(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177039
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】発光装置、表示装置、およびLED表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/32 20160101AFI20231206BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20231206BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20231206BHJP
H05B 45/32 20200101ALI20231206BHJP
H05B 45/44 20200101ALI20231206BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231206BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20231206BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G09G3/32 A
H05B45/10
H05B45/20
H05B45/32
H05B45/44
G09G3/20 670E
G09G3/34 J
G09G3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089726
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】宮田 英利
【テーマコード(参考)】
3K273
5C006
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
3K273AA05
3K273BA20
3K273BA30
3K273CA02
3K273CA10
3K273CA12
3K273CA13
3K273CA14
3K273CA28
3K273FA03
3K273FA04
3K273FA14
3K273FA30
3K273FA33
3K273FA40
5C006AF69
5C006BB15
5C006EA01
5C006FA31
5C080AA07
5C080BB05
5C080DD09
5C080FF10
5C080HH13
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C380AA03
5C380AB05
5C380AB35
5C380BA08
5C380BA10
5C380BA32
5C380BC18
5C380CA53
5C380CF41
(57)【要約】
【課題】非点灯にされるべきLEDがアノードラインALの電圧の変化に起因して微点灯する異常点灯の発生を抑制することのできる発光装置を実現する。
【解決手段】各アノードラインALに対応して設けられたアノードライン制御回路に、アノードラインALへの電源電圧VLEDの供給を制御する第1スイッチング素子441の制御端子に接続された第1抵抗器R1と、アノードラインALに一端が接続された第2抵抗器R2に直列に接続された第2スイッチング素子442とが設けられる。第1スイッチング素子441がオフ状態からオン状態へと変化する時点には、当該第1スイッチング素子441に接続されたアノードラインAL以外のアノードラインALに対応する第2スイッチング素子442はオフ状態で維持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを光源とする発光装置であって、
それぞれが1または複数のLEDからなるLEDユニットであって、複数のブロックに区分された複数のLEDユニットと、
前記複数のブロックと1対1で対応するように設けられ、対応するブロックに含まれているLEDユニットの上流端に接続された複数の電源ラインと、
前記複数のLEDユニットがブロック毎に駆動されるよう、LED駆動用の電源電圧の供給先を前記複数の電源ラインの間で切り替えるスイッチング回路と、
それぞれが前記複数のブロックの数に等しい数のLEDユニットの下流端に接続された複数の点灯制御ラインと、
前記複数のLEDユニットのそれぞれに含まれているLEDに供給される電流を制御する、前記複数の点灯制御ラインに接続されたLED駆動回路と
を備え、
前記スイッチング回路は、前記複数の電源ラインと1対1で対応するように設けられた複数の電源ライン制御回路を含み、
各電源ライン制御回路は、
制御端子と、前記電源電圧が与えられる第1導通端子と、対応する電源ラインに接続された第2導通端子とを有する第1スイッチング素子と、
一端に第1制御信号が与えられ、他端が前記第1スイッチング素子の制御端子に接続された第1抵抗器と、
第2制御信号が与えられる制御端子と、第1導通端子と、所定の電位が与えられる第2導通端子とを有する第2スイッチング素子と、
一端が対応する電源ラインに接続され、他端が前記第2スイッチング素子の第1導通端子に接続された第2抵抗器と
を含み、
連続して前記電源電圧が供給される2本の電源ラインのうち先に前記電源電圧が供給される電源ラインを第1着目電源ラインと定義し、前記2本の電源ラインのうち後で前記電源電圧が供給される電源ラインを第2着目電源ラインと定義すると、前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点には、前記第2着目電源ライン以外の複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子は前記第2制御信号に基づいてオフ状態で維持されていることを特徴とする、発光装置。
【請求項2】
前記電源電圧の供給先が前記第1着目電源ラインから前記第2着目電源ラインに切り替わる際、前記第1着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化した時点から前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点までの期間に、前記第2着目電源ライン以外の複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化し、前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化した時点よりも後の期間に、前記第2着目電源ライン以外の複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいて順次にオフ状態からオン状態へと変化することを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記電源電圧の供給先が前記第1着目電源ラインから前記第2着目電源ラインに切り替わる際、前記第1着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化した時点から前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点までの期間に、前記第1着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化した後に前記複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化し、前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化した時点よりも後の期間に、前記第2着目電源ライン以外の複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいて順次にオフ状態からオン状態へと変化し、
前記第2着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子は、前記第2着目電源ラインに前記電源電圧が供給されている期間には、前記第2制御信号に基づいてオフ状態で維持されることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記電源電圧の供給先が前記第1着目電源ラインから前記第2着目電源ラインに切り替わる際、前記第1着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化する時点よりも前の期間に、前記第1着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化し、前記第1着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化した時点から前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点までの期間に、前記第1着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化し、
前記第1着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子は、前記電源電圧の供給先が前記第1着目電源ラインから前記第2着目電源ラインに切り替わる際の所定期間を除く期間には、前記第2制御信号に基づいてオフ状態で維持されることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記スイッチング回路は、前記複数の電源ライン制御回路と1対1で対応するように設けられた複数の調整回路を含み、
各調整回路は、1つの調整信号に基づいて、対応する電源ライン制御回路に与える前記第1制御信号および前記第2制御信号を生成することを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
各調整回路は、
前記調整信号を予め定められた長さの第1時間だけ遅延させた信号を出力する第1遅延回路と、
前記調整信号の論理反転信号を出力する第1否定回路と、
前記第1遅延回路から出力された信号と前記第1否定回路から出力された信号との論理積を表す信号を出力する論理積回路と、
前記論理積回路から出力された信号を予め定められた長さの第2時間だけ遅延させた信号を前記第2制御信号として出力する第2遅延回路と、
前記第1遅延回路から出力された信号の論理反転信号を前記第1制御信号として出力する第2否定回路と
を含むことを特徴とする、請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
画像を表示する表示部を有する表示パネルと、
前記表示部に光が照射されるよう前記表示パネルの背面に設けられた請求項1から6までのいずれか1項に記載の発光装置と
を備えることを特徴とする、表示装置。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の発光装置からなり、
前記複数のLEDユニットは、発光色によってK種類に分類され、
各絵素が前記K種類のLEDユニットによって構成されることを特徴とする、LED表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、LEDを光源とする発光装置、その発光装置をバックライトに用いた表示装置、およびその発光装置からなるLED表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型の液晶表示装置においては、画像を表示するために、表示部(液晶パネル)の背面から光を照射するバックライト(発光装置)が必要とされる。バックライトの光源には、従来、CCFLと呼ばれる冷陰極管が多く採用されていた。しかしながら、近年、消費電力の低さや輝度制御の容易さなどの観点からLED(発光ダイオード)の採用が増加している。
【0003】
上述のような液晶表示装置に関し、低消費電力化を図るために、画面を論理的に複数のエリアに分割してエリア毎にLEDの輝度(発光強度)を制御する「ローカルディミング」と呼ばれる技術が開発されている。ローカルディミングによれば、各LEDの輝度は、例えば、対応するエリアに含まれる画素の入力階調値の最大値や平均値などに基づいて決定される。このようにして、各LEDは、対応するエリア内の入力画像に応じた輝度で点灯する。
【0004】
ところで、近年、「ミニLED」と呼ばれるLEDや「マイクロLED」と呼ばれるLEDなど従来のLEDに比べて極めて微小なサイズのLEDの開発が盛んとなっている。そして、そのような微小なサイズのLEDを用いてローカルディミングを行うバックライトを採用することで表示装置の表示領域を多分割化することが期待されている。しかしながら、LEDをエリア毎に駆動しようとすると、配線数が膨大になる。そこで、LED基板に搭載されているLEDを複数のブロックに区分して時分割でブロック毎にLEDを駆動する「パッシブ駆動(時分割駆動)」と呼ばれる手法が提案されている。
【0005】
図27は、パッシブ駆動を行うバックライトの一構成例を示す概略回路図である。なお、ここでは、16個(縦4×横4)のエリアが存在して各エリアに1個のLED952が設けられているケースに着目する。
図27に示すバックライトは、LED駆動回路930とスイッチング回路940と照明部950とLED電源960とを含んでいる。LED電源960は、LED駆動用の電源電圧を供給する。LED駆動回路930は、4つの出力を有しており、各出力に対応して定電流源932とスイッチ934とが設けられている。照明部950には、エリア毎に1個のLED952が設けられている。
図27の照明部950における1つの行が1つのブロックに相当する。すなわち、この例では、4つのブロックが存在する。
【0006】
以上のような構成において、スイッチング回路940は、1点灯期間(各LED952が点灯可能状態となる周期に相当する長さの期間)に電源電圧の供給先を時分割で4つのブロックの間で切り替える。すなわち、パッシブ駆動においては、1点灯期間が複数のサブ点灯期間に分割され、各サブ点灯期間にそれに対応するブロック(行)のLED952が点灯する。この例では、1点灯期間は
図28に示すように4つのサブ点灯期間T91~T94に分割され、1ブロックずつLED952が点灯する。なお、実際には、1点灯期間が複数のサブ点灯期間に分割される場合のLEDの駆動単位は、1行毎には限定されない。複数行毎にLEDが駆動される場合や、例えば左右に分割されたエリア単位でLEDが駆動される場合もある。以上のようなパッシブ駆動を採用することによってエリア分割数の増大が図られている。
【0007】
ところが、パッシブ駆動が採用されている場合に、非点灯のはずのLEDが微点灯する(すなわち、誤点灯が発生する)ことがあり、これについて以下に説明する。例えば、複数個のLEDがマトリクス状に配置されていて、1つの行が1つのブロックに相当し、それら複数個のLEDを駆動するLED駆動回路の1つの出力は1列分のLEDに接続されているものと仮定する(
図27参照)。また、LED基板を平面視した状態における上方から下方へとブロック毎(行毎)にLEDが駆動されるものと仮定する。そのようなケースにおいて、或る1つのLEDのみが点灯して他のLEDが非点灯となるような駆動が行われたときに、点灯対象のLEDと同じ列に位置するLEDであって点灯対象のLEDよりも上方に位置するLEDが微点灯することがある。以下、本明細書では、この現象を便宜上「第1タイプの異常点灯」という。
【0008】
この第1タイプの異常点灯の発生を防止する技術が米国特許出願公開第2020/0257167号に開示されている。その技術によれば、各ブロックに含まれるLEDの点灯可能期間(各ブロックに対応するサブ点灯期間)の終了後に当該各ブロックに含まれるLEDのアノード電圧が速やかに低下するよう、バックライトには各ブロックに対応する放電制御回路が設けられる。
【0009】
また、特開2004-46088号公報にも、誤点灯の発生を防止する技術が開示されている。その技術によれば、残留電荷を駆動状態において充電用素子から接地端に放電する放電経路を有する誤点灯防止回路がLED表示装置に設けられる。これにより、或るLEDの点灯可能期間に当該LEDが非点灯とされるべき場合に残留電荷に起因して当該LEDが点灯することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0257167号明細書
【特許文献2】特開2004-46088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
米国特許出願公開第2020/0257167号に開示された技術によれば、第1タイプの異常点灯の発生を防止することはできる。しかしながら、例えば上述したようなケース(
図27および
図28を参照)において、非点灯にされるべき或るLED(以下、「着目LED」という。)が、着目LEDと同じ列に点灯対象のLEDが存在するか否かに関わらず、アノードライン(LEDのアノードに接続されたライン)の電圧の変化に起因して微点灯することがある。以下、本明細書では、この現象を便宜上「第2タイプの異常点灯」という。
【0012】
第2タイプの異常点灯について説明する。ここでは、1つの行が1つのブロックに対応するように4行分のLEDが4つのブロックに区分され、電源電圧(LED駆動用の電源電圧)VLEDの供給先を4つのブロックの間で切り替えるためのスイッチング回路90と1列分のLED9(1)~9(4)とからなる部分の構成が
図29に示すような構成であるケースに着目する。
図29に示す例では、スイッチング回路90には、各ブロック(各アノードラインAL)に対応するようにFET901と抵抗器Rとが設けられている。FET901については、制御信号Sに基づいてオン状態とオフ状態との切り替えが行われる。制御信号S(1)~S(4)に基づき4つのFET901(1)~901(4)が順次に所定期間ずつオン状態となることによって、1~4行目のLED9(1)~9(4)が順次に所定期間ずつ点灯可能状態となる。
【0013】
図30に、着目LEDのアノード電圧(着目LEDに接続されたアノードラインの電圧)V_ALと当該着目LEDからの光を受けたフォトダイオードの電圧V_PDの波形を示している。フォトダイオードの電圧V_PDの値が低くなっている期間T9が、着目LEDが点灯している期間である。
図30から、着目LEDのアノード電圧V_ALが上昇した際に着目LEDが点灯していることが把握される。
【0014】
図29に示した構成に関し、FET901(1)がオン状態である時、アノードラインAL(1)に電源電圧VLEDが印加され、LED駆動回路91の出力設定に応じた電流がLED9(1)に流れる。但し、LED駆動回路91の出力設定が非点灯であれば、理想的には、LED9(1)には電流は流れず、LED9(1)は点灯しない。FET901(1)がオン状態からオフ状態へと変化すると、抵抗器R(1)に電荷の流れが生じ、アノードラインAL(1)の電圧が低下する。これにより、LED駆動回路91の出力設定に関わらず、LED9(1)には電流が流れなくなる。
【0015】
LED9(1)に関してLED駆動回路91の出力設定が非点灯である時には、LED9(1)のカソードとLED駆動回路91とは電気的に切り離された状態となる。それ故、アノードラインAL(1)に電源電圧VLEDが印加されていても、上述したように理想的にはLED9(1)は点灯しない。
【0016】
ところで、パッシブ駆動が採用されていない場合(
図31に示した構成によりLEDが1つずつ駆動される場合)には、第2タイプの異常点灯は発生しない。
図32に、パッシブ駆動が採用されていない場合の
図31のLED9aに流れる電流Idと当該LED9aのアノード電圧V_ALの波形を示している。
図32から、LED9aのアノード電圧V_ALの変化に関わらず電流Idが0で維持されていることが把握される。
【0017】
パッシブ駆動が採用されている場合(但し、
図29に示した構成が採用されていると仮定する)、例えばFET901(1)がオン状態で維持されてアノードラインAL(1)に電源電圧VLEDが印加されている期間には、
図29に示した1列分のLEDに関して、LED9(1)以外のLED9(2)~9(4)には電流が流れない。このとき、LED9(2)~9(4)は、コンデンサと同様の性質(素子の両端に電荷を保持する性質)を有することになる。また、FET901の各端子間には寄生容量が存在する。ここで、1行目のLEDが上述した着目LED(非点灯にされるべきLED)であるとすると、着目LEDに流れる電流Id1と着目LEDのアノード電圧V_AL(1)の波形は、
図33に示すようなものとなる。
図33で符号97を付した部分から、アノード電圧V_AL(1)が上昇する時にその電圧変動に起因して着目LEDに僅かに電流が流れることが把握される。
図34は、
図33で符号97を付した部分の拡大図である。着目LEDに流れる電流Id1の値は、アノード電圧V_AL(1)の立ち上がり時に上昇した後、徐々に低下している。例えば、着目LEDに流れる電流Id1のピーク値は約1mAであって、当該電流Id1が1mAから0mAにまで低下するのに1~2マイクロ秒を要する。但し、着目LED(LED9(1))に流れる電流Id1の大きさは、LED9(2)~9(4)の容量成分の容量値によって変化する。以下、非点灯にされるべきLEDに不必要に流れる電流のことを「不要電流」ということもある。
【0018】
上記のような不要電流が生じる理由は、次のとおりである。上記の例におけるLED9(1)(着目LED)は非点灯にされるべきLEDであるので、アノードラインAL(1)に電源電圧VLEDが印加されても、着目LEDのカソードとLED駆動回路91とは電気的に切り離された状態となり、LED駆動回路91には電流は流れない。それ故、LED9(2)~9(4)の容量成分に電荷が蓄積される。これに関し、アノード電圧V_AL(1)の上昇の程度に応じてLED9(2)~9(4)のカソード側に電荷が蓄積され、それとは正負が逆の電荷がLED9(2)~9(4)のアノード側に蓄積される。これに伴い、FET901(2)~901(4)の寄生容量にも電荷が蓄積される。アノードラインAL(2)~AL(4)は、それぞれ、抵抗器R(2)~R(4)を介してグラウンドに接続されている。以上より、アノード電圧V_AL(1)の立ち上がり時にLED(1)に電流が流れ、当該LED(1)が非点灯にされるべきであるにも関わらず微点灯する。また、LED9(1)には、アノードラインAL(2)~AL(4)の電圧変動に起因する僅かな電流も流れる。このことも、LED9(1)が微点灯する一因となっている。
【0019】
図35に、1行目のLEDが上述した着目LED(非点灯にされるべきLED)である現実的なケースにおける着目LEDに流れる電流Id1および1~n行目のLEDのアノード電圧V_AL(1)~V_AL(n)の波形を示している。
図35で符号99a,99bを付した部分から把握されるように、アノード電圧V_AL(1)の立ち上がり時に着目LEDに電流が流れている。このときの電流などの具体的な値の例は以下のとおりである。LEDの順方向電圧は2.8Vであり、LEDの順方向電流は9mAである。抵抗器Rの抵抗値は1~10kΩである。アノードラインの電圧降下に要する時間は、抵抗器Rの抵抗値が1kΩである場合には数十マイクロ秒であり、抵抗器Rの抵抗値が10kΩである場合には数百マイクロ秒である。着目LEDには、1~2マイクロ秒の期間、約1.5mAの電流が流れる。2~n行目のLEDが上述した着目LED(非点灯にされるべきLED)である場合についても同様である。
【0020】
米国特許出願公開第2020/0257167号の第1の実施形態(特に、Fig.6およびFig.10を参照)に着目すると、アノードライン(電源ラインPL)に蓄積された電荷はFig.6のスイッチ444がオン状態になることによって放電される。従って、Fig.6のスイッチ444がオフ状態からオン状態へと変化することによってアノードラインの電圧が低下する。これに関し、例えば或る1列分の全てのLEDが非点灯とされるべき場合において、或るアノードラインの電圧の低下によって、別のアノードラインに接続されたLEDに僅かな電流が流れることがある。ところで、米国特許出願公開第2020/0257167号のFig.10の各波形は、実際には
図36に示すようなものとなる。なお、
図36には、1行目のLEDに流れる電流Id1の波形を付加している。
図36から、1行目のアノードラインの電圧V(PL1)の立ち上がり時および2~4行目のアノードラインの電圧V(PL2)~V(PL4)の立ち下がり時に1行目のLEDに電流が流れることが把握される。以上のように、非点灯にされるべきLEDが微点灯することがある。米国特許出願公開第2020/0257167号の第2の実施形態(特に、Fig.12およびFig.13を参照)についても、同様にして、非点灯にされるべきLEDが微点灯することがある。
【0021】
以上のように、パッシブ駆動が採用されている場合には、上述した第2タイプの異常点灯が発生し得る。
【0022】
また、特開2004-46088号公報に開示された技術によれば、アノード電圧を低下させる際にコンデンサ(充放電経路に設けられたコンデンサ:特開2004-46088号公報の
図12において符号C1を付されたコンデンサ)への充電が行われることにより、アノード電圧の低下に要する時間が長くなる。それ故、例えば駆動対象のLEDが1行目のLEDから2行目のLEDへと切り替わった際に、2行目のLEDの点灯可能期間の開始直後に1行目のLEDのアノード電圧が十分に低下していないことに起因して1行目のLEDが誤点灯することがある。また、アノード電圧を上昇させる際にコンデンサの電荷の放電が行われるが、そのような動作は、上述した第2タイプの異常点灯の発生の防止には何ら寄与しない。
【0023】
以上のような状況に鑑み、以下の開示は、非点灯にされるべきLEDがアノードラインの電圧の変化に起因して微点灯する異常点灯の発生を抑制することのできる発光装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
(1)本発明のいくつかの実施形態による発光装置は、LEDを光源とする発光装置であって、
それぞれが1または複数のLEDからなるLEDユニットであって、複数のブロックに区分された複数のLEDユニットと、
前記複数のブロックと1対1で対応するように設けられ、対応するブロックに含まれているLEDユニットの上流端に接続された複数の電源ラインと、
前記複数のLEDユニットがブロック毎に駆動されるよう、LED駆動用の電源電圧の供給先を前記複数の電源ラインの間で切り替えるスイッチング回路と、
それぞれが前記複数のブロックの数に等しい数のLEDユニットの下流端に接続された複数の点灯制御ラインと、
前記複数のLEDユニットのそれぞれに含まれているLEDに供給される電流を制御する、前記複数の点灯制御ラインに接続されたLED駆動回路と
を備え、
前記スイッチング回路は、前記複数の電源ラインと1対1で対応するように設けられた複数の電源ライン制御回路を含み、
各電源ライン制御回路は、
制御端子と、前記電源電圧が与えられる第1導通端子と、対応する電源ラインに接続された第2導通端子とを有する第1スイッチング素子と、
一端に第1制御信号が与えられ、他端が前記第1スイッチング素子の制御端子に接続された第1抵抗器と、
第2制御信号が与えられる制御端子と、第1導通端子と、所定の電位が与えられる第2導通端子とを有する第2スイッチング素子と、
一端が対応する電源ラインに接続され、他端が前記第2スイッチング素子の第1導通端子に接続された第2抵抗器と
を含み、
連続して前記電源電圧が供給される2本の電源ラインのうち先に前記電源電圧が供給される電源ラインを第1着目電源ラインと定義し、前記2本の電源ラインのうち後で前記電源電圧が供給される電源ラインを第2着目電源ラインと定義すると、前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点には、前記第2着目電源ライン以外の複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子は前記第2制御信号に基づいてオフ状態で維持されている。
【0025】
(2)また、本発明のいくつかの実施形態による発光装置は、上記(1)の構成を含み、
前記電源電圧の供給先が前記第1着目電源ラインから前記第2着目電源ラインに切り替わる際、前記第1着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化した時点から前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点までの期間に、前記第2着目電源ライン以外の複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化し、前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化した時点よりも後の期間に、前記第2着目電源ライン以外の複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいて順次にオフ状態からオン状態へと変化する。
【0026】
(3)また、本発明のいくつかの実施形態による発光装置は、上記(1)の構成を含み、
前記電源電圧の供給先が前記第1着目電源ラインから前記第2着目電源ラインに切り替わる際、前記第1着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化した時点から前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点までの期間に、前記第1着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化した後に前記複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化し、前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化した時点よりも後の期間に、前記第2着目電源ライン以外の複数の電源ラインのそれぞれに対応する複数の前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいて順次にオフ状態からオン状態へと変化し、
前記第2着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子は、前記第2着目電源ラインに前記電源電圧が供給されている期間には、前記第2制御信号に基づいてオフ状態で維持される。
【0027】
(4)また、本発明のいくつかの実施形態による発光装置は、上記(1)の構成を含み、
前記電源電圧の供給先が前記第1着目電源ラインから前記第2着目電源ラインに切り替わる際、前記第1着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化する時点よりも前の期間に、前記第1着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化し、前記第1着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化した時点から前記第2着目電源ラインに対応する前記第1スイッチング素子が前記第1制御信号に基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点までの期間に、前記第1着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子が前記第2制御信号に基づいてオン状態からオフ状態へと変化し、
前記第1着目電源ラインに対応する前記第2スイッチング素子は、前記電源電圧の供給先が前記第1着目電源ラインから前記第2着目電源ラインに切り替わる際の所定期間を除く期間には、前記第2制御信号に基づいてオフ状態で維持される。
【0028】
(5)また、本発明のいくつかの実施形態による発光装置は、上記(1)の構成を含み、
前記スイッチング回路は、前記複数の電源ライン制御回路と1対1で対応するように設けられた複数の調整回路を含み、
各調整回路は、1つの調整信号に基づいて、対応する電源ライン制御回路に与える前記第1制御信号および前記第2制御信号を生成することを特徴とする。
【0029】
(6)また、本発明のいくつかの実施形態による発光装置は、上記(5)の構成を含み、
各調整回路は、
前記調整信号を予め定められた長さの第1時間だけ遅延させた信号を出力する第1遅延回路と、
前記調整信号の論理反転信号を出力する第1否定回路と、
前記第1遅延回路から出力された信号と前記第1否定回路から出力された信号との論理積を表す信号を出力する論理積回路と、
前記論理積回路から出力された信号を予め定められた長さの第2時間だけ遅延させた信号を前記第2制御信号として出力する第2遅延回路と、
前記第1遅延回路から出力された信号の論理反転信号を前記第1制御信号として出力する第2否定回路と
を含む。
【0030】
(7)また、本発明のいくつかの実施形態による表示装置は、
画像を表示する表示部を有する表示パネルと、
前記表示部に光が照射されるよう前記表示パネルの背面に設けられた上記(1)から(6)までのいずれかの構成を含む発光装置と
を備える。
【0031】
(8)また、本発明のいくつかの実施形態によるLED表示装置は、上記(1)から(6)までのいずれかの構成を含む発光装置からなり、
前記複数のLEDユニットは、発光色によってK種類に分類され、
各絵素が前記K種類のLEDユニットによって構成される。
【発明の効果】
【0032】
本発明のいくつかの実施形態による発光装置によれば、LED駆動用の電源電圧の供給先を複数の電源ラインの間で切り替えるスイッチング回路は複数の電源ラインと1対1で対応するように設けられた複数の電源ライン制御回路からなり、各電源ライン制御回路には、対応する電源ラインと所定の電位が与えられている配線との間の電気的な接続状態を制御するスイッチとして機能する第2スイッチング素子が設けられている。そして、電源ラインへの電源電圧の供給を制御する第1スイッチング素子がオフ状態からオン状態へと変化する時点には、当該第1スイッチング素子の第2導通端子に接続された電源ライン以外の電源ラインに対応する第2スイッチング素子はオフ状態で維持される。それ故、駆動対象の電源ラインに接続されたLEDが非点灯にされるべきである場合に、当該電源ラインの電圧の上昇に起因する電荷の流れの発生が抑制される。また、スイッチング回路内において、第1スイッチング素子の制御端子には、第1抵抗器の一端が接続されている。これにより、駆動対象の電源ラインに接続されたLEDが非点灯にされるべきである場合に、駆動対象の電源ライン以外の電源ラインに接続された第1スイッチング素子の寄生容量への電荷の蓄積が緩やかになり、駆動対象の電源ラインの電圧の上昇に起因する電荷の流れの発生が抑制される。以上より、非点灯にされるべきLEDが電源ラインの電圧の変化に起因して微点灯する異常点灯の発生を抑制することのできる発光装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第1の実施形態におけるバックライトの構成について説明するための図である。
【
図2】上記第1の実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図3】上記第1の実施形態に関し、LEDユニットの構成について説明するための図である。
【
図4】上記第1の実施形態に関し、LEDユニットの構成について説明するための図である。
【
図5】上記第1の実施形態に関し、LEDユニットの構成について説明するための図である。
【
図6】上記第1の実施形態に関し、LEDユニットの構成について説明するための図である。
【
図7】上記第1の実施形態において、表示部の構成について説明するための図である。
【
図8】上記第1の実施形態において、1つの画素部の構成を示す回路図である。
【
図9】上記第1の実施形態において、アノードライン制御回路の構成を示す回路図である。
【
図10】上記第1の実施形態において、照明部内の第1列目とスイッチング回路とからなる部分の構成を示す回路図である。
【
図11】上記第1の実施形態における切替制御信号(第1制御信号および第2制御信号)の波形図である。
【
図12】
図11で符号50を付した部分の詳細な波形図である。
【
図13】上記第1の実施形態の効果について説明するための波形図である。
【
図14】上記第1の実施形態の効果について説明するための波形図である。
【
図15】上記第1の実施形態の第1の変形例における切替制御信号(第1制御信号および第2制御信号)の波形図である。
【
図16】
図15で符号51を付した部分の詳細な波形図である。
【
図17】上記第1の実施形態の第2の変形例におけるLED表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図18】第2の実施形態に関し、第1の比較例における波形図である。
【
図19】上記第2の実施形態に関し、第2の比較例における波形図である。
【
図20】上記第2の実施形態において、電源電圧の供給先のアノードラインが切り替わる際の動作について説明するための波形図である。
【
図21】上記第2の実施形態の効果について説明するための波形図である。
【
図22】上記第2の実施形態の効果について説明するための波形図である。
【
図23】第3の実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図24】上記第3の実施形態におけるバックライトの構成について説明するための図である。
【
図25】上記第3の実施形態において、調整回路の一構成例を示す図である。
【
図26】上記第3の実施形態において、調整回路の動作について説明するための信号波形図である。
【
図27】従来例に関し、パッシブ駆動を行うバックライトの一構成例を示す概略回路図である。
【
図28】従来例に関し、パッシブ駆動が行われるときの1点灯期間について説明するための図である。
【
図29】従来例に関し、スイッチング回路と1列分のLEDとからなる部分の一構成例を示す回路図である。
【
図30】従来例に関し、アノード電圧の上昇時にLEDが不必要に点灯することについて説明するための波形図である。
【
図31】従来例に関し、パッシブ駆動が採用されていない場合のLEDを駆動するための構成を示す回路図である。
【
図32】従来例に関し、パッシブ駆動が採用されていない場合の動作について説明するための波形図である。
【
図33】従来例に関し、パッシブ駆動が採用されている場合の動作について説明するための波形図である。
【
図35】従来例に関し、1行目のLEDが非点灯にされるべきLEDである場合の波形図である。
【
図36】米国特許出願公開第2020/0257167号に開示された手法では非点灯にされるべきLEDが微点灯し得ることについて説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照しつつ、実施形態について説明する。第2の実施形態および第3の実施形態については、主に、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。なお、LEDの点灯の制御に関し、説明の便宜上、全てのLEDが非点灯にされるべきケースに着目する。
【0035】
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体構成および動作概要>
図2は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、制御部10と、パネル駆動回路20と、液晶パネル30と、LEDを光源とするバックライト40とによって構成されている。液晶パネル30は、対向する2枚のガラス基板によって形成されており、画像を表示する表示部を含んでいる。バックライト40は、液晶パネル30の背面に設けられている。バックライト40には、LED駆動回路420とスイッチング回路440と照明部460とが含まれている。照明部460には、基板(LED基板)上に設けられた複数個のLEDユニットが含まれている。これに関し、LED基板は論理的に複数のエリアに分割されており、複数のエリアと複数個のLEDユニットとは1対1で対応する。
【0036】
なお、本実施形態においては、各LEDユニットは1個のLEDからなる。すなわち、各エリアにつき1個のLEDがLED基板に搭載されている。但し、各LEDユニットが複数個のLEDからなる構成(すなわち、各エリアにつき複数個のLEDがLED基板に搭載されている構成)を採用することもできる。以上より、LEDユニットに符号461を付し、LEDに符号4を付すと、例えば、
図3に示すように1個のLED4によってLEDユニット461を構成することもできるし、
図4に示すように直列に接続された複数のLED4によってLEDユニット461を構成することもできるし、
図5に示すように並列に接続された複数のLED4によってLEDユニット461を構成することもできるし、
図6に示すようにLEDユニット461内に直列接続のLED4と並列接続のLED4とを混在させることもできる。なお、LEDユニット461内において電流が流れる経路の最も上流側に位置するLED4のアノードのことを「LEDユニットの上流端」といい、LEDユニット461内において電流が流れる経路の最も下流側に位置するLED4のカソードのことを「LEDユニットの下流端」という。
図3~
図6において符号461aを付した部分がLEDユニットの上流端に相当し、
図3~
図6において符号461bを付した部分がLEDユニットの下流端に相当する。
【0037】
液晶パネル30内の表示部32には、
図7に示すように、複数本のゲートバスラインGBLと複数本のソースバスラインSBLとが配設されている。複数本のゲートバスラインGBLと複数本のソースバスラインSBLとの各交差点に対応して画素部34が設けられている。すなわち、表示部32には、複数個の画素部34が含まれている。上記複数個の画素部34はマトリクス状に配置されて画素マトリクスを構成している。
【0038】
図8は、1つの画素部34の構成を示す回路図である。各画素部34は、対応する交差点を通過するゲートバスラインGBLにゲート端子が接続される共に当該交差点を通過するソースバスラインSBLにソース端子が接続されたスイッチング素子である画素トランジスタ341と、その画素トランジスタ341のドレイン端子に接続された画素電極342と、一定の電圧が印加される共通電極343と、画素電極342と共通電極343とによって形成される液晶容量344とが含まれている。なお、液晶容量344と並列に補助容量が設けられている場合もある。
【0039】
図2に示す構成要素の動作について説明する。制御部10は、外部から送られる画像データDATを受け取り、上述したローカルディミング(エリア毎にLEDの輝度を制御する処理)が行われるよう、パネル駆動回路20の動作を制御するためのパネル制御信号PCTLと、LED駆動回路420の動作を制御するための輝度制御信号LCTLと、スイッチング回路440の動作を制御するための切替制御信号SWCTLとを出力する。なお、パネル制御信号PCTL、輝度制御信号LCTL、および切替制御信号SWCTLは複数の制御信号からなる。
【0040】
パネル駆動回路20は、制御部10から送られるパネル制御信号PCTLに基づいて液晶パネル30を駆動する。詳しくは、パネル駆動回路20は、ゲートバスラインGBLを駆動するゲートドライバとソースバスラインSBLを駆動するソースドライバとによって構成されている。ゲートドライバがゲートバスラインGBLを駆動し、ソースドライバがソースバスラインSBLを駆動することにより、各画素部34内の液晶容量344に目標表示画像に応じた電圧が書き込まれる。
【0041】
LED駆動回路420は、制御部10から送られる輝度制御信号LCTLに基づいて、照明部460内の各LEDの輝度を制御する(各LEDに供給される電流を制御する)。スイッチング回路440は、制御部10から送られる切替制御信号SWCTLに基づいて、LED駆動用の電源電圧の供給先を1点灯期間に時分割で複数のブロックの間で切り替える。換言すれば、スイッチング回路440は、制御部10から送られる切替制御信号SWCTLに基づいて、LED駆動用の電源電圧の供給先を1点灯期間に時分割で複数のアノードラインの間で切り替える。後述する例のように4つのブロックが設けられている場合には、スイッチング回路440は、LED駆動用の電源電圧の供給先を1点灯期間に時分割で4つのブロック(4本のアノードライン)の間で切り替える。スイッチング回路440は、また、上述した第2タイプの異常点灯の発生が抑制されるよう電荷の流れを制御する機能を有している。
【0042】
照明部460には上述したように各エリアにつき1個のLEDが設けられており、LED駆動回路420およびスイッチング回路440による制御により、各LEDが所望の輝度で発光する。これにより、照明部460は、表示部32にその背面から光を照射する。
【0043】
以上のようにして、液晶パネル30の表示部32に設けられている各画素部34内の液晶容量344に目標表示画像に応じた電圧が書き込まれた状態でバックライト40内の照明部460が表示部32にその背面から光を照射することにより、表示部32に所望の画像が表示される。
【0044】
<1.2 バックライト>
<1.2.1 構成>
図1は、バックライト40の構成について説明するための図である。上述したように、バックライト40には、LED駆動回路420とスイッチング回路440と照明部460とが含まれている。なお、LED駆動回路420については、公知の構成(例えば
図27を参照)が採用されるので、詳しい説明を省略する。
【0045】
照明部460には、(n×m)個のLED4(1,1)~4(n,m)が設けられている。すなわち、照明部460を構成するLED基板が論理的に(n×m)個のエリアに分割されている。なお、
図1では、第i行第j列のLEDに符号4(i,j)を付している(iは1以上n以下の整数であり、jは1以上m以下の整数である)。照明部460には、また、
図1で横方向に延びるn本のアノードラインAL(1)~AL(n)と、
図1で縦方向に延びるm本の点灯制御ラインSL(1)~SL(m)とが配設されている。n本のアノードラインAL(1)~AL(n)はスイッチング回路440に接続されており、m本の点灯制御ラインSL(1)~SL(m)はLED駆動回路420に接続されている。n本のアノードラインAL(1)~AL(n)とm本の点灯制御ラインSL(1)~SL(m)との各交差点が1個のエリアに対応しており、各エリアにつき1個のLED4が設けられている。各LED4に関し、アノードは対応するアノードラインALに接続され、カソードは対応する点灯制御ラインSLに接続されている。なお、複数個のLEDからなるLEDユニットが各エリアに設けられている場合には、各LEDユニットの上流端が対応するアノードラインALに接続され、各LEDユニットの下流端が対応する点灯制御ラインSLに接続される。
【0046】
ところで、このバックライト40では上述したパッシブ駆動(時分割駆動)が行われる。これに関し、本実施形態においては、1行分のLED4によって1つのブロックが構成されている(すなわち、照明部460内のLED4がn個のブロックに区分されている)ものと仮定する。但し、これには限定されず、例えば複数行分のLED4によって1つのブロックが構成されていても良い。各アノードラインALは、対応するブロックに含まれるLED4のアノードに接続されている。
【0047】
スイッチング回路440には、n個の第1スイッチング素子441(1)~441(n)と、n個の第2スイッチング素子442(1)~442(n)と、n個の第1抵抗器R1(1)~R1(n)と、n個の第2抵抗器R2(1)~R2(n)とが含まれている。換言すれば、1本のアノードラインALに毎に、1個の第1スイッチング素子441と1個の第2スイッチング素子442と1個の第1抵抗器R1と1個の第2抵抗器R2とが設けられている。以下、1本のアノードラインALに対応する構成要素に着目する(
図9参照)。なお、本明細書では、1本のアノードラインALに対応する構成要素からなる回路を「アノードライン制御回路」という。従って、スイッチング回路440には、n個のアノードライン制御回路が含まれている。
【0048】
第1スイッチング素子441および第2スイッチング素子442は、スイッチとして機能する。本実施形態においては、第1スイッチング素子441はpチャネル型のFETであって、第2スイッチング素子442はnチャネル型のFETである。但し、第1スイッチング素子441および第2スイッチング素子442の種類については、これには限定されない。
【0049】
第1抵抗器R1については、一端は第1スイッチング素子441の制御端子に接続され、他端は制御部10に接続されている。第2抵抗器R2については、一端はアノードラインALに接続され、他端は第2スイッチング素子442の第1導通端子に接続されている。第1スイッチング素子441については、制御端子は第1抵抗器R1の一端に接続され、第1導通端子には電源電圧(LED駆動用の電源電圧)VLEDが与えられ、第2導通端子はアノードラインALに接続されている。第2スイッチング素子442については、制御端子は制御部10に接続され、第1導通端子は第2抵抗器R2の他端に接続され、第2導通端子は接地されている。なお、第2スイッチング素子442の第2導通端子は必ずしも接地されている必要はなく、所定の電位が第2スイッチング素子442の第2導通端子に与えられていれば良い。
【0050】
第1抵抗器R1の抵抗値は100Ω~10kΩである。これに関し、第1抵抗器R1の抵抗値が高いほど、不要電流の大きさは小さくなるが、アノードラインALの電圧上昇時の応答が悪くなる(電圧波形の鈍りが大きくなる)。それ故、実際の回路を用いて、第1抵抗器R1の抵抗値を適切に定めることが好ましい。第2抵抗器R2の抵抗値は1~10kΩである。
【0051】
ところで、制御部10からスイッチング回路440には、上述した切替制御信号SWCTLとして第1制御信号S(1)~S(n)と第2制御信号T(1)~T(n)とが与えられる。第1制御信号Sは、第1抵抗器R1の他端に与えられる。すなわち、第1制御信号Sは、第1抵抗器R1を介して、第1スイッチング素子441の制御端子に与えられる。従って、第1スイッチング素子441については、第1制御信号Sに基づいてオン状態とオフ状態との切り替えが行われる。第2制御信号Tは、第2スイッチング素子442の制御端子に与えられる。従って、第2スイッチング素子442については、第2制御信号Tに基づいてオン状態とオフ状態との切り替えが行われる。
【0052】
なお、本実施形態においては、n本のアノードラインAL(1)~AL(n)によって複数の電源ラインが実現され、n個のアノードライン制御回路によって複数の電源ライン制御回路が実現されている。
【0053】
<1.2.2 LEDの点灯の制御方法>
次に、照明部460内のLED4の点灯の制御方法について説明する。なお、ここでは、上記nが4であるケースを例に挙げて説明する。すなわち、ここで着目するケースに関しては、照明部460内の第1列目とスイッチング回路440とからなる部分の構成は、
図10に示すような構成となる。
【0054】
図11は、本実施形態における切替制御信号SWCTL(第1制御信号Sおよび第2制御信号T)の波形図である。
図11に示すように、1点灯期間内において、第1制御信号S(1)、第1制御信号S(2)、第1制御信号S(3)、および第1制御信号S(4)が順次に所定期間ずつローレベルとなる。各アノードライン制御回路(
図9参照)において、第1制御信号Sがハイレベルである時には第1スイッチング素子441はオフ状態であり、第1制御信号Sがローレベルである時には第1スイッチング素子441はオン状態である。従って、第1制御信号Sがローレベルである時に、アノードラインALに電源電圧VLEDが与えられる。従って、上記のように第1制御信号S(1)、第1制御信号S(2)、第1制御信号S(3)、および第1制御信号S(4)が順次に所定期間ずつローレベルとなることによって、1行目のLED、2行目のLED、3行目のLED、および4行目のLEDが順次に所定期間ずつ点灯可能状態となる。
【0055】
図12は、
図11で符号50を付した部分の詳細な波形図である。時点t11の直前の期間には、第1制御信号S(4)はローレベルである。従って、第1スイッチング素子441(4)がオン状態であるので、4行目のLEDが点灯可能状態である。時点t11になると、第1制御信号S(4)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第1スイッチング素子441(4)がオフ状態となる。この時、第2制御信号T(4)はハイレベルであるので、第2スイッチング素子442(4)はオン状態である。これにより、アノードラインAL(4)の電圧が低下し、4行目のLEDが点灯不能状態となる。
【0056】
時点t12になると、第2制御信号T(2)、第2制御信号T(3)、および第2制御信号T(4)がハイレベルからローレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(2)、第2スイッチング素子442(3)、および第2スイッチング素子442(4)がオフ状態となる。
【0057】
時点t13になると、第1制御信号S(1)がハイレベルからローレベルへと変化する。これにより、第1スイッチング素子441(1)がオン状態となり、1行目のLEDが点灯可能状態となる。
【0058】
時点t14になると、第2制御信号T(2)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(2)がオン状態となる。時点t15になると、第2制御信号T(3)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(3)がオン状態となる。時点t16になると、第2制御信号T(4)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(4)がオン状態となる。なお、この例では「第2スイッチング素子442(2)、第2スイッチング素子442(3)、第2スイッチング素子442(4)」の順序でオフ状態からオン状態へと変化しているが、オフ状態からオン状態へと変化する第2スイッチング素子442の順序はこれには限定されない。
【0059】
その後、時点t21になると、第1制御信号S(1)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第1スイッチング素子441(1)がオフ状態となる。この時、第2制御信号T(1)はハイレベルであるので、第2スイッチング素子442(1)はオン状態である。これにより、アノードラインAL(1)の電圧が低下し、1行目のLEDが点灯不能状態となる。
【0060】
時点t22になると、第2制御信号T(1)、第2制御信号T(3)、および第2制御信号T(4)がハイレベルからローレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(1)、第2スイッチング素子442(3)、および第2スイッチング素子442(4)がオフ状態となる。
【0061】
時点t23になると、第1制御信号S(2)がハイレベルからローレベルへと変化する。これにより、第1スイッチング素子441(2)がオン状態となり、2行目のLEDが点灯可能状態となる。
【0062】
時点t24になると、第2制御信号T(1)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(1)がオン状態となる。時点t25になると、第2制御信号T(3)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(3)がオン状態となる。時点t26になると、第2制御信号T(4)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(4)がオン状態となる。なお、この例では「第2スイッチング素子442(1)、第2スイッチング素子442(3)、第2スイッチング素子442(4)」の順序でオフ状態からオン状態へと変化しているが、オフ状態からオン状態へと変化する第2スイッチング素子442の順序はこれには限定されない。
【0063】
以上より、連続して電源電圧VLEDが供給される2本のアノードラインALのうち先に電源電圧VLEDが供給されるアノードラインALを「第1着目アノードライン」と定義し、当該2本のアノードラインALのうち後で電源電圧VLEDが供給されるアノードラインALを「第2着目アノードライン」と定義すると、電源電圧VLEDの供給先が第1着目アノードラインから第2着目アノードラインに切り替わる際(駆動対象のブロックが切り替わる際)、以下のような動作が行われる。
【0064】
第1着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオン状態からオフ状態へと変化した時点から第2着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点までの期間に、第2着目アノードライン以外の複数のアノードラインのそれぞれに対応する複数の第2スイッチング素子442が第2制御信号Tに基づいてオン状態からオフ状態へと変化し、第2着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオフ状態からオン状態へと変化した時点よりも後の期間に、第2着目アノードライン以外の複数のアノードラインのそれぞれに対応する複数の第2スイッチング素子442が第2制御信号Tに基づいて順次にオフ状態からオン状態へと変化する。なお、第1着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441がオン状態からオフ状態へと変化する時点の直前には、全ての第2スイッチング素子442はオン状態である。以上より、第1制御信号Sに基づいて第1着目アノードラインの電圧が低下する時には、第1着目アノードラインに対応する第2スイッチング素子442のみならず第1着目アノードライン以外のアノードラインに対応する第2スイッチング素子442もオン状態である。それ故、第1着目アノードラインの電圧が低下する際に第1着目アノードライン以外のアノードラインに接続されたLED4に電流が流れることが抑制される。
【0065】
また、第1制御信号Sに基づいて第2着目アノードラインの電圧が上昇する時点の少し前に、第2着目アノードライン以外のアノードラインに対応する第2スイッチング素子442が全てオン状態からオフ状態へと変化する。換言すると、第2着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点には、第2着目アノードライン以外の複数のアノードラインのそれぞれに対応する複数の第2スイッチング素子442は第2制御信号Tに基づいてオフ状態で維持されている。すなわち、第2着目アノードラインの電圧が上昇する時には、第2着目アノードライン以外のアノードラインとグラウンドとは電気的に切り離された状態である。それ故、第2着目アノードラインに接続されたLED4が非点灯にされるべきである場合に第2着目アノードラインの電圧が上昇する際に当該LED4に電流が流れることが抑制される。
【0066】
<1.3 効果>
本実施形態によれば、電源電圧VLEDの供給先をn本のアノードラインAL(1)~AL(n)の間で切り替えるためのスイッチング回路440に、各アノードラインALとグラウンドとの間の電気的な接続状態を制御するスイッチとして機能するn個の第2スイッチング素子442(1)~442(n)が設けられている。そして、駆動対象のアノードラインALに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオフ状態からオン状態に変化する時には、駆動対象のアノードラインAL以外のアノードラインALに対応する第2スイッチング素子442は第2制御信号Tに基づいてオフ状態で維持される。すなわち、駆動対象のアノードラインALの電圧の上昇時には、駆動対象のアノードラインAL以外のアノードラインALに対応する第2スイッチング素子442はオフ状態であり、駆動対象のアノードラインAL以外のアノードラインALとグラウンドとが電気的に切り離された状態となっている。それ故、駆動対象のアノードラインALに接続されたLED(駆動対象LED)が非点灯にされるべきである場合に、当該駆動対象のアノードラインALの電圧の上昇に起因する電荷の流れの発生が抑制される。また、スイッチング回路440内において、アノードラインALへの電源電圧VLEDの供給を制御する第1スイッチング素子441の制御端子には、第1抵抗器R1の一端が接続されている。これにより、駆動対象LEDが非点灯にされるべきである場合に、駆動対象のアノードラインAL以外のアノードラインALに接続された第1スイッチング素子441の寄生容量への電荷の蓄積が緩やかになり、駆動対象のアノードラインALの電圧の上昇に起因する電荷の流れの発生が抑制される。
【0067】
図13に、第2制御信号T(1)~T(n)、1行目のLED(非点灯にされるべきLED)に流れる電流Idk1、およびアノードラインAL(1)~AL(n)の電圧V_AL(1)~V_AL(n)の波形を示す。1点灯期間内において、アノードラインAL(1)~AL(n)の電圧V_AL(1)~V_AL(n)が順次に所定期間ずつハイレベルとなっている。ここで、各アノードラインALの電圧V_ALが上昇する際についても、各アノードラインALの電圧V_ALが低下する際についても、1行目のLEDにはほとんど電流は流れていない。従って、1行目のLEDは非点灯状態で維持されている。1行目以外のLEDについても同様である。
【0068】
図14を参照しつつ、従来例と本実施形態での上記電流Idk1の違いについて説明する。
図14では、従来例における上記電流Idk1をIdk1(a)で表し、本実施形態における上記電流Idk1をIdk1(b)で表している。
図14から、本実施形態によれば従来例に比べて不要電流が大きく低減されることが把握される。例えば、本実施形態における不要電流の大きさは従来例における不要電流の大きさの約10分の1となる。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、非点灯にされるべきLED4がアノードラインALの電圧の変化に起因して微点灯する異常点灯の発生を抑制することのできるバックライト(発光装置)40が実現される。
【0070】
<1.4 変形例>
以下、上記第1の実施形態の変形例を説明する。
【0071】
<1.4.1 第1の変形例>
上記第1の実施形態においては、アノードラインALに電源電圧VLEDが印加されている期間中、当該アノードラインALに対応する第2スイッチング素子442はオン状態で維持されていた。しかしながら、そのような構成によれば、アノードラインALに電源電圧VLEDが印加されている期間中に当該アノードラインALからグラウンドへと流れる電流が生じるため、不必要に電力が消費されてしまう。そこで、本変形例においては、アノードラインALに電源電圧VLEDが印加されている期間中、当該アノードラインALに対応する第2スイッチング素子442をオフ状態で維持する。
【0072】
図15は、本変形例における切替制御信号SWCTL(第1制御信号Sおよび第2制御信号T)の波形図である。本変形例においても、上記第1の実施形態と同様、第1制御信号S(1)、第1制御信号S(2)、第1制御信号S(3)、および第1制御信号S(4)が順次に所定期間ずつローレベルとなることによって、1行目のLED、2行目のLED、3行目のLED、および4行目のLEDが順次に所定期間ずつ点灯可能状態となる。
【0073】
図16は、
図15で符号51を付した部分の詳細な波形図である。時点t30の直前の期間には、第1制御信号S(4)はローレベルである。従って、第1スイッチング素子441(4)がオン状態であるので、4行目のLEDが点灯可能状態である。時点t30になると、第1制御信号S(4)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第1スイッチング素子441(4)がオフ状態となる。この時、第2制御信号T(4)はローレベルであるので、第2スイッチング素子442(4)はオフ状態である。時点t31になると、第2制御信号T(4)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(4)がオン状態となる。その結果、アノードラインAL(4)の電圧が低下し、4行目のLEDが点灯不能状態となる。
【0074】
時点t32になると、第1~第4制御信号T(1)~T(4)がハイレベルからローレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(1)~442(4)がオフ状態となる。時点t33~時点t36には、上記第1の実施形態(
図12参照)における時点t13~時点16と同様の動作が行われる。但し、時点t32以降、第2制御信号T(1)はローレベルで維持されているので、第2スイッチング素子442(1)はオフ状態で維持される。
【0075】
その後、時点t40になると、第1制御信号S(1)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第1スイッチング素子441(1)がオフ状態となる。この時、第2制御信号T(1)はローレベルであるので、第2スイッチング素子442(1)はオフ状態である。時点t41になると、第2制御信号T(1)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(1)がオン状態となる。その結果、アノードラインAL(1)の電圧が低下し、1行目のLEDが点灯不能状態となる。
【0076】
時点t42になると、第1~第4制御信号T(1)~T(4)がハイレベルからローレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(1)~442(4)がオフ状態となる。時点t43~時点t46には、上記第1の実施形態(
図12参照)における時点t23~時点26と同様の動作が行われる。但し、時点t42以降、第2制御信号T(2)はローレベルで維持されているので、第2スイッチング素子442(2)はオフ状態で維持される。
【0077】
本変形例によれば、以上のように、電源電圧VLEDの供給先が上述した第1着目アノードラインから上述した第2着目アノードラインに切り替わる際、第1着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオン状態からオフ状態へと変化した時点から第2着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点までの期間に、第1着目アノードラインに対応する第2スイッチング素子442が第2制御信号Tに基づいてオフ状態からオン状態へと変化した後に複数のアノードラインALのそれぞれに対応する複数の第2スイッチング素子442が第2制御信号Tに基づいてオン状態からオフ状態へと変化し、第2着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオフ状態からオン状態へと変化した時点よりも後の期間に、第2着目アノードライン以外の複数のアノードラインのそれぞれに対応する複数の第2スイッチング素子442が第2制御信号Tに基づいて順次にオフ状態からオン状態へと変化する。そして、第2着目アノードラインに対応する第2スイッチング素子442は、第2着目アノードラインに電源電圧VLEDが供給されている期間には、第2制御信号Tに基づいてオフ状態で維持される。以上より、アノードラインALに電源電圧VLEDが供給されている期間中、当該アノードラインALからグラウンドへと流れる電流は生じない。これにより、上記第1の実施形態に比べて消費電力が低減される。
【0078】
<1.4.2 第2の変形例>
上記第1の実施形態においてはLEDを光源とするバックライトを用いた液晶表示装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。LEDを画素として用いた表示装置であるLED表示装置にも本発明を適用することができる。そこで、LED表示装置に本発明を適用した例を第2の変形例として説明する。
【0079】
図17は、本変形例におけるLED表示装置の全体構成を示すブロック図である。このLED表示装置は、
図17に示すように、映像信号処理部60とLED駆動回路62とスイッチング回路64と表示部66とによって構成されている。映像信号処理部60、LED駆動回路62、スイッチング回路64、および表示部66は、それぞれ、上記第1の実施形態(
図2参照)における制御部10、LED駆動回路420、スイッチング回路440、および照明部460に相当する。従って、本変形例における表示部66は、複数個のLEDユニットと複数本のアノードラインと複数本の点灯制御ラインとによって構成されている。各LEDユニットは1または複数個のLEDからなる。
【0080】
映像信号処理部60は、外部から送られる画像データDATを受け取り、LED駆動回路62の動作を制御するための輝度制御信号LCTLと、スイッチング回路64の動作を制御するための切替制御信号SWCTLとを出力する。輝度制御信号LCTLおよび切替制御信号SWCTLは複数の制御信号からなる。LED駆動回路62は、映像信号処理部60から送られる輝度制御信号LCTLに基づいて、表示部66内の各LEDの輝度を制御する(各LEDに供給される電流を制御する)。スイッチング回路64は、映像信号処理部60から送られる切替制御信号SWCTLに基づいて、電源電圧の供給先を1点灯期間に時分割で複数のアノードラインの間で切り替える。スイッチング回路64は、また、上述した第2タイプの異常点灯の発生が抑制されるよう電荷の流れを制御する機能を有している。
【0081】
表示部66には上述したように複数個のLEDユニットが含まれており、上記第1の実施形態と同様にLED駆動回路62およびスイッチング回路64の動作が制御されることにより、各LEDユニット内のLEDが所望の輝度で点灯する。
【0082】
ところで、本変形例においては、表示部66に設けられている複数個のLEDユニットは、3種類に分類される。より詳しくは、複数個のLEDユニットは、赤色の光を発する赤色LEDを含む赤色LEDユニットと、緑色の光を発する緑色LEDを含む緑色LEDユニットと、青色の光を発する青色LEDを含む青色LEDユニットとに分類される。また、赤色LEDユニットと緑色LEDユニットと青色LEDユニットとで1つの絵素が構成されるように上記複数個のLEDユニットが配置されている。従って、上記複数個のLEDユニット内のLEDが所望の輝度で点灯することによって、この表示部66に画像が表示される。なお、4種類以上の色のLEDユニットによって1つの絵素を構成することもできる。
【0083】
本変形例によれば、非点灯にされるべきLED4がアノードラインALの電圧の変化に起因して微点灯する異常点灯の発生を抑制することのできるLED表示装置が実現される。
【0084】
<2.第2の実施形態>
<2.1 概要>
上述したように(第1の変形例の欄を参照)、上記第1の実施形態によれば、アノードラインALに電源電圧VLEDが印加されている期間を通じて当該アノードラインALに対応する第2スイッチング素子442はオン状態で維持されるので、不必要に電力が消費される。また、第2抵抗器R2の抵抗値が大きければ、アノードラインALの電圧低下に要する時間が長くなる。例えば、第2抵抗器R2の抵抗値が10kΩである場合に、アノードラインALの電圧低下に数十~数百マイクロ秒を要する。或るアノードラインALの電圧が十分に低下する前に別のアノードラインALの電圧が上昇すると、上述した第1タイプの異常点灯が生じる。第1タイプの異常点灯の発生を抑制するために上記第1着目アノードラインの電圧の立ち下げ開始時点から上記第2着目アノードラインの電圧の立ち上げ開始時点までの時間を長くすると、LEDの点灯可能期間が短くなってしまう。そのような問題を解決する技術が米国特許出願公開第2020/0257167号に開示されているが、米国特許出願公開第2020/0257167号に開示された技術では上述した第2タイプの異常点灯の発生を抑制することはできない。そこで、第1タイプの異常点灯および第2タイプの異常点灯の双方の発生を抑制することのできる実施態様を第2の実施形態として説明する。
【0085】
<2.2 構成>
全体構成およびバックライト40を構成する各回路の構成は上記第1の実施形態と同様である(
図1~
図10を参照)。但し、スイッチング回路440に含まれる抵抗器(第1抵抗器R1および第2抵抗器R2)の抵抗値が上記第1の実施形態とは異なる。詳しくは、上記第1の実施形態においては第1抵抗器R1の抵抗値は100Ω~10kΩであったが、本実施形態においては第1抵抗器R1の抵抗値は100Ω~1kΩである。第1抵抗器R1の抵抗値を1kΩ以下にする理由は、アノードラインALの電圧の立ち上がりの遅延を防止するためである。また、上記第1の実施形態においては第2抵抗器R2の抵抗値は1~10kΩであったが、本実施形態においては第2抵抗器R2の抵抗値は100Ω~1kΩである。すなわち、本実施形態においては、上記第1の実施形態に比べて低い抵抗値の第2抵抗器R2が用いられる。第2抵抗器R2の抵抗値を1kΩ以下にする理由は、アノードラインALの電圧の立ち下がりの遅延を防止するためである。なお、第1抵抗器R1および第2抵抗器R2に関し、より具体的な抵抗値については、実際の回路を用いて適切に定めることが好ましい。
【0086】
<2.3 LEDの点灯の制御方法>
まず、第1の比較例として、米国特許出願公開第2020/0257167号の第2の実施形態(Fig.13を参照)の駆動方法を採用した場合について説明する。
図18は、第1の比較例における波形図である。
図18において1行目のLED(非点灯にされるべきLED)に流れる電流Idk1を参照すると、当該LEDに接続されたアノードラインALの電圧の立ち上がり時および当該LEDに接続されていないアノードラインALの電圧の立ち下がり時に当該LEDに不要電流が流れていることが把握される。
【0087】
次に、第2の比較例として、米国特許出願公開第2020/0257167号の第1の実施形態(Fig.10を参照)の駆動方法を採用した場合について説明する。
図19は、第2の比較例における波形図である。第2の比較例では、上記第1着目アノードラインに対応する第2スイッチング素子442は、上記第1着目アノードラインの電圧の立ち下がり時点から上記第2着目アノードラインの電圧の立ち上がり時点までの間の期間にオン状態となる。
図19において1行目のLED(非点灯にされるべきLED)に流れる電流Idk1を参照すると、当該LEDに接続されていないアノードラインALの電圧の立ち下がり時に当該LEDに不要電流が流れていることが把握される。
【0088】
次に、
図20を参照しつつ、電源電圧VLEDの供給先のアノードラインALが切り替わる際の動作について説明する。ここでは、電源電圧VLEDの供給先がアノードラインAL(2)からアノードラインAL(3)へと切り替わる際の動作に着目する。
【0089】
時点t51の直前の期間には、第1制御信号S(2)はローレベルである。従って、第1スイッチング素子441(2)はオン状態であり、アノードラインAL(2)に電源電圧VLEDが供給されている。それ故、アノードラインAL(2)の電圧V_AL(2)はハイレベルである。また、第2制御信号T(2)はローレベルである。従って、第2スイッチング素子442(2)はオフ状態である。
【0090】
時点t51になると、第2制御信号T(2)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(2)がオン状態となる。時点t51から期間Taだけ経過した後の時点t52になると、第1制御信号S(2)がローレベルからハイレベルへと変化する。これにより、第1スイッチング素子441(2)がオフ状態となり、アノードラインAL(2)の電圧V_AL(2)が低下する。なお、期間Taの長さは、数マイクロ秒である。
【0091】
時点t53になると、第2制御信号T(2)がハイレベルからローレベルへと変化する。これにより、第2スイッチング素子442(2)がオフ状態となる。なお、時点t53には、アノードラインAL(2)の電圧V_AL(2)は十分に低下している。その後、時点t54になると、第1制御信号S(3)がハイレベルからローレベルへと変化する。これにより、第1スイッチング素子441(3)がオン状態となり、アノードラインAL(3)に電源電圧VLEDが供給されることによってアノードラインAL(3)の電圧V_AL(3)が上昇する。
【0092】
図20から把握されるように、本実施形態によれば、電源電圧VLEDの供給先が上述した第1着目アノードラインから上述した第2着目アノードラインに切り替わる際、第1着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオン状態からオフ状態へと変化する時点よりも前の期間に、第1着目アノードラインに対応する第2スイッチング素子442が第2制御信号Tに基づいてオフ状態からオン状態へと変化し、第1着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオン状態からオフ状態へと変化した時点から第2着目アノードラインに対応する第1スイッチング素子441が第1制御信号Sに基づいてオフ状態からオン状態へと変化する時点までの期間に、第1着目アノードラインに対応する第2スイッチング素子442が第2制御信号Tに基づいてオン状態からオフ状態へと変化する。また、第1着目アノードラインに対応する第2スイッチング素子442は、電源電圧VLEDの供給先が第1着目アノードラインから第2着目アノードラインに切り替わる際の所定期間を除く期間には、第2制御信号Tに基づいてオフ状態で維持される。
【0093】
以上のように、例えば、第1制御信号S(2)がローレベルからハイレベルへと変化する時点の少し前に、第2制御信号T(2)がローレベルからハイレベルへと変化する。このような制御を行う理由は、第1制御信号S(2)がローレベルからハイレベルへと変化した時点以降に第2制御信号T(2)がローレベルからハイレベルへと変化すると、第2スイッチング素子442のスイッチ特性によっては、アノードラインAL(2)の電圧が急激に低下してアノードラインAL(2)以外のアノードラインに接続されているLED4に電流が流れ得るからである。第2抵抗器R2の抵抗値を高くすることによってアノードラインALの急激な電圧低下を抑制することはできるが、第2抵抗器R2の抵抗値を高くすると、アノードラインALの電圧が十分に低下するまでの時間が長くなることによって上述した第1タイプの異常点灯が発生することが懸念される。そこで、各アノードライン制御回路において、第1制御信号Sがローレベルからハイレベルへと変化する時点の数マイクロ秒前に第2制御信号Tをローレベルからハイレベルへと変化させている。なお、各アノードライン制御回路において第1スイッチング素子441および第2スイッチング素子442の双方がオン状態となる期間(例えば、
図20における時点51~時点t52の期間)が生じ、当該期間には第2抵抗器R2の抵抗値と電源電圧VLEDとによって定まる大きさの電流が第2抵抗器R2に流れる。これに関し、第2抵抗器R2の抵抗値が低ければ回路破壊が発生するような大きな電流が流れるおそれがある。それ故、第2抵抗器R2には、100Ω以上の抵抗値を有する抵抗器が採用される。第2抵抗器R2の抵抗値が上述したように100Ω~1kΩであれば、アノードラインALの電圧降下に要する時間が数マイクロ秒以内となる。
【0094】
<2.4 効果>
図21に、本実施形態における第1制御信号S(1)~S(n)、第2制御信号T(1)~T(n)、1行目のLED(非点灯にされるべきLED)に流れる電流Idk1、およびアノードラインAL(1)~AL(n)の電圧V_AL(1)~V_AL(n)の波形を示す。
図21において1行目のLEDに流れる電流Idk1を参照すると、不要電流がほとんど生じていないことが把握される。
【0095】
図22を参照しつつ、米国特許出願公開第2020/0257167号に開示された手法と本実施形態での上記電流Idk1の違いについて説明する。
図22では、米国特許出願公開第2020/0257167号の第2の実施形態(Fig.13を参照)の駆動方法を採用した場合の上記電流Idk1をIdk1(a)で表し、米国特許出願公開第2020/0257167号の第1の実施形態(Fig.10を参照)の駆動方法を採用した場合の上記電流Idk1をIdk1(b)で表し、本実施形態における上記電流Idk1をIdk1(c)で表している。
図22から、本実施形態によれば米国特許出願公開第2020/0257167号に開示された手法に比べて不要電流が大きく低減されることが把握される。
【0096】
図21および
図22より、第1タイプの異常点灯の発生が抑制されるとともに第2タイプの異常点灯の発生が抑制されることが把握される。また、アノードラインALに電源電圧VLEDが印加されている期間のうちの大半の期間に当該アノードラインALに対応する第2スイッチング素子442はオフ状態で維持されている。これにより、アノードラインALに電源電圧VLEDが印加されている期間の消費電力が上記第1の実施形態に比べて低減される。
【0097】
以上のように、本実施形態によれば、点灯対象のLED4と同じ列に位置するLED4であって点灯対象のLED4よりも先に駆動されるLED4が非点灯にされるべきであるにも関わらず微点灯する異常点灯の発生(第1タイプの異常点灯の発生)を抑制するとともに非点灯にされるべきLED4がアノードラインALの電圧の変化に起因して微点灯する異常点灯の発生(第2タイプの異常点灯の発生)を抑制することのできる低消費電力のバックライト(発光装置)が実現される。
【0098】
<3.第3の実施形態>
<3.1 構成>
図23は、第3の実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。本実施形態における全体構成は、上記第1の実施形態における全体構成とほぼ同様である。但し、上記第1の実施形態においてはスイッチング回路440に対して制御部10から切替制御信号SWCTLが与えられていたが、本実施形態においてはスイッチング回路440に対してLED駆動回路420から切替制御信号SWCTLが与えられる。なお、上記第1の実施形態と同様に、スイッチング回路440に対して制御部10から切替制御信号SWCTLが与えられるようにしても良い。
【0099】
図24は、本実施形態におけるバックライト40の構成について説明するための図である。LED駆動回路420および照明部460については上記第1の実施形態と同様である。スイッチング回路440には、上記第1の実施形態における構成要素に加えて、n個の調整回路480(1)~480(n)が設けられている。調整回路480(1)~480(n)には、切替制御信号SWCTLとして、それぞれ調整信号SA(1)~SA(n)が与えられる。そして、調整回路480(1)~480(n)において、上述した第1制御信号S(1)~S(n)および第2制御信号T(1)~T(n)が生成される。なお、本実施形態においては、第1制御信号S(1)~S(n)および第2制御信号T(1)~T(n)が上記第2の実施形態と同様の波形(
図20参照)を有するように調整回路480が構成されるものとする。
【0100】
図25は、調整回路480の一構成例を示す図である。
図25に示すように、調整回路480には、第1遅延回路481とNOT回路(否定回路)482とAND回路(論理積回路)483と第2遅延回路484とNOT回路(否定回路)485とが含まれている。第1遅延回路481は、調整信号SAを予め定められたpマイクロ秒だけ遅延させることによって生成される信号SBを出力する。NOT回路482は、調整信号SAの論理反転信号である信号BSAを出力する。AND回路483は、信号SBと信号BSAとの論理積を表す信号SANDを出力する。第2遅延回路484は、信号SANDを予め定められたqマイクロ秒だけ遅延させることによって生成される信号を第2制御信号Tとして出力する。NOT回路485は、信号SBの論理反転信号を第1制御信号Sとして出力する。典型的には、pは10未満の値であって、qはpの約2分の1の値である。なお、pマイクロ秒は第1時間に相当し、qマイクロ秒は第2時間に相当する。
【0101】
<3.2 調整回路の動作>
図26は、調整回路480の動作について説明するための信号波形図である。
図26に関し、符号Tpを付した矢印で表される期間の長さはpマイクロ秒であり、符号Tqを付した矢印で表される期間の長さはqマイクロ秒である。調整信号SAは、各ブロックに含まれるLED4の点灯可能期間の長さに等しい長さの期間だけハイレベルで維持され、それ以外の期間にはローレベルで維持される。信号SBは、調整信号SAがローレベルからハイレベルへと変化した時点のpマイクロ秒後にローレベルからハイレベルへと変化し、調整信号SAがハイレベルからローレベルへと変化した時点のpマイクロ秒後にハイレベルからローレベルへと変化する。信号BSAは、調整信号SAがローレベルからハイレベルへと変化した時点にハイレベルからローレベルへと変化し、調整信号SAがハイレベルからローレベルへと変化した時点にローレベルからハイレベルへと変化する。第1制御信号Sは、信号SBがローレベルからハイレベルへと変化した時点にハイレベルからローレベルへと変化し、信号SBがハイレベルからローレベルへと変化した時点にローレベルからハイレベルへと変化する。信号SANDは、信号BSAがローレベルからハイレベルへと変化した時点にローレベルからハイレベルへと変化し、信号SBがハイレベルからローレベルへと変化した時点にハイレベルからローレベルへと変化する。第2制御信号Tは、信号SANDがローレベルからハイレベルへと変化した時点のqマイクロ秒後にローレベルからハイレベルへと変化し、信号SANDがハイレベルからローレベルへと変化した時点のqマイクロ秒後にハイレベルからローレベルへと変化する。以上より、第2制御信号Tは、第1制御信号Sがローレベルからハイレベルへと変化する時点の(p-q)マイクロ秒前にローレベルからハイレベルへと変化し、第1制御信号Sがローレベルからハイレベルへと変化した時点のqマイクロ秒後にハイレベルからローレベルへと変化する。
【0102】
以上のように動作する調整回路480によって生成される第1制御信号S(1)~S(n)および第2制御信号T(1)~T(n)に基づいて、照明部460内のLED4の点灯の制御が上記第2の実施形態と同様に行われる。
<3.3 効果>
本実施形態によれば、制御部10-バックライト40間に必要とされる信号線の本数を少なくすることができる。これにより、上記第2の実施形態と同様の効果が得られるのに加えて、モジュールの小型化を図ることができるという効果が得られる。
【0103】
<4.その他>
以上において本発明を詳細に説明したが、以上の説明は全ての面で例示的なものであって制限的なものではない。多数の他の変更や変形が本発明の範囲を逸脱することなく案出可能であると了解される。
【符号の説明】
【0104】
4…LED
10…制御部
40…バックライト
62,420…LED駆動回路
64,440…スイッチング回路
441,441(1)~441(n)…第1スイッチング素子
442,442(1)~442(n)…第2スイッチング素子
460…照明部
480…調整回路
AL,AL(1)~AL(n)…アノードライン
SL,SL(1)~SL(m)…点灯制御ライン
R1,R1(1)~R1(n)…第1抵抗器
R2,R2(1)~R2(n)…第2抵抗器
VLED…電源電圧(LED駆動用の電源電圧)