(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176820
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】画像通信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20231206BHJP
H04N 1/32 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H04N1/387 101
H04N1/32 005
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089313
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛
(72)【発明者】
【氏名】神吉 良典
【テーマコード(参考)】
5C076
【Fターム(参考)】
5C076AA21
5C076AA22
5C076CB04
(57)【要約】
【課題】不適切な縦横比の画像データを印刷するという不具合の発生の頻度を低下させることができる画像通信装置を提供する。
【解決手段】画像通信装置は、画像データを受信する通信部と、前記画像データの単位系変換が必要であると判定し、かつ、ユーザーにより操作部に前記単位系変換のための所定の操作がなされた場合に、前記通信部が受信した前記画像データの単位系を変換する制御部と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを受信する通信部と、
前記画像データの単位系変換が必要であると判定し、かつ、ユーザーにより操作部に前記単位系変換のための所定の操作がなされた場合に、前記通信部が受信した前記画像データの単位系を変換する制御部と、
を備えた、画像通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記単位系変換の後の画像データの解像度として、予め定められた複数の解像度の候補から、前記単位系変換がなされていない前記画像データの解像度に最も近い1つの解像度を選択する、請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項3】
前記画像データを表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記単位系変換がなされていない前記画像データと前記単位系変換の後の前記画像データとを前記表示部に順次または同時に表示させる、請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項4】
画像データを表示する矩形の表示領域を有する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記表示領域の対角線の交点において、前記単位系変換がなされていない前記画像データにおける一点と前記単位系変換の後の前記画像データにおける一点とが同一点になるように、前記単位系変換がなされていない前記画像データと前記単位系変換の後の前記画像データとを、前記表示領域に切り替え表示させる、請求項3に記載の画像通信装置。
【請求項5】
前記単位系変換が必要であるか否かを示す単位系変換情報を記憶し得る記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記単位系変換情報が記憶部に記憶されている場合には、前記所定の操作が前記操作部になされなくても、前記記憶部に記憶された前記単位系変換情報に基づいて、前記通信部が受信した前記画像データの前記単位系を変換する、請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信部が受信した前記画像データに付随する受信情報から前記画像データの送信元機器を特定可能な送信元情報および前記画像データの前記単位系を推定可能な単位系情報を取得し、
前記記憶部は、前記送信元情報および前記送信元情報に対応する前記単位系変換が必要であるか否かを示す単位系変換情報を記憶しており、
前記制御部は、前記通信部が受信した前記受信情報が前記記憶部に記憶された前記送信元情報を含む場合には、前記受信情報から取得された前記単位系情報ではなく、前記記憶部に記憶された前記単位系変換情報を用いて、前記通信部が受信した前記画像データの前記単位系を設定する、請求項5に記載の画像通信装置。
【請求項7】
前記画像データを印刷する印刷部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されていない送信元情報が受信された場合には、前記通信部が受信した前記画像データの前記単位系が確定されるまで、前記印刷部による印刷を保留する、請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記送信元情報に対応する解像度変換情報を記憶しており、
前記制御部は、前記通信部が受信した前記画像データの解像度情報が前記送信元情報に対応する前記解像度変換情報により特定される解像度情報と異なっている場合であっても、前記記憶部に記憶された前記送信元情報に対応する前記単位系変換の後の前記単位系情報を用いて、前記通信部が受信した前記画像データの前記単位系を設定する、請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項9】
前記単位系は、ミリ系とインチ系とを含み、
前記制御部は、前記通信部が受信した前記送信元情報が前記記憶部に記憶されている前記送信元情報と同一である場合であっても、前記ミリ系が標準動作のファクス通信における前記単位系情報および前記インチ系が標準動作のインターネットファクス通信における前記単位系情報のそれぞれを、前記記憶部に別個に記憶させる、請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項10】
前記制御部は、送信元機器により読み取られた後に回転処理がなされた前記画像データの前記単位系変換を実行する場合、前記画像データの主走査方向の変換倍率と前記画像データの副走査方向の変換倍率とを交換する、請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項11】
前記画像データを印刷する印刷部をさらに備え、
前記制御部は、前記単位系が不適切であると推定される送信元機器から前記画像データを受信したと判定された場合には、前記単位系変換がなされていない前記画像データと前記単位系変換の後の前記画像データとの双方の画像を、前記印刷部に印刷させる、請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項12】
前記単位系は、ミリ系とインチ系とを含み、
前記制御部は、
前記ミリ系から前記インチ系へ前記単位系を変換する場合には、前記画像データの主走査方向を63/64倍にし、かつ、前記画像データの副走査方向を45/44倍にし、
前記インチ系から前記ミリ系へ前記単位系を変換する場合には、前記画像データの主走査方向を64/63倍にし、前記副走査方向を44/45倍にする、請求項1に記載の画像通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、下記の特許文献1~3に開示されているように、外部から受信した画像データに対応する画像を用紙に印刷する画像通信装置の開発が行われている。このような画像通信装置は、受信された画像データがミリ系またはインチ系のいずれの単位系を有するのかに応じて、その受信された画像データの単位系に対応する縦横比の画像を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-159373号公報
【特許文献2】特開2001-127968号公報
【特許文献3】特開平1-164171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術によれば、送信元機器において、画像データの単位系が設定される。しかしながら、画像データを受信する画像通信装置において、画像データの単位系を変換することはできない。
【0005】
特許文献2に開示された技術によれば、画像通信装置が送信元機器ごとの画像データの単位系が記憶部に記憶されている。しかしながら、画像通信装置は、外部から受信した画像データを、内部に記憶されている単位系とは異なる単位系の画像データへ変換することはできない。
【0006】
特許文献3に開示された技術によれば、画像データの単位系を変換することはできる。しかしながら、受信した画像データを正確な縦横比を有する画像データへ変換することはできない。
【0007】
以上から分かるように、特許文献1~3に開示された技術のいずれによっても、不適切な縦横比の画像が用紙に印刷されるという不具合が発生するおそれがある。
【0008】
本開示は、上述の問題に鑑みなされたものである。本開示の目的は、不適切な縦横比の画像が印刷されるという不具合の発生の頻度を低下させることができる画像通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の画像通信装置は、画像データを受信する通信部と、前記画像データの単位系変換が必要であると判定し、かつ、ユーザーにより操作部に前記単位系変換のための所定の操作がなされた場合に、前記通信部が受信した前記画像データの単位系を変換する制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、不適切な縦横比の画像データが印刷されてしまうリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態の画像通信装置により受信された画像データの縦横比が不適切である場合に、画像通信装置が画像データの縦横比を適切な値へ変換することを説明するための模式図である。
【
図2】インチ系が設定されたファクス受信画像がインチ系データとして表示された場合の縦横比が適切であるプレビュー画像の一例を示すである。
【
図3】インチ系での1ドットの一例として、200×200dpiからなる1ドットのサイズを示す図である。
【
図4】ミリ系が設定されたファクス受信画像がミリ系データとしてプレビュー表示された場合の縦横比が適切であるプレビュー表示の一例を示す図である。
【
図5】ミリ系での1ドットの一例として、8×7.7本/mmからなる1ドットのサイズを示す図である。
【
図6】インチ系が設定されたファクス受信画像がミリ系の画像データとしてプレビュー表示された場合の縦横比が不適切なプレビュー表示の一例を示す図である。
【
図7】インチ系の画像データがミリ系で表示された場合の1ドットの変化の一例として、200×200dpiが8×7.7本/mmとして表示された場合の1ドットのサイズの変化を示す図である。
【
図8】ミリ系が設定されたファクス受信画像がインチ系の画像データとしてプレビュー表示された場合の縦横比が不適切であるプレビュー表示の一例を示す図である。
【
図9】ミリ系の画像データがインチ系で表示された場合の1ドットの変化の一例として、8×7.7本/mmが200×200dpiとして表示された場合の1ドットのサイズの変化を示す図である。
【
図10】各種のファクス送信された画像データの解像度を単位系のみが変更された同等の解像度に高速変換する処理を説明するための図である。
【
図11】各種ファクス送信された画像データの解像度を印刷解像度である600dpiに高速変換する処理を説明するための図である。
【
図12】実施の形態の画像通信装置の機能ブロック図である。
【
図13】実施の形態の画像通信装置の制御部が実行するファクス機能に基づく画像データの受信に起因した印刷前の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【
図14】実施の形態の画像通信装置の制御部が実行するファクス機能に基づく画像データの受信に起因した印刷可否の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【
図15】実施の形態の画像通信装置の制御部が実行するファクス機能に基づく画像データの受信に起因したプレビュー表示処理を説明するフローチャートである。
【
図16】実施の形態の画像通信装置の表示操作部に表示される受信データリストの一例を示す図である。
【
図17】実施の形態の画像通信装置の表示操作部に表示される受信データリストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態の画像通信装置を、図面を参照しながら説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0013】
図1~
図11を用いて、実施の形態の画像通信装置100において実行される単位系の変換を説明する。
【0014】
図1に示されるように、本実施の形態の通信システム1000は、画像通信装置100と、送信元機器200と、電話回線網300と、を備えている。なお、画像通信装置100は、画像データを受信し、画像データに対応する画像を用紙に印刷することができる画像受信装置であれば、いかなるものであってもよい。なお、本実施の形態では画像受信装置100が印刷部PRを有している構成を説明するが、本開示は、画像を用紙に印刷せず、画像データを記憶部に記憶させるかまたは他の装置へ転送する構成の画像受信装置を排除するものではない。なお、画像通信装置100は、FAX、PC-FAX、インターネットFAX、およびPCインターネットFAXと呼ばれる機器を含むものとする。
【0015】
画像通信装置100は、表示操作部DPおよび印刷部PRを備えている。表示操作部送DPは、画像データを表示する表示部および画像データを印刷部PRに印刷させる操作をなすための操作部との双方の機能を有している。表示操作部DPは、いわゆる、タッチパネルと呼ばれる部品であり、表示部と操作部との双方が物理的に一体化されたものである。ただし、表示操作部DPを構成する表示部および操作部は、物理的に互いに別個独立の部品であってもよい。本実施の形態においては、表示操作部DPは、タッチパネルからなる横長の長方形の表示領域DPAを有し、表示領域DPAが表示部および操作部の双方の機能を発揮している。
【0016】
送信元機器200は、本実施の形態においては、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータである。ただし、送信元機器200は、画像通信装置100に画像データをファクス送信もしくはインターネットファクス送信することができる機器であれば、いかなるものであってもよい。
【0017】
電話回線網300は、送信元機器200から画像通信装置100へ画像データを伝送する経路となる電気通信情報網の一例である。電話回線網300は、ファクス通信のための回線およびインターネットファクス通信のための回線のいずれの回線であってもよい。
【0018】
図1において、送信元機器200は、電話回線網300を介して、画像通信装置100に対して、インチ系の解像度で画像データを送信するが、画像データに付随する単位系を特定するための情報を正しく送信しなかったものとする。単位系は、送信元機器200が画像データとともに送信するDCS(Digital Command Signal)信号の15、44、および45ビット目などに示された画像データの解像度情報から読み取れ得る。単位系は、解像度の単位が、ミリ系であるのか、それとも、インチ系であるのかを示すものである。DCS信号は32ビットの信号であってもよい。そのため、たとえば、送信元機器200が、DCS信号のうちのインチ系を示す44ビット目を送信しない場合、画像通信装置100は、DCS信号を用いて、画像データの単位系が、ミリ系であるのか、それとも、インチ系であるのかを特定できなくなる。
図1に示される場合においては、画像通信装置100は、送信元機器200が送信した画像データだけでは、その画像データの単位系が、ミリ系であるのか、それとも、インチ系であるのかを把握することができない。そのため、本実施の形態においては、画像通信装置100は、ファクス標準であるミリ系の解像度の画像データが送信元機器200から送信されたものとして、画像データを受信する。
【0019】
したがって、送信元機器200がインチ系(200×200dpi)の元画像データORを送信した場合においても、画像通信装置100は、ミリ系(8×7.7本/mm)の受信画像MCを表示操作部DPに表示する。その後、ユーザーが表示操作部DPに表示されているミリ系の受信画像データMCを視認する。それにより、ユーザーは、受信画像データMCの単位系が不適切であると判断する。その結果、ユーザーが表示操作部DPに所定の操作をなすことにより、ミリ系の受信画像データMCがインチ系(200×200dpi)の受信画像データICへ変換され、インチ系の受信画像データICに対応する画像が表示操作部DPに表示される。なお、元画像データOR、ミリ系の受信画像データMC、およびインチ系の受信画像データICは、いずれも、日本の国旗の画像を含んでいるものとする。
【0020】
図2から分かるように、画像通信装置100が、インチ系が設定された画像データを、インチ系の画像データとして表示操作部DPに表示すると、表示操作部DPに表示された画像の縦横比は、適切なものになる。
【0021】
図3に示されるように、インチ系(200×200dpi)の画像データでは、1ドットDOは、縦方向において25.4mm/200dot=0.127mm/dotの長さを有している。また、インチ系(200×200dpi)の画像データでは、1ドットDOは、横方向において25.4mm/200dot=0.127mm/dotの長さを有している。
【0022】
図4から分かるように、画像通信装置100が、ミリ系が設定された画像データを、ミリ系の画像データとして表示操作部DPに表示すると、表示操作部DPに表示された画像データの縦横比は、適切なものになる。
【0023】
図5に示されるように、ミリ系(8×7.7本/mm)の画像データでは、1ドットDOは、縦方向において1mm/7.7dot=約0.130mm/dotの長さ、横方向において1mm/8dot=0.125mm/dotの長さを有している。
【0024】
図6から分かるように、画像通信装置100が、インチ系が設定された画像データを、ミリ系の画像データとして表示操作部DPに表示すると、表示操作部DPに表示された画像データの縦横比は、縦長の値となる。なお、本実施の形態においては、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとを、表示領域DPAに切り替え表示させる。このとき、矩形の表示領域DPAにおける対角線(一点鎖線)の交点Cにおいて、単位系変換がなされていない画像データにおける一点と単位系変換の後の画像データにおける一点とが同一点になる。この点については、
図8の説明の後に再度説明される。
【0025】
図7に示されるように、インチ系(200×200dpi)の画像データがミリ系(8×7.7本/mm)の画像データへ変換されると、1ドットDOは、縦0.127mmかつ横0.127mmから縦約0.130mmかつ横0.125mmへ変化する。つまり、1ドットDOの縦の長さが約102%に増加し、1ドットDOの横の長さが約98%に減少する。
【0026】
図8から分かるように、画像通信装置100が、ミリ系が設定された画像データを、インチ系の画像データとして表示操作部DPに表示すると、表示操作部DPに表示された画像データの縦横比は、横長の値となる。
【0027】
上述の
図6と
図8とにおいて、画像データ表示領域が表示領域DPA全域である場合がある。この場合には、制御部CTは、矩形の表示領域DPAにおける対角線(一点鎖線)の交点Cにおいて、単位系変換がなされていない画像データの一点と単位系変換の後の画像データの一点が同じ点となるように、表示領域DPAに切り替え表示させる。画像データ表示領域が表示領域DPAの一部である場合は、画像データ表示領域の中心点(たとえば、矩形の画像データ表示領域の対角線の交点)に描画される一点が単位系変換の前後で同一点となるように切り替え表示させる。このとき、単位系変換がなされていない画像データにおける中心点と単位系変換の後の画像データにおける中心点とが必ず同一点になる。そのため、単位系変換がなされていない画像データの縦横比と単位系変換の後の画像データの縦横比とを容易に比較することができる。尚、ユーザーの希望により、ユーザー指定による任意の一点が単位系変換前後で同一位置での表示となるように、表示操作部DPにおける表示を切り替えてもよい。
【0028】
図9に示されるように、ミリ系(8×7.7本/mm)の画像データがインチ系(200×200dpi)の画像データへ変換されると、1ドットDOは、縦約0.130mmかつ横0.125mmから縦0.127mmかつ横0.127mmへ変化する。つまり、1ドットDOの縦の長さが約98%に減少し、1ドットDOの横の長さが約102%に増加する。
【0029】
図10に示されるように、画像データの単位系をミリ系(8×7.7本/mm、16×15.4本/mm)からインチ系(200×200dpi、400×400dpi)へ変換する場合がある。この場合には、画像通信装置100は、主走査方向の解像度を63/64倍にし、副走査方向の解像度を45/44倍にする。
【0030】
たとえば、画像通信装置100は、8(本/mm)×25.4(mm/inch)÷1.016=200dpiを使用せずに、8(本/mm)×25.4(mm/inch)×63/64=200.025(本/inch)≒200(dpi)を使用する。すなわち、画像通信装置100は、主走査方向の1ラインごとに、1画素を63個の小画素に分割し、分割された64個の小画素の全体を最終的な1画素として取り扱う。(正確には副走査方向においても同様に分割処理がなされる。それにより、主走査方向としての横方向および副走査方向としての縦方向の双方における分割処理によって生成された小画素を最終的な1画素として取り扱う。)
【0031】
また、画像データの単位系をインチ系(200×200dpi、400×400dpi)からミリ系(8×7.7本/mm、16×15.4本/mm)へ変換する場合がある。この場合には、画像通信装置100は、主走査方向の解像度を64/63倍にし、副走査方向の解像度を44/45倍にする。
【0032】
たとえば、画像通信装置100は、7.7(本/mm)×25.4(mm/inch)÷0.9779=200dpiを使用せずに、7.7(本/mm)×25.4(mm/inch)×45/44=200.025(本/inch)≒200(dpi)を使用する。すなわち、副走査方向の1ラインごとに、1画素を45個の小画素に分割し、分割された44個の小画素の全体を最終的な1画素として取り扱う。(正確には副走査方向においても同様に分割処理がなされる。それにより、主走査方向としての横方向および副走査方向としての縦方向の双方における分割処理によって生成された小画素を最終的な1画素として取り扱う。)
【0033】
上述のように、画像通信装置100は、整数の乗算(1画素を複数の小画素に分割する場合に端数が出ない)と整数の除算(複数の小画素を最終的な1画素にする場合に端数が出ない)とによって、解像度を変換する。そのため、最終的に印刷される画像を構成する画素の濃度を演算する場合に、その演算が簡素化される。
【0034】
なお、上述した画像データの解像度の変換によれば、たとえば、用紙サイズがA3(420mm)であり、かつ、解像度が600dpiである場合において、画像データの解像度の変換に起因した誤差は、最大でも0.0525mm(1.24画素)だけである。
【0035】
図11に示されるように、たとえば、最終出力解像度としての印刷解像度が600dpiに設定される場合、次の解像度の変換が行われる。
【0036】
主走査方向における解像度の変換に関しては、画像通信装置100は、次のような変換を行う。
【0037】
元画像データの解像度が8本/mmである場合、解像度の変換の後の画像データに対応する画像の印刷解像度は(63×3)/64倍になる。元画像データの解像度が16本/mmである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は(63×3)/(64×2)倍になる。元画像データの解像度が200dpiである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は3倍になる。元画像データの解像度が300dpiである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は2倍になる。元画像データの解像度が400dpiである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は3/2倍になる。
【0038】
副走査方向における解像度の変換に関しては、画像通信装置100は、次のような変換を行う。
【0039】
元画像データの解像度が3.85本/mmである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は(45×3)/22倍になる。元画像データの解像度が7.7本/mmである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は(45×3)/44倍になる。元画像データの解像度が100dpiである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は6倍になる。元画像データの解像度が200dpiである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は3倍になる。また、元画像データの解像度が300dpiである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は2倍になる。元画像データの解像度が400dpiである場合、解像度の変換後の画像データに対応する画像の印刷解像度は3/2倍になる。
【0040】
図12を用いて、本実施の形態の画像通信装置100の構成を説明する。
【0041】
図12に示されるように、本実施の形態の画像通信装置100は、制御部CT、通信部CM、表示操作部DP、記憶部ME、および印刷部PRを備えている。
【0042】
制御部CTは、通信部CM、表示操作部DP、記憶部ME、および印刷部PRを動作させるためのプログラムが記憶されたプロセッサにより構成されている。通信部CMが送信元機器200等の外部機器から画像データを受信する受信部と、画像データ等を外部機器へ送信する送信部と、を含んでいる。受信部および送信部は、いずれも、無線通信用のアンテナまたは有線通信用のコネクタを含んでいる。
【0043】
表示操作部DPは、画像データを表示する表示部と、画像データの単位系の変換のための所定の操作をなすための操作部と、を含んでいる。表示部および操作部の機能は前述されたとおりである。
【0044】
記憶部MEは、通信部CMおよび制御部CTを経由して受信した画像データおよび画像データに付随する受信情報を記憶する。画像データに付随する受信情報は、送信元機器200を特定可能な送信元情報、および、画像データに対応する解像度を特定可能な解像度情報等を含んでいる。なお、解像度情報には、単位系の情報も含まれる。
【0045】
印刷部PRは、ユーザーによる表示操作部DPの操作に基づいて制御部CTに制御されることにより、画像データに対応する画像を給紙トレイから送り出された用紙に印刷し、排紙トレイの上に排出する。
【0046】
図13~
図15を用いて、本実施の形態の画像通信装置100の制御部CTが実行する処理を説明する。
【0047】
図13に示されるように、制御部CTは、まず、画像データの単位系が既に判定されているか否かを識別し、単位系が判定された画像データに判定済のチェックを付与するための処理を実行する。具体的に言うと、次のような処理が実行される。
【0048】
制御部CTは、通信部CMを介して、電話回線網300経由で受信した画像データを各種通信情報と共に順次記憶部MEに蓄積する。たとえば、送信元機器200から画像データが送られ、関連する情報を蓄積した状態で、ステップS101において、制御部CTは、新規ファクスの受信データがあるか否かを判定する。制御部CTは、データを受信するまでステップS101の処理を繰り返す。
【0049】
一方、ステップS101において、制御部CTは、ステップS102において、画像データの送信元情報および解像度情報を取得する。つまり、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに付随する受信情報から画像データの送信元機器200を特定可能な送信元情報および画像データの単位系を特定可能な解像度情報を取得する。なお、解像度情報は、画像データの単位系を特定可能な単位系情報を含んでいる。
【0050】
その後、ステップS103において、制御部CTは、解像度情報がインチ系の値であるか否かを判定する。本実施の形態においては、解像度情報は、通信部CMが受信した画像データに付随したDCS信号のビット情報のうち、画像データの解像度に関する複数のビット情報から導き出された最終的な受信画像の解像度を示している。さらに、解像度情報は、インチ系の値なのか、それとも、ミリ系の値なのかを示す単位系の情報も含んでいる。
【0051】
ステップS103において、解像度情報がインチ系の値ではないと判定される場合がある。この場合には、ステップS104において、制御部CTは、送信元情報に対応する記憶部MEのアドレス帳内の領域に、画像データの単位系がミリ系の場合に変換する必要があるかどうかを示す単位系変換情報が記憶されているか否かを判定する。具体的には、ミリ系の画像データが送信されたものと仮定して、記憶部MEに記憶された送信元情報に対応する単位系変換情報に、単位系がミリ系の場合に変換すべき単位系を示すミリ系情報(「ミリ系→インチ系」もしくは「ミリ系→ミリ系」)が存在しているか否かが判定される。
【0052】
ステップS104において、記憶部MEに記憶された送信元情報に対応する単位系変換情報がミリ系情報ではないと判定される場合がある。この場合、制御部CTは、過去にミリ系の画像データを受信したことがない送信元機器200から画像データを受信したとみなす。それにより、制御部CTは、表示操作部DPに受信した画像データの単位系をユーザーに確認させるために、ステップS105において、制御部CTは、通信部CMによって受信された画像データのプレビュー表示待ちフラグをONに設定する。その後、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに対する単位系の判定が既になされているとみなして、ステップS114の処理を実行する。一方、ステップS104において、記憶部MEに記憶された送信元情報に対応する単位系変換情報がミリ系情報であると判定された場合、ステップS106において、制御部CTは、記憶部MEに記憶されたミリ系情報を取得する。
【0053】
ステップS107において、制御部CTは、ミリ系情報がミリ系からインチ系へ変換されるべきであることを示す情報(「ミリ系→インチ系」)であるか否かを判定する。ステップS107において、ミリ系情報がミリ系からインチ系へ変換されるべきであることを示す情報でない場合、すなわち、ミリ系情報がミリ系の画像データをミリ系の画像データのまま印刷することを示す情報(「ミリ系→ミリ系」)である場合がある。この場合には、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに対する単位系の判定が既になされているとみなして、ステップS114の処理を実行する。ステップS107において、ミリ系情報がミリ系からインチ系へ変換されるべきであることを示す情報(「ミリ系→インチ系」)であると判定される場合がある。この場合には、ステップS113において、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データの単位系の変換が必要であることを示す単位系変換要フラグをONに設定する。
【0054】
ステップS103において、解像度情報が画像データの単位系がインチ系であることを示す場合には、ステップS108において、制御部CTは、解像度情報が300dpiであることを示すか否かがを判定する。300dpiまたはそれに近似する解像度は、インチ系にしか使われない。そのため、ステップS108において、解像度情報が300dpiを示すと判定された場合には、変換可能な解像度がないため本通信はインチ系であることが確定したとみなされる。それにより、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに対する単位系の判定が既になされているとみなして、ステップS114の処理を実行する。
【0055】
ステップS108において、解像度情報が300dpiを示さないと判定される場合がある。この場合には、ステップS109において、制御部CTは、送信元情報に対応するアドレス帳内に、画像データの単位系がインチ系の場合に変換する必要があるかどうかを示す単位系変換情報に、単位系がインチ系の場合に変換すべき単位系を示すインチ系情報(「インチ系→インチ系」もしくは「インチ系→ミリ系」)があるか否かが判定される。
【0056】
ステップS109において、記憶部MEに記憶された送信元情報に対応する単位系変換情報にインチ系情報がないと判定される場合がある。この場合、制御部CTは、過去にインチ系の画像データを受信したことがない送信元機器200から画像データを受信したとみなす。それにより、制御部CTは、表示操作部DPに受信した画像データの単位系をユーザーに確認させるために、ステップS110において、通信部CMによって受信された画像データのプレビュー表示待ちフラグをONに設定する。その後、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに対する単位系の判定が既になされているとみなして、ステップS114の処理を実行する。一方、ステップS109において、記憶部MEに記憶された送信元情報に対応する単位系変換情報がインチ系情報であると判定された場合、ステップS111において、制御部CTは、記憶部MEに記憶されたインチ系情報を取得する。
【0057】
ステップS112において、制御部CTは、インチ系情報がインチ系からミリ系へ変換されるべきであることを示す情報(「インチ系→ミリ系」)であるか否かを判定する。ステップS112において、インチ系情報がインチ系からミリ系へ変換されるべきであることを示す情報でない場合、すなわち、インチ系情報がインチ系の画像データをインチ系の画像データまま印刷することを示す情報(「インチ系→インチ系」)である場合がある。この場合には、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに対する単位系の判定が既になされているとみなして、ステップS114の処理を実行する。ステップS112において、インチ系情報がインチ系からミリ系へ変換されるべきであることを示す情報(「インチ系→ミリ系」)であると判定される場合がある。この場合には、ステップS113において、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データの単位系の変換が必要であることを示す単位系変換要フラグをONに設定する。
【0058】
上記したステップS104~ステップS107およびステップS109~ステップS113において、制御部CTは、次の処理を実行する。つまり、制御部CTは、単位系変換情報が記憶部MEに記憶されている場合には、単位系の変換をなすための所定の操作が表示操作部DPになされなくても、記憶部MEに記憶された単位系変換情報に基づいて、通信部CMが受信した画像データの単位系を変換する。そのため、画像通信装置100は、同一の送信元機器200から画像データを再び受信した場合に、ユーザーが画像データの単位系の変換のために表示操作部DPに所定の操作をなすことなく、適切な単位系の画像データを印刷することができる。
【0059】
前述のことは、言い換えると、次のようにも言える。記憶部MEは、送信元情報および送信元情報に対応する変換後の単位系情報を記憶している。また、制御部CTは、通信部CMが受信した受信情報が記憶部MEに記憶された送信元情報を含んでいる場合がある。この場合、通信部CMが受信した受信情報から取得された単位系情報ではなく、記憶部MEに記憶された送信元情報に対応する変換後の単位系情報を用いて、通信部CMが受信した画像データの単位系を設定する。これによれば、制御部CTは、ユーザーによる表示操作部DPへの所定の操作に基づく単位系の再度の変換を行うことなく、適切な単位系の画像データを印刷部PRに印刷させることができる。
【0060】
また、通信部CMが受信した画像データに付随した受信情報に解像度変換情報(たとえば、8×7.7本/mm→200×200本/インチ)が含まれており、記憶部MEに記憶されている送信元情報に対応する解像度変換情報と異なっている場合がある。この場合であっても、制御部CTは、記憶部MEに記憶された送信元情報に対応する変換後の単位系情報を用いて、通信部CMが受信した画像データの単位系を設定してもよい。これによれば、受信した画像データに付随した単位系情報が不適切である可能性が高いと推定される場合に、画像データの単位系を再度変換する必要をなくすことができる。
【0061】
受信した画像データに付随した単位系情報が不適切である可能性が高いと推定される場合として、次の(1)~(3)の場合等が考えられる。
【0062】
(1) 送信元機器200から32ビット目までの基本情報しか送信されていなかった場合
【0063】
(2) 解像度情報が実際にはミリ系の値であるにもかかわらず、原稿幅、原稿長、あるいは画素数がインチ系定型原稿のサイズという情報を受信した場合
【0064】
(3) 受信したある画像データとは別に受信した他の画像データの解像度において、単位系が不適切であった場合
【0065】
記憶部MEに、送信元情報に対応する単位系変換情報自体は保存されているが、ミリ系情報を参照したいがインチ系情報のみが保存されていたり、インチ系情報を参照したいがミリ系情報のみが保存されていたりする場合がある。つまり、所望の単位系変換情報が記憶部MEに保存されてない場合がある。この場合に、制御部CTは、別の単位系用の変換情報の変換結果の単位系に基づいて単位系を確定させてもよい。ミリ系情報およびインチ系情報のそれぞれを、記憶部MEに別個に記憶させてもよい。さらに、同一の送信元機器200であるけれども通信プロトコルが異なる場合に、それぞれ別個の単位系変換情報を記憶させてもよい。
【0066】
通信部CMが受信した受信情報が記憶部MEのアドレス帳に登録されている送信元情報を含んでいる場合がある。この場合に、その送信元情報に対応する画像データに、ファクス通信およびインターネットファクス通信のいずれを利用するかに応じて、同一の送信元機器200で、異なる処理が施されている場合がある。そのような場合においても、上記の構成によれば、ファクス通信およびインターネットファクス通信のいずれを用いているかに応じて、画像データの単位系を適切に設定することができる。ただし、記憶部MEは、ミリ系が標準動作のファクス通信における単位系情報とインチ系が標準動作のインターネットファクス通信における単位系情報とについて、同一の単位系情報を記憶してもよい。
【0067】
その後、ステップS114において、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに対する単位系の判定が既になされているため、単位系判定が終了したことを示す単位系判定済チェックを付与する。次に、ステップS115において、制御部CTは、ファクス受信時の自動印刷機能が有効であるか否かを判定する。自動印刷機能は、ユーザーの表示操作部DPに対する操作なしに、通信部CMが受信した画像データを印刷部PRに印刷させるための処理を実行する制御部CTの機能である。
【0068】
ステップS115において、ファクス受信時の自動印刷機能が有効でないと判定されれば、制御部CTは、単位系の付与が既になされている画像データの印刷部PRによる印刷を行うことなく、ステップS101の処理を再び実行する。一方、ステップS115において、ファクス受信時の自動印刷機能が有効であると判定されば、ステップS116において、制御部CTは、印刷開始指示を発する。これにより、制御部CTは、
図14を用いて、後述されるように、印刷部PRに対して、変換後の単位系の画像データを用いて、変換後の単位系の画像データに対応する画像を印刷させるための処理を実行する。
【0069】
次に、
図14に示されるように、単位系が変換された最終出力画像データの印刷、単位系が変換されていない最終出力画像データの印刷、または、単位系を変換するか否かをユーザーに判断させるためのプレビュー表示のいずれかが行われる。具体的には、次のような処理が行われる。
【0070】
ステップS201において、制御部CTは、ファクス受信データの印刷の開始の指示があったか否かを判定する。つまり、通信部CMが受信した画像データを印刷部PRに印刷を開始させることの指示があったか否かが判定される。ステップS201において、ファクス受信データの印刷の開始の指示がないと判定されると、制御部CTは、ステップS201の処理を繰り返す。ステップS201において、ファクス受信データ印刷の開始の指示があったと判定されると、ステップS202において、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データのプレビュー表示待ちフラグがONであるか否かを判定する。つまり、ステップS202において、印刷される予定の画像について、ユーザーによる単位系の確定が必要であるにも関わらず、ユーザーの表示操作部DPへの操作による単位系の確定がなされていない状態か否かが判定される。
【0071】
ステップS202において、通信部CMが受信した画像データのプレビュー表示待ちフラグがONであると判定されると、ステップS203において、制御部CTは、印刷部PRによる印刷を中止する。その後、ステップS204において、制御部CTは、表示操作部DPに「プレビュー表示が必要です。」というメッセージを表示させる。
【0072】
上記のように、ステップS201において画像データの印刷部PRによる印刷の開始の指示があったと判定された場合であっても、ステップS202において、印刷される予定の画像について、ユーザーによる単位系の確定が必要であるにも関わらず、ユーザーの表示操作部DPへの表示による単位系の確定がなされていない、と判定される場合がある。この場合には、制御部CTは、ステップS204において表示操作部DPへの印刷される予定の画像の表示操作部DPに対するプレビュー表示のための操作をユーザーに促すメッセージを表示操作部DPに表示させる。
【0073】
それにより、ユーザーは、表示操作部DPに表示された「プレビュー表示が必要です。」というメッセージを見た後、プレビュー表示の必要性があると認識できるため、表示操作部DPにて単位系確定用のプレビュー表示の操作をなす。それにより、制御部CTは、に通信部CMが受信した画像データを表示操作部DPにプレビュー表示させる。このとき、制御部CTは、ユーザーの画面切り替え操作に基づいて、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとを1つずつ表示操作部DPに順次プレビュー表示させる。ただし、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとを表示操作部DPに交互に自動的に入れ替えるプレビュー表示をさせてもよい。また、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとの双方を表示操作部DPに同時にプレビュー表示させてもよい。これらのプレビュー表示によれば、ユーザーは、単位系変換がなされていない画像データの縦横比および単位系変換の後の画像データの縦横比のいずれが適切であるのかを判断することができる。
【0074】
上述の事項は、次のようにも言い得る。
【0075】
ステップS101において、制御部CTが記憶部MEに送信元情報に対応する単位系変換情報が記憶されていない送信元情報を受信する場合がある。この場合には、ステップS201において、印刷部PRによる印刷開始の指示があったと判定されても、制御部CTは、ステップS203において、通信部CMが受信した画像データの単位系が確定されるまで印刷部PRによる印刷を保留、すなわち中止する。これによれば、ユーザーは、ジョブ履歴に含まれる送信元機器200を把握することにより、送信元機器200が単位系を変換する必要がある送信元機器であるのかどうかの判断を確実に行うことができる。そのため、不適切な縦横比の画像データを印刷部PRに印刷させるという不具合の発生の頻度を低下させることができる。
【0076】
なお、制御部CTは、印刷部PRに単位系変換がなされていない画像データを印刷させた後に、単位系変換の後の画像データの印刷をユーザーに促す態様で、表示操作部DPに単位系変換がなされていない画像データのジョブ履歴を表示させてもよい。これによれば、ユーザーは、不適切な縦横比の画像データを印刷部PRに印刷させた場合であっても、その後に、適切な縦横比の画像データを印刷部PRに印刷させる機会を得易い。
【0077】
単位系が不適切であると推定される送信元機器200から画像データを受信したと判定された場合がある。この場合には、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとの双方の画像を、印刷部PRに印刷させてもよい。これによれば、適切な単位系の画像データを自動的に印刷することができるという画像通信装置の基本的なメリットを享受しながら、不適切な単位系のために実際には使用できない画像データのみが印刷されてしまうという不都合の発生を避けることができる。
【0078】
ただし、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとの双方の画像を、表示操作部DPにプレビュー表示させてもよい。また、制御部CTは、送信元機器200から画像データを初めて受信した場合に、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとの双方の画像を記憶部MEに記憶させてもよい。この場合、制御部CTは、表示操作部CPに対するユーザーによる選択操作に基づいて、記憶部MEに記憶されたいずれかの画像を、印刷部PRに印刷させるか、または、表示操作部CPに表示させてもよい。
【0079】
その後、制御部CTは、ステップS201の処理を再び実行する。ステップS202において、通信部CMが受信した画像データのプレビュー表示待ちフラグがONでないと判定される場合がある。この場合、制御部CTは、プレビュー表示を待つ必要がないとみなして、ステップS205において、印刷すべき画像データである最終画像データが生成済であるか否かを判定する。
【0080】
ステップS205において、最終出力画像データが生成済であると判定されれば、制御部CTは、印刷部PRに単位系確認済の最終出力画像データを印刷させるために、ステップS209の処理を実行する。ステップS205において、最終画像データが生成済でないと判定されれば、ステップS206において、制御部CTは、最終画像データを生成する必要があるとみなして、通信部CMが受信した画像データの単位系変換要フラグがONであるか否かを判定する。つまり、制御部CTは、ステップS206において、通信部CMが受信した画像データの単位系の変換の必要性があるか否かを判定する。
【0081】
ステップS206において、通信部CMが受信した画像データの単位系変換要フラグがONでないと判定される場合がある。この場合、ステップS207において、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに付随する単位系情報に基づいて、通信部CMが受信した画像データ(1ビット低解像度)の解像度をそのまま入力解像度として用いて、画像データの解像度を変換する。それにより、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像(たとえば、600dpi)を生成し、記憶部MEに記憶させる。1ビット低解像度の画像データは、受信した画像データそのものを意味する。つまり、送信元機器200から受信した画像データについて単位系の変換がなされることなく、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データが生成される。その後、制御部CTは、ステップS209において、インチ系の最終出力画像データを印刷キューへ投入する。
【0082】
ステップS206において、通信部CMが受信した画像データの単位系変換要フラグがONであると判定される場合がある。この場合、ステップS208において、制御部CTは、
図10の変換を用いて、通信部CMが受信した画像データに付随する解像度情報のうち単位系情報のみを変更する。その後、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データの解像度とほぼ同一の解像度を有する単位系変換後の画像データからインチ系の最終出力解像度の最終出力画像を解像度変換により生成し、記憶部MEに記憶させる。言い換えると、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データ(1ビット低解像度)に対して単位系変換のみをなし、その後、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像(たとえば、600dpi)への解像度変換をなす。このとき、制御部CTは、
図11で示したような解像度変換を一度に行うことになり、インチ系の最終出力解像度の出力画像が得られる。そのため、画像通信装置100は、画像データの単位系を変換しても、単位系変換がなされていない画像データの解像度とほぼ同一の解像度を有する単位系変換の後の画像データに対応する画像を用紙に印刷することができる。
【0083】
なお、印刷部PRによる印刷がなされるときには、前述の単位系変換の後の画像データがミリ系の画像データおよびインチ系の画像データのいずれであっても、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データが印刷される。また、表示操作部CPによる表示がなされるときには、前述の単位系変換の後の画像データがミリ系の画像データおよびインチ系の画像データのいずれであっても、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データが表示される。
【0084】
次に、ステップS209において、制御部CTは、記憶部MEに記憶された最終出力画像データを印刷キューへ投入する。それにより、印刷部PRは、最終出力画像データに対応する画像を用紙に印刷し、その画像が印刷された用紙を排出トレイ上に送り出す。その後、制御部CTは、ステップS201の処理を再び実行する。
【0085】
図15に示されるように、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データの単位系の判定がなされていないために、表示操作部DPにプレビュー表示させる場合、ユーザーに単位系を変換するかどうかを判定させる処理を実行する。具体的には、次のような処理が実行される。
【0086】
図15に示されるように、ステップS301において、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データのプレビュー待ちフラグがONであるか否かを判定する。ステップS301において、通信部CMが受信した画像データのプレビュー待ちフラグがONであると判定される場合がある。この場合、ステップS302において、ステップS207と同様に、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに付随する解像度情報に含まれる単位系情報に基づいて、通信部CMが受信した画像データ(1ビット低解像度)をそのまま入力解像度として用いて、画像データの解像度を変換する。それにより、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ1(たとえば、600dpi)を生成し、記憶部MEに記憶させる。つまり、プレビュー表示が未だされていない場合には、まず、通信部CMが受信した画像データについて単位系の変換がなされることなく、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ1が生成される。このとき、単位系変換の後の画像データがインチ系の画像データおよびミリ系の画像データのいずれであても、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ1が生成される。
【0087】
その後、ステップS303において、ステップS208と同様に、制御部CTは、
図10の変換を用いて、通信部CMが受信した画像データに付随する解像度情報のうち単位系情報のみを変換する。その後、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データの解像度とほぼ同一の解像度を有する単位系変換後の画像データから、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ2を解像度変換により生成し、記憶部MEに記憶させる。言い換えると、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データ(1ビット低解像度)に対して、単位系変換のみをなし、その後、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ2(たとえば、600dpi)へ解像度変換をなす。つまり、プレビュー表示される必要があると判定された後、プレビュー表示が未だされていない場合がある。この場合には、単位系の変換が必要であるか否かをユーザーが判定する前に、単位系変換がなされていない受信画像データからインチ系の最終出力画像データ1が生成される。これに加えて、単位系変換のみがなされた受信画像データからインチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ2が生成される。このとき、制御部CTは、
図11で示したような解像度変換を一度に行うことになり、インチ系の最終出力解像度の出力画像が得られる。そのため、画像通信装置100は、画像データの単位系を変換しても、単位系変換がなされていない画像データの解像度とほぼ同一の解像度を有する単位系変換の後の画像データに対応する画像を用紙に印刷することができる。その後、制御部CTは、ステップS307において、記憶部MEに記憶されたインチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ1を表示操作部DPにプレビュー表示させる。
【0088】
ステップS301において、通信部CMが受信した画像データのプレビュー待ちフラグがONでないと判定されれば、ステップS304において、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データの単位系変換要フラグがONであるか否かを判定する。
【0089】
プレビュー表示が既にされている場合において、ステップS304において、通信部CMが受信した画像データの単位系変換要フラグがONでないと判定される場合がある。この場合、ステップS305において、ステップS302と同様に、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに付随する単位系情報に基づいて、通信部CMが受信した画像データ(1ビット低解像度)の解像度をそのまま入力解像度として用いて、画像データの解像度を変換する。それにより、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ1(たとえば、600dpi)を生成し、記憶部MEに記憶させる。つまり、単位系の変換が必要ではない場合には、送信元機器200から受信した画像データについて単位系の変換がなされることなく、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ1が生成される。その後、制御部CTは、ステップS307の処理を実行する。
【0090】
ステップS304において、通信部CMが受信した画像データの単位系変換要フラグがONであると判定される場合がある。この場合、ステップS306において、ステップS303と同様に、制御部CTは、
図10の変換を用いて、通信部CMが受信した画像データに付随する解像度情報のうち単位系情報のみを変更する。その後、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データの解像度とほぼ同一の解像度を有する単位系変換後の画像データからインチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ1を解像度変換により生成し、記憶部MEに記憶させる。言い換えると、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データ(1ビット低解像度)に対して、単位系変換のみをなし、その後、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ1(たとえば、600dpi)へ解像度変換をなす。つまり、単位系の変換が必要である場合には、受信画像データに対して単位系変換のみがなされたほぼ同一解像度の画像データが入力画像データとして生成され、さらに入力画像データからインチ系の最終出力解像度の最終出力画像データ1が生成される。ステップS207、S208、S302、S303、S305およびS306において、制御部CTは、
図11で示したような解像度変換を行ってインチ系の最終出力解像度(600dpi)の最終出力画像データを得る。例えば、制御部CTは、ミリ系からインチ系へ単位系のみを変換する場合には、画像データの主走査方向を63/64倍にし、画像データの副走査方向を45/44倍にする。その後、制御部CTは、インチ系同士の解像度変換によって、最終出力解像度の最終出力画像データを得る。これによれば、適切な縦横比に高速で変換することができる。より具体的に言うと、小数点を含まない少ない桁数の演算で解像度の変換を行うことができる。したがって、解像度の変換の演算を高速で実行することが可能になる。また、解像度の変換において生じる変換誤差が極めて小さいため、変換後の画像の縦横比は極めて適切なものになる。そのため、画像通信装置100は、画像データの単位系を変換しても、単位系変換がなされていない画像データの解像度とほぼ同一の解像度を有する画像データに対応する画像を用紙に印刷することができる。
【0091】
ステップS307において、制御部CTは、記憶部MEに記憶された最終出力画像データに対応する画像を、表示操作部DPにプレビュー表示させる。その後、ステップS308において、制御部CTは、表示操作部DPに単位系の変換を指示する所定の操作がなされたか否かを判定する。
【0092】
ステップS308において、表示操作部DPに単位系変換を指示する所定の操作がなされたと判定されれば、ステップS309において、制御部CTは、記憶部MEに最終出力画像データ2が存在するか否かを判定する。ステップS309において、記憶部MEに最終出力画像データ2が存在すると判定される場合がある。この場合、ステップS310では、制御部CTは、記憶部MEにおいて、最終出力画像データ1を最終出力画像データ2に置き換え、かつ、最終出力画像データ2を最終出力画像データ1に置き換える。それにより、制御部CTは、単位系が変換された画像データを最終出力画像データ1として記憶部MEのファクス受信データに対応させて記憶させる。その後、制御部CTは、ステップS312の処理を実行する。
【0093】
上記のように、制御部CTが、ステップS105(もしくはS110),S202で、単位系の変換が必要であると判定し、かつ、ステップS308で、ユーザーにより表示操作部DPに単位系の変換のための所定の操作がなされる場合がある。この場合に、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データの単位系を変換する。これにより、画像データを受信した画像通信装置100において、ユーザーが画像データの縦横比を変換することができる。したがって、不適切な縦横比の画像データを印刷するおそれを低減することができる。
【0094】
ステップS309において、最終出力画像データ2が記憶部MEに存在しないと判定される場合がある。この場合には、制御部CTは、ステップS311において、記憶部MEにおいて、最終出力画像データ1を最終出力画像データ2に置き換え、記憶部MEに記憶させる。また、制御部CTは、ステップS311において、ステップS305またはS306において生成されなかった他方の最終出力画像データ1を生成し、記憶部MEに記憶させる。ステップS305において生成されなかった他方の最終出力画像データ1とは、ステップS306で作成される単位系変換の後の最終出力画像データ1である。一方、ステップS306において生成されなかった他方の最終出力画像データ1とは、ステップS305で作成される単位系を変換していない最終出力画像データ1である。
【0095】
その後、ステップS312において、制御部CTは、表示操作部DPに表示されていた受信画像中心位置上の画素が、切り替え表示により新しく表示操作部DPに表示される単位系変換の後の受信画像でも同一位置の画素になるように、プレビュー表示の準備をする。また、制御部CTは、表示操作部DPに表示されていた受信画像の表示倍率と、切り替え表示により新しく表示操作部DPに表示される出力画像の表示倍率とが同一になるように、プレビュー表示の準備をする。つまり、制御部CTは、矩形の表示領域DPAにおける対角線の交点Cにおいて、単位系変換がなされていない画像データにおける一点と単位系変換の後の画像データにおける一点(画素)とが同一点(画素)になるように、表示領域DPAに切り替え表示させる。このとき、画像データ表示領域が表示領域DPAの一部である場合は、画像データ表示領域の中心点(矩形の画像データ表示領域の対角線の交点)に描画される一点が単位系変換の前後で同一点となるように切り替え表示させる。これによれば、拡大表示または単位系変換により出力用紙上の表示範囲がずれた場合であっても表示内容の中心位置はずれない。その結果、単位系変換がなされていない画像データの縦横比と単位系変換の後の画像データの縦横比とを容易に比較することができる。その後、制御部CTは、ステップS307の処理を実行する。
【0096】
一方、ステップS308において、表示操作部DPに単位系変換を指示する所定の操作がなされていないと判定されれば、制御部CTは、ステップS313において、表示ページ数を変更するための操作が表示操作部DPになされたか否かを判定する。ステップS308において、表示ページ数を変更するための操作が表示操作部DPになされたと判定されれば、制御部CTは、ステップS314において、表示ページを変更し、表示操作部DPのプレビュー表示に変更された表示ページを反映させる。その後、制御部CTは、ステップS307において、最終出力画像データ1に対応する画像を表示操作部DPにプレビュー表示させる。ステップS313において、表示ページ数を変更するための操作が表示操作部DPになされていないと判定されれば、制御部CTは、ステップS315において、表示操作部DPに対して印刷開始操作または再印刷開始操作がなされたか否かを判定する。
【0097】
ステップS315において、表示操作部DPに対して印刷開始操作または再印刷開始操作がなされていないと判定される場合がある。この場合には、ステップS317において、制御部CTは、表示操作部DPに対して、表示操作部DPにおけるプレビュー画像の表示を終了することを指示する操作がなされたか否かを判定する。
【0098】
ステップS317において、表示操作部DPに対して、プレビュー表示を終了することを指示する操作がなされていないと判定される場合がある。この場合、ステップS318において、制御部CTは、表示操作部DPに表示されている画像データの拡大、縮小、回転、または移動のいずれかを指示する操作がなされたか否かを判定する。ステップS318において、表示操作部DPに表示されている画像データの拡大、縮小、回転、または移動のいずれかを指示する操作がなされていないと判定される場合がある。この場合、制御部CTは、ステップS307において、表示操作部DPに、記憶部MEに記憶された最終出力画像データ1に対応する画像をプレビュー表示させる。ステップS318において、表示操作部DPに表示されている画像の拡大、縮小、回転、または移動のいずれかを指示する操作がなされたと判定される場合がある。この場合、ステップS319において、制御部CTは、ステップS318において指定された操作(画像データの拡大、縮小、回転、または移動)を表示操作部DPのプレビュー表示に反映される。
【0099】
なお、制御部CTは、送信元機器200により誤った単位系を有する画像データとして読み取られた後に回転処理(90度回転)がなされた画像データの単位系を変換する場合、画像データの主走査方向の変換倍率と画像データの副走査方向の変換倍率とを交換する。そのため、送信元機器200による誤った単位系を有する画像データとしての読み込み処理および回転処理がなされた画像データの縦横比を適切な値にすることができる。
【0100】
ステップS315において、表示操作部DPに対して印刷開始操作または再印刷開始操作がなされたと判定された場合には、ステップS316において、制御部CTは、最終出力画像データ1の印刷の開始を指示する。その後、ステップS320において、画像データのプレビューフラグがONであれば、制御部CTは、受信した画像データのプレビューフラグをOFFし、不要な最終出力画像データ2が生成されていれば,]その不要な最終出力画像データ2を記憶部MEから削除する。制御部CTは、ステップS317でプレビューが終了していると判定された場合にも、ステップS320の処理を実行される。
【0101】
その後、ステップS321において、制御部CTは、記憶部MEのアドレス帳、に送信元情報に対応する単位系情報として、「受信画像の単位系→最終指示の単位系」という情報を記憶させる。たとえば、制御部CTは、インチ系をミリ系へ変換するという情報(「インチ系→ミリ系」)、または、インチ系の画像データをインチ系の画像データまま使用するという情報(「インチ系→インチ系」)等を、記憶部MEに記憶させる。また、制御部CTは、ミリ系の画像データをインチ系の画像データへ変換するという情報(「ミリ系→インチ系」)、または、ミリ系の画像データをミリ系の画像データのまま使用するという情報(「ミリ系→ミリ系」)等を、記憶部MEに記憶させる。次に、ステップS322において、制御部CTは、表示操作部DPにおけるプレビュー表示を終了する。
【0102】
図16および
図17を用いて、
図15に示されるフローチャートの処理において、表示操作部DPの表示領域DPAに表示されるUI(User Interface)画面を説明する。
【0103】
図16に示されるように、制御部CTは、外部記憶部MEに記憶された受信データ(画像データ)リストが表示領域DPAに表示させる。たとえば、記憶部MEに記憶された受信データ(画像データ)を選択するための少なくとも1つのボタン、具体的には、少なくとも1つのアイコン画像SB1,SB2,SB3のリストが表示領域DPAに表示される。ユーザーが表示領域DPAに表示されている少なくとも1つ受信データ(画像データ)に対応するアイコン画像SB1,SB2,SB3の中から1つの受信データ(画像データ)に対応するアイコン画像を選択(タッチ)する。それにより、制御部CTは、
図15のステップS301の処理を実行する。
【0104】
図17に示されるように、制御部CTは、表示操作部DPの表示領域DPAに、
図15のフローで生成される最終出力画像1としての画像FIを表示させる。
【0105】
このとき、
図17の表示領域DPAの中央に位置付けられた変換ボタンCVを操作することが、
図15のステップS308において「変換操作(YES)」の場合に相当する。
【0106】
受信した画像データFIの現在の単位系がインチ系の場合、ユーザーが変換ボタン(変換アイコン)CVを押すと、
図10で示されるように、画像データFI(
図17)の単位系がインチ系からミリ系に変換される(左向き矢印に相当)。また、ユーザーが、変換ボタンCVを再び押すと、受信した画像データFIの単位系がミリ系からインチ系へ戻る(右向き矢印に相当)。このようにユーザーが変換ボタンCVを押すたびに、単位系がインチ→ミリ→インチ‥と交互に単位系が切り替えられる。制御部CTは、単位系の切り替えの結果、現在の単位系がインチであるのか、それとも、ミリ系であるのかを示す情報を表示領域DPAの単位系表示領域UDに表示させてもよい。
【0107】
ユーザーがプレビュー終了ボタン(アイコン)PEを押すと、制御部CTは、
図15のステップS317においてYESの場合の処理を実行する。また、制御部CTは、ユーザーが印刷ボタン(アイコン)PRSを押すと、
図15のステップS316においてYESの場合の処理を実行する。なお、制御部CTは、表示領域DPAに、拡大、縮小、ページ送り等のボタン(アイコン)OTを表示させてもよい。
【0108】
以下、本実施の形態の画像通信装置100の特徴的構成をまとめると、以下のようになる。
【0109】
(1) 画像通信装置100は、通信部CM、制御部CT、および印刷部PRを備えている。通信部CMは、画像データを受信する。制御部CTは、画像データの単位系の変換が必要であると判定し(ステップS105またはS110,S202でYES)、かつ、ユーザーにより表示操作部DPに所定の操作がなされた場合に(S308でYES)、通信部CMが受信した画像データの単位系を変換する(S310~S312)。
【0110】
これによれば、画像データを受信した画像通信装置100において、ユーザーが画像データの縦横比を変換することができる。したがって、不適切な縦横比の画像データを印刷するという不具合の発生の頻度を低下させることができる。
【0111】
(2) 制御部CTは、ステップS208,S303,S306,S311において、単位系変換の後の画像データの解像度として、予め定められた複数の解像度の候補から、単位系変換がなされていない画像データの解像度に最も近い1つの解像度(別の単位系の解像度)を選択してもよい。この選択された1つの解像度からインチ系の最終出力解像度への変換を行うことにより、インチ系の最終出力解像度の最終出力画像データが生成される。
【0112】
これによれば、受信された画像データの単位系のみが変更された正しい最終出力画像を印刷することができる。
【0113】
(3) 画像通信装置100は、画像データを表示する表示操作部DPをさらに備えていてもよい。この場合、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データ(受信画像データに基づく表示画像データ)と、単位系変換の後の画像データ(単位系変換のみがなされた受信画像データに基づく表示画像データ)とを、表示操作部DPに順次または同時に表示させてもよい。
【0114】
これによれば、ユーザーは、単位系変換がなされていない画像データ(受信画像データ)の縦横比および単位系変換の後の画像データ(受信画像データ)の縦横比のいずれが適切であるのかを判断することができる。
【0115】
(4) 画像通信装置100は、画像データを表示する表示領域DPAを有する表示操作部DPをさらに備えていてもよい。この場合、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとを、表示領域DPAに切り替え表示させてもよい。この場合、表示領域DPAにおける所定点(
図6および
図8の対角線の交点C、もしくは、画像データ表示領域が表示領域DPAの一部である場合は画像データ表示領域の中心点<矩形の画像データ表示領域の対角線の交点>)において、単位系変換がなされていない画像データにおける一点と単位系変換の後の画像データにおける一点とが同一点になることが好ましい。
【0116】
これによれば、ユーザーは、単位系変換がなされていない画像データの縦横比と変換後の単位系の画像データの縦横比とを容易に比較することができる。
【0117】
(5) 画像通信装置100は、単位系変換が必要であるか否かを示す単位系変換情報(ミリ系情報、インチ系情報、等)を記憶し得る記憶部MEをさらに備えていてもよい。単位系変換情報が記憶部MEに記憶されている場合(S104,S106,S107、もしくは、S109,S111,S112)がある。この場合には、制御部CTは、所定の操作が表示操作部DPになされなくても、記憶部MEに記憶された単位系変換情報に基づいて、通信部CMが受信した画像データの単位系を変換してもよい。
【0118】
これによれば、同一の送信元機器200から画像データを再び受信した場合に、ユーザーが画像データの単位系を変換するために表示操作部DPに所定の操作をなすことなく、適切な単位系を用いて画像データを印刷することができる。
【0119】
(6) 制御部CTは、通信部CMが受信した画像データに付随する受信情報から画像データの送信元機器200を特定可能な送信元情報および画像データの単位系を推定可能な単位系情報(たとえば、単位系情報は、解像度情報に含まれる)を取得してもよい。この場合、記憶部MEは、送信元情報および送信元情報に対応する単位系変換が必要であるか否かを示す単位系変換情報を記憶していてもよい。通信部CMが受信した受信情報が記憶部MEに記憶された送信元情報を含む場合がある。この場合には、制御部CTは、単位系情報(単位系情報は、解像度情報に含まれる)ではなく、記憶部MEに記憶された送信元情報に対応する単位系変換情報を用いて、通信部CMが受信した画像データの単位系を設定してもよい。
【0120】
これによれば、ユーザーによる表示操作部DPへの所定の操作に基づく単位系の再度の変換を行うことなく、適切な単位系の画像データを印刷することができる。
【0121】
(7) 画像通信装置100は、画像データを印刷する印刷部PRをさらに備えていてもよい。この場合、制御部CTは、通信部CMが受信した画像データの単位系が確定されるまで(S202においてYES)、印刷部PRによる印刷を保留してもよい(S203)。
【0122】
これによれば、送信元機器200が単位系を変換する必要がある送信元機器であるのかどうかの判定を確実に行うことができる。そのため、不適切な縦横比の画像データを印刷部PRに印刷させる不具合の発生の頻度を低下させることができる。
【0123】
(8) 記憶部MEは、送信元情報に対応する解像度変換情報(たとえば、8×3.85本/mm→200×100本/インチ)を記憶していてもよい。通信部CMが受信した画像データの解像度情報(たとえば、8×7.7本/mm)が、送信元情報に対応する解像度変換情報により特定された解像度情報と異なっている場合がある。この場合であっても、制御部CTは、ステップS104~S107,S108~S113)に示すように、記憶部MEに記憶された送信元情報に対応する単位系情報(解像度変換情報に含まれる)を用いて、通信部CMが受信した画像データの単位系を設定してもよい。
【0124】
これによれば、画像データの単位系が不適切である可能性が高いと推定される場合に、画像データの単位系を再度変換する必要をなくすことができる。
【0125】
(9) 単位系は、ミリ系(8×3.85本/mm=203.2×97.79本/inch など)とインチ系(200×100本/インチ など)とを含んでいてもよい。通信部CMが受信した送信元情報が記憶部MEに記憶されている送信元情報と同一である場合がある。この場合であっても、制御部CTは、ミリ系が標準動作のファクス通信における単位系情報およびインチ系が標準動作のインターネットファクス通信における単位系情報のそれぞれを、記憶部MEに別個に記憶させてもよい。
【0126】
これによれば、画像通信装置100と送信元機器200との間の通信において使用されている通信プロトコル毎に送信元機器200の動作が異なる場合であっても、画像データの単位系を適切に設定することができる。
【0127】
(10) 制御部CTは、ステップS318において、送信元機器200により読み取られた後に回転処理(90度回転)がなされた画像データの単位系変換を実行する場合、画像データの主走査方向の変換倍率と画像データの副走査方向の変換倍率とを交換してもよい。これによれば、回転処理がなされた画像データの縦横比を適切な値にすることができる。
【0128】
(11) 画像通信装置100は、画像データを印刷する印刷部PRをさらに備えていてもよい。単位系が不適切であると推定される送信元機器200から画像データを受信したと判定された場合がある。この場合には、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとの双方の画像を、印刷部PRに印刷させてもよい。これによれば、適切な単位系の画像データを自動的に印刷することができるという画像通信装置のメリットを享受することができる。また、同一の送信元機器200から再度画像データを受信した場合に、不適切な単位系の画像データが印刷されるという不具合の発生の頻度を低下させることができる。
【0129】
さらに、制御部CTは、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとの双方の画像を、表示操作部DPに表示させてもよい。制御部CTは、送信元機器200からの最初の画像データの受信の場合に、単位系変換がなされていない画像データと単位系変換の後の画像データとの双方の画像を記憶部MEに記憶させてもよい。この場合、制御部CTは、ユーザーの表示操作部DPに対する選択操作に基づいて、表示記憶部MEに記憶されたいずれかの画像を印刷または表示させてもよい。
【0130】
(12) 単位系は、ミリ系とインチ系とを含んでいてもよい。制御部CTは、
図10に示されるように、ミリ系からインチ系へ単位系を変換する場合には、画像データの主走査方向を63/64倍にし、かつ、前記画像データの副走査方向を45/44倍にしてもよい。また、制御部CTは、
図10に示されるように、インチ系からミリ系へ単位系を変換する場合には、画像データの主走査方向を64/63倍にし、副走査方向を44/45倍にしてもよい。
【0131】
これによれば、画像データの縦横比を高速で適切な値へ変換することができる。
【符号の説明】
【0132】
100 画像通信装置
200 送信元機器
CT 制御部
CM 通信部
DP 表示操作部(表示部,操作部)
DPA 表示領域
ME 記憶部
PR 印刷部