(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176722
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】植物原料含有ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物、植物原料含有ミンチ肉加工食品
(51)【国際特許分類】
A23L 29/262 20160101AFI20231206BHJP
A23L 29/30 20160101ALI20231206BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20231206BHJP
A23L 13/60 20160101ALI20231206BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20231206BHJP
【FI】
A23L29/262
A23L29/30
A23L35/00
A23L13/60 Z
A23L13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089157
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】宇野 秀一
【テーマコード(参考)】
4B036
4B041
4B042
【Fターム(参考)】
4B036LF13
4B036LH04
4B036LH10
4B036LH11
4B036LH13
4B036LH16
4B036LH26
4B036LH29
4B036LH38
4B036LH50
4B036LK02
4B036LP01
4B041LC03
4B041LD01
4B041LH11
4B041LK10
4B041LK11
4B041LK18
4B041LK36
4B042AC05
4B042AD20
4B042AG02
4B042AH01
4B042AK06
4B042AK08
4B042AK09
4B042AK11
4B042AK20
4B042AP02
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、使用時の前処理が不要であり、ミンチ肉加工食品の生地に容易に混合できる柔らかい物性を持ちながらも加熱後の喫食時には弾力ある食感を付与できるメチルセルロース水和物を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、成分(A)メチルセルロース4~20質量%及び成分(B)糖質を含有し、ゲル強度が1000g以下であることを特徴とする、ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)及び成分(B)を含有し、ゲル強度が1000g以下のメチルセルロース水和物であることを特徴とする、植物原料含有ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物。
(A)メチルセルロース4~20質量%
(B)糖質
【請求項2】
前記メチルセルロース水和物100部と5℃の冷水400部の混合液を80℃に加熱することにより得られるゲルのゲル強度が100g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の植物原料含有ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の植物原料含有ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物を含有することを特徴とする、植物原料含有ミンチ肉加工食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物原料含有ミンチ肉加工食品用のメチルセルロース水和物に関するものである。より詳しくは、このメチルセルロース水和物が優れた加工適性や作業性を有し、このメチルセルロース水和物を使用した植物原料含有ミンチ肉加工食品が加熱後には優れた弾力性を有することを特徴とするメチルセルロース水和物に関する。さらには、該メチルセルロース水和物を含有する植物原料含有ミンチ肉加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンバーグやミートボール等に代表される、ミンチ肉加工食品は、加熱後の喫食時には弾力のある食感があり、それが肉らしさや美味しさとして認知されている。一方で、工業的にミンチ肉加工食品を製造する場合、コストダウンを目的としてミンチ肉の添加量を減らし、その代わりに粒状大豆タンパクなどの植物原料を添加することがよくされている。また、近年ではSDGsの観点から、食肉を一切使わない植物原料含有代替肉加工食品なども開発されている。これら、食肉を減らしたり、使わないミンチ肉加工食品は成型時に生地がまとまらず製造適性が低下したり、加熱後の食感が柔らかく弾力のない食感となるため、肉らしい食感が損なわれたり、美味しさが損なわれることになる。
【0003】
ミンチ肉加工食品の弾力感の低下を補うために、卵白や乳タンパクなど加熱によりゲル化する性質をもったタンパク質を添加する方法(特許文献1)、メチルセルロースを添加する方法(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-111016号公報
【特許文献2】特開2022-049282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
卵や乳は食物アレルギー症状を引き起こす特定原材料(7品目)に該当するため、これらを使用しないでミンチ肉加工食品の弾力ある食感を得られる技術が求められている。またメチルセルロースを用いる従来技術では、ミンチ肉加工食品の生地にメチルセルロース粉末を添加混合した際にダマとなりミンチ肉中で不均一分散となる、メチルセルロースを水和物としてからミンチ肉に添加する場合においても、ミンチ肉に充分な弾力を付与する量のメチルセルロースを含有する水和物は弾力の強いゲル状となるためミンチ肉と混合する際に均一に混ざりにくく、不均一分散となるため、ミンチ肉加工食品に対する十分な弾力付与効果を得ることができなかった。
【0006】
本発明の目的は、使用時の前処理が不要であり、植物原料含有ミンチ肉加工食品の生地に容易に混合できる柔らかい物性を持ちながらも加熱後の喫食時には弾力ある食感を付与し、植物原料含有ミンチ肉加工食品の食感を改善することができるメチルセルロース水和物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、メチルセルロース、水、糖質を特定の割合で配合したメチルセルロース水和物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下の[1]~[3]である。
[1]以下の成分(A)及び成分(B)を含有し、ゲル強度が1000g以下のメチルセルロース水和物であることを特徴とする、植物原料含有ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物。
(A)メチルセルロース4~20質量%
(B)糖質
[2]前記メチルセルロース水和物100部と5℃の冷水400部の混合液を80℃に加熱することにより得られるゲルのゲル強度が100g以上であることを特徴とする、[1]に記載の植物原料含有ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物。
[3][1]又は[2]に記載の植物原料含有ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物を含有することを特徴とする、植物原料含有ミンチ肉加工食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、植物原料含有ミンチ肉加工食品製造時にメチルセルロースを水和させるための前処理を行わなくても、短時間の撹拌で均一な生地の作成が可能となり、かつ、加熱後の喫食時には優れた弾力性を有する食感の植物原料含有ミンチ肉加工食品を提供することができる。また、このような植物原料含有ミンチ肉加工食品を得るためのメチルセルロース水和物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の植物原料含有ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物は、以下の成分(A)及び成分(B)を含有し、ゲル強度が1000g以下のメチルセルロース水和物である。
(A)メチルセルロース4~20質量%
(B)糖質
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<(A)メチルセルロース>
本発明に用いるメチルセルロースは、ミンチ肉加工食品に優れた弾力ある食感を付与するために用いられる。メチルセルロースは、セルロースをメトキシ基(-OCH3)で化学修飾することにより得られる化合物である。メトキシ基の置換度は、特に制限されないが、例えば、25.0~33.0%である。また、メチルセルロースの性質は、メトキシ基の置換度により異なるが、例えば、20℃における2質量%の水溶液の粘度として2,800mm2/s以上が好ましく、77,000mm2/s以上が特に好ましい。流通するメチルセルロース原料としては、例えば、メトローズMCE-100TS、メトローズMCE-4000(以上、信越化学工業(株)製)、ヒートゲル極(ユニテックフーズ(株)製)等が挙げられる。
【0011】
本発明のメチルセルロース水和物中のメチルセルロースの含有量は、4~20質量%である。好ましくは5~15質量%であり、さらに好ましくは6~12質量%である。メチルセルロースの含有量が4質量%未満の場合、ミンチ肉加工食品に弾力のある食感を付与する効果を十分に発揮することができない。
【0012】
<(B)糖質>
本発明に用いる糖質は、メチルセルロース水和物の硬さを低下し、生地と混合しやすい柔らかい物性を付与するために用いられる。糖質としては、特に制限がないが、例えば、ブドウ糖、果糖などの単糖類、ショ糖、麦芽糖などの二糖類、でんぷん、デキストリン、オリゴ糖などの多糖類、還元水飴、マルチトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトールなどの糖アルコールなどが挙げられる。好ましくは、糖アルコールであり、より好ましくは、還元水飴、マルチトール、ソルビトールである。
【0013】
糖質の構成糖の数は、特に制限されないが、例えば、50以下であり、好ましくは30以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下であり、特に好ましくは3以下である。構成糖の数が小さい場合には、メチルセルロース水和物のゲル強度を低下する作用が強くなる。
【0014】
本発明のメチルセルロース水和物中の糖質の含有量は、特に制限されないが、例えば、5~70質量%であり、好ましくは7~60%であり、より好ましくは10~50質量%であり、さらに好ましくは12~40質量%である。
【0015】
メチルセルロースと糖質の質量比(メチルセルロース/糖質)は、特に制限されないが、例えば、0.1~1.0であり、好ましくは0.15~0.8であり、より好ましくは0.2~0.6である。この比率が高いほど、メチルセルロース水和物のゲル強度が低く、混ざり易い。一方、この比率が低いほど、メチルセルロース水和物の添加によるミンチ肉加工食品の弾力付与効果が高くなる。
【0016】
[メチルセルロース水和物]
本発明のメチルセルロース水和物とは、メチルセルロースを、糖質を溶解させた水に溶解した水溶液である。メチルセルロースは、水に溶解して水溶液の状態とすることにより、水和物を形成し、メチルセルロース水和物は、加熱によりゲル化するという性質を有する。本発明のメチルセルロース水和物は、メチルセルロースを糖質含有水に水和させることで、ハンドリングに優れ、且つ、ミンチ肉加工食品に優れた弾力性を付与することが出来る。
【0017】
本発明のメチルセルロース水和物は、その他の成分として、例えば、油脂、乳化剤、増粘剤、酸化防止剤、香料などを添加してもよい。
【0018】
本発明のメチルセルロース水和物の硬さは、柔らかいほどミンチ肉加工食品の生地に混ざりやすい。例えば、ゲル強度として、1000g以下が好ましく、500g以下がより好ましく、250g以下が特に好ましい。なお、ゲル強度の測定方法は、「実施例」の欄に記載したとおりである。
【0019】
本発明のメチルセルロース水和物は、冷水と混合したあと、加熱することで高強度のゲルに変化する。このような特徴を有することにより、メチルセルロース水和物をミンチ肉加工食品に添加すると、ミンチ肉加工食品に弾力ある食感を付与することができる。本発明のメチルセルロース水和物100部と5℃の冷水400部の混合液を80℃に加熱することにより得られるゲルのゲル強度は、100g以上が好ましく、200g以上がより好ましく、300g以上がさらに好ましい。
【0020】
本発明のメチルセルロース水和物の製造方法は、水中にメチルセルロースと糖質が溶解すればよく、例えば、60℃以上加熱した水と糖質の溶解液にメチルセルロースを混合したのち20℃以下に冷却して製造することができる。加熱した水を用いることで、メチルセルロースが容易に水中に分散し、ダマの形成を抑制することができる。加熱温度は、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましく、70℃以上が特に好ましい。
また、冷却することにより、分散したメチルセルロースが水中に溶解し、透明なゲルを形成する。冷却温度は20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下が特に好ましい。
[植物原料含有ミンチ肉加工食品]
本発明の植物原料含有ミンチ肉加工食品は、畜肉の挽肉部分の一部あるいは全部を組織状の植物たん白などの植物原料に置き換えた挽肉を使用し、調味料や香辛料、多糖類、タンパク質などを混合し、成型した加工食品である。ミンチ肉加工食品の例として、例えば、ハンバーグ、パティ、ミートボール、ナゲット、つくね、ハム、ソーセージ、サラミ、フランクフルト、アメリカンドック、餃子、シュウマイ、春巻き、肉饅頭、小籠包、メンチカツ、ミートパイ、ラビオリ、ラザニア、ミートローフ、ロールキャベツ、ピーマンの肉詰めやその他種々の畜肉を使用した加工食品などが挙げられる。
【0021】
本発明における植物原料とは畜肉の代わりに用いられるものであり、例えば、植物たん白、食物繊維などを使い肉の味や食感を再現して作られた原料である。植物原料としては、例えば、脱脂大豆、粒状大豆たん白、大豆ミートなどが挙げられる。なお、大豆ミートとは、油脂分を除いた脱脂大豆と粒状大豆たん白を混練して肉に近い食感に仕上げた原料である。
【0022】
本発明の植物原料含有ミンチ肉加工食品は、本発明の植物原料含有ミンチ肉加工食品用メチルセルロース水和物を含有する。植物原料含有ミンチ肉加工食品中におけるメチルセルロース水和物の含有量は、特に制限されないが、1~20質量%が好ましく、3~18質量%がより好ましく、5~15質量%が特に好ましい。
【0023】
本発明のミンチ肉加工食品は、加熱調理後そのまま喫食してもよいが、さらに冷蔵や冷凍して保存し、ボイル、電子レンジ調理等により再加熱して喫食してもよい。
【実施例0024】
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに説明する。
(実施例1~8)
表1に示す配合でメチルセルロース水和物を作製した。なお、表中の「アマミール(Bx70)」の配合量は、原材料の配合量であり、メチルセルロース水和物中の糖質の含有量は、「アマミール(Bx70)」の配合量の70質量%相当分である。同様に実施例1の高糖化還元水飴(アマミール(Bx70))に代えて、果糖を使用したメチルセルロース水和物を調製した(実施例7)。実施例1の高糖化還元水飴(アマミール(Bx70))に代えて、デキストリン(松谷化学工業(株)製「パインデックス#2」、DE10)を使用したメチルセルロース水和物を調整した(実施例8)
また、作製したメチルセルロース水和物、及び、加水及び加熱後のメチルセルロース水和物のゲル強度を測定した。メチルセルロース水和物の調製方法、ゲル強度の測定方法は、以下に示した。
【0025】
<メチルセルロース水和物の調製方法>
アマミールと水を混合した糖質溶液を60℃に加熱後、メチルセルロースを投入して分散させた。次いで、10℃以下まで冷却してメチルセルロースを溶解し、ゲル状のメチルセルロース水和物を得た。なお、メチルセルロース水和物の総量は1kgとした。
【0026】
<ゲル強度の測定方法>
得られたメチルセルロース水和物のゲル強度をレオメーター「CR-200D」((株)サン科学製)を用いて測定した。測定条件は、プランジャーとしてφ30mm円形平板を使用し、侵入速度80mm/分、侵入距離20mmにて測定した。また、測定時のメチルセルロース水和物及び室温は、10℃である。
【0027】
<加水及び加熱後のゲル強度の測定>
メチルセルロース水和物100質量部と、5℃の冷水400質量部を混合した液を80℃に加熱した。得られた加水及び加熱後のゲル状のメチルセルロース水和物について、上記「ゲル強度の測定方法」と同様に、ゲル強度を特定した。
【0028】
(比較例1)
表2に示す配合でメチルセルロース水和物を作製した。メチルセルロース水和物の総量は1kgとし、60℃に加熱した熱水にメチルセルロースを分散後、10℃以下に冷却することにより、メチルセルロース水和物を得た。また、メチルセルロース水和物のゲル強度について、実施例1と同様に測定した。
【0029】
(比較例2)
表2に示す配合でヒドロキシプロピルメチルセルロース水和物を作製した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース水和物の総量は1kgとし、60℃に加熱した熱水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを分散後、10℃以下に冷却することにより、ヒドロキシプロピルメチルセルロース水和物を得た。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロース水和物、及び、加水及び加熱後のゲル強度について、実施例1のメチルセルロース水和物のゲル強度の測定方法と同様に測定した。
【0030】
(比較例3)
表2に示す配合で実施例1と同様にメチルセルロース水和物を作製した。また、メチルセルロース水和物のゲル強度について、実施例1と同様に測定した。
【0031】
【0032】
【0033】
(製造例1~13)
表3に示す配合で大豆ハンバーグ生地を作製し、実施例及び比較例のメチルセルロース水和物又はヒドロキシプロピルメチルセルロース水和物の生地への混合性について評価した。また、得られた大豆ハンバーグ生地から大豆ハンバーグを作製し、大豆ハンバーグの弾力性について評価した。大豆ハンバーグ生地の作製方法及び生地への混合性の評価方法、大豆ハンバーグの作製方法及び大豆ハンバーグの弾力の評価方法を以下に示す。
【0034】
<大豆ハンバーグ生地の作製方法>
粒状大豆たん白(ニューフジニック41SH)に10℃以下に冷却した水を加え、粒状大豆たん白を膨潤させた後、実施例1~8、比較例1、3のメチルセルロース水和物、又は、比較例2のヒドロキシプロピルメチルセルロース水和物を投入し、ホバートミキサー「N50」(ホバート社製)で均一になるまで混合した。次に、その他の原材料を投入し、混合した。なお、生地の総量は1kgとした。
【0035】
<生地への混合性の評価方法>
上記大豆ハンバーグ生地の作製方法において、実施例1~8、比較例1、3のメチルセルロース水和物、又は、比較例2のヒドロキシプロピルメチルセルロース水和物を投入し、均一になるまでの混合時間を測定した。均一になるまでの混合時間を以下の評価基準で評価し、評価結果を表3に示した。
(評価基準)
5:1分未満。
4:1分以上3分未満。
3:3分以上5分未満。
2:5分以上7分未満。
1:7分以上。
【0036】
<大豆ハンバーグの作製方法>
上記大豆ハンバーグ生地の作製方法において得られた生地を80g/個の円形に成型し、100℃のスチームで7分間加熱し、大豆ハンバーグを得た。
【0037】
<大豆ハンバーグの弾力性の評価方法>
上記大豆ハンバーグの作製方法により得られた大豆ハンバーグを10名のパネラーが喫食し、大豆ハンバーグの弾力性について官能評価により評価した。官能評価は、以下の評価基準に基づいて評価し、10人のパネラーのスコアの平均値を算出した。平均値が2.7以上の場合を「◎」、2.3以上2.7未満の場合を「○」、2.0以上2.3未満の場合を「△」、2.0未満の場合を「×」とし、表中に記載した。
(評価基準)
3:製造例13の畜肉ハンバーグと同等の弾力性を有している。
2:製造例13の畜肉ハンバーグより弾力性が劣る。
1:弾力性が無い。
【0038】
【0039】
なお、表に示す原材料名は、以下のとおりである。
「メトローズMCE-100TS」:メチルセルロース、2質量%水溶液粘度(20℃)77,000-154,000mm2/s、信越化学工業(株)製。
「メトローズMCE-4000」:メチルセルロース、2質量%水溶液粘度(20℃)2,800-5,600mm2/s、信越化学工業(株)製。
「アマミール(Bx70)」:高糖化還元水飴、糖含量70質量%、三菱商事ライフサイエンス製。
「メトローズSFE-4000」:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業(株)製。
「ニューフジニック41SH」:粒状大豆たん白、不二製油(株)製。
「ニューフジプロSEH」:分離大豆タンパク質、不二製油(株)製。
【0040】
製造例1~8の大豆ハンバーグは、実施例1~8の(A)メチルセルロースを4~20質量%及び(B)糖質を含有するメチルセルロース水和物を使用したため、弾力性の高かった。また、実施例1~8のメチルセルロース水和物は、ゲル強度が小さいため混合性に優れていた。
製造例9の大豆ハンバーグは、比較例1の(B)糖質を含有しないメチルセルロース水和物を使用したため、メチルセルロース水和物のゲル強度が高く混合性が悪かった。また、比較例1のメチルセルロース水和物は、加水及び加熱によりゲル強度が向上するという特徴を示さなかったため、大豆ハンバーグに弾力性を与えることができなかった。
製造例10の大豆ハンバーグは、比較例2のヒドロキシプロピルメチルセルロース水和物を使用したため、加水及び加熱によりゲル強度が向上するという特徴がなく、大豆ハンバーグに弾力性を与えることができなかった。
製造例11の大豆ハンバーグは、比較例3の(A)メチルセルロースの含有量が4質量%未満であるメチルセルロース水和物を使用したため、加水及び加熱によりゲル強度が向上するという作用が小さく、大豆ハンバーグに十分な弾力性を与えることができなかった。
製造例12の大豆ハンバーグは、メチルセルロースと糖質をそれぞれ大豆ハンバーグの生地に混合したため、加水及び加熱によりゲル強度が向上するという特徴がなく、大豆ハンバーグに弾力性を与えることができなかった。また、粉末状のメチルセルロースは冷水に添加するとダマを形成しやすいため、混合性が悪かった。