IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図1
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図2
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図3
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図4
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図5
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図6
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図7
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図8
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図9
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図10
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図11
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図12
  • 特開-システム、吸収量算出方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176912
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】システム、吸収量算出方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089490
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】鍵屋 慎一
(72)【発明者】
【氏名】河野 匡
(72)【発明者】
【氏名】小林 直子
(72)【発明者】
【氏名】新井 崇志
(72)【発明者】
【氏名】割田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】久米村 秀明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素を吸収する吸収物の二酸化炭素の吸収量を把握することができるシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】二酸化炭素を吸収する吸収物に付されたRFIDタグに記憶された、吸収物に関連する関連情報を読み取り、関連情報を出力する読取部と、関連情報を取得し、吸収物の二酸化炭素の吸収量を算出する吸収量算出部と、を備えるシステム。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を吸収する吸収物に付されたRFIDタグに記憶された、当該吸収物に関連する関連情報を読み取り、当該関連情報を出力する読取部と、
前記関連情報を取得し、前記吸収物の二酸化炭素の吸収量を算出する吸収量算出部と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記吸収量算出部が算出した前記吸収量を前記RFIDタグに書き込む吸収量書込み部をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記吸収物を特定の場所に輸送するのに伴い排出される二酸化炭素量である輸送時排出量を算出する輸送時排出量算出部と、
前記吸収量書込み部により前記RFIDタグに書き込まれた前記吸収量と前記輸送時排出量算出部が算出した前記輸送時排出量との差分である総量を算出する総量算出部と、
前記総量算出部が算出した前記総量を前記RFIDタグに書き込む総量書込み部と、
をさらに備える請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記吸収物を分割して分割物を製造するのに伴い排出される二酸化炭素量である製造時排出量を算出する製造時排出量算出部と、
前記製造時排出量算出部が算出した前記製造時排出量と前記RFIDタグに書き込まれた前記総量を用いて、前記分割物における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である分割物総量を算出する分割物総量算出部と、
前記分割物それぞれに設けられた分割物RFIDタグに、前記分割物総量算出部が算出した前記分割物総量を当該分割物RFIDタグに書き込む分割物総量書込み部と、
をさらに備える請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
複数の前記分割物を用いて製品を製造する場合に、複数の当該分割物それぞれに設けられた前記分割物RFIDタグに書き込まれた前記分割物総量を加算することにより、当該製品における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である製品総量を算出する製品総量算出部をさらに備える請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
二酸化炭素を吸収する吸収物の識別情報と、当該吸収物に関連する関連情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記吸収物の前記識別情報を取得し、当該識別情報に係る当該吸収物の二酸化炭素の吸収量を、当該識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記関連情報を用いて算出する吸収量算出部と、
を備えるシステム。
【請求項7】
前記吸収量算出部は、算出した前記吸収量を、前記識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶させる、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記吸収物を特定の場所に輸送するのに伴い排出される二酸化炭素量である輸送時排出量を算出する輸送時排出量算出部と、
前記記憶部に記憶された前記吸収量と前記輸送時排出量算出部が算出した前記輸送時排出量との差分である総量を算出し、当該総量を前記識別情報と関連付けて当該記憶部に記憶させる総量算出部と、
をさらに備える請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記吸収物を分割して分割物を製造するのに伴い排出される二酸化炭素量である製造時排出量を算出する製造時排出量算出部と、
前記製造時排出量算出部が算出した前記製造時排出量と前記記憶部に記憶された前記総量を用いて、前記分割物における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である分割物総量を算出し、当該分割物総量を当該分割物の識別情報と関連付けて当該記憶部に記憶させる分割物総量算出部と、
をさらに備える請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
複数の前記分割物を用いて製品を製造する場合に、複数の当該分割物それぞれの識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記分割物総量を加算することにより、当該製品における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である製品総量を算出し、当該製品総量を当該分割物の識別情報に関連付けて当該記憶部に記憶する製品総量算出部をさらに備える請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
二酸化炭素を吸収する吸収物に付されたRFIDタグに記憶された、当該吸収物に関連する関連情報を読み取るステップと、
前記関連情報を取得し、前記吸収物の二酸化炭素の吸収量を算出するステップと、
を備える吸収量算出方法。
【請求項12】
二酸化炭素を吸収する吸収物の識別情報と、当該吸収物に関連する関連情報とを関連付けて記憶部に記憶するステップと、
前記吸収物の前記識別情報を取得し、当該識別情報に係る当該吸収物の二酸化炭素の吸収量を、当該識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記関連情報を用いて算出するステップと、
を備える吸収量算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム及び吸収量算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大気中の二酸化炭素を固定させた木材をできるだけ多く使用することを前提に設計され、より多くの二酸化炭素を貯蔵できる家具が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】CARBON STOCK FURNITURE、“都市を森林の貯蔵庫に還す”ことをコンセプトにした家具プロダクトです、[2022年4月18日検索]、インターネット、〈URL:https://carbonstock.jp〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二酸化炭素が貯蔵された商品として販売するにあたっては、商品に貯蔵された二酸化炭素量を把握することが重要となる。例えば、商品が木を用いた家具である場合には、二酸化炭素を吸収する吸収物である木に吸収された二酸化炭素量を把握することが重要となる。
本発明は、二酸化炭素を吸収する吸収物の二酸化炭素の吸収量を把握することができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、二酸化炭素を吸収する吸収物に付されたRFIDタグに記憶された、当該吸収物に関連する関連情報を読み取り、当該関連情報を出力する読取部と、前記関連情報を取得し、前記吸収物の二酸化炭素の吸収量を算出する吸収量算出部と、を備えるシステムである。
また、前記吸収量算出部が算出した前記吸収量を前記RFIDタグに書き込む吸収量書込み部をさらに備えても良い。
また、前記吸収物を特定の場所に輸送するのに伴い排出される二酸化炭素量である輸送時排出量を算出する輸送時排出量算出部と、前記吸収量書込み部により前記RFIDタグに書き込まれた前記吸収量と前記輸送時排出量算出部が算出した前記輸送時排出量との差分である総量を算出する総量算出部と、前記総量算出部が算出した前記総量を前記RFIDタグに書き込む総量書込み部と、をさらに備えても良い。
また、前記吸収物を分割して分割物を製造するのに伴い排出される二酸化炭素量である製造時排出量を算出する製造時排出量算出部と、前記製造時排出量算出部が算出した前記製造時排出量と前記RFIDタグに書き込まれた前記総量を用いて、前記分割物における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である分割物総量を算出する分割物総量算出部と、前記分割物それぞれに設けられた分割物RFIDタグに、前記分割物総量算出部が算出した前記分割物総量を当該分割物RFIDタグに書き込む分割物総量書込み部と、をさらに備えても良い。
また、複数の前記分割物を用いて製品を製造する場合に、複数の当該分割物それぞれに設けられた前記分割物RFIDタグに書き込まれた前記分割物総量を加算することにより、当該製品における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である製品総量を算出する製品総量算出部をさらに備えても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、二酸化炭素を吸収する吸収物の識別情報と、当該吸収物に関連する関連情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記吸収物の前記識別情報を取得し、当該識別情報に係る当該吸収物の二酸化炭素の吸収量を、当該識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記関連情報を用いて算出する吸収量算出部と、を備えるシステムである。
ここで、前記吸収量算出部は、算出した前記吸収量を、前記識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶させても良い。
また、前記吸収物を特定の場所に輸送するのに伴い排出される二酸化炭素量である輸送時排出量を算出する輸送時排出量算出部と、前記記憶部に記憶された前記吸収量と前記輸送時排出量算出部が算出した前記輸送時排出量との差分である総量を算出し、当該総量を前記識別情報と関連付けて当該記憶部に記憶させる総量算出部と、をさらに備えても良い。
また、前記吸収物を分割して分割物を製造するのに伴い排出される二酸化炭素量である製造時排出量を算出する製造時排出量算出部と、前記製造時排出量算出部が算出した前記製造時排出量と前記記憶部に記憶された前記総量を用いて、前記分割物における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である分割物総量を算出し、当該分割物総量を当該分割物の識別情報と関連付けて当該記憶部に記憶させる分割物総量算出部と、をさらに備えても良い。
また、複数の前記分割物を用いて製品を製造する場合に、複数の当該分割物それぞれの識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記分割物総量を加算することにより、当該製品における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である製品総量を算出し、当該製品総量を当該分割物の識別情報に関連付けて当該記憶部に記憶する製品総量算出部をさらに備えても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、二酸化炭素を吸収する吸収物に付されたRFIDタグに記憶された、当該吸収物に関連する関連情報を読み取るステップと、前記関連情報を取得し、前記吸収物の二酸化炭素の吸収量を算出するステップと、を備える吸収量算出方法である。
また、他の観点から捉えると、本発明は、二酸化炭素を吸収する吸収物の識別情報と、当該吸収物に関連する関連情報とを関連付けて記憶部に記憶するステップと、前記吸収物の前記識別情報を取得し、当該識別情報に係る当該吸収物の二酸化炭素の吸収量を、当該識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記関連情報を用いて算出するステップと、を備える吸収量算出方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、二酸化炭素を吸収する吸収物の二酸化炭素の吸収量を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るシステムの概略構成の一例を示す図である。
図2】端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】システムを用いて行う処理手順の一例を示す図である。
図4】システムを用いて行う処理手順の一例を示す図である。
図5】システムを用いて行う処理手順の一例を示す図である。
図6】システムを用いて行う処理手順の一例を示す図である。
図7】システムを用いて行う処理手順の一例を示す図である。
図8】第2実施形態に係るシステムの概略構成の一例を示す図である。
図9】サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10】記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図11】記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図12】システムを用いて行う処理手順の一例を示す図である。
図13】システムを用いて行う処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るシステム1の概略構成の一例を示す図である。
第1実施形態に係るシステム1は、二酸化炭素を吸収する植物に付されたRFIDタグ10に記憶された情報を読み取り、当該情報を基に当該植物の二酸化炭素の吸収量Qaを算出することが可能なシステムである。植物は、木、野菜、果物であることを例示することができる。以下、植物が木である場合について説明する。
【0009】
システム1は、木101に装着されたRFIDタグ10と、RFIDタグ10に木101に関連する情報を書き込んだり、RFIDタグ10に書き込まれた情報を読み取ったりする周知のリーダライタ30と、木101の二酸化炭素の吸収量を算出する端末装置50とを備えている。リーダライタ30と端末装置50は装置間を通信可能に接続するネットワーク70に接続されており、ネットワーク70を介して互いに通信を行うことが可能となっている。
【0010】
ネットワーク70は、装置、機器間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばインターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)であることを例示することができる。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。無線LANは、例えばWiFi(登録商標)やブルートゥース(登録商標)であることを例示することができる。また、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して各装置を接続するように構成しても良い。
【0011】
RFIDタグ10は、IC(Integrated Circuit)チップとアンテナを保護素材で加工したものである。
RFIDタグ10に含まれる情報は、RFIDタグ10が装着された木101に関連する情報(以下、「関連情報」と称する場合がある。)であり、木101の樹齢、樹種、樹高、木がある森林100の名称(以下、「森林名」と称する場合がある。)、当該森林100の中にある木101の本数等であることを例示することができる。
【0012】
RFIDタグ10は、木101の幹に装着されていることを例示することができる。木101の樹齢や樹種、森林名、本数は木101を植えたときにリーダライタ30によりRFIDタグ10に書き込まれ、木101の樹齢や樹高は、木101の成長に応じて定期的(例えば1年毎)にリーダライタ30によりRFIDタグ10に書き込まれて更新されることを例示することができる。又は、木101の樹齢や樹高は、木101を伐採するとき、あるいは、木101を伐採した後にRFIDタグ10に書き込むことを例示することができる。
【0013】
リーダライタ30は、上述した木101の樹齢、樹種、樹高等の関連情報をRFIDタグ10に書き込む。また、リーダライタ30は、RFIDタグ10に書き込まれた情報を読み取るとともに、読み取った情報を端末装置50に送信する。リーダライタ30は、例えば森林100を管理する事務所にて作業を行う作業者が携帯可能な機器である。
【0014】
図2は、端末装置50の機能構成の一例を示すブロック図である。
端末装置50は、CPU(不図示)、ROM(不図示)、RAM(不図示)等を有し、端末装置50全体を制御する制御部500と、HDDや半導体メモリ等にて構成される記憶部510と、を備えている。また、端末装置50は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等にて構成される表示部520と、キーボード、マウス、タッチパネル等にて構成される操作部530と、通信インタフェースである通信部540と、を備えている。
【0015】
端末装置50は、タブレット端末、タブレットPC、携帯情報端末(PDA)、ノートPC、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)等の、例えば森林を管理する事務所にて作業を行う作業者が携帯する可搬型の端末であることを例示することができる。あるいは、端末装置50は、例えば森林を管理する事務所に固定された固定型のPCであっても良い。なお、端末装置50は、複数の端末から構成されていても良い。
【0016】
制御部500は、木101に装着されたRFIDタグ10に含まれる情報を用いて、当該木101が吸収した二酸化炭素の吸収量Qaを算出する吸収量算出部501を有している。
吸収量算出部501は、以下に述べる方法にて木101の吸収量Qaを算出することを例示することができる。
【0017】
先ず、吸収量算出部501は、以下の式(1)を用いて木101がある森林100の1年間の二酸化炭素の吸収量を算出する。
森林100の1年間の二酸化炭素吸収量(t-CO2/年)=森林面積(ha)×樹幹の成長量(注1)×拡大係数(注2)×容積密度(注3)×炭素含有率(注4)×二酸化炭素換算係数(注5)・・・(1)
ここで、
(注1)の樹幹の成長量は、森林100を構成する木101の幹が1年間に成長する量(単位:立方メートル/ha/年)であり、樹齢や樹高を用いて周知の手法により算出する。
(注2)の拡大係数は、樹幹の成長量に枝や根の成長量を加算補正するための係数であり、周知の式に、樹種を用いて周知の手法により算出する。
(注3)の容積密度は、成長量(材積)をバイオマス(乾燥重量)に換算するための係数(単位:ton/立方メートル)であり、樹種を用いて周知の手法により算出する。
(注4)の炭素含有率は、木101の乾燥重量に占める炭素比率で、乾燥重量から炭素量への換算に用いる値であり、例えば、50%である。
(注5)の二酸化炭素換算係数は、炭素量を二酸化炭素量に換算するための係数であり、例えば、44÷12である。
【0018】
そして、吸収量算出部501は、森林100を構成する木101の本数、樹齢を用いて、森林100の中にある木101の二酸化炭素の吸収量Qaを算出する。
吸収量算出部501は、例えば、リーダライタ30から木101の関連情報を取得したことを契機として、吸収量Qaを算出することを例示することができる。
【0019】
リーダライタ30は、吸収量算出部501が算出した吸収量QaをRFIDタグ10に書き込む。
端末装置50は、例えば、吸収量算出部501が吸収量Qaを算出したことを契機として、リーダライタ30に、吸収量QaをRFIDタグ10に書き込むように指示することを例示することができる。あるいは、作業者が、端末装置50が吸収量Qaを算出したことを確認した後に、リーダライタ30に、吸収量QaをRFIDタグ10に書き込むように指示しても良い。
【0020】
図3は、システム1を用いて行う処理手順の一例を示す図である。
木101の育成段階において、作業者は、木101の幹にRFIDタグ10を装着する(S301)。そして、RFIDタグ10に、RFIDタグ10が装着された木101に関連する関連情報を書き込む。作業者は、例えば、操作部530を用いて端末装置50に関連情報を入力するとともに、リーダライタ30を用いて、RFIDタグ10に書き込む(S302)。これにより、RFIDタグ10は、関連情報を記憶する(S303)。
【0021】
その後、作業者は、定期的に、関連情報を更新する(S304)。例えば、作業者は、1年毎に、樹齢や樹高等を、新たな情報に書き換える。
【0022】
そして、木101が伐採された(S305)後に、作業者は、リーダライタ30を用いて、伐採された木101に装着されたRFIDタグ10に書き込まれた関連情報を読み込むとともに、読み込んだ関連情報を端末装置50に送信する(S306)。
端末装置50の吸収量算出部501は、リーダライタ30から受信した関連情報及び式(1)を用いて、伐採された木101の吸収量Qaを算出する(S307)。
【0023】
そして、作業者は、端末装置50が算出した吸収量Qaを、伐採された木101に装着されたRFIDタグ10に書き込む(S308)。これにより、RFIDタグ10は、吸収量Qaを記憶する(S309)。
【0024】
(製材所までの輸送に伴う二酸化炭素の排出量について)
端末装置50の制御部500は、木101を伐採した場所から、伐採された木101を木材102(図5参照)に加工する製材所に輸送するのに伴い排出される二酸化炭素の排出量(以下、「木輸送時排出量Qed1」と称する場合がある。)を算出する木輸送時排出量算出部502(図2参照)を有する。また、制御部500は、RFIDタグ10に書き込まれた吸収量Qaと、木輸送時排出量算出部502が算出した木輸送時排出量Qed1とを用いて、RFIDタグ10が装着された木101の二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である総量(以下、「木総量Qt」と称する場合がある。)を算出する木総量算出部503(図2参照)を有する。
【0025】
木輸送時排出量算出部502は、通過地点の緯度経度情報等を用いて、伐採された場所から製材所までトラック等で移動した距離を例えばヒュベニの公式によって算出する。また、木輸送時排出量算出部502は、トラック等の車種、軽油等の燃料種別毎に予め定められた二酸化炭素排出係数を用いて、移動した距離と二酸化炭素排出係数とを掛け合わせることで輸送に伴う二酸化炭素排出量を算出する。そして、木輸送時排出量算出部502は、1台のトラックにて同時に輸送する本数を用いて、木101一本あたりの二酸化炭素の排出量である木輸送時排出量Qed1を算出する。
【0026】
なお、端末装置50は、通過地点の情報、車種、燃料種別、輸送本数等の、木101一本あたりの排出量を算出するための情報(以下、「木輸送時関連情報」と称する場合がある。)を、操作部530を介した入力により取得することを例示することができる。あるいは、端末装置50は、RFIDタグ10に書き込まれた木輸送時関連情報を、リーダライタ30が読み取り送信することにより、木輸送時関連情報を取得しても良い。
【0027】
RFIDタグ10への木輸送時関連情報の書き込みは、例えば、製材所にトラックが到着したときに、作業者が、リーダライタ30及び端末装置50を用いて行うことを例示することができる。あるいは、RFIDタグ10への木輸送時関連情報の書き込みは、例えば、伐採した場所から製材所に輸送する前に、伐採した場所において、作業者が、リーダライタ30及び端末装置50を用いて行うことを例示することができる。あるいは、RFIDタグ10への木輸送時関連情報の内の一部の情報(例えば車種、燃料種別、輸送本数)の書き込みは、伐採した場所から製材所に輸送する前に伐採した場所において行い、RFIDタグ10への木輸送時関連情報の残りの情報(例えば通過地点の情報)の書き込みは、製材所にトラックが到着したときに行っても良い。
【0028】
木総量算出部503は、木輸送時排出量算出部502が算出した木輸送時排出量Qed1から、RFIDタグ10に書き込まれた吸収量Qaを減算することにより、RFIDタグ10が装着された木101の木総量Qtを算出する(Qt=Qed1-Qa)。なお、吸収量Qaよりも木輸送時排出量Qed1の方が多いと考えられるので、吸収量Qaと木輸送時排出量Qed1とを相殺すると、木総量Qtは排出量となるため、木総量Qtはプラスの値である。
【0029】
図4は、システム1を用いて行う処理手順の一例を示す図である。図4に示した処理手順は、到着時に作業者が木輸送時関連情報をRFIDタグ10に書き込む場合の例である。
伐採された木101は、製材所までの輸送される(S401)。木が到着した(S402)後、作業者は、リーダライタ30を用いて、木輸送時関連情報をRFIDタグ10に書き込む(S403)。これにより、RFIDタグ10は、木輸送時関連情報を記憶する(S404)。
【0030】
その後、作業者は、木総量Qtを算出するために、リーダライタ30を用いて、RFIDタグ10に書き込まれた木輸送時関連情報及び吸収量Qaを読み込むとともに、読み込んだ情報を端末装置50に送信する(S405)。
【0031】
端末装置50の木輸送時排出量算出部502は、木輸送時排出量Qed1を算出する(S406)。また、木総量算出部503は、木総量Qtを算出する(S407)。
【0032】
そして、作業者は、端末装置50が算出した木総量Qtを、リーダライタ30を用いて、RFIDタグ10に書き込む(S408)。これにより、RFIDタグ10は、木総量Qtを記憶する(S409)。
【0033】
なお、伐採した場所において作業者が使用するリーダライタ30と、製材所において作業者が使用するリーダライタ30とは異なる機器であっても良いし、同じ機器であっても良い。
また、伐採した場所において作業者が使用する端末装置50と、製材所において作業者が使用する端末装置50とは異なる機器であっても良いし、同じ機器であっても良い。異なる場合には、伐採した場所において作業者が使用する端末装置50は、少なくとも吸収量算出部501を有し、製材所において作業者が使用する端末装置50は、少なくとも木輸送時排出量算出部502、木総量算出部503、後述する製造時排出量算出部504及び後述する木材排出量算出部505を有すると良い。また、製材所において作業者が使用する端末装置50は、複数の端末から構成されていても良い。
【0034】
(製材所での木材製造に伴う二酸化炭素の排出量について)
端末装置50の制御部500は、木101を切って木材102(図5参照)を製造するのに伴い排出される二酸化炭素の排出量であって木材102毎の排出量(以下、「製造時排出量Qep」と称する場合がある。)を算出する製造時排出量算出部504(図2参照)を有する。また、制御部500は、RFIDタグ10に書き込まれた木総量Qtと、製造時排出量算出部504が算出した製造時排出量Qepとを用いて、木材102毎の二酸化炭素の排出量である木材排出量Qewを算出する木材排出量算出部505を有する。
【0035】
製造時排出量算出部504は、木材102の製造に用いた、予め定められた所定時間当たりの製材所での電力量、ガス使用量と、予め定められた二酸化炭素排出係数を掛け合わせることで、所定時間内に、木を製材し、さらに、製材した木を切断して木材を製造する際の二酸化炭素の排出量を算出する。そして、製材した木の本数(以下、「製材本数」と称する場合がある。)や製材した木を切断して製造した木材の本数(以下、「切断本数」と称する場合がある。)を考慮し、木材102一本当たりの製造時排出量Qepを算出する。例えば、RFIDタグ10が装着されたm本の木101を製材し、製材した木101を切断してn本の木材102を製造したときの製材所における二酸化炭素の排出量がQptである場合には、木材102一本当たりの製造時排出量はQep=Qpt/(m×n)となる。なお、所定時間は、特に限定されないが、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間であることを例示することができる。
【0036】
製造時排出量算出部504は、木材102の製造に用いた、製材所での電力量、ガス使用量、製材本数、及び、切断本数等の情報(以下、「木材製造時関連情報」と称する場合がある。)が入力されて、予め定められた操作が行われたとき(例えば表示部に表示された「実行」と記載されたアイコンが押されたとき)に、製造時排出量Qepを算出することを例示することができる。あるいは、製造時排出量算出部504は、木材製造時関連情報が入力されたときに、自動的に製造時排出量Qepを算出しても良い。
【0037】
木材排出量算出部505は、RFIDタグ10が装着された1本の木101を切断してn本の木材を製造した場合に、RFIDタグ10に書き込まれた木総量Qtをnで割った値に、製造時排出量算出部504が算出した製造時排出量Qepを加算することにより、木材102毎の二酸化炭素の排出量である木材排出量Qewを算出する(Qew=Qt/n+Qep)。
【0038】
リーダライタ30は、端末装置50から受信した一の木材102における木材排出量Qewを、当該一の木材102に装着されたRFIDタグ20(図5参照)に書き込む。
【0039】
図5は、システム1を用いて行う処理手順の一例を示す図である。
木材102の製造段階において、作業者は、切断する木101に装着されたRFIDタグ10に書き込まれた木総量Qtをリーダライタ30にて読み込み、木101の識別情報とともに読み込んだ木総量Qtを端末装置50に送信する(S501)。端末装置50は、記憶部510に、木101の識別情報に関連付けて木総量Qtを記憶する(S502)。
【0040】
木101を切断して(S503)木材102を製造した(S504)後に、端末装置50の製造時排出量算出部504は、製造時排出量Qepを算出する(S505)。また、木材排出量算出部505は、木材102毎の二酸化炭素の排出量である木材排出量Qewを算出する(S506)。
作業者は、木材102にRFIDタグ20を装着し(S507)、リーダライタ30を用いて、RFIDタグ20に木材排出量Qewを書き込む(S508)。これにより、RFIDタグ20は、木材排出量Qewを記憶する(S509)。
【0041】
(製作所までの輸送に伴う二酸化炭素の排出量について)
端末装置50の制御部500は、木材102を製造した場所から、家具等の木材102を用いた製品103(図7参照)を制作する製作所に輸送するのに伴い排出される二酸化炭素の排出量(以下、「木材輸送時排出量Qed2」と称する場合がある。)を算出する木材輸送時排出量算出部506(図2参照)を有する。また、制御部500は、RFIDタグ20に書き込まれた木材排出量Qewと、木材輸送時排出量算出部506が算出した木材輸送時排出量Qed2とを用いて、RFIDタグ20が装着された木材102の二酸化炭素の総量である木材総量Qwを算出する木材総量算出部507(図2参照)を有する。
【0042】
木材輸送時排出量算出部506は、木輸送時排出量算出部502と同様であるのでその詳細な説明は省略するが、通過地点の緯度経度情報等を用いて、木材102を製造した場所から製作所までトラック等で移動した距離を例えばヒュベニの公式によって算出するとともに、車種、燃料種別、二酸化炭素排出係数、木材の本数等考慮して木材102一本あたりの二酸化炭素排出量を算出する。
【0043】
なお、端末装置50は、通過地点の情報、車種、燃料種別、輸送本数等の、木材102一本あたりの二酸化炭素排出量を算出するための情報(以下、「木材輸送時関連情報」と称する場合がある。)を、操作部530を介した入力により取得することを例示することができる。あるいは、端末装置50は、RFIDタグ20に書き込まれた木材輸送時関連情報を、リーダライタ30が読み取り送信することにより、木材輸送時関連情報を取得しても良い。
【0044】
RFIDタグ20への木材輸送時関連情報の書き込みは、例えば、製作所にトラックが到着したときに、作業者が、リーダライタ30及び端末装置50を用いて行うことを例示することができる。あるいは、RFIDタグ20への木材輸送時関連情報の書き込みは、例えば、製材所(木材を製造した場所)から製作所に輸送する前に、製材所において、作業者が、リーダライタ30及び端末装置50を用いて行うことを例示することができる。あるいは、RFIDタグ20への木材輸送時関連情報の内の一部の情報(例えば車種、燃料種別、輸送本数)の書き込みは、製材所から製作所に輸送する前に行い、RFIDタグ20への木材輸送時関連情報の残りの情報(例えば通過地点の情報)の書き込みは、製作所にトラックが到着したときに行っても良い。
【0045】
木材総量算出部507は、木材輸送時排出量算出部506が算出した木材輸送時排出量Qed2と、RFIDタグ20に書き込まれた木材排出量Qewとを加算することにより、RFIDタグ20が装着された木材102の二酸化炭素の総量である木材総量Qwを算出する(Qw=Qed2+Qew)。
【0046】
図6は、システム1を用いて行う処理手順の一例を示す図である。
製造された木材102は、製作所まで輸送される(S601)。木材102が到着した(S602)後、作業者は、リーダライタ30を用いて、木材輸送時関連情報をRFIDタグ20に書き込む(S603)。これにより、RFIDタグ20は、木材輸送時関連情報を記憶する(S604)。
【0047】
その後、作業者は、木材総量Qwを算出するために、リーダライタ30を用いて、RFIDタグ20に書き込まれた木材輸送時関連情報及び木材排出量Qewを読み込むとともに、読み込んだ情報を端末装置50に送信する(S605)。
【0048】
端末装置50の木材輸送時排出量算出部506は、木材輸送時排出量Qed2を算出する(S606)。また、木材総量算出部507は、木材総量Qwを算出する(S607)。
【0049】
そして、作業者は、端末装置50が算出した木材総量Qwを、リーダライタ30を用いて、RFIDタグ20に書き込む(S608)。これにより、RFIDタグ20は、木材総量Qwを記憶する(S609)。
【0050】
なお、製作所において作業者が使用するリーダライタ30は、伐採した場所において作業者が使用するリーダライタ30や、製材所において作業者が使用するリーダライタ30とは異なる機器であっても良いし、同じ機器であっても良い。
また、製作所において作業者が使用する端末装置50は、伐採した場所において作業者が使用する端末装置50や、製材所において作業者が使用する端末装置50とは異なる機器であっても良いし、同じ機器であっても良い。異なる場合には、製作所において作業者が使用する端末装置50は、木材輸送時排出量算出部506、木材総量算出部507及び後述する製品総量算出部508を有すると良い。また、製作所において作業者が使用する端末装置50は、複数の端末から構成されていても良い。
【0051】
(製品化段階)
端末装置50の制御部500は、木材102を用いた製品103における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である製品総量Qpを算出する製品総量算出部508(図2参照)を有する。製品総量算出部508は、製品103に用いた木材102それぞれの木材総量Qwを、製品103に用いられる木材102の本数分加算することにより、製品総量Qpを算出する。
【0052】
図7は、システム1を用いて行う処理手順の一例を示す図である。
作業者は、製品103に用いる木材102を選択し(S701)、製品103を組み立てる(S702)とともに、リーダライタ30を用いて、製品103に用いると決定した木材102に装着されたRFIDタグ20に書き込まれた木材総量Qwを読み込み、読み込んだ木材総量Qwを端末装置50に送信する(S703)。
【0053】
端末装置50の製品総量算出部508は、リーダライタ30から受信した、製品103に用いた木材102それぞれの木材総量Qwを、製品103に用いられる木材102の本数分加算することにより、製品103の製品総量Qpを算出する(S704)。
【0054】
そして、作業者は、端末装置50が算出した製品総量Qpを、リーダライタ30を用いて、製品103を構成する木材102に装着されたRFIDタグ20に書き込む(S705)。これにより、RFIDタグ20は、製品総量Qpを記憶する(S706)。
【0055】
なお、製品103を組み立てる前に、製品103を構成する木材102からRFIDタグ20を取り外しても良い。また、製品103を構成する木材102にRFIDタグ20を装着したままであっても、RFIDタグ20に製品総量Qpを書き込まなくても良い。
【0056】
また、作業者は、製品総量算出部508が算出した製品総量Qpと同じ量のJ-クレジットで相殺することで、製品103を、完全カーボンゼロの製品とすることが可能となる。そして、作業者は、製品103を構成する木材102に装着されたRFIDタグ20に、完全カーボンゼロの製品であることを書き込んでも良い。
【0057】
以上、説明したように、システム1は、二酸化炭素を吸収する木101(吸収物の一例)に付されたRFIDタグ10に記憶された木101に関連する関連情報を読み取り、当該関連情報を出力するリーダライタ30(読取部の一例)と、関連情報を取得し、吸収物の二酸化炭素の吸収量Qaを算出する吸収量算出部501と、を備える。システム1によれば、木101の二酸化炭素の吸収量Qaを把握することができる。なお、吸収物として木101を例にしたが、特に木101に限定されない。例えば、レタス等の野菜や、イチゴ等の果物であっても良い。
【0058】
システム1は、吸収量算出部501が算出した吸収量QaをRFIDタグ10に書き込むリーダライタ30(吸収量書込み部の一例)を備える。これにより、木101が流通する段階においても、木101における吸収量Qaを把握することが可能となる。なお、上述した実施形態においては、リーダライタ30が、RFIDタグ10に記憶された関連情報を読み取る機能と、RFIDタグ10に吸収量Qaを書き込む機能とを有しているが、RFIDタグ10に記憶された関連情報を読み取る機器と、RFIDタグ10に吸収量Qaを書き込む機器とは、別々の機器であっても良い。
【0059】
また、システム1は、木101を製材所(特定の場所の一例)に輸送するのに伴い排出される二酸化炭素量である木輸送時排出量Qed1(輸送時排出量の一例)を算出する木輸送時排出量算出部502(輸送時排出量算出部の一例)を備える。また、システム1は、リーダライタ30によりRFIDタグ10に書き込まれた吸収量Qaと木輸送時排出量算出部502が算出した木輸送時排出量Qed1との差分である木総量Qt(総量の一例)を算出する木総量算出部503(総量算出部の一例)と、木総量算出部503が算出した木総量QtをRFIDタグ10に書き込むリーダライタ30(総量書込み部の一例)とを備える。システム1によれば、木101における吸収量Qaと、木101を輸送するのに伴う木輸送時排出量Qed1とを相殺した二酸化炭素量の総量を木101のRFIDタグ10に記憶させることができる。
【0060】
また、システム1は、木101を切断(分割の一例)して木材102(分割物の一例)を製造するのに伴い排出される二酸化炭素量である製造時排出量Qepを算出する製造時排出量算出部504を備える。また、システム1は、製造時排出量算出部504が算出した製造時排出量QepとRFIDタグ10に書き込まれた木総量Qtを用いて、木材102における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である木材総量Qw(分割物総量の一例)を算出する木材総量算出部507(分割物総量算出部の一例)を備える。また、システム1は、木材102それぞれに設けられたRFIDタグ20(分割物RFIDタグの一例)に、木材総量算出部507が算出した木材総量QwをRFIDタグ20に書き込むリーダライタ30(分割物総量書込み部の一例)を備える。これにより、木材102が流通する段階においても、木材102における、吸収量Qaを考慮した二酸化炭素の排出量を把握することが可能となる。
【0061】
また、システム1は、複数の木材102を用いて製品103を製造する場合に、複数の木材102それぞれに設けられたRFIDタグ20に書き込まれた木材総量Qwを加算することにより、製品103における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である製品総量Qpを算出する製品総量算出部508をさらに備える。これにより、製品103を製造する過程で排出した二酸化炭素の排出量であって、木101における吸収量Qaを考慮した排出量を把握することができる。また、完全カーボンゼロの製品103を実現するために相殺すべきJ-クレジットの量を把握することができる。
【0062】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係るシステム2の概略構成の一例を示す図である。
第2実施形態に係るシステム2は、第1実施形態に係るシステム1に対して、RFIDタグ10及びRFIDタグ20に含ませる情報をサーバ280に記憶させる点が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第2実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0063】
システム2は、木101に装着された識別情報210を読み取る読取器230と、ネットワーク70を介して読取器230と通信可能であるとともに作業者が使用する端末装置250と、ネットワーク70を介して端末装置250と通信可能なサーバ280と、を備えている。
【0064】
識別情報210は、バーコードやQRコード(登録商標)等のコード情報であり、読取器230は周知のバーコードリーダであることを例示することができる。識別情報210は、例えば紙に記載され、識別情報210が記載された紙は、例えばケースに入れられて木101に縛り付けられていることを例示することができる。
【0065】
端末装置250は、端末装置50と同様に、制御部(不図示)、記憶部(不図示)、表示部(不図示)、操作部(不図示)、通信部(不図示)等を備える、可搬型の端末又は固定型の端末であることを例示することができる。図8には、端末装置250が固定型のPCである場合を例示している。
なお、端末装置250が可搬型の端末である場合には、読取器230を内蔵していても良い。
【0066】
図9は、サーバ280の機能構成の一例を示すブロック図である。
サーバ280は、木101の識別情報210に関連付けて木101に関連する情報を記憶するとともに、端末装置250から要求や指示を受け、情報や処理結果を返信する。
サーバ280は、CPU(不図示)、ROM(不図示)、RAM(不図示)等を有し、サーバ280全体を制御する制御部281と、HDDや半導体メモリ等にて構成される記憶部282と、を備えている。また、サーバ280は、端末装置50の表示部520、操作部530、通信部540それぞれに相当する、表示部283、操作部284、通信部285を備えている。
【0067】
制御部281は、端末装置50の制御部500が有する、吸収量算出部501、木輸送時排出量算出部502、木総量算出部503、製造時排出量算出部504、木材排出量算出部505、木材輸送時排出量算出部506、木材総量算出部507、製品総量算出部508を有している。
【0068】
図10及び図11は、記憶部282が記憶する情報の一例を示す図である。
記憶部282は、木101の識別情報210に関連付けて、木101が存在する森林の名称及び住所、森林100の中の木101の本数、木101の樹齢、樹種、樹高等を記憶する。作業者は、端末装置250の操作部(不図示)を用いて、木101に関連する情報を入力し、サーバ280の記憶部282に記憶させる。
また、記憶部282は、木101の識別情報210に関連付けて木材102に関連する情報も記憶する。
【0069】
図12及び図13は、システム2を用いて行う処理手順の一例を示す図である。
木101の育成段階において、作業者は、木101の幹に識別情報210を装着する(S1201)。そして、作業者は、サーバ280の記憶部282に、識別情報210に関連付けて、当該識別情報210が装着された木101に関連する関連情報を記憶させる。作業者は、例えば、端末装置250の操作部(不図示)を用いて関連情報を入力し(S1202)、サーバ280の記憶部282に記憶させる(S1203)。
その後、作業者は、定期的に、関連情報を更新する(S1204)。例えば、作業者は、1年毎に、樹齢や樹高等を新たな情報に書き換える。
【0070】
そして、木101が伐採された(S1205)後に、作業者は、読取器230を用いて、伐採された木101に装着された識別情報210を読み込み、読み込んだ識別情報210を端末装置250に転送することで、伐採された木101の識別情報210を把握する(S1206)。なお、作業者は、読取器230を用いずに識別情報210を把握しても良い。
【0071】
そして、作業者が端末装置250を介して伐採された木101の吸収量Qaの算出の指示を行うことで、サーバ280の吸収量算出部501は、吸収量Qaを算出し(S1207)、算出した吸収量Qaを記憶部282に記憶する(S1208)。
【0072】
その後、伐採された木101は、製材所まで輸送される(S1209)。木が到着した(S1210)後、作業者は、読取器230を用いて、到着した木101に装着された識別情報210を読み込むことで、到着した木101の識別情報210を把握する(S1211)。
【0073】
作業者は、端末装置250を用いて、木輸送時関連情報を入力し(S1212)、到着した木101の木輸送時排出量Qed1の算出の指示を行うことで、サーバ280の木輸送時排出量算出部502は、木輸送時排出量Qed1を算出する(S1213)。そして、サーバ280の木総量算出部503は、到着した木101の木総量Qtを算出し(S1214)、算出した木総量Qtを識別情報210に関連付けて記憶部282に記憶する(S1215)。
【0074】
その後、木101を切断して(S1301)、木材102を製造した(S1302)後に、作業者は、木材102に識別情報220を装着する(S1303)。S1303の処理は、例えば、作業者が、木材102それぞれに、識別情報220(例えばバーコード)を付したシールを貼り付けることを例示することができる。
【0075】
また、作業者は、木材製造時関連情報を入力し(S1304)、製造時排出量Qepの算出の指示を行うことで、サーバ280の製造時排出量算出部504は、製造時排出量Qepを算出する(S1305)。また、サーバ280の木材排出量算出部505は、木材排出量Qewを算出し(S1306)、図11に示すように、算出した木材排出量Qewを木材102の識別情報220に関連付けて記憶部282に記憶する(S1307)。
【0076】
製造された木材102は、製作所まで輸送される(S1308)。木材102が到着した(S1309)後、作業者は、読取器230を用いて、到着した木材102に装着された識別情報220を読み込むことで、到着した木材102の識別情報220を把握する(S1310)。
【0077】
作業者は、端末装置250を用いて、木材輸送時関連情報を入力し(S1311)、到着した木材102の木材輸送時排出量Qed2の算出の指示を行うことで、サーバ280の木材輸送時排出量算出部506は、木材輸送時排出量Qed2を算出する(S1312)。そして、サーバ280の木材総量算出部507は、到着した木材102の木材総量Qwを算出し(S1313)、算出した木材総量Qwを木材102の識別情報220に関連付けて記憶する(S1314)。
【0078】
作業者は、製品103に用いる木材102を選択し(S1315)、製品103を組み立てる(S1316)とともに、読取器230を用いて、製品103に用いると決定した木材102に装着された識別情報220を読み込むことで、製品103に用いた木材102の識別情報220を把握する(S1317)。
【0079】
作業者は、端末装置250を用いて、製品103に用いた木材102の識別情報220を入力し(S1318)、製品総量Qpの算出の指示を行うことで、サーバ280の製品総量算出部508は、製品総量Qpを算出し(S1319)、算出した製品総量Qpを木材102の識別情報220に関連付けて記憶する(S1320)。
【0080】
以上、説明したように、システム2は、二酸化炭素を吸収する木101の識別情報210と、木101に関連する関連情報とを関連付けて記憶する記憶部282と、木101の識別情報210を取得し、識別情報210に係る木101の二酸化炭素の吸収量Qaを、識別情報210に関連付けて記憶部282に記憶されている関連情報を用いて算出する吸収量算出部501と、を備える。システム2によれば、木101の二酸化炭素の吸収量Qaを把握することができる。
【0081】
吸収量算出部501は、算出した吸収量Qaを、識別情報210と関連付けて記憶部282に記憶させる。これにより、木101が流通する段階においても、木101における吸収量Qaを把握することが可能となる。
【0082】
また、システム2は、木101を製材所に輸送するのに伴い排出される二酸化炭素量である木輸送時排出量Qed1を算出する木輸送時排出量算出部502と、記憶部282に記憶された吸収量Qaと木輸送時排出量算出部502が算出した木輸送時排出量Qed1との差分である木総量Qtを算出し、木総量Qtを識別情報210に関連付けて記憶部282に記憶させる木総量算出部503(総量算出部の一例)と、をさらに備える。システム2によれば、木101における吸収量Qaと、木101を輸送するのに伴う木輸送時排出量Qed1とを相殺した二酸化炭素量の総量をサーバ280に記憶させることができる。
【0083】
また、システム2は、木101を切断して木材102を製造するのに伴い排出される二酸化炭素量である製造時排出量Qepを算出する製造時排出量算出部504を備える。また、システム2は、製造時排出量算出部504が算出した製造時排出量Qepと記憶部282に記憶された木総量Qtを用いて、木材102における二酸化炭素吸収量と二酸化炭素排出量との差分である木材総量Qwを算出し、木材総量Qwを木材102の識別情報220と関連付けて記憶部282に記憶させる木材総量算出部507を備える。これにより、木材102が流通する段階においても、木材102における、吸収量Qaを考慮した二酸化炭素の排出量を把握することが可能となる。
【0084】
また、システム2は、複数の木材102を用いて製品103を製造する場合に、複数の木材102それぞれの識別情報220に関連付けて記憶部282に記憶された木材総量Qwを加算することにより製品103における二酸化炭素の排出量である製品総量Qpを算出し、製品総量Qpを木材102の識別情報220と関連付けて記憶部282に記憶させる製品総量算出部508をさらに備える。これにより、製品103を製造する過程で排出した二酸化炭素の排出量であって、木101における吸収量Qaを考慮した排出量を把握することができる。また、完全カーボンゼロの製品103を実現するために相殺すべきJ-クレジットの量を把握することができる。
【0085】
なお、上述した第2実施形態においては、木101に装着された識別情報210を用いて伐採された木101を把握しているが特にかかる態様に限定されない。例えば、森林名や、森林100の住所を用いて、伐採された木101を把握しても良い。森林100の全ての木を伐採する場合には、森林名や森林100の住所を用いて伐採された全ての木101を特定するとともに、各木101の吸収量Qaを算出することができる。例えば、森林100の全ての木が同じようなタイミングで植えられ、同じようなタイミングで伐採された場合には、各木101の吸収量Qaは同じ値となる。また、識別情報210は、伐採された木101に対して装着しても良い。
【0086】
また、上述した第2実施形態においては、サーバ280が、吸収量算出部501、木輸送時排出量算出部502、木総量算出部503、製造時排出量算出部504、木材排出量算出部505、木材輸送時排出量算出部506、木材総量算出部507、製品総量算出部508を有し、各種値を算出しているが、特にかかる態様に限定されない。例えば、端末装置250が、吸収量算出部501、木輸送時排出量算出部502、木総量算出部503、製造時排出量算出部504、木材排出量算出部505、木材輸送時排出量算出部506、木材総量算出部507、製品総量算出部508を有し、算出した各種値を記憶部282に記憶させても良い。また、端末装置250は、複数の端末から構成されていても良く、上述した複数の算出部(例えば吸収量算出部501)が別々の端末に設けられていても良い。そして、各端末が算出した値をサーバ280に記憶させても良い。
【符号の説明】
【0087】
1,2…システム、10,20…RFIDタグ、30…リーダライタ、50,250…端末装置、70…ネットワーク、100…森林、101…木、102…木材、103…製品、210,220…識別情報、230…読取器,280…サーバ、501…吸収量算出部、502…木輸送時排出量算出部、503…木総量算出部、504…製造時排出量算出部、505…木材排出量算出部、506…木材輸送時排出量算出部、507…木材総量算出部、508…製品総量算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13