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特開2023-176826電子写真用トナー及び電子写真用トナーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176826
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電子写真用トナー及び電子写真用トナーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20231206BHJP
   G03G 9/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G03G9/08 391
G03G9/08 381
G03G9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089321
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 一比古
(72)【発明者】
【氏名】丸山 洋平
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA06
2H500AA14
2H500BA24
2H500CA06
2H500CB06
2H500EA52C
2H500EA60C
2H500EA61C
2H500EA62C
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、光輝性に優れた電子写真用トナー及び電子写真用トナーの製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の電子写真用トナーは、少なくとも樹脂と光輝性顔料粒子を含有するトナー母体粒子を含む電子写真用トナーであって、所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、隣り合う前記光輝性顔料粒子がどれくらい平行に配列されているかを示す平行係数が、1.0~1.5の範囲内であり、かつ、隣り合う前記光輝性顔料粒子の間隔がどれくらい離れているかを示す間隔係数が、0.1~4.0の範囲内であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも樹脂と光輝性顔料粒子を含有するトナー母体粒子を含む電子写真用トナーであって、
所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、
隣り合う前記光輝性顔料粒子がどれくらい平行に配列されているかを示す平行係数が、1.0~1.5の範囲内であり、かつ、
隣り合う前記光輝性顔料粒子の間隔がどれくらい離れているかを示す間隔係数が、0.1~4.0の範囲内であることを特徴とする電子写真用トナー。
【請求項2】
所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、
前記トナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点から前記光輝性顔料粒子の表面までの厚さの平均値が、0.1~3.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
【請求項3】
前記光輝性顔料粒子の平均長軸径が、3~30μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真用トナーを製造する電子写真用トナーの製造方法であって、
スプレードライ法により、前記光輝性顔料粒子に前記樹脂を被覆して樹脂部を形成する工程を有することを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用トナー及び電子写真用トナーの製造方法に関し、特に、光輝性に優れた電子写真用トナー等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真プロセスを用いた画像形成においても、様々な顧客ニーズに応えて、商業印刷分野で見られるような高付加価値画像の出力が求められている。例えば、蒸着紙のメタリックペーパー並みの光輝性が電子写真方式で出力される画像にも求められることがある。電子写真方式の画像形成において、光輝性を有する画像の形成は、電子写真用トナーに光輝性顔料を含有させた電子写真用光輝性トナー(以下、単に「光輝性トナー」ともいう。)を用いて行われる。
【0003】
光輝性トナーについては、例えば、特許文献1では、低温高湿環境で連続画像形成を行う条件下で発生する画像における光輝感(光輝性)の低下を抑制するトナーの技術が開示されているが、光輝性への要求は高まる一方であり、市場では、蒸着紙のメタリックペーパー並みの光輝性を求められている。
【0004】
そこで、従来、光輝性を上げるためには、光輝性顔料の投影面積を上げる、すなわち、光輝性顔料の平均長軸径を上げてアスペクト比を上げること知られている。しかしながら、投影面積を上げるだけでは、光輝性が上がらないことが問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-54739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、光輝性に優れた電子写真用トナー及び電子写真用トナーの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、定着画像上において、隣り合う光輝性顔料粒子の平行係数及び間隔係数を特定の範囲内とすることによって、光輝性に優れた電子写真用トナー及びその製造方法を提供することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0008】
1.少なくとも樹脂と光輝性顔料粒子を含有するトナー母体粒子を含む電子写真用トナーであって、
所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、
隣り合う前記光輝性顔料粒子がどれくらい平行に配列されているかを示す平行係数が、1.0~1.5の範囲内であり、かつ、
隣り合う前記光輝性顔料粒子の間隔がどれくらい離れているかを示す間隔係数が、0.1~4.0の範囲内であることを特徴とする電子写真用トナー。
【0009】
2.所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、
前記トナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点から前記光輝性顔料粒子の表面までの
厚さの平均値が、0.1~3.0μmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の電子写真用トナー。
【0010】
3.前記光輝性顔料粒子の平均長軸径が、3~30μmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の電子写真用トナー。
【0011】
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真用トナーを製造する電子写真用トナーの製造方法であって、
スプレードライ法により、前記光輝性顔料粒子に前記樹脂を被覆して樹脂部を形成する工程を有することを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記手段により、光輝性に優れた電子写真用トナー及び電子写真用トナーの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の電子写真用トナーにおいては、少なくとも樹脂と光輝性顔料粒子を含有するトナー母体粒子を含む電子写真用トナーであって、所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、隣り合う前記光輝性顔料粒子がどれくらい平行に配列されているかを示す平行係数が、1.0~1.5の範囲内であり、かつ、隣り合う前記光輝性顔料粒子の間隔がどれくらい離れているかを示す間隔係数が、0.1~4.0の範囲内である。
すなわち、定着画像上において、隣り合う光輝性顔料粒子が略平行で、かつ、光輝性顔料粒子同士の間隔が狭いので、図1に示すように、垂直に入ってきた入射光L1が、光輝性顔料粒子1の表面と、近傍の光輝性顔料粒子1の表面の間で光反射を繰り返し(「ライトパイピング」ともいう。)、光輝性顔料粒子1の表面で反射した反射光L2の方向が揃う。
以上より、優れた光輝性が発現すると推察される。
なお、隣り合う光輝性顔料粒子が略平行でない場合には、図2に示すように、光輝性顔料粒子1の表面で反射した反射光L2の方向が揃わず、光輝性が悪くなる。
また、図1及び図2では、光輝性顔料粒子1のみ記載したが、後述するように実際には各光輝性顔料粒子1の表面に、それぞれ図示しない樹脂(図3における樹脂部2)が被覆されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】定着画像上において、本発明のトナー粒子の光輝性が向上するメカニズム
図2】従来のトナー粒子の光輝性が低下するメカニズム
図3】本発明に係るトナー母体粒子の断面模式図
図4】本発明における平行係数を説明するための図
図5】本発明における間隔係数を説明するための図
図6】流動層型コート装置の構成を示す断面図
図7】ドラムタンデム方式の画像形成装置の一例を示す断面概要図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の電子写真用トナーは、少なくとも樹脂と光輝性顔料粒子を含有するトナー母体粒子を含む電子写真用トナーであって、所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、隣り合う前記光輝性顔料粒子がどれくらい平行に配列されているかを示す平行係数が、1.0~1.5の範囲内であり、かつ、隣り合う前記光輝性顔料粒子の間隔がどれくらい離れているかを示す間隔係数が、0.1~4.0の範囲内であることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
【0015】
本発明の実施態様としては、所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、前記トナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点から前記光輝性顔料粒子の表面までの厚さの平均値が、0.1~3.0μmの範囲内であることが、樹脂部が薄くなり、トナー粒子への入射光や光輝性顔料粒子からの反射光が樹脂部の表面で屈折して反射光の方向が不揃いになるのを最小限にすることができる点で好ましい。
また、光輝性の観点で、前記光輝性顔料粒子の平均長軸径が、3~30μmの範囲内であることが好ましい。
【0016】
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、スプレードライ法により、前記光輝性顔料粒子に前記樹脂を被覆して樹脂部を形成する工程を有することを特徴とする。これにより、樹脂部を薄く、かつ、略均一に形成でき、また、前記平行係数及び前記間隔係数を前記した特定範囲とすることができる。その結果、光輝性に優れたトナーとすることができる。
【0017】
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0018】
≪本発明の電子写真用トナーの概要≫
本発明の電子写真用トナー(「静電荷像現像用トナー」ともいう。)は、少なくとも樹脂と光輝性顔料粒子を含有するトナー母体粒子を含む電子写真用トナーであって、所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、隣り合う前記光輝性顔料粒子がどれくらい平行に配列されているかを示す平行係数が、1.0~1.5の範囲内であり、かつ、隣り合う前記光輝性顔料粒子の間隔がどれくらい離れているかを示す間隔係数が、0.1~4.0の範囲内であることを特徴とする。
【0019】
なお、本明細書において、電子写真用トナーのことを、単に、「トナー」ともいい、光輝性顔料粒子を含有する電子写真用トナーのことを、「光輝性トナー」ともいう。本発明のトナーは、少なくとも樹脂と光輝性顔料粒子を含有するトナー母体粒子を含む。また、トナー母体粒子は、表面に外添剤を付着させることが好ましい。
【0020】
また、本明細書において、「トナー母体粒子」とは、「トナー粒子」の母体を構成するものである。本発明に係る「トナー母体粒子」は、少なくとも樹脂と光輝性顔料粒子を含有するものであり、その他必要に応じて、ワックス、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。「トナー母体粒子」は、外添剤の添加によって「トナー粒子」と称される。そして、「トナー」とは、トナー粒子の集合体のことをいう。
また、本明細書において、「光輝性顔料粒子」を単に「顔料粒子」ともいう。
【0021】
光輝性については、色を数値化したL表色系の座標値において、L(明度)の値を求めることにより評価でき、Lの値が大きいほど、光輝性に優れると判断できる。具体的には、Lの値が300以上であることが好ましい。
【0022】
図3に、本発明に係るトナー母体粒子10の断面図を示す。トナー母体粒子10は、少なくとも光輝性顔料粒子1と樹脂部2で構成され、樹脂部2は光輝性顔料粒子1を被覆している。樹脂部2は、樹脂の他に、添加剤等を含んでいてもよく、単層であっても二層以上の複数層であってもよい。
【0023】
<平行係数>
本発明のトナーは、所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察
測定したとき、隣り合う前記光輝性顔料粒子がどれくらい平行に配列されているかを示す平行係数が、1.0~1.5の範囲内であり、1.0~1.3の範囲内であることが、光輝性顔料粒子の表面で反射した反射光の方向が揃うため、優れた光輝性が発現する点でより好ましい。すなわち、本発明のトナーは、定着画像上において、隣り合う光輝性顔料粒子の長軸方向の面が互いに略平行である。
【0024】
前記平行係数は、下記のとおり、光輝性顔料粒子を含有するトナーを用いて定着画像サンプルを形成した後、当該画像サンプルについて以下の方法により算出することができる。
市販の複写機「bizhab 421」(コニカミノルタビジネステクノロジー(株)製)を用いて、定着装置の加熱ローラーの表面温度を170℃に設定し、常温常湿(温度20℃、相対湿度55%)において、黒紙上の白トナーの画像濃度がL*=60の白ベタ画像を形成し、完全に冷却させた画像サンプルを形成する。その後、当該画像サンプルについて、光硬化性樹脂「D-800」(日本電子社製)にて硬化処理を行い、サンプルを光硬化性樹脂処理する。
そのサンプルを、剃刀を用いて平板上に加工し、イオンミリング用試料ホルダーに熱可塑性ワックスを用いて固定して、イオンミリング加工装置「SM-09010」(日本電子社製)により切削面をイオンミリング加工して、断面観察用のサンプルを作製する。
なお、加速電圧/5.0kV、ビーム電流/60μA、設定時間/12時間、イオン種Arの条件でイオンミリング加工を行う。
得られた断面サンプルの断面の様子を、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「S-4800」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察する。観察するトナー母体粒子の断面は、トナー母体粒子の質量平均粒径から±3.0μm以内のものを無作為(ランダム)に100個選んで撮影を行う。
次いで、得られた断面画像について、加速電圧1.0kV、WD/3.0mmの条件にて2000倍にて撮影し、スキャナーにより取り込んだ写真画像から、画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ製)を用いて、厚さ方向において隣り合う顔料粒子について、下記の算出法により平行係数を100個算出した。
【0025】
詳細には、明確化した断面画像において、図4(a)、(b)に示すように、顔料粒子の厚さ方向に隣り合う顔料粒子の、一方の顔料粒子1aと他方の顔料粒子1bの互いに対向する面において、最小距離(A)と最大距離(B)とを測定する。
ここで、「最小距離(A)」とは、前記互いに対向する面(対向面F)において、一方の顔料粒子1a又は他方の顔料粒子1bのどちらか一方の対向面Fから他方の対向面Fに対して垂直線を引いた当該垂直線の長さのうち、最小の長さとなる距離のことをいう。
「最大距離(B)」とは、前記互いに対向する面(対向面F)において、一方の顔料粒子1a又は他方の顔料粒子1bのどちらか一方の対向面Fから他方の対向面Fに対して垂直線を引いた当該垂直線の長さのうち、最大の長さとなる距離のことをいう。
【0026】
次いで、下記式によって算出される平行係数を算出する。
平行係数=最大距離B/最小距離A
【0027】
上記のようにして厚さ方向において隣り合う顔料粒子について平行係数を100個算出し、さらに、100個の平行係数の平均値を算出する。この平行係数の平均値を本発明における「平行係数」とし、当該平行係数の平均値が1.0~1.5の範囲内であることを本発明の特徴の一つとした。
【0028】
上記のように(平均)平行係数が1.0~1.5の範囲内とするためには、例えば、光輝性顔料粒子の平均長軸径、平均厚さ又は種類等を後述するように調整したり、また、後述するスプレードライ法を用いて、顔料粒子に樹脂を被覆する際のスプレーノズルからの
樹脂の噴霧量や、流動化空気の温度及び噴出する流動化空気の量により制御することができる。
【0029】
<間隔係数>
本発明のトナーは、所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、前記樹脂中の隣り合う前記光輝性顔料粒子の間隔がどれくらい離れているかを示す間隔係数が、0.1~4.0の範囲内であることが光輝性の観点で好ましく、0.1~3.0の範囲内であることがより好ましい。
【0030】
前記間隔係数は、以下の方法により算出することができる。
前記した平行係数の算出方法と同様にして、光輝性顔料粒子を含有するトナーを用いて定着画像サンプルを形成した後、当該画像サンプルを光硬化性樹脂処理し、その後、イオンミリング加工等して、断面観察用のサンプルを作製した。得られた断面サンプルの断面の様子を、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「S-4800」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察した。観察するトナー母体粒子の断面は、トナー母体粒子の質量平均粒径から±3.0μm以内のものをランダムに100個選んで撮影を行った。
得られた断面画像について、加速電圧1.0kV、WD/3.0mmの条件にて2000倍にて撮影し、スキャナーにより取り込んだ写真画像から、画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ製)を用いて、間隔係数を測定する。
【0031】
詳細には、図5に示すように、顔料粒子の厚さ方向に隣り合う3つの顔料粒子、具体的には、図5において上側に位置する第1の顔料粒子1cと、真ん中に位置する第2の顔料粒子1dと、下側に位置する第3の顔料粒子1eの平均厚さをそれぞれ算出する。
具体的に、平均厚さは、例えば第1の顔料粒子1cの場合、第1の顔料粒子1aの厚さを3箇所測定し、これらの平均値を第1の顔料粒子1cの厚さCとした。同様にして、第2の顔料粒子1dの平均厚さC、第3の顔料粒子1eの平均厚さCを算出した。さらに、これら平均厚さC~Cの平均を算出し、これを平均厚さCとした。
次に、第1の顔料粒子1cと第2の顔料粒子1dの間の平均距離Dを算出する。具体的には、前記平行係数の算出方法で算出した最小距離Aと最大距離Bから、その平均を算出して平均距離Dとする。(なお、図5では、図面の関係上、最小距離Aと最大距離Bが同じ長さとなっている。)
すなわち、第1の顔料粒子1cと第2の顔料粒子1dの互いに対向する長軸方向の面(対向面)において、第1の顔料粒子1c又は第2の顔料粒子1dの対向面から他方の顔料粒子の対向面に垂直線を引いた当該垂直線の長さのうち、最小の距離Aと最大の距離Bを算出する。そして、これら最小距離Aと最大距離Bの平均を前記平均距離Dとする。
同様にして、第2の顔料粒子1dと第3の顔料粒子1eの間の平均距離Dも算出する。そして、平均距離Dと平均距離Dの平均を算出し、これを平均距離Dとする。
次に、下記式により間隔係数を算出する。
間隔係数=平均距離D/平均厚さC
このようにして、その他の顔料粒子についても間隔係数を算出し、100個の間隔係数の平均値を本発明における「間隔係数」とする。このようにして算出した間隔係数の平均値が0.1~4.0の範囲内であることを本発明の特徴の一つとした。
【0032】
上記のように(平均)間隔係数が0.1~4.0の範囲内とするためには、例えば、光輝性顔料粒子の平均長軸径、平均厚さ又は種類等を後述するように調整したり、また、後述するスプレードライ法を用いて、顔料粒子に樹脂を被覆する際のスプレーノズルからの樹脂の噴霧量や、流動化空気の温度及び噴出する流動化空気の量により制御することができる。
【0033】
≪電子写真用トナーの構成≫
[1 トナー母体粒子]
本発明に係るトナー母体粒子は、少なくとも樹脂と光輝性顔料粒子を含有する。また、トナー母体粒子は、少なくとも光輝性顔料粒子と樹脂部で構成され、樹脂部は光輝性顔料粒子を被覆している。樹脂部は、樹脂の他に、添加剤等を含んでいてもよく、単層であっても二層以上の複数層であってもよい。
なお、本発明において、「樹脂部」とは、トナー母体粒子における光輝性顔料粒子を除いた部分全てのことをいう。
【0034】
[1.1 光輝性顔料粒子]
本発明に係るトナー母体粒子が光輝性顔料粒子を含有することにより、本発明のトナーを用いて画像を形成した際に、光輝性を有する画像が得られる。
本発明に係る光輝性顔料粒子は、特に形状は限定しないが、扁平状であることが、前記間隔係数及び平行係数を前記範囲内にすることができる点で好ましく、これにより光輝性顔料粒子の表面で反射した反射光の方向が揃うため、優れた光輝性が発現する。
【0035】
本発明において、「扁平状」とは、所定の厚さを有しており、厚さ方向に直交する面方向に沿った少なくとも二方向の寸法が厚さの寸法よりも大きく、平面の上に安定して置くことができる形状のことをいい、例えば、球や直方体等の立体形状のものを一方向で押しつぶしたような形状であり、薄片状、鱗片状、板状等の形状が含まれる。具体的には、光輝性顔料粒子において、数平均円相当径が、数平均最大厚さよりも長い場合に、扁平状であるといえる。
【0036】
数平均円相当径及び数平均最大厚さは、以下の方法により測定される。
光輝性顔料粒子を平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散させる。1000個の光輝性顔料について、カラーレーザー顕微鏡「VK-9700」((株)キーエンス製)により1000倍に拡大して最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
【0037】
光輝性顔料粒子の構成材料としては、金属(合金を含む)、金属化合物、ガラス、結晶性化合物、鉱物等が挙げられる。光輝性顔料粒子として、具体的には、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛、銅、銀、金、白金などの金属粉末、酸化チタンや黄色酸化鉄を被覆した雲母、硫酸バリウム、層状ケイ酸塩、層状アルミニウムのケイ酸塩などの被覆薄片状無機結晶基質、単結晶板状酸化チタン、塩基性炭酸塩、酸オキシ塩化ビスマス、天然グアニン、薄片状ガラス粉、金属蒸着された薄片状ガラス粉等が挙げられる。これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
また、色調調整のために、染料や顔料などの各種色材を併用してもよい。
【0038】
中でも、コストや安定性、入手容易性、光輝性の観点から、金属鱗片であることが好ましく、アルミニウム鱗片であることがより好ましく、アルミニウム金属単体の金属鱗片であることが更に好ましい。
【0039】
金属鱗片の例としては、金属又は合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、撹拌して得られたもの、金属又は合金の粉末と溶剤とを混合し、媒体撹拌ミル、ボールミル、アトライター等で、当該粉末を展延及び/又は粉砕して得られたもの等が挙げられる。
【0040】
また、アルミニウム鱗片としては、市販品を用いてもよく、アルペースト(登録商標)WXM-0630、EMERAL(登録商標)EMR-D5660、WJC-U75C(以上、東洋アルミニウム社製)、METALURE(登録商標)W-52012 IL、
Ultravario Aqua PG-24001(以上、ECKART社製)、エルジー(登録商標)neo Silver#500(銀色)、Gold#500(金色)(以上、尾池工業社製)等が挙げられる。
【0041】
また、光輝性顔料粒子は表面処理を行ってもよく、各種表面処理剤、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪酸、シリカ粒子、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などを被覆させてもよい。
特に、反応性の高いアルミニウムなどの光輝性顔料粒子は、樹脂で被覆してあらかじめ表面処理を施しておくことが好ましい。
表面処理に用いられる前記樹脂としては、後述する結着樹脂とは別の樹脂が好ましく、例えば、樹脂の原料モノマーとして、重合性二重結合を3個以上有するモノマー(a)と、重合性二重結合1個とベンゼン環1個を有するモノマー(b)と、(メタ)アクリル酸(c)とを用いることが好ましい。本発明において(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
【0042】
重合性二重結合を3個以上有するモノマー(a)としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、などが好適に用いられる。中でも、トリメチロールプロパントリアクリレートが金属光沢の観点でより好ましい。
【0043】
重合性二重結合1個とベンゼン環1個を有するモノマー(b)としては、例えば、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、スチレン、フェノキシエチルアクリレートなどが好適に用いられる。
【0044】
以上のモノマー類の中から、モノマー(a)の1種であるトリメチロールプロパントリアクリレートと、モノマー(b)の1種であるベンジルメタクリレートの組み合わせが、金属光沢維持と耐薬品性の観点から特に好適に用いられる。
【0045】
モノマー(a)のモル数と、モノマー(b)のモル数の比[(a)/(b)]、例えば、モノマー(a)の1種であるトリメチロールプロパントリアクリレートのモル数(at)と、例えば、モノマー(b)の1種であるベンジルメタクリレートのモル数(bb)とのモル比[(at)/(bb)]を、好ましくは1~5、より好ましくは1~3とすることにより、得られる樹脂被覆アルミニウム顔料、塗膜の金属光沢と耐薬品性の観点から特に好適に用いられる。
【0046】
また、(メタ)アクリル酸(c)の使用量に関しては、原料アルミニウム顔料100質量部に対して0.02~1質量部が好ましく、さらには、0.05~0.6質量部がより好ましい。(メタ)アクリル酸(c)の量が上記範囲よりも多いと樹脂被覆アルミニウム顔料や塗膜の耐薬品性が低下する傾向があり、また、少ない場合には、うまく樹脂被覆ができなくなることがある。
【0047】
このようなモノマーの重合開始剤としては、一般的なものが使用でき、例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物や、過酸化ベンゾイルなどの過酸化有機化合物を用いることができる。
【0048】
本発明に係る光輝性顔料粒子の平均長軸径は、3~30μmの範囲内であることが好ましく、5~15μmの範囲内であることがより好ましい。
【0049】
記録媒体における光輝性顔料粒子の専有面積が広ければ広いほど、また、光輝性顔料粒
子の専有面が、記録媒体表面に対して平行かつ一様に広がっているほど、より多くの光を反射することができるため、記録媒体上の画像形成箇所において、本発明に係るトナー粒子を隙間なく配列させることが好ましい。
【0050】
ただし、トナー粒子の粒径が大きすぎると、トナー粒子間に隙間が生じやすくなる、また、トナー粒子の粒径が小さすぎるとトナー粒子の形状がより球体に近くなり、光輝性顔料粒子が記録媒体の表面に平行に配列しづらくなるため、トナー粒子の粒径を適度な範囲内に調整することが好ましく、光輝性顔料粒子の平均長軸径を上記範囲内とすることが好ましい。
【0051】
平均長軸径が3μm以上であることにより、トナー粒子が記録媒体の表面に平行に配列しやすく、良好な光輝性が得られる。
平均長軸径が30μm以下であることにより、トナー粒子が記録媒体の表面に配列した際に、トナー粒子間に隙間が生じづらくなり、良好な光輝性が得られる。また、トナー粒子の製造時や画像形成時に外力を受けても光輝性顔料粒子が変形しづらい。
【0052】
光輝性顔料粒子の平均長軸径は、以下の方法により測定することができる。
前記した平行係数や間隔係数の算出方法のように、光輝性顔料粒子を含有するトナーを用いて定着画像サンプルを形成した後、当該画像サンプルを光硬化性樹脂処理し、その後、イオンミリング加工等して、断面観察用のサンプルを作製し、得られた断面サンプルの断面の様子を、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「S-4800」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察する。観察するトナー母体粒子の断面は、トナー母体粒子の質量平均粒径から±3.0μm以内のものをランダムに100個選んで撮影を行った。
得られた断面画像について、加速電圧1.0kV、WD/3.0mmの条件にて2000倍にて撮影し、スキャナーにより取り込んだ写真画像から、画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ製)を用いて、光輝性顔料粒子の長軸径を測定し、100個の光輝性顔料粒子における個数平均長軸径を算出する。
【0053】
なお、上記のように定着画像にした上で、当該定着画像から電子顕微鏡写真を用いて光輝性顔料粒子の平均長軸径を測定する以外に、例えば、光輝性顔料粒子を直接、電子顕微鏡写真を用いて測定してもよい。
具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子(株)製)を用いた電子顕微鏡写真において、長軸径を測定し、100個の光輝性顔料粒子における個数平均長軸径を算出する。
上記2通りの算出方法を記載したが、いずれの方法を用いても平均長軸径は同じ範囲となる。
【0054】
また、光輝性顔料粒子の平均厚さは、25~500nmの範囲内であることが好ましく、80~350nmの範囲内であることがより好ましい。平均厚さが25nm以上であることにより、光輝性顔料粒子の表面に入射した光が、光輝性顔料粒子を透過しづらく、表面で反射しやすくなるため、良好な光輝性が得られる。また、トナー粒子の製造時や画像形成時に外力を受けても光輝性顔料粒子が変形しづらい。一方、平均厚さが、500nm以下であることにより、光輝性顔料粒子が記録媒体の表面に平行に配列しやすくなるため、良好な光輝性が得られる。
【0055】
光輝性顔料粒子の平均厚さは、前記した平行係数の算出方法で説明した、光輝性顔料粒子の平均厚さの算出方法によって算出することができる。
【0056】
なお、光輝性顔料粒子が、アルミニウム鱗片である場合には、平均厚さは、金属成分1g当たりの水面拡散面積WCA(m/g)を測定し、下記式により算出することもでき
る。このように水面拡散面積を用いて平均厚さを算出した場合も、前記した定着画像にした上で、当該定着画像から電子顕微鏡写真を用いて光輝性顔料粒子の平均厚さを測定する場合と、算出される平均厚さは同様の範囲となる。
(式1)平均厚さt(nm)=400/[WCA(m/g)]
上記平均厚さの算出方法は、例えば、Aluminium Paint and Powder,J.D.Ed-wards & R.I.Wray著、第3版、Reinhold Publishing Corp.New Yorkの第16~22頁に記載されている。
【0057】
「水面拡散面積」とは、リーフィング現象を利用して、乾燥したアルミニウム鱗片を水面上に均一に拡散させ隙間のない状態に被覆したときの、単位質量当たりのアルミニウム粉体が占める面積のことをいう。
なお、「リーフィング現象」とは、アルミニウム鱗片を、ビヒクルを用いて塗料とし、塗膜を作製したとき、塗膜表面にアルミニウム粉体が浮上配列する現象のことをいう。
【0058】
水面拡散面積は、一定の予備処理を行ったのち、JIS K 5906-1998に従って求めることができる。なお、本発明においては、アルミニウム鱗片は、リーフィングタイプであってもノンリーフィングタイプであってもよい。ノンリーフィングタイプの場合についても、試料を5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液で予備処理を行う以外の操作方法は、全てリーフィングタイプの場合と同様である。試料の予備処理については、塗料原料時報、第156号、第2~16頁(1980.9.1旭化成工業(株)発行)に記載されている。
【0059】
光輝性発現の観点から、光輝性顔料粒子の含有量は、結着樹脂の全質量に対して、25~140質量%の範囲内であることが好ましく、40~120質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0060】
[1.2 樹脂]
本発明に係る光輝性顔料粒子は、自身のみでは記録媒体上に固定化できないため、光輝性顔料粒子の周りに結着用の樹脂を被覆させたトナー母体粒子とすることにより、記録媒体上に固定化させることができる。
【0061】
また、本発明において、「樹脂部」とは、トナー母体粒子における光輝性顔料粒子を除いた部分全てのことをいい、樹脂部の厚さが、薄く、かつ、均一であることにより、光輝性が向上する。
【0062】
本発明に係る樹脂(以下、「結着樹脂」ともいう。)としては、特に制限されず、公知の電子写真用トナーに通常用いられる結着樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、これらの樹脂を二種以上含む複合樹脂等が挙げられる。本発明では、低温定着性、耐久性、及び保存性の両立の観点から、結着樹脂はポリエステルを含むことが好ましい。
【0063】
(ポリエステル)
ポリエステルは、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であることが好ましい。
【0064】
2価のアルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール、下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0065】
脂肪族ジオールは、炭素数が2~20の範囲内であることが好ましく、炭素数が2~15の範囲内であることがより好ましい。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0066】
また、下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であることが好ましい。
【0067】
【化1】
【0068】
式(I)中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数である。xとyの和の値は、1以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。また、16以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6以下であることが更に好ましく、4以下であることが特に好ましい。
【0069】
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0070】
2価のカルボン酸系化合物としては、例えば、ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物、アルキル基の炭素数が1~3の範囲内であるアルキルエステルの誘導体等が挙げられる。
【0071】
ジカルボン酸としては、炭素数が3~30の範囲内であることが好ましく、3~20の範囲内であることがより好ましく、3~10の範囲内であることが更に好ましい。ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0072】
低温定着性、耐久性、及び保存性の両立の観点から、カルボン酸成分は、テレフタル酸又はフマル酸を含むことが好ましい。テレフタル酸又はフマル酸の含有量は、カルボン酸成分の全質量に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。テレフタル酸及びフマル酸が併用されている場合は、両者の全質量が、上記範囲内であることが好ましい。
【0073】
3価以上のカルボン酸系化合物としては、例えば、3価以上のカルボン酸、3価のカルボン酸の無水物、アルキル基の炭素数が1~3の範囲内であるアルキルエステルの誘導体等が挙げられる。
【0074】
3価以上のカルボン酸としては、炭素数が4~20の範囲内であることが好ましく、7~15の範囲内であることがより好ましく、8~12の範囲内であることが更に好ましく、9~10の範囲内であることが特に好ましい。3価以上のカルボン酸としては、例えば
、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等が挙げられる。
【0075】
耐高温オフセット性の観点から、3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、低温定着性の観点から、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
【0076】
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、ポリエステルの分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
【0077】
カルボン酸成分とアルコール成分との質量比(COOH基/OH基)は、ポリエステルの軟化点を調整する観点から、0.6~1.1の範囲内であることが好ましく、0.7~1.05の範囲内であることがより好ましく、0.75~1.05の範囲内であることが更に好ましい。
【0078】
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気下で重縮合させて製造することができる。必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等を用いてもよい。重縮合時の温度条件としては、130~250℃の範囲内であることが好ましく、170~240℃の範囲内であることがより好ましい。
【0079】
エステル化触媒としては、例えば、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、中でも、錫化合物であることが好ましい。
【0080】
エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の全質量に対して、0.01~1.5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1~1質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0081】
エステル化助触媒としては、例えば、没食子酸等が挙げられる。
エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の全質量に対して、0.001~0.5質量%の範囲内であることが好ましく、0.01~0.1質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0082】
重合禁止剤としては、例えば、t-ブチルカテコール等が挙げられる。
重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の全質量に対して、0.001~0.5質量%の範囲内であることが好ましく、0.01~0.1質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0083】
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性ポリエステルとしては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルが挙げられるが、中でも、ポリエステルをポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステルであることが好ましい。
【0084】
(スチレン樹脂)
スチレン樹脂は、少なくとも、スチレン、又はα-メチルスチレン、ビニルトルエン等
のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて「スチレン化合物」という。)を含む原料モノマーの付加重合体である。
【0085】
スチレン化合物の含有量は、原料モノマーの全質量に対して、ワックスの分散性を向上させる観点から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。また、低温定着性を向上させる観点から、95質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。
【0086】
スチレン樹脂は、原料モノマーとして、アルキルエステルの炭素数が7以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む、スチレン-アクリル樹脂であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル等が挙げられる。これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0087】
なお、本明細書において、「(イソ)」は、この基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその両者を示す。
【0088】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキルエステルの炭素数は、低温定着性を向上させる観点から、7以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。また、保存安定性の観点から、12以下であることが好ましく、10以下であることが好ましい。
なお、「アルキルエステルの炭素数」とは、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数のことをいう。
【0089】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、原料モノマーの全質量に対して、低温定着性を向上させる観点から、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。また、ワックスの分散性を向上させる観点から、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
【0090】
スチレン-アクリル樹脂の原料モノマーには、スチレン化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の原料モノマー、例えば、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が含まれていてもよい。
【0091】
スチレン樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、重合禁止剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で行うことができる。付加重合反応時の温度条件としては、110~200℃の範囲内であることが好ましく、140~170℃の範囲内であることがより好ましい。
【0092】
有機溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、原料モノマーの全質量に対して、10~50質量%の範囲内であることが好ましい。
【0093】
(複合樹脂)
本発明において、低温定着性、耐久性、及び保存性の両立の観点から、結着樹脂は、ポリエステル樹脂の原料モノマー及びスチレン樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを介して、ポリエステル樹脂とスチレン樹脂が化学結合した複合樹脂であることが好ましい。
【0094】
両反応性モノマーは、分子内に、エチレン性不飽和結合と一種以上の官能基を有することが好ましい。官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基が挙げられ、中でも、ヒドロキシ基又はカルボキシ基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
【0095】
両反応性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられ、重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸又はフマル酸であることが好ましい。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0096】
ただし、重合禁止剤と共に用いた場合には、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸系化合物は、両反応性モノマーではなく、ポリエステル樹脂の原料モノマーとして機能する。
【0097】
また、両反応性モノマーは、アルキル基の炭素数が6以下である(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましく、これらは一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0098】
(メタ)アクリル酸エステルは、エステル交換反応の反応性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、アルキル基の炭素数は、2~6の範囲内であることが好ましく、3~4の範囲内であることがより好ましい。また、アルキル基は、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。
【0099】
スチレン樹脂とポリエステル樹脂との分散性を高め、トナーの耐久性を向上させる観点から、両反応性モノマーの含有量は、ポリエステル樹脂のアルコール成分の全モル数に対して、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましい。また、低温定着性の観点から、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。
【0100】
スチレン樹脂とポリエステル樹脂との分散性を高め、トナーの耐久性を向上させる観点から、両反応性モノマーの含有量は、スチレン樹脂の原料モノマーの全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、低温定着性の観点から、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。なお、スチレン樹脂の原料モノマーの全質量には、重合開始剤の質量も含まれる。
【0101】
両反応性モノマーを用いて得られる複合樹脂は、例えば、以下の方法により作製することができる。両反応性モノマーは、トナーの耐久性、低温定着性及び耐熱保存性を向上させる観点から、スチレン樹脂の原料モノマーの付加重合反応の際に共に用いることが好ましい。
【0102】
複合樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)と、スチレン樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを有する方法により作製することができる。
【0103】
なお、工程(A)の後に工程(B)を行っても、工程(B)の後に工程(A)を行っても、工程(A)と工程(B)を同時に行ってもよく、中でも、工程(A)の後に工程(B)を行うことが好ましい。また、工程(A)と工程(B)は、同一容器内で行うことが好ましい。
【0104】
重縮合反応の工程(A)を行う代わりに、予め重合した重縮合系樹脂を用いてもよい。また、工程(A)と工程(B)を並行して進行させる場合には、ポリエステル樹脂の原料モノマーを含有した混合物中に、スチレン樹脂の原料モノマーを含有した混合物を滴下して、反応させてもよい。
【0105】
耐久性の観点から、複合樹脂は、ワックスを予め複合樹脂に含有させたワックス内添複合樹脂であることが好ましい。ワックス内添複合樹脂は、ワックスの存在下でポリエステル樹脂の原料モノマーの重縮合反応、又はスチレン樹脂の原料モノマーの付加重合反応を行うことにより得られる。
【0106】
ワックスとしては、後述のワックスと同様のものを用いることができるが、低温定着性の観点から、パラフィンワックスであることが好ましい。
【0107】
複合樹脂におけるワックスの含有量は、ポリエステル樹脂の原料モノマー、スチレン樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーの全質量に対して、0.5~15質量%の範囲内であることが好ましく、1~10質量%の範囲内であることがより好ましく、1.5~7質量%の範囲内であることが更に好ましい。
【0108】
複合樹脂の作製段階でワックスを用いる場合、重縮合反応をワックスの存在下で行うことが好ましく、例えば、工程(A)の際に、ポリエステル樹脂の原料モノマーと共にワックスを添加し、重縮合反応を行うことが好ましい。
【0109】
複合樹脂におけるスチレン樹脂とポリエステル樹脂の質量比(スチレン樹脂/ポリエステル樹脂)は、ワックス分散性の観点から、3/97以上であることが好ましく、7/93以上であることがより好ましく、10/90以上であることが更に好ましい。また、耐久性、低温定着性及び保存性の両立の観点から、45/55以下であることが好ましく、35/65以下であることがより好ましく、30/70以下であることが更に好ましく、25/75以下であることが特に好ましい。
【0110】
なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂の質量は、ポリエステル樹脂の原料モノマーの全質量であり、両反応性モノマーの質量は、ポリエステル樹脂の原料モノマーの全質量に含まれる。また、スチレン樹脂の質量は、スチレン樹脂の原料モノマーの全質量であり、重合開始剤の質量は、スチレン樹脂の原料モノマーの全質量に含まれる。
【0111】
結着樹脂において、ポリエステルの含有量は、結着樹脂の全質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0112】
結着樹脂の軟化点は、耐久性及び耐高温オフセット性の観点から、100℃以上であることが好ましく、105℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。また、溶融混練時における光輝性顔料の破壊を抑制する観点から、135℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、125℃以下であることが更に好ましい。
【0113】
結着樹脂の軟化点は、例えば、次の方法で測定できる。
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの結着樹脂の試料を、昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対してのフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0114】
結着樹脂のガラス転移温度は、保存安定性の観点から、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。また、低温定着性の観点から、80℃以下であることが好ましく、70℃以下であることがより好ましい。
【0115】
結着樹脂のガラス転移温度は、例えば、次の方法で測定できる。示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、0.01~0.02gの結着樹脂の試料をアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
【0116】
結着樹脂の酸価は、帯電の立ち上がり性の観点から、1mgKOH/g以上であることが好ましく、5mgKOH/g以上であることがより好ましく、10mgKOH/g以上であることが更に好ましい。また、吸湿性の観点から、25mgKOH/g以下であることが好ましく、22mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0117】
結着樹脂の酸価は、例えば、JIS-K-0070-1992の方法に基づき測定できる。ただし、測定溶媒のみ、JIS-K-0070-1992の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(体積比))に変更する。
【0118】
また、結着樹脂が複数の樹脂からなる場合は、各樹脂の物性の加重平均値が上記範囲内となることが好ましい。
【0119】
(樹脂部)
本発明に係るトナー母体粒子は、樹脂が、光輝性顔料粒子を被覆し、トナー母体粒子の断面画像におけるトナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点から光輝性顔料粒子の表面までの厚さの平均値が、0.1~3.0μmの範囲内であることが好ましい。
前述のとおり、本発明においては、トナー母体粒子における光輝性顔料粒子を除いた部分全てのことを「樹脂部」といい、以下において、「トナー母体粒子の断面画像におけるトナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点から光輝性顔料粒子の表面までの厚さ」のことを、「樹脂部の厚さ」ともいう。
【0120】
光輝性顔料粒子を被覆する樹脂部の厚さが前記範囲内であり、非常に薄いことから、樹脂部での光の屈折によって光輝性顔料粒子からの反射光の方向が不揃いになること、吸収による光の損失を最小限にし、かつ、光輝性顔料粒子が記録媒体の表面に平行に配列しやすく紙面全体において光輝性顔料粒子からの反射光を揃えることができるため、光輝性を向上させることができる。
【0121】
なお、本発明において、「トナー母体粒子の断面画像におけるトナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点から光輝性顔料粒子の表面までの厚さ」とは、後述する走査型電子顕微鏡を用いた測定方法によって得られるトナー母体粒子の断面画像におけるトナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点から、光輝性顔料粒子の最表面までの垂直線の長さのこと
をいう。
本発明に係るトナー母体粒子は、少なくとも光輝性顔料粒子と樹脂部で構成され、樹脂部は、単層であっても二層以上の複数層であってもよい。
【0122】
前記樹脂部の厚さの平均値が、0.1~3.0μmの範囲内であり、0.1~1.5μmの範囲内であることがより好ましい。
【0123】
樹脂部の厚さの測定方法は、特に制限されないが、以下の方法で測定することが好ましい。
【0124】
本発明における樹脂部の厚さは、以下の方法で測定できる。
前記した平行係数や間隔係数の算出方法のように、光輝性顔料粒子を含有するトナーを用いて定着画像サンプルを形成した後、当該画像サンプルを光硬化性樹脂処理し、その後、イオンミリング加工等して、断面観察用のサンプルを作製し、得られた断面サンプルの断面の様子を、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「S-4800」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察する。観察するトナー母体粒子の断面は、トナー母体粒子の質量平均粒径から±3.0μm以内のものを100個選んで撮影を行った。
得られた断面画像について、加速電圧1.0kV、WD/3.0mmの条件にて2000倍にて撮影し、スキャナーにより取り込んだ写真画像から、画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ製)を用いて、光輝性顔料粒子を覆う樹脂部の厚さを計測した。
【0125】
「樹脂部の厚さ」とは、前記したように所定条件下で形成された定着画像について電子顕微鏡を用いて観察測定したとき、トナー母体粒子の断面画像におけるトナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点から光輝性顔料粒子の表面までの垂直線の長さのことをいう。本発明においては、トナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点20点において、樹脂部の厚さを測定する。なお、任意の点20点について、点と点との間隔は、少なくとも100nm以上であることとし、樹脂が光輝性顔料粒子から剥がれ、光輝性顔料粒子が露出している箇所(すなわち、厚さが0nm)については、任意の点から除く。
【0126】
本発明において、「樹脂部の厚さの平均値」とは、トナー母体粒子ごとの任意の点20点における樹脂部の厚さの算術平均値を、さらに、100個のトナー母体粒子における算術平均値としたものである。
【0127】
樹脂部の厚さは、光輝性の観点からは薄ければ薄いほど好ましいが、光輝性顔料粒子は導電性を有するものが多いため、樹脂部の厚さが薄すぎると光輝性顔料粒子が露出しやすくなり、帯電不良を起こしやすくなる。
【0128】
このような観点から、上記の方法で測定される、トナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点20点において測定した樹脂部の厚さの平均値は、0.1~1.5μmの範囲内であることが好ましく、0.1~0.6μmの範囲内であることがより好ましく、0.1~0.35μmの範囲内であることが更に好ましい。
【0129】
前記樹脂部の厚さを前記範囲内とするためには、例えば、後述するスプレードライ法を用いて、顔料粒子に樹脂を被覆する際のスプレーノズルからの樹脂の噴霧量や、流動化空気の温度及び噴出する流動化空気の量により制御することができる。
【0130】
(樹脂部の構造)
樹脂部の構造は、特に制限されず、単層であっても二層以上の複数層であってもよい。二層以上の複数層の構造としては、コア・シェル構造や多層構造が挙げられる。
【0131】
[1.3 ワックス]
本発明に係るトナー母体粒子は、必要に応じてワックスを含有してもよい。ワックスを含有することにより、例えば、後述の画像形成装置を用いて画像を形成する場合に、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写することができ、中間手斜体上にトナー粒子が残留するのを抑制できる。
ワックスとしては、公知の種々のワックスを用いることができる。
【0132】
ワックスとしては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。中でも、耐久性の観点から、カルナウバワックスであることが好ましい。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0133】
ワックスの融点は、トナーの転写性の観点から、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。また、低温定着性の観点から、160℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることが更に好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
【0134】
ワックスの融点は、例えば、次の方法で測定できる。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用い、0.01~0.02gのワックスの試料をアルミパンに計量し、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/分で-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/分で180℃まで昇温し測定する。そこで得られる融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度をワックスの融点とする。
【0135】
ワックスの含有量は、トナーの低温定着性及び耐オフセット性、また、ワックスの結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂の全質量に対して、0.5~15質量%の範囲内であることが好ましく、1~10質量%の範囲内であることがより好ましく、1.5~7質量%の範囲内であることが更に好ましい。
【0136】
[1.4 その他添加剤]
本発明に係るトナー母体粒子は、必要に応じてその他添加剤を含有してもよい。その他添加剤としては、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等が挙げられる。また、本発明に係るトナー母体粒子は、上記光輝性顔料以外の有色着色剤を更に含有してもよい。
【0137】
(荷電制御剤)
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば、ニグロシンベースEX、オイルブラックBS、オイルブラックSO、ボントロンN-01、ボントロンN-04、ボントロンN-07、ボントロンN-09、ボントロンN-11(以上、オリヱント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば、ボントロンP-51(オリヱント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、COPYCHARGEPXVP435(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば、AFP-B(オリヱント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば、PLZ-2001、PLZ-8001(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル樹脂、例えば、FCA-701PT(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
【0138】
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば、バリファーストブラック3804、ボントロンS-31、ボントロンS-32、ボントロンS-34、ボントロンS-36(以上、オリヱント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンブラックTRH、T-77(以上、保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、LR-147、LR-297(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、ボントロンE-81、ボントロンE-84、ボントロンE-88、ボントロンE-304(以上、オリヱント化学工業(株)製)、TN-105(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば、COPYCHARGENXVP434(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
【0139】
荷電制御剤の含有量は、帯電安定性の観点から、結着樹脂の全質量に対して、0.01~10質量%の範囲内であることが好ましく、0.2~5質量%の範囲内であることがより好ましく、0.2~3質量%の範囲内であることが更に好ましく、0.2~2質量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0140】
(有色着色剤)
本発明に係るトナー母体粒子は、任意に有色着色剤を更に含有してもよい。有色着色剤としては、トナーの色に応じて、以下に示すような公知の無機又は有機の着色剤を使用できる。有色着色剤の含有量は、結着樹脂の全質量に対して、1~30質量%の範囲内であることが好ましく、2~20質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0141】
有色着色剤としては、具体的に、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤、黒色着色剤、白色着色剤等が挙げられる。これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0142】
イエロー着色剤としては、イエロー色のトナーに通常用いられる公知のイエロー着色剤を使用できる。具体的には、染料としてC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162等、また、顔料としてC.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185等が挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
【0143】
マゼンタ着色剤としては、マゼンタ色のトナーに通常用いられる公知のマゼンタ着色剤を使用できる。具体的には、染料としてC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122等、顔料としてC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222等が挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
【0144】
シアン着色剤としては、シアン色のトナーに通常用いられる公知のシアン着色剤を使用可能できる。具体的には、染料としてC.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等、顔料としてC.I.ピグメントブルー1、同7、同15、同60、同62、同66、同76、同15:3等を使用することができ、これらの混合物も使用することができる。
【0145】
黒色着色剤としては、黒色の電子写真用トナーに通常用いられる公知の黒色着色剤が使用可能である。具体的には、カーボンブラック、磁性体、チタンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が挙げられる。磁性体としては、
例えば、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これら強磁性金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金等が挙げられる。また、熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えば、マンガン-銅-アルミニウム、マンガン-銅-スズなどのホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
【0146】
白色着色剤としては、無機化合物であっても有機化合物であってもよい。無機化合物としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン、カオリン、焼成カオリン、デラミネートカオリン、アルミノ珪酸塩、セリサイト、ベントナイト、スメクサイト等が挙げられ、有機化合物としては、例えば、ポリスチレン樹脂粒子、尿素ホリマリン樹脂粒子等が挙げられる。
【0147】
[1.5 トナー母体粒子の形状]
(トナー母体粒子の粒径)
トナー母体粒子の粒径は、体積基準メジアン粒径(D50)として、5~50μmの範囲内であることが好ましく、10~30μmの範囲内であることがより好ましく、12~30μmの範囲内であることが更に好ましい。
なお、本発明において、体積基準メジアン粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が、粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
【0148】
体積基準メジアン粒径(D50)は、例えば、以下の測定機を用いて、以下のとおり測定することができる。
【0149】
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプバージョン1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
【0150】
分散条件:上記分散液5mLに、トナー粒子試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、上記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
【0151】
測定条件:上記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、上記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積基準メジアン粒径(D50)を求める。
【0152】
[2 外添剤]
本発明のトナー粒子は、さらに、トナー母体粒子の表面に、外添剤を付着させることが好ましい。外添剤を付着させることにより、トナーの帯電性、流動性、アンチブロック性等を制御できる。
【0153】
外添剤は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸化合物、チタン酸スト
ロンチウム、チタン酸亜鉛などのチタン酸化合物等が挙げられる。
【0154】
また、有機微粒子としては、メラミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等の樹脂微粒子や、スチレン、メチルメタクリレートなどの単独重合体、又はこれらの共重合体からなる微粒子等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0155】
中でも、シリカであることが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
【0156】
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0157】
外添剤の平均粒径は、トナーの帯電性、流動性及び転写性の観点から、10~250nmの範囲内であることが好ましく、15~200nm範囲内であることがより好ましく、15~90nmの範囲内であることが更に好ましい。
【0158】
なお、上記平均粒径は、個数平均粒径であり、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値として求められる。
【0159】
トナー粒子における外添剤の含有量は、トナーの帯電性、流動性及び転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナーの全質量に対して、0.05~5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1~3質量%の範囲内であることがより好ましく、0.3~3質量%の範囲内であることが更に好ましい。
【0160】
外添剤によるトナー母体粒子の被覆率は、トナーの流動性及び耐久性の観点から、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることが特に好ましい。また、感光体への外添剤移行防止の観点から、200%以下であることが好ましく、170%以下であることがより好ましく、150%以下であることが更に好ましい。
【0161】
なお、外添剤によるトナー母体粒子の被覆率は、下記式より算出できる。また、外添剤を二種以上併用した場合の、外添剤による総被覆率は、各外添剤について算出した被覆率の総和とする。
【0162】
(式3)被覆率(%)=(√3/2π)×{(D・ρt)/(d・ρs)}×C×100
式中、Dはトナー母体粒子の体積基準メジアン粒径(D50)[μm]、dは外添剤の個数平均粒径[μm]、ρtはトナー母体粒子の比重、ρsは外添剤の比重、Cはトナー母体粒子に対する外添剤の質量比(外添剤/トナー母体粒子)を示す。
【0163】
≪電子写真用トナーの製造方法≫
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、スプレードライ法により、前記光輝性顔料粒子に前記樹脂を被覆して樹脂部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0164】
従来のトナーの製造方法(混練粉砕法及び重合法)と比較して、スプレードライ法を用いることにより、光輝性顔料粒子の平行係数や間隔係数を本発明の範囲内とすることができ、また、トナー母体粒子における樹脂部の厚さを、より薄く、かつ、より均一にするこ
とが可能であり、光輝性が向上する。
【0165】
本発明において、「スプレードライ法」とは、流動層型コート装置を用いて、光輝性顔料粒子に、樹脂粒子が有機溶媒中に分散されてなる樹脂粒子分散液を噴霧して、光輝性顔料粒子の表面に樹脂粒子を付着させる方法である。
【0166】
前記有機溶媒としては、樹脂粒子を溶解させない溶媒であれば特に限定されないが、例えば、トルエンなどを挙げることができる。
樹脂粒子分散液において、有機溶媒100質量部に対する樹脂粒子の含有量は、10~100質量部の範囲内であることが、樹脂粒子を分散液中で均一に分散できる点で好ましい。
【0167】
流動層型コート装置としては、例えば特開2008-229603号公報に開示されている流動層型コート装置を使用することができる。
図6は、流動層型コート装置200の構成を示す断面図である。流動層型コート装置200は、ワースター型流動層コート装置である。
【0168】
流動層型コート装置200は、流動層容器201と、流動層容器201の上部空間に設置されたフィルターシステム202と、流動層容器201の内部に配設されたドラフトチューブ204と、流動層容器201の底部に配設されたスプレーノズル205と、流動層容器201の底部に配設された気体分散板203とを備える。
【0169】
ドラフトチューブ204は、図示されていない高さ制御機構によって高さ方向(鉛直方向)に移動調整可能に支持され、その下端開口部が気体分散板203と所定の間隙を隔てて対向する。
【0170】
気体分散板203は、ドラフトチューブ204の下端開口と対向する位置に設けられた中央領域203aと、その周辺の周辺領域203bとを備え、これら両領域203a、203bにわたって開口率が一定に設定される。
【0171】
流動化気体、例えば、流動化空気(熱風)は、気体分散板203を介して流動層容器20内に導入される。気体分散板203の中央領域203aには図示しない第1の給気経路を介して流動化空気が供給され、気体分散板203の周辺領域203bには図示しない第2の給気経路を介して流動化空気が供給される。本実施形態では、図示しない給気源から供給される流動化空気をヒータによって所定温度に加熱し、風量計の下流側で第1の給気経路と第2の給気経路とに分岐させる。第1の給気経路からの給気風量と、第2の給気経路からの給気風量は、図示しない風量調節ダンパによって個別に調節できる。
【0172】
流動化空気の温度は、20~80℃の範囲内が好ましい。このような温度にすることで、樹脂微粒子分散液中の有機溶媒が適度なスピードで揮発するので、樹脂微粒子2aを均一に光輝性顔料粒子1の表面に添加できる。
【0173】
スプレーノズル205は、樹脂微粒子分散液を噴霧空気(アトマイズエアー)によって微粒化し、ドラフトチューブ204内の光輝性顔料粒子1に向けて上向きに噴霧する。
樹脂微粒子分散液の噴霧量は、1.0~10g/minの範囲内が好ましい。樹脂微粒子分散液の噴霧量が1.0g/min以上であると、光輝性顔料粒子1の表面に樹脂微粒子2aを十分に付着させるために必要な量の樹脂微粒子分散液を噴霧するのに時間が適切であり好ましい。樹脂微粒子分散液の噴霧量が10g/min以下であると、樹脂微粒子2aを均一に光輝性顔料粒子1表面に付着させることができる。
【0174】
第1の給気経路を通り、気体分散板203の中央領域203aから流動層容器201内に噴出した流動化空気(一定圧一定風量)は、ドラフトチューブ204の下端開口からその内部に流入して、ドラフトチューブ204内に上昇空気流を生じさせる。さらに、この上昇空気流に、スプレーノズル205からの上向きの噴霧流が加わって、ドラフトチューブ204内に矢符200a,200bの向きに高速空気流が発生する。ドラフトチューブ204内の光輝性顔料粒子1は、この高速空気流に乗ってドラフトチューブ204内を上昇する。そして、ドラフトチューブ204の上端開口を通り抜けると、空気の流動面積が急激に拡大されるため、空気流の流速が低下し、光輝性顔料粒子1は重力によって流動層容器201の内壁とドラフトチューブ204の外側との間の空間部を下降する。
【0175】
一方、気体分散板203の周辺領域203bから流動層容器201内に噴出した流動化空気は、風量調節ダンパによる給気風量の調節等による影響で、その風量が、中央領域203aから噴出する流動化空気よりも小さくなる。ドラフトチューブ204の外側の空間部を下降して流動層容器201の底部に達した光輝性顔料粒子1は、気体分散板203の周辺領域203bから比較的低風量で噴出する流動化空気により分散作用を受け、高速空気流の発生しているドラフトチューブ204内にエゼクター効果(吸引効果)によって吸引されて、再びドラフトチューブ204内を上昇する。気体分散板203の中央領域203a及び周辺領域203bから噴出する流動化空気の量は、0.1~5.0m/minの範囲内が好ましい。このような範囲にすることで、ドラフトチューブ204内に適切な上昇気流を生じさせることができる。
【0176】
上記のようにして、流動層容器201内の光輝性顔料粒子1に、ドラフトチューブ204の内部を上昇し、流動層容器201の内壁とドラフトチューブ204の外側との間の空間部を下降する方向に循環流動する流動層が形成される。そして、ドラフトチューブ204内の上昇空気流に乗って上昇する光輝性顔料粒子1に向けてスプレーノズル205から上向きに樹脂粒子分散液が噴霧される。スプレーノズル5から噴霧される樹脂粒子分散液のミストによって、ドラフトチューブ204内の光輝性顔料粒子1が湿潤を受けると同時に、樹脂粒子分散液中に含まれる樹脂粒子2aが該粒子の表面に付着し、乾燥固化される。これによって、樹脂粒子53で被覆された光輝性顔料粒子1が得られる。なお、流動層容器201内に投入する光輝性顔料粒子1の量は、0.5~5.0kgの範囲内が好ましい。このような範囲にすることで、樹脂粒子2aを光輝性顔料粒子1表面に薄く均一に付着させることができる。
【0177】
流動層容器201内を上昇した流動化空気は、フィルターシステム202を通って、排気手段(排気ファン等)202aにより装置外部に排気される。
【0178】
上記のようにスプレードライ法によって、光輝性顔料粒子表面を樹脂で被覆することで、光輝性顔料粒子の平行係数や間隔係数を本発明の範囲内とすることができ、また、トナー母体粒子における樹脂部の厚さを、より薄く、かつ、より均一にすることが可能であり、光輝性が向上する。
【0179】
樹脂粒子分散液において、有機溶媒100質量部に対する樹脂の含有量は、0.1~30質量部の範囲内であることが好ましい。このような範囲にすることで、光輝性顔料粒子51同士の凝集を防ぎ、光輝性顔料粒子51表面に均一に樹脂部52を形成することができる。
【0180】
本工程では、流動化空気の温度は、20~80℃の範囲内が好ましい。このような範囲とすることによって、樹脂粒子分散液に含まれる樹脂が光輝性顔料粒子51表面に付着する前に硬化することを防ぎ、均一な樹脂部52を形成することができる。
【0181】
また、気体分散板203の中央領域203a及び周辺領域203bから噴出する流動化空気の量は、0.5m~5.0m/minの範囲内が好ましい。このような範囲にすることで、ドラフトチューブ204内に適切な上昇気流を生じさせることができる。
【0182】
さらに、樹脂粒子分散液の噴霧量は、1.0~10g/minの範囲内が好ましい。このような範囲とすることによって、樹脂粒子分散液に含まれる樹脂が光輝性顔料粒子1表面に付着する前に硬化することを防ぎ、均一な樹脂部2を形成することができる。
【0183】
≪二成分現像剤≫
本発明のトナーは、例えば、本発明のトナーとキャリア粒子とを含有する、電子写真用の二成分現像剤として使用でき、二成分現像剤は、本発明のトナーと下記キャリア粒子とを混合することにより、得られる。
【0184】
混合の際に用いられる混合装置としては、特に制限されないが、例えば、ナウターミキサー、Wコーン及びV型混合機等が挙げられる。二成分現像剤中のトナーの含有量(トナー濃度)は、特に制限されないが、4.0~12.0質量%の範囲内であることが好ましい。
【0185】
(キャリア粒子)
キャリア粒子は、少なくとも磁性体により構成され、公知のものを使用できる。例えば、キャリア粒子の構成としては、少なくとも磁性体からなる芯材粒子の表面に樹脂を被覆した被覆型キャリア粒子、樹脂中に磁性体微粉末が分散されてなる分散型キャリア粒子等が挙げられる。
【0186】
キャリア粒子の平均粒径は、トナー母体粒子と同様の方法で測定される体積基準メジアン粒径(D50)として、10~500μmの範囲内であることが好ましく、30~100μmの範囲内であることがより好ましい。
【0187】
キャリア粒子は、感光体に対するキャリア粒子の付着を抑制する観点から、被覆型キャリア粒子であることが好ましい。以下、被覆型キャリア粒子について説明する。
【0188】
(芯材粒子)
被覆型キャリア粒子をおける芯材粒子は、少なくとも磁性体、例えば、磁場によってその方向に強く磁化する物質、によって構成される。磁性体の例としては、鉄、ニッケル及びコバルトなどの強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金又は化合物、及び、熱処理することにより強磁性を示す合金、が挙げられる。これらの磁性体は、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0189】
強磁性を示す金属、及び、これらの金属を含む合金又は化合物の例としては、鉄、下記式(a)で表わされるフェライト、及び、下記式(b)で表わされるマグネタイト、が挙げられる。式(a)及び式(b)中のMは、1価又は2価の金属を表し、具体的には、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Sr、Zn、Cd又はLiが挙げられる。これらの金属は、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
【0190】
また、熱処理することにより強磁性を示す合金の例としては、マンガン-銅-アルミニウム及びマンガン-銅-錫などのホイスラー合金、並びに、二酸化クロム、が挙げられる。
【0191】
キャリア粒子を構成する芯材粒子の磁化は、飽和磁化が30~75A・m/kgの範囲内、残留磁化が5.0A・m/kg以下であることが好ましい。このような磁気特性を有する芯材粒子を用いることにより、キャリア粒子が部分的に凝集することが防止され、現像剤搬送部材の表面に二成分現像剤が均一分散されるため、濃度ムラがなく、均一で高精細のトナー画像を形成することができる。
【0192】
芯材粒子に用いられる磁性体としては、好適な磁気特性が得られる観点から、フェライトであることが好ましい。また、フェライトは、空孔を有する多孔質粒子であり、さらに、空孔に樹脂を充填した粒子であることが好ましい。このような構成とすることにより、比重を比較的小さくすることができるため、現像機内における撹拌の衝撃力によるキャリアの割れや欠けを抑制でき、優れた耐久性のキャリアが得られる。
【0193】
(キャリア被覆用樹脂)
被覆型キャリア粒子を構成する被覆用樹脂としては、キャリア粒子の芯材粒子の被覆に利用される公知の樹脂を使用できる。キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点、及び、被覆層の芯材粒子との密着性を高める観点から、被覆用樹脂としては、シクロアルキル基を有する樹脂であることが好ましい。
【0194】
シクロアルキル基の例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基が挙げられる。中でも、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基であることが好ましく、被覆用樹脂の層と芯材粒子(例えば、フェライト粒子)との密着性の観点から、シクロへキシル基であることがより好ましい。
【0195】
被覆用樹脂は、例えば、シクロアルキル基を有する単量体を含む重合性化合物を重合して得られる。シクロアルキル基を有する単量体としては、メタクリル酸のシクロアルキルエステルを用いることが好ましい。被覆用樹脂は、当該単量体とシクロアルキル基を有しない単量体、例えば、メタクリル酸のアルキル(ただし、環状構造を有しない)エステルとの共重合体であってもよい。
【0196】
被覆用樹脂の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:GelPermeationChromatography)により測定でき、ポリスチレン基準として、例えば、10000~800000の範囲内であることが好ましく、100000~750000の範囲内であることが好ましい。
【0197】
被覆用樹脂におけるシクロアルキル基の含有量は、10~90質量%の範囲内であることが好ましい。被覆用樹脂におけるシクロアルキル基の含有量は、例えば、熱分解-ガスクロマトグラフ/質量分析(P-GC/MS)や1H-NMR等によって求めることができる。
【0198】
キャリア粒子における被覆用樹脂の層の厚さは、キャリアの耐久性と低電気抵抗化の両立の観点から、0.05~4.0μmの範囲内であることが好ましく、0.2~3.0μmの範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であることにより、帯電性と耐久性を好ましい範囲に設定することができる。
【0199】
≪画像形成方法≫
本発明の電子写真用トナーを用いた画像形成方法について説明する。本発明の電子写真用トナーは、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には、以下の工程を有する画像形成方法において利用されることが好ましい。
【0200】
1)像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程
2)前記像保持体表面に形成された静電荷像を光輝性トナーにより現像して光輝性トナー像を形成する現像工程
3)前記光輝性トナー像を被転写体表面に転写する転写工程
4)前記被転写体表面に転写された光輝性トナー像を定着する定着工程
【0201】
なお、3)の転写工程は、像保持体から被転写体への光輝性トナー像の転写を媒介する中間転写体を用いたものであってもよい。
また、転写後の前記像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程を更に有していてもよい。
【0202】
当該画像形成方法により得られる画像は、本発明のトナーにより形成された光輝性トナー像の上層に、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー及びブラックトナー等の有色トナーにより形成された有色トナー像を有する画像であることが好ましい。また、光輝性トナーにより形成された光輝性トナー像の上層に、少なくとも有色トナーにより形成された有色トナー像を有するカラーメタリック色を有する画像であることがより好ましい。本発明のトナーにより形成される光輝性トナー像は、光輝性が高いため、有色トナー像の下層に用いても、その光輝性が画像において十分発揮され、良好なカラーメタリック画像が特に好適に形成される。
【0203】
記録媒体(「メディア」、「記録材」、「記録紙」、「記録用紙」等ともいう。)は、一般的に使用されているものを使用でき、例えば、画像形成装置等による公知の画像形成方法により形成したトナー画像を保持するものであれば、特に制限されない。記録媒体としては、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、コート紙等の塗工された印刷用紙や、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、軟質透明フィルム、ユポ紙等の合成紙等が挙げられる。本発明においては、特に、色紙、黒紙、透明のフィルム等、特殊な記録媒体に出力する場合において、効果が顕著である。
【0204】
≪画像形成装置≫
本発明の電子写真用トナーを用いて画像を形成する場合に使用される画像形成装置について説明する。
【0205】
画像形成装置としては、例えば、現像機及び感光体を有する画像形成ユニットを、トナー毎(本発明のトナー及び有色トナー)に搭載し、感光体毎に形成されたトナー像を、順次中間転写体上に転写して重ね合わせた後、一括して記録媒体上に転写し、熱ローラー方式で定着させ、可視画像(定着画像)を形成するドラムタンデム方式のものが挙げられる。
【0206】
図7は、本発明において好適に用いられるドラムタンデム方式の画像形成装置の一例を示す断面概要図である。なお、図7では、本発明のトナーと、有色トナーとして、イエロートナー(By)、マゼンタトナー(Bm)、シアントナー(Bc)、及び、黒トナー(Bk)を用いた場合の一例を示す。
【0207】
図7で示される画像形成装置GSは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるものである。画像形成装置GSは、中間転写体36の移動方向に沿って、光輝性トナー及び有色トナー(イエロー、マゼンタ、シアン及び黒色)を用いてトナー像を形成する画像形成ユニットを配置し、各画像形成ユニットの感光体上に形成した光輝性トナー像及び有色トナー像を中間転写体上に多重転写して重ね合わせた後、記録媒体上に一括転写する。
【0208】
図7において、画像読取装置SC上に載置された原稿画像は、光学系により走査露光さ
れ、ラインイメージセンサCCDに読み込まれる。ラインイメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書込手段としての露光光学系33に画像データ信号を送る。
【0209】
中間転写体36としては、特に制限されず、ドラム式のものや無端ベルト式のものを使用できる。以下、無端ベルト式のものを使用する場合について説明する。
【0210】
図7において、中間転写体36の周縁部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒色(K)の各色及び光輝性トナー像(W)の各トナー像形成用として5組のプロセスユニット100が設けられている。プロセスユニット100は有色トナー像及び光輝性トナー像の形成手段として、図の矢印で示す鉛直方向の中間転写体36の回転方向に対して、中間転写体36に沿って垂直方向に縦列配置され、イエロー(Y)用のプロセスユニットY、マゼンタ(M)用のプロセスユニットM、シアン(C)用のプロセスユニットC、黒色(K)用のプロセスユニットK及び光輝性トナー像(W)用のプロセスユニットWの順に配置されている。
【0211】
5組のプロセスユニット100は何れも共通した構造であり、それぞれ、感光体ドラム31と、帯電手段としての帯電器32と、画像書込手段としての露光光学系33と、現像装置(現像機)34と、感光体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置190とからなっている。
【0212】
感光体ドラム31は、例えば、外径が40~100mm程度のアルミニウム等の金属性の部材によって形成される円筒状の基体の外周に、層厚(膜厚)20~40μm程度の感光層を形成したものである。感光体ドラム31は、不図示の駆動源からの動力により、基体を接地された状態で矢印の方向に、例えば80~280mm/s程度で、好ましくは220mm/sの線速度で回転する。
【0213】
感光体ドラム31の周りには、帯電手段としての帯電器32、画像書込手段としての露光光学系33及び現像装置(現像機)34を一組とした画像形成部が、図の矢印にて示す感光体ドラム31の回転方向に対して配置される。
【0214】
帯電手段としての帯電器32は、感光体ドラム31の回転軸に平行な方向で感光体ドラム31と対峙し近接して取り付けられる。帯電器32は、感光体ドラム31の感光層に対し所定の電位を与えるコロナ放電電極としての放電ワイヤを備え、トナーと同極性のコロナ放電によって帯電作用(本実施形態においてはマイナス帯電)を行い、感光体ドラム31に対し一様な電位を与える。
【0215】
画像書込手段である露光光学系33は、不図示の半導体レーザー(LD)光源から発光されるレーザー光を、回転多面鏡(符号なし)により主走査方向に回転走査し、fθレンズ(符号なし)、反射ミラー(符号なし)等を経て感光体ドラム31上を画像信号に対応する電気信号による露光(画像書込)を行い、感光体ドラム31の感光層に原稿画像に対応する静電荷像を形成する。
【0216】
現像手段としての現像装置34は、感光体ドラム31の帯電極性と同極性に帯電されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色(K)の各色、並びに光輝性トナー像(W)の二成分現像剤を収容する。各色の二成分現像剤は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色(K)、並びに光輝性トナー像(W)に対応して、イエロートナー(By)、マゼンタトナー(Bm)、シアントナー(Bc)及び黒トナー(Bk)、並びに本発明の光輝性トナーを含有する。
【0217】
現像装置34は、例えば、厚さ0.5~1mm、外径15~25mmの円筒状の非磁性のステンレス又はアルミニウム材で形成された現像剤担持体である現像ローラー34aを備えている。現像ローラー34aは、突き当てコロ(不図示)により感光体ドラム31と所定の間隙、例えば100~1000μmをあけて非接触に保たれ、感光体ドラム31の回転方向と同方向に回転するようになっており、現像時、現像ローラー34aに対してトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の直流電圧又は直流電圧に交流電圧を重畳する現像バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム31上の露光部に対して反転現像が行われる。
【0218】
中間転写体36としては、樹脂ベルトを用いることが好ましく、用いられる樹脂ベルトは、体積抵抗率が1.0×10~1.0×10Ω・cmの範囲内であることが好ましく、表面抵抗率が1.0×1010~1.0×1012Ω/□の範囲内であることが好ましい。
【0219】
樹脂ベルトとしては、変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散させた、半導電性の樹脂フィルムを用いることが好ましく、樹脂フィルムの厚さは、0.05~0.5mmの範囲内であることが好ましい。
【0220】
樹脂ベルトとしては、この他に、シリコーンゴム、ウレタンゴム等に導電材料を分散させた、半導電性のゴムベルトを用いることが好ましく、ゴムベルトの厚さは、0.5~2mmの範囲内であることが好ましい。
【0221】
中間転写体36は、テンションローラー36a及び二次転写部材と対峙するバックアップローラー36Bを含む複数のローラー部材により巻回され、鉛直方向に回動可能に支持されている。
【0222】
各色の第1の転写手段としての一次転写ローラー37は、例えば、シリコーン、ウレタン等の発泡ゴムを用いたローラー状の導電性部材からなり、中間転写体36を挟んで各色の感光体ドラム31に対向して設けられ、中間転写体36の背面を押圧して感光体ドラム31との間に転写域を形成する。一次転写ローラー37には定電流制御によりトナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流定電流が印加され、転写域に形成される転写電界によって、感光体ドラム31上のトナー像が中間転写体36上に転写される。
【0223】
中間転写体36上に転写されたトナー像は記録媒体Pに転写される。中間転写体36の周上には、パッチ像トナーの濃度を測定する検知センサ38が設置されている。
【0224】
また、中間転写体36上の残留トナーをクリーニングするために、クリーニング装置190Aが設けられている。
【0225】
さらに、二次転写部材37A上のパッチ像トナーをクリーニングするために、二次転写装置70が設けられている。
【0226】
次に、図7に示す画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。
【0227】
画像記録のスタートにより、不図示の感光体駆動モーターが始動し、イエロー(Y)の感光体ドラム31が図の矢印で示す方向へ回転し、Yの帯電器32によってYの感光体ドラム31に電位が付与される。
【0228】
Yの感光体ドラム31は、電位を付与された後、Yの露光光学系33によって第1の色信号、すなわち、Yの画像データに対応する電気信号による露光(画像書込)が行われ、Yの感光体ドラム31上にイエロー(Y)の画像に対応する静電荷像が形成される。この静電荷像はYの現像装置34により反転現像され、Yの感光体ドラム31上にイエロートナー(By)からなるトナー像(By)が形成される。Yの感光体ドラム31上に形成されたYのトナー像(By)は一次転写手段としての一次転写ローラー37により中間転写体36上に転写される。
【0229】
次いで、マゼンタ(M)の帯電器32によって、Mの感光体ドラム31に電位が付与される。Mの感光体ドラム31は、電位を付与された後、Mの露光光学系33によって第1の色信号、すなわち、Mの画像データに対応する電気信号による露光(画像書込)が行われ、Mの感光体ドラム31上にマゼンタ(M)の画像に対応する静電荷像が形成される。この静電荷像はMの現像装置34により反転現像され、Mの感光体ドラム31上にマゼンタトナー(Bm)からなるトナー像(Bm)が形成される。Mの感光体ドラム31上に形成されたMのトナー像(Bm)は、一次転写手段としての一次転写ローラー37によりYのトナー像(By)に重ね合わせて中間転写体36上に転写される。
【0230】
同様のプロセスにより、シアン(C)の感光体ドラム31上に形成されたシアントナー(Bc)からなるトナー像(Bc)と、黒色(K)の感光体ドラム31上に形成された黒トナー(Bk)からなるトナー像(Bk)が順次中間転写体36上に重ね合わせて形成され、中間転写体36の周面上に、トナー像(By)、トナー像(Bm)、トナー像(Bc)及びトナー像(Bk)からなる重ね合わせの有色トナー像が形成される。
【0231】
次いで、光輝性トナー像(W)の感光体ドラム31が、図の矢印で示す方向へ回転され、Wの帯電器32によってWの感光体ドラム31に電位が付与される。Wの感光体ドラム31は電位を付与された後、Wの露光光学系33によって第1の色信号、すなわち、Wの画像データに対応する電気信号による露光(画像書込)が行われ、Wの感光体ドラム31上に光輝性トナー像(W)のトナー像に対応する静電荷像が形成される。この静電荷像はWの現像装置34により反転現像され、Wの感光体ドラム31上に光輝性トナーからなる光輝性トナー像が形成される。
【0232】
Wの感光体ドラム31上に形成された光輝性トナー像は、一次転写手段としての一次転写ローラー37により中間転写体36上に転写される。これにより、中間転写体36の周面上に、トナー像(By)、トナー像(Bm)、トナー像(Bc)及びトナー像(Bk)からなる重ね合わせの有色トナー像が形成され、更にその有色トナー像上に光輝性トナー像が形成される。
【0233】
転写後のそれぞれの感光体ドラム31の周面上に残ったトナーは、感光体クリーニング装置190が有するクリーニングブレードによりクリーニングされる。
【0234】
一方、給紙カセット50A、50B及び50C内に収容された記録紙としての記録媒体Pは、給紙カセット50A、50B及び50Cにそれぞれ設けられる送り出しローラー51及び給紙ローラー52Aにより給紙される。記録媒体Pは、搬送路52上を搬送ローラー52B、52C及び52Dによって搬送され、レジストローラ53を経て、トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の電圧が印加される二次転写手段としての二次転写部材37Aに搬送される。
【0235】
二次転写部材37Aの転写域において、中間転写体36上に形成された重ね合わせの有色トナー像と、有色トナー像上の光輝性トナー像が、光輝性トナー像を記録媒体P側にして記録媒体P上に一括して転写される。これにより、記録媒体上に光輝性トナー像及び有
色トナー像がその順に積層された画像が得られる。
【0236】
光輝性トナー像上に有色トナー像がその順に積層された画像が転写された記録媒体Pは、定着装置47の加熱ローラー47aと加圧ベルト47bとにより形成されるニップ部NAにおいて加熱加圧され、排紙ローラー54に挟持されて機外の排紙トレイ55上に載置される。なお、ニップ部NAにおいて加熱加圧されることにより、トナーが記録媒体Pに定着する。
【0237】
二次転写手段としての二次転写部材37Aにより記録媒体P上に光輝性トナー像(例えば、ベタ塗りの光輝性トナー像)及び有色トナー像が転写された後、記録媒体Pを曲率分離した中間転写体36上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置190Aにより除去される。
【0238】
さらに、二次転写部材37A上のパッチ像トナーは、二次転写装置70のクリーニングブレード71によりクリーニングされる。
【実施例0239】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0240】
[アルミニウム顔料粒子1の作製]
アルミペースト(アルミニウム分70質量%、D50=18μm、厚さ0.3μm)をガラスビーカーに64g取り、ミネラルスピリット300gに分散させ、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP)4.2g[0.0141モル]、ベンジルメタクリレート(BM)1.2g[0.00681モル]、アクリル酸(AA)0.05g[0.000694モル]、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを添加した。撹拌下に加熱し、90℃で2時間撹拌を続け、反応終了後、ろ過し、ミネラルスピリットでろ過ケーキ(濾滓)を洗浄後、ミネラルスピリットで濃度調整し、アルミニウム分を48質量%含むペーストとした。
得られたペーストの一部を取り乾燥させ、王水で溶解し樹脂分をろ過、水洗し、乾燥後重量を測定して求めた樹脂被覆アルミニウム顔料の被覆樹脂量は、アルミニウム100質量部当たり、11.5質量部(樹脂収率95%)であった。このようにして得られたアルミニウム顔料粒子1を用いて、後述するトナー粒子を形成した後、定着画像上において、その平均長軸径及び平均厚さを測定したところ、平均長軸径18μm、平均厚さ0.3μmであった。
【0241】
[アルミニウム顔料粒子2の作製]
前記アルミニウム顔料粒子1の作製において、アルミペースト(アルミニウム分70質量%、D50=32μm、厚さ0.3μm)に変更した以外は同様にして作製した。
このようにして得られたアルミニウム顔料粒子2を用いて、後述するトナー粒子を形成した後、定着画像上において、その平均長軸径及び平均厚さを測定したところ、平均長軸径32μm、平均厚さ0.3μmであった。
【0242】
[アルミニウム顔料粒子3の作製]
前記アルミニウム顔料粒子1の作製において、アルミペースト(アルミニウム分70質量%、D50=2.8μm、厚さ0.3μm)に変更した以外は同様にして作製した。
このようにして得られたアルミニウム顔料粒子3を用いて、後述するトナー粒子を形成した後、定着画像上において、その平均長軸径及び平均厚さを測定したところ、平均長軸
径2.8μm、平均厚さ0.3μmであった。
【0243】
[トナー粒子1の作製]
<樹脂粒子α液の作製>
(結着樹脂A:ポリエステルの合成)
下記成分を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10Lの四つ口フラスコに入れ、230℃にて8時間反応を行った後、8.3kPaにて1時間反応させた。
【0244】
ビスフェノールA-PO付加物(BPA-PO) 4900質量部
ビスフェノールA-EO付加物(BPA-EO) 1950質量部
テレフタル酸 1328質量部
2-エチルヘキサン酸錫(II) 40質量部
没食子酸 1質量部
【0245】
そして、210℃に降温させ、更に下記成分を添加し、所望の軟化点に達するまで反応を行い、結着樹脂A(ポリエステル)を得た。
【0246】
無水トリメリット酸 5質量部
フマル酸 5質量部
ターシャリブチルカテコール 5質量部
【0247】
(樹脂粒子αの作製)
下記成分を、ヘンシェルミキサーを用いて1分間予備混合した後、二軸押出機(PCM-87、池貝鉄工社製)を用いて溶融混練した。
【0248】
結着樹脂A 100質量部
荷電制御剤(負帯電性荷電制御剤、Bontron E-304、オリヱント化学工業社製)
0.5質量部
ワックス(パラフィンワックス、融点:79℃、HNP-9、日本精蝋社製)
3質量部
【0249】
溶融混練の条件としては、原料のフィード量を3.0kg/min、混練部のスクリュー回転を200rpmに設定し、さらに、混練物の吐出部で測定した混練物の温度が160℃となるよう、バレル設定温度を170℃に設定した。
【0250】
得られた混練物を冷却ロールで圧延しながら20℃以下に冷却し、冷却された溶融混練物をロートプレックス(東亜機械社製)で3mm程度に粗粉砕した。
【0251】
得られた粗砕物(樹脂粒子α)を以下の比率でトルエンと混合し、樹脂粒子α液を得た。
トルエン 80質量部
樹脂粒子α 20質量部
【0252】
<トナー母体粒子1の作製>
下記成分を、図6に示す流動層型コート装置(ワースター型流動層コート装置、商品名:GM-140、株式会社ダルトン製)を用い、スプレーノズルから樹脂粒子α液を噴霧して、アルミニウム顔料粒子1の上に樹脂粒子α液を付着させたトナー母体粒子1を作製した。
前記流動層型コート装置において、樹脂粒子α液のスプレーノズルからの噴霧量は5g
/minとした。さらに流動化空気の温度は60℃とし、気体分散板の中央領域及び周辺領域から噴出する流動化空気の量は0.5m/minとした。
【0253】
添加したアルミニウム顔料粒子及び樹脂粒子液は以下のとおりである。
アルミニウム顔料粒子1(平均長軸径18μm、平均厚さ0.3μm)
50質量部
樹脂粒子α液 100質量部
【0254】
<トナー粒子1の作製(外添処理)>
下記成分を、ヘンシェルミキサー型式(FM20C/I、日本コークス工業社製)に入れ、羽根先端周速が50m/sとなるように回転数を設定し、20分間撹拌してトナー粒子1を得た。
【0255】
トナー母体粒子1 100質量部
シリカ微粒子1 0.8質量部
【0256】
[トナー粒子2の作製]
添加する成分を下記成分に変更した以外は、トナー粒子1の作製と同様にして、トナー粒子2を作製した。
【0257】
アルミニウム顔料粒子2(平均長軸径32μm、平均厚さ0.3μm)
50質量部
樹脂粒子α液 150質量部
【0258】
[トナー粒子3の作製]
添加する成分を下記成分に変更した以外は、トナー粒子1の作製と同様にして、トナー粒子7を作製した。
【0259】
アルミニウム顔料粒子3(平均長軸径2.8μm、平均厚さ0.3μm)
50質量部
樹脂粒子α液 60質量部
【0260】
[トナー粒子4の作製]
前記トナー母体粒子1の作製で使用した流動層型コート装置(ワースター型流動層コート装置、商品名:GM-140、株式会社ダルトン製)において、樹脂粒子α液のスプレーノズルからの噴霧量は7g/minとした。さらに流動化空気の温度は60℃とし、気体分散板の中央領域及び周辺領域から噴出する流動化空気の量は0.3m/minとした以外は同様にしてトナー粒子4を作製した。
【0261】
[トナー粒子5の作製]
下記成分を、ヘンシェルミキサーを用いて1分間予備混合した後、二軸押出機(PCM-87、池貝鉄工社製)を用いて溶融混練した。
【0262】
アルミニウム顔料粒子1(平均長軸径18μm、平均厚さ0.3μm)
100質量部
樹脂粒子α液 100質量部
荷電制御剤(負帯電性荷電制御剤、Bontron E-304、オリヱント化学工業社製)
0.5質量部
ワックス(パラフィンワックス、融点:79℃、HNP-9、日本精蝋社製)
3質量部
【0263】
溶融混練の条件としては、原料のフィード量を3.0kg/min、混練部のスクリュー回転を200rpmに設定し、さらに、混練物の吐出部で測定した混練物の温度が160℃となるよう、バレル設定温度を170℃に設定した。
【0264】
得られた混練物を冷却ロールで圧延しながら20℃以下に冷却し、冷却された溶融混練物をロートプレックス(東亜機械社製)で3mm程度に粗粉砕した。
【0265】
得られた粗砕物を、カッターミル(奈良機械製作所製)を用いて、体積中位粒径(D50)が1.5~2.5mmの範囲内となるように粗粉砕した後、衝突板式ジェットミル(I-20型、日本ニューマチック工業社製)で微粉砕した。そして、得られた粉砕物を気流分級機(DSF型、日本ニューマチック工業社製)で分級し、トナー母体粒子5を得た。
そして、上記トナー粒子1と同様に、外添処理を行い、トナー粒子5を得た。
【0266】
[評価]
得られた各トナー粒子を用いて以下のように、各画像サンプルを形成した。
市販の複写機「bizhab 421」(コニカミノルタビジネステクノロジー(株)製)を用いて、定着装置の加熱ローラーの表面温度を170℃に設定し、常温常湿(温度20℃、相対湿度55%)において、黒紙上の白トナーの画像濃度がL*=60の白ベタ画像を形成し、完全に冷却させた画像サンプルを形成した。
その後、当該画像サンプルについて、光硬化性樹脂「D-800」(日本電子社製)にて硬化処理を行い、サンプルを光硬化性樹脂処理した。
そのサンプルを、剃刀を用いて平板上に加工し、イオンミリング用試料ホルダーに熱可塑性ワックスを用いて固定して、イオンミリング加工装置「SM-09010」(日本電子社製)により切削面をイオンミリング加工して、断面観察用のサンプルを作製した。
なお、加速電圧/5.0kV、ビーム電流/60μA、設定時間/12時間、イオン種Arの条件でイオンミリング加工を行った。
得られた断面サンプルの断面の様子を、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「S-4800」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察した。観察するトナー母体粒子の断面は、トナー母体粒子の質量平均粒径から±3.0μm以内のものをランダムに100個選んで撮影を行った。
次いで、得られた断面画像について、加速電圧1.0kV、WD/3.0mmの条件にて2000倍で撮影し、スキャナーにより取り込んだ写真画像から、画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ製)を用いて、下記項目についてそれぞれ算出した。
【0267】
<光輝性顔料粒子の平均長軸径及び平均厚さ>
前記画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ製)を用いて、光輝性顔料粒子の長軸径を測定し、100個の光輝性顔料粒子における個数平均長軸径を算出し、この値を下記表に示した。
また、同様にして、1個の光輝性顔料粒子について、厚さを3箇所測定し、その平均値を算出した。このようにして算出した平均厚さを100個の光輝性顔料粒子についてもそれぞれ算出し、100個の平均厚さCを算出し、この値を下記表に示した。
【0268】
<樹脂部の厚さ>
前記画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ製)を用いて得られるトナー母体粒子の断面画像におけるトナー母体粒子の最表面の輪郭上の任意の点20点において、樹脂部の厚さを測定した。なお、任意の点20点について、点と点との間隔は、少なくとも100nm以上であることとし、樹脂が光輝性顔料粒子から剥がれ、光輝性顔料粒子が
露出している箇所(すなわち、厚さが0nm)については、任意の点から除く。
そして、トナー母体粒子ごとの任意の点20点における樹脂部の厚さの算術平均値を、さらに、100個のトナー母体粒子における算術平均値を算出した。この値を樹脂部の厚さとして下記表に示した。
【0269】
<平行係数>
前記画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ製)を用いて、明確化した断面画像において、図4(a)、(b)に示すように、顔料粒子の厚さ方向に隣り合う顔料粒子の、一方の顔料粒子1aと他方の顔料粒子1bの互いに対向する面Fにおいて、前記した方法と同様にして、最小距離Aと最大距離Bを測定した。
平行係数=最大距離B/最小距離A
上記のようにして厚さ方向において隣り合う顔料粒子について平行係数を100個算出し、さらに、100個の平行係数の平均値を算出した。この平行係数の平均値を下記表に示した。
【0270】
<間隔係数>
前記画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ製)を用いて、明確化した断面画像において、図5に示すように、顔料粒子の厚さ方向に隣り合う3つの顔料粒子、具体的には、最表面側に位置する第1の顔料粒子1cと、真ん中に位置する第2の顔料粒子1dと、内部側に位置する第3の顔料粒子1eの平均厚さをそれぞれ算出する。
平均厚さについては、前記した方法と同様にして、各顔料粒子(第1~第3の顔料粒子)の平均厚さC~Cを算出する。さらに、これら平均厚さC~Cの平均を算出し、これを平均厚さCとした。
次に、第1の顔料粒子1cと第2の顔料粒子1dの間の平均距離D、及び、第2の顔料粒子1dと第3の顔料粒子1eの間の平均距離Dについて、前記した方法と同様にして算出し、さらに、平均距離Dと平均距離Dの平均を算出し、これを平均距離Dとした。
次に、下記式により間隔係数を算出した。
間隔係数=平均距離D/平均厚さC
このようにして、その他の顔料粒子についても間隔係数を算出し、100個の間隔係数の平均値を下記表に示した。
【0271】
<光輝性>
市販のカラー複合機(bizhub PRO C6500、コニカミノルタ社製)に上記トナーを収容し、当該複合機を用いて、A4版の上質紙(65g/m)上に2cm×2cmの正方形のパッチ画像(付着量5g/m)を有するトナー画像を、定着温度180℃で出力した。
得られたトナー画像について、ゴニオメーター装置(変角分光反射率測定器、ゴニオフォトメーターGP-5、村上色彩研究所製)により、入射角を60°としてトナー画像表面で反射した反射角60°の正反射光の明度Lを測定した。
なお、校正は、入射角60°として標準白色版表面で反射した反射角60°の正反射光の明度を100として行い、Lが300以上を光輝性良好とした。評価結果を、下記表に示す。
【0272】
【表1】
【0273】
上記結果に示すように、本発明のトナーは、比較例のトナーに比べて光輝性に優れることが分かる。
【符号の説明】
【0274】
1、1a、1b、1c、1d、1e 光輝性顔料粒子
2 樹脂部
2a 樹脂微粒子
10 トナー母体粒子
L1 入射光
L2 反射光
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 露光工学系
34 現像装置
36 中間転写体
37 一次転写ローラー
37A 二次転写部材
47 定着装置
70 二次転写装置
71 クリーニングブレード
100 プロセスユニット
190 感光体クリーニング装置
190A 中間転写体クリーニング装置
GS 画像形成装置
SC 画像読取装置
200 流動層型コート装置
201 流動層容器
202 フィルターシステム
203 気体分散板
204 ドラフトチューブ
205 スプレーノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7