(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176905
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】衛星システム、データ中継装置、データ中継方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B64G 3/00 20060101AFI20231206BHJP
B64G 1/66 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B64G3/00
B64G1/66 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089478
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小高 勝也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 浩太
(57)【要約】
【課題】簡便かつ安定してデータ中継を行うことが可能な衛星システムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る衛星システムは、第1衛星101と通信する第1衛星管制システム102と、第2衛星201と通信する第2衛星管制システム202と、を備え、第1衛星管制システム102は、第1衛星を操作するコマンド及び第1衛星に関する情報を有する第1コマンドデータ110を第2衛星管制システム202に送信し、第2衛星管制システム202は、第1衛星に関する情報を第2衛星201が読み取り可能なヘッダとして、第1コマンドデータ110に付与した第2コマンドデータ210を生成し、第2コマンドデータ210を第2衛星201に送信し、第2コマンドデータ210を受信した第2衛星201は、ヘッダに基づいて第1コマンドデータ110を第1衛星101に転送するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1衛星と通信する第1衛星管制システムと、
第2衛星と通信する第2衛星管制システムと、を備え、
前記第1衛星管制システムは、前記第1衛星を操作するコマンド及び前記第1衛星に関する情報を有する第1コマンドデータを前記第2衛星管制システムに送信し、
前記第2衛星管制システムは、前記第1衛星に関する情報を前記第2衛星が読み取り可能なヘッダとして前記第1コマンドデータに付与した第2コマンドデータを生成し、当該第2コマンドデータを前記第2衛星に送信し、
前記第2コマンドデータを受信した前記第2衛星は、前記ヘッダに基づいて前記第1コマンドデータを前記第1衛星に転送する、
衛星システム。
【請求項2】
前記第2衛星管制システムが前記第2コマンドデータを前記第2衛星に送信する時は、前記第2衛星の衛星管制運用に用いる周波数帯を使用し、
前記周波数帯は、前記第2衛星と前記第1衛星との間の通信に用いる周波数帯よりも低周波域である、
請求項1に記載の衛星システム。
【請求項3】
さらに、地上局アンテナを備え、
前記第1衛星が前記地上局アンテナから不可視の時に、前記第1衛星管制システムから前記第2衛星管制システムに前記第1コマンドデータを送信する、
請求項1又は2に記載の衛星システム。
【請求項4】
前記第1コマンドデータは、前記第1衛星に関する情報を格納するヘッダ部を有し、
前記第2衛星管制システムによって生成された前記ヘッダは、前記ヘッダ部に格納される、
請求項1又は2に記載の衛星システム。
【請求項5】
前記第2衛星から前記第1衛星への前記第1コマンドデータの転送は、前記第2衛星と前記第1衛星との間に位置する第3衛星を介して行われる、
請求項1又は2に記載の衛星システム。
【請求項6】
第2衛星を介して第1衛星に対するコマンドデータを転送するデータ中継装置であって、
前記第1衛星を制御する衛星管制システムから前記コマンドデータを受信するデータ受信部と、
前記第1衛星に関する情報を前記第2衛星が読み取り可能なヘッダとして前記コマンドデータに付与したデータを生成するデータ生成部と、
前記データを前記第2衛星に送信するデータ送信部と、を備える、
データ中継装置。
【請求項7】
前記データ送信部が前記データを前記第2衛星に送信する時は、前記第2衛星の衛星管制運用に用いる周波数帯を使用し、
前記周波数帯は、前記第2衛星と前記第1衛星との間の通信に用いる周波数帯よりも低周波域である、
請求項6に記載のデータ中継装置。
【請求項8】
第2衛星を介して第1衛星に対するコマンドデータを転送するデータ中継方法であって、
前記第1衛星を制御する衛星管制システムから前記コマンドデータを受信し、
前記第1衛星に関する情報を前記第2衛星が読み取り可能なヘッダとして前記コマンドデータに付与したデータを生成し、
前記データを前記第2衛星に送信する、
データ中継方法。
【請求項9】
前記データを前記第2衛星に送信する時は、前記第2衛星の衛星管制運用に用いる周波数帯を使用し、
前記周波数帯は、前記第2衛星と前記第1衛星との間の通信に用いる周波数帯よりも低周波域である、
請求項8に記載のデータ中継方法。
【請求項10】
第2衛星を介して第1衛星に対するコマンドデータを転送するプログラムであって、
前記第1衛星を制御する衛星管制システムから前記コマンドデータを受信し、
前記第1衛星に関する情報を前記第2衛星が読み取り可能なヘッダとして前記コマンドデータに付与したデータを生成し、
前記データを前記第2衛星に送信する、ことをコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛星システム、データ中継装置、データ中継方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、データ中継衛星を介して、地上局と観測衛星との間でデータ転送を行うデータ中継方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地上と衛星との間において、大容量のデータ通信を行う際には、X帯又はXバンドと呼ばれる周波数9GHz程度、波長33mm程度のセンチメートル波を使用することが多い。
【0005】
X帯の電波は、直進性が高いため、高速のデータ通信を実行できるが、ビーム幅が狭まることから、高精度の追尾、アンテナ制御、かつ大規模な送受信アンテナを必要とする。また、X帯のような高周波かつ短波長の電波を使用する通信方式では、大気の影響を受けやすく、降雨減衰が顕著である。
【0006】
また、X帯の電波は、直進性が高いことから障害物に弱いため、地上と衛星との間のデータ通信は、地上局アンテナから衛星が可視である状態において行われている。
【0007】
近年、軌道上を周回する衛星の数は増加傾向にあり、数千もの衛星を打ち上げて、それらの衛星を協調させながら、地球上を周回する衛星コンステレーションも計画、遂行されている。衛星コンステレーションのような他の衛星と協調して一つのミッションをこなすことを目的とする衛星システムにおいては、リアルタイムなデータ配布が重要となる。
【0008】
このような衛星システムにおいて、全ての衛星へデータを配布するためには、全ての衛星が可視となるまで配布が完了しない、或いは地球上のあらゆる地点に地上局アンテナを設置、運用する必要がある、などの課題がある。
【0009】
特許文献1には、データ中継衛星を介して、地上局アンテナと観測衛星との間でデータ転送を行うデータ中継方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されるデータ中継衛星は、データ中継専用の衛星であり、他の観測衛星と異なる軌道や周回を管理、制御する必要があった。
【0010】
また、データの転送において、データ中継衛星と観測衛星との間でデータのフォーマットが異なると、インターフェースの変更が必要となる。加えて、衛星システム、特にデータ中継衛星に障害が発生した際において、リカバリをする手段、或いは冗長性を持たせる手段が必要となる。
【0011】
本開示は、これらの課題を鑑みてなされたものであり、簡便かつ安定してデータ中継を行うことが可能な衛星システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示に係る衛星システムは、第1衛星と通信する第1衛星管制システムと、第2衛星と通信する第2衛星管制システムと、を備え、前記第1衛星管制システムは、前記第1衛星を操作するコマンド及び前記第1衛星に関する情報を有する第1コマンドデータを前記第2衛星管制システムに送信し、前記第2衛星管制システムは、前記第1衛星に関する情報を前記第2衛星が読み取り可能なヘッダとして、前記第1コマンドデータに付与した第2コマンドデータを生成し、当該第2コマンドデータを前記第2衛星に送信し、前記第2コマンドデータを受信した前記第2衛星は、前記ヘッダに基づいて前記第1コマンドデータを前記第1衛星に転送するものである。
【0013】
本開示に係るデータ中継装置は、第2衛星を介して第1衛星に対するコマンドデータを転送するデータ中継装置であって、前記第1衛星を制御する衛星管制システムから前記コマンドデータを受信するデータ受信部と、前記第1衛星に関する情報を前記第2衛星が読み取り可能なヘッダとして前記コマンドデータに付与したデータを生成するデータ生成部と、前記データを前記第2衛星に送信するデータ送信部とを備えるものである。
【0014】
本開示に係るデータ中継方法は、第2衛星を介して第1衛星に対するコマンドデータを転送するデータ中継方法であって、前記第1衛星を制御する衛星管制システムから前記コマンドデータを受信し、前記第1衛星に関する情報を前記第2衛星が読み取り可能なヘッダとして前記コマンドデータに付与したデータを生成し、前記データを前記第2衛星に送信するものである。
【0015】
本開示に係るプログラムは、第2衛星を介して第1衛星に対するコマンドデータを転送するプログラムであって、前記第1衛星を制御する衛星管制システムから前記コマンドデータを受信し、前記第1衛星に関する情報を前記第2衛星が読み取り可能なヘッダとして前記コマンドデータに付与したデータを生成し、前記データを前記第2衛星に送信する、ことをコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本開示により、簡便かつ安定してデータ中継を行うことが可能な衛星システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1に係る衛星システムの説明図である。
【
図2】実施の形態1に係る衛星システムにおける動作のフローチャートである。
【
図3】実施の形態2に係る第1衛星管制システムにおける処理のフローチャートである。
【
図4】実施の形態3に係るデータ中継装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る衛星システムの構成を表している。
【0019】
本実施の形態に係る衛星システムは、第1衛星101、第1衛星管制システム102、第2衛星201、第2衛星管制システム202、地上局アンテナ301を備えている。各要素の詳細は、実施の形態2において説明する。
【0020】
図2は、衛星システムにおける処理を示している。第1衛星管制システム102は、第1衛星101に対する第1コマンドデータ110を作成する。第1コマンドデータ110は、第1衛星101が読み取り可能であり、第1衛星101を操作するコマンドを含む第1衛星用データ111及び第1衛星101に関する情報が含まれる第1衛星用ヘッダ112を有している。その後、第1衛星管制システム102は、第1コマンドデータ110を第2衛星管制システム202に送信する(S11)。
【0021】
第2衛星管制システム202は、第1衛星用ヘッダ112に含まれる第1衛星に関する情報を、第2衛星201が読み取り可能である第2衛星用ヘッダ212に加工する。第2衛星管制システム202は、当該第2衛星用ヘッダ212を第1コマンドデータ110に付与し、第2衛星201に対する第2コマンドデータ210を生成する。その後、第2衛星管制システム202は、第2コマンドデータ210を地上局アンテナ301に送信し、地上局アンテナ301から第2衛星201に第2コマンドデータ210を送信させる(S12)。
【0022】
第2衛星201は、第2衛星用ヘッダ212の解釈を行い(S13)、受信したコマンドデータが第2衛星201自身に対するものか、他の衛星に対するものかの判断を行う(S14)。解釈を行うとは、読み取ると言い換えられてもよい。
【0023】
解釈されたコマンドデータが第2衛星201に対するコマンドデータである場合は、第2衛星201にてコマンドデータの解釈を行い、当該コマンドデータに基づいてコマンドを規定時刻に実行する(S15)。第2衛星201に対するコマンドデータとは、第2衛星201をあて先とするコマンドデータである。
【0024】
解釈されたコマンドデータが第1衛星101に対するコマンドデータである場合は、当該コマンドデータを第1衛星101に転送する(S16)。第1衛星101に対するコマンドデータとは、第1衛星101をあて先とするコマンドデータである。
【0025】
第1衛星101は、受信したコマンドデータの解釈を行い(S17)、当該コマンドデータに基づいてコマンドを規定時刻に実行する(S18)。
【0026】
このようにして、本実施の形態に係る衛星システムは、第2衛星を介して第1衛星にコマンドデータを送信することができる。
【0027】
<実施の形態2>
本実施の形態では、実施の形態1に係る衛星システムについて詳細に説明する。
【0028】
第1衛星管制システム102は、第1衛星101の軌道などを制御または管理している。第2衛星管制システム202は、第2衛星201の軌道などを制御または管理している。
【0029】
地上局アンテナ301は、第1衛星管制システム102が第1衛星101にデータを送信する時及び第2衛星管制システム202が第2衛星201にデータを送信する時に用いられる。別の様態として、第1衛星管制システム102及び第2衛星管制システム202が、それぞれ送受信アンテナを備える構成としてもよい。この場合、第1衛星管制システム102は、送受信アンテナを用いて第1衛星101にデータを送信し、第2衛星管制システム202は、送受信アンテナを用いて第2衛星201にデータを送信する。
【0030】
地上局アンテナ301は、大容量のデータ通信を行う際には、X帯のような高周波かつ短波長の電波を使用している。一方で、比較的低容量のデータ通信を行う際には、X帯に比べて低周波域かつ長波長であるS帯などの電波を使用することも可能である。
【0031】
例えば、S帯は、周波数3GHz程度、波長100mm程度のセンチメートル波であり、X帯に比べて大気の影響に強く、簡易な送受信アンテナで制御できる。したがって、S帯などの低周波数帯を使用することで、X帯に比べて通信容量、通信速度は劣るものの、アンテナ制御精度、降雨減衰などの通信制約が緩く、安定した通信が可能となる。
【0032】
なお、第2衛星201から第1衛星101にデータを転送する際には、大気の影響を加味する必要がないため、通信容量、通信速度に優れているX帯を使用してもよい。
【0033】
第1衛星管制システム102は、第1衛星101にコマンドデータを直接送信する場合、即ち、地上局アンテナ301から第1衛星101が可視である場合と同様に、第1コマンドデータ110を作成する。
【0034】
したがって、本実施の形態に係る衛星システムにおいて、第1衛星101が受信するコマンドデータは、地上局アンテナ301から第1衛星101が可視である場合と不可視である場合とで同一である。第1衛星101は、地上局アンテナ301から第1衛星101が可視である場合、地上局アンテナ301を介して、コマンドデータを受信する。また、第1衛星101は、地上局アンテナ301から第1衛星101が不可視である場合、第2衛星を介してコマンドデータを受信する。これにより、第1衛星101にて受信するコマンドデータは、地上局アンテナ301から直接受信する場合と同じフォーマットであるため、インターフェースの変更は不要となる。
【0035】
ここで、地上局アンテナ301から第1衛星101が可視である場合と不可視である場合とにおける第1衛星管制システム102の処理について、
図3に示されるフローチャートを用いて説明する。
【0036】
まず、第1衛星管制システム102は、地上局アンテナ301と第1衛星101との位置関係をチェックする(S21)。チェックの方法は、例えば第1衛星101に定期的にデータを送信し、応答を受信することができるか否かにより、第1衛星101が地上局アンテナ301から可視である位置にあるか否かを判定してもよい。また、第1衛星101の座標情報から、当該位置関係を判定してもよい。
【0037】
次に、第1衛星101が地上局アンテナ301から可視状態にあるか否かを判定する(S22)。第1衛星101が可視状態にある場合は、第1衛星管制システム102は、第1コマンドデータ110を作成し(S23)、地上局アンテナ301を介して第1コマンドデータ110を第1衛星101に直接送信する(S24)。
【0038】
第1衛星101が不可視状態にある場合は、第1衛星管制システム102は、第1コマンドデータ110を作成し(S25)、第1コマンドデータ110を第2衛星管制システム202に送信する(S26)。その後の処理は、
図2のS12以降と同様であるため、省略する。
【0039】
第1衛星用ヘッダ112に含まれる第1衛星101に関する情報は、例えば、衛星識別子、衛星の軌道及び座標、衛星との通信諸元などが挙げられる。
【0040】
第2衛星管制システム202は、第1衛星用ヘッダ112を加工して得た第2衛星用ヘッダ212を第1コマンドデータ110に付与して、第2コマンドデータ210を生成する。例えば、第2衛星管制システム202は、第2衛星201が解釈可能なフォーマットである第2衛星用ヘッダ212に第1衛星用ヘッダを加工する。言い換えると、第2衛星管制システム202は、第2衛星201が解釈可能なフォーマットである第2衛星用ヘッダ212に第1衛星用ヘッダを変換する。具体的には、第2衛星管制システム202は、第1衛星101に関する情報を、第2衛星201が解釈可能なフォーマットである第2衛星用ヘッダ212に設定し、第2衛星用ヘッダを第1コマンドデータに追加してもよい。
【0041】
別の様態として、第2衛星用ヘッダ212を付与せずに、第1衛星用ヘッダ112など既存のヘッダ部に格納してもよい。例えば、第2衛星201は、第1衛星用ヘッダ112における特定の領域を解釈することが可能であり、第2衛星201が解釈可能な領域に、第1衛星101に関する情報が格納されてもよい。
【0042】
第1衛星管制システム102は、第1衛星用ヘッダ112に含まれる第1衛星101に関する情報のうち、衛星識別子以外の情報である、衛星の軌道及び座標、衛星との通信諸元等を、第1コマンドデータ110内に格納しなくてもよい。さらに、第2衛星管制システム202は、第1衛星101に関する情報のうち、少なくとも衛星識別子を第2衛星用ヘッダ212に設定もしくは格納してもよい。例えば、衛星識別子以外の情報である、衛星の軌道及び座標、衛星との通信諸元等は、衛星コンステレーション内に構築されたデータベースに、衛星毎に、関連付けられて管理されてもよい。この場合、第2衛星201は、第2コマンドデータ210から取得した第1衛星101の衛星識別子を用いてデータベースに問い合わせを行うことにより、第1衛星101に関する情報を取得することができる。
【0043】
地上局アンテナ301は、第2衛星管制システム202から受信した第2コマンドデータ210を第2衛星201に送信する。この時、第2衛星201の衛星管制運用に用いる周波数帯にて、第2コマンドデータ210を送信してもよい。
【0044】
例えば、X帯よりも低周波域かつ長波長の電波であるS帯などを使用することで、第2衛星201は、データ中継用途専用の衛星に備えられる設備、即ちX帯の電波を送受信するアンテナを備える必要がなくなり、コストダウンが可能となる。加えて、第2衛星201がデータ中継用途専用の衛星でなくても、S帯での電波を送受信するアンテナを備えている場合、他の衛星に対するコマンドデータを受信することが可能となる。
【0045】
また、データ中継を複数回繰り返して、第1衛星101までに他の一つ又はそれ以上の中継衛星を経由してもよい。例えば、第2衛星201から第1衛星101へのデータ中継において、これらの衛星の間に第3衛星(図示せず)を介してもよい。
【0046】
この時、第2衛星管制システム202は、経由する全ての中継衛星を指定してもよい。或いは、最終的な中継先衛星(本実施の形態における第1衛星101)のみを指定し、中継衛星が格納している中継可能な他の衛星情報を用いて、当該中継衛星にて次の中継先を判断し、データ中継を行ってもよい。
【0047】
また、中継先衛星は一つのみでなく、複数の中継先衛星でもよい。例えば、第1衛星101が属する衛星コンステレーションの他の複数の中継先衛星にもデータを配布してもよい。この時、中継データの中に、受信済みかどうかを判断するためのフラグ情報を含ませてもよい。
【0048】
また、中継衛星(本実施の形態における第2衛星201)に障害が発生した場合において、当該障害が発生した中継衛星の属する衛星コンステレーション外の衛星によってデータ中継を行ってもよい。本実施の形態のデータ中継方法を用いることにより、異なる衛星コンステレーションに属する中継衛星が読み取り可能なヘッダを付与することができるため、データ中継を容易に行うことが可能となる。したがって、本実施の形態に係る衛星システムの冗長性を持たせることができる。
<実施の形態3>
【0049】
本実施の形態では、実施の形態1及び2に係る衛星システムにおける、データ中継装置の内部について説明する。
図4は、本実施の形態に係るデータ中継装置の構成図である。データ中継装置は、第2衛星管制システム202の内部に備えられ、データ受信部401、データ生成部402、データ送信部403を備える。
【0050】
データ受信部401は、第1衛星管制システム102から送信された第1コマンドデータ110を受信する。
【0051】
データ生成部402は、受信した第1コマンドデータ110に含まれる第1衛星101に関する情報を、第2衛星201が読み取り可能である第2衛星用ヘッダ212に加工する。その後、当該第2衛星用ヘッダ212を第1コマンドデータ110に付与し、第2衛星201に対する第2コマンドデータ210を生成する。
【0052】
データ送信部403は、第2コマンドデータ210を地上局アンテナ301に送信し、地上局アンテナ301から第2衛星201に第2コマンドデータ210を送信させる。その後、第2コマンドデータ210を受信した第2衛星201は、第1コマンドデータ110を第1衛星101に転送する。
【0053】
このように、本実施の形態に係るデータ中継装置によって、第2衛星を介して第1衛星にコマンドデータを転送する衛星システムを提供することができる。
【0054】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0055】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。第1衛星101及び第2衛星201は、本開示の衛星システムを運用する同一の衛星コンステレーションに属するように記載されているが、これに限定されない。例えば、コマンドデータを送信する必要があるものの、地上局アンテナ301から不可視の位置にある衛星を第1衛星101と称し、地上局アンテナ301から可視であり、かつ第1衛星101と通信ができる位置にある衛星を第2衛星201と称してもよい。本開示に係るデータ中継方法を使用することで、第1衛星101と第2衛星201が異なる衛星コンステレーションに属していても、コマンドデータを安定して中継することができる。
【符号の説明】
【0056】
101 第1衛星
102 第1衛星管制システム
110 第1コマンドデータ
111 第1衛星用データ
112 第1衛星用ヘッダ
201 第2衛星
202 第2衛星管制システム
210 第2コマンドデータ
212 第2衛星用ヘッダ
301 地上局アンテナ
401 データ受信部
402 データ生成部
403 データ送信部