(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176909
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20231206BHJP
H10B 41/10 20230101ALI20231206BHJP
H10B 43/10 20230101ALI20231206BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11519
H01L27/11565
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089484
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中塚 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】内山 泰宏
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083ZA01
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
(57)【要約】
【課題】一つの実施形態は、容易に多機能化できる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、半導体記憶装置の第1のチップにおいて、複数の第1の導電層は、第1の絶縁層を介して積層される。第1の半導体膜は、複数の第1の導電層を通って積層方向に延びる。第1のチップでは、複数の第1の導電層と第1の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成される。第2のチップにおいて、複数の第2の導電層は、第2の絶縁層を介して積層される。第2の半導体膜は、複数の第2の導電層を通って積層方向に延びる。第2のチップでは、複数の第2の導電層と第2の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成される。複数の第1の導電層の積層数と複数の第2の導電層の積層数とは互いに異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチップと、
前記第1のチップに接合される第2のチップと、
前記第1のチップと反対側で前記第2のチップに接合される第3のチップと、
を備え、
前記第1のチップは、
第1の絶縁層を介して積層される複数の第1の導電層と、
前記複数の第1の導電層を通って積層方向に延びる第1の半導体膜と、
前記複数の第1の導電層と前記第1の半導体膜との間に配される第1の絶縁膜と、
を有し、
前記第1のチップでは、前記複数の第1の導電層と前記第1の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成され、
前記第2のチップは、
第2の絶縁層を介して積層される複数の第2の導電層と、
前記複数の第2の導電層を通って積層方向に延びる第2の半導体膜と、
前記複数の第2の導電層と前記第2の半導体膜との間に配される第2の絶縁膜と、
を有し、
前記第2のチップでは、前記複数の第2の導電層と前記第2の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成され、
前記複数の第1の導電層の積層数と前記複数の第2の導電層の積層数とは互いに異なる
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の第1の導電層の積層数は、前記複数の第2の導電層の積層数より多い
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数の第1の導電層の積層数は、前記複数の第2の導電層の積層数より少ない
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
第1のチップと、
前記第1のチップに接合される第2のチップと、
前記第1のチップと反対側で前記第2のチップに接合される第3のチップと、
を備え、
前記第1のチップは、
第1の絶縁層を介して積層される複数の第1の導電層と、
前記複数の第1の導電層を通って積層方向に延びる第1の半導体膜と、
前記複数の第1の導電層と前記第1の半導体膜との間に配される第1の絶縁膜と、
を有し、
前記第1のチップでは、前記複数の第1の導電層と前記第1の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成され、
前記第2のチップは、
第2の絶縁層を介して積層される複数の第2の導電層と、
前記複数の第2の導電層を通って積層方向に延びる第2の半導体膜と、
前記複数の第2の導電層と前記第2の半導体膜との間に配される第2の絶縁膜と、
を有し、
前記第2のチップでは、前記複数の第2の導電層と前記第2の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成され、
前記複数の第1の導電層の積層ピッチと前記複数の第2の導電層の積層ピッチとは互いに異なる
半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数の第1の導電層の積層ピッチは、前記複数の第2の導電層の積層ピッチより大きい
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記複数の第1の導電層の積層ピッチは、前記複数の第2の導電層の積層ピッチより小さい
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
第1のチップと、
前記第1のチップに接合される第2のチップと、
前記第1のチップと反対側で前記第2のチップに接合される第3のチップと、
を備え、
前記第1のチップは、
第1の絶縁層を介して積層される複数の第1の導電層と、
前記複数の第1の導電層を通って積層方向に延びる第1の半導体膜と、
前記複数の第1の導電層と前記第1の半導体膜との間に配される第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜と前記第1の半導体膜との間に配される第1の電荷蓄積膜と、
を有し、
前記第1のチップでは、前記複数の第1の導電層と前記第1の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成され、
前記第2のチップは、
第2の絶縁層を介して積層される複数の第2の導電層と、
前記複数の第2の導電層を通って積層方向に延びる第2の半導体膜と、
前記複数の第2の導電層と前記第2の半導体膜との間に配される第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜と前記第2の半導体膜との間に配される第2の電荷蓄積膜と、
を有し、
前記第2のチップでは、前記複数の第2の導電層と前記第2の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成され、
前記積層方向と交差する方向において、前記第1の電荷蓄積膜の膜厚と前記第2の電荷蓄積膜の膜厚とは互いに異なる
半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1の電荷蓄積膜の膜厚は、前記第2の電荷蓄積膜の膜厚より薄い
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1の電荷蓄積膜の膜厚は、前記第2の電荷蓄積膜の膜厚より厚い
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
第1のチップと、
前記第1のチップに接合される第2のチップと、
前記第1のチップと反対側で前記第2のチップに接合される第3のチップと、
を備え、
前記第1のチップは、
第1の絶縁層を介して積層される複数の第1の導電層と、
前記複数の第1の導電層を通って積層方向に延びる第1の半導体膜と、
前記複数の第1の導電層と前記第1の半導体膜との間に配される第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜と前記第1の半導体膜との間に配される第1の電荷蓄積膜と、
前記第1の電荷蓄積膜と前記第1の半導体膜との間に配される第3の絶縁膜と、
を有し、
前記第1のチップでは、前記複数の第1の導電層と前記第1の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成され、
前記第2のチップは、
第2の絶縁層を介して積層される複数の第2の導電層と、
前記複数の第2の導電層を通って積層方向に延びる第2の半導体膜と、
前記複数の第2の導電層と前記第2の半導体膜との間に配される第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜と前記第2の半導体膜との間に配される第2の電荷蓄積膜と、
前記第2の電荷蓄積膜と前記第2の半導体膜との間に配される第4の絶縁膜と、
を有し、
前記第2のチップでは、前記複数の第2の導電層と前記第2の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成され、
前記積層方向と交差する方向において、前記第3の絶縁膜の膜厚と前記第4の絶縁膜の膜厚とは互いに異なる
半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第3の絶縁膜の膜厚は、前記第4の絶縁膜の膜厚より薄い
請求項10に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第3の絶縁膜の膜厚は、前記第4の絶縁膜の膜厚より厚い
請求項10に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルアレイを有する半導体記憶装置は、メモリセルアレイにデータをライトしたり、メモリセルアレイからデータをリードしたりする。半導体記憶装置では、ライト処理及び/又はリード処理において、所定の機能が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-148071号公報
【特許文献2】特開2018-152419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、ライト処理及び/又はリード処理を容易に多機能化できる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、第1のチップと第2のチップと第3のチップとを有する半導体記憶装置が提供される。第2のチップは、第1のチップに接合される。第3のチップは、第1のチップと反対側で第2のチップに接合される。第1のチップは、複数の第1の導電層と第1の半導体膜と第1の絶縁膜とを有する。複数の第1の導電層は、第1の絶縁層を介して積層される。第1の半導体膜は、複数の第1の導電層を通って積層方向に延びる。第1の絶縁膜は、複数の第1の導電層と半導体膜との間に配される。第1のチップでは、複数の第1の導電層と第1の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成される。第2のチップは、複数の第2の導電層と第2の半導体膜と第2の絶縁膜とを有する。複数の第2の導電層は、第2の絶縁層を介して積層される。第2の半導体膜は、複数の第2の導電層を通って積層方向に延びる。第2の絶縁膜は、複数の第2の導電層と半導体膜との間に配される。第2のチップでは、複数の第2の導電層と第2の半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが形成される。複数の第1の導電層の積層数と複数の第2の導電層の積層数とは互いに異なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態におけるブロックの構成を示す回路図。
【
図3】第1の実施形態におけるチップ間の接続構成を示す図。
【
図4】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す積層方向の断面図。
【
図5】第1の実施形態におけるメモリセルの構成を示す積層方向・平面方向の断面図。
【
図6】第1の実施形態にかかるメモリセルアレイの構成を示す平面図。
【
図7】第1の実施形態にかかるメモリセルアレイの構成を示す平面図。
【
図8】第1の実施形態におけるプラグ接続部の構成を示す積層方向の断面図。
【
図9】第1の実施形態におけるセル部の構成を示す積層方向の断面図。
【
図10】第2の実施形態におけるブロックの構成を示す回路図。
【
図11】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す積層方向の断面図。
【
図12】第2の実施形態における積層ピッチを示す積層方向の断面図。
【
図13】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す平面図。
【
図14】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す平面図。
【
図15】第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す積層方向の断面図。
【
図16】第3の実施形態におけるメモリセルの構成を示す平面方向の断面図。
【
図17】第4の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す積層方向の断面図。
【
図18】第4の実施形態におけるメモリセルの構成を示す平面方向の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体記憶装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかる半導体記憶装置は、メモリセルアレイを有し、メモリセルアレイにデータをライトしたり、メモリセルアレイからデータをリードしたりするが、ライト処理及び/又はリード処理を多機能化するための工夫が施される。例えば、半導体記憶装置1は、
図1に示すように構成され得る。
図1は、半導体記憶装置1の構成を示すブロック図である。
【0009】
半導体記憶装置1は、複数のチップ10_1,10_2,20を有する。複数のチップ10_1,10_2,20のうち、チップ10_1,10_2は、それぞれ、メモリセルアレイ11_1,11_2を含み、アレイチップとも呼ばれる。チップ20は、メモリセルアレイ11_1,11_2を制御するための回路を含み、回路チップとも呼ばれる。
【0010】
なお、チップ10_1,10_2は、互いに区別しない場合、チップ10と表記する。メモリセルアレイ11_1,11_2は、互いに区別しない場合、メモリセルアレイ11と表記する。また、
図1では、半導体記憶装置1が2個のチップ(アレイチップ)10_1,10_2を含む構成が例示されるが、半導体記憶装置1は3個以上のアレイチップを含んでもよい。
【0011】
チップ10_1は、メモリセルアレイ11_1を含む。メモリセルアレイ11_1では、メモリセルトランジスタ(以下、単にメモリセル)が3次元的に複数配列される。チップ10_2は、メモリセルアレイ11_2を含む。メモリセルアレイ11_2では、メモリセルが3次元的に複数配列される。メモリセルアレイ11_1及びメモリセルアレイ11_2を含むメモリセルアレイ群12は、複数のブロックBKを含む。ブロックBKは、ワード線WLが共通接続される複数のメモリセルの集合である。ブロックBKは、複数のチップ10_1,10_2に分割配置される。ブロックBKがチップごとに分割される単位をサブブロックSBKと呼ぶことにする。
【0012】
メモリセルアレイ群12が複数のブロックBK0~BK2を含む場合、メモリセルアレイ11_1は複数のサブブロックSBK0_1~SBK2_1を含み、メモリセルアレイ11_2は複数のサブブロックSBK0_2~SBK2_2を含む。サブブロックSBK内の複数のメモリセルは、ロウ及びカラムに対応付けられる。
【0013】
各サブブロックSBKは、複数のストリングユニットSUを含む。ストリングユニットSUは、ワード線WLを共有する複数のメモリストリングMSの集合である。
図1では、サブブロックSBKが4つのストリングユニットSU0~SU3を含む構成が例示される。
【0014】
ストリングユニットSUは、複数のメモリストリングMSを含む。メモリストリングMSは、直列接続される複数のメモリセルの集合を含む。
【0015】
なお、
図1では、半導体記憶装置1が2個のチップ(アレイチップ)10_1,10_2を含む構成が例示されるが、半導体記憶装置1は3個以上のアレイチップを含んでもよい。それに応じて、メモリセルアレイ群12は、3個以上のメモリセルアレイ11を含んでもよい。メモリセルアレイ群12内のブロックBKの個数、メモリセルアレイ11内のサブブロックSBKの個数は、任意である。サブブロックSBK内のストリングユニットSUの個数は、任意である。
【0016】
チップ20は、メモリセルアレイ11_1,11_2を制御するための回路として、シーケンサ21、電圧発生回路22、ロウドライバ23、ロウデコーダ24、及びセンスアンプ25を含む。
【0017】
シーケンサ21は、チップ20の各部を統括的に制御する。シーケンサ21は、電圧発生回路22、ロウドライバ23、ロウデコーダ24、及びセンスアンプ25にそれぞれ接続される。シーケンサ21は、外部のコントローラCTRから受けるコマンド・データに基づいて、半導体記憶装置1の動作を制御する。
【0018】
例えば、シーケンサ21は、ライトコマンドに基づいて、ライト動作を制御する。シーケンサ21は、ライト動作の制御において、メモリセルアレイ11におけるアドレス指定されたメモリセルからデータをライトし、ライト完了通知をコントローラCTRに返す。シーケンサ21は、リードコマンドに基づいて、リード動作を制御する。シーケンサ21は、リード動作の制御において、メモリセルアレイ11におけるアドレス指定されたメモリセルからデータをリードし、リードデータをコントローラCTRに返す。シーケンサ21は、イレーズコマンドに基づいて、イレーズ動作を制御する。シーケンサ21は、イレーズ動作の制御において、メモリセルアレイ11における指定された領域のデータをイレーズし、イレーズ完了通知をコントローラCTRに返す。
【0019】
電圧発生回路22は、ロウドライバ23及びセンスアンプ25に接続される。電圧発生回路22は、シーケンサ21からの制御に応じて、ライト動作、リード動作、及びイレーズ動作等に用いられる電圧を発生させる。電圧発生回路22は、発生された電圧をロウドライバ23及び/又はセンスアンプ25へ供給する。
【0020】
ロウドライバ23は、ロウデコーダ24に接続される。ロウドライバ23は、シーケンサ21からロウアドレス(例えば、ページアドレス)を受ける。ロウドライバ23は、ロウアドレスに応じて、電圧発生回路22から受ける電圧をロウデコーダ24へ転送する。
【0021】
ロウデコーダ24は、シーケンサ21からロウアドレス(例えば、ブロックアドレス)を受ける。ロウデコーダ24は、ロウアドレスをデコードする。ロウデコーダ24は、デコード結果に応じて、メモリセルアレイ11におけるアドレス指定されたブロックBKを選択する。
【0022】
ロウデコーダ24は、複数のワード線WLを介してメモリセルアレイ11_1,11_2に接続される。メモリセルアレイ11_1のワード線WLとメモリセルアレイ11_2のワード線WLとは、ロウデコーダ24に共通に接続される。これにより、ロウデコーダ24は、メモリセルアレイ11_1のワード線WLとメモリセルアレイ11_2のワード線WLとを並行して駆動することができる。
【0023】
ロウデコーダ24は、複数の選択ゲート線SGSを介してメモリセルアレイ11_1,11_2に接続される。メモリセルアレイ11_1の選択ゲート線SGSとメモリセルアレイ11_2の選択ゲート線SGSとは、ロウデコーダ24に共通に接続される。これにより、ロウデコーダ24は、メモリセルアレイ11_1の選択ゲート線SGSとメモリセルアレイ11_2の選択ゲート線SGSとを並行して駆動することができる。
【0024】
ロウデコーダ24は、複数の選択ゲート線SGD_1を介してメモリセルアレイ11_1に接続され、複数の選択ゲート線SGD_2を介してメモリセルアレイ11_2に接続される。メモリセルアレイ11_1の選択ゲート線SGD_1とメモリセルアレイ11_2の選択ゲート線SGD_2とは、ロウデコーダ24にそれぞれ接続される。これにより、ロウデコーダ24は、メモリセルアレイ11_1の選択ゲート線SGD_1とメモリセルアレイ11_2の選択ゲート線SGD_2とを、互いに独立して駆動することができる。
【0025】
センスアンプ25は、複数のビット線BLを介してメモリセルアレイ11_1,11_2に接続される。センスアンプ25は、ライト動作時に、ライトデータに応じた電圧をメモリセルアレイ11のビット線BLに供給する。センスアンプ25は、リード動作時に、メモリセルアレイ11のビット線BLにリードされたデータをセンスする。
【0026】
メモリセルアレイ11_1のビット線BLとメモリセルアレイ11_2のビット線BLとは、センスアンプ25に共通に接続される。これにより、センスアンプ25は、メモリセルアレイ11_1のビット線BLとメモリセルアレイ11_2のビット線BLとに対して、駆動又はセンスを並行して行うことができる。
【0027】
次に、各メモリセルアレイ11_1,11_2の回路構成について
図2を用いて説明する。
図2は、各メモリセルアレイ11_1,11_2の構成を示す回路図である。
【0028】
各メモリセルアレイ11の各サブブロックSBKの各ストリングユニットSUは、複数のメモリストリングMSを有する。各メモリストリングMSは、複数のメモリセルMC及び選択トランジスタST1,ST2を有する。各メモリストリングMS内では、選択トランジスタST1,ST2間に複数のメモリセルMCが直列に接続される。選択トランジスタST1のドレインは、ビット線BLに接続される。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。
【0029】
各ストリングユニットSUにおいて、複数のメモリストリングMSは、選択ゲート線SGD,SGS、ワード線WLが共通に接続される。例えば、選択ゲート線SGDは、複数のメモリストリングMSの選択トランジスタST1のゲートに共通に接続される。ワード線WLは、複数のメモリストリングMSのメモリセルMCのゲートに共通に接続される。選択ゲート線SGSは、複数のメモリストリングMSの選択トランジスタST2のゲートに共通に接続される。
【0030】
1つのストリングユニットSU内で、1つのワード線WLに接続される複数のメモリセルMCの集合は、セルユニットCUと称される。例えば、メモリセルMCがpビットデータ(pは1以上の整数)を記憶する場合、セルユニットCUの記憶容量はpページデータとして定義される。
【0031】
メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSとメモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSとは、接続されるワード線WLの本数が異なる。
図2の例では、メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSは6本のワード線WL0~WL5に接続され、メモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSは2本のワード線WL0~WL1に接続される。
【0032】
メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSとメモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSとは、部分的に、ワード線WLが並行して駆動可能に構成される。6本のワード線WL0~WL5のうち、2本のワード線WL0~WL1は、メモリセルアレイ11_1のメモリセルMCのゲートとメモリセルアレイ11_2のメモリセルMCのゲートとに共通に接続される。残りの4本のワード線WL2~WL5は、メモリセルアレイ11_1のメモリセルMCのゲートに接続され、メモリセルアレイ11_2のメモリセルMCのゲートに接続されない。
【0033】
メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSとメモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSとは、選択ゲート線SGSが並行して駆動可能に構成される。選択ゲート線SGSは、メモリセルアレイ11_1の選択トランジスタST2のゲートとメモリセルアレイ11_2の選択トランジスタST2のゲートとに共通に接続される。
【0034】
すなわち、ロウデコーダ24は、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とでワード線WLを部分的に並行して駆動可能であり、選択ゲート線SGSを並行して駆動可能である。これにより、ロウデコーダ24におけるワード線WL、選択ゲート線SGSを駆動する部分の回路面積をコンパクトに抑えることができる。
【0035】
メモリセルアレイ11_1の複数のメモリストリングMSとメモリセルアレイ11_2の複数のメモリストリングMSと複数のビット線BL0~BLnとは、互いに対応する。メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSは、対応するメモリセルアレイ11_2のメモリストリングMSと対応するビット線BLを共有する。
【0036】
すなわち、センスアンプ25は、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とでビット線BLを並行して駆動可能でありビット線BLの電位を並行してセンス可能である。これにより、センスアンプ25におけるビット線BLを駆動する部分、センスする部分の回路面積をコンパクトに抑えることができる。
【0037】
メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSとメモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSとは、選択トランジスタST1が互いに独立して駆動可能に構成される。選択ゲート線SGDは、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とで個別に接続される。選択ゲート線SGD0_1,SGD1_1,SGD2_1は、それぞれ、メモリセルアレイ11_1におけるストリングユニットSU0,SU1,SU2の選択トランジスタST1のゲートに接続される。選択ゲート線SGD0_2,SGD1_2,SGD2_2は、それぞれ、メモリセルアレイ11_2におけるストリングユニットSU0,SU1,SU2の選択トランジスタST1のゲートに接続される。
【0038】
すなわち、ロウデコーダ24は、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とで選択ゲート線SGD_1,SGD_2を独立に駆動でき、メモリセルアレイ11_1及びメモリセルアレイ11_2の少なくとも一方を選択して駆動できる。これにより、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とでライト動作及び/又はリード動作を互いに独立に行わせることができる。すなわち、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とでライト動作及び/又はリード動作に関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とを使い分けることができる。
【0039】
例えば、メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSとメモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSとは、含まれるメモリセルMCの数が異なる。メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSが6個のメモリセルMC0~MC5を含み、メモリストリングMSにおける配線負荷が比較的大きい。メモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSが2個のメモリセルMC0~MC1を含み、メモリストリングMSにおける配線負荷が比較的小さい。これにより、リード動作において、メモリセルアレイ11_1では、選択メモリストリングMSのセル電流ICellが比較的小さく、ビット線BLの充放電を低速に行い期間tRの長い動作を実現でき、メモリセルアレイ11_2では、選択メモリストリングMSのセル電流ICellが比較的大きく、ビット線BLの充放電を高速に行い期間tRの短い動作を実現できる。期間tRは、半導体記憶装置1がリードコマンドを受信してからリード動作を完了するまでの時間であり、主としてセンスアンプ25によるビット線BLのセンス動作が行われる時間である。
【0040】
次に、チップ間の接続構成について
図3を用いて説明する。
図3は、チップ20,10_1,10_2間の接続構成を示す図である。
【0041】
チップ(回路チップ)20の上側に、チップ(アレイチップ)10_1が配される。チップ20の上面にチップ10_1が接合されてもよい。チップ10_1の上側に、チップ(アレイチップ)10_2が配される。チップ10_1の上面にチップ10_2が接合されてもよい。チップ10_2は、チップ20の反対側でチップ10_1に接合される。すなわち、チップ20の上にチップ10_1、チップ10_2が順に積層された構造が形成される。この構造は、メモリセルアレイ11_1,11_2が複数積層された構造であり、マルチスタックアレイとも呼ばれる。
【0042】
チップ10_1,10_2のそれぞれにおいて、メモリセルアレイ11_1,11_2は、セル部及びプラグ接続部を含む。セル部は、複数のメモリセルMCが配列される領域である。プラグ接続部は、セル部に対して、選択ゲート線SGS、ワード線WL、選択ゲート線SGDが平面方向に引き出され、それぞれ、コンタクトプラグに接続される領域である。
【0043】
チップ10_1の選択ゲート線SGD_1とチップ10_2の選択ゲート線SGD_2とは、チップ20のロウデコーダ24に互いに個別に接続される。選択ゲート線SGD_1は、メモリセルアレイ11_1のプラグ接続部に接続される。選択ゲート線SGD_2は、メモリセルアレイ11_1のプラグ接続部をプラグ接続部から絶縁された状態で通過し、メモリセルアレイ11_2のプラグ接続部に接続される。選択ゲート線SGD_1と選択ゲート線SGD_2とは、互いに電気的に絶縁される。
【0044】
チップ10_1のワード線WLとチップ10_2のワード線WLとは、チップ20のロウデコーダ24に共通に接続される。ワード線WLは、メモリセルアレイ11_1のプラグ接続部とメモリセルアレイ11_2のプラグ接続部とに接続される。
【0045】
チップ10_1の選択ゲート線SGSとチップ10_2の選択ゲート線SGSとは、チップ20のロウデコーダ24に共通に接続される。選択ゲート線SGSは、メモリセルアレイ11_1のプラグ接続部とメモリセルアレイ11_2のプラグ接続部とに接続される。
【0046】
チップ10_1のビット線BLとチップ10_2のビット線BLとは、チップ20のセンスアンプ25に共通に接続される。ビット線BLは、メモリセルアレイ11_1のセル部とメモリセルアレイ11_2のセル部とに接続される。
【0047】
次に、半導体記憶装置1における各チップ20,10_1,10_2の概略構成について
図4を用いて説明する。
図4は、半導体記憶装置1の構成を示す積層方向の断面図である。
【0048】
半導体記憶装置1では、複数のチップ20,10_1,10_2が積層される。チップ20の+Z側に、チップ10_1が配される。チップ10_1の+Z側に、チップ10_2が配される。すなわち、チップ20の+Z側に、チップ10_1,10_2が順に積層される。チップ20の+Z側にチップ10_1,10_2が順に接合される構造は、メモリセルアレイ11_1,11_2が順に積層され、マルチスタックアレイとも呼ばれる。
【0049】
なお、マルチスタックアレイにおける積層されるチップ(アレイチップ)10の個数は、2個に限定されず、3個以上であってもよい。
【0050】
チップ20の+Z側の面に、チップ10_1が接合される。チップ10_1は、直接接合で接合されてもよい。チップ20は、+Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)DL1と電極PD1とを有する。チップ10_1は、-Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)DL2と電極PD2とを有する。チップ20,10_1の接合面BF1では、チップ20の絶縁膜DL1とチップ10_1の絶縁膜DL2とが接合され、チップ20の電極PD1とチップ10_1の電極PD2とが接合される。
【0051】
チップ10_1の+Z側の面に、チップ10_2が接合される。チップ10_2は、チップ20の反対側でチップ10_1に接合される。チップ10_2は、直接接合で接合されてもよい。チップ10_1は、+Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)DL2と電極PD3とを有する。チップ10_2は、-Z側に絶縁膜(例えば、酸化膜)DL3と電極PD4とを有する。チップ10_1,10_2の接合面BF2では、チップ10_1の絶縁膜DL2とチップ10_2の絶縁膜DL3とが接合され、チップ10_1の電極PD3とチップ10_2の電極PD4とが接合される。
【0052】
チップ20は、基板4、トランジスタTr、電極PD1、配線構造WS-1~WS-9、絶縁膜DL1を有する。基板4は、チップ20における-Z側に配され、XY方向に板状延びる。基板4は、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板4は、+Z側の表面4aを有する。トランジスタTrは、メモリセルアレイ11を制御するための回路(シーケンサ21、電圧発生回路22、ロウドライバ23、ロウデコーダ24、センスアンプ25など)の回路素子として機能する。トランジスタTrは、基板200の表面200aに導電膜として配されるゲート電極、基板200内の表面200a近傍に半導体領域として配されるソース電極・ドレイン電極などを含む。電極PD1は、前述のように、チップ20,10_1の接合面BF1にその表面が露出するように配される。各配線構造WS-1~WS-9は、主としてZ方向に延びて、トランジスタTrのゲート電極、ソース電極・ドレイン電極などを電極PD1へ接続する。
【0053】
チップ10_1は、積層体SST1、導電層103、導電層104、複数の柱状体CL1、複数のプラグCP1、複数のプラグCP2、複数の導電膜BL、電極PD2、電極PD3、絶縁膜DL2を有する。積層体SST1では、複数の導電層102が絶縁層101を介してZ方向に積層される。積層体SST1では、導電層102と絶縁層101とが交互に複数回積層される。導電層102のZ方向厚さと絶縁層101のZ方向厚さとは、互いに略均等であってもよい。複数の導電層102は、-Z側から+Z側へ順に、選択ゲート線SGD、ワード線WL5、ワード線WL4、ワード線WL3、ワード線WL2、ワード線WL1、ワード線WL0、選択ゲート線SGSとして機能する。
【0054】
各導電層102は、XY方向に板状に延びる。各柱状体CL1は、複数の導電層102を通ってZ方向に延びる。各柱状体CL1は、積層体SST1をZ方向に貫通してもよい。各柱状体CL1は、Z方向に柱状に延びる。各柱状体CL1は、チャネル領域として機能する半導体膜CH(
図5参照)を含む。半導体膜CHは、Z方向に沿った軸を有する柱状に(例えば、柱形状又は筒形状で)延びる。複数の導電層102と複数の柱状体CL1とが交差する複数の交差位置、すなわち複数の導電層102と複数の半導体膜CHとが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルMCが形成される。
【0055】
各柱状体CL1は、
図5(a)、
図5(b)に示すように、絶縁膜CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1、絶縁膜BLK2を含む。
図5(a)は、メモリセルMCの構成を示すXZ断面図であり、
図4のA部分の拡大断面図である。
図5(b)は、メモリセルMCの構成を示すXY断面図であり、
図5(a)をB-B線に沿って切った場合の断面を示す。絶縁膜CRは、Z方向に延び、Z方向に沿った軸を有する柱形状を構成する。絶縁膜CRは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。半導体膜CHは、絶縁膜CRをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。半導体膜CHは、ポリシリコン等の半導体で形成され得る。絶縁膜TNLは、半導体膜CHをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜TNLは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。電荷蓄積膜CTは、絶縁膜TNLをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。電荷蓄積膜CTは、シリコン窒化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK1は、電荷蓄積膜CTをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜BLK1は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK2は、絶縁膜BLK1をXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜BLK2は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。
図5(a)、
図5(b)に点線で囲って示す部分がメモリセルMCとして機能する。
【0056】
柱状体CL1における半導体膜CHは、
図4に示すように、+Z側端で導電層103に接続され、-Z側端でプラグを介して導電膜BLに接続される。導電膜BLは、ビット線BL(
図2参照)として機能する。導電層103は、+Z側が導電層104で覆われる。導電層103,104は、ソース線SL(
図2参照)として機能する。半導体膜CHは、メモリストリングMS(
図2参照)におけるチャネル領域として機能する。
【0057】
また、各導電層102は、Y方向幅が互いに均等であってもよい。複数の導電層102は、-Z側から+Z側にかけて、X方向幅が段階的に大きくなっている。複数の導電層102は、-Z側から+Z側にかけて、X方向端が徐々に外側に位置するように構成される。これにより、メモリセルアレイ11_1におけるプラグ接続部に、-Z側から+Z側へ順に、選択ゲート線SGD、ワード線WL5、ワード線WL4、ワード線WL3、ワード線WL2、ワード線WL1、ワード線WL0、選択ゲート線SGSが階段状に引き出された階段構造が構成される。
【0058】
複数のプラグCP1は、複数の導電層102に対応する。各プラグCP1は、Z方向における電極PD1及び対応する導電層102の間に配され、-Z側端が電極PD2に電気的に接続され、Z方向に延び、+Z側端が対応する導電層102に電気的に接続される。これにより、プラグCP1は、電極PD2及び対応する導電層102を電気的に接続する。各導電層102は、プラグCP1、電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ20のトランジスタTrに接続され得る。
【0059】
複数のプラグCP2は、複数の電極PD2に対応し、複数の電極PD3に対応する。各プラグCP2は、Z方向における対応する電極PD2及び対応する電極PD3の間に配され、-Z側端が電極PD2に電気的に接続され、Z方向に延びて複数の導電層102を貫通し、+Z側端が対応する電極PD3に電気的に接続される。各プラグCP2は、その外側面が絶縁膜で覆われ導電層102から絶縁された状態で導電層102を貫通する。これにより、プラグCP2は、対応する電極PD2及び対応する電極PD3を電気的に接続する。
【0060】
複数の導電膜BLは、積層体SST1の-Z側に配される。複数の導電膜BLは、互いにX方向に配列される。各導電膜BLは、Y方向に延びる。複数の導電膜BLは、複数の柱状体CL1に対応する。各導電膜BLは、対応する柱状体CL1の-Z側端に電気的に接続され、ビット線BLとして機能する。導電膜BLは、電極PD2に電気的に接続される。これにより、ビット線BLが電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ10のトランジスタTrに接続され得る。
【0061】
電極PD2は、前述のように、チップ20,10_1の接合面BF1にその表面が露出するように配される。電極PD3は、前述のように、チップ10_1,10_2の接合面BF2にその表面が露出するように配される。
【0062】
チップ10_2は、積層体SST2、導電層103、導電層104、複数の柱状体CL2、複数のプラグCP3、複数の導電膜BL、電極PD4、絶縁膜DL2を有する。積層体SST2では、複数の導電層102が絶縁層101を介してZ方向に積層される。積層体SST1では、導電層102と絶縁層101とが交互に複数回積層される。導電層102のZ方向厚さと絶縁層101のZ方向厚さとは、互いに略均等であってもよい。複数の導電層102は、-Z側から+Z側へ順に、選択ゲート線SGD、ワード線WL1、ワード線WL0、選択ゲート線SGSとして機能する。
【0063】
各導電層102は、XY方向に板状に延びる。各柱状体CL2は、複数の導電層102を通ってZ方向に延びる。各柱状体CL2は、積層体SST2をZ方向に貫通してもよい。各柱状体CL2は、Z方向に柱状に延びる。各柱状体CL2は、チャネル領域として機能する半導体膜CH(
図5参照)を含む。半導体膜CHは、Z方向に沿った軸を有する柱状に(例えば、柱形状又は筒形状で)延びる。複数の導電層102と複数の柱状体CL2とが交差する複数の交差位置、すなわち複数の導電層102と複数の半導体膜CHとが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルMCが形成される。
【0064】
各柱状体CL2は、
図5(a)、
図5(b)に示すように、絶縁膜CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1、絶縁膜BLK2を含む。絶縁膜CRは、Z方向に延び、Z方向に沿った軸を有する柱形状を構成する。絶縁膜CRは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。半導体膜CHは、絶縁膜CRをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。半導体膜CHは、ポリシリコン等の半導体で形成され得る。絶縁膜TNLは、半導体膜CHをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜TNLは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。電荷蓄積膜CTは、絶縁膜TNLをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。電荷蓄積膜CTは、シリコン窒化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK1は、電荷蓄積膜CTをXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜BLK1は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜BLK2は、絶縁膜BLK1をXY方向外側から覆うようにZ方向に延び、Z方向に沿った軸を有する筒形状を構成する。絶縁膜BLK2は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。
図5(a)、
図5(b)に点線で囲って示す部分がメモリセルMCとして機能する。
【0065】
柱状体CL2における半導体膜CHは、
図4に示すように、+Z側端で導電層103に接続され、-Z側端でプラグを介して導電膜BLに接続される。導電膜BLは、ビット線BL(
図2参照)として機能する。導電層103は、+Z側が導電層104で覆われる。導電層103,104は、ソース線SL(
図2参照)として機能する。半導体膜CHは、メモリストリングMS(
図2参照)におけるチャネル領域として機能する。
【0066】
また、各導電層102は、Y方向幅が互いに均等であってもよい。複数の導電層102は、-Z側から+Z側にかけて、X方向幅が段階的に大きくなっている。複数の導電層102は、-Z側から+Z側にかけて、X方向端が徐々に外側に位置するように構成される。これにより、メモリセルアレイ11_2におけるプラグ接続部に、-Z側から+Z側へ順に、選択ゲート線SGD、ワード線WL5、ワード線WL4、ワード線WL3、ワード線WL2、ワード線WL1、ワード線WL0、選択ゲート線SGSが階段状に引き出された階段構造が構成される。
【0067】
複数のプラグCP3は、複数の導電層102に対応する。各プラグCP3は、Z方向における電極PD4及び対応する導電層102の間に配され、-Z側端が電極PD4に電気的に接続され、Z方向に延び、+Z側端が対応する導電層102に電気的に接続される。これにより、プラグCP3は、電極PD4及び対応する導電層102を電気的に接続する。各導電層102は、プラグCP3、電極PD4、電極PD3、プラグCP2、電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ20のトランジスタTrに接続され得る。
【0068】
複数の導電膜BLは、積層体SST2の-Z側に配される。複数の導電膜BLは、互いにX方向に配列される。各導電膜BLは、Y方向に延びる。複数の導電膜BLは、複数の柱状体CL2に対応する。各導電膜BLは、対応する柱状体CL2の-Z側端に電気的に接続され、ビット線BLとして機能する。導電膜BLは、電極PD4に電気的に接続される。これにより、ビット線BLがプラグ(図示せず)、電極PD4、電極PD3、プラグ(図示せず)、電極PD2、電極PD1、配線構造WS経由でチップ10のトランジスタTrに接続され得る。
【0069】
電極PD4は、前述のように、チップ10_1,10_2の接合面BF2にその表面が露出するように配される。
【0070】
チップ10_1とチップ10_2とを比較すると、選択ゲート線SGD_1からチップ20に延びるラインと選択ゲート線SGD_2からチップ20に延びるラインとが互いに絶縁されている。チップ10_1の最も-Z側の導電層102からチップ20のトランジスタTrに至る接続構成(プラグCP1→電極PD2→電極PD1→配線構造WS-8)とチップ10_2の最も-Z側の導電層102からチップ20のトランジスタTrに至る接続構成(プラグCP3→電極PD4→電極PD3→プラグCP2→電極PD2→電極PD1→配線構造WS-9)とが互いに絶縁されている。これにより、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とでライト動作及び/又はリード動作を互いに独立に行わせることができる。
【0071】
また、積層体SST1における導電層102の積層数と積層体SST2における導電層102の積層数とは互いに異なる。積層体SST1における導電層102の積層ピッチと積層体SST2における導電層102の積層ピッチとは、互いに略均等であってもよい。ここで、導電層102の積層ピッチとは、導電層102の膜厚と絶縁層101の膜厚との合計に略等しい。これに応じて、積層体SST1を貫通する柱状体CL1の半導体膜CHと積層体SST2を貫通する柱状体CL2の半導体膜CHとは、Z方向長さが異なる。これにより、メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSの配線負荷(=√{(配線抵抗)×(配線容量)})とメモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSの配線負荷とが互いに異なり、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とは、リード動作における期間tRが互いに異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とでリード動作に関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とを使い分けることができる。
【0072】
例えば、積層体SST1における導電層102の積層数は、積層体SST2における導電層102の積層数より多い。
図4の例では、積層体SST1における導電層102の積層数が8層であり、積層体SST2における導電層102の積層数が4層であるが、特に限定されない。例えば、積層体SST2における導電層102の積層数は、積層体SST1における導電層102の積層数の3/4以下であってもよい。例えば、積層体SST2における導電層102の積層数は、積層体SST1における導電層102の積層数の1/2以下であってもよい。これに応じて、積層体SST1を貫通する柱状体CL1における半導体膜CHのZ方向長さは、積層体SST2を貫通する柱状体CL2における半導体膜CHのZ方向長さより長い。これにより、メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSの配線負荷は、メモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSの配線負荷より大きい。これにより、リード動作において、メモリセルアレイ11_1では、選択メモリストリングMSのセル電流I
Cellが比較的小さく、ビット線BLの充放電を低速に行い期間tRの長い動作を実現でき、メモリセルアレイ11_2では、選択メモリストリングMSのセル電流I
Cellが比較的大きく、ビット線BLの充放電を高速に行い期間tRの短い動作を実現できる。
【0073】
ここで、メモリセルアレイ11_1は、積層体SST1における導電層102の積層数が多く、製造コストが高いが、メモリセルアレイ11_2は、積層体SST2における導電層102の積層数が少なく、製造コストが低い。すなわち、コストは高いが高速なリード動作が要求される場合、メモリセルアレイ11_1を用いてリード動作を行い、低速であるが安いコストでのリード動作が要求される場合、メモリセルアレイ11_2を用いてリード動作を行うことができる。
【0074】
なお、複数の配線構造WS-1~WS-9のうち、配線構造WS-1~WS-4,WS-8は、チップ10_1の導電層102に電気的に接続され、チップ10_2の導電層102に電気的に接続されない。配線構造WS-5~WS-7は、チップ10_1の導電層102とチップ10_2の導電層102との両方に電気的に接続される。配線構造WS-9は、チップ10_1の導電層102に電気的に接続されず、チップ10_2の導電層102に電気的に接続される。これにより、積層体SST1における導電層102の積層数が積層体SST2における導電層102の積層数より多くなることに適した構造が実現され得る。
【0075】
あるいは、図示しないが、積層体SST1における導電層102の積層数は、積層体SST2における導電層102の積層数より少なくてもよい。これに応じて、積層体SST1を貫通する柱状体CL1における半導体膜CHのZ方向長さは、積層体SST2を貫通する柱状体CL2における半導体膜CHのZ方向長さより短くなる。これにより、メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSの配線負荷は、メモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSの配線負荷より小さくなる。これにより、リード動作において、メモリセルアレイ11_1では、選択メモリストリングMSのセル電流ICellが比較的大きく、ビット線BLの充放電を高速に行い期間tRの短い動作を実現でき、メモリセルアレイ11_2では、選択メモリストリングMSのセル電流ICellが比較的小さく、ビット線BLの充放電を低速に行い期間tRの長い動作を実現できる。
【0076】
次に、メモリセルアレイ11_2の平面構成ついて
図6を用いて説明する。
図6は、メモリセルアレイ11_2の構成を示すXY平面図である。
【0077】
メモリセルアレイ11_2では、+Y側から-Y側へ順に、ブロックBK0,BK1,BK2,BK3が並ぶ。各ブロックBKでは、複数の導電層102がZ方向に離間して積層される。例えば、各ブロックBKでは、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL1、選択ゲート線SGDとして機能する4層の導電層102が積層される。各ブロックBKのY方向側面には、XZ方向に延びるスリットSLTが配される。スリットSLTは、複数のブロックBKを電気的に分離する。
【0078】
ブロックBKは、セル部及びプラグ接続部を有する。
【0079】
セル部には、複数の柱状体CLが配される。各柱状体CLは、Z方向に延びる。柱状体CLは、メモリストリングMS(
図2参照)に対応する。複数の柱状体CLは、XY方向に2次元的に配列される。
図6の例では、X方向に向かって4列に配置される。柱状体CLの配列の列数は、3列以下でもよいし、5列以上でもよい。複数の柱状体CLは、千鳥状に配列されてもよいし、格子状に配列されてもよい。
【0080】
柱状体CLの+Z側には、複数のビット線BLが、互いにX方向に並び、それぞれY方向に延びる。柱状体CLはいずれかのビット線BLに接続される。
【0081】
プラグ接続部は、セル部のX方向両側に配される。プラグ接続部は、CP3領域を含む。
【0082】
CP3領域には、複数のプラグCP3が配される。各プラグCP3は、Z方向に延びる。プラグCP3は、1つの導電層102と電気的に接続され、他の導電層102と電気的に接続されない。以下、ワード線WL0,WL1として機能する導電層102と接続されるプラグCP3を限定する場合、プラグCP3_w0、CP3_w1と表記する。選択ゲート線SGD,SGSとして機能する導電層102と接続されるプラグCP3を限定する場合、プラグCP3_d、CP3_sと表記する。
図6の例では、メモリセルアレイ11_2のX方向端部からセル部に向かって、プラグCP3_s、CP3_w0、CP3_w1、プラグCP3_dが順に配置される。プラグCP3は、1列に配置されてもよいし、千鳥状に2列で配置されてもよい。
【0083】
プラグCP3の-Z側には、導電層111が配される。導電層111は、プラグCP3の-Z側端に電気的に接続され、プラグCP3との接続位置から隣り合うブロックBKまで+Y方向又は-Y方向に延びる。例えば、導電層111は、ブロックBK0におけるプラグCP3との接続位置からブロックBK1における電極PD4との接続位置まで-Y方向に延びる。隣り合うブロックBKにおいて、導電層111の-Z側には、プラグCP3に対応した位置で電極PD4が配され、それ以外の位置で絶縁層112が配される。電極PD4は、-Z側の面が接合面BF2に露出される。絶縁層112は、-Z側の面が接合面BF2に露出される。
【0084】
次に、メモリセルアレイ11_1の平面構成ついて
図7を用いて説明する。
図7は、メモリセルアレイ11_1の構成を示すXY平面図である。
【0085】
メモリセルアレイ11_1では、各ブロックBKがセル部及びプラグ接続部を有する点でメモリセルアレイ11_2と同様である。また、セル部の構成がメモリセルアレイ11_2と同様である。
【0086】
プラグ接続部は、セル部のX方向両側に配される。プラグ接続部は、CP1領域及びCP2領域を含む。
【0087】
CP1領域には、複数のプラグCP1が配される。各プラグCP1は、Z方向に延びる。プラグCP1は、1つの導電層102と電気的に接続され、他の導電層102と電気的に接続されない。以下、ワード線WL0~WL5として機能する導電層102と接続されるプラグCP1を限定する場合、プラグCP1_w0~CP1_w5と表記する。選択ゲート線SGD,SGSとして機能する導電層102と接続されるプラグCP1を限定する場合、プラグCP1_d、CP1_sと表記する。
図7の例では、メモリセルアレイ11_1のX方向端部からセル部に向かって、プラグCP1_s、CP1_w0、CP1_w1、CP1_w2、CP1_w3、CP1_w4、CP1_w5、プラグCP1_dが順に配置される。プラグCP1は、1列に配置されてもよいし、千鳥状に2列で配置されてもよい。
【0088】
プラグCP1_dの-Z側には、導電層111が配される。導電層111は、プラグCP1の-Z側端に電気的に接続され、プラグCP1との接続位置で電極PD2に接続される。電極PD2は、-Z側の面が接合面BF1に露出される。絶縁層112は、-Z側の面が接合面BF1に露出される。
【0089】
他のプラグCP1_s~CP1_w5の-Z側には、導電層111が配される。導電層111は、プラグCP1の-Z側端に電気的に接続され、プラグCP1との接続位置から隣り合うブロックBKまで+Y方向又は-Y方向に延びる。例えば、導電層111は、ブロックBK0におけるプラグCP1との接続位置からブロックBK1における電極PD4との接続位置まで-Y方向に延びる。隣り合うブロックBKにおいて、導電層111の-Z側には、プラグCP2に対応する位置で電極PD2が配され、それ以外の位置で絶縁層112が配される。電極PD2は、-Z側の面が接合面BF1に露出される。絶縁層112は、-Z側の面が接合面BF1に露出される。
【0090】
CP2領域には、複数のプラグCP2が配される。各プラグCP2は、Z方向に延びる。プラグCP2は、メモリセルアレイ11_1の導電層102に電気的に接続されない。プラグCP2は、メモリセルアレイ11_2における1つの導電層102と電気的に接続され、他の導電層102と電気的に接続されない。以下、ワード線WL0、WL1として機能する導電層102と接続されるプラグCP2を限定する場合、プラグCP2_w0、CP2_w1と表記する。選択ゲート線SGD,SGSとして機能する導電層102と接続されるプラグCP2を限定する場合、プラグCP2_d、CP2_sと表記する。
図7の例では、メモリセルアレイ11_1のX方向端部からセル部に向かって、プラグCP2_s、CP2_w0、CP2_w1、プラグCP2_dが順に配置される。プラグCP2は、1列に配置されてもよいし、千鳥状に2列で配置されてもよい。
【0091】
プラグCP2_dの-Z側には、導電層111が配される。導電層111は、プラグCP2の-Z側端に電気的に接続され、プラグCP2との接続位置で電極PD2に接続される。電極PD2は、-Z側の面が接合面BF1に露出される。絶縁層112は、-Z側の面が接合面BF1に露出される。
【0092】
プラグCP2_d以外のプラグCP1_s~CP1_w1の-Z側には、導電層111が配される。導電層111は、プラグCP2_s~CP2_w1の-Z側端に電気的に接続される。導電層111は、プラグCP2_s~CP2_w1との接続位置で、-Z側で電極PD2に接続される。電極PD2は、-Z側の面が接合面BF1に露出される。
【0093】
導電層111は、ブロックBKにおけるプラグCP2_s~CP2_w1との接続位置から隣り合うブロックBKにおけるプラグCP2_s~CP2_w1との接続位置まで+Y方向又は-Y方向に延びる。
【0094】
例えば、導電層111は、ブロックBK0におけるプラグCP1_s~CP1_w1との接続位置からブロックBK1におけるプラグCP2_s~CP2_w1との接続位置まで-Y方向に延びる。プラグCP1_s~CP1_w1とプラグCP2_s~CP2_w1とは、互いに対応する。プラグCP1_s~CP1_w1のそれぞれは、対応するプラグCP2と導電層111を介して電気的に接続される。
【0095】
図7に示すメモリセルアレイ11_1の平面構成と
図6に示すメモリセルアレイ11_2の平面構成とを比べると、CP1領域におけるプラグCP1の個数がCP3領域におけるプラグCP3の個数より多い。CP2領域におけるプラグCP2の個数がCP3領域におけるプラグCP3の個数と等しい。
【0096】
次に、プラグ接続部の断面構成について
図8を用いて説明する。
図8は、プラグ接続部の構成を示すYZ断面図である。
図8は、
図6及び
図7をそれぞれC-C線で切った場合の断面に対応する。
【0097】
プラグ接続部では、チップ20,10_1,10_2が順に積層され接合される。チップ20とチップ10_1とは、電極PD1及び電極PD2を介して互いに電気的に接続される。チップ10_1とチップ10_2とは、電極PD3及び電極PD4を介して互いに電気的に接続される。
【0098】
チップ10_1は、メモリセルアレイ11_1及びその配線を含む。チップ10_1は、絶縁層101,107,110,112,114、スリットSLT、導電層102,103,104,111、導電体106,108,109を有する。
【0099】
メモリセルアレイ11_1では、絶縁層101と導電層102とが交互に複数回積層される。複数の導電層102は、-Z側から+Z側へ順に、選択ゲート線SGD、ワード線WL5、ワード線WL4、ワード線WL3、ワード線WL2、ワード線WL1、ワード線WL0、選択ゲート線SGSとして機能する。
【0100】
ワード線WL5,WL4,WL3,WL2,WL1,WL0として機能する導電層102を限定する場合、導電層102_w5,102_w4,102_w3,102_w2,102_w1,102_w0と表記する。選択ゲート線SGD、SGSとして機能する導電層102を限定する場合、導電層102_d,102_sと表記する。
【0101】
絶縁層101は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。導電層102は、タングステン等の金属を主成分とする材料、導電性が付与された半導体等の導電物で形成され得る。
【0102】
複数の導電層102は、XZ方向に延びるスリットSLTを介して他のブロックBKの導電層102から電気的に分離される。スリットSLTは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0103】
導電層102_sの+Z側に、絶縁層101を介して導電層103が配される。導電層103の+Z側に導電層104が配される。導電層104は、導電層103の+Z側の面を覆う。導電層103及び導電層104は、ソース線SLとして機能する。導電層104の+Z側は、絶縁層114で覆われる。絶縁層114は、+Z側に面が接合面BF2に露出される。
【0104】
導電層103は、導電性が付与された半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。導電層104は、アルミニウム等の金属を主成分とする材料で形成され得る。
【0105】
導電層102の-Z側にプラグCP1が配される。プラグCP1は、柱形状を有し、例えば円柱形状を有する。プラグCP1は、導電体106及び絶縁層107を含む。導電体106は、柱形状を有し、例えば円柱形状を有する。絶縁層107は、導電体106の側面を覆う。絶縁層107は、筒形状を有し、例えば、円筒形状を有する。
【0106】
導電体106は、+Z側端が所定の導電層102に接続される。導電体106は、その側面が絶縁層107を介して他の導電層102から電気的に絶縁された状態で、他の導電層102を貫通する。導電体106は、-Z側端が導電層111を介して電極PD2に接続される。これにより、導電体106は、所定の導電層102及び電極PD2を電気的に接続する。導電体106は、銅等の金属を主成分とする材料で形成され得る。絶縁層107は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0107】
図8の例では、プラグCP1_w5が例示される。プラグCP1_w5は、導電体106の+Z側端が導電層102_w5に接続される。プラグCP1_w5は、その側面が絶縁層107を介して他の導電層102から電気的に絶縁された状態で、導電層102_dを貫通する。プラグCP1_w5は、-Z側端が導電層111を介して電極PD2に接続される。
【0108】
導電層111の-Z側に絶縁層112が配される。絶縁層112は、-Z側の面が接合面BF1に露出される。
【0109】
複数の導電層102をZ方向に貫通してプラグCP2が延びる。プラグCP2は、柱形状を有し、例えば円柱形状を有する。プラグCP2は、導電体109及び絶縁層110を含む。導電体109は、柱形状を有し、例えば円柱形状を有する。絶縁層110は、導電体109の側面を覆う。絶縁層110は、筒形状を有し、例えば、円筒形状を有する。
【0110】
プラグCP2が配されるCP2領域には、プラグCP2の+Z側に、導電層103,104が配されず、導電体108が配される。導電体109は、+Z側端が導電体108を介して電極PD3に接続される。導電体109は、その側面が絶縁層110を介して複数の導電層102から電気的に絶縁された状態で、複数の導電層102を貫通する。導電体109は、-Z側端が導電層111を介して電極PD2に接続される。これにより、導電体109は、電極PD2及び電極PD3を電気的に接続する。導電体109は、銅等の金属を主成分とする材料で形成され得る。絶縁層110は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0111】
チップ10_2は、メモリセルアレイ11_2及びその配線を含む。チップ10_2は、絶縁層101,112,117、スリットSLT、導電層102,103,104,111、導電体116を有する。
【0112】
メモリセルアレイ11_2では、絶縁層101と導電層102とが交互に複数回積層される。複数の導電層102は、-Z側から+Z側へ順に、選択ゲート線SGD、ワード線WL1、ワード線WL0、選択ゲート線SGSとして機能する。
【0113】
ワード線WL1,WL0として機能する導電層102を限定する場合、導電層102_w1,102_w0と表記する。選択ゲート線SGD、SGSとして機能する導電層102を限定する場合、導電層102_d,102_sと表記する。
【0114】
絶縁層101は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。導電層102は、タングステン等の金属を主成分とする材料、導電性が付与された半導体等の導電物で形成され得る。
【0115】
複数の導電層102は、XZ方向に延びるスリットSLTを介して他のブロックBKの導電層102から電気的に分離される。スリットSLTは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0116】
導電層102_sの+Z側に、絶縁層101を介して導電層103が配される。導電層103の+Z側に導電層104が配される。導電層104は、導電層103の+Z側の面を覆う。導電層103及び導電層104は、ソース線SLとして機能する。
【0117】
導電層103は、導電性が付与された半導体で形成され得る。導電層104は、アルミニウム等の金属を主成分とする材料で形成され得る。
【0118】
導電層102の-Z側にプラグCP3が配される。プラグCP3は、柱形状を有し、例えば円柱形状を有する。プラグCP3は、導電体116及び絶縁層117を含む。導電体116は、柱形状を有し、例えば円柱形状を有する。絶縁層117は、導電体116の側面を覆う。絶縁層117は、筒形状を有し、例えば、円筒形状を有する。
【0119】
導電体116は、+Z側端が所定の導電層102に接続される。導電体116は、その側面が絶縁層117を介して他の導電層102から電気的に絶縁された状態で、他の導電層102を貫通する。導電体116は、-Z側端が導電層111を介して電極PD4に接続される。これにより、導電体116は、所定の導電層102に選択的に電気的に接続される。導電体116は、銅等の金属を主成分とする材料で形成され得る。絶縁層117は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0120】
図8の例では、プラグCP3_w1が例示される。プラグCP3_w1は、導電体116の+Z側端が導電層102_w1に接続される。プラグCP3_w1は、その側面が絶縁層117を介して他の導電層102から電気的に絶縁された状態で、導電層102_dを貫通する。
【0121】
導電層111の-Z側に絶縁層112が配される。絶縁層112は、-Z側の面が接合面BF2に露出される。
【0122】
チップ20は、基板200、絶縁層201,202,209、ゲート電極203、導電体204,206,208,210及び導電層205,207を有する。
【0123】
基板200における表面近傍には、ウェル領域及び素子分離領域が配される。基板200は、半導体(例えば、シリコン)で形成され得る。素子分離領域は、ウェル領域を他のウェル領域から電気的に分離する。素子分離領域には、絶縁層201が配される。絶縁層201は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0124】
基板200の+Z側には、絶縁層202が配される。絶縁層202は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0125】
トランジスタTrは、基板200の表面200aにゲート電極203、基板200内の表面200a近傍にソース電極・ドレイン電極などを含む。ゲート電極203は、導電性が付与された半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。ソース電極・ドレイン電極は、基板200における不純物を含む領域として形成され得る。
【0126】
ソース電極・ドレイン電極は、それぞれ、導電体204を介して導電層205に接続される。導電体204は、Z方向に延びる。導電層205は、導電体206を介して導電層207に接続される。導電体206は、Z方向に延びる。導電層207は、導電体208を介して電極PD1に接続される。導電体208は、Z方向に延びる。導電体204,206,208,210及び導電層205,207は、アルミニウム又は銅などの金属を主成分とする材料で形成され得る。
【0127】
絶縁層202の+Z側には、電極PD2に対応した位置で電極PD1が配され、それ以外の位置で絶縁層209が配される。電極PD1は、銅などの金属を主成分とする材料で形成され得る。絶縁層209は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0128】
メモリセルアレイ11_1の断面構成とメモリセルアレイ11_2の断面構成とを比べると、メモリセルアレイ11_1における導電層102の積層数がメモリセルアレイ11_2における導電層102の積層数より多い。メモリセルアレイ11_1における導電層102の積層ピッチは、メモリセルアレイ11_2における導電層102の積層ピッチと均等である。メモリセルアレイ11_1における積層体SST1のZ方向高さは、メモリセルアレイ11_2における積層体SST2のZ方向高さより高い。
【0129】
次に、セル部の断面構成について
図9を用いて説明する。
図9は、セル部の構成を示すYZ断面図である。
図9は、
図6及び
図7をそれぞれD-D線で切った場合の断面に対応する。
【0130】
図9に示すように、チップ10_1には柱状体CL1が配され、チップ10_2には柱状体CL2が配される。
【0131】
チップ10_2において、柱状体CL2は、積層体SST2内をZ方向に延びて、複数の導電層102を貫通する。
図9の例では、柱状体CL2は、4層の導電層102を貫通する。柱状体CL2は、+Z側端が導電層103に接続され、-Z側端が導電体CP3に接続される。導電体CP3は、-Z側の面が導電体CP4に接続される。導電体CP4は、Z方向に延び、-Z側端が導電膜BLに接続される。
【0132】
柱状体CL2は、Z方向に沿った軸を有する柱形状を構成する。柱状体CL2では、軸から外側へ順に、絶縁膜CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1、絶縁膜BLK2が配される点は前述の通りである(
図5(a)、
図5(b)参照)。半導体膜CHは、+Z側端で絶縁膜CRの+Z側端を覆うとともに導電層103に接触する。半導体膜CHは、-Z側端で半導体層CAに接触する。半導体層CAは、ポリシリコンなどの半導体で形成され得る。半導体層CAは、-Z側の面がプラグCP3に接触する。プラグCP3は、-Z側端がプラグCP4に接触する。プラグCP4は、-Z側端が導電膜BLに接触する。導電層103はソース線SLとして機能し、導電膜BLはビット線として機能する。これにより、半導体膜CHは、+Z側端がソース線SLに電気的に接続され、-Z側端がビット線BLに電気的に接続され、メモリストリングMSにおけるチャネル領域として機能する。
【0133】
チップ10_2では、複数の導電層102と柱状体CL2とが交差する複数の交差位置に、Z方向に並ぶ複数のメモリセルMCが形成される。Z方向に並ぶ複数のメモリセルMCは、メモリストリングMSに含まれる複数のメモリセルMC(
図2参照)に相当する。複数の導電層102と複数の柱状体CL2とが交差する複数の交差位置に、XYZ方向に配列される複数のメモリセルMCが形成される。
【0134】
導電膜BLは、Y方向に延びる。導電膜BLは、積層体SST1からY方向にシフトした位置で-Z側の面がプラグCP6を介して電極PD4に接続される。電極PD4は、-Z側の面が接合面BF2に露出される。
【0135】
チップ10_1において、柱状体CL1は、積層体SST1内をZ方向に延びて、複数の導電層102を貫通する。
図9の例では、柱状体CL2は、8層の導電層102を貫通する。柱状体CL2は、+Z側端が導電層103に接続され、-Z側端が導電体CP3に接続される。導電体CP3は、-Z側の面が導電体CP4に接続される。導電体CP4は、Z方向に延び、-Z側端が導電膜BLに接続される。
【0136】
柱状体CL1は、Z方向に沿った軸を有する柱形状を構成する。柱状体CL1では、軸から外側へ順に、絶縁膜CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1、絶縁膜BLK2が配される点は前述の通りである(
図5(a)、
図5(b)参照)。半導体膜CHは、+Z側端で絶縁膜CRの+Z側端を覆うとともに導電層103に接触する。半導体膜CHは、-Z側端で半導体層CAに接触する。半導体層CAは、ポリシリコンなどの半導体で形成され得る。半導体層CAは、-Z側の面がプラグCP3に接触する。プラグCP3は、-Z側端がプラグCP4に接触する。プラグCP4は、-Z側端が導電膜BLに接触する。導電層103はソース線SLとして機能し、導電膜BLはビット線として機能する。これにより、半導体膜CHは、+Z側端がソース線SLに電気的に接続され、-Z側端がビット線BLに電気的に接続され、メモリストリングMSにおけるチャネル領域として機能する。
【0137】
チップ10_1では、複数の導電層102と柱状体CL1とが交差する複数の交差位置に、Z方向に並ぶ複数のメモリセルMCが形成される。Z方向に並ぶ複数のメモリセルMCは、メモリストリングMSに含まれる複数のメモリセルMC(
図2参照)に相当する。複数の導電層102と複数の柱状体CL1とが交差する複数の交差位置に、XYZ方向に配列される複数のメモリセルMCが形成される。
【0138】
導電膜BLは、Y方向に延びる。導電膜BLは、積層体SST1からY方向にシフトした位置で-Z側の面がプラグCP6を介して電極PD2に接続される。電極PD2は、-Z側の面が接合面BF1に露出される。
【0139】
また、導電膜BLは、積層体SST1からY方向にシフトした位置で+Z側の面がプラグCP5を介して電極PD3に接続される。電極PD3は、+Z側の面が接合面BF2に露出され、電極PD4に接触する。
【0140】
すなわち、チップ10のトランジスタTrに対して、メモリセルアレイ11_1の柱状体CL1とメモリセルアレイ11_2の柱状体CL2とが電気的に並列接続される。
【0141】
メモリセルアレイ11_1の断面構成とメモリセルアレイ11_2の断面構成とを比べると、メモリセルアレイ11_1における導電層102の積層数がメモリセルアレイ11_2における導電層102の積層数より多い。メモリセルアレイ11_1における導電層102の積層ピッチは、メモリセルアレイ11_2における導電層102の積層ピッチと均等である。メモリセルアレイ11_1における柱状体CL1のZ方向高さは、メモリセルアレイ11_2における柱状体CL2のZ方向高さより高い。メモリセルアレイ11_1における半導体膜CHのZ方向高さは、メモリセルアレイ11_2における半導体膜CHのZ方向高さより高い。メモリセルアレイ11_1における導電層102と柱状体CL1との交差位置の数は、メモリセルアレイ11_2における導電層102と柱状体CL2との交差位置の数より多い。メモリセルアレイ11_1におけるZ方向に並ぶメモリセルMCの数は、メモリセルアレイ11_2におけるZ方向に並ぶメモリセルMCの数より多い。
【0142】
以上のように、第1の実施形態では、半導体記憶装置1において、Z方向に配置される積層体SST1と積層体SST2との間で導電層102の積層数を異ならせる。これにより、積層体SST1を貫通する半導体膜CHと積層体SST2を貫通する半導体膜CHとは、Z方向長さが異なる。このため、メモリセルアレイ11_1の各メモリストリングMSの配線負荷とメモリセルアレイ11_2の各メモリストリングMSの配線負荷とが互いに異なり、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とは、リード動作における期間tRが互いに異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とでリード動作に関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とを使い分けることができる。したがって、半導体記憶装置1におけるリード処理を容易に多機能化でき、様々な要求に並行して対応することができる。
【0143】
なお、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2とでワード線WLを共通接続しながら別駆動するための構成は、ビット線BLを共通接続し選択ゲート線SGD_1,SGD_2を独立接続する構成(
図3参照)に限定されない。ビット線BL_1,BL_2を独立接続し選択ゲート線SGDを共通接続する構成であってもよい。この場合、ビット線BL_1がメモリセルアレイ11_1のセル部に接続され、ビット線BL_2がメモリセルアレイ11_2のセル部に接続され、ビット線BL_1,BL_2が互いに絶縁される。
【0144】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる半導体記憶装置1iについて説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0145】
第1の実施形態では、積層体SST1と積層体SST2との間で導電層102の積層数を異ならせる構造が例示されるが、第2の実施形態では、積層体SST1と積層体SST2iとの間で導電層102の積層ピッチを異ならせる構造が例示される。
【0146】
半導体記憶装置1iでは、積層体SST1と積層体SST2iとの間で、ワード線WLとして機能する導電層102の積層数が均等である。これに応じて、
図10に示すように、チップ10_1iのメモリセルアレイ11_1iの各メモリストリングMSとチップ10_2iのメモリセルアレイ11_2iの各メモリストリングMSとは、接続されるワード線WLの本数が均等である。
図10は、半導体記憶装置1iにおけるブロックBKの構成を示す回路図である。これに応じて、メモリセルアレイ11_1iの各メモリストリングMSとメモリセルアレイ11_2iの各メモリストリングMSとは、含まれるメモリセルMCの数が均等である。
【0147】
図10の例では、メモリセルアレイ11_1iの各メモリストリングMSとメモリセルアレイ11_2iの各メモリストリングMSとは、それぞれ、6本のワード線WL0~WL5に接続される。これに応じて、メモリセルアレイ11_1iの各メモリストリングMSとメモリセルアレイ11_2iの各メモリストリングMSとは、それぞれ、6個のメモリセルMC0~MC5を含む。
【0148】
半導体記憶装置1iでは、
図11及び
図12に示すように、積層体SST1における導電層102_s~102_dの積層ピッチP
0_1~P
6_1と積層体SST2iにおける導電層102_s~102_dの積層ピッチP
0_2~P
6_2とは互いに異なる。
図11は、半導体記憶装置1iの構成を示すXZ断面図である。
図12は、積層ピッチを示すXZ断面図である。
図12(a)は、
図11のE部分の拡大断面図であり、
図12(b)は、
図11のF部分の拡大断面図である。
【0149】
積層ピッチP0_1~P6_1と積層ピッチP0_2~P6_2との違いに応じて、積層体SST1における導電層102のZ方向膜厚と積層体SST2iにおける導電層102のZ方向膜厚とは互いに異なる。これにより、メモリセルアレイ11_1iにおけるワード線WLの配線負荷とメモリセルアレイ11_2iにおけるワード線WLの配線負荷とが互いに異なり、メモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとは、ライト動作におけるライト時間が互いに異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとでライト動作に関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとを使い分けることができる。
【0150】
例えば、
図11及び
図12に示すように、積層体SST1における導電層102_s~102_dの積層ピッチP
0_1~P
6_1は、積層体SST2iにおける導電層102_s~102_dの積層ピッチP
0_2~P
6_2より大きい。積層体SST1における導電層102_s~102_dの積層ピッチP
0_1~P
6_1が互いに均等であり、積層体SST2iにおける導電層102_s~102_dの積層ピッチP
0_2~P
6_2が互いに均等であれば、次の数式1が成り立つ。
P
0_1≒P
1_1≒P
2_1≒P
3_1≒P
4_1≒P
5_1≒P
6_1>P
0_2≒P
1_2≒P
2_2≒P
3_2≒P
4_2≒P
5_2≒P
6_2・・・数式1
【0151】
数式1で示す関係に応じて、積層体SST1における導電層102のZ方向膜厚は、積層体SST2iにおける導電層102のZ方向膜厚より厚くなる。これにより、メモリセルアレイ11_1iにおけるワード線WLの配線負荷は、メモリセルアレイ11_2iにおけるワード線WLの配線負荷より小さくなる。これにより、ライト動作において、メモリセルアレイ11_1iでは、ワード線WLの充放電を高速に行いライト時間の短い動作を実現でき、メモリセルアレイ11_2iでは、ワード線WLの充放電を低速に行いライト時間の長い動作を実現できる。ライト時間は、半導体記憶装置1iがライトコマンドを受信してからライト完了通知を返すまでの時間である。
【0152】
ここで、メモリセルアレイ11_1iは、積層体SST1における導電層102の積層ピッチが大きく、製造コストが高いが、メモリセルアレイ11_2iは、積層体SST2iにおける導電層102の積層ピッチが小さく、製造コストが低い。すなわち、コストは高いが高速なライト動作が要求される場合、メモリセルアレイ11_1iを用いてライト動作を行い、低速であるが安いコストでのライト動作が要求される場合、メモリセルアレイ11_2iを用いてライト動作を行うことができる。
【0153】
なお、積層体SST1と積層体SST2iとで導電層102_s~102_dの積層ピッチPが5%~20%異なることが望ましい。例えば、積層体SST1における導電層102の積層ピッチP*_1が積層体SST2iにおける導電層102の積層ピッチP*_2より大きい場合、次の数式2が成り立つことが望ましい。
1.05≦P0_1/P0_2≦1.20, 1.05≦P1_1/P1_2≦1.20, 1.05≦P2_1/P2_2≦1.20, 1.05≦P3_1/P3_2≦1.20, 1.05≦P4_1/P4_2≦1.20, 1.05≦P5_1/P5_2≦1.20, 1.05≦P6_1/P6_2≦1.20・・・数式2
【0154】
数式2が成り立つことにより、メモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとで性能の有意差を出すことができる。
【0155】
また、積層体SST1と積層体SST2iとで導電層102の積層ピッチPが異なり、積層体SST1と積層体SST2iとで導電層102の積層数が等しいことに応じて、積層体SST1のZ方向高さと積層体SST2iのZ方向高さとは互いに異なっていてもよい。これに応じて、メモリセルアレイ11_1iにおける各柱状体CL1のZ方向高さとメモリセルアレイ11_2iにおける各柱状体CL2のZ方向高さとは互いに異なっていてもよい。
【0156】
図11及び
図12の場合、積層体SST1の導電層102の積層ピッチPが積層体SST2iの導電層102の積層ピッチPより大きく、積層体SST1と積層体SST2iとで導電層102の積層数が等しいことに応じて、積層体SST1のZ方向高さが積層体SST2iのZ方向高さより高い。メモリセルアレイ11_1iにおける柱状体CL1のZ方向高さがメモリセルアレイ11_2iにおける柱状体CL2のZ方向高さより高い。
【0157】
また、各積層ピッチPは、導電層102の膜厚と絶縁層101の膜厚との合計に略等しい。積層体SST1において、各積層ピッチPが互いに略等しくてもよい。各積層ピッチPに占める導電層102の膜厚の割合は、互いに略等しくてもよい。導電層102の膜厚と絶縁層101の膜厚とがほぼ等しくてもよい。各積層ピッチPに占める導電層102の膜厚の割合は、約50%であってもよい。同様に、積層体SST2において、各積層ピッチPが互いに略等しくてもよい。各積層ピッチPに占める導電層102の膜厚の割合は、互いに略等しくてもよい。導電層102の膜厚と絶縁層101の膜厚とがほぼ等しくてもよい。各積層ピッチPに占める導電層102の膜厚の割合は、約50%であってもよい。
【0158】
あるいは、図示しないが、積層体SST1における導電層102_s~102_dの積層ピッチP0_1~P6_1は、積層体SST2iにおける導電層102_s~102_dの積層ピッチP0_2~P6_2より小さくてもよい。これにより、積層体SST1における導電層102のZ方向膜厚は、積層体SST2iにおける導電層102のZ方向膜厚より薄くなり得る。これにより、メモリセルアレイ11_1iにおけるワード線WLの配線負荷は、メモリセルアレイ11_2iにおけるワード線WLの配線負荷より大きくなる。これにより、ライト動作において、メモリセルアレイ11_1iでは、ワード線WLの充放電を低速に行いライト時間の長い動作を実現でき、メモリセルアレイ11_2iでは、ワード線WLの充放電を高速に行いライト時間の短い動作を実現できる。
【0159】
また、積層体SST1における導電層102_s~102_dの積層ピッチP0_1~P6_1と積層体SST2iにおける導電層102_s~102_dの積層ピッチP0_2~P6_2とが互いに異なる。これに応じて、メモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCのZ方向間隔とメモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCのZ方向間隔とが異なり、メモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとはデータリテンション特性が異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとでリードデータの信頼性に関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとを使い分けることができる。
【0160】
例えば、
図11及び
図12に示すように、積層体SST1における導電層102_s~102_dの積層ピッチP
0_1~P
6_1は、積層体SST2iにおける導電層102_s~102_dの積層ピッチP
0_2~P
6_2より大きい。これに応じて、メモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCのZ方向間隔(
図12(b)参照)は、メモリセルアレイ11_2iにおけるメモリセルMCのZ方向間隔(
図12(a)参照)より大きくなる。これにより、メモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCのデータリテンション特性は、メモリセルアレイ11_2iにおけるメモリセルMCのデータリテンション特性より良好になる。このため、リード動作において、メモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCから信頼性の高いデータをリードでき、メモリセルアレイ11_2iにおけるメモリセルMCから信頼性の低いデータをリードできる。
【0161】
ここで、メモリセルアレイ11_1iは、積層体SST1における導電層102の積層ピッチが大きく、製造コストが高いが、メモリセルアレイ11_2iは、積層体SST2iにおける導電層102の積層ピッチが小さく、製造コストが低い。すなわち、コストは高いが信頼性の高いリード動作が要求される場合、メモリセルアレイ11_1iを用いてリード動作を行い、信頼性は低いが安いコストでのリード動作が要求される場合、メモリセルアレイ11_2iを用いてリード動作を行うことができる。
【0162】
なお、メモリセルアレイ11_1iのメモリストリングMSにおけるメモリセルMCの個数とメモリセルアレイ11_2のメモリストリングMSにおけるメモリセルMCの個数とは均等であってもよい。
【0163】
あるいは、図示しないが、積層体SST1における導電層102_s~102_dの積層ピッチP0_1~P6_1は、積層体SST2iにおける導電層102_s~102_dの積層ピッチP0_2~P6_2より小さくてもよい。これに応じて、メモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCのZ方向間隔は、メモリセルアレイ11_2iにおけるメモリセルMCのZ方向間隔より小さくなる。これにより、メモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCのデータリテンション特性は、メモリセルアレイ11_2iにおけるメモリセルMCのデータリテンション特性より劣化する。このため、リード動作において、メモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCから信頼性の低いデータをリードでき、メモリセルアレイ11_2iにおけるメモリセルMCから信頼性の高いデータをリードできる。
【0164】
また、メモリセルアレイ11_2iの平面構成が、
図13に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。
図13は、メモリセルアレイ11_2iの構成を示すXY平面図である。
【0165】
メモリセルアレイ11_2iの各ブロックBKでは、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL5、選択ゲート線SGDとして機能する8層の導電層102が積層される。
【0166】
CP3領域には、それに応じた複数のプラグCP3が配される。
図13の例では、メモリセルアレイ11_2iのX方向端部からセル部に向かって、プラグCP3_s、CP3_w0、CP3_w1、CP3_w2、CP3_w3、CP3_w4、CP3_w5、CP3_dが順に配置される。それ以外の点は、
図6に示す平面構成と同様である。
【0167】
メモリセルアレイ11_2iの平面構成が、
図14に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。
図14は、メモリセルアレイ11_1iの構成を示すXY平面図である。
【0168】
メモリセルアレイ11_1iの各ブロックBKでは、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL5、選択ゲート線SGDとして機能する8層の導電層102が積層される。
【0169】
CP2領域には、それに応じた複数のプラグCP3が配される。
図14の例では、メモリセルアレイ11_1iのX方向端部からセル部に向かって、プラグCP3_s、CP3_w0、CP3_w1、CP3_w2、CP3_w3、CP3_w4、CP3_w5、CP3_dが順に配置される。それ以外の点は、
図7に示す平面構成と同様である。
【0170】
図14に示すメモリセルアレイ11_1iの平面構成と
図13に示すメモリセルアレイ11_2iの平面構成とを比べると、CP1領域におけるプラグCP1の個数がCP3領域におけるプラグCP3の個数と等しい。CP2領域におけるプラグCP2の個数がCP3領域におけるプラグCP3の個数と等しい。
【0171】
以上のように、第2の実施形態では、半導体記憶装置1iにおいて、Z方向に配置される積層体SST1と積層体SST2iとの間で導電層102の積層ピッチを異ならせる。これにより、積層体SST1を貫通する柱状体CLの半導体膜CHと積層体SST2iを貫通する柱状体CLの半導体膜CHとは、Z方向長さが異なる。このため、メモリセルアレイ11_1iの各メモリストリングMSの配線負荷とメモリセルアレイ11_2iの各メモリストリングMSの配線負荷とが互いに異なり、メモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとは、ライト動作におけるライト時間が互いに異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとでライト動作に関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとを使い分けることができる。したがって、半導体記憶装置1iにおけるライト処理を容易に多機能化でき、様々な要求に並行して対応することができる。
【0172】
また、第2の実施形態では、半導体記憶装置1iにおいて、Z方向に配置される積層体SST1と積層体SST2iとの間で導電層102の積層ピッチを異ならせる。これに応じて、メモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCのZ方向間隔とメモリセルアレイ11_1iにおけるメモリセルMCのZ方向間隔とが異なり、メモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとはデータリテンション特性が異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとでリードデータの信頼性に関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1iとメモリセルアレイ11_2iとを使い分けることができる。したがって、半導体記憶装置1iにおけるリード処理を容易に多機能化でき、様々な要求に並行して対応することができる。
【0173】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる半導体記憶装置1jについて説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0174】
第1の実施形態では、メモリセルアレイ11間で積層体SSTにおける導電層102の積層数を異ならせる構造が例示されるが、第3の実施形態では、メモリセルアレイ11間で電荷蓄積膜CTの膜厚を異ならせる構造が例示される。
【0175】
半導体記憶装置1jでは、
図15及び
図16に示すように、メモリセルアレイ11_1jのメモリセルMC_1jにおける電荷蓄積膜CTの膜厚D
CT_1jとメモリセルアレイ11_2jのメモリセルMC_2jにおける電荷蓄積膜CTの膜厚D
CT_2jとは互いに異なる。
図15は、半導体記憶装置1jの構成を示すXZ断面図である。
図16は、メモリセルMC_1j,MC_2jの構成を示すXY断面図である。
図16(a)は、メモリセルMC_2jのXY断面図であり、
図15をG-G線で切った場合のXY断面図に相当する。
図16(b)は、メモリセルMC_2jのXY断面図であり、
図15をH-H線で切った場合のXY断面図に相当する。
【0176】
積層体SST1と積層体SST2jとで等しい積層位置のメモリセルMC_1j,MC_2jの電荷蓄積膜CTの膜厚DCT_1j,DCT_2jが互いに異なる。積層位置は、積層体SST1,SST2jにおけるビット線BL側から数えた導電層102の層数で表すことができる。膜厚DCT_1j,DCT_2jの違いに応じて、メモリセルMC_1jのライト動作の速度とメモリセルMC_2jのライト動作の速度とが互いに異なる。また、膜厚DCT_1j,DCT_2jの違いに応じて、メモリセルMC_1jのデータリテンション特性とメモリセルMC_2jのデータリテンション特性とが互いに異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2iとでライト動作の速度とリードデータの信頼性とに関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1jとメモリセルアレイ11_2jとを使い分けることができる。
【0177】
例えば、積層体SST1と積層体SST2jとで等しい積層位置について、メモリセルMC_1jの電荷蓄積膜CTの膜厚D
CT_1jは、メモリセルMC_2jの電荷蓄積膜CTの膜厚D
CT_2jより薄い。一例として、積層体SST1,SST2jにおけるビット線BL側から2層目の積層位置について、導電層102_w5と柱状体CL_1j,CL_2jとの交差位置にメモリセルMC_1j,MC_2jが形成される。柱状体CL_1j,CL_2jの直径D
CL_1j,D
CL_2jが均等であるが、メモリセルMC_1jの電荷蓄積膜CTの膜厚D
CT_1jは、メモリセルMC_2jの電荷蓄積膜CTの膜厚D
CT_2jより薄い。メモリセルMC_1jの絶縁膜CRの直径D
CR_1jはメモリセルMC_2jの絶縁膜CRの直径D
CR_2jより大きい。電荷蓄積膜CT、絶縁膜CR以外の膜については、メモリセルMC_1jとメモリセルMC_2jとの間で膜厚が均等である。
図16(a)、
図16(b)の場合、次の数式3~9が成り立つ。
D
CL_1j≒D
CL_2j・・・数式3
D
CT_1j<D
CT_2j・・・数式4
D
CR_1j>D
CR_2j・・・数式5
D
CH_1j≒D
CH_2j・・・数式6
D
TNL_1j≒D
TNL_2j・・・数式7
D
BLK1_1j≒D
BLK1_2j・・・数式8
D
BLK2_1j≒D
BLK2_2j・・・数式9
数式6のD
CH_1j,D
CH_2jは、それぞれ、メモリセルMC_1j,MC_2jの半導体膜CHの膜厚を表す。数式7のD
TNL_1j,D
TNL_2jは、それぞれ、メモリセルMC_1j,MC_2jの絶縁膜TNLの膜厚を表す。数式8のD
BLK1_1j,D
BLK1_2jは、それぞれ、メモリセルMC_1j,MC_2jの絶縁膜BLK1の膜厚を表す。数式9のD
BLK2_1j,D
BLK2_2jは、それぞれ、メモリセルMC_1j,MC_2jの絶縁膜BLK2の膜厚を表す。
【0178】
なお、積層体SST1,SST2jにおける他の積層位置についても、数式3~9と同様の関係が成り立つ。例えば、積層体SST1,SST2jにおけるビット線BL側から8層目の積層位置について、導電層102_w0と柱状体CL_1j,CL_2jとの交差位置に形成されるメモリセルMC_1j,MC_2j間でも、数式3~9と同様の関係が成り立つ。
【0179】
数式4で示す関係に応じて、メモリセルMC_1jでは、ライト時の閾値電圧のばらつきを抑制してライト動作を高速化でき、メモリセルMC_2jでは、ライト時の閾値電圧のばらつきを増大させてライト動作を低速化できる。また、数式4で示す関係に応じて、メモリセルMC_1jでは、トンネル距離を短くし電界を強くすることに応じてデータリテンション特性を劣化でき、メモリセルMC_2jでは、トンネル距離を長くし電界を弱くすることに応じてデータリテンション特性を改善できる。トンネル距離は、ライト時に電荷が半導体膜CHから絶縁膜TNLをトンネルして電荷蓄積膜CTに到達する距離である。すなわち、ライト動作・リード動作において、メモリセルアレイ11_1jでは、高速なライト動作と信頼性の低いリード動作とを実現でき、メモリセルアレイ11_2jでは、低速なライト動作と信頼性の高いリード動作とを実現できる。
【0180】
なお、積層体SST1,SST2jにおける同じ積層位置に対応するメモリセルMC_1jとメモリセルMC_2jとで電荷蓄積膜CTの膜厚DCT_1j,DCT_2jが10%以上異なることが望ましい。例えば、積層体SST1,SST2jにおける同じ積層位置について、メモリセルMC_1jの電荷蓄積膜CTの膜厚DCT_1jがメモリセルMC_2jの電荷蓄積膜CTの膜厚DCT_2jより薄い場合、次の数式10が成り立つことが望ましい。
DCT_2j/DCT_1j≧1.1・・・数式10
【0181】
数式10が成り立つことにより、メモリセルアレイ11_1jとメモリセルアレイ11_2jとで性能の有意差を出すことができる。
【0182】
あるいは、積層体SST1,SST2jにおける積層位置に関わらず、メモリセルアレイ11_1j,11_2j間で電荷蓄積膜CTの最大膜厚Max_DCT_1j,Max_DCT_2jが10%以上異なることが望ましい。最大膜厚Max_DCT_1jは、メモリセルアレイ11_1jに含まれる複数のメモリセルMC_1jの電荷蓄積膜CTの膜厚のうち最大の膜厚である。最大膜厚Max_DCT_2jは、メモリセルアレイ11_2jに含まれる複数のメモリセルMC_1jの電荷蓄積膜CTの膜厚のうち最大の膜厚である。例えば、積層体SST1,SST2jにおける同じ積層位置について、メモリセルMC_1jの電荷蓄積膜CTの膜厚DCT_1jがメモリセルMC_2jの電荷蓄積膜CTの膜厚DCT_2jより薄い場合、次の数式11が成り立つことが望ましい。
Max_DCT_2j/Max_DCT_1j≧1.1・・・数式11
【0183】
数式11が成り立つことにより、メモリセルアレイ11_1jとメモリセルアレイ11_2jとで性能の有意差を出すことができる。
【0184】
あるいは、図示しないが、積層体SST1と積層体SST2jとで等しい積層位置について、メモリセルMC_1jの電荷蓄積膜CTの膜厚DCT_1jは、メモリセルMC_2jの電荷蓄積膜CTの膜厚DCT_2jより厚くてもよい。これに応じて、メモリセルMC_1jでは、ライト時の閾値電圧のばらつきを増大させてライト動作を低速化でき、メモリセルMC_2jでは、ライト時の閾値電圧のばらつきを抑制してライト動作を高速化できる。また、メモリセルMC_1jでは、トンネル距離を長くし電界を弱くすることに応じてデータリテンション特性を改善でき、メモリセルMC_2jでは、トンネル距離を短くし電界を強くすることに応じてデータリテンション特性を劣化できる。すなわち、ライト動作・リード動作において、メモリセルアレイ11_1jでは、低速なライト動作と信頼性の高いリード動作とを実現でき、メモリセルアレイ11_2jでは、高速なライト動作と信頼性の低いリード動作とを実現できる。
【0185】
以上のように、第3の実施形態では、半導体記憶装置1jにおいて、積層体SST1と積層体SST2jとで等しい積層位置のメモリセルMC_1j,MC_2jの電荷蓄積膜CTの膜厚DCT_1j,DCT_2jが互いに異なる。膜厚DCT_1j,DCT_2jの違いに応じて、メモリセルMC_1jのライト動作の速度とメモリセルMC_2jのライト動作の速度とが互いに異なる。また、膜厚DCT_1j,DCT_2jの違いに応じて、メモリセルMC_1jのデータリテンション特性とメモリセルMC_2jのデータリテンション特性とが互いに異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2iとでライト動作の速度とリードデータの信頼性とに関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1jとメモリセルアレイ11_2jとを使い分けることができる。
【0186】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態にかかる半導体記憶装置1kについて説明する。以下では、第1の実施形態~第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0187】
第3の実施形態では、メモリセルアレイ11間で電荷蓄積膜CTの膜厚を異ならせる構造が例示される。が、第4の実施形態では、メモリセルアレイ11間で絶縁膜TNLの膜厚を異ならせる構造が例示される。
【0188】
半導体記憶装置1kでは、
図17及び
図18に示すように、メモリセルアレイ11_1kのメモリセルMC_1kにおける絶縁膜TNLの膜厚D
TNL_1kとメモリセルアレイ11_2kのメモリセルMC_2kにおける絶縁膜TNLの膜厚D
TNL_2kとは互いに異なる。
図17は、半導体記憶装置1kの構成を示すXZ断面図である。
図18は、メモリセルMC_1k,MC_2kの構成を示すXY断面図である。
図18(a)は、メモリセルMC_2kのXY断面図であり、
図17をI-I線で切った場合のXY断面図に相当する。
図18(b)は、メモリセルMC_2kのXY断面図であり、
図17をJ-J線で切った場合のXY断面図に相当する。
【0189】
積層体SST1と積層体SST2kとで等しい積層位置のメモリセルMC_1k,MC_2kの絶縁膜TNLの膜厚DTNL_1k,DTNL_2kが互いに異なる。積層位置は、積層体SST1,SST2kにおけるビット線BL側から数えた導電層102の層数で表すことができる。膜厚DTNL_1k,DTNL_2kの違いに応じて、メモリセルMC_1kのライト動作の速度とメモリセルMC_2kのライト動作の速度とが互いに異なる。また、膜厚DTNL_1k,DTNL_2kの違いに応じて、メモリセルMC_1kのデータリテンション特性とメモリセルMC_2kのデータリテンション特性とが互いに異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2iとでライト動作の速度とリードデータの信頼性とに関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1kとメモリセルアレイ11_2kとを使い分けることができる。
【0190】
例えば、積層体SST1と積層体SST2kとで等しい積層位置について、メモリセルMC_1kの絶縁膜TNLの膜厚D
TNL_1kは、メモリセルMC_2kの絶縁膜TNLの膜厚D
TNL_2kより薄い。一例として、積層体SST1,SST2kにおけるビット線BL側から2層目の積層位置について、導電層102_w5と柱状体CL_1k,CL_2kとの交差位置にメモリセルMC_1k,MC_2kが形成される。柱状体CL_1k,CL_2kの直径D
CL_1k,D
CL_2kが均等であるが、メモリセルMC_1kの絶縁膜TNLの膜厚D
TNL_1kは、メモリセルMC_2kの絶縁膜TNLの膜厚D
TNL_2kより薄い。メモリセルMC_1kの絶縁膜CRの直径D
CR_1kはメモリセルMC_2kの絶縁膜CRの直径D
CR_2kより大きい。絶縁膜TNL、絶縁膜CR以外の膜については、メモリセルMC_1kとメモリセルMC_2kとの間で膜厚が均等である。
図18(a)、
図18(b)の場合、次の数式12~18が成り立つ。
D
CL_1k≒D
CL_2k・・・数式12
D
TNL_1k<D
TNL_2k・・・数式13
D
CR_1k>D
CR_2k・・・数式14
D
CH_1k≒D
CH_2k・・・数式15
D
CT_1k≒D
CT_2k・・・数式16
D
BLK1_1k≒D
BLK1_2k・・・数式17
D
BLK2_1k≒D
BLK2_2k・・・数式18
【0191】
数式15のDCH_1k,DCH_2kは、それぞれ、メモリセルMC_1k,MC_2kの半導体膜CHの膜厚を表す。数式16のDCT_1k,DCT_2kは、それぞれ、メモリセルMC_1k,MC_2kの電荷蓄積膜CTの膜厚を表す。数式17のDBLK1_1k,DBLK1_2kは、それぞれ、メモリセルMC_1k,MC_2kの絶縁膜BLK1の膜厚を表す。数式18のDBLK2_1k,DBLK2_2kは、それぞれ、メモリセルMC_1k,MC_2kの絶縁膜BLK2の膜厚を表す。
【0192】
なお、積層体SST1,SST2kにおける他の積層位置についても、数式12~18と同様の関係が成り立つ。例えば、積層体SST1,SST2kにおけるビット線BL側から8層目の積層位置について、導電層102_w0と柱状体CL_1k,CL_2kとの交差位置に形成されるメモリセルMC_1k,MC_2k間でも、数式12~18と同様の関係が成り立つ。
【0193】
数式13で示す関係に応じて、メモリセルMC_1kでは、ライト時の閾値電圧のばらつきを抑制してライト動作を高速化でき、メモリセルMC_2kでは、ライト時の閾値電圧のばらつきを増大させてライト動作を低速化できる。また、数式13で示す関係に応じて、メモリセルMC_1kでは、トンネル距離を短くし電界を強くすることに応じてデータリテンション特性を劣化でき、メモリセルMC_2kでは、トンネル距離を長くし電界を弱くすることに応じてデータリテンション特性を改善できる。トンネル距離は、ライト時に電荷が半導体膜CHから絶縁膜TNLをトンネルして絶縁膜TNLに到達する距離である。すなわち、ライト動作・リード動作において、メモリセルアレイ11_1kでは、高速なライト動作と信頼性の低いリード動作とを実現でき、メモリセルアレイ11_2kでは、低速なライト動作と信頼性の高いリード動作とを実現できる。
【0194】
なお、積層体SST1,SST2kにおける同じ積層位置に対応するメモリセルMC_1kとメモリセルMC_2kとで絶縁膜TNLの膜厚DTNL_1k,DTNL_2kが10%以上異なることが望ましい。例えば、積層体SST1,SST2kにおける同じ積層位置について、メモリセルMC_1kの絶縁膜TNLの膜厚DTNL_1kがメモリセルMC_2kの絶縁膜TNLの膜厚DTNL_2kより薄い場合、次の数式19が成り立つことが望ましい。
DTNL_2k/DTNL_1k≧1.1・・・数式19
【0195】
数式19が成り立つことにより、メモリセルアレイ11_1kとメモリセルアレイ11_2kとで性能の有意差を出すことができる。
【0196】
あるいは、積層体SST1,SST2kにおける積層位置に関わらず、メモリセルアレイ11_1k,11_2k間で絶縁膜TNLの最大膜厚Max_DTNL_1k,Max_DTNL_2kが10%以上異なることが望ましい。最大膜厚Max_DTNL_1kは、メモリセルアレイ11_1kに含まれる複数のメモリセルMC_1kの絶縁膜TNLの膜厚のうち最大の膜厚である。最大膜厚Max_DTNL_2kは、メモリセルアレイ11_2kに含まれる複数のメモリセルMC_1kの絶縁膜TNLの膜厚のうち最大の膜厚である。例えば、積層体SST1,SST2kにおける同じ積層位置について、メモリセルMC_1kの絶縁膜TNLの膜厚DTNL_1kがメモリセルMC_2kの絶縁膜TNLの膜厚DTNL_2kより薄い場合、次の数式20が成り立つことが望ましい。
Max_DTNL_2k/Max_DTNL_1k≧1.1・・・数式20
【0197】
数式20が成り立つことにより、メモリセルアレイ11_1kとメモリセルアレイ11_2kとで性能の有意差を出すことができる。
【0198】
あるいは、図示しないが、積層体SST1と積層体SST2kとで等しい積層位置について、メモリセルMC_1kの絶縁膜TNLの膜厚DTNL_1kは、メモリセルMC_2kの絶縁膜TNLの膜厚DTNL_2kより厚くてもよい。これに応じて、メモリセルMC_1kでは、ライト時の閾値電圧のばらつきを増大させてライト動作を低速化でき、メモリセルMC_2kでは、ライト時の閾値電圧のばらつきを抑制してライト動作を高速化できる。また、メモリセルMC_1kでは、トンネル距離を長くし電界を弱くすることに応じてデータリテンション特性を改善でき、メモリセルMC_2kでは、トンネル距離を短くし電界を強くすることに応じてデータリテンション特性を劣化できる。すなわち、ライト動作・リード動作において、メモリセルアレイ11_1kでは、低速なライト動作と信頼性の高いリード動作とを実現でき、メモリセルアレイ11_2kでは、高速なライト動作と信頼性の低いリード動作とを実現できる。
【0199】
以上のように、第4の実施形態では、半導体記憶装置1kにおいて、積層体SST1と積層体SST2kとで等しい積層位置のメモリセルMC_1k,MC_2kの絶縁膜TNLの膜厚DTNL_1k,DTNL_2kが互いに異なる。膜厚DTNL_1k,DTNL_2kの違いに応じて、メモリセルMC_1kのライト動作の速度とメモリセルMC_2kのライト動作の速度とが互いに異なる。また、膜厚DTNL_1k,DTNL_2kの違いに応じて、メモリセルMC_1kのデータリテンション特性とメモリセルMC_2kのデータリテンション特性とが互いに異なる。すなわち、メモリセルアレイ11_1とメモリセルアレイ11_2iとでライト動作の速度とリードデータの信頼性とに関して異なる機能を実現でき、用途に応じてメモリセルアレイ11_1kとメモリセルアレイ11_2kとを使い分けることができる。
【0200】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0201】
1,1i,1j,1k 半導体記憶装置、10,10_1,10_2,20 チップ、102,102_d~102_w5,103,104 導電層、BLK1,BLK2,TNL 絶縁膜、CH 半導体膜、CT 電荷蓄積膜、MC,MC_1j,MC_1k,MC_2j,MC_2k メモリセル。