(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176966
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60L 53/12 20190101AFI20231206BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20231206BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20231206BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20231206BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231206BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231206BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20231206BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20231206BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B60L53/12
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L15/20 J
G08G1/00 X
H02J50/10
H02J50/40
H02J50/90
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089580
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大林 和良
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
5H181
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503FA06
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD06
5H105AA01
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC02
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125CA11
5H125CA18
5H125DD02
5H125EE51
5H125EE55
5H125EE61
5H125EE66
5H181AA01
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB08
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】設定された走行経路を、受電コイルを有する車両が走行する際に、十分に給電することが可能な車両制御装置を提供する。
【解決手段】道路(4)に設けられた送電コイル(21)と車両(10)に設けられた受電コイル(35)とを有して走行中の車両(10)に対して非接触で給電を行う走行中給電システム(1)に用いられる車両制御装置であって、車両の道路における幅方向の走行位置に関する情報を含む走行経路を、HDマップを用いて設定する走行経路設定部(111)、を備える。走行経路設定部は、送電コイルが設けられた道路の区間である給電可能区間を車両が走行する際に、受電コイルと送電コイルとが対向する給電可能状態となるように、車両の走行経路を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路(4)に設けられた送電コイル(21)と車両(10)に設けられた受電コイル(35)とを有して走行中の車両(10)に対して非接触で給電を行う走行中給電システム(1)に用いられる車両制御装置であって、
前記車両の前記道路における幅方向の走行位置に関する情報を含む走行経路を、HDマップを用いて設定する走行経路設定部(111)、を備え、
前記走行経路設定部は、
前記送電コイルが設けられた前記道路の区間である給電可能区間を前記車両が走行する際に、前記受電コイルと前記送電コイルとが対向する給電可能状態となるように、前記車両の前記走行経路を設定する、車両制御装置。
【請求項2】
前記走行経路設定部は、
前記車両が前記走行中給電システムにより受電した電力の量である受電量に基づいて、前記給電可能状態となっているかを判断し、前記給電可能状態となっていないと判断した場合には、前記幅方向の走行位置が予め定められた量だけずれるように前記走行経路を変更する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記走行経路設定部は、
前記給電可能区間において、前記幅方向の走行位置が互いに異なる複数の前記走行経路を順次設定し、各前記走行経路を走行する際に前記走行中給電システムにより受電した電力の量である受電量を順次特定し、特定された複数の前記受電量のうち、最も大きな受電量に対応する前記幅方向の走行位置を、前記給電可能区間における残りの区間を走行する際の前記走行経路として設定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記給電可能区間の情報を取得して、取得された前記給電可能区間の情報を用いて、前記車両の走行中における充電計画を立案する充電計画立案部(113)、をさらに備え、
前記走行経路設定部は、前記充電計画立案部により立案された充電計画を用いて前記車両の前記走行経路を設定する、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記走行経路設定部により設定された前記走行経路への誘導情報を、報知装置(150)により報知する報知部(114)、をさらに備える、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記車両の走行に関する制御内容を決定する制御決定部(115)をさらに備え、
前記制御決定部は、
前記車両が前記給電可能状態による走行中であって、前記車両が走行する車線と隣接する車線を他車両が走行している際には、前記他車両との前後方向の相対位置を変更することで前記他車両から離隔するように走行制御を決定する、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記走行経路設定部は、前記HDマップに含まれる車線リンク情報を基準に前記走行経路を設定する、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記車両は、前記走行経路設定部において設定された前記走行経路に沿った自動運転および手動運転が可能である、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、走行中給電システムにおける車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車が普及しつつある。電気自動車は、車載されたバッテリに蓄えられた電力によりモータを駆動することによって、車輪を回転させて走行する。このような電気エネルギーを動力に用いる車両に対し、DWPT(ダイナミック・ワイヤレス・パワー・トランスファー:動的ワイヤレス充電)と呼ばれる技術を用いて、非接触で電力を供給する走行中給電システムが開発されている。この走行中給電システムでは、地上側に埋め込んだ送電コイルから、車両の床下に搭載した受電コイルに非接触で電力を伝送している。
【0003】
一方、特許文献1には、自動走行支援システムにおいて、他車両または路側機から提供される動的情報を静的情報に対応付けてダイナミックマップを提供する地図データ生成装置が記載されている。一般的に、自動運転システム(ADS)では、高精度3次元地図データ(HDマップ:High-Definition Map)の車線リンク(車線中心線)に基づき、走行経路を決定して車両の走行制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記、従来技術において、例えば、自動運転システムにより設定された走行経路を車両が走行する際に、車両側の受電コイルが道路側の送電コイルと対向せずに互いにずれた状態で車両が走行し続けると、充電ができないという問題が生じていた。なお、上記走行中給電システムにおいて、送電コイルは地中に埋設されているため、簡単に移設することはできない。本開示は、上記のような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、設定された走行経路を、受電コイルを有する車両が走行する際に、十分に給電することが可能な車両制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本開示の一形態によれば、車両制御装置が提供される。この車両制御装置は、道路(4)に設けられた送電コイル(21)と車両(10)に設けられた受電コイル(35)とを有して走行中の車両(10)に対して非接触で給電を行う走行中給電システム(1)に用いられる車両制御装置であって、前記車両の前記道路における幅方向の走行位置に関する情報を含む走行経路を、HDマップを用いて設定する走行経路設定部(111)、を備え、前記走行経路設定部は、前記送電コイルが設けられた前記道路の区間である給電可能区間を前記車両が走行する際に、前記受電コイルと前記送電コイルとが対向する給電可能状態となるように、前記車両の前記走行経路を設定する。
【0008】
上記構成によれば、走行経路設定部により、給電可能区間を車両が走行する際に、受電コイルと送電コイルとが対向する給電可能状態となるように、走行経路が設定される。このため、設定された走行経路を車両が走行する際に、安定した給電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態における、走行中給電システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本開示の第1実施形態における車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態の送電装置において、送電コイルの埋設形態を模式的に示す平面図である。
【
図4】第1実施形態の車両制御装置が実行する、自動運転時における走行経路の設定に関する処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】報知装置における表示画面例を示す図である。
【
図6】本開示の第2実施形態の車両制御装置が実行する、自動運転時における走行経路の設定に関する処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態の送電装置において、送電コイルの埋設形態を模式的に示す平面図である。
【
図8】他の実施形態の送電装置において、送電コイルの埋設形態を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の複数の実施形態について
図1~
図8に基づいて説明する。
A.第1実施形態:
A1.走行中給電システム1の構成:
図1に示すように、走行中給電システム1は、道路4に設けられた送電装置2と、車両10側の受電装置3とを備える。走行中給電システム1は、車両10の走行中に送電装置2から車両10にワイヤレスで給電することが可能なシステムである。車両10は、例えば、電気自動車やハイブリッド車として構成される。
【0011】
道路4側の送電装置2は、複数の送電コイル21と、複数の送電コイル21のそれぞれに交流電圧を印加して電力を供給する複数の送電回路24と、複数の送電回路24に電力を供給する外部電源25(以下「電源25」と略す。)と、送電制御部26と、を備えている。
【0012】
複数の送電コイル21は、道路4の進行方向に沿って並ぶように設置されている。送電コイル21は、複数のセクタに区分されている。なお、送電コイル21のより具体的な道路4への埋設形態については、
図3を参照して後述する。送電回路24は、電源25から供給される直流電圧を高周波の交流電圧に変換して送電コイル21に印加する回路であり、インバータ回路、フィルタ回路、共振回路を含んでいる。本実施形態では、インバータ回路、フィルタ回路、共振回路については、周知のものなので、説明を省略する。
【0013】
電源25は、直流電圧を送電回路24に供給する回路である。例えば、電源25は、系統電源から力率改善回路(PFC)を介して送電回路24へ供給される。なお、電源25で系統電源から受電し、電圧変換した50/60Hzの交流を各送電回路へ配電し、各送電回路でPFC及び交流直流変換する形態でもよい。PFCについては、図示を省略している。電源25が出力する直流電圧は、完全な直流電圧でなくてもよく、ある程度の変動(リップル)を含んでいても良い。送電制御部26は、送電回路24および送電コイル21に送電を実行させる。
【0014】
車両10は、メインバッテリ31と、補機バッテリ32と、給電制御部33と、受電回路34と、受電コイル35と、DC/DCコンバータ回路36と、インバータ回路37と、モータジェネレータ41と、補機42と、タイヤ43と、電力メータ44と、を備えている。車両10は、その他、主に自動運転制御に関する自動運転制御システム100(
図2参照)を備えているが、これらの構成については、
図2を用いて、後述する。
【0015】
受電コイル35は、受電回路34に接続されており、受電回路34の出力には、メインバッテリ31と、DC/DCコンバータ回路36の高圧側と、インバータ回路37と、が接続されている。DC/DCコンバータ回路36の低圧側には、補機バッテリ32と、補機42と、が接続されている。インバータ回路37には、モータジェネレータ41が接続されている。第1実施形態において、受電コイル35は、車両10の幅方向および長さ方向の中心近傍に設けられている。受電コイル35は、送電コイル21からの供給される電力を受け取る。
【0016】
受電回路34は、受電コイル35から出力される交流電圧を直流電圧に変換する整流回路を含む。なお、受電回路34は、整流回路にて生成した直流の電圧を、メインバッテリ31の充電に適した電圧に変換するDC/DCコンバータ回路を含んでいても良い。受電回路34から出力される直流電圧は、メインバッテリ31の充電や、インバータ回路37を介したモータジェネレータ41の駆動に利用することができる。また、DC/DCコンバータ回路36を用いて降圧することで、補機バッテリ32の充電や、補機42の駆動にも利用可能である。
【0017】
メインバッテリ31は、モータジェネレータ41を駆動するための比較的高い直流電圧を出力する2次電池である。モータジェネレータ41は、3相交流モータとして動作し、車両10の走行のための駆動力を発生する。モータジェネレータ41は、車両10の減速時にはジェネレータとして動作し、3相交流電圧を発生する。インバータ回路37は、モータジェネレータ41がモータとして動作するとき、メインバッテリ31の直流電圧を3相交流電圧に変換してモータジェネレータ41に供給する。インバータ回路37は、モータジェネレータ41がジェネレータとして動作するとき、モータジェネレータ41が出力する3相交流電圧を直流電圧に変換してメインバッテリ31に供給する。
【0018】
DC/DCコンバータ回路36は、メインバッテリ31の直流電圧を、補機42の駆動に適した直流電圧に変換して補機バッテリ32及び補機42に供給する。補機バッテリ32は、補機42を駆動するための直流電圧を出力する2次電池である。補機42は、車両10の空調装置や電動パワーステアリング装置、ヘッドライト、ウインカ、ワイパー等の周辺装置や車両10の様々なアクセサリーを含む。DC/DCコンバータ回路36は無くても良い。
【0019】
電力メータ44は、受電コイル35で給電を受けた電力量を計量する。電力メータ44で計量した電力量は、図示しない記憶部に記憶される。また、電力メータ44で計量した電力量は、例えば、車両の車内に設けられたモニタ画面(
図2を参照して後述する報知装置150)等に表示してもよい。給電制御部33は、走行中に非接触給電を受ける際には、受電回路34を制御して受電を実行する。
【0020】
A2.自動運転制御システム100の構成:
図2に示すように、車両10は、自動運転制御システム100を備える。車両10は、自動運転および手動運転が可能である。自動運転では、車両10の運転を操作するための操舵ハンドルがドライバによって操作されていなくても、自動的に車両10が操舵されて運転される。また、自動運転では、操舵はドライバにより行われ、加減速が自動的に制御される形態もある。手動運転では、ドライバによって操舵ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダルが操作されることによって操舵や加減速が行われて車両10が運転される。
【0021】
本実施形態において、自動運転制御システム100は、車両制御装置110と、周辺センサ120と、内部センサ130と、道路情報記憶部140と、自動運転制御部210と、駆動力制御ECU(Electronic Control Unit)220と、制動力制御ECU230と、操舵制御ECU240と、を備える。車両制御装置110と、自動運転制御部210と、駆動力制御ECU220と、制動力制御ECU230と、操舵制御ECU240と、前述の給電制御部33とは、車載ネットワーク250を介して接続されている。
【0022】
周辺センサ120は、自動運転に必要な車外の周辺情報を取得する。周辺センサ120は、カメラ121と物体センサ122とを備える。カメラ121は、車両10の周囲を撮像して画像を取得する。物体センサ122は、車両10の周囲の状況を検出する。物体センサ122として、例えば、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、超音波センサ等の反射波を利用した物体センサが挙げられる。
【0023】
内部センサ130は、自車位置センサ131と、加速度センサ132と、車速センサ133と、ヨーレートセンサ134と、を備える。自車位置センサ131は、現在の車両10の位置を検出する。自車位置センサ131として、例えば、汎地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System(s)(GNSS))やジャイロセンサ等が挙げられる。
【0024】
加速度センサ132は、車両10の加速度を検出する検出器である。加速度センサ132は、例えば、車両10の前後方向の縦加速度を検出する縦加速度センサと、車両10の横加速度を検出する横加速度センサとを含む。車速センサ133は、車両10の現在の走行速度を計測する。ヨーレートセンサ134は、車両10の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサ134としては、例えばジャイロセンサを用いることができる。周辺センサ120および内部センサ130は、取得した各種データを車両制御装置110に送信する。
【0025】
道路情報記憶部140は、車両10が走行予定の道路に関する詳細な道路情報等を記憶する。道路情報は、HDマップ(High-Definition Map:高精度3次元地図データ)に含まれる静的な情報である。例えば、道路情報は、車線数、車線幅、各車線の中心座標、停止線位置、信号機位置、ガードレール位置、道路勾配、カーブや直線部の道路種別、カーブの曲率半径、カーブ区間の長さ等の情報を含む。また、道路情報は、後述する送電コイル21が埋設されている給電可能区間に関する情報を含む。なお、これらの道路情報等は、広域ネットワークを介して、適宜最新の情報にアップデートされる。
【0026】
報知装置150は、車両10の乗員(主にドライバ)に対して、画像や音声を用いて各種の情報を報知する装置である。各種の情報には、例えば、車線内での幅方向の位置を微修正する情報や、車線を変更する情報等が含まれる。報知装置150は、表示装置およびスピーカを含む。表示装置としては、例えば、HUD(Head-Up Display)や、インストルメントパネルに設けられた表示装置を用いることができる。なお、「画像」には、動画や文字列も含まれる。
【0027】
車両制御装置110は、走行経路設定部111と、周辺情報認識部112と、充電計画立案部113と、報知部114と、制御決定部115と、通信部116と、を備える。車両制御装置110は、中央処理装置(CPU)や、RAM、ROMにより構成されたマイクロコンピュータ等からなり、予めインストールされたプログラムをマイクロコンピュータが実行することによって、これらの各部の機能を実現する。ただし、これらの各部の機能の一部又は全部をハードウェア回路で実現してもよい。
【0028】
走行経路設定部111は、車両10の走行する経路を設定する。より具体的には、走行経路設定部111は、道路情報記憶部140に記憶された道路情報を用いて、予め定められた目的地までの走行経路を設定する。本実施形態における「走行経路」とは、目的地までの単なる道順ではなく、走行車線や道路内における走行位置等の詳細な経路を示す。走行経路設定部111は、「走行経路設定装置」に相当する。
【0029】
周辺情報認識部112は、周辺センサ120の検出信号を用いて車両10の周辺情報を認識する。より具体的には、周辺情報認識部112は、カメラ121が撮像した画像および物体センサ122の出力信号に基づき、走行している道路の左右の区画線の存在とその位置や、信号機の存在とその位置や指示内容、他車両の存在、位置、大きさ、距離、進行方向、他車両のドライバの存在とその動作、他車両の周辺の人の存在、位置、等を周辺情報として認識する。なお、周辺情報認識部112は、信号機や、外部サーバ等との無線通信によってこれらの情報の一部または全部を取得し、認識してもよい。
【0030】
充電計画立案部113は、走行中の車両10が、走行中給電システム1による給電を実行できるように、道路情報記憶部140や自車位置センサ131からの情報を用いて、充電計画を立案する。具体的には、例えば、目的地までの走行経路中に後述する給電可能区間が含まれるように充電計画を立案する。充電計画立案部113により立案された充電計画は、走行経路設定部111により参酌され、例えば、目的地に到着するまでの間に十分な給電が行われるように走行経路設定部111により走行経路が設定される。
【0031】
報知部114は、画像表示および音声出力が可能な上記報知装置150を用いて、走行経路および車両位置情報等の種々の情報を乗員に報知する。報知部114は、例えば、ハンズオン要求の情報を、車両10の走行状況に応じて制御決定部115の処理に従って報知する。ハンズオン要求とは、自動運転の実行中においてドライバが操舵ハンドルを保持していない状態であるハンズオフ状態から、ドライバが操舵ハンドルを保持しているハンズオン状態への切り替えを要求するものである。また、報知部114は、現在の電力量の情報を、車両10の走行状況に応じて制御決定部115の処理に従って報知する。
【0032】
制御決定部115は、車両10の走行に関する制御内容を決定し、車載ネットワーク250を通じて自動運転制御部210に車両10の制御を行うよう出力する。通信部116は、例えば、図示しないアンテナを通じて図示しない情報センターから、交通情報、天気情報、事故情報、障害物情報、交通規制情報等を取得する。通信部116は、車車間通信により、他車両から種々の情報を取得してもよい。また、通信部116は、路車間通信により、道路の各所に設けられた路側機から種々の情報を取得してもよい。
【0033】
自動運転制御部210は、中央処理装置(CPU)や、RAM、ROMにより構成されたマイクロコンピュータ等からなり、予めインストールされたプログラムをマイクロコンピュータが実行することによって、自動運転機能を実現する。自動運転制御部210は、例えば、走行経路設定部111が定めた走行経路に沿って走行するように、駆動力制御ECU220および制動力制御ECU230、操舵制御ECU240を制御する。自動運転制御部210は、例えば、車両10が隣車線に車線変更を行う場合に、車両10が走行している車線の基準線から隣車線の基準線を走行するように合流支援を行ってもよい。
【0034】
駆動力制御ECU220は、エンジンなど車両10の駆動力を発生するアクチュエータを制御する電子制御装置である。ドライバが手動で運転を行う場合、駆動力制御ECU220は、アクセルペダルの操作量に応じてエンジンや電気モータである動力源を制御する。一方、自動運転を行う場合、駆動力制御ECU220は、自動運転制御部210で演算された要求駆動力に応じて動力源を制御する。
【0035】
制動力制御ECU230は、車両10の制動力を発生するブレーキアクチュエータを制御する電子制御装置である。ドライバが手動で運転を行う場合、制動力制御ECU230は、ブレーキペダルの操作量に応じてブレーキアクチュエータを制御する。一方、自動運転を行う場合、制動力制御ECU230は、自動運転制御部210で演算された要求制動力に応じてブレーキアクチュエータを制御する。
【0036】
操舵制御ECU240は、車両10の操舵トルクを発生するモータを制御する電子制御装置である。ドライバが手動で運転を行う場合、操舵制御ECU240は、ステアリングハンドルの操作に応じてモータを制御して、ステアリング操作に対するアシストトルクを発生させる。これにより、ドライバが少量の力でステアリングを操作でき、車両10の操舵を実現する。一方、自動運転を行う場合、操舵制御ECU240は、自動運転制御部210で演算された要求操舵角に応じてモータを制御することで操舵を行う。
【0037】
自動運転では、走行経路設定部111は、道路情報記憶部140に記憶された道路情報と、自車位置センサ131によって検出された現在位置と、周辺センサ120によって検出された車両10の周囲の他車両等の位置や速度等と、に基づいて、車両10の走行プランを作成する。この走行プランには、数秒後までの車両10の操舵プラン及び加減速プラン等が含まれる。
【0038】
基本的には、車両10が走行車線の中心を走るように、車線リンク51を用いて走行経路が設定される。すなわち、
図3に示すように、車両10の幅方向の中心線Cが、車線リンク51上に位置するように走行経路が設定される。なお、車線リンク51は、車線中心線と同じ意味である。
【0039】
A3.送電コイル21の埋設位置の詳細:
次に、上記詳述した走行中給電システム1の送電装置2が有する送電コイル21の道路における埋設位置について説明する。送電コイル21は、ガイド線を基準として道路に埋設されている。ガイド線は、HDマップに含まれる静的な情報であって、走行経路設定部111においてHDマップを用いて走行経路が設定される際に用いられる線である。第1実施形態では、ガイド線は、「車線リンク51」であり、送電コイル21は、車線リンク51と一致する位置に埋設されている。なお、このように、車線リンク51上に設置される送電コイル21を、以下「中心給電用の送電コイル21」ともいう。
【0040】
第1実施形態では、受電コイル35は車両10の中心近傍に設けられているため、車両10の幅方向の中心線C(以下、単に「中心線C」ともいう)が車線リンク51と一致する状態において、送電コイル21と受電コイル35とが対向する。以下、受電コイル35が送電コイル21と対向して車両10が走行する状態を、「給電可能状態」という。また、以下、道路4において、送電コイル21が埋設されている区間を「給電可能区間」という。
【0041】
この給電可能区間は、「信号のある具体的な交差点の30m手前から当該交差点まで」、といった区間を示す情報のみならず、「その車線内のどの位置に送電コイル21が埋設されているか」という情報を含んでいてもよい。給電可能区間の情報は、道路情報記憶部140に予め記憶されているとともに、例えば新たに送電コイル21が埋設された際には、適宜その最新情報がアップデートされる。なお、一般車両では、信号機のある交差点前の区間(数十メートル)などは、低速となるまたは停止することが多いため、こうした区間に送電コイル21を積極的に設けることにより、より安定的な給電が可能となる。
【0042】
A4.車両制御装置110による処理:
次に、上記詳述した車両制御装置110が実行する、自動運転時における走行経路の設定に関する処理について説明する。
図4に示される処理は、車両10の走行中に所定時間ごとに繰り返し実行される。なお、所定時間ごとに実行されるパターンの他、給電可能区間に入ると想定される時刻が近づいたときや、当該時刻を経過した後に適宜実行されるようにしてもよい。
【0043】
図4に示すように、ステップ11(以下、ステップを「S」と略す)において、給電可能区間を走行開始したか否かが判断される。例えば、自車位置センサ131や周辺センサ120、道路情報記憶部140からの情報、および周辺情報認識部112からの信号に基づいて、車両10が、送電コイル21が埋設されている給電可能区間に入ったか否かが判断される。給電可能区間を走行開始したと判断された場合には(S11:YES)、S12に進み、オフセット値が0に設定される。ここで言う「オフセット値」とは、車線53の幅方向における、車線リンク51(
図3参照)から車両10の中心線Cまでの距離である。
【0044】
次に、S13において、車両10が、給電可能区間を出たか否かが判断される。給電可能区間を出ていないと判断された場合には(S13:NO)、S14に進み、受電量Eが、予定受電量Erより大きいか否かが判断される。予定受電量Erは、例えば、走行中の車両10の受電コイル35が送電コイル21と対向した給電可能状態で、給電可能区間を所定時間走行したときに得られると想定される受電量よりも少し低い値に設定される。受電量Eが予定受電量Erより大きいか否かの判断は、例えば、走行時に得られた電力メータ44からの受電量Eの値と、上記予定受電量Erとを比較することにより行われる。
【0045】
受電量Eが予定受電量Erより大きいと判断された場合には(S14:YES)、本制御処理は終了する。受電量Eが予定受電量Erより大きい場合は、すなわち、現在走行中の給電可能区間での走行において、給電可能状態であり適切に給電がなされていることを意味しているため、当該給電可能区間の走行が終了するまでは、オフセット値は0に維持される。これにより、車線リンク51と車両10の中心線Cとが一致した状態での走行が維持され、受電が円滑に実行され得る。
【0046】
一方、S14において、受電量Eが予定受電量Erより大きいと判断されなかった場合、すなわち、受電量Eが予定受電量Er以下である場合には(S14:NO)、S15に進み、オフセット値が変更される。受電量Eが予定受電量Er以下であるということは、受電量Eが予定受電量Erに達しておらず、給電可能区間を走行中であるにもかかわらず適切に受電できていないということであり、すなわち、給電可能状態にないことを意味する。
【0047】
S15で変更されるオフセット値は、例えば車線53の幅方向の歩道側へ数cm~10cm程度に設定される。なお、このときオフセットする方向は、
図3に示すように、隣接する車線55を走行する他車両52が周辺センサ120により検知された場合には、他車両52から離隔する方向とし、他車両52が周辺センサ120により検知されない場合には、センターライン54へ接近する方向としてもよい。
【0048】
本来、給電可能区間において、車線リンク51と車両10の中心線Cとが一致した状態で走行していれば、適度な電力量が受電されるはずである。しかし、走行経路設定部111により設定された経路が車線リンク51と車両10の中心線Cとが一致する経路であっても、設定誤差がある場合や、実際の走行位置に誤差が生じている場合には、車線リンク51と車両10の中心線Cとが一致しないことがある。このように、車線リンク51と車両10の中心線Cとが一致しない場合には、給電可能区間を走行しても、受電コイル35が送電コイル21と対向せずに給電可能状態とならないために、受電することができない。
【0049】
S14、S15での処理では、こうした給電可能区間での受電不良を検出し、走行経路設定部111により車線53における車両10の幅方向の位置を補正することで、受電コイル35を送電コイル21と対向させて、受電可能とするための処理である。
【0050】
S14,S15の処理は、給電可能区間を出るまで(S13:YES)、または、受電量Eが予定受電量Erより大きくなるまで(S14:YES)繰り返される。なお、S15でのオフセット値の変更は、例えば歩道側へ所定回数実行した後は、センターライン54側へ所定回数実行するようにしてもよい。
【0051】
なお、S11において、給電可能区間を走行開始していない場合には(S11:NO)、給電可能区間を走行開始するまで、S11の処理が繰り返される。また、S13において、給電可能区間を出たと判断された場合(S13:YES)には、本制御処理は終了する。
【0052】
S15において、オフセット値を変更した後には、車両10は車線の幅方向における走行位置が補正される。この補正情報、すなわち、この後、どのように車両10が幅方向において移動するかについての情報を、乗員が視認できるように、報知装置150によって報知してもよい。具体的には、
図5に示すように、報知装置150としての前述のHUD等が有する表示画面151に、移動する方向を矢印で表示した画面Sを表示することで報知できる。
【0053】
[効果]
上記第1実施形態において、走行経路設定部111は、給電可能区間を車両10が走行する際に、受電コイル35と送電コイル21とが対向する給電可能状態となるように、受電量Eに基づいて走行経路を設定する。具体的には、給電可能区間での受電不良を受電量に基づいて検出し、走行経路設定部111により車線53における幅方向の位置を補正することで、受電コイル35を送電コイル21と対向させて、受電可能状態となるようにしている。このため、HDマップに記憶される車線リンク51を用いて設定された走行経路を車両10が走行する際に、安定した給電が可能となる。また、車線リンク51の位置情報と実際の送電コイル21の埋設位置とにずれが生じている場合でも、走行位置を補正することができるため、受電量を確保できる。
【0054】
上記第1実施形態において、車両制御装置110は、目的地までの走行経路中に後述する給電可能区間が含まれるように充電計画を立案する充電計画立案部113を備える。充電計画立案部113により立案された充電計画は、走行経路設定部111により参酌されるため、車両10が設定された走行経路を走行して目的地に到着するまでの間に十分な受電を行うことができる。
【0055】
上記第1実施形態において、オフセット値を変更した後には、その後どのように車両10が幅方向において移動するかについての情報が、報知装置150によって乗員に報知される。したがって、その後の車両10の動きを、乗員は予め視認することができるため、安心感を与えることができる。
【0056】
B.第2実施形態:
次に、第2実施形態について、
図6を参照して説明する。なお、第2実施形態および後述する各実施形態において、走行中給電システム1の全体構成(
図1)および車両制御装置110(
図2)の構成は、上記第1実施形態と略同様であるため、実質的に同一の部分については同一の符号を付すとともに説明は省略する。
【0057】
第2実施形態では、上記第1実施形態におけるS14~S15の処理に代えて、S16~S22の処理が実行される点が、上記第1実施形態とは異なり、その点以外は同様である。
図6に示すように、S13において、車両10が、給電可能区間を出ていないと判断された場合には(S13:NO)、S16に進み、その時点での受電量E0が計量される。次に、S17において、オフセット値が変更される。変更されるオフセット値は、上記第1実施形態と同様に、例えば幅方向の歩道側へ数cm~10cm程度に設定される。ただし、第1実施形態とは異なり、S16において計量された受電量E0の大きさに関わらず、オフセット値が予め設定されただけ変更される。
【0058】
そして、S18において、オフセット値変更後の受電量En(n=1,2,3・・・)が計量される。次に、S19において、nがI以上であるか否かが判断される。Iは、閾値回数であり、例えば予め設定された任意の整数である。S19において、nがI以上ではない場合には(S19:NO)、nがI以上となるまでS17,S18の処理が繰り返される。
【0059】
すなわち、S17~S19の各処理では、オフセット量を予め設定されたI回変更することで車線53の幅方向における走行位置を少しずつずらし、ずらしたときのそれぞれの受電量Enを計量する。なお、S17においてオフセット値を変更した後、S18においてEnを計量する際には、適度に時間経過があるものとする。または、S17、S18を連続的に実行する場合には、オフセット値を変更しつつ受電量Enを計量しながら走行し、受電量が極大となるオフセット値を検出するようにしてもよい。なお、この場合には、進行方向における送電コイル21が設置されていないことによる受電量の増減については適宜考慮した上で、例えばある程度の定速で走行し、オフセット値の変更による受電量の増減を検出する。
【0060】
一方、S19において、nがI以上の場合には(S19:YES)、S20に進み、取得された複数の受電量E1,E2,E3,E4,・・・,Enの値が比較され、最大値をとる受電量Enのときのオフセット値が選定される。S20においてオフセット値が選定された後には、S21において、車両10が走行する車線53と隣接する車線55(以下、単に「隣車線55」という)を他車両52が走行しているか否かが判断される。この判断は、周辺センサ120からの信号に基づいて、周辺情報認識部112により判断される。
【0061】
隣車線55を他車両52が走行している場合には(S21:YES)、S22に進み、制御決定部115により、他車両52から離隔するように他車両52に対する前後方向の相対位置が変更される。具体的には、車両10の速度を遅くする、または速くする制御を行うことで、車線53内における幅方向の位置を維持したまま、すなわち、給電可能状態としたまま、車両10は他車両52から離隔できる。その後、本制御処理は終了する。
【0062】
第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、S16~S19の処理に示すように、車線53の幅方向における走行位置を適宜少しずつずらし、ずらしたときのそれぞれの受電量Enを比較して最大となるときのオフセット値に設定される。したがって、良好な給電可能状態となる位置を好適に検出することができる。
【0063】
また、S21、S22の処理に示すように、隣車線55に他車両52が走行している場合には、他車両52から離隔するように他車両52に対する前後方向の相対位置が変更される。特に、他車両52が大型車であって、車両10との幅方向の距離が近い場合には、運転者は圧迫感や危機感を感じやすい。このような状態を回避するために、他車両52から離れるために幅方向へ移動するのではなく、前後方向に移動することで、安全性や運転快適性を確保しつつ、かつ給電可能状態を維持することができる。
【0064】
C.第3実施形態:
次に、第3実施形態について、
図7を参照して説明する。
図7に示すように、第3実施形態では、上記第1実施形態に対して、受電コイル35が、車両10の中心近傍ではなく、タイヤ43の内部または、タイヤ43の近傍であって車両10が備えるサスペンション装置の下側周辺に設けられている点が異なっている。さらに、送電コイル21は、車線リンク51から道路の両幅方向に所定距離Lだけ離隔した位置に、平面視において互いに平行な2本のラインとなるように埋設されている。
【0065】
この2本のラインの間隔は、例えば、標準として規定される車両10の幅方向における受電コイル35の設置間隔と略同一となるように設定される。このようにすれば、車両10の幅方向の中心線Cが車線リンク51と一致する状態で車両10が走行する際に、送電コイル21と受電コイル35とが対向することとなる。なお、
図7では、中心線Cと車線リンク51とが一致する状態を図示しているが、各線を分かりやすくするため、車線リンク51と中心線Cとを若干ずらして図示している。また、上記のように、車線リンク51から所定距離離隔して設置される送電コイル21を、以下「タイヤ給電用の送電コイル21」ともいう。
【0066】
第3実施形態についても、上記第1実施形態および第2実施形態において詳述した制御(
図4,
図6参照)が同様に実行される。例えば、標準よりも車幅が小さい小型車11の場合、小型車11の中心線C1が車線リンク51と一致する状態では、左右の受電コイル35が、送電コイル21と対向した状態にはならない。
図7に示すように、中心線C1が車線リンク51から離隔した状態において、一方側(
図7に示す例では進行方向に見て左側)の受電コイル35が送電コイル21に対向した状態となる。なお、
図4の制御を用いる場合は、片輪の受電となるため、予定受電量Erは片輪分へ変更してS14で比較する。
【0067】
第3実施形態によれば、小型車11の中心線C1が車線リンク51と一致する給電不能な状態で走行可能区間を走行開始した場合でも、片側の受電コイル35が送電コイル21と対向するように小型車11の幅方向の走行位置が補正される。このため、給電可能状態とすることができ、ひいては、上記第1および第2実施形態と同様に、好適に受電を行うことができる。
【0068】
D.他の実施形態:
(D1)上記各実施形態において、車両10は、自動運転制御システム100を備えていなくてもよい。この構成の場合、単に、道路情報記憶部140に記憶された道路情報を用いて、走行経路設定部111により目的地までの道順を設定するだけであってもよい。また、車両制御装置110は、車両10に搭載されるものとしたが、この形態に限られない。例えば、走行経路設定部111としての機能を有する、スマートフォン等の携帯機器によるナビゲーションアプリを使用して、運転者が走行経路を手動運転により走行してもよい。かかる構成においては、車線53の幅方向における走行位置の補正情報を、携帯機器に表示させてもよい。
【0069】
(D2)さらに、上記各実施形態では、自動運転時の走行経路の設定制御を例に説明したが、手動運転時において、上記制御を実行してもよい。かかる構成の場合には、オフセット値を変更した際の補正情報を報知装置150に報知し、報知された補正情報に基づいて運転者がハンドルを操作してもよい。
【0070】
(D3)上記各実施形態の送電装置2では、タイヤ給電用の送電コイル21もしくは中心給電用の送電コイル21のいずれかを備える構成としたが、両方を備えていてもよい。また、送電コイル21を車線53の幅方向に複数並んで設けてもよい。さらに、
図8に示すように、送電コイル21を、車線リンク51から離隔した一方側にのみ設けてもよい。
【0071】
(D4)上記各実施形態において、S13に示す給電区間を出たか否かの判断処理はなくてもよい。また、上記第2実施形態において、
図6のS17~S19に示す繰り返し処理の間に、S13に相当する給電可能区間を出たか否かの判断処理を入れて、当該処理中に車両10が給電可能区間を出た場合には、
図6に示す制御処理を終了するようにしてもよい。
【0072】
(D5)上記第3実施形態において、予め車両情報として、車両10や小型車11における送電コイル21の設置幅を、走行中給電システム1が有する図示しない車両情報取得部により取得してもよい。そして、送電コイル21の設置幅と、受電コイル35の設置幅とが一致しない場合には、当該情報を、走行中給電システム1が有する図示しない広域通信部を介して車両制御装置110に送信してもよい。そして、走行経路設定部111により、予め片輪受電を想定した走行経路を設定するようにしてもよい。
【0073】
(D6)上記各実施形態において、オフセット値を変更する際に、周辺センサ120や道路情報記憶部140の情報に基づいて、その都度、オフセットをする方向や量を変えてもよい。例えば、歩道を歩く歩行者を検知した場合には、歩道とは反対側へオフセットするように設定できる。また、まずは、周辺センサ120や道路情報記憶部140の情報に基づいて車両10の周囲の状況に応じて安全な走行経路を設定し、周囲の状況が改善された後に、受電量を比較するためのオフセット値の変更を実行するようにしてもよい。
【0074】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0075】
(請求項1)
道路(4)に設けられた送電コイル(21)と車両(10)に設けられた受電コイル(35)とを有して走行中の車両(10)に対して非接触で給電を行う走行中給電システム(1)に用いられる車両制御装置であって、
前記車両の前記道路における幅方向の走行位置に関する情報を含む走行経路を、HDマップを用いて設定する走行経路設定部(111)、を備え、
前記走行経路設定部は、
前記送電コイルが設けられた前記道路の区間である給電可能区間を前記車両が走行する際に、前記受電コイルと前記送電コイルとが対向する給電可能状態となるように、前記車両の前記走行経路を設定する、車両制御装置。
(請求項2)
前記走行経路設定部は、
前記車両が前記走行中給電システムにより受電した電力の量である受電量に基づいて、前記給電可能状態となっているかを判断し、前記給電可能状態となっていないと判断した場合には、前記幅方向の走行位置が予め定められた量だけずれるように前記走行経路を変更する、請求項1に記載の車両制御装置。
(請求項3)
前記走行経路設定部は、
前記給電可能区間において、前記幅方向の走行位置が互いに異なる複数の前記走行経路を順次設定し、各前記走行経路を走行する際に前記走行中給電システムにより受電した電力の量である受電量を順次特定し、特定された複数の前記受電量のうち、最も大きな受電量に対応する前記幅方向の走行位置を、前記給電可能区間における残りの区間を走行する際の前記走行経路として設定する、請求項1に記載の車両制御装置。
(請求項4)
前記給電可能区間の情報を取得して、取得された前記給電可能区間の情報を用いて、前記車両の走行中における充電計画を立案する充電計画立案部(113)、をさらに備え、
前記走行経路設定部は、前記充電計画立案部により立案された充電計画を用いて前記車両の前記走行経路を設定する、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
(請求項5)
前記走行経路設定部により設定された前記走行経路への誘導情報を、報知装置(150)により報知する報知部(114)、をさらに備える、請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
(請求項6)
前記車両の走行に関する制御内容を決定する制御決定部(115)をさらに備え、
前記制御決定部は、
前記車両が前記給電可能状態による走行中であって、前記車両が走行する車線と隣接する車線を他車両が走行している際には、前記他車両との前後方向の相対位置を変更することで前記他車両から離隔するように走行制御を決定する、請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
(請求項7)
前記走行経路設定部は、前記HDマップに含まれる車線リンク情報を基準に前記走行経路を設定する、請求項1~請求項6のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
(請求項8)
前記車両は、前記走行経路設定部において設定された前記走行経路に沿った自動運転および手動運転が可能である、請求項1~請求項7のうちいずれか一項に記載の車両制御装置。
【符号の説明】
【0076】
1…走行中給電システム、2…送電装置、3…受電装置、4…道路、10…車両、21…送電コイル、24…送電回路、25…外部電源、26…送電制御部、31…メインバッテリ、32…補機バッテリ、33…給電制御部、34…受電回路、35…受電コイル、36…DC/DCコンバータ回路、37…インバータ回路、41…モータジェネレータ、42…補機、43…タイヤ、44…電力メータ、51…車線リンク、53…車線、55…系統受電端、56…インバータ、100…自動運転制御システム、110…車両制御装置、111…走行経路設定部、112…周辺情報認識部、113…充電計画立案部、114…報知部、115…制御決定部、116…通信部、120…周辺センサ、121…カメラ、122…物体センサ、130…内部センサ、131…自車位置センサ、132…加速度センサ、133…車速センサ、134…ヨーレートセンサ、140…道路情報記憶部、150…報知装置、210…自動運転制御部、250…車載ネットワーク