IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-原稿搬送装置 図1
  • 特開-原稿搬送装置 図2
  • 特開-原稿搬送装置 図3
  • 特開-原稿搬送装置 図4
  • 特開-原稿搬送装置 図5
  • 特開-原稿搬送装置 図6
  • 特開-原稿搬送装置 図7
  • 特開-原稿搬送装置 図8
  • 特開-原稿搬送装置 図9
  • 特開-原稿搬送装置 図10
  • 特開-原稿搬送装置 図11
  • 特開-原稿搬送装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176933
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】原稿搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20231206BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65H1/04 310A
B65H1/04 326A
G03G15/00 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089527
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴文
(72)【発明者】
【氏名】所 義多賀
(72)【発明者】
【氏名】磯田 廉
(72)【発明者】
【氏名】萩原 寛史
【テーマコード(参考)】
2H076
3F343
【Fターム(参考)】
2H076AA04
2H076BA24
2H076BA35
2H076BA36
2H076BA55
2H076BA63
2H076BA65
2H076BB02
2H076BB09
3F343FA03
3F343FB01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA17
3F343HD09
3F343HD16
3F343HE04
3F343HE07
3F343HE11
3F343KB03
3F343LA04
3F343LA14
3F343LD04
3F343LD10
3F343LD27
3F343MA02
3F343MA09
3F343MA32
3F343MB04
3F343MB09
3F343MC03
(57)【要約】
【課題】給紙トレイの給紙方向下流側の壁の上下方向のサイズを大きくせずに給紙トレイを大容量化することを目的とする。
【解決手段】原稿搬送装置は、原稿が積載される給紙トレイ44と、給紙トレイ44に積載された原稿を所定の給紙方向Zに給紙する給紙機構と、給紙トレイ44を昇降させる給紙トレイ昇降機構と、給紙方向Z下流側で給紙トレイ44に隣接し、給紙される原稿の下面が接触する天板部21と、天板部21の給紙方向Z上流側の端部から下方に設けられ、位置が固定されている固定壁部23と、給紙トレイ44の給紙方向Z下流側の端部から上方に設けられ、固定壁部23に沿って給紙トレイ44とともに昇降する昇降壁部25と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が積載される給紙トレイと、
前記給紙トレイに積載された前記原稿を所定の給紙方向に給紙する給紙機構と、
前記給紙トレイを昇降させる給紙トレイ昇降機構と、
前記給紙方向下流側で前記給紙トレイに隣接し、給紙される前記原稿の下面が接触する天板部と、
前記天板部の前記給紙方向上流側の端部から下方に設けられ、位置が固定されている固定壁部と、
前記給紙トレイの前記給紙方向下流側の端部から上方に設けられ、前記固定壁部に沿って前記給紙トレイとともに昇降する昇降壁部と、を備えることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記固定壁部は、
前記天板部の前記給紙方向上流側の端部に沿って間隔を空けて設けられ、前記給紙トレイ側に突出し、下端部が開口した中空構造を有する複数の凸部と、
前記複数の凸部と交互に設けられた複数の凹部と、を備え、
前記昇降壁部は、
前記複数の凸部の内側に嵌合する複数の凸部嵌合部と、
前記複数の凹部の内側に嵌合する複数の凹部嵌合部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記昇降壁部を上方に付勢する付勢部材を備え、
前記給紙トレイは、前記昇降壁部の上昇を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記固定壁部は、前記昇降壁部の上端部の高さが前記固定壁部の上端部の高さを超えないように前記昇降壁部の上昇を制限する制限部を備えることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記給紙トレイは、前記昇降壁部が上限位置に到達したときの前記給紙トレイの位置よりも上方の所定高さまで上昇可能であることを特徴とする請求項4に記載の原稿搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置の読取位置に原稿を搬送する原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の読取位置に原稿を搬送する原稿搬送装置が知られている。原稿搬送装置は、例えば、原稿が積載される給紙トレイと、給紙トレイの下方に設けられた排出トレイと、給紙トレイから原稿読取装置の読取位置を経て排出トレイに原稿を搬送する搬送機構と、を備える。
【0003】
原稿搬送装置は、給紙トレイ及び排出トレイの容量(積載可能な原稿の量)が多いほど利便性が高まる。そこで、従来、原稿搬送装置の大容量化を実現するための技術が検討されている。例えば、特許文献1には、給紙トレイを昇降する昇降手段と、給紙トレイからの原稿の繰出しに応じて給紙トレイを上昇させる昇降制御手段とを備えた原稿送り装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-8283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された原稿搬送装置は、給紙トレイの搬送方向下流側の端部に対向する壁によって原稿の搬送方向の位置決めを行っているため、この構成を大容量化する場合、壁の上下方向のサイズを大きくする必要がある。すると、排出トレイへ原稿を排出する排出口の位置が低く制限されてしまうため、排出トレイの大容量化が困難になってしまう。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、給紙トレイの給紙方向下流側の壁の上下方向のサイズを大きくせずに給紙トレイを大容量化することのできる原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る原稿搬送装置は、原稿が積載される給紙トレイと、前記給紙トレイに積載された前記原稿を所定の給紙方向に給紙する給紙機構と、前記給紙トレイを昇降させる給紙トレイ昇降機構と、前記給紙方向下流側で前記給紙トレイに隣接し、給紙される前記原稿の下面が接触する天板部と、前記天板部の前記給紙方向上流側の端部から下方に設けられ、位置が固定されている固定壁部と、前記給紙トレイの前記給紙方向下流側の端部から上方に設けられ、前記固定壁部に沿って前記給紙トレイとともに昇降する昇降壁部と、を備える。
【0008】
前記固定壁部は、前記天板部の前記給紙方向上流側の端部に沿って間隔を空けて設けられ、前記給紙トレイ側に突出し、下端部が開口した中空構造を有する複数の凸部と、前記複数の凸部と交互に設けられた複数の凹部と、を備え、前記昇降壁部は、前記複数の凸部の内側に嵌合する複数の凸部嵌合部と、前記複数の凹部の内側に嵌合する複数の凹部嵌合部と、を備えていてもよい。
【0009】
前記原稿搬送装置は、前記昇降壁部を上方に付勢する付勢部材を備え、前記給紙トレイは、前記昇降壁部の上昇を規制する規制部を備えていてもよい。
【0010】
前記固定壁部は、前記昇降壁部の上端部の高さが前記固定壁部の上端部の高さを超えないように前記昇降壁部の上昇を制限する制限部を備えていてもよい。
【0011】
前記給紙トレイは、前記昇降壁部が上限位置に到達したときの前記給紙トレイの位置よりも上方の所定高さまで上昇可能であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、給紙トレイの給紙方向下流側の壁の上下方向のサイズを大きくせずに給紙トレイを大容量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る給紙機構と搬送機構を模式的に示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る搬送機構と給紙トレイ昇降機構を模式的に示す正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る給紙トレイ昇降機構を模式的に示す背面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る搬送機構と給紙トレイ昇降機構を模式的に示す正面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る固定壁部と昇降壁部を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る後側の規制部を示す正面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る固定壁部と昇降壁部を示す分解図である。
図10】本発明の一実施形態に係る固定壁部と昇降壁部を示す分解図である。
図11】昇降壁部が上限位置まで上昇した様子を示す斜視図である。
図12】給紙トレイが上限位置まで上昇した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置120及び画像形成装置100について説明する。
【0015】
最初に、画像形成装置100の全体の構成について説明する。図1は、画像形成装置100の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、図1における紙面手前側を画像形成装置100の正面側(前側)とし、左右の向きは画像形成装置100を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0016】
画像形成装置100は、プリンター1と、スキャナー110と、原稿搬送装置120と、を備える。プリンター1の上方にスキャナー110が設けられ、スキャナー110の上方に原稿搬送装置120が設けられている。原稿搬送装置120は、スキャナー110の読取位置Aを経由して原稿Gを搬送する。スキャナー110は、フラットベッド型のイメージスキャナーであり、原稿Gを読み取って画像データを生成する。プリンター1は、画像データに基づく画像をシートSに形成する。なお、本実施形態では、プリンター1が電子写真方式にて画像を形成する例を示すが、プリンター1は他の方式(例えば、インクジェット方式)にて画像を形成するように構成されていてもよい。
【0017】
プリンター1は、直方体状の本体ハウジング3を備える。本体ハウジング3の内部の下部には、シートSが収容される給紙カセット4と、給紙カセット4からシートSを右方に送り出す給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4の上方には、電子写真方式にてトナー像を形成する作像装置6が設けられ、作像装置6の右上方には、トナー像をシートSに定着させる定着装置7が設けられている。定着装置7の上方には、トナー像が定着されたシートSを排出する排出ローラー8と、排出されたシートSが積載される排出トレイ9が設けられている。
【0018】
本体ハウジング3の内部には、給紙ローラー5から作像装置6、定着装置7を経て排出ローラー8に至る搬送路10が設けられている。搬送路10は、シートSを通過させる間隙を空けて互いに対向する板状部材を主体として形成されており、シートSを挟持して搬送する搬送ローラー17が搬送方向Yの複数箇所に設けられている。作像装置6よりも搬送方向Y上流側には、レジストローラー18が設けられている。定着装置7の右方には、定着装置7よりも搬送方向Y下流側で搬送路10から分岐し、レジストローラー18よりも搬送方向Y上流側で搬送路10に合流する反転搬送路10Rが設けられている。
【0019】
制御部2は、演算部と記憶部とを備える(図示省略)。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。演算部は、記憶部に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いずに、集積回路のみによって実現されてもよい。
【0020】
スキャナー110の前側には、表示操作部(図示省略)が設けられている。表示操作部は、表示パネルと、表示パネルの表示面に重ねて設けられたタッチパネルと、表示パネルに隣接するキーパッドと、を備える(図示省略)。制御部2は、プリンター1及びスキャナー110の操作メニューやステータス等を表す画面を表示パネルに表示させ、タッチパネル及びキーパッドで検知された操作に応じてプリンター1及びスキャナー110の各部を制御する。
【0021】
プリンター1の基本的な画像形成動作は、次のとおりである。表示操作部や外部のコンピューター等からプリンター1に片面印刷の印刷ジョブが入力されると、給紙ローラー5が給紙カセット4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー18がシートSの斜行を補正し、レジストローラー18が所定のタイミングで作像装置6にシートSを送り出す。作像装置6は、電子写真方式にてシートSにトナー像を形成する。続いて、定着装置7がシートSを挟持して搬送しながらトナー像を溶融させることでトナー像をシートSに定着させ、排出ローラー8が排出トレイ9にシートSを排出する。両面印刷の場合、第1面にトナー像が定着されたシートSが反転搬送路10Rを経由して搬送路10に送り込まれることで、第2面にトナー像が転写される。
【0022】
[スキャナー]
スキャナー110は、光源と反射鏡を備える第1キャリッジ81と、2つの反射鏡を備える第2キャリッジ82と、光を結像させるレンズ83と、結像した光を画像データに変換する撮像素子84と、原稿Gが載せ置かれるコンタクトガラス85と、を備える。
【0023】
スキャナー110の基本的な原稿読取動作は、次のとおりである。ユーザーがコンタクトガラス85の上面に原稿Gを置いてスキャナー110に読み取りの指示を与えると、第1キャリッジ81が速度Vで右方に移動するのと連動して第2キャリッジ82が速度V/2で右方に移動する。その間、光源が原稿Gに光を照射し、原稿Gで反射された反射光が、第1キャリッジ81の反射鏡と第2キャリッジ82の反射鏡で反射されてレンズ83に導かれ、撮像素子84に結像されて画像信号に変換される。画像信号は、プリンター1の制御部2に出力され、画像データに変換される。
【0024】
[原稿搬送装置]
次に、原稿搬送装置120について説明する。図2は、原稿搬送装置120の外観を示す斜視図である。図3は、給紙機構31と搬送機構32を模式的に示す正面図である。図4、6は、搬送機構32と給紙トレイ昇降機構33を模式的に示す正面図である。図5は、給紙トレイ昇降機構33を模式的に示す背面図である。このうち、図3、4、5は、給紙トレイ44が上限位置付近に位置する様子を示し、図6は、給紙トレイ44が下限位置付近に位置する様子を示す。
【0025】
原稿搬送装置120(図2、3参照)は、扁平な形状に形成された概ね矩形の底部40と、前後方向(原稿Gの給紙方向Zと交差する幅方向)に互いに対向する第1壁部41と第2壁部42とを有する。底部40の後縁部は、スキャナー110のコンタクトガラス85(図1参照)の後方にヒンジ結合されている。底部40は、コンタクトガラス85上の原稿Gを押さえる押さえ板の機能を兼ね備える。第1壁部41は、底部40の前縁部の左端部から中央部にわたって設けられている。第2壁部42は、底部40の後縁部の全域にわたって設けられている。カバー部46は、第1壁部41と第2壁部42との間の空間の上部と左側部を覆っている。カバー部46の左下端部は、底部40の左端部にヒンジ結合されている。
【0026】
[給紙トレイ]
給紙トレイ44(図2、3参照)は、原稿搬送装置120の左右方向の中央よりも右側、且つ、第2壁部42よりも前側に設けられている。給紙トレイ44は、左側が低くなるように傾斜した板状の部材である。給紙トレイ44の上面には、原稿Gの前後方向の端部をそろえる1対のカーソル45が設けられている。カーソル45は、前後方向にスライド可能である。
【0027】
[排出トレイ]
排出トレイ43は、給紙トレイ44の下方に設けられている。排出トレイ43は、底部40と一体である。排出トレイ43の左右方向の中央部には、左側が低くなるように傾斜した傾斜面が設けられている。
【0028】
[給紙機構]
給紙機構31(図3参照)は、第1壁部41と第2壁部42との間の空間に設けられている。給紙機構31は、下部が開口した箱形のホルダー53を備えている。ホルダー53の内部には、繰出ローラー51と、従動ローラー55と、駆動ローラー52と、無端ベルト56と、リタードローラー57と、が前後方向を軸方向として配置されている。従動ローラー55は、繰出ローラー51の左方に設けられている。駆動ローラー52は、従動ローラー55の左方に設けられている。無端ベルト56は、駆動ローラー52と従動ローラー55とに巻き掛けられている。リタードローラー57は、無端ベルト56の下側の部分の下面に押し当てられている。
【0029】
駆動ローラー52の駆動軸54の前後両端部は、第1壁部41と第2壁部42に支持され、モーターと減速ギアを含む駆動部(図示省略)に接続されている。ホルダー53は、駆動軸54に支持され、駆動軸54を中心として揺動可能である。駆動軸54の駆動力は、ギア列や無端ベルト等の伝達機構(図示省略)により繰出ローラー51とリタードローラー57に伝達される。
【0030】
センサー58は、透過型又は反射型の光学センサーであり、カバー部46の内面に設けられている。ホルダー53の上部には、上方又は側方に突出した遮光板59が設けられている。センサー58は、遮光板59がセンサー58の光を遮った場合と遮らない場合とでレベルの異なる検知信号を制御部2に出力する。
【0031】
[給紙トレイ昇降機構]
給紙トレイ昇降機構33(図4、5参照)は、第1壁部41の前面と第2壁部42の後面に設けられている。駆動プーリー71、従動プーリー72(図5参照)は、それぞれ第2壁部42の後面の中央部の上方、下方に設けられている。従動プーリー73は、駆動プーリー71と従動プーリー72との間の高さ、且つ、駆動プーリー71及び従動プーリー73よりも左方に設けられている。ガイドプーリー76は、従動プーリー72の左上方、且つ、従動プーリー73の右方に設けられている。無端ベルト70は、駆動プーリー71、従動プーリー72、73及びガイドプーリー76に巻き掛けられている。駆動部78は、モーター78M、ウォームギア78W、アイドラギア78i、駆動ギア71Gを備える。駆動ギア71Gは、駆動プーリー71の軸に設けられている。
【0032】
従動プーリー91、92、93、ガイドプーリー96(図4参照)は、第1壁部41の前面の、それぞれ駆動プーリー71、従動プーリー72、73、ガイドプーリー76に対向する位置に設けられている。無端ベルト90は、従動プーリー91、92、93及びガイドプーリー96に巻き掛けられている。従動プーリー93は、従動プーリー73と共通の軸に設けられている。
【0033】
摺動部74(図5参照)は、給紙トレイ44の後縁部の左端部に設けられている。第2壁部42には、上下方向を長手方向とするスリット42Sが設けられている。スリット42Sは、給紙トレイ44の後縁部の左端部に対応する位置に設けられている。摺動部74は、スリット42Sを貫通して、無端ベルト70の駆動プーリー71と従動プーリー72との間の部分に結合されている。
【0034】
第2壁部42の後面には、昇降案内部75が設けられている。昇降案内部75は、上下方向を長手方向とするレール状の部材である。摺動部74は、昇降案内部75に沿って上下方向に摺動可能である。
【0035】
摺動部94(図4参照)は、給紙トレイ44の前縁部の左端部に設けられている。摺動部94は、無端ベルト90の従動プーリー91と従動プーリー92との間の部分に結合されている。
【0036】
第1壁部41の前面には、昇降案内部95が設けられている。昇降案内部95は、上下方向を長手方向とするレール状の部材である。摺動部94は、昇降案内部95に沿って上下方向に摺動可能である。
【0037】
給紙トレイ昇降機構33の基本的な動作は、次のとおりである。モーター78Mが発生する駆動力は、ウォームギア78W、アイドラギア78iを介して駆動ギア71Gに伝達される。駆動ギア71Gとともに駆動プーリー71が回転することで無端ベルト70が周回し、それに伴って従動プーリー72、73が回転する。また、従動プーリー73とともに従動プーリー93が回転することで無端ベルト90が無端ベルト70と同期して周回する。給紙トレイ44が無端ベルト70、90に摺動部74、94を介して結合されているため、モーター78Mの正回転及び逆回転により、給紙トレイ44が昇降する。
【0038】
制御部2は、給紙トレイ44を給紙トレイ昇降機構33によって上昇させる。給紙トレイ44に積載された原稿Gの上面が繰出ローラー51に押し当てられると、ホルダー53が上方に揺動する。ホルダー53が所定量だけ上方に揺動した場合に、遮光板59がセンサー58の光を遮る。このとき、原稿Gの上面と繰出ローラー51との間に適正な荷重が作用し、繰出ローラー51による原稿Gの繰り出しが可能となる。換言すれば、制御部2は、給紙トレイ44に積載された原稿Gの量が減少するにつれて給紙トレイ44を上昇させるように給紙トレイ昇降機構33を制御する。
【0039】
[搬送機構]
搬送機構32(図3参照)は、給紙機構31から開口部40Aを経由して排出ローラー69に至る搬送路61と、搬送路61に配置された複数の搬送ローラー62と、を備える。搬送路61は、原稿Gが通過可能な間隙を空けて互いに対向する板状部材を主体として形成されている。開口部40Aは、底部40のうち、ホームポジションに位置する第1キャリッジ81(図1参照)に対向する領域に設けられた前後方向を長手方向とするスリットである。開口部40Aは、スキャナー110が原稿Gを読み取る位置である読取位置Aの一例である。読取位置Aにおいて、搬送路61の下側の板状部材には開口部40Aに対応する開口部61Aが設けられており、搬送中の原稿Gの下面が開口部40A及び開口部61Aを介して下方に露出される。
【0040】
搬送ローラー62は、駆動ローラー62Dと従動ローラー62Nとを備えている(図3参照)。駆動ローラー62Dの軸には従動プーリー63N(図4参照)が設けられている。駆動プーリー63Dは、モーターと減速ギアとを含む駆動部(図示省略)に接続されている。無端ベルト60は、駆動プーリー63Dと複数の従動プーリー63Nとガイドプーリー63Gとに巻き掛けられている。駆動プーリー63Dが駆動されると、無端ベルト60の周回によって複数の従動プーリー63Nが同期して回転するため、複数の搬送ローラー62も同期して回転する。
【0041】
搬送路61のうち開口部40Aよりも給紙方向Z下流側の部分には、ガイド部64(図3)が設けられている。ガイド部64は、上下方向に対向する板状の部材を一体化したものであり、開口部40Aの右側に隣接する搬送ローラー62の駆動ローラー62D又は従動ローラー62Nを中心として揺動可能である。ガイド部64を揺動させる仕組みについては説明を省略する。
【0042】
次に、固定壁部23と昇降壁部25について説明する。図7は、固定壁部23と昇降壁部25を示す斜視図である。図8は、後側の規制部44Rを示す正面図である。図9、10は、固定壁部23と昇降壁部25を示す分解図である。
【0043】
原稿搬送装置120は、原稿Gが積載される給紙トレイ44と、給紙トレイ44に積載された原稿Gを所定の給紙方向Zに給紙する給紙機構31と、給紙トレイ44を昇降させる給紙トレイ昇降機構33と、給紙方向Z下流側で給紙トレイ44に隣接し、給紙される原稿Gの下面が接触する天板部21と、天板部21の給紙方向Z上流側の端部から下方に設けられ、位置が固定されている固定壁部23と、給紙トレイ44の給紙方向Z下流側の端部から上方に設けられ、固定壁部23に沿って給紙トレイ44とともに昇降する昇降壁部25と、を備える。
【0044】
[天板部]
天板部21は、概ね水平に設けられている。天板部21の前後方向の中央には、開口部21Aが設けられている。開口部21Aには、前述した給紙機構31に含まれるリタードローラー57が配置されている。繰出ローラー51によって繰り出された原稿Gは、原稿Gの下面を天板部21の上面に接触させながら上面に沿って搬送される。
【0045】
[固定壁部]
固定壁部23は、全体として前後方向を長手方向とする長方形の部材であり、天板部21の給紙方向Z上流側の端部から下方に直立した姿勢で設けられ、天板部21と一体化されている。固定壁部23は、複数の凸部23T1、23T2、23T3、23T4、23T5、23T6、23T7と、複数の凹部23U1、23U2、23U3、23U4、23U5、23U6と、を備える。複数の凸部23T1乃至23T7は、天板部21の給紙方向Z上流側の端部に沿って間隔を空けて設けられ、給紙トレイ44側に突出し、下端部が開口した中空構造を有する。複数の凹部23U1乃至23U6は、複数の凸部23T1乃至23T7と交互に設けられている。前側から凸部23T1、凹部23U1、凸部23T2、凹部23U2、凸部23T3、凹部23U3、凸部23T4、凹部23U4、凸部23T5、凹部23U5、凸部23T6、凹部23U6、凸部23T7の順に配置されている。
【0046】
複数の凸部23T1乃至23T7は、上下方向に対して左右方向の寸法が小さい概ね直方体状に形成されている。複数の凸部23T1乃至23T7と複数の凹部23U1乃至23U6の上端部は、給紙方向Z下流側が高くなるように傾斜している。複数の凸部23T1乃至23T7の形状と寸法は、図示されているように互いに異なっていてもよいが、同一であってもよい。また、複数の凹部23U1乃至23U6の形状と寸法は、図示されているように互いに異なっていてもよいが、同一であってもよい。
【0047】
[制限部]
壁部23Wは、天板部21の前後両端部から下方に直立した姿勢で設けられている。壁部23Wは、天板部21及び固定壁部23と一体化されている。制限部23Rは、壁部23Wに設けられた上下方向に沿うスリットである。スリットの上端部は閉塞され、下端部は開口している。
【0048】
[昇降壁部]
底板部26は、天板部21の下方で天板部21と対向している。昇降壁部25は、底板部26の給紙方向Z上流側の端部から上方に直立した姿勢で設けられ、底板部26と一体化されている。昇降壁部25は、複数の凸部嵌合部25T1、25T2、25T3、25T4、25T5、25T6、25T7と、複数の凹部嵌合部25U1、25U2、25U3、25U4、25U5、25U6と、を備える。凸部嵌合部25T1、25T2、25T3、25T4、25T5、25T6、25T7は、それぞれ凸部23T1、23T2、23T3、23T4、23T5、23T6、23T7の内側に嵌合する。凹部嵌合部25U1、25U2、25U3、25U4、25U5、25U6は、それぞれ凹部23U1、23U2、23U3、23U4、23U5、23U6の内側に嵌合する。給紙トレイ44の昇降に伴って、凸部嵌合部25T1乃至25T7が凸部23T1乃至23T7に沿って摺動するとともに、凹部嵌合部25U1乃至25U6が凹部23U1乃至23U6に沿って摺動する。
【0049】
昇降壁部25の前後の端部25Eは、前述した制限部23Rに挿入され、制限部23Rに沿って摺動する。制限部23Rの上端部は閉塞されているため、端部25Eが制限部23Rの上端部に接触することで、昇降壁部25の上昇が停止する。端部25Eが制限部23Rの上端部に接触した場合に、昇降壁部25の上端部が固定壁部23の上端部と同じ高さになる。突起部25Bは、昇降壁部25の前後の端部25Eから前後方向に突出している。
【0050】
[付勢部材]
付勢部材27は、天板部21と底板部26との間に直立した姿勢で配置された引張コイルばねである。付勢部材27は、上端部が天板部21の下面に取り付けられ、下端部が底板部26の上面に取り付けられている。天板部21は固定されているため、底板部26及び昇降壁部25が上方に付勢される。
【0051】
[規制部]
規制部44Rは、給紙トレイ44の給紙方向Z下流側の端部の前後両端部から給紙方向Zに突出している(図7参照)。後側の規制部44R(図8参照)の前面には、上下方向の溝44Gが設けられている。溝44Gの上端部は閉塞され、溝44Gの下端部は開口している。前側の規制部44Rの後面にも後側と同様の溝44Gが設けられている。規制部44Rの溝44Gには、前述した昇降壁部25の突起部25Bが挿入されている。
【0052】
前述のとおり昇降壁部25は付勢部材27によって上方に付勢されているが、突起部25Bが溝44Gの上端部に押し当てられることで昇降壁部25の上昇が規制され、昇降壁部25が給紙トレイ44の給紙方向Z下流側の端部から所定の高さだけ上方に突き出た状態が保たれる。給紙トレイ44は、昇降壁部25が上限位置に到達したときの給紙トレイ44の位置よりも上方の所定高さまで上昇可能である。
【0053】
次に、本実施形態の動作について説明する(図7、11、12参照)。図7は、昇降壁部25が下限位置まで下降した様子を示す斜視図である。図11は、昇降壁部25が上限位置まで上昇した様子を示す斜視図である。図12は、給紙トレイ44が上限位置まで上昇した様子を示す斜視図である。
【0054】
昇降壁部25が下限位置に位置する場合、昇降壁部25の上端部が固定壁部23の下端部よりも若干上方に位置しており、昇降壁部25と固定壁部23との間に隙間が生じないようになっている。この場合、昇降壁部25と固定壁部23とで形成される壁の高さが最大となり、給紙トレイ44の容量(積載可能な原稿Gの量)が最大となる。
【0055】
給紙トレイ昇降機構33により給紙トレイ44が上昇すると、昇降壁部25が付勢部材27によって上方に付勢されているため、突起部25Bが規制部44Rの溝44Gの上端部に押し当てられ、給紙トレイ44とともに昇降壁部25も上昇する。このとき、昇降壁部25の凸部嵌合部25T1乃至25T7が固定壁部23の凸部23T1乃至23T7に沿って摺動するとともに昇降壁部25の凹部嵌合部25U1乃至25U6が固定壁部23の凹部23U1乃至23U6に沿って摺動する。
【0056】
昇降壁部25の前後の両端部25Eが制限部23Rの上端部に接触すると(図11参照)、昇降壁部25の上昇が停止し、昇降壁部25が上限位置に到達する。給紙トレイ44がさらに上昇すると、規制部44Rの溝44Gの上端部が昇降壁部25の突起部25Bから離間し、給紙トレイ44のみが上昇する。
【0057】
給紙トレイ44が上限位置に到達した場合(図12参照)、給紙トレイ44の上面の給紙方向Z下流側の端部は、天板部21の上面よりも若干下方に位置する。この場合、昇降壁部25と固定壁部23とで形成される壁の高さが最小となり、給紙トレイ44の容量が最小となる。前述のとおり、固定壁部23の凸部23T1乃至23T7と凹部23U1乃至23U6の上端部は、給紙方向Z下流側が高くなるように傾斜しているため、給紙トレイ44から天板部21に向かって原稿Gがスムーズに給紙される。
【0058】
給紙トレイ44が上限位置から下降に転じ、図11に示される位置に到達すると、規制部44Rの溝44Gの上端部が昇降壁部25の突起部25Bに接触する。給紙トレイ44がさらに下降すると、溝44Gの上端部によって突起部25Bが押し下げられ、給紙トレイ44とともに昇降壁部25が下降する。
【0059】
以上説明した本実施形態に係る原稿搬送装置120によれば、原稿Gが積載される給紙トレイ44と、給紙トレイ44に積載された原稿Gを所定の給紙方向Zに給紙する給紙機構31と、給紙トレイ44を昇降させる給紙トレイ昇降機構33と、給紙方向Z下流側で給紙トレイ44に隣接し、給紙される原稿Gの下面が接触する天板部21と、天板部21の給紙方向Z上流側の端部から下方に設けられ、位置が固定されている固定壁部23と、給紙トレイ44の給紙方向Z下流側の端部から上方に設けられ、固定壁部23に沿って給紙トレイ44とともに昇降する昇降壁部25と、を備える。この構成によれば、固定壁部23と昇降壁部25とで形成される壁によって原稿Gの給紙方向Z下流側の端部の位置決めがなされる。給紙トレイ44を下降させるにつれて、壁の高さが高くなるため、給紙トレイ44の容量が増える。よって、本実施形態によれば、給紙トレイ44の給紙方向Z下流側の壁の上下方向のサイズを大きくせずに給紙トレイ44を大容量化することができる。その結果として、排出トレイ43へ原稿Gを排出する排出口の高さを広範囲に変化させることが可能となるため、排出トレイ43の大容量化も可能となる。
【0060】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置120によれば、固定壁部23は、天板部21の給紙方向Z上流側の端部に沿って間隔を空けて設けられ、給紙トレイ44側に突出し、下端部が開口した中空構造を有する複数の凸部23T1乃至23T7と、複数の凸部23T1乃至23T7と交互に設けられた複数の凹部23U1乃至23U6と、を備え、昇降壁部25は、複数の凸部23T1乃至23T7の内側に嵌合する複数の凸部嵌合部25T1乃至25T7と、複数の凹部23U1乃至23U6の内側に嵌合する複数の凹部嵌合部25U1乃至25U6と、を備える。この構成によれば、複数の凸部嵌合部25T1乃至25T7が複数の凸部23T1乃至23T7に対して摺動するとともに、複数の凹部嵌合部25U1乃至25U6が複数の凹部23U1乃至23U6に対して摺動するから、昇降壁部25をスムーズに、且つ、安定した姿勢で昇降させることができる。
【0061】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置120によれば、昇降壁部25を上方に付勢する付勢部材27を備え、給紙トレイ44は、昇降壁部25の上昇を規制する規制部44Rを備える。この構成によれば、昇降壁部25が給紙トレイ44の給紙方向Z下流側の端部から所定の高さだけ上方に突き出た状態を保つことができる。
【0062】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置120によれば、固定壁部23は、昇降壁部25の上端部の高さが固定壁部23の上端部の高さを超えないように昇降壁部25の上昇を制限する制限部23Rを備える。この構成によれば、昇降壁部25が原稿Gの搬送を妨げないようにすることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置120によれば、給紙トレイ44は、昇降壁部25が上限位置に到達したときの給紙トレイ44の位置よりも上方の所定高さまで上昇可能である。この構成によれば、給紙トレイ44に積載された原稿Gが少量であっても給紙することができる。
【0064】
上記実施形態は以下のように変形されてもよい。
【0065】
上記実施形態では、固定壁部23が複数の凸部23T1乃至23T7、複数の凹部23U1乃至23U6を備え、昇降壁部25が複数の凸部嵌合部25T1乃至25T7、複数の凹部嵌合部25U1乃至25U6を備えた例が示されたが、固定壁部23と昇降壁部25は平板状に形成され、互いに給紙方向Zに対向するように配置されてもよい。
【0066】
上記実施形態では、天板部21と底板部26との間に引張コイルばねが付勢部材27として設けられた例が示されたが、付勢部材27は、昇降壁部25を上方に付勢するものであればいかなるものでもよい。例えば、付勢部材27は、底部40と底板部26との間に設けられた圧縮コイルばねでもよい。
【符号の説明】
【0067】
120 原稿搬送装置
31 給紙機構
33 給紙トレイ昇降機構
21 天板部
23 固定壁部
23T1、23T2、23T3、23T4、23T5、23T6、23T7 凸部
23U1、23U2、23U3、23U4、23U5、23U6 凹部
23R 制限部
25 昇降壁部
25T1、25T2、25T3、25T4、25T5、25T6、25T7 凸部嵌合部
25U1、25U2、25U3、25U4、25U5、25U6 凹部嵌合部
27 付勢部材
44R 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12