(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176806
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20231206BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20231206BHJP
【FI】
G06Q10/00 400
G06Q30/02 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089291
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 善一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】森 哲憲
(72)【発明者】
【氏名】木元 太一朗
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 貞明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】ユーザが過去に使用した消耗品を再生品として返却することで消耗品の再利用を促進できる。
【解決手段】印刷サービス提供システム1は、プリンタ200で使用された後のインクカートリッジ50の回収先における当該インクカートリッジ50の回収情報を取得する回収情報取得部630と、回収情報取得部630による前記回収情報の取得後、プリンタ200に対してインクカートリッジ50が装着された場合に、当該インクカートリッジ50が、同一の使用者環境により過去に使用されたインクカートリッジ50の再生品であるか否かを判定するカートリッジ判定部635と、カートリッジ判定部635により前記再生品であると判定された場合に、ポイントを生成するポイント生成部640と、生成された前記ポイントを、プリンタ200又はプリンタ200のユーザに対応付けて付与するポイント付与部647と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を用いて印刷を行う印刷装置と、
前記印刷装置に対してネットワーク経由で通信可能な通信I/F、及び、制御部、を有する情報管理装置と、
を有する情報管理システムであって、
前記印刷装置で使用された後の前記消耗品の回収先における当該消耗品の回収情報を取得する回収情報取得部と、
前記回収情報取得部による前記回収情報の取得後、前記印刷装置に対して前記消耗品が装着された場合に、当該消耗品が、同一の使用者環境により過去に使用された消耗品の再生品であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記過去に使用された消耗品の再生品であると判定された場合に、前記印刷装置を使用した印刷に係わる特典情報を生成する特典情報生成部と、
前記特典情報生成部により生成された前記特典情報を、前記印刷装置又は当該印刷装置のユーザに対応付けて付与する特典情報付与部と、
を有する、情報管理システム。
【請求項2】
前記判定部は、
前記消耗品が再生品であるか否かを表す再生有無情報に基づき、前記判定を行う、請求項1記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記回収情報の取得後に前記消耗品が装着された場合における、今回の使用者環境識別情報を取得する第1使用者環境識別情報取得部と、
前記回収情報の取得前の所定タイミングにおける、前回の使用者環境識別情報を取得する第2使用者環境識別情報取得部と、
をさらに有し、
前記判定部は、
前記今回の使用者環境識別情報と前記前回の使用者環境識別情報とが一致するか否かに応じて、前記判定を行う、請求項1記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記使用者環境識別情報は、
前記印刷装置を特定する印刷装置特定情報を含み、
前記判定部は、
前記回収情報の取得後に前記消耗品が前記印刷装置に装着された場合における今回の第1印刷装置特定情報と、前記所定タイミングにおいて前記消耗品が前記印刷装置に装着された場合における前回の第2印刷装置特定情報とが、一致するか否かに応じて前記判定を行う、請求項3記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記第1使用者環境識別情報取得部、前記第2使用者環境識別情報取得部、及び前記判定部は、前記情報管理装置に設けられており、
前記第2使用者環境識別情報取得部は、
前記回収情報の取得前の前記所定タイミングに前記消耗品が装着された前記印刷装置の前記第2印刷装置特定情報を、当該印刷装置から取得し、
前記第1使用者環境識別情報取得部は、
前記回収情報取得部による前記回収情報の取得後、前記消耗品が装着された前記印刷装置の前記第1印刷装置特定情報を当該印刷装置から取得し、
前記判定部は、
取得された前記第1印刷装置特定情報及び前記第2印刷装置特定情報が互いに一致するか否かに応じて前記判定を行う、請求項4記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記使用者環境識別情報は、
前記印刷装置のユーザを特定するユーザ特定情報を含み、
前記判定部は、
前記回収情報の取得後に前記消耗品が装着された前記印刷装置に係わる今回の第1ユーザ特定情報と、前記所定タイミングにおいて前記消耗品が装着された前記印刷装置に係わる前回の第2ユーザ特定情報とが、一致するか否かに応じて前記判定を行う、請求項3記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記第1使用者環境識別情報取得部、前記第2使用者環境識別情報取得部、及び前記判定部は、前記情報管理装置に設けられており、
前記第2使用者環境識別情報取得部は、
前記回収情報の取得前の前記所定タイミングに前記消耗品が装着された前記印刷装置に対応する前記第2ユーザ特定情報を、端末装置から取得し、
前記第1使用者環境識別情報取得部は、
前記回収情報取得部による前記回収情報の取得後、前記消耗品が装着された前記印刷装置より取得された消耗品特定情報に対応付けられる前記第1ユーザ特定情報を取得し、
前記判定部は、
取得された前記第1ユーザ特定情報及び前記第2ユーザ特定情報が互いに一致するか否かに応じて前記判定を行う、請求項6記載の情報管理システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記印刷装置に設けられており、
前記特典情報生成部及び前記特典情報付与部は、前記情報管理装置に設けられており、
前記印刷装置は、さらに、
前記回収情報取得部による前記回収情報の取得後、装着された前記消耗品の第1消耗品特定情報を取得する第1消耗品特定情報取得部と
前記回収情報の取得前の所定タイミングにおいて、装着された前記消耗品の第2消耗品特定情報を取得する第2消耗品特定情報取得部と、
を有し、
前記印刷装置の前記判定部は、
前記第1消耗品特定情報と前記第2消耗品特定情報とが一致するか否かに応じて、前記判定を行い、
前記情報管理装置の前記特典情報生成部は、
前記過去に使用された消耗品の再生品であるとの判定結果を前記印刷装置の前記判定部から取得した場合に前記特典情報を生成し、
前記情報管理装置の前記特典情報付与部は、
生成された前記特典情報を、前記印刷装置又は前記ユーザに対応付けて付与する、
請求項1記載の情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品に係わる情報を管理する情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、消耗品であるカートリッジが使用後に回収先で回収されて再生された後、印刷装置において再利用される際、再生された回数に応じて再利用価格を値引きする構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、例えば、ユーザが、再生品である消耗品についての、再生前の前回の使用者環境については考慮されていない。
【0005】
ここで新たに、ユーザが、再生品である消耗品について、再生前の前回の使用者環境がどうであったかを知りたい場合を考える。この場合、ユーザは、自らが過去に使用した消耗品の再生品であれば抵抗なく受け入れるが、他人が過去に使用した消耗品の再生品は受け入れ難いという場合があり得る。このようなニーズがある場合、再生後の消耗品をユーザへ提供するときに当該ユーザが過去に使用したものの再生品に限定しなければ、消耗品の再利用が促進されない恐れがある、という問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ユーザが過去に使用した消耗品を再生品として返却することで消耗品の再利用を促進できる、情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、消耗品を用いて印刷を行う印刷装置と、前記印刷装置に対してネットワーク経由で通信可能な通信I/F、及び、制御部、を有する情報管理装置と、を有する情報管理システムであって、前記印刷装置で使用された後の前記消耗品の回収先における当該消耗品の回収情報を取得する回収情報取得部と、前記回収情報取得部による前記回収情報の取得後、前記印刷装置に対して前記消耗品が装着された場合に、当該消耗品が、同一の使用者環境により過去に使用された消耗品の再生品であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記過去に使用された消耗品の再生品であると判定された場合に、前記印刷装置を使用した印刷に係わる特典情報を生成する特典情報生成部と、前記特典情報生成部により生成された前記特典情報を、前記印刷装置又は当該印刷装置のユーザに対応付けて付与する特典情報付与部と、を有する。
【0008】
本願発明においては、ユーザが使用後の消耗品を回収先へ送付することで、回収先から当該消耗品の回収情報が送信される。送信された回収情報は、回収情報取得部により取得される。回収情報の取得後に印刷装置に消耗品が装着されると、判定部により、その装着された消耗品が、過去に同一の使用者環境で使用された消耗品の再生品であるか否か、が判定される。同一の使用者環境の例としては、同一の印刷装置での使用である場合や、同一のユーザでの使用である場合、等である。
回収先で回収後再生された消耗品が当該ユーザの元へ送り返されて印刷装置に装着された場合は、同一の使用者環境で使用された再生品であると判定部により判定され、特典情報生成部によって特典情報が生成され、特典情報付与部により印刷装置又はそのユーザへ付与される。特典情報は、例えばいわゆるポイントと称されるものであり、ユーザが印刷装置を使用して印刷を行う際に何らかの形で活用できる情報である。
本願発明によれば、ユーザは、特典情報の付与により、もともと自らが過去に使用していた消耗品が再生され返却されてきたことを確認できるので、不安なく安心してその消耗品を再利用することができる。また特典情報が与えられることで、使用後の消耗品を積極的に回収先へ提供して同じ消耗品を何回でも使用しようという強い動機付けをユーザに与えることができる。本願発明によれば、以上の結果、消耗品の再利用促進を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが過去に使用した消耗品を再生品として返却することで消耗品の再利用を促進できる、情報管理システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による印刷サービス提供システムの全体概略構成を表す機能ブロック図である。
【
図2】インクカートリッジの再生処理及びリユースの流れを表す説明図である。
【
図3】実施形態での各種処理に係わるソフトウェアブロック構成図である。
【
図4】モバイル端末の表示部に表示される、登録通知の表示画面及びポイント通知の表示画面を表す説明図である。
【
図5】モバイル端末、情報管理サーバ、再生サーバ、プリンタの協働により行われる制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図6】使用者環境識別情報としてユーザIDを用いる変形例における、モバイル端末、情報管理サーバ、再生サーバ、プリンタの協働により行われる制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図7】プリンタが判定を行う変形例における、各種処理に係わるソフトウェアブロック構成図である。
【
図8】モバイル端末、情報管理サーバ、再生サーバ、プリンタの協働により行われる制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
本発明の一実施形態に係る印刷サービス提供システムを
図1に示す。本実施形態は、一例として、顧客であるユーザが予め料金を支払ってプリンタの印刷機能を使用するプリペイド方式の印刷サービス(以下適宜、「プリペイド印刷サービス」という)を提供可能な、印刷サービス提供システム1に適用した場合の実施形態である。印刷サービス提供システムが情報管理システムの一例である。
【0013】
<印刷サービス提供システムの概要>
図1において、この印刷サービス提供システム1は、情報管理サーバ100と、プリンタ200と、モバイル端末300と、再生サーバ400と、を含んでいる。これら情報管理サーバ100、プリンタ200、モバイル端末300、及び再生サーバ400は、ネットワークNTに接続されており、互いに通信可能である。
【0014】
<管理サーバ>
情報管理サーバ100は、例えばプリンタ200のメーカーが設置及び管理するサーバであり、プロセッサ110と、記憶装置115と、インタフェース190と、を有している。これらプロセッサ110、記憶装置115、及びインタフェース190は、バス105を介して互いに接続されている。情報管理サーバ100が情報管理装置の一例である。
尚、情報管理サーバ100は複数のサーバの集合体により構成されていてもよい。
【0015】
記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を備えている。
揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、ユーザID記憶領域121と、デバイス番号記憶領域122と、サービス情報記憶領域123と、カートリッジID記憶領域124と、回収・再生フラグ記憶領域125と、カートリッジエンプティ情報記憶領域126と、ポイント情報記憶領域127と、COB情報記憶領域128と、状態情報記憶領域129と、を有している。これら記憶領域121~129の詳細についてはそれぞれ後述する。
【0016】
不揮発性記憶装置130は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域131と、料金テーブル記憶領域132と、を有している。
プログラム記憶領域131には各種プログラムが格納されている。各種プログラムには、後述の
図3、
図6、
図8のソフトウェアブロック図、
図5、
図6、
図7、
図10のシーケンス図等に基づく本実施形態の印刷サービスの提供に係わる各種のプログラムが含まれる。
料金テーブル記憶領域132には、例えば、前述のプリペイド印刷サービスの契約が結ばれている場合において印刷可能とする枚数に対応してユーザに課金される料金を計算するための所定の相関が記憶されている。
【0017】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置、例えばCPUであり、プログラム記憶領域131に格納された本実施形態の印刷サービスに関するプログラムを含む、各種プログラムを実行する。プロセッサ110は、ネットワークNTに接続されたモバイル端末300、プリンタ200、再生サーバ400等に対するデータ通信を含む、後述の
図5、
図6、
図7、
図10等に示す各種の処理を行う。プロセッサ110は、本実施形態の印刷サービス提供システム1による後述のポイントの生成及び付与や各種識別情報に係わる処理手法を、プリンタ200、モバイル端末300、再生サーバ400等と協働して実行する。なお、プログラム記憶領域131に記憶されたプログラムとこれを用いるプロセッサ110とが制御部の一例である。
【0018】
インタフェース190は、他の装置と通信するための有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。インタフェース190が通信I/Fの一例である。
【0019】
なお、上記記憶装置115は上述した装置要素での構成に限られず、例えば、RAM、ROM、EEPROM、HDD、モバイル端末300に着脱されるUSBメモリ等の可搬記録媒体、プロセッサ110が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって構成されてもよい。
なお、不揮発性記憶装置130は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。
後述するプリンタ200の記憶装置215についても同様である。
【0020】
<プリンタ>
プリンタ200は、例えば、上記印刷サービスを提供する印刷サービス業者又はユーザによって保有されている。プリンタ200は、印刷部290と、搬送部295と、プロセッサ210と、記憶装置215と、表示部240と、操作部250と、インタフェース270と、を有している。これら印刷部290、プロセッサ210、記憶装置215、表示部240、操作部250、及びインタフェース270は、バス205を介して互いに接続されている。 プリンタ200が印刷装置の一例である。
【0021】
記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230とを、含んでいる。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、後述する管理サービス情報を記憶するサービス情報記憶領域221を備えている。
不揮発性記憶装置230は、例えばフラッシュメモリであり、デバイス番号記憶領域231と、プログラム記憶領域232と、ユーザが契約元と交わした契約の締結内容を記憶する契約情報記憶領域233と、を備えている。
デバイス番号記憶領域231には、当該プリンタ200の識別情報の一例としてデバイス番号が記憶されている。デバイス番号の他の例として、MACアドレスを用いてもよい。なお以下適宜、プリンタ200の識別情報を「プリンタ情報」と称する。プリンタ情報が印刷装置特定情報の一例である。
プログラム記憶領域232には各種プログラムが格納されている。各種プログラムには、後述の
図3、
図6、
図8のソフトウェアブロック図、
図5、
図6、
図7、
図10のシーケンス図等に基づく本実施形態の印刷サービスの提供に係わる各種のプログラムが含まれる。これらのプログラムは、例えば、ファームウェアとしてプログラム記憶領域232に予め格納されている。
【0022】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ210は、プログラム記憶領域232に格納された各種プログラムを実行し、本実施形態の印刷サービス提供システム1による後述のポイントの生成及び付与や各種識別情報に係わる処理手法を、プロセッサ110やモバイル端末300や再生サーバ400等と協働して実行する。
【0023】
表示部240は、例えば、液晶ディスプレイであり、種々の情報を表示可能である。表示部240は液晶ディスプレイでなくてもよく、例えば専用のLEDランプ等でもよい。
操作部250は、ユーザによる操作を受け付ける装置である。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示をプリンタ200に入力可能である。インタフェース270は、他の装置と通信するための有線または無線のネットワークインタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0024】
搬送部295は、給紙トレイ中の用紙を取り出して所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0025】
印刷部290は、搬送部295により搬送される用紙に対し所定の方式で画像を形成する。以下は、インクジェット方式で画像が形成される場合を例にとって説明する。印刷部290は、モバイル端末300から印刷ジョブの実行指示(以下適宜、単に「印刷指示」と称する)と共に送信された印刷ジョブ、若しくは、操作部250での操作に基づき自ら生成した印刷ジョブに応じて、カートリッジホルダ51に着脱可能に装着されるインクカートリッジ50のインクを用いて用紙の上に画像の形成を行う。インクカートリッジ50が消耗品の一例である。
【0026】
<モバイル端末>
モバイル端末300は、例えばユーザの所有するスマートフォン等の携帯端末であり、端末装置の一例である。モバイル端末300は、無線通信を介してネットワークNTに接続される。モバイル端末300は、ユーザが適宜に操作入力可能な操作部350と、プロセッサ310と、記憶装置315と、ネットワークNTに接続するためのインタフェース390と、を有している。
【0027】
記憶装置315に備えられたプログラム記憶領域(図示省略)には各種プログラムが記憶されている。各種プログラムには、後述の
図3、
図6、
図8のソフトウェアブロック図、
図5、
図6、
図7、
図10のシーケンス図等に基づく本実施形態の印刷サービスの提供に係わる各種のプログラムが含まれる。記憶装置315に備えられたユーザID記憶領域(図示省略)には、当該モバイル端末300のユーザの識別情報、例えばユーザID又はユーザアカウント等(以下適宜、単に「ユーザID」と称する)が記憶されている。
プロセッサ310は、上記プログラム記憶領域に格納された本実施形態の印刷サービスに関するプログラムを実行する。プロセッサ310は、ネットワークNTに接続された情報管理サーバ100、プリンタ200、再生サーバ400等に対するデータ通信を含む、後述の
図5、
図6、
図7、
図10等に示す各種の処理を行う。プロセッサ310は、本実施形態の印刷サービス提供システム1による後述のポイントの生成及び付与や各種識別情報に係わる処理手法を、情報管理サーバ100やプリンタ200や再生サーバ400等と協働して実行する。
【0028】
モバイル端末300はまた、表示部301を備える(後述の
図4(a)、
図4(b)等参照)。表示部301の表示内容の例については後述する。
モバイル端末300はまた、公知の手法により光学的な読み取りを実行可能な読取部(図示省略)を備える。読取部を用いたモバイル端末300の処理の詳細については後述する。
なお、モバイル端末300に代えて、例えばパソコンやタブレットコンピュータ、等の他の端末装置を用いてもよい。以下適宜、それら情報端末を総称して、単に「モバイル端末300」と称する。
【0029】
<再生サーバ>
再生サーバ400は、例えばインクカートリッジ50を再生しリユースするために回収する再生業者又は当該再生業者へと仲介する仲介業者(以下適宜、単に「再生業者」という)に備えられている。インクカートリッジ50の再生及びリユース等の詳細については後述する。
【0030】
再生サーバ400は、無線通信を介してネットワークNTに接続される。再生サーバ400は、再生サーバ400における業務担当者が適宜に操作入力可能な操作部450と、プロセッサ410と、記憶装置415と、ネットワークNTに接続するためのインタフェース490と、を有している。
【0031】
記憶装置415に備えられたプログラム記憶領域(図示省略)には各種プログラムが記憶されている。各種プログラムには、後述の
図3、
図6、
図8のソフトウェアブロック図、
図5、
図6、
図7、
図10のシーケンス図等に基づく本実施形態の印刷サービスの提供に係わる各種のプログラムが含まれる。
プロセッサ410は、上記プログラム記憶領域に格納された本実施形態の印刷サービスに関するプログラムを実行する。プロセッサ410は、ネットワークNTに接続された情報管理サーバ100等に対するデータ通信を含む、後述の
図5等に示す各種の処理を行う。プロセッサ410は、本実施形態の印刷サービス提供システム1による後述の各種処理手法を、情報管理サーバ100等と協働して実行する。
再生サーバ400はまた、公知の手法により光学的な読み取りを実行可能な読取装置(図示省略)を含む再生システムを構成する。読取装置を用いた再生システムとしての再生サーバ400の処理の詳細については後述する。
【0032】
<プリペイド印刷サービス>
前述したように、本実施形態では、事前にユーザが利用契約に基づく料金を支払ってプリンタ200の印刷機能を使用する、プリペイド印刷サービスが提供される。情報管理サーバ100のサービス処理部530(後述)は、モバイル端末300からのプリペイド印刷サービスの申請を受け付けることで、プリンタ200にそのプリペイド印刷サービスが適用される。すなわち、ユーザがモバイル端末300を介し当該プリンタ200に対する印刷権限をあらかじめ有償で購入することでその印刷権限が保証する印刷可能枚数分だけ印刷可能となる、従量制のサービスである。
なお、例えばプリンタ200の購入時において、無償で取得可能な印刷権限が保証する印刷可能枚数であってもよい。また有償に基づく印刷権限と無償による印刷権限との両方が存在していてもよい。
【0033】
<チャージ金額とチャージ枚数>
プリペイド方式の料金システムの場合、ユーザは、課金代金として支払った金額(以下適宜、単に「チャージ金額」という)により取得した印刷権限により保証される印刷可能枚数(以下適宜、単に「チャージ枚数」という)に応じて、印刷を行うことができる。この場合、例えば、情報管理サーバ100の料金テーブル記憶領域132に記憶されている料金テーブルに基づき、いくら支払うことで何枚の印刷可能枚数を取得できるかをそれぞれ定めた複数の課金プランがユーザに提示され、ユーザはその中から所望の課金プランを選択する。
【0034】
<インクカートリッジの再生>
一方、近年、環境保護、エコロジーの観点から、上記インクカートリッジ50のような消耗品について、一度使用されたものの再利用すなわちリユースが試みられつつある。インクカートリッジ50のリユースを図る場合は、通常、再生業者の有する専用の再生工場において再生が行われる。
【0035】
具体的には、
図2に示すように、新品のインクカートリッジ50(
図2(a))が上記プリンタ200等を含むプリンタPに装着されて使用され(
図2(b))、インクが空になり使用済となると、再生業者により収集されて再生工場において回収される。再生工場では、各インクカートリッジ50の中にインクが再分注されることで(
図2(c))、再びユーザが使用可能な再生品つまりリユース品として出荷される(
図2(d))。前述の再生サーバ400は、例えばこのような処理を行う再生工場に設けられている。
【0036】
本実施形態では、上記リユースの促進を図るために、プリンタ200における使用後にユーザにより再生業者に提供されたインクカートリッジ50が、再生後、同一のユーザ又は同一のプリンタ200において再び使用される場合、特典としてのポイントが付与される。すなわち、対象となる1つのインクカートリッジ50が、回収及び再生の前後において同一のユーザ又は同一のプリンタ200により使用されるか否かが判定され、同一と判定された場合に、ユーザにポイントが付与される。再生の前後でユーザが同一であること、又は、プリンタ200が同一であることを、以下適宜、インクカートリッジ50の使用者環境が同一である、と称する。ポイントは、その後の適宜のタイミングで何らかの形でユーザ側の利益として還元される。具体的には、例えば上記のチャージ枚数の上乗せ分として使用することが可能である。
【0037】
<ソフトウェアブロック構成>
本実施形態において、上述したポイントの付与や認証等の各種処理に係わるソフトウェアブロック構成を、
図3に示す。
【0038】
<管理サーバのサービス処理部>
図3において、情報管理サーバ100は、サービス処理部530を備えている。一例として、サービス処理部530は、前述したプロセッサ110とプログラム記憶領域131に記憶されたプログラムの対応する部分とにより構成されている。
【0039】
情報管理サーバ100のサービス処理部530は、モバイル端末300を介したユーザからの上記印刷サービス等の申請を受け付け、最新のサービス情報を参照しつつ、各サービスの提供に必要な適宜の処理を実行する。
サービス情報は、上記
図1に示した情報管理サーバ100の揮発性記憶装置120におけるサービス情報記憶領域123に記憶される情報である。サービス情報は、この例では、累積チャージ枚数と、累積印刷枚数と、どのような課金プランをいつどのユーザが購入したか等を表す購入情報と、を含んでいる。
【0040】
累積チャージ枚数は、前述のように1回の課金プランの購入によるチャージによって保証されるチャージ枚数の、過去から現在までの累積値である。
累積印刷枚数は、ユーザが過去にチャージした累積チャージ枚数のうち実際に何枚が印刷済であるのか、言い換えれば上記印刷権限が保証する印刷可能枚数のうち実際にどれだけの量が印刷済であるのか、を管理する情報である。
情報管理サーバ100のサービス処理部530は、ユーザによる課金プランの購入時に、対応する上記購入情報を登録する。サービス処理部530は、購入情報に対応するユーザIDを、当該購入情報と紐づけてユーザID記憶領域121に記憶する。ユーザIDがユーザ特定情報の一例である。
【0041】
<プリンタの印刷制御部>
プリンタ200は、印刷制御部540を備えている。一例として、印刷制御部540は、前述したプロセッサ210とプログラム記憶領域232に記憶されたプログラムの対応する部分とにより構成されている。プリンタ200の印刷制御部540は、管理サービス情報に基づいて、モバイル端末300或いは他の端末装置からの指示に従った上記印刷部290の印刷動作を制御する。
管理サービス情報は、上記
図1に示したプリンタ200の揮発性記憶装置220におけるサービス情報記憶領域221に記憶される情報であり、上記した累積チャージ枚数及び累積印刷枚数を含む。尚、サービス情報はプリンタ200の電源オフにより消失しないよう不図示の書き換え可能な不揮発性記憶装置に適宜バックアップされている。
印刷制御部540は、その時点の管理サービス情報の内容も含めたサービス状態をモバイル端末300へ送信してユーザに提示する機能も有している。
【0042】
<プリンタ及び管理サーバによるサービス情報の更新>
累積印刷枚数は、実際に印刷制御を行うプリンタ200によりデータの生成と修正が行われる。累積チャージ枚数は、チャージを受け付けて処理する情報管理サーバ100によりデータの生成と修正が行われる。
【0043】
情報管理サーバ100は、印刷サービスの受付処理を行う関係から、プリンタ200における累積印刷枚数をできるだけリアルタイムに管理する必要がある。その一方で、プリンタ200側では、実際に指示されたチャージ枚数以内で印刷可能枚数を制限する必要がある。そのため情報管理サーバ100とプリンタ200とは、例えば適宜の周期で定期的にそれぞれのデータを互いに送受し合うことで、それぞれの情報内容を同期更新する。具体的には、情報管理サーバ100からは後述のチャージ処理部600により累積チャージ枚数を含む情報がプリンタ200へ送信され、プリンタ200からは累積印刷枚数を含む情報が情報管理サーバ100へ送信され、それぞれにおいて受信した情報の内容が更新される。
【0044】
プリンタ200の印刷制御部540は、その時点で自身が記憶している管理サービス情報の累積チャージ枚数から累積印刷枚数を差し引いた印刷可能枚数以内でのみ印刷を行うよう管理を行う。そして実際に印刷した際に、印刷制御部540は、その印刷済みの枚数分で管理サービス情報の累積印刷枚数をカウントアップするよう更新する。例えば印刷制御部540は、チャージ済金額で印刷可能なチャージ枚数の完遂時、すなわち、カウントアップされた累積印刷枚数が累積チャージ枚数へ到達した時、これ以降の印刷可能枚数がゼロとなった上記チャージゼロ状態を警告表示するための表示信号を出力することができる。
【0045】
<情報管理サーバの他の機能部>
情報管理サーバ100はさらに、チャージ処理部600と、特定情報対応付け部602と、情報取得部605と、特定情報受信部610と、付与先対応付け部615と、登録通知部625と、回収情報取得部630と、再生カートリッジ情報取得部632と、カートリッジ判定部635と、ポイント生成部640と、ポイント通知部645と、ポイント付与部647と、有効化処理部650と、を備えている。一例として、これらの機能部600~650は、それぞれ、前述したプロセッサ110とプログラム記憶領域131に記憶されたプログラムの対応する部分とにより構成されている。
【0046】
<チャージ処理部>
チャージ処理部600は、モバイル端末300で上記課金プランの購入申し込みを受け付けたことに応じて、当該課金プランに対応した上記チャージ枚数の値を、プリンタ200の管理サービス情報における累積チャージ枚数の値に対して加算する。
チャージ処理部600はまた、上記管理サービス情報の累積チャージ枚数の加算に応じて、当該課金プランに対応した上記チャージ枚数の値を、情報管理サーバ100のサービス情報における累積チャージ枚数の値に対して加算することで、当該累積チャージ枚数の内容を更新する。なお、チャージ処理部600は、その累積チャージ枚数に対応するプリンタ200のデバイス番号を、当該累積チャージ枚数と紐づけてデバイス番号記憶領域122に記憶する。
【0047】
<特定情報対応付け部>
特定情報対応付け部602は、後述するユーザの適宜の操作に基づきモバイル端末300から送信された、プリンタ200のプリンタ情報、及び、モバイル端末300に予め対応付けられたユーザID、を受信する。
特定情報対応付け部602はまた、上記プリンタ情報及びユーザIDを、互いに対応付けて、登録する。
【0048】
<情報取得部>
情報取得部605は、プリンタ200に装着されたインクカートリッジ50の識別情報であるカートリッジIDを当該プリンタ200から取得する。カートリッジIDは各カートリッジに固有の情報であり、インクカートリッジ50が再生されても変わらない。カートリッジIDが、消耗品特定情報の一例である。
情報取得部605はまた、インクカートリッジ50の消耗度合いすなわちインクの減り具合に対応した、インクの残量が所定の閾値以下になったことを表すインクエンプティ情報を取得する。これらの情報は、例えばプリンタ200に備えられた通信部(図示省略)が、インクカートリッジ50内に設けたICチップ等の記憶部(図示省略)から、通信によって読み出すことで取得することができる。
【0049】
<特定情報受信部>
特定情報受信部610は、プリンタ200から、インクカートリッジ50の回収先すなわち再生業者への提供の登録申込を受け付ける。特定情報受信部610はまた、プリンタ200によりインクカートリッジ50内の記憶部から通信を介して取得され、送信されたカートリッジIDを受信する。特定情報受信部610はまた、後述する回収情報取得部630による回収情報の取得より前の適宜のタイミングにおいて、プリンタ200から当該プリンタ200のプリンタ情報を受信する。この例では、上記のプリンタ200からのカートリッジIDの受信時に、プリンタ200のプリンタ情報を併せて受信する。特定情報受信部610が第2使用者環境識別情報取得部の一例である。
【0050】
<付与先対応付け部>
付与先対応付け部615は、特定情報受信部610が受信したインクカートリッジ50のカートリッジIDと、そのカートリッジIDを送信したプリンタ200のプリンタ情報と、を対応付ける。
付与先対応付け部615はまた、特定情報受信部610が受信したインクカートリッジ50のカートリッジIDを、プリンタ200を使用した印刷に係るポイントの付与先と対応付ける。ポイントが特典情報の一例であり、ユーザがポイントの付与先の一例である。
具体的には、付与先対応付け部615は、特定情報受信部610が受信したカートリッジIDを、特定情報受信部610が受信したプリンタ情報に対して特定情報対応付け部602で予め対応付けられたユーザIDと、対応付ける。
なお、この例に限られず、上記ポイントの付与先が、プリンタ200であってもよい。その場合、付与先対応付け部615は、特定情報受信部610が受信したカートリッジIDを、特定情報受信部610が受信したプリンタ情報と、互いに対応付ける。
付与先対応付け部615はまた、情報取得部605により上記のように取得されたカートリッジIDと、特定情報受信部610で受け付けた登録申込に含まれるカートリッジIDとが、合致するか否かを照合する。
【0051】
<登録通知部>
登録通知部625は、特定情報受信部610により登録申込が受け付けられたこと、及び、及び、登録に係るインクカートリッジ50のカートリッジIDを表す登録通知をモバイル端末300及びプリンタ200へと送信する。
【0052】
上記通知を受けたモバイル端末300及びプリンタ200では、表示部301及び表示部240において対応する表示がそれぞれ行われる。このときモバイル端末300の表示部301において行われる表示の一例を
図4(a)により説明する。
【0053】
図4(a)に示すように、この例では、表示部301に、登録通知の表示画面301Aが表示されている。表示画面301Aでは、通知の日付、ユーザID、インクカートリッジ50のカートリッジIDが表示されている。表示画面301Aではまた、「下記のカートリッジの回収登録が完了しました。ありがとうございました。」のメッセージが表示されている。表示画面301Aにはまた、回収するインクカートリッジ50の送付先、すなわち再生業者の住所等が表示されている。
なお、図示及び詳細な説明を省略するが、プリンタ200の表示部240においても、上記表示画面301Aと同様の内容の表示が行われる。
【0054】
<回収情報取得部>
図3へ戻り、回収情報取得部630は、登録申込がされたインクカートリッジ50が上記再生業者において回収された際の、当該インクカートリッジ50に係わる回収情報を再生サーバ400から取得する。なお、再生業者が回収先の一例である。
【0055】
回収情報は、例えば前述のインクカートリッジ50内に設けたICチップ等の記憶部(図示省略)から読み出され再生サーバ400が取得した、後述のCOB情報を含む。あるいは回収情報は、インクカートリッジ50若しくはインクカートリッジ50の梱包袋等に付されたバーコード等への読取装置の読取り結果に基づき、再生サーバ400が取得した、COB情報を含む情報であってもよい。後述のように、取得されたCOB情報には、回収されたインクカートリッジ50のカートリッジIDが含まれる。
【0056】
回収情報はまた、インクカートリッジ50の状態情報を含む。状態情報は、例えばインクカートリッジ50が、汚れている、少なくとも一部が破損している、その他COB情報の取得に影響のある何らかの状態を表す情報であり、例えば再生サーバ400の上記操作部450において業務担当者により手動にて操作入力される。
【0057】
回収情報取得部630はまた、情報取得部605が取得したカートリッジIDと、特定情報受信部610が受信したカートリッジIDと、自らが取得した回収情報に含まれるカートリッジIDとが、合致するか否かを照合する。
【0058】
<再生カートリッジ情報取得部>
再生カートリッジ情報取得部632は、回収情報取得部630が上記回収情報を取得した後に、プリンタ200に新たにインクカートリッジ50が装着された場合、プリンタ200から、装着されたインクカートリッジ50のカートリッジIDと、プリンタ200のプリンタ情報とを、取得する。再生カートリッジ情報取得部632が、第1使用者環境識別情報取得部の一例である。
【0059】
<カートリッジ判定部>
カートリッジ判定部635は、回収情報取得部630が上記回収情報を取得した後に、プリンタ200に新たにインクカートリッジ50が装着された場合、そのインクカートリッジ50が同一の使用者環境により過去に使用されたインクカートリッジ50の再生品であるか否かを判定する。
具体的には、この例では、カートリッジ判定部635は、再生カートリッジ情報取得部632が取得したプリンタ情報と、登録申込の際に特定情報受信部610が受信したプリンタ情報とが、一致するか否かを判定する。さらにこの例では特に、カートリッジ判定部635は、再生カートリッジ情報取得部632が取得したカートリッジIDに関連付けられた再生フラグFbが新たに再生されたことを示しているか否かも併せて判定する。
上記2つのプリンタ情報が一致し、かつ、再生フラグFbが新たに再生されたことを示している場合、装着されたインクカートリッジ50が、同一のプリンタ200において過去に使用されたインクカートリッジ50の再生品であると判定される。すなわち、インクカートリッジ50が同一の使用者環境により過去に使用された再生品であると判定される。カートリッジ判定部635が判定部の一例である。
【0060】
<ポイント生成部>
ポイント生成部640は、プリンタ200に装着されたインクカートリッジ50が、カートリッジ判定部635により、同一の使用者環境により過去に使用された再生品であると判定された場合に、プリンタ200を使用した印刷に係わるポイントを生成する。ポイントが特典情報の一例である。ポイント生成部640が特典情報生成部の一例である。
【0061】
<ポイント通知部>
ポイント通知部645は、ポイント生成部640でポイントが生成されたことを表す通知を、対応するインクカートリッジ50のカートリッジIDとあわせて、モバイル端末300及びプリンタ200へ送信する。
【0062】
上記通知を受けたモバイル端末300及びプリンタ200では、表示部301及び表示部240において対応する表示がそれぞれ行われる。このときモバイル端末300の表示部301において行われる表示の一例を
図4(b)により説明する。
【0063】
図4(b)に示すように、この例では、表示部301に、ポイント通知の表示画面301Bが表示されている。表示画面301Bでは、前述の表示画面301A同様、通知の日付、ユーザID、インクカートリッジ50のカートリッジIDが表示されている。表示画面301Bではまた、付与された上記ポイントの内容を含む、「先にご登録いただいた下記のカートリッジの再生品であることを確認し、ポイント100ptが付与されました。ありがとうございました。」のメッセージが表示されている。
【0064】
なおこの例では、ポイント通知の表示画面301Bにおいて、ポイント内容の確認要否をユーザが選択可能になっている。すなわち表示画面301Bには、「ポイント確認する」ボタン311a及び「今は確認しない」ボタン311bと、が備えられている。
例えばユーザが「ポイント確認する」ボタン311aを操作することで、付与されたポイント、付与されたポイントと過去のポイントとの合計値の数値等を示す確認画面が、表示画面301B、又は表示画面301Bから移行する別画面、又は表示画面301Bに割り込み表示される別ウィンドウ、等において表示される。
例えばユーザが「今は確認しない」ボタン311bを操作すると上記確認画面の表示は行われず、所定の初期画面の表示へ戻る。
【0065】
なお、図示及び詳細な説明を省略するが、プリンタ200の表示部240においても、上記表示画面301Aと同様の内容の表示が行われる。
【0066】
<ポイント付与部>
図3に戻り、ポイント付与部647は、ポイント生成部640により生成されたポイントを、プリンタ200又はプリンタ200のユーザに対応付けて付与する。具体的には、ポイント付与部647は、付与先対応付け部615がインクカートリッジ50のカートリッジIDと対応付けた付与先に付与する。この例では、ポイントの付与先はプリンタ200のユーザであり、ポイント付与部647は、上記ポイントをプリンタ200のユーザのユーザIDに対応付けて付与する。なお、ポイントの付与先がプリンタ200である場合には、ポイント付与部647は、上記ポイントをプリンタ200のプリンタ情報に対応付けて付与する。ポイント付与部647が特典情報付与部の一例である。
【0067】
<有効化処理部>
有効化処理部650は、ポイント付与部647によりユーザID又はプリンタ情報に対応付けて付与されたポイントを、ユーザが活用可能な態様に有効化する。例えば、ポイントは前述のようにポイント生成部640で生成されているが、有効化処理部650によるこの処理を経るまでは、ユーザが何らかの形で自己の特典として活用することはできない。
【0068】
<制御手順>
以下、上記手法を実現するために、モバイル端末300、情報管理サーバ100、再生サーバ400、プリンタ200の協働により行われる制御手順の一例を、
図5のシーケンスチャートにより説明する。なお、以下、
図5等に表記される「CTG」は「カートリッジ」の略示である。
【0069】
まず、
図5のS15において、インクカートリッジ50の回収について事前登録を希望するユーザがモバイル端末300にて適宜の操作を行うと、モバイル端末300では予めインストール済のインクカートリッジ回収用のアプリケーションプログラムが起動される。
【0070】
S16において、インクカートリッジ50のインク残量が所定の閾値以下となる前の適宜のタイミングにおいて、ユーザが適宜の操作により、プリンタ200の表示部240に、バーコードやシリアルナンバー等によりプリンタ情報が表示される。表示部240に表示されたバーコードに対してモバイル端末300の上記読取部を介した読み取りを行うことでモバイル端末300によりプリンタ200のプリンタ情報が取得される。なお、プリンタ情報は、モバイル端末300の操作部350を介した、上記シリアルナンバーの手動入力により取得されてもよい。
【0071】
S2において、モバイル端末300から、上記のようにS16で取得されたプリンタ200のプリンタ情報と、モバイル端末300に対応付けられたユーザIDとが、上記アプリケーションプログラムを介して情報管理サーバ100に送信される。ユーザID及びプリンタ情報は、情報管理サーバ100の特定情報対応付け部602により受信される。この処理は、インクカートリッジ50の回収を予定しているユーザによる事前登録である。
【0072】
S3において、特定情報対応付け部602で、S2でモバイル端末300より受信したプリンタ情報とユーザIDとが互いに対応付けられて、登録される。
【0073】
S4で、例えばインクカートリッジ50が装着された状態でプリンタ200の電源が投入されると、プリンタ200に備えられた通信部(図示省略)が、インクカートリッジ50内に設けたICチップ等の記憶部(図示省略)に記憶された情報を通信によって読み出し取得する。
このようにして取得された情報を、各図中を含み以下適宜、「COB情報」と略称にて示す。COB情報には、インクカートリッジ50を識別するカートリッジIDが含まれる。取得されたCOB情報は当該プリンタ200に固有のデバイス番号とともに管理サーバ100へと送信されて情報取得部605により取得され、取得されたカートリッジIDはカートリッジID記憶領域124にデバイス番号はデバイス番号記憶領域122に互いに対応付けて記憶される。
【0074】
プリンタ200に設けられた公知の機構が、プリンタ200に装着されているインクカートリッジ50のインク残量が上記閾値以下になったことを検知すると、対応するインクエンプティ情報がカートリッジID、デバイス番号とともにプリンタ200から送信される。情報管理サーバ100では、S5で、情報取得部605により当該インクエンプティ情報が取得され、デバイス番号、カートリッジIDと対応付けてカートリッジエンプティ情報記憶領域126に記憶される。
このとき、プリンタ200のプリンタ情報及びインクカートリッジ50のカートリッジIDのうち少なくとも一方は、例えば前述のプリペイド印刷サービスの契約締結時に、情報管理サーバ100において対応するユーザIDと関連付けられており(図示省略)、S5ではそれらに応じてユーザIDが取得されてユーザID記憶領域121に記憶される。
なお、S4及びS5において上記各記憶領域126,124,122,121に記憶される各情報は、互いに紐付けられた態様で各領域に記憶される。
【0075】
S10では、上記S5の処理が終了したことを表すOK通知が情報管理サーバ100の情報取得部605からプリンタ200へと送信される。
【0076】
S25では、プリンタ200から、カートリッジIDとプリンタ200自らのプリンタ情報とが情報管理サーバ100に送信され、情報管理サーバ100の特定情報受信部610により受信される。受信されたカートリッジIDは、情報管理サーバ100のカートリッジID記憶領域124に記憶され、プリンタ情報はデバイス番号記憶領域122に記憶される。
S25におけるカートリッジIDとプリンタ情報との送信は、当該インクカートリッジ50を再生業者による回収のために提供する旨のユーザ側の意思表示と、それに伴う当該カートリッジIDの情報管理サーバ100における登録の申込と、を兼ねている。
またその際、情報管理サーバ100では、当該インクカートリッジ50に対応した回収・再生フラグのうち回収フラグFaが1となり、当該インクカートリッジ50のカートリッジIDと紐付けられて回収・再生フラグ記憶領域125へと記憶される。
S25でプリンタ200から受信されるプリンタ情報が、前回の使用者環境識別情報の一例であり、第2印刷装置特定情報の一例であり、印刷装置特定情報の一例でもある。
【0077】
S29において、情報管理サーバ100の付与先対応付け部615では、S25で受信されたカートリッジIDとプリンタ情報とが、互いに対応付けられる。さらに、付与先対応付け部615では、プリンタ200のプリンタ情報をキーとして、上記において当該プリンタ情報と対応付けられたカートリッジIDと、S3で当該プリンタ情報に対し対応付けられたユーザIDとが、互いに対応付けられる。
【0078】
S35において、付与先対応付け部615により、S4でカートリッジID記憶領域124に記憶されたカートリッジIDと、S25でカートリッジID記憶領域124に記憶されたカートリッジIDとが合致するか否かが、照合される。さらに、付与先対応付け部615により、S5で取得され、カートリッジエンプティ情報記憶領域126に記憶されていたインクエンプティ情報が読み出され、所定条件を満たしているか否かが照合される。所定条件としては、インクカートリッジ50におけるインク残量が、ある程度空っぽに近い、予め定めた所定値以下となっていること、等に設定される。その意義は、まだインクがインクカートリッジ50内に残っている場合にはなるべく使い切っていただくためであり、まだ使用可能なインクカートリッジ50であるのに回収や再生の回数が増えてしまうのは環境負荷低減の点で好ましくないからである。
【0079】
上記S35での照合において、S4及びS25においてカートリッジID記憶領域124に記憶された2つのカートリッジIDが合致し、かつ、インクエンプティ情報が上記所定条件を満たしていた場合には、登録の申込が受け付けられる。なお、図示を省略しているが、上記S35で前述の2つのカートリッジIDが合致しなかったり、あるいは、上記S35でインクエンプティ情報が上記所定条件を満たしていなかった場合には所定のエラー処理が行われ、登録の申込は受け付けられない。
【0080】
S45では、上述のようにしてS25での登録申込に応じて登録がなされたこと、及び、登録に係るインクカートリッジ50のカートリッジIDを表す通知が、登録通知部625からモバイル端末300及びプリンタ200へと送信される。なお、登録通知部625は、モバイル端末300及びプリンタ200の両方に上記通知を送信する方式に限られず、プリンタ200にのみ上記通知を送信し、モバイル端末300には、ユーザからの要求に基づく操作がなされた時のみ、これに応答して上記通知を送信するようにしてもよい。
【0081】
通知を受信したモバイル端末300では、S50Aにおいて、
図4(a)を用いて例示したような登録結果及び登録に係るインクカートリッジ50のカートリッジID及び回収先の住所等の内容を表す表示が行われる。また、通知を受信したプリンタ200では、S50Bにおいて、
図4(a)の例示と同様の内容の表示が行われる。
この表示を確認したユーザは、例えば郵送により、登録に係わるインクカートリッジ50を再生業者の元へと発送する(便宜的にS55として図示)。発送されたインクカートリッジ50が再生業者の元に到着することで、インクカートリッジ50の回収が行われる。回収されたインクカートリッジ50に対して、再生業者の再生工場において、
図2を用いて前述したような所定の再生処理が行われる。なお、詳細な説明を省略するが、再生処理は、処理対象であるインクカートリッジ50の状態に応じて所定の1又は複数の再生工程による処理が順次行われる。
【0082】
回収されたインクカートリッジ50に対して、S60において、再生サーバ400により、COB情報の読み込みが行われる。COB情報は、前述したように、インクカートリッジ50内の記憶部から読み出されて取得された情報、あるいはインクカートリッジ50若しくはインクカートリッジ50の梱包袋等に付されたバーコード等への読取り結果に基づき取得された情報である。COB情報にはまた、回収された当該インクカートリッジ50のカートリッジIDが含まれる。
S65では、例えば再生サーバ400の操作部450を介し、当該インクカートリッジ50に対する状態情報の入力が受け付けられる。状態情報は、前述したように、例えばインクカートリッジ50が、汚れている、少なくとも一部が破損している、その他COB情報の取得に影響のある何らかの状態を表す情報である。なお、状態情報は、再生工場における再生工程で検知される所定の状態量、複数の再生工程のうち当該インクカートリッジ50に必要となった工程の数、等に応じて、自動的に再生サーバ400において取得されてもよい。
S60,S65で再生サーバ400において取得されたCOB情報及び状態情報は、S70で情報管理サーバ100へと送信される。
【0083】
情報管理サーバ100では、回収情報取得部630により、S70で再生サーバ400から送信されたCOB情報及び状態情報が受信され取得される。取得されたCOB情報はCOB情報記憶領域128へ、取得された状態情報は状態情報記憶領域129へ、それぞれ例えばカートリッジIDやユーザIDと紐付けられて記憶される。なお取得されたCOB情報に含まれていたカートリッジIDはカートリッジID記憶領域124へ記憶される。またその際、回収・再生フラグのうち上記回収フラグFaは0になり、これに代わって再生フラグFbが1となる。また複数回再生されることを予定している場合には再生フラグFbが複数ビットで構成され、再生されるごとに新たなビットの再生フラグFbが0から1となるようにすればよい。
再生フラグFbは、当該インクカートリッジ50のカートリッジIDと紐付けられて回収・再生フラグ記憶領域125へと記憶される。再生フラグFbが再生有無情報の一例である。この例では、再生フラグFbは1の場合にインクカートリッジ50が再生品であり、0の場合に再生品でないことを表す情報である。なお、再生フラグFbは、インクカートリッジ50内の記憶部に記憶されるようにしてもよい。
【0084】
S75では、回収情報取得部630により、S4でカートリッジID記憶領域124に記憶されたカートリッジIDと、S25でカートリッジID記憶領域124に記憶されたカートリッジIDと、S70でCOB情報に含まれる形で取得されカートリッジID記憶領域124に記憶されたカートリッジIDとが、互いに合致するか否かが照合される。
なお、必ずしも、上記4つのカートリッジIDを照合する方式に限られず、例えば、S25で取得されたカートリッジIDと、S70で取得されたカートリッジIDのみを照合するようにしてもよい。
【0085】
再生されたインクカートリッジ50は、S25の登録申込を行ったユーザに対し、S29における対応付けを参照して、当該ユーザの住所等に、再生業者から郵送等で返送される。再生されたインクカートリッジ50を受け取った上記ユーザは、これをプリンタ200に装着する(便宜的にS72として図示)。
【0086】
S74では、プリンタ200からの確認要求が情報管理サーバ100に送信され、再生カートリッジ情報取得部632により受信されて取得される。確認要求には、例えば前述のS4と同様の手法で取得された、S72でプリンタ200に装着されたインクカートリッジ50のカートリッジIDと、プリンタ200のプリンタ情報とが含まれる。受信されたカートリッジIDはカートリッジID記憶領域124に記憶され、プリンタ情報はデバイス番号記憶領域122に記憶される。
この時取得されるプリンタ情報が今回の使用者環境識別情報の一例であり、第1印刷装置特定情報の一例であり、印刷装置特定情報の一例でもある。
【0087】
S78で、カートリッジ判定部635により、S25で特定情報受信部610が受信したプリンタ情報と、S74で再生カートリッジ情報取得部632が受信したプリンタ情報とが一致するか否かが判定される。また、カートリッジ判定部635は、S74で再生カートリッジ情報取得部632が受信したカートリッジIDに紐付けられている再生フラグFbが1であるか否かも併せて判定する。この時カートリッジ判定部635は、回収・再生フラグ記憶領域125に記憶された再生フラグFbの値を参照するか、又は、インクカートリッジ50内の記憶部に記憶された再生フラグFbの値を読取装置により読み出して、上記判定を行う。
上記2つのプリンタ情報が一致し、かつ上記再生フラグFbが1であった場合に、カートリッジ判定部635は、S72で装着されたインクカートリッジ50が、同一の使用者環境すなわち当該プリンタ200で過去に使用されたものの再生品であると判定する。なお再生フラグが用いられない場合は、上記2つのプリンタ情報が一致したことをもって、カートリッジ判定部635が、インクカートリッジ50が当該プリンタ200で過去に使用されたものの再生品であると判定してもよい。
【0088】
上記S78での照合において前述の4つのカートリッジIDが合致しており、かつS78での判定においてインクカートリッジ50が同一の使用者環境により使用された再生品であると判定された場合には、S80において、ポイント生成部640により、ポイントが生成される。ポイントの数値の大小は、例えばユーザの属性、契約内容、利用態様、インクカートリッジ50の種類等に応じて適宜に定めれば足りる。生成されたポイントは、例えばカートリッジIDやユーザIDと紐付けられて上記ポイント情報記憶領域127へ記憶される。
なお、図示を省略しているが、S78で前述のカートリッジIDが合致しなかった場合、及びS78でインクカートリッジ50が同一の使用者環境による再生品であると判定されなかった場合には所定のエラー処理が行われ、ポイントは生成されない。
【0089】
S85では、ポイント通知部645から、モバイル端末300及びプリンタ200へと所定の通知が送信される。この通知は、S25の登録申込を行ったユーザにS80でポイントが生成されたこと、及び、登録申込に係るインクカートリッジ50のカートリッジIDを表す通知、の各情報を含む通知である。
なお、これに限られず、ポイント通知部645は、例えばプリンタ200にのみ上記通知を送信し、モバイル端末300へは、ユーザからの要求に伴う操作が行われた時のみ、通知を送信するようにしてもよい。
【0090】
通知を受信したモバイル端末300では、S90Aにおいて、
図4(b)を用いて例示したような判定結果及びポイント及びインクカートリッジ50のカートリッジIDの内容を表す表示が行われる。また、通知を受信したプリンタ200では、S90Bにおいて、
図4(b)の例示と同様の内容の表示が行われる。
【0091】
情報管理サーバ100では、S97において、ポイント付与部647により、S80で生成したポイントを、S29で付与先対応付け部615が対応付けたユーザIDに関連付けることにより、当該ユーザにポイントが付与される。
【0092】
S100では、有効化処理部650により、ポイントをユーザが活用可能な態様に有効化される。S100において有効化処理部650により実行される処理が有効化処理の一例である。有効化の結果、ユーザは、ポイントを何らかの形で自己の特典として活用することができる。言い換えれば、上記ポイントの全部又は一部に対する、ユーザの活用が解禁される。このようにポイントが有効化され活用が解禁されたことは、例えば対応するユーザIDやカートリッジIDと紐付けられてサービス情報記憶領域123へと記憶される。またこのとき、例えば有効化処理部650により、ユーザが活用可能な態様で有効化されたポイント分だけ、ポイント情報記憶領域127に記憶されていたポイントの数値は減じられる。
解禁後のユーザの活用手法としては、例えば前述したように情報管理サーバ100により前述のチャージ枚数の上乗せ分として使用できるようにしてもよい。あるいは、チャージ枚数以外に、例えば金銭、各種のサービス、各種の商品等、何らかのユーザへの提供物としてユーザが使用できるようにしてもよい。
【0093】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、ユーザが使用後のインクカートリッジ50を再生業者へ送付すると、当該インクカートリッジ50の回収情報が再生サーバ400から送信され、情報管理サーバ100の回収情報取得部630により取得される。回収情報の取得後にユーザによりプリンタ200にインクカートリッジ50が装着されると、カートリッジ判定部635により、その装着されたインクカートリッジ50が、過去に同一の使用者環境で使用されたインクカートリッジ50の再生品であるか否か、が判定される。前述の例では、同一の使用者環境による使用とは、1つのインクカートリッジ50が再生の前後で同じプリンタ200で使用された場合である。
プリンタ200に装着されたインクカートリッジ50が同一の使用者環境で過去に使用された再生品であると判定した場合、ポイント生成部640によって生成されたポイントがポイント付与部647により付与される。ポイントの付与先はユーザやプリンタ等であり、前述の例ではユーザであり、ユーザが印刷サービスを使用する際に何らかの形で活用できる。
本実施形態によれば、ユーザは、ポイントの付与により、返却されたインクカートリッジ50が、もともと自らが過去に使用していたインクカートリッジ50が再生されたものであることを確認できる。そのため、自分以外の使用者による再生品よりも、不安なく安心してそのインクカートリッジ50を再利用することができる。またポイントが与えられることで、使用後のインクカートリッジ50を積極的に回収先へ提供して同じインクカートリッジ50を何回でも使用しようという強い動機付けをユーザに与えることができる。また、自分が使用したインクカートリッジ50の再生品を自分で使用するため、インクカートリッジ50を破損あるいは汚染させず丁寧に取り扱おうという動機付けをユーザに与え、結果としてインクカートリッジ50の寿命を延長させることができる。
本実施形態によれば、以上の結果、インクカートリッジ50の再利用促進を図ることができる。
【0094】
また、本実施形態では特に、カートリッジ判定部635は、カートリッジIDに紐付けされた再生フラグFbに基づき、プリンタ200に装着されたインクカートリッジ50が同一の使用者環境で使用された再生品であるか否かを判定する。前述したように、再生フラグFbは、インクカートリッジ50自体に記録されていてもよいし、情報管理サーバ100内においてインクカートリッジ50と対応付けて記憶されていてもよい。
本実施形態によれば、再生フラグFbによりインクカートリッジ50が上記再生品であるか否かを識別することで、カートリッジ判定部635における判定の正確性をさらに高めることができる。
【0095】
また、本実施形態では特に、カートリッジ判定部635は、回収情報の取得前後における所定のタイミング、前述の例ではS25及びS74でそれぞれ取得された前回の使用者環境識別情報及び今回の使用者環境識別情報が一致するか否かに応じて、上記判定を行う。使用者環境識別情報は、プリンタ情報でもよいし、ユーザIDでもよいが、前述の例ではプリンタ情報である。
本実施形態によれば、異なる2つのタイミングそれぞれで使用者環境識別情報を取得することで、装着されたインクカートリッジ50が同一の使用者環境により過去に使用されたか否かの判定を円滑かつ高精度に行う事ができる。
【0096】
また、本実施形態では特に、使用者環境識別情報として、プリンタ200を特定するプリンタ情報が用いられ、S25で取得されたプリンタ情報とS74で取得されたプリンタ情報とが一致するか否かに基づき、カートリッジ判定部635による判定が行われる。
本実施形態によれば、再生されたインクカートリッジ50が前回と同一のプリンタ200に装着されることによって、同一の使用者環境で使用された再生品であると判定されて、ポイントを生成することができる。
【0097】
また、本実施形態では特に、インクカートリッジ50が回収される前の所定タイミング、前述の例ではS25において、特定情報受信部610によりプリンタ情報が取得される。インクカートリッジ50が回収され回収情報が取得された後、再生カートリッジ情報取得部632によりプリンタ情報が取得される。カートリッジ判定部635が、プリンタ200から取得されたそれら2つのプリンタ情報が一致するか否かに基づき、判定を行う。
本実施形態によれば、情報管理サーバ100側において、プリンタ200からの2つのプリンタ情報に基づき、再生されたインクカートリッジ50が前回と同一のプリンタ200に装着されたことを識別し、ポイントを生成することができる。
【0098】
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例も技術的範囲に含まれる。以下の各変形例の説明では、上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0099】
(1)使用者環境識別情報として、ユーザIDを用いる場合
本変形例における手法を実現するために、モバイル端末300、情報管理サーバ100、再生サーバ400、プリンタ200の協働により行われる制御手順の一例を、上記実施形態の
図5に対応する
図6のシーケンス図により説明する。
【0100】
図6において、本変形例では、
図5と同様のS15,S16,S2~S29が行われる。その際、S2において特定情報対応付け部602により受信されるユーザIDが本変形例における前回の使用者環境識別情報の一例であり、第2ユーザ特定情報の一例であり、ユーザ特定情報の一例でもある。また、S3を実行する特定情報対応付け部602が、本変形例における第2使用者環境識別情報取得部の一例である。S29では、
図5と同様、ユーザIDとカートリッジIDとが互いに対応付けられる。
【0101】
図5と同様のS35~S70,S75,S72,S74を経て、再生カートリッジ情報取得部632により、S76が実行され、S74で取得されたカートリッジIDに対して、付与先対応付け部615が対応付けたユーザIDが取得される。この時取得されるユーザIDが、本変形例における今回の使用者環境識別情報の一例であり、第1ユーザ特定情報の一例であり、ユーザ特定情報の一例でもある。また本変形例においても、上記実施形態と同様、再生カートリッジ情報取得部632が、第1使用者環境識別情報取得部の一例である。
【0102】
図5のS78に対応するS78′において、カートリッジ判定部635により、S76で再生カートリッジ情報取得部632が取得したユーザIDと、S3で特定情報対応付け部602が取得したユーザIDとが一致するか否かが判定される。また、上記S78と同様、カートリッジ判定部635は、S74で再生カートリッジ情報取得部632が受信したカートリッジIDに紐付けられている再生フラグFbが1であるか否かも併せて判定する。
上記2つのユーザIDが一致した場合、カートリッジ判定部635は、S72で装着されたインクカートリッジ50が、同一の使用者環境すなわち同一のユーザにより過去に使用されたものの再生品であると判定する。なお再生フラグが用いられない場合は、上記2つのユーザIDが一致したことをもって、カートリッジ判定部635が、インクカートリッジ50が当該プリンタ200で過去に使用されたものの再生品であると判定してもよい。
【0103】
以降の処理は
図5に示したものと同様であり、説明を省略する。
【0104】
<変形例の効果>
本変形例においては、使用者環境識別情報としてユーザIDが用いられ、前回インクカートリッジ50が装着されたプリンタ200に係わるユーザIDと今回インクカートリッジ50が装着されたプリンタ200に係わるユーザIDとが一致するか否かに基づき、カートリッジ判定部635による判定が行われる。
本変形例によれば、再生されたインクカートリッジ50が前回と同一のユーザにより用いられることによって、同一の使用者環境で使用された再生品であると判定されて、ポイントを生成することができる。
【0105】
また、本変形例では特に、インクカートリッジ50回収前の所定タイミング、この例ではS2において、特定情報対応付け部602により、モバイル端末300からユーザIDが取得される。インクカートリッジ50が回収され回収情報が取得された後、再生カートリッジ情報取得部632により、S76において、インクカートリッジ50を装着したプリンタ200から得たカートリッジIDに対応付けられるユーザIDが取得される。S78′において、カートリッジ判定部635が、取得されたそれら2つのユーザIDが一致するか否かに基づき、判定を行う。
本変形例によれば、情報管理サーバ100側において、回収の前後の所定タイミングで取得されたユーザIDに基づき、再生されたインクカートリッジ50が前回と同一のユーザによりプリンタ200に装着されたことを識別し、ポイントを生成することができる。
【0106】
(2)プリンタで判定を行う場合
<ソフトウェアブロック構成>
本変形例において、上述したポイントの付与や認証等の各種処理に係わるソフトウェアブロック構成を、上記実施形態の
図3に対応する
図7に示す。
【0107】
図7に示すように、本変形例では、情報管理サーバ100において、
図3に示した再生カートリッジ情報取得部632、カートリッジ判定部635が省略される。プリンタ200において、再生前カートリッジ情報取得部710と、再生後カートリッジ情報取得部720と、カートリッジ判定部730とが新たに備えられる。
【0108】
<再生前カートリッジ情報取得部>
プリンタ200の再生前カートリッジ情報取得部710は、インクカートリッジ50の回収情報が取得される前の所定タイミングで、装着されたインクカートリッジ50のカートリッジIDを取得する。再生前カートリッジ情報取得部710が、本変形例における第2使用者環境識別情報取得部の一例である。
【0109】
<再生後カートリッジ情報取得部>
プリンタ200の再生後カートリッジ情報取得部720は、回収情報取得部630が再生サーバ400から回収情報を取得した後、新たにプリンタ200に装着されたインクカートリッジ50のカートリッジIDを取得する。再生後カートリッジ情報取得部720が、本変形例における第1使用者環境識別情報取得部の一例である。
【0110】
<カートリッジ判定部>
プリンタ200のカートリッジ判定部730は、再生前カートリッジ情報取得部710が取得したカートリッジIDと、再生後カートリッジ情報取得部720が取得したカートリッジIDが、一致するか否かを判定する。上記2つのカートリッジIDが一致した場合、カートリッジ判定部730は、当該インクカートリッジ50が、同一の使用者環境で過去に使用された再生品であると判定する。判定結果は、ポイント生成部640へと送信される。カートリッジ判定部730が、本変形例における判定部の一例である。
【0111】
上記以外の構成については、
図3の説明と同様であるため、省略する。
【0112】
本変形例における手法を実現するために、モバイル端末300、情報管理サーバ100、再生サーバ400、プリンタ200の協働により行われる制御手順の一例を、上記実施形態の
図5に対応する
図8のシーケンス図により説明する。
【0113】
図8において、まずS0で、プリンタ200の再生前カートリッジ情報取得部710により、装着されたインクカートリッジ50のカートリッジIDが前述のS4と同様の手法で取得され、プリンタ200の記憶装置215に記憶される。
このとき再生前カートリッジ情報取得部710により取得されるカートリッジIDが前回の使用者環境識別情報の一例であり、第2消耗品特定情報の一例であり、消耗品特定情報の一例でもある。
【0114】
図5と同様のS15,S16,S3~S75,S72が実行された後、プリンタ200の再生後カートリッジ情報取得部720により、S76′が行われる。S76′では、新たにプリンタ200に装着されたインクカートリッジ50のカートリッジIDが、上記S0と同様の手法で取得され、記憶装置215に記憶される。
このとき再生後カートリッジ情報取得部720により取得されるカートリッジIDが今回の使用者環境識別情報の一例であり、第1消耗品特定情報の一例であり、消費者特定情報の一例でもある。
【0115】
図5のS78に対応するS78″において、プリンタ200のカートリッジ判定部730により、S0で取得され記憶されたカートリッジIDと、S76′で取得され記憶されたカートリッジIDとが一致するか否か、が判定される。上記2つのカートリッジIDが一致した場合、カートリッジ判定部730では、S72で装着されたインクカートリッジ50が同一の使用者環境で過去に使用された再生品であると判定される。
【0116】
S79において、カートリッジ判定部730により、上記判定の結果と、当該カートリッジIDと、プリンタ200のプリンタ情報と、が管理サーバ100へ送信される。
【0117】
図5と同様のS80では、S78″での判定結果においてインクカートリッジ50が同一の使用者環境により使用された再生品であると判定されていた場合には、ポイント生成部640により、ポイントが生成される。
【0118】
以降の処理は
図5に示したものと同様であり、説明を省略する。
【0119】
<変形例の効果>
本変形例においては、インクカートリッジ50回収前の所定タイミング、この例ではS0において、再生前カートリッジ情報取得部710により、プリンタ200に装着されているインクカートリッジ50のカートリッジIDが取得される。インクカートリッジ50が回収されS70で回収情報が取得された後、再生されて送り返されたインクカートリッジ50がプリンタ200に装着されると、再生後カートリッジ情報取得部720により、装着されたインクカートリッジ50のカートリッジIDがS76′で取得される。カートリッジ判定部730は、取得されたそれら2つのカートリッジIDが一致するか否かに基づき、S78″での判定を行う。
本変形例によれば、プリンタ200側にて、取得された2つのカートリッジIDに基づき、再生後に装着されたインクカートリッジ50が前回装着されたインクカートリッジ50と同一であることを識別でき、これに応じて情報管理サーバ100側にてポイントを生成することができる。
【0120】
なお、上記では、S80において生成されたポイントは、S97においてユーザIDに対応付けられることでユーザに付与されているが、これに限られずプリンタ情報に対応付けることでプリンタ200に付与してもよい。
また、上記変形例(2)では、プリンタ200のカートリッジ判定部730において、前述の2つのカートリッジIDが一致するか否かに基づく判定を行ったが、これに限られない。すなわち、カートリッジ判定部730において、変形例(1)と同様、2つのユーザIDが一致するか否かに基づく判定を行うようにしてもよい。
【0121】
(3)その他
なお、以上は印刷サービスの一例としてプリペイド印刷サービスが行われる場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば一定期間において印刷枚数の上限を超えないことを条件に定額の印刷サービス(いわゆるサブスクリプション印刷サービス)であってもよい。この場合、ポイントを当該上限枚数以上の印刷に用いてもよい。或いは、ポイントに応じて当該定額を割り引くようにしてもよい。また印刷サービス契約による印刷サービスを受けていなくてもよい。このような場合であっても特典として消耗品の割引クーポン、印刷アプリ用コンテンツの提供等、多様に実現可能である。
なお、以上はインクジェット方式で印刷が行われる場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えばインクジェット方式ではなくレーザ方式のプリンタを用いてもよい。この場合は、トナーが貯留されるトナーカートリッジ、ドラム等が消耗品の一例となる。
また上記の外、交換するインクジェットヘッド、廃液BOXなども消耗品に含まれ、回収によるポイント付与の対象としてもよい。
【0122】
また、以上において、
図3に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0123】
また、以上において、
図5、
図6、
図8に示すシーケンスチャートは本発明を当該シーケンスチャートに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0124】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0125】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0126】
1 印刷サービス提供システム(情報管理システムの一例)
50 インクカートリッジ(消耗品の一例)
100 情報管理サーバ(情報管理装置の一例)
110 プロセッサ
131 プログラム記憶領域
190 インタフェース(通信I/Fの一例)
200 プリンタ(印刷装置の一例)
300 モバイル端末(端末装置の一例)
400 再生サーバ
NT ネットワーク