(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176969
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】光検出装置および測距装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231206BHJP
H01L 31/107 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H01L31/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089585
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悟
【テーマコード(参考)】
4M118
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
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5F849XB38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】クロストークを抑制する光検出装置及び測距装置を提供する。
【解決手段】光検出装置1は、面内方向に複数の画素がアレイ状に配置された画素アレイ部を有する半導体基板11と、画素毎に半導体基板の内部に設けられる受光部と、画素毎に半導体基板の表面側に積層された第1の導電型領域及びそれとは導電型の異なる第2の導電型領域を有すると共に、受光部で生成されたキャリアをアバランシェ増倍する増倍部と、半導体基板の表面と裏面の間を延伸するように隣接する画素の間に設けられ、隣接する画素の間を電気的に分離する画素分離部と、半導体基板の表面において画素分離部に沿って画素の周囲に設けられ、受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層15と、増倍部と電気的に接続された第2のコンタクト層16と、第1のコンタクト層と1又は複数の配線層とを電気的に接続し、複数の画素夫々に独立して設けられた接続配線(ビアV1a)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の面および第2の面を有すると共に、面内方向に複数の画素がアレイ状に配置された画素アレイ部を有する半導体基板と、
前記画素毎に前記半導体基板の内部に設けられ、受光量に応じたキャリアを光電変換により生成する受光部と、
前記画素毎に前記半導体基板の前記第1の面側において積層された第1の導電型領域および前記第1の導電型領域とは導電型の異なる第2の導電型領域を有すると共に、前記受光部において生成された前記キャリアをアバランシェ増倍する増倍部と、
前記半導体基板の前記第1の面と前記第2の面との間を延伸するように隣り合う前記複数の画素の間に設けられ、隣り合う前記複数の画素の間を電気的に分離する画素分離部と、
前記半導体基板の前記第1の面において前記画素分離部に沿って前記複数の画素それぞれの周囲に設けられ、前記受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面に設けられ、前記増倍部と電気的に接続された第2のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面側に設けられる1または複数の配線層を含む多層配線層内において、前記第1のコンタクト層と前記1または複数の配線層とを電気的に接続する、前記複数の画素それぞれに独立して設けられた接続配線と
を備えた光検出装置。
【請求項2】
前記接続配線は、前記画素の外形に沿って形成されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記接続配線は、前記画素の外形に沿って連続して形成されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記接続配線は、前記画素の外形に沿ってドット状に形成されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記接続配線は、前記画素の外形に沿って蛇行状に形成されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記画素は矩形形状を有し、
前記接続配線は前記画素の外形に沿って形成され、平面視において矩形状の枠体形状を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
矩形形状を有する前記接続配線の角部は鈍角を有する、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記画素は矩形形状を有し、
前記接続配線は、平面視において、斜め方向に隣り合う前記複数の画素の交点を除いて、行方向および列方向に隣り合う前記複数の画素の各辺に沿って設けられている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記接続配線は、アレイ状に配置された前記画素アレイ部において千鳥状に設けられている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記接続配線は、前記画素の外形に沿って形成され、平面視において円状の枠体形状を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記接続配線は、平面視において前記画素分離部よりも前記画素の内側に設けられている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記接続配線は、タングステン、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケルまたはチタン、あるいはそれらのシリコン化合物を用いて形成されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記接続配線は、ポリシリコンを用いて形成されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記第1の導電型領域および前記第2の導電型領域は、前記半導体基板の前記第1の面側からこの順に積層され、
前記第1の導電型領域は、前記画素の略中央に部分的に設けられ、
前記第2の導電型領域は、前記画素の全面に亘って設けられている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項15】
光学系と、光検出装置と、前記光検出装置の出力信号から測定対象物までの距離を算出する信号処理回路とを備え、
前記光検出装置は、
対向する第1の面および第2の面を有すると共に、面内方向に複数の画素がアレイ状に配置された画素アレイ部を有する半導体基板と、
前記画素毎に前記半導体基板の内部に設けられ、受光量に応じたキャリアを光電変換により生成する受光部と、
前記画素毎に前記半導体基板の前記第1の面側において積層された第1の導電型領域および前記第1の導電型領域とは導電型の異なる第2の導電型領域を有すると共に、前記受光部において生成された前記キャリアをアバランシェ増倍する増倍部と、
前記半導体基板の前記第1の面と前記第2の面との間を延伸するように隣り合う前記複数の画素の間に設けられ、隣り合う前記複数の画素の間を電気的に分離する画素分離部と、
前記半導体基板の前記第1の面において前記画素分離部に沿って前記複数の画素それぞれの周囲に設けられ、前記受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面に設けられ、前記増倍部と電気的に接続された第2のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面側に設けられる1または複数の配線層を含む多層配線層内において、前記第1のコンタクト層と前記1または複数の配線層とを電気的に接続する、前記複数の画素それぞれに独立して設けられた接続配線と
を有する測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、アバランシェフォトダイオードを用いた光検出装置および測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、アバランシェフォトダイオードが深さ方向に2層に分離され、それぞれの層に、隣り合う画素の半導体領域間を電気的に分離し、平面視における形状が互いに異なる分離部が設けられた光電変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光検出装置では、クロストークの抑制が求められている。
【0005】
クロストークを抑制することが可能な光検出装置および測距装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態の光検出装置は、対向する第1の面および第2の面を有すると共に、面内方向に複数の画素がアレイ状に配置された画素アレイ部を有する半導体基板と、画素毎に半導体基板の内部に設けられ、受光量に応じたキャリアを光電変換により生成する受光部と、画素毎に半導体基板の第1の面側において積層された第1の導電型領域および第1の導電型領域とは導電型の異なる第2の導電型領域を有すると共に、受光部において生成されたキャリアをアバランシェ増倍する増倍部と、半導体基板の第1の面と第2の面との間を延伸するように隣り合う複数の画素の間に設けられ、隣り合う複数の画素の間を電気的に分離する画素分離部と、半導体基板の第1の面において画素分離部に沿って複数の画素それぞれの周囲に設けられ、受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、半導体基板の第1の面に設けられ、増倍部と電気的に接続された第2のコンタクト層と、半導体基板の第1の面側に設けられる1または複数の配線層を含む多層配線層内において、第1のコンタクト層と1または複数の配線層とを電気的に接続する、複数の画素それぞれに独立して設けられた接続配線とを備えたものである。
【0007】
本開示の一実施形態の測距装置は、光学系と、光検出装置と、光検出装置の出力信号から測定対象物までの距離を算出する信号処理回路とを備えたものであり、光検出装置として、上記本開示の一実施形態の光検出装置を有する。
【0008】
本開示の一実施形態の光検出装置および一実施形態の測距装置では、半導体基板の第1の面において画素分離部に沿って複数の画素それぞれの周囲に設けられ、受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、半導体基板の第1の面側に設けられた多層配線層内の配線層とを電気的に接続する接続配線を、複数の画素それぞれに独立して設けるようにした。これにより、隣接する画素からの漏れ込み光を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る光検出装置の一例を表す断面模式図である。
【
図2】
図1に示したI-I線(A)およびII-II線(B)に対応する光検出装置の平面模式図である。
【
図3】
図1に示した光検出装置の概略構成の一例を表すブロック図である。
【
図4】
図1に示した光検出装置の単位画素の等価回路図の一例である。
【
図5】本開示の実施の形態に係る光検出装置の他の例を表す断面模式図である。
【
図6】本開示の変形例1に係る光検出装置の平面模式図である。
【
図7】本開示の変形例2に係る光検出装置の平面模式図である。
【
図8】本開示の変形例3に係る光検出装置の平面模式図である。
【
図9】本開示の変形例4に係る光検出装置の平面模式図である。
【
図10】本開示の変形例5に係る光検出装置の平面模式図である。
【
図11】本開示の変形例6に係る光検出装置の平面模式図である。
【
図12】本開示の第2の実施の形態に係る光検出装置の一例を表す断面模式図である。
【
図13】
図12に示したIII-III線(A)およびIV-IV線(B)に対応する光検出装置の平面模式図である。
【
図14】本開示の変形例7に係る光検出装置の平面模式図である。
【
図15】本開示の第3の実施の形態に係る光検出装置の一例を表す断面模式図である。
【
図16】
図15に示したV-V線(A)およびVI-VI線(B)に対応する光検出装置の平面模式図である。
【
図17】本開示の第4の実施の形態に係る光検出装置の一例を表す断面模式図である。
【
図18】
図17に示したVII-VII線(A)およびVIII-VIII線(B)に対応する光検出装置の平面模式図である。
【
図19】
図1等に示した光検出装置を用いた電子機器の一例を表す機能ブロック図である。
【
図20】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図21】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.第1の実施の形態
(受光部とアノードとの接続配線が画素に沿って画素毎に独立して連続形成されている光検出装置)
1-1.光検出装置の構成
1-2.作用・効果
2.変形例
2-1.変形例1(接続配線の平面レイアウトの他の例)
2-2.変形例2(接続配線の平面レイアウトの他の例)
2-3.変形例3(接続配線の平面レイアウトの他の例)
2-4.変形例4(接続配線の平面レイアウトの他の例)
2-5.変形例5(接続配線の平面レイアウトの他の例)
2-6.変形例6(接続配線の平面レイアウトの他の例)
3.第2の実施の形態
(接続配線を格子状に形成し、画素の内側に画素分離部が画素毎に独立して形成されている光検出装置)
4.変形例7(接続配線の平面レイアウトの他の例)
5.第3の実施の形態(受光部とアノードとの接続配線が、斜め方向隣接する画素の交点を除いて行方向および列方向に隣接する画素間に跨って設けられている光検出装置)
6.第4の実施の形態(画素分離部が多層配線層内の配線に達する光検出装置)
7.適用例
8.応用例
【0011】
<1.第1の実施の形態>
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る光検出装置(光検出装置1)の断面構成の一例を模式的に表したものである。
図2は、
図1に示した光検出装置1のI-I線(A)およびII-II線(B)に対応する平面構成を模式的に表したものである。
図3は、
図1に示した光検出装置1の概略構成を表したブロック図であり、
図4は、
図1に示した光検出装置1の単位画素Pの等価回路の一例を表したものである。光検出装置1は、例えば、ToF(Time-of-Flight)法により距離計測を行う距離画像センサ(後述の距離画像装置1000、
図19参照)やイメージセンサ等に適用されるものである。
【0012】
(1-1.光検出装置の構成)
光検出装置1は、例えば、複数の単位画素Pが行方向および列方向にアレイ状に配置された画素アレイ部100Aを有している。光検出装置1は、
図3に示したように、画素アレイ部100Aと共にバイアス電圧印加部110を有している。バイアス電圧印加部110は、画素アレイ部100Aの単位画素P毎にバイアス電圧を印加するものである。本実施の形態では、電子を信号電荷として読み出す場合について説明する。
【0013】
単位画素Pは、
図3に示したように、受光素子12と、p型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)からなるクエンチング抵抗素子120と、例えば相補型のMOSFETからなるインバータ130とを備えている。
【0014】
受光素子12は、入射した光を光電変換により電気信号に変換して出力する。付帯的には、受光素子12は、入射した光(フォトン)を光電変換により電気信号に変換し、フォトンの入射に応じたパルスを出力する。受光素子12は、例えばSPAD(Single Photon Avalanche Diode)素子である。SPAD素子は、例えば、カソードに大きな負電圧が印加されることによってアバランシェ増倍領域12X(空乏層)を形成し、1フォトンの入射に応じて発生した電子がアバランシェ増倍を生じて大電流が流れる特性を有している。受光素子12は、例えば、アノードがバイアス電圧印加部110と接続され、カソードがクエンチング抵抗素子120のソース端子と接続されている。受光素子12のアノードには、バイアス電圧印加部110からデバイス電圧VBが印加される。
【0015】
クエンチング抵抗素子120は、受光素子12と直列に接続され、ソース端子が受光素子12のカソードと接続され、ドレイン端子が図示しない電源と接続されている。クエンチング抵抗素子120のドレイン端子には、電源から励起電圧VEが印加される。クエンチング抵抗素子120は、受光素子12でアバランシェ増倍された電子による電圧が負電圧VBDに達すると、受光素子12で増倍された電子を放出して、当該電圧を初期電圧に戻すクエンチングを行う。
【0016】
インバータ130は、入力端子が受光素子12のカソードおよびクエンチング抵抗素子120のソース端子と接続され、出力端子が図示しない後段の演算処理部と接続されている。インバータ130は、受光素子12で増倍されたキャリア(信号電荷)に基づいて受光信号を出力する。より具体的には、インバータ130は、受光素子12で増倍された電子により発生する電圧を整形する。そして、インバータ130は、1フォントの到来時刻を始点として、例えば
図4に示したパルス波形が発生する受光信号(APD OUT)を演算処理部に出力する。例えば、演算処理部は、それぞれの受光信号において1フォントの到来時刻を示すパルスが発生したタイミングに基づいて、被写体までの距離を求める演算処理を行って、単位画素P毎に距離を求める。そして、それらの距離に基づいて、複数の単位画素Pにより検出された被写体までの距離を平面的に並べた距離画像が生成される。
【0017】
光検出装置1は、例えば、センサ基板10の表面側(例えば、センサ基板10を構成する半導体基板11の表面(第1面11S1)側)にロジック基板20が積層され、センサ基板10の裏面側(例えば、センサ基板10を構成する半導体基板11の裏面(第2面11S2))から光を受光する、所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0018】
光検出装置1は、単位画素P毎に受光素子12を有している。受光素子12は、受光部13および増倍部14を有する。光検出装置1は、上記のように、センサ基板10とロジック基板20とが積層されている。センサ基板10は、例えば、シリコン基板で構成された半導体基板11と、半導体基板11の第1面11S1側に設けられた多層配線層19とを有し、受光部13および増倍部14は、例えば半導体基板11内に埋め込み形成されている。半導体基板11には、さらに、隣り合う単位画素Pの間を電気的に分離する画素分離部17が設けられている。画素分離部17は、半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を延伸するように、行方向および列方向に隣り合う複数の単位画素Pの間に設けられており、画素アレイ部100A全体では、平面視において格子状に設けられている。半導体基板11には、さらに、受光部13と電気的に接続されたコンタクト層15(アノード)および増倍部14と電気的に接続されたコンタクト層16(カソード)が設けられている。本実施の形態では、半導体基板11の第1面11S1に設けられた多層配線層19内において、コンタクト層15と、例えば配線層191の一部の配線とを電気的に接続するビアV1aが、単位画素P毎に独立して形成されている。
【0019】
なお、図中の「p」および「n」の記号は、それぞれp型半導体領域およびn型半導体領域を表している。さらに、「p」の末尾の「+」または「-」は、いずれもp型半導体領域の不純物濃度を表している。同様に、「n」の末尾の「+」または「-」は、いずれもn型半導体領域の不純物濃度を表している。ここで、「+」の数が多いほど不純物濃度が高いことを示し、「-」の数が多いほど不純物濃度が低いことを示す。これは、以降の図面についても同様である。
【0020】
半導体基板11は、対向する第1面11S1および第2面11S2を有する。半導体基板11は複数の単位画素Pに対して共通のpウェル(p)を有している。半導体基板11には、単位画素P毎に、受光部13を構成する、例えばn型に不純物濃度が制御されたn型半導体領域(n)111が設けられている。半導体基板11にはさらに、第1面11S1側において増倍部14を構成するp型半導体領域(p+)14Xおよびn型半導体領域(n+)14Yが設けられている。これにより、単位画素P毎に受光素子12が形成される。単位画素Pの周囲には、それぞれ、隣り合う単位画素Pの間を電気的に分離する画素分離部17が設けられている。受光素子12と画素分離部17との間には、pウェルよりも不純物濃度の高いp型半導体領域(p)112が設けられている。
【0021】
受光素子12は、高電界領域によりキャリアをアバランシェ増倍させる増倍領域(アバランシェ増倍領域12X)を有するものであり、上記のように、カソード(コンタクト層16)に大きな負電圧を印加することによってアバランシェ増倍領域12Xを形成し、1フォトンの入射で発生する電子をアバランシェ増倍させることが可能なSPAD素子である。
【0022】
受光素子12は、受光部13と増倍部14とから構成されている。
【0023】
受光部13は、本開示の「受光部」の一具体例に相当し、半導体基板11の第2面11S2側から入射した光を吸収し、その受光量に応じたキャリアを生成する光電変換機能を有するものである。受光部13は、上記のように、n型に不純物濃度が制御されたn型半導体領域(n)111を含んで構成されており、受光部13において生成されたキャリア(電子)は、ポテンシャル勾配によって増倍部14へ転送される。
【0024】
増倍部14は、本開示の「増倍部」の一具体例に相当し、受光部13において生成されたキャリア(ここでは、電子)をアバランシェ増倍するものである。増倍部14は、例えば、pウェル(p)よりも不純物濃度の高いp型半導体領域(p
+)14Xと、n型半導体領域(n)111よりも不純物濃度の高いn型半導体領域(n
+)14Yとから構成されている。p型半導体領域(p
+)14Xおよびn型半導体領域(n
+)14Yは、第1面11S1側に設けられており、第1面11S1側からn型半導体領域(n
+)14Y、p型半導体領域(p
+)14Xの順に積層形成されている。p型半導体領域(p
+)14XのXY平面方向の面積は、n型半導体領域(n
+)14YのXY平面方向の面積よりも大きく、例えば、画素分離部17によって区画される単位画素Pの全面に亘って設けられている。但し、これに限定されるものではなく、p型半導体領域(p
+)14Xは、例えば
図5に示したように、例えば、p型半導体領域(p)112よりも内側に形成されていてもよい。
【0025】
受光素子12では、p型半導体領域(p+)14Xとn型半導体領域(n+)14Yとの接合部にアバランシェ増倍領域12Xが形成される。アバランシェ増倍領域12Xは、カソードに印加される大きな負電圧によってp型半導体領域(p+)14Xとn型半導体領域(n+)14Yとの境界面に形成される高電界領域(空乏層)である。アバランシェ増倍領域12Xでは、受光素子12に入射する1フォトンで発生する電子(e-)が増倍される。
【0026】
半導体基板11の第1面11S1には、さらに、受光部13を構成するn型半導体領域(n)111と電気的に接続されたp型半導体領域(p
++)からなるコンタクト層15と、増倍部14を構成するn型半導体領域(n
+)14Yと電気的に接続されたn型半導体領域(n
++)からなるコンタクト層16が設けられている。コンタクト層15は、例えば
図2の(A)に示したように、画素分離部17に沿って受光部13を囲むように設けられており、受光素子12のアノードとしてバイアス電圧印加部110と接続されている。コンタクト層16はカソードとしてクエンチング抵抗素子120のソース端子と接続されている。
【0027】
画素分離部17は、隣り合う単位画素Pの間を電気的に分離するものであり、例えば平面視において、複数の単位画素Pそれぞれを区画するように画素アレイ部100Aに格子状に設けられている。画素分離部17は、半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を延伸し、例えば半導体基板11を貫通している。画素分離部17は、例えば、絶縁膜17Aと、絶縁膜17A内に埋め込まれた遮光膜17Bとから構成されている。画素分離部17は、半導体基板11の第1面11S1側から設けてもよいし、半導体基板11の第2面11S2側から形成するようにしてもよい。
【0028】
絶縁膜17Aは、例えばシリコン酸化(SiOx)等を用いて形成されている。遮光膜17Bは、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)またはチタン(Ti)等の遮光性を有する金属材料あるいはそれらのシリコン化合物を用いて形成されている。この他、遮光膜17Bは、ポリシリコン(Poly-Si)を用いて形成されていてもよい。遮光膜17Bには、隣り合う単位画素P間における斜め入射光の入射を抑えることを目的として、半導体基板11の第2面11S2において拡張形成された拡幅部17Xを設けるようにしてもよい。
【0029】
画素分離部17の側面および底面ならびに半導体基板11の第2面11S2には、例えば、固定電荷を有する層(固定電荷膜18)が設けられていてもよい。固定電荷膜18は、正の固定電荷を有する膜でもよいし、負の固定電荷を有する膜でもよい。
【0030】
固定電荷膜18の構成材料としては、半導体基板11よりもバンドギャップの広い半導体材料または導電材料を用いて形成することが好ましい。これにより、半導体基板11の界面における暗電流の発生を抑えることができる。固定電荷膜18の構成材料としては、例えば、酸化ハフニウム(HfOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化タンタル(TaOx)、酸化チタン(TiOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化プラセオジム(PrOx)、酸化セリウム(CeOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化プロメチウム(PmOx)、酸化サマリウム(SmOx)、酸化ユウロピウム(EuOx)、酸化ガドリニウム(GdOx)、酸化テルビウム(TbOx)、酸化ジスプロシウム(DyOx)、酸化ホルミウム(HoOx)、酸化ツリウム(TmOx)、酸化イッテルビウム(YbOx)、酸化ルテチウム(LuOx)、酸化イットリウム(YOx)、窒化ハフニウム(HfNx)、窒化アルミニウム(AlNx)、酸窒化ハフニウム(HfOxNy)および酸窒化アルミニウム(AlOxNy)等が挙げられる。
【0031】
半導体基板11の第1面11S1側には多層配線層19が設けられている。多層配線層19では、1または複数の配線からなる配線層191が層間絶縁層192内に形成されている。配線層191は、例えば、半導体基板11や受光素子12に印加する電圧を供給したり、受光素子12において発生したキャリアを取り出すためのものである。配線層191の一部の配線は、ビアV1aを介してコンタクト層15と電気的に接続されている。また、配線層191の一部の配線は、ビアV1bを介してコンタクト層16と電気的に接続されている。層間絶縁層192の、半導体基板11側とは反対側の表面(多層配線層19の表面19S1)には、複数のパッド電極193が埋め込まれている。複数のパッド電極193は、配線層191の一部の配線とビアV2を介して電気的に接続されている。なお、
図1では、多層配線層19内に1つの配線層191が形成されている例を示したが、多層配線層19内の配線層の総数は限定されず、2層以上の配線層が形成されていてもよい。
【0032】
コンタクト層15と配線層191の一部の配線とを電気的に接続するビアV1aは、本開示の「接続配線」の一具体例に相当するものである。本実施の形態では、ビアV1aは、例えば
図2の(B)に示したように、単位画素P毎に独立して、単位画素Pの外形に沿って連続形成するようにした。具体的には、例えば
図2の(A)に示したように、格子状に設けられた画素分離部17よりも単位画素Pの内側に、画素分離部17に沿って受光部13を囲むように設けられたコンタクト層15と接続されるように、矩形状の枠体として、単位画素P毎に独立して形成されている。これにより、例えば、隣接する単位画素Pのアバランシェ増倍時に生じた内部発光が、多層配線層19内に形成された、例えば配線層191によって反射されることによる光の漏れ込みが低減される。
【0033】
層間絶縁層192は、例えば、酸化シリコン(SiOx)、TEOS、窒化シリコン(SiNx)および酸窒化シリコン(SiOxNy)等のうちの1種よりなる単層膜、あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。
【0034】
配線層191は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)またはタングステン(W)等を用いて形成されている。
【0035】
ビアV1a,V1b,V2は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)またはチタン(Ti)等の遮光性を有する金属材料あるいはそれらのシリコン化合物を用いて形成されている。この他、ビアV1a,V1b,2は、ポリシリコン(Poly-Si)を用いて形成されていてもよい。
【0036】
パッド電極193は、ロジック基板20との接合面(多層配線層19の表面19S1)に露出しており、例えば、ロジック基板20との接続に用いられるものである。パッド電極193は、例えば、銅(Cu)を用いて形成されている。
【0037】
ロジック基板20は、例えば、シリコン基板で構成された半導体基板21と、多層配線層22とを有している。ロジック基板20には、例えば、上述した、例えばカソード電圧生成回路51、アノード電圧生成回路52、変調電圧生成回路53A,53Bを含むバイアス電圧印加部110や、画素アレイ部100Aの単位画素Pから出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路や、垂直駆動回路、カラム信号処理回路、水平駆動回路および出力回路等を含むロジック回路が構成されている。
【0038】
多層配線層22は、例えば、読み出し回路を構成するトランジスタのゲート配線221と、1または複数の配線を含む配線層222,223,224,225とが層間絶縁層226を間に、半導体基板21側から順に積層されている。層間絶縁層226の、半導体基板21側とは反対側の表面(多層配線層22の表面22S1)には、複数のパッド電極227が埋め込まれている。複数のパッド電極227は、配線層225の一部の配線とビアV3を介してと電気的に接続されている。
【0039】
層間絶縁層117は、層間絶縁層192と同様に、例えば、酸化シリコン(SiOx)、TEOS、窒化シリコン(SiNx)および酸窒化シリコン(SiOxNy)等のうちの1種よりなる単層膜、あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。
【0040】
ゲート配線221および配線層222,223,224,225は、配線層191と同様に、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)またはタングステン(W)等を用いて形成されている。
【0041】
パッド電極227は、センサ基板10との接合面(多層配線層22の表面22S1)に露出しており、例えば、センサ基板10との接続に用いられるものである。パッド電極227は、パッド電極193と同様に、例えば、銅(Cu)を用いて形成されている。
【0042】
光検出装置1では、パッド電極193とパッド電極227との間で、例えばCuCu接合がなされている。これにより、受光素子12のカソードは、ロジック基板20側に設けられたクエンチング抵抗素子120と電気的に接続され、受光素子12のアノードは、バイアス電圧印加部110と電気的に接続される。
【0043】
半導体基板11の受光面(第2面11S2)側には、例えば、保護層31およびカラーフィルタ32を介してマイクロレンズ33が、例えば単位画素P毎に設けられている。
【0044】
マイクロレンズ33は、その上方から入射した光を受光素子12へ集光させるものであり、例えば、酸化シリコン(SiOx)等を用いて形成されている。
【0045】
(1-2.作用・効果)
本実施の形態の光検出装置1は、半導体基板11の第1面11S1において画素分離部17に沿って設けられた、受光部13と電気的に接続されたコンタクト層15と、半導体基板11の第1面11S1側に設けられた多層配線層19内の配線層191の一部の配線とを電気的に接続する接続配線(ビアV1a)を、単位画素P毎に独立して設けるようにした。これにより、隣接する単位画素Pからの漏れ込み光を低減する。以下、これについて説明する。
【0046】
SPADの技術では、高いバイアス電圧を印加して入射光の光電変換によって生成されたキャリアを増倍することにより、大信号として抽出することができる。
【0047】
このようなSPAD素子がアレイ状に配置された光検出装置では、アバランシェ増倍時に生じる内部発光が隣接配置された画素に漏れ込むことにより、クロストークが発生することが知られており、このクロストークの抑制が求められている。
【0048】
これに対して、本実施の形態では、画素分離部17に沿って半導体基板11の第1面11S1に設けられた、受光部13と電気的に接続されたコンタクト層15と、半導体基板11の第1面11S1側に設けられた多層配線層19内の配線層191の一部の配線とを電気的に接続するビアV1aを、例えば、矩形状の枠体として、単位画素P毎に独立して設けるようにした。これにより、例えば、隣接する単位画素Pからの漏れ込み光が低減される。
【0049】
以上により、本実施の形態の光検出装置1では、例えば、半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を貫通する、所謂フルトレンチ型の画素分離部17に干渉することなく、隣接配置された単位画素P間におけるクロストークを低減することが可能となる。
【0050】
次に、本開示の第2~第4の実施の形態および変形例1~7ならびに適用例および応用例について説明する。以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0051】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図6は、上記第1の実施の形態の変形例(変形例1)に係る、
図1に示した光検出装置1のII-II線に対応する平面構成を模式的に表したものである。上記第1の実施の形態では、コンタクト層15と配線層191の一部の配線とを電気的に接続する接続配線(ビアV1a)を矩形状の枠体として、単位画素P毎に独立して設けた例を示したが、これに限定されるものではない。
【0052】
ビアV1aは、例えば
図6に示したように、斜め方向に隣り合う単位画素Pの交点を除いて、行方向および列方向に隣り合う矩形形状を有する単位画素Pの各辺に沿って設けるようにしてもよい。
【0053】
これにより、上記第1の実施の形態と比較してクロストークの低減効果は低くなるものの、連続する枠体形状のビアV1aよりも容易に形成することが可能となる。
【0054】
(2-2.変形例2)
図7は、上記第1の実施の形態の変形例(変形例2)に係る、
図1に示した光検出装置1のII-II線に対応する平面構成を模式的に表したものである。上記第1の実施の形態では、コンタクト層15と配線層191の一部の配線とを電気的に接続する接続配線(ビアV1a)を矩形状の枠体として、単位画素P毎に独立して設けた例を示したが、これに限定されるものではない。
【0055】
ビアV1aは、例えば
図7に示したように、単位画素Pの外形に沿ってドット状に形成するようにしてもよい。
【0056】
これにより、上記第1の実施の形態と比較してクロストークの低減効果は低くなるものの、ビアV1aでの光吸収による外部量子効率の低下を抑制することが可能となる。
【0057】
(2-3.変形例3)
図8は、上記第1の実施の形態の変形例(変形例3)に係る、
図1に示した光検出装置1のII-II線に対応する平面構成を模式的に表したものである。上記第1の実施の形態では、コンタクト層15と配線層191の一部の配線とを電気的に接続する接続配線(ビアV1a)を矩形状の枠体として、単位画素P毎に独立して設けた例を示したが、これに限定されるものではない。
【0058】
ビアV1aは、例えば
図8に示したように、矩形状の枠体の角部を鈍角としてもよい。
【0059】
これにより、上記第1の実施の形態の効果に加えて、角部における応力の集中を低減することが可能となるという効果を奏する。
【0060】
(2-4.変形例4)
図9は、上記第1の実施の形態の変形例(変形例4)に係る、
図1に示した光検出装置1のII-II線に対応する平面構成を模式的に表したものである。上記第1の実施の形態では、コンタクト層15と配線層191の一部の配線とを電気的に接続する接続配線(ビアV1a)を矩形状の枠体として、単位画素P毎に独立して設けた例を示したが、これに限定されるものではない。
【0061】
ビアV1aは、例えば
図9に示したように、単位画素Pの外形に沿って蛇行状に形成するようにしてもよい。
【0062】
これにより、上記第1の実施の形態のビアV1aと比較して、ビアV1a界面による反射光が増加する。よって、上記第1の実施の形態の効果に加えて、外部量子効率を向上させることが可能となる。
【0063】
(2-5.変形例5)
図10は、上記第1の実施の形態の変形例(変形例5)に係る、
図1に示した光検出装置1のII-II線に対応する平面構成を模式的に表したものである。上記第1の実施の形態では、画素アレイ部100Aを構成する複数の単位画素Pの全てにコンタクト層15と配線層191の一部の配線とを電気的に接続する、枠体状の接続配線(ビアV1a)を設けた例を示したが、これに限定されるものではない。
【0064】
単位画素P毎に独立して形成された枠体状のビアV1aは、行方向および列方向にアレイ状に配置された複数の単位画素Pにより構成された画素アレイ部100Aおいて、例えば、X軸方向およびY軸方向に1画素おきに設けるようにしてもよい。枠体状のビアV1aが形成されない単位画素Pでは、例えば
図10に示したように、矩形状の単位画素Pの四隅それぞれにビアV1aを形成する。
【0065】
このように、画素アレイ部100Aおいて枠体状のビアV1aを千鳥状に設けた場合においても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(2-6.変形例6)
図11は、上記第1の実施の形態の変形例(変形例6)に係る、
図1に示した光検出装置1のII-II線に対応する平面構成を模式的に表したものである。上記第1の実施の形態では、コンタクト層15と配線層191の一部の配線とを電気的に接続する接続配線(ビアV1a)を矩形状の枠体として、単位画素P毎に独立して設けた例を示したが、これに限定されるものではない。
【0067】
ビアV1aは、例えば
図11に示したように、円状の枠体形状(リング状)としてもよい。リング状のビアV1aは、
図11に示したように、矩形状に設けられたコンタクト層15の各辺と接続される。
【0068】
このように、コンタクト層15と配線層191の一部の配線とを電気的に接続する接続配線(ビアV1a)をリング状とした場合においても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
<3.第2の実施の形態>
図12は、本開示の第2の実施の形態に係る光検出装置(光検出装置2)の断面構成の一例を模式的に表したものである。
図13は、
図12に示した光検出装置1のIII-III線(A)およびIV-IV線(B)に対応する平面構成を模式的に表したものである。光検出装置2は、上記第1の実施の形態の光検出装置1と同様に、例えば、ToF法により距離計測を行う距離画像センサ(後述の距離画像装置1000)やイメージセンサ等に適用されるものである。
【0070】
光検出装置2は、上記第1の実施の形態と同様に、単位画素P毎に受光素子12を有している。受光素子12は、受光部13および増倍部14を有する。光検出装置2は、センサ基板10とロジック基板20とが積層されている。センサ基板10は、例えば、シリコン基板で構成された半導体基板11と、半導体基板11の第1面11S1側に設けられた多層配線層19とを有し、受光部13および増倍部14は、例えば半導体基板11内に埋め込み形成されている。半導体基板11には、さらに、隣り合う単位画素Pの間を電気的に分離する画素分離部17が設けられている。画素分離部17は、半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を延伸している。半導体基板11には、さらに、受光部13と電気的に接続されたコンタクト層15(アノード)および増倍部14と電気的に接続されたコンタクト層16(カソード)が、例えば矩形形状を有する単位画素P内において対角線上にそれぞれ設けられている。
【0071】
本実施の形態では、画素分離部17は、画素アレイ部100Aにおいて行方向および列方向にアレイ状に配置された複数の単位画素Pそれぞれに独立して設けられている。そのため、光検出装置2の断面は、
図12に示したように、隣り合う単位画素Pの間に2つの画素分離部17が並設された構造となっている。
【0072】
また、本実施の形態では、半導体基板11の第1面11S1に設けられた多層配線層19内において、コンタクト層15と、例えば配線層191の一部の配線とを電気的に接続するビアV1aおよびコンタクト層16と、例えば配線層191の一部の配線とを電気的に接続するビアV1bに加えて、行方向および列方向に隣り合う単位画素Pの間に設けられたビアV1cがさらに設けられている。ビアV1cは、画素アレイ部100A全体では、平面視において格子状に設けられている。ビアV1cの上面は隣り合う単位画素Pの間に並設される2つの画素分離部17の間の半導体基板11の第1面11S1に、ビアV1cの下面は、例えばビアV1aと接続された配線層191の一部の配線にそれぞれ接している。このビアV1cが本開示の「接続配線」の一具体例に相当する。
【0073】
このように本実施の形態では、半導体基板11の第1面11S1と配線層191の一部の配線とに接する接続配線(ビアV1c)を行方向および列方向に隣り合う単位画素Pの間に設け、平面視において、画素アレイ部全体に格子状に形成した。これにより、例えば、隣接する単位画素Pからの漏れ込み光が低減される。また、画素分離部17は、平面視において格子状に設けられたビアV1cの内側に、単位画素P毎に独立して設けるようにした。更に、コンタクト層15,16を、それぞれ、例えば矩形形状を有する単位画素P内において対角線上に設けるようにした。これにより、アノード(コンタクト層15)とカソード(コンタクト層16)との距離を離すことができる。
【0074】
以上により、本実施の形態の光検出装置2では、上記第1の実施の形態と同様に、隣接配置された単位画素P間におけるクロストークを低減することが可能となる。加えて、エッジブレイクダウンを抑制することが可能となる。
【0075】
<4.変形例7>
図14は、上記第2の実施の形態の変形例(変形例7)に係る、
図12に示した光検出装置2のIV-IV線に対応する平面構成を模式的に表したものである。上記第2の実施の形態では、接続配線(ビアV1c)を格子状に設けた例を示したが、これに限定されるものではない。
【0076】
ビアV1cは、例えば
図14に示したように、ドット状に形成するようにしてもよい。
【0077】
これにより、上記第2の実施の形態と比較してクロストークの低減効果は低くなるものの、ビアV1cでの光吸収による外部量子効率の低下を抑制することが可能となる。
【0078】
<5.第3の実施の形態>
図15は、本開示の第3の実施の形態に係る光検出装置(光検出装置3)の断面構成の一例を模式的に表したものである。
図16は、
図15に示した光検出装置1のV-V線(A)およびVI-VI線(B)に対応する平面構成を模式的に表したものである。光検出装置3は、上記第1の実施の形態の光検出装置1と同様に、例えば、ToF法により距離計測を行う距離画像センサ(後述の距離画像装置1000)やイメージセンサ等に適用されるものである。
【0079】
光検出装置3は、上記第1の実施の形態と同様に、単位画素P毎に受光素子12を有している。受光素子12は、受光部13および増倍部14を有する。光検出装置3は、センサ基板10とロジック基板20とが積層されている。センサ基板10は、例えば、シリコン基板で構成された半導体基板11と、半導体基板11の第1面11S1側に設けられた多層配線層19とを有し、受光部13および増倍部14は、例えば半導体基板11内に埋め込み形成されている。半導体基板11には、さらに、隣り合う単位画素Pの間を電気的に分離する画素分離部17が設けられている。画素分離部17は、半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を延伸するように、行方向および列方向に隣り合う複数の単位画素Pの間に設けられており、画素アレイ部100A全体では、平面視において格子状に設けられている。半導体基板11には、さらに、受光部13と電気的に接続されたコンタクト層15(アノード)および増倍部14と電気的に接続されたコンタクト層16(カソード)が設けられている。
【0080】
本実施の形態では、行方向および列方向に隣り合う単位画素Pにおいて画素分離部17を間にして隣接するコンタクト層15を一括して配線層191の一部の配線と電気的に接続されるように、ビアV1aは画素分離部17に跨って形成されている。
即ち、本実施の形態のビアV1aは、平面視において画素分離部17よりも単位画素Pの内側に設けられた上記第1の実施の形態のビアV1aとは異なり、平面視において画素分離部17と重畳するように設けられている。
【0081】
詳細には、ビアV1aは、例えば
図16の(B)に示したように、画素分離部17の線幅よりも太く、斜め方向に隣り合う単位画素Pの交点を除いて、行方向および列方向に隣り合う矩形形状を有する単位画素Pの各辺に沿って設けられている。
【0082】
このように本実施の形態では、受光部13と電気的に接続されたコンタクト層15と、半導体基板11の第1面11S1側に設けられた多層配線層19内の配線層191の一部の配線とを電気的に接続する接続配線(ビアV1a)を、斜め方向に隣り合う単位画素Pの交点を除いて、行方向および列方向に隣り合う矩形形状を有する単位画素Pの各辺に沿って設けるようにした。これにより、例えば、隣接する単位画素Pからの漏れ込み光が低減される。
【0083】
以上により、本実施の形態の光検出装置3では、上記第1の実施の形態と同様に、例えば、半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を貫通する、所謂フルトレンチ型の画素分離部17に干渉することなく、隣接配置された単位画素P間におけるクロストークを低減することが可能となる。
【0084】
また、本実施の形態の光検出装置3では、画素分離部17を跨ぐように、画素分離部17の線幅よりも太くビアV1aを形成したので、行方向および列方向に隣り合う単位画素Pにおいて画素分離部17を間にして隣接するコンタクト層15を一括して配線層191の一部の配線と電気的に接続することができる。これにより、上記第1の実施の形態の光検出装置1のように、単位画素P毎にビアV1aを画素分離部17よりも単位画素Pの内側に形成する場合と比較して、コンタクト層15の幅を狭くすることができる。よって、p型半導体領域(p++)からなるコンタクト層15と、n型半導体領域(n++)からなるコンタクト層16とを物理的に離すことができるため、画素端部でのアバランシェ増倍を抑制することが可能となる。
【0085】
更に、本実施の形態の光検出装置3では、ビア1aをの上面を半導体基板11内に突出させるようにしてもよい。これにより、コンタクト層15とコンタクト層16とを半導体基板11の厚み方向(Z軸方向)に物理的に離すことができるため、画素端部でのアバランシェ増倍をさらに抑制することができる。
【0086】
<6.第4の実施の形態>
図17は、本開示の第4の実施の形態に係る光検出装置(光検出装置4)の断面構成の一例を模式的に表したものである。
図18は、
図17に示した光検出装置1のVII-VII線(A)およびVIII-VIII線(B)に対応する平面構成を模式的に表したものである。光検出装置4は、上記第1の実施の形態の光検出装置1と同様に、例えば、ToF法により距離計測を行う距離画像センサ(後述の距離画像装置1000)やイメージセンサ等に適用されるものである。
【0087】
光検出装置4は、上記第1の実施の形態と同様に、単位画素P毎に受光素子12を有している。受光素子12は、受光部13および増倍部14を有する。光検出装置4は、センサ基板10とロジック基板20とが積層されている。センサ基板10は、例えば、シリコン基板で構成された半導体基板11と、半導体基板11の第1面11S1側に設けられた多層配線層19とを有し、受光部13および増倍部14は、例えば半導体基板11内に埋め込み形成されている。半導体基板11には、さらに、隣り合う単位画素Pの間を電気的に分離する画素分離部17が設けられている。画素分離部17は、上記第1の実施の形態と同様に、行方向および列方向に隣り合う複数の単位画素Pの間に設けられており、画素アレイ部100A全体では、平面視において格子状に設けられている。半導体基板11には、さらに、受光部13と電気的に接続されたコンタクト層15(アノード)および増倍部14と電気的に接続されたコンタクト層16(カソード)が設けられている。
【0088】
本実施の形態では、画素分離部17は、半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を貫通し、多層配線層19に設けられた、例えば配線層191まで達している。半導体基板11の第1面11S1に設けられた多層配線層19内において、コンタクト層15と、例えば配線層191の一部の配線とを電気的に接続するビアV1aは、上記第1の実施の形態におけるビアV1aと同様に、矩形状の枠体として、単位画素P毎に独立して設けるようにしてもよいし、
図18の(B)に示したように、矩形状の単位画素Pの四隅それぞれに形成するようにしてもよい。
【0089】
このように本実施の形態では、画素分離部17を半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を貫通し、さらに多層配線層19に設けられた配線層191まで達するようにした。これにより、例えば、隣接する単位画素Pからの漏れ込み光が低減される。
【0090】
以上により、本実施の形態の光検出装置4では、隣接配置された単位画素P間におけるクロストークを低減することが可能となる。
【0091】
<7.適用例>
図19は、上記第1~第4の実施の形態および変形例1~7に係る光検出装置(例えば、光検出装置1)を備えた電子機器としての距離画像装置1000の概略構成の一例を表したものである。この距離画像装置1000が、本開示の「測距装置」の一具体例に相当する。
【0092】
距離画像装置1000は、例えば、光源装置1100と、光学系1200と、光検出装置1と、画像処理回路1300と、モニタ1400と、メモリ1500とを有している。
【0093】
距離画像装置1000は、光源装置1100から照射対象物2000に向かって投光され、照射対象物2000の表面で反射された光(変調光やパルス光)を受光することにより、照射対象物2000までの距離に応じた距離画像を取得することができる。
【0094】
光学系1200は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、照射対象物2000からの像光(入射光)を光検出装置1に導き、光検出装置1の受光面(センサ部)に結像させる。
【0095】
画像処理回路1300は、光検出装置1から供給された距離信号に基づいて距離画像を構築する画像処理を行い、その画像処理により得られた距離画像(画像データ)は、モニタ1400に供給されて表示されたり、メモリ1500に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0096】
このように構成された距離画像装置1000では、上述した光検出装置(例えば、光検出装置1)を適用することで、安定性の高い単位画素Pからの受光信号のみに基づいて照射対象物2000までの距離を演算し、精度の高い距離画像を生成することが可能となる。即ち、距離画像装置1000は、より正確な距離画像を取得することができる。
【0097】
<8.応用例>
(移動体への応用例)
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0098】
図20は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0099】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図20に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0100】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0101】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0102】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0103】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0104】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0105】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0106】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0107】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0108】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図20の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0109】
図21は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0110】
図21では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0111】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0112】
なお、
図21には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0113】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0114】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0115】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0116】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0117】
以上、第1~第4の実施の形態および変形例1~7ならびに適用例および応用例を挙げて説明したが、本開示内容は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、本開示の光検出装置では、上記実施の形態等で説明した各構成要素の全てを備えている必要はなく、また逆に他の層を備えていてもよい。例えば、光検出装置1が可視光以外の光(例えば、近赤外光(IR))を検出する場合には、カラーフィルタ32は省略しても構わない。
【0118】
また、本開示の光検出装置を構成する半導体領域の極性は反転していてもよい。更に、本開示の光検出装置は、正孔を信号電荷としてもよい。
【0119】
更にまた、本開示の光検出装置は、アノードとカソードとの間に逆バイアスを印加することでアバランシェ増倍が起きるような状態であれば、それぞれの電位は限定されない。
【0120】
また、上記実施の形態等では、半導体基板11としてシリコンを用いた例を示したが、半導体基板11は、例えば、ゲルマニウム(Ge)またはシリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)との化合物半導体(例えば、シリコンゲルマニウム(SiGe))も用いることができる。
【0121】
更に、単位画素Pの形状は矩形形状に限定されるものではない。例えば単位画素Pを八角形状とし、画素アレイ部100Aを構成する複数の単位画素Pをハニカム状に配置するようにしてもよい。
【0122】
更にまた、上記第1~第4の実施の形態および変形例1~7において説明した技術は、可能な範囲で互いに組み合わせることができる。例えば、上記変形例5では、枠体上の接続配線(ビアV1a)を千鳥状に設けた例を示したが、これは、上記変形例1~4に示した形状の接続配線(ビアV1a)においても適用でき、同様の効果を得ることができる。
【0123】
なお、上記実施の形態等において説明した効果は一例であり、他の効果であってもよいし、更に他の効果を含んでいてもよい。
【0124】
なお、本開示は、以下のような構成であってもよい。以下の構成の本技術によれば、半導体基板の第1の面において画素分離部に沿って複数の画素それぞれの周囲に設けられ、受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、半導体基板の第1の面側に設けられた多層配線層内の配線層とを電気的に接続する接続配線を、複数の画素それぞれに独立して設けるようにした。これにより、隣接する画素からの漏れ込み光を低減する。よって、クロストークを抑制することが可能となる。
(1)
対向する第1の面および第2の面を有すると共に、面内方向に複数の画素がアレイ状に配置された画素アレイ部を有する半導体基板と、
前記画素毎に前記半導体基板の内部に設けられ、受光量に応じたキャリアを光電変換により生成する受光部と、
前記画素毎に前記半導体基板の前記第1の面側において積層された第1の導電型領域および前記第1の導電型領域とは導電型の異なる第2の導電型領域を有すると共に、前記受光部において生成された前記キャリアをアバランシェ増倍する増倍部と、
前記半導体基板の前記第1の面と前記第2の面との間を延伸するように隣り合う前記複数の画素の間に設けられ、隣り合う前記複数の画素の間を電気的に分離する画素分離部と、
前記半導体基板の前記第1の面において前記画素分離部に沿って前記複数の画素それぞれの周囲に設けられ、前記受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面に設けられ、前記増倍部と電気的に接続された第2のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面側に設けられる1または複数の配線層を含む多層配線層内において、前記第1のコンタクト層と前記1または複数の配線層とを電気的に接続する、前記複数の画素それぞれに独立して設けられた接続配線と
を備えた光検出装置。
(2)
前記接続配線は、前記画素の外形に沿って形成されている、前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記接続配線は、前記画素の外形に沿って連続して形成されている、前記(1)または(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記接続配線は、前記画素の外形に沿ってドット状に形成されている、前記(1)または(2)に記載の光検出装置。
(5)
前記接続配線は、前記画素の外形に沿って蛇行状に形成されている、前記(1)または(2)に記載の光検出装置。
(6)
前記画素は矩形形状を有し、
前記接続配線は前記画素の外形に沿って形成され、平面視において矩形状の枠体形状を有する、前記(1)乃至(5)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(7)
矩形形状を有する前記接続配線の角部は鈍角を有する、前記(6)に記載の光検出装置。
(8)
前記画素は矩形形状を有し、
前記接続配線は、平面視において、斜め方向に隣り合う前記複数の画素の交点を除いて、行方向および列方向に隣り合う前記複数の画素の各辺に沿って設けられている、前記(1)乃至(3)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(9)
前記接続配線は、アレイ状に配置された前記画素アレイ部において千鳥状に設けられている、前記(1)乃至(7)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(10)
前記接続配線は、前記画素の外形に沿って形成され、平面視において円状の枠体形状を有する、前記(1)乃至(7)および前記(8)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(11)
前記接続配線は、平面視において前記画素分離部よりも前記画素の内側に設けられている、前記(1)乃至(10)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(12)
前記接続配線は、タングステン、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケルまたはチタン、あるいはそれらのシリコン化合物を用いて形成されている、前記(1)乃至(11)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(13)
前記接続配線は、ポリシリコンを用いて形成されている、前記(1)乃至(12)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(14)
前記第1の導電型領域および前記第2の導電型領域は、前記半導体基板の前記第1の面側からこの順に積層され、
前記第1の導電型領域は、前記画素の略中央に部分的に設けられ、
前記第2の導電型領域は、前記画素の全面に亘って設けられている、前記(1)乃至(13)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(15)
光学系と、光検出装置と、前記光検出装置の出力信号から測定対象物までの距離を算出する信号処理回路とを備え、
前記光検出装置は、
対向する第1の面および第2の面を有すると共に、面内方向に複数の画素がアレイ状に配置された画素アレイ部を有する半導体基板と、
前記画素毎に前記半導体基板の内部に設けられ、受光量に応じたキャリアを光電変換により生成する受光部と、
前記画素毎に前記半導体基板の前記第1の面側において積層された第1の導電型領域および前記第1の導電型領域とは導電型の異なる第2の導電型領域を有すると共に、前記受光部において生成された前記キャリアをアバランシェ増倍する増倍部と、
前記半導体基板の前記第1の面と前記第2の面との間を延伸するように隣り合う前記複数の画素の間に設けられ、隣り合う前記複数の画素の間を電気的に分離する画素分離部と、
前記半導体基板の前記第1の面において前記画素分離部に沿って前記複数の画素それぞれの周囲に設けられ、前記受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面に設けられ、前記増倍部と電気的に接続された第2のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面側に設けられる1または複数の配線層を含む多層配線層内において、前記第1のコンタクト層と前記1または複数の配線層とを電気的に接続する、前記複数の画素それぞれに独立して設けられた接続配線と
を有する測距装置。
(16)
対向する第1の面および第2の面を有すると共に、面内方向に複数の画素がアレイ状に配置された画素アレイ部を有する半導体基板と、
前記画素毎に前記半導体基板の内部に設けられ、受光量に応じたキャリアを光電変換により生成する受光部と、
前記画素毎に前記半導体基板の前記第1の面側において積層された第1の導電型領域および前記第1の導電型領域とは導電型の異なる第2の導電型領域を有すると共に、前記受光部において生成された前記キャリアをアバランシェ増倍する増倍部と、
前記半導体基板の前記第1の面と前記第2の面との間を延伸すると共に、前記複数の画素それぞれに独立して設けられ、隣り合う前記複数の画素の間を電気的に分離する複数の画素分離部と、
前記半導体基板の前記第1の面において前記画素分離部に沿って前記複数の画素それぞれの第1の区画に設けられ、前記受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面において前記画素分離部に沿って前記複数の画素それぞれの前記第1のコンタクト層が設けられた前記第1の区画とは対角線上に対向する第2の区画に設けられる、前記増倍部と電気的に接続された第2のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面側に設けられる1または複数の配線層を含む多層配線層内において、前記1または複数の配線層を介して前記第1のコンタクト層または前記第2のコンタクト層と電気的に接続される、隣接する画素間に設けられることにより平面視において格子状に設けられた接続配線と
を備えた光検出装置。
(17)
前記複数の前記画素分離部は、それぞれ、平面視において格子状に設けられた前記接続配線の内側に設けられている、前記(16)に記載の光検出装置。
(18)
対向する第1の面および第2の面を有すると共に、面内方向に複数の画素がアレイ状に配置された画素アレイ部を有する半導体基板と、
前記画素毎に前記半導体基板の内部に設けられ、受光量に応じたキャリアを光電変換により生成する受光部と、
前記画素毎に前記半導体基板の前記第1の面側において積層された第1の導電型領域および前記第1の導電型領域とは導電型の異なる第2の導電型領域を有すると共に、前記受光部において生成された前記キャリアをアバランシェ増倍する増倍部と、
前記半導体基板の前記第1の面と前記第2の面との間を延伸するように隣り合う前記複数の画素の間に設けられ、隣り合う前記複数の画素の間を電気的に分離する画素分離部と、
前記半導体基板の前記第1の面において前記画素分離部に沿って前記複数の画素それぞれの周囲に設けられ、前記受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面に設けられ、前記増倍部と電気的に接続された第2のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面側に設けられる1または複数の配線層を含む多層配線層内において、前記画素分離部に跨って設けられ、隣り合う前記複数の画素のそれぞれに設けられた前記第1のコンタクト層と前記1または複数の配線層とを電気的に接続する接続配線と
を備えた光検出装置。
(19)
前記画素は矩形形状を有し、
前記接続配線は、平面視において、斜め方向に隣り合う前記複数の画素の交点を除いて、前記画素分離部と重畳するように設けられている、前記(18)に記載の光検出装置。
(20)
対向する第1の面および第2の面を有すると共に、面内方向に複数の画素がアレイ状に配置された画素アレイ部を有する半導体基板と、
前記画素毎に前記半導体基板の内部に設けられ、受光量に応じたキャリアを光電変換により生成する受光部と、
前記画素毎に前記半導体基板の前記第1の面側において積層された第1の導電型領域および前記第1の導電型領域とは導電型の異なる第2の導電型領域を有すると共に、前記受光部において生成された前記キャリアをアバランシェ増倍する増倍部と、
隣り合う前記複数の画素の間に設けられ、前記半導体基板の前記第1の面と前記第2の面との間を延伸して隣り合う前記複数の画素の間を電気的に分離すると共に、前記半導体基板の前記第1の面側に設けられる多層配線層内に設けられた配線層に達する画素分離部と、
を備えた光検出装置。
(21)
前記半導体基板の前記第1の面において前記画素分離部に沿って前記複数の画素それぞれの周囲に設けられ、前記受光部と電気的に接続された第1のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面に設けられ、前記増倍部と電気的に接続された第2のコンタクト層と、
前記半導体基板の前記第1の面側に設けられる1または複数の配線層を含む多層配線層内において、前記画素分離部に跨って設けられ、隣り合う前記複数の画素のそれぞれに設けられた前記第1のコンタクト層と前記1または複数の配線層とを電気的に接続する接続配線とをさらに有し、
前記第1のコンタクト層および前記第2のコンタクト層は、それぞれ、前記多層配線層内に設けられる接続配線を介して前記1または複数の配線層と電気的に接続されている、前記(20)に記載の光検出装置。
【符号の説明】
【0125】
1,2,3,4…光検出装置、10…センサ基板、11…半導体基板、12…受光素子、12X…アバランシェ増倍領域、13…受光部、14…増倍部、14X…p型半導体領域(p+)、14Y…n型半導体領域(n+)、15,16…コンタクト層、17…画素分離部、17A…絶縁膜、17B…遮光膜、17X…拡幅部、18…固定電荷膜、19,22…多層配線層、20…ロジック基板、31…保護層、32…カラーフィルタ、33…マイクロレンズ、100A…画素アレイ部、1000…距離画像装置、V1a,V1b,V1c,V2,V3…ビア。