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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176878
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089426
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島崎 徳人
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC08
(57)【要約】
【課題】音量調整手段を備えた遊技機の趣向性を向上させること。
【解決手段】スピーカから出力される音量を遊技者が段階的に調整することを可能とする音量調整手段を備え、当該音量調整手段による音量の変更時に変更音が出力される遊技機であって、前記音量調整手段による音量の変更時には複数種の変更音のうちのいずれかが出力されるものであり、当該複数種の変更音の一部は所定状態になければ出力されない特別変更音とされていることを特徴とする遊技機とする。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカから出力される音量を遊技者が段階的に調整することを可能とする音量調整手段を備え、当該音量調整手段による音量の変更時に変更音が出力される遊技機であって、
前記音量調整手段による音量の変更時には複数種の変更音のうちのいずれかが出力されるものであり、当該複数種の変更音の一部は所定状態になければ出力されない特別変更音とされていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記所定状態は、遊技者が行うことができないリセット操作後のリセット状態であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
ただし、前記リセット操作は、電源のOFF/ON操作ではないものとする。
【請求項3】
複数種の前記変更音のうち、前記特別変更音ではない変更音は変更後の音量に応じた音量対応文言を含む一方、前記特別変更音は当該音量対応文言を含まないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記音量調整手段による音量が調整可能な段階のうちの一部は、特定段階とされており、
前記特別変更音は、音量を前記特定段階とする変更がなされなければ出力されないことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記特定段階は、音量が最大となる段階であることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技者が任意に音量を調整することが可能な音量調整手段を備えた遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-031441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、音量調整手段を備えた遊技機の趣向性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、スピーカから出力される音量を遊技者が段階的に調整することを可能とする音量調整手段を備え、当該音量調整手段による音量の変更時に変更音が出力される遊技機であって、前記音量調整手段による音量の変更時には複数種の変更音のうちのいずれかが出力されるものであり、当該複数種の変更音の一部は所定状態になければ出力されない特別変更音とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、音量調整手段を備えた遊技機の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示領域に表示された装飾図柄および保留図柄を示した図である。
図3】本実施形態にかかる遊技機の遊技状態(遊技性)を説明するための図である。
図4】モード選択演出を説明するための図である。
図5】先送りモード(先送りモード選択時の分岐変動)を説明するための図である。
図6】露見モード(露見モード選択時に発生しうる転落報知演出/転落回避演出)を説明するための図である。
図7】露見モード選択時の背景画像を説明するための図である。
図8】先送りモードと露見モードの作用の違い(転落報知タイミングの違い)を説明するための図である。
図9】具体例1-1を説明するための図である。
図10】具体例1-2を説明するための図である。
図11】具体例1-4を説明するための図である。
図12】具体例1-5を説明するための図である。
図13】音量調整手段の概要を説明するための図である。
図14】(a)は通常変更音と特別変更音を説明するための図であり、(b)は音量変更操作がなされた際に通常変更音および特別変更音のいずれが出力されるのかを説明するためのフロー(特別変更音が出力される場面を説明するための図)である。
図15】具体例2-1を説明するための図である。
図16】具体例2-4を説明するための図である。
図17】具体例2-5を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、特に明示した場合を除き、以下の説明における各種画像には、静止画だけでなく動画も含まれるものとする。また、「○○に遊技球が進入(入賞)」等というときは、厳密には当該○○に設けられたセンサが進入した遊技球を検出したことをいう。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞領域906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否抽選結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄70として、当否抽選(当否判定)結果を報知する変動中演出(装飾図柄80(装飾図柄群80g)の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう。以下、単に変動と称することもある)は開始されているものの、当否抽選結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否抽選結果を報知する変動中演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2参照)。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄群80g(左装飾図柄群80gL、中装飾図柄群80gC、右装飾図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群80gから一の装飾図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各装飾図柄群80gから選択されて停止した装飾図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ装飾図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。装飾図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
大当たりに当選した場合には大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、所定条件成立まで大入賞領域906(常態において閉鎖されている)が開放される単位遊技(いわゆる1「ラウンド」分の遊技のことをいう。以下の説明において「ラウンド」と称することもある)が一または複数回繰り返される。本実施形態では、大入賞領域906に遊技球が10個入賞する入賞条件、および、所定時間が経過する時間条件のいずれか一方が成立することをもって単位遊技が終了(大入賞領域906が閉鎖)する。継続的に大入賞領域906に向かって遊技球を発射していれば、時間条件が成立するよりも前に入賞条件が成立するように構成されている。大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)が多くなるほど、当該大当たり遊技にて得られる遊技者の利益(利益の期待値)が大きくなる。本実施形態では、大入賞領域906は遊技領域902の右側に設けられており(図1参照)、遊技者は遊技領域902の右側に遊技球が進入するよう遊技する(いわゆる「右打ち」を行う)。
【0018】
本実施形態にかかる遊技機1の遊技状態について説明する。図3に示すように、遊技状態は、大まかに、通常遊技状態と特定遊技状態に区分けされる。また、通常遊技状態はいわゆる低ベース状態であり、特定遊技状態はいわゆる高ベース状態(いわゆる時短状態)である。低ベース状態よりも高ベース状態の方が、始動領域904に遊技球が入賞しやすい。すなわち、当否抽選を受けやすい状態である。また、始動領域904に遊技球が入賞することで賞球が得られるため、低ベース状態よりも、高ベース状態の方が、遊技球の減少速度が小さい(一回の当否抽選を受けるのに減少する遊技球数の期待値が小さい)。したがって、通常遊技状態よりも特定遊技状態の方が、遊技者に有利な遊技状態であるといえる。通常遊技状態は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる(いわゆる左打ちを行う)遊技状態である。特定遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる(いわゆる右打ちを行う)遊技状態である。特定遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい(通常遊技状態よりも当選しやすい)状態である。当該開放抽選に当選した場合、第二始動領域904bに設けられた開閉部材(いわゆる電チュー)が開放し、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する状態となる。
【0019】
特定遊技状態は、第一特定遊技状態と第二特定遊技状態に区分けされる(図3参照)。第一特定遊技状態は当否抽選に当選する確率が相対的に低い低確率状態(低確率・高ベース)である。第二特定遊技状態は当否抽選に当選する確率が相対的に高い高確率状態(高確率(確変)・高ベース)である。したがって、第一特定遊技状態よりも第二特定遊技状態の方が遊技者に有利な状態である。本実施形態では、高確率状態での大当たり確率(当否抽選の当選確率)は約1/50であり、低確率状態での大当たり確率(当否抽選の当選確率)は約1/319に設定されている。
【0020】
2)遊技性
図1および図3を参照して本実施形態にかかる遊技機1の遊技性について説明する。本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆる(確変)「転落」タイプの遊技性を有するものである。遊技者は、まずは通常遊技状態にて大当たり当選を目指し遊技する。大当たりに当選した場合、大当たり遊技終了後は第二特定遊技状態(高確率・高ベース)に移行する。本実施形態では、100%の確率で大当たり遊技終了後の遊技状態は第二特定遊技状態となるように設定されているが、100%未満の所定の確率で第二特定遊技状態となるように設定された構成としてもよい(公知の「V確変機」としてもよい)。
【0021】
第二特定遊技状態においては、始動領域904(第二始動領域904b)に遊技球が入賞することを契機とした当否抽選により大当たり当選を目指して遊技する。第二特定遊技状態にて大当たり当選した場合には、いわゆる連荘となる。ただし、第二特定遊技状態においては、始動領域904(第二始動領域904b)に遊技球が入賞することを契機として、当否抽選だけでなく、転落抽選が実行される。つまり、同じ事象(始動領域904に入賞するという事象)を契機として、当否抽選および転落抽選という二つの抽選が実行される(転落抽選を回避して、当否抽選を受けることは不可能である)。当該転落抽選に当選した場合には、第二特定遊技状態から第一特定遊技状態に移行する。つまり、高ベース状態は維持されるものの、当否抽選の当選確率が高確率から低確率に移行(以下、転落や低確移行と称することもある)する。なお、本実施形態では、第二特定遊技状態における当否抽選の当選確率(大当たり確率)の方が、転落抽選の当選確率(本実施形態では、転落抽選の当選確率は約1/120である)よりも高い。したがって転落抽選に当選するよりも前に大当たりに当選する蓋然性の方が高い。また、大当たりに当選することと転落抽選に当選することが同時に起こる可能性はない(同時に起こる可能性はあるが、同時に起こった場合には一方の当選が無効とされるような構成としてもよい)。当否抽選および転落抽選の一方に当選する場合は、他方に当選していないことになる。
【0022】
特定遊技状態は、転落抽選に当選しているか否かにかかわらず、第二特定遊技状態(高確率状態)の開始から少なくとも当否抽選が連続して所定回数(N回)はずれとなるまで継続する。本実施形態では、N=100とされている。すなわち、特定遊技状態(高ベース状態)は少なくとも100回連続してはずれとなるまで継続する(いわゆる時短回数は最低100回である)。ただし、当否抽選が100回連続してはずれとなった時点で特定遊技状態が終了するのは、それまでに既に転落抽選に当選している場合、すなわち低確率状態に移行していた場合である。つまり、第二特定遊技状態(高確率状態)の開始から100回目の当否抽選(時短100回目)が低確率状態で行われた場合、または、当該100回目に転落抽選に当選した場合には、当該100回目の当否抽選がはずれとなることをもって特定遊技状態(高ベース状態)は終了する。一方、第二特定遊技状態(高確率状態)の開始から100回目の当否抽選が高確率状態で行われ、当該100回目に転落抽選に当選しなかった場合には、当該100回目の当否抽選がはずれとなった以降も第二特定遊技状態(高確率・高ベース状態)は継続する。この場合、第二特定遊技状態(高確率・高ベース状態)は、当否抽選および転落抽選のいずれかに当選するまで継続する。当否抽選に当選した場合はいわゆる「連荘」となる。転落抽選に当選した場合にはそこで第二特定遊技状態(高確率・高ベース状態)はが終了して通常遊技状態に移行する。つまり、101回目以降(時短100回超)は、転落抽選に当選するよりも前に当否抽選に当選することを遊技者が願う遊技性となる。
【0023】
第二特定遊技状態(高確率・高ベース状態)が開始されてから100回目の当否抽選が実行されるよりも前に転落抽選に当選していた場合には、当該転落抽選に当選した後も、当該100回目の当否抽選が実行されるまでは第一特定遊技状態(低確率・高ベース状態)とされる。第一特定遊技状態にて当否抽選に当選した場合はいわゆる「連荘」となる。
【0024】
また、本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆる「天井」(「遊タイム」とも称されている)が搭載されたものである。通常遊技状態で900回連続してはずれとなった場合には、低確率・高ベース状態である天井遊技状態に移行する(当該天井遊技状態を以下単に「天井」と称することもある)。すなわち、天井回数=900回に設定されたものである。天井遊技状態は、1000回連続してはずれとなった場合には終了して通常遊技状態に戻る。すなわち、天井遊技状態の継続回数=1000回に設定されたものである。なお、天井遊技状態から通常遊技状態に移行した場合、(後述するリセット操作がなされなければ)そこから900回連続してはずれとなっても天井遊技状態には移行しない。天井遊技状態にて大当たりに当選しても、その大当たり遊技終了後は第二特定遊技状態に移行する。上記天井回数や継続回数は適宜変更可能である。
【0025】
3)演出モード
上記の通り、本実施形態にかかる遊技機1は、転落タイプの遊技性を有するものであるところ、高確率状態からの転落(低確移行)の報知態様が異なる演出モードとして、複数種のモードが設けられている。本実施形態では、「先送りモード」と「露見モード」の二種類が設けられており、いずれのモードが設定されているかに応じ、低確移行の報知態様が異なることになる。なお、設定されているモードに応じて報知態様が異なるのは、高確率状態(第二特定遊技状態)の開始から100回目の当否抽選の実行までに転落抽選に当選した場合である。以下の説明においては、それまでに転落抽選に当選しているかどうか(高確率状態および低確率状態のいずれにあるか)は関係なく、高確率状態(第二特定遊技状態)の開始から100回目の変動中演出を、「分岐変動」と称することもある。
【0026】
高確率状態に移行する際、先送りモードおよび露見モードのいずれが設定された状態とするかを、遊技者が任意に選択することができる。本実施形態では、通常遊技状態にて当選した大当たり(いわゆる初当たり)遊技の終了後は第二特定遊技状態(高確率・高ベース状態)に移行するところ、当該初当たりとなった大当たり遊技のエンディング期間(第二特定遊技状態が開始される直前)にて、モード選択演出が実行される。本実施形態では、特定遊技状態を表す名称(○○RUSH)が表示されて特定遊技状態が開始されることが示されるととともにモード選択演出が実行される。
【0027】
モード選択演出の具体的態様は種々考えられる。本実施形態では、操作手段60である十字キー62および押しボタン61の操作により遊技者に対し好みのモードの選択を促すモード選択演出が実行される(図4参照)。当該モード選択演出においては、先送りモードおよび露見モードの説明が併せてなされるようにしてもよい。また、遊技者に対し示される各モードの名称はどのようなものであってもよい(本実施形態では、先送りモードは「最終報知モード」、露見モードは「即報知モード」と称される)。
【0028】
先送りモードは、高確率状態にて転落抽選に当選して低確率状態に移行することが決まった場合であっても、所定条件が成立するまでは低確率状態に移行したこと(転落抽選に当選したこと)が遊技者に報知されないモードである。なお、ここでいう「報知」とは、メインの表示領域911にて実行される演出により報知がなされるという意味である。表示領域911外に設けられたランプの点灯パターン等(インターネットや雑誌から知識を得なければ何を表しているのか分からない情報)により転落抽選の当選が示される(低確率状態への移行が示されること)は、ここでいう報知にあたらないものとする。すなわち、一般的な遊技者はメインの表示領域911にて実行される演出を見ながら遊技するところ、当該一般的な遊技者にも分かるように当該表示領域911にて実行される演出(画像)によるものが「報知」にあたるものとする(以下、当該先送りモードや露見モードの説明にて単に「報知」というときは同じ)。
【0029】
本実施形態では、先送りモードを選択したときには、第二特定遊技状態(高確率状態)の開始から100回目の変動中演出(分岐変動)まで100回連続してはずれとなった場合に、当該分岐変動にて転落抽選に当選していたかどうかが判明するものとされている(分岐変動まで至ることが上記所定条件の成立とされている)。当該分岐変動にて、転落抽選に当選していたかどうかを示す事後報知演出が開始される(図5(a)参照)。事後報知演出は、遊技者に有利な状況となったことを示す有利結末(図5(b-1)参照)または遊技者に不利な状況となったことを示す不利結末(図5(b-2)参照)に至る(有利結末として、一旦不利結末に至ったように見せかけた後、それが覆されるいわゆる逆転パターンが発生するようにしてもよい)。分岐変動まで転落抽選に当選しなかった場合、すなわち分岐変動終了時点でも高確率状態であった場合には事後報知演出は有利結末に至る。このような有利結末に至った場合は、未だ高確率状態にあるということであるため、高ベース状態(第二特定遊技状態)が大当たり当選または転落抽選に当選するまで継続することになる。一方、分岐変動までに転落抽選に当選していた場合、すなわち分岐変動終了時点で低確率状態であった場合には事後報知演出は不利結末に至る。このような不利結末に至った場合は、既に低確率状態にあり、分岐変動にて100回の高ベース状態が終了することになるため、次変動からは通常遊技状態となる。
【0030】
なお、本実施形態では、分岐変動が大当たり変動である場合(ちょうど100回目が大当たりとなるのであるから稀な事象ではある)でも、当該分岐変動にて事後報知演出が開始される。具体的には、上記有利結末および不利結末とは異なる結末(特別結末(図5(c)参照))に至る事後報知演出(事後報知演出は既に低確移行が生じているか否かを報知するものであるから、厳密には(結末に至る前までが)事後報知演出と同一視される別の演出ということである)が実行される。すなわち、有利結末および不利結末のいずれかに至ることで既に転落しているかどうかが報知されると見せかけて、そのいずれでもない特別結末に至ることで、大当たりが報知されるパターンも発生しうる構成としている。
【0031】
露見モードは、高確率状態にて転落抽選に当選して低確率状態に移行したときには所定条件が成立する前であっても低確率状態に移行したことが報知されるものである。上述した通り、本実施形態では分岐変動に至ることが所定条件の成立とされているのであるから、分岐変動に至るまでの変動(高確率状態(第二特定遊技状態)の開始から1~99回目の変動)にて転落抽選に当選した場合には、分岐変動よりも前に低確移行が発生したことが報知されるということである。本実施形態では、露見モードが設定されている場合、転落抽選に当選した変動(以下、転落変動と称することもある)にて、低確移行が発生したことを示す転落報知演出が実行される。転落変動の次の変動からは、低確率状態となる(低確率状態にあるということが判明する)ということである。
【0032】
本実施形態では、転落抽選に当選しなかった変動にて、転落回避演出が発生しうる(ただし、転落回避演出は毎変動発生するというものではない)。転落報知演出と転落回避演出は、開始から途中までは共通する(どちらの演出であるか遊技者には分からない)(図6(a)参照)。具体的には、当該共通部分を経て遊技者に不利な状況となったことを示す結果(不利結果)に至る演出が転落報知演出(図6(b-1)参照)であり、当該共通部分を経て遊技者に不利な状況とならなかったことを示す結果(回避結果)に至る演出が転落回避演出(図6(b-2)参照)とされている。すなわち、「共通部分+不利結果(を示す部分)」が転落報知演出であり、「共通部分+回避結果(を示す部分)」が転落回避演出である。共通部分の演出は、転落が発生するおそれがあることを示唆するような態様とされる。これにより、遊技者は、共通部分の演出が発生したときに残念な事象(転落)が発生するおそれがあることを感じる。そのため、共通部分の演出が発生したときには、これが回避されること(回避結果に至ること)を遊技者は願うことになる。転落報知演出が発生した場合には、次変動は低確率状態(第一特定遊技状態)にあることが確定する。転落回避演出が発生した場合には、次変動は高確率状態(第二特定遊技状態)にあることが確定する。
【0033】
露見モードが設定されているときにある変動にて転落報知演出が発生した場合には、次の変動からは第一特定遊技状態(低確率・高ベース状態)であることを示す専用の画像を表示領域911に表示し、第一特定遊技状態に移行したことを遊技者に示す。当該画像としては、装飾図柄80の背景として表示される背景画像を用いることができる。例えば、「昼」を表す第二背景画像12(図7(a)参照)と、「夜」を表す第一背景画像11(図7(b)参照)を用意する。第二特定遊技状態にあるときには(転落変動の終了までは)第二背景画像12が表示される。第一特定遊技状態にあるとき(転落変動の次の変動からは)第一背景画像11が表示される。このようにすることで、遊技者は、背景画像の変化により、低確移行が発生したことを感じ取ることができる。つまり、露見モードは、転落変動にて低確移行が報知されるモードであるから、高確率状態から低確率状態へ移行したことを、背景画像の変化により明確に示すようにしている。なお、このような背景画像の変化は、転落抽選に当選したことの報知を「先送り」する先送りモードでは当然生じない。
【0034】
先送りモードを選択した場合と露見モードを選択した場合の遊技性(各演出モードの作用)の違いは次のようなものである。仮に、第二特定遊技状態(高確率状態)の開始から50回目の抽選(50回目の変動)にて転落抽選に当選する(51回目の変動から低確率状態である)とする(図8参照)。先送りモードを選択していれば、転落変動である50回目の変動にて低確移行は報知されず、(そのまま大当たりに当選しなかった場合には)分岐変動(100回目)の変動にて不利結末に至る事後報知演出が実行される(転落報知タイミングが分岐変動である)。露見モードを選択していれば、転落変動である50回目の変動にて転落報知演出が実行されて低確移行が報知される(転落報知タイミングが転落変動である)。よって、先送りモードを選択した場合には、51回目の変動以降も、(実際には既に低確率状態であるが)高確率状態にあることに期待しながら遊技することができる。一方、露見モードを選択した場合には、51回目の変動以降は、低確率状態にあることを分かった上で遊技することになる。また仮に、51回目の変動から分岐変動の終了までに大当たりに当選したとすると、先送りモードを選択した場合には当該大当たりが高確率状態での当選(高確率状態での連荘)か低確率状態での当選(低確率状態でのいわゆる「引き戻し」による連荘)かが明確には分からないが、露見モードを選択した場合には当該大当たりが低確率状態での当選である(低確率状態でのいわゆる「引き戻し」による連荘)ことが明確に分かることになる。
【0035】
なお、どちらのモードを選んでいても、分岐変動終了時にはそれまでに転落抽選に当選していたかどうかが必然的に判明することになる(転落抽選に当選していなかった場合には高ベース状態が継続し、転落抽選に当選していた場合には高ベース状態が終了するから)。よって、分岐変動まで転落抽選に当選しなかったとき、すなわち分岐変動以降も高確率状態(第二特定遊技状態)が継続するときには、どちらのモードを選んでいても低確移行の報知態様は同じとされている。すなわち、転落抽選に当選しておらず高確率状態にある101回目の変動からは、大当たりに当選した場合には当該変動で大当たり当選が報知され、転落抽選に当選した場合には当該変動で低確移行(転落)を報知する演出が実行される。
【0036】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、転落抽選の当選により高確率状態が終了する転落タイプの遊技機であるところ、当該転落抽選に当選したことの報知タイミングが遊技者の選択モードにより異なるという面白みのある遊技性が実現される。転落抽選に当選したことが分岐変動まで分からない状態で遊技したい遊技者は先送りモードを、転落抽選に当選したことが即座に分かるようにしたい遊技者は露見モードを選択すればよい。
【0037】
以下、上記演出モードに関する事項を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0038】
○具体例1-1
上記実施形態では、遊技者が好みの演出モード(先送りモードおよび露見モードのいずれか)を選択することが可能であることを説明したが、遊技者の選択によらず、自動的に一の演出モードが設定される(遊技者に示されずに内部的にどちらかの演出モードが設定される)構成としてもよい。すなわち、上記実施形態にて説明したようなモード選択演出は実行されず、先送りモードおよび露見モードのいずれが設定されているのかが遊技者に示されずに第二特定遊技状態(高確率状態)が開始される構成とする。
【0039】
本例のようにした場合、先送りモードおよび露見モードのいずれが設定されているのかが遊技者には明確には分からないことによる作用が奏されることになる。具体的には、分岐変動に到達する前の状態にて未だ転落の報知がなされていない状態においては、先送りモードが内部的に設定されているとすれば既に転落している可能性(先送りモードが設定されているがゆえに未だ転落が報知されていない可能性)があり、露見モードが内部的に設定されているとすれば未だ転落していないことが確定するということになる(図9参照)。したがって、遊技者は、現在の演出モードがどちらであるのかを想定しつつ、未だ高確率状態が継続しているのかどうかを予測しながら遊技することができる。
【0040】
○具体例1-2
上記実施形態のように、演出モードを複数種のモードのうちから遊技者が任意に選択可能である構成とする。これを前提とし、上記具体例1-1にて説明したような、先送りモードおよび露見モードのどちらかが自動に設定されるものであって、いずれが設定されたのかが遊技者には示されない演出モード(不明モード)がモード選択演出における選択肢として提示されるものとする(図10参照;当該図では不明モードを「???モード」としている)。このようにすることで、先送りモードや露見モードで遊技したい遊技者のニーズにも応えることができるし、どのモードが設定されているかが分からない状態で遊技したい遊技者のニーズにも応えることができる。
【0041】
○具体例1-3
上記実施形態では、いわゆる初当たりとなった大当たり遊技のエンディング期間にて演出モードを選択することが可能であることを説明したが、それ以外の期間においても演出モードが選択可能な構成としてもよい。例えば、特定遊技状態(第一特定遊技状態、第二特定遊技状態)にて当選した大当たり(「連荘」となった大当たり)遊技のエンディング期間にて演出モードを選択すること(変更すること)が可能な構成としてもよい。
【0042】
ただし、変動中(特定遊技状態の変動中演出中)に演出モードを選択(変更する)ことはできないようにされる。第二特定遊技状態が(高確率状態)が開始された後は、既に転落抽選に当選している可能性がある(高確率状態および低確率状態のいずれの可能性もある)。よって、低確移行が既に発生したかどうかの報知に関するモードを、高確率状態および低確率状態のいずれであるのか分からない変動中に変更できるようにすることは好ましくない。あくまで、大当たり遊技終了後に新たに第二特定遊技状態(高確率状態)が開始される場合にて、当該第二特定遊技状態の開始前に演出モードを選択(変更)しておく必要がある構成とする。
【0043】
○具体例1-4
上記実施形態における露見モードは、転落変動で転落報知演出が実行されることを説明したが、転落変動で転落報知演出が実行されるとは限られない構成としてもよい。具体的には、転落変動を含めたそれ以降の変動であって分岐変動の開始よりも前に転落報知演出が実行されるものとする。例えば、第二特定遊技状態(高確率状態)の開始から75回目の変動で転落抽選に当選した場合には、75回目~99回目の変動のいずれかで転落報知演出が実行されるものとする(図11(a)参照)。このような構成の露見モードとしても、分岐変動(100回目の変動)で転落していたことが報知される先送りモードよりも早く転落が報知されるといえる。すなわち、比較的早く低確移行が報知されることを望む遊技者は露見モードを、分岐変動まで先送りされることを望む遊技者は先送りモードを選択すればよい。
【0044】
また、上記実施形態のように転落変動で必ず転落報知演出が発生する露見モード(露見モードA)と、本例のように転落変動を含めたそれ以降の変動であって分岐変動の開始よりも前に転落報知演出が実行される露見モード(露見モードB)とが設けられた構成としてもよい(図11(b)参照)。転落したかどうかを明確に知りたい遊技者は露見モードAを選択すればよいし、転落したかどうかをある程度暈しつつも分岐変動よりも前に知りたい遊技者は露見モードBを選択すればよい。
【0045】
○具体例1-5
上記実施形態における先送りモードは、分岐変動にて転落していたかどうかが報知される(分岐変動にて事後報知演出が実行される)ものであることを説明したが、分岐変動にて転落報知がなされるとは限られない構成としてもよい。具体的には、先送りモードは、転落変動を含めず、転落変動の次の変動の開始から分岐変動の終了まで(転落変動の次の変動から分岐変動までの変動のいずれか)に転落が報知される構成とする。例えば、第二特定遊技状態(高確率状態)の開始から75回目の変動で転落抽選に当選した場合には、76回目~100回目の変動のいずれかで転落報知演出が実行されるものとする(図12(a)参照)。このような構成の先送りモードとしても、転落変動で転落していることが報知される露見モードよりも遅く転落が報知される(報知が先送りされる)といえる。すなわち、比較的遅く低確移行が報知されることを望む遊技者は先送りモードを、分岐変動まで先送りされることを望む遊技者は先送りモードを選択すればよい。
【0046】
また、上記実施形態のように分岐変動で必ず事後報知演出が発生する先送りモード(先送りモードA)と、本例のように転落変動の次の変動の開始から分岐変動の終了までに事後報知演出が実行される先送りモード(先送りモードB)とが設けられた構成としてもよい(図12(b)参照)。転落したかどうかを必ず分岐変動まで暈したい(明確に知りたくない)遊技者は先送りモードAを選択すればよいし、事後報知演出が発生する変動が不定であるようにしたい(いつ事後報知演出が発生するかが分からない遊技性としたい)遊技者は先送りモードBを選択すればよい。
【0047】
4)特別変更音
本実施形態にかかる遊技機1は、スピーカ65から出力される音の音量(大きさ)を、遊技者が任意に段階的に変化させること(調整すること)が可能な音量調整手段を備える。当該音量調整手段自体は公知であるから詳細な説明は省略する。本実施形態では、音量を5段階(音量1(最低音量)~音量5(最大音量)の5段階)で調整することができる。ただし、当該段階の数は適宜変更可能である。
【0048】
本実施形態では、遊技者が操作可能な操作手段60の一種である十字キー62の左右を操作することで音量が変化する。具体的には、十字キー62の左右の一方を操作することで音量が1段階低くなり、他方を操作することで音量が1段階高まるものとされている(図13参照;図13には音量を2段階上げる操作を行った例を示す)。本実施形態では、当該操作がなされることにより音量が変化したこと(操作後の音量の段階)を示す画像(音量画像50)が表示領域911に表示される(図13(b)(c)参照)。本実施形態では、変動中演出が実行されていない状態(待機状態)中でも、変動中演出中であっても音量を変化させることもできる。ただし、変動中演出中は音量を変化させることができず、待機状態中に変化させることができる構成としてもよい。
【0049】
音量調整手段による音量の変更時には、音量の変更がなされたことを明確にするために変更音がスピーカ65から出力されることがある(図13(b)(c)参照。ただし、当該図に記載される変更音は後述する通常変更音である)。出力される変更音は、変更後の音量で出力される。例えば音量3から音量4への変更がなされた場合(図13(b)参照)には変更音は音量4に対応する大きさで、音量4から音量5への変更がなされた場合(図13(c)参照)には変更音は音量5に対応する大きさで出力される。よって、出力される変更音の大きさにより、変更後の音量がどの程度なのかを遊技者が把握する目安にもなる。本実施形態では、待機状態中に音量を変更させた際には変更音が出力されるものの、変動中演出中に音量を変更させた際には変更音が出力されない。変動中演出中は、実行される各種演出に応じた演出音や背景音(BGM)が出力されているため、この演出音等が聴き取りにくい状況とならないようにするため音量の変更がなされても変更音が出力されないようにしている。ただし、変動中演出中であっても音量の変更がなされた際には変更音が出力される構成とすることを否定するわけではない。
【0050】
当該変更音として、複数種の変更音が設けられており、待機状態中に音量の変更がなされた際には当該複数種の変更音のうちのいずれか一つがスピーカ65から出力される。なお、ここでいう各種変更音の違いは音の大きさ(音量)の違いによるものではない。複数種の変更音は、通常変更音と特別変更音(図14(a)参照)に区分けされる。
【0051】
本実施形態における通常変更音は、変更後の音量に応じた音量対応文言を含むものである。上述した通り、本実施形態では、音量1~音量5の5段階で音量を調整することが可能であるため、音量1~音量5のそれぞれに対応する通常変更音が設けられている。音量1に対応する通常変更音は「音量は1です」の文言を、音量2に対応する通常変更音は「音量は2です」の文言を、・・・音量5に対応する通常変更音は「音量は5です」の文言を含むものとされる(図14(a)参照)。すなわち、「音量○」の変更後の音量を表す文言を含むものとされる。このような通常変更音が出力されるようにすることで変更後の音量が分かりやすくなる。
【0052】
一方、特別変更音は、通常変更音とは異なる特殊な音である。本実施形態における特別変更音は、上記音量対応文言を含むものではない。本実施形態では、あるキャラクタの「いくぞー」のセリフ(文言)を含む特別変更音とされている(図14(a)参照)。当該キャラクタは、遊技機1のモチーフ(タイアップ)とされた漫画等に登場するキャラクタであり、本実施形態では変動中演出を構成する演出(リーチ演出等)にも登場するキャラクタである。なお、二種以上の特別変更音が設けられた構成としてもよい。例えば、上記セリフの内容が異なる二種以上の特別変更音が設けられ、条件(後述)を満たしたときにはそのうちの一種が出力されるものとする。
【0053】
当該特別変更音は、所定状態にあるときに音量変更がなされることを条件として出力される。所定状態になければ音量変更がなされたときに通常変更音が出力される。本実施形態では、当該所定状態はリセット状態とされている。リセット状態は、遊技店(遊技店員)が行うことができるものであって遊技者が行うことができないリセット操作後の状態である。ただし、当該リセット操作は、電源のOFF/ON操作(電源をONとする操作)ではない。本実施形態では、いわゆるRAMクリア操作(抽選回数等の遊技情報を記憶する記憶手段のクリア操作)がリセット操作とされている。リセット操作がなされた場合には遊技状態は通常遊技状態となるとともに、天井遊技状態までに必要な当否抽選回数(低確率抽選の回数)もリセットされる。上述した通り、本実施形態では天井回数=900回であるため、リセット状態にある場合には天井到達までに通常遊技状態にて900回連続してはずれとなることが必要となる(図3参照)。これに対し、リセット操作がなされず、電源のOFF/ON操作のみがなされた場合には、前営業日の抽選回数が引き継がれる。例えば、前営業日において通常遊技状態が開始されてから250回の当否抽選が実行された状態で閉店を迎えたとする。リセット操作がなされた場合には天井到達までに必要な当否抽選の回数は900回であるが、リセット操作がなされなかった場合(電源のOFF/ON操作のみがなされた場合)は天井到達までに必要な当否抽選の回数は750回となる。すなわち、天井到達までに必要な当否抽選の回数がリセット状態にあるか否かによって異なるため、営業開始後未だ変動中演出が実行されていない状態(いわゆる朝一状態)にある遊技機1がリセット状態にあるか否かは遊技者の関心事項の一つであるといえる。
【0054】
本実施形態では、リセット状態後、最初の音量変更がなされたときには、特別変更音が出力される(図14(b)「S1→S2(Y)→S3」)。よって、特別変更音が出力された場合にはリセット状態にあることが確定する。一方、リセット状態になければ、音量変更がなされても特別変更音が出力されず、通常変更音が出力される(図14(b)「S1→S2(N)→S5」)。遊技者は、いわゆる朝一状態にて音量変更を行うことで、リセット状態にあるか否かを知ることができる。
【0055】
本実施形態では、特別変更音が出力されることを契機としてリセット状態が終了する(図14(b)「S3→S4」)。したがって、その後音量変更がなされたとしても特別変更音は出力されない(通常変更音が出力される)。つまり、本実施形態では、リセット状態での最初の音量変更を契機として特別変更音が出力され、それ以降は(次のリセット操作がなされるまでは)通常変更音が出力されるということである。
【0056】
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、いわゆる朝一状態にて、音量変更を行ったときに特別変更音が出力された場合には、リセット操作がなされたことが判明する。裏を返せば、いわゆる朝一状態にて、音量変更を行ったときに特別変更音が出力されなければ(通常変更音が出力されれば)、リセット操作がなされなかったことが判明する。リセット操作がなされたか否かは、天井到達までに必要な抽選回数の多少にかかわるものであるところ、音量変更により当該リセット操作の有無が把握できるという面白みのある遊技性が実現される。
【0057】
また、本実施形態では、通常変更音は変更後の音量に応じた音量対応文言を含むものである一方、特別変更音は音量対応文言を含まないものである。よって、特別変更音の存在を知らない遊技者であっても、特別変更音が「通常の音」ではないことを察知する可能性がある(インターネットや雑誌等から情報を得て、特別変更音の存在を知るきっかけになる)。
【0058】
以下、上記特別変更音に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0059】
○具体例2-1
音量調整手段による音量が調整可能な段階(上記実施形態では音量1~音量5の5段階)のうちの一部が特定段階であるとする。当該特定段階に音量変更がなされなければ特別変更音が出力されない構成とする。例えば、音量1~音量5のうちの一つである音量Xが特定段階であるとする。リセット状態にて最初に音量Xへの変更がなされることを契機として特別変更音が出力される(図15「S1→S2(Y)→S3(Y)→S4」)ものとする。リセット状態にあっても、変更後の音量が音量Xではない場合には通常変更音が出力される(図15「S1→S2(Y)→S3(N)→S6」)。このようにすることで、リセット状態にて一回の音量変更操作がなされても特別変更音が出力されるとは限られない構成となる。
【0060】
当該特定段階(音量X)は、最大音量とすることが好ましい。上記実施形態のように音量1~音量5の5段階であるのであれば、音量5を特定段階とすることが好ましい。このようにすることで、特別変更音が最大音量で出力されることになるから、特別変更音を聞き逃してしまうおそれが低減される。
【0061】
また、上記特定段階を決まった段階とするのではなく、毎回変化しうる(ランダムである)構成としてもよい。例えば、リセット操作時に抽選がなされ、当該抽選の結果により特定段階が決定される構成としてもよい。このようにした場合には、いずれの音量が特定段階とされているかが分からないから、特別変更音が出力されないこと(リセットされていないこと)を確認するためには、音量を全ての段階に一度は設定しなければならないことになる。
【0062】
○具体例2-2
上記実施形態では特別変更音が出力されることを契機としてリセット状態が終了すること(特別変更音が出力されるのはリセット操作後一回のみであること)を説明したが、特別変更音が出力されてもリセット状態が終了しないようにしてもよい。
【0063】
例えば、リセット操作がなされた後、一回の変動中演出が実行される(一変動が終了する)ことを契機としてリセット状態が終了するようにしてもよい。このようにした場合には、変動中演出が実行されない限り、リセット状態にて音量変更操作がなされる度に特別変更音が出力されることになる。よって、特別変更音を聴き逃してしまうおそれが低くなる。
【0064】
○具体例2-3
上記実施形態における通常変更音は音量対応文言を含むことを説明したが、このような音量対応文言を含まない効果音(単なる電子音)であるものとしてもよい。このようにすることで、単なる効果音である通常変化音と、キャラクタから発せられたセリフ(文言)である特別変更音との違いが際立つため、特別変更音が出力されたことに遊技者が気付かないおそれが低減される。
【0065】
○具体例2-4
リセット状態にて最初に音量変更がなされることを契機として特別変更音が出力されるとは限られない設定とする。例えば、リセット状態にて最初に音量変更がなされたとき、70%の確率で特別変更音が出力される(図16「S1→S2(Y)→S3(Y)→S4」)ものの、30%は特別変更音が出力されずに通常変更音が出力される(図16「S1→S2(Y)→S3(N)→S6」)構成とする(所定の当選確率の音抽選に当選した場合に特別変更音が出力される構成とする)。なお、当該確率は100%未満であれば適宜変更可能である。
【0066】
上記実施形態のような構成とした場合、いわゆる朝一状態にてなされた最初の音量変更を契機として通常変更音が出力された場合にはリセット状態ではないことが確定する。一方、本例のようにすれば、通常変更音が出力されてもリセット状態にある可能性はあるという遊技性となる。
【0067】
○具体例2-5
上記実施形態では、いわゆる朝一状態にて最初に音量変更がなされたとき、リセット状態になければ通常変更音が出力されることを説明したが、通常変更音および特別変更音のいずれでもない音(非特別変更音)が出力されるものとする。つまり、リセット操作がなされた状態(リセット状態)にて最初に音量変更がなされたときには特別変更音が(図17「S1→S2(Y)→S3→S4」)、電源のOFF/ON操作のみであってリセット操作がなされていない状態(非リセット状態)にて最初に音量変更がなされたときには非特別変更音が(図17「S1→S2(N)→S5(Y)→S6」)、それ以外の状態では通常変更音が(図17「S1→S2(N)→S5(N)→S7」)出力されるものとする。
【0068】
非特別変更音は、音量対応文言を含まず、かつ、特別変更音とは異なる態様の音とするとよい。例えば、特別変更音とは異なる文言(セリフ)を含む非特別変更音とする。上記実施形態のように特別変更音が「いくぞー」の文言を含むものであるとすれば、非特別変更音は「がんばってね」の文言を含むものとする。特別変更音と非特別変更音の違いをより際立たせるため、さらに好ましくは、特別変更音を発するキャラクタ(第一キャラクタ)と、非特別変更音を発するキャラクタ(第二キャラクタ)とが異なる種類であるとするとよい。第一キャラクタおよび第二キャラクタはいずれも変動中演出を構成する演出(リーチ演出等)にも登場するキャラクタであるとよい。
【0069】
本例のようにすることで、いわゆる朝一状態にて最初に音量変更操作がなされたときには、リセット状態にあるか否かにかかわらず、通常変更音ではない変更音(特別変更音または非特別変更音)が出力されることになる。そして、そのときに発せられた音が特別変更音および非特別変更音のいずれであるかを把握することで、リセット操作がなされたかどうかを知ることができるという遊技性となる。
【0070】
○具体例2-6
上記実施形態では、リセット状態にあることが特別変更音の出力の条件であることを説明したが、リセット状態とは異なる状態が特別変更音の出力の条件である構成とすることもできる。
【0071】
例えば、前営業日の大当たり(初当たり)確率が、理論確率(本実施形態では約1/319)を超えていたか否かを示唆するものとして特別変更音が出力される構成とする。いわゆる朝一状態(電源ON後)にて、前営業日の大当たり確率が理論確率以上であった場合には音量変更操作を契機として特別変更音が出力されるものの、理論確率未満であった場合には音量変更操作を契機として通常変更音が出力される構成とする。このようにすることで、前営業日に「調子の良かった」台を示唆するものとして特別変更音が機能するものとする。
【0072】
また、別例として、いわゆる「設定」が搭載された遊技機にて、当該「設定」の変更(設定変更)がなされたかどうかを示唆するものとして特別変更音が出力されるものとすることが考えられる。「設定」搭載の遊技機自体は公知であるから詳細な説明を省略する。「設定」搭載の遊技機は、大当たり確率等、遊技者の直接的な利益(出玉)に関わる確率が、設定に応じて異なるものとされるものである(「設定1」~「設定6」といった6段階設定の遊技機が一般的である)。これを前提とし、設定変更がなされた直後(設定変更状態)である場合には音量変更操作を契機として特別変更音が出力されるものとする(ただし、設定変更には、同じ設定の「打ち直し」が含まれる)。設定変更がなされていなければ(電源ONのみであれば)音量変更操作を契機として通常変更音が出力されるものとする。すなわち、通常変更音が出力された場合には、設定の「据え置き」が確定することになる。
【0073】
○具体例2-7
上記実施形態にて説明したのは、音量の変更操作時に出力される変更音に関してのものであるが、光量の変更操作時に出力される変更音に関して同様の技術事項が適用された構成としてもよい。
【0074】
遊技機が備える各種発光装置(LED等の発光体)から出力される光量を遊技者が任意に段階的に変更することが可能な光量調整手段自体は公知である。当該光量調整手段により光量が変更された際に、それを示す変更音が出力されるものとする。通常変更音は、「光量は1です」、「光量は2です」・・・といったように、変更後の光量に応じた光量対応文言を含むものである一方、特別変更音は当該光量対応文言を含まないものとする。例えば、特別変更音は、変動中演出を構成する演出にも登場するキャラクタから発せられたセリフであるとする。このような構成であることを前提とし、リセット状態にて光量の変更操作がなされたときには特別変更音が出力される(リセット状態にないときには通常変更音が出力される)構成とする。本例のようにすることで、遊技者は、いわゆる朝一状態にて光量変更を行うことで、リセット状態にあるか否かを知ることができる。
【0075】
5)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0076】
例えば、当否抽選の結果が大当たりとなった場合だけでなく、小当たりを経由して大当たりを獲得することが可能な構成(いわゆる「二種」の遊技性を備えた遊技機(一種二種混合機を含む))が知られている。このような「二種」の遊技性を備えた遊技機とする場合には、上記実施形態にて説明した大当たりに関する事項は、ほぼ確実に大当たりの獲得に結びつく小当たりに読み替えることができるものとする。例えば、上記実施形態にて説明した大当たり確率は、ほぼ確実に大当たりの獲得に結びつく小当たりに当選する確率を含めた「実質」大当たり確率であると読み替えできるものとする。
【0077】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0078】
・手段1-1
遊技状態として、低確率状態および当該低確率状態にあるときよりも当否抽選の当選確率が高い高確率状態が設けられた遊技機であって、前記高確率状態にあるときに転落抽選に当選した場合には、前記低確率状態に移行する低確移行が発生するものであり、前記低確移行の報知に関するモードとして、前記高確率状態にて前記転落抽選に当選して前記低確率状態に移行したときでも所定条件が成立するまでは前記低確率状態に移行したことが遊技者に報知されない先送りモードと、前記高確率状態にて前記転落抽選に当選して前記低確率状態に移行したときには前記所定条件が成立する前であっても前記低確率状態に移行したことが報知される露見モードと、が設けられていることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、先送りモードおよび露見モードのいずれが設定されているかに応じ、低確移行の報知タイミングが異なるという面白みのある遊技性が実現される。
【0079】
・手段1-2
前記先送りモードが設定された前記高確率状態の遊技とするか、前記露見モードが設定された前記高確率状態の遊技とするかを、遊技者が任意に選択することが可能であることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
低確移行の報知タイミングを比較的遅くしたい遊技者は先送りモードを、低確移行の報知タイミングを比較的早くしたい遊技者は露見モードを選択すればよい。
【0080】
・手段1-3
前記先送りモードおよび前記露見モードのいずれとされているかが遊技者に示されずに前記高確率状態が開始されることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、先送りモードおよび露見モードのいずれが設定されているのかを推測しつつ遊技するという遊技性が実現される。
【0081】
・手段1-4
遊技球の進入が前記当否抽選の契機となる始動領域への遊技球の進入しやすさにかかわる状態として、低ベース状態および当該低ベース状態よりも前記始動領域に遊技球が進入しやすい高ベース状態が設けられ、前記高確率状態に移行した場合には、前記転落抽選に当選したか否かにかかわらず、少なくとも前記当否抽選がN回連続してはずれとなるまでは前記高ベース状態が継続するものであり、前記先送りモードは、前記高確率状態に移行してから前記N回目の当否抽選結果を報知する演出中に前記低確率状態に移行したか否かが遊技者に報知されることを特徴とする手段1-1から手段1-3のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、先送りモードは、高ベース状態が終了する可能性がある最後の変動まで低確移行の有無が報知されない遊技性となる。
【0082】
・手段2-1
スピーカから出力される音量を遊技者が段階的に調整することを可能とする音量調整手段を備え、当該音量調整手段による音量の変更時に変更音が出力される遊技機であって、前記音量調整手段による音量の変更時には複数種の変更音のうちのいずれかが出力されるものであり、当該複数種の変更音の一部は所定状態になければ出力されない特別変更音とされていることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、音量変更時に特別変更音が出力された場合には所定状態にあることが確定することになる。つまり、音量変更操作により所定状態にあることが判明する可能性があるという面白みのある遊技性が実現される。
【0083】
・手段2-2
前記所定状態は、遊技者が行うことができないリセット操作後のリセット状態であることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。ただし、前記リセット操作は、電源のOFF/ON操作ではないものとする。
このようにすることで、音量変更操作時に特別変更音が出力された場合にはリセット状態であることが確定することになる。
【0084】
・手段2-3
複数種の前記変更音のうち、前記特別変更音ではない変更音は変更後の音量に応じた音量対応文言を含む一方、前記特別変更音は当該音量対応文言を含まないことを特徴とする手段2-1または手段2-2に記載の遊技機。
このようにすることで、特別変更音が(通常の変更音ではない)特殊な音であることが分かりやすくなる。
【0085】
・手段2-4
前記音量調整手段による音量が調整可能な段階のうちの一部は、特定段階とされており、前記特別変更音は、音量を前記特定段階とする変更がなされなければ出力されないことを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特別変更音が出力される頻度を低下させることができる。
【0086】
・手段2-5
前記特定段階は、音量が最大となる段階であることを特徴とする手段2-4に記載の遊技機。
このようにすることで、特別変更音は音量最大で出力されることになるから、特別変更音を聴き逃してしまうおそれが低くなる。
【符号の説明】
【0087】
1 遊技機
60 操作手段(61 押しボタン 62 十字キー)
65 スピーカ
80 装飾図柄
904 始動領域(904a 第一始動領域 904b 第二始動領域)
91 表示装置
911 表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17