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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176935
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】燃料性状判定装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20231206BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20231206BHJP
   F02D 41/40 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
F02D45/00 369
F02D45/00 368Z
F02D41/04
F02D41/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089529
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昇平
(72)【発明者】
【氏名】北御門 祥平
(72)【発明者】
【氏名】成田 浩之
【テーマコード(参考)】
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G301HA02
3G301HA04
3G301HA06
3G301JA21
3G301JA25
3G301LB11
3G301LB13
3G301MA18
3G301NE12
3G301PD01Z
3G301PE03Z
3G301PF03Z
3G384AA03
3G384AA06
3G384AA07
3G384BA15
3G384BA18
3G384BA33
3G384BA34
3G384DA14
3G384EB04
3G384EB10
3G384FA06Z
3G384FA39Z
3G384FA58Z
(57)【要約】
【課題】軽油よりも高セタン価でありかつ低発熱量である燃料を代替燃料として使用する際に、その代替燃料の使用時であることを適正に把握する。
【解決手段】ECU50は、エンジン10の燃焼室12内において燃料噴射弁17から噴射された燃料が着火する着火時期を算出し、その着火時期に基づいて、着火時期が早まる過早着火が生じているか否かを判定する着火時期判定部と、排気中のNOx及びPMの少なくともいずれかを含む特定成分の量を取得し、その特定成分の量に基づいて、特定成分の量が過多となる排気悪化が生じているか否かを判定する排気判定部と、着火時期判定部により過早着火が生じていると判定され、かつ排気判定部により排気悪化が生じていないと判定された場合に、代替燃料が使用されていると判定する燃料判定部と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽油を基準の使用燃料とする一方、軽油よりも高セタン価でありかつ低発熱量である代替燃料の使用を可能とする圧縮着火式の内燃機関(10)に適用され、
前記内燃機関の燃焼室(12)内において燃料噴射弁(17)から噴射された燃料が着火する着火時期を算出し、その着火時期に基づいて、着火時期が早まる過早着火が生じているか否かを判定する着火時期判定部と、
前記燃焼室から排出される排気中のNOx及びPMの少なくともいずれかを含む特定成分の量を取得し、その特定成分の量に基づいて、前記特定成分の量が過多となる排気悪化が生じているか否かを判定する排気判定部と、
所定の燃料判定期間において、前記着火時期判定部により前記過早着火が生じていると判定され、かつ前記排気判定部により前記排気悪化が生じていないと判定された場合に、前記代替燃料が使用されていると判定する燃料判定部と、
を備える燃料性状判定装置(50)。
【請求項2】
前記内燃機関において燃料の着火時期の進角が生じていることに基づいて、前記燃料噴射弁の噴射時期を遅角側に補正する遅角制御部を備え、
前記燃料判定部より前記代替燃料が使用されていると判定された場合に、前記遅角制御部による噴射時期の遅角補正を禁止する補正禁止部を備える、請求項1に記載の燃料性状判定装置。
【請求項3】
前記補正禁止部は、給油後において、前記燃料判定部による燃料判定が完了するまでは、前記遅角制御部による噴射時期の遅角補正を禁止する、請求項2に記載の燃料性状判定装置。
【請求項4】
前記燃料噴射弁から噴射される燃料の圧力を可変とし、前記内燃機関が高負荷であるほど燃料圧力を高くする燃料噴射システムに適用され、
前記着火時期判定部は、前記内燃機関の所定の低負荷運転状態下で算出された前記着火時期に基づいて、前記過早着火が生じていることを判定する、請求項1に記載の燃料性状判定装置。
【請求項5】
前記排気判定部は、前記内燃機関の中高負荷運転時に取得された前記特定成分の量に基づいて、前記排気悪化が生じていないことを判定する、請求項1に記載の燃料性状判定装置。
【請求項6】
前記着火時期判定部は、前記燃料判定期間での前記着火時期のばらつき度合を算出し、前記着火時期のばらつき度合が基準値以上であることに基づいて、前記過早着火が生じていると判定する、請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料性状判定装置。
【請求項7】
前記排気判定部は、前記燃料判定期間での前記特定成分の量のばらつき度合を算出し、前記特定成分の量のばらつき度合が基準値以上であることに基づいて、前記排気悪化が生じていないと判定する、請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料性状判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は燃料性状判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の圧縮着火式の内燃機関では、燃料として主に軽油が用いられている。軽油を燃料として用いる場合に、その軽油の着火のしやすさを示すセタン価が高いと、燃料噴射弁の燃料噴射後において燃料が早期に着火する過早着火が生じ、その過早着火に起因して排気中のNOx量が増加することが考えられる。
【0003】
従来、燃料噴射弁の燃料噴射後における燃料の着火時期が標準の着火時期よりも進角していること、すなわち過早着火が生じていることを検出し、着火時期の進角が検出された場合に、着火時期を遅角させるべく燃料噴射時期を遅角させる制御を行う技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-171818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、軽油の代替燃料として、水素化バイオディーゼル燃料(HVO:Hydro-treated Vegetable Oil)やGTL(Gas To Liquid)燃料の使用が検討されている。これらの代替燃料は、軽油よりも高セタン価であって、かつ低発熱量であることから、内燃機関での燃焼状態に影響が及ぶ。そのため、かかる代替燃料の使用を適正に把握することのできる技術が望まれる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽油よりも高セタン価でありかつ低発熱量である燃料を代替燃料として使用する際に、その代替燃料の使用時であることを適正に把握することのできる燃料性状判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
軽油を基準の使用燃料とする一方、軽油よりも高セタン価でありかつ低発熱量である代替燃料の使用を可能とする圧縮着火式の内燃機関に適用され、
前記内燃機関の燃焼室内において燃料噴射弁から噴射された燃料が着火する着火時期を算出し、その着火時期に基づいて、着火時期が早まる過早着火が生じているか否かを判定する着火時期判定部と、
前記燃焼室から排出される排気中のNOx及びPMの少なくともいずれかを含む特定成分の量を取得し、その特定成分の量に基づいて、前記特定成分の量が過多となる排気悪化が生じているか否かを判定する排気判定部と、
所定の燃料判定期間において、前記着火時期判定部により前記過早着火が生じていると判定され、かつ前記排気判定部により前記排気悪化が生じていないと判定された場合に、前記代替燃料が使用されていると判定する燃料判定部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
圧縮着火式の内燃機関において、軽油を燃料として使用する場合には、過早着火が生じると、それに伴い排気中のNOxやPMが増加する。一方、軽油の代替燃料として、軽油よりも高セタン価であり、かつ低発熱量である燃料を使用する場合には、過早着火が生じるものの、排気のNOxやPMは増加しない。この違いに着目し、所定の燃料判定期間において、内燃機関にて過早着火が生じているか否かを判定するとともに、NOx及びPMの少なくともいずれかを含む特定成分の量が過多となる排気悪化が生じているか否かを判定し、過早着火が生じていると判定され、かつ排気悪化が生じていないと判定された場合に、代替燃料が使用されていると判定するようにした。これにより、軽油よりも高セタン価でありかつ低発熱量である燃料を代替燃料として使用する際に、その代替燃料の使用時であることを適正に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】エンジンの全体概略図。
図2】燃料判定の処理手順を示すフローチャート。
図3】過早着火の判定の処理手順を示すフローチャート。
図4】排気悪化の判定の処理手順を示すフローチャート。
図5】燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャート。
図6】別例における過早着火の判定の処理手順を示すフローチャート。
図7】別例における排気悪化の判定の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る燃料性状判定装置をコモンレール式燃料噴射装置が備えられる多気筒ディーゼルエンジンに適用した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態における多気筒ディーゼルエンジンは、軽油を基準の使用燃料とする一方で、水素化バイオディーゼル燃料(HVO)やGTL燃料を代替燃料として使用することが可能となっている。以下には、代替燃料を使用する場合における燃料性状の判定と燃料噴射制御とについて説明する。エンジンの全体概略図を図1に示す。
【0011】
エンジン10において、シリンダ内には往復動可能にピストン11が収容されている。燃焼室12は、吸気バルブ13を介して吸気通路14に連通されるとともに、排気バルブ15を介して排気通路16に連通されている。エンジン10には、燃焼室12内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁17が設けられている。また、エンジン10には、クランク軸の回転を検出する回転センサ18が設けられている。回転センサ18は、エンジン10の所定クランク角毎に矩形状のクランクパルスを出力するクランクセンサである。実施形態では、回転センサ18は、クランク軸の回転に際し、6°CA毎にクランクパルスを出力する。
【0012】
排気通路16には、排気浄化装置として、排気に含まれる炭化水素、一酸化炭素などを酸化させ浄化するディーゼル酸化触媒21や、排気中のPM等の粒子状成分を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ22、アンモニアによって排気中の窒素酸化物(NOx)を還元する選択還元触媒23が設けられている。また、排気通路16には、燃焼室12から排出される排気中のNOx量を検出するNOxセンサ24が設けられている。
【0013】
燃料タンク31には、燃料配管を介して燃料ポンプ33が接続されている。燃料タンク31から燃料ポンプ33に導入された燃料は、燃料ポンプ33の駆動により高圧化され、高圧化された燃料がコモンレール34へ供給される。燃料配管において、燃料タンク31の下流側であって燃料ポンプ33の上流側には、燃料を濾過する燃料フィルタ32が配置されている。
【0014】
ECU50は、周知の通りCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成された電子制御装置であり、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン10の各種制御を実施する。具体的には、ECU50は、回転センサ18やアクセルセンサ等から入力した各種検出信号に基づいて燃料噴射量を算出するとともに、その燃料噴射量に基づいて燃料噴射弁17の燃料噴射を制御する。
【0015】
また、ECU50は、エンジン10の運転状態に基づいて、燃料噴射弁17から噴射される燃料の圧力を可変に設定する。この場合、ECU50は、エンジン10が高負荷であるほど、燃料圧力を高い圧力に設定する。
【0016】
ところで、軽油を燃料として使用した場合に、その軽油のセタン価が高いと燃料噴射弁17の燃料噴射後において燃料が早期に着火する過早着火が生じる。過早着火が生じると筒内温度及び筒内圧が高い状態で燃料が燃焼するため、NOxやPMが増加することが考えられる。そのため、ECU50は、過早着火を検出し、過早着火が検出された場合に着火時期を遅角させるべく、噴射時期を遅角側に補正する制御を行っている。これにより、NOxやPMの増加が抑制される。
【0017】
一方で、軽油の代替燃料として、水素化バイオディーゼル燃料(HVO)やGTL燃料等のパラフィン燃料の使用が検討されている。このパラフィン燃料は、軽油よりもセタン価が高く、かつ発熱量が低い燃料である。
【0018】
発明者らの知見によれば、パラフィン燃料を使用した場合には、過早着火は生じるものの、排気中のNOx及びPMは増加しないことが見出された。しかしながら、使用している燃料がパラフィン燃料であるのか軽油であるのか把握できていないと、燃料の性状に応じた制御を適正に行うことができなくなる。すなわち、パラフィン燃料を使用した場合において、過早着火が発生していてもNOx及びPMは増加しないため、噴射時期の遅角は不要であるが、不要に噴射時期の遅角を行うと、出力低下に伴う燃費悪化が生じることが懸念される。
【0019】
そこで、本実施形態では、給油後(燃料タンク31への燃料補給後)における所定の燃料判定期間にて燃料判定を行うことにより、燃料としてパラフィン燃料が使用されているか否かを判定し、パラフィン燃料が使用されていると判定された場合に、噴射時期の遅角を行わないこととしている。また、燃料判定として、過早着火が生じているか否かの判定と、NOx量が過多となる排気悪化が生じているか否かの判定とを行い、過早着火が生じていると判定され、かつ排気悪化が生じていないと判定された場合に、パラフィン燃料が使用されていると判定することとしている。
【0020】
図2は、本実施形態における燃料判定の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、IGオン後において所定周期でECU50により実行される。
【0021】
ステップS11では、燃料判定フラグF1が0であるか否かを判定する。燃料判定フラグF1は、燃料判定が完了したか否かを示すフラグであり、燃料の給油時に0にリセットされ、給油後において燃料判定が完了すると1がセットされる。したがって、給油後において燃料判定が未完了である場合には、燃料判定フラグF1が0となり、燃料判定が完了している場合には、燃料判定フラグF1が1となる。燃料判定フラグF1が0となる期間、すなわち給油後において燃料判定フラグF1に1がセットされるまでの期間が燃料判定期間に相当する。給油が行われたか否かの判定は、燃料タンク31内の燃料量センサの検出情報、給油口の開閉情報などに基づいて行われるとよい。
【0022】
燃料判定フラグF1が0であれば、ステップS12に進む。また、燃料判定フラグF1が1であれば、燃料判定が完了しているとして本処理を終了する。ステップS12では、エンジン10において過早着火が生じているか否かを判定する。過早着火の判定に関する処理手順について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0023】
ステップS21では、エンジン10が所定の低負荷運転状態(例えばアイドル運転状態)であるか否かを判定する。このとき、例えば燃料噴射量が所定値以下であること、又は要求トルクやアクセル開度が所定値以下であることに基づいて、エンジン10が低負荷運転状態であることを判定する。エンジン10が低負荷運転状態であれば、ステップS22に進む。エンジン10が低負荷運転状態でなければ、過早着火の判定を終了する。
【0024】
ステップS22では、燃料噴射弁17の燃料噴射後における燃料の着火時期Tを検出する。着火時期Tの検出方法について、具体的には、回転センサ18から出力されるクランクパルスの間隔時間ΔTCAを算出し、間隔時間ΔTCAが所定時間以下となるタイミングを着火時期Tとして検出する。また、回転センサ18に代えて、筒内圧センサ又はトルクセンサを用い、筒内圧センサにより検出される燃焼室12内の圧力変動、又はトルクセンサにより検出されるエンジントルクの変動に基づいて着火時期Tを検出することも可能である。
【0025】
ステップS23では、燃料噴射弁17の燃料噴射から燃料の着火までの経過時間である着火遅れDiを算出する。このとき、噴射時期から着火時期Tまでの時間を着火遅れDiとして算出する。過早着火が生じる場合、すなわち着火時期Tが過剰進角となる場合には、着火遅れDiは短い時間として算出される。
【0026】
ステップS24では、着火時期Tの検出回数mに1を加える。ステップS25では、着火時期Tの検出回数mが所定回数Th1以上であるか否かを判定する。検出回数mが所定回数Th1以上でない場合は、ステップS21に戻り、着火時期Tの検出及び着火遅れDiの算出を再度行う(ステップS21~S24)。ステップS25において、検出回数mが所定回数Th1以上であれば、ステップS26に進み、m回分の着火遅れDiの平均値Daveを算出する。
【0027】
ステップS27では、着火遅れDiの基準となる基準値Dthを設定する。基準値Dthの設定について、具体的には、ベンチ試験等により得られた、燃料として所定のセタン価(標準的なセタン価)の軽油を使用した場合のエンジン低負荷状態(アイドル運転状態)における着火遅れの適合値を基準値Dthとして設定する。又は、車両の組立後の検査(End Of Line)により得られた、燃料として所定のセタン価の軽油を使用した場合のエンジン低負荷状態(アイドル運転状態)における着火遅れの学習値を基準値Dthとして設定する。
【0028】
ステップS28では、平均値Daveが、過早着火の判定閾値である基準値Dthよりも小さいか否かを判定する。平均値Daveが基準値Dthよりも小さければ、ステップS29に進み、着火時期が過剰に進角している、すなわち過早着火が生じていると判定する。平均値Daveが基準値Dthよりも小さくなければ、ステップS29をスキップして、過早着火の判定の処理を終了する。
【0029】
図2に戻り、ステップS12において過早着火の判定を行った後に、ステップS13に進み、排気悪化が生じているか否かの判定を行う。排気悪化の判定に関する処理手順について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
ステップS31では、エンジン10が所定の中高負荷運転状態であるか否かを判定する。このとき、例えば燃料噴射量が所定値以上であること、又は要求トルクやアクセル開度が所定値以上であることに基づいて、エンジン10が中高負荷運転状態であることを判定する。エンジン10が中高負荷運転状態であれば、ステップS32に進む。エンジン10が中高負荷運転状態でなければ、排気悪化の判定を終了する。
【0031】
ステップS32では、排気中のNOx量Eを取得する。NOx量Eは、NOxセンサ24の検出値から取得される。エンジン運転状態に基づいて、燃焼により生じたNOx量Eを推定する構成であってもよい。この場合、例えば燃焼室12に設けられた筒内圧センサにより、燃焼時の筒内圧を検出し、その筒内圧に基づいてNOx量を推定するとよい。
【0032】
ステップS33では、NOx量Eの取得回数nに1を加える。ステップS34では、取得回数nが所定回数Th2以上であるか否かを判定する。取得回数nが所定回数Th2以上でない場合は、ステップS31に戻り、NOx量Eの取得を再度行う(ステップS31~S33)。ステップS34において、取得回数nが所定回数Th2以上であれば、ステップS35に進み、n回分のNOx量Eの平均値Eaveを算出する。
【0033】
ステップS36では、NOx量Eの基準となる基準値Ethを設定する。基準値Ethの設定について、具体的には、ベンチ試験により得られた、所定のセタン価(標準的なセタン価)の軽油を使用した場合の中高負荷運転状態におけるNOx量の適合値を基準値Ethとして設定する。又は、車両の組立後の検査(End Of Line)により得られた、所定のセタン価の軽油を使用した場合の中高負荷運転状態におけるNOx量の学習値を基準値Ethとして設定する。
【0034】
ステップS37では、平均値Eaveが、排気悪化の判定閾値である基準値Ethよりも小さいか否かを判定する。平均値Eaveが基準値Ethよりも小さければ、ステップS38に進み、排気悪化が生じていないと判定する。平均値Eaveが基準値Ethよりも小さくなければ、ステップS38をスキップして、排気悪化の判定の処理を終了する。
【0035】
図2に戻り、ステップS14では、過早着火の判定及び排気悪化の判定が共に完了しているか否かを判定する。過早着火の判定及び排気悪化の判定が共に完了していれば、ステップS15に進む。過早着火の判定及び排気悪化の判定のいずれかが未完了であれば、本処理を一旦終了する。
【0036】
ステップS15では、過早着火が生じており、かつ排気悪化が生じていないと判定されているか否かを判定する。過早着火が生じており、かつ排気悪化が生じていないと判定されていた場合は、燃料としてパラフィン燃料が使用されているとして、ステップS16に進み、燃料としてパラフィン燃料が使用されていることを示すパラフィン燃料フラグF2に1をセットする。ステップS15を否定する場合は、燃料として基準燃料である軽油が使用されているとして、ステップS17に進み、パラフィン燃料フラグF2を0とする。
【0037】
その後、ステップS18では、燃料判定フラグF1に1をセットし、燃料判定の処理を終了する。
【0038】
図5は、本実施形態における燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、ECU50により実行される。
【0039】
図5では、着火時期の進角が生じていることが検出された場合に、燃料噴射弁17の噴射時期を遅角側の補正する遅角制御を行うようにしている。遅角制御を行う際の噴射時期の遅角量は、着火時期の進角度合に応じて設定され、着火時期の進角度合が大きいほど、遅角量は大きく設定される。
【0040】
また、図5では、燃料としてパラフィン燃料が使用されている場合に、不要に噴射時期の遅角が行われることを避けるため、着火時期の進角が生じている場合であっても、パラフィン燃料が使用されていれば、噴射時期の遅角補正を禁止するようにしている。また、過早着火の判定ができなくなることを避けるために、燃料判定が完了するまでは、噴射時期の遅角補正を禁止するようにしている。
【0041】
図5において、ステップS41では、噴射量マップを用い、エンジン回転速度や要求トルクに基づいて燃料噴射量を決定する。ステップS42では、燃料噴射量と燃圧とに基づいて、噴射期間(燃料噴射弁17の通電期間)を算出するとともに、噴射期間とエンジン回転速度とに基づいて噴射時期を決定する。
【0042】
ステップS43では、直前の燃料噴射後において燃料の着火時期の進角が生じているか否かを判定する。この場合、ECU50は、例えばクランクパルスの間隔時間ΔTCAに基づいて燃焼サイクル毎に着火時期を検出し、その着火時期が予め定めた所定時期よりも進角側になっているか否かに基づいて、着火時期の進角が生じているか否かを判定する。なお、燃焼室12内の圧力変動やエンジントルクの変動に基づいて着火時期を検出することも可能である。図3の処理で算出される着火遅れDiに基づいて、着火時期の進角が生じているか否かを判定することも可能である。
【0043】
着火時期の進角が生じていない場合、ステップS44~S46をスキップして、ステップS47に進む。ステップS47では、噴射時期の遅角補正を行わずに燃料噴射を実行する。
【0044】
一方、着火時期の進角が生じている場合は、ステップS44に進む。ステップS44では、燃料判定フラグF1が1にセットされているか否か、すなわち燃料判定が完了しているか否かを判定する。この場合、給油後において燃料判定が完了していなければ(F1=0であれば)、噴射時期の遅角を禁止すべく、ステップS44を否定してステップS47に進む。これにより、給油後に燃料判定が完了するまでの期間において、着火時期の進角が生じていても、噴射時期の遅角補正が行われずに燃料噴射が実行される。
【0045】
また、給油後において燃料判定が完了していれば(F1=1であれば)、ステップS45に進む。ステップS45では、パラフィン燃料フラグF2が0にセットされているか否か、すなわち燃料としてパラフィン燃料が使用されているか否かを判定する。この場合、燃料として軽油が使用されていれば(F2=0であれば)、ステップS46で噴射時期の遅角を行った後、ステップS47で燃料噴射を実行する。
【0046】
また、燃料としてパラフィン燃料が使用されていれば(F2=1であれば)、ステップS46をスキップし、ステップS47で燃料噴射を実行する。これにより、パラフィン燃料が使用されている状況において、着火時期の進角が生じていても、噴射時期の遅角補正が行われずに燃料噴射が実行される。
【0047】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0048】
給油後の所定期間において、エンジン10にて過早着火が生じているか否かを判定するとともに、排気中のNOx量が過多となる排気悪化が生じているか否かを判定し、過早着火が生じており、かつ排気悪化が生じていないと判定された場合に、代替燃料が使用されていると判定するようにした。これにより、軽油よりも高セタン価でありかつ低発熱量であるパラフィン燃料を代替燃料として使用する際に、その代替燃料の使用時であることを適正に把握することができる。
【0049】
代替燃料としてパラフィン燃料が使用される場合には、過早着火が発生しても噴射時期の遅角が不要であり、不要に噴射時期が遅角されると、出力低下が生じることに伴う燃費悪化が懸念される。この点、パラフィン燃料が使用されていると判定された場合に、噴射時期の遅角補正を禁止するようにしたため、噴射時期の遅角が不要に行われることに起因する燃費悪化を抑制することができる。
【0050】
使用燃料の判定は給油の都度行われるが、給油直後において、過早着火の発生に伴い燃料噴射時期の遅角化が行われると、パラフィン燃料の使用時に生じる過早着火の判定が困難になることが懸念される。この点、給油後において燃料判定が完了するまでは、燃料噴射時期の遅角補正を禁止するようにした。これにより、代替燃料としてパラフィン燃料が使用されていることを適正に判定することができる。
【0051】
燃料の着火時期は、燃料噴射弁17からの噴射直後における燃料の揮発性に応じて変動する。また、燃料の揮発性は、燃料圧力に依存して変動する。これらに着目し、エンジン10の低負荷運転時に算出された着火時期Tに基づいて、過早着火が生じていることを判定するようにした。つまり、エンジン10の低負荷運転時には、燃料圧力が低いために燃焼室12内での燃料の揮発性が低く、パラフィン燃料使用時における過早着火を適正に判定することができる。これにより、燃料判定の精度向上が可能となる。
【0052】
また、エンジン10が中高負荷運転状態であれば、排気量が増え、排気中におけるNOx量Eの増減を適正に判定することができる。これにより、燃料判定の精度向上が可能となる。
【0053】
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
【0054】
・パラフィン燃料を使用した場合には、軽油使用時に比べて、燃料の着火性向上に伴い着火時期Tのばらつき度合が大きくなる。この点を考慮し、図3において着火時期Tの平均値を用いた過早着火の判定手法を変更し、着火時期Tのばらつき度合による過早着火の判定を行ってもよい。
【0055】
図6は、着火時期Tのばらつき度合に基づいて過早着火の判定を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。図6の処理は、図3の処理に代えて実施される。図6のステップS51~S55では、図3のステップS21~S25と同様の処理が実施される。
【0056】
ステップS56では、m回分の着火時期Tに基づいて着火時期Tのばらつき度合を示す標準偏差Dσを算出する。なお、ここで算出するものは、着火時期Tのばらつき度合を示すものであればよく、標準偏差に限られない。
【0057】
ステップS57では、標準偏差Dσの基準値Dσthを設定する。この基準値Dσthは、軽油使用時における着火時期Tの標準偏差に基づいて定められているとよい。ステップS58では、標準偏差Dσが基準値Dσthよりも大きいか否かを判定する。標準偏差Dσが基準値Dσthよりも大きければ、ステップS59に進み、過早着火が生じていると判定する。標準偏差Dσが基準値Dσthよりも大きくなければ、過早着火が生じていないとして、ステップS59をスキップして、過早着火の判定を終了する。
【0058】
また、着火時期の平均値及び着火時期のばらつき度合に基づいて過早着火の判定を行ってもよい。この場合、平均値Daveが基準値Dthよりも短く、かつ標準偏差Dσが基準値Dσthよりも大きい場合に、過早着火が生じていると判定するとよい。
【0059】
・パラフィン燃料を使用した場合には、軽油使用時に比べて、着火時期のばらつき度合が大きくなることに起因して燃料燃焼時の筒内圧力や筒内温度のばらつきが大きくなり、NOx量のばらつき度合が大きくなる。この点を考慮して、図4では、NOx量の平均値に基づいて排気悪化の判定を行っているが、これを変更し、NOx量のばらつき度合に基づいて排気悪化の判定を行ってもよい。
【0060】
図7は、NOx量のばらつき度合に基づいて排気悪化の判定を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。図7の処理は、図4の処理に代えて実施される。図7のステップS61~S64では、図3のステップS31~S34と同様の処理が実施される。
【0061】
ステップS65では、n回分のNOx量Eに基づいてNOx量のばらつき度合を示す標準偏差Eσを算出する。なお、ここで算出するものは、NOx量のばらつき度合を示すものであればよく、標準偏差に限られない。
【0062】
ステップS66では、標準偏差Eσの基準値Eσthを設定する。この基準値Eσthは、軽油使用時におけるNOx量Eの標準偏差に基づいて定められているとよい。ステップS67では、標準偏差Eσが基準値Eσthよりも大きいか否かを判定する。標準偏差Eσが基準値Eσthよりも大きければ、ステップS68に進み、排気悪化が生じていないと判定する。標準偏差Eσが基準値Eσthよりも大きくなければ、排気悪化が生じているとして、ステップS68をスキップして、排気悪化の判定を終了する。
【0063】
また、NOx量の平均値及びNOx量のばらつき度合に基づいて排気悪化の判定を行ってもよい。この場合、平均値Eaveが基準値Ethよりも少なく、かつ標準偏差Eσが基準値Eσthよりも大きい場合に、排気悪化が生じていないと判定するとよい。
【0064】
図4の排気悪化の判定では、排気中の特定成分の量としてNOx量を取得し、NOx量に基づいて排気悪化が生じているか否かを判定したが、これを変更してもよい。具体的には、排気通路16に、排気中のPM量を検出するPMセンサを設け、排気中のPM量を取得し、PM量に基づいて排気悪化が生じているか否かを判定してもよい。また、PM量の取得について、排気通路16に設けられた空燃比センサの検出値からPM量を算出し、その値を取得してもよい。例えば、空燃比と、排気の単位体積に含まれる単位PM量との相関を示す相関関係を用い、空燃比センサにより検出された空燃比に基づいて単位PM量を算出するとともに、その単位PM量と、エンジン回転数等により算出された排気流量とに基づいて、PM量を算出するとよい。
【0065】
PM量に基づいて排気悪化が生じているか否かを判定する場合、NOx量に基づいて排気悪化の判定を行う場合と同様に、PM量の平均値を算出し、PM量の基準である基準値を設定し、PM量の平均値が基準値よりも少なければ排気悪化が生じていないと判定し、PM量の平均値が基準値よりも少なくなければ、すなわちPM量の平均値が基準値以上であれば排気悪化が生じていると判定するとよい。
【0066】
また、NOx量及びPM量を取得し、NOx量及びPM量に基づいて排気悪化が生じているか否かを判定してもよい。NOx量及びPM量に基づいて排気悪化が生じているか否かを判定する場合、NOx量の平均値が基準値よりも少なく、かつPM量の平均値が基準値よりも少なければ、排気悪化が生じていないと判定するとよい。
【0067】
図3における過早着火の判定時(ステップS28)において、適合や学習等により設定された基準値Dthを給油量に応じて修正することで、過早着火の判定閾値を設定する構成としてもよい。具体的には、ECU50は、給油後の燃料量に対する給油の追加燃料量の割合を示す給油割合Rを算出するとともに(R=追加燃料量/給油後燃料量)、その給油割合Rに基づいて基準変更量ΔDを算出し、基準値Dthと基準変更量ΔDと基づいて過早着火の判定閾値を可変に設定する。この場合、給油割合Rが小さいほど、判定閾値が大きい値に設定されるとよい。これにより、給油割合Rが小さいほど、過早着火が生じていることが判定されやすくなる。なお、給油割合Rが大きいほど、判定閾値が大きい値に設定される構成であってもよい。
【0068】
図4における排気悪化の判定時(ステップS37)において、適合や学習等により設定された基準値Ethを給油量に応じて修正することで、排気悪化の判定閾値を設定する構成としてもよい。具体的には、ECU50は、給油後の燃料量に対する給油の追加燃料量の割合を示す給油割合Rを算出するとともに(R=追加燃料量/給油後燃料量)、その給油割合Rに基づいて基準変更量ΔEを算出し、基準値Ethと基準変更量ΔEと基づいて排気悪化の判定閾値を可変に設定する。この場合、給油割合Rが小さいほど、判定閾値が大きい値に設定されるとよい。これにより、給油割合Rが小さいほど、排気悪化が生じていないことが判定されやすくなる。なお、給油割合Rが大きいほど、判定閾値が大きい値に設定される構成であってもよい。
【0069】
・上記実施形態では、エンジン10の低負荷運転時に過早着火の判定を行い、中高負荷運転時に排気悪化の判定を行う構成としたが、これを変更してもよい。例えば、過早着火の判定と、排気悪化の判定とを同じエンジン運転状態下で行う構成としてもよい。また、過早着火が生じた燃焼時において排気のNOx悪化が生じているか否かを判定し、過早着火が生じているが、NOx悪化が生じていない場合に、燃料としてパラフィン燃料が使用されていることを判定する構成とすることも可能である。
【0070】
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0071】
上述の実施形態から抽出される技術思想を以下に記載する。
[構成1]
軽油を基準の使用燃料とする一方、軽油よりも高セタン価でありかつ低発熱量である代替燃料の使用を可能とする圧縮着火式の内燃機関(10)に適用され、
前記内燃機関の燃焼室(12)内において燃料噴射弁(17)から噴射された燃料が着火する着火時期を算出し、その着火時期に基づいて、着火時期が早まる過早着火が生じているか否かを判定する着火時期判定部と、
前記燃焼室から排出される排気中のNOx及びPMの少なくともいずれかを含む特定成分の量を取得し、その特定成分の量に基づいて、前記特定成分の量が過多となる排気悪化が生じているか否かを判定する排気判定部と、
所定の燃料判定期間において、前記着火時期判定部により前記過早着火が生じていると判定され、かつ前記排気判定部により前記排気悪化が生じていないと判定された場合に、前記代替燃料が使用されていると判定する燃料判定部と、
を備える燃料性状判定装置(50)。
[構成2]
前記内燃機関において燃料の着火時期の進角が生じていることに基づいて、前記燃料噴射弁の噴射時期を遅角側に補正する遅角制御部を備え、
前記燃料判定部より前記代替燃料が使用されていると判定された場合に、前記遅角制御部による噴射時期の遅角補正を禁止する補正禁止部を備える、構成1に記載の燃料性状判定装置。
[構成3]
前記補正禁止部は、給油後において、前記燃料判定部による燃料判定が完了するまでは、前記遅角制御部による噴射時期の遅角補正を禁止する、構成2に記載の燃料性状判定装置。
[構成4]
前記燃料噴射弁から噴射される燃料の圧力を可変とし、前記内燃機関が高負荷であるほど燃料圧力を高くする燃料噴射システムに適用され、
前記着火時期判定部は、前記内燃機関の所定の低負荷運転状態下で算出された前記着火時期に基づいて、前記過早着火が生じていることを判定する、構成1~3のいずれか1つに記載の燃料性状判定装置。
[構成5]
前記排気判定部は、前記内燃機関の中高負荷運転時に取得された前記特定成分の量に基づいて、前記排気悪化が生じていないことを判定する、構成1~4のいずれか1つに記載の燃料性状判定装置。
[構成6]
前記着火時期判定部は、前記燃料判定期間での前記着火時期のばらつき度合を算出し、前記着火時期のばらつき度合が基準値以上であることに基づいて、前記過早着火が生じていると判定する、構成1~5のいずれか1つに記載の燃料性状判定装置。
[構成7]
前記排気判定部は、前記燃料判定期間での前記特定成分の量のばらつき度合を算出し、前記特定成分の量のばらつき度合が基準値以上であることに基づいて、前記排気悪化が生じていないと判定する、構成1~6のいずれか1つに記載の燃料性状判定装置。
【符号の説明】
【0072】
10…エンジン、12…燃焼室、17…燃料噴射弁、50…ECU。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7