(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176958
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】通電検査装置及び通電検査方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20231206BHJP
【FI】
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089565
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】別府 慶治
(72)【発明者】
【氏名】澤田 寛之
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA01
2G003AA02
2G003AA04
2G003AD03
2G003AD09
2G003AG12
2G003AH07
2G003AH08
(57)【要約】
【課題】通電検査時に半導体素子の表面電極に微小溶融の発生を抑制できる通電検査装置及び通電検査方法を提供する。
【解決手段】通電検査装置1Aは、第1面上に配置されている第1電極11bと第1面とは反対側に位置する第2面上に配置されている第2電極11cとを有する半導体素子11を通電検査する通電検査装置である。通電検査装置1Aは、半導体素子11が載置される載置面20を有し、半導体素子11の第2電極11cと電気的に接続されるステージ2と、第1電極11b上に配置された金属箔3を第1電極11bに向けて加圧する加圧部4と、加圧部4が金属箔3を第1電極11bに向けて加圧している状態において、金属箔3を加熱する加熱部5と、ステージ2と金属箔3との間に電流又は電圧を供給する通電部7とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面上に配置されている第1電極と前記第1面とは反対側に位置する第2面上に配置されている第2電極とを有する半導体素子を通電検査する通電検査装置であって、
前記半導体素子が載置される載置面を有し、前記半導体素子の前記第2電極と電気的に接続されるステージと、
前記載置面上に載置された前記半導体素子の前記第1電極上に配置される金属箔と、
前記第1電極上に配置された前記金属箔を前記第1電極に向けて加圧する加圧部と、
前記加圧部が前記金属箔を前記第1電極に向けて加圧している状態において、前記金属箔を加熱する加熱部と、
前記ステージと前記金属箔との間に電流又は電圧を供給する通電部とを備える、通電検査装置。
【請求項2】
第1面上に配置されている第1電極と前記第1面とは反対側に位置する第2面上に配置されている第2電極とを有する半導体素子を検査する通電検査装置であって、
前記半導体素子が載置される載置面を有し、前記半導体素子の前記第2電極と電気的に接続されるステージと、
前記載置面上に載置された前記半導体素子の前記第1電極上に金属箔を配置する搬送部と、
前記第1電極上に配置された前記金属箔を前記第1電極に向けて加圧する加圧部と、
前記加圧部が前記金属箔を前記第1電極に向けて加圧している状態において、前記金属箔を加熱する加熱部と、
前記ステージと前記加圧部との間に電流又は電圧を供給する通電部とを備える、通電検査装置。
【請求項3】
前記加熱部は、前記状態において前記ステージ及び前記半導体素子を介して前記金属箔を加熱するように設けられている、請求項1又は2に記載の通電検査装置。
【請求項4】
前記加熱部は、前記状態において前記金属箔と接するように設けられている、請求項1又は2に記載の通電検査装置。
【請求項5】
前記ステージは、前記載置面の周囲に配置されており、かつ前記載置面よりも上方に突出している突出部をさらに有し、
前記加熱部及び前記突出部は、前記状態において前記金属箔を挟むように設けられている、請求項4に記載の通電検査装置。
【請求項6】
前記加熱部は、前記載置面よりも上方に位置しておりかつ前記載置面の周囲に配置されている上面を有し、
前記状態において前記金属箔を前記加熱部の前記上面に押し当てる押圧部をさらに備える、請求項4に記載の通電検査装置。
【請求項7】
前記加熱部は、前記載置面よりも上方に位置しておりかつ前記載置面の周囲に配置されている上面を有し、
前記加圧部は、前記状態において前記金属箔を介して前記加熱部の前記上面に荷重を与えるように設けられている、請求項4に記載の通電検査装置。
【請求項8】
前記加熱部の前記上面は、前記荷重に応じて、前記上面と直交する方向に移動可能である、請求項7に記載の通電検査装置。
【請求項9】
前記加熱部は、前記状態において前記加圧部を介して前記金属箔を加熱するように設けられている、請求項1又は2に記載の通電検査装置。
【請求項10】
第1面上に配置されている第1電極と前記第1面とは反対側に位置する第2面上に配置されている第2電極とを有する半導体素子を通電検査する通電検査方法であって、
前記半導体素子をステージに載置して、前記第2電極を前記ステージと接触させる第1工程と、
前記第1工程後に、金属箔を前記第1電極上に配置する第2工程と、
前記第2工程後に、前記金属箔を前記第1電極に向けて加圧しながら、前記金属箔を加熱する第3工程と、
前記第3工程が開始された後に、前記金属箔と前記ステージとの間に電流又は電圧を供給して前記半導体素子を通電する第4工程とを備える、通電検査方法。
【請求項11】
前記第4工程は、前記第3工程後に前記加熱が停止された状態において行われる、請求項10に記載の通電検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通電検査装置及び通電検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な縦型半導体素子の通電検査では、縦型半導体素子は、その裏面電極と電気的に接続されたステージと、その表面電極に接触したプローブ針とにより、通電される。
【0003】
他方、近年、パワー半導体素子の大容量化が進んでいる。そのため、パワー半導体素子の良否を判定する通電検査時にパワー半導体素子に供給される電流値は増大傾向にある。このようなパワー半導体素子であって通電経路が厚さ方向に沿っている縦型半導体素子の通電検査を、上記のような一般的な通電検査方法により行うには、いくつかの問題点がある。例えば、通電時には縦型半導体素子に多量の熱が生じる。この多量の熱をステージに逃がさなければ縦型半導体素子が破壊するおそれがあるが、多量の熱をステージに逃がすために縦型半導体素子をステージに加圧すると、縦型半導体素子が破損するおそれがある。
【0004】
特許第6289287号(特許文献1)には、上記のような問題点を解決すべく、裏面電極が冷却板に接している半導体素子の表面電極上に積層金属箔を設け、当該金属箔を介して半導体素子をステージに加圧する加圧機構を備えた半導体試験装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の試験装置を、表面電極の外縁部を覆うように電気的絶縁性を有する保護膜が形成されている半導体素子の通電検査に用いた場合、当該半導体素子が破損するおそれがある。
【0007】
具体的には、上記のような半導体素子では、保護膜が表面電極よりも金属箔側に突出しており、表面電極上に段差部が形成されている。そのため、金属箔が表面電極に向けて押圧された場合にも、当該段差部の存在により、金属箔は表面電極のうち保護膜から露出している部分の全面と接触できず、金属箔と表面電極との接触面積が比較的小さくなる。そのため、半導体素子への通電開始時に、表面電極の局所に電流が集中して当該局所が異常に発熱し、表面電極のマイクロメートルオーダーの微小領域が溶融(以下、微少溶融ともよぶ)が生じ、結果として半導体素子が破損するおそれがある。
【0008】
本開示の主たる目的は、通電検査時に半導体素子の表面電極に微小溶融の発生を抑制できる通電検査装置及び通電検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る通電検査装置は、第1面上に配置されている第1電極と第1面とは反対側に位置する第2面上に配置されている第2電極とを有する半導体素子を通電検査する通電検査装置である。通電検査装置は、半導体素子が載置される載置面を有し、半導体素子の第2電極と電気的に接続されるステージと、第1電極上に配置された金属箔を第1電極に向けて加圧する加圧部と、加圧部が金属箔を第1電極に向けて加圧している状態において、金属箔を加熱する加熱部と、ステージと金属箔との間に電流又は電圧を供給する通電部とを備える。
【0010】
本開示に係る通電検査方法は、第1面上に配置されている第1電極と第1面とは反対側に位置する第2面上に配置されている第2電極とを有する半導体素子を通電検査する通電検査方法である。通電検査方法は、半導体素子をステージに載置して、第2電極をステージと接触させる第1工程と、第1工程後に、金属箔を第1電極上に配置する第2工程と、第2工程後に、金属箔を第1電極に向けて加圧しながら、金属箔を加熱する第3工程と、第3工程が開始された後に、金属箔とステージとの間に電流又は電圧を供給して半導体素子を通電する第4工程とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、通電検査時に半導体素子の表面電極に微小溶融の発生を抑制できる通電検査装置及び通電検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る通電検査装置を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る通電検査装置の部分平面図である。
【
図3】実施の形態1に係る通電検査方法のフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係る通電検査方法の一工程を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る通電検査方法の、
図4に示される工程後の一工程を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る通電検査装置の変形例を示す断面図である。
【
図7】実施の形態2に係る通電検査装置を示す断面図である。
【
図8】実施の形態2に係る通電検査方法のフローチャートである。
【
図9】実施の形態2に係る通電検査方法の一工程を示す断面図である。
【
図10】実施の形態3に係る通電検査装置を示す断面図である。
【
図11】実施の形態3に係る通電検査装置の部分平面図である。
【
図12】実施の形態3に係る通電検査装置の部分断面図である。
【
図13】実施の形態3に係る通電検査方法のフローチャートである。
【
図14】実施の形態4に係る通電検査装置を示す断面図である。
【
図15】実施の形態4に係る通電検査装置の部分断面図である。
【
図16】実施の形態4に係る通電検査装置の部分断面図である。
【
図17】実施の形態4に係る通電検査装置の部分断面図である。
【
図18】実施の形態4に係る通電検査装置の部分断面図である。
【
図19】実施の形態4に係る通電検査方法のフローチャートである。
【
図20】実施の形態5に係る通電検査装置の部分断面図である。
【
図21】
図20中の線分XXI-XXIから視た部分断面図である。
【
図22】実施の形態5に係る通電検査方法のフローチャートである。
【
図23】実施の形態6に係る通電検査方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0014】
実施の形態1.
<通電検査装置1Aの構成>
図1に示されるように、実施の形態1に係る通電検査装置1Aは、縦型半導体素子(以下、単に半導体素子11と記載する)を通電検査するための装置である。半導体素子11は、第1面及び第1面とは反対側に位置する第2面を有する半導体層11a、第1面上に配置されている第1電極11b(表面電極)、並びに第2面上に配置されている第2電極11c(裏面電極)と、第1面上に形成されている保護膜11dを有する。保護膜11dは、第1電極11bの外縁部を覆うように形成されている。保護膜11dの一部は、第1電極11b上に配置されており、第1電極11bの表面に対して突出している。保護膜11dには、第1電極11bの外縁部よりも内側に位置する中央部を露出させる開口部が形成されている。保護膜11dの厚さは、第1電極11bの厚さよりも厚い。つまり、半導体素子11の第1電極11b上には、保護膜11dにより段差部が形成されている。
【0015】
半導体素子11は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)である。半導体素子11は、例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム等のワイドバンドギャップ半導体の基板を用いて形成されている。ただし、半導体素子11は、これらに限られるものではない。
【0016】
半導体素子11がMOSFETである場合、第1電極11bはソース電極、第2電極11cはドレイン電極である。この場合、半導体素子11は、第1面上に第1電極11bと間隔を空けて配置されている第3電極11e(
図2参照)をさらに含む。第3電極11eは、ゲート電極である。
【0017】
図1に示されるように、通電検査装置1は、ステージ2、金属箔3、加圧部4、加熱部5、冷却部6、及び通電部7を備える。
【0018】
ステージ2は、半導体素子11が載置される載置面20を有している。載置面20を構成する材料は、導電性を有する任意の材料であればよいが、好ましくは高い熱伝導率を有する材料であり、例えばCuを含む。載置面20は、半導体素子11の第2電極11cと面接触して、第2電極11cと電気的に接続される。載置面20上に載置された半導体素子11の第1電極11bは、第2電極11cよりも上方に配置される。なお、本明細書では、比較対象に対して載置面20が向いている方向を上方と記載し、その反対方向(
図1中の矢印Zが示す方向)を下方と記載する。また、載置面20に垂直な方向において上方から下方を視た視点を、平面視と記載する。
【0019】
ステージ2は、載置面20の周囲に配置されており、かつ載置面20に対して上方に突出している位置決め部21(突出部)をさらに有している。位置決め部21は、載置面20上に載置された半導体素子11が載置面20に沿った方向に移動することを制限し、半導体素子11を載置面20上に位置決めする。
【0020】
図2に示されるように、平面視における位置決め部21の平面形状は、例えば環状である。なお、ステージ2は、載置面20の外縁に沿って互いに間隔を空けて配置されている複数の位置決め部21を有していてもよい。
【0021】
位置決め部21は、例えば載置面20を有する板部とは別部材である。位置決め部21は、載置面20を有する板部と同一の部材であってもよい。載置面20に対する位置決め部21の上面の高さは、例えば半導体素子11の厚さよりも小さい。位置決め部21は、例えば通電検査方法において金属箔3と接触しないように設けられている。この場合、位置決め部21を構成する材料は、特に制限されない。
【0022】
載置面20に対する位置決め部21の上面の高さは、半導体素子11の厚さと同等であってもよい。位置決め部21は、通電検査方法において金属箔3と接触してもよい。この場合、位置決め部21は、ステージ2の載置面20と金属箔3との間を電気的に絶縁するように設けられていればよい。
【0023】
位置決め部21は、載置面20と平行な第3面21aと、第3面21aに対して傾斜している第4面21bとを有している。第3面21aは、金属箔3の第5面3aと接触することが予定されている。第4面21bは、第3面21aの載置面20側に位置する端部に接続されており第3面21a側から載置面20側に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。第4面21bは、第3面21a及び載置面20側を向いている位置決め部21の内側面の各々と鈍角を成すように形成されている。
【0024】
金属箔3は、通電検査方法において、載置面20上に載置された半導体素子11の第1電極11b上に配置された後、加圧部4によって第1電極11bに向けて加圧されかつ加熱部5によって加熱される。金属箔3は、通電検査方法の上記工程において、軟化して塑性変形するように設けられている。塑性変形後の金属箔3と第1電極11bとの接触面積は、金属箔3が加熱部5によって加熱されることなく単に加圧部4によって第1電極11bに向けて加圧されたときの金属箔3と第1電極11bとの接触面積よりも大きくなる。なお、
図1は、通電検査方法において金属箔3を加圧及び加熱する前の状態を示している。
【0025】
通電検査方法において加圧及び加熱される前の金属箔3は、載置面20と対向配置される第5面3aと、第5面3aとは反対側に位置する第6面3bとを有している。第5面3a及び第6面3bの各々は、例えば平面である。
【0026】
金属箔3は、例えばアルミニウム箔である。本明細書では、アルミニウム箔は、純アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔を含む意味で用いられる。金属箔3の厚みは、例えば半導体素子11の保護膜11dの厚さよりも厚い。金属箔3の厚さは、例えば10μm以上200μm以下である。一例として、金属箔3の厚さは、50μm以上であってもよい。なお、金属箔3の構成材料及び厚さは、上記に限られるものではなく、通電検査方法の上記工程において軟化して塑性変形する限りにおいて、任意に選択され得る。
【0027】
図2に示されるように、金属箔3は、平面視において、半導体素子11の第1電極11bの少なくとも一部と重なるように設けられている。金属箔3は、例えば平面視において位置決め部21の少なくとも一部とも重なるように設けられている。金属箔3は、例えば平面視において長手方向と短手方向とを有しており、金属箔3のうち長手方向の両側部が平面視において位置決め部21と重なるように設けられている。金属箔3の長手方向の幅W2は、位置決め部21の内側面間の間隔W1よりも広い。
【0028】
図2に示されるように、金属箔3は、平面視において第3電極11eと重ならないように配置されている。第1電極11b、第2電極11c、及び第3電極11eを構成する材料は、導電性を有する任意の材料であればよいが、例えばアルミニウム(Al)、金(Au)、及び銅(Cu)からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0029】
加圧部4は、第1電極11b上に配置された金属箔3を第1電極11bに向けて加圧する。具体的には、加圧部4は、載置面20上に載置された半導体素子11の第1電極11bに向けて、当該第1電極11b上に配置された金属箔3を加圧する。加圧部4は、圧子となる電極ブロック41と、電極ブロック41を少なくとも上方及び下方に移動させる駆動部42とを有している。
【0030】
電極ブロック41は、載置面20と対向し金属箔3の第6面3bと面接触する接触面41aを有している。接触面41aは、平面視において、少なくとも半導体素子11の保護膜11dから露出している第1電極11bの全体と重なるように設けられている。接触面41aは、平面視において、例えば半導体素子11の全体と重なるように設けられている。接触面41aは、平面視において、位置決め部21と重ならないように設けられている。接触面41aが金属箔3の第6面3bと接触した状態から、電極ブロック41がさらに下方に移動することにより、加圧部4は金属箔3を第1電極11bに向けて加圧する。
【0031】
図4を参照して、加圧部4の接触面41aの最大幅W3は、例えば半導体素子11の保護膜11dの開口部の最小幅W4よりも広い。つまり、
図4に示される加圧部4は、金属箔3を第1電極11b及び保護膜11dに向けて加圧する。また、上記最大幅W3は、例えば位置決め部21のうち載置面20を挟んで対向配置されている1対の部分間の最小間隔W1よりも狭い。なお、上記最大幅W3は、例えば位置決め部21のうち載置面20を挟んで対向配置されている1対の部分間の最小間隔W1と同等あるいは最小間隔W1よりも広くてもよい。
【0032】
駆動部42は、電極ブロック41の移動を制御する。さらに駆動部42は、電極ブロック41が金属箔3を介して第1電極11bに付与する荷重を制御する。電極ブロック41が半導体素子11に付与する荷重は、半導体素子11が維持するべき温度と冷却部6の冷却性能に応じて実験的に設定され得るが、例えば50N以上1000N以下である。
【0033】
加熱部5は、加圧部4が金属箔3を第1電極11bに向けて加圧している状態(以下、単に加圧状態とも記載する)において、金属箔3を加熱する。通電検査装置1Aの加熱部5は、加圧状態においてステージ2及び半導体素子11を介して金属箔3を加熱するように設けられている。加熱部5は、上記加圧状態にある金属箔3を軟化させる。
【0034】
加熱部5は、例えば発熱素子51と電源52とを含む。発熱素子51は、例えば抵抗発熱する発熱体を有する。電源52は、発熱素子51に電流を供給する。発熱素子51は、例えばステージ2と熱的に接続されている。発熱素子51は、ステージ2と電気的に絶縁されている。発熱素子51は、例えばシーズヒーターである。
【0035】
加熱部5による金属箔3への加熱量は、金属箔3の到達温度が金属箔3を軟化させ得る温度以上であり、かつ半導体素子11の到達温度が半導体素子11を構成する各部材の耐熱温度未満となるように、設定される。
【0036】
冷却部6は、通電検査時にステージ2を強制的に冷却するように設けられている。具体的には、冷却部6は、通電検査時に半導体素子11からステージ2に伝えられた熱を強制的に冷却する。
【0037】
冷却部6は、冷却液が循環して流れる冷却回路を含む。冷却回路は、ステージ2の内部に形成されている流路(図示しない)と、ステージ2の外部に配置されており冷却液を冷却するチラー61とを含む。冷却部6は、ステージ2の載置面20上に載置された半導体素子11の温度を、上記微小溶融が生じない温度に保持可能である。
【0038】
通電部7は、ステージ2と加圧部4の電極ブロック41との間に電流又は電圧を供給する。通電部7は、例えば半導体素子11の第1電極11bと第2電極11cとの間に直流電流を供給する。
【0039】
通電検査装置1Aは、搬入出部8及び搬送部9をさらに備えていてもよい。搬入出部8は、例えば半導体素子11が搬入及び搬出されるための第1搬入出部8Aと、金属箔3が搬入されるための第2搬入部8Bと、金属箔3が搬出されるための第3搬出部8Cとを含む。搬送部9は、例えば、第1搬入出部8Aと載置面20との間で半導体素子11を搬送し、第2搬入部8Bから載置面20上に載置された半導体素子11の第1電極11b上に金属箔3を搬送し、さらに半導体素子11の第1電極11b上から第3搬出部8Cに金属箔3を搬送する。搬送部9は、半導体素子11を搬送するための第1搬送部と、金属箔3を搬送するための第2搬送部とを有していてもよい。
【0040】
なお、通電検査装置1Aは、搬送部9を備えていなくてもよい。半導体素子11及び金属箔3の各々は、作業員によって載置面20上に搬入出されてもよい。
【0041】
<通電検査装置1Aを用いた通電検査方法>
図2を参照して、通電検査装置1Aを用いた通電検査方法の一例を説明する。
図2に示されるように、第1に、半導体素子11がステージ2の載置面20上に載置される。半導体素子11は、例えば搬送部9によって載置面20上に配置される(工程(S100))。載置面20上に載置された半導体素子11の第2電極11cは、載置面20に接触する。
【0042】
第2に、上記工程(S100)後に、金属箔3が、載置面20上に載置されている半導体素子11の第1電極11b上に載置される(工程(S101))。
図3に示されるように、第1電極11b上に載置された金属箔3は、少なくとも半導体素子11の保護膜11dに接触し、第1電極11bのうち保護膜11dの開口部から露出している部分の全体とは接触していない。言い換えると、本工程(S101)では、第1電極11bと、当該第1電極11b上に載置された金属箔3との間には、隙間が存在する。金属箔3は、第1電極11bの一部と接触していてもよい。金属箔3と位置決め部21との間にも、隙間が存在していてもよい。
【0043】
第3に、上記工程(S101)後に、加圧部4が金属箔3を半導体素子11の第1電極11bに向けて加圧する(工程(S102))。
図4に示されるように、本工程(S102)においても、金属箔3は、第1電極11bのうち保護膜11dの開口部から露出している部分の全体とは接触していない。本工程(S102)により実現される上記加圧状態は、加圧部4による加圧を停止する工程(S106)が実施されるまで保持される。
【0044】
第4に、上記工程(S102)後に、加熱部5がステージ2を介して金属箔3を加熱する(工程(S103))。本工程(S103)は、上記加圧状態下で行われる。言い換えると、加熱部5は、加圧部4によって第1電極11bに向けて加圧されている金属箔3を加熱する。加熱部5による金属箔3への加熱量は、金属箔3の到達温度が金属箔3を軟化させ得る温度以上であり、かつ半導体素子11の到達温度が半導体素子11を構成する各部材の耐熱温度よりも低くなるように、設定される。例えば、金属箔3の到達温度が100℃以上200℃以下となり、半導体素子11の到達温度が50℃以上150℃以下となるように、上記加熱量が設定される。
【0045】
図5に示されるように、加熱部5による上記加熱により、金属箔3が軟化して、金属箔3が第1電極11bと保護膜11dとにより形成されている段差部に沿うように塑性変形する。これにより、加圧部4、金属箔3、半導体素子11、ステージ2、及び通電部7が電気的に直列に接続され、通電検査のための閉回路が形成される。本工程(S103)後の金属箔3と第1電極11bとの接触面積は、本工程(S103)前の金属箔3と第1電極11bとの接触面積よりも大きくなる。本工程(S103)後の金属箔3と第1電極11bとの接触抵抗は、本工程(S103)前の金属箔3と第1電極11bとの接触抵抗よりも小さくなる。本工程(S103)後、金属箔3は、例えば第1電極11bのうち保護膜11dの開口部から露出している部分の全体と接触する。
【0046】
第5に、上記工程(S103)後に、加熱部5が金属箔3の加熱を停止する(工程(S104))。
【0047】
第6に、上記工程(S104)後に、半導体素子11が通電検査される(工程(S105)。通電部7は、例えば半導体素子11の第1電極11bと第2電極11cとの間に直流電流を供給する。本工程(S105)において、半導体素子11の第1電極11bと第2電極11cとの間に流れる電流は、例えば100A/cm2以上300A/cm2以下であってもよい。半導体素子11の第1電極11bと第2電極11cとの間に上記電流が流される時間(通電時間)は、例えば1分以上5分以下であってもよい。本工程(S105)での検査条件は、一般的なパワー半導体素子の良否を判定する通電検査条件と同等あるいはそれよりも厳しい条件として設定され得る。
【0048】
第7に、上記工程(S105)後に、加圧部4が上記加圧を停止する(工程(S106))。加圧部4の電極ブロック41は上方に移動し、電極ブロック41の接触面41aが金属箔3の第6面3bと接触していない状態とされる。その後、半導体素子11及び半導体素子11の第1電極11b上に配置されている金属箔3の各々が、搬送部9によって載置面20上から搬出される。
【0049】
上記通電検査方法により、通電検査装置1Aを用いて半導体素子11を通電検査できる。搬出された金属箔3は、例えば、塑性変形している状態のまま別の半導体素子11の通電検査に再利用されることなく回収される。なお、搬出された金属箔3は、別の半導体素子11の通電検査に再利用されてもよい。
【0050】
次に、本実施の形態の作用効果を、加圧部によって第1電極に向けて加圧されている金属箔を加熱する加熱部を備えていない通電検査装置(以下、比較例と記載する)との対比に基づいて説明する。
【0051】
通電検査装置1Aでは、
図1に示されるように、加熱部5が加圧部4によって第1電極11bに向けて加圧された金属箔3を軟化させるため、軟化した金属箔3が半導体素子11の第1電極11b上の段差部に沿うように塑性変形し得る。そのため、通電検査装置1Aにおいて塑性変形した金属箔3と第1電極11bとの接触面積は、比較例において加熱部によって加熱されることなく単に加圧部によって第1電極に向けて加圧されている金属箔と第1電極との接触面積よりも大きくなる。通電検査装置1A及び比較例のそれぞれを用いた通電検査方法の通電条件が互いに等しい場合、通電検査装置1Aを用いて通電された半導体素子11の第1電極11bと金属箔3との接触面の電流密度は、比較例を用いて通電された半導体素子の第1電極と金属箔との接触面の電流密度よりも小さくなる。その結果、通電検査装置1Aでは、比較例と比べて、上記微小溶融の発生が抑制され得る。
【0052】
通電検査装置1Aでは、加熱部5がステージ2及び半導体素子11を介して金属箔3を加熱する。このようにしても、加熱部5から金属箔3への加熱量は金属箔3を軟化させるために十分な熱量であればよく、加熱部5による加熱工程(S103)時の半導体素子11の到達温度は半導体素子11を構成する各部材の耐熱温度未満とされ得る。そのため、通電検査装置1Aでは、半導体素子11の破損が抑制され得る。
【0053】
通電検査装置1Aでは、位置決め部21が載置面20と平行な第3面21aと、第3面21aに対して傾斜している第4面21bとを有している。仮に位置決め部21が第4面21bを有していない場合には、位置決め部21の上面が内側面と直交して角部を形成するため、半導体素子11が載置面20上に載置される際に、当該角部が半導体素子11を傷つけてしまうおそれがある。これに対し、通電検査装置1Aでは、第4面21bが第3面21a及び内側面の各々と鈍角を成すように形成され得るため、位置決め部21が半導体素子11を傷つけにくい。
【0054】
<変形例>
図6に示されるように、加圧部4の接触面41aは、平面視における中央部が外周部よりも突出している構造を有していてもよい。接触面41aは、例えば載置面20と対向する頂面41a1と、頂面41a1の外周に接続されており頂面に対して傾斜している傾斜面41a2とを有していてもよい。平面視において、頂面41a1は、載置面20上に載置されている半導体素子11の保護膜11dと重ならならず、第1電極11bのうち保護膜11dの開口部から露出している部分のみと重なるように配置される。頂面41a1の最大幅W4は、半導体素子11の保護膜11dの開口部の最小幅W2よりも狭い。この場合、工程(S102)において、金属箔3は、加圧部4により第1電極11bに向けて加圧されることにより、第5面3aの少なくとも一部が凸面となるように曲げられて、第1電極11bの一部と接触する。その結果、工程(S102)において、加圧部4、半導体素子11、ステージ2、及び通電部7が電気的に直列に接続され、通電検査のための閉回路が形成される。
【0055】
金属箔3は、1つの金属箔により構成されていてもよいし、複数の金属箔が積層した積層体により構成されていてもよい。金属箔3が複数の金属箔の積層体により構成されている場合、複数の金属箔の各々の厚さは互いに等しくてもよいし互いに異なっていてもよい。
【0056】
実施の形態2.
図7に示されるように、実施の形態2に係る通電検査装置1Bは、実施の形態1に係る通電検査装置1Aと基本的に同様の構成を備えるが、加熱部5が上記加圧状態において金属箔3と接するように設けられている点で、通電検査装置1Aとは異なる。以下では、通電検査装置1Bが通電検査装置1Aとは異なる点を主に説明する。
【0057】
通電検査装置1Bでは、加熱部5は、ステージ2を介さずに、金属箔3を直接加熱する。加熱部5は、発熱素子53、電源54、及び駆動部55を含む。発熱素子53は、上記加圧状態において、例えば金属箔3の第6面3bに接触する。発熱素子53は、金属箔3の第6面3bと接触する下面53aを有している。発熱素子53は、上記加圧状態において、加圧部4と間隔を空けて配置される。電源54は、発熱素子53に電流を供給する。駆動部55は、発熱素子53の移動を制御する。駆動部55は、発熱素子53が金属箔3の第6面3bに接触している状態と、発熱素子53が金属箔3の第6面3bに接触していない状態とを切り替える。好ましくは、駆動部55は、加熱部5が金属箔3を加熱する加熱温度条件に耐え得る耐熱性を有している。
【0058】
位置決め部21は、例えば上記加圧状態において金属箔3の第5面3aに接触するように設けられている。発熱素子53及び位置決め部21は、上記加圧状態において金属箔3を挟むように設けられている。位置決め部21を構成する材料は、電気的絶縁性を有する任意の材料である。
【0059】
図8に示されるように、通電検査装置1Bを用いた通電検査方法は、
図2に示される通電検査装置1Aを用いた通電検査方法と基本的に同様の構成を備えるが、加熱部5がステージ2を介して金属箔3を加熱する(工程(S103)に代えて、加熱部5が金属箔3を直接加熱する工程(S107)を備えている点で、通電検査装置1Aを用いた通電検査方法と異なる。以下、通電検査装置1Bを用いた通電検査方法が通電検査装置1Aを用いた通電検査方法と異なる点を主に説明する。
【0060】
通電検査装置1Bを用いた通電検査方法では、金属箔3が第1電極11b上に載置される工程(S101)以後、
図7に示されるように金属箔3の第5面3aが保護膜11dの上面及び位置決め部21の第3面21aに接触する。加熱部5が金属箔3を直接加熱する工程(S107)において駆動部55が発熱素子53を移動させるまで、発熱素子53は金属箔3の第6面3bと間隔を空けて配置されている。
【0061】
図9に示されるように、加熱部5が金属箔3を直接加熱する工程(S107)では、駆動部55が発熱素子53を下方に移動させて、発熱素子53が金属箔3の第6面3bと接触している状態が実現される。これにより、金属箔3は加熱部5によって加熱される。加熱部5による上記加熱により、金属箔3が軟化して、金属箔3が第1電極11bと保護膜11dとにより形成されている段差部に沿うように塑性変形する。
【0062】
加熱部5が金属箔3の加熱を停止する工程(S104)では、例えば、駆動部55が発熱素子53を上方に移動させて、発熱素子53が金属箔3と接触していない状態が実現される。なお、本工程(S104)では、電源54が発熱素子53への通電を継続してもよいし停止してもよい。
【0063】
上記工程(S104)後、半導体素子11が通電検査される。このようにして、通電検査装置1Bを用いて半導体素子11を通電検査できる。
【0064】
通電検査装置1Bは、通電検査装置1Aと基本的に同様の構成を備えるため、通電検査装置1Aと同様の効果を奏する。
【0065】
さらに、通電検査装置1Bは、金属箔3を直接加熱する加熱部5を備えるため、通電検査装置1Aと比べて金属箔3を効率的に加熱できる。その結果、通電検査装置1Bの加熱部5が金属箔3を直接加熱する工程(S107)において加熱に要する時間(以下、加熱時間と記載する)は、通電検査装置1Aの加熱部5が金属箔3を直接加熱する工程(S103)での加熱時間よりも短縮され得る。
【0066】
また、通電検査装置1Bを用いた通電検査方法の上記工程(S107)でのステージ2の到達温度が、通電検査装置1Aを用いた通電検査方法の上記工程(S103)でのステージ2の到達温度よりも低くなるため、通電検査工程(S105)において冷却部6によりステージ2を効率的に冷却できる。その結果、通電検査装置1Bを用いた通電検査方法の工程(S105)において冷却に要する時間(以下、冷却時間)は、通電検査装置1Aを用いた通電検査方法の工程(S105)での冷却時間よりも短縮され得る。
【0067】
実施の形態3.
図10に示されるように、実施の形態3に係る通電検査装置1Cは、実施の形態2に係る通電検査装置1Bと基本的に同様の構成を備えるが、加熱部5が金属箔3の第5面3aと接触する上面56aを有している点で、通電検査装置1Bとは異なる。以下では、通電検査装置1Cが通電検査装置1Bとは異なる点を主に説明する。
【0068】
加熱部5は、発熱素子56と電源57とを含む。発熱素子56は、上記加圧状態において、例えば金属箔3の第5面3aに接触する。発熱素子56は、金属箔3の第5面3aと接触する上面56aを有している。発熱素子56は、例えばプレートヒーターである。好ましくは、発熱素子56は、断熱部22を介してステージ2に固定されている。断熱部22は、発熱素子56に生じた熱がステージ2に伝わることを妨げる。
【0069】
発熱素子56は、載置面20の周囲に配置されており、かつ載置面20に対して上方に突出している。発熱素子56は、載置面20上に載置された半導体素子11が載置面20に沿った方向に移動することを制限し、半導体素子11を載置面20上に位置決めする。言い換えると、発熱素子56は、通電検査装置1Aにおける位置決め部21と基本的に同様の構成を備え同様に作用する。
【0070】
発熱素子56は、載置面20と平行な第7面56aと、第7面56aに対して傾斜している第8面56bと、載置面20側を向いている内側面56cとを有している。第7面56aは、金属箔3の第5面3aと接触することが予定されている。第8面56bは、第7面56aの載置面20側に位置する端部に接続されており第7面56a側から載置面20側に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。第8面56bは、第7面56a及び内側面56cの各々と鈍角を成すように形成されている。
【0071】
好ましくは、通電検査装置1Cは、上記加圧状態において金属箔3を加熱部5の上面56aに押し当てる押圧部43をさらに備える。押圧部43は、金属箔3と接触する圧子43aと、圧子43aの移動を制御する駆動部43bとを含む。圧子43aは、金属箔3の第6面3bと接触する下面を有している。駆動部43bは、圧子43aが金属箔3の第6面3bに接触している状態と、圧子43aが金属箔3の第6面3bに接触していない状態とを切り替える。
【0072】
図11に示されるように、平面視における発熱素子56及び断熱部22の各々の平面形状は、例えば環状である。
【0073】
金属箔3の長手方向の幅W2は、発熱素子56の内側面56c間の間隔W1よりも広い。金属箔3の長手方向の幅W2は、発熱素子56の第7面56a間の間隔よりも広い。これにより、少なくとも金属箔3の長手方向の両側部が加熱部5の第7面56aと接触する。
【0074】
図12に示されるように、載置面20に対する第7面56aの高さは、載置面20に対する半導体素子11の保護膜11dの上面の高さと等しい。言い換えると、第7面56aと保護膜11dの上面とは、同一平面S1上に配置される。これにより、金属箔3の第5面3aは、保護膜11dの上面及び発熱素子56の第7面56aと同時に接触する。
【0075】
図13に示されるように、通電検査装置1Cを用いた通電検査方法は、
図2に示される通電検査装置1Aを用いた通電検査方法と基本的に同様の構成を備えるが、加熱部5がステージ2を介して金属箔3を加熱する(工程(S103)に代えて、加熱部5が金属箔3を直接加熱する工程(S109)を備えている点で、通電検査装置1Aを用いた通電検査方法と異なる。以下、通電検査装置1Cを用いた通電検査方法が通電検査装置1Aを用いた通電検査方法と異なる点を主に説明する。
【0076】
通電検査装置1Cを用いた通電検査方法では、加圧部4が金属箔3を半導体素子11に向けて加圧する工程(S102)後に、押圧部43が金属箔3を加熱部5の発熱素子56に押圧する(工程(S108))。これにより、押圧部43による上記押圧が行われない場合と比べて、金属箔3の第5面3aと発熱素子56の第7面56aとの接触熱抵抗が低減され得る。
【0077】
上記工程(S108)後に、加熱部5が金属箔3を直接加熱する(工程(S109))。加熱部5の発熱素子56は、工程(S109)において金属箔3を軟化させ得る温度にまで金属箔3を加熱する。本工程(S109)よりも前の工程において、発熱素子56は、金属箔3を軟化させ得ない温度に金属箔3を加熱していてもよい。
【0078】
上記工程(S109)後に、加熱部5が加熱を停止するとともに押圧部43が押圧を停止する(工程(S110))。
【0079】
上記工程(S110)後、半導体素子11が通電検査される。このようにして、通電検査装置1Cを用いて半導体素子11を通電検査できる。
【0080】
通電検査装置1Cは、通電検査装置1Aと基本的に同様の構成を備えるため、通電検査装置1Aと同様の効果を奏する。
【0081】
さらに通電検査装置1Cでは、加熱部5の発熱素子56を金属箔3に対して移動させるための駆動部が不要となる。また通電検査装置1Cでは、押圧部43の圧子43aを金属箔3に対して移動させるための駆動部43bには、発熱素子を駆動させるための駆動部に求められる程度の耐熱性が要求されない。そのため、通電検査装置1Cは小型化され得る。
【0082】
<変形例>
通電検査装置1Cを用いた通電検査方法では、押圧部43が金属箔3を加熱部5に向けて押圧する工程(S108)前に、加熱部5の発熱素子56が金属箔3を軟化させ得る温度に発熱していてもよい。この場合、押圧部43が金属箔3を加熱部5に向けて押圧する工程(S108)前では、加熱部5が金属箔3を直接加熱し得るが、金属箔3の第5面3aと発熱素子56の第7面56aとの接触熱抵抗が比較的高いために、金属箔3は軟化しない。工程(S108)が実施されることにより、接触熱抵抗が低くなり、金属箔3が軟化し得る。
【0083】
実施の形態4.
図14~
図18に示されるように、実施の形態4に係る通電検査装置1Dは、実施の形態3に係る通電検査装置1Cと基本的に同様の構成を備えるが、加圧部4の電極ブロック41が上記加圧状態において金属箔3を介して加熱部5の上面(発熱素子56の第7面56a)に荷重を与えるように設けられている点で、通電検査装置1Cとは異なる。以下では、通電検査装置1Dが通電検査装置1Cとは異なる点を主に説明する。なお、
図14~
図16は、加圧部4が加熱部5の発熱素子56上に載置されている金属箔3に荷重を与えていない状態(以下、第1状態と記載する)を示している。
図17及び
図18は、加圧部4が加熱部5の発熱素子56上に載置されている金属箔3に荷重を与えている状態(以下、第2状態と記載する)を示している。特に
図18は、上記第2状態において実現される上記加圧状態を示している。
【0084】
図14及び
図15に示されるように、加圧部4の電極ブロック41の接触面41aの最大幅W3は、加熱部5の第7面56a間の間隔W5よりも広い。これにより、金属箔3の長手方向における接触面41aの両側部は、上記加圧状態において金属箔3を介して発熱素子56の第7面56aに荷重を与え得る。金属箔3は、上記加圧状態において接触面41aの上記両側部と発熱素子56の第6面3bとの間に挟まれる1対の被挟持部分3cを有している。1対の被挟持部分3cは、金属箔3の長手方向において互いに間隔を空けて配置されている。金属箔3の短手方向における1対の被挟持部分3cの各々の長さは、金属箔3の長手方向における1対の被挟持部分3cの各々の長さよりも長い。
【0085】
加熱部5の発熱素子56の第7面56aは、加圧部4から受ける上記荷重に応じて、上下方向に移動可能である。第7面56aの上記移動は、例えばステージ2の本体部23と発熱素子56との間に配置されておりかつ上下方向に弾性変形するように設けられている弾性部25により実現される。以下では、
図14~
図18を参照して、第7面56aの上記移動を実現するための弾性部の一例を説明する。
【0086】
ステージ2は、例えば、本体部23、凸部24、弾性部25、及び断熱部26を含む。凸部24は、本体部23に対して上方に突出している。凸部24の上面が、載置面20を有している。弾性部25は、本体部23の上面に固定されている。弾性部25は、上下方向に弾性変形する。断熱部26は、加熱部5の発熱素子56に生じた熱が弾性部25を介してステージ2に伝わることを妨げる。弾性部25の構成は特に制限されないが、弾性部25は、例えば板バネ状の弾性部材である。この場合、弾性部25を構成する材料は、金属であってもよい。また、弾性部25は、シリコーン樹脂等のゴムにより構成された弾性部材であってもよい。
【0087】
図15及び
図16に示されるように、上記第1状態において、発熱素子56の第7面56a及び金属箔3の第5面3aは、半導体素子11の保護膜11dの上面よりも距離Dだけ上方に配置される。第1状態は、電極ブロック41の接触面41aが、
図15に示されるように金属箔3の第6面3bよりも上方の位置から
図16に示されるように金属箔3の第6面3bに接触するまで下降する間、維持される。
【0088】
図16に示される接触面41aが金属箔3の第6面3bに接触した後、さらに下降することにより、
図17に示される上記第2状態が実現される。電極ブロック41の接触面41aが金属箔3の第6面3bに接触した後に、上記距離Dだけさらに下降することにより、上記加圧状態が実現される。
【0089】
図19に示されるように、通電検査装置1Dを用いた通電検査方法は、
図13に示される通電検査装置1Cを用いた通電検査方法と基本的に同様の構成を備えるが、加圧部4が金属箔3を半導体素子11に向けて加圧する工程(S102)及び押圧部43が金属箔3を加熱部5の発熱素子56に押圧する(工程(S108)に代えて、加圧部4が金属箔3を加熱部5に向けて加圧する工程(S111)及び加圧部4が金属箔3を半導体素子11に向けて加圧する工程(S112)を備えている点で、通電検査装置1Cを用いた通電検査方法と異なる。以下、通電検査装置1Dを用いた通電検査方法が通電検査装置1Cを用いた通電検査方法と異なる点を主に説明する。
【0090】
加圧部4が金属箔3を加熱部5に向けて加圧する工程(S111)では、加圧部4の電極ブロック41が半導体素子11、金属箔3、及び発熱素子56に向けて下降することにより、
図15に示される第1状態から、
図16に示される第1状態を経て、加圧部4が金属箔3及び発熱素子56に荷重を与えている第2状態が実現される。第2状態では、弾性部25が弾性変形する。本工程(S111)では、加圧部4が金属箔3及び発熱素子56に荷重を与えている第2状態が実現されることにより、発熱素子56から金属箔3へ十分な熱量が伝えられ、金属箔3が軟化する。
【0091】
上記工程(S111)後、加圧部4がさらに下降することにより、加圧部4が金属箔3を半導体素子11に向けて加圧する工程(S112)が実施される。本工程(S112)では、
図17に示されるように、加圧部4が金属箔3及び発熱素子56に荷重を与えている第2状態が維持され、最終的には
図18に示されるように、加圧部4が、金属箔3、発熱素子56、及び半導体素子11に荷重を与えている状態が実現される。これにより、軟化していた金属箔3は半導体素子11の上記段差部に沿うように塑性変形し、金属箔3と第1電極11bとの接触面積が大きくなり、金属箔3と第1電極11bとの接触抵抗が小さくなる。
【0092】
上記工程(S112)後、加熱部5の電源57が発熱素子56への通電を停止することにより、加熱部5による加熱が停止される(工程(S113))。
【0093】
上記工程(S113)後、半導体素子11が通電検査される。このようにして、通電検査装置1Dを用いて半導体素子11を通電検査できる。
【0094】
通電検査装置1Dは、通電検査装置1Cと基本的に同様の構成を備えるため、通電検査装置1Cと同様の効果を奏する。
【0095】
さらに通電検査装置1Dでは、通電検査装置1Cの押圧部43が不要となるため、通電検査装置1Cと比べて部品点数が削減され、構成が簡便である。
【0096】
また通電検査装置1Dでは、加熱部5の発熱素子56の第7面56aが荷重に応じて上下方向に移動可能であるため、例えば半導体素子11の保護膜11dの上面が発熱素子56の第7面56aに対して傾斜しているような場合、あるいは金属箔3の第5面3aにおいて半導体素子11の保護膜11dの上面と接触する部分が発熱素子56の第7面56aに対して傾斜しているような場合にも、金属箔3の第5面3aを発熱素子56の第7面56a及び半導体素子11の保護膜11dの上面の各々に確実に接触させることができる。
【0097】
実施の形態5.
図20に示されるように、実施の形態5に係る通電検査装置1Eは、実施の形態2に係る通電検査装置1Bと基本的に同様の構成を備えるが、加熱部5が上記加圧状態において加圧部4を介して金属箔3を加熱するように設けられている点で、通電検査装置1Bとは異なる。以下では、通電検査装置1Eが通電検査装置1Bとは異なる点を主に説明する。
【0098】
加圧部4の電極ブロック41は、接触面41aと、外側面41bとを有している。外側面41bは、接触面41aと接続されており、接触面41aと交差する方向に延びている。
【0099】
図20に示されるように、加熱部5は、例えば発熱素子58と電源59とを含む。発熱素子58は、上下方向において電極ブロック41の外側面41bの一部に固定されている。
図21に示されるように、発熱素子58は、例えば電極ブロック41の外側面41bの全周囲に固定されている。発熱素子58は、電極ブロック41の外側面41bと接触している内側面58aを有している。発熱素子58は、電極ブロック41と熱的に接続されている。
【0100】
発熱素子58は、加圧部4の電極ブロック41とともに移動する。発熱素子58は、接触面41aよりも上方に配置されている。発熱素子58は、例えば抵抗発熱する発熱体を有する。電源59は、発熱素子58に電流を供給する。発熱素子58は、例えばシーズヒーターである。
【0101】
図22に示されるように、通電検査装置1Eを用いた通電検査方法は、
図3に示される通電検査装置1Aを用いた通電検査方法と基本的に同様の構成を備えるが、加熱部5がステージ2を介して金属箔3を加熱する工程(S103)に代えて、加熱部5が加圧部4を介して金属箔3を加熱する工程(S114)を備えている点で、通電検査装置1Aを用いた通電検査方法と異なる。以下、通電検査装置1Eを用いた通電検査方法が通電検査装置1Aを用いた通電検査方法と異なる点を主に説明する。
【0102】
加熱部5が加圧部4を介して金属箔3を加熱する工程(S114)は、加圧部4が金属箔3を半導体素子11に向けて加圧する工程(S102)後に、金属箔3の第5面3aが半導体素子11の保護膜11dの上面に接触している状態において発熱素子58が電源59によって通電されることにより実施される。これにより、金属箔3が軟化するとともに、軟化した金属箔3が半導体素子11の上記段差部に沿うように塑性変形し、金属箔3と第1電極11bとの接触面積が大きくなり、金属箔3と第1電極11bとの接触抵抗が小さくなる。
【0103】
上記工程(S114)後、加熱部5の電源59が発熱素子58への通電を停止することにより、加熱部5による加熱が停止される(工程(S104))。
【0104】
上記工程(S104)後、半導体素子11が通電検査される。このようにして、通電検査装置1Eを用いて半導体素子11を通電検査できる。
【0105】
通電検査装置1Eは、通電検査装置1Bと基本的に同様の構成を備えるため、通電検査装置1Bと同様の効果を奏する。
【0106】
実施の形態6.
図23に示されるように、実施の形態6に係る通電検査方法は、実施の形態1に係る通電検査方法と基本的に同様の構成を備えるが、加圧部4が金属箔3を介して半導体素子11に与える荷重を変化させる工程(S115)を備える点で、実施の形態1に係る通電検査方法とは異なる。以下では、本実施の形態に係る通電検査方法が実施の形態1に係る通電検査方法とは異なる点を主に説明する。
【0107】
加圧部4が金属箔3を介して半導体素子11に与える荷重を変化させる工程(S115)は、加熱部5が加熱を停止する工程(S104)の後に実施される。工程(S115)では、加圧部4が金属箔3を半導体素子11に向けて加圧する工程(S102)以後、加圧部4が金属箔3を介して半導体素子11に与えている荷重が、大きく又は小さくされる。例えば、工程(S115)では、加圧部4が金属箔3を介して半導体素子11に与えている荷重が小さくされる。
【0108】
本実施の形態に係る通電検査方法は、実施の形態1~5のいずれかの通電検査装置を用いて実施され得る。本実施の形態に係る通電検査方法は、実施の形態1に係る通電検査方法と基本的に同様の構成を備えるため、実施の形態1に係る通電検査方法と同様の効果を奏する。
【0109】
さらに、本実施の形態に係る通電検査方法では、上記工程(S102)から上記工程(S104)まで半導体素子11に与えられる荷重は金属箔3を適切に塑性変形させる観点で設定されるとともに、通電検査工程(S105)において半導体素子11に与えられる荷重は通電検査を適切に行う観点で設定され得る。そのため、本実施の形態に係る通電検査方法によって半導体素子11が破損するリスクは、実施の形態1に係る通電検査方法によって半導体素子11が破損するリスクよりもさらに低減され得る。
【0110】
<変形例>
なお、実施の形態1~6に係る通電検査方法では、上記工程(S102)から上記工程(S104)まで半導体素子11に与えられる荷重が徐々に変化されてもよい。例えば、上記工程(S102)から上記工程(S104)まで半導体素子11に与えられる荷重が徐々に大きくされてもよい。
【0111】
以上のように本開示の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本開示の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0112】
1A,1B,1C,1D,1E 通電検査装置、2 ステージ、3 金属箔、3a 第5面、3b 第6面、3c 被挟持部分、4 加圧部、5 加熱部、6 冷却部、7 通電部、8 搬入出部、8A 第1搬入出部、8B 第2搬入部、8C 第3搬出部、9 搬送部、11 半導体素子、11a 半導体層、11b 第1電極、11c 第2電極、11d 保護膜、11e 第3電極、20 載置面、21 位置決め部、21a 第3面、21b 第4面、22,26 断熱部、23 本体部、24 凸部、25 弾性部、41 電極ブロック、41a1 頂面、41a2 傾斜面、41a 接触面、41b 外側面、42,43b,55 駆動部、43 押圧部、43a 圧子、51,53,56,58 発熱素子、52,54,57,59 電源、53a 下面、56a 第7面、56b 第8面、56c,58a 内側面、61 チラー。