(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176845
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】調理器具
(51)【国際特許分類】
A47J 43/28 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A47J43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089363
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】515061949
【氏名又は名称】山崎 友之
(74)【代理人】
【識別番号】230118500
【弁護士】
【氏名又は名称】南部 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 友之
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053BL01
4B053CA04
4B053CE02
(57)【要約】
【課題】 容易かつ安定的に自立する灰汁除去器具を提供する。
【解決手段】 掬い部と柄とからなる灰汁除去器具において、掬い部は下方に延びる脚部を有する。その掬い部は複数の脚部を有し、複数の脚部は、掬い部の中心部から等間隔に設けられ、脚部の底部は掬い部の底部よりも下に位置する。また、脚部により灰汁除去器具を自立させた場合、柄は掬い部の中心部から垂直方向、または、ほぼ垂直方向に延びる部材である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掬い部と柄とからなる灰汁除去器具において、
前記掬い部は下方に延びる脚部を有する、
ことを特徴とする調理器具。
【請求項2】
前記掬い部は複数の前記脚部を有し、
複数の前記脚部は、前記掬い部の中心部から等間隔に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の調理器具。
【請求項3】
前記脚部の底部は、前記掬い部の底部よりも下に位置する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の調理器具。
【請求項4】
前記柄は、垂直方向、または、ほぼ垂直方向に延びる部材である、
ことを特徴とする請求項1記載の調理器具。
【請求項5】
前記柄は、前記掬い部の中心部から、垂直方向、または、ほぼ垂直方向に延びる部材である、
ことを特徴とする請求項1記載の調理器具。
【請求項6】
掬い部と柄とからなる灰汁除去器具において、
前記掬い部は下方に延びる具材除け部を有する、
ことを特徴とする調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器具に関し、特に、食物を煮た際等に生じる灰汁を除去するための灰汁除去器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食物を煮ると灰汁が生じる。灰汁は苦味や渋味を有するため料理を不味くする原因となる。よって、調理の際は適宜灰汁を除去する必要がある。
【0003】
灰汁は、灰汁取り用の灰汁除去器具を使って除去することが一般的であり、その構造や方法は以下の通りである。
【0004】
図5の符号61は従来の灰汁除去器具であり、柄62と灰汁溜め部63とからなる。
灰汁溜め部63は、灰汁を掬い取るためのすり鉢状の網64と、網64の外周を縁取る外周部65とからなる。網64は、水分を透過させる一方で灰汁を透過させない程度の細かい網目を有する。
柄62は外周部65に取り付けられている。
灰汁を除去する際は、柄62を手に持ち、網64で鍋に浮遊する灰汁を掬い取り、灰汁を除去する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】アマゾンジャパンホームページ、https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%8B%E6%9D%91%E4%BC%81%E8%B2%A9-%E6%9D%BF%E5%89%8D%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE-%E3%81%82%E3%81%8F%E5%8F%96%E3%82%8A%E5%90%8D%E4%BA%BA-%E3%80%90%E3%81%82%E3%81%8F%E5%8F%96%E3%82%8A%E3%80%91-27538/dp/B003URQNAG/ref=sr_1_18?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=15WT47FBXIVAN&keywords=%E5%87%BA%E6%B1%81%2B%E7%B6%B2&qid=1651969520&sprefix=%E7%81%B0%E6%B1%81%2B%E7%B6%B2%2Caps%2C270&sr=8-18&th=1、2022年5月8日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、従来の灰汁除去器具61を使えば容易に灰汁を除去できる一方で、置き場所に困るという欠点があった。
鍋料理を食す際、灰汁除去器具61は頻繁に使用する器具であるため、鍋の近くに置いておく必要がある。しかし、従来の灰汁除去器具61は
図5の通りバランスが悪い器具であるため自立せず、テーブルの上に細長い灰汁除去器具61を寝かすように置くしかなく、邪魔であった。
【0007】
また、従来の灰汁除去器具61で灰汁を掬い上げる際、肉や野菜等の具材も一緒に掬い上げてしまうことがあり、灰汁だけを効率的に掬い取ることが難しいという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためのものであり、自立して邪魔にならず、且つ、灰汁だけを効率よく掬い上げることができる灰汁除去器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明では、以下の灰汁除去器具が提供される。
(1)掬い部と柄とからなる灰汁除去器具において、掬い部は下方に延びる脚部を有する。これにより灰汁除去器具をテーブルに置いた際に、灰汁除去器具が傾くことがなくなり(バランスが良好になり)、灰汁除去器具がテーブルの上で容易に自立する。
(2)掬い部は複数の脚部を有し、複数の脚部は、掬い部の中心部から等間隔に設けられている。これにより、灰汁除去器具のバランスは更に良好になり、灰汁除去器具がテーブルの上で更に容易に自立する。
(3)脚部の底部は、掬い部の底部よりも下に位置する。これにより、掬い部の底部がテーブル上面に接して、脚部の底部がテーブル上面から浮いてしまうことを防止できる。すなわち、掬い部底部の干渉を受けずに、脚部だけで水平状態を維持できるため、灰汁除去器具を安定して自立させることができる。
(4)脚部により灰汁除去器具を自立させた場合、柄は、垂直方向、または、ほぼ垂直方向に延びる部材である。すなわち、脚部の底部がテーブル上面に接するようにして、灰汁除去器具をテーブルに置いた場合、柄はテーブル面に対して垂直方向に、或いは、ほぼ垂直方向に延びることとなる。これにより、灰汁除去器具のバランスが向上し、灰汁除去器具が、より安定して自立する。
(5)脚部により灰汁除去器具を自立させた場合、柄は、掬い部の中心部から、垂直方向、または、ほぼ垂直方向に延びる部材である。すなわち、脚部の底部がテーブル上面に接するようにして、灰汁除去器具をテーブルに置いた場合、柄はテーブル面に対して、掬い部中心部から垂直方向に、或いは、ほぼ垂直方向に延びることとなる。これにより、灰汁除去器具の重心が中心部付近に集中し、灰汁除去器具のバランスが更に向上し、灰汁除去器具が、より安定して自立する。
(6)掬い部と柄とからなる灰汁除去器具において、掬い部は下方に延びる具材除け部を有する。これにより、具材を除けながら灰汁を除去できるので、灰汁と具材とを一緒に掬い上げてしまう不都合を回避できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明を利用すれば、灰汁除去器具を容易、且つ、安定的に自立させることができる。
また、灰汁と具材とを一緒に掬い上げてしまう不都合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例に係る灰汁除去器具の正面図を表した図である。
【
図2】実施例に係る灰汁除去器具の右側面図を表した図である。
【
図3】実施例に係る灰汁除去器具の底面図を表した図である。
【
図4】具材除け部を備えた灰汁除去器具を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0012】
次に、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1は本発明の調理器具(ここでは灰汁除去器具1を例に説明する)の概略を示した正面図であり、
図2は本発明の灰汁除去器具1の概略を示した右側面図であり、
図3は本発明の灰汁除去器具1の底面図である。
図1・
図2・
図3の灰汁除去器具1の構成は、
図5の灰汁除去器具61の構造と幾つか共通する。すなわち、
図1の灰汁溜め部3は
図5の灰汁溜め部63に相当し、
図1の網4は
図5の網64に相当し、
図1の外周部5は
図5の外周部65に相当する。
【0013】
灰汁除去器具1は、外周部5の内側に補強部材21を備える(
図3)。補強部材21は、十字型で網4の曲線(すり鉢状の曲線)に沿った形状であり、鉄や樹脂等の素材で形成される。補強部材21は外周部5の2組の対向部分を繋ぐものであり、外周部5とは溶接等の手段により接続され、取り付けられている(一体的に形成されたものでもよい)。なお、本実施例では網4と外周部5と補強部材21とからなる灰汁溜め部3が「掬い部」としての役割を果たす。
【0014】
補強部材21は、補強部材21の中心部と、補強部材21と外周部5との接続部分との間に、脚部11を有する。なお、補強部材21はその中心から4方向に延びる部材なので、同一形状・同一サイズの脚部11が4つ(脚部11a、脚部11b、脚部11c、脚部11d)設けられている。4つの脚部11は補強部材21の中心部から同間隔(等距離)に位置することが望ましい。
脚部11は、灰汁除去器具1の下方に延びる部材であり、補強部材21の下面(裏面)に接着または溶接等の手段により取り付けられている。なお、脚部11の底部(最下部)は網4の底部および補強部材21の底部より下に延びていることが望ましい。
脚部11は灰汁除去器具1のバランスを保つため3つ以上設けることが望ましいが、リング状の脚部11を1つだけ設けてもよいし、一定の幅を有する脚部11を2つだけ設けてもよい。また、すべての脚部11の底部は同一平面上に位置し、灰汁除去器具1をテーブル上面に置くと掬い部(外周部5)が水平になることが望ましい。
【0015】
柄2は補強部材21(掬い部)の中心部から上方に(垂直方向に、或いは、ほぼ垂直方向に)延びる部材であり、接着や溶接等の手段により接続され、取り付けられている(一体的に形成されたものでもよい)。この構造により、灰汁除去器具1をテーブルに置いた場合、脚部11の底部がテーブル上面に接して灰汁除去器具1を支え、灰汁除去器具1が自立し、柄2はテーブル面に対して垂直方向に、或いは、ほぼ垂直方向に延びることとなる。
【0016】
上記の通り、本実施例における灰汁除去器具1は3つの特徴を有している。1つ目は、4つの脚部11が、補強部材21(灰汁溜め部3)の中心部から等距離に位置している点である。2つ目は、4つの脚部11が網4の底部および補強部材21の底部より下に延びている点である。3つ目は、柄2が灰汁溜め部3の中心部から垂直方向に延びている点である。
本実施例の灰汁除去器具1はこのような特徴を有するので、灰汁除去器具1の重心が中心付近に集中してバランスの良い器具となり、テーブルの上に置くと容易且つ安定して自立する。これによりテーブルに置いても邪魔にならない。
【0017】
なお、脚部11は、具材を除ける部材としても機能する。すなわち、従来の灰汁除去器具61で灰汁を掬い上げる際、肉や野菜等の具材も一緒に掬い上げてしまうことがあり、灰汁だけを効率的に掬い取ることが難しいという問題があった。
これに対し、柄2を手に持ち、脚部11(具材除け部)を湯面近辺に浸して左右または前後に振ることにより、具材を鍋の外縁方向に遠ざけることができる。その後に灰汁を掬えば灰汁だけを効率的に除去でき、具材と灰汁とを一緒に掬い取ってしまうという問題を解決できる。なお、この場合は、柄2を垂直にしても良いし、
図4のように柄2を垂直にしなくても(傾斜させても)よい。
【0018】
上記は好ましい実施形態または実施例の一つについての詳細な説明である。すなわち、上記実施形態または上記実施例を含む本明細書のすべての記載は一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。よって、例えば、柄、灰汁溜め部、補強部材、脚部等の構成は上記実施形態または上記実施例に限るものではないし、その他の構成も同様に上記実施形態または上記実施例に限るものではない。また、上記実施形態または上記実施例とは異なる形状・素材・方法等であってもよい。更に、調理器具は灰汁除去器具に限らず、その他の器具であってもよい。