(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176744
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電動アシスト車のための制御装置及び電動アシスト車
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20231206BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089183
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103528
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 一男
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼岡 太一
(72)【発明者】
【氏名】保坂 康夫
(72)【発明者】
【氏名】川東 照明
(72)【発明者】
【氏名】菊地 杜斗
(72)【発明者】
【氏名】植原 彪之介
(57)【要約】
【課題】電動アシスト車のための新たな省エネルギー技術を提供する。
【解決手段】制御装置は、(A)起動毎に起動種別を特定し、特定された起動種別に基づき、第1の節電状態に移行するための第1の条件を設定する設定部と、(B)第1の条件が成立するか否かを判定して、第1の条件が成立する場合には自動的に第1の省電力状態に移行する制御部とを有する。また、制御装置は、(C)所定期間内における電動アシスト車の停車頻度、又は自動的に省電力状態に移行するための所定の状態が継続する時間の統計量に基づき、自動的に節電状態に移行するための第1の条件を設定する設定部と、(D)第1の条件が成立するか否かを判定して、第1の条件が成立する場合には自動的に省電力状態に移行する制御部とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動毎に起動種別を特定し、特定された起動種別に基づき、第1の省電力状態に移行するための第1の条件を設定する設定部と、
前記第1の条件が成立するか否かを判定して、前記第1の条件が成立する場合には自動的に第1の省電力状態に移行する制御部と、
を有する制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、
今回の起動種別に予め対応付けられている、前記第1の省電力状態に移行するための第1の条件を設定する
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、
前記今回の起動種別に予め対応付けられている、前記第1の省電力状態より電力を多く消費する第2の省電力状態に移行するための第2の条件を設定し、
前記制御部は、
前記第2の条件が成立するか否かを判定し、前記第2の条件が成立する場合には前記第2の省電力状態に移行する
請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記設定部は、
電動アシスト車に装備されているライトの点灯の有無又は前記電動アシスト車周辺の照度が一定以上か否かに応じて、異なる第1の条件を設定する
請求項2記載の制御装置。
【請求項5】
前記設定部は、
電動アシスト車に装備されているバッテリの状態又は前記電動アシスト車周辺の温度が所定温度以下であるか否かに応じて、異なる第1の条件を設定する
請求項2記載の制御装置。
【請求項6】
前記設定部は、
電動アシスト車に装備されているスタンドが立てられているか否かに応じて、異なる第1の条件を設定する
請求項2記載の制御装置。
【請求項7】
前記起動種別は、起動前に走行を開始したことを検出した場合に自動的に起動する第1の起動種別を含み、
前記第1の起動種別を特定した場合に設定される第1の条件に含まれる閾値であって自動的に前記第1の省電力状態に移行するための所定の状態が継続する時間の閾値が、前記第1の起動種別以外の起動種別を特定した場合に設定される第1の条件に含まれる閾値であって前記所定の状態が継続する時間の閾値より小さい
請求項2記載の制御装置。
【請求項8】
前記起動種別は、起動前に走行を開始したことを検出した場合に自動的に起動する第1の起動種別を含み、
前記第1の起動種別を特定した場合に設定される第2の条件に含まれる閾値であって自動的に前記第2の省電力状態に移行するための所定の状態が継続する時間の閾値が、前記第1の起動種別以外の起動種別を特定した場合に設定される第2の条件に含まれる閾値であって前記所定の状態が継続する時間の閾値より小さい
請求項3記載の制御装置。
【請求項9】
前記設定部が、
起動種別毎の起動回数に基づく指標値に応じて、前記第1の省電力状態に移行するための第1の条件を設定する
請求項1記載の制御装置。
【請求項10】
前記設定部は、
前記指標値に応じて、第2の省電力状態に移行するための第2の条件を設定し、
前記制御部は、
前記第2の条件が成立するか否かを判定し、前記第2の条件が成立する場合には前記第2の省電力状態に移行する
請求項9記載の制御装置。
【請求項11】
所定期間内における電動アシスト車の停車頻度、又は自動的に省電力状態に移行するための所定の状態が継続する時間の統計量に基づき、自動的に前記省電力状態に移行するための第1の条件を設定する設定部と、
前記第1の条件が成立するか否かを判定して、前記第1の条件が成立する場合には自動的に前記省電力状態に移行する制御部と、
を有する制御装置。
【請求項12】
前記停車頻度が閾値以上である場合に設定される第1の条件に含まれる閾値であって自動的に前記省電力状態に移行するための所定の状態が継続する時間の閾値が、前記停車頻度が閾値未満である場合に設定される第1の条件に含まれる閾値であって前記所定の状態が継続する時間の閾値より大きい
請求項11記載の制御装置。
【請求項13】
前記設定部が、
前記統計量に基づき、自動的に前記省電力状態に移行するための状態が継続する時間の閾値を算出し、
前記第1の条件として、前記閾値を設定する
請求項11記載の制御装置。
【請求項14】
請求項1又は11記載の制御装置を有する電動アシスト車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト車の省電力技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、電源スイッチによる動作開始指示がなされる前に、例えば走行によりモータの逆起電力が所定レベル以上となると、停止状態にある制御部を起動させる電動アシスト車が開示されている。しかしながら、逆に動作状態にある制御部を停止状態に自動的に遷移させることについては、特に触れられておらず、省電力については考慮されていない。
【0003】
一方、例えば特許文献2には、モータ電流検出手段により得られたモータ電流値が一定値以下であることを判別してスタートするタイマと、タイマの積算値が一定以上になると回路を省エネルギーモードに切り替える省エネ判別手段とを備える電気自転車が開示されている。このような技術では、タイマの積算値に対する閾値の設定が適切ではない場合には、無駄に起動状態が長くなってしまって、バッテリの消耗に繋がる。
【0004】
また、例えば特許文献3には、車速信号および踏力信号が共に一定以下であることを判別してオンとなるタイマスタート信号を出力する外部信号判別手段と、タイマスタート信号のオンに基づきスタートしオフに基づきリセットするタイマと、タイマの積算値が一定以上になると回路の省エネルギーモードに切換える省エネ判別手段とを有する電動モータ付き自転車が開示されている。このような技術でも、タイマの積算値に対する閾値の設定が適切ではない場合には、無駄に起動状態が長くなって、バッテリの消耗に繋がる。
【0005】
このように、ある状態が継続している時間をタイマで計測することを前提とする技術は存在するが、タイマの値に対する閾値を適切に設定しないと、省エネルギーには繋がらない。また、特許文献1では、電源スイッチなしでも自動的に制御部を起動させることができるが、特許文献2及び3では、電源スイッチなしという状況は想定されておらず、このような状況の違いについては何ら考察されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-58577号公報
【特許文献2】特開2000-16372号公報
【特許文献3】特開平6-255563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、一側面によれば、電動アシスト車のための新たな省エネルギー技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る制御装置は、(A)起動毎に起動種別を特定し、特定された起動種別に基づき、第1の節電状態に移行するための第1の条件を設定する設定部と、(B)第1の条件が成立するか否かを判定して、第1の条件が成立する場合には自動的にダ第1の省電力状態に移行する制御部とを有する。
【0009】
本発明の第2の態様に係る制御装置は、(A)所定期間内における電動アシスト車の停車頻度、又は自動的に省電力状態に移行するための所定の状態が継続する時間の統計量に基づき、自動的に節電状態に移行するための第1の条件を設定する設定部と、(B)第1の条件が成立するか否かを判定して、第1の条件が成立する場合には自動的に省電力状態に移行する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
一側面によれば、電動アシスト車の省エネルギーがさらに図られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態における電動アシスト自転車の外観を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、モータ駆動制御装置及びバッテリパックの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1乃至第5の実施の形態に係る制御部の機能構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、状態制御部の処理内容を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態における設定部の処理フローを示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施の形態における設定部の処理フローを示す図である。
【
図7】
図7は、第2の実施の形態における設定部の処理フローを示す図である。
【
図8】
図8は、第3の実施の形態における設定部の処理フローを示す図である。
【
図9】
図9は、第4の実施の形態における設定部の処理フローを示す図である。
【
図10】
図10は、第5の実施の形態における設定部の処理フローを示す図である。
【
図11】
図11は、第6及び第7の実施の形態に係る制御部の機能構成例を示す図である。
【
図12】
図12は、第6の実施の形態における設定部の処理フローを示す図である。
【
図13】
図13は、第6の実施の形態における設定部の処理フローを示す図である。
【
図14】
図14は、第6の実施の形態の処理の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第7の実施の形態における設定部の処理フローを示す図である。
【
図16】
図16は、第7の実施の形態の処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車の例をもって説明する。しかしながら、本発明の実施の形態は、電動アシスト自転車だけに適用対象を限定するものではなく、人力に応じて移動する移動体(例えば、台車、車いす、昇降機など)の移動を補助するモータなどに対するモータ制御装置等についても適用可能である。
【0013】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態における電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車の一例を示す外観図である。この電動アシスト自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、バッテリパック101と、モータ制御装置102と、トルクセンサ103と、クランク回転センサ104と、モータ105と、操作パネル106と、ブレーキセンサ107とを有する。
【0014】
また、電動アシスト自転車1は、前輪、後輪、前照灯、フリーホイール、変速機、スタンド、盗難防止用の鍵等も有している。
【0015】
バッテリパック101は、例えばリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであってもよい。そして、バッテリパック101は、モータ制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。
【0016】
トルクセンサ103は、クランク軸周辺に設けられており、乗員によるクランクの踏力(即ち入力トルク)を検出し、この検出結果をモータ制御装置102に出力する。また、クランク回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸周辺に設けられており、クランクの回転に応じた信号をモータ制御装置102に出力する。
【0017】
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ制御装置102に出力する。
【0018】
モータ制御装置102は、モータ105の回転センサ、トルクセンサ103及びクランク回転センサ104等からの信号に基づき所定の演算を行って、モータ105の駆動を制御し、モータ105による回生の制御も行う。
【0019】
操作パネル106は、例えばアシストの有無に関する指示入力(すなわち、電源スイッチのオン及びオフ)、アシスト有りの場合には希望アシスト比等の入力を乗員から受け付けて、当該指示入力等をモータ制御装置102に出力する。また、操作パネル106は、モータ制御装置102によって演算された結果である走行距離、走行時間、消費カロリー、回生電力量等のデータを表示する機能を有する場合もある。また、操作パネル106は、LED(Light Emitting Diode)などによる表示部を有している場合もある。これによって、例えばバッテリパック101の充電レベルや、オンオフの状態、希望アシスト比に対応するモードなどを運転者に提示する。
【0020】
ブレーキセンサ107は、乗員のブレーキ操作を検出して、ブレーキ操作に関する信号(例えば、ブレーキの有無を表す信号)をモータ制御装置102に出力する。具体的には、磁石とリードスイッチを用いたセンサである。
【0021】
図1には示していないが、電動アシスト自転車1には、前照灯を点灯させるか否かを判定するなどのための照度センサ、スタンドが立っているか否かを検出するためのセンサ、盗難防止用の鍵を閉めてあるか否かを検出するためのセンサを有する場合もある。また、バッテリパック101には、バッテリ残量を表示させるなどのためのボタンが設けられている場合もある。さらにモータ制御装置102は、外部の端末などと通信を行う無線通信部を備えている場合もある。さらに、モータ105の回転ではなく、車輪の回転を検出するためのセンサを設けるようにしても良い。
【0022】
図2Aに、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置102及びバッテリパック101の構成例を示す。
図2Aでは、バッテリパック101とモータ駆動制御装置102とが接続された状態を示しており、モータ駆動制御装置102には、当該モータ駆動制御装置102によって点灯及び消灯などが制御される前照灯108と、トルクセンサ103と操作パネル106とブレーキセンサ107とモータ105等が接続されている。
【0023】
本実施の形態に係るバッテリパック101は、BMS(Battery Management System)と呼ばれるバッテリ管理システム1010と、電池セル1015とを有している。バッテリ管理システム1010は、センサ1011と、制御部1012とを有する。
【0024】
センサ1011は、電池セル1015や図示しないスイッチの温度、電池セル1015全体の電圧や当該電池セル1015に含まれる各セルの電圧など、バッテリパック101の内部状態を観測するためのセンサである。制御部1012は、例えば所定のプログラムを実行するマイクロプロセッサにより実現され、バッテリの状態監視機能、充放電の制御機能、モータ駆動制御装置102との通信機能などを有する。
【0025】
バッテリパック101は、電力供給及び充電用の接続部aと、通信用の接続部bと、接地用の接続部cとで、モータ駆動制御装置102と接続されている。なお、その他、バッテリパック101の状態出力用の接続部が設けられる場合もある。また、通信用の接続部bは、複数設けられる場合もある。
【0026】
また、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置102は、FET(Field Effect Transistor)S11乃至S16を含むブリッジ回路と、FET_S17と、モータ駆動制御部1023と、ダイオードD1乃至D3と、キャパシタC1及びC2と、スイッチS1乃至S3と、FET_SW1と、DC/DCコンバータ1021と、制御システム1022と、起動判断回路1024とを有する。なお、FETもスイッチの一種である。
【0027】
モータ駆動制御部1023は、制御システム1022からの指示に応じて、FET_S11乃至S17のスイッチングを制御する。例えば、モータ105を力行駆動又は回生駆動する場合には、FET_S17をオンにして、所定のパターンでFET_S11乃至S16をオン又はオフさせる。なお、モータ駆動制御部1023は、DC/DCコンバータ1021からの電力供給を受ける。
【0028】
DC/DCコンバータ1021は、バッテリパック101の出力電圧を、操作パネル106、前照灯108及び制御システム1022用の電圧に変換して、操作パネル106、前照灯108及び制御システム1022等に出力する。そのため、DC/DCコンバータ1021は、電力供給及び充電用の接続部aと、FET_SW1を介して接続されている。なお、FET_SW1のドレインは、DC/DCコンバータ1021に接続されており、FET_SW1のソースは、電力供給及び充電用の接続部aと接続されており、FET_SW1のゲートは、スイッチS1乃至S3の一端に接続されている。また、接続部aに接続されるラインと接続部cに接続されるラインとの間には、キャパシタC2が接続されている。
【0029】
スイッチS1乃至S3は、並列に接続されており、いずれかがオンになると、FET_SW1がオンになり、DC/DCコンバータ1021に対して、バッテリパック101からの電力が供給される。典型的には、運転者が、モータ駆動制御装置102を動作させるために、操作パネル106における電源スイッチを押すと、スイッチS1をオンにするため、バッテリパック101からの電力が、DC/DCコンバータ1021に供給され、さらに制御システム1022に対して電力供給されるようになる。これにて、制御システム1022は起動してスイッチS2をオンにする。スイッチS1は、電源スイッチが押されている間だけオンになり、その間で制御システム1022は起動する。起動中は、制御システム1022がスイッチS2をオンにし続ける。
【0030】
本実施の形態では、このような構成に加えて、制御システム1022の起動を補助する構成要素として、スイッチS3と、補助部1028とを有する。補助部1028は、起動判断回路1024と、キャパシタC1と、ダイオードD1乃至D3とを有する。
図2Aでは、ダイオードD1乃至D3を設ける例を示しているが、いずれか1つ又は2つであっても良い。ダイオードの数が多いほど、出力される電圧は安定し易くなる。
【0031】
ダイオードD1のアノードは、FET_S11のソースとFET_S12のドレインとの接続部に接続されており、ダイオードD2のアノードは、FET_S13のソースとFET_S14のドレインとの接続部に接続されており、ダイオードD3のアノードは、FET_S15のソースとFET_S16のドレインとの接続部に接続されている。ダイオードD1乃至D3のカソードは、キャパシタC1の一端と起動判断回路1024の入力部とに接続されている。キャパシタC1の他端は接地用の接続部cに接続されている。これによって、電源スイッチがオンになっておらず、FET_S11乃至S16で力行駆動又は回生駆動を行っていない状態で、モータ105が回転することで生ずる逆起電力による電圧が整流され、整流された電圧が起動判断回路1024に入力される。
【0032】
モータ105の回転数に比例した逆起電力が発生するので、ある一定以上の回転数になれば、所定の電圧以上の電圧が発生するので、起動判断回路1024は、所定電圧以上になっているか否かを判断する。
【0033】
起動判断回路1024は、制御システム1022に接続されており、制御システム1022が起動していない状態において、整流された電圧が所定電圧以上になると、スイッチS3をオンにさせる。これによって、FET_SW1がオンになるので、通常であればバッテリパック101からの電力供給がDC/DCコンバータ1021に対してなされて、制御システム1022が起動される。制御システム1022は、起動すると、上で述べたように、スイッチS2をオンにする。そのため、制御システム1022は、起動判断回路1024に対して、スイッチS3をオフにするように指示する。そして、指示に応じて、起動判断回路1024は、スイッチS3をオフにする。
【0034】
図2Bに、起動判断回路1024の回路例を示す。起動判断回路1024は、コンパレータ2401と、電源Vrefと、NOT回路2402と、AND回路2403とを有する。コンパレータ2401の正極入力端子は、ダイオードD1乃至D3のカソードに接続されており、負極入力端子は、電源Vrefの正極に接続されている。電源Vrefの負極は接地されている。すなわち、コンパレータ2401は、モータ105の逆起電力による電圧が、Vref以上であるか否かを判定し、モータ105の逆起電力による電圧がVref以上であればハイを出力し、モータ105の逆起電力による電圧がVref未満であればローを出力する。NOT回路2402の入力は、制御システム1022に接続されている。制御システム1022は、起動中であればハイを出力し、停止中であればローを出力する。よって、NOT回路2402は、起動中であればローを出力し、停止中であればハイを出力する。AND回路2403の第1の入力は、NOT回路2402の出力に接続され、第2の入力は、コンパレータ2401の出力に接続される。すなわち、AND回路2403は、制御システム1022が停止中で且つモータ105の逆起電力による電圧がVref以上である場合に、ハイを出力してスイッチS3をオンにする。一方、AND回路2403は、制御システム1022が起動中の場合、又は、モータ105の逆起電力による電圧がVref未満である場合には、ローを出力して、スイッチS3をオフにする。なお、コンパレータ2401、NOT回路2402及びAND回路2403を、パッシブな回路要素で構成しても良いし、モータ105の逆起電力により動作するような回路構成を採用しても良いし、バッテリパック101以外のサブ電源を用意しておき、当該サブ電源から電力供給されるような回路構成を採用しても良い。場合によっては、バッテリパック101から電力供給を受けるような回路構成でも良い。
【0035】
制御システム1022は、DC/DCコンバータ1021からの電力供給を受けるようになっている。また、制御システム1022は、モータ駆動制御部1023と接続しており、モータ駆動制御部1023に所定のパターンでFET_S11乃至S16をオンオフさせたり、FET_S17のオンオフを指示する。さらに、制御システム1022は、トルクセンサ103、クランク回転センサ104、操作パネル106、ブレーキセンサ107、モータ105の回転センサなどに接続されており、さらにバッテリパック101のバッテリ管理システム1010と通信用の接続部bを介して通信を行い、バッテリパック101の状態、操作パネル106に対する操作及び各センサによって得られたデータに基づき、モータ駆動制御装置102全体の制御を行う。
【0036】
制御システム1022は、バッテリパック101におけるバッテリ管理システム1010の制御部1012と通信を行うための通信部221と、当該通信部221と連携して各種制御を行う制御部222とを有する。制御部222は、例えば所定のプログラムを実行するマイクロプロセッサ2221と、当該所定のプログラムを記録したり、処理途中のデータを格納するメモリ2222(RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを含む)とを有する。すなわち、マイクロプロセッサ2221が、所定のプログラムを実行することで、本実施の形態に係る制御機能が実現される。
【0037】
なお、制御システム1022に接続される各種センサには、前照灯を点灯させるか否かを判定するなどのための照度センサ、スタンドが立っているか否かを検出するためのセンサ、盗難防止用の鍵を閉めてあるか否かを検出するためのセンサを含まれる場合もある。また、制御システム1022は、外部の端末などと通信するための無線通信部を備えている場合もある。さらに、BMS1010は、バッテリパック101に設けられているボタンが押されると、バッテリ残量をLED(Light Emitting Diode)で表示させることもあり、本実施の形態では、このボタン又は他のボタンが押されたことを、接続部bを介して制御システム1022に通知する場合もある。
【0038】
また、制御システム1022は、照度センサからの出力に基づき照度が一定値以下である場合には、DC/DCコンバータ1021から、前照灯108へ電力供給を開始するように指示したり、操作パネル106から前照灯の点灯が指示されると、DC/DCコンバータ1021から、前照灯108へ電力供給を開始するように指示する。同様に、制御システム1022は、照度センサからの出力に基づき照度が一定値を超える場合には、DC/DCコンバータ1021から、前照灯108へ電力供給を停止するように指示したり、操作パネル106から前照灯の消灯が指示されると、DC/DCコンバータ1021から、前照灯108へ電力供給を停止するように指示する。
【0039】
次に、
図2Aに示した制御部222で実現される、本実施の形態に係る機能構成例を
図3に示す。
【0040】
図3に示すように、制御部222は、起動種別等に応じてタイマの閾値を設定する設定部3010と、予め定義されている無操作状態を検出するとタイマのカウントを開始してカウント値が閾値に達すると制御システム1022を節電状態や停止状態(電源オフ状態)に移行させる状態制御部3020とを有する。なお、節電状態及び停止状態が、共に省電力状態に含まれ、停止状態を第1の省電力状態、節電状態を第1の省電力状態より電力を多く消費する第2の省電力状態と記する場合もある。
【0041】
本実施の形態では、起動種別は、上で述べたようにモータ105の逆起電力が所定レベル以上になることでスイッチS3がオンになって制御システム1022等が起動される第1の起動種別と、例えば操作パネル106の電源スイッチがオンになることでスイッチS1がオンになって制御システム1022が起動される第2の起動種別とを含む。但し、起動種別については、他の方法によって起動する場合も含まれる場合もある。例えば、制御システム1022が無線通信部を有しており、当該無線通信部を介して外部の端末から電源をオンにするように指示された場合、盗難防止用の鍵を閉めてあるか否かを検出するためのセンサを有しており、当該センサから鍵が解錠されたことを通知されたことに応じて電源をオンにする場合、スタンドが立っているか否かを検出するためのセンサを有しており、当該センサからスタンドが倒されたことを通知されたことに応じて電源をオンにする場合、バッテリパック101にボタンが設けられており、当該バッテリパック101のボタンが押された場合なども含むようにしても良い。
【0042】
第1の起動種別については、運転者が電動アシスト自転車1を走行させることによって起動させる場合が典型例であるから、自走起動とも呼ぶ。第2の起動種別についても、操作パネル106の電源スイッチを押すことで起動するので通常起動と呼ぶ場合がある。但し、操作パネル106を用いずに(操作パネル106がない場合を含む)、上で述べた他の方法で起動する場合を第2の起動種別に含めるようにしても良い。
【0043】
なお、設定部3010は、予め定められたセンサからの入力にさらに応じて、タイマの閾値を設定するようにしても良い。この点については、後の実施の形態で例示する。
【0044】
状態制御部3020は、無操作状態を、例えば、操作パネル106からの入力、モータ105の回転センサからのモータ回転情報、クランク回転センサ104からのクランク回転情報、ブレーキセンサ107からのブレーキ入力、トルクセンサ103からの入力トルク情報などに基づき、判定する。具体的には、操作パネル106が操作されていないこと、モータ回転が閾値未満であること、クランク回転が閾値未満でること、ブレーキ入力がないこと、入力トルクが閾値未満であることなどを判定する。これらの全て項目を用いても良いし、いずれか1つの項目を用いても良いし、少なくとも2つの項目を組み合わせてもよい。さらに、例えばモータ回転情報から、車速を検出して、当該車速に基づき判定しても良い。
【0045】
また、制御システム1022等の状態には、通常状態、節電状態及び停止状態(電源オフ状態とも呼ぶ)が含まれる。通常状態は、バッテリパック101から各構成要素に電力供給がなされて、制御システム1022等が、モータ駆動制御部1023等に対して通常どおり制御を行っている状態である。節電状態は、停止状態になる前に、前照灯108を消灯させたり、操作パネル106の表示を消灯させたりすることで、電力消費を削減している状態である。停止状態は、バッテリパック101からの電力供給を最低限に抑えて電源オフとなる状態である。
【0046】
次に、
図4を用いて状態制御部3020の動作内容を説明する。電源オンされると、状態制御部3020は、内部のタイマをリセットする(ステップS1)。そして、状態制御部3020は、タイマによる時間計測開始の条件が成立したか否かを判断する(ステップS3)。上で述べたような無操作状態であることが、タイマによる時間計測開始の条件となる。タイマによる時間計測開始の条件が満たされない場合には、状態制御部3020は、タイマをリセットする(ステップS13)。そして、状態制御部3020は、自らの状態を通常状態と設定する(ステップS15)。そして、処理はステップS3に戻る。
【0047】
一方、タイマによる時間計測開始の条件が成立した場合には、状態制御部3020は、タイマのカウントアップを行う(ステップS5)。例えば、ステップS3を、制御周期毎に実行するので、ステップS5では、タイマのカウント値を制御周期分増加させる。そして、状態制御部3020は、タイマのカウント値が閾値TH1以上であるか否かを判断する(ステップS7)。閾値TH1は、節電状態に移行するための閾値である。まだ、タイマのカウント値が閾値TH1未満であれば、処理はステップS15に移行する。一方、タイマのカウント値が閾値TH1以上となれば、状態制御部3020は、自らの状態を節電状態と設定する(ステップS9)。
【0048】
さらに、状態制御部3020は、タイマのカウント値が閾値TH2以上であるか否かを判断する(ステップS11)。閾値TH2は、停止状態(電源オフ状態)に移行するための閾値である。タイマのカウント値が閾値TH2未満であれば、処理はステップS3に戻る。一方、タイマのカウント値が閾値TH2以上であれば、状態制御部3020は、自らの状態を停止状態(電源オフ状態)と設定し(ステップS12)、電源オフとなる。
【0049】
このような処理を行うことで、無操作状態が継続すると、節電状態に遷移した後、さらに無操作状態が継続すると、電源オフとなる。なお、状態制御部3020は、このような状態遷移のみを管理しており、閾値TH1及びTH2については、設定部3010が設定したとおりの値を用いて処理を行う。
【0050】
次に、
図5を用いて設定部3010の処理内容について説明する。設定部3010は、起動すると、制御システム1022の今回の起動種別が、第1の起動種別(自走起動)であるか否かを判断する(ステップS21)。起動種別が第1の起動種別(自走起動)である場合には、設定部3010は、今回の起動種別として、第1の起動種別(自走起動)を設定する(ステップS23)。そして、設定部3010は、第1の起動種別用に予め定められている閾値TH1及びTH2の値を、状態制御部3020に対して設定する(ステップS25)。そして処理を終了する。
【0051】
一方、今回の起動種別が、第1の起動種別(自走起動)ではない場合、設定部3010は、今回の起動種別として、第2の起動種別(通常起動)を設定する(ステップS27)。そして、設定部3010は、第2の起動種別用に予め定められている閾値TH1及びTH2の値を、状態制御部3020に対して設定する(ステップS29)。そして処理を終了する。
【0052】
本実施の形態では、例えば、第1の起動種別用の閾値TH1=30秒、TH2=60秒に対して、第2の起動種別用の閾値TH1=180秒、TH2=300秒とする。すなわち、第1の起動種別用の閾値の方が、第2の起動種別用の閾値よりも短い時間が設定される。これは、操作パネル106の電源スイッチを押さずに起動させるような運転者は、運転を止める場合にも電源スイッチを押さないで電動アシスト自転車1を放置する可能性が高く、タイマの閾値に大きな値を設定するのは、省電力の観点から好ましくないからである。また、電源スイッチを押すことを意識させないで済むので、このような運転者のユーザビリティが向上する。一方、電源スイッチを押して起動させるような運転者は、電源スイッチを押して電源オフさせる可能性が高く、このような運転者の意図に沿わずに早期に電源オフさせると、逆に運転者に違和感を感じさせることとなるので、無操作状態が継続して電源オフにするための一般的な閾値を設定するものとする。
【0053】
以上述べたような起動種別に応じた、タイマの閾値の設定を行うことで、運転者の傾向に沿った適切な省電力化が図られるようになる。なお、省電力化によりアシスト付きの走行可能距離が伸びるために、この点でも利便性が向上する。
【0054】
なお、操作パネル106を装備していない電動アシスト自転車1であってもよい。この場合、設定部3010は、操作パネル106の電源スイッチが押されて起動することがなく、ステップS21で必ず第1の起動種別(自走起動)であると判定されるようになる。このように操作パネル106を装備しなくても、自走起動できて且つ無操作状態が短い時間継続するだけで停止状態(電源オフ)となる。これによって、操作パネル106のコストや、操作パネル106が消費する電力の削減になる。
【0055】
[実施の形態2]
第1の実施の形態では、起動種別のみによってタイマの閾値を設定するような例を示したが、時間に応じて変化する他の要素を勘案すべき場合もある。本実施の形態に係る設定部3010は、
図6及び
図7に示すような処理を行う。
【0056】
まず、設定部3010は、起動すると、制御システム1022の今回の起動種別が、第1の起動種別(自走起動)であるか否かを判断する(ステップS31)。起動種別が第1の起動種別(自走起動)である場合には、設定部3010は、今回の起動種別として、第1の起動種別(自走起動)を設定する(ステップS33)。そして処理はステップS37に移行する。
【0057】
一方、今回の起動種別が、第1の起動種別(自走起動)ではない場合、設定部3010は、今回の起動種別として、第2の起動種別(通常起動)を設定する(ステップS35)。そして処理はステップS37に移行する。
【0058】
その後、設定部3010は、前照灯108が不点灯であるか、又は照度が一定以上であるか否かを判断する(ステップS37)。例えば、前照灯108に対して電力供給されているか否か、又は、照度センサにより検出された照度が一定以上であるか否かで判断する。本実施の形態では、夕方や夜間で、前照灯108が点灯していたり、照度が一定未満(例えば、1000Lux未満)である場合には、早期の電源オフによって前照灯108が消灯すると、意図せず暗くなるため、運転者が不便に感じる可能性があるため、ステップS37の判断を行うものである。前照灯108が不点灯である場合又は照度が一定以上である場合には、処理は端子Aを介して
図7の処理に移行し、前照灯108が点灯中である場合又は照度が一定未満である場合には、処理は端子Bを介して
図7の処理に移行する。
【0059】
端子Bを介して
図7に移行すると、設定部3010は、第1の起動種別が設定されているか否かを判断する(ステップS45)。第1の起動種別が設定されている場合には、設定部3010は、第1の起動種別用に予め設定されている第1の閾値を設定する(ステップS47)。そして処理はステップS51に移行する。一方、第2の起動種別が設定されている場合には、設定部3010は、第2の起動種別用に予め設定されている第1の閾値を設定する(ステップS49)。そして処理はステップS51に移行する。
【0060】
前照灯108が点灯中である場合又は照度が一定未満である場合には、前照灯108の点灯を長めに継続することが好ましい。但し、第1の起動種別が設定されている場合には、第2の起動種別が設定されている場合に比して短くて良い。従って、第1の起動種別用の第1の閾値に含まれる閾値TH1については例えば180秒、閾値TH2については例えば300秒、第2の起動種別用の第1の閾値に含まれる閾値TH1については例えば300秒、閾値TH2については例えば420秒にする。
【0061】
一方、端子Aを介して
図7に移行すると、設定部3010は、第1の起動種別が設定されているか否かを判断する(ステップS39)。第1の起動種別が設定されている場合には、設定部3010は、第1の起動種別用に予め設定されている第2の閾値を設定する(ステップS41)。そして処理はステップS51に移行する。一方、第2の起動種別が設定されている場合には、設定部3010は、第2の起動種別用に予め設定されている第2の閾値を設定する(ステップS43)。そして処理はステップS51に移行する。
【0062】
前照灯108が点灯していない場合又は照度が一定以上である場合には、前照灯108の点灯は短くしても問題がない場合が多い。また、第1の起動種別が設定されている場合には、第2の起動種別が設定されている場合に比してさらに短くて良い。従って、第1の起動種別用の第2の閾値に含まれる閾値TH1については例えば20秒、閾値TH2については例えば30秒、第2の起動種別用の第2の閾値に含まれる閾値TH1については例えば40秒、閾値TH2については例えば60秒にする。
【0063】
そして、設定部3010は、停止状態(電源オフ)になったか否かを判断し(ステップS51)、停止状態であれば処理を終了し、停止状態でなければ処理は端子Cを介して
図6のステップS37に戻る。ステップS37乃至S51については、制御周期毎に実行することで、状況変化が生じれば、その都度閾値の設定をし直すことになる。
【0064】
このようにすれば、周辺環境に応じて、タイマの閾値を設定できるようになる。
【0065】
[実施の形態3]
起動種別に加えて、バッテリパック101に関連して、タイマの閾値を設定することが好ましい場合もある。本実施の形態に係る設定部3010は、
図8及び
図7に示すような処理を行う。なお、
図7は上で述べたものと同じなので、詳細な説明については省略する。また、
図8についても、
図6と同じ部分については説明を省略する。
【0066】
図6と同じステップS31乃至S35を実行した後、設定部3010は、例えばバッテリパック101から受信した情報に基づき、バッテリパック101が所定の状態であるか、又は温度が所定の温度以下であるか否かを判断する(ステップS61)。例えば、電池セル1015のバッテリ残量(SOC:State Of Charge)が20%以下である場合、電池セル1015が劣化している場合(例えば、SOH(State Of Health)が90%以下である場合)、温度(バッテリパック101内部の温度であっても、モータ駆動制御装置102内部の温度などであっても良い)が10°以下である場合には、電池の持ちが悪くなると予測される。そのため、ステップS61の条件を満たす場合には、タイマの閾値を短くする端子A以降の処理を実行する。一方、ステップS61の条件を満たさない場合には、電池の持ちは通常と同様であると予測されるので、タイマの閾値を長めにする端子B以降の処理を実行する。
【0067】
このようにすれば、予測される電池の持ちに応じて、タイマの閾値を適切に設定できるようになる。
【0068】
[実施の形態4]
起動種別に加えて、スタンドの状態にて、タイマの閾値を設定することが好ましい場合もある。スタンドの状態は、例えばスタンドが立っているか否かを検出するためのセンサを用いて特定しても良いし、他の方法で特定しても良い。他の方法としては、速度センサや加速度センサの情報からスタンドが立ったことを検出する方法、具体的には、スタンドをあげたときは前輪が少し後ろに回転することで負の速度が発生し、スタンドが完全に立ったときに車体が揺れることで加速度が発生するので、その特徴から検出する方法、もしくは、スタンドを立てると車体傾斜が数度変化するため、移動距離が概0で加速度センサの出力から演算した車体傾斜がスタンドを立てた分だけ変化したことを検出するといった方法がある。
【0069】
本実施の形態に係る設定部3010は、
図9及び
図7に示すような処理を行う。なお、
図7は上で述べたものと同じなので、詳細な説明については省略する。また、
図8についても、
図6と同じ部分については説明を省略する。
【0070】
図6と同じステップS31乃至S35を実行した後、設定部3010は、例えばスタンドが立っているか否かを検出するためのセンサからの出力に基づき、スタンドが立てられているか否かを判断する(ステップS71)。ステップS71の条件を満たしている場合、すなわちスタンドが立てられている場合には、直ぐに走行を再開する可能性は低いので、タイマの閾値を短くする端子A以降の処理を実行する。一方、ステップS71の条件を満たさない場合には、走行を継続又は再開する可能性が高いので、タイマの閾値を長めにする端子B以降の処理を実行する。
【0071】
このようにすれば、走行の再開又は継続の可能性に応じて、タイマの閾値を適切に設定できるようになる。
【0072】
[実施の形態5]
上で述べた実施の形態では、基本的に、起動毎の起動種別に応じた、タイマの閾値を設定したが、起動種別は運転者が同じ場合には同じ種別となることが多い。しかしながら、いつも第1の起動種別で起動させている運転者が、たまたま異なる起動種別で電動アシスト自転車1を起動させた場合に、タイマの閾値が異なると、運転者に違和感を感じさせることになる。このような事態を回避する場合には、例えば、設定部3010は、起動毎に、
図10に示すような処理を実行する。
【0073】
すなわち、設定部3010は、制御システム1022の今回の起動種別が、第1の起動種別(自走起動)であるか否かを判断する(ステップS81)。起動種別が第1の起動種別(自走起動)である場合には、設定部3010は、第1期同種別(自走起動)の起動回数を1インクリメントする(ステップS83)。そして処理はステップS87に移行する。
【0074】
一方、今回の起動種別が、第1の起動種別(自走起動)ではない場合、設定部3010は、第2の起動種別(通常起動)の起動回数を1インクリメントする(ステップS85)。そして、処理はステップS87に移行する。
【0075】
その後、設定部3010は、起動種別毎の起動回数に基づく指標値を算出し、当該指標値が閾値TH3を超えているか否かを判断する(ステップS87)。
【0076】
本実施の形態では、第1の起動種別が主たる起動種別か否かを判定するために、以下のような指標値を算出する。
指標値=第1の起動種別の起動回数/第2の起動種別の起動回数
なお、以下のような指標値を採用しても良い。
指標値=第1の起動種別の起動回数/(第1の起動種別の起動回数+第2の起動種別の起動回数)
【0077】
前者の指標値の場合には、例えば閾値TH3=2とする。一方、後者の指標値の場合、例えば閾値TH3=0.67とする。
【0078】
指標値>閾値TH3であれば、設定部3010は、第1の起動種別に対応付けられている閾値(TH1及びTH2)を、状態制御部3020に対して設定する(ステップS89)。例えば、第1の実施の形態のように、閾値TH1=30秒、TH2=60秒といった設定を行う。
【0079】
一方、指標値≦閾値TH3であれば、設定部3010は、第2の起動種別に対応付けられている閾値(TH1及びTH2)を、状態制御部3020に対して設定する(ステップS91)。例えば、第1の実施の形態のように、閾値TH1=180秒、TH2=300秒といった設定を行う。そして、処理を終了する。
【0080】
このような処理を行うことで、たまたま異なる起動種別を採用した場合においても、主な起動種別に対応する、タイマの閾値が設定されて、運転者が違和感を感じてしまうような事態を回避できるようになる。
【0081】
[実施の形態6]
上で述べた実施の形態では、起動種別に基づき、タイマの閾値を設定するものであったが、走行状態に応じてタイマの閾値を適切に設定するようにしても良い。
【0082】
本実施の形態では、走行中において、予め定義されている無操作状態の継続時間を計測して、当該継続時間の統計量に基づき、タイマの閾値を設定する。これによって、例えば、赤信号などで停車している場合と駐輪している場合とを切り分けて、駐輪とみなせる状態を検出して、自動的に電源オフとするものである。
【0083】
次に、
図2Aに示した制御部222で実現される、本実施の形態に係る機能構成例を
図11に示す。
【0084】
図11に示すように、制御部222は、予め定義されている無操作状態を検出して当該無操作状態の継続時間を計測し、当該継続時間の統計量に基づき、タイマの閾値を設定する設定部3010bと、予め定義されている無操作状態を検出するとタイマのカウントを開始してカウント値が閾値に達すると制御システム1022を節電状態や停止状態に移行させる状態制御部3020とを有する。状態制御部3020は、第1の実施の形態と同様である。また、設定部3010bにおける無操作状態の検出方法も、第1の実施の形態における方法と同様である。
【0085】
次に、本実施の形態に係る設定部3010bの処理について、
図12乃至
図14を用いて説明する。
【0086】
例えば、制御システム1022が起動すると、設定部3010bは、以下で用いるタイマをリセットする(
図12:ステップS101)。そして、設定部3010bは、タイマによる時間計測開始の条件が成立したか否かを判断する(ステップS103)。ステップS3と同様に、上で述べたような無操作状態であることが、タイマによる時間計測開始の条件となる。
【0087】
時間計測開始の条件が満たされた場合には、設定部3010bは、制御周期分、タイマをカウントアップさせ(ステップS105)、時間計測開始の条件を満たしたか否かを表すフラグをオンにセットする(ステップS107)。そして、処理は端子Cを介して
図13の処理に移行する。一方、タイマによる時間計測開始の条件が満たされていない場合には、設定部3010bは、フラグがオフであるか否かを判断する(ステップS109)。フラグがオフのままであれば、処理はステップS113に移行する。一方、フラグがオンになっていれば、無操作状態ではなく操作を開始したことになるので、設定部3010bは、タイマのカウント値を、例えば不揮発性メモリであるメモリ2222などに記録する(ステップS111)。なお、ノイズ除去などの理由から、カウント値が所定値(例えば3秒)未満であれば、記録しないようにしても良い。
【0088】
さらに、設定部3010bは、タイマをリセットし(ステップS113)、フラグをオフにセットする(ステップS115)。そして、処理は端子Cを介して
図13の処理に移行する。
【0089】
図12の処理において、タイマのカウント値を記録する場面の一例を
図14を用いて説明しておく。
図14(a)は、車速の変化を表しており、(b)は、ブレーキ、ペダル、操作パネルなどへの操作の有無の時間変化を表しており、(c)は、上で述べた時間計測開始の条件が成立しているか否かの時間変化を表しており、(d)は、タイマのカウント状態を示している。この例では、時刻t1までに操作無しの状態もあるが、車速が0を超えているので、時間計測開始の条件が満たされていない。時刻t1になると、車速も0となり停車しており、操作が行われないようになるので、タイマのカウントが開始される。しかし、時刻t2になると、操作が開始され、車速も0を超えているので、時間計測開始の条件が満たされなくなり、タイマのカウント値は0にリセットされる。時刻t3までは、停車していても操作無しではなかったりして、時間計測開始の条件は満たされない。時刻t3になると、車速も0となり操作が行われないようになるので、タイマがカウントを開始する。但し、時刻t4になると、停車中であるが、運転者による操作が行われるようになるので、タイマのカウントは停止され、カウント値も0にリセットされる。このような繰り返しで、タイマのカウント値は記録されていくようになる。
【0090】
図13の処理の説明に移行して、設定部3010bは、タイマの閾値を設定できるか否かを判断する(ステップS117)。例えば、電動アシスト自転車1を購入して使用し始めて間もない場合には、ステップS111でカウント値を記録する回数が少ない場合もあるので、例えば所定回数(例えば20回)以上カウント値の記録がない場合には、タイマの閾値を設定できないと判断して、処理はステップS129に移行する。なお、実際に電源スイッチでオフになった場合や、クランク回転のパターン、車速変化パターンなどから、運転者が変更になったということを検出した場合には、以前のカウント値の記録をクリアして、クリアしてから記録回数が所定回数以上となったか否かを判断しても良い。
【0091】
一方、タイマの閾値を設定できる場合には、設定部3010bは、記録したカウント値についての統計量を算出する(ステップS119)。本実施の形態では、例えば平均値及び標準偏差を算出する。なお、メモリ2222の容量にも制限があり、運転者の変更などがあることも考慮すれば、カウント値については直近所定回数分(例えば30回分)を用いて統計量を算出するようにしても良い。なお、カウント値の度数分布を生成するようにしても良い。
【0092】
そして、設定部3010bは、統計量に基づき、閾値を算出する(ステップS121)。例えば平均値+2×標準偏差を閾値として算出する。また、例えばカウント値の度数分布から、所定パーセンタイルに該当する値を見つけ出すようにしても良い。
【0093】
そして、設定部3010bは、算出された閾値が予め定められた上限値以下であるか否かを判断する(ステップS123)。算出された閾値が予め定められた上限値以下であれば、設定部3010bは、状態制御部3020に対して、算出された閾値を、状態制御部3020におけるタイマの閾値(閾値TH2)として設定する(ステップS127)。そして処理はステップS129に移行する。
【0094】
一方、算出された閾値が予め定められた上限値を超えている場合には、設定部3010bは、状態制御部3020に対して、上限値を、状態制御部3020におけるタイマの閾値(閾値TH2)として設定する(ステップS125)。
【0095】
そして、設定部3010bは、電源オフなど処理終了であるか否かを判断し(ステップS129)、処理終了でなければ処理は端子Dを介して
図12のステップS103に戻る。一方、電源オフなどであれば、処理を終了する。なお、ステップS103乃至S129を、制御周期毎に実行する。
【0096】
このような処理を行うことで、運転者の使用実態に応じて駐輪とみなせるような状態を適切に検出できるようになり、省電力化に繋げることができるようになる。
【0097】
なお、ステップS117のために、運転者の変更を検出できるような仕組みを持たせるようにしても良い。例えば、体重変化が大きい場合には、運転者の変更と判断するようにしても良い。なお、起動種別が変化したことを運転者の変更と判断するようにしても良い。
【0098】
また、制御システム1022が、無線通信部を有しており、例えば外部の端末と通信できるような場合には、タイマのカウント値を、外部の端末で保管するようにしても良い。特に、外部の端末の種別により運転者が変更されたことを検出したり、外部の端末で統計量及び閾値を算出して、外部の端末から、状態制御部3020に閾値を設定するようにしても良い。
【0099】
上で述べた例では、閾値TH2のみを設定する例を示したが、閾値TH1についても設定するようにしても良い。その場合、閾値TH2から閾値TH1を算出するようにしても良い。すなわち閾値TH1については、閾値TH2の所定割合にしても良いし、閾値TH2から所定時間引いたものであっても良いし、他の算式にて閾値TH1を算出するようにしても良い。
【0100】
[実施の形態7]
走行状態に応じてタイマの閾値を設定する他の方法も存在している。たとえば、停車頻度が高い街中で運転する場合には、無操作状態の継続時間が短くして自動的に電源オフしてしまうと、赤信号で停車した場合でも、直ぐに電源オフになってしまうため、運転者は煩わしくなる。一方、停車頻度が低い郊外で運転する場合には、停車は休憩などの場合が多いので、無操作状態の継続時間が長くないと自動的に電源オフにならないとすると、省電力の観点から好ましくない。このようなことから、
図15に示すような処理を行うことで、タイマの閾値を適切に設定する。
【0101】
まず、設定部3010bは、制御システム1022が起動すると、停車タイミングを記録するための第2タイマで計測を開始する(ステップS131)。そして、設定部3010bは、前回車速が閾値TH31以上であり、且つ現在車速が閾値TH31以下であるか否かを判断する(ステップS133)。現在車速は、例えばモータ回転の情報から算出するようにしても良いし、速度センサがあれば、当該速度センサの出力を用いても良い。閾値TH31は、電動アシスト自転車1を走行状態から停止状態に移行する場合に必ず通過する速度、例えば3km/h程度である。このように設定することで、車両停止に移行するタイミングを停止タイミングとすることができ、停止タイミングの誤検出を抑制できる。なお、更なる変形の例としては、現在車速が閾値TH31を通過した後、最初に速度0となったタイミングを停止タイミングとしても良い。こちらの方が停止タイミングとしてより正確であり、かつ誤判断のリスクは低下する。ステップS133の条件を満たしていない場合には、処理はステップS137に移行する。
【0102】
一方、ステップS133の条件を満たしている場合には、電動アシスト自転車1が停車したとして、設定部3010bは、第2タイマのカウント値を、停車タイミングとしてメモリ2222などに記録する(ステップS135)。
【0103】
そして、設定部3010bは、メモリ2222などに記録されている停車タイミング(第2タイマのカウント値)のうち、直近所定時間内に記録されているものを抽出して、当該停車タイミング(第2タイマのカウント値)の記録回数が閾値TH33回以上であるか否かを判断する(ステップS137)。例えば所定期間は15分であり、閾値TH33は4回である。
【0104】
ステップS137の条件を満たしている場合には、設定部3010bは、ステップS137の条件を満たした場合に設定する第1の値(例えば300秒)を、タイマの閾値(閾値TH2)として、状態制御部3020に対して設定する(ステップS139)。一方、ステップS137の条件を満たしていない場合には、設定部3010bは、ステップS137の条件を満たしていない場合に設定する第2の値(例えば180秒)を、タイマの閾値(閾値TH2)として、状態制御部3020に対して設定する(ステップS141)。
【0105】
そしてステップS139又はS141の後に、設定部3010bは、前回車速に対して、現在車速を設定する(ステップS143)。そして、設定部3010bは、電源オフなど処理終了であるか否かを判断し(ステップS145)、処理終了でなければ処理はステップS133に戻る。一方、電源オフなどであれば、処理を終了する。なお、ステップS133乃至S145を、制御周期毎に実行する。
【0106】
なお、閾値TH1の設定は、第6の実施の形態と同じように行っても良い。
【0107】
図16に示す例を用いて、本実施の形態におけるタイマの閾値設定について説明する。
図16(a)は、車速の時間変化を表しており、閾値TH32以下の車速になると停車と判定される。
図16(b)は、車速に基づき停車を検出したタイミングを表している。
図16(c)は、直近所定期間内における停車回数の時間変化を表しており、閾値TH33のレベルも示されている。さらに、
図16(d)は、タイマの閾値の時間変化を表す。
【0108】
この電動アシスト自転車1は、前半は停車の多い街中を走行している。なので、時刻t11には、停車回数が閾値TH33(=4)に達するので、タイマの閾値は、a(例えば180秒)からb(300秒>a)に変化する。その後も停車は検出され続けるが、直近所定期間内における停車回数なので、停車回数は増加したり減少したりする。その後、電動アシスト自転車1は停車が少ない走行に移行するので、徐々に停車回数が減少し、時刻t12には、停車回数は閾値TH13を下回ることになり、タイマの閾値は、bからaに変化させる。
【0109】
このようにすることで、停車の頻度に応じて、タイマに適切に閾値が設定されるようになる。
【0110】
なお、本実施の形態でも、起動してから一定時間(例えば10分)は、標準的な値をタイマの閾値として設定しておくようにしても良い。これは、停車回数は0からカウントされるので、タイマの閾値はaという低い値に設定されてしまうが、起動してから一定時間は、標準的な値にタイマが設定されれば、必ず当初はタイマの閾値が小さい値となるという事態を回避できるようになる。
【0111】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、目的に応じて、上で述べた各実施の形態における任意の技術的特徴を削除するようにしても良いし、他の実施の形態で述べた任意の技術的特徴を追加したり、異なる実施の形態における技術的特徴を組み合わせたりしても良い。
【0112】
さらに、上で述べた機能ブロック図は一例であって、1の機能ブロックを複数の機能ブロックに分けても良いし、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックに統合しても良い。処理フローについても、処理内容が変わらない限り、ステップの順番を入れ替えたり、複数のステップを並列に実行するようにしても良い。
【0113】
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0114】
本実施の形態の第1の態様に係る制御装置は、(A)起動毎に起動種別を特定し、特定された起動種別に基づき、第1の省電力状態(例えば停止状態)に移行するための第1の条件(例えばタイマの閾値)を設定する設定部と、(B)第1の条件が成立するか否かを判定して、第1の条件が成立する場合には自動的に第1の省電力状態に移行する制御部とを有する。
【0115】
例えば、起動種別によって好ましい第1の条件が異なったり、起動種別毎の起動回数に基づく指標値などに応じて好ましい第1の条件が異なったりするため、上記のような処理を行うことで、自動的に第1の省電力状態に移行するための第1の条件が適切に設定されるようになる。なお、起動種別については、電源スイッチを用いずに走行することで自動的に起動する種別と、電源スイッチを用いて起動させる種別と、運転者による他の操作などによって起動させる種別などがある。
【0116】
なお、上で述べた設定部は、今回の起動種別に予め対応付けられている、第1の省電力状態に移行するための第1の条件を設定するようにしても良い。起動種別が異なると運転者が異なって、走行パターンが異なる可能性があるためである。
【0117】
また、上で述べた設定部は、今回の起動種別に予め対応付けられている、第1の省電力状態より電力を多く消費する第2の省電力状態(例えば節電状態)に移行するための第2の条件を設定しても良い。この場合、上記制御部は、第2の条件が成立するか否かを判定し、第2の条件が成立する場合には第2の省電力状態に移行する。例えば、第1の省電力状態に至る前に第2の省電力状態に移行するケースに対応するものである。
【0118】
さらに、上で述べた設定部は、電動アシスト車に装備されているライトの点灯の有無又は電動アシスト車周辺の照度が一定以上か否かに応じて、異なる第1の条件を設定するようにしても良い。ライト(例えば前照灯)を点灯させなければならない状況であれば、早期に省電力状態に移行するのは好ましくないためである。すなわち、例えば点灯無し又は照度が高い場合は、点灯有り又は照度が低い場合より、例えば無操作状態の継続時間が短くても省電力状態にする。
【0119】
さらに、上で述べた設定部は、電動アシスト車に装備されているバッテリの状態又は電動アシスト車周辺の温度が所定温度以下であるか否かに応じて、異なる第1の条件を設定するようにしても良い。バッテリ残量が少ない場合、バッテリの劣化が進んでいる場合、温度が低くてバッテリに好ましくない状態である場合は、できるだけバッテリからの電力供給を短くする方が好ましい。よって、このような場合には、例えば無操作状態の継続時間が短くても省電力状態にする。
【0120】
さらに、上で述べた設定部は、電動アシスト車に装備されているスタンドが立てられているか否かに応じて、異なる第1の条件を設定するようにしても良い。スタンドが立てられていれば、一時停車ではない可能性が高いので、例えば無操作状態の継続時間が短くても省電力状態にするものである。
【0121】
なお、上で述べた起動種別は、起動前に走行を開始したことを検出した場合に自動的に起動する第1の起動種別を含むようにしても良い。その場合、第1の起動種別を特定した場合に設定される第1の条件に含まれる閾値であって自動的に第1の省電力状態に移行するための所定の状態が継続する時間の閾値が、第1の起動種別以外の起動種別を特定した場合に設定される第1の条件に含まれる閾値であって所定の状態が継続する時間の閾値より小さいようにすることが好ましい。例えば、上で述べた第1の起動種別で起動させる運転者は、電源スイッチで電源をオフにせずに電動アシスト車を放置する可能性があるので、早期に節電状態に移行することが好ましいためである。
【0122】
また、上で述べた起動種別には、起動前に走行を開始したことを検出した場合に自動的に起動する第1の起動種別を含むようにしても良い。この場合、第1の起動種別を特定した場合に設定される第2の条件に含まれる閾値であって自動的に第2の省電力状態に移行するための所定の状態が継続する時間の閾値が、第1の起動種別以外の起動種別を特定した場合に設定される第2の条件に含まれる閾値であって所定の状態が継続する時間の閾値より小さいようにすることが好ましい。
【0123】
さらに、上で述べた設定部が、起動種別毎の起動回数に基づく指標値に応じて、第1の省電力状態に移行するための第1の条件を設定するようにしても良い。例えば、特定の起動種別が主要な起動種別であれば、当該主要な起動種別に基づき、第1の条件を設定することが好ましい場合があるためである。
【0124】
なお、上で述べた設定部は、上記指標値に応じて、第2の省電力状態に移行するための第2の条件を設定し、上で述べた制御部は、第2の条件が成立するか否かを判定し、第2の条件が成立する場合には第2の省電力状態に移行するようにしても良い。
【0125】
本発明の第2の態様に係る制御装置は、(A)所定期間内における電動アシスト車の停車頻度、又は自動的に節電状態に移行するための所定の状態が継続する時間の統計量に基づき、自動的に省電力状態に移行するための第1の条件を設定する設定部と、(B)第1の条件が成立するか否かを判定して、第1の条件が成立する場合には自動的に省電力状態に移行する制御部とを有する。
【0126】
走行状態を分析することで、適切な第1の条件を設定できるようになる。
【0127】
なお、停車頻度が閾値以上である場合に設定される第1の条件に含まれる閾値であって自動的に省電力状態に移行するための所定の状態が継続する時間の閾値が、停車頻度が閾値未満である場合に設定される第1の条件に含まれる閾値であって所定の状態が継続する時間の閾値より大きいようにする場合もある。停車頻度が高いのに直ぐに省電力状態に移行してしまうと不都合があり、逆に停車頻度が低いのに長い間省電力状態に移行しないと省電力の観点から好ましくないので、このような設定を行うものである。
【0128】
さらに、上で述べた設定部が、上記統計量に基づき、自動的に省電力状態に移行するための状態が継続する時間の閾値を算出し、第1の条件として、閾値を設定するようにしても良い。例えば、自動的に省電力状態に移行するための状態が継続する時間が長くなる傾向があれば、閾値を大きな値にする方が良い場合が多いためである。
【0129】
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。
【符号の説明】
【0130】
3010,3030b 設定部
3020 状態制御部