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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176723
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】充填用容器及び本容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/32 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B65D47/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089158
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB01
3E084CB02
3E084CB03
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB17
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB01
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084FC01
3E084GA01
3E084GA08
3E084GB01
3E084GB08
3E084GB11
3E084GB25
3E084HB01
3E084HC01
3E084HD04
3E084JA17
3E084KA01
3E084KB01
3E084LA01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】本容器の内容量に応じた注出を自動的に行うことができ、かつ、充填作業時の取り扱いが容易な充填用容器と、当該充填用容器との使用に適した本容器とを提供する。
【解決手段】充填用容器1は、内容物を本容器10に充填する。容器1は、本体2と、注出部材3とを備える。注出部材3は、本体2がスライドするように口部2を保持する環状溝31と、本容器口部51に挿入可能な筒部32と、筒部32の挿入を制限する制限部33と、筒部32を閉塞するとともに注出口A2が形成された閉塞部34と、先端e35にエア流入口A3が形成されているノズル部35と、絞り口A22をシール可能なシール部36と、注出口A2に通じる注入口A1とエア流入口A3に通じるエア流出口A3とが形成された連結部37とを備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を本容器に充填するための充填用容器であって、
口部と当該口部に連なる絞り部とを備える容器本体と、前記容器本体の収容空間に収容された内容物を注出するための注出口を備える注出部材とを備えており、
前記注出部材は、前記容器本体がスライドするように前記口部を保持する環状溝と、前記本容器の口部の内側に挿入可能な充填用筒部と、前記本容器の口部に接触することによって前記充填用筒部の挿入を制限する挿入制限部と、前記充填用筒部の内側を閉塞するとともに前記注出口が形成された閉塞部と、先端にエア流入口が形成されているとともに当該先端が前記充填用筒部の前記先端よりも突出するように前記閉塞部から延在しているノズル部と、前記閉塞部よりも容器本体側に配置されているとともに前記絞り部の内側に形成された絞り口をシール可能なシール部と、前記閉塞部と前記シール部とを連結するとともに前記注出口に通じる注入口と前記エア流入口に通じるエア流出口とが形成された連結部とを備えており、
前記容器本体が前記注出部材から遠ざかる方向にスライドしたとき、前記注出部材の前記シール部が前記容器本体の前記絞り口をシールするとともに前記連結部の前記注入口及び前記エア流出口を前記容器本体の収容空間に対して遮断し、前記容器本体が前記注出部材に近づく方向にスライドしたとき、前記注出部材の前記シール部が前記容器本体の前記絞り口を開放するとともに前記連結部の前記注入口及び前記エア流出口を前記容器本体の収容空間に通じさせる、充填用容器。
【請求項2】
前記容器本体は、当該容器本体の口部先端側に向かうにしたがって径方向内側に縮小する傾斜面を備えており、
前記注出部材は、径方向内側に押し込み可能なフラップ部をさらに備えており、
前記フラップ部は、径方向内側に押し込まれたとき、前記傾斜面と接触しながら当該傾斜面をスライドすることによって、前記注出部材を前記容器本体から離れる側にスライドさせるものである、請求項1に記載された充填用容器。
【請求項3】
前記容器本体に装着されることによって前記注出部材をカバーするオーバーキャップをさらに備えており、
前記フラップ部は、前記オーバーキャップを前記容器本体に装着するときの、当該オーバーキャップの内周面との接触によって径方向内側に押し込まれるものである、請求項2に記載された充填用容器。
【請求項4】
前記注出部材の前記環状溝は、前記充填用筒部の内部に形成されている、請求項1に記載された充填用容器。
【請求項5】
前記注出部材の前記環状溝は、前記容器本体が前記注出部材に近づく方向にスライドしたとき、前記容器本体の口部の先端と接触可能な段差面を備えている、請求項1に記載された充填用容器。
【請求項6】
前記容器本体の口部及び前記注出部材の前記環状溝は、それぞれ、前記容器本体が前記注出部材から遠ざかる方向にスライドしたとき、互いに係止可能な係止突起を備えている、請求項1に記載された充填用容器。
【請求項7】
前記容器本体の口部及び前記注出部材の前記環状溝の少なくともいずれか一方は、前記容器本体の口部と前記環状溝との間をシールするシール突起を備えている、請求項1に記載された充填用容器。
【請求項8】
前記注出部材の前記充填用筒部は、当該充填用筒部を前記本容器の口部の内側に挿入したとき、前記本容器の口部の内周面に設けられた凸部と離脱可能に嵌合する凹部を備えている、請求項1に記載された充填用容器。
【請求項9】
請求項8に記載された充填用容器の内容物が充填される本容器であって、
前記本容器は、当該本容器の口部に、当該本容器の口部の内側に前記充填用容器の前記充填用筒部を挿入したとき、当該充填用筒部に設けられた凹部と離脱可能に嵌合する凸部を備えている、本容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填用容器及び本容器に関する。
【背景技術】
【0002】
充填用容器を用いて本容器に内容物を充填する、従来の技術としては、充填用容器を傾けることによって、本容器の口部に装着された中栓を通して内容物を詰め替えるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-043583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その一方で近年、充填用容器の内容量を増やすことによって、内容物の詰め替えを複数回にわたって行えるようにすることが提案されている。
【0005】
しかしながら、充填用容器の内容量を増やした場合には、例えば、以下の問題がある。
【0006】
充填用容器の内容物を本容器の内容量に調整しつつ当該本容器に詰め替えることは容易ではない。したがって、例えば、本容器に対して内容物を入れすぎてしまうことによって、内容物が本容器から溢れることが考えられる。
【0007】
また、充填作業時の充填用容器の取り扱いが容易ではない。充填用容器の内容量を増やした場合、当該充填用容器の重量も増加することになる。したがって、上記従来の技術のような、充填時に充填用容器を傾けたままで当該充填用容器を保持するときには、従来よりも大きな力が必要となる。
【0008】
本発明の目的は、本容器の内容量に応じた注出を自動的に行うことができ、かつ、充填作業時の取り扱いが容易な充填用容器と、当該充填用容器との使用に適した本容器とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る、充填用容器は、内容物を本容器に充填するための充填用容器であって、口部と当該口部に連なる絞り部とを備える容器本体と、前記容器本体の収容空間に収容された内容物を注出するための注出口を備える注出部材とを備えており、前記注出部材は、前記容器本体がスライドするように前記口部を保持する環状溝と、前記本容器の口部の内側に挿入可能な充填用筒部と、前記本容器の口部に接触することによって前記充填用筒部の挿入を制限する挿入制限部と、前記充填用筒部の内側を閉塞するとともに前記注出口が形成された閉塞部と、先端にエア流入口が形成されているとともに当該先端が前記充填用筒部の前記先端よりも突出するように前記閉塞部から延在しているノズル部と、前記閉塞部よりも容器本体側に配置されているとともに前記絞り部の内側に形成された絞り口をシール可能なシール部と、前記閉塞部と前記シール部とを連結するとともに前記注出口に通じる注入口と前記エア流入口に通じるエア流出口とが形成された連結部とを備えており、前記容器本体が前記注出部材から遠ざかる方向にスライドしたとき、前記注出部材の前記シール部が前記容器本体の前記絞り口をシールするとともに前記連結部の前記注入口及び前記エア流出口を前記容器本体の収容空間に対して遮断し、前記容器本体が前記注出部材に近づく方向にスライドしたとき、前記注出部材の前記シール部が前記容器本体の前記絞り口を開放するとともに前記連結部の前記注入口及び前記エア流出口を前記容器本体の収容空間に通じさせる。
【0010】
(2)上記(1)の充填用容器において、前記容器本体は、当該容器本体の口部先端側に向かうにしたがって径方向内側に縮小する傾斜面を備えており、前記注出部材は、径方向内側に押し込み可能なフラップ部をさらに備えており、前記フラップ部は、径方向内側に押し込まれたとき、前記傾斜面と接触しながら当該傾斜面をスライドすることによって、前記注出部材を前記容器本体から離れる側にスライドさせるものであることが好ましい。
【0011】
(3)上記(2)の充填用容器は、前記容器本体に装着されることによって前記注出部材をカバーするオーバーキャップをさらに備えており、前記フラップ部は、前記オーバーキャップを前記容器本体に装着するときの、当該オーバーキャップの内周面との接触によって径方向内側に押し込まれるものであることが好ましい。
【0012】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載された充填用容器において、前記注出部材の前記環状溝は、前記充填用筒部の内部に形成されていることが好ましい。
【0013】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載された充填用容器において、前記注出部材の前記環状溝は、前記容器本体が前記注出部材に近づく方向にスライドしたとき、前記容器本体の口部の先端と接触可能な段差面を備えていることが好ましい。
【0014】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つに記載された充填用容器において、前記容器本体の口部及び前記注出部材の前記環状溝は、それぞれ、前記容器本体が前記注出部材から遠ざかる方向にスライドしたとき、互いに係止可能な係止突起を備えていることが好ましい。
【0015】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つに記載された充填用容器において、前記容器本体の口部及び前記注出部材の前記環状溝の少なくともいずれか一方は、前記容器本体の口部と前記環状溝との間をシールするシール突起を備えていることが好ましい。
【0016】
(8)上記(1)~(7)のいずれかに記載された充填用容器において、前記注出部材の前記充填用筒部は、当該充填用筒部を前記本容器の口部の内側に挿入したとき、前記本容器の口部の内周面に設けられた凸部と離脱可能に嵌合する凹部を備えていることが好ましい。
【0017】
(9)本発明に係る本容器は、上記(1)~(8)のいずれかに記載された充填用容器の内容物が充填される本容器であって、前記本容器は、当該本容器の口部に、当該本容器の口部の内側に前記充填用容器の前記充填用筒部を挿入したとき、当該充填用筒部に設けられた凹部と離脱可能に嵌合する凸部を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、本容器の内容量に応じた注出を自動的に行うことができ、かつ、充填作業時の取り扱いが容易な充填用容器と、当該充填用容器との使用に適した本容器とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る充填用容器が保管状態にあるときにおける、当該充填用容器の要部を、軸線を含む断面で概略的に示す断面図である。
図2】内容物の充填が可能な、本発明の一実施形態に係る本容器を備えた充填容器の要部を、軸線を含む断面で概略的に示す断面図である。
図3図1の充填用容器の注出部材を軸線方向上側から示す平面図である。
図4図3のX-X断面図である。
図5図1の充填用容器を用いて、図2の充填容器に係る本容器に内容物を充填するときの手順のうち、図1の充填用容器からオーバーキャップを取り外したのち、当該充填用容器の充填用筒部が、図2の充填容器に係る本容器から注出具を取り外した当該本容器の口部に挿入される過程を概略的に説明するための要部断面図である。
図6図5の挿入が完了した後、図5の充填用容器に係る容器本体の絞り口のシールが解除されるとともに注出部材の注出口及びエア流出口が開かれて本容器に所望量の内容物が充填される状態を、充填用容器からの内容物の流れ及び本容器からの空気の流れととともに概略的に説明するための要部断面図である。
図7図6の充填が完了した後に、図6の充填用容器を取り外すときの手順のうち、当該充填用容器に係る注出部材の充填用筒部が本容器の口部から取り外される直前の状態を概略的に説明するための要部断面図である。
図8図6の充填が完了した後に、図6の充填用容器を取り外すときの手順のうち、図7の充填用容器に係る注出部材の充填用筒部が本容器の口部から取り外されている過程を概略的に説明するための要部断面図である。
図9】本容器から取り外された、図8の充填用容器にオーバーキャップを装着することによって充填用容器を保管するための手順のうち、当該充填用容器に係る注出部材のフラップ部にオーバーキャップが接触したことによって、当該フラップ部が径方向内側に押し込まれた状態を概略的に説明するための要部断面図である。
図10】本容器から取り外された、図8の充填用容器にオーバーキャップを装着することによって充填用容器を保管するための手順のうち、図9のオーバーキャップの装着が完了したことによって充填用容器に係る容器本体の絞り口がシールされるとともに注出部材の注出口及びエア流出口が閉じられて図1の保管状態に復帰した状態を概略的に説明するための要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る充填用容器と、当該充填用容器との使用に適した、本発明の一実施形態に係る本容器と、について説明をする。
【0021】
図1には、本発明の一実施形態に係る充填用容器1が軸線Оを含む断面で示されている。また、図2には、充填用容器1とともに使用可能な、本発明の一実施形態に係る本容器50を備えた充填容器100が軸線Оを含む断面で示されている。
【0022】
本開示において、軸線Oは、充填用容器1及び充填容器100の中心軸線である。また本開示において、充填用容器の容器本体及び注出部材の中心軸線もまた軸線Oと一致するものとする。さらに、本開示において、充填容器100の注出具及び本容器もまたの中心軸線もまた軸線Oと一致するものとする。したがって、本開示において、例えば、図6に示すように、充填用容器1を本容器50に取り付けた状態では、充填用容器1と本容器50とは、同一の軸線О上に配置される。
【0023】
本開示において、軸線Oに延在する方向を軸線方向ともいい、軸線Oの周りに延在する方向を周方向ともいう。また、以下の説明において、軸線Oに対して直交する方向を径方向ともいう。特に、径方向のうち、軸線Оに近い側を径方向内側といい、軸線Оから遠い側を径方向外側という。
【0024】
また、本開示において、「上側」とは、重力方向を基準とした通常の意味のほかに、充填用容器の場合には、注出部材が配置される側、注出部材の場合には、ノズル部の先端が配置される側、容器本体の場合には、当該容器本体の口部が配置される側、さらに、本容器の場合には、当該本容器の口部が配置される側をいう。また、「下側」とは、重力方向を基準とした通常の意味のほかに、充填用容器の場合には、容器本体が配置される側、注出部材の場合には、前記容器本体が取り付けられる側、前記容器本体の場合には、当該容器本体の底部が配置される側、さらに、本容器の場合には、当該本容器の底部が配置される側をいう。
【0025】
図2を参照すれば、充填容器100は、本容器50と、本容器50に収容された内容物Cを注出するための注出具60とを備えている。
【0026】
本開示において、本容器50は、充填用容器1の内容物Cが充填される被詰め替え容器である。図2の充填容器100は、当該充填容器100の内部がシールされた初期状態で示されている。
【0027】
本開示において、本容器50は、いわゆるボトル容器である。本容器50は、口部51と、口部51に連なるネック部52と、ネック部52に連なる肩部53と、肩部53に連なる胴部54と、胴部54に連なる底部(図示省略)とを備えている。胴部54の下端は、前記底部によって閉じられている。本容器50の内側には、内容物Cを収容可能な収容空間S5が形成されている。収容空間S5には、液体又は半液体の内容物Cを充填させることができる。口部51の内側には、収容空間S5に通じる開口A51が形成されている。本容器50は、例えば、合成樹脂を用いたブロー成形によって形成することができる。ただし、本容器50の製造方法は、ブロー成形に限定されるものではなく、様々な方法によって製造することができる。
【0028】
本開示において、本容器50は、後述するように、当該本容器50の口部51に、当該口部51の内側に充填用容器1の充填用筒部32を挿入したとき、当該充填用筒部32に設けられた凹部C32と離脱可能に嵌合する凸部52dを備えている。本開示において、凸部52dは、ネック部52から径方向内側に突出している。本開示において、凸部52dは、軸線Оの周りを周方向に延在する環状の凸部である。
【0029】
吐出具60は、貫通孔A61が形成された中栓61と、吐出口A62が形成された開閉キャップ62とを備えている。本開示において、開閉キャップ62は、中栓61に対して軸線方向にスライドさせることによって、吐出口A62を開閉させることができる。中栓61は、本容器50の口部51に取り外し可能に装着される装着部61aを備えている。これによって、本容器50には、吐出具60を取り外すことによって、口部51の開口A51を通して、収容空間S5に内容物Cを充填させることができる。本開示において、中栓61は、装着部61aを本容器50の口部51にねじ付けることによって装着されている。
【0030】
その一方で、図1を参照すれば、充填用容器1は、内容物Cを本容器50に充填するための充填用容器である。本開示において、充填用容器1は、内容物Cを本容器50に詰め替えるための詰め替え容器である。図1の充填用容器1は、当該充填用容器1の内部がシールされた初期状態で示されている。
【0031】
充填用容器1は、口部21と当該口部21に連なる絞り部22とを備える容器本体2と、容器本体2の収容空間S2に収容された内容物Cを注出するための注出口A2を備える注出部材3とを備えている。
【0032】
本開示において、容器本体2は、いわゆるボトル容器である。容器本体2は、口部21と、口部21に連なる絞り部22と、絞り部22に連なる装着部23と、装着部23に連なる肩部24と、肩部24に連なる胴部25と、胴部25に連なる底部(図示省略)とを備えている。胴部25の下端は、前記底部によって閉じられている。容器本体2の内側には、内容物Cを収容可能な収容空間S2が形成されている。口部21の内側には、開口A21が形成されている。開口A21は、絞り部22の内側に形成された絞り口A22を通して収容空間S2に通じる。これによって、収容空間S2には、口部21の開口A21を通して内容物Cを充填させることができる。容器本体2は、例えば、合成樹脂を用いたブロー成形によって形成することができる。ただし、容器本体2の製造方法は、ブロー成形に限定されるものではなく、様々な方法によって製造することができる。
【0033】
注出部材3は、容器本体2が軸線方向にスライドするように口部21を保持する環状溝31と、図2の本容器50の口部51の内側に挿入可能な充填用筒部32と、図2の本容器50の口部51に接触することによって充填用筒部32の挿入を制限する挿入制限部33と、充填用筒部32の内側を閉塞するとともに注出口A2が形成された閉塞部34と、先端e35にエア流入口A3が形成されているとともに当該先端e35が充填用筒部32の先端e32(以下、「充填用筒部先端e32」ともいう。)よりも突出するように閉塞部34から延在しているノズル部35と、閉塞部34よりも容器本体2側に配置されているとともに絞り部22の内側に形成された絞り口A22をシール可能なシール部36と、閉塞部34とシール部36とを連結するとともに注出口A2に通じる注入口A1とエア流入口A3に通じるエア流出口A4とが形成された連結部37とを備えている。
【0034】
本開示において、環状溝31は、図1に示すように、充填用筒部32の内部に形成されている。この場合、環状溝31の軸線方向深さ(軸線方向長さ)を充填用筒部32の軸線方向の長さの一部に含めることができるため、注出部材3の軸線方向の長さを抑えることができる。したがって、この場合、注出部材3の軸線方向におけるコンパクト化、ひいては、充填用容器1の軸線方向におけるコンパクト化を図ることができる。ただし、環状溝31は、注出部材3の位置であれば、充填用筒部32の内部以外の位置に形成することができる。
【0035】
本開示において、充填用筒部32は、外筒部分32aと、外筒部分32aの内側に間隔をおいて配置された内筒部分32bと、外筒部分32aの先端部と内筒部分32bの先端部とを連結する先端部分32cとを備えている。これによって、充填用筒部32は、その内部に環状溝31が形成された充填用筒部に形作られている。図3に示すように、本開示において、外筒部分32aは、軸線Оを取り囲む筒状部分である。内筒部分32bもまた、軸線Оを取り囲む筒状部分である。これによって、先端部分32cは、軸線Оを取り囲む環状の部分となっている。なお、本開示において、外筒部分32a及び内筒部分32bは、同一の軸線О上に同心配置されている。図4に示すように、本開示において、環状溝31は、上述のとおり、充填用筒部32における、外筒部分32a、内筒部分32b及び先端部分32cの内側に形成されている。
【0036】
また本開示において、挿入制限部33は、充填用筒部32に設けられた突起である。前記突起は、充填用筒部32から径方向外側に突出している。本開示において、挿入制限部33は、充填用筒部32の外筒部分32aの下端部から径方向外側に突出している突起である。図3に示すように、本開示において、挿入制限部33は、軸線Оの周りを周方向に延在する、環状の突起である。挿入制限部33は、図6を示すように、本容器50の口部51の内側に充填用筒部32を挿入したとき、当該口部51の先端e51(以下、「口部先端e51」ともいう。)に接触することによって充填用筒部32の挿入を制限する。
【0037】
また、充填用容器1は、容器本体2の口部21を注出部材3の環状溝31によって保持することによって、図6に示すように、容器本体2を注出部材3に対して当該注出部材3に近づく方向にスライドさせることができる。
【0038】
本開示において、注出部材3の環状溝31は、容器本体2が注出部材3に近づく方向にスライドしたとき、容器本体2の口部21の先端e21(以下、「口部先端e21」ともいう。)と接触可能な段差面5を備えている。この場合、充填用容器1における、注出部材3に対する容器本体2の押し込みを容易に制限することができる。
【0039】
図4を参照すれば、本開示において、段差面5は、充填用筒部32の内筒部分32bに形成されている。本開示において、段差面5は、軸線Оの周りを周方向に延在する、環状の段差面である。図6に示すように、段差面5は、注出部材3に対して押し込まれた容器本体2の口部先端e21と接触することによって、容器本体2の押し込みを制限する。したがって、この場合、使用者は、容器本体2の押し込み量を微調整することなく、注出部材3に対して容器本体2を押し込むことができる。
【0040】
また、図7に示すように、充填用容器1は、容器本体2の口部21を注出部材3の環状溝31によって保持することによって、容器本体2が注出部材3から遠ざかる方向にスライドさせることができる。
【0041】
本開示において、容器本体2の口部21及び注出部材3の環状溝31は、それぞれ、容器本体2が注出部材3から遠ざかる方向にスライドしたとき、互いに係止可能な係止突起6を備えている。この場合、充填用容器1における、注出部材3に対する容器本体2の引き出しを容易に制限することができる。
【0042】
本開示において、係止突起6は、容器本体2の口部21に形成された係止突起6aと、注出部材3の充填用筒部32の外筒部分32aに形成された係止突起6bとの、2つの係止突起である。係止突起6aは、容器本体2の口部21から径方向外側に突出している。係止突起6bは、注出部材3の充填用筒部32の外筒部分32aから径方向内側に突出している。係止突起6a及び6bは、図9に示すように、容器本体2が注出部材3から遠ざかる方向にスライドしたとき、互いに引っ掛かって係止させることができる。係止突起6aが容器本体2を注出部材3から遠ざかる方向にスライドしたときの、容器本体2と注出部材3との分離を防止するための抜け止め機能を発揮するとともに、係止突起6aが容器本体2を注出部材3から遠ざかる方向にスライドしたときの、容器本体2と注出部材3との間の位置を規定するための位置決め機能を発揮する。したがって、使用者は、注出部材3に対して容器本体2を引き出しつつ、充填用容器1を本容器50から取り外すことができる。なお、本開示において、係止突起6a及び6bは、軸線Оの周りを周方向に延在する環状の突起である。ただし、係止突起6a及び6bは、それらのいずれか一方が環状の突起の場合、その他方は、軸線Оの周りを周方向に断続的に配置された複数の突起とすることができる。また、本開示において、充填用容器1は、係止突起6a及び6bを係止させることによって、図1の初期状態となる。
【0043】
さらに、本開示において、容器本体2の口部21及び注出部材3の環状溝31の少なくともいずれか一方は、容器本体2の口部21と注出部材3の環状溝31との間をシールするシール突起7を備えている。この場合、容器本体2の口部21と注出部材3との間のシール性を高めることができる。これによって、注出部材3は、容器本体2の一部として、内容物Cを漏らすことなく、充填用筒部32の内側に形成された注出口A2から内容物Cを注出させることができる。
【0044】
図4を参照すれば、本開示において、シール突起7は、充填用筒部32の内筒部分32bに形成されている。シール突起7は、充填用筒部32の内筒部分32bから径方向外側に突出している。シール突起7は、軸線Оの周りを周方向に延在する、環状の突起である。図7に示すように、シール突起7は、容器本体2の口部21の内周面と接触することによって、容器本体2の口部21と注出部材3との間のシール性を高めることができる。
【0045】
図6を参照すれば、閉塞部34は、充填用筒部32の先端e32よりも容器本体2側に位置して当該充填用筒部32の内側を閉塞している。ただし、図4に示すように、閉塞部34には、軸線方向に貫通する注出口A2が形成されている。図6に示すように、注出口A2は、注出部材3を本容器50の口部51に取り付けた状態において、容器本体2に収容された内容物Cを流出させるための開口である。
【0046】
ノズル部35の先端e35に形成されたエア流入口A3は、図6に示すように、注出部材3を本容器50の口部51に取り付けた状態において、本容器50の収容空間S5に存在する空気を流入させるための開口である。ノズル部35の先端e35は、充填用筒部32の先端e32よりも軸線方向に突出している。これによって、ノズル部35の先端e35は、注出部材3を本容器50の口部51に取り付けた状態において、注出部材3のうちで、本容器50の収容空間S5に充填された内容物Cと最も早く接触させることができる。
【0047】
シール部36は、閉塞部34に連なる連結部37に形成されたシール突起である。前記シール突起は、連結部37から径方向外側に突出している。前記シール突起は、軸線Оの周りを周方向に延在する環状のシール突起である。図9に示すように、シール部36は、容器本体2の絞り部22の内側に形成された絞り口A22をシールする。
【0048】
ここで、絞り口A22は、絞り部22の最深部22cの内側に形成された開口である。最深部22cは、容器本体2のうちで、最も内径の小さい部分である。本開示において、絞り部22は、最深部22cと、口部21と最深部22cとに連なる口部側環状側面部22aと、最深部22cと装着部23とに連なる底部側環状側面部22bと、によって形成されている。本開示において、シール部36は、絞り部22の最深部22cの内周面と接触することによって絞り口A22をシールする。
【0049】
次いで、図4に示すように、連結部37は、閉塞部34とシール部36とを連結している。本開示において、連結部37は、閉塞部34から軸線方向に突出する円柱部である。本開示において、連結部37は、閉塞部34と一体に形成されている。なお、本開示において、ノズル部35(エア流入口A3)は、図3に示すように、軸線方向視において、扁平な形状である。ただし、ノズル部35(エア流入口A3)は、軸線方向視において、扁平な形状に限定されるものではない。例えば、ノズル部35(エア流入口A3)は、軸線方向視において、円形形状、多角形状とすることができる。
【0050】
また、図4を参照すれば、本開示において、連結部37には、閉塞部34に形成された注出口A2に通じる注入口A1が形成されている。図6に示すように、注入口A1は、注出部材3を本容器50の口部51に取り付けた状態において、容器本体2の内容物Cを流入させるための開口である。図4に示すように、本開示において、注入口A1は、連結部37の外周面に形成された、注出口A2に通じる切り欠き(溝又は凹部)である。
【0051】
加えて、本開示において、連結部37には、ノズル部35の先端e35に形成されたエア流入口A3に通じるエア流出口A4が形成されている。連結部37は、ノズル部35と一体に形成されている。図6に示すように、エア流出口A4は、注出部材3を本容器50の口部51に取り付けた状態において、容器本体2の空気を流出させるための開口である。図4に示すように、本開示において、エア流出口A4は、連結部37の外周面に形成された、エア流入口A3(ノズル部35の内部通路)に通じる切り欠き(溝又は凹部)である。ただし、本開示において、閉塞部34を基準とした場合、エア流出口A4は、注入口A1よりもシール部36に近い位置まで延在している。
【0052】
また、図6に示すように、本開示において、充填用筒部32は、当該充填用筒部32を本容器50の口部51の内側に挿入したとき、本容器50の口部51の内周面に設けられた凸部52dと離脱可能に嵌合する凹部C32を備えている。この場合、注出部材3を本容器50の口部51に対してより安定的に取り付けることができる。
【0053】
図4を参照すれば、本開示において、凹部C32は、充填用筒部32に形成された凹部である。凹部C32は、充填用筒部32の外周面を径方向内側に凹ませた凹部である。具体的には、本開示において、凹部C32は、充填用筒部32の外筒部分32aの外周面に形成されている。本開示において、凹部C32は、軸線Оの周りを周方向に延在する、環状の凹部である。図6に示すように、凹部C32は、注出部材3を本容器50の口部51に取り付けた状態において、本容器50の凸部52dと離脱可能に嵌合する。これによって、注出部材3を本容器50の口部51に対してより安定的に取り付けることができる。
【0054】
特に、本開示において、凹部C32の先端側輪郭部分32eは、図6に示すように、本容器50の凸部52dの下端に接触する係止突起である。前記係止突起は、充填用筒部32から径方向外側に突出し、本容器50の口部51に設けられた凸部52dと離脱可能に引っ掛かって互いに係止される。これによって、注出部材3を本容器50の口部51に対してより一層安定的に取り付けることができる。具体的には、本開示において、前記係止突起は、充填用筒部32の外筒部分32aから径方向外側に突出している。さらに、前記係止突起は、軸線Оの周りを周方向に延在する、環状の係止突起である。この場合、注出部材3を本容器50の口部51に対してよりシール性の高い状態で取り付けることができる。加えて、本開示において、凹部C32もまた、シール突起32dが設けられている。シール突起32dもまた、充填用筒部32(具体的には、外筒部分32a)から径方向外側に突出している。さらにシール突起32dもまた、軸線Оの周りを周方向に延在する、環状のシール突起である。これによって、注出部材3を本容器50の口部51に対してより一層シール性の高い状態で取り付けることができる。
【0055】
図1に示すように、充填用容器1は、容器本体2が注出部材3から遠ざかる方向にスライドしたとき、注出部材3のシール部36が容器本体2の絞り口A22をシールするとともに連結部37を容器本体2の口部21の内側空間に配置させることによって連結部37の注入口A1及びエア流出口A4を容器本体2の収容空間S2に対して遮断する。また、図6に示すように、充填用容器1は、容器本体2が注出部材3に近づく方向にスライドしたとき、注出部材3のシール部36が容器本体2の絞り口A22を開放するとともに連結部37を容器本体2の収容空間S2に配置させることによって連結部37の注入口A1及びエア流出口A4を容器本体2の収容空間S2に通じさせる。
【0056】
加えて、図9に示すように、本開示において、容器本体2は、当該容器本体2の口部先端e21側に向かうにしたがって径方向内側に縮小する傾斜面(22b)を備えており、注出部材3は、径方向内側に押し込み可能なフラップ部38をさらに備えている。フラップ部38は、図9の矢印に示すように、径方向内側に押し込まれたとき、傾斜面(22b)と接触しながら当該傾斜面(22b)をスライドすることによって、注出部材3を容器本体2の口部先端e21側にスライドさせるものである。この場合、フラップ部38が傾斜面(22b)に沿って注出部材3全体を軸線方向上側に押し出す押し出し部材として機能する。これによって、フラップ部38は、注出部材3全体を容器本体2に対して遠ざける方向に移動させる。加えて、フラップ部38は、注出部材3全体と容器本体2との間に配置された、つっかえ棒のような機能を発揮する。これによって、シール部36が絞り口A22を完全にシールする位置まで復帰させることができる。つまり、フラップ部38によれば、当該フラップ部38を径方向内側に押し込むことによって、注出部材3全体を容器本体2に対して図1に示す初期状態の位置に確実に復帰させることができる。
【0057】
具体的には、図9に示すように、本開示において、フラップ部38は、充填用筒部32の下端に設けられている。より具体的には、フラップ部38は、ヒンジ部39を介して、充填用筒部32の下端(容器本体側端)に連なっている。本開示において、ヒンジ部39は、薄肉部である。これによって、フラップ部38は、充填用筒部32に対して、ヒンジ部39を起点に容易に径方向内側に押し込むことができる。
【0058】
加えて、本開示において、フラップ部38は、押圧部分38aと、当該押圧部分38aに連なっているとともに径方向内側に湾曲する湾曲部分38bと、を備えている。フラップ部38の湾曲部分38bは、当該湾曲部分38bの径方向内側部分がヒンジ部39を介して、充填用筒部32(本開示では、外筒部分32a)に連なっている。この場合、フラップ部38は、より効果的に、径方向内側に押し込むことができる。
【0059】
加えて、本開示において、前記傾斜面は、絞り部22の底部側環状側面部22bの外周面である。この場合、フラップ部38と前記傾斜面との軸線方向の位置が近接する位置になるため、フラップ部38の大型化させることなく、フラップ部38の押し込みに起因する注出部材3の押し出しを可能にする。したがって、この場合、注出部材3の軸線方向におけるコンパクト化、ひいては、充填用容器1の軸線方向におけるコンパクト化を図ることができる。
【0060】
特に、本開示において、充填用容器1は、容器本体2に装着されることによって注出部材3をカバーするオーバーキャップ4をさらに備えている。図10に示すように、本開示において、フラップ部38は、オーバーキャップ4を容器本体2に装着するときの、当該オーバーキャップ4の内周面との接触によって径方向内側に押し込まれるものである。この場合、オーバーキャップ4を装着するだけの簡単な操作によって、充填用容器1を図1の初期状態に自動的にかつ確実に復帰させることができる。
【0061】
本開示において、オーバーキャップ4は、注出部材3をカバーするカバー部4aと、当該カバー部4aに連なる装着部4bとを備えている。オーバーキャップ4は、装着部4bによって、容器本体2の装着部23に対して取り外し可能に装着させることができる。本開示において、オーバーキャップ4は、装着部4bを容器本体2の装着部23にねじ付けることによって装着されている。ただし、オーバーキャップ4の装着は、離脱可能な凹凸嵌合によるアンダーカット嵌合によって行ってもよい。
【0062】
加えて、本開示において、オーバーキャップ4のカバー部4aの内径は、装着部4bの内径よりも小さい。この場合、オーバーキャップ4を装着するときに、注出部材3のフラップ部38を、より効果的に、径方向内側に押し込むことができる。特に、本開示において、カバー部4aの内周面には、押圧突起8が設けられている。本開示において、押圧突起8は、カバー部4aから径方向内側に突出している。押圧突起8は、軸線Оの周りを周方向に延在している。ただし、押圧突起8は、軸線Оの周りを周方向に断続的に配置された、複数の押圧突起とすることができる。この場合、オーバーキャップ4を装着するときに、注出部材3のフラップ部38を、より一層効果的に、径方向内側に押し込むことができる。
【0063】
次に、充填用容器1を用いて本容器50に内容物Cを詰め替える手順の一例を説明する。
【0064】
まず、本容器50に内容物Cを充填する手順について説明をする。
【0065】
初めに、図1の充填用容器1と、図2の充填容器100とを準備し、充填用容器1からオーバーキャップ4を取り外すとともに充填容器100から吐出具60を取り外す。
【0066】
次いで、図5に示すように、オーバーキャップ4を取り外した充填用容器1を注出部材3が下側を向くように倒立させた後、注出部材3の充填用筒部32を、本容器50の口部51に挿入する。その後、使用者は、充填用容器1を本容器50の口部51に押し込む。充填用容器1の押し込みは、図6に示すように、注出部材3の挿入制限部33が本容器50の口部51の先端e51に接触するまで行われる。この場合、充填用容器1の押し込みは、注出部材3の挿入制限部33と本容器50の口部先端e51との接触によって制限されるため、使用者は、本容器50に対する注出部材3の押し込みを容易に行うことができる。また、このとき、注出部材3の凹部C32と本容器50の凸部52dとが離脱可能に嵌合するため、充填用容器1は、本容器50に対して安定的に保持される。
【0067】
充填用容器1を本容器50への挿入時に強く押し込むと、或いは、充填用容器1が本容器50に保持された状態で使用者が充填用容器1をさらに押し込むと、充填用容器1の容器本体2は、注出部材3に対して軸線方向に、当該注出部材3に近づくようにスライドする。このスライドは、容器本体2の口部先端e21が注出部材3の段差面5に接触するまで行われる。本開示において、注出部材3のシール部36は、容器本体2の口部先端e21が注出部材3の段差面5に接触するときに、容器本体2の絞り口A22を開放する。これによって、図6に示すように、注出部材3のシール部36が容器本体2の絞り口A22を開放するとともに連結部37の注入口A1及びエア流出口A4を容器本体2の収容空間S2に通じさせる。
【0068】
ここで、本開示において、エア流出口A4は、上述のとおり、注入口A1よりもシール部36に近い位置まで延在している。図6を参照すれば、充填用容器1を注出部材3を下側にして倒立させたとき、エア流出口A4の位置は注入口A1の位置よりも高い位置にあることになる。即ち、本開示において、エア流出口A4が、注入口A1よりも早い段階で、容器本体2の収容空間S2に通じる一方で、注入口A1は、注入口A1に次いで、容器本体2の収容空間S2に通じる。言い換えれば、本開示において、エア流出口A4は、注入口A1よりも早いタイミングで開放される。この場合、内容物Cを充填すべき本容器50の収容空間S5内に存在する空気と、充填用容器1の容器本体2の収容空間S5内に存在する内容物Cとを置換させ易くことができる。したがって、充填用容器1の内容物Cは、連結部37の注入口A1が容器本体2の収容空間S2に開放されることによって、当該注入口A1から注出口A2を通して、図6の黒矢印に示すように、本容器50の収容空間S5に速やかに充填される。そして、その一方で、本容器50の空気は、図6の白抜き矢印に示すように、ノズル部35の先端e35に形成されたエア流入口A3からノズル部35の内部(内部通路)に流入し、連結部37に形成されたエア流出口A4を通して、充填用容器1の容器本体2の収容空間S2に流出する。この空気の流れは、注入口A1からの注出口A2を通した内容物Cの流出を促進する。ただし、本発明によれば、閉塞部34を基準としたエア流出口A4と注入口A1との位置は、同一とすることもできる。このように、エア流出口A4と注入口A1とを同一のタイミングで開放させることもできる。
【0069】
その後、本容器50の収容空間S5に充填された内容物Cのレベル(液面)LCがノズル部35の先端e35に達すると、エア流出口A4が内容物Cによって閉鎖されることから、本容器50内の空気と充填用容器1(容器本体2)内の内容物Cとの置換が行われなくなるため、注出口A2からの内容物Cの流入は、自動的に停止する。したがって、充填用容器1の容器本体2の内容量を本容器50の内容量よりも増やした場合でも、使用者が自力で充填用容器1からの注出量を本容器50の内容量に調整することなく、適量の内容物Cの充填を自動的に行うことができる。このため、例えば、本容器50に対して内容物Cを入れすぎてしまうことによって、当該内容物Cが本容器50から溢れることがない。
【0070】
加えて、内容物Cの充填は、充填用容器1の注出部材3に設けられた充填用筒部32を本容器50の口部51に挿入した後、充填用容器1の容器本体2を注出部材3に近づくように押し込むだけでよい。このため、上記従来の技術のように、充填時に充填用容器を傾けたままで当該充填用容器を保持する必要がない。したがって、例えば、充填用容器1の容器本体2の内容量を増やした場合も、従来のように充填用容器を傾けて充填するときに比べて、充填作業時の充填用容器1の取り扱いが容易となる。
【0071】
次に、内容物Cの充填後に、充填用容器1を取り外す手順について説明をする。
【0072】
充填完了後に、使用者は、充填用容器1の容器本体2を上側に引っ張る。これによって、容器本体2は、注出部材3に対して、当該注出部材3から遠ざかる方向にスライドする。すると、図7に示すように、容器本体2の絞り部22の底部側環状側面部22bの内周面は、注出部材3のシール部36と接触する位置まで移動する。これによって、注出部材3の注入口A1及びエア流出口A4は、図7に示すように、容器本体2の収容空間S2から遮断される。
【0073】
さらに、使用者が充填用容器1の容器本体2を上側に引っ張ると、注出部材3のシール部36は、容器本体2の絞り部22の底部側環状側面部22bの内周面と嵌合する一方で、本容器50の凸部52dと注出部材3の凹部C32との嵌合が解除される。これによって、図8に示すように、注出部材3は、シール部36によって容器本体2の絞り部22に引っ掛かった状態のまま、本容器50の口部51から引き出される。これによって、容器本体2に残った内容物Cを漏らすことなく、充填用容器1を本容器50から分離させることができる。このため、充填用容器1によれば、充填後の本容器50からの取り外しも容易である。
【0074】
なお、本開示において、注出部材3の凹部C32と本容器50の凸部52dとの嵌合力は、注出部材3のシール部36と絞り部22の底部側環状側面部22bの内周面との嵌合力よりも大きくしている。これによって、本開示において、容器本体2を引き出したときには、注出部材3のシール部36と絞り部22の底部側環状側面部22bの内周面との嵌合が注出部材3の凹部C32と本容器50の凸部52dとの嵌合の解除に先んじて行われる。即ち、本開示の充填用容器1は、容器本体2の絞り口A22を注出部材3のシール部36によって確実にシールさせた状態で、本容器50の口部51から取り外すことができる。また、この場合、本容器50に注出部材3を挿入して容器本体2を押し込んだときには、注出部材3のシール部36と絞り部22の底部側環状側面部22bの内周面との嵌合の解除が注出部材3の凹部C32と本容器50の凸部52dとの嵌合に先んじて行われる。
【0075】
上述のとおり、充填用容器1によれば、本容器50の内容量に応じた注出を自動的に行うことができ、かつ、充填作業時の取り扱いが容易な充填用容器を提供することができる。また、本容器50によれば、充填用容器1との使用に適した本容器を提供することができる。
【0076】
次に、内容物Cの充填後に、充填用容器1を保管する際の手順について説明をする。
【0077】
充填用容器1を保管する際には、本容器50から取り外した充填用容器1にオーバーキャップ4を取り付ける。図9を参照すれば、オーバーキャップ4を注出部材3に被せて容器本体2の側に押し込むと、図9の白抜き矢印に示すように、オーバーキャップ4のカバー部4aに設けた押圧突起8が注出部材3の挿入制限部33を乗り越えつつ、当該カバー部4aの内周面がフラップ部38を径方向内側に押し込む。これによって、フラップ部38が容器本体2の絞り部22の底部側環状側面部22bに沿って径方向内側にスライドすることで、注出部材3を容器本体2から遠ざかる方向に移動させる。この場合、注出部材3のシール部36は、容器本体2の絞り部22の最深部22cの軸線方向のより深い位置(口部21に近い位置)に圧入される。したがって、容器本体2の絞り口A22はより強固にシールされる。特に、本開示において、オーバーキャップ4のカバー部4aには、押圧突起8が設けられている。このため、図10に示すように、本開示において、オーバーキャップ4の装着部4bを容器本体2の装着部23に装着させると、押圧突起8がフラップ部38の押し込みを保持する。したがって、本開示のように、フラップ部38に押圧突起8を設ければ、容器本体2の絞り口A22におけるより強固なシール性は安定的に維持される。したがって、充填用容器1によれば、確実なシール性を維持しつつ、当該充填用容器1を保管することができる。
【0078】
以上、本発明の一実施形態に係る、充填用容器及び本容器について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。例えば、上述した実施形態において、充填用容器及び本容器は、台所、洗面台、浴室などの、水回りで使用するものであることが好ましい。内容物Cとしては、液体石けん、シャンプー、リンス、洗剤、化粧料などが挙げられる。
【符号の説明】
【0079】
1:充填用容器, 2:容器本体, 21:口部, e21:容器本体の口部の先端, 22:絞り部, 22a:絞り部の口部側環状側面部, 22b:絞り部の底部側環状側面部, 22c:絞り部の最深部, A22:絞り口, 23:装着部, 24:肩部, 25:胴部, 3:注出部材, 31:環状溝, 32:充填用筒部,32a:外筒部分, 32b:内筒部分, 32c:先端部分, 32d:シール突起, 32e:凹部の先端側輪郭部分, C32:凹部, e32:充填用筒部の先端, 33:挿入制限部, 34:閉塞部, 35:ノズル部, e35:ノズル部の先端, 36:シール部, 37:接続部, 38:フラップ部, 38a:フラップ部の押圧部分,38b:フラップ部の湾曲部分, 39:ヒンジ部, 4:オーバーキャップ, 4a:カバー部, 4b:装着部, 5:段差面, 6(6a,6b):係止突起, 7:シール突起, 100:充填容器, 50:本容器, 51:口部, 52:ネック部, 52d:凸部, 53:肩部, 54:胴部, e51:本容器の口部の先端, 60:吐出具, A1:注入口, A2:注出口, A3:エア流入口, A4:エア流出口, О:軸線, S2:容器本体の収容空間, S5:本容器の収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10