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特開2023-176925太刀魚用テンヤ及びこれに用いる釣り用針
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176925
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】太刀魚用テンヤ及びこれに用いる釣り用針
(51)【国際特許分類】
   A01K 83/06 20060101AFI20231206BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A01K83/06
A01K85/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089512
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】菊池 雄一
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307AB26
2B307BA35
2B307BA55
(57)【要約】      (修正有)
【課題】太刀魚が餌に喰いつき釣り用針が下方向の力を受けた際に釣り用針が錘部に対して回転し自動的に太刀魚を刺し込むことができ、かつ種々の大きさの餌に対応可能なように釣り用針を錘部から着脱可能に構成した太刀魚用テンヤ及びこれに用いる釣り用針を提供することにある。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤは、錘部と、錘部に装着され、軸部と該軸部の先端側に設けられる針部とを有する釣り用針と、該軸部の上側に設けられ、餌を刺し込み保持する刺し針と、を備える太刀魚用テンヤであって、前記錘部は、係止部を有し、前記釣り用針の前記軸部は、該係止部に回転可能に係止される被係止部を有し、該軸部は該係止部に対して回転可能に構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錘部と、錘部に装着され、軸部と該軸部の先端側に設けられる針部とを有する釣り用針と、該軸部の上側に設けられ、餌を刺し込み保持する刺し針と、を備える太刀魚用テンヤであって、
前記錘部は、係止部を有し、前記釣り用針の前記軸部は、該係止部に回転可能に係止される被係止部を有し、
該軸部は、該係止部に対して回転可能にされることを特徴とする太刀魚用テンヤ。
【請求項2】
前記軸部は、前記錘部の高さ方向でみて、該錘部の中央位置よりも下側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項3】
前記軸部は、15度から35度の範囲で前記係止部に対して回転可能にされることを特徴とする請求項1に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項4】
前記釣り用針の前記軸部は、初期状態で、前記錘部から水平に突出するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項5】
前記釣り用針の前記軸部は、前記錘部の内部でバネ付勢され、所定荷重以上の荷重が作用した場合に、前記軸部は前記軸部の下側方向へ回転可能にされることを特徴とする請求項1に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項6】
前記釣り用針の前記軸部は、初期状態における該軸部の位置から、該位置における該軸部の上側方向への移動が制限されていることを特徴とする、請求項1に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項7】
前記釣り用針の前記軸部には、弾性部材が設けられ、これにより該軸部に付勢力が付与されることを特徴とする請求項1に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項8】
前記弾性部材は、板バネ、捻りバネ又はゴムであることを特徴とする請求項7に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項9】
前記係止部は、前記錘部の内部に設けられた筒状部材として形成され、前記被係止部は、該筒状部材に回転可能に係止されるU字状部材として形成されることを特徴とする請求項1に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項10】
前記錘部には、前記軸部が挿入可能なスリット部が設けられ、前記係止部は該スリット部内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項11】
前記スリット部の開口部は、前記軸部の回転のため、前記軸部に垂直な方向における前記被係止部の幅よりも大きい幅を有することを特徴とする請求項10に記載の太刀魚用テンヤ。
【請求項12】
錘部を有する太刀魚用テンヤに回転可能に取付けられる釣り用針であって、
軸部と、該軸部の先端側に設けられる針部と、該軸部の上側に設けられ、餌を刺し込み保持する刺し針と、を備え、
該軸部は、前記錘部に回転可能に係止される被係止部を有することを特徴とする釣り用針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、釣り用の仕掛けに関し、特に、太刀魚釣りに際して用いられる太刀魚用テンヤ及びこれに用いる釣り用針に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、太刀魚釣りでは専用の仕掛け(太刀魚用テンヤとも称する)が用いられている。このような太刀魚用テンヤでは、特許文献1や特許文献2に開示されているように、リールからの釣糸が締結される魚の頭部を模した錘部(ヘッド)に、後方に向けて線状の軸部が取り付けられており、軸部の先側は、下方に湾曲した針部(フック部)となっている。
【0003】
また、このような仕掛けにおいて、当該軸部の上側には、複数の刺し針が設けられており、この部分にイワシやサンマなどの餌を刺して、線材を巻回して固定するようにしている。そして、このような仕掛けでは、太刀魚が餌に食い付いた際に釣竿を煽ってフッキングすると、針部が太刀魚の口部の周辺に刺し込まれて釣り上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-165732号
【特許文献2】特開2016-93105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、太刀魚が太刀魚用テンヤに取付けられた餌に喰いついた後、シャクリによる錘の引き上げにより針掛かりを発生させるが、そもそも釣竿のシャクリ上げを前提とするものであり、また太刀魚に対する太刀魚用テンヤの相対回転が不十分になると太刀魚への突き刺さりが難しく、釣り逃しが発生し釣果が十分に得られないという問題があった。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、太刀魚が餌に喰いつき釣り用針が下方向の力を受けた際に釣り用針が錘部に対して回転し自動的に太刀魚を刺し込むことができ、かつ種々の大きさの餌に対応可能なように釣り用針を錘部から着脱可能に構成した太刀魚用テンヤ及びこれに用いる釣り用針を提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤは、錘部と、錘部に装着され、軸部と該軸部の先端側に設けられる針部とを有する釣り用針と、該軸部の上側に設けられ、餌を刺し込み保持する刺し針と、を備える太刀魚用テンヤであって、前記錘部は、係止部を有し、前記釣り用針の前記軸部は、該係止部に回転可能に係止される被係止部を有し、該軸部は、該係止部に対して回転可能にされる。また、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤにおいて、前記軸部は、前記錘部の高さ方向でみて、該錘部の中央位置よりも下側に配置される。また、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤにおいて、前記軸部は15度から35度の範囲で該係止部に対して回転可能にされる。
【0008】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤにおいて、前記釣り用針の前記軸部は、初期状態で、前記錘部から水平に突出するように設けられるように構成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤにおいて、前記釣り用針の前記軸部は、前記錘部の内部でバネ付勢され、所定荷重以上の荷重が作用した場合に、前記軸部は前記軸部の下側方向へ回転可能にされる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤにおいて、前記釣り用針の前記軸部は、初期状態における該軸部の位置から、該位置における該軸部の上側方向への移動が制限されている。
【0011】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤにおいて、前記釣り用針の前記軸部には、弾性部材が設けられ、これにより該軸部に付勢力が付与される。また、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤにおいて、前記弾性部材は、板バネ、捻りバネ又はゴムである。
【0012】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤにおいて、前記係止部は、前記錘部の内部に設けられた筒状部材として形成され、前記被係止部は、該筒状部材に回転可能に係止されるU字状部材として形成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤにおいて、前記錘部には、前記軸部が挿入可能なスリット部が設けられ、前記係止部は該スリット部内に設けられている。
【0014】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤは、前記スリット部の開口部は、前記軸部の回転のため、前記軸部に垂直な方向における前記被係止部の幅よりも大きい幅を有する。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣り用針は、錘部を有する太刀魚用テンヤに回転可能に取付けられる釣り用針であって、軸部と、該軸部の先端側に設けられる針部と、該軸部の上側に設けられ、餌を刺し込み保持する刺し針と、を備え、該釣り用針の該軸部は、前記錘部に回転可能に係止される被係止部を有するように構成される。
【発明の効果】
【0016】
上記実施形態によれば、太刀魚が餌に喰いつき釣り用針が力を受けた際に釣り用針が錘部に対して回転し自動的に太刀魚を刺し込むことができ、かつ種々の大きさの餌に対応可能なように釣り用針を錘部から着脱可能に構成した太刀魚用テンヤ及びこれに用いる釣り用針を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の正面図である。(b)本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の斜視図である。
図2】(a)本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の正面図である。(b)本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1及び釣り用針3の分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の弾性部材10の例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の弾性部材10の例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の錘部2の内部構造を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の正面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る釣り用針3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る太刀魚用テンヤ及びこれに用いる釣り用針の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0019】
図1及び2は、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1を示す図である。図1は、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の通常の状態(初期状態)を示す図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の回転した状態を示す図である。図1(a)、図2(a)はその正面図であり、図1(b)、図2(b)はその斜視図である。
【0020】
図示のように、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1は、魚の頭部の形状を模した錘部2と、当該錘部2に装着され、軸部4と該軸部4の先端に設けられる針部5とを有する釣り用針3と、当該軸部4の上側に設けられ、イワシやサンマ等の餌を刺し込み保持する上方に向けて突出する第1の刺し針6と、を備える。図1に示すように、当該釣り用針3の該軸部4は、初期状態で、該錘部2から水平に突出するように設けられている。
【0021】
錘部2の上方には、それぞれリング状部材(又は環)7(7a、7b)が設けられている。環7a、7bには、リールからの釣糸(ハリス等)に締結されたスナップやスイベル等の連結部品が装着される。また、錘部2の下方にリング状部材(又は環)をもうけてもよく、これに錘、針、餌を固定するための線材、或いは、仕掛けを上下に反転させてリールからの釣糸(ハリス等)に締結されたスナップ等が装着することができる。
【0022】
当該錘部2に設けられる軸部4は、略水平状に後方に向けて延出するように錘部2に刺し込まれて固定されており、その先端側に針部5が形成されている。また、当該軸部4の上側には、刺し針6が設けられ、この刺し針6は、該軸部4の上側で餌を刺し込むように、1本以上あればよく、図示の例では4本設けられている(刺し針6a~6d)。この場合、錘部2側の刺し針6a、6bは、略コの字状に形成されて、該軸部4に例えば溶着等によって固定され、針部5側の刺し針6c、6dも同様に、略コの字状に形成されて、該軸部4に例えば溶着等によって固定されている。
【0023】
このような軸部4と針部5を構成する材料としては、例えば、鋼、ステンレス等が用いられるがこれらに限られない。特に、ステンレスの場合、錆びにくく好ましい。また、針部5の軸長方向長さについては、長すぎると針掛かりしたり、太刀魚を外す際等に変形し易いことから、軸部4の軸方向長さの1/2以下にすることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1は、錘部2の環7aに釣糸(ハリス等)に締結されたスナップ等を装着し、軸部4の上側に設けられている刺し針6に餌を刺し込み、線材(釣糸、針金など)を巻き付け固定して使用される。
【0025】
次に、図3を参照して、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1についてさらに説明する。ここで、図3以降、説明の便宜のため刺し針6は図示しない(図9を除く)ことに留意されたい。図3に示すように、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1は、錘部2と、錘部2に装着され、軸部4と該軸部4の先端側に設けられる針部5とを有する釣り用針3と、該軸部4の上側に設けられ、餌を刺し込み保持する刺し針6と、を備え、当該錘部2は、係止部8を有し、該釣り用針3の該軸部4は、該係止部8に回転可能に係止される被係止部9を有する。好ましくは、該軸部4が、錘部2の高さ方向でみて、該錘部2の中央位置(図3の紙面の上下方向(図示しない)における錘部2の中央位置)より下側に配置される。これにより、軸部4の振りが早くなり、太刀魚に刺さりやすくなる。また、餌を取り付けた際に、餌が錘部2より上にはみ出にくくなり、水中で抵抗を受けにくくなる。また、好ましくは、該軸部2は、15度から35度の範囲で該係止部8に対して回転可能にされる。なお、該軸部2には、後述する弾性部材10が設けられるが、該弾性部材10には錘部から外部に突出する突出部15が設けられるが、これは釣り用針3の錘部2からの取り出しを容易にする役割だけでなく、上述の線材を固定する役割の双方を果たすことができる。
【0026】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1によれば、太刀魚が餌に喰いつき釣り用針が力を受けた際に釣り用針が錘部に対して回転し自動的に太刀魚を刺し込むことができ、かつ種々の大きさの餌に対応可能なように釣り用針を錘部から着脱可能に構成した太刀魚用テンヤを提供することが可能となる。より具体的には、魚が下方向から食いついた場合、釣り用針3は下方向へ引っ張られて錘部2に対して下方へ遊動し、魚に刺さる。特に、餌を鋭い歯で噛み・傷つける、または下に引き込む(キックバック)習性がある太刀魚に対して、食いついた際に釣り用針が自動的に刺さることで、釣り人は合わせをいれなくてもよい。よって手返しも早くなり、釣果が向上する。ここで、「自動的」とは、太刀魚による餌の下方向の力を利用して、餌が設けられた釣り用針を錘部に対して回転させるようにすることで、他に特別な機構を設けることなく、釣り用針に設けられた針部が太刀魚を刺し込むように仕向けることができることを言う。このように本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1は、大掛かりではない簡易な構成のため、魚に気付かれにくく釣果が向上する。
【0027】
次に、図4を参照して、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1及び釣り用針3の全体的構成の詳細について説明する。図4は本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1及び釣り用針3の分解斜視図を示す。図示のように、錘部2には係止部(図示の例では、ねじ部材とナット部材)8が設けられ、該係止部8に、被係止部9が設けられた釣り用針3が錘部2に挿入されるようにして取付けられる。
【0028】
図示の例では、釣り用針3に弾性部材(図示の例では捻りバネ)10が設けられ、該弾性部材10の空隙部分11に係止部8が挿入されるようにして、釣り用針3は錘部2の係止部8に係止される。図示の例では、弾性部材10は、ワイヤを巻いてはんだ付けすることにより釣り用針3の軸部4に取付けられている。このように、図示の例では、弾性部材10が被係止部9の役割も果たしているが、こうした構成に限られない。釣り用針3の軸部4の端部に設けられた被係止部9が直接係止部8に係止される態様とすることもできる。本明細書では、いずれの場合も含め、係止部9と呼ぶこととする。
【0029】
このようにして、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1では、釣り用針3の軸部4は、錘部2の内部でバネ付勢され、所定荷重以上の荷重が作用した場合に、該軸部4は該軸部4の下側方向(図3の紙面の上下方向の下方向)へ回転可能にされる。ここで、所定荷重は、釣り人が採用する餌の重さに応じた値とするのがよい。つまり、乗せた餌だけでは軸部4が回転せずに水中で水平姿勢が保て、太刀魚が引っ掻く(餌を傷つけに来る)と回動するように構成する。例えば、イワシを餌とする場合、イワシの重さ(例えば、平均的なイワシの場合は約50から約70グラム、大羽イワシの場合は約80から約100グラム)より大きい力で回転可能とすることで、餌の自重だけでは釣り用針3が安易に動かない(回転しない)ようにできる。このように、餌の自重だけでは釣り用針3が魚に刺さらないため、太刀魚が餌を咥えることができ、その結果、針が素早く刺さり太刀魚に逃げられにくくなる。
【0030】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1において、該釣り用針3の該軸部4には、弾性部材が設けられ、これにより該軸部に付勢力が付与される。このような弾性部材として、例えば、板バネ、捻りバネ、又はゴムがあるが、これらに限られない。弾性部材10として、板バネを用いる場合の例が、図5、6に示されている。図5の例では、円環状の板バネが用いられており、該板バネの端部は軸部4に溶接により取付けられている。また、図6の例では、波形状の板バネが用いられており、該板バネの端部は軸部4に溶接により取付けられている。このようにして、軸部4に弾性部材10が設けられることにより、図7に示すように、該軸部2は、水平位置から、15度から35度の範囲で該係止部8に対して回転可能にされる。
【0031】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1において、該係止部8は、該錘部2の内部に設けられた筒状部材として形成され、該被係止部9は、該筒状部材に回転可能に係止されるU字状部材として形成される。
【0032】
次に、図8を参照して、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の錘部2の内部構造について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1において、該錘部2には、該軸部4が挿入可能なスリット部12が設けられ、該係止部8は該スリット部12内に設けられている。
【0033】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1において、スリット部12の開口部13は、該軸部4の回転のため、軸部4に垂直な方向における該被係止部9の幅Cよりも大きい幅Dを有する。
【0034】
本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1において、該釣り用針3の該軸部4は、初期状態における該軸部4の位置(図3、9に示す軸部4の位置)から、当該位置における該軸部4の上側方向(図3、9の紙面の上下方向の上方向)への移動が制限されている。これは、スリット部12内で軸部4の上部がスリット部12の上側内壁14に当接することで実現される。太刀魚は餌2の下側から食いつく場合が多いので、上側方向への移動を規制することで、太刀魚と針先の距離が離れにくく、釣果を向上できる。
【0035】
次に、図9を参照して、本発明の一実施形態に係る太刀魚用テンヤ1の別の形態について説明する。太刀魚用テンヤ1は、図9に示すようにアイ16a~16cを有する。ヘッド2内にアイ16a~16cがあることで、水の抵抗を受けにくく早くフォールできる。また、餌の重さに合わせてアイ16a~16cの位置を選択することで、テンヤ全体のバランスを調整できる。アイ16a~16cは、好ましくは金属からなる。これにより、あたりが出やすくなる。また、図9において突出部15は端部が丸く環状に形成され、餌に巻きまわす線材の取り付け位置として利用できる。
【0036】
次に、図10を参照して、本発明の一実施形態に係る釣り用針3について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る釣り用針3は、錘部2を有する太刀魚用テンヤ1に回転可能に取付けられる釣り用針3であって、軸部4と、該軸部4の先端側に設けられる針部5と、該軸部4の上側に設けられ、餌を刺し込み保持する刺し針6(図示しない)と、を備え、該釣り用針3の該軸部4は、該錘部2(図示しない)に回転可能に係止される被係止部9を有するように構成される。また、該軸部4には、弾性部材10(図示の例では、捻りバネ)が設けられ、該弾性部材10は該軸部4に圧縮バネにより固定されている。ここで、弾性部材10の軸部4への固定方法はこれに限られない。
【0037】
本発明の一実施形態に係る釣り用針によれば、太刀魚用テンヤに交換可能に取付けられた釣り用針に固定された太刀魚が餌に喰いつき該釣り用針が力を受けた際に該釣り用針が太刀魚用テンヤの錘部に対して回転し自動的に太刀魚を刺し込むことができ、かつ種々の大きさの餌に対応可能な様々な釣り用針を錘部に着脱可能に構成することが可能となる。より具体的には、魚が下方向から食いついた場合、釣り用針は下方向へ引っ張られて下方へ遊動し、魚に刺さる。特に、餌を鋭い歯で噛み・傷つける、または下に引き込む(キックバック)習性がある太刀魚に対して、食いついた際に自動的に刺さることで、釣り人はあわせをいれなくてもよい。よって手返しもはやくなり、釣果が向上する。ここで、「自動的」とは、釣り用針が太刀魚用テンヤに着脱可能に設けられ、太刀魚による餌を下方向の力を利用して、餌が設けられた釣り用針を錘部に対して回転させるようにすることで、他に特別な機構を設けることなく、釣り用針に設けられた針部が太刀魚を刺し込むように仕向けることができることを言う。
【0038】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 太刀魚用テンヤ
2 錘部
3 釣り用針
4 軸部
5 針部
6 刺し針
7 リング状部(環)
8 係止部
9 被係止部
10 弾性部材
11 空隙部分
12 スリット部
13 開口部
14 上側内壁
15 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10