IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社福田武道具の特許一覧 ▶ 株式会社新生の特許一覧

<>
  • 特開-アキレス腱サポーター 図1
  • 特開-アキレス腱サポーター 図2
  • 特開-アキレス腱サポーター 図3
  • 特開-アキレス腱サポーター 図4
  • 特開-アキレス腱サポーター 図5
  • 特開-アキレス腱サポーター 図6
  • 特開-アキレス腱サポーター 図7
  • 特開-アキレス腱サポーター 図8
  • 特開-アキレス腱サポーター 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176963
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】アキレス腱サポーター
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/06 20060101AFI20231206BHJP
   A41B 11/00 20060101ALI20231206BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20231206BHJP
   A63B 71/08 20060101ALI20231206BHJP
   A63B 71/12 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A41D13/06
A41B11/00 D
A41D13/05 143
A63B71/08 A
A63B71/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089577
(22)【出願日】2022-06-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)電気通信回線を通じて新規性を喪失 (1-1) 掲載年月日:令和3(2021)年12月12日 掲載アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=ucXGRYzoPvA (1-2) 掲載年月日:令和3(2021)年12月12日 掲載アドレス: https://twitter.com/_kasumiryu/status/1470279786040000512?cxt=HHwWgIDQ9Z3rvecoAAAA (1-3) 掲載年月日:令和3(2021)年12月12日 掲載アドレス:http://www.f-budogu.jp/shopbrand/010/X/ (2)販売を通じて新規性を喪失 販売年月日:2022年01月26日他 販売先:株式会社ヒロヤ他 (3)試供品配布を通じて新規性を喪失 配布年月日:2022年01月26日他 配布先:鹿島道路剣道部他
(71)【出願人】
【識別番号】304051746
【氏名又は名称】株式会社福田武道具
(71)【出願人】
【識別番号】399063323
【氏名又は名称】株式会社新生
(74)【代理人】
【識別番号】100167081
【弁理士】
【氏名又は名称】本谷 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】福田 一成
(72)【発明者】
【氏名】大石 俊幸
【テーマコード(参考)】
3B011
3B018
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA12
3B011AA14
3B011AA15
3B011AB11
3B011AB14
3B011AB18
3B011AC04
3B011AC13
3B011AC17
3B018AA02
3B018AA03
3B018AB02
3B018AB04
3B018AB06
3B018AB07
3B018AC01
3B018AC04
3B018AC05
3B018AC08
3B018AD02
3B018AD07
3B211AA12
3B211AA14
3B211AA15
3B211AB11
3B211AB14
3B211AB18
3B211AC04
3B211AC13
3B211AC17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アキレス腱障害を防止又は軽減効果を更に高めることが出来るアキレス腱サポーターを提供することを目的とする。
【解決手段】アキレス腱サポーター100は、地編み部102と締め付け部104によって構成されている。地編み部102は、第1編み糸よって平編みされ、ゴム糸が添えられている。締め付け部104は、第1編み糸及びゴム糸に第2編み糸及び第3編み糸が追加され、タック編みされている。よって締め付け部104は地編み部104よりも伸縮量及び締め付け力が大きい。締め付け部104は、土踏まず部締め付け部142とアキレス腱締め付け部144及びヒラメ筋締め付け部146を含み、土踏まず部締め付け部142とアキレス腱締め付け部144は、踝部よりも趾部側において、接続部148によって接続されている。よって、土踏まず部締め付け部142とアキレス腱締め付け部144が引っ張り合い、それぞれの締め付け力が増加する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足部(12)の甲部(64)及び土踏まず部(60)から膝部(62)下迄の下腿部(10)を覆う筒状の伸縮性を有する地編み部(102)を含み、
前記足部(12)の前記甲部(64)及び前記土踏まず部(60)をリング状に覆う土踏まず部締め付け部(142)を前記地編み部(102)に付加し、
前記下腿部(10)のアキレス腱(44)と脛部(72)の周囲を覆うアキレス腱締め付け部(144)を前記地編み部(102)に付加し、
前記土踏まず部締め付け部(142)と前記アキレス腱締め付け部(144)は前記地編み部(102)よりも太い糸を編み込むことで締め付け力を大きくしたアキレス腱サポーター(100)であって、
前記アキレス腱締め付け部(144)は、踵骨(14)と前記アキレス腱(44)の接合部(88)から腓腹筋(48)とアキレス腱(44)の接合部(88)を覆い、
前記土踏まず部締め付け部(142)と前記アキレス腱締め付け部(144)は、踝(66)よりも前記土踏まず部(60)側において接続部(148)によって接続されている
ことを特徴とするアキレス腱サポーター。
【請求項2】
前記アキレス腱締め付け部(144)、前記土踏まず部締め付け部(142)及び前記接続部(148)は、地編み糸(118)に前記地編み糸(118)よりも太いゴム糸(134)、及び第3編み糸(154)を編み込んで構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のアキレス腱サポーター。
【請求項3】
前記接続部(148)の幅は、非装着時において15乃至20ミリメートルである
請求項2に記載のアキレス腱サポーター。
【請求項4】
前記接続部(148)は、前記土踏まず部締め付け部(142)の土踏まず部踵部側端縁(158)と、前記アキレス腱締め付け部(144)の踵部アキレス腱部端縁(172)の交点(182)と、前記土踏まず部締め付け部(142)の甲部足首側端縁(166)と前記アキレス腱締め付け部(144)の甲側端縁(176)によって画定される足首部甲部地編み部(188)によって画定される
ことを特徴とする請求項3に記載のアキレス腱サポーター。
【請求項5】
前記アキレス腱締め付け部(144)に連続して前記下腿部(10)の内側及び外側側方に配置された縦長細幅のヒラメ筋締め付け部(146)を備える
ことを特徴とする請求項4に記載のアキレス腱サポーター。
【請求項6】
前記内側及び外側のヒラメ筋締め付け部(146)は、膝部(62)下部において膝部(62)側に向かって末広がり形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のアキレス腱サポーター。
【請求項7】
前記内側及び外側のヒラメ筋締め付け部(146)における腓腹筋(48)側の膝部(62)側近傍の前記第2編み糸(152)及び前記第3編み糸(154)は連続している
ことを特徴とする請求項6に記載のアキレス腱サポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剣道、空手、テコンドー、テニス等のスポーツ又は一般生活において発生するアキレス腱障害を抑制するアキレス腱サポーターに関する。
なお、以下の説明において、第1、第2、等の数字を使った名称を使用するが、同一名称において混同を生じないようにする説明の便のためのものであって、権利の解釈に影響を与えない。
【背景技術】
【0002】
スポーツ、例えば、剣道、空手、テニス等においては、前方、後方又は側方へ急激に移動することが多い。この急激な移動は、アキレス腱に大きな荷重が作用し、急激に大きな引張力によって伸長されることから、アキレス腱の全て、又は一部が断裂されるアキレス腱障害を生じることがある。このアキレス腱障害は、アキレス腱に急激に大きな力が作用し伸長されることが原因であると推測される。このため、アキレス腱障害は、老化が始まった年代に多く発生する傾向がある。このアキレス腱障害の原因を図9を参照しつつ更に詳細に説明ずる。
図9において、下肢1は、上腿(図示せず)、下腿部10、及び足部12によって構成される。足部12の骨格は、踵骨14、舟状骨16、楔状骨18、指毎の中足骨20、基節骨22、中節骨24、及び末節骨26、並びに距骨28、立方骨30によって構成されている。下腿部10の骨格は、脛骨32と腓骨34によって構成されている。距骨28、脛骨32、及び腓骨34は、蝶番関節たる距腿関節36を構成し、背屈(足の指をそらす方向)と底屈(足の指を曲げる方向)が可能である。踵骨14の一部に足底腱筋42の一端が足底腱筋踵骨接合部74に、他端部が足底腱筋中骨接合部76によって中足骨20に接合され、当該足底腱筋42によって、足裏に作用する力を緩衝する。また、アキレス腱44の下端部がアキレス腱踵骨接合部78を介して踵骨14に接合され、上端部がアキレス腱筋接合部80によってヒラメ筋46と腓腹筋48に接合されている。足底腱筋踵骨接合部74、足底腱筋中骨接合部76、アキレス腱踵骨接合部78、アキレス腱筋接合部80は、総称して接合部88という。アキレス腱44を介して、踵骨14が引き上げられ、踵部52が持ち上げられる。
人が前進する場合、ヒラメ筋46及び腓腹筋48を収縮させ、アキレス腱44を介して踵骨14の後部を上方向へ引き上げる。この際、足底腱筋42も同時に緊張され、結果、足先で地面を蹴って体を前方へ移動させる。したがって、踵骨14の引き上げ速度が速い場合、走ることになる。換言すれば、ヒラメ筋46及び腓腹筋48を急速に大きな力で収縮させ、アキレス腱44を介して踵骨14を急激に引き上げることにより、急速な移動が可能になり、アキレス腱44には大きな伸長力が作用する。
逆に人が後退する場合、体の重心を後方に位置させた状態で、ヒラメ筋46及び腓腹筋48を収縮させ、アキレス腱44を介して踵骨14の後部を上方向へ引き上げることにより、趾部58で地面を蹴って体を後方へ移動させる。なお、54は上伸筋支帯、56は下伸筋支帯、64は甲部である。また、図9には図示していないが、62は膝部、66は外踝、68は内踝、72は脛である。
以上より、アキレス腱44に急激に大きな引張力が作用し、伸長される場合、アキレス腱の一部又は全部が切断され、アキレス腱障害が生じると推測される。よって、アキレス腱44及び足底腱筋42に急激な伸長を抑制することにより、アキレス腱障害を予防又は軽減させることができると考えられる。
【0003】
アキレス腱障害を予防又は軽減するため、以下の従来技術が知られている。
第1の従来技術として、足部、足首部、及びふくらはぎ部を覆う靴下又は筒状の下肢用サポーターであって、踵骨及び/又は立方骨に対応する足底部から足首部側面までを覆う部分に伸縮性の補強部を一体的に設け、補強部の内側表面に凸面を形成し、さらに、ヒラメ筋の腓腹筋に覆われていない部分を覆う部分に伸縮性の補強部を一体的に設け、前記補強部の内側表面に凸面を形成することが知られている(特許文献1)。
第2の従来技術として、膝頭直下位置をリング状に覆う上端伸縮バンド部と、足首近傍位置をリング状に覆う足首伸縮バンド部と、足の甲および土踏まずの部分をリング状に覆う土踏まず伸縮バンド部と、上端伸縮バンド部と足首伸縮バンド部との間を連結し、脚外側の腓骨部分を覆う外側伸縮バンド部と、上端伸縮バンド部と足首伸縮バンド部との間を連結し、脚内側の脛骨部分を覆う内側伸縮バンド部と、足首伸縮バンド部と土踏まず伸縮バンド部との間を連結し、外側踝部分を覆う外踝伸縮バンド部と、足首伸縮バンド部と土踏まず伸縮バンド部との間を連結し、内側踝部分を覆う内踝伸縮バンド部と、外側伸縮バンド部と内側伸縮バンド部との間に配置されて後下腿筋群を覆い、温熱機能を有するふくらはぎ覆い部と、を具備することを特徴とするソックスが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-332470(図1図4、段落0009)
【特許文献2】特開平11-124702(図1図2、段落0004)
【0005】
第1の従来技術において、足アーチ補強部は足アーチ(土踏まず部)を締め付けて圧迫し、足アーチの衝撃緩衝効果や蹴り出し効果を維持し、その結果、疲労軽減効果を高める効果が期待される。また、足アーチ補強部は足底腱筋を締め付けることから、アキレス腱に急激に伸長力が作用した場合、足底腱筋の急激な伸長を抑制する効果が見込まれる。一方、補強部は、踵骨及び/又は立方骨に対応する足底部から足首部側面までを覆う部分に設け、足関節の安定性を高める効果が期待される。また、足首部に位置する補強部はアキレス腱を締め付けるので、アキレス腱が急激な伸長を一定程度抑制する効果が見込まれる。更に、補強部はヒラメ筋の腓腹筋に覆われていない部分を覆う部分に設けられ、フィット性や衝撃干渉性が良好になるとともに、踝部周囲やヒラメ筋肉に触刺激を与え、神経促通を高める効果が期待される。
しかしながら、足アーチ補強部と補強部は、それぞれ独立して足アーチ部、又は足首部を締め付けることから、足底腱筋及びアキレス腱に対し十分な締め付け力を得ることができない懸念がある。換言すれば、アキレス腱障害の予防又は軽減効果が不十分である懸念がある。
【0006】
第2の従来技術において、足首伸縮バンド部は足首位置をリング状に覆い、上伸筋支帯部分がサポートされ、足部のホールド機能を促して脚の運動を安定させる。一方、足首伸縮バンド部は上伸筋支帯部分のアキレス腱を締め付けることから、アキレス腱が急激に伸長されることを抑制する効果が見込まれる。
土踏まず伸縮バンド部は、足部の甲および土踏まずの部分をリング状に覆う上伸筋支帯部分を締め付けることにより足下伸筋支帯部分がサポートされ、足指のホールド性を安定的に強める。更に、土踏まず伸縮バンド部は足底腱筋を締め付けることから、アキレス腱に急激に伸長力が作用した場合、足底腱筋の急激な伸長を抑制する効果が見込まれる。
しかしながら、土踏まず伸縮バンド部と足首伸縮バンド部は、外側踝部分を覆う外踝伸縮バンド部と内側踝部分を覆う内踝伸縮バンド部により接続されているので、ソックス着用時の足首伸縮バンド部および土踏まず伸縮バンド部のサポート位置を安定させることができる利点がある。しかし、土踏まず伸縮バンド部と足首伸縮バンド部を互いに引き合う関係にはなく、換言すれば、それぞれ独立して足アーチ部、又は足首部を締め付けることから、十分な締め付け力を得ることができず、第1の従来技術同様、アキレス腱障害を防止又は軽減効果が不十分である懸念がある。
【0007】
本発明は、アキレス腱障害を予防又は軽減する効果を更に高めることが出来るアキレス腱サポーターを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、請求項1に係る第1の発明は以下のように構成される。
足部の甲部及び土踏まず部から膝部下迄の下腿部を覆う筒状の伸縮性を有する地編み部を含み、
足部の甲部及び土踏まず部をリング状に覆う土踏まず部締め付け部を前記地編み部に付加し、
前記下腿部のアキレス腱と脛部の周囲を覆うアキレス腱締め付け部を前記地編み部に付加し、
前記土踏まず部締め付け部と前記アキレス腱締め付け部は前記地編み部よりも太い糸を編み込むことで締め付け力を大きくしたアキレス腱サポーターであって、
前記アキレス腱締め付け部は、踵骨とアキレス腱の接合部から腓腹筋とアキレス腱の接合部を覆い、
前記土踏まず部締め付け部とアキレス腱締め付け部は、踝よりも土踏まず側において接続部によって接続されている
ことを特徴とするアキレス腱サポーター
である。
【0009】
請求項2に係る第2の発明は以下のように構成されている。
前記アキレス腱締め付け部、土踏まず部締め付け部及び接続部は、地編み糸に地編み糸よりも太いゴム糸、及び第3編み糸を編み込んで構成される
ことを特徴とする第1の発明のアキレス腱サポーター
である。
【0010】
請求項3に係る第3の発明は以下のように構成されている。
前記接続部の最小幅は、非装着時において15乃至20ミリメートルである
第2の発明のアキレス腱サポーター
である。
【0011】
請求項4に係る第4の発明は以下のように構成されている。
前記接続部は、前記土踏まず部締め付け部の土踏まず部踵部側端縁と、前記アキレス腱締め付け部の踵部アキレス腱部端縁の交点と、前記土踏まず部締め付け部の甲部足首側端縁と前記アキレス腱締め付け部の甲側端縁によって画定される足首部地編み部によって画定される
ことを特徴とする第3の発明のアキレス腱サポーター
である。
【0012】
請求項5に係る第5の発明は以下のように構成されている。
前記アキレス腱締め付け部に連続して下腿部の内側及び外側側方に配置された縦長細幅のヒラメ筋締め付け部を備える
ことを特徴とする第4の発明のアキレス腱サポーター
である。
【0013】
請求項6に係る第6の発明は以下のように構成されている。
前記内側及び外側のヒラメ筋締め付け部は、膝部下部において膝部側に向かって末広がり形状に形成されていることを特徴とする第5の発明のアキレス腱サポーター
である。
【0014】
請求項7に係る第7の発明は以下のように構成されている。
前記内側及び外側ヒラメ筋締め付け部における腓腹筋側の膝部側近傍の前記第2編み糸及び前記第3編み糸は連続している
ことを特徴とする第6の発明のアキレス腱サポーター
である。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、足及び下腿は、足部の甲部及び土踏まず部から膝部下を覆う筒状の伸縮性を有する地編み部によって包まれる。
筒状の地編み部には、足部の甲部及び土踏まず部をリング状に覆う土踏まず部締め付け部を前記地編み部に付加され、かつ、下腿部のアキレス腱と脛部の周囲を覆うアキレス腱締め付け部を地編み部に付加し、土踏まず部締め付け部とアキレス腱締め付け部は地編み部よりも太い糸を編み込むことで締め付け力が大きくされている。そして、土踏まず部締め付け部とアキレス腱締め付け部は、踝よりも土踏まず側において接続部によって接続されている。土踏まず部締め付け部とアキレス腱締め付け部は、踝よりも土踏まず側において接続部によって接続されていることから、両締め付け部は接続部を介して引張力が作用し合って土踏まず部締め付け部とアキレス腱締め付け部の締め付け力が増強される。この締め付け力の増強によって、土踏まず部締め付け部とアキレス腱締め付け部の締め付け力が大きくなる。また、アキレス腱締め付け部は、踵骨とアキレス腱の接続部から腓腹筋とアキレス腱の接合部を覆っていることから、アキレス腱全体を締め付け、及び保温作用があることから、より一層アキレス腱障害を予防又は軽減できる利点がある。また、踝よりも土踏まず側において接続部によって接続されていることから、足首部の関節はアキレス腱締め付け部によって締め付けられ、足首部のぐらつきを抑制できる利点がある。
【0016】
第2の発明によれば、第1の発明と同一の構成を有することから、本願発明の目的を達成できる。さらに、第2の発明においては、土踏まず部締め付け部及び接続部は、地編み糸に地編み糸よりも太いゴム糸、及び第3編み糸を編み込んで構成される構成されることから、製造が容易である利点がある。
【0017】
第3の発明によれば、第1の発明と同一の構成を有することから、本願発明の目的を達成できる。さらに、第3の発明においては、接続部の最小幅は、非装着時において15乃至20ミリメートルであることから、製造が容易である利点がある。
【0018】
第4の発明によれば、第1の発明と同一の構成を有することから、本願発明の目的を達成できる。さらに、第4の発明においては、接続部は、土踏まず部締め付け部の土踏まず部踵部側端縁と、アキレス腱締め付け部の踵部アキレス腱部端縁の交点と、土踏まず部締め付け部の甲部足首側端縁とアキレス腱締め付け部の甲側端縁によって画定される足首部地編み部によって形成される。よって、足首部は足首部地編み部によって覆われるので、ゴワゴワ感を解消できる。また、踵部は踵部地編み部によって覆われ、土踏まず部締め付け部とアキレス腱締め付け部からの引き力が大凡相反する方向になり、効果的に引き力を作用させることができる利点がある。
【0019】
第5の発明によれば、第1の発明と同一の構成を有することから、本願発明の目的を達成できる。さらに、第5の発明においては、アキレス腱締め付け部に連続して下腿部の内側及び外側側方に配置された縦長細幅のヒラメ筋締め付け部を備えることから、ヒラメ筋をも保護出来る利点がる。
【0020】
第6の発明によれば、第1の発明と同一の構成を有することから、本願発明の目的を達成できる。さらに、第6の発明においては、内側及び外側のヒラメ筋締め付け部は、膝部下部において膝部側に向かって末広がり形状に形成されていることにより、サポーター上部の締め付け力を増加し、サポーターのずり落ちを抑制し、もって、締め付け部のズレを抑制して効果的に所定位置を締め付けできる利点がある。
【0021】
第7の発明によれば、第1の発明と同一の構成を有することから、本願発明の目的を達成できる。さらに、第7の発明においては、内側及び外側ヒラメ筋締め付け部における腓腹筋側の膝部側近傍の第2編み糸及び第3編み糸は連続していることから、膝部下のゴム部に隣接する部位においては、伸びが制限され、膝部下部の締め付け力が強化され、アキレス腱サポーターのずり落ちを防止できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は本発明の実施例1のアキレス腱サポーターであり、(A)は左側面図、(B)は右側面図である。
図2図2は本発明の実施例1のアキレス腱サポーターの左側面図である。
図3図3は本発明の実施例1のアキレス腱サポーターであり、(A)は正面図、(B)は背面図である。
図4図4は本発明の実施例1のアキレス腱サポーターを下肢に装着した状態の左側面説明図である。
図5図5は本発明の実施例1のアキレス腱サポーターの左側面展開図である。
図6図6は本発明の実施例1のアキレス腱サポーターを下肢に装着した状態におけるアキレス腱サポーターと、骨及び筋肉の関連を説明するための説明図であり、(A)は正面図、(B)は背面図である。
図7図5は本発明の実施例1のアキレス腱サポーターを下肢に装着した状態におけるアキレス腱サポーターと骨と筋肉の関連を説明するための左側面図である。
図8図8は本発明の実施例1のアキレス腱サポーターの編み組織を説明するための説明図である。
図9図9は、アキレス腱障害を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るアキレス腱サポーターは、
足部の甲部及び土踏まず部から膝部下迄の下腿部を覆う筒状伸縮性を有する地編み部を含み、
足部の甲部及び土踏まず部をリング状に覆う土踏まず部締め付け部を前記地編み部に付加し、
前記サポーターにおける足首周囲を覆うアキレス腱締め付け部を前記地編み部に付加し、
前記土踏まず部締め付け部と前記アキレス腱締め付け部は前記地編み部よりも太い糸を編み込むことで締め付け力を大きくしたサポーターであって、
前記アキレス腱締め付け部は、踵骨とアキレス腱の接続部から腓腹筋とアキレス腱の連結部を覆い、
前記土踏まず部締め付け部とアキレス腱締め付け部は、踝よりも土踏まず側において接続部によって接続されている
ことが好ましい。
また、
前記アキレス腱締め付け部、土踏まず部締め付け部及び接続部は、地編み糸に地編み糸よりも太いゴム糸、及び第3編み糸を編み込んで構成される
ことが好ましい。
さらに、
前記接続部の最小幅は、非装着時において15乃至20ミリメートルである
ことが好ましい。
さらにまた、
前記接続部は、前記土踏まず部締め付け部の土踏まず部踵部側端縁と、前記アキレス腱締め付け部の踵部アキレス腱部端縁の交点と、前記土踏まず部締め付け部の甲部足首側端縁と前記アキレス腱締め付け部の甲側端縁によって画定される足首部地編み部によって画定される
ことが好ましい。
また、
前記アキレス腱締め付け部に連続して下腿部の内側及び外側側方に配置された縦長細幅のヒラメ筋締め付け部を備える
ことが好ましい。
さらに、
前記内側及び外側のヒラメ筋締め付け部は、膝部下部において膝部側に向かって末広がり形状に形成されている
ことが好ましい。
さらにまた、
前記内側及び外側ヒラメ筋締め付け部における腓腹筋側の膝部側近傍の前記第2編み糸及び前記第3編み糸は連続していることが好ましい。
【実施例0024】
本発明の実施例1のアキレス腱サポーター100を図1乃至8を参照しつつ説明する。
アキレス腱サポーター100は、少なくとも、足底腱筋42及びアキレス腱44を締め付け、それら足底腱筋42及びアキレス腱44の急激な伸長を抑制する機能を有する。本実施例1においては、更に、ヒラメ筋46の踝66、したがって内踝66i側及び外踝66o側を覆うことにより保温する機能を有する。
本実施例1において、アキレス腱サポーター100は、地編み部102と締め付け部104、及び上部保持部106によって構成されている。
【0025】
まず地編み部102を図4を参照しつつ説明する。
地編み部102は、下肢の形状に適合させたアキレス腱サポーター100の基礎となる機能を有する。基礎となる機能とは、地編み部102に関連して締め付け部104が構成されるとの機能である。本実施例1において、地編み部102は、筒状であって、ハイソックス形状に構成されている。ハイソックス形状とは、膝部62の直下からの下腿部10及び足部12を覆う形状をいう。本実施例1においてアキレス腱サポーター100は、側面視において、口ゴム部112、レッグ部114、及びフット部116によって略L字状に形成されている。したがって、地編み部102も、図5に示すように、口ゴム地編み部122、レッグ地編み部124、及びフット地編み部126によって構成されている。
【0026】
口ゴム地編み部122は、膝部62の直下と腓腹筋48の上端の間に相対し、アキレス腱サポーター100の上端部が足首部38側へずり落ちないようにする機能を有する。レッグ地編み部124は、足首部38から膝部62直下の下腿部10を包み込み、締め付ける機能を有する。フット地編み部126は、足首部38と踵部52側から足部12の中間までを包み込み、締め付ける機能を有する。換言すれば、足部12の母指球及び小趾球の直前(土踏まず部60)までを包み込み、母指球及び小趾球から趾は露出するように形成されている。剣道、柔道、空手等の素足競技においても使用できるようにするためである。しかし、テニス等の靴を履いて行う競技においても使用することができる。更に、競技以外の日常生活においても使用することができる。
【0027】
地編み部102は、丸編み機(図示せず)によって、図8に示すように、地編み糸118たる第1編み糸132(斜線入り)、ゴム糸134、及び第2編み糸152(無地)によって筒状に、口ゴム地編み部122、レッグ地編み部124、及びフット地編み部126が連続して平編みによって編まれている。第1編み糸132は、細糸で耐久性に優れた糸が好ましく、例えば、30デニールのナイロン双糸を用いることが好ましい。第1編み糸132に第2編み糸152が添え糸としてフロート編みされている。これにより、第2編み糸152が表糸、第1編み糸132は裏糸になる。第2編み糸152は、第1編み糸132よりも太い糸であることが好ましい。本実施例1において第2編み糸152は、例えば、70デニールのナイロン双糸であることが好ましい。第2編み糸152は、地編み部102の端部において切断されている。さらに、ゴム糸134(無地)が添えられて編まれる。ゴム糸134は、弾性を有する糸である。本発明におけるゴム糸134は、ゴム糸のように弾性を有する糸であれば良い。よって、ゴム糸134はゴム製以外の弾性を有する糸を用いることができる。ゴム糸134は、例えば、280デニールのポリウレタン糸に50デニールのポリウレタン糸をダブルカバーリングしたカバーリング糸が好ましい。
【0028】
地編み部102は、例えば、フット地編み部126の趾部58側から筒状に編まれ、踵部52においてラップアンドターン方式にて踵部地編み部128を編み、編み方向の角度を約90度偏向した後、レッグ地編み部124が編まれ、次いで口ゴム地編み部122が編まれる。フット地編み部126において、フット折返部136(図5における鎖線部)に相当する分、長めに編まれ、内側へ折り返され、フット折返先端部136Tがフット地編み部126に縫い付けられる。これにより、フット地編み部126の先端にフット部折返部130が形成され、先端にフット部開口131が設けられる。口ゴム地編み部122も口ゴム折返部138に相当する分長めに編まれ、内側へ折り返されて口ゴム折返部先端138Tが口ゴム地編み部122に縫い付けられる。これにより、口ゴム地編み部122の先端に口ゴム部折返部139が構成され、先端に口ゴム部開口141が形成される。なお、フット地編み部126においては、趾部58側から踵部52側へ向かって足部12の形状に適合するように拡径するように形成されている。レッグ地編み部124においても、踵部地編み部128から足首部38の相対部へ向かって縮径され、さらに、足首部38の相対部からふくらはぎ部82の相対部へ向かって拡径され、次にふくらはぎ部82の相対部から膝部62側へ向かって縮径されている。換言すれば、地編み部102は、足部12及び下腿部10の部位の太さ、換言すれば、部位の周長に対し、何れの部位においても同様の拡張率になるようその大きさが設定されることが好ましい。
フット部116の趾先側端部たるフット折返先端部136Tは、土踏まず部60の足裏に対し略直角をなすよう、垂立線に対し、趾先側へやや傾斜するように形成されている。
【0029】
次に締め付け部104を説明する。
締め付け部104は、地編み部102と協働し、少なくとも、足底腱筋42及びアキレス腱44を締め付ける機能を有する。本実施例1において、締め付け部104は足底腱筋42を締め付ける土踏まず部締め付け部142、アキレス腱締め付け部144、及びヒラメ筋締め付け部146を含んでいる。さらに、土踏まず部締め付け部142とアキレス腱締め付け部144は、接続部148によって、接続されている。
【0030】
締め付け部104は、地編み部102を構成する第2編み糸152は切断されるが、第1編み糸132(ハッチング)及びゴム糸134(無地)に加えて、追加の編み糸が加えられると共に、地編み部102とは異なる編み組織によって構成され、引張力が地編み部102よりも大きい機能を有する。追加の編み糸は、一本以上であるが、本実施例1においては、第3編み糸154(無地)が追加されている。第3編み糸154は、第1編み糸132及び第2編み糸152よりも太い糸であることが好ましい。本実施例1において第3編み糸154は、例えば、110デニールのナイロン双糸であることが好ましい。
締め付け部104は、更に、編組織が地編み部102とは異なる組織によって編成されている。締め付け部104は、地編み部102よりも縦伸びが抑制される編み組織である。縦伸びが抑制される編み組織とは、ゴム編(リブ編・フライス編)、パール編(ガーター編)、平編みとタック編みが交互に配置された鹿の子編等である。本実施例1においては、平編みとタック編みが交互に配置された鹿の子編が採用されている。具体的には、図8に示すように、地糸たる第1編み糸132、及び第2編み糸152、並びに第3編み糸154がタック編み部Tと平編み部Pが横方向Hに交互に形成されている。本実施例1において、タック編み部Tにおいては、第1編み糸132及び第3編み糸154が一目ずつ飛んでいる。一目飛んでいることから、縦方向Vよりも横方向Hの伸縮量が大きい。
また、締め付け部104においては、第1編み糸132、及び第3編み糸154が縦方向Vに存在することから、縦方向Vの伸縮量は小さい。更に、締め付け部104には、ゴム糸134が横方向Hに延在することから、締め付け部104における引張力は、所定量以上の引き延ばされた場合、平編みPによって構成された地編み部102より大きくなる。第3編み糸154は、締め付け部104において第1編み糸132及びゴム糸134と共に編み込まれる。締め付け部104の端部において、第3編み糸154は切断されている。しかし、締め付け部104が筒状部である場合、第2編み糸152及び第3編み糸154は連続して円筒状に編み込まれている。
前記のように構成された締め付け部104は、地編み部102の厚みよりも厚く、かつ、縦方向V及び横方向Hの引張力は地編み部102よりも大きい。
上記した締め付け部104と同一構成によって、土踏まず部締め付け部142、アキレス腱締め付け部144、及びヒラメ筋締め付け部146が構成されている。
【0031】
次に土踏まず部締め付け部142を図6をも参照しつつ説明する。
土踏まず部締め付け部142は、地編み部102と協働して土踏まず部60、したがって、足底腱筋42を締め付ける機能を有する。本実施例1において、土踏まず部締め付け部142は、趾側端縁156と踵部52の間において垂立する土踏まず部踵部側端縁158によって挟まれ、土踏まず部60と甲部64の外周を囲うようにリング状に形成された部分である。
趾側端縁156は、フット折返部136に隣接し、やや傾斜する趾側足裏端縁162、趾側足裏端縁162に続く趾側甲側端縁164、及び甲部足首側端縁166によって構成されている。土踏まず部踵部側端縁158は、図7に示すように、足底腱筋42の踵骨14への足底腱筋踵骨接合部74の近くに位置する。趾側甲側端縁164は、足底腱筋42の中央よりも中足骨20との足底腱筋中足骨接合部86側に位置する。この構成によって、図4に示すように、土踏まず部締め付け部142は、土踏まず部60に対し引き上げる力p1とこれに対する反力p2が甲部64側から作用し、土踏まず部60の足底腱筋42を甲部64側へ引き上げるように締め付ける。更に、接続部148に対しては、土踏まず部60側へ引っ張る引張力p3が作用する。
【0032】
次にアキレス腱締め付け部144を説明する。
アキレス腱締め付け部144は、地編み部102と協働してアキレス腱44を締め付ける機能を有する。本実施例1において、アキレス腱締め付け部144は、アキレス腱44と脛部72を締め付けるようにリング状に形成されている。具体的には、下腿裏側140(図2)においては、踵部アキレス腱部端縁172と腓腹筋側端縁174、趾部58側においては、甲側端縁176と脛側端縁178を囲んでいる。踵部アキレス腱部端縁172は、踵骨14とアキレス腱44のアキレス腱踵骨接合部78を覆う位置に配置されている。腓腹筋側端縁174は、腓腹筋48とアキレス腱44のアキレス腱筋接合部80を覆う位置に配置されている。甲側端縁176は、足首部38の上伸筋支帯54に相対する位置に位置する。脛側端縁178は、腓腹筋側端縁174よりも下方に配置されている。換言すれば、アキレス腱締め付け部144は、上端部が趾部58側へ向かって傾斜する筒状である。よって、アキレス腱締め付け部144は、図4に示すように、下腿部10の下腿裏側140から前側へ締め付ける力a1とそれに対する反力a2によってアキレス腱44を締め付ける。更に、土踏まず部締め付け部142を引張る力a3が作用する。
アキレス腱締め付け部144と土踏まず部締め付け部142は、接続部148によって接続されている。換言すれば、アキレス腱締め付け部144と土踏まず部締め付け部142は、接続部148を介して相互に引っ張り合う関係にある。
【0033】
次にヒラメ筋締め付け部146を説明する。
ヒラメ筋締め付け部146は、下腿部10のヒラメ筋46の内踝66i側及び外踝66o側の外方に配置され、皮膚に近いヒラメ筋46を締め付けると共に、保温する機能を有する。本実施例1において、ヒラメ筋締め付け部146はアキレス腱締め付け部144の上端部から所定の幅で上部保持部106(口ゴム部112)の下端部迄、細長の鼓型に形成された、外踝側ヒラメ筋締め付け部146oと内踝側ヒラメ筋締め付け部146iを含んでいる。具体的には、図3に示すように、趾部58側から見た場合、弧状に延在する外踝66o側のつま先側外踝側縁192と内踝66i側のつま先側内踝側縁194によって、楕円形の脛部地編み部196を構成する。また、下腿裏側140から見た場合、弧状に延在する外踝66o側208の踵側外踝側縁198と内踝66i側206の踵側内踝側縁202によって、楕円形の腓腹筋部地編み部204を構成する。よって、図1に示すように、外踝側ヒラメ筋締め付け部146oは、つま先側外踝側縁192と踵側外踝側縁198によって画定された最小幅Wsを有する鼓型に形成されている。換言すれば、ヒラメ筋締め付け部146は、膝部62下部において膝部62側に向かって末広がり形状に形成されている。内踝側ヒラメ筋締め付け部146iは、つま先側内075312踝側縁194と踵側内踝側縁202によって画定された最小幅Wsを有する鼓型に形成されている。換言すれば、外踝側ヒラメ筋締め付け部146oと内踝側ヒラメ筋締め付け部146iは、同一形状に形成されている。つま先側外踝側縁192の上端192Uとつま先側内踝側縁194の上端194Uの間隔DT(図3)は、踵側外踝側縁198と踵側内踝側縁202の間隔DHよりも大きく(長く)構成されている。
腓腹筋部地編み部204の口ゴム部112近傍において、ゴム糸134、第2編み糸152及び第3編み糸154が切断されずに連続されている編み糸連続部212が形成されている。本実施例1において編み糸連続部212は、ゴム糸134、第2編み糸152及び第3編み糸154が一体となって一本の糸を構成し、21本残されている。編み糸連続部212において、腓腹筋部地編み部204が所定量伸ばされた場合、編み糸連続部212のゴム糸134、第2編み糸152及び第3編み糸154によって伸びが制限されることから、口ゴム部112の直下における締め付け力は強化されることになる。これにより、口ゴム部112のずり落ちを防止できる利点がある。編み糸連続部212において残す本数は、10本乃至30本が好ましい。
【0034】
次に接続部148を説明する。
接続部148は、アキレス腱締め付け部144と土踏まず部締め付け部142を直接的に接続し、相互に引張力を直接的に作用させる機能を有する。本実施例1において接続部148は、土踏まず部締め付け部142とアキレス腱締め付け部144のそれぞれの端部の接線である。本実施例1において、接続部148は、図2に示すように、土踏まず部踵部側端縁158と踵部アキレス腱部端縁172との交点182と、甲部足首側端縁166と甲側端縁176の中間点184を直線で結んだ接続線186と重なっている。甲部足首側端縁166と甲側端縁176は足首部38の距骨28に相対する位置に相対して形成された地編み部102と締め付け部104の境界であり、甲部足首側端縁166と甲側端縁176で画定された横長の足首部甲部地編み部188を構成する。この構成によって、接続部148は外踝66o及び内踝66iよりも趾部58側に位置することになる。これによって、外踝66o及び内踝66iがアキレス腱締め付け部144によって締め付けられることから、足首部のぐらつきを抑制でき、捻挫などを予防することが期待できる。
【0035】
アキレス腱サポーター100における土踏まず部締め付け部142、アキレス腱締め付け部144、及びヒラメ筋締め付け部146は、前述したように締め付け部104によって構成され、その他の部位は地編み部102によって構成されている。本実施例1において、地編み部102は、足首部甲部地編み部188、踵部地編み部128、甲部地編み部216、腓腹筋部地編み部204、及び脛部地編み部196を含んでいる。
【0036】
次に足首部甲部地編み部188を説明する。
足首部甲部地編み部188は、足首部38が背屈した場合、換言すれば、足部12が下腿部10に対し大凡直角をなす状態になった場合、容易に皺が形成されて、足首部38における皮膚とサポーターとの擦れを抑制し、円滑に背屈できるようにする機能を有する。本実施例1においては、足首部甲部地編み部188は、第1編み糸132による平編みにゴム糸134が添えられた地編み部によって構成されている。この構成によって、足首部甲部地編み部188は、土踏まず部締め付け部142、及びアキレス腱締め付け部144よりも容易に変形することができるので、足部12に対し下腿部10が背屈した場合、足首部甲部地編み部188が皺を形成し、皮膚との擦れを軽減し、装着感を向上させることができる。本実施例1において、足首部甲部地編み部188は、下腿部10に装着していない場合、高さHが14ミリメートル(図2)、正面から見た場合の幅Waが50ミリメートルの略四角形であることが好ましい。
【0037】
次に踵部地編み部128を説明する。
踵部地編み部128は、踵部52を覆う機能を有する。本実施例1において踵部地編み部128は、側面視した場合、土踏まず部踵部側端縁158と踵部アキレス腱部端縁172で画定される四分の一円盤形状に形成されている。土踏まず部締め付け部142とアキレス腱締め付け部144は、踵部地編み部128によっても接続されている。したがって、土踏まず部締め付け部142とアキレス腱締め付け部144は、踵部地編み部128をも介して相互に引っ張り合うので、土踏まず部締め付け部142とアキレス腱締め付け部144の締め付け力を高めることができる。
【0038】
次に、甲部地編み部216を説明する。
甲部地編み部216は、フット部116と趾側甲側端縁164の間の甲部64を覆う機能を有する。本実施例1において甲部地編み部216は、上側から見た場合、三日月形を呈している。
【0039】
次に、腓腹筋部地編み部204を説明する。
腓腹筋部地編み部204は、腓腹筋48を大凡覆う機能を有する。本実施例1において、腓腹筋部地編み部204は、踵側外踝側縁198、踵側内踝側縁202及び口ゴム部112の下端部で囲われた楕円形部分である。
【0040】
次に、脛部地編み部196を説明する。
脛部地編み部196は、脛部72を大凡覆う機能を有する。本実施例1において、脛部地編み部196は、つま先側外踝側縁192、つま先側内踝側縁194、及び口ゴム部112の下端部で囲われた楕円形部分である。
【0041】
地編み部102は、締め付け部104よりも薄く構成されると共に、通気性良く構成されている。換言すれば、締め付け部104は地編み部102よりも、厚く、かつ通気性良く構成されている。よって、締め付け部104は地編み部102よりも保温性が良い。
【0042】
実施例1に係るアキレス腱サポーター100は、左右共通である。したがって、利用者は、左右の下腿部10、又はアキレス腱障害の恐れのある右又は左の下腿部10にアキレス腱サポーター100を装着した後、各種競技の練習又は試合を行う。
【0043】
アキレス腱サポーター100を装着した場合、図6及び図7に示す状態になる。
すなわち、フット部116の趾側端縁156が土踏まず部60と甲部64の回りに位置し、踵部地編み部128は踵部52を包み込み、口ゴム部112は膝部62の直下における下腿部10の回りに配置される。これによって、土踏まず部締め付け部142は土踏まず部60に相対して土踏まず部60と甲部64を締め付け、足底腱筋42を所定の力で甲部64側へ引き付ける。
アキレス腱締め付け部144は、アキレス腱44と脛部72の周りに位置して足首部38とアキレス腱44を締め付け、アキレス腱44を所定の力で脛部72側へ引き付ける。アキレス腱締め付け部144の下腿裏側140は、踵骨14とアキレス腱44のアキレス腱踵骨接合部78、及び腓腹筋48とアキレス腱44のアキレス腱筋接合部80を覆っているのでアキレス腱44、アキレス腱踵骨接合部78及びアキレス腱筋接合部80を保温する。
【0044】
この状態において、例えば、前を向いたまま後方へ急速に移動する場合、趾部58で床面を蹴ることになる。この場合、足底腱筋42の収縮とアキレス腱44及びヒラメ筋46を急速に収縮させることにより行う。足底腱筋42が急速に収縮する場合、踵骨14と中足骨20が引き付けられ、結果、足底腱筋42が緊張させられる。足底腱筋42が緊張した場合、足底腱筋42が甲部64から離れる方向に移動する。この足底腱筋42の移動は、土踏まず部締め付け部142による締め付け力に抗して移動することになるから、急激な移動は緩和される。同様に、アキレス腱44が緊張させられる場合、アキレス腱44は、アキレス腱踵骨接合部78とアキレス腱筋接合部80の間で直線に近づく。換言すれば、アキレス腱44が脛部72側から離れる方向に移動する。この場合、アキレス腱44は、アキレス腱締め付け部144の締め付け力に反して移動することになるから、急激なアキレス腱44の伸長や収縮は抑制され、アキレス腱44の障害を抑制できる利点がある。
【0045】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。なお、下腿部10は個人差があるので、例えば、S、M、L、LLサイズを用意し、装着者のふくらはぎ144のサイズに基づいて、アキレス腱サポーター100の拡張率が所定の範囲になるように選択することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、前述したように、スポーツにおけるアキレス腱障害を予防又は軽減に利用できる。また、スポーツ以外におけるアキレス腱障害を予防又は軽減に利用できる。
【符号の説明】
【0047】
10 下腿部
12 足部
14 踵骨
44 アキレス腱
48 腓腹筋
64 甲部
60 土踏まず部
66 踝
66i 内踝
66o 外踝
62 膝部
72 脛部
88 接合部
100 アキレス腱サポーター
102 地編み部
118 地編み糸
134 ゴム糸
142 土踏まず部締め付け部
144 アキレス腱締め付け部
146 ヒラメ筋締め付け部
148 接続部
152 第2編み糸
154 第3編み糸
158 土踏まず部踵部側端縁
166 甲部足首側端縁
172 踵部アキレス腱部端縁
176 甲側端縁
182交点
188 足首部甲部地編み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9