(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176773
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】印刷制御プログラム及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 5/30 20060101AFI20231206BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20231206BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B41J5/30 B
B41J3/36 T
H04N1/387 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089242
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加古 径吾
【テーマコード(参考)】
2C055
2C187
5C076
【Fターム(参考)】
2C055AA12
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C055GG01
2C055JJ04
2C187AC05
2C187AD05
2C187AG07
2C187AG08
2C187BF42
2C187CD08
2C187CD13
2C187CD14
2C187DB10
2C187DB21
2C187DB27
5C076AA02
5C076BA06
(57)【要約】
【課題】画像の印刷データを幅方向に複数に分割したデータを用いて複数の印刷物を生成する場合に、各印刷物の幅方向端部の余白領域を切断することなく複数の印刷物全体で上記画像の外観を実現できる技術を提供する。
【解決手段】端末装置3,4に対し、印刷オブジェクトOBのうち一部分である第1画像をラベル用テープTP1に印刷するための第1部分印刷データPD1と、第1画像と異なる一部分である第2画像をラベル用テープTP2に印刷するための第2部分印刷データPD2とを生成すると共に、第1画像と第2画像との間において第1画像および第2画像とは異なる一部分である第3画像を透明な媒体色を有するラベル用テープTP3に印刷するための第3部分印刷データPD3を生成する、ステップS65を実行させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに対し、
印刷媒体の印刷領域を超える画像サイズの所定画像を分割した部分印刷データを生成する生成処理を実行させるための印刷制御プログラムであって、
前記生成処理は、
前記所定画像のうち一部分である第1画像を第1印刷媒体に印刷するための第1部分印刷データと、前記所定画像のうち前記第1画像と異なる一部分である第2画像を第2印刷媒体に印刷するための第2部分印刷データと、を生成する第1生成処理と、
前記所定画像のうち前記第1画像と前記第2画像との間において当該第1画像および当該第2画像とは異なる一部分である第3画像を透明な媒体色を有する第3印刷媒体に印刷するための第3部分印刷データを生成する第2生成処理と、
を含む、印刷制御プログラム。
【請求項2】
前記第1部分印刷データは、
前記第1印刷媒体のうち所定の第1印刷領域内に前記第1画像を印刷し前記第1印刷領域外の第1余白領域には画像を印刷しないデータであり、
前記第2部分印刷データは、
前記第2印刷媒体のうち所定の第2印刷領域内に前記第2画像を印刷し前記第2印刷領域外の第2余白領域には画像を印刷しないデータであり、
前記第3部分印刷データは、
少なくとも、前記第3印刷媒体のうち前記第1余白領域及び前記第2余白領域を合わせた領域に対応する第3印刷領域に対し、前記第3画像を印刷するためのデータである、請求項1記載の印刷制御プログラム。
【請求項3】
前記第3部分印刷データは、
前記第3印刷媒体のうち、前記第3印刷領域に前記第3画像を印刷し、前記第3印刷領域より媒体幅方向の一方側に前記第1画像の一部を印刷し、前記第3印刷領域より媒体幅方向の他方側に前記第2画像の一部を印刷するためのデータである、請求項2記載の印刷制御プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに対し、さらに、
前記第3印刷媒体の媒体幅方向における前記第3部分印刷データの寸法を特定する特定処理を実行させ、
前記第3印刷媒体は、
前記特定処理で特定された前記媒体幅方向における前記第3部分印刷データの寸法以上の媒体幅を有する印刷媒体の中から指定された印刷媒体である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷制御プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータに対し、さらに、
前記第1画像と前記第2画像との間において前記所定画像のうち当該第1画像および当該第2画像で欠落した部分があるかを判定する第1判定処理を実行させ、
前記第1判定処理で前記欠落した部分があると判定された場合には、前記第2生成処理において前記第3部分印刷データを生成し、前記欠落した部分があると判定されない場合には前記第3部分印刷データを生成しない、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷制御プログラム。
【請求項6】
前記印刷媒体は、長尺状の無定長媒体であり、
前記第1生成処理は、前記第1画像を形成するための前記第1印刷媒体の第1媒体長に関する情報を対応付けた前記第1部分印刷データおよび前記第2画像を形成するための前記第2印刷媒体の第2媒体長であって前記第1媒体長と同じ長さの前記第2媒体長に関する情報を対応付けた前記第2部分印刷データを生成し、
前記コンピュータに対し、さらに、
前記第3画像に、前記第3印刷媒体の長手方向において所定長さ以上の非印刷データ部分が含まれるか否かを判定する第2判定処理を実行させ、
前記第2判定処理で前記所定長さ以上の非印刷データ部分が含まれると判定された場合には、前記第2生成処理において、前記第3画像のうち前記非印刷データではない印刷データ部分に対応した第3印刷媒体の第3媒体長であって、前記第1媒体長および前記第2媒体長よりも短い前記第3媒体長に関する情報を対応付けた前記第3部分印刷データを生成する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷制御プログラム。
【請求項7】
前記所定画像が2次元コードを表すコード画像を含む場合に、第1部分印刷データおよび第2部分印刷データは、それら第1部分印刷データおよび第2部分印刷データどうしの位置決め用のマーク画像を印刷するためのデータを含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷制御プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに対し、さらに、
前記印刷媒体の媒体幅方向における前記印刷データの寸法に関する設定値を取得する幅取得処理と、
前記幅取得処理で取得された前記媒体幅方向における前記印刷データの寸法に基づき、前記第1印刷媒体の媒体幅方向の第1幅寸法と、前記第2印刷媒体の媒体幅方向の第2幅寸法とを決定する幅決定処理と、
を実行させ、
前記第1生成処理において、前記幅決定処理で決定した前記第1幅寸法及び前記第2幅寸法に基づき、前記第1部分印刷データと前記第2部分印刷データとを生成する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷制御プログラム。
【請求項9】
前記第1印刷媒体および前記第2印刷媒体が透明な媒体色を有し、かつ前記所定画像の拡大率に関する設定値に基づき前記第1生成処理が行われる場合には、前記第2生成処理が行われることなく、前記第1部分印刷データおよび前記第2部分印刷データの少なくとも一方が第3画像を印刷可能なデータとなり、
前記第1印刷媒体および前記第2印刷媒体が透明な媒体色を有し、かつ前記印刷媒体の媒体幅方向における前記印刷データの寸法に関する設定値に基づき前記第1生成処理が行われる場合には、前記第2生成処理が行われる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷制御プログラム。
【請求項10】
印刷媒体に画像を印刷する印刷部と、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記印刷媒体の印刷領域を超える画像サイズの所定画像を前記印刷部に印刷させる印刷処理を実行し、
前記印刷処理は、
前記所定画像のうち一部分である第1画像を第1印刷媒体に印刷させる第1印刷処理と、
前記所定画像のうち前記第1画像と異なる一部分である第2画像を第2印刷媒体に印刷させる第2印刷処理と、
前記所定画像のうち前記第1画像と前記第2画像との間において当該第1画像および当該第2画像とは異なる一部分である第3画像を透明な媒体色を有する第3印刷媒体に印刷させる第3印刷処理と、
を含む、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータが実行する印刷制御プログラム及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、テープの幅を超えたラベルを得たい場合に、分割印刷画像を印刷した複数枚のテープを幅方向に隣接させて貼ることで、テープ幅を超える任意幅のラベルを作成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、印刷品質の低下を防止する等の観点に基づき、分割印刷画像がそれぞれ印刷された各テープの幅方向両端に、テープ幅を超えた印刷を回避するための余白部分が形成される。そのため、隣接して貼られた複数のテープにより所望の印刷画像の外観を得るためには、各テープの上記余白部分を、ユーザが長手方向にカットして使用しなければならず、面倒であった。
【0005】
本発明の目的は、画像の印刷データを幅方向に複数に分割したデータを用いて複数の印刷物を生成する場合に、各印刷物の幅方向端部の余白領域を切断することなく複数の印刷物全体で上記画像の外観を実現できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の印刷制御プログラムは、コンピュータに対し、印刷媒体の印刷領域を超える画像サイズの所定画像を分割した部分印刷データを生成する生成処理を実行させるための印刷制御プログラムであって、前記生成処理は、前記所定画像のうち一部分である第1画像を第1印刷媒体に印刷するための前記第1部分印刷データと、前記所定画像のうち前記第1画像と異なる一部分である第2画像を第2印刷媒体に印刷するための前記第2部分印刷データと、を生成する第1生成処理と、前記所定画像のうち前記第1画像と前記第2画像との間において当該第1画像および当該第2画像とは異なる一部分である第3画像を透明な媒体色を有する第3印刷媒体に印刷するための第3部分印刷データを生成する第2生成処理と、を含む。
【0007】
本願発明によれば、第2生成処理により、第1画像および第2画像と異なる部分である第3画像を透明な媒体色を有する第3印刷媒体に印刷するための第3部分印刷データを生成する。これにより、透明な第3印刷媒体を、第1画像及び第2画像の境界を跨ぐように貼れば、各印刷物の幅方向端部の余白領域を切断することなく第1画像、第2画像、第3画像を合わせた印刷物全体で所定画像の外観となる印刷物を実現することができる。
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明の印刷装置は、印刷媒体に画像を印刷する印刷部と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記印刷媒体の印刷領域を超える画像サイズの所定画像を前記印刷部に印刷させる印刷処理を実行し、前記印刷処理は、前記所定画像のうち一部分である第1画像を第1印刷媒体に印刷させる第1印刷処理と、前記所定画像のうち前記第1画像と異なる一部分である第2画像を第2印刷媒体に印刷させる第2印刷処理と、前記所定画像のうち前記第1画像と前記第2画像との間において当該第1画像および当該第2画像とは異なる一部分である第3画像を透明な媒体色を有する第3印刷媒体に印刷させる第3印刷処理と、を含む。
【0009】
本願発明によれば、第3印刷処理により、第1画像および第2画像と異なる部分である第3画像を透明な媒体色を有する第3印刷媒体に印刷させる。これにより、透明な第3印刷媒体を、第1画像及び第2画像の境界を跨ぐように貼れば、各印刷物の幅方向端部の余白領域を切断することなく第1画像、第2画像、第3画像を合わせた印刷物全体で所定画像の外観となる印刷物を実現することができる。
【0010】
なお、本願発明は、印刷制御プログラム及び印刷装置に限らず、例えば、印刷制御プログラムにより実行される印刷方法や、印刷システム等、適宜適用可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像の印刷データを幅方向に複数に分割したデータを用いて複数の印刷物を生成する場合に、各印刷物の幅方向端部の余白領域を切断することなく複数の印刷物全体で上記画像の外観を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷システムの全体構成の一例を表す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る印刷装置および情報端末のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】スプリット印刷を行う場合に情報端末のタッチパネルまたは表示部に表示される編集画面の一例を表す図である。
【
図4】情報端末の印刷アプリケーションや印刷装置が、第1実施形態に係る透明ラベルによる補間印刷機能を使用しない場合において、スプリット印刷による印字データおよび作成された印字ラベルの使用例を表す説明図である。
【
図5】情報端末の印刷アプリケーションや印刷装置が、第1実施形態に係る透明ラベルによる補間印刷機能を使用する場合において、スプリット印刷による印字データおよび作成された印字ラベルの使用例を表す説明図である。
【
図6】本発明の第1実施形態において、情報端末のCPUが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態における編集画面の一例を表す図である。
【
図8】第2実施形態における印字ラベルの使用例を表す説明図である。
【
図9】本発明の第2実施形態において、情報端末のCPUが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図10】本発明の第3実施形態において、印刷装置の制御回路が実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図11】透明ラベルに重複印刷する場合の変形例において、スプリット印刷による印字データおよび作成された印字ラベルの使用例を表す説明図である。
【
図12】透明テープの消費量を節約する変形例における印刷オプション設定画面の一例を表す図である。
【
図13】透明テープの消費量を節約する変形例における編集画面の一例を表す図である。
【
図14】透明テープの消費量を節約する変形例において、スプリット印刷による印字ラベルの使用例を表す説明図である。
【
図15】位置決め用マークを印刷する変形例において、印字ラベルの使用例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、情報端末で印刷データの生成を行い、印刷データを印刷装置に送信して印刷する場合の実施形態である。
【0014】
<システム全体構成>
図1に、第1実施形態に係る印刷システム全体の構成の一例を示す。
図1において、印刷システム1は、印刷装置2と、情報端末3,4とを有する。情報端末3,4はいずれか一方のみでもよいし、両方でもよい。印刷装置2は、例えば印字ラベルLを作成するラベルプリンタであり、表示部21と、入力部22とを有する。情報端末3は、例えば携帯端末であり、
図1に示すようなタッチパネル37を備えたスマートフォンでもよいし、タブレット端末等でもよい。情報端末4は、例えば汎用パーソナルコンピュータであり、
図1に示すような入力部33および表示部34を備えたノート型パソコンでもよいし、デスクトップ型パソコン等でもよい。情報端末3,4は、それぞれ印刷装置2と相互に情報送受可能に接続されており、例えば情報端末3が無線通信を介して接続され、情報端末4が有線通信を介して接続されている。なお、情報端末3が有線通信を介して接続されてもよいし、情報端末4が無線通信を介して接続されてもよい。
【0015】
<情報端末>
図2に、情報端末3,4のハードウェア構成の一例を示す。
図2に示すように、情報端末3,4は、CPU31と、例えばRAMやROM等を備えたメモリ32と、入力部33と、表示部34と、通信制御部35と、大容量記憶装置36とを備えている。情報端末3,4がコンピュータの一例である。
【0016】
入力部33は、ユーザからの指示や情報が入力される。表示部34は、各種情報やメッセージを表示する。情報端末3では、入力部33および表示部34はこれらの機能を併せ持つタッチパネル37として構成されている。通信制御部35は、印刷装置2との間で行う通信の制御を行う。
【0017】
大容量記憶装置36は、例えばテキストの入力、印刷設定情報の入力、印刷データの編集等、CPU31に対し後述の
図6に示すシーケンスの各手順を実行させるための印刷アプリケーション、その他各種のプログラム、各種のデータ等を記憶する。印刷アプリケーション、各種のプログラム、各種のデータ等は、メモリ32に記憶されてもよい。印刷アプリケーションは印刷制御プログラムの一例である。
【0018】
CPU31は、メモリ32のRAMの一時記憶機能を利用しつつROMや大容量記憶装置36に記憶されたプログラムに従って、各種の処理や印刷装置2との間で各種の通信を行う。
【0019】
<印刷装置>
図2に、印刷装置2のハードウェア構成の一例を示す。
図2に示すように、印刷装置2は、上記表示部21および入力部22と、制御回路23と、カートリッジホルダ24と、カートリッジセンサ25と、通信制御部26と、印字ヘッド27と、大容量記憶装置28と、カッタ29とを有する。
【0020】
制御回路23は、CPU23aと、RAM23bと、ROM23c等を有する。CPU23aが制御部の一例である。
【0021】
カートリッジホルダ24はカートリッジ5を着脱可能に装着する。カートリッジセンサ25はカートリッジホルダ24に設けられ、機械的検出または光学的・磁気的検出等、公知の適宜の手法により、カートリッジ5の種類を検出する。カートリッジ5の種類には、カートリッジ5から供給されるラベル用テープTPのテープ幅およびテープ色、並びに、カートリッジ5が備えるインクリボンの色により規定される印字色等が含まれる。テープ色は媒体色の一例である。通信制御部26は、印刷装置2と外部機器との間で行われる通信の制御を行う。
【0022】
大容量記憶装置28は、CPU23aに対し後述の
図20等に示すシーケンスの各手順を実行させるための印刷プログラムや、各種のデータ等を記憶する。印刷プログラムや各種のデータ等は、制御回路23のRAM23bやROM23cに記憶されてもよい。
【0023】
印字ヘッド27は、ラベル用テープTPに画像を印刷する。カッタ29は、印字ヘッド27により印刷が行われた長尺状のラベル用テープTPを所定の長さに切断し、印字ラベルLを作成する。印字ヘッド27が印刷部の一例であり、ラベル用テープTPが印刷媒体および無定長媒体の一例である。
【0024】
<スプリット印刷の編集画面と印字ラベル>
情報端末3,4の印刷アプリケーションおよび印刷装置2は、ラベル用テープTPの印刷領域を超える画像サイズの画像を印刷した印字ラベルLを作成したい場合に、印刷データを分割した部分印刷データを生成し、当該部分印刷データをそれぞれ印刷した複数枚の印字ラベルを作成する、いわゆるスプリット印刷機能を有する。作成された複数枚の印字ラベルを幅方向に隣接させて貼ることで、ラベル用テープTPの印刷領域の幅を超える幅寸法の印字ラベルLを得ることができる。
【0025】
図3に、スプリット印刷を行う場合に情報端末3,4のタッチパネル37または表示部34に表示される編集画面の一例を示す。
図3(a)に示すように、印刷オブジェクトOBがラベル用テープTPの画像TPI上に配置される。印刷オブジェクトOBのサイズや位置は、任意のサイズおよび位置に調整される。ラベル用テープTPの画像TPIは所定の矩形枠で表示され、その大きさは、あらかじめ設定されたテープ幅および媒体長に対応する。
図3(a)に示す例では、ラベル用テープTPのテープ幅および媒体長は例えば12mmおよび80mmである。当該テープ幅や媒体長はユーザにより指定されてもよいし、自動的に設定されてもよい。印刷オブジェクトOBは例えばテキストを入力可能なテキストボックスであり、ラベル用テープTPの印刷領域の幅を超える任意の幅に設定することができる。なお、印刷オブジェクトOBはテキストボックスに限らず、例えば画像等でもよい。印刷オブジェクトOBが所定画像の一例である。
【0026】
図3(b)に示すように、印刷オブジェクトOBの編集が行われる。
図3(b)に示す例では、例えば「ABC」の黒色のテキストが、画像TPIを超える幅、すなわちラベル用テープTPの印刷領域の幅を超える幅の印刷オブジェクトOBに入力されている。
図3(b)のように、ラベル用テープTPの印刷領域の幅を超える幅の印刷オブジェクトOBにテキストや画像が入力されると、
図3(c)に示すように、印刷オブジェクトOBの幅方向寸法に応じてラベル用テープTPの画像TPIが複数枚表示される。
図3(c)に示す例では、印刷オブジェクトOBの幅方向寸法が例えば2枚のラベル用テープTPの印刷領域に収容可能な寸法に設定されており、テープ幅12mmのラベル用テープTPが幅方向に2枚並べられ、その上に印刷オブジェクトOBが配置されている。
図3(c)に示す編集画面がスプリット印刷用の編集画面の一例である。なお、印刷オブジェクトOBの幅方向寸法は3枚以上のラベル用テープTPに亘る寸法に設定されてもよく、その場合には3枚以上のラベル用テープTPの画像が幅方向に並べられる。本実施形態では、スプリット印刷の一例として、印刷オブジェクトOBの幅方向寸法が2枚のラベル用テープTPに亘る寸法に設定される場合について説明する。
【0027】
本実施形態に係る情報端末3,4の印刷アプリケーションおよび印刷装置2は、透明ラベルによる補間印刷機能を有する。ユーザは、当該補間印刷機能を使用するか否かを選択することができる。
図4に、情報端末3,4の印刷アプリケーションや印刷装置2が、本実施形態に係る透明ラベルによる補間印刷機能を使用しない場合の印字データおよび印字ラベルの一例を示す。
図4に示すように、印刷装置2の印字バッファには、例えば「ABC」のテキストからなる画像を形成するための印刷データが記憶されている。当該印刷データは
図3(c)に示す編集画面に対応している。印字バッファは、例えば印刷装置2のRAM23b等に備えられている。印字バッファには、印刷データがドットパターンデータとして展開され、印字ヘッド27は印字バッファに記憶されたドットパターンデータに従ってドット印字を行う。
【0028】
図4に示すように、印字バッファにドットパターンデータとして記憶された印刷データPDが分割されて、第1印刷データPD1aと、第2印刷データPD2aとが生成される。第1印刷データPD1aは、「ABC」のテキストからなる画像のうち例えば上半分を印刷するための印刷データである。第2印刷データPD2aは、上記画像のうち例えば下半分を印刷するための印刷データである。第1印刷データPD1aがラベル用テープTP1に印刷されて第1印字ラベルL1aが作成され、第2印刷データPD2aがラベル用テープTP2に印刷されて第2印字ラベルL2aが作成される。印字ラベルの印刷においては、第1印字ラベルL1aおよび第2印字ラベルL2aの幅方向両端に、テープ幅を超えた印刷を回避するための余白領域BS1,BS2がそれぞれ形成される。そのため、
図4に示すように、第1印字ラベルL1aおよび第2印字ラベルL2aの相互間の上記余白領域BS1,BS2を、ユーザが長手方向にカットして使用することで、第1印字ラベルL1aおよび第2印字ラベルL2aを幅方向に隣接させて「ABC」のテキストからなる画像の外観を得ることができる。
【0029】
図5に、補間印刷機能を使用する設定がされた場合の印字データおよび印字ラベルの一例を示す。
図5に示すように、印字バッファにドットパターンデータとして記憶された印刷データPDが分割されて、第1部分印刷データPD1と、第2部分印刷データPD2と、第3部分印刷データPD3とが生成される。第1部分印刷データPD1は、「ABC」のテキストからなる画像のうち一部分である、例えば上部分の第1画像を印刷するための印刷データである。第2部分印刷データPD2は、上記画像のうち第1画像と異なる一部分である、例えば下部分の第2画像を印刷するための印刷データである。第3部分印刷データPD3は、上記画像のうち第1画像と第2画像との間において当該第1画像および第2画像とは異なる一部分である、例えば中間部分の第3画像を印刷するための印刷データである。第1部分印刷データPD1は、上記第1画像をラベル用テープTP1に第1印字色で印刷するための印刷データである。第2部分印刷データPD2は、上記第2画像をラベル用テープTP2に第1印字色で印刷するための印刷データである。第3部分印刷データPD3は、上記第3画像を透明な媒体色を有するラベル用テープTP3に第1印字色で印刷するための印刷データである。なお、第1印字色は印刷オブジェクトOBの色であり、例えば黒色である。また、ラベル用テープTP1が第1印刷媒体の一例であり、ラベル用テープTP2が第2印刷媒体の一例であり、ラベル用テープTP3が第3印刷媒体の一例である。
【0030】
第1部分印刷データPD1がラベル用テープTP1に印刷されて第1部分印字ラベルL1が作成され、第2部分印刷データPD2がラベル用テープTP2に印刷されて第2部分印字ラベルL2が作成され、第3部分印刷データPD3がラベル用テープTP3に印刷されて第3部分印字ラベルL3が作成される。第1部分印字ラベルL1において、第1画像が印刷される第1印刷領域PS1の幅方向両端には第1余白領域BS1がそれぞれ形成される。第2部分印字ラベルL2において、第2画像が印刷される第2印刷領域PS2の幅方向両端には第2余白領域BS2がそれぞれ形成される。第3部分印字ラベルL3において、第3画像が印刷される第3印刷領域PS3の幅方向両端には第3余白領域BS3がそれぞれ形成される。なお、
図5において、第3印字ラベルL3またはラベル用テープTP3の表面に付された細線は、媒体色が透明であることを表している。
【0031】
第1部分印刷データPD1は、ラベル用テープTP1のうち第1印刷領域PS1内に第1画像を印刷し、第1印刷領域PS1外の第1余白領域BS1には画像を印刷しないデータである。第2部分印刷データPD2は、ラベル用テープTP2のうち第2印刷領域PS2内に第2画像を印刷し、第2印刷領域PS2外の第2余白領域BS2には画像を印刷しないデータである。第3部分印刷データPD3は、少なくとも、ラベル用テープTP3のうち、ラベル用テープTP1におけるラベル用テープTP2側の第1余白領域BS1およびラベル用テープTP2におけるラベル用テープTP1側の第2余白領域BS2を合わせた領域に対応する第3印刷領域PS3に対し、第3画像を印刷するためのデータである。
【0032】
図5に示すように、第1画像と第2画像との間の部分に対応した第3画像が形成された透明な第3部分印字ラベルL3を、幅方向に隣接して配置した第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2の境界を跨ぐように貼れば、第1画像、第2画像、第3画像を合わせた全体で「ABC」のテキストからなる画像の外観となる印字ラベルLを実現することができる。この場合、透明な第3部分印字ラベルL3を第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2に対して貼るだけで足り、第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2の余白領域BS1,BS2を切断する必要がなくなるので、ユーザの労力を軽減できる。
【0033】
なお、ラベル用テープTP1とラベル用テープTP2とは、テープ幅およびテープ色を共通としてもよいし、テープ幅およびテープ色の少なくとも一方を異ならせてもよい。ラベル用テープTP3のテープ幅は例えば印刷オブジェクトOBのサイズに応じて決定されてもよいし、ユーザが指定してもよい。
【0034】
<制御手順>
本実施形態における上記の透明ラベルによる補間印刷機能等を実現するために、情報端末3,4のCPU31が実行する制御手順の一例を、
図6のフローチャートにより説明する。情報端末3,4のCPU31は、例えば印刷アプリケーションを実行することで本フローチャートを開始する。
【0035】
ステップS3では、CPU31は、印刷オプション設定画面を表示部34またはタッチパネル37に表示し、ユーザによる印刷オプションの設定入力を受け付ける。印刷オプションの設定には、例えば透明ラベルによる補間印刷機能を使用するか否かの設定が含まれる。
【0036】
ステップS5では、CPU31は、前述の
図3(a)又は
図3(b)に示した編集画面を表示部34またはタッチパネル37に表示し、ユーザによる印刷データの編集を受け付ける。
【0037】
ステップS10では、CPU31は、編集された印刷データの幅方向のサイズがラベル用テープTPの印刷領域を超えるか否かを判定する。CPU31は、印刷データが印刷領域を超えていないと判定すると(ステップS10:No)、後述のステップS20に移行する。一方、CPU31は、印刷データが印刷領域を超えていると判定すると(ステップS10:Yes)、ステップS15に移行する。
【0038】
ステップS15では、CPU31は、編集画面に表示されたラベル用テープTPの画像を複数に増やして並列に隣接させ、前述の
図3(c)に示したスプリット印刷用の編集画面を表示する。
【0039】
ステップS20では、CPU31は、ユーザにより印刷データの印刷指示がなされたか否かを判定する。CPU31は、印刷指示がなされていないと判定すると(ステップS20:No)、上記ステップS3に戻り、印刷オプションの設定入力や印刷データの編集の受け付けを継続する。一方、CPU31は、印刷指示がなされたと判定すると(ステップS20:Yes)、ステップS25に移行する。
【0040】
ステップS25では、CPU31は、印刷データの幅方向のサイズがラベル用テープTPの印刷領域を超えるか否かに基づいて、スプリット印刷であるか否かを判定する。CPU31は、印刷データがラベル用テープTPの印刷領域を超えない場合にはスプリット印刷でないと判定し(ステップS25:No)、ステップS30に移行する。
【0041】
ステップS30では、CPU31は、1本のラベル用テープTPに収まる幅寸法である印刷データを生成する。
【0042】
ステップS35では、CPU31は、印刷データを印刷装置2に送信する。これにより、印刷装置2ではラベル用テープTPに対して印刷データが印刷され、印字ラベルが生成される。その後、本フローチャートを終了する。
【0043】
一方、上記ステップS25において、CPU31は、印刷データの幅方向寸法がラベル用テープTPの印刷領域を超えた場合にはスプリット印刷であると判定し(ステップS25:Yes)、ステップS40に移行する。本実施形態では、スプリット印刷の一例として、印刷データの幅方向寸法が2枚のラベル用テープTPに亘る寸法に設定される場合について説明する。
【0044】
ステップS40では、CPU31は、上記ステップS3における印刷オプションの設定内容に基づいて、透明ラベルによる補間印刷を行うか否かを判定する。CPU31は、補間印刷を行わないと判定すると(ステップS40:No)、ステップS45に移行する。
【0045】
ステップS45では、CPU31は、2本のラベル用テープTP1,TP2に亘る幅寸法である印刷データPDを生成する。
【0046】
ステップS50では、CPU31は、印刷データPDを分割し、第1印刷データPD1aと第2印刷データPD2aとを生成する。当該ステップS50が生成処理の一例である。
【0047】
ステップS55では、CPU31は、第1印刷データPD1aと第2印刷データPD2aとを印刷装置2に送信する。これにより、印刷装置2では、第1印刷データPD1aがラベル用テープTP1に印刷されて第1印字ラベルL1aが作成され、第2印刷データPD2aがラベル用テープTP2に印刷されて第2印字ラベルL2aが作成される(
図4参照)。その後、本フローチャートを終了する。
【0048】
一方、上記ステップS40において、CPU31は、補間印刷を行うと判定すると(ステップS40:Yes)、ステップS56に移行する。
【0049】
ステップS56では、CPU31は、ラベル用テープTP3の第3部分印刷データPD3を特定する。CPU31は、例えば編集画面におけるラベル用テープTPのテープ幅に設定されている余白領域に対応する第3部分印刷データPD3及び第3部分印刷データPD3に必要となる幅方向の寸法を特定する。当該ステップS56が特定処理の一例である。
【0050】
ステップS58では、CPU31は、上記ステップS56で特定された第3部分印刷データPD3の幅寸法以上を印刷領域とするテープ幅を有するラベル用テープTPの中から特定の幅寸法を指定する。幅寸法の指定は、例えば予め定められたラベル用テープTPの複数種類のテープ幅の中からCPU31が自動で指定してもよいし、それらの一覧リストを表示してその中からユーザが選択してもよい。また、印刷装置2において使用履歴のあるラベル用テープTPのテープ幅の中からCPU31が自動で指定してもよいし、それらの一覧リストを表示してその中からユーザが選択してもよい。
【0051】
ステップS60では、CPU31は、2本のラベル用テープTP1,TP2に亘る幅寸法である印刷データPDを生成する。
【0052】
ステップS65では、CPU31は、印刷データPDを分割し、第1部分印刷データPD1、第2部分印刷データPD2、及び第3部分印刷データPD3を生成する。当該ステップS65が生成処理の一例であると共に、第1生成処理及び第2生成処理の一例である。
【0053】
ステップS70では、CPU31は、第1部分印刷データPD1、第2部分印刷データPD2、及び第3部分印刷データPD3を印刷装置2に送信する。これにより、印刷装置2では、第1部分印刷データPD1がラベル用テープTP1に印刷されて第1部分印字ラベルL1が作成され、第2部分印刷データPD2がラベル用テープTP2に印刷されて第2部分印字ラベルL2が作成され、第3部分印刷データPD3がラベル用テープTP3に印刷されて第3部分印字ラベルL3が作成される(
図6参照)。その後、本フローチャートを終了する。
【0054】
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、情報端末3,4のCPU31がラベル用テープTPの印刷領域を超える画像サイズの印刷データPDを分割した部分印刷データを生成するステップS50およびステップS65を実行する。透明ラベルによる補間印刷を行うように設定された場合には、CPU31はステップS65を実行する。ステップS65では、第1部分印刷データPD1および第2部分印刷データPD2が生成される。第1部分印刷データPD1は、上記所定画像のうちの一部分である第1画像を、ラベル用テープTP1に印刷するためのデータである。第2部分印刷データPD2は、上記所定画像のうちの別の一部分である第2画像を、ラベル用テープTP2に印刷するためのデータである。情報端末3,4のCPU31は、ステップS65を実行することで、第3部分印刷データPD3を生成する。第3部分印刷データPD3は、上記所定画像の第1画像と第2画像との間においてそれら第1画像および第2画像とは異なる一部分となる第3画像を、透明な媒体色を有するラベル用テープTP3に印刷するためのデータである。
【0055】
本実施形態によれば、ステップS65により、第1画像および第2画像と異なる部分である第3画像を透明な媒体色を有するラベル用テープTP3に印刷するための第3部分印刷データPD3を生成する。これにより、透明な第3部分印字ラベルL3を、第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2の第1画像及び第2画像の境界を跨ぐように貼れば、各印字ラベルL1,L2の幅方向端部の余白領域を切断することなく、第1画像、第2画像、第3画像を合わせた全体で所望の画像の外観となる印字ラベルを実現することができる。また、透明な第3部分印字ラベルL3を貼るだけでよく、第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2の余白領域BS1,BS2を切断する必要がなくなるので、ユーザの労力を軽減できる。
【0056】
また、本実施形態では特に、第1部分印刷データPD1により印刷が行われると、第1部分印字ラベルL1の第1印刷領域PS1に第1画像が形成され、第1印刷領域PS1外は画像が形成されない第1余白領域BS1となる。第2部分印刷データPD2により印刷が行われると、第2部分印字ラベルL2の第2印刷領域PS2に第2画像が形成され、第2印刷領域PS2外は画像が形成されない第2余白領域BS2となる。第3部分印刷データPD3により印刷が行われると、第3部分印字ラベルL3のうち第1余白領域BS1および第2余白領域BS2を合わせた領域に対応する第3印刷領域PS3に対し、第3画像の印刷が行われる。
【0057】
本実施形態によれば、第3画像が形成された透明な第3部分印字ラベルL3を、第1画像及び第2画像の境界を跨ぐように貼れば、第1画像および第2画像が形成されない余白領域BS1,BS2を第3画像で埋め合わせて、全体で所望の画像の外観となる印字ラベルを実現することができる。
【0058】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、2つの異なる設定でスプリット印刷を行う場合の実施形態である。
【0059】
第1実施形態では、ユーザが編集画面において、設定されたラベル用テープTPのテープ幅の幅寸法を超える印刷オブジェクトOBを設定することでスプリット印刷を行っている。この場合のスプリット印刷を印刷オブジェクトOBに基づくスプリット印刷という。第2実施形態では、それに加え、ユーザが最終的に意図する印字ラベルLの幅寸法として、2以上のラベル用テープTPのテープ幅の合算値を設定してもよい。この場合のスプリット印刷を、印字ラベルLの幅寸法に基づくスプリット印刷という。
【0060】
図7に、第2実施形態における印字ラベルLの幅寸法に基づくスプリット印刷についての編集画面の一例を示す。編集画面には、ユーザにより印字ラベルLの幅寸法が入力可能な入力部38dを含む。入力部38dは、例えば予め設定された複数種類の幅寸法の一覧がプルダウンリストとして表示され、その中からユーザが選択することで幅寸法を入力するように構成されている。なお、例えばスピンボタンにより数値を増減したり、数値を直接入力する等、他の入力形式としてもよい。
図7では、印字ラベルLの幅寸法が例えば12mmを2枚並べた24mm(12mm×2)に設定されている。そして、12mmのラベル用テープTPの画像TPIが2個並んだ編集画面が表示される。ユーザは、この24mmの印刷領域内に印刷オブジェクトOBを配置して印刷データを生成することとなる。
【0061】
さらに、第2実施形態では、ラベル用テープTP1,TP2に透明なテープが用いられる場合、スプリット印刷が、印刷オブジェクトOBのサイズに基づくものか、最終的に意図する印字ラベルLの幅寸法に基づくものかにより、透明ラベルによる補間印刷を行うか否かを切り替える。
【0062】
図8に、第2実施形態における印字ラベルの一例を示す。なお、
図8において、各印字ラベルの表面に付された細線は、媒体色が透明であることを表している。
図8の左部分は、印刷オブジェクトOBのサイズに基づきスプリット印刷が行われた場合に作成される印字ラベルである。
図8の左部分に示すように、ラベル用テープTP1,TP2として透明なものを使用する場合、作成された2つの印字ラベルL1a,L2aを部分的に重ね合わせることで、第1及び第2画像のまわりに生じる余白領域を埋めることができる。例えば、第1印字ラベルL1aの第1画像のまわりに余白領域BS1が生じる時、第1画像に連続して第2画像が配置されるように第2印字ラベルL2aの一部を重ね合わせれば、その第1画像まわりの余白領域BS1を埋めて所望の画像が印刷された印字ラベルLの外観を実現することができる。また、例えば第2印字ラベルL2aの第2画像のまわりに余白領域BS2が生じる時、第2画像に連続して第1画像が配置されるように第1印字ラベルL1aの一部を重ね合わせれば、その第2画像まわりの余白領域BS2を埋めて所望の画像が印刷された印字ラベルLの外観を実現することができる。これらの場合はいずれも、第3部分印刷データPD3による補間印刷を行う必要がない。なお、最終的に生成される印字ラベルLの幅寸法Wは、第1印字ラベルL1aの幅寸法W1と第2印字ラベルL2aの幅寸法W2との合計よりも、上記重ね合わせた寸法分だけ小さくなる。
【0063】
ユーザが印刷オブジェクトOBのサイズをラベル用テープTPのテープ幅を超えるサイズにしたことで、スプリット印刷が設定された場合、最終的に生成される印字ラベルLの幅寸法Wよりも、印刷される画像のサイズの方が優先度が高いと考えられる。そこで第2実施形態では、印刷オブジェクトOBのサイズに基づくスプリット印刷が行われる場合において、第1部分印刷データPD1および第2部分印刷データPD2の生成を行う場合かつラベル用テープTP1,TP2に透明なテープが用いられる場合は、第1部分印刷データPD1および第2部分印刷データPD2の少なくとも一方が第3画像を印刷可能なデータとなる。
図8に示す例では、例えば第1部分印刷データPD1および第2部分印刷データPD2の両方がそれぞれ第3画像を半分ずつ印刷可能なデータとなっている。この場合、第3部分印刷データPD3は生成されない。ユーザは、作成された第1印字ラベルL1a及び第2印字ラベルL2aを互いに部分的に重ね合わせることで、余白領域BS1,BS2を埋めて所望の画像が印刷された印字ラベルLの外観を実現できる。
【0064】
図8の右部分は、最終的に生成される印字ラベルLの幅寸法Wが設定された場合に作成される印字ラベルである。幅寸法Wは、例えば前述の
図7に示した編集画面で設定される。ユーザが印字ラベルLの幅寸法Wを設定した場合、最終的に生成される印字ラベルLに表される画像のサイズよりも、印字ラベルLの幅寸法Wの方が優先度が高いと考えられる。そこで第2実施形態では、ユーザが印字ラベルLの幅寸法Wに関する設定を行った場合には、その設定値に基づき第1部分印刷データPD1、第2部分印刷データPD2および第3部分印刷データPD3が生成され、第1部分印字ラベルL1、第2部分印字ラベルL2および第3部分印字ラベルL3が作成される。ユーザは第3部分印字ラベルL3を第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2の境界を跨ぐように貼ることで、所望の画像が印刷された印字ラベルLの外観を実現できる。この場合、印字ラベルLの幅寸法Wは、第1印字ラベルL1aの幅寸法W1と第2印字ラベルL2aの幅寸法W2の合計と一致し、ユーザが意図する幅寸法とすることができる。
【0065】
<制御手順>
第2実施形態において、情報端末3,4のCPU31により実行される処理手順を
図9のフローチャートを用いて説明する。なお、
図9では、前述の
図6におけるステップS20により印刷指示があった(S20でYES)以降の処理を説明している。なお、第2実施形態では、
図6のステップS5の印刷データの編集で、印刷オブジェクトOBに基づくスプリット印刷と印字ラベルLの幅寸法に基づくスプリット印刷のいずれも受け付け可能である。
【0066】
ステップS125では、CPU31は、スプリット印刷であるか否かを判定する。この判定では、印刷データの幅方向のサイズがラベル用テープTPの印刷領域を超えるか否かに基づいて判定するほか、ステップS205の編集画面において入力部38dを介して設定された印字ラベルLの幅寸法で、複数のラベル用テープTPのテープ幅の合算値が選択されたか否かに基づいても判定する。
【0067】
スプリット印刷ではないと判定した場合は、ステップS130に移行する。ステップS130、ステップS135は、
図6のステップS30、S35とそれぞれ同様である。ステップS125でスプリット印刷であると判定した場合、ステップS140へと移行する。ステップS140の処理およびステップS140で透明ラベルの補間ありと判定されない場合(S140でNO)に移行するステップS145~ステップS155の処理は、
図6のステップS40およびステップS45~ステップS55と同様である。
【0068】
ステップS140でYESと判断された場合、ステップS141へ移行する。ステップS141では、CPU31は、スプリット印刷が、印刷オブジェクトOBに基づくスプリット印刷であるか、印字ラベルLの幅寸法に基づくスプリット印刷であるかを判定する。ステップS141で印字ラベルLの幅寸法に基づくスプリット印刷であると判定した場合に、ステップS156へ移行する。一方、ステップS141で印字ラベルLの幅寸法に基づくスプリット印刷でない、すなわち印刷オブジェクトOBに基づくスプリット印刷であると判定した場合に、ステップS143に移行する。
【0069】
ステップS143では、CPU31は、ラベル用テープTPの媒体色が透明であるかを判断する。媒体色は、編集画面により設定された印刷データの背景色が透明であるかで判断してもよいし、印刷装置に装着されたカートリッジの媒体色を取得して判断してもよい。ステップS143で、CPU31が、媒体色が透明でないと判断した場合は(ステップS143:No)、ステップS156に移行する。ステップS156~ステップS170は、
図6のステップS56~ステップS70と同様である。ステップS143で、CPU31が、媒体色が透明であると判断した場合は(ステップS143:Yes)、ステップS175に移行する。
【0070】
ステップS175では、CPU31は、2本のラベル用テープTP1,TP2に亘る幅寸法である印刷データPDを生成する。
【0071】
ステップS180では、CPU31は、上記ステップS105で取得された印刷データPDの幅寸法に基づき、第1部分印字ラベルL1の幅寸法と第2部分印字ラベルL2の幅寸法とを決定する。CPU31は、決定した幅寸法に基づいて印刷データPDを分割し、第1部分印刷データPD1aと第2印刷データPD2aとを生成する。この際、CPU31は、この時生成される第1部分印刷データPD1および第2部分印刷データPD2の両方がそれぞれ第3画像を半分ずつ印刷可能なデータとなっている。当該ステップS180が幅決定処理の一例である。
【0072】
そして、ステップS185で、CPU31は、ステップS180で生成した第1部分印刷データPD1aと第2印刷データPD2aを印刷装置に送信する。
【0073】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態においては、ユーザが最終的に意図する印字ラベルLの幅寸法に対応させて印刷データPDの寸法設定を行うと、その印刷データPDの寸法に基づき、第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2の幅寸法がそれぞれ決定される。第2実施形態によれば、印刷オブジェクトOBに基づくスプリット印刷であるか、印字ラベルLの幅寸法に基づくスプリット印刷かの違いにより部分印字ラベルの作成方法を変えることで、よりユーザの目的に沿った印字ラベルLを得ることができる。第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2を隣接させて貼った場合に、全体として意図する幅寸法になった印字ラベルLを得ることができる。
【0074】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、印刷装置において印刷データの生成を行うと共に印刷を行う場合、すなわちいわゆるスタンドアロンの場合の実施形態である。
【0075】
第3実施形態に係る印刷装置2の構成は、前述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0076】
<制御手順>
本実施形態において、印刷装置2のCPU23aが実行する制御手順の一例を、
図10のフローチャートにより説明する。なお、
図10において前述の
図6と同様の処理手順については、適宜説明を省略する。
【0077】
ステップS303では、CPU23aは、印刷オプション設定画面を表示部21に表示し、ユーザによる印刷オプションの設定入力を受け付ける。印刷オプションの設定には、例えば透明ラベルによる補間印刷機能のオンまたはオフが含まれる。
【0078】
ステップS305では、CPU23aは、前述の
図3(a)又は
図3(b)に示した編集画面を表示部21に表示し、ユーザによる印刷データの編集を受け付ける。
【0079】
ステップS310~ステップS330は、
図6のステップS10~ステップS30と同様であるため説明を省略する。
【0080】
ステップS335では、CPU23aは、上記ステップS330で生成した印刷データに基づき、印刷データをラベル用テープTPに印刷して印字ラベルを生成する。その後、本フローチャートを終了する
【0081】
ステップS340~ステップS350は、
図6のステップS40~ステップS50と同様であるため説明を省略する。
【0082】
ステップS355では、CPU23aは、上記ステップS350で生成した第1印刷データPD1aと第2印刷データPD2aに基づき、第1印刷データPD1aをラベル用テープTP1に印刷して第1印字ラベルL1aを作成し、第2印刷データPD2aをラベル用テープTP2に印刷して第2印字ラベルL2aを作成する。その後、本フローチャートを終了する。当該ステップS355が印刷処理の一例である。
【0083】
ステップS356~ステップS365は、
図6のステップS56~ステップS65と同様であるため説明を省略する。当該ステップS365が第1生成処理及び第2生成処理の一例である。
【0084】
ステップS370では、CPU23aは、上記ステップS365で生成した第1部分印刷データPD1、第2部分印刷データPD2および第3部分印刷データPD3に基づき、第1部分印刷データPD1をラベル用テープTP1に印刷して第1部分印字ラベルL1を作成し、第2部分印刷データPD2をラベル用テープTP2に印刷して第2部分印字ラベルL2を作成し、第3部分印刷データPD3をラベル用テープTP3に印刷して第3部分印字ラベルL3を作成する。その後、本フローチャートを終了する。当該ステップS370が印刷処理の一例であると共に、第1印刷処理、第2印刷処理、および、第3印刷処理の一例である。
【0085】
<第3実施形態の効果>
以上説明した第3実施形態においても、前述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
<変形例>
なお、本発明は、上記第1~第3実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例について順に説明する。
【0087】
<透明ラベルに重複印刷する場合>
第3部分印字ラベルL3を第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2に対して貼り付ける際には、第1画像および第2画像が形成されない余白領域BS1,BS2を第3画像で埋め合わせることができるように、精度良く位置決めすることが好ましい。位置決めが容易となるように、第3部分印字ラベルL3に対して、他の第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2の画像と一部重複するように印刷を行ってもよい。
【0088】
図11に、本変形例における印字データおよび印字ラベルの一例を示す。
図11に示すように、印字バッファに記憶された印刷データPDが分割されて、第1部分印刷データPD1と、第2部分印刷データPD2と、第3部分印刷データPD3とが生成される。第1部分印刷データPD1及び第2部分印刷データPD2は、前述の
図5と同様であるため説明を省略する。第3部分印刷データPD3は、幅方向の両側に、第1部分印刷データPD1の一部及び第2部分印刷データPD2の一部を含む。具体的には、第3部分印刷データPD3は、第3部分印字ラベルL3のうち、第3印刷領域PS3に第3画像を印刷すると共に、第3印刷領域PS3よりテープ幅方向の一方側に第1画像の一部を印刷し、第3印刷領域PS3よりテープ幅方向の他方側に第2画像の一部を印刷するためのデータである。
【0089】
本変形例においては、第3部分印刷データPD3により印刷が行われると、第3部分印字ラベルL3の第3印刷領域PS3に第3画像が形成されると共に、第3印刷領域PS3のテープ幅方向一方側に第1画像の一部が形成され、第3印刷領域PS3のテープ幅方向他方側に第2画像の一部が形成される。第3部分印字ラベルL3に印刷された第1画像の一部と第2画像の一部を、第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2に印刷された第1画像および第2画像と重ね合わせることにより、第3部分印字ラベルL3を第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2に対して精度よく位置決めして貼り付けることができる。
【0090】
ユーザは、印刷オプション設定画面において、透明ラベルで補間印刷する際の補間印刷方法について、さらに詳細に設定できるようにしてもよい。以下、透明テープの消費量を節約する設定を行った場合、位置決め用マークを印刷する設定を行った場合について、説明する。
【0091】
<透明テープの消費量を節約する場合>
印字ラベルLの全体に印刷される画像のうち、第1画像及び第2画像による欠落部分を補う第3画像の中に、印刷が行われない空白部分が含まれる場合、透明のラベル用テープTP3の消費量を節約するために、当該空白部分については第3部分印字ラベルL3を作成しないようにしてもよい。この場合、ユーザは当該節約機能を使用するか否かを選択できてもよい。
図12に、本変形例における印刷オプション設定画面の一例を示す。
図12に示すように、印刷オプション設定画面には例えばチェックボックス38a,38b,38cが表示されている。ユーザが当該チェックボックス38aをチェックした場合には透明ラベルによる補間印刷が実行され、ユーザが当該チェックボックス38aをチェックしなかった場合には透明ラベルによる補間印刷が実行されない。ユーザがチェックボックス38bをチェックした場合には、空白部分を印刷しないように透明ラベルによる補間印刷が実行される。一方、ユーザが当該チェックボックス38bをチェックしなかった場合には、空白部分の有無に関係なく透明ラベルが他のラベルと同じ長さで作成される。なお、チェックボックス38bによる設定は、チェックボックス38aがチェックされた場合にのみ可能となる。チェックボックス38cについては後述する。
【0092】
本変形例によれば、第3部分印字ラベルL3を貼っても実質的に意味のない、非印刷データ部分に対応する領域については第3部分印字ラベルL3の生成を行わないようにすることで、ラベル用テープTP3の無駄な消費を抑制し、ラベル用テープTP3を節約することができる。
【0093】
図13に、透明テープの消費量を節約する場合の編集画面の具体例を示す。
図13に示す例では、例えば3つの印刷オブジェクトOB1,OB2,OB3がラベル用テープTPの画像上に配置される。印刷オブジェクトOB1,OB2は例えば「123」および「ABC」のテキストボックスであり、印刷オブジェクトOB3は例えば2次元コードを表すコード画像である。印刷オブジェクトOB1,OB2,OB3のサイズや位置は、任意のサイズおよび位置に調整される。
図13に示す例では、例えば印刷オブジェクトOB1,OB2はそれぞれ単体のラベル用テープTPの印刷領域内に収容されるように配置され、印刷オブジェクトOB3は2枚のラベル用テープTPに亘るように配置されている。印刷オブジェクトOB1,OB2,OB3が所定画像の一例である。
【0094】
第1部分印刷データPD1は、例えば印刷オブジェクトOB1の画像と印刷オブジェクトOB3の上部分の画像である第1画像を印刷するための印刷データである。第2部分印刷データPD2は、例えば印刷オブジェクトOB2の画像と印刷オブジェクトOB3の下部分の画像を含む第2画像を印刷するための印刷データである。
【0095】
図14に、上記の場合の印字ラベルの一例を示す。
図14に示すように、3つの印刷オブジェクトOB1,OB2,OB3のうち、2枚の印字ラベルL1,L2の境界を跨ぐ印刷オブジェクトOB3についてのみ第3部分印字ラベルL3が作成され、境界を跨がない印刷オブジェクトOB1,OB2については第3部分印字ラベルL3は作成されない。ユーザは、第3部分印字ラベルL3を、幅方向に隣接して配置した第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2の印刷オブジェクトOB2部分の境界を跨ぐように貼ることで、第1画像、第2画像、第3画像を合わせた全体で「123」「ABC」のテキスト及び2次元コードからなる画像の外観となる印字ラベルLを実現できる。さらに、ラベル用テープTP3の無駄な消費を抑制し、ラベル用テープTP3を節約することができる。
【0096】
本変形例における上記の第3部分印字ラベルL3の作成を実現するために、情報端末3,4のCPU31は次のような処理を実行する。すなわち、前述の
図6
に示すステップS65において、CPU31は、第1画像を形成するための第1部分印字ラベルL1の第1媒体長に関する情報を対応付けた第1部分印刷データPD1、および、第2画像を形成するための第2部分印字ラベルL2の第2媒体長であって第1媒体長と同じ長さの第2媒体長に関する情報を対応付けた第2部分印刷データPD2を生成する。CPU31は、第3画像に、第3部分印字ラベルL3の長手方向において所定長さ以上の非印刷データ部分が含まれるか否かを判定する。CPU31は、第3画像に、第3部分印字ラベルL3の長手方向において所定長さ以上の非印刷データ部分が含まれないと判定した場合、第1実施例で記載したように、第1媒体長、第2媒体長と同じ長さである第3媒体長に関する情報を対応付けた第3部分印刷データPD3を生成する。一方で、CPU31は、所定長さ以上の非印刷データ部分が含まれると判定した場合には、第3画像のうち非印刷データではない印刷データ部分に対応した第3部分印字ラベルL3の第3媒体長であって、第1媒体長および第2媒体長よりも短い第3媒体長に関する情報を対応付けた第3部分印刷データPD3を生成する。当該ステップS65が第2判定処理の一例でもある。なお、CPU31は、第3部分印字ラベルL3の長手方向において所定長さ以上の非印刷データ部分が含まれるか否かを判定する際に、第3画像に非印刷データ部分しか含まれないと判定する場合に、CPU31は、第1画像と第2画像との間において所望の画像のうち当該第1画像および当該第2画像で欠落した部分がないと判定し、第3部分印刷データPD3を生成しない。なお、このステップS65における判定が、第1判定処理の一例でもある。
【0097】
その後、ステップS70では、CPU31は、第1媒体長に関する情報を対応付けた第1部分印刷データPD1、第2媒体長に関する情報を対応付けた第2部分印刷データPD2、および、第3部分印刷データPD3を印刷する際には第3媒体長に関する情報を対応付けた第3部分印刷データPD3を印刷装置2に送信する。これにより、印刷装置2では、第1部分印刷データPD1がラベル用テープTP1に印刷されて第1媒体長の第1部分印字ラベルL1が作成され、第2部分印刷データPD2がラベル用テープTP2に印刷されて第2媒体長の第2部分印字ラベルL2が作成され、第3部分印刷データPD3がラベル用テープTP3に印刷されて第3媒体長の第3部分印字ラベルL3が作成される。
【0098】
本変形例においては、第3画像の中に、所定長さ以上の非印刷データ部分が含まれる場合、第3画像のうち非印刷データではない印刷データ部分に対応した第3部分印刷データPD3の第3媒体長であって、第1画像を形成するための第1部分印字ラベルL1の第1媒体長および第2画像を形成するための第2部分印字ラベルL2の第2媒体長よりも短い第3媒体長に関する情報を対応付けた第3部分印刷データPD3が生成される。これにより、印刷データ部分に対応する長さを媒体長として第3部分印刷データPD3を生成するため、ラベル用テープTP3の無駄な消費を抑制し、印刷媒体であるラベル用テープTP3を節約することができる。
【0099】
<位置決め用マークを印刷する場合>
印刷オブジェクトが例えば2次元コードを表すコード画像等を含む場合に、当該印刷オブジェクトが第1部分印字ラベルL1と第2部分印字ラベルL2とに跨って印刷される場合、それらを隣接させて貼る時にもし位置ずれが生じると2次元コードの読取不良が起こる可能性がある。したがって、第1部分印字ラベルL1と第2部分印字ラベルL2とを精度良く位置決めできるように、第1部分印字ラベルL1と第2部分印字ラベルL2に対して位置決め用マークを印刷してもよい。
【0100】
この場合、ユーザは位置決め用マークを印刷するか否かを選択できてもよい。前述の
図12に示すように、印刷オプション設定画面にはチェックボックス38cが表示されている。ユーザが当該チェックボックス38cをチェックした場合には、位置決め用マークの印刷が実行される。一方、ユーザが当該チェックボックス38cをチェックしなかった場合には、位置決め用マークの印刷は実行されない。なお、チェックボックス38cによる設定は、チェックボックス38aがチェックされた場合にのみ可能となる。
【0101】
図15に、位置決め用マークを印刷する場合の印字ラベルの一例を示す。なお、
図15に示す印刷内容は前述の
図13に対応している。
図15に示すように、第1部分印字ラベルL1の第1印刷領域PS1には「123」のテキストからなる印刷オブジェクトOB1および2次元コードの画像である印刷オブジェクトOB3の上部分を含む第1画像が印刷され、第2部分印字ラベルL2の第2印刷領域PS2には「ABC」のテキストからなる印刷オブジェクトOB2及び印刷オブジェクトOB3の下部分を含む第2画像が印刷されている。第1画像は、第1印刷領域PS1の幅方向一方側における長手方向両端近傍にそれぞれ位置決め用マークPM1の画像を含む。第2画像は、第2印刷領域PS2の幅方向他方側における長手方向両端近傍にそれぞれ位置決め用マークPM2の画像を含む。第1画像を印刷するための第1部分印刷データPD1および第2画像を印刷するための第2部分印刷データPD2は、位置決め用マークPM1,PM2の画像を印刷するためのデータを含む。位置決め用マークPM1,PM2は、第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2の貼り合わせ時に互いの長手方向の位置合わせをするためのマークである。位置決め用マークPM1,PM2は、
図15では例えば直線のマークとして印刷されているが、印字ラベルL1,L2の長手方向の位置決めが可能であれば直線以外のマークとしてもよい。位置決め用マークPM1,PM2は、位置決め用のマーク画像の一例である。
【0102】
本変形例によれば、第1部分印刷データPD1および第2部分印刷データPD2により印刷が行われると位置決め用マークPM1,PM2が第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2に印刷されるので、それらを隣接させて貼るときに精度よく位置決めを行うことができる。これにより、2次元コードの読取不良を防止できる。なお、本変形例では、2次元コードを表すコード画像等を含む場合に位置決め用マークPM1,PM2を印刷するが、コード画像を含むか否かに限らず、位置決め用マークPM1,PM2を印刷するようにしてもよい。
【0103】
なお、第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2に加えて、第3部分印字ラベルL3にも位置決め用マークを印刷してもよい。その場合に、第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2と、第3部分印字ラベルL3との間で、位置決め用マークの一部が重複するように印刷してもよい。この場合、第1部分印字ラベルL1および第2部分印字ラベルL2に対して第3部分印字ラベルL3を精度良く位置決めして貼り付けることができる。
【0104】
以上では、印字データを3つに分割し、1枚の透明ラベルを2枚の印字ラベルに対して貼り付ける場合について説明したが、さらに幅の広い印字ラベルを得たい場合には、印字データを5つ以上に分割してもよい。例えば印字データを5つに分割する場合には、2枚の透明ラベルを3枚の印字ラベルの境界に対して貼り付ける構成となる。その際、3枚の印字ラベルのうち中央の印字ラベルのテープ幅を小さくすることで、貼り付ける透明ラベルを幅広の1枚の透明ラベルとして印字データを4つに分割してもよい。また、部分印刷データPD1~PD3の分割方法はこれに限らない。例えば、印刷データPDを2分割した第1部分印刷データPD1と第2部分印刷データPD2を作成し、印字ラベルを作成する際に、余白領域に対応するため、第1部分印刷データPD1と第2部分印刷データPD2のうち読み捨てられる領域に対応するデータを第3部分印刷データPD3として生成してもよい。また、
図6のステップS70や
図9のステップS170や
図10のステップS370において、第3部分印刷データの印刷にあたり、印刷装置に装着されているカセットの媒体色情報を取得し、媒体色が透明である場合には、第3部分印刷データを印刷し、透明でない場合は、透明色の媒体を含むカセットに変更する旨のメッセージを表示し、第3部分印刷データを印刷しないようにしてもよい。
【0105】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0106】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0107】
但し、例えばしきい値(
図6、
図9、
図10、
図13のフローチャート参照)や基準値等、所定の判定基準となる値あるいは区切りとなる値の記載がある場合は、それらに対しての「同一」「等しい」「異なる」等は、上記とは異なり、厳密な意味である。
【0108】
また、
図6、
図9、
図10、
図13等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0109】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0110】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0111】
1 印刷システム
2 印刷装置
3 情報端末(コンピュータの一例)
4 情報端末(コンピュータの一例)
23a CPU(制御部の一例)
27 印字ヘッド(印刷部の一例)
BS1 第1余白領域
BS2 第2余白領域
BS3 第3余白領域
L1 第1部分印字ラベル
L2 第2部分印字ラベル
L3 第3部分印字ラベル
L3a 第3部分印字ラベル
L3b 第3部分印字ラベル
L3c 第3部分印字ラベル
OB 印刷オブジェクト(所定画像の一例)
OB1 印刷オブジェクト(所定画像、特定所定画像の一例)
OB2 印刷オブジェクト(所定画像の一例)
PD1 第1部分印刷データ
PD2 第2部分印刷データ
PD3 第3部分印刷データ
PM1 位置決め用マーク
PM2 位置決め用マーク
PS1 第1印刷領域
PS2 第2印刷領域
PS3 第3印刷領域
TP ラベル用テープ(印刷媒体の一例)
TP1 ラベル用テープ(第1印刷媒体の一例)
TP2 ラベル用テープ(第2印刷媒体の一例)
TP3 ラベル用テープ(第3印刷媒体の一例)