(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176866
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20231206BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20231206BHJP
B41J 13/02 20060101ALI20231206BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20231206BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20231206BHJP
B65H 39/043 20060101ALI20231206BHJP
B65H 39/041 20060101ALI20231206BHJP
B65H 39/14 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J2/32 Z
B41J13/02
B65H7/14
B65H5/06 M
B65H39/043
B65H39/041
B65H39/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089400
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二宮 直樹
(72)【発明者】
【氏名】米沼 政広
(72)【発明者】
【氏名】青柳 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】國井 慎也
【テーマコード(参考)】
2C058
2C059
2C065
3F048
3F049
3F050
【Fターム(参考)】
2C058AB03
2C058AB21
2C058AC06
2C058AE02
2C058AE17
2C058AF04
2C058AF22
2C058GA07
2C058GB07
2C058GB08
2C058GB14
2C058GB31
2C058GB43
2C058GB48
2C058GC09
2C058GE01
2C059BB02
2C059BB07
2C059BB12
2C059BB17
2C065AA01
2C065AB03
2C065AB09
2C065AB10
2C065AD07
2C065CZ06
2C065CZ17
3F048AA01
3F048AB05
3F048AC02
3F048BA05
3F048BB02
3F048BB09
3F048BB10
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3F048CC12
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3F048DB11
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3F049AA10
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3F049DB04
3F049EA12
3F049LA01
3F049LB09
3F050AA02
3F050CE05
3F050LA01
3F050LB09
(57)【要約】
【課題】コストアップを招くことなく、透明なカードが所定位置へ搬送されたことを検出可能とする。
【解決手段】記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、前記記録媒体と異なる速度で転写媒体を搬送する転写媒体搬送手段と、前記転写媒体の搬送速度を検出する速度検出手段と、前記転写媒体に形成した像を前記記録媒体に転写する記録部と、前記記録媒体及び前記転写媒体の搬送を制御する搬送制御部とを備え、前記搬送制御部は、前記転写媒体と前記記録媒体を搬送したときの前記転写媒体の搬送速度の変化に基づいて前記記録媒体の搬送を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の転写媒体に形成した像を記録部において板状の記録媒体に転写して画像を形成する画像形成装置において、
前記記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、
前記記録媒体と異なる速度で前記転写媒体を搬送する転写媒体搬送手段と、
前記転写媒体の搬送速度を検出する速度検出手段と、
ローラ対のニップ部により前記転写媒体と前記記録媒体をニップして搬送することにより前記転写媒体に形成した像を前記記録媒体に転写する記録部と、
前記記録媒体及び前記転写媒体の搬送を制御する搬送制御部と、
を備え、
前記搬送制御部は、前記転写媒体と前記記録媒体を搬送したときの前記転写媒体の搬送速度の変化に基づいて前記記録媒体の搬送を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送制御部は、前記ニップ部におけるローラ間距離を前記記録媒体の厚さよりも小さく、かつ、前記転写媒体の厚さよりも大きくした前記ローラ間に前記転写媒体と前記記録媒体を互いに異なる速度で搬送したときの前記転写媒体の搬送速度の変化に基づいて前記記録媒体の搬送を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送制御部は、前記速度検出手段により検出した前記転写媒体の搬送速度の変化のタイミングに基づいて前記記録媒体を記録開始位置に搬送制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写媒体は、前記記録媒体よりも速い速度で搬送され、前記ニップ部により前記記録媒体とニップして搬送されるときに前記記録媒体と同じ速度で搬送されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送制御部は、前記記録媒体の搬送方向後端が所定位置を通過するときの前記転写媒体の搬送速度の変化のタイミングに基づいて前記記録媒体の搬送不良を判別することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写媒体は、前記記録媒体の搬送方向後端が前記所定位置を通過するまでは前記記録媒体と同じ速度で搬送され、前記記録媒体の搬送方向後端が前記所定位置を通過した後は前記記録媒体よりも速い速度で搬送されることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体は透明又は半透明部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状の転写媒体にインク像を形成し、該インク像を板状のカード部材に転写して画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カード等の小サイズの記録媒体に画像を形成する画像形成装置にあっては、インクリボンと転写フィルムを用いることで間接印刷方式により記録媒体に画像を形成するものがある。具体的には、インクリボンと転写フィルムを重ね合わせて搬送し、記録ヘッドによって画像信号に応じた加熱をすることによりインクリボンから転写フィルムにインク像を一次転写し、次いで転写フィルムに転写されたインク像をカードに二次転写(再転写)して画像を形成するものである。
【0003】
このような装置にあっては、搬送するカードの位置を検出してカードの頭出し等の搬送制御をする。そのために、搬送されるカードが所定位置を通過したことをフォトインタラプタによって検出するようにしている。しかし、カードとして透明又は半透明のカードに印刷する場合があり、そのときはフォトインタラプタによるカード検出ができない。
【0004】
そこで、透明カードに印刷する場合には、カードに赤外線吸収剤を混入させることにより、フォトインタラプタによって赤外線吸収剤入りの透明カードの位置検出を行う技術が知られている(特許文献1)。また、他の方法としてカードに磁気ストライプを設け、この磁気ストライプ領域が通過する位置にフォトインタラプタを配置することにより、フォトインタラプタで磁気ストライプ付き透明カードの位置検出を行う技術が示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2000-135813
【特許文献2】特願2010-505391
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のように赤外線吸収剤入りのカードや、磁気ストライプを設けたカードはコストアップの要因となる。そのため、一般的な透明カードの位置検出を例えばフォトインタラプタによって行うためには、透明体を検出可能な特殊な構成としなければならず、この場合もコストアップとなってしまうという課題がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、コストアップを招くことなく、透明なカードが所定位置へ搬送されたことを検出可能とした画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、フィルム状の転写媒体に形成した像を記録部において板状の記録媒体に転写して画像を形成する画像形成装置において、前記記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、前記記録媒体と異なる速度で前記転写媒体を搬送する転写媒体搬送手段と、前記転写媒体の搬送速度を検出する速度検出手段と、ローラ対のニップ部により前記転写媒体と前記記録媒体をニップして搬送することにより前記転写媒体に形成した像を前記記録媒体に転写する記録部と、前記記録媒体及び前記転写媒体の搬送を制御する搬送制御部と、を備え、前記搬送制御部は、前記転写媒体と前記記録媒体を搬送したときの前記転写媒体の搬送速度の変化に基づいて前記記録媒体の搬送を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、赤外線吸収剤及び磁気ストライプがない一般的な透明カードであっても、特別なセンサを用いることなく位置検出が可能となり、その検出結果に応じて搬送制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成図
【
図2】カード及び転写フィルムの搬送制御構成のブロック図
【
図3】印刷動作におけるカード及び転写フィルムの搬送手順のフローチャート
【
図4】印刷動作におけるカード及び転写フィルムの搬送手順のフローチャート
【
図6】(a)(b)はカードの頭出し搬送するときの動作模式図及び転写フィルムの速度タイミングチャート
【
図7】(a)(b)はカードの頭出し搬送するときの動作模式図及び転写フィルムの速度タイミングチャート
【
図8】(a)(b)はカードの頭出し搬送するときの動作模式図及び転写フィルムの速度タイミングチャート
【
図9】(a)(b)はカードの頭出し搬送するときの動作模式図及び転写フィルムの速度タイミングチャート
【
図10】(a)(b)はカードの頭出し搬送するときの動作模式図及び転写フィルムの速度タイミングチャート
【
図11】(a)(b)はカードの頭出し搬送するときの動作模式図及び転写フィルムの速度タイミングチャート
【
図12】転写フィルムを搬送したときの時刻と速度の関係を示す表
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の好適な実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
<画像形成装置の全体構成>
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成の説明図である。
図1の画像形成装置は各種証明用のIDカード、商取引用のクレジットカード等に文字、写真、マーク等の画像を形成する。このため、画像形成装置はカード供給部100と、回転ユニット200と、情報記録部800と、画像形成部300とを備えている。
【0013】
(カード供給部)
カード供給部100は、装置本体に着脱可能であって、記録媒体であるカードCを収納するカードカセット101で構成されている。このカードカセット101に複数枚のカードCを立位姿勢で整列して収納し、
図1の左端から右端にサポート部材102に付勢される。このカードカセット101の右端下面にはカード1枚分が通過し得る分離開口103が設けられ、ピックアップローラ104の回転で最前列のカードCから分離開口103を通過する際に1枚ずつ分離されて下流側の回転ユニット200に送られる。
【0014】
(回転ユニット)
回転ユニット200は、
図1に示すように、距離を隔てて前後に配置された2つのローラ対201,202がユニットフレーム203に軸支され、正逆回転可能に設けられている。そして、ユニットフレーム203は正逆回転可能に装置本体に軸支され、これによってローラ対201,202によって挟持されたカードCの搬送方向を変更する。これらの回転駆動機構は図示しないが、例えば1つのパルスモータでユニットフレーム203の回転と、ローラ対201,202の回転をクラッチで切り換えて回転駆動するように構成する。
【0015】
(情報記録部)
前記回転ユニット200の周囲には、第1搬送パスP1、第2搬送パスP2、第3搬送パスP3、第4搬送パスP4が、それぞれの回転ユニット200の回動中心から放射線方向に配置されている。
【0016】
上記第1搬送パスP1は、カードCに対して所定の記録を行う画像形成部300へカードCを搬送する。第2搬送パスP2は、回転ユニット200から送られたカードCの磁気ストライプに磁気情報を記録する磁気記録ユニット801へカードCを搬送する。第3搬送パスP3は、カードCに対してIC情報記録を行う接触式IC記録ユニット802にカードCを搬送する。また、第4搬送パスP4は、予めカードCに内蔵されているICに情報記録する非接触式IC記録ユニット803にカードCを搬送する。
【0017】
制御部は、格納されている制御情報を参照して、カードCが磁気カードかICカードかを判別し、その判断結果に応じて回転ユニット200を所定角度回動させて、選択した搬送パスを介してカードCをローラ対20,21で情報記録部800に搬送する。これにより、カード上に磁気的若しくは電気的にデータ入力することが可能となる。
【0018】
(画像形成部)
カードCを画像形成部300に送る場合には、ローラ対201,202でニップしたカードCが水平になるようにユニットフレーム203を回転する。そして、その状態でローラ対201,202を駆動して記録媒体搬送手段である搬送ローラ対401,402等を備えた第1搬送パスP1を介してカードCを画像形成部300へ搬送する。
【0019】
画像形成部300は、インク媒体である昇華型インクリボンを用いてフィルム状の転写媒体である転写フィルムにインク像を一次転写し、そのインク像を板状の記録媒体としてのカードCに二次転写して画像を形成する。そのために、画像形成部300は、インクリボン搬送部500と、転写フィルム搬送部600と、記録ヘッド701及びプラテンローラ702からなる一次転写部と、ヒートローラ703及び支持ローラ704からなる二次転写部(記録部)を有している。
【0020】
図1に示すように、インクリボン501はインクリボンカセット502に収納され、転写フィルム601は転写フィルムカセット602に収納されている。画像形成に際しては、後述するようにインクリボン501及び転写フィルム601が繰り出され、一次転写部において転写フィルム601に密着したインクリボン501に記録ヘッド701から画像信号に応じた加熱を行うことで溶融したインク像を転写フィルム601に一次転写する。そして、二次転写部において搬送される記録媒体であるカードCと前記インク像が転写された転写フィルム601が重なるように搬送し、ヒートローラ703を転写フィルム601に押圧させながら加熱することでインク像をカードCに二次転写して画像を形成する。インク像が転写された後のカードCはデカールユニット705に搬送されてデカール処理することで加熱によってカードCに生じた反りを矯正して排出部706へ排出される。
【0021】
画像記録に際して転写フィルム601の搬送は、搬送手段としてのフィルム搬送ローラ605によって行われる。
図1に示すように、転写フィルム601を搬送するフィルム搬送ローラ605の周面にピンチローラ606a,606bが配置され、このフィルム搬送ローラ605はフィルム搬送モータMR5に連結されている。このフィルム搬送モータMR5を駆動することにより転写フィルム601を搬送する。そして、転写フィルム601とインクリボン501とがニップされているときは転写フィルム601とともにインクリボン501も同一速度で搬送される。
【0022】
<インクリボン、転写フィルムの繰り出し、巻き取り>
【0023】
インクリボン501は搬送されるに応じ、リボン供給軸503から繰り出されるとともにリボン巻取軸504に巻き取られる。具体的には、
図1に示すように、リボン供給軸503側には未使用のインクリボン501が巻き付けられ、リボン巻取軸504には使用済みのインクリボン501が巻き付けられる。そして、リボン供給軸503はリボン供給モータMR1、リボン巻取軸504はリボン巻取モータMR2によって回転駆動する。
【0024】
一次転写時には、リボン供給軸503の未使用のインクリボンを、リボン供給モータMR1の回転駆動により記録ヘッド701がある一次転写部に繰り出す。そして、転写フィルム601への画像情報の印刷が終了したインクリボン501は剥離ローラ607において転写フィルム601から剥離され、リボン巻取モータMR2の回転駆動によりリボン巻取軸504に巻き取られる。
【0025】
転写フィルム601は、フィルム供給軸603に未使用の転写フィルムが巻き付けられており、記録に際してはフィルム供給モータMR3、フィルム巻取モータMR4及びフィルム搬送モータMR5を駆動してフィルム供給軸603から転写フィルム601の未使用部分が一次転写部よりもカードの長さ分だけフィルム巻取軸604側へ繰り出される。次に転写フィルム601はフィルム供給軸603へ巻き取られながら一次転写部においてインクリボン501のインクが一次転写される。インク像が転写された転写フィルム601は二次転写部へと搬送され、ヒートローラ703と支持ローラ704とのニップ部にカードCとともにニップされて搬送される間に、ヒートローラ703の加熱によって転写フィルム601のインク像がカードCに転写される。
【0026】
二次転写部においてカードCにインク像が転写された転写フィルム601は、剥離部材である剥離ピン707を通過することによりカードCと剥離してフィルム供給軸603へと巻き取られる。そして、次の記録の際は前記と同様にしてフィルム供給軸603から転写フィルム601の未使用部分が繰り出される。
【0027】
<カードの搬送制御>
上記のように、転写フィルム601に転写されたインク像はヒートローラ703と支持ローラ704とのニップ部を通過するときにカードに転写されて画像が形成される。そのために、カードの印刷領域と、転写フィルム601のインク像形成領域とが重なるように搬送する必要があり、記録開始前にカードCの印刷領域先端と転写フィルム601のはインク像形成領域とが所定の位置にあるように、いわゆる頭出し搬送をする。
【0028】
頭出し搬送をするにあたっては、カードが所定位置に搬送されたことを検出する必要がある。しかし、前述したようにカードが透明又は半透明である場合は通常のフォトセンサによる位置検出が困難である。そこで、本実施形態では搬送される転写フィルムの速度変化を検出することによってカードが所定位置に到達したことを検出可能とし、その検出結果によってカードの頭出し搬送制御するようにしている。
【0029】
図2はカードの搬送制御を行うための制御構成を示すブロック図である。本実施形態のリボン供給軸503、リボン巻取軸504にはそれぞれの軸と一体的に回転するリボン供給エンコーダ901、リボン巻取エンコーダ902が取り付けられている。また、同様に、フィルム供給軸603、フィルム巻取軸604にもそれぞれの軸と一体的に回転するフィルム供給エンコーダ903、フィルム巻取エンコーダ904が取り付けられている。これらエンコーダは、軸の回転に対応してパルスを発生し、そのパルスを検出手段によって検出することで軸の回転速度、すなわちインクリボン501、転写フィルム601の搬送速度を検出するものである。
【0030】
また、ヒートローラ703は支持ローラ704に対して移動可能となっており、このヒートローラ703を移動させて両ローラ間の距離を調整可能なニップモータMR6が設けられている。
【0031】
制御部900は、前記リボン供給エンコーダ901、リボン巻取エンコーダ902、フィルム供給エンコーダ903、フィルム巻取エンコーダ904からのパルス信号を入力する。また、後述するように転写フィルムの速度変化を検出するために時間計測するタイマー905からの信号を入力する。そして、制御部900は前記信号に応じて
図3乃至
図5に示すフローチャートの手順に従うようにリボン供給モータMR1、リボン巻取モータMR2、フィルム供給モータMR3、フィルム巻取モータMR4、フィルム搬送モータMR5、ニップモータMR6、さらにはカードCを搬送するための搬送ローラ対401,402,403,404や支持ローラ704を駆動回転させるカード搬送モータMR7の駆動を制御する。
【0032】
次に前記制御部900が転写フィルム601の搬送速度変化を検出することでカードの位置を検出し、カード部材の頭出し搬送をしつつカードに画像を転写する手順について説明する。
図3及び
図4はカードへの印刷を実行する手順を示すフローチャートであり、
図5はカードの頭出し搬送手順を示すフローチャートである。また、
図6乃至
図12にはカードの頭出し制御をするためのカードCと転写フィルムの搬送状態及び転写フィルム601の速度タイミングチャートを示す。
【0033】
まず、インクリボン501から転写フィルム601への印刷(一次転写)を行い、転写フィルム601にインク画像を形成する(S101)。次に転写フィルム601をフィルム供給軸603の方向へ所定量搬送し、転写フィルム601のインク像転写領域が二次転写部に対して所定位置に位置するように転写フィルム601を搬送をする(S102)。この状態で、ユーザがカードCをカード供給口に突き当てた状態でSETキーを押下するまで待つ。SETキーが押下されたら(S103)、カードCを所定量搬送することでヒートローラ703の直前の位置まで搬送する(S104)(
図6参照)。そして、ヒートローラ703を支持ローラ704に一度当接(ニップ)した後、所定距離Gだけ離間する(S105)。この所定距離Gは、記録媒体であるカードCの厚さよりも小さく、かつ、転写媒体である転写フィルム601の厚さよりも大きい距離である。例えば、本実施形態では厚さ0.76mmのカードCを用いた場合に、前記距離Gは0.2mmに設定している。なお、前記のように前記ニップ間距離GをカードCの厚さよりも小さくしても、支持ローラ704及びヒートローラ703の少なくとも一方をゴムローラ等の弾性を有するローラで構成することにより、支持ローラ704とヒートローラ703はカードC及び転写フィルム601をニップした状態で搬送することができる。
【0034】
次にカードCをカード排出口方向へ、搬送速度V1で搬送開始する(S106)。これと同時に転写フィルム601をフィルム供給軸603側へ、搬送速度V2で搬送開始する(
図7参照)。ここで、カードCの搬送速度V1(本実施形態では20mm/s)よりも転写フィルム601の搬送速度V2(本実施形態では50mm/s)を速い速度に設定している。
【0035】
本実施形態ではフィルム搬送モータMR5はDCモータであり、カード搬送モータMR7はパルスモータであって速度制御可能である。また、カードCと転写フィルム601の搬送速度を互いに異なる搬送速度に設定しているが、ヒートローラ703と支持ローラ704のニップ間距離GがカードCの厚さより小さい距離になっているため、カード先端がヒートローラ703にニップされると、転写フィルム601もカードCと同時にニップされる状態となる。この状態にあっては転写フィルム601を巻き取るフィルム供給軸603を駆動するフィルム供給モータMR3の駆動力はカードCを搬送するカード搬送モータMR7の駆動力よりも小さいためにフィルム供給軸603はカード搬送速度と同期して速度V1で転写フィルム601を巻き取るようになる。したがって、転写フィルム601の搬送速度を検出するフィルム供給エンコーダ903のパルスは速度V2から速度V1に変化する。その結果、後述するように転写フィルム601の搬送速度変化からカードCがヒートローラ703の位置を通過したことを検知可能となる。
【0036】
上記のようにカードCと異なる速度で搬送される転写フィルム601の搬送速度V2がカードCの搬送速度と同じ速度V1になるか否かをフィルム巻取エンコーダ904で監視し、その間の転写フィルム601の搬送速度及時刻の履歴を周期的に記録する(S109、S110)。転写フィルム601の搬送速度が急激に減速してカードCと同じ速度に変化するということは、前述のようにカードCがヒートローラ703と支持ローラ704にニップされたということであり、すなわちカードCの先端が前記ローラ対のニップ位置に到達したということである(
図8参照)。
【0037】
なお、SETキーが押されてから所定時間ta(本実施形態では2.9s)が経過しても転写フィルム601の搬送速度に変化がないときは(S108)、カードCが搬送開始から所定時間たってもカードCが前記ニップ位置に到達しないということになり、これはカードCの搬送不良と判断できるため、エラー表示をして印刷を中止する(S111)。
【0038】
一方、SETキーが押されてから所定時間ta内に転写フィルム601の搬送速度がカードCの搬送速度と同じになった後(
図9参照)、そのときから更に所定時間tb(本実施形態では100ms)カードC及び転写フィルム601を搬送してからこれらの搬送を停止する(S112、S113)(
図10参照)。これは転写フィルム601の搬送速度変化によってカードCが前記ローラ対にニップされたことを検出する場合、転写フィルム601の搬送速度が瞬間的に変化する等のノイズによる誤検出を防止し、カードCが前記ローラ対に確実にニップされたことを判別するためである。
【0039】
次に、ヒートローラ703を支持ローラ704から離間してカードC及び転写フィルム601のニップを解除し(S114)、一次転写で転写フィルム601に形成したインク像がヒートローラ703の位置にくるよう、転写フィルム601をフィルム巻取軸604側に搬送することで、転写フィルム601の頭出しを行う(S115)。また、カードCの先端をヒートローラ703の位置まで戻すためのカード頭出し動作を行う(S116)(
図11参照)。
【0040】
(カードの頭出し)
ここで、前記ステップS116におけるカードの頭出し動作について、
図5に示すフローチャート及び
図12に示すフィルム搬送速度履歴表を参照して具体的に説明する。
【0041】
前述のステップS110で記録した転写フィルム搬送速度履歴を用い、まずフィルム搬送速度履歴を時系列昇順に検索を開始する(S301)。そして、速度V2(50mm/s)で搬送されていた転写フィルム601が最初にカードCと同じ速度V1(20mm/s)になった時点を見つけ(S302、S303)、このときの時刻を終了時刻t2として保存する(S304)。
【0042】
次に、前記時刻t2の時点から転写フィルム搬送速度履歴を時系列降順に検索していき、転写フィルム601がカードCとともにローラ対によってニップされる直前の速度V2になった最初の時点を見つけ(S305、S306)、そのときの時刻を開始時刻t1として保存する(S307)。
【0043】
上記時刻t1、t2からカードCの先端がヒートローラ703と支持ローラ704のニップ位置にきてから所定時間tb(100ms)搬送された状態、すなわち現在のカードCの先端位置が検出できる。具体的には、カードCの先端は、前記ローラ対によってニップされた位置から以下の距離Lだけ下流に進んだ位置にある。
【0044】
L={(t2-t1)+tb}×V1
したがって、カード先端が前記ローラ対のニップ位置にくるように頭出しする場合には、カードCを前記距離Lだけ戻すことで頭出しすることができる(S308)。
【0045】
以上のように、転写フィルム601の搬送速度の変化を検出することによりカードCの位置を検出することができる。このため、透明又は半透明のカードであっても、特別なセンサを使用することなく、カードの頭出し等の搬送制御が可能である。
【0046】
(印刷排出)
上記のようにして転写フィルム601及びカードCの頭出しが終了した後、カードCへの印刷を実行する。その手順は、
図4のフローチャートに示すように、ヒートローラ703を移動させて支持ローラ704とヒートローラ703とでカードC及び転写フィルム601をニップする(S201)。そして、ヒートローラ703の温調を行って二次転写温度まで上げる(S202)。
【0047】
次にカードC及び転写フィルム601を速度V3(本実施形態にあっては35mm/s)で搬送することで(S203)、前記一次転写で転写フィルム601に形成したインク像をカードCに二次転写する。そして、カードCの搬送距離がカード長さ(本実施形態にあっては86mm)以上となったら(S204)、二次転写が完了したと判断してヒートローラ703の温調を停止し(S205)、ヒートローラ703を支持ローラ704から離間する(S206)。なお、前記カード長さ搬送されたか否かはカード搬送モータMR7の駆動時間で管理する
ヒートローラ703の離間後もカードCはそのままの速度V3で搬送される。このとき転写フィルム601はヒートローラ703によって加熱されてカードCに密着した状態となり、転写フィルム601の剥離層がフィルム基体から剥離するまでは転写フィルム601とカードCとは離れることなく、カードCの搬送に伴って同期して搬送される。
【0048】
次に、ヒートローラ703の離間後、カードCの搬送距離が所定距離L1(本実施形態では29mm)を超えたか否かを判別する(S207)。この所定距離L1はカード後端がヒートローラ703によるニップ位置から剥離ピン707まで搬送される距離である。
【0049】
転写フィルム601は剥離ピン707の位置で屈曲搬送されることで(
図1参照)、カードCから剥離される。したがって、カードCの後端が剥離ピン707の位置を通過すると、転写フィルム601は剥離層の剥離が完了してカードCから離れて搬送される。このため、転写フィルム601は本来の搬送速度V2(50mm/s)で搬送されることになる。
【0050】
そこで、本実施形態にあっては、カードCを前記所定距離L1搬送した後、転写フィルム601の搬送速度がV2に変化したか否かを判別し(S208)、フィルム搬送速度がV2に戻っていない場合は、転写フィルム601の剥離が目論見通りに行えていないと判別し、エラー表示をして印刷を中止する(S211)。一方、転写フィルム601の搬送速度がV2になっていた場合は転写フィルム601の剥離が目論見通り行えたと判別して転写フィルム601の搬送を停止し(S209)、カードCを排出して(S210)印刷動作を終了する。
【0051】
上記のように、転写フィルム601の搬送速度の変化を検出することにより、カードCが所定位置、本実施形態の場合にはカード後端が剥離ピン707の位置を通過したか否かを検出することができ、これによってカードの搬送不良等を判別して搬送停止等の搬送制御を実行することができる。
【符号の説明】
【0052】
C …カード
MR3…フィルム供給モータ
MR4…フィルム巻取モータ
MR5…フィルム搬送モータ
MR7…カード搬送モータ
100…カード供給部
200…回転ユニット
300…画像形成部
401,402,403,404…搬送ローラ対
500…インクリボン搬送部
600…転写フィルム搬送部
601…転写フィルム
603…フィルム供給軸
604…フィルム巻取軸
607…剥離ローラ
701…記録ヘッド
702…プラテンローラ
703…ヒートローラ
704…支持ローラ
706…排出部
707…剥離ピン
901…リボン供給エンコーダ
902…リボン巻取エンコーダ
903…フィルム供給エンコーダ
904…フィルム巻取エンコーダ
905…タイマー