(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176730
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231206BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02M7/48 M
H02M7/48 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089165
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 圭浩
(72)【発明者】
【氏名】田淵 貴一
(72)【発明者】
【氏名】社本 道雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 和樹
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA13
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA05
5H770CA06
5H770CA10
5H770DA02
5H770DA41
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Z
5H770LA02Z
5H770LA03W
5H770LB07
(57)【要約】
【課題】インバータ回路31から大きな交流電力を出力する。
【解決手段】中央処理装置13aは、電圧センサ12の検出電圧に基づいて過電流保護機能が作動しているか否かについて判定する。中央処理装置13aは、過電流保護機能が作動していると判定したとき、ステップS190において、インバータ回路31の入力電流の前回の指示値から所定値を引いた値を今回の指示とする。中央処理装置13aは、過電流保護機能が停止していると判定したとき、ステップS120において、インバータ回路31の入力電流の前回の指示値に所定値を加算した値を今回の指示とする。中央処理装置13aは、今回の指示値にインバータ回路31の入力電流を近づけるように中央処理装置32aに指示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源装置(40A、40B、40C)から出力される交流電圧を整流して出力する整流回路(11)と、
前記整流回路から出力される出力電圧を交流電圧に変換して出力する直流交流変換回路(31)と、
前記外部電源装置から前記整流回路に流れる交流電流として過電流が流れることを抑える機能を過電流保護機能としたとき、前記外部電源装置から出力される交流電圧の実効値が閾値未満であるか否かについて判定することにより、前記過電流保護機能が前記外部電源装置に作動しているか否かについて判定する過電流保護判定部(S100)と、
前記過電流保護機能が作動していると前記過電流保護判定部が判定したとき、前記整流回路から前記直流交流変換回路に流れる入力電流の前回の指示値から所定値を減算した値を今回の前記指示値に設定する第1指示値設定部(S190)と、
前記過電流保護機能が作動していると前記過電流保護判定部が判定したとき、前記第1指示値設定部で設定された今回の指示値に前記直流交流変換回路の前記入力電流を近づけるように前記直流交流変換回路に指示する第1変換回路指示部(S215)と、
前記過電流保護機能が停止していると前記過電流保護判定部が判定したとき、前記直流交流変換回路の前記入力電流の前回の指示値に所定値を加算した値を今回の前記指示値に設定する第2指示値設定部(S120)と、
前記外部電源装置の前記過電流保護機能が停止していると前記過電流保護判定部が判定したとき、前記第2指示値設定部で設定された前記今回の指示値に前記直流交流変換回路の前記入力電流を近づけるように前記直流交流変換回路に指示する第2変換回路指示部(S145)と、
を備える給電システム。
【請求項2】
前記第1指示値設定部および前記第2指示値設定部で用いられる前記所定値は、それぞれ、前記入力電流の指示値の上限値から下限値を引いた値である請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記第1指示値設定部で設定される前記今回の前記指示値が下限値未満であるか否かを判定する第1指示値判定部(S200)と、
前記今回の前記指示値が前記下限値未満であると前記第1指示値判定部が判定したとき、
前記今回の前記指示値を前記下限値とする第3指示値設定部(S210)と、を備え、
前記外部電源装置の前記過電流保護機能が作動していると前記過電流保護判定部が判定し、かつ前記今回の前記指示値が前記下限値未満であると前記第1指示値判定部が判定したとき、前記第1変換回路指示部は、前記第1指示値設定部で設定された指示値に代えて、前記第3指示値設定部で設定される前記今回の前記指示値に、前記直流交流変換回路の前記入力電流を近づけるように前記直流交流変換回路に指示する請求項2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記第2指示値設定部で設定される前記今回の前記指示値が最大値よりも大きいか否かを判定する第2指示値判定部(S130)と、
前記今回の前記指示値が前記最大値よりも大きいと前記第2指示値判定部が判定したとき、前記今回の前記指示値を前記最大値とする第4指示値設定部(S140)と、を備え、
前記外部電源装置の前記過電流保護機能が停止していると前記過電流保護判定部が判定し、かつ前記今回の前記指示値が前記最大値よりも大きいと前記第2指示値判定部が判定したとき、前記第2変換回路指示部は、前記第2指示値設定部で設定された指示値に代えて、前記第4指示値設定部で設定された指示値に前記直流交流変換回路の前記入力電流を近づけるように前記直流交流変換回路に指示する請求項3に記載の給電システム。
【請求項5】
前記外部電源装置の前記過電流保護機能が停止していると前記過電流保護判定部が判定したとき、前記直流交流変換回路の前記入力電流の前回の指示値から一定値を減算した値を前記入力電流の最大値とする第1最大値設定部(S160)を備え、
前記第2指示値判定部で用いられる前記最大値は、前記第1最大値設定部で設定される前記最大値である請求項4に記載の給電システム。
【請求項6】
前記第1最大値設定部で設定される前記最大値が前記下限値未満であるか否かを判定する最大値判定部(S170)と、
前記過電流保護機能が作動していると前記過電流保護判定部が判定し、かつ前記最大値が前記下限値未満であると前記最大値判定部が判定したとき、前記下限値を前記最大値とする第2最大値設定部(S180)と、を備え、
前記第2指示値判定部で用いられる前記最大値は、前記第1最大値設定部或いは前記第2最大値設定部で設定される前記最大値である請求項5に記載の給電システム。
【請求項7】
太陽光に基づいて電力を発生する太陽電池(34a)を備え、
前記直流交流変換回路は、前記太陽電池および前記整流回路のうち少なくとも1つの出力電圧を交流電圧に変換する請求項1に記載の給電システム。
【請求項8】
前記太陽電池および前記整流回路のうち少なくとも1つから出力される電力を蓄える蓄電池(34b)を備える請求項7に記載の給電システム。
【請求項9】
前記外部電源装置は、実効値が100Vの交流電圧を前記整流回路に出力し、
前記直流交流変換回路は、実効値が100Vの交流電圧、および実効値が200Vの交流電圧のそれぞれを出力する請求項1ないし8のいずれか1つに記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅用給電システムでは、自動車の電源コンセントに着脱可能なコードを収納したコード収容ボックスと、住宅内電気機器のプラグが着脱可能である複数のコンセントを有する給電装置とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
住宅用給電システムでは、複数のコンセントで利用できる上限電流値以上の電流が給電装置から複数のコンセントを通して住宅内電気機器に流れたときには、給電装置および住宅内電気機器の間の電流経路を遮断する過電流保護機能が給電装置に設けられている。このため、自動車から給電装置に過電流が流れることを未然に防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の住宅用給電システムにおいて、コード収容ボックスに収納されるコードには、自動車の代わりに、ポータブル電池、ポータブル発電機等の外部電源装置が接続される場合が考えられる。
【0006】
本発明者は、外部電源装置において、この外部電源装置から給電装置へ過電流が流れることを抑える過電流保護機能を設けることについて検討した。
【0007】
過電流保護機能は、外部電源装置から給電装置に閾値以上の過電流が流れることを判定した場合には、外部電源装置から給電装置に過電流が流れることを制限する。このため、過電流保護機能が作動した際には、外部電源装置から給電装置を通して住宅電気機器に安定して電力を供給することができなくなる。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、外部電源装置から出力される電源電圧を用いて、外部電源装置から安定して電力を出力する給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、給電システムにおいて、外部電源装置(40A、40B、40C)から出力される交流電圧を整流して出力する整流回路(11)と、
整流回路から出力される出力電圧を交流電圧に変換して出力する直流交流変換回路(31)と、
外部電源装置から整流回路に流れる交流電流として過電流が流れることを抑える機能を過電流保護機能としたとき、外部電源装置から出力される交流電圧の実効値が閾値未満であるか否かについて判定することにより、過電流保護機能が外部電源装置に作動しているか否かについて判定する過電流保護判定部(S100)と、
過電流保護機能が作動していると過電流保護判定部が判定したとき、整流回路から直流交流変換回路に流れる入力電流の前回の指示値から所定値を減算した値を今回の指示値に設定する第1指示値設定部(S190)と、
過電流保護機能が作動していると過電流保護判定部が判定したとき、第1指示値設定部で設定された今回の指示値に直流交流変換回路の入力電流を近づけるように直流交流変換回路に指示する第1変換回路指示部(S215)と、
過電流保護機能が停止していると過電流保護判定部が判定したとき、直流交流変換回路の入力電流の前回の指示値に所定値を加算した値を今回の指示値に設定する第2指示値設定部(S120)と、
外部電源装置の過電流保護機能が停止していると過電流保護判定部が判定したとき、第2指示値設定部で設定された今回の指示値に直流交流変換回路の入力電流を近づけるように直流交流変換回路に指示する第2変換回路指示部(S145)と、を備える。
【0010】
したがって、過電流保護機能が作動していると過電流保護判定部が判定したときに、直流交流変換回路の入力電流を下げることができる。このため、過電流保護機能を停止させることができるため、直流交流変換回路が交流電力を出力すること再開させることができる。
【0011】
過電流保護機能が停止したと過電流保護判定部が判定したとき、直流交流変換回路の入力電流を上げることができる。このため、外部電源装置から整流回路を通して直流交流変換回路に流れる電流値を大きくすることができる。したがって、直流交流変換回路から大きな交流電力を出力することができる。
【0012】
以上により、直流交流変換回路から交流電力を安定して出力することができる。
【0013】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態における家庭用給電システムの全体構成を示す図であり、特にACDC変換器、インバータ装置の電気的構成を示す図である。
【
図2】
図1の本実施形態における家庭用給電システムのインバータ装置のインバータ回路の回路構成を示す図である。
【
図3】
図1の本実施形態における家庭用給電システムのACDC変換器の制御回路の中央処理装置で実行される入力電流制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図4】(a)プラグを通して整流回路に入力される入力電圧、すなわち電源電圧の実効値のタイミングチャートである。(b)ACDC変換器の制御回路の中央処理装置からインバータ装置の制御回路の中央処理装置に送信される指示値のタイミングチャートである。(c)整流回路に流れる入力電流の波高値のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態の住宅用給電システムについて
図1、
図2、
図3、
図4を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の住宅用給電システムは、
図1に示すように、ACDC変換器10、プラグ20、およびインバータ装置30を備える。ACDC変換器10は、整流回路11、電圧センサ12、および制御回路13を備える。
【0018】
整流回路11は、複数のダイオード等から構成されている。整流回路11は、自動車2の電源装置40A、ポータブル発電機40B、ポータブル蓄電池40Cのいずれか1つの電源装置からプラグ20を通して入力される電源電圧を整流して整流された電圧を出力する。以下、整流回路11によって整流された電源電圧をDC電圧ともいう。
【0019】
電圧センサ12は、自動車2の電源装置40A、ポータブル発電機40B、ポータブル蓄電池40Cのいずれか1つの電源装置からプラグ20を通して入力される電源電圧の実効値を検出する。
【0020】
制御回路13は、中央処理装置13a、およびメモリ13bを備える。中央処理装置13aは、メモリ13bに予め記録されているコンピュータプログラムにしたがって入力電流制御処理を実行する。
【0021】
中央処理装置13aは、後述するように、入力電流制御処理の実行に伴って、電圧センサ12の検出電圧に基づいて入力電流の指示値を設定してこの設定される指示値をインバータ装置30の制御回路33に送信する。なお、なお、
図1中中央処理装置13aをCPU13aと記す。
【0022】
メモリ13bは、ROM、RAM、不揮発性メモリ等によって構成され、コンピュータプログラムが記録される。メモリ13bは、中央処理装置13aによる入力電流制御処理の実行に伴って使用されるデータを記録する。
【0023】
プラグ20は、自動車2、ポータブル発電機40B、およびポータブル蓄電池40Cのうちいずれか1つが着脱可能に接続される。プラグ20は、自動車2の電源装置40A、ポータブル発電機40B、およびポータブル蓄電池40Cのうちいずれか1つから与えられる交流電圧を受ける。
【0024】
本実施形態では、自動車2の電源装置40Aは、定常状態で実効値100Vの交流電圧を電源電圧として出力する外部電源装置である。電源装置40Aは、当該電源装置40Aからプラグ20を通してACDC変換器10の整流回路11に過電流が流れることを抑える過電流保護機能を実施する過電流保護回路41aを備える。
【0025】
具体的には、過電流保護回路41aは、電源装置40Aからプラグ20を通してACDC変換器10の整流回路11に流れる交流電流の波高値が過電流保護値以上になると、過電流保護値以上の電流が流れないように電源装置40Aの出力電圧を低減させる。
【0026】
ポータブル発電機40Bは、発電によって定常状態で実効値100Vの交流電圧を電源電圧として出力する可搬型の外部電源装置である。ポータブル発電機40Bは、当該ポータブル発電機40Bからプラグ20を通してACDC変換器10の整流回路11に過電流が流れることを抑える過電流保護機能を実施する過電流保護回路41bを備える。
【0027】
具体的には、過電流保護回路41bは、ポータブル発電機40Bからプラグ20を通してACDC変換器10の整流回路11に流れる交流電流の波高値が過電流保護値以上になると、過電流保護値以上の電流が流れないようにポータブル発電機40Bの出力電圧を低減する。
【0028】
ポータブル蓄電池40Cは、電力を蓄える内蔵蓄電池を備え、この備えた内蔵蓄電池の出力電圧に基づいて、実効値100Vの交流電圧を電源電圧として出力する可搬型の外部電源装置である。
【0029】
ポータブル蓄電池40Cは、当該ポータブル蓄電池40Cからプラグ20を通してACDC変換器10の整流回路11に過電流が流れることを抑える過電流保護機能を実施する過電流保護回路41cを備える。
【0030】
具体的には、過電流保護回路41cは、ポータブル発電機40Bからプラグ20を通してACDC変換器10の整流回路11に流れる交流電流の波高値が過電流保護値以上になると、過電流保護値以上の電流が流れないようにポータブル発電機40Bの出力電圧を低減する。
【0031】
インバータ装置30は、インバータ回路31、制御回路32、およびDC/DCコンバータ33a、33bを備える。
【0032】
インバータ回路31は、ACDC変換器10の整流回路11、DC/DCコンバータ33a、33b等から出力される電圧に基づいて単相3線200Vの交流電圧を出力する直流交流変換回路である。このため、インバータ回路31は、実効値100Vの交流電圧および実効値200Vの交流電圧のそれぞれを出力する。なお、インバータ回路31の電気回路構成の詳細は、後述する。
【0033】
インバータ回路31の出力端子は、電線52を介して、商用電源50および住宅用電気機器51に接続されている。このため、インバータ回路31から出力される交流電力は、電線52を介して商用電源50および住宅用電気機器51のうち少なくとも一方に供給される。
【0034】
商用電源50は、電力会社によって管理される系統電源であり、実効値100Vの交流電圧、および実効値200Vの交流電圧のそれぞれを出力する。住宅用電気機器51は、住宅内に設置されている電気機器である。本実施形態では、住宅用電気機器51は、入力電圧の定格が実効値200V、或いは100Vである冷蔵庫、室内空調機、照明機器等の電気負荷である。
【0035】
制御回路32は、中央処理装置32a、およびメモリ32bを備える。中央処理装置32aは、メモリ32bに記録されるコンピュータプログラムにしたがって、DC/DCコンバータ33a、33b、およびインバータ回路31を制御する制御処理を実行する。
【0036】
中央処理装置32aは、制御処理の実行に伴って、通信線14を通して中央処理装置13aから受信する指示値によって、整流回路11からインバータ回路31に流れる入力電流を制御する。なお、
図1中中央処理装置32aをCPU32aと記す。
【0037】
DC/DCコンバータ33aは、中央処理装置32aによって制御されて、太陽電池34aから出力される直流電圧を昇圧、或いは降圧する。太陽電池34aは、太陽光によって直流電力を発生する発電装置である。
【0038】
DC/DCコンバータ33bは、蓄電池34bから出力される直流電圧を昇圧、或いは降圧する。
【0039】
DC/DCコンバータ33bは、中央処理装置32aによって制御されて、太陽電池34a、ACDC変換器10の整流回路11等から出力される直流電圧を昇圧、或いは降圧して蓄電池34bに出力する。蓄電池34bは、二次電池、コンデンサ等によって構成され、太陽電池34a、ACDC変換器10の整流回路11から出力される直流電力を蓄える。
【0040】
次に、本実施形態の住宅用給電システムのインバータ回路31の詳細について
図2を参照して説明する。
【0041】
インバータ回路31は、
図2に示すように、昇圧回路100、および変換回路200を備える。昇圧回路100は、電磁コイル110、スイッチ素子120、平滑コンデンサ130、およびダイオード140を備える。
【0042】
スイッチ素子120は、入力端子101、102の間に配置されている。スイッチ素子120は、中央処理装置32aによって制御されて、オン、オフする。このことにより、スイッチ素子120は、入力端子101、102の間を接続、或いは開放する。
【0043】
本実施形態のスイッチ素子120としては、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ等の各種の半導体素子が用いられる。
【0044】
ここで、入力端子101、102の間には、ACDC変換器10の整流回路11の出力電圧、DC/DCコンバータ33a、33bの出力電圧が入力電圧Vinとして入力されることになる。
【0045】
電磁コイル110は、入力端子101と共通接続端子103との間に接続されている。共通接続端子103は、スイッチ素子120の入力端子およびダイオード140のアノード端子の間の共通接続端子である。電磁コイル110は、後述するように、スイッチ素子120のスイッチングに伴って、入力電圧Vinに基づいて磁気エネルギを蓄える。
【0046】
平滑コンデンサ130は、入力端子101、102の間の入力電圧Vinを安定化させる。ダイオード140は、共通接続端子203および正極母線201の間に接続される。ダイオード140は、共通接続端子203から正極母線201に電流が流れることを許容するとともに、正極母線201から共通接続端子203に電流が流れることを防ぐ逆流防止用素子を構成する。
【0047】
変換回路200は、平滑コンデンサ210、211、ブリッジ回路220、電磁コイル230a、230b、およびコンデンサ240、241を備える。
【0048】
平滑コンデンサ210、211は、正極母線201および負極母線202の間に直列接続されている。平滑コンデンサ210、211は、正極母線201および負極母線202の間の電圧を安定化させる。
【0049】
ブリッジ回路220は、スイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4、およびダイオード素子D1、D2、D3、D4を備える。
【0050】
スイッチ素子SW1、SW2は、正極母線201および負極母線202の間に直列接続されている。スイッチ素子SW3、SW4は、正極母線201および負極母線202の間に直列接続されている。
【0051】
本実施形態のスイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4としては、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ等の各種の半導体素子が用いられる。
【0052】
ここで、平滑コンデンサ210、211の間の共通接続端子を共通接続端子212とする。スイッチ素子SW1、SW2の間の共通接続端子を共通接続端子203とする。スイッチ素子SW3、SW4の間の共通接続端子を共通接続端子204とする。
【0053】
ダイオード素子D1は、スイッチ素子SW1に対して逆並列に配置されている。ダイオード素子D2は、スイッチ素子SW2に対して逆並列に配置されている。ダイオード素子D3は、スイッチ素子SW3に対して逆並列に配置されている。ダイオード素子D4は、スイッチ素子SW4に対して逆並列に配置されている。
【0054】
本実施形態のスイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4は、中央処理装置32aによって制御されて、スイッチングすることにより、共通接続端子204、203、212から交流電圧VO1、VO2、VO3を出力する。
【0055】
共通接続端子203は、電磁コイル230aを介して出力端子205に接続されている。共通接続端子204は、電磁コイル230bを介して出力端子206に接続されている。共通接続端子212は、出力端子207に接続されている。
【0056】
出力端子207、206、205は、電線52を介して、商用電源50および住宅用電気機器51に接続されている。
【0057】
本実施形態の共通接続端子204、203の間から交流電圧VO3が出力される。共通接続端子203、212の間から交流電圧VO1が出力される。共通接続端子204、212の間から交流電圧VO2が出力される。
交流電圧VO3は、実効値が200Vの交流電圧である。交流電圧VO1、VO2は、それぞれ、実効値が100Vの交流電圧である。交流電圧VO1、VO2、VO3の周波数は、50Hz、或いは60Hzが採用されている。コンデンサ240は、共通接続端子203、212の間に接続されている。コンデンサ241は、共通接続端子204、212の間に接続されている。
電磁コイル230aは、共通接続端子203と出力端子205との間にノイズが流れることを抑える。電磁コイル230bは、共通接続端子204と出力端子206との間にノイズが流れることを抑える。
【0058】
次に、インバータ回路31の概略作動について説明する。
【0059】
まず、中央処理装置32aが、スイッチ素子120をスイッチングさせる。ここで、スイッチ素子120がオンすると、入力電圧Vinに基づいて入力端子101から電磁コイル110、スイッチ素子120を通して入力端子102に電流が流れる。この際に、この電流に基づいて電磁コイル110に磁気エネルギが蓄えられる。
【0060】
その後、スイッチ素子120がオフすると、電磁コイル110に蓄えられる磁気エネルギに基づいて、電磁コイル110から電流が、ダイオード140を通して正極母線201に流れる。
【0061】
このようなスイッチ素子120のスイッチングにより、平滑コンデンサ210、211には、電磁コイル110からダイオード140を通して流れる電流に基づいて、電荷が蓄えられる。
【0062】
このとき、正極母線201および負極母線202の間の電圧は、入力電圧Vinよりも高くなる。このため、昇圧回路100は、入力電圧Vinを昇圧してこの昇圧した出力電圧を正極母線201および負極母線202の間に出力することになる。
このようなスイッチ素子120のスイッチングによって、正極母線201および負極母線202の間の電圧が入力電圧Vinよりも高い所定電圧に維持される。
【0063】
また、中央処理装置32aが、スイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4をスイッチングする。スイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4がスイッチングすることにより、共通接続端子204、203、212から交流電圧VO1、VO2、VO3を出力する。したがって、出力端子207、206、205から、電線52を介して、商用電源50、或いは住宅用電気機器51に交流電圧VO1、VO2、VO3を出力することができる。
【0064】
次に、本実施形態の住宅用給電システムにおいて、自動車2の電源装置40A、ポータブル発電機40B、およびポータブル蓄電池40Cのうち、自動車2の電源装置40Aがプラグ20に接続されている場合の作動について説明する。なお、自動車2の電源装置40Aからの電源供給は、商用電源からの電源供給を切り離した後に行われる
自動車2の電源装置40Aから出力される電源電圧がプラグ20を通してACDC変換器10の整流回路11に入力される。これに伴い、整流回路11は、電源装置40Aから出力される電源電圧を整流してDC電圧をインバータ装置30のインバータ回路31に出力する。
【0065】
インバータ回路31は、中央処理装置32aによって制御されて、整流回路11から出力される出力電圧に基づいて交流電圧を出力する。このため、インバータ回路31から出力される交流電圧は、電線52を通して、住宅用電気機器51に供給される。このことにより、住宅用電気機器51は、インバータ回路31から出力される交流電圧に基づいて作動する。
【0066】
ここで、中央処理装置32aは、住宅用電気機器51で消費される電力を算出する。中央処理装置32aは、この算出される電力に応じて、太陽電池34a、ACDC変換器10、蓄電池34bのうち少なくとも1つからの出力電圧に基づいて交流電圧を出力する。
【0067】
このとき、太陽電池34a、ACDC変換器10、蓄電池34bの順にインバータ回路31に直流電力を供給する直流電力源としての優先順位が低くなっている。
【0068】
このとき、中央処理装置32aは、後述するように、入力電流制御処理の実行に伴って、整流回路11からインバータ回路31に流れる入力電流を制御することにより、インバータ回路31から電力を安定して出力させる。
【0069】
さらに、DC/DCコンバータ33aは、中央処理装置32aによって制御されて、太陽電池34aの出力電圧に基づいて直流電圧を出力する。すると、インバータ回路31は、DC/DCコンバータ33aの出力電圧に基づいて、交流電圧を住宅用電気機器51に出力する。
【0070】
DC/DCコンバータ33bは、中央処理装置32aによって制御されて、蓄電池34bの出力電圧に基づいて直流電圧を出力する。すると、インバータ回路31は、DC/DCコンバータ33bの出力電圧に基づいて、交流電圧を住宅用電気機器51に出力する。
【0071】
また、DC/DCコンバータ33bは、中央処理装置32aによって制御されて、DC/DCコンバータ33a、整流回路11のうち少なくとも一方の出力電圧に基づいて、直流電圧を蓄電池34bに出力する。このため、DC/DCコンバータ33bは、DC/DCコンバータ33a、整流回路11から出力される電力を蓄電池34bに蓄えることができる。
【0072】
次に、自動車2の電源装置40A、ポータブル発電機40B、ポータブル蓄電池40Cのうち、例えば、自動車2の電源装置40Aがプラグ20に接続されている場合に、中央処理装置13aが実行する入力電流制御処理の詳細について
図3を参照して説明する。
【0073】
図3は、中央処理装置13aによる入力電流制御処理の詳細を示すフローチャートである。中央処理装置13aは、
図3のフローチャートにしたがって、入力電流制御処理を繰り返し実行する。
【0074】
まず、中央処理装置13aは、ステップS100にて、過電流保護判定部として、自動車2の電源装置40Aからプラグ20を通して整流回路11に入力される入力電圧の実効値が閾値電圧未満であるか否かについて電圧センサ12の検出電圧に基づいて判定する。
【0075】
このことにより、中央処理装置13aは、電源装置40Aの過電流保護回路41aの過電流保護機能が作動しているか否かについて判定する。
【0076】
このとき、中央処理装置13aは、入力電圧の実効値が閾値電圧以上であるとき、ステップS100においてNOと判定する。このとき、中央処理装置13aは、電源装置40Aの過電流保護回路41a過電流保護機能が停止されていると判定することになる。
【0077】
これに伴い、中央処理装置13aは、ステップS110において、メモリ13bに記録される閾値電圧未満フラグをFASEに設定する。閾値電圧未満フラグは、入力電圧が閾値電圧未満であることを記録するためのフラグである。
【0078】
次に、中央処理装置13aは、ステップS120(すなわち、第2指示値設定部)において、メモリ13bに記録されている入力電流の前回の指示値に所定値を加算した値を今回の指示値とすることにより、メモリ13bに記録されている指示値を更新する。
【0079】
ここで、所定値は、指示値の上限値から下限値を引いた値である(上限値-下限値)である。本実施形態の上限値、下限値、および(上限値-下限値)は、それぞれ、予め決められた一定値である。
【0080】
次に、中央処理装置13aは、ステップS130(すなわち、第2指示値判定部)において、上記ステップS120で設定された今回の指示値がメモリ13bに記録されている入力電流の最大値よりも大きいかについて判定する。
【0081】
このとき、中央処理装置13aは、上記ステップS120で設定された今回の指示値がメモリ13bに記録されている最大値よりも大きいときには、ステップS130において、YESと判定する。
【0082】
これに伴い、中央処理装置13aは、ステップS140(すなわち、第4指示値設定部)において、メモリ13bに記録されている最大値を今回の指示値とすることにより、メモリ13bに記録されている指示値を更新する。したがって、上記ステップS120で設定された今回の指示値が最大値よりも大きいときには、今回の指示値を最大値とする。
【0083】
また、中央処理装置13aは、上記ステップS120で設定された今回の指示値が最大値以下であるときには、ステップS130において、NOと判定する。
【0084】
この場合、中央処理装置13aは、ステップS140の指示値設定処理をスキップする。このため、上記ステップS120で設定される今回の指示値が最大値以下であるときには、上記ステップS120で設定される今回の指示値が維持されることになる。
【0085】
その後、中央処理装置13aは、ステップS145(すなわち、第2変換回路指示部)において、上記ステップS120、或いは上記ステップS140で設定される今回の指示値を通信線14を通して中央処理装置32aに送信する。
【0086】
このことにより、中央処理装置13aは、インバータ回路31の入力電流を上記ステップS120或いは上記ステップS140で設定される今回の指示値に近づけるように中央処理装置32aを介してインバータ回路31に指示する。
【0087】
このとき、中央処理装置32aは、今回の指示値に基づいて、インバータ回路31の出力電流を調整するようにインバータ回路31のスイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4を制御する。
【0088】
このため、インバータ回路31の入力電流を上記ステップS120或いは上記ステップS140で設定される今回の指示値に近づけることになる。
【0089】
中央処理装置32aは、スイッチ素子120をスイッチングさせることによって、正極母線201および負極母線202の間の電圧を入力電圧Vinよりも高い所定電圧に維持させる。
【0090】
このため、インバータ回路31の出力電流が大きくなると、インバータ回路31の入力電流が大きくなり、インバータ回路31の出力電流が小さくなると、インバータ回路31の入力電流が小さくなる。
【0091】
したがって、中央処理装置13aがステップS145の指示値送信処理を実行することにより、インバータ回路31の入力電流を上げることができる。
【0092】
その後、入力電圧の実効値が閾値電圧未満になると、中央処理装置13aは、ステップS100において、YESと判定する。これに伴い、中央処理装置13aは、電源装置40Aの過電流保護回路41a過電流保護機能が作動していると判定することになる。
【0093】
次に、中央処理装置13aは、ステップS150において、閾値電圧未満フラグがFASEに設定されているか否かを判定する。
【0094】
このとき、中央処理装置13aは、ステップS150において、閾値電圧未満フラグがFASEに設定されているとして、YESと判定する。
【0095】
次に、中央処理装置13aは、ステップS160(すなわち、第1最大値設定部)において、メモリ13bに記録されている前回の指示値から予め決められた一定値を減算した値を入力電流の最大値としてメモリ13bに記録する。
【0096】
ここで、上記ステップS160で用いられる一定値は、上記ステップS120で用いられる一定値とは異なる値である。
【0097】
次に、中央処理装置13aは、ステップS170(すなわち、最大値判定部)において、メモリ13bに記録されている入力電流の最大値が上記下限値よりも小さいか否かについて判定する。
【0098】
このとき、中央処理装置13aは、最大値が下限値よりも小さいときには、ステップS170において、YESと判定する。
【0099】
これに伴い、中央処理装置13aは、ステップS180(すなわち、第2最大値設定部)において、上記指示値の下限値を最大値として設定し、この設定される最大値をメモリ13bに記録させる。
【0100】
また、中央処理装置13aは、ステップS160で設定される最大値が下限値以上であるときには、ステップS170において、NOと判定する。これに伴い、中央処理装置13aは、ステップS180の最大値更新処理をスキップしてステップS190(すなわち、第1指示値設定部)に移行する。
【0101】
このため、ステップS160で設定される最大値が下限値以上であるときには、ステップS160で設定される最大値が維持されることになる。
【0102】
このようにステップS160、或いはステップS180で設定される最大値は、ステップS130の判定処理、およびステップS140の設定処理において用いられる。
【0103】
次に、中央処理装置13aは、ステップS190において、メモリ13bに記録されている前回の指示値から所定値を減算した値を今回の指示値とすることにより、メモリ13bに記録されている指示値を更新する。
【0104】
ここで、所定値は、指示値の上限値から下限値を引いた値である(上限値-下限値)である。本実施形態の上限値、下限値、および(上限値-下限値)は、それぞれ、予め決められた一定値である。
【0105】
次に、中央処理装置13aは、ステップS200(すなわち、第1指示値判定部)において、上記ステップS190で設定される今回の指示値が下限値未満であるか否かについて判定する。
【0106】
このとき、上記ステップS190で設置された今回の指示値が下限値未満であるときには、中央処理装置13aは、ステップS200において、YESと判定する。
【0107】
これに伴い、中央処理装置13aは、ステップS210(すなわち、第3指示値設定部)において、今回の指示値を下限値とすることにより、メモリ13bに記録されている今回の指示値を更新する。
【0108】
一方、上記ステップS190で設置される今回の指示値が下限値以上であるときには、中央処理装置13aは、ステップS200において、NOと判定する。これに伴い、中央処理装置13aは、ステップS210の指示値更新処理をスキップして、ステップS220に移行する。この場合、中央処理装置13aによって上記ステップS190で設定された今回の指示値が維持されることになる。
【0109】
次に、中央処理装置13aは、ステップS215(すなわち、第1変換回路指示部)において、上記ステップS190、或いは上記ステップS210で設定される今回の指示値を通信線14を通して中央処理装置32aに送信する。
【0110】
このことにより、中央処理装置13aは、インバータ回路31の入力電流を上記ステップS190或いは上記ステップS210で設定される今回の指示値に近づけるように中央処理装置32aを介してインバータ回路31に指示する。
【0111】
このとき、中央処理装置32aは、今回の指示値に基づいて、インバータ回路31の出力電流を調整するようにインバータ回路31のスイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4を制御する。このため、インバータ回路31の入力電流を上記ステップS190或いは上記ステップS210で設定される今回の指示値に近づけることになる。
【0112】
中央処理装置32aは、スイッチ素子120をスイッチングさせることによって、正極母線201および負極母線202の間の電圧を入力電圧Vinよりも高い所定電圧に維持させる。
このため、インバータ回路31の出力電流が大きくなると、インバータ回路31の入力電流が大きくなり、インバータ回路31の出力電流が小さくなると、インバータ回路31の入力電流が小さくなる。
【0113】
したがって、中央処理装置13aがステップS215の指示値送信処理を実行することにより、インバータ回路31の入力電流を下げることができる。
【0114】
その後、中央処理装置13aは、ステップS220において、メモリに記録される閾値電圧未満フラグをTRUEに設定する。
【0115】
その後、入力電圧の実効値が閾値電圧未満になると、中央処理装置13aは、ステップS100において、YESと判定する。
【0116】
これに伴い、中央処理装置13aは、ステップS150において、閾値電圧未満フラグがTRUEに設定されているとして、NOと判定する。すると、中央処理装置13aは、ステップS160~S220の各制御処理をスキップして、ステップS100の判定処理に戻る。
【0117】
中央処理装置13aは、このようなステップS100~ステップS220の制御処理を繰り返し実行する。このことにより、中央処理装置13aは、ステップS120、S140、S190、S210で設定される今回の指示値を通信線14を通して中央処理装置32aに送信する。
【0118】
すると、中央処理装置32aは、ステップS120、S140、S190、S210で設定される今回の指示値にインバータ回路31の入力電流を近づけるようにインバータ回路31のスイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4を制御する。
【0119】
このような中央処理装置13a、32aの制御処理は、自動車2の電源装置40A以外の、ポータブル発電機40B、或いはポータブル蓄電池40Cがプラグ20に接続されている場合にも、同様に実施される。
【0120】
次に、本実施形態の住宅用給電システムの具体的作動について
図3、
図4等を参照して説明する。
【0121】
図4(a)は、縦軸が自動車2の電源装置40A等からプラグ20を通して入力される入力電圧(すなわち、電源電圧)の実効値であり、横軸が時間であるタイミングチャートである。
図4(b)は、縦軸が中央処理装置13aから中央処理装置32aに出力される入力電流の指示値であり、横軸が時間であるタイミングチャートである。さらに、
図4(c)は、縦軸が電源装置40Aから整流回路11に流れる入力電流の波高値であり、横軸が時間であるタイミングチャートである。
【0122】
中央処理装置32aは、整流回路11からインバータ回路31に流れる入力電流をステップS120、S140で設定される今回の指示値に近づけるようにインバータ回路31を制御する。
【0123】
すると、
図4(c)中のタイミングt1において、電源装置40Aから整流回路11に流れる交流電流の波高値が所定の傾斜でもって増大する。その後、電源装置40Aからプラグ20を通して整流回路11に流れる交流電流の波高値が過電流保護値以上になると、過電流保護回路41aの過電流保護機能が作動して、電源装置40AおよびACDC変換器10の整流回路11の間の電流経路を遮断する。
【0124】
これに伴い、
図4(a)中のタイミングt2において、電源装置40Aから整流回路11に出力される交流電圧が低下して、電源装置40Aから整流回路11に出力される交流電圧(すなわち、入力電圧)の実効値が閾値電圧未満となる。これに伴い、中央処理装置13aは、過電流保護回路41aの過電流保護機能が作動したと判定することになる。
【0125】
このため、中央処理装置13aは、ステップS190、或いはステップS210において、メモリ13bに記録されている今回の指示値を更新する。
【0126】
このため、メモリ13bに記録されている今回の指示値に一定値を加算することにより、メモリ13bに記録されている今回の指示値を更新する。或いは、メモリ13bに記録されている入力電流の指示値を下限値に設定することにより指示値を更新する。
【0127】
このため、
図4(b)のタイミングt3において、整流回路11からインバータ回路31に流れる入力電流が低下する。これに伴い、過電流保護回路41aの過電流保護機能が解除されることになる。
【0128】
その後、電源装置40Aから整流回路11に出力される交流電圧(すなわち、入力電圧)の実効値が閾値電圧以上になる。
【0129】
中央処理装置13aは、ステップS120、或いはステップS140において、メモリ13bに記録されている今回の指示値を更新して増大させる。
【0130】
例えば、中央処理装置13aは、指示値が最大値よりも大きいときには、
図4(b)中のタイミングt4において、最大値が指示値となる。最大値は、ステップS160において、メモリ13bに記録されている前回の指示値から予め決められた一定値を減算した値である。
【0131】
このため、
図4(c)のタイミングt5において、電源装置40Aから整流回路11に流れる交流電流の波高値が所定の傾斜でもって増大する。
【0132】
以上説明した本実施形態によれば、住宅用給電システムは、自動車2の電源装置40A、ポータブル発電機40B、ポータブル蓄電池40Cのいずれか1つの電源装置から出力される交流電圧を整流して出力する整流回路11を備える。
【0133】
住宅用給電システムは、整流回路11から出力される出力電圧を交流電圧に変換して出力する直流交流変換回路としてのインバータ回路31を備える。
【0134】
中央処理装置13aは、ステップS100において、電源装置40A、ポータブル発電機40B、ポータブル蓄電池40Cのいずれか1つの電源装置から出力される交流電圧の実効値が閾値電圧未満であるか否かについて判定する。
【0135】
このことにより、中央処理装置13aは、1つの電源装置から整流回路11に流れる交流電流として過電流が流れることを抑える過電流保護機能が1つの電源装置に作動しているか否かについて判定する。
【0136】
このとき、中央処理装置13aは、過電流保護機能が作動していると判定したとき、ステップS190において、整流回路11からインバータ回路31に流れる入力電流の前回の指示値から所定値を減算した値を今回の指示値に設定する。
【0137】
中央処理装置13aは、過電流保護機能が作動していると判定したとき、ステップS215において、ステップS190で設定された今回の指示値にインバータ回路31の入力電流を近づけるようにインバータ回路31に指示する。
【0138】
中央処理装置13aは、過電流保護機能が停止していると判定したとき、ステップS120において、インバータ回路31の入力電流の前回の指示値に所定値を加算した値を今回の指示値に設定する。
【0139】
中央処理装置13aは、過電流保護機能が停止していると判定したとき、ステップS145において、ステップS120で設定された今回の指示値にインバータ回路31の入力電流を近づけるようにインバータ回路31に指示する。
【0140】
したがって、過電流保護機能が作動していると中央処理装置13aが判定したときに、インバータ回路31の入力電流を下げることができるので、過電流保護機能を解除させることができる。このため、インバータ回路31が交流電力を出力すること再開させることができる。
【0141】
過電流保護機能が停止したと中央処理装置13aが判定したとき、インバータ回路31の入力電流を上げることができる。したがって、インバータ回路31から大きな交流電力を出力することができる。
【0142】
以上により、インバータ回路31から交流電力を安定して出力することができる。
【0143】
このように構成される本実施形態の住宅用給電システムでは、次の(a)~(i)の作用効果を得ることができる。
【0144】
(a)本実施形態のステップS120、S190で用いる所定値は、上限値から下限値を引いた値である(上限値-下限値)が用いられる。
【0145】
このため、ステップS215の送信処理によってインバータ回路31の入力電流を大幅に下げることができる。したがって、過電流保護機能の解除にヒステリシス特性が設定されている場合でも、過電流保護機能を確実に、解除することができる。
【0146】
さらに、ステップS145の送信処理によってインバータ回路31の入力電流を早期に上げることができる。したがって、インバータ回路31の出力電力を早期に大きくすることができる。
【0147】
(b)上述の特許文献1の住宅用給電システムでは、コード収容ボックスのコードに採用される電源コンセントして汎用性の高いコンセントが採用される場合がある。この場合、自動車の電源コンセント以外に、ポータブル電池、ポータブル発電機等の外部電源装置がコード収容ボックスのコードに接続される場合がある。
このため、コード収容ボックスのコードに接続される接続先である外部電源装置を限定することができない。
【0148】
ここで、電流上限値は、電源装置毎に、ユーザによる設定が必要となる。このため、電流経路の遮断制御を自動で実施することができない。さらに、ユーザによって電流上限値を設定するためのインターフェイスが必要となる。
【0149】
これに対して、本実施形態の住宅用給電システムでは、中央処理装置13aは、電源装置から出力される電源電圧を検出する電圧センサ12の検出電圧値に基づいて、過電流保護機能が作動しているか否かについて判定する。このため、電源装置毎に、ユーザが電流上限値を設定する必要もなく、ユーザが電流上限値を設定するためのインターフェイスを必要としない。
(c)中央処理装置13aは、過電流保護機能が作動していると判定し、かつ今回の指示値が下限値未満であると判定したとき、ステップ190で設定された今回の指示値に代えて、ステップS210で設定される今回の指示値を中央処理装置32aに送信する。
【0150】
このため、中央処理装置13aは、中央処理装置32aを介してステップS210で設定される今回の指示値に、インバータ回路31の入力電流を近づけるようにインバータ回路31に指示する。
【0151】
このため、下限値である今回の指示値にインバータ回路31の入力電流を近づけることになる。このため、インバータ回路31の入力電流を必要以上に下げ過ぎることを未然に防ぐことができる。
(d)中央処理装置13aは、過電流保護機能が停止していると判定し、かつ今回の指示値が最大値よりも大きいと判定したとき、ステップS120で設定される今回の指示値に代えて、ステップS140で設定された今回の指示値を中央処理装置32aに送信する。
【0152】
このため、中央処理装置13aは、中央処理装置32aを介してステップS140で設定される今回の指示値に、インバータ回路31の入力電流を近づけるようにインバータ回路31に指示する。
【0153】
このため、最大値である今回の指示値にインバータ回路31の入力電流を近づけることになる。このため、インバータ回路31の入力電流を必要以上に上げ過ぎることを未然に防ぐことができる。
(e)中央処理装置13aは、過電流保護機能が停止していると判定したとき、ステップS160において、前回の指示値から一定値を減算した値を入力電流の最大値とする。このため、最大値を用いてステップS140、S145の制御処理を実施した際に、インバータ回路31の入力電流、ひいては電源装置40Aの出力電流が再び上昇して過電流保護機能が再度、作動することを未然に防ぐことができる。
(f)中央処理装置13aは、過電流保護機能が停止し、かつ最大値が下限値未満であると判定したとき、下限値を入力電流の最大値とする。このため、ステップS180で設定される最大値をステップS130、S140で用いる場合に、入力電流が必要以上に上がり過ぎる未然に防ぐことができる。
(g)住宅用給電システムは、太陽光に基づいて電力を発生する太陽電池34aを備える。インバータ回路31は、太陽電池34aおよび整流回路11のうち少なくとも一方の出力電圧を交流電圧に変換する。したがって、太陽電池34aで発電した直流電力により交流電力を発生させることができる。
(h)住宅用給電システムは、太陽電池34aおよび整流回路11のうち一方から出力される電力を蓄える蓄電池34bを備える。インバータ回路31は、太陽電池34a、整流回路11のうち少なくとも一方の出力電圧を交流電圧に変換する。
【0154】
したがって、太陽電池34a、整流回路11から出力される電力うち、余剰電力を蓄電池34bに蓄えておくことができる。
(i)自動車2の電源装置40A、ポータブル発電機40B、ポータブル蓄電池40Cは、実効値が100Vの交流電圧を整流回路11に出力する。インバータ回路31は、実効値が100Vの交流電圧、および実効値が200Vの交流電圧のそれぞれを出力する。
したがって、インバータ回路31が入力電圧の定格が実効値200Vである住宅用電気機器51に電力を供給することができる。
【0155】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、本発明の給電システムを住宅用給電システムとした例について説明したが、これに限らず、本発明の給電システムを住宅用給電システム以外のビル用給電システムに適用してもよい。
【0156】
(2)上記実施形態では、インバータ回路31が整流回路11、DC/DCコンバータ33a、33bの出力電圧に基づいて交流電圧を商用電源50、或いは住宅用電気機器51に出力する例について説明した。
【0157】
しかし、これに代えて、商用電源50から出力される交流電圧を整流してDC/DCコンバータ33bに出力する整流回路をインバータ装置30に設けてもよい。
【0158】
この場合、DC/DCコンバータ33bは、当該整流回路の出力電圧を昇圧、或いは降圧して蓄電池34bに出力する。このため、蓄電池34bは、インバータ装置30の整流回路を通して商用電源50から供給される電力を蓄えることができる。
【0159】
この場合、インバータ装置30のインバータ回路31が作動する場合には、インバータ装置30の整流回路および商用電源50の間を遮断するスイッチ素子等を含む遮断回路が設けられている。
【0160】
(3)上記実施形態では、ステップS120,およびステップS190で用いる所定値を、上限値から下限値を引いた値である(上限値-下限値)とした例について説明した。しかし、これに限らず、ステップS120,およびステップS190で用いる所定値を、(上限値-下限値)以外の値としてもよい。
【0161】
(4)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0162】
1 住宅用給電システム
10 ACDC変換器
11 整流回路
13 制御回路
13a 中央処理装置
30 インバータ装置
31 インバータ回路
32 制御回路
32a 中央処理装置