(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176708
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】マットレス
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A47C27/00 D
A47C27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089139
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中尾 浩
(72)【発明者】
【氏名】高尾 俊輔
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA04
3B096AB02
3B096AD07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】寝返りしやすい新規のマットレスを提供する。
【解決手段】マットレスは、使用者の体と接する支持面と、前記支持面の短手方向に沿って延び、前記支持面からの深さが第1深さである複数の第1溝部と、前記支持面の長手方向に沿って延び、前記支持面からの深さが前記第1深さより大きい第2深さである複数の第2溝部と、隣り合う2つの前記第1溝部と、隣り合う2つの前記第2溝部と、で区切られる複数の凸部と、を備える。前記凸部は、頂面を有し、前記頂面の少なくとも一部に前記支持面を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の体と接する支持面と、
前記支持面の短手方向に沿って延び、前記支持面からの深さが第1深さである複数の第1溝部と、
前記支持面の長手方向に沿って延び、前記支持面からの深さが前記第1深さより大きい第2深さである複数の第2溝部と、
隣り合う2つの前記第1溝部と、隣り合う2つの前記第2溝部と、で区切られる複数の凸部と、
を備え、
前記凸部は、頂面を有し、
前記頂面の少なくとも一部に前記支持面を含む、
マットレス。
【請求項2】
前記凸部の前記長手方向の長さは、前記短手方向の長さより長い、
請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
前記頂面の少なくとも一部は、前記長手方向において、前記支持面に沿って延びる、
請求項1に記載のマットレス。
【請求項4】
前記凸部の長手方向に沿った断面である第1断面は、前記長手方向の縁部に切欠きを含む、
請求項1に記載のマットレス。
【請求項5】
前記凸部の前記短手方向に沿った断面である第2断面は、前記短手方向に沿った長さが、隣り合う2つの前記第2溝部の間の距離より短い絞り部と、前記支持面からの距離が前記第2深さである第2位置と、を含み、
前記絞り部は、前記支持面と前記第2位置の間に設けられる、
請求項1に記載のマットレス。
【請求項6】
前記凸部の前記支持面における前記長手方向に沿った長さは、前記支持面からの距離が前記第1深さとなる第1位置における、隣り合う2つの前記第1溝部の間の距離よりも小さい、
請求項1から5のいずれか一項に記載のマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、軟質発泡体を用いたマットレスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマットレスは、マットレスの長手方向と短手方向に溝を有する。特許文献1のマットレスは、マットレスを複数のゾーンに区分し、ゾーンごとに長手方向の溝の間隔が異なる。これによって、マットレスが曲げやすくなる。しかし、特許文献1は、寝返りを考慮したマットレスを開示していない。本開示の課題は、寝返りしやすい新規のマットレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るマットレスは、使用者の体と接する支持面と、前記支持面の短手方向に沿って延び、前記支持面からの深さが第1深さである複数の第1溝部と、前記支持面の長手方向に沿って延び、前記支持面からの深さが前記第1深さより大きい第2深さである複数の第2溝部と、隣り合う2つの前記第1溝部と、隣り合う2つの前記第2溝部と、で区切られる複数の凸部と、を備える。前記凸部は、頂面を有し、前記頂面の少なくとも一部に前記支持面を含む。
【0006】
このマットレスによれば、使用者の体は、凸部の頂面に含まれる支持面に接し、使用者は短手方向に寝返る。また、このマットレスによれば、短手方向に延びる第1溝部よりも、長手方向に延びる第2溝部が深い。このため、第1溝部と、第2溝部と、で区切られる凸部は短手方向の方が長手方向より動きやすい。この結果、使用者が寝返る際に凸部が短手方向に動き、寝返りしやすい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、寝返りしやすい新規のマットレスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態におけるマットレスの平面図。
【
図6】他の実施形態におけるマットレスの短手方向断面拡大図。
【
図7】本開示の実施形態におけるマットレスの撓みと荷重の関係を示すグラフ。
【
図8】本開示の他の実施形態におけるマットレスの長手方向の断面拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1に示すように、本開示のマットレス1は、長手方向Lと、短手方向Sと、に広がる平面視においておおむね長方形のマットレス1である。マットレス1は、弾性変形可能な軟質発泡体によって形成される。本実施形態では、マットレス1は、ポリウレタンフォームによって形成される。このようなマットレス1は、使用者が長手方向Lに横たわり、短手方向Sに寝返りをうつ。
【0011】
図1から
図5に示すようにマットレス1は、支持面2と、第1溝部4と、第2溝部6と、凸部8と、裏面10と、凹部12と、裏面凸部14と、を備える。
【0012】
支持面2は、使用者と接する面である。したがって、支持面2は、マットレス1の厚みT方向の上端を形成するととともに、マットレス1の表面となる。本実施形態のマットレス1は、厚さが100mmである。しかし、マットレス1の厚さは、適宜変更可能である。
【0013】
裏面10は、ベッドフレームなどに載置する側の面である。本実施形態では、裏面10に複数の略台形状の凹部12が設けられる。凹部12は、マットレス1の短手方向Sの一端1aから他端1bまで延び、裏面10に凹凸面を形成する。
図3に示すように、本実施形態では、凹部12の中央が、第1溝部4の底4aと厚みT方向に重なる位置に設けられる。言い換えると、凹部12は、第1溝部4に対して、マットレス1を挟んで反対側に設けられる。このように裏面10に凹凸面を設けることによって、マットレス1をベッドフレームなどに設置した際に、凹部12によってベッドフレームとの間に空間を形成し、支持面2から裏面10への通気性がよくなる。また、裏面10の凹部12と並んで形成される裏面凸部14は、支持面2に荷重が加わると変形し、表面の凸部8と異なるタイミングでマットレス1に応力を発生させる。これによって、支持面2に荷重が加わる際に、マットレス1が表面の凸部8と裏面凸部14によって多段的に応力を発生させる。
【0014】
マットレス1を形成するポリウレタンフォームの密度は、15~100kg/m3の素材が用いられる。ポリウレタンフォームの密度は、更には25~60kg/m3が好ましい。ポリウレタンフォームの密度が15kg/m3より小さい場合は、形状付与したマットレスとして十分な硬さを得られにくく、耐久性も劣る傾向が出る。一方で、ポリウレタンフォームの密度が100kg/m3を超える場合はマットレス1全体の重量が大きくなり、扱いにくくなる。
【0015】
また、マットレス1を形成するポリウレタンフォームの硬さは、50~400Nの素材が用いられる。ポリウレタンフォームの硬さは、120~300Nが好ましい。ポリウレタンフォームの硬さは、更には150N~250Nが好ましい。特に、本実施形態におけるマットレス1を形成するポリウレタンフォームは、マットレス1の加工性、および使用者が横たわった際の沈み込み感(ストローク感)を確保する観点から、ベース素材の硬さが150Nを超えるものが好ましい。
【0016】
マットレス1を形成するポリウレタンフォームの反発特性は、適宜選択されるが、反発弾性は25%以上の素材が用いられ、より好ましくは反発弾性が40%以上の素材である。これにより、凸部8の回復性(元の形状への戻りやすさ)がよく、寝返り性(寝返りのしやすさ)を向上させることができる。
【0017】
図1および
図2に示すように、第1溝部4は、マットレス1の短手方向Sの一端1aから他端1bまで、短手方向Sに沿って延びる溝である。複数の第1溝部4は、マットレス1を曲げる際に溝幅が小さくなる方向に変形することによってマットレス1の変形を吸収し、マットレス1を曲げ安くする吸収溝として機能する。このようなマットレス1は、ギャッジアップするベッドに使用される場合もある。このため、ベッドがギャッジアップする際に、マットレス1がベッドフレームに追従することが好ましい。このような、マットレス1がベッドフレーム対して追従する性能をギャッジ性能という。第1溝部4は、マットレス1のギャッジ性能をよくするために設けられる。
【0018】
第1溝部4は、長手方向Lに複数設けられる。本実施形態では、マットレス1の長手方向Lの一端1cから第1間隔D1を空けて1本目の第1溝部4が設けられる。第1間隔D1は、マットレス1の長手方向Lの他端1dにも設けられる。本実施形態では、第1間隔D1は150mm程度である。しかし、第1間隔D1は、適宜変更可能である。また、本実施形態では第1溝部4は、22本設けられる。しかし、第1溝部4の本数は、ギャッジ性能に応じて適宜変更可能である。
【0019】
図2および
図3に示すように、複数の第1溝部4は、1本目の第1溝部4から第2間隔D2で設けられる。本実施形態では、第2間隔D2は、77mm程度である。しかし、第2間隔D2は、マットレス1の大きさ、マットレス1に要求される硬度、ギャッジ性能などに応じて適宜変更可能である。
【0020】
図3に示すように、複数の第1溝部4の支持面2からの深さは、第1深さX1である。第1深さX1は、第1溝部4の底4aから支持面2までの距離である。第1溝部4の底4aには、曲面が設けられる。本実施形態では、第1深さX1は、30mmである。しかし、第1深さX1は、後述する第2溝部6の第2深さX2よりも浅ければよく、マットレス1の厚みTや、マットレス1に要求される硬度、またはマットレス1に要求されるギャッジ性能に応じて、適宜変更可能である。
【0021】
また、本実施形態の第1溝部4の溝幅である第1溝幅W1は、1.0mm以上、より好ましくは5.0mm以上、である。本実施形態では、第1溝幅W1は、7.0mmである。しかし、第1溝幅W1は、マットレス1に要求される硬度、またはマットレス1に要求されるギャッジ性能に応じて、適宜変更可能である。第1溝幅W1が大きいほど、ギャッジ性能は良くなる。
【0022】
図1および
図4に示すように、第2溝部6は、マットレス1の長手方向Lの一端1cから他端1dまで、長手方向Lに沿って延びる溝である。複数の第2溝部6は、使用者が寝返る際に凸部8を変形させやすくするための変形溝として機能する。
【0023】
第2溝部6は、短手方向Sに複数設けられる。本実施形態では、マットレス1の長手方向Lの一端1cから第3間隔D3を空けて1本目の第2溝部6が設けられる。第3間隔D3は、マットレス1の長手方向Lの他端1dにも設けられる。本実施形態では、第3間隔D3は125mm程度である。しかし、第3間隔D3は、適宜変更可能である。また、本実施形態では第2溝部6は、13本設けられる。しかし、第2溝部6の本数は、マットレス1の短手方向の長さに応じて適宜変更可能である。
【0024】
図5に示すように、複数の第2溝部6は、1本目の第2溝部6から第4間隔D4で設けられる。本実施形態では、第4間隔D4は、60mm程度である。しかし、第4間隔D4は、マットレス1の短手方向の長さ、マットレス1に要求される硬度、などに応じて適宜変更可能である。
【0025】
複数の第2溝部6の支持面2からの深さは、第2深さX2である。第2深さX2は、第2溝部6の底6aから支持面2までの距離である。本実施形態では、第2深さX2は、50mmである。しかし、第2深さX2は、前述する第1溝部4の第1深さX1よりも大きければ、マットレス1の厚みTや、マットレス1に要求される硬度、などに応じて適宜変更可能である。
【0026】
また、本実施形態の第2溝部6の溝幅である第2溝幅W2は、1.0mm以上、より好ましくは、10.0mm以上である。本実施形態では、第2溝幅W2は、10.0mmである。しかし、第2溝幅W2は、マットレス1の短手方向の長さ、マットレス1に要求される硬度、などに応じて適宜変更可能である。
【0027】
第1溝幅W1および第2溝幅W2は、1.0から30mmが好ましく、より好ましくは5から15mmである。第1溝幅W1および第2溝幅W2が1.0mmより狭い場合は、凸部8が撓むときに、隣どうしの凸部8との緩衝が大きくなる。このため、独立した凸部8としての撓み特性が出にくい。また撓みから回復する時に隣の凸部8との摩擦で戻りにくくなる場合がある。
【0028】
第2溝幅W2は、第1溝幅W1よりも広い方がより好ましい。第2溝幅W2を広くすることで、凸部8の短手方向Sへの倒れが容易となる。これによって、使用者の寝返りで荷重が抜けた際に、軟質発泡体の反力によって凸部8が元の形状に戻りやすくなる。また寝返りで荷重がかかる時は、軟質発泡体の撓に合わせ、形状の倒れ、折れが容易である。
【0029】
図1に示すように、凸部8は、隣り合う2つの第1溝部4と、隣り合う2つの第2溝部6と、で区切られる部分である。したがって、マットレス1は、表面に複数の凸部8を備える。凸部8は、頂面8aを有し、頂面8aの少なくとも一部に支持面2を含む。複数の凸部8は、使用者を支持する支持面2から荷重を受ける。このように、凸部8が複数設けられることによって、支持面2で受ける荷重を複数の凸部8に分散する。これによって、使用者にかかる荷重も分散され、寝心地がよい。
【0030】
図3に示すように、マットレス1を長手方向LのI-I断面で見た場合、凸部8の長手方向Lに沿った断面が第1断面8bである。本実施形態では、第1断面8bは、おおむね長方形であり、長手方向Lの縁部に、長方形の角を丸めた切欠き部8cを含む。したがって、凸部8の支持面2における長手方向Lに沿った長さD5は、支持面2からの第1溝部4の第1深さX1となる底4a(第1位置の一例)における、隣り合う2つの第1溝部4の間の距離より(第2間隔D2と同じ)よりも小さい。言い換えると、凸部8の頂面8aは、支持面2に沿って延びる直線部と、曲面状に形成された切欠き部8cと、を含む。長手方向Lに沿った長さD5は、この直線部分の長さである。切欠き部8cは、第1溝部4と接する凸部8の縁部を切り取った部分であり、第1溝部4の幅が支持面2方向に行くにつれて第1溝幅W1よりも幅広になっており、凸部8の第1断面8bの形状が支持面2方向に向かうにつれてその幅が先細りとなっている。なお、切欠き部8cの断面形状は、
図3に示したような凸部8の断面が上に凸な曲面のほか、下に凸な曲面や、直線状で、いわゆるテーパ上に傾斜していてもよい。このように、切欠き部8cを設けることによって、隣り合う凸部8が干渉することを防止できるためギャッジ性能が向上する。しかし、頂面8aは、少なくとも一部が長手方向Lにおいて、支持面2に沿って延びればよい。
【0031】
図5に示すように、マットレス1を短手方向SのII-II断面で見た場合、凸部8の短手方向Sに沿った断面が第2断面8eである。本実施形態では、第2断面8eは、円弧と支持面2を形成する直線を組み合わせたラウンド形状である。第2断面8eの円弧部分の半径は、切欠き部8cの半径よりも大きい。凸部8は、第2溝部6によって短手方向に倒れやすい。このため、第2断面8eの円弧部分の半径を大きくとることによって、使用者が寝返りする際に隣り合う凸部8との干渉を防止できる。この結果、凸部8が動きやすく、使用者が寝返りしやすい。
【0032】
本実施形態では、凸部8の長手方向Lの長さ(長さD5に2つの切欠き部8cを加えた長さ)は、凸部8の短手方向Sの長さ(第4間隔D4―W2と同じ長さ)より長い。すなわち、上から(支持面2側から)みた凸部8の平面断面は、おおむね長方形であり、凸部8の長手方向が、マットレス1の長手方向Lと同じ方向に延び、凸部8の短手方向が、マットレス1の短手方向Sと同じ方向に延びる。このように、凸部8の長手方向Lの長さを凸部8の短手方向Sの長さ長くすることによって、凸部8が短手方向Sに動きやすい(傾きやすい)一方、長手方向Lには動きにくく(傾きにくく)、寝返り性に寄与する。
【0033】
さらに、前述の通り、第2溝部6の第2深さX2は、第1溝部4の第1深さX1より深い。言い換えると、凸部8を囲む長手方向の溝(本実施形態では第2溝部6)は、短手方向の溝(本実施形態では第1溝部4)より、深い。これによって、凸部8が、短手方向Sに傾き倒れやすく寝返り性に寄与する。
【0034】
また、凸部8は、切欠き部8cおよびラウンド形状によって、支持面2における使用者の身体との接触部が凸部8の長手方向に長い略長方形の形状である。さらに、マットレス1の支持面2側は、根本(底6a側)に比べ凸部8の水平面積が小さく、凸部8の根本(底6a側)のほうが、支持面2よりも水平断面積が大きくなる。このため、支持面2に荷重を加えていくほど、凸部8の撓みによる応力が大きくなる。この結果、
図7に示すように、荷重を加えていくほど、応力が大きくなる構造となっているため、応力(荷重)撓み曲線がよりリニアに近く推移する。
【0035】
図6に示すように凸部8は、絞り部11を含んでもよい。絞り部11は、第2断面8eおいて、短手方向Sに沿った長さD6が、隣り合う2つの第2溝部6との間隔である第2間隔D2よりも小さい部分である。長さD6は、ある溝深さの位置に対応する凸部8の短手方向Sの長さが、より支持面2方向(本実施形態では厚さT方向と同じ)の溝深さの位置に対応する凸部8の短手方向Sの長さよりも、短い長さである。長さD6は、好ましくは、凸部8の短手方向Sの長さが最小となる長さである。言い換えると、絞り部11における長さD6は、絞り部11よりも溝の深さが浅い位置における第2断面8eの短手方向の長さよりも小さい長さであり、短手方向Sの溝幅が最大となる位置における凸部8の長さとなることが好ましい。絞り部11は、支持面2と、支持面2からの距離が第2深さX2である底6a(第2位置の一例)との間に設けられてもよい。これによって、凸部8が短手方向にさらに動きやすい。
【0036】
図7は、縦軸にマットレスが発生する応力を、横軸にマットレス1の撓みを示したグラフである。本実施形態のマットレス1の撓みを示す曲線は実線で、従来のマットレスの撓みを示す曲線は破線で示される。
図7に示すように、このように構成された凸部8を有するマットレス1は、凸部8に荷重をかけ、マットレス1を撓ませると、撓みに対して応力がリニアに立上る。このように、凸部8の撓みに対してリニアに応力が発生する特性とすることによって、使用者の体重に関わらず、マットレスの沈み込みを一定に担保することが可能となる。
【0037】
また、使用者の寝返り時の荷重変化は、短手方向Sにかかる体重の変位が主体であり、長手方向Lは、短手方向Sの変化に付随する変化である。また、介護にて体位変換をする時(寝たきりの方の褥瘡防止等で)においても、短手方向Sに体の向きを変える作業であり、長手方向Lはこの変化に付随する変化である。
【0038】
また寝返りや、体位変換においては、使用者(人間)の体の形は丸く転がる形ではない。このため、人間の体の形に合わせてマットレス1の一定の撓み・沈み込み(ストロークの確保)と、マットレス1の反発による形状の戻りが必要になる。本開示のマットレス1によれば、寝返りによって使用者の体の位置が変わり、支持面2が荷重を受ける位置が変化した場合、長手方向Lよりも短手方向Sの方が、撓みが大きくなる。このため、使用者の寝返りによって、支持面2が沈み込みやすい。さらに、使用者の体が移動し支持面2が受ける荷重が抜けた場合に、このようなリニアに応力が発生するマットレス1であれば、凸部8の回復が早く(回復性がよく)、使用者の体を押し上げる押し上げ効果が高い。これによって、より寝返りがしやすい。
【0039】
以上説明した通り、本開示によれば、寝返りしやすい新規のマットレス1を提供することができる。また、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では頂面8aの長手方向Lの両端に隣り合う一定の溝幅(上記実施形態では第1溝幅W1)である第1溝部4の支持面2方向上部に切欠き部8cを設けたが、本開示はこれに限定されず以下のようにしてもよい。例えば、
図8に示すように、マットレス1を長手方向LのI-I断面で見た場合、凸部8の長手方向Lに沿った第1断面8bが、おおむね台形状であってもよい。したがって、頂面8aの長手方向Lの両端における溝部を一定の溝幅としなくてもよい。このような、凸部8の形状のマットレス1の場合、第1溝部4の溝幅が底4aに向かうほど小さくなるようにしてもよい。すなわち、第1溝部4の形状が支持面側を底辺とする逆三角形に形成されてもよい。この場合、頂面8aは、台形状の第1断面8bの上側の底辺部分であってもよい。また、長手方向Lの長さD5は、台形状の第1断面8bの上側の底辺部分の直線の長さであってもよい。このほか、マットレス1の厚みT、長手方向Lに沿った長さD5、第2間隔D2、および第1深さX1は、
図3のマットレス1と同様であってもよい。また、凸部8は、絞り部11を含んでもよい。さらに、このようなマットレス1は、
図1のマットレス1と同様に、裏面10と、凹部12と、裏面凸部14と、を備えてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1:マットレス 2:支持面 4:第1溝部 6:第2溝部 8:凸部
11:絞り部