利用する荷物に応じた強度を調整することが容易にできる。
【0014】
特に、前記カバーは、防水性のある袋状であり、万が一荷物が零れた場合にも汚染範囲が袋内に留めることから、汚染被害を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、本体であるサスペンション機構には上下に反発力の異なる2種類のバネが配置され、強い衝撃には2つのバネの反発力の合力で吸収するとともに、反動で生じる複数回の戻り衝撃は上段にある柔軟なバネにて力を分散させることができる。
【0016】
また、本体部であるサスペンション機構を覆う伸縮性の高いカバーは、その下端側が床等の設置個所に届くようにクリップ式の重りを有し、重りを移動調整することで布全体に下方向への張りが維持され、本体部のフックに吊り下げられた荷物は、下方向への張りのある伸縮性の高いカバーに周囲を覆われることにより横方向への揺れを抑制することができる。
【0017】
また、荷物を覆うカバーの内側には、防水性能を有することにより、万が一当該荷物より液漏れした場合にも被害を当該カバーの内側のみで留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】 本発明に係る実施形態の使用状態を説明する斜視図である。
図2】 同上実施形態の要部の斜視図である。
図3】 同上実施形態の要部の平面図である。
図4】 同上実施形態の要部の斜視図である。
図5】 同上実施形態の使用状態を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図5に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1(a)(b)は、本発明に係る吊り下げ具1の使用状態を説明するもので、吊り下げ具1の内部に荷物Aを収納し(図1(a))、荷物Aの周囲を吊り下げ具1が覆う(図1(b))。
【0021】
図2、3に示すように、図1で示した吊り下げ具1の主要部たる本体部10は、少なくとも底11aを有する略筒状体の容器10と、この容器10の内部に上下(垂直)方向に配置収容して容器10の底11aで保持される略同径の強度が異なる2種類の弱いバネ12a及び強いバネ12bからなるサスペンション機構12と、バネ12aの上端及びバネ12a、12b間に配置したバネ12a、12bよりも経大な薄い円盤状の位置ずれ規制及び位置ずれ時の異音発生防止用のワッシャー13と、バネ12a、12bよりも経大なドーナッツ状の衝撃吸収用のゲル状クッション14とからなる。
【0022】
そして、容器11内のサスペンション機構12には、金属製の直線状で下端に荷物Aを吊り下げるフック15a付きの軸棒15の上端側を容器11の底11aから各バネ12a、12bの中央空洞個所に挿通させて容器10の上方へ貫通しており、この軸棒15の上端はバネ12aの上端に設けたクッション14にナット16等の固定手段により固定され、バネ12aの上端と連動する構成となっている。
【0023】
ここで、容器11内に収納されるサスペンション機構12を構成するバネ12a、12bの形状・素材・反発力・数量等の仕様は、特に限定されるものではなく、荷物Aの重量を支えるに適した能力を有する物、例えば最大荷重3kgに耐えうるステンレスの押しバネが好適であり、図面では容器11は、長手方向が50~100mm、短手方向が直径20~40mm、厚み3~5mmの容器11に収まる範囲のバネとし、弱いバネ12aには荷重2.4kg、強いバネ12bには荷重3.4kgのバネを用いている。
【0024】
また、容器11の上端には、取手17とこれに連なるベルト18を有してベルト18を容器11に装着することにより、取手17で本体部10すなわち図1で示した吊り下げ具1を車内の手摺や座席の背もたれ等の取付個所(図示しない)に取り付けることができるが、荷物Aの重量を支えうるように形状・材質・大きさ等を任意に選択することができる。
【0025】
図4図5で示すように、本体部10の周囲には、少なくとも取手17(図面では取手17及びベルト18)が露出するように本体部10を密封もしくは略密封状態に囲う袋状のカバー19を取り付けており、カバー19には荷物Aを出し入れするための開閉可能なスリット19aと、荷物Aを収納後に本体部10と荷物Aを覆うようにスリット19aを閉じるための所謂マジックテープと称する雄雌の面状ファスナー20を設けている。
【0026】
また、カバー19には、カバー19に下方向への張りを持たせた状態で荷物Aを保持するためにクリップ型の重り21を配しており、この重り21は、荷物Aのサイズや重量により形状が変化するカバー19へ適度な張りを持たせるために、重り21をカバー19の上下方向へ移動調整することによりカバー19全体に下方向への張りが維持されて荷物Aを収納した状態で吊り下げ具1を車内に吊り下げたときに、吊り下げ具1の下端側が床あるいは座席等の設置個所と十分に安定的に接触状態で保持されるように設けられている。
【0027】
ここで、重り21の形状・重量等は、特に限定されるものではないが、カバー19に張りを持たせ、且つ荷物Aの横揺れに対して支えとなることが重要であり、例えば重り21の重量を500g~1kgとして、カバー19を前記設置個所に保持することができる形状であれば良い。
【0028】
上記構成により、使用時には、荷物Aの上端を吊り下げ具1の本体部10のフック15aに引っ掛けて重り21の位置を床や座席面に接地するように調整することでカバー19が下方向へ張りを持たせた状態とし、その後にカバー19の開口部19aを面状ファスナー20により閉じることにより、取手17及びベルト18を除く少なくともサスペンション機構12を含む本体部10及び荷物Aをカバー19の内部に包み込んだ状態で収納する。
【0029】
これにより、荷物Aを吊り下げて上下方向の揺動を抑制するサスペンション機構12と、前後左右である横方向の揺動を抑制するカバー19とにより、荷物Aの移動を規制することができる。
【0030】
本発明は、上記の構成に限定されないことはもちろんであり、例えば、サスペンション機構12は、弱いバネ12aと強いバネ12bの上下位置を逆にしても良いし、強度が異なる複数類のバネの組み合わせも可能である。
【0031】
そして、サスペンション機構12は、強度が異なる複数種類のバネから構成するため、例えば上記実施形態におけるバネ12a、12bの組み合わせにより、利用する荷物Aに応じた強度を調整することが容易にできる。
【0032】
また、カバー19は、その内面に防水性能を有するように構成することで、荷物Aからの液漏れや転倒などの事態になった場合にも、被害をカバー19内部に留めることが可能となるので、カバー19の素材は、強度と伸縮性の高い素材、例えば高精度のナイロン素材などが好適である。
【0033】
また、荷物Aに応じて種々のサイズのカバー19を交換使用することで、一つの吊り下げ具1で種々の荷物Aに対応することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 吊り下げ具
10 本体部
11 容器
11a 底
12 サスペンション機構
12a 弱いバネ
12b 強いバネ
13 ワッシャー
14 クッション
15 軸棒
15a フック
16 ナット
17 取手
18 ベルト
19 カバー
19a スリット
20 面状ファスナー
21 重り
A 荷物
図1
図2
図3
図4
図5