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特開2023-17692二重空洞結合のヘルムホルツ消音器及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017692
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】二重空洞結合のヘルムホルツ消音器及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20230131BHJP
   F01N 1/02 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
G10K11/16 100
F01N1/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069067
(22)【出願日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】202110842527.9
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊興林
(72)【発明者】
【氏名】馬恒
(72)【発明者】
【氏名】呉維維
(72)【発明者】
【氏名】潘偉宸
【テーマコード(参考)】
3G004
5D061
【Fターム(参考)】
3G004AA05
3G004BA01
3G004CA01
3G004DA01
3G004EA01
5D061EE28
5D061EE31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】二重空洞結合のヘルムホルツ消音器及び制御方法を提供する。
【解決手段】ヘルムホルツ消音器は、メインパイプ1及びメインパイプに連通する共鳴空洞3、共鳴空洞内を第1空洞と第2空洞に分割するバッフル4、バッフルの片側の、伸縮管6を含む伸縮延長管アセンブリ、ステッピングモータ16を含む制御システム及び歯車10、11を含む歯車伝動システムを備える。歯車伝動システムの一端は制御システムに信号接続され、他端は伸縮延長管アセンブリに接続される。制御システムは、音速受信機12でメインパイプ内の気流速度を測定し、対応する電気信号に変換し、該信号により歯車伝動システムを回転させ、共鳴空洞内の伸縮管を移動させる。共鳴空洞内の伸縮管の長さを変えることにより、バッフルの開孔箇所の気流の噴射軌跡と強度を変え、伝達損失を増加させ、消音効果を向上させ、渦停留型燃焼器内の火炎安定性を向上させ、同時に消音帯域を広げる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインパイプ(1)及びメインパイプ(1)に連通する共鳴空洞(3)を含む二重空洞結合のヘルムホルツ消音器であって、前記共鳴空洞(3)内にはそれを第1空洞(31)及び第2空洞(32)に分割するバッフル(4)が設けられ、前記バッフル(4)の片側には共鳴空洞の消音帯域を広げるための伸縮延長管アセンブリが設けられ、前記メインパイプ(1)にはメインパイプ内の気流速度を検出し、かつ対応する電気信号に変換するための制御システムが設けられ、前記制御システムの片側には伸縮延長管アセンブリの移動を制御するための歯車伝動システムが設けられ、前記歯車伝動システムの一端は制御システムに信号接続され、歯車伝動システムの他端は伸縮延長管アセンブリに接続され、制御システムは速度信号によって歯車伝動システムの回転を駆動し、さらに伸縮延長管アセンブリを駆動して共鳴空洞(3)内で移動させることを特徴とする二重空洞結合のヘルムホルツ消音器。
【請求項2】
前記伸縮延長管アセンブリは伸縮管(6)、第1ガイドロッド(17)及び第2ガイドロッド(9)を含み、伸縮管(6)の底部はバッフル(4)に固定され、伸縮管(6)の伸縮方向はバッフル(4)に垂直であり、伸縮管(6)の頂部はリング(7)を介して第2ガイドロッド(17)に接続され、第1ガイドロッド(9)の一端は歯車伝動システムに接続され、前記第1ガイドロッド(9)及び第2ガイドロッド(17)はそれぞれ共鳴空洞(3)の外壁及び内壁まで延長し、第1ガイドロッド(9)及び第2ガイドロッド(17)と共鳴空洞(3)との接触端には互いに吸引する第1磁石(20)及び第2磁石(18)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器。
【請求項3】
前記共鳴空洞の外壁には第1磁石(20)を移動させるための第1係止溝(8)が設けられ、前記共鳴空洞の内壁には第2磁石(18)を移動させるための第2係止溝(19)が設けられることを特徴とする請求項2に記載の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器。
【請求項4】
前記バッフル(4)には垂直方向に沿って開いた長孔(5)が設けられ、前記長孔(5)の中心はバッフル(4)の中心と重なり合い、伸縮管(6)の底部は長孔(5)の中心に固定され、伸縮管(6)と共鳴空洞(3)の両側の内壁との間の距離は等しいことを特徴とする請求項2に記載の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器。
【請求項5】
前記リング(7)の内径と伸縮管(6)の直径は同じであることを特徴とする請求項2に記載の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器。
【請求項6】
前記制御システムは音速受信機(12)、増幅器(13)、信号変換器(14)、ステッピングモータコントローラ(15)及びステッピングモータ(16)を含み、前記音速受信機(12)はメインパイプの上流に位置し、前記音速受信機(12)、増幅器(13)、信号変換器(14)、ステッピングモータコントローラ(15)及びステッピングモータ(16)は順次信号接続されることを特徴とする請求項1に記載の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器。
【請求項7】
前記歯車伝動システムは互いに噛み合う駆動歯車(11)及び従動歯車(10)を含み、前記駆動歯車(11)の回転軸は制御システムのステッピングモータ(15)の出力軸に接続され、伸縮延長管アセンブリの第1ガイドロッド(9)の端部は従動歯車(10)に接続され、駆動歯車(11)が従動歯車(10)の動きを牽引する時、従動歯車(10)は第1ガイドロッド(9)及びその端部の第1磁石(20)を駆動して共鳴空洞の外壁に沿って移動させることを特徴とする請求項1に記載の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器。
【請求項8】
前記第2空洞(32)の体積は第1空洞(31)の体積より大きく、前記伸縮延長管アセンブリは第2空洞(32)内に位置することを特徴とする請求項1に記載の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器。
【請求項9】
前記メインパイプ(1)と共鳴空洞(3)との間にネック部短管(2)が設けられ、前記メインパイプ(1)、ネック部短管(2)及び共鳴空洞(3)は密封接続されることを特徴とする請求項1に記載の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器。
【請求項10】
音速受信機(12)はメインパイプ(1)内の気流速度を測定し、増幅器(13)は速度信号をさらに増幅し、続いて信号を信号変換器(14)に伝送するステップ1と、
信号変換器(14)は気流速度信号を電気信号に変換し、続いて対応する電気信号をステッピングモータコントローラ(15)に伝送し、ステッピングモータコントローラ(15)は電気信号によってステッピングモータ(16)の動きを駆動するステップ2と、
ステッピングモータ(16)は歯車伝動システムの回転を駆動し、歯車伝動システムは伸縮延長管アセンブリを駆動して共鳴空洞(3)内で移動させ、伸縮延長管アセンブリの伸縮管(6)の長さを変えることによって消音帯域を広げ、渦停留型燃焼器内の火炎安定性を向上させるステップ3と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常用のパッシブリアクティブ消音器に関し、特に渦停留型燃焼器用の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器に関する。
【背景技術】
【0002】
渦停留型燃焼器は構造がシンプルで、軽量で、燃焼効率が高く、NOx排出量が低く、全圧損失が少ない等の利点を有するが、渦停留型燃焼器内のノイズはその中の火炎安定性を低下させ、したがって、消音器を使用してノイズを低下させ、火炎安定性を向上させる必要があり、ヘルムホルツ消音器は構造がシンプルで、吸音性能に優れ、航空エンジン及び船舶用ガスタービンに広く応用されているため、ヘルムホルツ消音器を使用して渦停留型燃焼器の火炎安定性を向上させる。従来の単一のヘルムホルツ消音器は消音帯域を広げるために、2つのヘルムホルツ消音器を組み合わせて使用する必要があり、パッシブ消音器として、ヘルムホルツ消音器は、主に中周波消音及び低周波消音に用いられ、消音効果をさらに最適化し、消音帯域を広げ、渦停留型燃焼器内の火炎安定性を向上させるために、二重空洞結合のヘルムホルツ消音器の構造を最適化する必要がある。
【0003】
中国特許出願番号第201910966633.0号には、アクティブ周波数変換のヘルムホルツ共鳴器及びその周波数変調ノイズ低減方法が開示されている。該共鳴器は単一のヘルムホルツ共鳴器の動作周波数が狭いという問題を克服するが、該共鳴器の消音効果は従来のヘルムホルツ共鳴器に比べて大幅に向上しないため、該共鳴器のノイズ低減効果をさらに向上させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の目的:本発明の目的は、渦停留型燃焼器内の火炎安定性を向上させ、かつ消音帯域を広げるための二重空洞結合のヘルムホルツ消音器を提供することであり、本発明の第2目的は、上記二重空洞結合のヘルムホルツ消音器の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
技術的解決手段:本発明の二重空洞結合のヘルムホルツ消音器は、メインパイプ及びメインパイプに連通する共鳴空洞を含み、前記共鳴空洞内にはそれを第1空洞及び第2空洞に分割するバッフルが設けられ、前記バッフルの片側には共鳴空洞の消音帯域を広げるための伸縮延長管アセンブリが設けられ、前記メインパイプにはメインパイプ内の気流速度を検出し、かつ対応する電気信号に変換するための制御システムが設けられ、前記制御システムの片側には伸縮延長管アセンブリの移動を制御するための歯車伝動システムが設けられ、前記歯車伝動システムの一端は制御システムに信号接続され、歯車伝動システムの他端は伸縮延長管アセンブリに接続され、制御システムは速度信号によって歯車伝動システムの回転を駆動し、さらに伸縮延長管アセンブリを駆動して共鳴空洞内で移動させる。
【0006】
さらに、前記伸縮延長管アセンブリは伸縮管、第1ガイドロッド及び第2ガイドロッドを含み、伸縮管の底部はバッフルに固定され、伸縮管の伸縮方向はバッフルに垂直であり、伸縮管の頂部はリングを介して第2ガイドロッドに接続され、第1ガイドロッドの一端は歯車伝動システムに接続され、前記第1ガイドロッド及び第2ガイドロッドはそれぞれ共鳴空洞の外壁及び内壁まで延長し、第1ガイドロッド及び第2ガイドロッドと共鳴空洞との接触端には互いに吸引する第1磁石及び第2磁石が設けられる。第1磁石と第2磁石との間の強い吸引力は伸縮管を駆動して長さを変化させることができ、伸縮管には伸縮継手を有し、横方向力の作用で、伸縮継手は収縮又は伸長することができる。
【0007】
さらに、前記共鳴空洞の外壁には第1磁石を移動させるための第1係止溝が設けられ、前記共鳴空洞の内壁には第2磁石を移動させるための第2係止溝が設けられ、第1係止溝及び第2係止溝の設置により、磁石の移動が容易になり、共鳴空洞の密封性も保証される。
【0008】
さらに、前記バッフルには垂直方向に沿って開いた長孔が設けられ、前記長孔の中心はバッフルの中心と重なり合い、伸縮管の底部は長孔の中心に固定され、伸縮管と共鳴空洞の両側の内壁との間の距離は等しい。ここでは、伸縮管の位置を共鳴空洞の中心に設置することで、後続の気流噴射のテストに役立ち、消音帯域の正確な判断を保証することができ、長孔の設置により、伸縮管の底部位置の固定に役立ち、かつ異なる大きさの共鳴空洞に応じて、伸縮管から共鳴空洞の両側までの長さが等しくなるように伸縮管の底部の位置を調整することができる。
【0009】
さらに、前記リングの内径は伸縮管の直径と同じである。リングは第2ガイド管と伸縮管との接続に役立ち、第2ガイド管が伸縮管の移動を制御することに役立つ。
【0010】
さらに、前記制御システムは音速受信機、増幅器、信号変換器、ステッピングモータコントローラ及びステッピングモータを含み、前記音速受信機はメインパイプの上流に位置し、前記音速受信機、増幅器、信号変換器、ステッピングモータコントローラ及びステッピングモータは順次信号接続される。
【0011】
さらに、前記歯車伝動システムは互いに噛み合う駆動歯車及び従動歯車を含み、前記駆動歯車の回転軸は制御システムのステッピングモータの出力軸に接続され、伸縮延長管アセンブリの第1ガイドロッドの端部は従動歯車に接続され、駆動歯車が従動歯車の動きを牽引する時、従動歯車は第1ガイドロッド及びその端部の第1磁石を駆動して共鳴空洞の外壁に沿って移動させる。
【0012】
さらに、前記第2空洞の体積は第1空洞の体積より大きく、前記伸縮延長管アセンブリは第2空洞内に位置する。2つの結合された共鳴空洞の体積が異なるため、両者の固有周波数も異なり、さらに共鳴範囲が広くなり、調整範囲が広くなり、伸縮管をより大きな体積の第2空洞内に置くことで、より大きな範囲内で左右に移動させることができ、それによりパイプ内の変化する気流速度に適応する。
【0013】
さらに、前記メインパイプと共鳴空洞との間にネック部短管が設けられ、前記メインパイプ、ネック部短管及び共鳴空洞は密封接続される。
【0014】
本発明はさらに、以下のステップを含む、前記二重空洞結合のヘルムホルツ消音器の制御方法を保護する。
【0015】
音速受信機はメインパイプ内の気流速度を測定し、増幅器は速度信号をさらに増幅し、続いて信号を信号変換器に伝送するステップ1。
【0016】
信号変換器は気流速度信号を電気信号に変換し、続いて対応する電気信号をステッピングモータコントローラに伝送し、ステッピングモータコントローラは電気信号によってステッピングモータの動きを駆動するステップ2。
【0017】
ステッピングモータは歯車伝動システムの回転を駆動し、歯車伝動システムは伸縮延長管アセンブリを駆動して共鳴空洞内で移動させ、伸縮延長管アセンブリの伸縮管の長さを変えることによって消音帯域を広げ、渦停留型燃焼器内の火炎安定性を向上させるステップ3。
【0018】
ステッピングモータコントローラが電気信号によってステッピングモータの動きを駆動する方法は以下のとおりである。ステッピングモータコントローラが受信した速度信号値が前回受信した速度信号値より大きい場合、ステッピングモータは正回転し、第1ガイドロッド及び第1磁石は右へ移動し、強い磁力の作用で、第2ガイドロッド、第2磁石及びリングもそれに伴って右へ移動し、伸縮延長管が空洞内で水平に右へ移動するように駆動し、伸縮管の長さが増加し、ステッピングモータコントローラが受信した速度信号値が前回受信した速度信号値より小さい場合、ステッピングモータは逆回転し、第1ガイドロッド及び第1磁石は左へ移動し、強い磁力の作用で、第2ガイドロッド、第2磁石及びリングもそれに伴って左へ移動し、伸縮延長管が空洞内で水平に左へ移動するように駆動し、伸縮管の長さが減少する。
【0019】
本発明の制御原理は以下のとおりである。伝達損失の計算式は以下に示す通りである。
【数1】
右側の共鳴空洞内の弾性伸縮延長管の長さを変えることにより、共通バッフルの開孔箇所の気流の噴射軌跡と強度を変え、伝達損失をさらに増加させ、伝達損失が増加する時、上記の式から分かるように、入射平面波の音圧が変わらない時、上流と下流の伝送波の音圧が低下し、即ち消音効果を向上させ、この時、音場の圧力変動により火炎を乱す能力が弱まり、さらに渦停留型燃焼器の火炎安定性を向上させる。
【発明の効果】
【0020】
有利な効果:本発明は従来技術に比べて、以下の顕著な利点を有する。本発明では、音速受信機がメインパイプ内の気流速度を測定することにより、歯車伝動システムにおける磁石の動き方向を変え、さらに右側の共鳴空洞内の弾性伸縮延長管の長さを変え、これにより共通バッフルの開孔箇所の気流の噴射軌跡と強度を変え、伝達損失をさらに増加させ、即ち消音効果を向上させ、この時、音場の圧力変動により火炎を乱す能力が弱まり、渦停留型燃焼器の火炎安定性を向上させ、同時に信号制御システムによって弾性伸縮延長管の長さを能動的に調整し、さらに消音帯域を広げる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の構造概略図である。
図2図2は、本発明の歯車伝動システムの部分拡大図である。
図3図3は、第2空洞の頂部外側の部分拡大図である。
図4図4は、第2空洞の内側の部分拡大図である。
図5図5は、本発明のバッフルの構造概略図である。
図6図6は、本発明の第2空洞内に延長管がない場合の気流噴射軌跡を示す図である。
図7図7は、本発明の第2空洞内に延長管がある場合の気流噴射軌跡を示す図である。
図8図8は、本発明の第2空洞内に延長管がある場合及び延長管がない場合の伝達損失を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面及び実施例を参照して本発明をさらに説明する。
【0023】
図1~5に示すように、本発明は、二重空洞結合のヘルムホルツ消音器及び制御方法を提供し、メインパイプ1、ネック部短管2、共鳴空洞3、制御システム、歯車伝動システム及び伸縮延長管アセンブリを含み、共鳴空洞3内にバッフル4が設置され、共鳴空洞3を第1空洞31及び第2空洞32に分割し、ネック部短管2は2つ設置され、それぞれ第1空洞31及び第2空洞32をメインパイプ1に連通させ、かつ三者は良好に密封され、伸縮延長管アセンブリは第2空洞32内に設置され、第1空洞31及び第2空洞32は横方向に配置された2つの円柱体であり、第2空洞32の体積は第1空洞31の体積より大きい。
【0024】
伸縮延長管アセンブリは伸縮管6、第1ガイドロッド17及び第2ガイドロッド9を含み、伸縮管6の底部はバッフル4に固定され、伸縮管6の伸縮方向はバッフル4に垂直であり、バッフル4には垂直方向に沿って開いた長孔5が設けられ、長孔5の中心はバッフル4の中心と重なり合い、伸縮管6は長孔5に固定され、伸縮管6は長孔5の中心と重なり合い、伸縮管6と共鳴空洞3の両側の内壁との間の距離は等しく、伸縮管6は一定の範囲内に曲がらず、直線方向に左右に弾性移動することができ、かつ横断面積は基本的に変わらず、伸縮管6の頂部はリング7を介して第2ガイドロッド17に接続され、リング7の内径は伸縮管6の直径と同じであり、第1ガイドロッド9の一端は歯車伝動システムに接続され、第1ガイドロッド9及び第2ガイドロッド17はそれぞれ共鳴空洞3の外壁及び内壁まで延長し、第1ガイドロッド9及び第2ガイドロッド17と共鳴空洞3との接触端には互いに吸引する第1磁石20及び第2磁石18が設けられ、共鳴空洞の外壁には第1磁石20を移動させるための第1係止溝8が設けられ、共鳴空洞の内壁には第2磁石18を移動させるための第2係止溝19が設けられる。
【0025】
制御システムは音速受信機12、増幅器13、信号変換器14、ステッピングモータコントローラ15及びステッピングモータ16を含み、音速受信機12はメインパイプの上流に位置し、音速受信機12、増幅器13、信号変換器14、ステッピングモータコントローラ15及びステッピングモータ16は順次信号接続され、音速受信機12はMidas SVP型番を使用し、増幅器13はATA-3090型番を使用し、信号変換器14はMXT2001型番を使用し、ステッピングモータコントローラ15はZBLD.C10-200L型番を使用し、ステッピングモータ16は20BYG250-33型番を使用し、音速受信機12は信号制御システムの入力端であり、音速受信機12によってメインパイプ1内の気流速度を測定することができ、ステッピングモータ16は信号制御システムの出力端であり、ステッピングモータ16は駆動歯車11の回転を駆動することができる。
【0026】
歯車伝動システムは互いに噛み合う駆動歯車11及び従動歯車10を含み、駆動歯車11の回転軸は制御システムのステッピングモータ15の出力軸に接続され、伸縮延長管アセンブリの第1ガイドロッド9の端部は従動歯車10に接続され、駆動歯車11が従動歯車10の動きを牽引する時、従動歯車10は第1ガイドロッド9及びその端部の第1磁石20を駆動して共鳴空洞の外壁に沿って移動させ、強い磁力の作用で、第1磁石20の下方の第2磁石18もそれに伴って左右に移動し、さらにリング7及び伸縮管6は水平方向に左右に移動し、右側の共鳴空洞内の弾性伸縮延長管6の長さを変えることにより、消音効果を向上させ、消音帯域を広げ、さらに渦停留型燃焼器内の火炎安定性を向上させる。
【0027】
具体的な使用過程は以下のとおりである。
【0028】
音速受信機12はメインパイプ1内の気流速度を測定し、増幅器13は速度信号をさらに増幅し、続いて信号を信号変換器14に伝送するステップ1。
【0029】
信号変換器14は気流速度信号を電気信号に変換し、続いて対応する電気信号をステッピングモータコントローラ15に伝送するステップ2。
【0030】
ステッピングモータコントローラ15は電気信号によってステッピングモータ16の動きを駆動し、続いてステッピングモータ16は歯車伝動システムの第1ガイドロッド9及び第1磁石20が左右に移動するように駆動し、強い磁力の作用で、第1磁石20の下方の第2磁石18及びリング7もそれに伴って左右に移動するステップ3。
【0031】
第2磁石18及びリング7は伸縮管6を駆動して水平方向に左右に移動させ、右側の共鳴空洞内の弾性伸縮延長管6の長さを変えることにより、消音効果を向上させ、消音帯域を広げ、さらに渦停留型燃焼器内の火炎安定性を向上させるステップ4。
【0032】
シミュレーションにより図6~8に示す結果が得られる。図6は、伸縮管の長さが0cmであり、即ち伸縮管を増加させない時の共通バッフルの開孔箇所の気流の噴射軌跡と強度図を示し、図7は、伸縮管の長さが8cmである時のバッフルの開孔箇所の気流の噴射軌跡と強度図を示し、長さによって得られた噴射軌跡と強度図は最も顕著であり、図6及び図7から分かるように、結合された共鳴空洞内に8cmの弾性伸縮延伸管を増加させることによって得られた気流の噴射軌跡と強度は、伸縮延伸管を増加させない時に得られた気流の噴射軌跡と強度より明らかに優れる。図8に示すように、最適化する前の二重空洞結合モデルは伸縮延長管を増加させないことを示し、最適化した後の二重空洞結合モデルは長さ8cmの伸縮延長管を増加させることを示すことにより以下のことを発見しやすい。即ち、8cmの伸縮延長管を増加させるため、以上の分析から分かるように、得られた気流噴射軌跡と強度を大幅に向上させ、さらに伝達損失を大幅に増加させ、入射平面波の音圧が変わらない場合、上流と下流の伝送波の音圧が低下し、即ち消音効果を向上させ、この時、音場の圧力変動により火炎を乱す能力が弱まり、さらに渦停留型燃焼器の火炎安定性を向上させ、同時に信号制御システムによって弾性伸縮延長管の長さを能動的に調整し、さらに消音帯域を広げ、それにより本発明の目的を実現する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8