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特開2023-176888回転軸の回転数変動検出方法及び回転軸の回転数変動検出装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176888
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】回転軸の回転数変動検出方法及び回転軸の回転数変動検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 3/44 20060101AFI20231206BHJP
   G01M 13/00 20190101ALI20231206BHJP
   G01D 5/12 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01P3/44 A
G01M13/00
G01D5/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089447
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】新野 晃一朗
(72)【発明者】
【氏名】岡田 徹
【テーマコード(参考)】
2F077
2G024
【Fターム(参考)】
2F077AA34
2F077AA46
2F077AA48
2F077NN02
2F077NN04
2F077QQ17
2F077TT23
2F077VV13
2F077VV29
2F077VV31
2G024AC01
2G024BA11
2G024CA13
2G024FA01
2G024FA04
2G024FA11
(57)【要約】
【課題】対象となる回転軸に新たな部品を装着することなく前記回転軸の回転数変動を精度良く検出することが可能な回転軸の回転数変動検出方法及び回転軸の回転数変動検出装置を提供する。
【解決手段】回転軸100の回転数変動を検出する方法は、準備工程と、回転工程と、検出工程とを有する。準備工程では、ローラ10とローラ10と同期して回転するロータリーエンコーダ20とを含む少なくとも一つの検出ユニットを準備する。回転工程では、前記少なくとも一つの検出ユニットのローラ10を回転軸100の外周面に押し付け、回転軸100、ローラ10及びロータリーエンコーダ20を同期して回転させる。検出工程では、ロータリーエンコーダ20から出力される信号を処理することで、回転軸100の回転数変動を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の回転数変動を検出する方法であって、
ローラと前記ローラと同期して回転するロータリーエンコーダとを含む少なくとも一つの検出ユニットを準備する準備工程と、
前記少なくとも一つの検出ユニットの前記ローラを前記回転軸の外周面に押し付け、前記回転軸、前記ローラ及び前記ロータリーエンコーダを同期して回転させる回転工程と、
前記ロータリーエンコーダから出力される信号を処理することで、前記回転軸の回転数変動を検出する検出工程と、
を備える、回転軸の回転数変動検出方法。
【請求項2】
前記準備工程は、前記少なくとも一つの検出ユニットとして、第1ローラ及び第1ロータリーエンコーダを含む第1検出ユニットと、前記第1ローラと同じ外径の第2ローラ及び第2ロータリーエンコーダを含む第2検出ユニットとを準備することを含み、
前記回転工程は、前記第2ローラが前記回転軸の中心を挟んで前記第1ローラの反対側に配置されるように前記第1ローラ及び前記第2ローラを前記外周面に押し付け、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダを同期して回転させることを含み、
前記検出工程は、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダからそれぞれ出力される信号を処理することで、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を除去して、前記回転軸の回転数変動を検出することを含む、請求項1に記載の回転軸の回転数変動検出方法。
【請求項3】
前記準備工程は、前記少なくとも一つの検出ユニットとして、第1ローラ及び第1ロータリーエンコーダを含む第1検出ユニットと、前記第1ローラと外径が異なる第2ローラ及び第2ロータリーエンコーダを含む第2検出ユニットとを準備することを含み、
前記回転工程は、前記第1ローラ及び前記第2ローラを前記外周面に押し付け、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダを同期して回転させることを含み、
前記検出工程は、前記第1ローラの回転周波数成分及び前記第2ローラの回転周波数成分を除去して、前記回転軸の回転数変動を検出することを含む、請求項1に記載の回転軸の回転数変動検出方法。
【請求項4】
前記回転工程は、前記第2ローラが前記回転軸の中心を挟んで前記第1ローラの反対側に配置されるように前記第1ローラ及び前記第2ローラを前記外周面に押し付け、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダを同期して回転させることを含み、
前記検出工程は、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を更に除去して、前記回転軸の回転数変動を検出することを含む、請求項3に記載の回転軸の回転数変動検出方法。
【請求項5】
回転軸の回転数変動を検出する装置であって、
ローラと前記ローラと同期して回転するロータリーエンコーダとを含む少なくとも一つの検出ユニットと、
前記少なくとも一つの検出ユニットの前記ローラが前記回転軸の外周面に接触し、前記回転軸、前記ローラ及び前記ロータリーエンコーダが同期して回転した際に前記ロータリーエンコーダから出力される信号を処理することで、前記回転軸の回転数変動を検出する回転数変動検出部と、
を備える、回転軸の回転数変動検出装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの検出ユニットは、第1ローラ及び第1ロータリーエンコーダを含む第1検出ユニットと、前記回転軸の中心を挟んで前記第1ローラの反対側に配置され前記第1ローラと同じ外径の第2ローラ及び第2ロータリーエンコーダを含む第2検出ユニットとを有し、
前記回転数変動検出部は、前記第1ローラ及び前記第2ローラが前記外周面に接触し、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダが同期して回転した際に前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダからそれぞれ出力される信号を処理することで、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を除去して、前記回転軸の回転数変動を検出する、請求項5に記載の回転軸の回転数変動検出装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの検出ユニットは、第1ローラ及び第1ロータリーエンコーダを含む第1検出ユニットと、前記第1ローラと異なる外径の第2ローラ及び第2ロータリーエンコーダを含む第2検出ユニットとを有し、
前記回転数変動検出部は、前記第1ローラ及び前記第2ローラが前記外周面に接触し、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダが同期して回転した際に前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダからそれぞれ出力される信号を処理することで、前記第1ローラの回転周波数成分及び前記第2ローラの回転周波数成分を除去して、前記回転軸の回転数変動を検出する、請求項5に記載の回転軸の回転数変動検出装置。
【請求項8】
前記第2ローラは前記回転軸の中心を挟んで前記第1ローラの反対側に配置され、
前記回転数変動検出部は、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を更に除去して、前記回転軸の回転数変動を検出する、請求項7に記載の回転軸の回転数変動検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の回転数変動検出方法及び回転軸の回転数変動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸の回転数変動を検出する方法が知られている。特許文献1には、回転軸に歯車を固定し、前記回転軸の回転時に前記歯車の凹凸に検出光を照射し、その反射光を受光することで、回転軸のねじり振動を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-82879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、回転軸に歯車などの新たな部品を装着する必要があり、既に製造、設置された機械に備えられた回転軸の振動を容易に検出することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、対象となる回転軸に新たな部品を装着することなく前記回転軸の回転数変動を精度良く検出することが可能な回転軸の回転数変動検出方法及び回転軸の回転数変動検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供されるのは、回転軸の回転数変動を検出する方法である。当該方法は、ローラと前記ローラと同期して回転するロータリーエンコーダとを含む少なくとも一つの検出ユニットを準備する準備工程と、前記少なくとも一つの検出ユニットの前記ローラを前記回転軸の外周面に押し付け、前記回転軸、前記ローラ及び前記ロータリーエンコーダを同期して回転させる回転工程と、前記ロータリーエンコーダから出力される信号を処理することで、前記回転軸の回転数変動を検出する検出工程と、を備える。
【0007】
本方法によれば、回転軸に新たな部品を装着することなく、既に設置された回転機械、産業機械などでもねじり振動などを含む回転数変動の検出を容易に行うことが可能となる。
【0008】
上記の方法において、前記準備工程は、前記少なくとも一つの検出ユニットとして、第1ローラ及び第1ロータリーエンコーダを含む第1検出ユニットと、前記第1ローラと同じ外径の第2ローラ及び第2ロータリーエンコーダを含む第2検出ユニットとを準備することを含み、前記回転工程は、前記第2ローラが前記回転軸の中心を挟んで前記第1ローラの反対側に配置されるように前記第1ローラ及び前記第2ローラを前記外周面に押し付け、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダを同期して回転させることを含み、前記検出工程は、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダからそれぞれ出力される信号を処理することで、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を除去して、前記回転軸の回転数変動を検出することを含むものでもよい。
【0009】
本方法によれば、互いに反対側に配置されたローラ間では回転軸の軸振動の影響や偏芯の影響が逆になることに着目し、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を除去して、ねじり振動に注目した回転数変動を容易かつ精度良く検出することが可能になる。
【0010】
上記の方法において、前記準備工程は、前記少なくとも一つの検出ユニットとして、第1ローラ及び第1ロータリーエンコーダを含む第1検出ユニットと、前記第1ローラと外径が異なる第2ローラ及び第2ロータリーエンコーダを含む第2検出ユニットとを準備することを含み、前記回転工程は、前記第1ローラ及び前記第2ローラを前記外周面に押し付け、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダを同期して回転させることを含み、前記検出工程は、前記第1ローラの回転周波数成分及び前記第2ローラの回転周波数成分を除去して、前記回転軸の回転数変動を検出することを含むものでもよい。
【0011】
本方法によれば、2つの外径の異なるローラが回転軸と同期して回転する際に、回転軸の回転数変動の周波数以外の2つの領域に各ローラの回転周波数の成分が含まれることに着目し、2つのロータリーエンコーダの互いのデータを置換しあうことで、これらの回転数の成分をねじり振動などの所望の回転数変動の周波数と分離することが可能になる。
【0012】
上記の方法において、前記回転工程は、前記第2ローラが前記回転軸の中心を挟んで前記第1ローラの反対側に配置されるように前記第1ローラ及び前記第2ローラを前記外周面に押し付け、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダを同期して回転させることを含み、前記検出工程は、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を更に除去して、前記回転軸の回転数変動を検出することを含むものでもよい。
【0013】
本方法によれば、回転軸の軸振動や偏心の影響や2つのローラの周波数の影響を取り除いたうえで、ねじり振動による回転数変動を精度良く検出することが可能になる。
【0014】
また、本発明によって提供されるのは、回転軸の回転数変動を検出する装置である。当該装置は、ローラと前記ローラと同期して回転するロータリーエンコーダとを含む少なくとも一つの検出ユニットと、前記少なくとも一つの検出ユニットの前記ローラが前記回転軸の外周面に接触し、前記回転軸、前記ローラ及び前記ロータリーエンコーダが同期して回転した際に前記ロータリーエンコーダから出力される信号を処理することで、前記回転軸の回転数変動を検出する回転数変動検出部と、を備える。
【0015】
本構成によれば、回転軸に新たな部品を装着することなく、既に設置された回転機械、産業機械などでもねじり振動などを含む回転数変動の検出を容易に行うことが可能となる。
【0016】
上記の構成において、前記少なくとも一つの検出ユニットは、第1ローラ及び第1ロータリーエンコーダを含む第1検出ユニットと、前記回転軸の中心を挟んで前記第1ローラの反対側に配置され前記第1ローラと同じ外径の第2ローラ及び第2ロータリーエンコーダを含む第2検出ユニットとを有し、前記回転数変動検出部は、前記第1ローラ及び前記第2ローラが前記外周面に接触し、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダが同期して回転した際に前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダからそれぞれ出力される信号を処理することで、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を除去して、前記回転軸の回転数変動を検出するものでもよい。
【0017】
本構成によれば、互いに反対側に配置されたローラ間では回転軸の軸振動の影響や偏芯の影響が逆になることに着目し、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を除去して、ねじり振動に注目した回転数変動を容易かつ精度良く検出することが可能になる。
【0018】
上記の構成において、前記少なくとも一つの検出ユニットは、第1ローラ及び第1ロータリーエンコーダを含む第1検出ユニットと、前記第1ローラと異なる外径の第2ローラ及び第2ロータリーエンコーダを含む第2検出ユニットとを有し、前記回転数変動検出部は、前記第1ローラ及び前記第2ローラが前記外周面に接触し、前記回転軸、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダが同期して回転した際に前記第1ロータリーエンコーダ及び前記第2ロータリーエンコーダからそれぞれ出力される信号を処理することで、前記第1ローラの回転周波数成分及び前記第2ローラの回転周波数成分を除去して、前記回転軸の回転数変動を検出するものでもよい。
【0019】
本構成によれば、2つの外径の異なるローラが回転軸と同期して回転する際に、回転軸の回転数変動の周波数以外の2つの領域に各ローラの回転周波数の成分が含まれることに着目し、2つのロータリーエンコーダの互いのデータを置換しあうことで、これらの回転数の成分をねじり振動などの所望の回転数変動の周波数と分離することが可能になる。
【0020】
上記の構成において、前記第2ローラは前記回転軸の中心を挟んで前記第1ローラの反対側に配置され、前記回転数変動検出部は、前記回転軸に生じる並進方向の振動成分を更に除去して、前記回転軸の回転数変動を検出するものでもよい。
【0021】
本構成によれば、回転軸の軸振動や偏心の影響や2つのローラの周波数の影響を取り除いたうえで、ねじり振動による回転数変動を精度良く検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、対象となる回転軸に新たな部品を装着することなく前記回転軸の回転数変動を精度良く検出することが可能な回転軸の回転数変動検出方法及び回転軸の回転数変動検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る回転数変動検出装置の正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る回転数変動検出装置の側面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る回転数変動検出装置の正面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る回転数変動検出装置の側面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る回転数変動検出装置の第1ローラの回転数の時刻歴を示すグラフである。
図6図5のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
図7】本発明の第2実施形態に係る回転数変動検出装置の第2ローラの回転数の時刻歴信号を示すグラフである。
図8図7のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
図9】本発明の第2実施形態に係る回転数変動検出装置の第1ローラ及び第2ローラの回転数の時刻歴信号の和を2で割った信号を示すグラフである。
図10図9のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
図11】本発明の第3実施形態に係る回転数変動検出装置の正面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る回転数変動検出装置の側面図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る回転数変動検出装置の第1ローラの回転数の時刻歴信号を示すグラフである。
図14図13のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
図15】本発明の第3実施形態に係る回転数変動検出装置の第2ローラの回転数の時刻歴信号を示すグラフである。
図16図15のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
図17図14及び図16から第1ローラ及び第2ローラの回転周波数成分が除去された様子を示す振幅スペクトルのグラフである。
図18】本発明の第4実施形態に係る回転数変動検出装置の正面図である。
図19】本発明の第4実施形態に係る回転数変動検出装置の側面図である。
図20】本発明の第4実施形態に係る回転数変動検出装置の第1ローラの回転数の時刻歴信号を示すグラフである。
図21図20のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
図22】本発明の第4実施形態に係る回転数変動検出装置の第2ローラの回転数の時刻歴信号を示すグラフである。
図23図22のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
図24】本発明の第4実施形態に係る回転数変動検出装置における時刻歴信号N7を示すグラフである。
図25】本発明の第4実施形態に係る回転数変動検出装置における時刻歴信号N10を示すグラフである。
図26】本発明の第4実施形態に係る回転数変動検出装置における時刻歴信号N11を示すグラフである。
図27図26のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態に係る回転数変動検出装置について説明する。図1図2は、本発明の第1実施形態に係る回転数変動検出装置1の正面図、側面図である。回転数変動検出装置1は、例えば圧延機や樹脂機械などの回転機械で問題となる回転軸の回転数変動を検出するための装置である。従来から、前記回転機械では回転軸のねじり振動に起因する回転数変動の検出が課題であった。本発明では、このような回転数変動を容易かつ精度良く検出することを可能とする。
【0025】
図1図2を参照して、回転数変動検出装置1は、回転軸100の回転数変動を検出する。なお、回転軸100は、不図示のモータなどの駆動源によって所定の回転数で回転される。回転軸100は、不図示の軸受によって支持されている。
【0026】
回転数変動検出装置1は、ローラ10と、エンコーダ20と、演算処理部30とを有する。
【0027】
ローラ10は、図1図2に太い矢印で示すように回転軸100の外周面に所定の荷重で押し付けられ、回転軸100と同期して回転する。なお、ローラ10は、不図示の軸受によって回転可能に支持されている。また、図1図2では、ローラ10、回転軸100の回転方向が細い矢印で示されている(以後の図も同様)。
【0028】
エンコーダ20は、公知のロータリーエンコーダであり、ローラ10と同期して回転するように不図示のカップリングなどを介してローラ10に連結されている。エンコーダ20は、ローラ10の回転に応じたパルス信号を出力する。なお、ローラ10及びエンコーダ20は、本発明の検出ユニットを構成する。
【0029】
演算処理部30は、ローラ10が回転軸100の外周面に接触し、回転軸100、ローラ10及びエンコーダ20が同期して回転した際にエンコーダ20から出力されたパルス信号(信号)を受け、当該パルス信号を処理することで回転軸100の回転数変動を検出する。本実施形態では、パーソナルコンピュータが所定のプログラムを実行することで、演算処理部30として機能する。演算処理部30は、本発明の回転数変動検出部を構成する。なお、演算処理部30は、その他の演算装置でもよい。
【0030】
次に、本実施形態に係る回転数変動検出装置を用いた、回転軸100の回転数変動検出方法について詳述する。本方法は、準備工程と、回転工程と、検出工程とを有する。前記準備工程では、ローラ10とエンコーダ20とを含む前記検出ユニットを準備する。前記回転工程では、前記検出ユニットのローラ10を回転軸100の外周面に押し付け、前記モータの駆動力によって回転軸100、ローラ10及びエンコーダ20を同期して回転させる。この際、回転軸100が回転機械で用いられる目標の回転数で回転されるように前記モータの回転数が設定される。前記検出工程では、演算処理部30が、エンコーダ20から出力される信号を処理することで、回転軸100の回転数変動を検出する。
【0031】
演算処理部30の演算処理について具体的に説明する。回転軸100の半径をR10、ローラ10の半径をRとすると、ローラ10の回転数の時刻歴信号N10に対して、以下の式1の演算を実行することで、N10’を取得する。
N10’=R/R10×N10 ・・・(式1)
ここで、N10’は、ローラ10の時刻歴信号N10を回転軸100のデータとして半径の比で補正したものであり、半径R10の回転軸100における時刻歴信号に補正されたものである。
【0032】
次に、上記で得られたN10’を高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)してスペクトルを得ることで、測定対象の回転軸100の回転ムラのデータを得ることができる。
【0033】
このように、本実施形態では、回転軸100に新たな部品を装着することなく測定が可能になるため、既に設置された回転機械、産業機械などでもねじり振動などを含む回転数変動の検出を容易に行うことが可能となる。
【0034】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図3図4は、本実施形態に係る回転数変動検出装置の正面図、側面図である。本実施形態では、図3図4に示すように、2つの検出ユニットが用いられる。すなわち、回転軸100の上方では一のローラ10(第1ローラ)が回転軸100の外周面に押し付けられ、回転軸100の下方では他のローラ10(第2ローラ)が回転軸100の外周面に押し付けられる。なお、2つのローラ10は同じ外径を有している。下側のローラ10は、回転軸100の中心を挟んで上側のローラ10の反対側(周方向において180度離れた位置)に配置される。上側のローラ10と同期して回転するエンコーダ20は、本発明の第1ロータリーエンコーダを構成し、下側のローラ10と同期して回転するエンコーダ20は、本発明の第2ロータリーエンコーダを構成する。上側のローラ10及びこれに連結されるエンコーダ20は、本発明の第1検出ユニットを構成し、下側のローラ10及びこれに連結されるエンコーダ20は、本発明の第2検出ユニットを構成する。
【0035】
本実施形態では、まず、図3図4に示される2つの検出ユニットが準備され(準備工程)、前記モータによって回転軸100が回転されると、回転軸100、各検出ユニットのローラ10及びエンコーダ20が同期して回転する(回転工程)。そして、演算処理部30は、2つのエンコーダ20からそれぞれ出力される信号を処理することで、回転軸100に生じる並進方向(回転軸100の軸方向と直交する方向)の振動成分を除去して、回転軸100の回転数変動を検出する(検出工程)。以下では、その方法について詳述する。
【0036】
回転軸100にねじり振動と軸振動(図4の左右方向における回転軸100の振動)の2種類の振動が生じている場合、2つの検出ユニットに入力される回転ムラは、上記の2つの振動が合算されたものとなる。ここで、図4で回転軸100が回転する方向を正とすると、ねじり振動に起因する回転数変動は、2つの検出ユニットに対して同じ方向で作用する。一方、軸振動は2つの検出ユニットに対して逆方向に作用する。具体的に、図4において、軸振動の発生によって回転軸100が右方向に移動したとすると、この移動は上側のローラ10の回転を促進するように作用する。一方、前記移動は下側のローラ10の回転を妨げるように作用する。したがって、2つの検出ユニットで測定される信号の和を取ることで、ねじり振動成分のみを抽出し、軸振動の成分を相殺し除去することができる。
【0037】
上記の方法について、図5乃至図10を用いて詳しく説明する。図5は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1の上側のローラ10の時刻歴信号N1(エンコーダ20のパルス信号を回転数に変換した信号)を示すグラフである。図6は、図5のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。図7は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1の下側のローラ10の時刻歴信号N2を示すグラフである。図8は、図7のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
【0038】
図5の時刻歴信号N1を高速フーリエ変換した図6では、DC成分すなわち周波数ゼロの領域に上側のローラ10の回転に相当するピークS60が現れており、このピークS60よりも大きな周波数領域に、回転軸100の軸振動に相当するピークS61、ねじり振動に相当するピークS62、上側のローラ10の回転ムラに相当するピークS63がそれぞれ現れている。同様に、図7の時刻歴信号N2を高速フーリエ変換した図8では、DC成分すなわち周波数ゼロの領域に下側のローラ10の回転に相当するピークS80が現れており、このピークS80よりも大きな周波数領域に、回転軸100の軸振動に相当するピークS81、ねじり振動に相当するピークS82、下側のローラ10の回転ムラに相当するピークS83がそれぞれ現れている。
【0039】
上記の2つの検出ユニットで検出された各ローラ10の時刻歴信号N1、N2(図5図7)を用いて、以下の式2から時刻歴信号N3を得ることで、前述のように軸振動成分を相殺することができる。
N3=(N1+N2)/2 ・・・(式2)
時刻歴信号N3は、半径Rのローラ10の回転数変動に対応している。このため、半径R0の回転軸100の回転数変動に補正するために、以下の式3の補正式によって、時刻歴信号N3から時刻歴信号N4(図9)を得ることができる。
N4=R/R0×N3 ・・・(式3)
図9は、回転軸100の時刻歴信号N4を示すグラフである。図10は、図9のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
【0040】
そして、この時刻歴信号N4を高速フーリエ変換することで、図10に示すように、回転軸100に生じている回転数変動の周波数と振幅との関係を得ることができる。図10では、DC成分すなわち周波数ゼロの領域に回転軸100の回転に相当するピークS100が現れており、このピークS100よりも大きな周波数領域に、ねじり振動に相当するピークS101、上下のローラ10の回転ムラに相当するピークS102がそれぞれ現れている。すなわち、図6図8における回転軸100の軸振動に相当するピークS61、S81を除去することが可能となる。この結果、回転軸100のねじり振動の回転数変動を精度良く検出することが可能になる。なお、図10において、ローラ10の回転数は、図9のデータの中心値から得ることができるとともに、他の測定器によって容易に測定することができる。したがって、図10において、ピークS102がローラ10の回転むらに起因するものであることは容易に判別できるため、残ったピークS101がねじり振動に起因するものであると判断することができる。
【0041】
一般的に、回転軸100には、回転方向の振動と、並進方向の振動である軸振動とが生じるが、従来、これらの振動成分を容易に分離することは困難であった。本発明によれば、2つの検出ユニットの測定データを処理することで、軸振動成分を除去し、回転数変動の成分のみを容易に検出することができる。なお、回転軸100が偏心している場合には、たとえ回転軸100が一定の回転数で回転していても、ローラ10と回転軸100の接触点と、回転軸100の回転中心との距離が周期的に変化することによって、ローラ10に回転数変動として影響が生じる。このような場合であっても、本実施形態では、2つの検出ユニットにおいて上記のような回転軸100の回転数変動の影響が逆になることに着目し、2つの時刻歴信号N1、N2を合算することで、回転軸100の偏心の影響をキャンセルすることができる。この結果、ねじり振動に注目した回転数変動を容易かつ精度良く検出することが可能になる。
【0042】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図11図12は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1の正面図、側面図である。本実施形態においても、図11図12に示すように、2つの検出ユニットが用いられる。すなわち、回転軸100の上方ではローラ11(第1ローラ)が回転軸100の外周面に押し付けられ、回転軸100の下方ではローラ10(第2ローラ)が回転軸100の外周面に押し付けられる。なお、2つのローラ10は異なる外径を有しており、ローラ11の外径はローラ10の外径よりも大きく設定されている。本実施形態においても、上側のローラ11と同期して回転するエンコーダ20は、本発明の第1ロータリーエンコーダを構成し、下側のローラ10と同期して回転するエンコーダ20は、本発明の第2ロータリーエンコーダを構成する。上側のローラ11及びこれに連結されるエンコーダ20は、本発明の第1検出ユニットを構成し、下側のローラ10及びこれに連結されるエンコーダ20は、本発明の第2検出ユニットを構成する。
【0043】
本実施形態においても、図11図12に示される2つの検出ユニットが準備され(準備工程)、前記モータによって回転軸100が回転されると、回転軸100、各検出ユニットのローラ10、11及びエンコーダ20が同期して回転する(回転工程)。そして、演算処理部30は、2つのエンコーダ20からそれぞれ出力される信号を処理することで、ローラ10、11の回転周波数成分をそれぞれ除去して、回転軸100の回転数変動を検出する(検出工程)。以下では、その方法について詳述する。
【0044】
先の第2実施形態のように、高速フーリエ変換によって、時刻歴信号N1あるいはN2のスペクトルを計算すると、ねじり振動や軸振動の周波数のほかに、ローラ10自身の形状のムラなどの影響で、ローラ10の回転数の周波数でピークが発生する(図6のピークS63、図8のピークS83、図10のピークS102)。ねじり振動をより精度良く検出するためには、これらのローラ10の回転数の周波数成分を除去することが望ましい。
【0045】
具体的には、まず、N1時刻歴信号、N2時刻歴信号のスペクトルをそれぞれ計算すると、0HzのDC成分の値は回転ムラがないときのローラ10の回転数に相当する。したがって、一方のローラの時刻歴信号において、上記のDC成分の値と合致する周波数周辺の値を他方のローラの測定データで置き換えることで、ねじり振動の周波数成分のみを抽出することができる。この際、2つの検出ユニットにおいてローラの外径が異なるように設定すると、2つのローラの回転数が異なるため、一方の検出ユニットにおいてローラの回転数の周波数を除去した領域を、他方の検出ユニットの測定データで置き換えることが可能になる。
【0046】
上記の方法について、図13乃至図17を用いて更に詳しく説明する。図13は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1の上側のローラ11の時刻歴信号N1を示すグラフである。図14は、図13のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。図15は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1の下側のローラ10の時刻歴信号N2を示すグラフである。図16は、図15のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。図17は、図14及び図16から各ローラの回転数の周波数成分(回転周波数成分)が除去された様子を示す振幅スペクトルのグラフである。
【0047】
図13の時刻歴信号N1を高速フーリエ変換した図14では、DC成分すなわち周波数ゼロの領域に上側のローラ11の回転に相当するピークS140が現れており、このピークS140よりも大きな周波数領域に、回転軸100の軸振動に相当するピークS141、ねじり振動に相当するピークS142、上側のローラ11の回転ムラに相当するピークS143がそれぞれ現れている。同様に、図15の時刻歴信号N2を高速フーリエ変換した図16では、DC成分すなわち周波数ゼロの領域に下側のローラ10の回転に相当するピークS160が現れており、このピークS160よりも大きな周波数領域に、回転軸100の軸振動に相当するピークS161、ねじり振動に相当するピークS162、下側のローラ10の回転ムラに相当するピークS163がそれぞれ現れている。
【0048】
本実施形態では、ローラ10、11の外径が異なることから、図14及び図16では、ローラの回転ムラに対応するピークS143、S163が異なる周波数において発生している。このため、ローラ11に基づいて取得された図14のピークS143の周辺の周波数領域を、ローラ10に基づいて取得された図16の同周波数領域のデータで置換することで、図17に示すようなスペクトル分布を得ることができる。すなわち、図17では、周波数領域A1においてピークが発生していない。同様に、ローラ10に基づいて取得された図16のピークS163の周辺の周波数領域を、ローラ11に基づいて取得された図14の同周波数領域のデータで置換することで、同様に図17に示すようなスペクトル分布を得ることができる。すなわち、図17では、周波数領域A2においてもピークが発生していない。なお、上記の方法で図13図15の時刻歴信号N1、N2から所定の周波数領域のデータを取り除く(置換する)とともに、先の第2実施形態と同様に、2つのデータの和をとり、半径に応じた補正を行うことで、回転軸100の回転数変動を検出することができる。
【0049】
以上のように、本実施形態では、ローラ10、11が回転軸100と同期して回転する際に、回転軸100の回転数変動の周波数以外の領域に、ローラ10、11の回転周波数の成分が含まれることに着目し、これらの回転数の成分をねじり振動などの所望の回転数変動の周波数と分離することが可能になる。特に、本発明では、ローラ10、11の回転数に応じた周波数成分をデータ処理によって除去し、回転軸100の振動成分のみを抽出することができる。この結果、ねじり振動に注目した回転数変動を更に精度良く検出することが可能になる。
【0050】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図18図19は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1の正面図、側面図である。本実施形態においても、先の第3実施形態と同様に、2つの検出ユニットが用いられる。すなわち、回転軸100の上方ではローラ11(第1ローラ)が回転軸100の外周面に押し付けられ、回転軸100の下方ではローラ10(第2ローラ)が回転軸100の外周面に押し付けられる。なお、本実施形態は、ローラ10が回転軸100の中心を挟んでローラ11の反対側に配置されている点で、第3実施形態と相違する。その他の構成については、第3実施形態と同様である。
【0051】
本実施形態においても、図18図19に示される2つの検出ユニットが準備され(準備工程)、前記モータによって回転軸100が回転されると、回転軸100、各検出ユニットのローラ10、11及びエンコーダ20が同期して回転する(回転工程)。そして、演算処理部30は、2つのエンコーダ20からそれぞれ出力される信号を処理することで、ローラ10、11の回転周波数成分及び回転軸100に生じる並進方向の振動成分をそれぞれ除去して、回転軸100の回転数変動を検出する(検出工程)。以下では、その方法について詳述する。
【0052】
図20は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1の上側のローラ11の時刻歴信号N1を示すグラフであり、図21は、図20のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。図22は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1の下側のローラ10の時刻歴信号N2を示すグラフであり、図23は、図22のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
【0053】
本実施形態において、上側の検出ユニットのローラ11の半径をR1、測定された回転数の時刻歴信号をN1とし、下側の検出ユニットのローラ10の半径をR2、測定された回転数の時刻歴信号をN2とし、回転軸100の半径をR0とする。
【0054】
上記の時刻歴信号N1、N2を回転軸100の半径に合わせて以下の式4、式5のように補正して、時刻歴信号N3、N4を取得する。
N3=R1/R0×N1 ・・・(式4)
N4=R2/R0×N2 ・・・(式5)
【0055】
上記の時刻歴信号N3、N4をそれぞれFFT解析して得られた振動スペクトルから、時刻歴信号N3のDC成分(DC1)、時刻歴信号N4のDC成分(DC2)をそれぞれ取得する。なお、当該DC成分は、図21の時刻歴信号N1では周波数ゼロのピークS210に相当し、図23の時刻歴信号N2ではピークS230に相当する。時刻歴信号N3、N4の場合も同様である。
【0056】
次に、時刻歴信号N3において、上記で取得したDC1に対応する周波数f1周辺の信号をバンドエリミネートフィルタで除去し時刻歴信号N5を得る。また、時刻歴信号N4において、周波数f1周辺の信号をバンドパスフィルタで抽出し時刻歴信号N6を得る。次に、時刻歴信号N5、N6の和を取り時刻歴信号N7を得る。図24は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1における時刻歴信号N7を示すグラフである。時刻歴信号N7の導出によって、前述の時刻歴信号N3からローラ11の回転数成分を除去することができる。なお、図21の例では、ピークS213が上側のローラ11の回転数成分に相当する。なお、上記のフィルタ処理は、バンドエリミネートフィルタに限定されるものではなく、他のフィルタ処理によるものでもよい。
【0057】
同様に、時刻歴信号N4において、上記で取得したDC2に対応する周波数f2周辺の信号をバンドエリミネートフィルタで除去し時刻歴信号N8を得る。また、時刻歴信号N3において、周波数f2周辺の信号をバンドパスフィルタで抽出し時刻歴信号N9を得る。次に、時刻歴信号N8、N9の和を取り時刻歴信号N10を得る。図25は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1における時刻歴信号N10を示すグラフである。時刻歴信号N10の導出によって、前述の時刻歴信号N4からローラ10の回転数成分を除去することができる。なお、図23の例では、ピークS233が下側のローラ10の回転数成分に相当する。
【0058】
更に、以下の式6のように、上記で得られた時刻歴信号N7、N10の和を取るとともに2で割ることで、時刻歴信号N11を得る。
N11=(N7+N10)/2 ・・・(式6)
図26は、本実施形態に係る回転数変動検出装置1における時刻歴信号N11を示すグラフである。時刻歴信号N7、N10の和をとることによって、両者の軸変動の成分が相殺され、時刻歴信号N11において回転軸100の軸振動の成分を除去することができる。なお、図21ではピークS211が回転軸100の軸振動成分に相当し、図23ではピークS231が回転軸100の軸振動成分に相当する。これらの成分は、時刻歴信号N7、N10のFFT解析結果でも同様に現れる。
【0059】
以上のように、本実施形態によって取得される時刻歴信号N11は、回転軸100の軸振動の周波数成分と、2つのローラ10、11の回転周波数成分とが除去された信号となり、ねじり振動によって生じる回転数変動の周波数成分のみを抽出した信号となる。したがって、時刻歴信号N11を高速フーリエ変換処理することにより、ねじり振動によって生じる回転数変動の周波数とその大きさを知ることができる。図27は、図26の時刻歴信号N11のデータをFFT解析して得られた振幅スペクトルを示すグラフである。図27の例では、DC成分すなわち周波数ゼロの領域に回転軸100の回転に相当するピークS270が現れており、このピークS270よりも大きな周波数領域に、ねじり振動に相当するピークS271のみが現れている。このように、本実施形態では、回転軸100の軸振動の影響や2つのローラの回転ムラの影響を取り除いたうえで、ねじり振動による回転数変動を精度良く検出することが可能になる。特に、一般的に抽出が難しいねじり振動の成分を容易かつ精度良く検出することが可能になり、回転軸100の回転系に対する種々の改善策などを容易に講じることが可能になる。
【符号の説明】
【0060】
1 回転数変動検出装置
10、11 ローラ(第1ローラ、第2ローラ)
20 エンコーダ(ロータリーエンコーダ)
30 演算処理部(回転数変動検出部)
100 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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