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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176947
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20231206BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20231206BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20231206BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20231206BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20231206BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20231206BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20231206BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20231206BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20231206BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20231206BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20231206BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20231206BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20231206BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231206BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/237
F21S43/245
F21S43/249
F21S43/14
F21S43/27
F21V8/00 310
F21V8/00 330
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:55
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089547
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一貴
(72)【発明者】
【氏名】井村 瞭平
(72)【発明者】
【氏名】黒田 真之佑
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA20
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA08
3K244EA15
3K244EA22
3K244EA23
3K244ED02
3K244ED13
3K244ED14
3K244ED17
(57)【要約】
【課題】2つの導光体が交差する交差部における点光りの発生を防ぐことによって、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源と、棒状の導光体4とを含む複数の発光ユニット11A,11Bを備え、複数の発光ユニット11A,11Bは、少なくとも一方の先端側において車両用灯具の前後方向に導光体41,42を配置し、前側の導光体42の発光部Sの一部と、後側の導光体41の先端側とが正面視において交差する交差部12Bを有し、交差部12Bにおいて、後側の導光体41の先端側には、反射カット14aが設けられていない。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、棒状の導光体とを含み、前記光源から出射された光を前記導光体の基端側に設けられた入射部から前記導光体の内部へと入射し、前記導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記導光体の正面側から前記導光体の外部へと出射することによって、前記導光体の正面側に設けられた発光部を発光させる複数の発光ユニットを備え、
前記複数の発光ユニットは、少なくとも一方の前記先端側において車両用灯具の前後方向に前記導光体を配置し、
前側の導光体の発光部の一部と、後側の導光体の先端側とが正面視において交差する交差部を有し、
前記交差部において、前記後側の導光体の先端側には、前記反射カットが設けられていないことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記後側の導光体の先端面は、当該先端面に入射した光を正面側以外の方向に向けて反射又は透過させるように、前記後側の導光体の軸線方向に対して背面側に傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記後側の導光体の先端側には、前記車両用灯具の背面側に向かって湾曲した湾曲部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記後側の導光体を保持する第1の受部と、前記前側の導光体を保持する第2の受部とを含むブラケットを備え、
前記交差部において、前記後側の導光体の前記反射カットが設けられていない先端側の背面側に前記第1の受部が配置され、前記後側の導光体の正面側と前記前側の導光体の背面側との間に前記第2の受部が配置されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記交差部を正面視したときに、前記後側の導光体の前記反射カットが設けられていない先端側と、前記前側の導光体とが直交していることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、棒状の導光体(導光棒)とを組み合わせたものが知られている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の基端側に設けられた入射部から導光体の内部へと入射し、導光体の内部で反射を繰り返しながら、導光体の先端側に向けて光を導光させる。また、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を導光体の正面側から導光体の外部へと出射する。これにより、導光体の正面側に設けられた発光部をライン状に発光させることが可能となっている。
【0004】
また、下記特許文献1には、2本の導光体が光を外部に出射させる出射方向に立体交差するように配置して、2本の導光体が1つの連続した導光体として視認されるように、立体交差部分に形成される空間を覆う付加レンズ部を設けた車両用導光体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-197576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した下記特許文献1に記載の車両用導光体では、2本の導光体の立体交差部分において、2つの導光体から出射される光が重なり合うことから、この部分が周囲に比べて強く光って見える、いわゆる点光りによって、均一な発光が得られなくなる。このため、発光部の視認性や見栄えが低下するなどの点灯フィーリングの悪化が問題となっている。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、2つの導光体が交差する交差部における点光りの発生を防ぐことによって、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、棒状の導光体とを含み、前記光源から出射された光を前記導光体の基端側に設けられた入射部から前記導光体の内部へと入射し、前記導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記導光体の正面側から前記導光体の外部へと出射することによって、前記導光体の正面側に設けられた発光部を発光させる複数の発光ユニットを備え、
前記複数の発光ユニットは、少なくとも一方の前記先端側において車両用灯具の前後方向に前記導光体を配置し、
前側の導光体の発光部の一部と、後側の導光体の先端側とが正面視において交差する交差部を有し、
前記交差部において、前記後側の導光体の先端側には、前記反射カットが設けられていないことを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記後側の導光体の先端面は、当該先端面に入射した光を正面側以外の方向に向けて反射又は透過させるように、前記後側の導光体の軸線方向に対して背面側に傾斜して設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記後側の導光体の先端側には、前記車両用灯具の背面側に向かって湾曲した湾曲部が設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記後側の導光体を保持する第1の受部と、前記前側の導光体を保持する第2の受部とを含むブラケットを備え、
前記交差部において、前記後側の導光体の前記反射カットが設けられていない先端側の背面側に前記第1の受部が配置され、前記後側の導光体の正面側と前記前側の導光体の背面側との間に前記第2の受部が配置されていることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記交差部を正面視したときに、前記後側の導光体の前記反射カットが設けられていない先端側と、前記前側の導光体とが直交していることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、2つの導光体が交差する交差部における点光りの発生を防ぐことによって、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。
図2図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具の断面図において、正面視による光の光路を説明するための図である。
図3図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具の断面図において、側面視による光の光路を説明するための図である。
図4】第1の導光体と第2の導光体とが交差する交差部の構成を示す正面図である。
図5図4中に示す線分B-Bによる交差部の構成を示す断面図である。
図6】ブラケットの変形例を示す断面図である。
図7】第1の導光体の変形例を示す断面図である。
図8】第1の導光体と第2の導光体とが交差する交差部の別の構成例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
本発明の一実施形態として、例えば図1図5に示す車両用灯具1について説明する。
なお、図1は、車両用灯具1Aの構成を示す正面図である。図2は、図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具1の断面図において、正面視による光Lの光路を説明するための図である。図3は、図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具1の断面図において、側面視による光Lの光路を説明するための図である。図4は、第1の導光体と第2の導光体とが交差する交差部の構成を示す正面図である。図5は、図4中に示す線分B-Bによる交差部の構成を示す断面図である。
【0013】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0014】
本実施形態の車両用灯具1は、図1に示すように、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部(本実施形態では右後端側のコーナー部)に搭載されるリアコンビネーションランプのうち、赤色発光するテールランプTLLに本発明を適用したものである。
【0015】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0016】
本実施形態の車両用灯具1は、図1図5に示すように、灯体2の内側に、複数(本実施形態では2つ)の光源3A,3Bと、第1のインナーレンズ4と、ブラケット5と、第2のインナーレンズ6と、エクステンション7とが配置された構成を有している。
【0017】
灯体2は、前面が開口したハウジング8と、ハウジング8の開口を覆う透明なアウターレンズ(カバーレンズ)9とにより構成されている。本実施形態の車両用灯具1では、テールランプTLLの発光部Sとして、灯体2の正面側を略矩形枠状(ロの字状)に赤色発光させる場合を例示している。なお、灯体2の形状及び発光部Sの形状については、車両のデザイン等に合わせて適宜変更することが可能である。
【0018】
光源3A,3Bは、図4に示すように、例えば、赤色光(以下、単に「光」という。)L1,L2を発するLEDからなり、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板10A,10Bの面上に実装されて、車両後方に向けて光L1,L2を放射状に出射する。回路基板10A,10Bは、ハウジング8とブラケット5との間に配置されている。
【0019】
第1のインナーレンズ4は、図2図5に示すように、複数の光源3A,3Bの各々に対応して、各光源3A,3Bから出射された光L1,L2を導光させる複数(本実施形態では2つ)の導光体41,42を含み、これら複数の導光体41,42を組み合わせることで、上述した発光部Sの形状に対応した1つの導光レンズを構成している。導光体41,42は、例えば、ポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂又はガラスなどの光透過性部材からなる。
【0020】
本実施形態では、複数の光源3A,3B及び複数の導光体41,42のうち、第1の光源3Aと第1の導光体41とが第1の発光ユニット11Aを構成し、第2の光源3Bと第2の導光体42とが第2の発光ユニット11Bを構成している。
【0021】
第1のインナーレンズ4は、複数の発光ユニット11A,11Bのうち、何れか一方の発光ユニット(本実施形態では第1の発光ユニット11A)を構成する後側の導光体(本実施形態では第1の導光体41)の先端側と、何れか他方の発光ユニット(本実施形態では第2の発光ユニット11B)を構成する前側の導光体(本実施形態では第2の導光体42)とが正面視において交差する交差部12A,12Bを有している。
【0022】
すなわち、この第1のインナーレンズ4は、棒状の第1の導光体41と棒状の第2の導光体42とを交差部12A,12Bにおいて前後方向に重ね合わせた状態で配置することで、正面視において略矩形枠状(ロの字状)に形成されている。
【0023】
具体的に、第1の導光体41は、正面視において、右下にある第1の光源3Aと対向する基端側から前方に向かって延在する第1の導光部41aと、第1の導光部41aの先端から分岐部41bを介して左方向に向かって延在する第2の導光部41cと、分岐部41bを介して上方に向かって延在しながら左方向に湾曲した後、左方向に向かって延在する第3の導光部41dとを有している。
【0024】
第2の導光体42は、正面視において、左下にある第2の光源3Bと対向する基端側から前方に向かって延在する第4の導光部42aと、第4の導光部42aの先端から上方向に向かって延在する第5の導光部42bとを有している。
【0025】
第1のインナーレンズ4は、正面視において、第2の導光部の41cの先端部と、第5の導光部42bの中途部とが交差(本実施形態では直交)した第1の交差部12Aと、第3の導光部の41dの先端部と、第5の導光部42bの先端部とが交差(本実施形態では直交)した第2の交差部12Bとを有している。
【0026】
なお、本実施形態において、第1の交差部12Aと第2の交差部12Bとは基本的に同じ構成を有することから、第2の交差部12B側を図示しながら、その構成を説明するものとする。
【0027】
第1の発光ユニット11Aは、第1の光源3Aから出射された光L1を第1の導光体41(第1の導光部41a)の基端側に設けられた入射部13aから第1の導光体41の内部へと入射し、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の先端側に向けて光L1を導光させると共に、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の背面側に設けられた複数の反射カット14aで反射された光L1を第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の正面側に設けられた出射部15aから第1の導光体41の外部へと出射する。
【0028】
第2の発光ユニット11Bは、第2の光源3Bから出射された光L2を第2の導光体42(第4の導光部42a)の基端側に設けられた入射部13bから第2の導光体42の内部へと入射し、第2の導光体42(第5の導光部42b)の先端側に向けて光L2を導光させると共に、第2の導光体42(第5の導光部42b)の背面側に設けられた複数の反射カット14bで反射された光L2を第2の導光体42(第5の導光部42b)の正面側に設けられた出射部15bから第2の導光体42の外部へと出射する。
【0029】
これにより、第1の導光体41(第1の導光部41a)の出射部15aと第2の導光体42(第5の導光部42b)の出射部15bを発光させることによって、第1の導光体41と第2の導光体42の正面側に発光部Sを作成することができる。
【0030】
入射部13a,13bは、導光体41,42の基端側に位置して、光源3A,3Bと対向する平坦(平面)な入射面を有している。入射部13a,13bは、この入射面から光源3A,3Bから出射された光L1,L2を導光体41,42の内部へと入射する。なお、入射部13A,13bについては、上述した平坦(平面)な入射面を有する構成に限らず、光源3A,3Bから放射状に出射された光L1,L2を平行化又は集光しながら、導光体41,42の内部へと入射するレンズ形状を有する構成であってもよい。
【0031】
複数の反射カット14a,14bは、導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の背面側に入射した光L1,L2を導光体41,42の正面側から外部へと出射(透過)する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。
【0032】
本実施形態では、例えば、導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の背面側の中央部を導光体41,42の軸線方向とは直交する方向に切り欠く断面略三角形状の溝部が導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の軸線方向に並ぶことによって構成されている。
【0033】
また、複数の反射カット14a,14bは、後述する出射部15a,15bから出射される光L1,L2を導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)が延在する方向に均一化するため、導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の一端側(入射部13a,13b側)から他端側に向かって、反射カット14a,14bを形成する溝部の深さが漸次深くなっている。若しくは、導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の一端側から他端側に向かって、複数の反射カット14a,14bの隣り合う間隔が漸次狭くなっていてもよい。
【0034】
また、導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の背面側の中央部(複数の反射カット14a,14b)を挟んだ両側には、一対の反射面14cが設けられている。
【0035】
一対の反射面14cは、導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の軸線方向とは直交する鉛直方向の断面(以下、「鉛直断面」という。)において、円弧状に湾曲した凹状の曲面により構成されている。なお、一対の反射面14cは、必ずしも必要な構成ではなく、場合によって省略することも可能である。この場合、例えば、導光体41,42は軸線方向と直交する断面では、略円形や矩形形状を有してもよい。
【0036】
出射部15a,15bは、導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の正面側に位置して、導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の軸線方向に連続した出射面を有している。出射面は、導光体41,42(第2の導光部41c、第3の導光部41d及び第5の導光部42b)の鉛直断面において、円弧状に湾曲した凸状の曲面により構成されている。
【0037】
なお、出射部15a,15bには、この出射面から外部に向けて出射される光L1,L2を拡散させるための複数の拡散カット(図示せず。)が設けられた構成であってもよい。拡散カットとしては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。また、この拡散カットの形状等を調整することによって、出射面から出射される光L1,L2の拡散度合いを制御することが可能である。
【0038】
第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)には、反射カット14aが設けられていないことにより非発光となる非発光部Dが交差部12A,12Bから先端に亘って設けられている。すなわち、反射カット14aは、正面視において、第2の導光体42(第5の導光部42b)と重ならない範囲で設けられている。
【0039】
また、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の先端面41eは、当該先端面41eに入射した光L1を正面側以外の方向に向けて反射又は透過させるように、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の軸線方向に対して背面側に傾斜して設けられている。
【0040】
ブラケット5は、有色(例えば黒色)の遮光部材からなり、ハウジング8と第1のインナーレンズ4との間に配置されている。ブラケット5は、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)を背面側から保持する第1の受部5aと、第2の導光体42(第5の導光部42b)を背面側から保持する第2の受部5bとを有している。
【0041】
第1の受部5aは、交差部12A,12Bにおいて、非発光部Dを除く第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の背面側に配置されている。
【0042】
第2の受部5bは、交差部12A,12Bにおいて、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の正面側と第2の導光体42(第5の導光部42b)の背面側との間に配置されている。すなわち、この第2の受部5bは、正面視において、非発光部Dと重なる範囲で設けられている。
【0043】
第2のインナーレンズ6は、図2図3及び図5に示すように、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの光透過性部材からなり、正面視において略矩形枠状(ロの字状)に形成されている。
【0044】
第2のインナーレンズ6は、第1のインナーレンズ4から前方に向けて出射された光L1,L2を拡散させる拡散レンズとして、第1のインナーレンズ4の正面側に対向して配置されている。
【0045】
また、第2のインナーレンズ6は、その背面側と正面側との少なくとも一方側又は両側(本実施形態では両側)に、第1のインナーレンズ4から出射された光L1,L2を拡散しながら透過させる拡散面6a,6bを有している。
【0046】
拡散面6a,6bは、光L1,L2を拡散させるための凹凸構造を有している。なお、このような凹凸構造としては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。なお、本実施形態では、拡散面6a,6bとして、光L1,L2を左右方向及び上下方向に拡散させるシボ加工が施されている。
【0047】
また、第2のインナーレンズ6では、この拡散面6a,6bの形状等を調整することによって、この第2のインナーレンズ6から出射される光L1,L2の配光や拡散度合いを制御することが可能である。
【0048】
エクステンション7は、第2のインナーレンズ6の外側を覆う有色(例えば黒色)の第1の遮光部材71と、第2のインナーレンズ6の内側を覆う有色(例えば黒色)の第2の遮光部材72とを有し、第2のインナーレンズ6の正面側以外から出射される光L1,L2を遮光している。
【0049】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、テールランプTLLの発光部Sとして、第2のインナーレンズ6の正面側から出射された光L1,L2によって、灯体2の正面側を略矩形枠状(ロの字状)に赤色発光させることが可能である。
【0050】
本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の先端側と、第2の導光体42(第5の導光部42b)とが正面視において交差する交差部12A,12Bを有し、非発光部Dが、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の交差部12A,12Bから先端に亘って設けられている。
【0051】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、図2及び図5に示すように、第2の導光体42(第5の導光部42b)と正面視で重ならない範囲で、反射カット14aにより反射された光L1を正面側の出射部15aから出射するため、この光L1が第2の導光体42(第5の導光部42b)に入射することがない。
【0052】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した交差部12A,12Bにおいて、非発光部Dを除く第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の背面側に第1の受部5aが配置され、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の正面側と第2の導光体42(第5の導光部42b)の背面側との間に第2の受部5bが配置されている。
【0053】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、図5に示すように、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の先端側から漏れ出す光L1を、非発光部Dと重なる範囲で設けられた第2の受部5bにより遮光することで、第2の導光体42(第5の導光部42b)に入射することを防ぐことが可能である。
【0054】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、交差部12A,12Bにおいて、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の出射部15aから出射される光L1と、第2の導光体42(第5の導光部42b)の出射部15bから出射される光L2とが重なり合うことがないため、正面視での見栄えについて点光りの発生を防ぐことが可能である。
【0055】
また、本実施形態の車両用灯具1では、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の出射部15aと、第2の導光体42(第5の導光部42b)の出射部15bとの間で均一な発光を得ることが可能である。
【0056】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の先端面41eが、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の軸線方向に対して背面側に傾斜して設けられている。
【0057】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、図3及び図5に示すように、先端面41eに入射した光L1を正面側以外の方向に向けて反射又は透過させるため、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の内部で導光される光L1の一部が迷光L1’となって、導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の出射部15aから外部に漏れ出すことを防ぐことが可能である。
【0058】
一方、図5中の仮想線Tで示すように、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の先端面41e’が、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の軸線方向に対して直交する場合には、この先端面41e’により反射された光L1の一部が迷光L1’となって、導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の出射部15aから外部に漏れ出すことになる。
【0059】
この場合、交差部12A,12Bを側面視したときに、外部に漏れ出した光L1’による点光りとして視認されるため、側面視における発光の見栄えが悪くなる。
【0060】
以上のようにして、本実施形態の車両用灯具1では、2つの導光体41,42が交差する交差部12A,12Bにおける点光りの発生を防ぎつつ、均一な発光が得られることから、発光時の見栄えを良くすることが可能である。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記ブラケット5については、上述した構成の他にも、例えば図6(A),(B)に示すような構成とすることも可能である。
【0062】
このうち、上記ブラケット5は、図6(A)に示すように、交差部12A,12Bにおいて、第2の導光体42(第4の導光部42a)の背面側と対向する第2の受部5bの一部を省略した構成としてもよい。
【0063】
一方、上記ブラケット5は、図6(A)に示すように、交差部12A,12Bにおいて、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)側と対向する壁部5cを設けた構成としてもよい。
【0064】
また、上記第1の導光体41については、上述した先端面41eを有した構成の他にも、例えば図7に示すように、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の先端側に背面側に向かって湾曲した湾曲部41fが設けられた構成であってもよい。
【0065】
この構成の場合も、第1の導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の内部で導光される光L1の一部が迷光L1’となって、導光体41(第2の導光部41c及び第3の導光部41d)の出射部15aから外部に漏れ出すことを防ぐことが可能である。
【0066】
また、上記第1のインナーレンズ4については、上述した構成の他にも、例えば図8に示す第1のインナーレンズ4Aのような第1の導光体43と第2の導光体44とを組み合わることで、上述した発光部Sの形状に対応した導光レンズを構成することも可能である。
【0067】
具体的に、第1の導光体43は、正面視において、右下にある第1の光源3Aと対向する基端側から前方に向かって延在する第1の導光部43aと、第1の導光部43aの先端から分岐部43bを介して左方向に向かって延在する第2の導光部43cと、分岐部43bを介して上方に向かって延在する第3の導光部43dとを有している。
【0068】
第2の導光体44は、正面視において、左上にある第2の光源3Bと対向する基端側から前方に向かって延在する第4の導光部44aと、第4の導光部44aの先端から分岐部44bを介して右方向に向かって延在する第5の導光部44cと、分岐部44bを介して下方に向かって延在する第6の導光部44dとを有している。
【0069】
第1のインナーレンズ4Aは、正面視において、第2の導光部の43cの先端部と、第6の導光部44dの先端部とが交差(本実施形態では直交)した第1の交差部12Cと、第3の導光部43dの先端部と、第5の導光部の44cの先端部とが交差(本実施形態では直交)した第2の交差部12Dとを有している。
【0070】
これにより、第1のインナーレンズ4Aでは、正面視において略矩形枠状(ロの字状)に形成することが可能である。また、第1のインナーレンズ4Aでは、上述した第3の導光部41dのような湾曲した部分を無くして、四方の角部を直角とすることが可能である。
【0071】
なお、上記実施形態では、第1の導光体41と第2の導光体42は別体に構成し、それぞれに光源3A,3Bを有するものとしたが、第1の導光体41の基端側と第2の導光体42の基端側を一体とし、すなわち1つの導光体が第1の導光体41と第2の導光体42の2つに分岐するよう構成して2つの発光ユニットを形成し、1つの光源を設けるものとしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、上記車両用灯具1をテールランプに適用した場合を例示しているが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプのようなリア側の車両用灯具に限らず、フロント側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0073】
すなわち、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプ以外にも、例えば、ブレーキランプやバックランプ、昼間点灯ランプ(DRL)、車幅灯(ポジションランプ)、方向指示器(ターンランプ)などの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。また、光源が発する光の色については、上述した赤色光に限らず、白色光や橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…車両用灯具 2…灯体 3A…第1の光源 3B…第2の光源 4,4A…第1のインナーレンズ 5…ブラケット 5a…第1の受部 5b…第2の受部 5c…壁部 6…第2のインナーレンズ 7…エクステンション 8…ハウジング 9…アウターレンズ(カバーレンズ) 10A,10B…回路基板 11A…第1の発光ユニット 11B…第2の発光ユニット 12A…第1の交差部 12B…第2の交差部 12C…第1の交差部 12D…第2の交差部 13a,13b…入射部 14a,14b…反射カット 15a,15b…出射部 41…第1の導光体 41e…先端面 41f…湾曲部 42…第2の導光体 71…第1の遮光部材 72…第2の遮光部材 S…発光部 D…非発光部 L1,L2…光
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8