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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176970
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
G01N27/409 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089590
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】下田 昭
(72)【発明者】
【氏名】野村 昌史
(72)【発明者】
【氏名】中村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 英成
【テーマコード(参考)】
2G004
【Fターム(参考)】
2G004BB04
2G004BC02
2G004BD04
2G004BH06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】端子金具のバネ性と圧着性を両立し、センサ素子の電極パッド及びリード線と確実に電気的接続することができるガスセンサを提供する。
【解決手段】電極パッドを有するセンサ素子と、電極パッドに電気的に接続される端子金具41と、端子金具に電気的に接続されるリード線37と、を備えるガスセンサ1であって、端子金具は、電極パッドに接触する先端側端子部43と、リード線と接続する後端側端子部45とを備えており、先端側端子部は、センサ素子に向かって折れ曲がる折り曲げ部43dと、該折り曲げ部に接続されてセンサ素子に向かって延びて電極パッドに接触する素子接触部43eとを一体に有し、後端側端子部は、リード線の芯線37aを囲んで圧着する筒または筒の一部をなす圧着端子部45aを有し、折り曲げ部の最大厚みt1が、圧着端子部の最大厚みよりも厚い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延び、後端側外表面に電極パッドを有するセンサ素子と、
前記電極パッドに電気的に接続される端子金具と、
前記端子金具に電気的に接続されるリード線と、
を備えるガスセンサであって、
前記端子金具は、前記電極パッドに接触する先端側端子部と、前記リード線と接続する後端側端子部とを備えており、
前記先端側端子部は、前記センサ素子に向かって折れ曲がる折り曲げ部と、該折り曲げ部に接続されて前記センサ素子に向かって延びて前記電極パッドに接触する素子接触部とを一体に有し、
前記後端側端子部は、前記リード線の芯線を囲んで圧着する筒または筒の一部をなす圧着端子部を有し、
前記折り曲げ部の最大厚みt1が、前記圧着端子部の最大厚みt2よりも厚いことを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記先端側端子部と前記後端側端子部は別部材であり、互いに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出ガスの濃度を検出するセンサ素子と端子金具とを備えたガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の排気ガス中の酸素やNOの濃度を検出するガスセンサとして、固体電解質を用いた板状のセンサ素子を有するものが知られている。
この種のガスセンサとして、板状のセンサ素子の対向する主面の後端側に複数の電極パッドを設け、この電極パッドのそれぞれに端子金具を電気的に接触させてセンサ素子からのセンサ出力信号を外部に取り出したり、センサ素子に積層されたヒータに給電するものが広く用いられている(特許文献1)。
この端子金具は、電極パッドに接触する先端側端子部と、リード線と接続する後端側端子部とを有しており、リード線はガスセンサの外部に引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-152465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、先端側端子部は折り返し(折り曲げ)部を有し、折り返し部が弾性的に撓むことで電極パッドへの接圧を確保している。このため、先端側端子部は強度やバネ性が高いことが要求される。
一方、後端側端子部はリード線の芯線を把持する圧着端子部(加締め部)になっており、圧着(加締め)後に加締めが戻らないよう、スプリングバックが小さいことが要求されるため、先端側端子部とは特性が相反する。
しかしながら、従来のガスセンサに用いる端子金具は先端側端子部と後端側端子部の厚みが一定であるため、バネ性と圧着性(加締め性)を両立させることが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、端子金具のバネ性と圧着性を両立し、センサ素子の電極パッド及びリード線と確実に電気的接続することができるガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のガスセンサは、軸線方向に延び、後端側外表面に電極パッドを有するセンサ素子と、前記電極パッドに電気的に接続される端子金具と、前記端子金具に電気的に接続されるリード線と、を備えるガスセンサであって、前記端子金具は、前記電極パッドに接触する先端側端子部と、前記リード線と接続する後端側端子部とを備えており、前記先端側端子部は、前記センサ素子に向かって折れ曲がる折り曲げ部と、該折り曲げ部に接続されて前記センサ素子に向かって延びて前記電極パッドに接触する素子接触部とを一体に有し、前記後端側端子部は、前記リード線の芯線を囲んで圧着する筒または筒の一部をなす圧着端子部を有し、前記折り曲げ部の最大厚みt1が、前記圧着端子部の最大厚みt2よりも厚いことを特徴とする。
【0007】
このガスセンサによれば、t1>t2なので、折り曲げ部のバネ性が向上し、ひいては素子接触部と電極パッドの間の接圧を安定して確保できる。その結果、端子金具と電極パッドとを確実に電気的接続することができる。
又、t1>t2とすることで、折り曲げ部のバネ性を向上させつつ、t2を小さくできるので、リード線の芯線を囲んで圧着する(加締める)圧着端子部のスプリングバックを小さくし、圧着性が向上する。その結果、端子金具とリード線とを確実に電気的接続することができる。
以上のようにして、端子金具のバネ性と圧着性を両立できる。
【0008】
本発明のガスセンサにおいて、前記先端側端子部と前記後端側端子部は別部材であり、互いに接続されていてもよい。
このガスセンサによれば、それぞれ厚みの異なる先端側端子部と後端側端子部とを容易に製造できる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、端子金具のバネ性と圧着性を両立し、センサ素子の電極パッド及びリード線と確実に電気的接続することができるガスセンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るガスセンサの軸線方向に沿う断面図である。
図2】センサ素子の斜視図である。
図3】端子金具の斜視図である。
図4図3のA-A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るガスセンサ(酸素センサ)1の軸線方向に沿う断面図、図2はセンサ素子5の斜視図、図3は端子金具41の斜視図、図4図3のA-A線に沿う断面図である。
又、図1では、図面下方向がガスセンサの先端側であり、図面上方向がガスセンサの後端側である。
なお、ガスセンサ1は、例えば、自動車またはオートバイ等の車両の排気管に備えられる。
【0012】
ガスセンサ1は、排気管(図示せず)に固定される筒状の主体金具3と、主体金具3に貫挿されるとともに軸線方向(ガスセンサ1の長手方向:図中上下方向)に延びる板状のセンサ素子5と、主体金具3の先端側(図中下方)に配置されてセンサ素子5の先端側を覆う素子プロテクタ9と、溶接部11aにより主体金具3の後端側(図中上方)に取り付けられるとともにセンサ素子5の外周を覆う外筒11と、外筒11の内部に配置されてセンサ素子5の後端側を収容する絶縁セパレータ12と、外筒11の後端側を閉塞する閉塞部材15と、複数(本実施形態では、4個)の端子金具41と、複数(本実施形態では、4本)のリード線37と、を備えている。
【0013】
センサ素子5は、測定対象物(排気ガスなど)に向けられる先端側に、保護層5aに覆われた検出部19が形成され、後端側の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面21および第2板面23に、電極パッド(第1~第4電極パッド)31、32、34、35が形成されている。
センサ素子5は、先端側の検出部19が排気管に固定される主体金具3の先端より突出すると共に、後端側の電極パッド31、32、34、35が主体金具3の後端より突出した状態で、主体金具3の内部に固定される。
【0014】
電極パッド31、32、34、35には、それぞれ端子金具41が接続されている。つまり、複数の端子金具41は、絶縁セパレータ12の内部にて、センサ素子5と絶縁セパレータ12との間に配置されることで、センサ素子5の電極パッド31、32、34、35にそれぞれ電気的に接続される。端子金具41は、先端側端子部43と、後端側端子部45と、を備えて構成されている。
【0015】
複数の端子金具41は、それぞれ、外部からガスセンサ1の内部に配設される複数のリード線37(詳しくはリード線37中の芯線37a)に電気的に接続されている。
なお、端子金具41の詳細な構成は、後述する。
【0016】
端子金具41およびリード線37は、リード線37が接続される外部機器(図示省略)とセンサ素子5(詳細には、電極パッド31、32、34、35)との間に流れる電流の電流経路を形成する。複数のリード線37は、チューブ部材38により束ねられている。なお、図1では、複数のうち2本のリード線37のみを示している。
【0017】
図2は、センサ素子5の概略構造を表す斜視図である。なお、図2では、軸線方向における中間部分を省略してセンサ素子5を表している。
センサ素子5は、図2に示す様に、軸線方向(図2における左右方向)に延びる板状の素子部51と、同じく軸線方向に延びる板状のヒータ53と、が積層された直方体形状であり、その軸線方向に垂直の断面は矩形状である。図2では、保護層5aを点線で表している。
【0018】
なお、ガスセンサ1に備えられるセンサ素子5は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成は以下のようである。
まず、素子部51は、例えば、固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素濃淡電池素子と、中空の基準ガス室を形成するためのスペーサと、を備えて構成されている。このうち、固体電解質基板は、例えば、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極は、例えば、Ptを主体に形成される。
【0019】
また、基準ガス室を形成するスペーサは、アルミナを主体に構成されており、中空の基準ガス室の内側には、酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極が露出するように配置されている。スペーサは、基準ガス室が少なくとも素子部51の先端側に位置するように形成されると共に、外部から基準ガス室に基準ガス(大気など)を導入するためのガス用経路を備えている。
素子部51のうち多孔質電極および基準ガス室が形成される部分が検出部19に相当する。
【0020】
一方、ヒータ53は、アルミナを主体とする絶縁基板の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれて形成されている。そして、素子部51とヒータ53とは、セラミック層(例えば、ジルコニア系セラミックやアルミナ系セラミック)を介して互いに接合される。
【0021】
また、センサ素子5は、先端側のうち少なくとも測定対象物(本実施形態では排ガス)に晒される電極の表面上には、被毒防止用の多孔質のセラミックスで形成された保護層5a(図2では図示省略)が備えられる。なお、本実施形態のセンサ素子5は、図1に示すように、排ガスに晒される多孔質電極の表面を含む先端側全面が、保護層5aで覆われるように構成されている。
【0022】
このようなセンサ素子5では、図2に示すように、第1板面21の後端側(図2における右側)に2個の電極パッド31、32が形成され、第2板面23の後端側に2個の電極パッド34、35が形成されている。電極パッド31、32は、素子部51に形成されるものであり、酸素濃淡電池素子における一対の多孔質電極にそれぞれ電気的に接続されている。電極パッド34、35は、ヒータ53に形成されるものであり、ヒータの厚さ方向に横切るビア導体(図示せず)を介して発熱抵抗体パターンの両端に各々接続されている。
【0023】
図1に戻り、主体金具3は、その外表面に自身を排気管に固定するためのネジ部3aを備えるとともに、その軸中心に貫通孔3bを有する筒状の部材である。なお、貫通孔3bには、径方向内側に突出する棚部3cが形成されている。主体金具3は、金属材料(例えば、ステンレスなど)で形成されている。
【0024】
主体金具3の貫通孔3bの内部には、センサ素子5の径方向周囲を取り囲む状態で配置された環状の絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成されたホルダ61(セラミックホルダ61)と、同様な環状の粉末充填層63(滑石リング63)と、同様な環状の絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成されたスリーブ67(セラミックスリーブ67)とが、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。
【0025】
セラミックスリーブ67と主体金具3の後端部3dとの間には、加締パッキン69が配置されている。なお、主体金具3の後端部3dは、加締パッキン69を介してセラミックスリーブ67を先端側に押し付けるように、加締められている。
【0026】
主体金具3の外周のうちネジ部3aの後端側には、環状のガスケット64が配置されている。ガスケット64は、ガスセンサ1とセンサ取付位置(排気管)との間の隙間からのガス抜けを抑制するものである。
【0027】
素子プロテクタ9は、主体金具3の先端側の外周に、センサ素子5の突出部分を覆うように溶接部9dによって取り付けられた筒状の部材である。素子プロテクタ9は、耐熱性材料(例えばSUS310Sなど)を用いて形成されている。素子プロテクタ9は、外部プロテクタ9aおよび内部プロテクタ9bを備える二重構造である。外部プロテクタ9aおよび内部プロテクタ9bは、それぞれ、側壁または先端において、ガスの通過が可能な複数の孔部9cが形成されている。
【0028】
絶縁セパレータ12は、先端側セパレータ13と、後端側セパレータ14と、に分割可能に構成されている。
先端側セパレータ13は、絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成された筒状の部材であり、外筒11の内部に配置された筒状の保持金具73によって、外筒11の内部に保持されている。先端側セパレータ13の内部には、軸線方向に貫通する端子配置孔13bが形成されている。端子配置孔13bには、センサ素子5の後端部(電極パッド31、32、34、35)が収容されるとともに、電極パッド31、32、34、35に電気的に接続される複数の端子金具41の先端部(詳細には、先端側端子部43)が収容されている。先端側セパレータ13は、その外表面に外向きに突出する環状の鍔部13cが設けられている。先端側セパレータ13は、鍔部13cが保持金具73に当接することで、外筒11の内部における軸線方向の設置位置を規定できる。
【0029】
後端側セパレータ14は、絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成された筒状の部材であり、外筒11の内部のうち閉塞部材15の先端側に配置されている。後端側セパレータ14の内部には、軸線方向に貫通する端子配置孔14bが複数箇所に形成されている。後端側セパレータ14は、複数の端子配置孔14bのそれぞれに端子金具41の後端部(後端側端子部45)を収容している。
【0030】
閉塞部材15は、可撓性材料(例えばフッ素樹脂)を用いて形成されたグロメットである。閉塞部材15は、外筒11の後端側開口部に配置されて、外筒11が外側から内側向きに加締められることで、外筒11に固定されている。閉塞部材15は、複数のリード線37を挿通するための複数の貫通孔(図示省略)を備えている。
【0031】
複数のリード線37は、それぞれ異なる端子金具41の後端側に(加締めによって)接続されるとともに、閉塞部材15を貫いて形成された貫通孔に貫挿されて、外部に延設されている。
【0032】
次に、端子金具41について説明する。
上述したように、端子金具41は、先端側端子部43と、後端側端子部45と、を備えて構成されている。又、本例では、端子金具41は、単一部材ではなく、それぞれ別部材である先端側端子部43および後端側端子部45を結合することで構成される。
【0033】
図3は、先端側端子部43および後端側端子部45を備える端子金具41の構造を表す説明図である。
先端側端子部43は、弾性(バネ弾性)が高い金属材料で構成されており、例えば、Niを主体とする合金材料(NCF718など)を用いて構成されている。
先端側端子部43は、長尺薄板状の金属材料を折曲加工して形成されており、本体部43aと、メス型連結部43bと、延設部43cと、折り曲げ部43dと、素子接触部43eと、を備える。
【0034】
本体部43aは、軸線方向に延びる長尺板状に形成されている。
メス型連結部43bは、本体部43aの後端側において、筒型形状に形成されると共に、軸線方向に垂直な断面形状が円形に形成されている。メス型連結部43bは、切欠部43fを備えており、弾性変形により筒型形状の内径寸法が変更可能に構成されている。このため、メス型連結部43bの断面形状は、厳密には、切れ目を有する円形である。また、メス型連結部43bは、後端側に拡径部43gを備えている。拡径部43gは、後端側に向かうに従い拡径する形状に形成されている。
【0035】
延設部43cは、本体部43aの側方部分から延設されており、その延設方向は本体部43aの板面に垂直な方向である。延設部43cは、本体部43aの2カ所から延設されている。延設部43cを備えることで、本体部43aの強度を向上できる。
【0036】
折り曲げ部43dは、本体部43aの先端側に一体に繋がっている。そして、本体部43aの先端側において、後端側から最先端43sを経由して後端側に向かい、本体部43aの板面に垂直な方向に折り曲げられて(折り返されて)形成されており、本体部43aと素子接触部43eとを繋ぐ連結部分である。
【0037】
素子接触部43eは、折り曲げ部43dを介して本体部43aに連結されており、折り曲げ部43dの弾性変形により、本体部43aとの隙間寸法(本体部43aとの距離)が変更可能に形成されている。
このように構成された先端側端子部43は、素子接触部43eがセンサ素子5(詳細には、電極パッド31、32、34、35)と接触するにあたり、折り曲げ部43dの弾性変形により素子接触部43eとセンサ素子5との接触状態を維持できる。つまり、折り曲げ部43dの弾性変形により、素子接触部43eと電極パッド31、32、34、35との間の接圧を確保している。
【0038】
次に、後端側端子部45は、例えば、ステンレス合金(SUS304)を用いて構成されている。後端側端子部45は、長尺薄板状の金属材料を折曲加工して形成されており、圧着端子部45aと、オス型連結部45bと、を備える。
【0039】
圧着端子部45aは、曲げ加工により変形することで、リード線37(図1参照)の芯線37aを包囲可能な筒型形状(図4参照)となるように構成されている。圧着端子部45aは、リード線37の芯線37aを包囲した状態で径方向内向きに加締め加工されることで、リード線37の芯線37aと接続されるとともに電気的に接続される。
【0040】
オス型連結部45bは、圧着端子部45aの先端側において、筒型形状に形成されると共に、軸線方向に垂直な断面形状が円形に形成されている。オス型連結部45bの外径寸法は、メス型連結部43bの内部に配置可能な寸法に設定されている。また、オス型連結部45bは、先端側に縮径部45cを備えている。縮径部45cは、先端側に向かうに従い縮径する形状に形成されている。
【0041】
このように構成された後端側端子部45は、圧着端子部45aがリード線37の芯線37aに電気的に接続されることで、リード線37を介して外部機器と電気的に接続される。
【0042】
端子金具41は、図3の右側領域に示すように、先端側端子部43および後端側端子部45が連結されて構成されている。詳細には、オス型連結部45bおよびメス型連結部43bが互いに連結されることで、先端側端子部43および後端側端子部45を備える端子金具41が形成される。
【0043】
このような構成の端子金具41は、先端側端子部43の素子接触部43eがセンサ素子5(詳細には、電極パッド31、32、34、35)と電気的に接続されるとともに、後端側端子部45の圧着端子部45aがリード線37を介して外部機器と電気的に接続されるように構成されている。
【0044】
ここで、折り曲げ部43dの最先端43sの最大厚みt1が、軸線方向と交差する断面(図4)における圧着端子部45aの最大厚みt2よりも厚い。
このように、折り曲げ部43dの厚みが厚いのでバネ性が向上し、ひいては素子接触部43eと電極パッド31、32、34、35の間の接圧を安定して確保できる。その結果、端子金具41と電極パッド31、32、34、35とを確実に電気的接続することができる。
なお、本例では、折り曲げ部43dの最先端43sの厚みを最大厚みt1とした。
【0045】
一方、先端側端子部43と後端側端子部45の厚みが同一(t1、t2)であると、バネ性を向上させるためにt1を大きくすると、t2も大きくなって圧着端子部45aのスプリングバックが大きくなる。
そこで、t1>t2とすることで、折り曲げ部43dのバネ性を向上させつつ、t2を小さくできるので、リード線37の芯線37aを囲んで圧着する(加締める)圧着端子部45aのスプリングバックを小さくし、圧着性が向上する。その結果、端子金具41とリード線37とを確実に電気的接続することができる。
以上のようにして、端子金具41のバネ性と圧着性を両立できる。
【0046】
さらに、t1>t2とすることで、後端側端子部45の熱伝導率を低減させ、後端側端子部45側からガスセンサ1の後端側(閉塞部材15側)への熱伝達を抑制し、より高温でガスセンサ1を使用できる。
【0047】
なお、最大厚みt1とは、図3では最先端43sが左右方向の略線状の領域であるので、その線上の厚みを複数個所測定したときの最大値をいう。
最大厚みt2とは、図4では筒の一部をなす圧着端子部45aの厚みを周方向に複数個所測定したときの最大値をいう。
【0048】
又、t1>t2であればよいが、特にt1がt2よりも15%以上厚くなっていると、t1とt2の差が大きくなり、端子金具41のバネ性と圧着性をより一層両立できる。
【0049】
なお、上述したように、絶縁セパレータ12は、先端側セパレータ13と、後端側セパレータ14と、に分割可能に構成されている。
そして、例えば、まず、先端側セパレータ13の端子配置孔13bにセンサ素子5の後端部および4個の先端側端子部43を配置する。他方、後端側セパレータ14の4つの端子配置孔14bのそれぞれにリード線37を挿通した上で、リード線37の芯線37aを後端側端子部45の圧着端子部45aに対して、加締め加工により接続(固定)する。
この後、先端側セパレータ13に配置された4個の先端側端子部43と、4個の後端側端子部45とを連結した上で、後端側セパレータ14をリード線37に沿って後端側端子部45に近づけるように移動させて、4個の後端側端子部45をそれぞれ端子配置孔14bに収容(配置)する。
このような手順で、先端側セパレータ13と後端側セパレータ14とを組み合わせることで、絶縁セパレータ12が完成する。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0051】
例えば、上記の実施形態では、端子金具41として、先端側端子部43と後端側端子部45とが別部材である形態について説明したが、先端側端子部43と後端側端子部45とが単一部材(一体)で構成された端子金具41を用いても良い。
【0052】
また、本発明を適用するガスセンサは、酸素センサに限られることはなく、端子金具を備えるガスセンサであれば、NOxセンサや水素センサなど他の種類のガスを検出するガスセンサであってもよい。
センサ素子も板型に限らず、筒型素子であってもよい。
また、折り曲げ部は、折り曲げの基準部(本体部43a等)から折り曲げられることでバネ性を有して素子と接触する形態であればよく、例えば折り曲げ部が本体部43aの後端側から先端に向かってら折り曲げられる形態でもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 ガスセンサ
5 センサ素子
31、32、34、35 電極パッド
37 リード線
37a 芯線
41 端子金具
43 先端側端子部
43d 折り曲げ部
43e 素子接触部
45 後端側端子部
45a 圧着端子部
O 軸線
図1
図2
図3
図4