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  • 特開-水処理方法および水処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176937
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】水処理方法および水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20230101AFI20231206BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20231206BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20231206BHJP
   B01D 21/18 20060101ALI20231206BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C02F3/34 101A
B01D53/22
C02F1/44 F
C02F3/34 101D
B01D21/18 G
B01D21/24 G
C02F3/34 101B
C02F3/34 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089532
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】石川 英之
(72)【発明者】
【氏名】松前 大樹
(72)【発明者】
【氏名】蒲池 一将
(72)【発明者】
【氏名】岡田 滋
【テーマコード(参考)】
4D006
4D040
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006KA31
4D006KB22
4D006KB23
4D006KB25
4D006MA01
4D006PB08
4D006PB62
4D006PB63
4D006PC62
4D006PC67
4D040BB05
4D040BB07
4D040BB42
4D040BB57
4D040BB63
4D040BB82
(57)【要約】
【課題】消費電力を削減しつつ、高度処理を行うことができる水処理方法が提供される。
【解決手段】水処理方法は、沈殿池10内に設置した酸素透過膜11によって、有機性排水中の有機物を分解し、アンモニア性窒素を硝化する生物処理工程と、沈殿池10の底部に沈降した汚泥を収集する汚泥収集工程と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも集泥部を備える沈殿池内に設置した酸素透過膜によって、有機性排水中の有機物を分解し、アンモニア性窒素を硝化する生物処理工程と、
前記沈殿池の底部に沈降した汚泥を収集する汚泥収集工程と、を備える、水処理方法。
【請求項2】
前記沈殿池は、前記有機性排水が流入する最初沈殿池に相当し、
攪拌機を前記最初沈殿池に設置し、かつ返送汚泥の少なくとも一部を前記最初沈殿池に戻すことによって、前記最初沈殿池を活性汚泥の存在する無酸素槽として機能させる、請求項1に記載の水処理方法。
【請求項3】
前記最初沈殿池への返送汚泥量は、流入する有機性排水量の30%~100%である、請求項2に記載の水処理方法。
【請求項4】
少なくとも集泥部を備える沈殿池内に設置された、有機性排水中の有機物を分解し、かつアンモニア性窒素を硝化する生物膜を表面に付着させた酸素透過膜と、
前記沈殿池の底部に設置された汚泥掻き寄せ機と、を備える、水処理装置。
【請求項5】
前記沈殿池は、前記有機性排水が流入する最初沈殿池に相当し、
前記水処理装置は、前記最初沈殿池に設置された攪拌機を備えており、かつ返送汚泥の少なくとも一部を前記最初沈殿池に戻すことによって、前記最初沈殿池を活性汚泥の存在する無酸素槽として機能させる、請求項4に記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理方法および水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭や工場等から排出される排水は、活性汚泥法で処理されるのが主流である。排水に含まれる有機物は、生物反応槽で酸化および分解される。排水に含まれるアンモニア性窒素は、生物反応槽の前段での有機物の吸着分解後に、生物反応槽の後段における硝化槽で硝化されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-151625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンモニア性窒素の硝化(すなわち、硝化菌の作用によりアンモニア性窒素を硝酸態窒素に変換する処理)および脱窒(すなわち、脱窒菌の作用により硝酸態窒素を窒素ガスに還元する処理)を行う高度処理の場合、従来の技術では、必要とされる反応槽の容量および供給空気量がBOD(生物化学的酸素要求量)除去のみを行う場合の約2倍となる。したがって、敷地上の制約、消費電力の増大から、高度処理の普及が遅れていた。特に昨今は、カーボンニュートラルの観点から消費電力の削減が強く求められており、客先は、高度処理を行いながら、同時に消費電力も削減することを求めている。
【0005】
そこで、本発明は、消費電力を削減しつつ、高度処理を行うことができる水処理方法および水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、少なくとも集泥部を備える沈殿池内に設置した酸素透過膜によって、有機性排水中の有機物を分解し、アンモニア性窒素を硝化する生物処理工程と、前記沈殿池の底部に沈降した汚泥を収集する汚泥収集工程と、を備える、水処理方法が提供される。
【0007】
一態様では、前記沈殿池は、前記有機性排水が流入する最初沈殿池に相当し、攪拌機を前記最初沈殿池に設置し、かつ返送汚泥の少なくとも一部を前記最初沈殿池に戻すことによって、前記最初沈殿池を活性汚泥の存在する無酸素槽として機能させる。
一態様では、前記最初沈殿池への返送汚泥量は、流入する有機性排水量の30%~100%である。
【0008】
一態様では、少なくとも集泥部を備える沈殿池内に設置された、有機性排水中の有機物を分解し、かつアンモニア性窒素を硝化する生物膜を表面に付着させた酸素透過膜と、前記沈殿池の底部に設置された汚泥掻き寄せ機と、を備える、水処理装置が提供される。
【0009】
一態様では、前記沈殿池は、前記有機性排水が流入する最初沈殿池に相当し、前記水処理装置は、前記最初沈殿池に設置された攪拌機を備えており、かつ返送汚泥の少なくとも一部を前記最初沈殿池に戻すことによって、前記最初沈殿池を活性汚泥の存在する無酸素槽として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
沈殿池内に酸素透過膜を設置することにより、消費電力を削減しつつ、高度処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】水処理装置を示す図である。
図2】酸素透過膜の一部を示す図である。
図3図3(a)および図3(b)は、最初沈殿池設備の拡大図である。
図4図4(a)および図4(b)は、最終沈殿池設備の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、水処理装置を示す図である。図1に示すように、水処理装置1は、有機性排水中の有機物を分解し、アンモニア性窒素を硝化する最初沈殿池設備2と、最初沈殿池設備2で処理された処理水を生物処理する生物反応槽設備3と、生物反応槽設備3で処理された処理水を最終処理する最終沈殿池設備4と、を備えている。これら複数の設備2,3,4を備える水処理装置1は、水処理システムと呼ばれてもよい。
【0013】
最初沈殿池設備2は、流入する有機性排水を貯留する最初沈殿池10と、最初沈殿池10内に設置された酸素透過膜11と、酸素透過膜11に連結され、かつ空気(または純酸素)を酸素透過膜11に供給するブロワ12と、最初沈殿池10の底部に配置された往復動式の汚泥掻き寄せ機15と、を備えている。酸素透過膜とは、膜の内側に存在するガス中の酸素を分子状で膜を透過させて外側の液体に供給するものであるが、近年MABR(Membrane Aerated Bio-Reactor)として、水処理で採用されている。酸素透過膜11を備える最初沈殿池設備2は、言い換えれば、生物処理機能付き最初沈殿池と呼ばれてもよい。
【0014】
図1に示す実施形態では、水処理装置1は、複数の酸素透過膜11を備えているが、少なくとも1つの酸素透過膜11を備えてもよい。水処理装置1に適用可能な有機性排水の一例として、生物分解可能な有機分と、ケルダール窒素と、を含有する排水(生活排水、一般下水等)を挙げることができる。
【0015】
最初沈殿池10を、有機性排水が流入する流入側エリアと、有機性排水が流出する流出側エリアと、に分けた場合、酸素透過膜11は、最初沈殿池10の流出側エリアに配置されている。酸素透過膜11は、優れた酸素移動効率を有しており、そのガス分離膜の表面に硝化菌を優先的に増殖させるという特性を有している。酸素透過膜11を最初沈殿池10に設置することにより、有機性排水中の有機物の処理能力を向上させると同時に省エネを図ることができる。
【0016】
図2は、酸素透過膜の一部を示す図である。酸素透過膜(より具体的には、生物膜保持型メンブレン酸素供給装置)11は、酸素を選択的に透過する中空糸膜(すなわち、ガス分離膜)の束に生物膜を付着させ、有機物や窒素などの物質を除去することができる装置である。酸素透過膜11は、安定した高い高度処理(硝化および脱窒)性能を有している。より具体的には、酸素透過膜11は、ガス分離膜の表面に生物膜を保持することができるため、安定的な生物反応を行うことができる。
【0017】
酸素透過膜11は、酸素濃度勾配によって、ブロワ12(図1参照)からガス分離膜に供給された空気(または純酸素)の移動を可能にする。したがって、ブロワ12の消費電力を抑制することができ、結果として、酸素透過膜11は、一般的なメンブレン散気装置による曝気よりも送気圧力を小さくすることができる。結果として、水処理装置1の全体の省エネ(従来の技術と比較して、30%~50%)を実現することができる。
【0018】
従来の技術では、脱窒のために硝化液の循環が必要であり、硝化液を循環させるための循環ポンプの設置が必要となる。結果として、循環ポンプを運転するための動力も必要となる。酸素透過膜11(より具体的には、酸素透過膜11の表面に増殖する生物膜)は、ガス分離膜の表面付近では、硝化菌を多く増殖させ、ガス分離膜から離れた位置では、脱窒菌を多く増殖させることができる。
【0019】
酸素透過膜11を最初沈殿池10で使用する場合、ガス分離膜の表面に付着した生物膜は、ガス分離膜の表面に近接する位置で硝化を行い、ガス分離膜の表面から離れた位置で脱窒を行うことができる。このように、酸素透過膜11は、効率的な高度処理を可能にするため、硝化液の循環を必要とせず、循環ポンプは不要である。
【0020】
既存の下水処理場の大部分は、歴史的な経緯からBOD除去を主目的として設計および建設されており、既存の下水処理場の、硝化および脱窒を実現する高度処理施設への転換は、スペースおよび消費動力の点から容易ではない。その一方で、既存の処理施設では、最初沈殿池を部分的に休止して運転している処理場も多く、最初沈殿池が十分に活用されているとは言えない状況がある。これは、以下に列挙する理由から、最初沈殿池で有機分の除去率を落とすために、既存の沈殿池のすべてを使用するのではなく、沈殿池を部分的に使用するということによるものである。理由1:最初沈殿池の設計水面積負荷に余裕がある。理由2:実流入水量が設計水量に達さない。理由3:反応槽で生物脱窒を行なう場合に有機物が必要である。
【0021】
本実施形態によれば、既存の処理施設で運転可能な最初沈殿池10の一部を改造して、酸素透過膜11を既存の最初沈殿池10に設置することにより、最初沈殿池10の機能を活かしながら、高度処理を行うことができる。なお、酸素透過膜11は、既存の最初沈殿池10に限らず、新設の最初沈殿池10にも適用可能である。
【0022】
特許文献1は、酸素透過膜を嫌気性処理反応槽に設置して、排水を処理した後、処理された処理水を好気性処理槽に流入させる構成を開示している。しかしながら、特許文献1は、水処理装置1のように、酸素透過膜11を最初沈殿池10に設置する構成を開示していない。したがって、本実施形態に係る水処理装置1は、特許文献1に開示された構成とは異なる構成を有している。
【0023】
大都市の下水処理場においては、歴史的な経緯から合流式下水を処理することが多く、雨天時には晴天時時間最大水量:Qshを超える流入水(排水)は、最初沈殿池で沈殿処理されるのみで、その後、放流される。したがって、雨天時の放流水の水質が悪化してしまう。そこで、合流式下水処理水質の改善が望まれてきた。既存の標準活性汚泥法の処理場でも、放流先の水質条件によってはアンモニア性窒素の許容値が低濃度である場合がある。この場合には、処理水の硝化が必要となる。少水量の排水処理(数十m/日以下等)において、沈殿処理された排水を放流されるような場合には、排水は、生物処理を経ていないので、排水は、汚濁物質(BODやアンモニア性窒素)の除去がされないまま放流されることになり、環境悪化につながる。
【0024】
酸素透過膜11を最初沈殿池10に設置することにより、合流式下水処理場で、雨天時における放流される排水の水質を改善したり、沈殿処理水の水質を向上させることができ、BODおよびアンモニア性窒素を一定量除去することができる。
【0025】
図1に戻り、最初沈殿池10に配置された酸素透過膜11は、最初沈殿池10で固液分離された有機性排水を生物処理して高度処理を促進する。酸素透過膜11によって、有機性排水中の有機物を高度処理する工程は、生物処理工程と呼ばれる。
【0026】
図3(a)および図3(b)は、最初沈殿池設備の拡大図である。固液分離された汚泥は、最初沈殿池10の底部に沈降する。最初沈殿池10の底部は傾斜している。汚泥掻き寄せ機15は、その往復動作により、沈降分離された汚泥を、最初沈殿池10の流入側エリアに配置された汚泥ピット10aに集めるように構成されている。最初沈殿池10の底部に沈降した汚泥を収集する工程は、汚泥収集工程と呼ばれる。
【0027】
傾斜する底部および汚泥ピット10aは、最初沈殿池10の集泥部を構成している。汚泥ピット10aに集められた汚泥は、最初沈殿汚泥として汚泥処理設備40に送られる。汚泥ピット10aに集められた汚泥を引き抜くための引き抜き配管(図示しない)と、引き抜き配管を通じて汚泥を汚泥処理設備40に搬送するためのポンプ(図示しない)と、は、最初沈殿池10の排泥部を構成している。
【0028】
酸素透過膜11で部分的に硝化および脱窒処理された処理水は、最初沈殿池10の流出側エリアに配置された越流堰10bを経て、生物反応槽設備3に流入する。生物反応槽設備3は、処理水をさらなる高度処理するための設備である。生物反応槽設備3に流入する前に、有機性排水を最初沈殿池設備2で部分的に硝化および脱窒処理することにより、生物反応槽設備3における生物処理の負荷を軽減することができる。
【0029】
生物反応槽設備3は、最初沈殿池設備2で処理された処理水を貯留する生物反応槽20を備えている。生物反応槽20は、その内部を無酸素槽26および好気槽27に区画する隔壁20aを備えている。
【0030】
無酸素槽26は生物反応槽20の流入側エリアに配置されており、好気槽27は生物反応槽20の流出側エリアに配置されている。最初沈殿池設備2で処理された処理水は、まず、生物反応槽20の無酸素槽26に流入する。生物反応槽設備3は、無酸素槽26に配置された攪拌機23を備えている。無酸素槽26に流入した処理水は、攪拌機23によって攪拌されながら、隔壁20aの下部を通って、好気槽27に流れ込む。生物反応槽設備3は、必要に応じて、生物反応槽20の無酸素槽26に配置された酸素透過膜21をさらに備えてもよい。
【0031】
生物反応槽設備3は、好気槽27の下部に配置された曝気装置25と、曝気装置25に気体を供給するブロワ22と、を備えている。曝気装置25は、ブロワ22の動作によって好気槽27内に酸素含有気体を供給するように構成されている。好気槽27内で曝気された処理水は、最終沈殿池設備4に流入する。
【0032】
図4(a)および図4(b)は、最終沈殿池設備の拡大図である。最終沈殿池設備4は、最終沈殿池30と、最終沈殿池30の底部に配置された往復動式の汚泥掻き寄せ機35と、を備えている。
【0033】
最終沈殿池30の底部は、最初沈殿池10と同様に、傾斜している。汚泥掻き寄せ機35は、その往復動作により、沈降分離された汚泥を、最終沈殿池30の流入側エリアに配置された汚泥ピット30aに集めるように構成されている。最終沈殿池30の底部に沈降した汚泥を収集する工程は、汚泥収集工程と呼ばれる。
【0034】
汚泥ピット30aに集められた汚泥の一部は、余剰汚泥として汚泥処理設備40に送られる。最終沈殿池30は、最初沈殿池10と同様に、汚泥を集める集泥部と、汚泥を排出する排泥部と、を備えてもよい。最初沈殿池設備2で分離された汚泥を最初沈殿池10から引き抜けば、最終沈殿池30からの汚泥の引き抜きが不要となる。
【0035】
図1に示すように、最終沈殿池設備4は、処理水の高度処理を行うために、最終沈殿池30内に設置された酸素透過膜31と、酸素透過膜31に連結され、かつ空気(または純酸素)を酸素透過膜31に供給するブロワ32と、を備えてもよい。これら酸素透過膜31およびブロワ32は、必要に応じて配置される。酸素透過膜31を備える最終沈殿池設備4は、言い換えれば、生物処理機能付き最終沈殿池と呼ばれてもよい。
【0036】
最終沈殿池設備4は、生物反応槽設備3で処理された処理水を固液分離するための設備である。図示しないが、最終沈殿池設備4は、最終沈殿池30内に配置されたチェーンと、チェーンにより駆動され、かつ最終沈殿池30内の汚泥を掻き寄せるフライト板と、チェーンを駆動する駆動装置と、を備えてもよい。
【0037】
最終沈殿池設備4で固液分離された処理水は、最終沈殿池30の流出側エリアに配置された越流堰30bを経て、水処理装置1の後続の(塩素混和設備等の)設備に送られる。最終沈殿池30から引き抜かれた汚泥の大部分(余剰汚泥を除く)は、返送汚泥として、生物反応槽設備3に返送される。
【0038】
一実施形態では、返送汚泥の一部または全部は、最初沈殿池設備2に返送されてもよい。最初沈殿池10への返送汚泥量は、水処理装置1に流入する有機性排水量の30%~100%であることが望ましい。このような量の汚泥を最初沈殿池設備2に戻すことにより、酸素透過膜11の機能を十分に発揮することができる。
【0039】
返送汚泥を受け入れて、最初沈殿池10を、活性汚泥の存在する無酸素槽として使用する場合には、原則として、固液分離は行われない。この場合、最初沈殿池設備2は、攪拌機13を備えている(図1および図3参照)。返送汚泥は、活性汚泥として、最初沈殿池10内の原水(有機性排水)との混合液となり、混合液は、越流堰10bを越流して生物反応槽20に流入する。この場合であっても、最初沈殿池10の底部に沈降する汚泥は、汚泥掻き寄せ機15によって、定期的に汚泥ピット10aに集められ、定期的に汚泥処理設備40に送られる。
【0040】
上述した実施形態では、攪拌機13,23のそれぞれは、水中攪拌機であるが、攪拌機の種類として、水中攪拌機には限定されない。一実施形態では、攪拌機13,23のそれぞれは、縦型攪拌機であってもよい。設置スペースと、槽内における汚泥の、水平方向への流動化と、の観点から、攪拌機13,23のそれぞれは、水中攪拌機であることが好ましい。
【0041】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 水処理装置
2 最初沈殿池設備
3 生物反応槽設備
4 最終沈殿池設備
10 最初沈殿池
10a 汚泥ピット
10b 越流堰
11 酸素透過膜
12 ブロワ
13 攪拌機
15 汚泥掻き寄せ機
20 生物反応槽
20a 隔壁
21 酸素透過膜
22 ブロワ
23 攪拌機
25 曝気装置
26 無酸素槽
27 好気槽
30 最終沈殿池
30a 汚泥ピット
30b 越流堰
31 酸素透過膜
32 ブロワ
35 汚泥掻き寄せ機
40 汚泥処理設備
図1
図2
図3
図4