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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176922
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】給液式スクリュー圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/16 20060101AFI20231206BHJP
   F04C 29/02 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
F04C18/16 Q
F04C29/02 311G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089509
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】千葉 紘太郎
(72)【発明者】
【氏名】頼金 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】森田 謙次
(72)【発明者】
【氏名】梶江 雄太
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129AA16
3H129AB01
3H129BB03
3H129BB43
3H129CC32
(57)【要約】
【課題】ケーシングの外面側に開口部を設けることなくケーシングの壁部内に旋回室を形成することが可能な給液式スクリュー圧縮機を提供する。
【解決手段】スクリュー圧縮機1は、スクリューロータ2、3を収容する収容室40に液体を供給する給液機構60を有するケーシング4を備える。給液機構60は、収容室40に開口する噴射孔62、噴射孔62の上流に位置する旋回室63、旋回室63に液体を導入する導入路64を有する。ケーシング4は、収容室40を横切る面などを分割面P1として分割された第1及び第2のケーシングセグメント51、52を含む。旋回室63は、第1及び第2のケーシングセグメント51、52の少なくとも一方の接合面521に開口する凹部522によって構成されている。導入路64は、第1及び第2のケーシングセグメント51、52の他方の接合面511に開口する穴部512などによって構成される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の周りに回転可能なスクリューロータと、
前記スクリューロータを収容する収容室を内部に有すると共に、外部からの液体を前記収容室に供給するための給液機構を壁部内に有するケーシングとを備え、
前記給液機構は、
前記収容室に開口し、中心線に沿って延びる噴射孔と、
前記噴射孔の上流に位置し、前記噴射孔の前記中心線と同じ方向に延びる軸回りに旋回する旋回流を生成する旋回室と、
外部からの液体を前記中心線の周方向に沿うように前記旋回室に導入する導入路とを有し、
前記ケーシングは、前記収容室を横切る面又は前記スクリューロータの前記軸線を含む面を分割面として分割され、互いに接合された第1のケーシングセグメントと第2のケーシングセグメントとを含み、
前記旋回室は、前記第1のケーシングセグメント及び前記第2のケーシングセグメントのうちの一方又は両方のケーシングセグメントの接合面において前記収容室の壁面から離れた位置で開口するように設けられた凹部によって構成され、
前記導入路は、前記第1のケーシングセグメント及び前記第2のケーシングセグメントのうちの他方のケーシングセグメントの接合面に開口するように設けられた穴部、又は、前記凹部を有するケーシングセグメントの接合面側に向かって前記凹部に開口するように設けられた穴部によって構成されている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記凹部は、前記一方のケーシングセグメントのみに設けられている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項3】
請求項2に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記穴部は、前記他方のケーシングセグメントの接合面において前記一方のケーシングセグメントの前記凹部に接続される位置で開口するよう前記他方のケーシングセグメントに設けられている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項4】
請求項2に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記穴部は、前記一方のケーシングセグメントの接合面側に向かって前記凹部に開口するように前記一方のケーシングセグメントに設けられている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項5】
請求項1に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記凹部は、
前記第1のケーシングセグメントの第1接合面に開口するように前記第1のケーシングセグメントに設けられた第1凹部と、
前記第2のケーシングセグメントの第2接合面において前記第1のケーシングセグメントの前記第1凹部に接続される位置で開口するように前記第2のケーシングセグメントに設けられた第2凹部とを有している
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項6】
請求項5に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記第1凹部及び前記第2凹部は、それらの底部が円弧面である半円柱状の空間として形成されている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項7】
請求項5に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記穴部は、前記第1のケーシングセグメントの前記第1接合面における前記第2凹部に接続される位置又は前記第2のケーシングセグメントの前記第2接合面における前記第1凹部に接続される位置で開口するように構成されている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項8】
請求項7に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記穴部は、前記第1のケーシングセグメントの前記第1接合面における前記第1凹部の開口部に隣接する位置又は前記第2のケーシングセグメントの前記第2接合面における前記第2凹部の開口部に隣接する位置で開口するように構成さている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項9】
請求項5に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記穴部は、前記第1のケーシングセグメントの前記第1接合面側に向かって前記第1凹部に開口するように前記第1のケーシングセグメントに設けられているか、又は、前記第2のケーシングセグメントの前記第2接合面側に向かって前記第2凹部に開口するように前記第2のケーシングセグメントに設けられている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項10】
請求項9に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記第1のケーシングセグメントの前記第1凹部と前記第2のケーシングセグメントの前記第2凹部は、前記分割面を対称面とする面対称の関係を有している
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項11】
請求項5に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記第1のケーシングセグメントは、前記第1凹部と前記収容室とを接続するように前記第1接合面に設けられた第1溝部を有し、
前記第2のケーシングセグメントは、前記第2接合面における前記第1のケーシングセグメントの前記第1溝部に対応する位置に設けられ、前記第2凹部と前記収容室とを接続する第2溝部を有し、
前記噴射孔は、前記第1のケーシングセグメントの前記第1溝部と前記第2のケーシングセグメントの前記第2溝部との組合せによって構成されている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【請求項12】
請求項5に記載の給液式スクリュー圧縮機において、
前記噴射孔は、前記第1のケーシングセグメントの前記第1凹部と前記収容室とを連通させるように前記第1のケーシングセグメントに設けられた連通孔、又は、前記第2のケーシングセグメントの前記第2凹部と前記収容室とを連通させるように前記第2のケーシングセグメントに設けられた連通孔によって構成されている
ことを特徴とする給液式スクリュー圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機の外部から内部に液体が供給される給液式のスクリュー圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュー圧縮機は、捩じれた歯(ローブ)を有するスクリューロータと、スクリューロータを収容するケーシングとを備えており、スクリューロータの歯とケーシングの内壁面とによって形成される作動室の容積がスクリューロータの回転に伴い増減することで気体を圧縮するものである。スクリュー圧縮機の中には、圧縮機内部の作動室に対して油や水などの液体を供給する給液式のものがある。圧縮機内部に供給された液体は、作動室内の圧縮気体の冷却、スクリューロータとケーシングとの間に生じる内部隙間の封止、スクリューロータの潤滑などの役割を担っている。
【0003】
給液式のスクリュー圧縮機として、例えば、作動室内に液体を微粒化させて供給するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のスクリュー圧縮機は、ハウシング(ケーシング)に設けた潤滑液通路から潤滑液ポートを介してハウシング内の圧縮室(作動室)に潤滑液を供給するように構成されている。潤滑液通路は、潤滑液ポートの中心線からずれるように延びて導入路を介して潤滑液ポートに接続されており、潤滑液ポート(旋回室)に対して接線方向に潤滑液が流入するように構成されている。このような構成によって、潤滑液ポート(旋回室)内では潤滑液の旋回流が生成される。潤滑液ポート(旋回室)で生成された旋回流の潤滑液は、放出オリフィスを介して圧縮室へ噴射されることで微粒液滴化して作動室内に拡散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/1234567号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のスクリュー圧縮機においては、ドリルやミルなどを用いてハウジングの壁部を外面側から穿孔することで、旋回室としての潤滑液ポートを形成している。そのため、潤滑液ポートの一方端(ハウジングの外面側の開口部)には、潤滑液ポート(旋回室)からハウジング外部への潤滑液の漏洩を封止するためのプラグが配置されている。
【0006】
特許文献1に記載のような方法により旋回室が形成される場合には、複数の旋回室を設けると、ハウジング(ケーシング)の外面側に複数の開口部が形成されてしまう。このような構造の場合、複数の開口部のそれぞれに対してプラグなどの封止部材が必要となるので、部品点数が増えてしまうと共に、封止部材を開口部に取り付けるための加工工数が増えてしまう。さらに、複数の旋回室に応じてハウジング(ケーシング)の外面側に多数の開口部が存在すると、その分、圧縮機外部への液体の漏洩の可能性が増えてしまうと共に、封止部材の不具合(封止部材からの液体の漏洩)の有無を確認する点検箇所が増えてしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、ケーシングの外面側に開口部を設けることなくケーシングの壁部内に旋回室を形成することが可能な給液式スクリュー圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、上記課題を解決する手段として、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。その一例を挙げるならば、軸線の周りに回転可能なスクリューロータと、前記スクリューロータを収容する収容室を内部に有すると共に、外部からの液体を前記収容室に供給するための給液機構を壁部内に有するケーシングとを備え、前記給液機構は、前記収容室に開口し、中心線に沿って延びる噴射孔と、前記噴射孔の上流に位置し、前記噴射孔の前記中心線と同じ方向に延びる軸回りに旋回する旋回流を生成する旋回室と、外部からの液体を前記中心線の周方向に沿うように前記旋回室に導入する導入路とを有し、前記ケーシングは、前記収容室を横切る面又は前記スクリューロータの前記軸線を含む面を分割面として分割され、互いに接合された第1のケーシングセグメントと第2のケーシングセグメントとを含み、前記旋回室は、前記第1のケーシングセグメント及び前記第2のケーシングセグメントのうちの一方又は両方のケーシングセグメントの接合面において前記収容室の壁面から離れた位置で開口するように設けられた凹部によって構成され、前記導入路は、前記第1のケーシングセグメント及び前記第2のケーシングセグメントのうちの他方のケーシングセグメントの接合面に開口するように設けられた穴部、又は、前記凹部を有するケーシングセグメントの接合面側に向かって前記凹部に開口するように設けられた穴部によって構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1及び第2のケーシングセグメントのうちの一方又は両方の接合面に開口する凹部が旋回室を構成すると共に、第1及び第2のケーシングセグメントのうちの他方の接合面に開口する穴部又は凹部に開口する穴部が導入路を構成することで、ケーシングセグメントの接合面から旋回室及び導入路を加工することが可能となるので、ケーシングの外面側に開口部を設けることなくケーシングの壁部内に旋回室を形成することができる。
なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の概略構成を示す縦断面図及び当該スクリュー圧縮機に対する給液の外部経路を示す系統図である。
図2図1に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機をII-II矢視から見た断面図である。
図3図1に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機をIII-III矢視から見た断面図である。
図4図3に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の給液機構をIV-IV矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。
図5図3に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の給液機構をV-V矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
図6】第1の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構の構造を図1に示すIII-III矢視と同じ方向から見た断面図である。
図7図6に示す第1の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をVII-VII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。
図8図6に示す第1の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をVIII-VIII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機の概略構成を示す縦断面図である。
図10図9に示す第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機をX-X矢視から見た断面図である。
図11図10に示す第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXI-XI矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。
図12図10に示す第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXII-XII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
図13】第2の実施形態の第1変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構の構造を図9に示すX-X矢視と同じ方向から見た断面図である。
図14図13に示す第2の実施形態の第1変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXIV-XIV矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。
図15図13に示す第2の実施形態の第1変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXV-XV矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
図16】第2の実施形態の第2変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構の構造を図9に示すX-X矢視と同じ方向から見た断面図である。
図17図16に示す第2の実施形態の第2変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXVII-XVII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。
図18図16に示す第2の実施形態の第2変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXVIII-XVIII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
図19】第2の実施形態の第3変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構の構造を図9に示すX-X矢視と同じ方向から見た断面図である。
図20図19に示す第2の実施形態の第3変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXX-XX矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。
図21図19に示す第2の実施形態の第3変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXXI-XXI矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
図22】本発明の第3の実施形態に係るスクリュー圧縮機の概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるスクリュー圧縮機の実施形態について図面を用いて例示説明する。本説明では、ツインロータ型のスクリュー圧縮機を例に説明する。しかし、シングルロータ型のスクリュー圧縮機にも本発明を適用することが可能である。
【0012】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の構成を図1及び図2を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の概略構成を示す縦断面図及び当該スクリュー圧縮機に対する給液の外部経路を示す系統図である。図2図1に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機をII-II矢視から見た断面図である。図1中、左側がスクリュー圧縮機の吸込側、右側が吐出側である。ここで、「吸込側」はスクリュー圧縮機の軸方向における気体を吸い込む側を示し、「吐出側」はスクリュー圧縮機の軸方向における気体を吐出する側を示す。図2中、太い矢印はスクリューロータの回転方向を示している。
【0013】
図1において、給液式スクリュー圧縮機1(以下、スクリュー圧縮機という)は、外部から圧縮機内部に液体(例えば、油や水)が供給されるものであり、吐出する圧縮気体には供給された液体が混入している。スクリュー圧縮機1には、外部給液系統100が接続されている。外部給液系統100は、例えば、気液分離器101、液体冷却器102、補機103及びそれらを接続する管路104などで構成されており、スクリュー圧縮機1に対して液体を供給する。気液分離器101は、スクリュー圧縮機1から吐出された圧縮気体に含まれる液体を圧縮気体から分離して回収するものである。液体冷却器102は、気液分離器101で分離された液体を冷却するものである。補機103は、気液分離器101で分離された液体に含まれる不純物をろ過するフィルタや当該液体の逆流を防止する逆止弁などを含んでいる。
【0014】
図1及び図2において、スクリュー圧縮機1は、互いに噛み合い回転する一対のスクリューロータとしての雄ロータ2及び雌ロータ3と、雄雌両ロータ2、3を回転可能に収容するケーシング4とを備えている。雄ロータ2及び雌ロータ3はそれぞれ、回転軸線A1及び回転軸線A2の周りに回転可能であり、互いの回転軸線A1、A2が平行となるように配置されている。雄ロータ2は、その軸方向(図1中、左右方向)の両側が吸込側軸受11と吐出側軸受12(図1中、2つの軸受で構成)とにより回転可能に支持されており、例えば、回転駆動源であるモータ70に接続されている。雌ロータ3は、その軸方向の両側が吸込側軸受13と吐出側軸受14(後述の図22参照)とにより回転可能に支持されている。
【0015】
雄ロータ2は、捩じれた歯(ローブ)21aを有するロータ歯部21と、ロータ歯部21の軸方向の両側端部にそれぞれ設けられた吸込側シャフト部22及び吐出側シャフト部23とで構成されている。ロータ歯部21は、軸方向の一方端(図1中、左端)及び他方端(図1中、右端)にそれぞれ吸込側端面21b及び吐出側端面21cを有している。ロータ歯部21の複数の歯21a間には歯溝が形成されている。吸込側シャフト部22は、例えば、ケーシング4を貫通しており、回転駆動源70のシャフト部と共通となるように構成されている。雄ロータ2の吸込側シャフト部22には、軸封部材15が配置されている。軸封部材15は、例えば、オイルシールやメカニカルシールである。
【0016】
雌ロータ3は、図2に示すように、捩じれた歯(ローブ)31aを有するロータ歯部31と、ロータ歯部31の軸方向の両側端部にそれぞれ設けられた吸込側シャフト部32(後述の図22参照)及び吐出側シャフト部33とで構成されている。ロータ歯部31は、軸方向の一方端及び他方端にそれぞれ吸込側端面31b及び吐出側端面31c(共に後述の図22参照)を有している。ロータ歯部31の歯31a間には歯溝が形成されている。
【0017】
ケーシング4は、図1及び図2に示すように、雄ロータ2のロータ歯部21及び雌ロータ3のロータ歯部31を互いが噛み合った状態で収容する収容室40を内部に有している。収容室40は、2つの円筒状空間が部分的に重なるように形成されたものであり、雄ロータ2のロータ歯部21を収容する雄側ボア40a及び雌ロータ3のロータ歯部31を収容する雌側ボア40bを有している。収容室40を形成する壁面(ケーシング4の内壁面)は、雄ロータ2のロータ歯部21の径方向外側を覆う略円筒状の雄側周面41と、雌ロータ3のロータ歯部31の径方向外側を覆う略円筒状の雌側周面42と、雄雌両ロータ2、3のロータ歯部21、31の吸込側端面21b、31bに対向する吸込側内壁面43と、雄雌両ロータ2、3のロータ歯部21、31の吐出側端面21c、31cに対向する吐出側内壁面44とを有している。
【0018】
ケーシング4の内壁面(雄側周面41、雌側周面42、吸込側内壁面43、吐出側内壁面44)に対して、雄雌両ロータ2、3のロータ歯部21、31が数十~数百μmの隙間を保って配置されている。収容室40内に収容された雄ロータ2及び雌ロータ3のロータ歯部21、31とそれを取り囲むケーシング4の内壁面とによって複数の作動室Cが形成される。
【0019】
図1に示すように、ケーシング4の軸方向一方側(図1中、左側)には、ケーシング4の外部から作動室Cに気体を導く吸込流路46が設けられている。ケーシング4の軸方向他方側(図1中、右側)には、作動室Cからケーシング4の外部へ圧縮気体を導く吐出流路47が設けられている。吐出流路47は、吐出行程の作動室Cとケーシング4の外部とを連通させるものであり、収容室40に開口する吐出ポート48を有している。吐出流路47は、外部給液系統100に接続されている。
【0020】
本実施の形態のケーシング4は、図1に示すように、雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2に直交する面を分割面P1として分割された吸込側(図1中、左側)の第1のケーシングセグメント51(以下、第1セグメント51と称する)と吐出側(図1中、右側)の第2のケーシングセグメント52(以下、第2セグメント52と称する)とを含んでいる。第1セグメント51と第2セグメント52は、ボルト締結などによって互いに接合されている。第1セグメント51は、分割面P1の位置に第2セグメント52との接合面である第1接合面511を有している。第2セグメント52は、分割面P1の位置に第1セグメント51との接合面である第2接合面521を有している。第1セグメント51における第1接合面511とは反対側の端部には、雄ロータ2側の吸込側軸受11及び雌ロータ3側の吸込側軸受13が配置されており、吸込側軸受11、13を覆うように吸込側カバー53が取り付けられている。第2セグメント52における第2接合面521とは反対側の端部には、雄ロータ2側の吐出側軸受12及び雌ロータ3側の吐出側軸受14が配置されており、吐出側軸受12、14を覆うように吐出側カバー54が取り付けられている。
【0021】
作動室Cには、作動室C内の圧縮気体の冷却、雄ロータ2及び雌ロータ3の潤滑、雄雌両ロータ2、3と収容室40の壁面(ケーシング4の内壁面)との隙間や雄ロータ2と雌ロータ3の噛合部の隙間などのシールを目的として、液体(例えば、油や水)が供給される。ケーシング4は、スクリュー圧縮機1の外部(外部給液系統100)から供給される液体を作動室Cに供給するための給液機構60を壁部内に有している。
【0022】
給液機構60は、図1及び図2に示すように、外部給液系統100(外部)から液体が供給される給液通路61と、収容室40に開口する複数の噴射孔62と、各噴射孔62の上流に位置する旋回室63と、給液通路61に供給された液体を旋回室63に導入する導入路64とを備えている。給液通路61は、ケーシング4の外面側に設けられた開口部であって外部給液系統100の管路104に接続される入口部を有している。複数の噴射孔62は、例えば図2に示すように、雄側ボア40a(雄側周面41)及び雌側ボア40b(雌側周面42)における作動室Cが圧縮行程となる領域に開口するように構成されており、作動室Cに向かって液体を噴射するものである。旋回室63は、導入路64から導入された液体に対して、噴射孔の延在方向と同じ方向に延びる旋回軸の周りに旋回する旋回流を生成するように構成されたものであり、旋回流の液体を噴射孔62に供給する。導入路64は、給液通路61の下流側に接続された流路であり、旋回室63の周方向に沿うように液体を導入するように構成されている。
【0023】
本実施の形態においては、ケーシング4における第1セグメント51の第1接合面511と第2セグメント52の第2接合面521とが接合されることで、旋回室63が形成されると共に、旋回室63に導入路64が接続されるように構成されている。なお、給液機構60の構造の詳細は後述する。
【0024】
上述のように構成されたスクリュー圧縮機1においては、図1に示す回転駆動源70が雄ロータ2を駆動することで、図2に示す雌ロータ3が回転駆動される。これにより、図1に示す作動室Cが雄雌両ロータ2、3の回転に伴って軸方向に移動する。このとき、作動室Cは、その容積を増加させることでケーシング4の吸込流路46を介して気体を吸い込み、その容積を縮小させることで気体を所定の圧力まで圧縮する。当該作動室Cが吐出ポート48に連通すると、作動室C内の圧縮気体が吐出ポート48を介して吐出流路47を通過して外部給液系統100の気液分離器101へ吐出される。
【0025】
スクリュー圧縮機1は、給液機構60から作動室Cに対して液体が供給されるものである。このため、スクリュー圧縮機1が吐出した圧縮気体中には液体が混入している。圧縮気体中に含まれる液体は、気液分離器101によって分離される。気液分離器101で液体が除去された圧縮気体は、必要に応じて外部機器へ供給される。一方、気液分離器101で圧縮気体から分離された液体は、外部給液系統100の液体冷却器102によって冷却された後、補機103を介して再びケーシング4の給液機構60に供給される。なお、外部給液系統100によるスクリュー圧縮機1への液体供給は、ポンプ等の動力源を用いることなく、気液分離器101内に流入する圧縮気体の圧力を駆動源として行うことが可能である。
【0026】
外部給液系統100から給液機構60に供給された液体は、給液通路61から導入路64を介して旋回室63に流入する。旋回室63で生成された旋回流の液体は、噴射孔62から収容室40内の作動室Cに向かって噴射される。噴射孔62の出口から噴射された液体は、旋回流の遠心力によって傘状の液膜を形成し、液膜の先端が液糸に分裂する。その後、液糸が複数の液滴へと分裂することで、微細の液滴が生成される。微粒化した液体が作動室Cに拡散されると、微粒化した液体と作動室C内の圧縮気体との伝熱領域が大きくなる。また、微粒化した液体は全体の表面積が増加するので、その分、微粒化した液体と作動室C内の圧縮気体との熱交換面積が大きくなる。したがって、作動室C内の圧縮気体の冷却が促進され、その結果、スクリュー圧縮機1の駆動動力が低減される。
【0027】
次に、第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の給液機構の構造を図1図5を用いて説明する。図3図1に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機をIII-III矢視から見た断面図である。図4図3に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の給液機構をIV-IV矢視から見たときのケーシングセグメントの一方側(第2セグメント)の接合面の構造を示す図である。図5図3に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の給液機構をV-V矢視から見たときのケーシングセグメントの他方側(第1セグメント)の接合面の構造を示す図である。
【0028】
給液機構60の噴射孔62は、図3及び図4に示すように、中心線621に沿って延びて収容室40に開口するように構成されており、例えば、丸穴である。図3中、断面には現れない噴射孔62を当該断面に投影して二点鎖線で示している。図4中、第2セグメント52の第2接合面521には現れない噴射孔62を破線で示している。噴射孔62は、延在方向の一方端にケーシング4の収容室40(ケーシング4の内壁面としての雄側周面41又は雌側周面42に開口する噴射口622を有すると共に、延在方向の他方端に旋回室63に開口する接続口623を有している。なお、噴射孔62の横断面形状は、旋回室63から導入される旋回流を維持可能であるならば、任意である。
【0029】
旋回室63は、噴射孔62の中心線621と略同じ方向に延びる軸回りに旋回する旋回流を生成するものである。具体的には、旋回室63は、図3及び図4に示すように、噴射孔62の中心線621に直交する断面形状が略矩形であり、噴射孔62の中心線621の延びる方向と略同じ方向に延びる略直方体状の空間として形成されている。旋回室63は、噴射孔62の穴径に比べて充分に大きく形成されている。旋回室63を形成する壁面は、噴射孔62の延在方向に並んで対向する第1底面631及び第2底面632と、第1底面631の周縁と第2底面632の周縁とを繋ぐ周壁633とを有している。第1底面631及び第2底面632のうちの収容室40に近い第1底面631には、噴射孔62の接続口623が開口している。旋回室63の4つの隅部のうち、導入路64が接続される部分の隅部を除いた3つの隅部は、曲面633aとして形成されている。旋回室63の周壁633における隅部の曲面633aは、旋回流を阻害しないためのものである。なお、図4中、第2セグメント52の第2接合面521には現れない旋回室63の周壁633の部分を破線で示している。
【0030】
導入路64は、図3図5に示すように、中心線641に沿って延びて旋回室63に接続されるように構成されており、例えば、丸穴である。導入路64は、中心線641が噴射孔62の中心線621に対して交差せずにずれるように旋回室63に接続され、旋回室63の周方向に沿って液体が導入されるように構成されている。導入路64は、例えば、導入口642が旋回室63の周壁633の隅部の位置に開口するように接続されている。
【0031】
前述したように、本実施の形態においては、ケーシング4における第1セグメント51の第1接合面511と第2セグメント52の第2接合面521とが接合されることで、旋回室63が形成されると共に、旋回室63に導入路64が接続されるように構成されている。
【0032】
具体的には、図3及び図4に示すように、第2セグメント52の第2接合面521には、旋回室63として機能する凹部522が設けられている。凹部522は、収容室40の壁面(雄側周面41又は雌側周面42)から離れた位置で第2接合面521に開口している。また、第2セグメント52には、噴射孔62として機能する連通孔523が設けられている。連通孔523は、第2セグメント52の凹部522と収容室40とを連通させるものであり、第2接合面521から離れた位置に設けられている。凹部522の側壁のうち、連通孔523が開口する側壁とそれに対向する側壁は、旋回室63の第1底面631及び第2底面632になる。凹部522の残りの側壁及び底部が旋回室63の周壁633の一部分になる。なお、図4中、第2セグメント52の第2接合面521に対向する第1セグメント51の第1接合面511に現れる導入路64(穴部512)に対応する位置を二点鎖線で示している。
【0033】
第1セグメント51には、図3及び図5に示すように、導入路64として機能する穴部512が設けられている。第1セグメント51の第1接合面511には、穴部512(導入路64の導入口642)が開口している。第1セグメント51の第1接合面511における穴部512の開口部は、図4に示すように、第2セグメント52の第2接合面521における凹部522の開口部と重なる位置に形成されている。すなわち、穴部512は、第1セグメント51の第1接合面511において第2セグメント52の凹部522に接続される位置で開口している。第1セグメント51の穴部512(導入路64)は、例えば、第1セグメント51の第1接合面511への法線方向の投影領域が連通孔523(噴射孔62)に重ならない位置で第2セグメント52の凹部522(旋回室63)に接続されるように形成されている。なお、図5中、第1セグメント51の第1接合面511に対向する第2セグメント52の第2接合面521に現れる凹部522の開口部に対応する位置を二点鎖線で示している。
【0034】
本実施の形態においては、第2セグメント52の凹部522は、第2セグメント52の第2接合面521からの機械加工によって形成することが可能である。第2セグメント52の連通孔523(噴射孔62)は、第2セグメント52における収容室40の壁面(雄側周面41又は雌側周面42)からの機械加工によって形成することが可能である。同様に、第1セグメント51の穴部512(導入路64)は、第1セグメント51の第1接合面511からの機械加工によって形成することが可能である。
【0035】
第1セグメント51の第1接合面511と第2セグメント52の第2接合面521とが接合されると、第1セグメント51の第1接合面511における穴部512の開口(導入路64の導入口642)が第2セグメント52の第2接合面521における凹部522の開口部に接続されると共に、第2セグメント52の第2接合面521における凹部522の開口部が第1セグメント51の第1接合面511によって閉塞される。これにより、噴射孔62との接続位置からずれるように導入路64が接続された旋回室63が形成される。この構成では、図5に示すように、第1セグメント51の第1接合面511の一部が旋回室63の周壁633の一部となる。
【0036】
このように、本実施の形態においては、収容室40を加工するために分割されたケーシング4の接合面を利用して旋回室63を形成することで、ケーシング4の外面側から穿孔することなく旋回室63を形成することが可能である。すなわち、ケーシング4の外面側にシール部材を要する開口部を設けることなく旋回室63が形成される構造になっている。
【0037】
なお、第1の実施形態においては、給液機構60の噴射孔62及び旋回室63として機能する連通孔523及び凹部522を第2セグメント52に設けると共に、給液機構60の導入路64として機能する穴部512を第1セグメント51に設けた構成の例を示した。しかし、逆に、給液機構60の噴射孔62及び旋回室63として機能する連通孔及び凹部を第1セグメント51に設けると共に、給液機構60の導入路64として機能する穴部を第2セグメント52に設ける構成も可能である。
【0038】
[第1の実施形態の変形例]
次に、第1の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機について図6図8を用いて説明する。図6図8において、図1図5に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。図6は第1の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構の構造を図1に示すIII-III矢視と同じ方向から見た断面図である。図7図6に示す第1の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をVII-VII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。図8図6に示す第1の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をVIII-VIII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
【0039】
図6に示す第1の実施形態の変形例の給液機構60Aが第1の実施形態の給液機構60(図3参照)と異なる点は、旋回室63Aとして機能する凹部513及び噴射孔62Aとして機能する連通孔514が第2セグメント52側ではなく第1セグメント51側に形成されていること及び導入路64Aとして機能する穴部512Aが第1セグメント51の第1接合面511でなく凹部513に開口することである。
【0040】
具体的には、図6及び図8に示すように、第1セグメント51の第1接合面511には、旋回室63Aとして機能する凹部513が設けられている。凹部513は、収容室40の壁面(雄側周面41又は雌側周面42)から離れた位置で第1接合面511に開口している。また、第1セグメント51には、噴射孔62Aとして機能する連通孔514が設けられている。連通孔514は、第1セグメント51の凹部513と収容室40とを連通させるものであり、第1接合面511から離れた位置に設けられている。凹部513の側壁のうち、連通孔514が開口する側壁とそれに対向する側壁は、旋回室63Aの第1底面631及び第2底面632になる。凹部513の残りの側壁及び底部が旋回室63Aの周壁633の一部分になる。
【0041】
また、第1セグメント51には、第1の実施形態の場合と同様に、導入路64Aとして機能する穴部512Aが設けられている。ただし、穴部512A(導入路64Aの導入口642A)は、第1セグメント51の第1接合面511側に向かって凹部513に開口している。穴部512A(導入路64A)は、例えば、その延在方向への投影領域が連通孔514(噴射孔62A)に重ならない位置で凹部513(旋回室63A)に接続されるように形成されている。一方、第2セグメント52には、図7に示すように、給液機構60Aの構成が全く形成されない。なお、図7中、第2セグメント52の第2接合面521に対向する第1セグメント51の第1接合面511に現れる凹部513の開口部に対応する位置を二点鎖線で示している。
【0042】
本変形例においては、第1セグメント51の凹部513及び穴部512Aは、第1セグメント51の第1接合面511からの機械加工によって形成することが可能である。また、第1セグメント51の連通孔514(噴射孔62A)は、第1セグメント51における収容室40の壁面(雄側周面41又は雌側周面42)からの機械加工によって形成することが可能である。
【0043】
第1セグメント51の第1接合面511と第2セグメント52の第2接合面521とが接合されると、第1セグメント51の第1接合面511における凹部513の開口部が第2セグメント52の第2接合面521によって閉塞される。これにより、旋回室63Aが形成される。この構成では、図7に示すように、第2セグメント52の第2接合面521の一部が旋回室63Aの周壁633の一部となる。
【0044】
このように、本変形例においては、収容室40を加工するために分割されたケーシング4の接合面を利用して旋回室63Aを形成することで、ケーシング4の外面側から穿孔することなく旋回室63Aを形成することが可能である。すなわち、ケーシング4の外面側にシール部材を要する開口部を設けることなく旋回室63Aが形成される構造になっている。
【0045】
なお、第1の実施形態の変形例においては、給液機構60Aの噴射孔62A、旋回室63A、導入路64Aとして機能する連通孔514、凹部513、穴部512Aを全て第1セグメント51のみに設けた構成の例を示した。しかし、給液機構60Aの噴射孔62A、旋回室63A、導入路64Aとして機能する連通孔、凹部、穴部を全て第2セグメント52のみに設ける構成も可能である。
【0046】
上述したように、第1の実施形態及びその変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1は、回転軸線A1、A2(軸線)の周りに回転可能なスクリューロータとしての雄ロータ2及び雌ロータ3と、雄ロータ2及び雌ロータ3(スクリューロータ)を収容する収容室40を内部に有すると共に、外部からの液体を収容室40に供給するための給液機構60、60Aを壁部内に有するケーシング4とを備える。給液機構60、60Aは、収容室40に開口し中心線621に沿って延びる噴射孔62、62Aと、噴射孔62、62Aの上流に位置し噴射孔62、62Aの中心線621と同じ方向に延びる軸回りに旋回する旋回流を生成する旋回室63、63Aと、外部からの液体を中心線621の周方向に沿うように旋回室63、63Aに導入する導入路64、64Aとを有する。ケーシング4は、収容室40を横切る面を分割面P1として分割され、互いに接合された第1のケーシングセグメント51と第2のケーシングセグメント52とを含む。旋回室63、63Aは、第1のケーシングセグメント51及び第2のケーシングセグメント52のうちの一方の接合面511、521において収容室40の壁面41、42から離れた位置で開口するように設けられた凹部513、522によって構成されている。導入路64、64Aは、第1のケーシングセグメント51及び第2のケーシングセグメント52のうちの他方のケーシングセグメント51の接合面511に開口するように設けられた穴部512、又は、凹部522を有するケーシングセグメント51の接合面511側に向かって凹部513に開口するように設けられた穴部512Aによって構成されている。
【0047】
この構成によれば、第1及び第2のケーシングセグメント51、52のうちの一方の接合面511、521に開口する凹部513、522が旋回室63、63Aを構成すると共に第1及び第2のケーシングセグメント51、52のうちの他方の接合面511に開口する穴部512又は凹部522に開口する穴部512Aが導入路64、64Aを構成することで、ケーシングセグメント51、52の接合面511、521から旋回室63、63A及び導入路64、64Aを加工することが可能となるので、ケーシング4の外面側に開口部を設けることなくケーシング4の壁部内に旋回室63、63Aを形成することができる。
【0048】
このため、ケーシング4外部への液体漏洩の可能性を排除できるだけでなく、開口部に取り付けるシール部材およびそのシール部材を取り付けるための加工が不要になる。これにより、スクリュー圧縮機1の製造工数が削減される。また、スクリュー圧縮機1の定期点検の際の、液体漏洩の点検箇所を減らすことが可能になる。
【0049】
また、第1の実施形態及びその変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、凹部513、522が第1のケーシングセグメント51及び第2のケーシングセグメント52のうちの一方のみに設けられている。
【0050】
この構成によれば、第1及び第2のケーシングセグメント51、52のうちの一方のみを加工することで旋回室63、63を形成することができるので、旋回室63、63の加工工数を少なくすることができる。
【0051】
また、第1の実施形態に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、穴部512が第1のケーシングセグメント51(他方のケーシングセグメント)の接合面511において第2のケーシングセグメント52(一方のケーシングセグメント)の凹部522に接続される位置で開口するように第1のケーシングセグメント51(他方のケーシングセグメント)に設けられている。
【0052】
この構成によれば、第1のケーシングセグメント51(他方のケーシングセグメント)の接合面511をドリルなどで加工することで導入路64として機能する穴部512を形成することができるので、導入路64の加工が容易である。
【0053】
また、第1の実施形態の変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、穴部512Aが第1のケーシングセグメント51(一方のケーシングセグメント)の接合面511側に向かって凹部513に開口するように第1のケーシングセグメント51(一方のケーシングセグメント)に設けられている。
【0054】
この構成によれば、給液機構60Aの旋回室63A及び導入路64Aとして機能する凹部513及び穴部512Aを第1セグメント51のみに形成するので、凹部513と穴部512Aを異なるケーシングセグメントに形成する場合よりも、第1セグメント51凹部513及び穴部512Aの加工の際にケーシングセグメント51の加工装置への設置の手間が少なくなる。
【0055】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機について図9図12を用いて説明する。図9図12において、図1図8に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。図9は本発明の第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機の概略構成を示す縦断面図である。図10図9に示す第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機をX-X矢視から見た断面図である。図11図10に示す第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXI-XI矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。図12図10に示す第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXII-XII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
【0056】
図9及び図10に示す第2の実施形態のスクリュー圧縮機1の給液機構60Bが第1の実施形態のスクリュー圧縮機1の給液機構60(図1及び図3参照)と異なる点は、ケーシング4の分割面P1に対する給液機構60Bの噴射孔62B及び旋回室63Bの位置が異なること及び旋回室63Bの形状が異なることである。給液機構60Bの噴射孔62B及び旋回室63Bは、ケーシング4の分割面P1の両側に形成されている。旋回室63Bは、半円柱状の空間を組み合わせた形状に構成されている。
【0057】
具体的には、図10及び図11に示すように、第2セグメント52の第2接合面521には、旋回室63Bの一部を構成する第2凹部522Bが設けられていると共に、第2凹部522Bと収容室40とを接続する第2溝部523Bが設けられている。第2凹部522Bは、収容室40の壁面(雄側周面41又は雌側周面42)から離れた位置で第2接合面521に開口している。第2凹部522Bは、例えば、その底部側が円弧面であると共にその開口部が略矩形状である半円柱状の空間として形成されている。第2凹部522Bは、例えば、その開口部が第1セグメント51の第1接合面511における後述の第1凹部513Bの開口部及び穴部512の開口部と重なるように形成されている。第2溝部523Bは、噴射孔62Bの一部を構成するものであり、第1セグメント51の第1接合面511の後述の第1溝部514Bに対応する位置に設けられている。第2凹部522Bの対向する側壁が旋回室63Bの第1底面631の一部及び第2底面632の一部になる。第2凹部522Bにおける底部側の半円筒面が旋回室63の周壁633の一部になる。なお、図11中、第2セグメント52の第2接合面521に対向する第1セグメント51の第1接合面511に現れる後述の第1凹部513B及び穴部512(導入路64)に対応する位置を二点鎖線で示している。
【0058】
第1セグメント51の第1接合面511には、図10及び図12に示すように、旋回室63Bの一部を構成する第1凹部513Bが設けられていると共に、第1凹部513Bと収容室40とを接続する第1溝部514Bが設けられている。第1凹部513Bは、収容室40の壁面(雄側周面41又は雌側周面42)から離れた位置で第1接合面511に開口している。第1凹部513Bは、例えば、その底部側が円弧面であると共にその開口部が略矩形状である半円柱状の空間として形成されている。第1凹部513Bは、例えば、第2凹部522Bの半円筒状空間よりも径が小さくなるように構成されており、その開口部が第2セグメント52の第2接合面521における第2凹部522Bの開口部の大部分と重なる位置に形成されている。第1溝部514Bは、噴射孔62Bの一部を構成するものであり、第2セグメント52の第2接合面521の第2溝部523Bに対応する位置に設けられている。第1凹部513Bの対向する側壁が旋回室63Bの第1底面631の一部及び第2底面632の一部になる。第1凹部513Bにおける底部側の半円筒面が旋回室63の周壁633の一部になる。
【0059】
また、第1セグメント51の第1接合面511には、第1の実施形態と同様に、穴部512(導入路64の導入口642)が開口している。穴部512は、第1セグメント51の第1接合面511において第1凹部513Bの開口部に隣接する位置で開口すると共に第2セグメント52の第2凹部522Bに接続される位置で開口するように構成されている。第1セグメント51の穴部512(導入路64)は、第1セグメント51の接合面511のへの法線方向の投影領域が第1溝部514B及び第2溝部523B(噴射孔62B)に重ならないように第2セグメント52の第2凹部522B(旋回室63B)に接続される。なお、図12中、第1セグメント51の第1接合面511に対向する第2セグメント52の第2接合面521に現れる第2凹部522Bに対応する位置を二点鎖線で示している。
【0060】
本実施の形態においては、第2セグメント52の第2凹部522B及び第2溝部523Bは、第2セグメント52の第2接合面521からの機械加工によって形成することが可能である。同様に、第1セグメント51の穴部512(導入路64)、第1凹部513B、第1溝部514Bは、第1セグメント51の第1接合面511からの機械加工によって形成することが可能である。
【0061】
第1セグメント51の第1接合面511と第2セグメント52の第2接合面521とが接合されると、第2セグメント52の第2接合面521における第2凹部522Bの開口部が第1セグメント51の第1接合面511における第1凹部513Bの開口部に接続されると共に第1セグメント51の第1接合面511における穴部512の開口部(導入路64の導入口642)に接続される。また、第1セグメント51の第1接合面511における第1溝部514Bと第2セグメント52の第2接合面521における第2溝部523Bとが接続される。これにより、第1セグメント51の第1凹部513Bと第2セグメント52の第2凹部522Bとで構成された旋回室63Bが形成されると共に、第1セグメント51の第1溝部514Bと第2セグメント52の第2溝部523Bとで構成された噴射孔62Bが形成される。旋回室63Bは、導入路64が噴射孔62Bとの接続位置からずれるように接続される。
【0062】
このように、本実施の形態においては、収容室40を加工するために分割されたケーシング4の接合面を利用して旋回室63Bを形成することで、ケーシング4の外面側から穿孔することなく旋回室63Bを形成することが可能である。すなわち、ケーシング4の外面側にシール部材を要する開口部を設けることなく旋回室63Bが形成される構造になっている。
【0063】
給液機構の旋回室は、理想的な旋回流を発生せるためには、円柱状空間であることが望ましい。しかし、第1の実施形態においては、旋回室63を第2セグメント52のみに設けているので、第2セグメント52の接合面521から機械加工する場合に完全な円柱状空間に加工することは困難である。
【0064】
それに対して、本実施の形態においては、第1セグメント51の第1接合面511に設けた半円柱状空間の第1凹部513Bと第2セグメント52の第2接合面521に設けた半円柱状空間の第2凹部522Bとを組み合わせることで、円柱状空間に近似した形状の旋回室63Bを形成することが可能となっている。
【0065】
なお、第2の実施形態においては、第1セグメント51に導入路64として機能する穴部512を設けた構成の例を示した。しかし、第2セグメント52に穴部512を設ける構成も可能である。この場合、第1セグメント51の第1凹部513Bと第2セグメント52の第2凹部522Bの大きさの関係を逆転させる必要がある。
【0066】
[第2の実施形態の変形例]
次に、第2の実施形態の第1変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構について図13図15を用いて説明する。図13図15において、図1図12に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。図13は第2の実施形態の第1変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構の構造を図9に示すX-X矢視と同じ方向から見た断面図である。図14図13に示す第2の実施形態の第1変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXIV-XIV矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。図15図13に示す第2の実施形態の第1変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXV-XV矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
【0067】
図13に示す第2の実施形態の第1変形例の給液機構60Cが第2の実施形態の給液機構60B(図10参照)と異なる点は、ケーシング4の分割面P1に対する給液機構60Cの噴射孔62Cの位置が異なること、旋回室63Cの形状が異なること、導入路64Cとして機能する穴部512Cの開口位置が異なることである。給液機構60Cの噴射孔62Cは、ケーシング4の分割面P1の両側ではなく第2セグメント52側に形成されている。旋回室63Cは、同じ大きさの半円柱状の空間が組み合わされることで構成されている。穴部512C(導入路64C)は、第1セグメント51の第1接合面511でなく第1凹部513Cに開口している。
【0068】
具体的には、図13及び図14に示すように、第2セグメント52の第2接合面521には、第2の実施形態と同様に、旋回室63Cの一部を構成する第2凹部522Bが設けられている。また、第2セグメント52には、噴射孔62Cとして機能する連通孔523Cが設けられている。連通孔523Cは、第2セグメント52の第2凹部522Bと収容室40とを連通させるものであり、第2接合面521から離れた位置に設けられている。なお、図13中、断面には現れない噴射孔62Cを当該断面に投影して二点鎖線で示している。また、図14中、第2セグメント52の第2接合面521には現れない噴射孔62Cを破線で示している。
【0069】
第1セグメント51の第1接合面511には、図13及び図15に示すように、旋回室63Cの一部を構成する第1凹部513Cが設けられている。第1凹部513Cは、例えば、第2凹部522Bの半円筒状空間と略同じ大きさの半円筒状空間として構成されており、その開口部が第2セグメント52の第2接合面521における第2凹部522Bの開口部と一致する位置に形成されている。すなわち、第1セグメント51の第1凹部513Cと第2セグメント52の第2凹部522Bは、ケーシング4の分割面P1を対称面とする面対称の関係を有している。
【0070】
また、第1セグメント51には、導入路64Cとして機能する穴部512Cが第1凹部513Cに開口するように設けられている。穴部512C(導入路64Cの導入口642C)は、第1凹部513Cにおいて、第1セグメント51の第1接合面511側に向かって開口している。穴部512C(導入路64C)は、は、例えば、第2セグメント52の第2接合面521の法線方向への投影領域が連通孔523C(噴射孔62C)に重ならない位置で第1凹部513C(旋回室63C)に接続されるように構成されている。
【0071】
本変形例においては、第2セグメント52の連通孔523C(噴射孔62C)を第2セグメント52における収容室40の壁面(雄側周面41又は雌側周面42)からの機械加工によって形成することが可能である。また、第2セグメント52の第2凹部522Bを第2セグメント52の第2接合面521からの機械加工によって形成することが可能である。同様に、第1セグメント51の穴部512C(導入路64C)及び第1凹部513Cを第1セグメント51の第1接合面511からの機械加工によって形成することが可能である。
【0072】
第1セグメント51の第1接合面511と第2セグメント52の第2接合面521とが接合されると、第1セグメント51の第1接合面511における第1凹部513Cの開口部と第2セグメント52の第2接合面521における第2凹部522Bの開口部が接続される。これにより、第1セグメント51の第1凹部513Cと第2セグメント52の第2凹部522Bとによって構成された略円柱状の空間である旋回室63Cが形成される。
【0073】
このように、本変形例においては、収容室40を加工するために分割されたケーシング4の接合面を利用して旋回室63Cを形成することで、ケーシング4の外面側から穿孔することなく旋回室63Cを形成することが可能である。すなわち、ケーシング4の外面側にシール部材を要する開口部を設けることなく旋回室63Cが形成される構造になっている。
【0074】
次に、第2の実施形態の第2変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構について図16図18を用いて説明する。図16図18において、図1図15に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。図16は第2の実施形態の第2変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構の構造を図9に示すX-X矢視と同じ方向から見た断面図である。図17図16に示す第2の実施形態の第2変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXVII-XVII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。図18図16に示す第2の実施形態の第2変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXVIII-XVIII矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
【0075】
図16に示す第2の実施形態の第2変形例の給液機構60Dが第2の実施形態の第1変形例の給液機構60C(図13参照)と異なる点は、給液機構60Dの噴射孔62Dとして機能する連通孔が第2セグメント52ではなく第1セグメント51に設けられていることである。給液機構60Dのそれ以外の構成は、第2の実施形態の第1変形例の給液機構60Cと同様である。
【0076】
具体的には、図16図18に示すように、第1セグメント51には、噴射孔62Dとして機能する連通孔514Dが設けられている。連通孔514Dは、第1セグメント51の第1凹部513Cと収容室40とを連通させるものであり、第1接合面511から離れた位置に設けられている。連通孔514D(噴射孔62D)は、第1セグメント51の導入路64C(穴部512C)の第2セグメント52の第2接合面521の法線方向への投影領域に重ならないように第1凹部513Cに接続されている。第2セグメント52には、旋回室63Cの一部を構成する第2凹部522Bのみが設けられている。なお、図16中、断面には現れない噴射孔62Dを当該断面に投影して二点鎖線で示している。また、図18中、第1セグメント51の第1接合面511には現れない噴射孔62Dを破線で示している。
【0077】
本変形例においては、第2セグメント52の第2凹部522Bを第2セグメント52の第2接合面521からの機械加工によって形成することが可能である。同様に、第1セグメント51の穴部512C(導入路64C)及び第1凹部513Cを第1セグメント51の第1接合面511からの機械加工によって形成することが可能である。また、第1セグメント51の連通孔514D(噴射孔62D)を第1セグメント51における収容室40の壁面(雄側周面41又は雌側周面42)からの機械加工によって形成することが可能である。
【0078】
次に、第2の実施形態の第3変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構について図19図21を用いて説明する。図19図21において、図1図18に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。図19は第2の実施形態の第3変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構の構造を図9に示すX-X矢視と同じ方向から見た断面図である。図20図19に示す第2の実施形態の第3変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXX-XX矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの一方側の接合面の構造を示す図である。図21図19に示す第2の実施形態の第3変形例に係るスクリュー圧縮機の給液機構をXXI-XXI矢視から見たときの接合されたケーシングセグメントの他方側の接合面の構造を示す図である。
【0079】
図19に示す第2の実施形態の第3変形例の給液機構60Eが第2の実施形態の給液機構60B(図10参照)と異なる点は、旋回室63Eと導入路64Eとの位置関係が異なること及びそれに伴い旋回室63Eの形状が異なることである。導入路64Eとして機能する穴部512Eは、第1セグメント51の第1接合面511において第1凹部513Bの開口部から離れた位置、且つ、第2セグメント52の第2凹部522Eに接続される位置で開口するように構成されている。
【0080】
具体的には、第1セグメント51の接合面511には、図19及び図21に示すように、導入路64Eとして機能する穴部512Eの開口部(導入口642E)が旋回室63Eの一部を構成する第1凹部513Bの開口部から離れた位置に形成されている。第2セグメント52の接合面521には、図19及び図20に示すように、旋回室63Eの一部を構成する第2凹部522Eが設けられている。第2凹部522Eは、その開口部が第1セグメント51の接合面511における第1凹部513Bの開口部と重なると共に、穴部512Eの開口部(導入路64Eの導入口642E)と重なるように構成されている。すなわち、第2凹部522Eは、第1凹部513Bよりも大きな半径を有する半円柱状の空間として形成されている。なお、第1セグメント51の接合面511及び第2セグメント52の接合面521には、第2の実施形態と同様に、噴射孔62Bとして機能する第1溝部514B及び第2溝部523Bが設けられている。図20中、第2セグメント52の第2接合面521に対向する第1セグメント51の第1接合面511に現れる第1凹部513B及び穴部512E(導入路64E)に対応する位置を二点鎖線で示している。図21中、第1セグメント51の第1接合面511に対向する第2セグメント52の第2接合面521に現れる第2凹部522Eに対応する位置を二点鎖線で示している。
【0081】
本変形例においては、第2セグメント52の第2凹部522E及び第2溝部523Bは、第2セグメント52の第2接合面521からの機械加工によって形成することが可能である。同様に、第1セグメント51の穴部512E(導入路64E)、第1凹部513B、第1溝部514Bは、第1セグメント51の第1接合面511からの機械加工によって形成することが可能である。
【0082】
第1セグメント51の第1接合面511と第2セグメント52の第2接合面521とが接合されると、第2セグメント52の第2接合面521における第2凹部522Eの開口部が第1セグメント51の第1接合面511における第1凹部513Bの開口部に接続されると共に第1セグメント51の第1接合面511における穴部512Eの開口部(導入路64Eの導入口642E)に接続される。また、第1セグメント51の第1接合面511における第1溝部514Bと第2セグメント52の第2接合面521における第2溝部523Bとが接続される。これにより、第1セグメント51の第1凹部513Bと第2セグメント52の第2凹部522Eとで構成された旋回室63Eが形成されると共に、第1セグメント51の第1溝部514Bと第2セグメント52の第2溝部523Bとで構成された噴射孔62Bが形成される。
【0083】
このように、本実施の形態においては、収容室40を加工するために分割されたケーシング4の接合面を利用して旋回室63Eを形成することで、ケーシング4の外面側から穿孔することなく旋回室63Eを形成することが可能である。すなわち、ケーシング4の外面側にシール部材を要する開口部を設けることなく旋回室63Eが形成される構造になっている。
【0084】
上述したように、第2の実施形態及び第1~第3変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1は、回転軸線A1、A2(軸線)の周りに回転可能なスクリューロータとしての雄ロータ2及び雌ロータ3と、雄ロータ2及び雌ロータ3(スクリューロータ)を収容する収容室40を内部に有すると共に、外部からの液体を収容室40に供給するための給液機構60B、60C、60D、60Eを壁部内に有するケーシング4とを備える。給液機構60B、60C、60D、60Eは、収容室40に開口し中心線621に沿って延びる噴射孔62B、62C、62Dと、噴射孔62B、62C、62Dの上流に位置し噴射孔62B、62C、62Dの中心線621と同じ方向に延びる軸回りに旋回する旋回流を生成する旋回室63B、63C、63Eと、外部からの液体を中心線621の周方向に沿うように旋回室63B、63C、63Eに導入する導入路64、64C、64Eとを有する。ケーシング4は、収容室40を横切る面を分割面P1として分割され、互いに接合された第1のケーシングセグメント51と第2のケーシングセグメント52とを含む。旋回室63B、63C、63Eは、第1のケーシングセグメント51及び第2のケーシングセグメント52のうちの両方の接合面511、521において収容室40の壁面41、42から離れた位置で開口するように設けられた第1凹部513B、513C及び第2凹部522B、522E(凹部)によって構成されている。導入路64、64C、64Eは、第1のケーシングセグメント51及び第2のケーシングセグメント52のうちの他方のケーシングセグメント51の接合面511に開口するように設けられた穴部512、512E、又は、第1凹部513Cを有するケーシングセグメント51の接合面511側に向かって第1凹部513Cに開口するように設けられた穴部512Cによって構成されている。
【0085】
この構成によれば、第1及び第2のケーシングセグメント51、52の接合面511、521に開口する第1凹部513B、513C及び第2凹部522B、522Eが旋回室63B、63C、63Eを構成すると共に第1及び第2のケーシングセグメント51、52の接合面511に開口する穴部512、512E又は凹部522に開口する穴部512Cが導入路64、64C、64Eを構成することで、ケーシングセグメント51、52の接合面511、521から旋回室63B、63C、63E及び導入路64、64C、64Eを加工することが可能となるので、ケーシング4の外面側に開口部を設けることなくケーシング4の壁部内に旋回室63B、63C、63Eを形成することができる。
【0086】
また、第2の実施形態及びその変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、第1凹部513B、513C及び第2凹部522B、522Eは、それらの底部が円弧面である半円柱状の空間として形成されている。
【0087】
この構成によれば、第1凹部513B、513Cと第2凹部522B、522Eとによって構成された旋回室63B、63C、63Eが微細液滴化の可能な旋回流を容易に発生せることができる。
【0088】
また、第2の実施形態及びその変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、穴部512、512Eが第1セグメント51の第1接合面511における第2凹部522Bに接続される位置又は第2セグメント52の第2接合面521における第1凹部に接続される位置で開口するように設けられている。
【0089】
この構成によれば、第1セグメント51の接合面511又は第2セグメント52の接合面521をドリルなどで加工することで導入路64、64Eとして機能する穴部512、512Eを形成することができるので、導入路64、64Eの加工が容易である。
【0090】
また、第2の実施形態及びその変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、穴部512が第1セグメント51の第1接合面511における第1凹部513Bの開口部に隣接する位置又は第2セグメント52の第2接合面521における第2凹部の開口部に隣接する位置で開口するように構成されている。
【0091】
この構成によれば、第1凹部513B及び第2凹部522Bによって構成される旋回室63Bを比較的小さく形成することが可能となる。
【0092】
また、第2の実施形態及びその変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、穴部512Cが第1セグメント51の第1接合面511側に向かって第1凹部513Cに開口するように第1セグメント51に設けられているか、又は、第2セグメント52の第2接合面521側に向かって第2凹部522Bに開口するように第2セグメント52に設けられている。
【0093】
この構成によれば、第1セグメント51と第2セグメント52とが接合の際に位置ずれが生じても、第1セグメント51と第2セグメント52との接合に起因して穴部512Cと第1凹部513C又は第2凹部522Bとの位置関係にずれが生じることはない。
【0094】
また、第2の実施形態及びその変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、第1セグメント51の第1凹部513Cと第2セグメント52の第2凹部522Bがケーシング4の分割面P1を対称面とする面対称の関係を有している。この構成によれば、第1凹部513Cと第2凹部522Bとによって構成された旋回室63Cが微細液滴化の可能な旋回流を容易に発生せることができる。
【0095】
また、第2の実施形態及びその変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、第1セグメント51が第1凹部513Bと収容室40とを接続するように第1接合面511に設けられた第1溝部514Bを有すると共に、第2セグメント52が第2接合面521における第1セグメント51の第1溝部514Bに対応する位置に設けられ第2凹部522B、522Eと収容室40とを接続する第2溝部523Bを有する。噴射孔62Bは第1セグメント51の第1溝部514Bと第2セグメント52の第2溝部523Bとの組合せによって構成されている。
【0096】
この構成によれば、第1凹部513Bと第2凹部522B、522Eとによって構成された旋回室63B、63の中央部付近に噴射孔62Bを配置することが可能となる。
【0097】
また、第2の実施形態及びその変形例に係る給液式スクリュー圧縮機1においては、噴射孔62D、62Cが、第1セグメント51の第1凹部513Cと収容室40とを連通させるように第1セグメント51に設けられた連通孔514D、又は、第2セグメント52の第2凹部522Bと収容室40とを連通させるように第2セグメント52に設けられた連通孔523Cによって構成されている。
【0098】
この構成によれば、第1セグメント51の第1溝部514Bと第2セグメント52の第2溝部523Bとの組合せによって噴射孔62Bを構成する場合と比べて、噴射孔62D、62Cの加工工数を減らすことができる。
【0099】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係るスクリュー圧縮機について図22を用いて説明する。図22において、図1図21に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。図22は本発明の第3の実施形態に係るスクリュー圧縮機の概略構成を示す縦断面図である。
図22に示す第3の実施形態のスクリュー圧縮機1Fが第1及び第2の実施形態のスクリュー圧縮機1(図1及び図9参照)と異なる点は、ケーシング4Fを分割する分割面(分割方法)が異なること及び分割面の違いにより給液機構60Fの構造が異なることである。ケーシング4Fは、雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2を含む面で分割される半割れ構造のケーシングである。
【0100】
具体的には、ケーシング4Fは、雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2を含む面を分割面として分割されたケーシングセグメントとしての第1セグメント51Fと第2セグメント(図示せず)とを含んでいる。本実施の形態においても、ケーシング4Fにおける第1セグメント51Fの第1接合面511Fと第2セグメントの第2接合面(図示せず)とが接合されることで、旋回室63Fが形成されると共に、旋回室63Fに導入路64Fが接続されるように構成されている。
【0101】
具体的には、第1セグメント51Fの第1接合面511Fには、旋回室63Fの一部を構成する第1凹部513Fが設けられていると共に、第1凹部513Fと収容室40とを接続する第1溝部514Fが設けられている。同様に、第2セグメントの第2接合面(図示せず)には、旋回室63Fの一部を構成する第2凹部(図示せず)が設けられていると共に、第2凹部と収容室40とを接続する第2溝部(図示せず)が設けられている。第1凹部513F及び第2凹部は、収容室40の壁面(雄側周面41又は雌側周面42)から離れた位置で第1接合面511F及び第2接合面に開口している。第1溝部514F及び第2溝部は、噴射孔62Fの一部を構成するものである。
【0102】
また、第1セグメント51Fの第1接合面511Fには、穴部512F(導入路64F)が開口している。穴部512Fは、第1セグメント51Fの第1接合面511Fにおいて第1凹部513Fの開口部に隣接する位置で開口すると共に第2セグメントの第2凹部に接続される位置で開口するように構成されている。第1セグメント51の穴部512F(導入路64F)は、第2セグメントの接合面への法線方向の投影領域が噴射孔62Fに重ならないように第2セグメントの第2凹部に接続される。第1セグメント51Fの壁部内には、給液通路61Fが穴部512Fに接続されるように設けられている。
【0103】
本実施の形態においては、第1セグメント51Fの穴部512F、第1凹部513F、第1溝部514Fは、第1セグメント51Fの第1接合面511Fからの機械加工によって形成することが可能である。同様に、第2セグメントの第2凹部及び第2溝部は、第2セグメントの第2接合面からの機械加工によって形成することが可能である。
【0104】
このように、本実施の形態においては、収容室40を加工するために分割されたケーシング4Fの接合面511Fを利用して旋回室63Fを形成することで、ケーシング4Fの外面側から穿孔することなく旋回室63Fを形成することが可能である。すなわち、ケーシング4Fの外面側にシール部材を要する開口部を設けることなく旋回室63Fが形成される構造になっている。
【0105】
なお、本実施の形態の給液機構60Fは、第2の実施形態の各変形例の給液機構60B,60C、60D、60Eや第1の実施形態の給液機構60の構造に変更することも可能である。
【0106】
上述したように、第3の実施形態に係る給液式スクリュー圧縮機1Fは、回転軸線A1、A2(軸線)の周りに回転可能なスクリューロータとしての雄ロータ2及び雌ロータ3と、雄ロータ2及び雌ロータ3(スクリューロータ)を収容する収容室40を内部に有すると共に、外部からの液体を収容室40に供給するための給液機構60Fを壁部内に有するケーシング4Fとを備える。給液機構60Fは、収容室40に開口する噴射孔62Fと、噴射孔62Fの上流に位置する旋回室63Fと、旋回室63Fに液体を導入する導入路64Fとを有する。ケーシング4Fは、雄ロータ2及び雌ロータ3(スクリューロータ)の回転軸線A1、A2(軸線)を含む面を分割面として分割され、互いに接合された第1のケーシングセグメント51Fと第2のケーシングセグメントとを含む。旋回室63Fは、第1セグメント51F及び第2セグメントのうちの両方の接合面511Fにおいて収容室40の壁面41、42から離れた位置で開口するように設けられた第1凹部513F及び第2凹部によって構成されている。導入路64Fは、第1セグメント51F及び第2セグメントのうちの第1セグメント51Fの接合面511Fに開口するように設けられた穴部512Fよって構成されている。
【0107】
この構成によれば、第1及び第2のケーシングセグメント51Fの接合面511Fに開口する第1凹部513F及び第2凹部が旋回室63Fを構成すると共に第1及び第2のケーシングセグメント51Fの接合面511Fに開口する穴部512Fが導入路64Fを構成することで、ケーシングセグメント51、52の接合面511Fから旋回室63F及び導入路64Fを加工することが可能となるので、ケーシング4Fの外面側に開口部を設けることなくケーシング4Fの壁部内に旋回室63Fを形成することができる。
【0108】
[その他の実施の形態]
なお、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。すなわち、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0109】
上述した第1及び第2の実施形態においては、スクリュー圧縮機1のケーシング4が雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2に直交する面を分割面P1として分割された構造の例を示した。しかし、ケーシングは、雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2に直交する面以外の収容室40を横切る面を分割面として分割された複数のケーシングセグメントを含む構成も可能である。例えば、回転軸線A1、A2に直交する面に対して傾いた平面を分割面とする構成が可能である。
【符号の説明】
【0110】
1、1F…スクリュー圧縮機、 2…雄ロータ(スクリューロータ)、 3…雌ロータ(スクリューロータ)、 4、4F…ケーシング、 40…収容室、 41…雄側周面(壁面)、 42…雌側周面(壁面)、 51、51F…第1のケーシングセグメント、 52…第2のケーシングセグメント、 60、60A、60B、60C、60D、60E、60F…給液機構、 62、62A、62B、62C、62D、62F…噴射孔、 63、63A、63B、63C、63E、63F…旋回室、 64、64A、64C、64E、64F…導入路、 511、511F…第1接合面、 521…第2接合面、 512、512A、512C、512E、512F…穴部、 513…凹部、 513B、513C、513F…第1凹部、 514、514D…連通孔、 514B、514F…第1溝部、 522…凹部、 522B、522E、522F…第2凹部、 523、523C…連通孔、 523B…第2溝部、 621…中心線、 A1、A2…回転軸線(軸線)
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