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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176741
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】配線回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
H05K3/00 X
H05K3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089179
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】木下 和俊
(72)【発明者】
【氏名】高倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 良介
(57)【要約】
【課題】搬送性に優れる配線回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線回路基板の製造方法は、第1工程-第3工程を備える。第1工程では、集合体シート1と、支持シート2とを、厚み方向に重ねる。集合体シート1は、複数の配線回路基板11と、複数の配線回路基板11を支持する支持部12とを備える。支持部12は、集合体シート1を支持する。第2工程では、複数の配線回路基板11を支持部12から、切断により分離する。第3工程では、支持部12から分離された複数の配線回路基板11を備える集合体シート1を、支持シート2で支持しながら、搬送する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線回路基板と、複数の前記配線回路基板を支持する支持部とを備える集合体シートと、前記集合体シートを支持するための支持シートとを、厚み方向に重ねる第1工程と、
前記第1工程の後に、複数の前記配線回路基板を前記支持部から、切断により分離する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記支持部から分離された複数の前記配線回路基板を備える前記集合体シートを、前記支持シートで支持しながら、搬送する第3工程と
を備える、配線回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記支持シートは、厚み方向を貫通する開口部を有し、
前記集合体シートは、複数の前記配線回路基板と前記支持部とを連結するジョイントを備え、
前記第1工程では、前記開口部が、厚み方向に見たときに、前記ジョイントを含むように、前記集合体シートと前記支持シートとを重ね、
前記第2工程では、前記ジョイントを切断する、請求項1に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記支持シートは、樹脂シートである、請求項1または請求項2に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記配線回路基板および前記支持部は、いずれも、金属支持層と、絶縁層と、配線層とを厚み方向の一方側に向かって順に備える、請求項1または請求項2に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記集合体シートの厚みは、500μm以下である、請求項1または請求項2に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記開口部は、間隔を隔てて複数配置され、
前記支持シートにおける複数の前記開口部の総開口率は、20%以上である、請求項2に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記支持シートの厚みは、150μm以下である、請求項2に記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1工程では、パンチを有する第1型と、前記第1型と前記厚み方向に間隔が隔てられる第2型であって、穴を有する第2型との間に、前記集合体シートが前記第1型に向き、前記支持シートが前記第2型に向くように、前記集合体シートおよび前記支持シートを配置し、
前記第2工程では、前記パンチを前記穴に挿入することによって、前記ジョイントを打ち抜く、請求項6または請求項7に記載の配線回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の配線回路基板と、複数の配線回路基板を支持する支持部とを備える集合体シートにおいて、複数の配線回路基板を支持部から、切断により分離する方法が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-27880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、切断後、分離された複数の配線回路基板を1つずつ搬送するので、煩雑であり、搬送性が低いという不具合がある。
【0005】
本発明は、搬送性に優れる配線回路基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)は、複数の配線回路基板と、複数の前記配線回路基板を支持する支持部とを備える集合体シートと、前記集合体シートを支持するための支持シートとを、厚み方向に重ねる第1工程と、前記第1工程の後に、複数の前記配線回路基板を前記支持部から、切断により分離する第2工程と、前記第2工程の後に、前記支持部から分離された複数の前記配線回路基板を備える前記集合体シートを、前記支持シートで支持しながら、搬送する第3工程とを備える、配線回路基板の製造方法を含む。
【0007】
この製造方法によれば、支持部から分離された複数の配線回路基板を、支持シートで支持しながら搬送するので、複数の配線回路基板の搬送性に優れる。
【0008】
本発明(2)は、前記支持シートは、厚み方向を貫通する開口部を有し、前記集合体シートは、複数の前記配線回路基板と前記支持部とを連結するジョイントを備え、前記第1工程では、前記開口部が、厚み方向に見たときに、前記ジョイントを含むように、前記集合体シートと前記支持シートとを重ね、前記第2工程では、前記ジョイントを切断する、(1)に記載の配線回路基板の製造方法を含む。
【0009】
この製造方法によれば、第2工程で、ジョイントを切断するので、配線回路基板を支持部から確実かつ簡単に分離できる。
【0010】
さらに、第1工程で、開口部が、厚み方向に見たときに、ジョイントを含むように集合体シートと支持シートとを重ねるので、第2工程で、切断具が支持シートに接触することを抑制でき、さらには、支持シートが損傷することが抑制される。そのため、上記した接触に起因する異物の発生(発塵)を抑制できる。
【0011】
また、支持シートが損傷することが抑制されるので、第3工程の後に、支持シートを再利用できる。
【0012】
本発明(3)は、前記支持シートは、樹脂シートである、(1)または(2)に記載の配線回路基板の製造方法を含む。
【0013】
この製造方法によれば、支持シートは、樹脂シートであるので、支持シートの取扱い性が簡便であり、支持シートを用いる複数の配線回路基板の搬送性により一層優れる。
【0014】
本発明(4)は、前記配線回路基板および前記支持部は、いずれも、金属支持層と、絶縁層と、配線層とを厚み方向の一方側に向かって順に備える、(1)から(3)のいずれか一項に記載の配線回路基板の製造方法を含む。
【0015】
本発明(5)は、前記集合体シートの厚みは、500μm以下である、(1)から(4)のいずれか一項に記載の配線回路基板の製造方法を含む。
【0016】
本発明(6)は、前記開口部は、間隔を隔てて複数配置され、前記支持シートにおける複数の前記開口部の総開口率は、20%以上である、(2)から(5)のいずれか一項に記載の配線回路基板の製造方法を含む。
【0017】
この製造方法によれば、複数の開口部の総開口率が20%以上であるので、第2工程において、集合体シートにおいて開口部に臨む部分の変形を抑制できる。
【0018】
本発明(7)は、前記支持シートの厚みは、150μm以下である、(2)から(6)のいずれか一項に記載の配線回路基板の製造方法を含む。
【0019】
この製造方法によれば、第2工程において、集合体シートにおいて開口部に臨む部分の変形を抑制できる。
【0020】
本発明(8)は、前記第1工程では、パンチを有する第1型と、前記第1型と前記厚み方向に間隔が隔てられる第2型であって、穴を有する第2型との間に、前記集合体シートが前記第1型に向き、前記支持シートが前記第2型に向くように、前記集合体シートおよび前記支持シートを配置し、前記第2工程では、前記パンチを前記穴に挿入することによって、前記ジョイントを打ち抜く、(6)または(7)に記載の配線回路基板の製造方法を含む。
【0021】
第1工程において、集合体シートがパンチを有する第1型に向き、支持シートが穴を有する第2型に向くように、第1型と第2型との間に、集合体シートおよび支持シートを配置すると、第2工程において、打ち抜き時の位置精度を向上することができる。
【0022】
一方、第2工程において、パンチを穴に挿入するときに、集合体シートにおいて、パンチの外側近傍であって、開口部に臨む部分は、開口部に向かって移動する。すると、集合体シートの上記した部分の移動によって、集合体シートが変形する場合がある。
【0023】
しかし、この製造方法によれば、上記(6)または(7)の構成を有するので、上記した変形を有効に抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、搬送性に優れる配線回路基板の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1A図1Dは、本発明の配線回路基板の製造方法の一実施形態を説明する工程である。図1Aは、集合体シートと、第1型および第2型とを準備する工程である。図1Bは、第1工程である。図1Bは、図2AのX-X線に沿う断面図である。図1Cは、第2工程である。図1Cは、図2BのY-Y線に沿う断面図である。図1Dは、第3工程である。
図2図2A図2Bは、一実施形態の平面図である。図2Aは、第1工程である。図2Bは、第2工程である。
図3図3A図3Bは、図1Aおよび図2Aで示す第1工程で準備される部材の平面図である。図3Aは、支持シートである。図3Bは、集合体シートである。
図4】第2変形例の第2工程の積層シートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1. 一実施形態
図1A図3Bを参照して、本発明の配線回路基板の製造方法の一実施形態を説明する。
【0027】
配線回路基板の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを順に備える。つまり、この製造方法では、第1工程と、第2工程と、第3工程とが、順に実施される。
【0028】
1.1 第1工程
図1Bおよび図2Aに示すように、第1工程では、集合体シート1と、支持シート2とを重ねる。
【0029】
1.1.1 集合体シート1
図1Aおよび図1Bに示すように、集合体シート1は、厚みを有する。集合体シート1における「シート」は、フィルムと同義である。シートおよびフィルムは、峻別されない。集合体シート1は、面方向に延びる。面方向は、厚み方向に直交する。図2Aに示すように、本実施形態では、集合体シート1は、厚み方向に見たときに、矩形の外形を有する。集合体シート1は、複数の配線回路基板11と、支持部12と、ジョイント13と、を備える。また、集合体シート1は、溝14を有する。
【0030】
1.1.1.1 複数の配線回路基板11
複数の配線回路基板11は、集合体シート1における周端部の内側に配置されている。複数の配線回路基板11は、面方向に互いに間隔が隔てられる。本実施形態では、複数の配線回路基板11は、第1方向および第2方向のそれぞれにおいて整列される。第1方向および第2方向は、面方向に含まれる。第1方向および第2方向は、互いに直交する。第1方向および第2方向は、集合体シート1の矩形の四辺に沿う。
【0031】
図1Aに示すように、複数の配線回路基板11のそれぞれは、金属支持層111Aと、絶縁層112Aと、配線層113Aと、カバー絶縁層114Aとを厚み方向の一方側に向かって配置される。
【0032】
金属支持層111Aは、厚み方向における配線回路基板11の他端部に配置される。金属支持層111Aは、面方向に延びる。金属支持層111Aの材料としては、例えば、鉄、ステンレス、銅、および、銅合金が挙げられる。金属支持層111Aの厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0033】
絶縁層112Aは、厚み方向における金属支持層111Aの一方面に配置される。絶縁層112Aは、面方向に延びる。本実施形態では、絶縁層112Aは、ベース絶縁層である。絶縁層112Aの材料としては、例えば、絶縁性樹脂が挙げられる。絶縁性樹脂としては、例えば、ポリイミドが挙げられる。絶縁層112Aの厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0034】
配線層113Aは、厚み方向における絶縁層112Aの一方面に配置される。配線層113Aは、面方向に延びる。配線層113Aは、配線と端子とを含むパターンを有する。配線層113Aの材料としては、例えば、銅、銀、金、鉄、アルミニウム、クロム、および、それらの合金が挙げられる。配線層113Aの厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0035】
カバー絶縁層114Aは、厚み方向における配線回路基板11の一端部に配置される。カバー絶縁層114Aは、厚み方向における絶縁層112Aの一方面に配置されている。また、カバー絶縁層114Aは、配線層113Aの配線を覆う。カバー絶縁層114Aは、面方向に延びる。カバー絶縁層114Aの材料としては、例えば、絶縁性樹脂が挙げられる。絶縁性樹脂としては、例えば、ポリイミドが挙げられる。カバー絶縁層114Aの厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である
【0036】
配線回路基板11の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、25μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。配線回路基板11の厚みは、金属支持層111Aと、絶縁層112Aと、配線層113Aと、カバー絶縁層114Aとの総厚みである。
【0037】
1.1.1.2 支持部12
図2Aに示すように、支持部12は、集合体シート1における周端部と、面方向に隣り合う配線回路基板11の間とに、配置されている。本実施形態では、支持部12は、厚み方向に見たときに、略格子形状を有する。
【0038】
支持部12は、金属支持層111B、絶縁層112B、配線層113Bおよびカバー絶縁層114Bからなる群から選択される少なくとも1層(好ましくは、複層)を備える。金属支持層111B、絶縁層112B、配線層113Bおよびカバー絶縁層114Bは、上記した金属支持層111A、絶縁層112A、配線層113Aおよびカバー絶縁層114Aとそれぞれ同一の層である。支持部12は、好ましくは、配線回路基板11と同一の層構成を有する。つまり、支持部12は、好ましくは、金属支持層111B、絶縁層112B、配線層113Bおよびカバー絶縁層114Bを備える。図1Aに示すように、支持部12では、金属支持層111Bと、絶縁層112Bと、配線層113Bと、カバー絶縁層114Bとが厚み方向の一方側に向かって配置される。
【0039】
支持部12の金属支持層111Bは、配線回路基板11の金属支持層111Aと同じ層である。支持部12の絶縁層112Bは、配線回路基板11の絶縁層112Aと同じ層である。支持部12の配線層113Bは、配線回路基板11の配線層113Aと同じ層である。なお、配線層113Bは、信号および/またはグランド電流を送らない構成であってもよい。支持部12のカバー絶縁層114Bは、配線回路基板11のカバー絶縁層114Aと同じ層である。
【0040】
支持部12は、配線回路基板11と同じ厚みを有するである。集合体シート1は、配線回路基板11の厚み、および、支持部12の厚みと同じ厚みを有する。具体的には、集合体シート1の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、25μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0041】
1.1.1.3 ジョイント13
図2Aに示すように、ジョイント13は、複数の配線回路基板11と、支持部12とを連結する。ジョイント13は、次に説明する溝14を横切る。ジョイント13は、1つの配線回路基板11につき、複数設けられる。本実施形態では、ジョイント13は、配線回路基板11の4つの角部115に連続する。
【0042】
ジョイント13は、金属支持層111C、絶縁層112C、配線層113Cおよびカバー絶縁層114C(図1Aにおいて図示されず)からなる群から選択される少なくとも1層(好ましくは、複層)を備える。金属支持層111C、絶縁層112C、配線層113Cおよびカバー絶縁層114Cは、上記した金属支持層111A、絶縁層112A、配線層113Aおよびカバー絶縁層114Aとそれぞれ同一の層である。好ましくは、ジョイント13は、金属支持層111Cのみを備える。
【0043】
1.1.1.4 溝14
溝14は、複数の配線回路基板11のそれぞれの周囲に配置されている。本実施形態では、溝14は、厚み方向に見たときに、略矩形枠形状を有する。溝14は、集合体シート1を厚み方向に貫通する。溝14は、配線回路基板11と支持部12とを面方向に隔てる。また、溝14は、厚み方向に見たときに、ジョイント13によって複数に分断される。本実施形態では、溝14は、複数のスリットである。
【0044】
1.1.2 支持シート2
支持シート2は、厚みを有する。支持シート2は、面方向に延びる。本実施形態では、図3Aに示すように、支持シート2は、厚み方向に見たときに、矩形の外形を有する。
【0045】
1.1.2.1 支持シート2の材料
支持シート2としては、例えば、樹脂シート、金属シートおよびセラミックシートが挙げられ、配線回路基板11の搬送性の観点から、樹脂シートが挙げられる。樹脂シートの樹脂としては、例えば、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムが挙げられ、好ましくは、強度を向上する観点から、ポリエステルフィルムが挙げられる。ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリエチレンナフタレートフィルム、および、ポリブチレンテレフタレートフィルムが挙げられ、好ましくは、コストを低減する観点から、PETフィルムが挙げられる。
【0046】
1.1.2.2 支持シート2の寸法
支持シート2の厚みT(図1A参照)は、例えば、250μm以下、好ましくは、150μm以下、より好ましくは、75μm以下であり、また、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上である。
【0047】
支持シート2の厚みTが上記した上限以下であれば、後述する第2工程において、集合体シート1において開口部21に臨む部分16(後述)の変形を抑制できる。
【0048】
1.1.2.3 開口部21
本実施形態では、支持シート2は、好ましくは、開口部21を有する。開口部21は、支持シート2を厚み方向に貫通する。開口部21は、間隔を隔てて複数配置される。図1Bおよび図2Aに示すように、本実施形態では、開口部21は、集合体シート1と支持シート2とを厚み方向に重ねるときに、ジョイント13に対向するように、配置される。複数の開口部21は、集合体シート1と支持シート2とを厚み方向に重ねるときに、複数のジョイント13を含む(包含する)ように、配置されている。開口部21の寸法は、ジョイント13の寸法より大きい。本実施形態では、開口部21は、厚み方向に見たときに、円形状を有する。
【0049】
複数の開口部21の総開口率は、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上であり、また、例えば、50%以下、好ましくは、40%以下である。
【0050】
開口部21の総開口率が上記した下限以上であれば、次に説明する第2工程において、集合体シート1において開口部21に臨む部分16の変形を抑制できる。開口部21の総開口率が上記した上限以下であれば、第3工程において、配線回路基板11が開口部21から脱落することを抑制して、配線回路基板11の搬送性を向上できる。
【0051】
複数の開口部21の総開口率は、厚み方向に見たときの支持シート2の面積、および、複数の開口部21の総面積における複数の開口部21の総面積の百分率である。
【0052】
厚み方向に重ねたときの開口部21の面積に対するジョイント13の面積の割合は、例えば、0.01以上、好ましくは、0.015以上であり、また、例えば、0.3以下である。
【0053】
第1工程では、集合体シート1と、支持シート2とを、厚み方向に重ねる。具体的には、第1工程では、上記した集合体シート1と、支持シート2とを、厚み方向に重ねて、積層シート10を作製する。本実施形態では、積層シート10は、支持シート2と、集合体シート1とを、厚み方向の一方側に向かって順に備える。つまり、積層シート10では、支持シート2と、集合体シート1とは、厚み方向の一方側に向かって順に配置される。集合体シート1を厚み方向における支持シート2の一方面に配置する。集合体シート1は、厚み方向における支持シート2の一方面に接触する。
【0054】
開口部21が、厚み方向に見たときに、ジョイント13を含むように、集合体シート1と、支持シート2とを重ねる。この際、集合体シート1において開口部21に臨む部分16は、支持シート2から露出する。
【0055】
1つの開口部21は、1つの角部115に対応する。
【0056】
第1工程では、その後、第1型3と、第2型4との間に、積層シート10を配置する。
【0057】
第1型3は、第1平板31と、パンチ32とを有する。第1平板31は、厚みを有する。第1平板31は、面方向に延びる。パンチ32は、第1平板31の厚み方向に沿って延びる。パンチ32は、第1平板31に対して厚み方向の他方側(第2型4側)に向かって進退可能である。パンチ32が進退するとき、パンチ32は、第3平板31によってガイドされる。パンチ32の先端部(進出方向における下流側端部)には、刃が設けられる。パンチ32は、複数のジョイント13に対応して複数設けられる。第1型3は、例えば、金型である。
【0058】
第2型4は、第1型3と厚み方向の他方側に間隔が隔てられる。第2型4は、第2平板41と、穴42とを有する。第2平板41は、厚みを有する。第2平板41は、面方向に延びる。第2平板41は、第1平板31に平行する。穴42は、第2平板41の厚み方向を貫通する。穴42は、複数のパンチ32に対応して複数設けられる。穴42は、パンチ32を穴42に挿入するときに、ジョイント13を打ち抜き(切断)可能な形状および寸法となっている。第2型4は、例えば、金型である。
【0059】
本実施形態では、集合体シート1が第1型3に向き、支持シート2が第2型4に向くように、積層シート10(集合体シート1および支持シート2)を第1型3と第2型4との間に配置する。
【0060】
この際、必要により、ストリッパープレート5を、第1平板31と、積層シート10(集合体シート1)との間に配置してもよい。ストリッパープレート5は、第2開口51を有する。第2開口51は、厚み方向に見たときに、支持シート2の開口部21、パンチ32および穴42に重なる。ストリッパープレート5は、切断後、パンチ32を穴42から抜く際、パンチ32を集合体シート1から引き剥がし可能である。ストリッパープレート5は、例えば、金属プレートである。
【0061】
そして、第1型3および第2型4によって、積層シート10およびストリッパープレート5を厚み方向に挟み込む。
【0062】
1.2 第2工程
図1Cおよび図2Bに示すように、第2工程では、複数の配線回路基板11を支持部12から、切断により分離する。具体的には、第2工程では、ジョイント13を切断する。ジョイント13を切断するには、パンチ32を穴42に挿入する。具体的には、パンチ32が第1平板31から穴42に向かって進出しながら、ジョイント13を押し切る。これによって、ジョイント13が集合体シート1から除去される。これによって、支持部12による配線回路基板11に対する支持が開放される。これによって、複数の配線回路基板11は、支持部12から分離される。
【0063】
その後、図示しないが、パンチ32を穴42から引き抜く。
【0064】
1.3 第3工程
図1Dに示すように、第3工程では、支持部12から分離された複数の配線回路基板11を備える集合体シート1を、支持シート2で支持しながら、搬送する。集合体シート1の搬送では、上記した集合体シート1および支持シート2を備える積層シート10を、第1型3および第2型4から脱離して、積層シート10を、後の工程に供する。後の工程は、検査工程、および、実装工程を含む。検査工程では、部分16の変形の有無が観察される。後の工程を実施するとき、複数の配線回路基板11のそれぞれを、支持シート2から引き上げる。この際、配線回路基板11に対する支持シート2による支持は、解除される。
【0065】
別途、支持シート2を再利用する。
【0066】
2. 一実施形態の作用効果
この製造方法によれば、図1Dに示すように、支持部12から分離された複数の配線回路基板11を、支持シート2で支持しながら搬送するので、複数の配線回路基板11の搬送性に優れる。
【0067】
この製造方法によれば、図1Cおよび図2Bに示すように、第2工程で、ジョイント13を切断するので、配線回路基板11を支持部12から確実かつ簡単に分離できる。
【0068】
さらに、第1工程において、支持シート2の開口部21が、厚み方向に見たときに、ジョイント13を含むように、集合体シート1と支持シート2とを重ねる。そのため、第2工程で、パンチ32が支持シート2に接触することを抑制でき、さらには、支持シート2が損傷することが抑制される。そのため、上記した接触に起因する異物の発生(発塵)を抑制できる。
【0069】
また、支持シート2が損傷することが抑制されるので、第3工程の後に、支持シート2を再利用できる。
【0070】
この製造方法によれば、支持シート2は、樹脂シートであれば、支持シート2の取扱い性が簡便であり、支持シート2を用いる複数の配線回路基板11の搬送性により一層優れる。
【0071】
複数の開口部21の総開口率が20%未満であれば、図1Cに示すように、開口部21を仕切る支持シート2の内周面と、穴42との距離Dが短くなる。そうすると、ジョイント13の切断時、部分16が穴42に向かって移動するときに、大きな応力が、上記した内周面に対応する部分16にかかり、部分16が穴42に向かって変形し、図1Dの仮想線で示すように、パンチ32を穴42から抜いても、部分16には、上記した変形が残る場合がある。
【0072】
しかし、この製造方法によれば、複数の開口部21の総開口率が20%以上であれば、支持シート2の内周面と、穴42との距離Dを長くでき、第2工程において、部分16に係る応力を小さくでき、集合体シートにおいて開口部21に臨む部分16の変形を抑制できる。
【0073】
また、支持シート2の厚みTが150μmを越えると、図1Cに示すように、ジョイント13の切断時、部分16が穴42に向かって移動する移動量が大きくなる。そのため、大きな応力が、上記した内周面に対応する部分16にかかり、部分16が穴42に向かって変形し、図1Dの仮想線で示すように、パンチ32を穴42から抜いても、部分16には、上記した変形が残る場合がある。
【0074】
しかし、この製造方法によれば、支持シート2の厚みTが150μm以下であれば、第2工程において、部分16が穴42に向かって移動する移動量を小さくでき、部分16に係る応力を小さくでき、集合体シート1において開口部21に臨む部分16の変形を抑制できる。
【0075】
この製造方法によれば、図1Bに示すように、第1工程において、集合体シート1がパンチ32を有する第1型3に向き、支持シート2が穴を有する第2型4に向くように、第1型3と第2型4との間に、集合体シート1および支持シート2を配置する。これによって、すると、図1Cに示すように、第2工程において、打ち抜き時の位置精度を向上することができる。
【0076】
また、第2工程において、パンチ32を穴42に挿入するときに、集合体シート1において、パンチ32の外側近傍であって、開口部21に臨む部分16は、上記したように、開口部21に向かって移動する。すると、図1Dに示すように、集合体シートの上記した部分16の移動によって、集合体シートが変形する場合がある。
【0077】
しかし、この製造方法によれば、上記したように、複数の開口部21の総開口率が20%以上、および/または、支持シート2の厚みTが150μm以下であれば、部分16の変形を有効に抑制できる。
【0078】
3. 変形例
以下の変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、特記する以外、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0079】
3.1 第1変形例
第1変形例では、図示しないが、支持シート2は、開口部21を有さない。
【0080】
第1変形例および一実施形態を対比すると、一実施形態が好適である。一実施形態では、パンチ32が支持シート2に接触することを抑制でき、さらには、支持シート2が損傷することが抑制される。そのため、上記した接触に起因する異物の発生(発塵)を抑制できる。さらに、支持シート2が損傷することが抑制されるので、支持シート2を再利用できる。
【0081】
3.2 第2変形例
図4に示すように、1つの開口部22は、2つの角部115に対応してもよい。2つの角部115は、一の配線回路基板11Aにおける角部115Aと、一の配線回路基板11Aと隣接する他の配線回路基板11Bにおける角部115Bと、を含む。開口部22は、厚み方向に見たときに、長孔形状を有する。開口部22は、上記した開口部22は、厚み方向に見たときに、2つの角部115A,115Bを含むように、集合体シート1と、支持シート2とを重ねる。
【0082】
3.3 第3変形例
一実施形態では、第1金型3を第4金型に対して上側に配置している。しかし、図示しないが、第3変形例では、第1金型3を第4金型に対して下側に配置する。
【実施例0083】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0084】
実施例1
[第1工程]
集合体シート1と、支持シート2とのそれぞれを作製した。集合体シート1の厚みは、60μmであった。金属支持層111A,111B,111Cの厚みは、30μmであり、材料が、銅合金であった。絶縁層112A,112B,112Cの厚みは、10μmであり、材料が、ポリイミドであった。配線層113A,113B,113Cの厚みは、10μmであり、材料が、銅であった。カバー絶縁層114A,114B,114Cの厚みは、10μmであり、材料が、ポリイミドであった。
【0085】
支持シート2の厚みTは、25μmであった。支持シート2は、PETフィルムであった。開口部21は、厚み方向に見たときに、円形状を有していた。支持シート2における複数の開口部21の総開口率は、13%であった。
【0086】
図1Aおよび図2Aに示すように、集合体シート1と、支持シート2とを、厚み方向に重ねて、積層シート10を作製する。開口部21が、厚み方向に見たときに、ジョイント13を含むように、集合体シート1と、支持シート2とを重ねた。これにより、積層シート10を作製した。
【0087】
集合体シート1が第1型3に向き、支持シート2が第2型4に向くように、積層シート10を第1型3と第2型4との間に配置した。続いて、同時に、ストリッパープレート5を、第1平板31と、積層シート10との間に配置した。
【0088】
図1Bに示すように、続いて、第1型3および第2型4によって、積層シート10およびストリッパープレート5を厚み方向に挟み込んだ。
【0089】
[第2工程]
図1Cおよび図2Bに示すように、パンチ32を穴42に挿入して、ジョイント13を切断して、複数の配線回路基板11を支持部12から分離した。
【0090】
[第3工程]
図1Dに示すように、支持部12から分離された複数の配線回路基板11を備える集合体シート1を、支持シート2で支持しながら、搬送した。
【0091】
実施例2-実施例10
実施例1と同様にして、第1工程-第3工程を実施した。但し、第1工程で用意される支持シート2の厚みT、開口部の直径、および、総開口率を表1に記載の通りに変更した。
【0092】
[評価]
変形の評価
部分16における厚み方向の変形量を測定した。変形量によって、部分16の変形を以下の通り、評価した。その結果を表1に記載する。
【0093】
◎:変形量が30μm未満であった。
○:変形量が30μm以上、60μm未満であった。
△:変形量が60μm以上であった。
【表1】
【符号の説明】
【0094】
1 集合体シート
2 支持シート
3 第1型
4 第2型
11,11A,11B 配線回路基板
12 支持部
13 ジョイント
21,22 開口部
32 パンチ
42 穴
111A,111B,111C 金属支持層
112A,112B,112C 絶縁層
113A,113B,113C 配線層
図1
図2
図3
図4