(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176797
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】建設機械の管理システム、建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20231206BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231206BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20231206BHJP
【FI】
E02F9/00 C
E02F9/00 Q
B60K1/04 A
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089278
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭二
(72)【発明者】
【氏名】佐野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 将
【テーマコード(参考)】
2D015
3D235
5L049
【Fターム(参考)】
2D015CA00
3D235AA19
3D235BB20
3D235BB57
3D235CC01
3D235CC15
3D235EE63
3D235HH12
3D235HH61
3D235HH63
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】建設機械に対するエネルギの補給に要する時間を短縮することを目的としている。
【解決手段】下部走行体と、前記下部走行体に、旋回自在に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に着脱可能な状態で搭載されたエネルギ蓄積部と、を有する建設機械と、他の前記エネルギ蓄積部を前記建設機械の近傍まで搬送し、前記建設機械に搭載された前記エネルギ蓄積部を、他の前記エネルギ蓄積部に交換する搬送移動体と、を有する建設機械の管理システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に、旋回自在に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に着脱可能な状態で搭載されたエネルギ蓄積部と、を有する建設機械と、
他の前記エネルギ蓄積部を前記建設機械の近傍まで搬送し、前記建設機械に搭載された前記エネルギ蓄積部を、他の前記エネルギ蓄積部に交換する搬送移動体と、を有する建設機械の管理システム。
【請求項2】
前記建設機械は、
前記エネルギ蓄積部の交換のタイミングを検出すると、前記エネルギ蓄積部の交換要求を出力する検出部と、
前記交換要求を出力した後に、前記建設機械の状態を動作不能の状態とする動作状態制御部と、を有する、請求項1記載の建設機械の管理システム。
【請求項3】
前記建設機械は、
前記搬送移動体から前記エネルギ蓄積部の交換の完了を示す通知を受けて、前記搬送移動体に対して退去指示を行う通信制御部を有し、
前記動作状態制御部は、
前記搬送移動体が前記建設機械の近傍から退去した後に、前記建設機械の状態を動作可能な状態に切り替える、請求項2記載の建設機械の管理システム。
【請求項4】
前記エネルギ蓄積部は、充放電が可能な蓄電部、又は、燃料を貯蔵する燃料タンク、又は、水素が充填された水素タンクの何れかである、請求項1記載の建設機械の管理システム。
【請求項5】
前記建設機械は、着脱可能な状態で搭載された尿素水を貯蔵する尿素水タンクを有し、
前記搬送移動体は、前記尿素水タンクの交換を行う、請求項1記載の建設機械の管理システム。
【請求項6】
下部走行体と、
前記下部走行体に、旋回自在に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に、着脱可能な状態で搭載されたエネルギ蓄積部と、を有する建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の管理システム、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車体に着脱可能な燃料タンクと、燃料タンクを昇降して積み降ろし作業を行なうタンク昇降装置とを設け、燃料の補給作業に要する時間を短縮する建設機械が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、例えば、作業現場で作業する全ての建設機械の燃料の補給作業に要する時間を短縮するためには、全ての建設機械にタンク昇降装置を取り付ける必要があり、容易ではない。
【0005】
開示の技術は、建設機械に対するエネルギの補給に要する時間を短縮することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例に係る建設機械の管理システムは、下部走行体と、前記下部走行体に、旋回自在に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に着脱可能な状態で搭載されたエネルギ蓄積部と、を有する建設機械と、他の前記エネルギ蓄積部を前記建設機械の近傍まで搬送し、前記建設機械に搭載された前記エネルギ蓄積部を、他の前記エネルギ蓄積部に交換する搬送移動体と、を有する建設機械の管理システムである。
【0007】
本発明の実施例に係る建設機械は、下部走行体と、前記下部走行体に、旋回自在に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に着脱可能な状態で搭載されたエネルギ蓄積部と、を有する建設機械である。
【発明の効果】
【0008】
建設機械に対するエネルギの補給に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】実施形態の建設機械の管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態のショベルのコントローラの機能について説明する図である。
【
図5】実施形態の管理システムの動作を説明するシーケンス図である。
【
図7】さらに別の実施形態のショベルの上面図である。
【
図8】さらに別の実施形態のショベルのコントローラの機能を説明する図である。
【
図9】さらに別の実施形態の管理システムの動作を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
図1、
図2を参照して、本実施形態の建設機械について説明する。以下の実施形態の説明では、ショベル100を建設機械の一例として説明する。
【0011】
図1は、ショベルの側面図である。ショベル100は、下部走行体1、旋回機構2、上部旋回体3を有する。ショベル100において、下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。また、下部走行体1は、走行用油圧モータによって回転駆動される無限軌道(履帯)であるクローラベルト1aを有する。クローラベルト1aは、複数のシュープレートを有する。
【0012】
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0013】
ブーム4、アーム5、バケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成している。そして、ブーム4は、ブームシリンダ7により駆動され、アーム5は、アームシリンダ8により駆動され、バケット6は、バケットシリンダ9により駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。
【0014】
ブーム角度センサS1はブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度(以下、「ブーム角度」とする。)を検出できる。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下げたときに最小角度となり、ブーム4を上げるにつれて大きくなる。
【0015】
アーム角度センサS2はアーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」とする。)を検出できる。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときに最小角度となり、アーム5を開くにつれて大きくなる。
【0016】
バケット角度センサS3はバケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」とする。)を検出できる。バケット角度は、例えば、バケット6を最も閉じたときに最小角度となり、バケット6を開くにつれて大きくなる。
【0017】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及び、バケット角度センサS3はそれぞれ、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ、ジャイロセンサ、又は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせ等であってもよい。
【0018】
ブームシリンダ7にはブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8にはアームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。
【0019】
バケットシリンダ9にはバケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bは、集合的に「シリンダ圧センサ」とも称される。
【0020】
ブームロッド圧センサS7Rはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。
【0021】
バケットロッド圧センサS9Rはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
【0022】
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられている。また、上部旋回体3には、コントローラ30(制御部)、表示装置40、入力装置42、音声出力装置43、記憶装置47、測位装置P1、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、撮像装置S6及び通信装置T1が取り付けられている。
【0023】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM及びROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。各種機能は、例えば、オペレータ(操作者)によるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、オペレータによるショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0024】
表示装置40は、各種情報を表示するように構成されている。表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0025】
入力装置42は、オペレータが各種情報をコントローラ30に入力できるように構成されている。入力装置42は、キャビン10内に設置されたタッチパネル、ノブスイッチ及びメンブレンスイッチ等の少なくとも1つを含む。
【0026】
音声出力装置43は、音声を出力するように構成されている。音声出力装置43は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカであってもよく、ブザー等の警報器であってもよい。本実施形態では、音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種情報を音声出力するように構成されている。
【0027】
記憶装置47は、各種情報を記憶するように構成されている。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を記憶してもよい。
【0028】
記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される目標施工面に関するデータを記憶していてもよい。目標施工面は、ショベル100のオペレータが設定したものであってもよく、施工管理者等が設定したものであってもよい。
【0029】
測位装置P1は、上部旋回体3の位置を測定するように構成されている。つまり、測位装置P1は、ショベル100の位置情報を取得する。また、測位装置P1は、上部旋回体3の向きを測定できるように構成されていてもよい。
【0030】
本実施形態では、測位装置P1は、例えばGNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。そのため、測位装置P1は、上部旋回体3の向きを検出する向き検出装置としても機能し得る。測位装置P1は、上部旋回体3に取り付けられた方位センサであってもよい。
【0031】
機体傾斜センサS4は上部旋回体3の傾斜を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は仮想水平面に対する上部旋回体3の前後軸回りの前後傾斜角及び左右軸回りの左右傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、ショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点で互いに直交する。
【0032】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角度を検出或いは算出するように構成されていてもよい。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。
【0033】
撮像装置S6は、空間認識装置の一例であり、ショベル100の周辺の画像を取得するように構成されている。本実施形態では、撮像装置S6は、ショベル100の前方の空間を撮像する前カメラS6F、ショベル100の左方の空間を撮像する左カメラS6L、ショベル100の右方の空間を撮像する右カメラS6R、及び、ショベル100の後方の空間を撮像する後カメラS6Bを含む。
【0034】
撮像装置S6は、例えば、CCD又はCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力する。撮像装置S6は、ステレオカメラ、距離画像カメラ等であってもよい。また、撮像装置S6は、3次元距離画像センサ、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR又は赤外線センサ等の他の空間認識装置で置き換えられてもよく、他の空間認識装置とカメラとの組み合わせで置き換えられてもよい。
【0035】
前カメラS6Fは、例えば、キャビン10の天井、すなわちキャビン10の内部に取り付けられている。但し、前カメラS6Fは、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。左カメラS6Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、右カメラS6Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、後カメラS6Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。
【0036】
空間認識装置は、ショベル100の周囲に存在する物体を検知するように構成されていてもよい。物体は、例えば、地形形状(傾斜若しくは穴等)、電線、電柱、人、動物、車両、建設機械、建造物、壁、ヘルメット、安全ベスト、作業服、又は、ヘルメットにおける所定のマーク等である。空間認識装置70は、物体の種類、位置、及び形状等の少なくとも1つを識別できるように構成されていてもよい。空間認識装置は、人と人以外の物体とを区別できるように構成されていてもよい。空間認識装置は、空間認識装置又はショベル100から空間認識装置によって認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。
【0037】
本実施形態のコントローラ30は、上述した各種のセンサから出力される値、測位装置P1、撮像装置S6を含む空間認識装置から出力される情報を含む走行データを取得し、
記憶装置47に格納する。つまり、本実施形態の走行データには、各種センサの値、ショベル100位置を示す位置情報、撮像装置S6によって撮像された画像データが含まれる。
【0038】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある外部機器との通信を制御するように構成されている。具体的には、通信装置T1は、コントローラ30が取得した走行データを、後述する管理装置300(
図3参照)に送信してもよい。本実施形態では、通信装置T1は、衛星通信網、携帯電話通信網又はインターネット網等を介した外部機器との通信を制御する。外部機器は、例えば、外部施設に設置されたサーバ等の管理装置300であってもよく、ショベル100の周囲の作業者が携帯しているスマートフォン等の支援装置であってもよい。
【0039】
外部機器は、例えば、1又は複数のショベル100に関する施工情報を管理できるように構成されている。施工情報は、例えば、ショベル100の稼動時間、燃費及び作業量等の少なくとも1つに関する情報を含む。作業量は、例えば、掘削した土砂の量、及び、ダンプトラックの荷台に積み込んだ土砂の量等である。
【0040】
ショベル100は、通信装置T1を介し、所定の時間間隔でショベル100に関する施工情報を外部機器に送信するように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100の外部にいる作業者又は管理者等は、管理装置300又は支援装置に接続されているモニタ等の表示装置を通じて施工情報を含む各種情報を視認できる。
【0041】
外部機器は、積載重量測定装置を備えたダンプトラックに搭載されている通信装置であってもよく、ダンプトラックの重量を測定する台貫に接続された通信装置であってもよい。この場合、ショベル100は、ダンプトラック又は台貫からの情報に基づき、ダンプトラックの荷台に積載された土砂等の重量を取得できる。
【0042】
図2は、ショベルの上面図である。
図2に示すように、ショベル100の上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が搭載されている。また、上部旋回体3には、蓄電部51、インバータ52、モータ53を有する。
【0043】
蓄電部51は、上部旋回体3に対して着脱が可能であり、インバータ52を介してモータ53に電力を供給する。つまり、蓄電部51は、ショベル100の駆動に必要なエネルギを蓄積するエネルギ蓄積部の一例であり、ショベル100から着脱可能な状態で上部旋回体3に搭載されている。また、蓄電部51は、例えば、充放電が可能なキャパシタ、又は、リチウムイオン電池等である。
【0044】
また、本実施形態の蓄電部51は、上部旋回体3の後方(-X方向)に配置されており、カウンタウェイトを兼ねていてもよい。なお、蓄電部51の重量が不足する場合には、蓄電部51の近傍に、別途ウェイトを搭載してもよい。
【0045】
本実施形態のインバータ52は、蓄電部51から供給される電圧を、モータ53の回転数に合わせて制御する。モータ53は、インバータ52から供給される電圧によって駆動し、油圧ポンプとしてのメインポンプ14を駆動させる。
【0046】
コントロールバルブ17は、ショベルの油圧系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、右側走行用油圧モータ、左側走行用油圧モータ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回用油圧モータ等の油圧アクチュエータに接続されている。旋回用油圧モータは旋回用電動発電機であってもよい。
【0047】
メインポンプ14は作動油ライン14aを通じて作動油タンク19から作動油を吸入し、且つ、作動油ライン14bを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。コントロールバルブ17に供給された作動油は、油圧アクチュエータを経由した後で或いは油圧アクチュエータを経由せずに、作動油ライン14cを通じて作動油タンク19に戻される。
【0048】
パイロットポンプ15はパイロットライン15aを通じて作動油タンク19から作動油を吸入し、且つ、パイロットライン15bを通じてコントロールバルブ17内のスプール弁のパイロットポートに作動油を供給する。パイロットポートに供給された作動油は、必要に応じ、パイロットライン15cを通じて作動油タンク19に戻される。
【0049】
作動油タンク19内の作動油は、電動オイルポンプ等により、作動油ライン16aを通じてオイルクーラ(図示せず。)に供給される。オイルクーラで冷却された作動油は、作動油ライン16cを通じて作動油タンク19に戻される。
【0050】
次に、
図3を参照して、
図1、
図2で説明したショベル100を含む、建設機械の管理システムについて説明する。
図3は、実施形態の建設機械の管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0051】
本実施形態の建設機械の管理システムSYSは、ショベル100と、搬送移動体200と、管理装置300とを含む。以下の説明では、建設機械の管理システムSYSを、単に管理システムSYSと表現する場合がある。
【0052】
本実施形態の管理システムSYSにおいて、ショベル100と、搬送移動体200とは、例えば、広域通信網を介さずに、互いと無線で通信することができる。また、ショベル100と、搬送移動体200とは、それぞれが、広域通信網を介して管理装置300と通信することができる。
【0053】
本実施形態の管理システムSYSにおいて、ショベル100は、例えば、コントローラ30により、蓄電部51の残容量が一定の値以下になったことが検知されると、通信装置T1によって、管理装置300に対して蓄電部51の交換要求を送信してもよい。
【0054】
管理装置300は、交換要求を受け付けると、搬送移動体200に対して、ショベル100の蓄電部51の交換指示を通知し、搬送移動体200により、ショベル100の蓄電部51を交換させる。
【0055】
本実施形態の搬送移動体200は、ショベル100の近傍まで、充電された他の蓄電部51を搬送し、上部旋回体3に装着された蓄電部51と、他の蓄電部51とを交換する。本実施形態の搬送移動体200は、上部旋回体3に装着された蓄電部51を取り外すこと、搬送した他の蓄電部51を上部旋回体3に装着すること、ができるものであれば、どのようなものであってもよい。具体的には、例えば、搬送移動体200は、フォークリフトのようなものであってもよいし、ドローンのような飛行体であってもよい。
【0056】
また、
図3の例では、管理装置300は1台の情報処理装置により実現されるものとしたが、これに限定されない。管理装置300は、複数の情報処理装置により実現されてもよい。言い換えれば、管理装置300により実現される機能は、複数の情報処理装置により実現されてもよい。
【0057】
図4は、実施形態のショベルのコントローラの機能について説明する図である。本実施形態のショベル100のコントローラ30は、残容量監視部31、交換検出部32、通信制御部33、動作状態制御部34、接続状態判定部35を有する。
【0058】
残容量監視部31は、蓄電部51の残容量を監視する。交換検出部32は、蓄電部51の残容量に応じて、蓄電部51の交換が必要となったことを検出する。言い換えれば、交換検出部32は、蓄電部51の交換のタイミングを検出する。
【0059】
通信制御部33は、通信装置T1を用いた外部装置との通信を制御する。具体的には、通信制御部33は、ショベル100と搬送移動体200との通信や、ショベル100と管理装置300との通信を制御する。
【0060】
動作状態制御部34は、ショベル100の動作の状態を制御する。具体的には、動作状態制御部34は、ショベル100の動作を停止させたり、動作を可能としたりする。接続状態判定部35は、蓄電部51の交換後の接続状態を判定する。
【0061】
次に、
図5を参照して、本実施形態の管理システムSYSの動作を説明する。
図5は、実施形態の管理システムの動作を説明するシーケンス図である。
【0062】
本実施形態の管理システムSYSにおいて、ショベル100は、コントローラ30の交換検出部32により、蓄電部51の交換が必要であることを検出する(ステップS501)。具体的には、交換検出部32は、残容量監視部31が監視している蓄電部51の残容量が所定の閾値以下となったときに、蓄電部51の交換が必要であるものとする。
【0063】
続いて、ショベル100は、通信制御部33により、管理装置300に対して、蓄電部51の交換要求を送信する(ステップS502)。
【0064】
続いて、ショベル100は、動作状態制御部34は、ショベル100を動作不能の状態とする(ステップS503)。
【0065】
具体的には、動作状態制御部34は、インバータ52をオフ状態とし、モータ53への電力の供給を遮断して、動作を停止させてもよい。また、動作状態制御部34は、ゲートロック弁を閉状態として、ショベル100の動作を停止させてもよい。
【0066】
管理装置300は、ショベル100からの交換要求を受け付けると、搬送移動体200に対して移動指示を通知する(ステップS504)。
【0067】
具体的には、本実施形態では、ショベル100から管理装置300に送信される交換要求に、ショベル100の位置情報が含まれていてもよく、管理装置300は、搬送移動体200に対し、ショベル100の位置情報と共に移動指示を送信してもよい。
【0068】
搬送移動体200は、移動指示を受けて、他の蓄電部51を搬送しながらショベル100の近傍まで移動する(ステップS505)。続いて、搬送移動体200は、ショベル100に対して、蓄電部51の交換が可能な位置に到着したことを示す通知を送信する(ステップS506)。
【0069】
ショベル100は、この通知を受信すると、搬送移動体200を認識し、搬送移動体200に対して、蓄電部51の交換が可能であることを示す通知を送信する(ステップS507)。
【0070】
搬送移動体200は、この通知を受けて、ショベル100に装着されている蓄電部51を、搬送してきた他の蓄電部51に交換する(ステップS508)。具体的には、搬送移動体200は、上部旋回体3に装着されている蓄電部51を取り外し、搬送してきた他の蓄電部51を上部旋回体3に装着させる。
【0071】
続いて、搬送移動体200は、交換が完了すると、ショベル100に対し、交換が完了したことを示す通知を送信する(ステップS509)。
【0072】
ショベル100は、交換が完了したことを示す通知を受信すると、接続状態判定部35により、他の蓄電部51とインバータ52とが接続されているか否かを判定する(ステップS510)。
【0073】
具体的には、接続状態判定部35は、新たに装着された他の蓄電部51の残容量の検出が可能か否かを判定してもよい。残容量が検出できない場合、他の蓄電部51が正しく装着されていないことがわかる。したがって、この場合は、コントローラ30は、通信制御部33により、搬送移動体200と管理装置300に対して、エラー通知を送信してもよい。また、本実施形態では、蓄電部51の交換作業を複数回繰り返してもエラーとなる場合には、管理装置300に対してサービスマンの派遣を要求するメッセージ等を送信してもよい。
【0074】
また、接続状態判定部35は、残容量が検出された場合に、検出された残容量が、所定の値以上であるか否かを判定してもよい。例えば、ここで検出された残容量が、所定の閾値以下であった場合、蓄電部51は、交換されていないことがわかる。したがって、この場合は、コントローラ30は、通信制御部33により、搬送移動体200と管理装置300に対して、エラー通知を送信してもよい。
【0075】
さらに、接続状態判定部35は、残容量が、所定の閾値より大きい場合であっても、一定の値以下である場合には、他の蓄電部51が満充電ではないと判定し、通信制御部33により、満充電ではないことを示す通知等を管理装置300に送信してもよい。
【0076】
なお、
図5では、蓄電部51の交換が正常に行われた場合を示している。
【0077】
コントローラ30は、新たに装着された他の蓄電部51の接続を確認すると、通信制御部33により、搬送移動体200に対して帰還指示を送信する(ステップS511)。言い換えれば、コントローラ30は、搬送移動体200に対し、ショベル100から離れるように退去指示を行う。
【0078】
搬送移動体200は、この帰還指示を受けて、ショベル100から離れるように移動する(ステップS512)。具体的には、搬送移動体200は、例えば、搬送移動体200の待機所等に向かって移動してもよい。
【0079】
搬送移動体200は、待機所等への帰還が完了すると、帰還したこと示す通知を管理装置300に送信する(ステップS513)。
【0080】
ショベル100は、搬送移動体200が移動した後に、動作状態制御部34により、ショベル100の状態を、動作が可能な状態に切り替える(ステップS514)。具体的には、動作状態制御部34は、インバータ52をオン状態に切り替え、モータ53に対する電力の供給を再開させてもよい。また、動作状態制御部34は、例えば、ゲートロック弁を閉状態から開状態へ切り替えてもよい。
【0081】
また、このとき、コントローラ30は、搬送移動体200とショベル100との距離が所定の距離以上となったことが検出されると、動作が可能に状態への切り替えを行ってもよい。
【0082】
このように、本実施形態では、搬送移動体200がショベル100の近傍まで接近している状態では、ショベル100の動作を停止させる。したがって、本実施形態では、蓄電部51の交換作業における安全性を向上させることができる。
【0083】
また、本実施形態では、蓄電部51を着脱可能にする以外に大きな装置を追加する必要がない。また、本実施形態では、ショベル100が蓄電部51の交換のために移動する必要がないため、作業効率を低下させることがない。さらに、ショベル100に対するエネルギの補給に要する時間を短縮することができる。
【0084】
なお、本実施形態では、管理システムSYSは、ショベル100と搬送移動体200と管理装置300とを含み、蓄電部51の交換要求は管理装置300に送信されるものとしたが、これに限定されない。
【0085】
管理システムSYSは、管理装置300を含まなくてもよい。その場合、
図5に示す動作は、ショベル100と搬送移動体200との通信によって実現される。具体的には、例えば、ショベル100から出力される蓄電部51の交換要求は、直接搬送移動体200に送信されてよい。搬送移動体200は、この交換要求を受け付けると、ショベル100に接近するための移動を開始してもよい。このようにすれば、管理装置300が不要となり、通信処理にかかる負荷が軽減できる。
【0086】
(別の実施形態)
以下に、
図6を参照して、別の実施形態について説明する。別の実施形態では、ショベル100の上部旋回体3に、複数の蓄電部51が装着されている。
【0087】
図6は、別の実施形態のショベルの上面図である。
図6に示すショベル100では、上部旋回体3に複数の蓄電部51a、蓄電部51bが装着されている。また、
図6の例では、蓄電部51a、蓄電部51bは、作動油タンク19の前方(+X方向)に並んで配置されている。言い換えれば、複数の蓄電部51は、上部旋回体3の後方(-X方向)に配置されたカウンタウェイトとは異なる位置に配置されている。
【0088】
図6に示すショベル100は、蓄電部51a、蓄電部51bのうち、何れか一方からの電力の供給が遮断された状態であっても、他方の蓄電部51から供給される電力により、作業を継続することができる。
【0089】
したがって、本実施形態では、例えば、蓄電部51aと蓄電部51bのうち、何れか一方の残容量が所定の閾値未満となった場合であっても、交換要求を管理装置300に送信せずに、一定の時間作業を継続することができる。このため、本実施形態によれば、作業効率を向上させることができる。
【0090】
なお、本実施形態では、例えば、蓄電部51a、蓄電部51bのうち、何れか一方からのみ電力が供給される場合には、コントローラ30は、一定以上の負荷がかかる動作を禁止するように、ショベル100を制御してもよい。
【0091】
なお、
図6の例では、蓄電部51は2つとしたが、蓄電部51の数は2つに限定されず、任意の数であってよい。
【0092】
(さらに他の実施形態)
以下に、
図7乃至
図9を参照して、さらに別の実施形態について説明する。
図7は、さらに別の実施形態のショベルの上面図である。
【0093】
本実施形態のショベル100Aは、エンジン11とエンジンルームERとを有する。エンジンルームER内において、エンジン11の左側(+Y側)には冷却ファン11cが設置されている。そして、冷却ファン11cの左側には熱交換機ユニット11dが設置されている。冷却ファン11cは、エンジン11によって駆動される。熱交換機ユニット11dは、ラジエータ、オイルクーラ、インタークーラ、燃料クーラ等を含む。
【0094】
エンジンルームER内において、エンジン11は、吸気管11aを通じて外気を取り込む。そして、排気管11bを通じて排気ガスを排気ガス処理装置11eに向けて排出する。
【0095】
排気ガス処理装置11eは、例えば、排気ガス中のNOxを浄化する選択還元触媒システムである。排気ガス処理装置11eは、例えば、排気管11b内に設置された選択還元触媒の上流側で尿素水を噴射して排気ガス中のNOxを還元し、この還元反応を還元触媒により促進してNOxを無害化する。
【0096】
作動油タンク19の前側(+X側)に、燃料を貯蔵する燃料タンク20、尿素水を貯蔵する尿素水タンク21が搭載されている。燃料タンク20と尿素水タンク21とは、ブーム4を挟んでキャビン10の反対側(-Y側)に設置されている。尿素水タンク21の前側には、工具箱22が設置されている。
【0097】
本実施形態の燃料タンク20と尿素水タンク21は、上部旋回体3から着脱可能である。言い換えれば、本実施形態の燃料タンク20と尿素水タンク21とのそれぞれは、搬送移動体200によって取り外しと、取り付けが可能である。また、本実施形態の燃料タンク20は、ショベル100Aの駆動に必要なエネルギを蓄積するエネルギ蓄積部の一例であり、ショベル100Aから着脱可能な状態で上部旋回体3に搭載されている。
【0098】
また、本実施形態では、エネルギ蓄積部の一例として、燃料タンク20の代わりに、水素が充填された水素タンクを用いてもよい。燃料に水素を用いる場合には、尿素タンク21を省略することができる。
【0099】
図8は、さらに別の実施形態のショベルのコントローラの機能を説明する図である。本実施形態のコントローラ30Aは、残量監視部31A、交換検出部32A、通信制御部33、動作状態制御部34、装着状態判定部35Aを有する。
【0100】
残量監視部31Aは、燃料タンク20に貯蔵された燃料の残量を監視する。交換検出部32Aは、残量監視部31Aが監視している燃料の残量が所定の閾値以下となったとき、燃料タンク20の交換が必要であると判断する。また、残量監視部31A、交換検出部32Aは尿素水タンク21に貯蔵された尿素水の残量を監視し、交換を判断するようにしてもよい。装着状態判定部35Aは、燃料タンク20と交換される新たな他の燃料タンク20が正しく装着されたか否かを判定する。また装着状態判定部35Aは、尿素水タンク21と交換される新たな他の尿素水タンク21が正しく装着されたか否かを判定する。
【0101】
図9は、さらに別の実施形態の管理システムの動作を説明するシーケンス図である。本実施形態のショベル100Aは、交換検出部32Aにより、残量監視部31Aにより監視されている燃料タンク20内の燃料の残量が、所定の閾値以下となったことを検出する(ステップS901)。
【0102】
続いて、ショベル100Aは、管理装置300に対して燃料タンク20の交換要求を送信する(ステップS902)。
図9のステップS903からステップS906までの処理は、
図5のステップS503からステップS506までの処理と同様であるから、説明を省略する。
【0103】
ショベル100Aは、搬送移動体200が到着したことを示す通知を受信すると、通信制御部33により、燃料タンク20の交換が可能であることを示す通知を搬送移動体200へ送信する(ステップS907)。
【0104】
搬送移動体200は、この通知を受けて、燃料タンク20を、搬送してきた他の燃料タンク20に交換する(ステップS908)。続いて、搬送移動体200は、ショベル100Aに対し、燃料タンク20の交換が完了したことを示す通知を送信する。
【0105】
ショベル100Aは、この通知を受けて、装着状態判定部35Aにより、新たに装着された他の燃料タンク20に貯蔵された燃料の残量を確認する(ステップS910)。具体的には、装着状態判定部35Aは、残量監視部31Aにより監視されている残量が、所定の閾値より大きいか否かを判定してもよい。このとき、残量が所定の閾値以下である場合とは、燃料タンク20が交換されていないことを示している。したがって、この場合、ショベル100Aは、搬送移動体200と管理装置300に対して、エラーを送信してもよい。
【0106】
また、装着状態判定部35Aは、残量監視部31Aにより監視されている残量が、一定の値以下であるか否かを判定してもよい。残量が一定の値以下である場合、ショベル100Aは、管理装置300に対して、他の燃料タンク20に貯蔵された燃料が満杯ではないことを示す通知を送信してもよい。
図9では、正常に燃料タンク20が交換された場合を示している。
【0107】
図9のステップS911からステップS914までの処理は、
図5のステップS511からステップS514までの処理と同様であるから、説明を省略する。
【0108】
なお、
図9では、燃料タンク20が交換される場合を説明したが、同様の処理を尿素水タンク21について行ってもよい。
【0109】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、条件、及び形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更され得る。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0110】
20 燃料タンク
30 コントローラ
31 残容量監視部
31A 残量監視部
32、32A 交換検出部
33 通信制御部
34 動作状態制御部
35 接続状態判定部
35A 装着状態判定部
51 蓄電部
52 インバータ
53 モータ
100 ショベル
200 搬送移動体
300 管理装置