(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176775
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電動ショベル、ショベル管理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089245
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中田 薫
(57)【要約】
【課題】電動ショベルに設けられた構成の劣化を抑制する。
【解決手段】一実施形態に係る電動ショベルは、電動機を有し、当該電動ショベルを保管するための保管モードを設定するか否かを切り替え可能であり、作業者によるキー操作によって電動ショベルの稼働を停止させた稼働停止状態において、保管モードが設定されている場合に実行可能な機能として、電動ショベルが有する複数の機能から少なくとも一つ以上を選択して設定するように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を有し、
当該電動ショベルを保管するための保管モードを設定するか否かを切り替え可能であり、
作業者によるキー操作によって前記電動ショベルの稼働を停止させた稼働停止状態において、前記保管モードが設定されている場合に実行可能な機能として、前記電動ショベルが有する複数の機能から少なくとも一つ以上を選択して設定するように構成されている、
電動ショベル。
【請求項2】
前記保管モードが設定されている場合に実行可能な機能として、電源から、前記電動ショベルに設けられたバッテリを充電する機能が設定されるように構成されている、
請求項1に記載の電動ショベル。
【請求項3】
外部に設けられた前記電源と接続するための接続部をさらに有し、
前記バッテリは、前記電動機に電力を供給可能であり、
前記保管モードを設定されている場合に実行可能な機能として、前記接続部を介して接続されている、外部に設けられた前記電源から、前記バッテリに充電する機能が設定されるように構成されている、
請求項2に記載の電動ショベル。
【請求項4】
前記保管モードを設定されている場合に実行可能な機能として、前記電源として機能する第1バッテリから、第2バッテリに充電する機能が設定されるように構成され、
前記第1バッテリは、前記電動機に電力を供給可能であり、
前記第2バッテリは、前記電動ショベルに設けられた機器に電力を供給可能である、
請求項2に記載の電動ショベル。
【請求項5】
前記保管モードを設定されている場合に、前記電源から、前記電動ショベルに設けられた前記バッテリを充電する際に満充電になる前に、充電を停止するように構成されている、
請求項2に記載の電動ショベル。
【請求項6】
前記保管モードが設定されている場合に実行可能な機能として、前記バッテリを充電する許可を要求する情報の送信、前記バッテリの充電結果の送信、及び、前記バッテリの充電の予定を示した情報の送信のうちいずれか一つ以上を行うための機能が設定されるように構成されている、
請求項2乃至5のいずれか一つに記載の電動ショベル。
【請求項7】
前記保管モードを設定された場合に、加熱部又は冷却装置を用いて、前記バッテリの温度の調整を行うように構成されている、
請求項2に記載の電動ショベル。
【請求項8】
外部に設けられた電源と接続するための接続部をさらに有し、
前記保管モードを設定された場合に実行できる機能として、前記接続部を介して接続されている前記電源から、前記電動ショベルに設けられた監視装置に電力を供給し、当該監視装置の動作させる機能が設定されるように構成されている、
請求項1に記載の電動ショベル。
【請求項9】
電動ショベルと、通信装置と、で構成されるショベル管理システムであって、
前記電動ショベルは、
電動機を有し、
前記電動ショベルを保管するための保管モードを設定するか否かを切り替え可能であり、
作業者によるキー操作によって前記電動ショベルの稼働を停止させた稼働停止状態において、前記保管モードが設定されている場合に実行可能な機能として、所定の構成を用いた機能の動作に関する通知を前記通信装置に送信する機能を設定するように構成され、
前記通信装置は、
前記電動ショベルから受信した前記通知に関する情報を出力するように構成されている、
ショベル管理システム。
【請求項10】
電動機を有した電動ショベルに搭載されたコンピュータに対して、
前記電動ショベルを保管するための保管モードを設定するか否かを切り替える手順と、
作業者によるキー操作によって前記電動ショベルの稼働を停止させた稼働停止状態において、前記保管モードが設定されている場合に実行可能な機能として、前記電動ショベルが有する複数の機能から少なくとも一つ以上を選択して設定する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動ショベル、ショベル管理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ショベルに電動モータを搭載する傾向にある。当該ショベルにおいては、本体に設けられたバッテリから供給される電力で電動モータを駆動させている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エンジンと電動モータとを備えたハイブリッドショベルが開示されている。
【0004】
ところで、ショベルにバッテリを搭載した際に、長期間利用されない場合には自己放電によって充電量が低下するので、バッテリに劣化が生じる可能性がある。
【0005】
特許文献1においては、長期利用されない場合には遠隔でエンジンを起動して、当該エンジンの駆動によってバッテリを充電することで、充電量の低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、エンジンを搭載していない電動ショベルが用いられる傾向にある。このような電動ショベルにおいても、長期間利用されない場合には自己放電によってバッテリの充電量が低下する。しかしながら、電動ショベルにおいては、ハイブリッドショベルのようにエンジンが搭載されていないので、特許文献1に記載された技術を適用することは難しい。
【0008】
さらには、電動ショベルには、バッテリ以外に様々な構成が設けられている。電動ショベルが長期間利用されない場合、安全性等の観点からも、電動ショベルに設けられた構成等を動作させることが好ましい。つまり、電動ショベルに設けられた構成等を動作させることで、電動ショベルを適切な状態として維持できる。例えば、電動ショベルの防犯に関する構成を動作させることで、電動ショベルの盗難を防止できる。
【0009】
そこで、上記課題に鑑み、電動ショベルが長期間利用されない場合に、所定の構成を用いた動作を行うことで、電動ショベルの構成の劣化を防止させる。または、所定の構成を用いた動作を行うことで、電動ショベルの安全性を向上させる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態に係る電動ショベルは、電動機を有し、当該電動ショベルを保管するための保管モードを設定するか否かを切り替え可能であり、作業者によるキー操作によって電動ショベルの稼働を停止させた稼働停止状態において、保管モードが設定されている場合に実行可能な機能として、電動ショベルが有する複数の機能から少なくとも一つ以上を選択して設定するように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
上述の実施形態によれば、電動ショベルが利用されない場合に、電動ショベルが有する複数の機能から少なくとも一つ以上を選択して設定することで、電動ショベルの構成の劣化を防止させる、又は電動ショベルの安全性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るショベル管理システムの一例を示す概要図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るショベルのハード構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るショベルに搭載される、空調システム及び電装品に関する電源系の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るショベル冷却系の構成の一例を概略的に示した図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るショベル管理システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るショベルコントローラ及びバッテリコントローラによる、長期保管モード設定時の制御を示したフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るショベル管理システムにおいて、充電開始の許可を要求する場合の送受信を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、
図1を参照して、ショベル管理システムSYSの概要を説明する。
図1は、第1の実施形態に係るショベル管理システムSYSの一例を示す概要図である。
【0015】
<ショベル管理システムを構成する機器>
図1に示すように、第1の実施形態に係るショベル管理システムSYSは、ショベル200と、支援装置400(通信装置の一例)と、を含んでいる。
【0016】
ショベル管理システムSYSのユーザには、例えば、ショベル200のユーザ(以下、「ショベルユーザ」)が含まれる。ショベルユーザには、ショベル200のオペレータ等が含まれる。また、ショベル管理システムSYSのユーザには、支援装置400のユーザ(以下、「支援装置ユーザ」)が含まれる。支援装置ユーザには、作業現場の監督者、ショベル200のメンテナンスを担当するサービスマン、ショベル200のオーナ等が含まれる。
【0017】
また、ショベル管理システムSYSは、例えば、支援装置400において、ユーザからの入力に応じて、又は、自動で、ショベル200の制御に関する各種設定を行い、ショベル200に送信してよい。これにより、支援装置400からショベル200の各種動作を制御したり、監視したりできる。
【0018】
ショベル管理システムSYSに含まれるショベル200は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。これにより、ショベル管理システムSYSは、複数のショベル200を対象として、データ収集、収集されたデータに基づくユーザへの情報提供、ショベル200の制御に関する設定等を行うことができる。
【0019】
また、ショベル管理システムSYSに含まれる支援装置400は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。これにより、ショベル管理システムSYSは、複数台の支援装置400を通じて、それぞれを使用する複数のユーザにショベル200に関する情報提供を行うことができる。
【0020】
<ショベルの概要>
電動ショベルの一例として、本実施形態に係るショベル200の概要を説明する。
【0021】
本実施形態に係るショベル200は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10とを備える。
【0022】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1R,1L(
図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
【0023】
上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、旋回油圧モータ2M(
図2参照)で油圧駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。メインポンプ14(
図2参照)から供給される作動油で全ての被駆動要素(例えば、旋回油圧モータ2M)が油圧駆動される。いわゆる油圧ショベルの動力源(エンジン)をポンプ用電動機12に置換した構成に相当する。
【0024】
また、上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、旋回油圧モータ2Mの代わりに、バッテリモジュール19から供給される電力で駆動する旋回用電動機で電気駆動されてもよい。この場合、例えば、ショベル200は、バッテリモジュール19からインバータを介して旋回用電動機に接続される。そして、旋回用電動機は、ショベルコントローラ30及びインバータの制御下で、上部旋回体3を旋回駆動する力行運転、及び回生電力を発生させて上部旋回体3を旋回制動する回生運転を行ってもよい。また、旋回用電動機は、インバータを介して、回生電力をバッテリモジュール19やポンプ用電動機12に供給してもよい。
【0025】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に取り付けられ、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に取り付けられる。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0026】
バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、アーム5の先端には、作業内容等に応じて、バケット6の代わりに、他のエンドアタッチメントが取り付けられてもよい。他のエンドアタッチメントは、例えば、法面用バケット、浚渫用バケット等のバケット6と異なる種類のバケットであってよい。また、他のエンドアタッチメントは、例えば、ブレーカ、攪拌機、グラップル等のバケットと異なる種類のエンドアタッチメントであってもよい。
【0027】
キャビン10は、上部旋回体3の前部左側に搭載され、その内部(室内)には、オペレータが着座する操縦席や後述する操作装置26(
図2参照)等が設けられる。
【0028】
ショベル200は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を動作させる。
【0029】
また、ショベル200は、キャビン10に搭乗するオペレータによって操作可能に構成されるのに代えて、又は、加えて、ショベル200の外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベル200が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0030】
撮像装置40は、ショベル200の周辺を撮像し、画像を取得する。撮像装置40は、撮像結果である撮像画像データを、ショベルコントローラ30に出力する。
【0031】
撮像装置40は、例えば、単眼カメラ、ステレオカメラ、デプスカメラ等である。また、撮像装置40は、撮像画像データに基づき、所定の撮像範囲(画角)内におけるショベル200の周辺の物体の位置及び外形を表す三次元データ(例えば、点群データやサーフェスデータ)を取得してもよい。
【0032】
撮像装置40は、上部旋回体3に4個設けられ、撮像装置40の各々は、上部旋回体3の前方、上部旋回体3の後方、上部旋回体3の左方、及び上部旋回体3の右方を撮像する。これにより、オペレータは、出力装置50や遠隔操作用表示装置を通じて、上部旋回体3の左方、右方、及び後方の様子を確認できる。
【0033】
遠隔操作には、例えば、所定の外部装置(例えば、支援装置400)で行われるショベル200のアクチュエータに関する操作入力によって、ショベル200が操作される態様が含まれる。この場合、ショベル200は、例えば、撮像装置40が出力する画像情報(撮像画像)を、後述の通信インタフェース(I/F)70を通じて、外部装置に送信してよい。そして、外部装置は、外部装置に設けられる表示装置(以下、「遠隔操作用表示装置」)に受信される画像情報(撮像画像)を表示させてよい。また、ショベル200のキャビン10の内部の出力装置50に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、外部装置の遠隔操作用表示装置にも表示されてよい。これにより、外部装置のオペレータは、例えば、遠隔操作用表示装置に表示されるショベル200の周囲の様子を表す撮像画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベル200を遠隔操作することができる。そして、ショベル200は、通信I/F70により外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0034】
また、遠隔操作には、例えば、ショベル200の周囲の人(例えば、作業者)のショベル200に対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベル200が操作される態様が含まれてよい。具体的には、ショベル200は、ショベル200(自機)に搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)やジェスチャ入力装置(例えば、撮像装置40)等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベル200は、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してもよい。
【0035】
また、ショベル200は、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル200は、下部走行体1(例えば、クローラ1CL,1CR)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「自動運転機能」又は「MC(Machine Control:マシンコントロール)機能」)を実現する。
【0036】
自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)以外の被駆動要素(アクチュエータ)を自動で動作させる機能(いわゆる「半自動運機能」)が含まれてよい。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の被駆動要素(アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「完全自動運転機能」)が含まれてよい。ショベル200において、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、ショベル200が自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(いわゆる「自律運転機能」)が含まれてもよい。
【0037】
ショベル200は、後述の如く、通信I/F70を搭載し、通信回線NWを通じて、支援装置400と相互に通信を行う。これにより、ショベル200は、支援装置400にショベル200(自機)に関するデータを送信したり、ショベル200(自機)の制御に関するデータを受信したりすることができる。
【0038】
通信回線NWは、例えば、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)を含む。広域ネットワークには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網が含まれてよい。また、広域ネットワークには、例えば、通信衛星を利用する衛星通信網が含まれてよい。また、広域ネットワークには、例えば、インターネット網が含まれてよい。また、通信回線NWは、例えば、管理装置300が設置される施設等の内部のローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)を含む。ローカルネットワークは、有線であってもよいし、無線であってもよいし、その両方を含む態様であってもよい。また、通信回線NWは、例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線による近距離通信回線を含んでもよい。
【0039】
<支援装置の概要>
支援装置400は、例えば、ショベル管理システムSYSにおいて、ショベル200による作業現場の作業を管理する管理者、又はショベル200の所有者等が、情報提供を受けるために利用する端末装置(ユーザ端末)である。例えば、支援装置400は、ショベル200から各種通知を受信できると共に、他の通信装置(例えば他の支援装置400)との間で通話等を行うことができる。
【0040】
支援装置400は、例えば、ユーザが所持するタブレット端末、スマートフォン等の汎用の携帯端末である。また、支援装置400は、ラップトップ型のコンピュータ端末、又はデスクトップ型のコンピュータ等の汎用の定置端末であってもよい。また、支援装置400は、ショベル200に関するデータ(情報)の提供を受けるための専用の端末装置(携帯端末又は定置端末)であってもよい。
【0041】
支援装置400は、通信回線NWを通じて、ショベル200と相互に通信を行ってもよい。支援装置400は、他の通信装置を介して、間接的に、ショベル200と通信を行ってもよいし、直接的に、ショベル200と通信を行ってもよい。
【0042】
<ショベルの構成>
図2は、本実施形態に係るショベル200のハード構成の一例を概略的に示すブロック図である。なお、図中にて、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
【0043】
ショベル200は、被駆動要素の油圧駆動に関する油圧駆動系、ポンプ用電動機12等を動作させる電気駆動系、被駆動要素の操作に関する操作系、各種制御に関する制御系、バッテリを含めた電源系、ショベルの各構成を冷却する冷却系等のそれぞれの構成要素を含む。
【0044】
<<ショベルの油圧駆動系>>
図2に示すように、本実施形態に係るショベル200の油圧駆動系は、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。また、本実施形態に係るショベル200の油圧駆動系は、ポンプ用電動機12と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含む。
【0045】
ポンプ用電動機12(電動機の一例)は、油圧駆動系の動力源である。ポンプ用電動機12は、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。ポンプ用電動機12は、インバータ18を介してバッテリモジュール19を含む高圧電源と接続される。ポンプ用電動機12は、インバータ18を介してバッテリモジュール19から供給される三相交流電力で力行運転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。ポンプ用電動機12の駆動制御は、後述するショベルコントローラ30の制御下で、インバータ18により実行されてよい。
【0046】
メインポンプ14は、作動油タンクTから作動油を吸い込み、高圧油圧ライン16に吐出することにより、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、ポンプ用電動機12により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するショベルコントローラ30の制御下で、(図示しない)レギュレータが斜板の角度(傾転角)を制御する。これにより、メインポンプ14は、ピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を調整することができる。
【0047】
なお、メインポンプ14は、ポンプ用電動機12に加えて、他の動力源からの動力で駆動されてもよい。例えば、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギを回生し、メインポンプ14を駆動してもよい。具体的には、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギで、メインポンプ14の回転軸と同軸で配置される油圧モータを駆動させてよい。また、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギを回生し、発電機に発電を行わせてもよい。具体的には、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギで、発電機と同軸に配置される油圧モータを駆動することにより、発電機に発電を行わせてよい。この場合、発電機の発電電力は、ポンプ用電動機12に供給されたり、バッテリモジュール19に充電されたりしてよい。
【0048】
コントロールバルブ17は、オペレータの操作や自動運転機能に対応する操作指令に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)に選択的に供給可能に構成される。例えば、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向とを制御する複数の制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。メインポンプ14から供給され、コントロールバルブ17や油圧アクチュエータを通流した作動油は、コントロールバルブ17から作動油タンクTに排出される。
【0049】
<<ショベルの電気駆動系>>
本実施形態に係るショベル200の電気駆動系は、ポンプ用電動機12と、センサ12sと、インバータ18とを含む。また、本実施形態に係るショベル200の電気駆動系は、バッテリモジュール19等により構成される高圧電源を含む。
【0050】
センサ12sは、電流センサ12s1と、電圧センサ12s2と、回転状態センサ12s3とを含む。
【0051】
電流センサ12s1は、ポンプ用電動機12の三相(U相、V相、及びW相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ12s1は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18の間の電力経路に設けられる。電流センサ12s1により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18に取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、ショベルコントローラ30に取り込まれ、ショベルコントローラ30経由で、インバータ18に入力されてもよい。
【0052】
電圧センサ12s2は、ポンプ用電動機12の三相のそれぞれの印加電圧を検出する。電圧センサ12s2は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18の間の電力経路に設けられる。電圧センサ12s2により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの印加電圧に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18に取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、ショベルコントローラ30に取り込まれ、ショベルコントローラ30経由で、インバータ18に入力されてもよい。
【0053】
回転状態センサ12s3は、ポンプ用電動機12の回転状態(例えば、回転位置(回転角)、回転速度等)を検出する。回転状態センサ12s3は、例えば、ロータリエンコーダやレゾルバである。
【0054】
インバータ18は、ショベルコントローラ30の制御下で、ポンプ用電動機12を駆動制御する。インバータ18は、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号)を出力する制御回路とを含む。
【0055】
インバータ18の制御回路は、ポンプ用電動機12の動作状態を把握しながら、ポンプ用電動機12の駆動制御を行う。例えば、インバータ18の制御回路は、回転状態センサ12s3の検出信号に基づき、ポンプ用電動機12の動作状態を把握する。また、インバータ18の制御回路は、電流センサ12s1の検出信号及び電圧センサ12s2の検出信号(又は制御過程で生成する電圧指令値)に基づき、逐次、ポンプ用電動機12の回転軸の回転角等を推定することにより、ポンプ用電動機12の動作状態を把握してもよい。
【0056】
なお、インバータ18の駆動回路及び制御回路の少なくとも一方は、インバータ18の外部に設けられてもよい。
【0057】
バッテリモジュール19は、充電された電力を、ショベル200内の電子部品に供給するための構成とする。具体的な構成については後述する。
【0058】
<<ショベルの操作系>>
本実施形態に係るショベル200の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、圧力制御弁31とを含む。
【0059】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介してショベル200に搭載される各種油圧機器(例えば、圧力制御弁31)にパイロット圧を供給する。これにより、圧力制御弁31は、ショベルコントローラ30の制御下で、操作装置26の操作内容(例えば、操作量や操作方向)に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。そのため、ショベルコントローラ30及び圧力制御弁31は、オペレータの操作装置26に対する操作内容に応じた被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現することができる。また、圧力制御弁31は、ショベルコントローラ30の制御下で、遠隔操作信号で指定される遠隔操作の内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、ポンプ用電動機12により駆動される。
【0060】
操作装置26は、キャビン10の操縦席のオペレータから手の届く範囲に設けられ、オペレータがそれぞれの被駆動要素(即ち、下部走行体1の左右のクローラ、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うために用いられる。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータ(例えば、走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)や電動アクチュエータの操作を行うために用いられる。操作装置26は、例えば、電気式であり、オペレータによる操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力する。操作装置26から出力される操作信号は、信号線28を介して、ショベルコントローラ30に取り込まれる。これにより、ショベルコントローラ30は、圧力制御弁31を制御し、オペレータの操作内容や自動運転機能に対応する操作指令等に合わせて、ショベル200の被駆動要素(アクチュエータ)の動作を制御することができる。
【0061】
操作装置26は、例えば、レバー26A~26Cを含む。レバー26Aは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、アーム5(アームシリンダ8)及び上部旋回体3(旋回動作)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Bは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、ブーム4(ブームシリンダ7)及びバケット6(バケットシリンダ9)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Cは、例えば、下部走行体1(クローラ)の操作を受け付け可能に構成されてよい。
【0062】
なお、コントロールバルブ17が電磁パイロット式の制御弁(方向切換弁)で構成される場合、電気式の操作装置26の操作信号は、コントロールバルブ17に直接入力され、それぞれの油圧制御弁が操作装置26の操作内容に応じた動作を行う態様であってもよい。また、操作装置26は、操作内容に応じたパイロット圧を出力する油圧パイロット式であってもよい。この場合、操作内容に応じたパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0063】
圧力制御弁31は、ショベルコントローラ30の制御下で、パイロットポンプ15からパイロットライン25を通じて供給される作動油を用いて、所定のパイロット圧を出力する。圧力制御弁31の二次側のパイロットラインは、コントロールバルブ17に接続され、圧力制御弁31から出力されるパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0064】
<<ショベルの制御系>>
本実施形態に係るショベル200の制御系は、通信I/F70と、ショベルコントローラ30と、出力装置50と、入力装置52と、を含む。
【0065】
通信I/F70(入力装置の一例)は、通信回線NWを通じて、管理装置300又は支援装置400等のショベル200の外部と通信を行う。通信I/F70は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールや衛星通信網に接続するための衛星通信モジュール等を含む。
【0066】
出力装置50は、キャビン10内に設けられ、ショベルコントローラ30の制御下で、オペレータに向けて各種情報を出力する。出力装置50は、例えば、視覚的な方法で情報をオペレータに出力(通知)する表示装置を含む。表示装置は、例えば、キャビン10内のオペレータから視認し易い場所に設置され、ショベルコントローラ30の制御下で、各種情報画像を表示してよい。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。また、出力装置50は、例えば、オペレータに対して聴覚的な方法で情報を出力する音出力装置を含む。音出力装置は、例えば、ブザーやスピーカ等である。
【0067】
入力装置52は、キャビン10内に設けられ、オペレータからの各種入力を受け付ける。入力装置52は、例えば、オペレータの操作入力を受け付ける操作入力装置を含んでよい。操作入力装置は、例えば、ボタン、トグル、レバー、タッチパネル、タッチパッド等を含む。また、入力装置52は、例えば、オペレータからの音声入力を受け付ける音声入力装置やオペレータからのジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含んでもよい。音声入力装置は、例えば、キャビン10内のオペレータの音声を取得するマイクロフォンを含む。また、ジェスチャ入力装置は、例えば、キャビン10内のオペレータのジェスチャの様子を撮像可能な室内カメラを含む。入力装置52で受け付けられるオペレータからの入力に対応する信号は、ショベルコントローラ30に取り込まれる。
【0068】
ショベルコントローラ30は、それぞれの機能が任意のハードウェア、又は、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、ショベルコントローラ30は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置(主記憶装置)、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び外部との入出力用のインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。
【0069】
ショベルコントローラ30は、ショベル200の駆動制御を行う。ショベルコントローラ30は、例えば、操作装置26から入力される操作信号に応じて、圧力制御弁31に制御指令を出力し、圧力制御弁31から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧を出力させる。これにより、ショベルコントローラ30は、電気式の操作装置26の操作内容に対応するショベル200の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0070】
また、ショベル200が遠隔操作される場合、ショベルコントローラ30は、例えば、遠隔操作に関する制御を行ってもよい。具体的には、ショベルコントローラ30は、圧力制御弁31に制御指令を出力し、圧力制御弁31から遠隔操作の内容に応じたパイロット圧を出力させてよい。これにより、ショベルコントローラ30は、遠隔操作の内容に対応するショベル200(被駆動要素)の動作を実現させることができる。
【0071】
また、ショベルコントローラ30は、例えば、自動運転機能に関する制御を行ってもよい。具体的には、ショベルコントローラ30は、圧力制御弁31に制御指令を出力し、自動運転機能に対応する操作指令に応じたパイロット圧を圧力制御弁31からコントロールバルブ17に作用させてよい。これにより、ショベルコントローラ30は、自動運転機能に対応するショベル200の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0072】
ショベルコントローラ30は、ショベル200の全体(ショベル200に搭載される各種機器)の動作を統合的に制御してよい。
【0073】
ショベルコントローラ30は、空調コントローラ81との間で相互通信を行うことで、ショベル200の空調に関する制御を行ってよい。また、ショベルコントローラ30は、例えば、DC-DCコンバータ90の稼働及び停止に関する制御を行ってよい。また、ショベルコントローラ30は、例えば、24V電装品(例えば、通信I/F70、撮像装置40、照明機器72)の動作及び停止に関する制御を行ってよい。なお、空調コントローラ81、及びDC-DCコンバータ90については後述する。
【0074】
照明機器72は、例えば、人感センサ付きであってもよい。例えば、照明機器72は、上部旋回体3の前端部に設けられ、人感センサがショベル200に人が近づいてきたことを検知した場合に、上部旋回体3の前方を照射する。
【0075】
ショベルコントローラ30は、入力される各種情報(例えば、操作装置26の操作信号を含む制御指令等)に基づき、電気駆動系の駆動制御を行う。また、ショベルコントローラ30は、撮像装置40からの撮像画像に基づいて、出力装置50に対する画面の表示制御を行ってもよい。
【0076】
また、ショベルコントローラ30は、例えば、操作装置26の操作状態に基づき、バッテリモジュール19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。また、ショベルコントローラ30は、例えば、ショベル200が遠隔操作される場合、遠隔操作の内容に基づき、バッテリモジュール19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。また、ショベルコントローラ30は、例えば、ショベル200の自動運転機能が有効な場合、自動運転機能に対応する操作指令に基づき、バッテリモジュール19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。
【0077】
<<ショベルの電源系>>
バッテリモジュール19の充電を行うためのショベル200の電源系については、
図3と共に説明する。
図3は、本実施形態に係るショベル200に搭載される、空調システム及び電装品に電力を供給する電源系の一例を示す図である。高圧ケーブルは太い実線、24Vケーブルは細い実線、信号線は点線、冷媒流路は一点鎖線、水管は2点鎖線でそれぞれ示される。
【0078】
ショベル200の電源系は、各種電気機器に電力を供給するための構成要素群である。また、ショベル200は、バッテリモジュール19の充電を行うための構成として、普通充電用車両インレット101と、急速充電用車両インレット102と、を含む。
【0079】
普通充電用車両インレット101(接続部の一例)は、外部に設けられた電源の所定のケーブル(以下「充電ケーブル」と称する)の先端部に設けられた充電コネクタ(充電用部材の一例)と接続可能に構成される。
【0080】
充電用AC-DCコンバータ103は、普通充電用車両インレット101を介して、外部の電源から供給された交流電力を、バッテリ192に充電可能な直流電力に変換して、バッテリモジュール19に供給する。
【0081】
急速充電用車両インレット102(接続部の一例)は、外部に設けられた電源(例えば充電ステーション)の充電ケーブルの先端部に設けられた充電コネクタ(充電用部材の一例)と接続可能に構成される。急速充電用車両インレット102は、例えば、CHAdeMO(登録商標)に基づいた急速充電を行うためのインレットである。本実施形態では、このような直流の充電方法を用いることで、AC-DCコンバータを介さずに、バッテリモジュール19に直流電力を供給できる。
【0082】
なお、本実施形態は、普通充電用車両インレット101及び急速充電用車両インレット102に接続する充電用部材として、充電ケーブルの先端部に設けられた充電コネクタで直接接続する例について説明する。しかしながら、本実施形態は、普通充電用車両インレット101、又は急速充電用車両インレット102に、充電コネクタで直接接続する手法に制限するものではない。例えば、無線給電方式による充電用部材を充電口に接続して、外部の電源から充電してもよい。
【0083】
本実施形態に係るショベル200のバッテリモジュール19は、ショベル200内の各構成に電力を供給する。
【0084】
本実施形態に係るショベル200のバッテリモジュール19は、ショベル200内の各構成に電力を供給する。例えば、バッテリモジュール19は、空調システム80等に電力を供給することもできる。
【0085】
バッテリモジュール19は、ジャンクションボックス193と、バッテリ192と、バッテリコントローラ191と、PTCヒータ194と、温度センサ195と、を含む。
【0086】
ジャンクションボックス193は、DC-DCコンバータ90、コンプレッサ82、バッテリ192、PTCヒータ83(電子部品の一例)、及び、後述する冷却装置60のウォータポンプ64の各々に、外部の電源から給電された電力を供給するか否かを切り替える各種リレー(切替部の一例)を含む。なお、リレーを設ける対象は、DC-DCコンバータ90、コンプレッサ82、バッテリ192、PTCヒータ83、及びウォータポンプ64に制限するものではなく、バッテリモジュール19から電力の供給先となる電子部品であればよい。
【0087】
バッテリ192は、ショベル200内の各種構成に対して電力を供給する。例えば、バッテリ192は、充電(蓄電)された電力をポンプ用電動機12に供給可能とする。
【0088】
さらに、バッテリ192は、充電(蓄電)された電力を、DC-DCコンバータ90、コンプレッサ82、及びPTCヒータ83のうち少なくとも一つ以上に供給可能とする。
【0089】
バッテリ192は、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102を介して、外部の電源と充電ケーブルで接続された時、ジャンクションボックス193内のバッテリ192に対応するリレーがオン状態になっている場合に、充電(蓄電)される。
【0090】
バッテリ192は、例えば、リチウムイオンバッテリであり、相対的に高い出力電圧(例えば、数百ボルト)を有する。
【0091】
温度センサ195は、バッテリ192の表面温度を検出し、検出結果を示した信号をバッテリコントローラ191に出力する。
【0092】
PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ194(加熱部の一例)は、電熱線ヒータの一種であって、バッテリ192の近傍に設けられ、バッテリコントローラ191からの制御に従って、バッテリ192を昇温する。なお、本実施形態は、バッテリ192を加熱する加熱部として、PTCヒータ194を用いる例について説明するが、加熱部をPTCヒータ194に制限するものではなく、バッテリ192を加熱可能な構成であればよい。
【0093】
バッテリコントローラ191(制御部の一例)は、バッテリモジュール19内部の構成を制御する。例えば、バッテリコントローラ191は、温度センサ195によるバッテリ192の温度状況の監視を行うと共に、バッテリ192のSOC(State Of Charge)を算出する。そして、バッテリコントローラ191は、算出したSOCをショベルコントローラ30に出力する。これにより、ショベルコントローラ30は、キャビン10の内部の出力装置50(表示装置)に、バッテリ192のSOCを表示させることができる。
【0094】
バッテリコントローラ191は、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102を介して、外部の電源と充電ケーブルで接続されたか否かによって、給電可能か否かを判定する。本実施形態では、外部の電源と、ショベル200と、の間を充電ケーブルが接続されているか否かに応じて、給電可能な状態であるか否かを判定する。なお、本実施形態は、給電可能か否かの判定手法を、充電ケーブルが接続されているか否かに応じた判定に制限するものではない。例えば、無線給電を行う場合に、外部の電源が設けられた充電設備との相互通信で、給電可能な状態であるか否かを判定する等、他の手法を用いてもよい。
【0095】
そして、バッテリコントローラ191は、外部の電源と充電ケーブルで接続されたと判定した場合(換言すれば、給電可能な状態であると判定された場合)に、外部の電源が設けられた充電設備との間で通信を行う。バッテリコントローラ191は、当該充電設備と通信によって、充電設備から電力の供給が許可された場合に、外部の電源からの給電が開始可能となる。また、バッテリコントローラ191は、充電設備との間の通信で、外部の電源から供給される電力量の調整を行ってもよい。
【0096】
そして、バッテリコントローラ191は、外部の電源から電力の供給が許可された場合に、ジャンクションボックス193内のバッテリ192に対応するリレーをオン状態に切り替えることで、バッテリ192の充電(電力の供給)が開始される。
【0097】
バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCを検出し、目的とするSOC(例えば満充電)に到達したと判定した場合に、バッテリ192に対応するリレーをオフ状態に切り替える。これにより、電力消費を抑制できる。
【0098】
さらに、バッテリコントローラ191は、外部の電源から電力の供給が許可された後、ショベルコントローラ30から電子部品への電力の供給要求を受け付けた場合に、当該電子部品に対応するリレーをオン状態に切り替え、外部の電源からの電力を、当該電子部品に供給して、当該電子部品が動作するよう制御する。
【0099】
本実施形態においては、ジャンクションボックス193に、電子部品の各々について、リレーが設けられている。このため、バッテリコントローラ191は、複数のリレーのうち、動作を開始させたい電子部品に対応するリレーをオン状態に切り替える。
【0100】
さらに、バッテリコントローラ191は、電子部品が動作するために必要な電力量を判断する。電力量の判定手法はどのような手法であってもよく、例えば、ショベルコントローラ30からの供給要求に、必要な電力量が含まれていてもよい。そして、バッテリコントローラ191は、外部の電源から供給されている電力のうち、当該電力量を電子部品に分配されるように、ジャンクションボックス193等の制御を行う。また、バッテリコントローラ191は、外部の電源が設けられた充電設備との間の通信で、電子部品を動作させるために必要な電力量を、さらに供給する旨の要求を行ってもよい。
【0101】
本実施形態では、上述した構成を備えることで、ジャンクションボックス193のリレーを切り替えて、動作を行う電子部品に電力を供給できる。
【0102】
なお、バッテリモジュール19とポンプ用電動機12との間には、バッテリモジュール19の出力電圧を昇圧してポンプ用電動機12に印加するための電力変換装置100が設けられてもよい。また、上述の如く、被駆動部の一部又は全部が電気駆動される場合、ポンプ用電動機12に代えて、又は、加えて、被駆動部を電気駆動する電動アクチュエータにバッテリモジュール19の電力が供給される。
【0103】
<<ショベルの空調系>>
本実施形態のショベル200の空調系は、空調システム80と、空調コントローラ81と、コンプレッサ82と、PTCヒータ83と、ヒータ用電動ポンプ84と、を含む。
【0104】
空調システム80は、キャビン10内部の空気及び構成の状態を調整できるように構成されている。空気の状態とは、例えば、温度又は湿度等である。本実施形態に係る空調システム80は、送風機、熱交換器、及び加湿器等の空気の状態を調整するための機器を一体的に含む装置ユニットである。
【0105】
例えば、空調システム80に含まれる熱交換器は、冷媒流路85Bから流入する冷媒と、周囲の空気との間で熱交換を行うことで、キャビン10内の周囲の空気の温度を調整する。
【0106】
さらに、空調システム80は、水管86Cから送られてきた、PTCヒータ83によって加熱された水によって、キャビン10内部の構成を昇温させる制御を行う。
【0107】
コンプレッサ82は、空調コントローラ81からの制御に従って、冷媒流路85Aから冷媒を吸い込み、冷媒流路85Bに吐出することにより、空調システム80内の冷媒を循環させる(動作の一例)。コンプレッサ82は、外部の電源から電力を供給するか否かを切り替え可能な電子部品の一例である。
【0108】
PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ83は、電熱線ヒータの一種であって、空調コントローラ81からの制御に従って、水管86Bから流れてくる水を加熱する制御を行う(動作の一例)。これにより加熱された水が、水管86Cを通って空調システム80に送られる。PTCヒータ83は、外部の電源から電力を供給するか否かを切り替え可能な電子部品の一例である。
【0109】
ヒータ用電動ポンプ84は、空調コントローラ81からの制御に従って、水管86Aから水を吸い込み、水管86Bに吐出することにより、空調システム80を含む水管86A、86B、86C内の水を循環させる。ヒータ用電動ポンプ84は、例えば、24V補器用バッテリ92から供給される電力で動作してもよい。
【0110】
空調コントローラ81は、ショベルコントローラ30からの要求に従って、空調システム80、コンプレッサ82、PTCヒータ83、及びヒータ用電動ポンプ84を制御する。
【0111】
例えば、ジャンクションボックス193内のコンプレッサ82に対応するリレーがオン状態に切り替わった場合、コンプレッサ82に電力が供給される。このような状態で、空調コントローラ81が、ショベルコントローラ30からのコンプレッサ82及び空調システム80の動作要求を受け付けた場合に、当該要求に従って、コンプレッサ82及び空調システム80の動作制御を行う。これにより、キャビン10内の空気の温度又は湿度を調整できる。
【0112】
例えば、バッテリ192の充電中、オペレータはキャビン10内にいない可能性がある。このような場合であっても、オペレータの支援装置400から、通信I/F70を介して、ショベルコントローラ30に動作の開始要求を送信することで、コンプレッサ82又はPTCヒータ83の動作開始を制御できる。したがって、オペレータがキャビン10に戻るまでの間にキャビン10の温度又は湿度を快適な状態に調整できる。
【0113】
なお、本実施形態の空調系は一例を示したものであって、上述した構成に制限するものではない。温度及び湿度を調整するために他の電子部品を備えてもよい。他の子部品を備えた場合であっても、当該電子部品に対応するリレーを設けることで、本実施形態と同様の制御を実現できる。
【0114】
<<ショベルの電装品関連>>
本実施形態のショベル200は、24V電装品(例えば、通信I/F70、照明機器72、及び撮像装置40)に電力を供給するための構成として、DC-DCコンバータ90と、24V補器用バッテリ92と、を含む。
【0115】
24V電装品(例えば、通信I/F70、照明機器72、及び撮像装置40)は、ショベル200に設けられた電装品であって、DC-DCコンバータ90で降圧された直流電力に従って動作する。なお、24V電装品は、通信I/F70、照明機器72、及び撮像装置40に限らず、他の電子機器が含まれてもよい。
【0116】
DC-DCコンバータ90は、バッテリ192又は外部の電源から供給される非常に高い電圧(例えば約350V)の直流電力を、約24Vに降圧し出力する。DC-DCコンバータ90の出力電力は、24V補器用バッテリ92に供給され、充電(蓄電)されたり、24V電装品の各構成等、24Vの電力で駆動される電子機器に供給されたりする。
【0117】
24V補器用バッテリ92(第2バッテリの一例)は、バッテリ192よりも低電圧のバッテリであって、ショベル200に設けられた機器(例えば、24V電装品、及びショベルコントローラ30)に対して電力を供給可能とする。また、DC-DCコンバータ90から電力が供給される場合には、24V補器用バッテリ92の充電が行われる。
【0118】
例えば、ジャンクションボックス193内のDC-DCコンバータ90に対応するリレーがオン状態に切り替わった場合、DC-DCコンバータ90に電力が供給される。このような状態で、撮像装置40が、ショベルコントローラ30から撮像開始の要求を受け付けた場合に、当該要求に従って撮像を開始する。
【0119】
本実施形態では、動作させる電子部品に対応するリレーがオン状態になっている間に、ショベルコントローラ30から当該電子部品の動作要求を受け付けることで、当該電子部品の動作が開始される。
【0120】
<<ショベルの冷却系>>
ショベル200の冷却系は、ショベル200の稼働に伴い発熱する構成要素を冷却するための構成要素群である。
図4は、本実施形態に係るショベル200の冷却系の構成の一例を概略的に示した図である。
【0121】
図4に示すように、ショベル200の冷却系は、冷却装置60と、ファン95とを含む。
【0122】
冷却装置60は、ショベル200における電気駆動系の機器や相対的に高い電圧の電源系の機器等を冷却する。例えば、
図4に示すように、冷却装置60による冷却対象の機器には、ポンプ用電動機12、インバータ18、バッテリモジュール19、DC-DCコンバータ90、及び充電用AC-DCコンバータ103等が含まれる。
【0123】
なお、複数の冷却対象ごとの必要な冷却性能に関する条件が満足すれば、冷媒回路66が冷媒を通過させる冷却対象の接続態様は任意であってよい。例えば、冷媒回路66は、複数の冷却対象ごとの必要な冷却性能に関する条件が満足すれば、複数の冷却対象を、その一部又は全部を直列で接続してもよいし、その一部又は全部を並列接続してもよい。また、冷媒回路66は、複数の冷却対象ごとの必要な冷却性能に関する条件が満足すれば、ラジエータ62を起点とする複数の冷却対象の配置の順番が任意でよい。
【0124】
冷却装置60は、ラジエータ62と、ウォータポンプ64と、冷媒回路66とを含む。
【0125】
ラジエータ62は、冷媒回路66内の冷媒(例えば、冷却水)を冷却する。具体的には、ラジエータ62は、周囲の空気と冷媒との間で熱交換を行わせ、冷媒を冷却する。
【0126】
ウォータポンプ64は、冷媒回路66内で冷媒を循環させる。ウォータポンプ64は、例えば、DC-DCコンバータ90や24V補器用バッテリ92から供給される電力で稼働する。
【0127】
冷媒回路66は、冷媒流路66A,66B,66C,66D,66E,66Fを含む。
【0128】
冷媒流路66Aは、ウォータポンプ64とバッテリモジュール19との間を接続し、ウォータポンプ64から吐出される冷媒をバッテリモジュール19の内部又は周囲の冷媒流路に流入させる。これにより、冷却装置60は、バッテリモジュール19を冷媒で冷却できる。バッテリモジュール19の内部又は周囲の冷媒流路を通流した冷媒は、冷媒流路66Bに流出する。
【0129】
冷媒流路66B,66B1,66B2は、バッテリモジュール19と、インバータ18及びDC-DCコンバータ90との間を接続し、バッテリモジュール19から流出する冷媒をインバータ18及びDC-DCコンバータ90の内部又は周囲の冷媒流路に流入させる。具体的には、バッテリモジュール19にその一端が接続される冷媒流路68Bは、他端で冷媒流路68B1,68B2に分岐し、冷媒流路68B1,68B2は、それぞれ、インバータ18及びDC-DCコンバータ90に接続される。これにより、インバータ18及びDC-DCコンバータ90を冷却できる。インバータ18の内部又は周囲の冷媒流路を通流した冷媒は、冷媒流路68C1に流出する。また、DC-DCコンバータ90の内部又は周囲の冷媒流路を通流した冷媒は、冷媒流路68C2に流出する。
【0130】
冷媒流路68C,68C1,68C2は、インバータ18及びDC-DCコンバータ90とポンプ用電動機12との間を接続し、インバータ18及びDC-DCコンバータ90から流出する冷媒をポンプ用電動機12の内部又は周囲の冷媒流路に流入させる。具体的には、それぞれの一端がインバータ18及びDC-DCコンバータ90に接続される冷媒流路68C1,68C2は、冷媒流路68Cの一端に合流し、冷媒流路68Cの他端がポンプ用電動機12に接続される。これにより、ポンプ用電動機12を冷媒で冷却できる。ポンプ用電動機12の内部又は周囲の冷媒回路を通流した冷媒は、冷媒流路68Dに流出する。
【0131】
なお、
図4では省略されているが、バッテリモジュール19とポンプ用電動機12との間に設けられた電力変換装置100も冷却装置60により冷却されてもよい。この場合、電力変換装置100は、例えば、冷媒回路66において、インバータ18及びDC-DCコンバータ90と並列に配置され、バッテリモジュール19から流出する冷媒によって冷却される態様であってよい。また、DC-DCコンバータ90は、空冷されてもよい。この場合、冷媒流路66B2,66C2は省略される。また、インバータ18及びDC-DCコンバータ90等の少なくとも一部は、冷媒回路66において、直列に配置されてもよい。
【0132】
冷媒流路66Dは、ポンプ用電動機12と充電用AC-DCコンバータ103との間を接続し、ポンプ用電動機12の内部又は周囲の冷媒流路から流出する冷媒を充電用AC-DCコンバータ103の内部又は周囲の冷媒流路に流入させる。これにより、冷却装置60は、充電用AC-DCコンバータ103を冷媒で冷却できる。充電用AC-DCコンバータ103の内部又は周囲の冷媒流路を通流した冷媒は、冷媒流路66Eに流出する。
【0133】
冷媒流路66Eは、充電用AC-DCコンバータ103とラジエータ62との間を接続し、充電用AC-DCコンバータ103の内部又は周囲の冷媒流路から流出する冷媒をラジエータ62に供給する。これにより、冷媒回路66は、電気駆動系や電源系の各種機器を冷却することで、温度が上昇した冷媒をラジエータ62で冷却させて、再度、電気駆動系や電源系の各種機器を冷却可能な状態に戻すことができる。
【0134】
冷媒流路66Fは、ラジエータ62とウォータポンプ64との間を接続し、ラジエータ62により冷却された冷媒をウォータポンプ64に供給する。これにより、ウォータポンプ64は、ラジエータ62により冷却された冷媒を冷媒流路66Aに吐出し、冷媒回路66で循環させることができる。
【0135】
ファン95は、ショベルコントローラ30の制御下で稼働し、空気との間で熱交換を行う所定の機器(以下、「熱交換機器」)に向けて送風する。ファン95は、例えば、DC-DCコンバータ90や24V補器用バッテリ92から供給される電力で稼働する。
【0136】
ファン95は、例えば、
図4に示すように、ラジエータ62に向けて送風し、ラジエータ62を冷却してよい。これにより、ラジエータ62の周囲には、内部を通流する冷媒との間で熱交換を行うことが可能な空気が逐次供給されることになり、ラジエータ62による冷媒の冷却度合いを高めることができる。
【0137】
ファン95は、一つであってもよいし、複数であってもよい。つまり、ファン95は、熱交換機器に必要な熱交換度合い(冷却度合い又は加熱度合い)を確保可能であれば、任意の数で構成されてよい。
【0138】
なお、ショベル200の冷却系は、油圧駆動系(高圧油圧ライン)や操作系(パイロットライン)で利用される作動油を冷却するオイルクーラを含んでもよい。オイルクーラは、例えば、コントロールバルブ17と作動油タンクTとの間の戻り油路に設けられ、周囲の空気と内部を通流する作動油との間で熱交換を行い、作動油を冷却してよい。この場合、ファン95は、オイルクーラに向けて送風し、オイルクーラを冷却してもよい。これにより、オイルクーラの周囲には、内部を通流する作動油との間で熱交換を行うことが可能な空気が逐次供給されることになり、オイルクーラによる作動油の冷却度合いを高めることができる。この場合、ファン95は、ラジエータ62に対する送風を行うファン95と、オイルクーラに対する送風を行うファン95とは共通、即ち、同じファン95であってもよいし、異なるファン95であってもよい。
【0139】
本実施形態においては、ショベル200が上述した冷却系を備えることで、ショベルコントローラ30が冷却装置60(具体的にはウォータポンプ64)を制御することで、バッテリモジュール19内のバッテリ192を冷却することができる。
【0140】
<ショベル管理システムの機能構成>
次に、
図5を参照して、本実施形態に係るショベル管理システムSYSの機能構成について説明する。
図5は、本実施形態に係るショベル管理システムSYSの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。本実施形態に係るショベル管理システムSYSは、少なくともショベル200と、支援装置400と、で構成されている。
【0141】
<<支援装置の機能構成>>
図5に示すように、支援装置400は、制御装置410と、通信インタフェース(I/F)420と、出力装置430と、入力装置440とを含む。
【0142】
制御装置410は、支援装置400に関する制御を行う。制御装置410は、例えば、任意のハードウェア、又は、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等によりその機能が実現されてよい。制御装置410は、例えば、CPU等のプロセッサ装置、RAM等のメモリ装置(主記憶装置)、ROM等の補助記憶装置、及び外部とのインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。例えば、制御装置410は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードし、CPU上で実行することにより各種機能を実現する。プログラムのデータは、例えば、所定の外部インタフェースを通じて、所定の記録媒体から制御装置410により取得され、補助記憶装置にインストールされる。所定の記録媒体は、例えば、CD、DVD、BD、SDメモリカード、USBメモリ等の汎用の記録媒体を含む。また、所定の記録媒体は、支援装置400の診断ツール等の専用の記録媒体を含む。また、プログラムのデータは、支援装置400の外部(例えば、管理装置300)から通信I/F420を通じてダウンロードされ、制御装置410の補助記憶装置にインストールされてもよい。
【0143】
通信I/F420は、通信回線NWを通じて、支援装置400の外部と通信を行う任意のデバイスである。通信I/F420は、例えば、LTE、4G、5G等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールであってよい。
【0144】
出力装置430は、制御装置410の制御下で、支援装置ユーザに向けて各種情報を出力する。
【0145】
出力装置430は、例えば、支援装置ユーザに対して、視覚的な方法で情報を出力(通知)する表示装置を含む。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを含む。表示装置は、例えば、支援装置ユーザ向けの各種情報画像を表示してよい。
【0146】
また、出力装置430は、例えば、支援装置ユーザに対して、聴覚的な方法で情報を出力(通知)する音出力装置を含む。音出力装置は、例えば、スピーカやブザー等を含む。
【0147】
入力装置440は、支援装置ユーザからの各種入力を受け付ける。入力装置440は、例えば、支援装置ユーザからの操作入力を受け付ける操作入力装置を含む。操作入力装置は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、トグル、レバー、タッチパネル、タッチパッド等を含む。また、入力装置440は、支援装置ユーザからの音声入力を受け付ける音声入力装置やジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含む。音声入力装置は、例えば、支援装置ユーザの音声を取得するマイクロフォンを含む。ジェスチャ入力装置は、例えば、支援装置ユーザのジェスチャの様子を撮像可能な撮像装置を含む。入力装置440で受け付けられる支援装置ユーザからの入力に対応する信号は、制御装置410に取り込まれる。
【0148】
[ショベルの長期保管モードの説明]
ショベル200の機能構成の前に、ショベル200で設定可能な長期保管モードについて説明する。本実施形態に係るショベル200においては、例えば、キャビン10内の操作装置26から長期保管モードの設定を受け付けることができる。
【0149】
長期保管モード(保管モードの一例)とは、ショベル200による作業を行わない状態で、長期間保存を行うためのモードとする。長期間は任意の期間でよく、例えば2週間以上の期間が考えられる。ショベル200による作業を行わない状態とは、例えば、ショベル200の稼働がキーによって停止している(以下、キーオフと称する)状態とする。
【0150】
つまり、ショベル200は、キーオフの状態で、長期間利用されず、充電の機会がない場合、バッテリ192の自己放電によりSOCが低下するので、バッテリ192が劣化する可能性がある。さらには、ショベル200が長期利用されていない状況においては、ショベル200の保管場所の温度変化が生じる可能性がある。そして、保管場所の温度変化によってバッテリ192が劣化する可能性がある。
【0151】
そこで、本実施形態においては、ショベル200を長期間利用しない場合のバッテリ192の劣化を抑制するためのモードとして、長期保管モードが設けられた。換言すれば、本実施形態に係るショベル200において、長期保管モードが設定された場合には、バッテリ192の充電制御、及びバッテリ192の温度の管理を行うことで、バッテリ192の劣化を抑制する。
【0152】
なお、本実施形態では、ショベル200を長期間利用しない場合に長期保管モード(保管モードの一例)を設定する場合について説明する。しかしながら、本実施形態は、ショベル200において切り替え可能なモードを、長期保管モードに制限するものではない。例えば、ショベル200の稼働停止状態用のモードが設定された場合には、以下に示す処理を行ってもよい。
【0153】
また、ショベル200には、バッテリ192(第1バッテリの一例)の他に、24V補器用バッテリ92(第2バッテリの一例)も搭載されている。24V補器用バッテリ92も、自己放電によってSOCが低下するので、劣化する可能性がある。そこで、本実施形態においては、長期保管モードが設定された場合には、24V補器用バッテリ92に対しても必要に応じて充電を行うことで、24V補器用バッテリ92の劣化を抑制する。
【0154】
さらには、ショベル200を長期間利用しない場合には、盗難の恐れがある。そこで、本実施形態に係るショベル200では、長期保管モードが設定された場合には、盗難等を抑制するための機器(例えば撮像装置40)を駆動してもよい。このように、長期保管モードが設定された場合に行う動作は、バッテリ192及び24V補器用バッテリ92の劣化防止に関する動作に制限するものではなく、必要に応じて所定の構成を動作させてもよい。動作させる構成については後述する。
【0155】
<<ショベルのショベルコントローラの機能ブロック>>
ショベルコントローラ30内の各機能ブロックについて説明する。ショベルコントローラ30内の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにより実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。
【0156】
本実施形態に係るショベルコントローラ30は、不揮発性の補助記憶装置に長期保管モード設定記憶部3011を備えている。
【0157】
長期保管モード設定記憶部3011は、長期保管モードが設定されたか否かを示したフラグを記憶する。さらに、長期保管モード設定記憶部3011は、長期保管モードが設定された場合に実行可能な機能として、ショベル200が有する複数の機能から、少なくとも一つ以上の選択の受け付けた設定を示した情報を、記憶する。長期保管モードが設定された場合に実行可能な機能については後述する。
【0158】
さらに、本実施形態に係るショベルコントローラ30は、例えば、補助記憶装置にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、出力処理部3001と、操作受付部3002と、通信制御部3003と、設定部3004と、モード制御部3005と、を備える。
【0159】
なお、ショベルコントローラ30の機能の一部は、他のコントローラにより実現されてもよい。つまり、ショベルコントローラ30の機能は、複数のコントローラにより、分散して実現されてもよい。
【0160】
出力処理部3001は、出力装置50に対して各種情報を出力する。例えば、出力処理部3001は、出力装置50に画面情報を出力することで、出力装置50(表示装置)に各種画面を表示する。
【0161】
他の例としては、出力処理部3001は、出力装置50に音声情報を出力することで、出力装置50に含まれる音出力装置から音を出力する。
【0162】
例えば、出力処理部3001は、長期保管モードの設定に関する画面情報を、出力装置50(表示装置)に出力することで、長期保管モードに関する設定画面を表示できる。
【0163】
長期保管モードに関する設定画面は、例えば、長期保管モードを設定するか否かを選択可能なボタンが表示されている。さらに、長期保管モードに関する設定画面では、長期保管モードが設定された場合に行う制御の設定ボタンも表示されている。
【0164】
操作受付部3002は、出力処理部3001により表示された画面に対する操作を受け付ける。
【0165】
例えば、操作受付部3002は、長期保管モードに関する設定画面において、長期保管モードを行うか否かの操作を受け付けることができる。
【0166】
さらに、操作受付部3002は、長期保管モードが設定された場合に実行可能な複数の機能のうち少なくとも一つ以上の機能を選択する操作を受け付ける。例えば、操作受付部3002は、長期保管モードが設定された場合に、バッテリ192を充電する機能を実行するか否かの操作を受け付ける。他の例としては、操作受付部3002は、長期保管モードが設定された場合に、バッテリ192の温度調整を行う機能を実行するか否かの操作を受け付けることができる。さらに、操作受付部3002は、長期保管モードが設定された場合に、周辺監視のために撮像装置40を駆動する機能を実行するか否かの操作、及び、ショベル200に設けられた照明機器72を駆動する機能を実行するか否かの操作を受け付けてもよい。さらには、操作受付部3002は、24V補器用バッテリ92を充電する機能を実行するか否かの設定を受け付けてもよい。さらには、操作受付部3002は、24V補器用バッテリ92を充電する機能を実行するか否かの設定を受け付けてもよい。
【0167】
さらに、操作受付部3002は、長期保管モードが設定された場合に、バッテリ192を充電する許可を要求する情報の送信、バッテリ192の充電結果の送信、及び、バッテリ192の充電のスケジュールを示した情報の送信のうち、いずれか一つ以上を行うための機能を実行するか否かの設定を受け付けてもよい。なお、本実施形態は操作受付部3002が選択可能な機能の例を示したものであって、上述した機能に制限するものではなく、長期保管モードが設定された場合に他の機能を実行可能としてもよい。
【0168】
通信制御部3003は、外部の通信装置(例えば、支援装置400)との間の通信を制御する。
【0169】
例えば、支援装置400は、ショベル200と同様に、長期保管モードに関する設定画面を表示できる。このため、通信制御部3003は、支援装置400から、長期保管モードを行うか否かの操作を示した情報を受信できる。さらには、通信制御部3003は、支援装置400から、長期保管モードが設定された場合に行う制御を選択する情報を受信できる。
【0170】
設定部3004は、長期保管モードに関する設定を行う。具体的には、設定部3004は、操作受付部3002が受け付けた操作又は通信制御部3003が受信した情報に従って、長期保管モード設定記憶部3011に記憶されている、長期保管モードが設定されたか否かを示したフラグを更新する。さらに、設定部3004は、操作受付部3002が受け付けた操作又は通信制御部3003が受信した情報に従って、長期保管モードが設定された場合に行う制御の設定を、長期保管モード設定記憶部3011に登録する。
【0171】
本実施形態に係る設定部3004は、上述したように、操作受付部3002が受け付けた操作、または通信制御部3003が受信した情報に従って、ショベル200を保管するための長期保管モードを設定するか否かを切り替え可能となる。
【0172】
そして、本実施形態においては、ショベル200による作業終了後、長期保管モードが設定された状態で、キーオフ操作がなされた場合に、ショベルコントローラ30及びバッテリコントローラ191は、長期保管モードが設定されている間に、操作受付部3002によって選択された機能を実行する制御を行う。
【0173】
例えば、キーオフ操作によってショベル200が稼働停止状態となった際、長期保管モードが設定されている場合、ショベルコントローラ30を起動させて、長期保管モード設定記憶部3011に登録された設定に基づいた制御を行わせる。
【0174】
具体的には、ショベルコントローラ30のモード制御部3005は、作業者によるキー操作によってショベル200の稼働を停止させたキーオフ状態(稼働停止状態)において、長期保管モードが設定されている場合に、予め選択された機能の動作を許可するように制御する。本実施形態に係るモード制御部3005は、長期保管モード設定記憶部3011に登録された設定に基づいて、所定の構成を用いた機能を動作させるように制御する。
【0175】
所定の構成を用いた機能の動作としては、例えば、バッテリコントローラ191によるバッテリ192の充電、PTCヒータ194又は冷却装置60を用いたバッテリ192の温度の調整、撮像装置40による撮像、又は人感センサで人を検出した場合の照明機器72による照射等が考えられる。なお、所定の構成を用いた機能の動作は、上述した動作に制限するものではなく、ショベル200で長期保管している間に実行可能な動作であればよい。
【0176】
具体的には、モード制御部3005は、キーオフ操作が行われた際に、長期保管モードが設定されている場合に、外部の電源からバッテリ192に対して、長期保管モードに対応する充電の動作を行うように、バッテリコントローラ191に信号を送信する。バッテリコントローラ191は、当該信号に従って起動した後、バッテリ192のSOCに応じて、外部の電源からバッテリ192への充電動作を行う。例えば、バッテリコントローラ191は、長期保管モードが設定されている間、バッテリ192のSOCが保管に適した範囲(例えば、70%~80%)の間になるように充電制御を行う。バッテリコントローラ191の具体的な制御については後述する。また、バッテリコントローラ191を起動させた後、長期保管モードが設定されている間に、ショベルコントローラ30が行う制御が設定されていない場合、ショベルコントローラ30を休止させてもよい。
【0177】
バッテリ192の充電を行うために、長期保管モードを設定する際に、普通充電用車両インレット101(接続部の一例)又は急速充電用車両インレット102(接続部の一例)を介して、外部の電源(充電ステーション)と予め接続しておく。また、モード制御部3005は、長期保管モードが設定された場合に、ジャンクションボックス193内のバッテリ192に対応するリレーをオン状態にする制御を行う。これにより外部の電電から普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102を介してバッテリ192への充電が可能となる。これにより、バッテリ192の過放電を抑制して、バッテリ192の劣化を抑制できる。
【0178】
さらに、モード制御部3005は、長期保管モードが設定された場合に、長期保管モード設定記憶部3011に登録された設定に従って、バッテリ192の温度調整を許可するように、バッテリコントローラ191に信号を送信してもよい。
【0179】
さらに、モード制御部3005は、長期保管モードが設定された場合に、長期保管モード設定記憶部3011に登録された設定に従って、電源として機能するバッテリ192から、24V補器用バッテリ92(第2バッテリの一例)に充電する動作を制御してもよい。この場合、モード制御部3005は、ジャンクションボックス193内のDC-DCコンバータ90に対応するリレーをオン状態にする制御を行う。
【0180】
さらに、モード制御部3005は、長期保管モード設定記憶部3011に登録された設定に基づいて、撮像装置40、照明機器72、及び通信I/F70のいずれか一つ以上を動作するように制御してもよい。
【0181】
例えば、モード制御部3005は、長期保管モードを設定されている場合に、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102を介して接続されている、外部に設けられた電源(例えば充電ステーション)から、ショベル200に設けられた撮像装置40(監視装置の一例)に電力を供給し、撮像装置40の動作を制御する。本実施形態においては、長期保管モードを設定されている場合に、撮像装置40が撮像を行うことで、安全性を向上させることができる。さらには、撮像装置40への電力が、外部に設けられた電源(例えば充電ステーション)から供給されるので、バッテリ192のSOCの低下を抑制できる。したがって、バッテリ192の劣化を抑制できる。
【0182】
長期保管モードが設定された場合に、通信制御部3003は、所定の機能を動作させる必要があると判定された場合に、当該機能を動作させる許可の要求を、外部の通信装置(例えば、支援装置400)に対して通知してもよい。本実施形態では、操作受付部3002を介して選択された設定に従って、通信制御部3003は、複数種類の通知のうちいずれか一つ以上の通知を行うか否かが制御される。以下に示す例では、通知する設定が選択されている場合について説明する。
【0183】
例えば、通信制御部3003は、後述するバッテリモジュール19からバッテリ192の充電の開始要求を受け付けた場合に、外部の通信装置(例えば、支援装置400)に対して充電する許可を要求するよう通知してもよい。そして、通信制御部3003は、外部の通信装置(例えば、支援装置400)から、充電する許可の許可する旨の情報を受信した場合に、バッテリモジュール19にバッテリ192の充電を開始する旨の指示を行ってもよい。
【0184】
さらに、長期保管モードが設定された場合に、通信制御部3003は、後述するバッテリモジュール19からバッテリ192の充電が完了した旨(充電結果の一例)の通知を受け付けた場合に、外部の通信装置(例えば、支援装置400)に対して充電が完了した旨の通知を送信してもよい。
【0185】
さらに、長期保管モードが設定された場合に、ショベルコントローラ30及びバッテリコントローラ191が停止した後、所定時間毎に、少なくともバッテリコントローラ191が起動して、バッテリ192のSOC、又はバッテリ192の温度などを測定する機能を有してもよい。さらに、周期的(例えば1週間ごと)に、ショベルコントローラ30も起動して、ショベルコントローラ30の通信制御部3003が、バッテリコントローラ191の計測結果を、外部の通信装置(例えば、例えば、ショベル200を管理している管理装置)に送信してもよい。周期的に計測結果を送信することで、当該送信が無い場合に、ユーザは、ショベル200に問題が生じた可能性があると推測できる。さらに、ユーザは、送信された計測結果に基づいて、メンテナンスのスケジュールや利用タイミングを設定できる。さらには、所定時間毎に撮像装置40が起動して、撮像装置40がショベル200の周囲を撮像して撮像画像を生成してもよい。さらに、周期的(例えば1週間ごと)に、ショベルコントローラ30も起動して、ショベルコントローラ30の通信制御部3003が、撮像装置40の撮像結果を、外部の通信装置(例えば、ショベル200を管理している管理装置)に送信してもよい。
【0186】
また、長期保管モードが設定された場合に、設定部3004は、バッテリ192の充電計画を設定してもよい。バッテリ192の充電計画としては、例えば、所定の曜日の所定時刻に充電を開始するスケジュールを設定する等が考えられる。そして、通信制御部3003は、設定部3004によって充電計画が設定された場合に、当該充電計画(バッテリ192の充電の予定の一例)を示した情報を、外部の通信装置(例えば、支援装置400)に対して送信してもよい。
【0187】
本実施形態に係る通信制御部3003は、上述した情報を、外部の通信装置(例えば、支援装置400)に送信することで、長期間を行っている間でも、ユーザは、ショベル200の現在の状況を認識できる。これにより、本実施形態に係るショベル200の長期保管を行う際の利便性を向上させることができる。
【0188】
本実施形態においては長期保管モードが設定された場合の充電対象をバッテリ192に制限するものではなく、24V補器用バッテリ92の充電を行ってもよい。
【0189】
例えば、モード制御部3005は、24V補器用バッテリ92から出力される電流値に基づいて、24V補器用バッテリ92のSOCを判定してもよい。そして、モード制御部3005は、24V補器用バッテリ92のSOCが低下したと判定した場合に、普通充電用車両インレット101、又は急速充電用車両インレット102を介して接続された外部の電源から供給された電力を、DC-DCコンバータ90で変換した後、24V補器用バッテリ92に充電してもよい。
【0190】
また、操作受付部3002は、キーオフ状態において、長期保管モードの設定をオフにする操作を受け付けてもよい。これにより、ショベルコントローラ30は、バッテリコントローラ191に対して、長期保管モードの設定をオフにした旨を通知する。これにより、バッテリコントローラ191は、長期保管モードに対応する充電制御を終了して、バッテリ192のSOCが100%になるまで充電する動作を行うことができる。したがって、長期保管モードの設定をオフにした場合、バッテリ192のSOCが100%になるので、次にショベル200を利用する際の作業時間が短くなることを抑制できる。
【0191】
また、長期保管モードの設定のオフは、操作受付部3002の操作に制限するものではなく、通信制御部3003が外部(例えば支援装置400)から受信した情報に基づいて行ってもよい。これにより、ショベル200の作業を開始する前日に、支援装置400で長期保管モードの設定のオフにする操作を行うことができる。したがって、支援装置400による当該操作で、長期保管モードの設定のオフになるので、前日にショベル200のバッテリ192のSOCを100%にすることができる。したがってショベル200の作業当日にはSOCが100%になっているので作業時間の短縮の抑制と、ショベル200のバッテリ192の劣化と、の両立を実現できる。
【0192】
なお、長期保管モードが設定されている場合に、バッテリ192の充電及び温度調整だけであれば、後述するバッテリコントローラ191による制御で実現できる。このため、ショベルコントローラ30は、バッテリコントローラ191を起動させた後、休止してもよい。そして、バッテリ192の温度調整のために冷却装置60等を駆動させる必要がある場合に、バッテリコントローラ191が、ショベルコントローラ30を起動させてもよい。なお、冷却装置60への電力は、外部の電源から供給されてもよい。
【0193】
また、長期保管モードが設定されている状況で、撮像装置40による撮像を行う場合、ショベルコントローラ30は、休止せずに動作し続ける。これにより、ショベルコントローラ30は、撮像装置40が撮像した画像データを保存し続ける共に、撮像装置40に電力を供給するためにDC-DCコンバータ90を動作させることができる。このように、本実施形態においては、長期保管モードの設定に応じて、起動させる構成を異ならせてもよい。
【0194】
<<ショベルのバッテリコントローラの機能構成>>
バッテリコントローラ191内の各機能ブロックについて説明する。ショベルコントローラ30内の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにより実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。
【0195】
さらに、本実施形態に係るバッテリコントローラ191は、例えば、補助記憶装置にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することで、長期保管モードに関する制御を行う機能部として、取得部1911と、判定部1912と、制御部1913と、を備える。
【0196】
本実施形態に係るバッテリコントローラ191は、長期保管モードが設定されている際、キーオフ操作が行われて休止状態になった場合に、ショベルコントローラ30からの信号に従って起動する。その後、バッテリコントローラ191は、バッテリ192の劣化を抑制するための制御を行う。
【0197】
例えば、バッテリコントローラ191は、長期保管モードが設定されている場合に、バッテリ192が劣化しないようにSOCを調整する。
【0198】
ところで、バッテリ192はSOCが低下しすぎると劣化が生じる。このため、バッテリコントローラ191は、SOCが低下しすぎないように制御する。
【0199】
ところで、ショベル200が作業を行う場合にはバッテリ192のSOCが満充電である方が好ましい。しかしながら、バッテリ192のSOCが満充電近傍の場合には、バッテリ192が劣化する可能性がある。その上、ショベル200を長期利用しない場合にはバッテリ192のSOCを満充電にする必要がない。
【0200】
そこで、本実施形態に係るバッテリコントローラ191は、長期保管モードが設定されている場合には、SOCが低下しすぎないよう制御すると共に、SOCが満充電(100%)近傍にならないように制御する。
【0201】
本実施形態では、長期保管モードが設定されている場合には、バッテリ192のSOCが、70%(最小のSOCを示す第1閾値の一例)から、80%(最大のSOCを示す第2閾値の一例)になるよう制御する例について説明する。なお、第1閾値及び第2閾値は、一例として示したものであって、バッテリ192の特性に応じて適切な値が設定される。次にバッテリコントローラ191の具体的な構成について説明する。
【0202】
取得部1911は、バッテリ192のSOCを取得すると共に、温度センサ195からバッテリ192の温度を取得する。
【0203】
判定部1912は、バッテリ192に関する制御が必要か否かを判定する。
【0204】
例えば、判定部1912は、バッテリ192のSOCが第1閾値(例えば70%)以下になった否かを判定する。さらに、判定部1912は、長期保管モードでバッテリ192を充電している間に、バッテリ192のSOCが第2閾値(例えば80%)以上になった否かを判定する。
【0205】
制御部1913は、判定部1912によってバッテリ192のSOCが第1閾値(例えば70%)以下になったと判定された場合に、外部の電源(例えば充電ステーション)からバッテリ192を充電するよう制御する。
【0206】
そして、バッテリ192の充電が開始された後、制御部1913は、判定部1912によってバッテリ192のSOCが第2閾値(例えば80%)以上になったと判定された場合に、外部の電源(例えば充電ステーション)からバッテリ192への充電を停止するよう制御する。このように、本実施形態に係る制御部1913は、長期保管モードを設定されている場合に、外部の電源(例えば充電ステーション)からバッテリ192に充電する際に、バッテリ192が満充電になる前に、充電を停止するように制御する。これにより、バッテリ192が満充電になることを抑制するので、バッテリ192の劣化を抑制できる。
【0207】
他の例としては、本実施形態に係るバッテリコントローラ191は、長期保管モードを設定された場合に、バッテリ192の温度を調整する制御を行ってもよい。
【0208】
具体的には、判定部1912は、バッテリ192の温度が第1基準温度(例えば0度)より低くなった否かを判定する。さらに、判定部1912は、バッテリ192の温度が第2基準温度(例えば30度)より高くなった否かを判定する。なお、第1基準温度及び第2基準温度は一例として示したものであってショベルに搭載するバッテリの特性に応じて定められればよい。
【0209】
制御部1913は、判定部1912によってバッテリ192の温度が第1基準温度(例えば0度)より低くなったと判定された場合に、バッテリモジュール19内部のPTCヒータ194でバッテリ192を昇温させるよう制御する。
【0210】
制御部1913は、判定部1912によってバッテリ192の温度が第2基準温度(例えば30度)より高くなったと判定された場合に、ショベルコントローラ30に対して冷却装置60を駆動させるよう指示する。
【0211】
本実施形態においては、バッテリコントローラ191が、上述したバッテリ192の温度の調整を行うことで、ショベル200が長期利用されない場合でも、バッテリ192が適切な温度を保持することができるので、バッテリ192の劣化を抑制できる。
【0212】
<長期保管モード設定時のおける制御の流れ>
次に、本実施形態に係るショベル200における長期保管モード設定時のおける制御の流れについて説明する。
【0213】
図6は、本実施形態に係るショベルコントローラ30及びバッテリコントローラ191による、長期保管モード設定時の制御を示したフローチャートである。
図6で示される例では、出力処理部3001が、長期保管モードの設定画面を表示しているものとする。
【0214】
操作受付部3002は、長期保管モードを設定する操作を受け付ける(S6001)。操作受付部3002は、長期保管モードが設定された場合に実行可能な複数の機能のうち少なくとも一つ以上の機能を選択する操作を受け付ける。
図6で示される処理手順では、少なくともバッテリ192の充電制御及び温度制御を機能させる操作を受け付けている例とする。
【0215】
設定部3004は、バッテリコントローラ191から送信される情報に基づいて、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102に充電ケーブルが接続されているか否かを判定する(S6002)。設定部3004は充電ケーブルが接続されていないと判定した場合(S6002:NO)、出力処理部3001は充電ケーブルが接続されていない旨の警告を出力装置50に出力して(S6003)、処理を終了する。
【0216】
一方、設定部3004は充電ケーブルが接続されていると判定した場合(S6002:YES)、長期保管モードの設定を行う(S6004)。
【0217】
その後、ショベル200では、作業者によるキーオフ操作を受け付ける(S6005)。これにより、ショベル200は稼働停止状態となり、長期保管モードに移行する。
【0218】
モード制御部3005は、長期保管モード設定記憶部3011に登録された設定に対応する動作を電装品等に行わせるように制御を開始する(S6006)。例えば、モード制御部3005は、設定に基づいて、撮像装置40による撮像の開始、照明機器72を照射させるための人感センサによる検知の開始等を行う。また、撮像装置40により撮像された画像データは、ショベルコントローラ30内の補助記憶装置に記憶されてもよいし、通信I/F70を介して外部に送信されてもよい。さらには、モード制御部3005は、24V補器用バッテリ92を定期的に充電するように制御してもよい。
【0219】
さらに、モード制御部3005は、バッテリコントローラ191に対して、長期保管モードに対応する制御を指示する(S6007)。そして、バッテリコントローラ191は、当該指示に従って長期保管モードに対応する処理を開始する。
【0220】
バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCが70%(第1閾値の一例)以下か否かを判定する(S6008)。バッテリ192のSOCが70%以下ではないと判定した場合(S6008:NO)、特に処理を行わず、S6012の処理に移る。
【0221】
一方、バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCが70%以下と判定した場合(S6008:YES)、充電ケーブルを介して接続されている外部の電源からバッテリ192への充電を開始する(S6009)。
【0222】
その後、バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCが80%(第2閾値の一例)以上か否かを判定する(S6010)。バッテリ192のSOCが80%以上ではないと判定した場合(S6010:NO)、充電制御を継続する。
【0223】
一方、バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCが80%以上と判定した場合(S6010:YES)、充電制御を停止する(S6011)。
【0224】
次に、バッテリコントローラ191は、温度センサ195が検出したバッテリ192の温度が0度より低いか否かを判定する(S6012)。バッテリ192の温度が0度以上と判定された場合(S6012:NO)、S6014の処理に移る。
【0225】
一方、バッテリコントローラ191は、バッテリ192の温度が0度より低いと判定した場合(S6012:YES)、PTCヒータ194による昇温制御を開始する(S6013)。なお、PTCヒータ194を停止する基準は、任意の基準でよく、例えば、バッテリ192の温度が5度に到達した段階で昇温制御を終了してもよい。
【0226】
次に、バッテリコントローラ191は、温度センサ195が検出したバッテリ192の温度が30度より高いか否かを判定する(S6014)。バッテリ192の温度が30度以下と判定された場合(S6014:NO)、S6016の処理に移る。
【0227】
一方、バッテリコントローラ191は、バッテリ192の温度が30度より高いと判定した場合(S6014:YES)、ショベルコントローラ30に対して冷却装置60のオン制御を指示する(S6015)。ショベルコントローラ30は、当該指示に従って冷却装置60の動作を開始させる。なお、冷却装置60を停止する基準は、任意の基準でよく、例えば、バッテリ192の温度が25度に到達した段階で冷却装置60の動作を停止してもよい。
【0228】
そして、ショベルコントローラ30は、長期保管モードの解除操作を受け付けたか否かを判定する(S6016)。解除操作を受け付けていないと判定した場合(S6016:No)、再びS6008から処理を行う。
【0229】
一方、ショベルコントローラ30は、長期保管モードの解除操作を受け付けたと判定した場合(S6016:Yes)、処理を終了する。
【0230】
本実施形態においては、上述した処理手順で処理を行うことで、バッテリ192の劣化を抑制できると共に、長期保管モードが設定されている間、ユーザの設定の応じた制御を
行うので、盗難などを防止して、安全性を向上させることができる。
【0231】
本実施形態においては、バッテリ192のSOCが低下した場合に、ユーザに充電開始してよいか否かの許可を要求してもよい。例えば、ユーザに許可を要求するか否かについては、長期保管モード設定記憶部3011に設定してもよい。
【0232】
そこで、ユーザに充電開始の許可を要求する場合について説明する。
図7は、本実施形態に係るショベル管理システムSYSにおいて、充電開始の許可を要求する場合の送受信を示したシーケンス図である。
【0233】
ショベル200では、操作受付部3002が、長期保管モードを設定する操作を受け付ける(S7001)。
【0234】
設定部3004は、バッテリコントローラ191から送信される情報に基づいて、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102に充電ケーブルが接続されているか否かを確認する(S7002)。
図7で示される例では、充電ケーブルが接続されている例とする。
【0235】
その後、ショベル200では、作業者によるキーオフ操作を受け付ける(S7003)。これにより、ショベル200の稼働が停止して、長期保管モードに移行する。その際に、長期保管モード設定記憶部3011に登録された設定に基づいて、撮像装置40による撮像の開始、照明機器72で照射させるための人感センサによる検知の開始等が行われる。
【0236】
そして、バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCが80%になるまで充電制御を行う(S7004)。バッテリ192のSOCが80%になった後、充電制御を終了する。その後、バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCを定期的に取得し、SOCが70%以下になったか否かを判定する。
【0237】
その後、バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCが70%に低下したと判定する(S7005)。バッテリコントローラ191は、70%に低下した旨を、ショベルコントローラ30に通知する。
【0238】
そして、ショベルコントローラ30の通信制御部3003が、支援装置400に充電許可の要求を送信する(S7006)。
【0239】
支援装置400の表示処理部4102は、通信制御部4101が受信した充電許可に関する画面を表示する(S7007)。当該画面には、ショベル200のバッテリ192のSOCが低下した旨のメッセージと共に、充電の許可するためのボタンが表示されている。これにより、支援装置ユーザは、ショベル200のバッテリ192が自己放電によってSOCが低下したことを認識できる。
【0240】
そして、支援装置400の操作受付部4103は、充電を許可するための操作(例えば、充電の許可するためのボタンの押下)を受け付ける(S7008)。
【0241】
そして、支援装置400の通信制御部4101が、充電許可の通知を、ショベル200に送信する(S7009)。
【0242】
ショベルコントローラ30は、充電許可の通知を受け付けた場合に、バッテリコントローラ191に充電の許可を通知する。これにより、バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCが80%になるまで充電制御を行う(S7010)。
【0243】
そして、ショベル200においては、S7005~S7010の処理が繰り返される。
【0244】
その後、ショベルコントローラ30は、長期保管モードを解除する操作を受け付けた場合に、長期保管モードに対応する処理を終了する。その際に、バッテリコントローラ191は、バッテリ192のSOCが100%になるまで充電制御を行ってもよい。
【0245】
本実施形態においては、上述した処理を行うことで、支援装置ユーザがショベル200のバッテリ192のSOCを認識できる。さらに、支援装置ユーザの許可に従ってバッテリ192の充電を開始できるので、利便性を向上できる。また、ユーザの意図していない状況でのバッテリ192の充電を抑制できるので、安全性の向上及びコストの削減を実現できる。
【0246】
(第2の実施形態)
上述した実施形態では、充電ケーブルが接続されていない場合には、長期保管モードが設定されずに、警告を表示して処理を終了する場合について説明した。しかしながら、充電ケーブルを接続せずに、ショベル200を長期保管する場合も存在する。充電ケーブルを接続せずにショベル200を長期保管する場合においても、例えば、24V補器用バッテリ92の自己放電によってSOCが低下するため、長期保管に対応する処理を行うのが好ましい。そこで、第2の実施形態では、充電ケーブルが接続されていない場合であっても、長期保管モードの設定が可能な場合について説明する。
【0247】
第2の実施形態においては、ショベル200の操作受付部3002が、長期保管モードを設定する操作を受け付ける。そして、設定する操作を受け付けた後、設定部3004は、バッテリコントローラ191から送信される情報に基づいて、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102に充電ケーブルが接続されているか否かを確認する。普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102に充電ケーブルが接続されている場合は、第1の実施形態と同様の処理が行われるものとして説明を省略する。
【0248】
本実施形態においては、設定部3004は、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102に充電ケーブルが接続されていない場合であっても、長期保管モードを設定可能とする。そして、充電ケーブルが接続されておらず、長期保管モードが設定された場合に、キーオフ操作を受け付けた場合に、モード制御部3005が、長期保管モードに対応する制御を開始する。
【0249】
本実施形態に係るモード制御部3005は、充電ケーブルが接続されておらず、長期保管モードが設定された場合に、キーオフ操作を受け付けた後、撮像装置40による撮像、及び照明機器72で照射させるための人感センサの動作を抑制する。これにより、24V補器用バッテリ92のSOCの低下を抑制する。しかしながら、SOCの低下を抑制したとしても、長期間利用されない場合には、24V補器用バッテリ92は、自己放電によってSOCが低下していく。これにより、24V補器用バッテリ92が劣化する可能性がある。
【0250】
そこで、モード制御部3005は、充電ケーブルが接続されておらず、長期保管モードが設定された場合に、バッテリ192から、24V補器用バッテリ92に充電する動作を行う。バッテリ192から24V補器用バッテリ92に充電する際には、DC-DCコンバータ90で電圧変換が行われる。このため、ジャンクションボックス193内のDC-DCコンバータ90に対応するリレーはオン状態とする。
【0251】
バッテリ192から24V補器用バッテリ92に充電する動作を行うタイミングは、任意のタイミングでよい。例えば、モード制御部3005は、24V補器用バッテリ92のSOCが低下したと判定したタイミングで充電する動作を行ってもよい。また、24V補器用バッテリ92のSOCが低下したと判定したタイミングに制限するものではなく、例えば、モード制御部3005は、所定時間(例えば、一週間)経過するごとに、例えば1時間だけバッテリ192から24V補器用バッテリ92に充電する等の動作を行ってもよい。
【0252】
本実施形態においては、ショベル200に複数のバッテリ(バッテリ192及び24V補器用バッテリ92)が搭載されている場合に、充電ケーブルが接続されていなくても、一方のバッテリ192(第1バッテリ)から24V補器用バッテリ92(第2バッテリ)に充電できるので、24V補器用バッテリ92のSOCの低下を抑制できる。これにより、24V補器用バッテリ92の劣化を抑制できるので、交換作業及びコストの低減を実現できる。
【0253】
(変形例)
上述した実施形態では、24V補器用バッテリ92を充電する際に、ポンプ用電動機12が駆動している時に用いられるDC-DCコンバータ90で電圧を変換する例について説明した。DC-DCコンバータ90は、100Aを超えるような高電流用のコンバータである。しかしながら、ショベル200の長期保管モードが設定されている場合に、24V補器用バッテリ92を充電する際に流れる電流値は低くなる。そこで、ショベル200では、高電流用のDC-DCコンバータ90の他に、長期保管モードが設定されている場合に用いられる低電流(例えば30A)用のDC-DCコンバータを別途設けてもよい。本変形例に係るショベル200においては、外部の電源又はバッテリ192から24V補器用バッテリ92を充電する場合には、低電流(例えば30A)用のDC-DCコンバータを用いることで、電圧を変換する際の変換効率を向上させることができる。これにより、24V補器用バッテリ92を充電する際に充電効率を上昇させて、コストの削減を実現できる。
【0254】
<作用>
上述した実施形態及び変形例に係るショベルコントローラ30及びバッテリコントローラ191は、PTCヒータ194及び冷却装置60を用いて上述した制御することで、ショベル200が長期間利用されない場合でも、バッテリ192について適切な温度領域を保持できるので、バッテリ192の劣化を抑制して、当該バッテリ192の寿命を延ばすことができる。
【0255】
上述した実施形態及び変形例に係るショベルコントローラ30及びバッテリコントローラ191は、充電ケーブルが接続されている場合には上述した制御することで、バッテリ192のSOCを、70%(第1閾値の一例)~80%(第2閾値の一例)になるように制御するので、バッテリ192の過放電及び満充電になることを抑制するので、バッテリ192の劣化を抑制して、当該バッテリ192の寿命を延ばすことができる。また、バッテリ192のSOCが70%~80%充電された状態のため、長期間利用されなかった後であっても、ショベル200による作業を即座に開始することができる。
【0256】
上述した実施形態及び変形例に係るショベル200においては、作業者によるキー操作によってショベル200の稼働を停止させた稼働停止状態において、長期保管モードが設定されている場合に、ポンプ用電動機12の稼働を抑制すると共に、所定の構成を用いた機能の動作(例えば、バッテリ192の充電、24V補器用バッテリ92の充電、撮像装置40による撮像、又は照明機器72による照明)を許可するように構成されているので、当該構成の劣化を抑制する、又は電動ショベルの安全性を向上させることができる。
【0257】
上述した実施形態及び変形例に係るショベル200においては、充電ケーブルが接続された状態で、長期保管モードが設定された場合に、外部の電源から供給される電力で、撮像装置40、及び照明機器72の照射を行うための人感センサのうちいずれか一つ以上を動作させることができる。これにより、ショベル200の盗難などを抑制して、セキュリティを向上させることができる。
【0258】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0259】
200 ショベル
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
19 バッテリモジュール
191 バッテリコントローラ
1911 取得部
1912 判定部
1913 制御部
192 バッテリ
193 ジャンクションボックス
194 PTCヒータ
195 温度センサ
30 ショベルコントローラ
40 撮像装置
50 出力装置
52 入力装置
60 冷却装置
70 通信インタフェース
72 照明機器
80 空調システム
81 空調コントローラ
90 DC-DCコンバータ
92 24V補器用バッテリ
101 普通充電用車両インレット
102 急速充電用車両インレット
103 充電用AC-DCコンバータ
3001 出力処理部
3002 操作受付部
3003 通信制御部
3004 設定部
3005 モード制御部
3011 長期保管モード設定記憶部
400 支援装置
410 制御装置
420 通信インタフェース
430 出力装置
440 入力装置
4101 通信制御部
4102 表示処理部
4103 操作受付部