(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177013
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】高周波装置用アンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20231206BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20231206BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01S7/03 230
H01Q21/06
G01S7/02 216
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089675
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】幸谷 真人
【テーマコード(参考)】
5J021
5J070
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021DB05
5J021GA05
5J021HA04
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AD06
5J070AD09
5J070AD10
5J070AD13
5J070AF03
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK08
(57)【要約】
【課題】 移相器数を削減してグレーティングローブ及びサイドローブ等の発生を抑圧でき、広範囲なビームスキャンを実現可能な高周波装置用送受アンテナアレイを提供する。
【解決手段】送信アンテナアレイ107のオンエレメント111a、111c、及び、受信アンテナアレイ207のオンエレメント211a、211cは、二次元的な配列の中央部から四隅にかけて互いの配置の少なくとも一部が補われるように配置されると共に中央部から四隅にかけて密度が低くなるように配置されている。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置に用いられると共に所定領域内に二次元的に配列され、移相器(12、15)に電気的に接続される有効エレメント(111a、111c、211a、211c)及び前記移相器に電気的に接続されないダミーエレメント(111b、211b)を有して所定領域内にそれぞれ配列される送信アンテナアレイ(107)及び受信アンテナアレイ(207)を備え、
前記送信アンテナアレイの有効エレメント(111a、111c)は、
前記二次元的な配列の中で第1方向又は第2方向の特定方向に沿って隣接してグルーピングされ同一の前記移相器により制御される第1グルーピング・オンエレメント(111a)と、前記第1グルーピング・オンエレメントとは別に孤立して設けられると共に前記特定方向に特定の第1間隔を有して一対で配置される第1シングル・オンエレメント(111c)と、を備え、
前記受信アンテナアレイの有効エレメント(211a、211c)は、
前記二次元的な配列の中で第1方向又は第2方向の特定方向に沿って隣接してグルーピングされ同一の前記移相器により制御される第2グルーピング・オンエレメント(211a)と、前記第2グルーピング・オンエレメントとは別に孤立して設けられると共に前記特定方向に特定の第2間隔を有して一対で配置される第2シングル・オンエレメント(211c)と、を備え、
前記送信アンテナアレイの有効エレメント、及び、前記受信アンテナアレイの有効エレメントは、前記二次元的な配列の中央部から四隅にかけて互いの配置の少なくとも一部が補われるように配置されると共に前記中央部から四隅にかけて密度が低くなるように配置されている高周波装置用アンテナアレイ。
【請求項2】
前記第1方向または前記第2方向の有効エレメントの個数が前記送信アンテナアレイと前記受信アンテナアレイとで異なる請求項1記載の高周波装置用アンテナアレイ。
【請求項3】
前記送信アンテナアレイの有効エレメント及び前記受信アンテナアレイの有効エレメントを重ね合わせた際の有効エレメントの論理和領域のカバー率は、前記送信アンテナアレイの有効エレメント又は前記受信アンテナアレイの有効エレメントの単体の領域内の有効エレメントの論理和領域のカバー率よりも高くなるように相補的にエレメント配置設計されている請求項1記載の高周波装置用アンテナアレイ。
【請求項4】
前記送信アンテナアレイの一対の第1シングル・オンエレメント、及び、前記受信アンテナアレイの一対の第2シングル・オンエレメントは、一又は複数組設けられており、
少なくとも一組以上の前記一対の第1シングル・オンエレメント及び前記一対の第2シングル・オンエレメントは、互いに異なる前記特定の間隔で配置されている請求項1記載の高周波装置用アンテナアレイ。
【請求項5】
前記送信アンテナアレイの有効エレメント、及び、前記受信アンテナアレイの有効エレメントの配置位置を重ねたときに重複される論理積領域は、前記二次元的な配置の中央部から斜め方向に連続的に設けられる請求項1記載の高周波装置用アンテナアレイ。
【請求項6】
前記送信アンテナアレイの有効エレメント、及び、前記受信アンテナアレイの有効エレメントの配置位置を重ねたときに重複される論理積領域は、前記二次元的な配置の中央部を中心とした波紋状、同心円状、又は、同心楕円状に設けられる請求項1記載の高周波装置用アンテナアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波装置用アンテナアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波装置用にフェーズドアレイアンテナの技術開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載のフェーズドアレイアンテナによれば、二次元的に個別アレイ要素(以下、オンエレメント)を配列すると共に、当該個別アレイ要素を8個単位、例えば4×2、8×1の方形サブアレイとしてグルーピングしている。そして、複数の方形サブアレイは、位相中心の周期性を低減するようにタイリングされており、これにより、グレーティングローブを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術では、グレーティングローブを抑圧するため、位相中心の周期性を低減している。しかし、グレーティングローブ自体は未だ残存(-10dBc程度)しており、サイドローブ・グレーティングローブを抑圧したビーム走査範囲は±10°程度にとどまる。また、位相中心の周期性を低減することが原因で、位相中心が全てエレメント座標から不規則にシフトすることになり、位相値の計算やテーパリングの計算を複雑化してしまう。つまり、位相中心位置が縦横方向共にオフグリッドが増えると、隣接するオンエレメントの間隔が0.5λとなる理想距離から変化し、前提がなくなることから位相値の計算が複雑化してしまう。
【0005】
また発明者は、移相器数削減とシステム簡素化のため隣接した個別アレイ要素を縦または横方向にグルーピングすることで、グルーピングと同じ縦または横方向スキャン時にグレーティングローブを発生させてしまうことを突き止めている。また、発明者らは、本願に先立つ先願にて、特定間隔に配置したシングルエレメントのペアを用いることでヌルフィルタを形成し、グレーティングローブをキャンセル可能な技術を提案している。他方、例えばスキャン型のレーダセンサでは、コスト削減とシステムの簡素化のため、フェイズドアレイのエレメントに電気的に接続する移相器の個数のさらなる削減が特に求められている。さらに、周囲の不要波抑圧のためサイドローブ抑圧可能な技術が求められている。
【0006】
本発明の目的は、移相器数を削減してグレーティングローブ及びサイドローブ等の発生を抑圧でき、広範囲なビームスキャンを実現可能な高周波装置用送受アンテナアレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、レーダ装置に用いられると共に所定領域内に二次元的に配列され、移相器に電気的に接続される有効エレメント(例えば“1”で表現可能)及び前記移相器に電気的に接続されないダミーエレメント(例えば“0”で表現可能)を有して所定領域内にそれぞれ配列される送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイを備える。
【0008】
送信アンテナアレイの有効エレメントは、二次元的な配列の中で縦方向または横方向の特定方向に沿って隣接してグルーピングされ同一の移相器により制御される第1グルーピング・オンエレメントと、第1グルーピング・オンエレメントとは別に孤立して設けられると共に特定方向に特定の第1間隔を有して一対で配置される第2シングル・オンエレメントと、を備える。
【0009】
受信アンテナアレイの有効エレメントは、二次元的な配列の中で縦方向または横方向の特定方向に沿って隣接してグルーピングされ同一の移相器により制御される第3グルーピング・オンエレメントと、第3グルーピング・オンエレメントとは別に孤立して設けられると共に特定方向に特定の第2間隔を有して一対で配置される第4シングル・オンエレメントと、を備える。
【0010】
請求項1記載によれば、二次元的な配列の中央部から四隅にかけて互いの配置の少なくとも一部が補われるように配置されると共に、中央部から四隅にかけて密度が低くなるように配置されている。例えば、受信のアレイをベースデザインとし、送信のアレイを相補的なエレメント配置となるよう設計すると良い。
【0011】
また請求項2記載の発明によれば、送信アンテナアレイのオンエレメント、及び、受信アンテナアレイのオンエレメントが、アレイの縦方向または横方向の一方向(例えば、特に中央部)で有効エレメントの個数を変更していれば、サイドローブの個数(ピッチ)が変化し、送信及び受信の合成ビームパターン性能において、サイドローブのキャンセル効果を強めることができる。
【0012】
また、請求項3記載の発明によれば、送信アンテナアレイのオンエレメント、及び、受信アンテナアレイのオンエレメントの重なり論理和領域(TX∪RX)、すなわち前述の表現方法ではどちらかが“1”であるエレメントの領域は、アレイ最大領域内(16×12)で有効エレメントの占有率が元のアレイより高まるように相補的にエレメント配置されている。送受アレイのオンエレメントの重なり論理積領域(TX∩RX)、すなわち互いに“1”であるエレメントの重複領域は、例えば斜め方向に連なり(請求項5)、また例えば波紋状に配置されていると良い(請求項6)。
このような構成によれば、二次元的な配列の中央部から四隅にかけて互いの配置が補われるように配置されているため、送受合成ビーム性能として、サイドローブを効率良く相殺できるようになる。さらに、オンエレメントの密度を中央部で高くしつつ四隅で低くエレメント配置設計することにより、各アレイは、少ない移相器数で不要なサイドローブ等の発生を抑圧できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態について概略的に示すレーダ装置の電気的構成図
【
図2】第1実施形態について送信部を概略的に示す電気的構成図
【
図3】第1実施形態について受信部を概略的に示す電気的構成図
【
図4】第1実施形態について受信アンテナアレイを構成するエレメントの配置態様を模式的に示す図(ベースデザイン)
【
図5】第1実施形態について受信アンテナアレイを構成するエレメントの配置寸法の説明図
【
図6】第1実施形態について送信アンテナアレイを構成するエレメントの配置態様を模式的に示す図
【
図7】第1実施形態について送信アンテナアレイを構成するエレメントの配置寸法の説明図
【
図8A】第1実施形態について示す送受信エレメントの配列状態の論理和と論理積解析結果
【
図8B】第1実施形態について示す送受信エレメントの重なり状態イメージを示すベン図
【
図9】第1実施形態のアンテナアレイについてメインビーム角度を0°に調整したときの送受合成ビームパターン特性図
【
図10】比較例その1について示すエレメントの配列状態の論理和解析結果
【
図11】比較例その2について示すエレメントの配列状態の論理和と論理積解析結果
【
図12】第1実施形態のアンテナアレイについてメインビーム角度を17.5°に調整したときの送受信合成ビームパターン特性を模式的に示す図
【
図13】比較例その1についてメインビーム角度を17.5°に調整したときの送受信合成ビームパターン特性を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、高周波装置用アンテナアレイをレーダ装置1に用いた一実施形態について図面を参照しながら説明する。レーダ装置1は、車両の所定箇所に取付けられるもので、10m~数百m程度の所定範囲をスキャンする長距離レーダ(Long Range Radar:LRR)用途、又は短距離レーダとして用いられる。
【0015】
図1に例示したように、車両用のレーダ装置1は、制御回路2、信号生成部3、送信部4、受信部5、信号処理部6、送信アンテナアレイ107、及び受信アンテナアレイ207を備える。レーダ装置1の受信アンテナアレイ207は、例えば受信RXのチャンネル数を複数とし、各受信RXのチャンネルの信号を合成処理することで物標8までの距離、存在角度などを算出する。
【0016】
制御回路2は、所定の制御ロジックを実行することで、信号生成部3、送信部4、受信部5の各種制御を実行する。このときレーダ装置1に関する周波数、増幅度、位相値などを制御する。
【0017】
信号生成部3は、図示しないが例えばPLL、逓倍器を備えており、送信部4に出力するローカル信号を生成すると共に、受信部5に出力するローカル信号を生成する。このとき、同一のPLLから受信RXのチャンネルの混合器7にローカル信号を供給する。ローカル信号は、例えば、77GHz帯の信号を示す。
【0018】
送信部4は、
図2に示すように、可変利得増幅器11、移相器12、及び増幅器13を備え、パッド10を通じてアンテナアレイ107に接続される。可変利得増幅器11は、制御回路2の制御に基づいて増幅度を調整可能に構成され、信号生成部3のTX信号を入力する。移相器12は、可変利得増幅器11の出力位相を移相するもので、制御回路2の制御に基づいてその位相値を変更可能になっている。増幅器13は、所謂パワーアンプによるもので移相器12の出力信号を増幅する。
【0019】
移相器12には増幅器13を介して送信アンテナアレイ107が電気的に接続されている。送信アンテナアレイ107は、詳細を後述するがフェーズドアレイアンテナにより構成されレーダを物標8に向けて出力できる。物標8に反射した受信波は受信アンテナアレイ207に入力される。
【0020】
図1に示す受信部5は、
図3のパッド20を通じて受信アンテナアレイ207に接続されている。受信部5は、複数の受信RXのチャンネル毎に同一の形態を備えている。それぞれの受信部5は、
図3に示すように、可変利得増幅器14、移相器15、及び増幅器16、を備える。移相器15は可変利得増幅器14を通じて受信アンテナアレイ207に電気的に接続されている。
【0021】
受信部5は、受信アンテナアレイ207から信号を受信すると、可変利得増幅器14が受信アンテナアレイ207から受信した信号を増幅し、移相器15は、可変利得増幅器14の増幅信号を位相値φだけ移相する。
【0022】
そして増幅器16が移相器15の移相信号を増幅して受信RXのチャンネル毎の混合器7に出力する。
【0023】
他方、信号生成部3は、ローカル信号を受信部5に出力すると、LOアンプ9がローカル信号を増幅し混合器7に出力する。混合器7は、増幅器16の出力とLOアンプ9の出力とを混合しIF信号として信号処理部6に出力する。
図1に示す信号処理部6は、制御回路2と同様にプロセッサ又は所定の電子制御ロジックにより構成されている。
【0024】
信号処理部6は、混合器7により処理されたIF信号について、図示しないIFフィルタによりフィルタ処理した後にA/D変換し、その後FFT結果を用いてデジタルビーム形成(DBF)等の信号処理を行うことで、物標8までの距離や、物標8との相対速度、物標8の存在角度を測定できる。
【0025】
制御回路2は、送信部4の移相器12の位相値φtx、及び、各受信チャンネルの受信部5の移相器15の位相値φrxを制御することでビーム走査角を制御できる。このときセクタ領域の中に狭い仮想ビームを形成し、より高い分解能でスキャンの物標8を識別できる。セクタ領域に視野を絞りこむことができるため、従来のMIMOレーダに比較して計算量を削減できる。ハイブリッド方式は、スキャン時間短縮と高分解能能力のトレードオフを緩和した効率の良いスキャン手法と言える。また、複数の物標8に対して前述のDBFより高い分離能が得られる多信号分類処理(MUltiple SIgnal Classification: MUSIC)などを適用することもできる。
【0026】
以下、このようなレーダ装置1に用いられる受信アンテナアレイ207、送信アンテナアレイ107の構造について説明する。受信アンテナアレイ207は、複数の受信チャンネル毎に設けられる。
図4に示すように、各受信チャンネルの受信アンテナアレイ207はフェーズドアレイアンテナとして用いられるもので、それぞれ受信部5に電気的に接続されるオンエレメント211a、211c、受信部5に電気的に接続されないオフエレメント211bを組み合わせて構成されている。オンエレメント211aは第2グルーピング・オンエレメント、有効エレメント相当であり、オンエレメント211cは第2シングル・オンエレメント、有効エレメント相当である。オンエレメント211cは、特定方向となるY方向に離間して一対に設けられるが、この一対のオンエレメント211cが一対の第2シングル・オンエレメントに相当する。オフエレメント211bは、ダミーエレメント相当である。各オンエレメント211a、211cから受信部5の混合器17に至るまでの電気的な線路長は等位相になるよう互いに等長経路に構成すると良い。
【0027】
図4に示したように、受信アンテナアレイ207のエレメント211a~211cはそれぞれ金属矩形面を備える。受信アンテナアレイ207の外枠は方形に構成されており、受信アンテナアレイ207の外枠の中の格子状の頂点の領域に矩形状のエレメント211a~211cを配置している。本実施形態では、
図4に示すように、オンエレメント211a、211cが16行12列に区画された二次元的な所定領域内に配置されている形態を説明するが、これに限られない。また受信アンテナアレイ207と送信アンテナアレイ107とは、外枠が同一形状とされている。なお、
図5には
図4に示す受信アンテナアレイ207の一部を抜き出して示している。
【0028】
また
図6に示すように、送信アンテナアレイ107もまた、フェーズドアレイアンテナとして用いられるもので、送信部4に電気的に接続されるオンエレメント111a、111c、送信部4に電気的に接続されないオフエレメント111bを組み合わせて構成されている。オンエレメント111aは、第1グルーピング・オンエレメント、有効エレメント相当であり、オンエレメント111cは、第1シングル・オンエレメント、有効エレメント相当である。オンエレメント111cは、特定方向となるY方向に離間して一対に設けられるが、この一対のオンエレメント111cが一対の第1シングル・オンエレメントに相当する。またオフエレメント111bは、ダミーエレメント相当である。送信部4の移相器12の出力から各オンエレメント111a、111cに至るまでの電気的な線路長は等位相になるよう互いに等長経路に構成すると良い。
【0029】
図6に示したように、送信アンテナアレイ107のエレメント111a~111cはそれぞれ金属矩形面を備える。送信アンテナアレイ107の外枠は方形に構成されており、送信アンテナアレイ107の外枠の中の格子状の頂点の領域に矩形状のエレメント111a~111cを配置している。
【0030】
送信アンテナアレイ107のエレメント111a~111c、受信アンテナアレイ207のエレメント211a~211cは、それぞれ、隣り合うエレメント111a~111c、211a~211cの間の中心間隔をレーダ波長λの2分の1に設定しており、各エレメント111a~111c、211a~211cの形状をそれぞれ四角形状に構成している。ここでは、四角形状に構成した形態を示すが、六角形状に構成しても良いし八角形状に構成しても良い。送信アンテナアレイ107、受信アンテナアレイ207は、それぞれXY平面に配置されており、XY平面に直交した+Z軸方向からビームを送受信する。
【0031】
本形態では
図3~
図6に簡略的に示したが、送信アンテナアレイ107、受信アンテナアレイ207の二次元的な配列の最外周にダミーエレメント(図示せず)を別途配置しても良い。ダミーエレメントは、オフエレメント111b、211bと同様に送信部4、受信部5には接続されていない。二次元的な配列の最外周にダミーエレメントを配置することで、送信アンテナアレイ107、受信アンテナアレイ207を用いた送受信信号の品質を向上できる。本形態では、オンエレメント111a、111c、211a、211c及びオフエレメント111b、211bの二次元配置を工夫することで、移相制御すべきオンエレメント111a、111c、211a、211cの個数を減らし、移相制御をより簡単化している。
【0032】
以下の説明では、
図4、
図6に示したように、送信アンテナアレイ107、受信アンテナアレイ207の列を列X1~X12と称する。また送信アンテナアレイ107、受信アンテナアレイ207の行を行Y1~Y16と称する。
【0033】
そして、エレメント111a~111c、211a~211cの配置領域を示す場合、座標(X,Y)の表記をもって表す。また、
図6に示したように、例えば、列X3において、行Y2のオンエレメント111aと行Y3のオンエレメント111aが電気的に接続されており、グルーピングされている場合、「Y2-Y3」のように、マイナス符号により結合することで、オンエレメント111aがグルーピングされていることを表す。
【0034】
図6に示す送信アンテナアレイ107のオンエレメント111a、111cは、プリント配線基板を用いた伝送線路により送信部4に接続されており、これにより、送信アンテナアレイ107のグルーピングしたオンエレメント111a、およびシングル・オンエレメント111cからビームのエネルギーを合成し放射することで、指向性を持たせた送信ビームを形成することができる。また、
図4に示す受信アンテナアレイ207のオンエレメント211a、211cは、プリント配線基板を用いた伝送線路により受信部5に接続されており、これにより受信アンテナアレイ207のオンエレメント211a、211cから信号を所望の角度にエネルギーを合成し受信することで、指向性を持たせた受信ビームを形成することができる。
【0035】
<受信アンテナアレイ207のオンエレメント211a、211cの配列構造の詳細説明>
次に、
図4を参照してオンエレメント211a、211cの配置構造を詳細に説明する。
図4に示すように、受信アンテナアレイ207は、行Y8と行Y9との間に全行の中心部が位置しており、列X6と列X7との間に全列の中心部が位置している。オンエレメント211a、211cは、これらの行の中心部に対して上下対称で、且つ、列の中心部に対して左右対称に配置されている。また、オンエレメント211a、211cは、受信アンテナアレイ207の中心部に対し点対称となるように配置されている。
【0036】
具体的に、受信アンテナアレイ207の中で図示左半領域のオンエレメント211aは、
座標(X1,Y3-Y4)及び座標(X1,Y13-Y14)、
座標(X2,Y2-Y3)及び座標(X2,Y14-Y15)、
座標(X2,Y5-Y6)及び座標(X2,Y11-Y12)、
座標(X2,Y8-Y9)、
座標(X3,Y4-Y5)及び座標(X3,Y12-Y13)、
座標(X3,Y7-Y8)及び座標(X3,Y9-Y10)、
に位置して上下対称に配置されている。
【0037】
また、オンエレメント211aは、
座標(X4,Y1-Y2)及び座標(X4,Y15-Y16)、
座標(X4,Y3-Y4)及び座標(X4,Y13-Y14)、
座標(X4,Y6-Y7)及び座標(X4,Y10-Y11)、
座標(X5,Y4-Y5)及び座標(X5,Y12-Y13)、
座標(X5,Y6-Y7)及び座標(X5,Y10-Y11)、
座標(X5,Y8-Y9)、
座標(X6,Y2-Y3)及び座標(X6,Y14-Y15)、
座標(X6,Y7-Y8)及び座標(X6,Y9-Y10)、
に位置して上下対称に配置されている。
【0038】
さらに、受信アンテナアレイ207の中で図示右半領域のオンエレメント211aは、
座標(X12,Y3-Y4)及び座標(X12,Y13-Y14)、
座標(X11,Y2-Y3)及び座標(X11,Y14-Y15)、
座標(X11,Y5-Y6)及び座標(X11,Y11-Y12)、
座標(X11,Y8-Y9)、
座標(X10,Y4-Y5)及び座標(X10,Y12-Y13)、
座標(X10,Y7-Y8)及び座標(X10,Y9-Y10)、
に位置して上下対称に配置されている。
【0039】
また、オンエレメント211aは、
座標(X9,Y1-Y2)及び座標(X9,Y15-Y16)、
座標(X9,Y3-Y4)及び座標(X9,Y13-Y14)、
座標(X9,Y6-Y7)及び座標(X9,Y10-Y11)、
座標(X8,Y4-Y5)及び座標(X8,Y12-Y13)、
座標(X8,Y6-Y7)及び座標(X8,Y10-Y11)、
座標(X8,Y8-Y9)、
座標(X7,Y2-Y3)及び座標(X7,Y14-Y15)、
座標(X7,Y7-Y8)及び座標(X7,Y9-Y10)、
に位置して上下対称に配置されている。
【0040】
オンエレメント211aのグルーピング方向はY方向を特定方向として構成しており、X方向にはグルーピングされていない。したがって、X方向には、λ/2ピッチで有効エレメントが配置されており、グレーティングローブは原理的に発生しない。なお本実施形態において、X方向は、第2方向、横方向に相当し、Y方向は、第1方向、縦方向に相当する。
【0041】
伝送線路は、一対のオンエレメント211aを接続した接続中央部を受信給電点としており、グルーピングされた一対のオンエレメント211aの位相中心はその接続中央部に位置している。伝送線路は、プリント基板に構成される配線を用いて構成されるが、このとき、ICパッドと一対のオンエレメント211aとを接続する伝送線路の電気的な線路長は、等位相になるよう互いに等長又は互いにp×λ(但し、pは整数)の関係性とすることが望ましい。
【0042】
また
図4に例示したように、オンエレメント211cは受信アンテナアレイ207の中に特定間隔(第2間隔相当)を有するペアで配置されている。単一のオンエレメント211cは、オンエレメント211aがグルーピングされたY方向と同一方向に離間して2つ配置されており、行の中央部を基準として線対称に配置されている。
【0043】
オンエレメント211cは、座標(X6,Y5)、座標(X6,Y12)にて一対に設けられている。オンエレメント211cは、座標(X7,Y5)、座標(X7,Y12)にて一対に設けられている。行Y5と行Y12のオンエレメント211cの間の中心間の距離d1は3.5λとなる。これらの特定間隔の3.5λ離間したオンエレメント211cは、第1のグレーティングローブ発生角度にヌルを発生可能なヌルフィルタ(steerable null filter)として作用する。
【0044】
またオンエレメント211cは、座標(X5,Y1)、座標(X5,Y16)にて一対に設けられている。同様に、オンエレメント211cは、座標(X8,Y1)、座標(X8,Y16)にて一対に設けられている。行Y1と行Y16のオンエレメント211cの間の中心間の距離d2は7.5λとなる。これらの7.5λ離間したオンエレメント211cは、第2のヌルフィルタとして作用する。
【0045】
オンエレメント211cは、座標(X3,Y2)、座標(X3,Y15)にて一対に設けられている。同様にオンエレメント211cは、座標(X10,Y2)、座標(X10,Y15)にて一対に設けられている。隣接するエレメント211a~211cの間の行間距離又は列間距離が0.5λであるため、行Y3と行Y15のオンエレメント211cの間の中心間の距離d3は6.5λとなる。これらの6.5λ離間したオンエレメント211cは、第3のヌルフィルタとして作用する。
【0046】
このように、オンエレメント211cは、単一のエレメントを離間して配置しているが、これらのオンエレメント211cの中心間のY方向距離d1~d3は、特定間隔の(0.5+m)λ(但しmは整数)に設定されている。すなわち、オンエレメント211cは、受信アンテナアレイ207の列中央から線対称で(0.5+m)λの間隔(但し、m=1、2、…)にて配置されている。
【0047】
また、中央部のオンエレメント211a、211cの密度を高めるためには、意図的に、mを3以上とすることが望ましい。mを3以上とすることで、受信アンテナアレイ207の中央部の有効エレメントを密にすることができサイドローブ対策できる。なお
図6では、m=3、6、7の例を示している。さらに、ヌルフィルタの特性を変えるため、受信アンテナアレイ207の中でmの値が互いに異なる条件を満たすオンエレメント211cを複数組設けることが望ましい。グレーティングローブは角度幅を持っているため、グレーティングローブの発生角度近傍に異なる減衰特性を有するヌルフィルタを重ねることで角度幅を有するグレーティングローブ抑圧が可能となる。
【0048】
図5には、列X6、X7のエレメント配置を抜き出して示している。Y方向に隣接する行Y7-Y8のオンエレメント211aには、それぞれ送信TXの移相器12と受信RXの移相器15による位相値が同一値となるように制御される。このため、行Y7-Y8のオンエレメント211aの位相中心は行Y7-Y8の間の中間位置となる。行Y9-Y10のオンエレメント211aにも同様の信号が与えられるため、行Y9-Y10のオンエレメント211aの位相中心は行Y9-Y10の間の中間位置となる。
【0049】
行Y7-Y8、行Y9-Y10のそれぞれのエレメント間距離はλ/2であるため、行Y7-Y8と行Y9-Y10におけるオンエレメント211aの位相中心間隔dはλ/2の2倍のλとなる。メインビーム角を変化させたときの理論的なグレーティングローブ角を算出すると、位相中心間隔dとレーダ波長λとの関係をd=1λで設計した場合と等価なグレーティングローブ発生角度となり、原理的にグレーティングローブを強く発生させてしまう虞がある。
【0050】
これは、移相器12、15の数の削減のためにY方向の隣接エレメントをグルーピングするように設計した弊害により生じている現象であるが、前述したように単一のオンエレメント211cを挟むことで、位相中心間隔dのλ周期性を崩すことができる。これにより、グレーティングローブを数dB程、低減できる。さらに、オンエレメント211cがヌルフィルタ(steerable null filter)として減衰特性を有し、グレーティングローブを追従・抑圧できることが確認されている。
【0051】
言い換えると、隣接した一対のオンエレメント211aは、受信アンテナアレイ207の中でY方向に線対称に配置されているが、そのY方向に位置して当該Y方向両側をオフエレメント211bで挟んだ状態で単一のオンエレメント211cを配置している。このため、隣接したオンエレメント211aを一対にグルーピングしたとしても位相中心の周期性を崩すことができる。
【0052】
Y方向に沿って隣接した一対のオンエレメント211aに離間して単一のオンエレメント211cを配置しているため、オンエレメント211aをグルーピングした時の位相中心間隔の一様性を低減でき、グレーティングローブを追従・抑圧できる。
【0053】
本形態の受信アンテナアレイ207の構成によれば、オンエレメント211aの密度を中央部で高くしつつ四隅で低く配置設計することにより、少ない移相器数で構成できると共にサイドローブ性能を低く抑えることができる。テーパリングの観点でも四隅にオンエレメント211a、211cを無くした設計は有効に作用する。何故なら受信アンテナアレイ207の中央部からの距離が離れているため、テーパリング実現のために、内部の可変利得増幅器14に大きな減衰量が必要になってしまうためである。
【0054】
<送信アンテナアレイ107のオンエレメント111a、111cの配列構造の詳細説明>
次に、
図6及び
図7を参照してオンエレメント111a、111cの配列構造を詳細に説明する。オンエレメント111aは、Y方向に隣接した状態にて一対で電気的に送信部4に接続されるエレメントであり、オンエレメント111cは、Y方向に特定間隔(第1間隔相当)で離間した状態にて一対で電気的に送信部4に接続されるエレメントである。このため、オンエレメント111a、111cに付す符号を分けて示している。
図6及び
図7において、矩形枠を塗りつぶした領域がオンエレメント111aを示しており、孤立したオンエレメント111cにはハッチングを付して示している。また、オフエレメント111bは、実線枠にて示しており内部にハッチングを施していない。
【0055】
図6に示すように、送信TX用のオンエレメント111aも受信RX用のオンエレメント211aと同様に、これらの行の中心部に対して上下対称で、且つ、列の中心部に対して左右対称に配置されている。また、オンエレメント111a、111cは、送信アンテナアレイ107の中心部に対し点対称となるように配置されている。
【0056】
具体的に、送信アンテナアレイ107の中で図示左半領域のオンエレメント111aは、
座標(X1,Y5-Y6)及び座標(X1,Y11-Y12)、
座標(X2,Y4-Y5)及び座標(X2,Y12-Y13)、
座標(X2,Y6-Y7)及び座標(X2,Y10-Y11)、
座標(X2,Y8-Y9)、
座標(X3,Y2-Y3)及び座標(X3,Y14-Y15)、
座標(X3,Y5-Y6)及び座標(X3,Y11-Y12)、
座標(X3,Y8-Y9)、
に位置して上下対称に配置されている。
【0057】
また、オンエレメント111aは、
座標(X4,Y5-Y6)及び座標(X4,Y11-Y12)、
座標(X4,Y7-Y8)及び座標(X4,Y9-Y10)、
座標(X5,Y1-Y2)及び座標(X5,Y15-Y16)、
座標(X5,Y3-Y4)及び座標(X5,Y13-Y14)、
座標(X5,Y8-Y9)、
座標(X6,Y4-Y5)及び座標(X6,Y12-Y13)、
座標(X6,Y6-Y7)及び座標(X6,Y10-Y11)、
座標(X6,Y8-Y9)、
に位置して上下対称に配置されている。
【0058】
さらに、送信アンテナアレイ107の中で図示右半領域のオンエレメント111aは、
座標(X12,Y5-Y6)及び座標(X12,Y11-Y12)、
座標(X11,Y4-Y5)及び座標(X11,Y12-Y13)、
座標(X11,Y6-Y7)及び座標(X11,Y10-Y11)、
座標(X11,Y8-Y9)、
座標(X10,Y2-Y3)及び座標(X10,Y14-Y15)、
座標(X10,Y5-Y6)及び座標(X10,Y11-Y12)、
座標(X10,Y8-Y9)、
に位置して上下対称に配置されている。
【0059】
また、オンエレメント111aは、
座標(X9,Y5-Y6)及び座標(X9,Y11-Y12)、
座標(X9,Y7-Y8)及び座標(X9,Y9-Y10)、
座標(X8,Y1-Y2)及び座標(X8,Y15-Y16)、
座標(X8,Y3-Y4)及び座標(X8,Y13-Y14)、
座標(X8,Y8-Y9)、
座標(X7,Y4-Y5)及び座標(X7,Y12-Y13)、
座標(X7,Y6-Y7)及び座標(X7,Y10-Y11)、
座標(X7,Y8-Y9)、
に位置して上下対称に配置されている。
【0060】
送信TX用のオンエレメント111aのグルーピング方向は、受信RX用のオンエレメント111aと同一方向のY方向となっておりX方向にはグルーピングされていない。したがって、X方向には、理想的なλ/2ピッチで有効エレメントが配置されており、グレーティングローブは原理的に発生しない。
【0061】
グルーピングされた一対のオンエレメント111aの位相中心はその接続中央部に位置している。伝送線路は、プリント配線基板に構成される配線を用いて構成されるが、このとき、ICパッドと一対のオンエレメント111aとを接続する伝送線路の電気的な線路長は、等位相になるよう互いに等長又は互いにp×λ(但し、pは整数)の関係性とすることが望ましい。
【0062】
また
図6に例示したように、オンエレメント111cも送信アンテナアレイ107の中に配置されているが、Y方向にオフエレメント111bに挟まれた状態で一つ孤立して配置されている。単一のオンエレメント111cは、オンエレメント111aがグルーピングされたY方向と同一方向に離間して第1間隔で2つ配置されており、全行の中央部を基準として線対称に配置されている。
【0063】
オンエレメント111cは、座標(X4,Y3)、(X4,Y14)にて一対に設けられている。同様に、オンエレメント111cは、座標(X9,Y3)、(X9,Y14)にて一対に設けられている。行Y3と行Y14のオンエレメント111cの間の中心間の距離d4は5.5λの特定間隔となる。これらの特定間隔の5.5λ離間したオンエレメント111cは、第4のヌルフィルタとして作用する。
【0064】
またオンエレメント111cは、座標(X5,Y6)、座標(X5,Y11)にて一対に設けられている。同様に、オンエレメント111cは、座標(X8,Y6)、座標(X8,Y11)にて一対に設けられている。行Y6と行Y11のオンエレメント111cの間の中心間の距離d5は2.5λの特定間隔となる。これらの2.5λ離間したオンエレメント111cは、第5のヌルフィルタとして作用する。
【0065】
またオンエレメント111cは、座標(X6,Y2)、座標(X6,Y15)にて一対に設けられている。同様に、オンエレメント111cは、座標(X7,Y2)、座標(X6,Y15)にて一対に設けられている。行Y2と行Y15のオンエレメント111cの間の中心間の距離d6は6.5λの特定間隔となる。これらの6.5λ離間したオンエレメント111cは、第6のヌルフィルタとして作用する。
【0066】
このように、オンエレメント111cは、移相器12に電気的に接続される単一のエレメントを離間して配置しているが、これらのオンエレメント111cの中心間のY方向距離d4~d6は、互いに異なる特定間隔の(0.5+m)λ(但しmは整数)になるよう設計している。すなわち、オンエレメント111cは、送信アンテナアレイ107の列中央から線対称で(0.5+m)λの間隔(但し、m=1、2、…)にて配置されている。
【0067】
なお
図6では、m=2、5、6の例を示している。さらに、ヌルフィルタの特性を変えるため、送信アンテナアレイ107の中でmの値が互いに異なる条件を満たすオンエレメント111cを複数組設けることが望ましい。グレーティングローブも角度幅を持っているため、グレーティングローブの発生角度近傍に異なる減衰特性を有するヌルフィルタを重ねることで角度幅を有するグレーティングローブ抑圧が可能となる。
【0068】
図7には、列X6、X7のエレメント配置を抜き出して示している。Y方向に隣接する行Y8-Y9のオンエレメント111aは、それぞれ移相器12による位相値が同一値となるように制御される。このため、行Y8-Y9のオンエレメント111aの位相中心は行Y8-Y9の間の中間位置となる。同様に、Y方向に隣接する行Y4-Y5、Y6-Y7、Y10-Y11、Y12-Y13のオンエレメント111aは、それぞれ移相器12による位相値が同一値となるように制御される。
【0069】
このため、それぞれ行Y4-Y5、Y6-Y7、Y10-Y11、Y12-Y13のオンエレメント111aの位相中心は、それぞれ行Y4-Y5、Y6-Y7、Y10-Y11、Y12-Y13の間の中間位置となる。またY方向、ここでは縦方向にオンエレメント111aを2個ずつグルーピングすることで、移相器数を約半分に削減できる。
【0070】
図6に示すように、送信アンテナアレイ107の中央部付近におけるオンエレメント111a、111cの占有密度を四隅の占有密度よりも高く構成しているため、ランダム配置構成に比較してオンエレメント111a、111cの配置個数を少なくしつつサイドローブレベルを抑圧できる。したがって、オンエレメント111a、111cの配置個数を少なくしながらサイドローブレベルを抑圧できる。
【0071】
また、オフエレメント111bにより挟まれたオンエレメント111cを配置し、オンエレメント111aをグルーピングした後の位相中心の周期性を低減すると共に、オンエレメント111cを特定の間隔d4~d6になるように線対称、点対称に配置することで第4~第6のヌルフィルタを構成でき、グレーティングローブを追従・抑圧できる。
【0072】
オンエレメント111a/オフエレメント111bの設計において中央部側のオンエレメント111aの占有密度を高め四隅の密度を低くすることで、移相制御をより簡単化できることから移相器12の数を削減でき、さらにサイドローブレベルを低減できる。また、隣接したオンエレメント111aをグルーピングすることで、同一の移相器12に対応して複数のオンエレメント111aをまとめて制御できるようになり、移相器12の配置個数を約半分に削減できる。その際に発生するグレーティングローブを必要な全てのスキャン角度において抑圧できる。
【0073】
<アレイの重なり論理和と論理積の解析結果>
以下、送信アンテナアレイ107のオンエレメント、受信アンテナアレイ207のオンエレメントの重なり論理和領域(TX∪RX)、および、重なり論理積(TX∩RX)の重複領域TRを
図8Aに示し、
図8Bに重なり論理和領域(TX∪RX)、重なり論理積領域(TX∩RX)のイメージをベン図により示している。なお、
図8Aの左上図における受信アンテナアレイ207のうち、右斜め方向ハッチングを付したエレメント211cは、シングル・オンエレメントを示しており、塗りつぶしたエレメント211aは、グルーピング・オンエレメントを示している。また、
図8Aの左下図における送信アンテナアレイ107のうち、左斜め方向ハッチングを付したエレメント111cは、シングル・オンエレメントを示しており、塗りつぶしたエレメント111aは、グルーピング・オンエレメントを示している。
【0074】
図8Aの中央図に示すように、送信アンテナアレイ107、受信アンテナアレイ207の二次元的な配置の中で、XY方向にオンエレメント111a、111c、211a、211c、オフエレメント111b、211bを重ね合わせて考慮する。すると、送信アンテナアレイ107、受信アンテナアレイ207の構造を構成する四辺のうち、X方向辺中央、Y方向辺中央を除き、全ての領域にて満遍なくオンエレメント111a、111c、211a又は211cが配置されていることがわかる。全体の中で送信TX、受信RXの何れかのオンエレメント111a、111c、211a又は211cが配置される領域の占める占有割合を85.4%まで増やすことができている。このため、送受ビームパターン合成時のサイドローブ改善を期待できる。なお
図4に示した受信アンテナアレイ207によるベースデザインの有効エレメントの占有割合は60.4%である。言い換えると、本実施形態における送信アンテナアレイ107、受信アンテナアレイ207のオンエレメント111a、111c、211a、211cの配置構造は、送信TX、受信RXの各オンエレメント111a、111c、211a、211cの配置の疎な領域を、オンエレメントとなる領域が連続的になるよう互いに補っていると言える。
【0075】
また全体のアンテナアレイ107、207の中で、送信TX、受信RXのオンエレメントを重ね合わせて一部重複して配置している。
図8Aの右図には、重なり論理積領域(TX∩RX)による重複領域TRのエレメントを塗り潰して図示している。また、送信TX、受信RXのオンエレメント111a、111c、211a、211cを重ね合わせたときに、XY方向中央部で重なり合う重複領域TRの占有密度が他の周囲の領域よりも高くなるように配置されている。
【0076】
以下、シミュレーション結果を説明する。発明者は、オンエレメント111a、111c、211a、211cの配置を最適化したアンテナアレイ107、207の構造についてシミュレーションを行っている。
【0077】
<メインビーム角度をY方向に0°に調整したときのビームパターン特性>
ここでは、前述したアンテナアレイ107、207の構造を採用し、メインビーム角度をY方向に0°に調整したビームパターン特性(横断面図)を説明する。
図9にメインローブレベルのピークにて正規化した場合の送信TX及び受信RXの特性並びに送受信合成スペクトラムを示している。
図9には、送信TX用のオンエレメント111a、111c、及び、受信RX用のオンエレメント211a、211cの重なり解析により最適化することで、送信部4からレーダ波を送信して受信部5により受信するまでのレーダ装置1の全体の合成ビームパターンの解析を行った結果を示している。
【0078】
図9に示すように、送信TX時のスペクトラム、受信RX時のスペクトラムを比較すると、送信TXと受信RXにおいて、各アンテナアレイ107、207のX方向またはY方向の一方向(特に中央部)の有効エレメントの個数を変えることで、サイドローブの個数、ピッチが変化し、送信TX及び受信RXの合成ビームパターン性能において、受信RX又は送信TXの単体のサイドローブのキャンセル効果を強めることができていると言える。これは、
図8Aに示したように、送信TX、受信RXの各オンエレメント111a、111c、211a、211cの配置を相補的になるよう配置設計したことにより、異なる角度にサイドローブを生じさせることができたことによる効果であると考えられる。
【0079】
したがって、送信TX、受信RXのサイドローブ特性を合成すると、サイドローブが互いに相殺できることが判明している。シミュレーション結果において、送信TXと受信RXの合成ビームパターンを考慮すると、レーダ装置1に必要な視野範囲(水平-60°~60°の範囲)において、
図9に示すようにBoresight(正面)の条件におけるH-plane(水平断面)の送受合成ビームパターンのサイドローブレベルを-55dBc未満にまで抑制できることが確認できている。
【0080】
図10には比較例その1の配列構造を示し、
図11には比較例その2の配列構造を示している。比較例その1の配列構造は、受信RX用のオンエレメント211a、211cと同一位置に送信TX用のオンエレメント111a、111cを構成した例を示している。比較例その2の配列構造は、送信TXと受信RXのオンエレメント111a、111c、211a、211cを適当な位置に配置した最適化前の初期パターン構造を示している。
【0081】
図10に示す比較例その1の配列構造によれば、全体の中での送信TX、受信RXのオンエレメント111a、111c、211a、211cが占める占有割合、つまり論理和領域(TX∪RX)のカバー率は単体アレイと同じ60.4%のままであり、本実施形態の
図8Aの構造(カバー率=85.4%)と比較してかなり低い。このため、送信TXと受信RXの合成ビームパターンを考慮してもサイドローブレベルをさらに抑制することを期待できない。サイドローブレベルは受信RXの単独のサイドローブ特性を2倍にした減衰特性とほぼ同様のレベルになり、概ね-30dBc(-15dBc×2)程度に留まる。
【0082】
他方、
図11に示す比較例その2の配列構造によれば、全体の中での送信TX、受信RXのオンエレメント111a、111c、211a、211cが占める論理和領域(TX∪RX)のカバー率は81.3%となっている。送信TX、受信RXのオンエレメント111a、111c、211a、211cの全体が二次元的な配置を補うカバー率は、送信TX又は受信RXのオンエレメント111a、111c、211a、211cの単体が二次元的な配置を補うカバー率(=60.4%)よりも高く設定されている。
【0083】
比較例その2の配列構造は、
図8Aに示す配列構造に比較すれば論理和領域(TX∪RX)のカバー率は低いものの比較例その1に比較してカバー率は高く構成されている。この構造の場合、送信TXと受信RXの合成ビームパターンを考慮すると、サイドローブレベルは-45dBcとシミュレーション結果が得られており、比較例その1の配列構造に比較しても大幅に改善されていることがわかる。すなわち、送信TXと受信RXのオンエレメント111a、111c、211a、211cを互いに補うような配置構造を採用することで、サイドローブレベルを大幅に抑圧できることがわかる。
【0084】
また、比較例その2の配列構造は、
図8Aに示す本実施形態の配列構造に比較すれば、全体の構造の中でも送信TX用、受信RX用共にオフエレメント111b、211bを配置している領域が多くなっており、いわゆる穴も存在している。また、XY方向中央部が疎となっている。このため、本実施形態の
図8Aに示す構造を採用することで、互いに補い合う領域を増すことができ、この結果、よりサイドローブレベルを抑圧できていると考えられる。
【0085】
また前述の内容を詳細に説明する。一般的に、N×N URA(Uniform Rectangular Array)では、N?2個のサイドローブが発生する。本実施形態のアレイは、URAとは異なりオンオフ設計で移相器数が削減されているものの、
図9において、サイドローブ数はN-2の理想計算値と同じ数だけ確認できる。詳細を以下に説明する。
【0086】
本実施形態の送信アンテナアレイ107、受信アンテナアレイ207に関し、中央部はどちらも有効エレメントの密度が高く設計されている。ここで、Y方向中央付近の受信アンテナアレイ207のX方向有効エレメントは8個 (NRX=8) 配置されている。他方、受信アンテナアレイ207をベースに相補的に設計した送信アンテナアレイ107のY方向中央領域の有効エレメントはX方向に10個(NRX=10) 配置されている。このように、送受サイドローブの個数およびピッチに変化させ送受サイドローブのキャンセル効果を強めるために、有効エレメントの配置個数が送信アンテナアレイ107と受信アンテナアレイ207とで異なるようにすることが望ましい。
【0087】
受信アンテナアレイ207のオフエレメント211bの配置領域に送信アンテナアレイ107のオンエレメント111a、111cが配置されていることは
図8Aから把握できることである。
【0088】
また
図9に示すシミュレーション結果によれば、送信アンテナアレイ107のサイドローブは8個(N
TX-2=10-2=8)、受信アンテナアレイ207のサイドローブは6個(N
RX-2=8-2=6)のサイドローブピークを確認できる。
【0089】
オンエレメント111a、111c、211a、211cの配置の論理和領域が最大となるように、送信アンテナアレイ107と受信アンテナアレイ207とで相補的に配置個数を異ならせることで、サイドローブピーク角度とヌル角度のずれが生じ、送受合成ビームパターンのサイドローブ改善が得られていると言える。結果的に、水平断面のBoresight(正面)の条件で送受合成ビームパターン解析にて、同一のアレイ配置を用いるよりも強く、-55dBc以下にサイドローブを抑圧できることを確認できている。
【0090】
<メインビーム角度をY方向に17.5°に調整したときの特性>
また
図12は、移相器12、15の位相値φを移相制御することでメインビーム角度をY方向(縦方向)に17.5°に調整したときのアンテナアレイ107、207の送信特性、受信特性を図示したものである。従来、縦方向17.5°にビームを操作した際には、ヌルフィルタを用いない従来のグルーピング手法ではグレーティングローブが-43°付近に発生する。しかし本実施形態に示すアレイ構造を採用すると、特定間隔に配置したシングル・オンエレメント111c、211cの各ペアによるヌルフィルタの作用により、グレーティングローブがキャンセルされていることが判明している。
図12中の中央に示すY方向17.5°のメインローブのレベルを基準とすると、送信TX及び受信RXの送受ビームパターンの合成により、斜め下左右のオフアクシス(ビーム走査方向と関係しない斜めの領域)のサイドローブのピークレベルSLpeakは-31.3dBcと観測されている。
【0091】
図13は、比較例その1において
図12と同一条件下の送信特性、受信特性を図示したものである。比較例その1は送受同一配列とした場合の送受信特性を図示している。
図13中の中央に示すY方向17.5°のメインローブのレベルを基準とすると、サイドローブのピークレベルSLpeakは-24.7dBcと観測されている。
【0092】
なお、ここでは図示していないが、比較例その2の構造においては、Y方向17.5°のメインローブのレベルを基準とするとサイドローブのピークレベルSLpeakは-27.5dBc、すなわち4dB劣化と観測されている。これは、
図11において、重なり論理和領域(TX∪RX)の有効エレメントの中央部から斜め方向に送信TX、受信RX共にオフエレメント111b、211bとなる部分が散在していることが比較例2の構造における性能劣化の原因と考えられる。
【0093】
本実施形態に係る
図8Aに示す構造を、比較例その2の
図11に示す構造と比較すれば理解できるように、送信アンテナアレイ107のオンエレメント111a、111c、及び、受信アンテナアレイ207のオンエレメント211a、211cの配置位置を重ねたときに重複する重複領域TR(すなわちどちらも“1”であるエレメント位置)は、二次元的な配置のXY方向中央部から斜め方向に放射状に連続的に設けられることが望ましい。
図8Aに示す放射状の線A参照。
【0094】
また送信アンテナアレイ107のオンエレメント111a、111c、及び、受信アンテナアレイ207のオンエレメント211a、211cの配置位置を重ねたときに重複される重複領域TRは、二次元的な配置の中央部を中心とした波紋状、同心円状、又は、同心楕円状に設けられていると良い。
図8Aに示す同心円状、楕円状の線B参照。これにより、斜め方向に発生するサイドローブを含めて、より強くサイドローブ改善効果が得られる。
【0095】
サイドローブレベルが強く残留してしまうと、車両用途のレーダ装置1の場合、本来検出すべきメインビームを前方方向に調整すると、例えば、路面に落ちた落下物からの反射や、横を通過するトレーラーからの反射等の影響を強く受けやすくなり、受信信号に干渉してしまう。このため、サイドローブレベルを抑圧することで、レーダ装置1に適用したときでも路面からの反射の影響を抑制でき誤検知を防止できる。
【0096】
<まとめ>
本実施形態によれば、送信アンテナアレイ107及び受信アンテナアレイ207のオンエレメント111a、111c、211a、211cの占有密度が、中央部で高くされると共に四隅で低くするように二次元的に配列されているため、二次元的な配列の中の全体にオンエレメント111a、111c、211a、211cをランダムに配置した構成に比較してオンエレメント111a、111c、211a、211cの個数を少なくでき、当該オンエレメント111a、111c、211a、211cに電気的に接続される移相器12、15の個数を少なくできる。
【0097】
また、本実施形態によれば、送信アンテナアレイ107のオンエレメント111a、111c、及び、受信アンテナアレイ207のオンエレメント211a、211cは、二次元的な配列の中央部から四隅にかけて互いの配置が補われるように配置されているため、例えばY方向角度が0°から17.5°を満たす角度範囲において送信ビーム角及び受信ビーム角に追従してサイドローブレベルを抑圧できる。
【0098】
さらに、オンエレメント111a、111c、211a、211cの密度を中央部で高くしつつ四隅で低くしているため、不要なサイドローブ等の発生を抑圧できる。二次元配列に埋め込んだ第1~第6のヌルフィルタを用いることで、グレーティングローブ角度を追従且つ抑圧できる。
【0099】
送信アンテナアレイ107のオンエレメント111a、111c、及び、受信アンテナアレイ207のオンエレメント211a、211cの全体が二次元的な配置を補うカバー率は、送信アンテナアレイ107のオンエレメント111a、111c、又は受信アンテナアレイ207のオンエレメント211a、211cの単体が二次元的な配置を補うカバー率よりも高く設定されているため、互いに補うような配列を有するデザインにより、さらなるサイドローブ改善効果を得られる。
【0100】
送信アンテナアレイ107の一対のオンエレメント111c、及び、受信アンテナアレイ207の一対のオンエレメント211cは、複数組設けられており、少なくとも一組以上の一対のオンエレメント111c及び一対のオンエレメント211cは、互いに異なる特定の間隔d1~d6で配置されているため、相補的且つオンエレメントのカバー率を高めた設計が可能となる。それぞれ複数組設けた形態を説明したが、これに限定されるものではなく、送信アンテナアレイ107の一対のオンエレメント111c、及び、受信アンテナアレイ207の一対のオンエレメント211cは、一組以上設けられていれば良い。
【0101】
さらに、本実施形態によれば、互いに異なる特徴を持つ第1~第6のヌルフィルタの特性を送信TX、受信RXで組み合わせることでフィルタ特性を強めることができ、送信アンテナアレイ107及び受信アンテナアレイ207によるゲイン合成を総合的に考慮した場合に、より強くグレーティングローブを抑圧できる。
【0102】
(他の実施形態)
上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。オンエレメント111a、111c、211a、211cの形状を、四角形以外の形状、例えば八角形などの多角形の形状に構成しても良い。また、オンエレメント111a、111c、211a、211cの形状を互いに異なる形状としても良い。
【0103】
オンエレメント111a、111c、211a、211cは、その座標中心が二次元的な格子点配列のうちの少なくとも一部に所定の周期で規則的に配置された形態を示したが、これに限定されるものではなく、配置された位置の座標中心が格子点の位置からその座標が二次元的に格子点配列の中心から上、下、左又は右にシフト配列されていても良い。なおオンエレメント111c、211cは、格子点配列の中心位置に固定して配置すると良い。
【0104】
グルーピング・オンエレメント111a、211aをY方向、すなわち縦方向に2個グルーピングした形態を説明したが、これに限られるものではない。オンエレメント111a、211aをX方向、すなわち横方向に2個グルーピングして構成しても良い。また、単一のオンエレメント111c、211cをグルーピングと同じY方向、すなわち縦方向に離間して2個配置した形態を説明したが、これに限られるものではない。オンエレメント111c、211cをY方向に異なる特定間隔を有し、かつX軸に対称な2種類のシングルエレメントのペアで合計4以上シングルエレメントを配置しても良い。
【0105】
本発明は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本発明は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0106】
図面中、107は送信アンテナアレイ(高周波装置用アンテナアレイ)、207は受信アンテナアレイ(高周波装置用アンテナアレイ)、111aは送信アンテナアレイのオンエレメント(有効エレメント、第1グルーピング・オンエレメント)、111cは送信アンテナアレイのオンエレメント(有効エレメント、第1シングル・オンエレメント)、211aは受信アンテナアレイのオンエレメント(有効エレメント、第2グルーピング・オンエレメント)、211cは受信アンテナアレイのオンエレメント(有効エレメント、第2シングル・オンエレメント)、111bは送信アンテナアレイのダミーエレメント、211bは受信アンテナアレイのダミーエレメント、12、15は移相器、TR、TX∩RXは重複領域(論理積領域)、TX∪RXは論理和領域を示す。