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特開2023-177065半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法と半導体ウエハ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177065
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法と半導体ウエハ
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20231206BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20231206BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231206BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089761
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蘆立 浩明
(72)【発明者】
【氏名】竹石 知之
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP72
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA37
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083ZA29
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD33
5F101BE07
5F101BH04
(57)【要約】
【課題】実施形態は、半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法と半導体ウエハを提供することを課題とする。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、第1面及び第1面と反対側の第2面を有し、基板を含まないメモリセルアレイ層であって、メモリセルアレイ領域に3次元配置された複数のメモリセルを有する。第1面及び第2面に埋め込まれた表面配線層を有するメモリセルアレイ層を複数有する。メモリセルが複数の絶縁層を介し複数の電極層を積層した積層体を有するメモリセルであり、積層体が前記複数の電極層の端部位置を積層位置毎に位置ずれさせた階段構造部を有する積層体である。複数のメモリセルアレイ層が第1面あるいは第2面に形成された表面配線層を接続して積層され、積層体の積層方向に隣接するメモリセルアレイ層が、互いの階段構造部を積層境界面に向けて積層される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有し、基板を含まないメモリセルアレイ層であって、メモリセルアレイ領域に3次元配置された複数のメモリセルと、前記第1面及び前記第2面に埋め込まれた表面配線層とを有するメモリセルアレイ層を複数有し、
前記メモリセルが複数の絶縁層を介し複数の電極層を積層した積層体を有するメモリセルであり、前記積層体が前記複数の電極層の端部位置を積層位置毎に位置ずれさせた階段構造部を有する積層体であり、
前記複数のメモリセルアレイ層が前記第1面あるいは前記第2面に形成された表面配線層を接続して積層され、
前記積層体の積層方向に隣接するメモリセルアレイ層が、互いの階段構造部の傾斜部を前記積層方向に隣接するメモリセルアレイ層の間の積層境界面に向けて積層された、
半導体記憶装置。
【請求項2】
回路用基板と、前記回路用基板の回路形成面に設けられた制御回路と、前記回路用基板の前記回路形成面上に設けられ前記制御回路と電気的に接続された回路側表面配線層を有する制御回路層が前記メモリセルアレイ層に積層され、
前記複数のメモリセルアレイ層の表面配線層において、積層された他のメモリセルアレイ層の表面配線層に接続されていない表面配線層に前記回路側表面配線層が接続された、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数のメモリセルは、複数の絶縁層と複数の電極層が交互に積層された積層体と、前記積層体の積層方向に延びる柱状部を有し、前記柱状部の一端側にビット線が電気的に接続され、前記柱状部の他端側にソース線が電気的に接続され、前記ソース線に隣接するソース側配線層が設けられた、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記メモリセルアレイ層の積層境界面が張り合わせ面である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記階段構造部に位置する前記電極層の端部に接続された配線の引出部が、前記電極層の端部よりも前記積層境界面に近い側に設けられた、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
絶縁層と該絶縁層内に設けたメモリセルを有する第1の基板と、絶縁層と該絶縁層内に設けたメモリセルを有する第2の基板と、絶縁層と該絶縁層内に設けた制御回路を有する第3の基板を貼り合わせて半導体記憶装置を製造する方法であり、
前記絶縁層どうしを介し前記第1の基板と前記第2の基板を張り合わせ、貼り合わせた前記第1の基板の周縁部から該周縁部に隣接する前記第2の基板の周縁部にかけて前記第1の基板の周縁部及び前記第2の基板の周縁部を所定幅に渡り前記第1の基板と前記第2の基板の間の絶縁層を含めて除去するトリム加工を施し、前記第1の基板においては外周縁部の厚さ方向全部を前記所定幅に渡り除去し、前記第2の基板においては前記第1の基板の除去幅に対応する所定幅で前記第2の基板の外周縁部の厚さ方向一部を除去した後、 前記第1の基板の残余部分を研削により除去して前記第1の基板に形成されていた絶縁層を前記第2の基板上に露出させるとともに、
前記第3の基板の絶縁層を前記露出させた絶縁層に貼り合わせる、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項7】
前記第3の基板の絶縁層を前記露出させた絶縁層に貼り合わせた後、前記第2の基板の残余部分を除去し、前記制御回路を備えた前記第3の基板上に、前記第1の基板に形成されていた前記絶縁層と前記メモリセルを有する第1のメモリセルアレイ層と、前記第2の基板に形成されていた前記絶縁層と前記メモリセルを有する第2のメモリセルアレイ層を積層した構造を得る、
請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の基板の絶縁層の表面に第1の表面配線層を有し、前記第2の基板の絶縁層の表面に第2の表面配線層を有するとともに、前記第1の基板の絶縁層と前記第2の基板の絶縁層を貼り合わせる場合、前記第1の表面配線層と前記第2の表面配線層を位置合わせして接合するように貼り合わせる、
請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記メモリセルが複数の絶縁層を介し複数の電極層を積層した積層体を有するメモリセルであり、前記積層体が前記複数の電極層の端部位置を積層位置毎に位置ずれさせた階段構造部を有する積層体であり、
前記第1の基板と前記第2の基板を前記絶縁層を介し貼り合わせる場合、前記階段構造部の傾斜面を前記第1の基板と前記第2の基板の張り合わせの積層境界面に向けて貼り合わせる、
請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
メモリセルアレイ領域に3次元配置された複数のメモリセルと表面配線層を有するメモリセルアレイ層を第1の基板に備えた第1のウエハと、
メモリセルアレイ領域に3次元配置された複数のメモリセルと表面配線層を有するメモリセルアレイ層を第2の基板に備えた第2のウエハを有し、
前記表面配線層どうしを接合して張り合わせた積層境界面を有する、
半導体ウエハ。
【請求項11】
前記メモリセルアレイ層に複数の絶縁層を介し複数の電極層を積層した積層体を有し、前記積層体が前記複数の電極層の端部位置を積層位置毎に位置ずれさせた階段構造部を有する積層体であり、
前記第1のウエハの階段構造部の傾斜部と前記第2のウエハの階段構造部の傾斜部が前記第1のウエハと前記第2のウエハの積層境界面に向けられた、
請求項10に記載の半導体ウエハ。
【請求項12】
前記第1の基板の周縁部に、該周縁部を所定幅に渡り除去した第1の基板側の第1のトリム部を有し、前記第1の基板の周縁部と前記第2の基板の周縁部との間に位置するメモリセルアレイ層の一部を所定幅に渡り除去したアレイ層トリム部を有し、前記第2の基板の周縁部に、該第2の基板の周縁部の所定幅に渡り、該第2の基板の厚さ方向一部を除去した第2の基板側の第2トリム部を有する、
請求項10に記載の半導体ウエハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法と半導体ウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルが3次元的に積層された、貼り合わせ構造のNANDフラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0261623号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態が解決しようとする課題は、貼り合わせ工程を簡略化した積層型の半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法と半導体ウエハの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、第1面及び第1面と反対側の第2面を有し、基板を含まないメモリセルアレイ層であって、メモリセルアレイ領域に3次元配置された複数のメモリセルを有する。前記第1面及び前記第2面に埋め込まれた表面配線層を有するメモリセルアレイ層を複数有する。前記メモリセルが複数の絶縁層を介し複数の電極層を積層した積層体を有するメモリセルであり、前記積層体が複数の前記電極層の端部位置を積層位置毎に位置ずれさせた階段構造部を有する積層体である。複数の前記メモリセルアレイ層が前記第1面あるいは前記第2面に形成された表面配線層を接続して積層され、前記積層体の積層方向に隣接する前記メモリセルアレイ層が、互いの階段構造部の傾斜部を前記積層方向に隣接するメモリセルアレイ層の間の積層境界面に向けて積層され、半導体記憶装置が構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式断面図。
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式斜視図。
図3】第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式部分断面図。
図4】第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部を拡大した模式部分断面図。
図5】第1実施形態に係る半導体記憶装置を製造する場合に用いる半導体ウエハの一例を示す平面図。
図6】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面略図。
図7】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面略図。
図8】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面略図。
図9】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一例を示す模式断面図であり、図6に示す状態を部分拡大した模式断面図。
図10】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図11】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一例を示す模式断面図であり、図9に示す状態を部分拡大した模式断面図。
図12】比較例の半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面略図。
図13】比較例の半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面略図。
図14】比較例の半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面略図。
図15】比較例の半導体記憶装置の製造方法の一例を示す模式断面図であり、図12に示す状態の前段階の状態を部分拡大した模式断面図。
図16】比較例の半導体記憶装置の製造方法の一例を示す模式断面図であり、図12に示す状態から一工程進行した状態を部分拡大した模式断面図。
図17】比較例の半導体記憶装置の製造方法の一例を示す模式断面図であり、図14に示す状態から一工程進行した状態を部分拡大した模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
「第1実施形態」
以下、第1実施形態に係る半導体記憶装置について図面を参照し説明する。
以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「接続」とは、物理的に接続される場合に限定されず、電気的に接続される場合も含む。本明細書で「基板に設けられる」とは、基板の内部に対象物の少なくとも一部が形成される場合や、基板上に対象物の少なくとも一部が形成される場合を含む。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式断面図である。第1実施形態の半導体記憶装置SMDは、メモリセルに対するデータの書き込み、消去、読み出しを制御する制御回路を基板1に設けた制御回路層100と、3次元配置された複数の第1のメモリセルを含む第1のメモリセルアレイ層200とが、向かい合うように接合して積層され、貼り合された構造を有している。また、第1のメモリセルアレイ層200と、3次元配置された複数の第2のメモリセルを含む第2のメモリセルアレイ層300とが、向かい合うように接合して積層され、貼り合された構造を有している。更に説明すると、半導体記憶装置SMDは、基板1上に基板1の厚さ方向に制御回路層100と第1のメモリセルアレイ層200と第2のメモリセルアレイ層300が積層された構造となっている。
【0009】
まず、第1のメモリセルアレイ層200について説明する。第1のメモリセルアレイ層200は、図1における第1面(下面)Sa1と第1面と反対側の第2面(上面)Sa2を有し、3次元構造の第1のメモリセルアレイ10aを有する。
図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置SMDの一部を示す模式斜視図であり、第1のメモリセルアレイ10aの模式斜視図である。なお、図2においては、電極間絶縁層などの一部の絶縁層の図示について省略している。図2における下側が第1面Sa1側を示し、上側が第2面Sa2側を示している。
図2において、相互に直交する2方向をX方向及びY方向とし、X方向とY方向は図1に示す基板1の上面と平行な方向を示す。これらX方向及びY方向(XY面)に対して直交し、複数層の電極層WLが積層された方向をZ方向(積層方向:基板1の厚さ方向)とする。また、方向を示す場合、+X方向と-X方向などのように正負の符号を付して180゜異なる方向を区別して説明することがある。+X方向と-X方向は180゜異なる方向を示し、+Y方向と-Y方向は180゜異なる方向を示し、+Z方向と-Z方向は180゜異なる方向を示す。正負の方向を区別して説明する必要が無い場合は+符号を略し、単にX方向、Y方向、Z方向などと表記する。
【0010】
第1のメモリセルアレイ10aは、図2に示す電極層WLと絶縁層11とがそれぞれ1層ずつ交互に複数層積層された第1の積層体12aを有する。この第1の積層体12a内には、Z方向に延びる第1の柱状部13aが複数設けられている。第1の柱状部13aは例えば、円柱状もしくは楕円柱状に設けられる。複数の第1の柱状部13aは、例えば、XY面において、千鳥格子、もしくは、正方格子に配列されている。電極層WLはY方向に複数のブロックに分離され、X方向に延びている。
【0011】
電極層WLは、例えば、シリコンを主成分として含む層である。さらに、電極層WLは、シリコン層に導電性を持たせるための不純物として、ボロンを含んでいる。また、電極層WLは、金属シリサイドを含んでいてもよい。
絶縁層11は、例えばシリコンと酸素を主に含んでおり、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン酸窒化膜(SiON)、炭素含有シリコン酸化膜(SiOC)などである。
【0012】
第1の柱状部13aの第2面Sa2側である上部には、ドレイン側選択ゲートSGDが設けられ、第1面Sa1側である下部には、ソース側選択ゲートSGSが設けられている。ドレイン側選択ゲートSGDは、最上層の電極層WL上に絶縁層11を介し設けられている。ソース側選択ゲートSGSは、最下層の電極層WL下に絶縁層11を介し設けられている。ここで、例えば、ドレイン側選択ゲートSGD及びソース側選択ゲートSGSは、1層の電極層WLよりも厚く形成することができる。
【0013】
第1の柱状部13aの第2面Sa2側である上端部には、第1のビット線16a(BL)が接続されている。第1のビット線16aは複数設けられ、例えば金属からなる。複数の第1のビット線16aは、X方向に離間して、Y方向に延びている。第1のビット線16aは、ドレイン側選択ゲートSGD上に絶縁層11及び層間絶縁層14を介し設けられている(図3参照)。
【0014】
図2において、第1の柱状部13aの第1面Sa1側である下端部には、第1のソース線17a(SL)が接続されている。第1のソース線17aは、ソース側選択ゲートSGS下に層間絶縁層15を介し設けられている。また、第1の柱状部13aの下端部であって、第1のソース線17aのさらに下側には、層間絶縁層18内に第1のソース側配線層19aが設けられている。層間絶縁層18は積層された層であってもよい。
【0015】
図3は、第1実施形態に係る半導体記憶装置SMDの模式部分断面図であり、第1の柱状部近傍の模式部分断面図である。図4は、図3の第1の柱状部近傍の一部であるA部を拡大した模式部分断面図である。図3及び図4は、図2におけるYZ面に平行な部分断面を表している。
図3に示すように、第1の柱状部13aは、複数の電極層WL、複数の絶縁層11を含む第1の積層体12a内に形成されるI字状のメモリホール内に形成される。そのメモリホール内には、半導体チャネルとしてのチャネルボディ20が設けられている。チャネルボディ20は、例えばシリコン膜である。チャネルボディ20の不純物濃度は、電極層WLの不純物濃度よりも低い。
【0016】
図4に示すように、メモリセルMCにおいてメモリホールの内壁とチャネルボディ20との間には、メモリ膜21が設けられている。メモリ膜21は、例えば、ブロック絶縁膜22と電荷蓄積膜23とトンネル絶縁膜24とを有する。電極層WLとチャネルボディ20との間に、電極層WL側から順にブロック絶縁膜22、電荷蓄積膜23、及びトンネル絶縁膜24が設けられている。
【0017】
チャネルボディ20はZ方向に延びる筒状に設けられ、そのチャネルボディ20の外周面を囲むようにメモリ膜21がZ方向に延びつつ筒状に設けられている。電極層WLはメモリ膜21を介してチャネルボディ20の周囲を囲んでいる。また、チャネルボディ20の内側には、コア絶縁膜25が設けられている。コア絶縁膜25は、例えばシリコン酸化膜である。
ブロック絶縁膜22は電極層WLに接し、トンネル絶縁膜24はチャネルボディ20に接し、ブロック絶縁膜22とトンネル絶縁膜24との間に電荷蓄積膜23が設けられている。
【0018】
チャネルボディ20はメモリセルMCにおけるチャネルとして機能し、電極層WLはメモリセルMCのコントロールゲートとして機能する。電荷蓄積膜23はチャネルボディ20から注入される電荷を蓄積するデータ記憶層として機能する。すなわち、チャネルボディ20と各電極層WLとの交差部分に、チャネルの周囲をコントロールゲートが囲んだ構造のメモリセルが形成されている。
【0019】
第1実施形態の半導体記憶装置SMDは、データの消去・書き込みを電気的に自由に行うことができ、電源を切っても記憶内容を保持することができる不揮発性半導体記憶装置となっている。
上述の構成のメモリセルMCは、例えばチャージトラップ型のメモリセルである。電荷蓄積膜23は、電荷を捕獲するトラップサイトを多数有し、例えば、シリコン窒化膜である。メモリセルMCは、浮遊ゲート型のメモリセルであってもかまわない。
【0020】
トンネル絶縁膜24は、電荷蓄積膜23にチャネルボディ20から電荷が注入される際、または電荷蓄積膜23に蓄積された電荷がチャネルボディ20へ拡散する際に電位障壁となる。トンネル絶縁膜24は、例えばシリコン酸化膜である。
あるいは、トンネル絶縁膜として、一対のシリコン酸化膜でシリコン窒化膜を挟んだ構造の積層膜(ONO膜)を用いてもよい。トンネル絶縁膜としてONO膜を用いると、シリコン酸化膜の単層に比べて、低電界で消去動作を行うことができる。
【0021】
電荷蓄積膜23に蓄積された電荷が電極層WLへ拡散することをブロック絶縁膜22が防止する。ブロック絶縁膜22は、例えば、電極層WLに接して設けられたシリコン窒化膜221とシリコン窒化膜221と電荷蓄積膜23との間に設けられたシリコン酸化膜222を有する。
シリコン酸化膜222よりも誘電率の高い膜であるシリコン窒化膜221を電極層WLに接して設けることで、消去時に電極層WLから注入されるバックトンネル電子を抑制することができる。すなわち、ブロック絶縁膜22として、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜を使うことで、電荷ブロッキング性を高めることができる。
【0022】
図2図3に示すように、第1の柱状部13aの上部側にドレイン側選択トランジスタSTDが設けられ、他方の下部側にソース側選択トランジスタSTSが設けられている。
メモリセルMC、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSは、積層体の積層方向(Z方向)に電流が流れる縦型トランジスタである。
【0023】
ドレイン側選択ゲートSGDは、ドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極(コントロールゲート)として機能する。ドレイン側選択ゲートSGDとチャネルボディ20との間には、ドレイン側選択トランジスタSTDのゲート絶縁膜として機能する絶縁膜26(図3参照)が設けられている。第1の柱状部13aに設けられた、ドレイン側選択トランジスタSTDのチャネルボディ20は、ドレイン側選択ゲートSGDの上方で、ビット線BLと接続されている。
ソース線SLのさらに下方には、層間絶縁層18内に第1のソース側配線層19aが設けられている。
【0024】
これら複数のメモリセルMC、ドレイン側選択トランジスタSTD、ソース側選択トランジスタSTSは、チャネルボディ20を通じて直列接続され、I字状の1つのメモリストリングMSを構成する。このメモリストリングMSがX方向及びY方向に複数配列されていることにより、複数のメモリセルMCがX方向、Y方向及びZ方向に3次元的に配置されている。
【0025】
図1は、第1のメモリセルアレイ10aにおけるX方向一端側の領域を示す。
第1のメモリセルアレイ領域28aの端部には、X方向に延びる電極層WLの一側端部からなる階段構造部29が形成されている。階段構造部29において、各電極層WLのX方向の端部位置は積層位置毎に階段状に並ぶように形成されている。
第1のメモリセルアレイ10aにおいては、第1面Sa1に一番近い位置の電極層WLの端部がX方向に沿って最も長く、第1面Sa1から離れた位置に形成されている電極層WLの端部ほど、徐々に短くなるように形成されている。従って、階段構造部29は、その傾斜部29aを第2面Sa2側に向けるように形成されている。
図1では第1のメモリセルアレイ10aのX方向一端側領域のみ記載されているが、第1のメモリセルアレイ10aのX方向他端側領域にも同様な構造の階段構造部が形成されている。
【0026】
X方向他端側領域の階段構造部の記載が図1では略されているが、この階段構造部においても、第1面Sa1に一番近い位置の電極層WLの端部がX方向に沿って最も長く、第1面Sa1から離れた位置に形成されている電極層WLの端部ほど、徐々に短くなるように形成されている。従って、記載を略した側の階段構造部も、その傾斜部を第2面Sa2側に向けるように形成されている。
なお、メモリセルアレイ領域28aに形成されている複数の電極層WLは、図1に示すX方向一端側と、図1では記載を略したX方向他端側の両方を合わせると、断面視台形状の輪郭をなすように配置されている。この断面視台形輪郭の斜辺に相当する位置に階段構造部29が形成されている。
換言すると、図1に示すメモリセルアレイ領域28aに形成されている複数の電極層WLとそれらの間に形成されている絶縁層を合わせて断面視台形状の輪郭を形成するように第1の積層体12aが構成されている。
【0027】
階段構造部29には、階段状に形成された各層の電極層WLと接続された複数のコンタクトプラグ30が設けられている。これらのコンタクトプラグ30は、層間絶縁層31を貫通して階段構造部29を構成する各電極層WLの端部側に接続されている。各電極層WLの端部側に接続されたコンタクトプラグ30は、第2面Sa2側に向かうように延在されている。
【0028】
階段構造部29において、選択ゲートSG(ドレイン側選択ゲートSGD、ソース側選択ゲートSGS)はコンタクトプラグ32に接続されている。これらコンタクトプラグ32も第2面Sa2側に向かうように延在されている。
電極層WLに接続されたコンタクトプラグ30は、ワード配線層33に接続されている。選択ゲートSGに接続されたコンタクトプラグ32は、選択ゲート配線層34に接続されている。ワード配線層33と選択ゲート配線層34は、第2面Sa2に近い同じレイヤーにおいて隣接するように設けられている。
【0029】
図1に示すように第1のメモリセルアレイ層200は基板を含んでいない。また、第1のソース線SLより第2面Sa2側にさらに第1のソース側配線層19aが設けられている。
ワード配線層33及び選択ゲート配線層34の少なくとも一部は、他の配線層やプラグによって、第2面Sa2に垂直な方向から見て第1のメモリセルアレイ領域28aの外側に、ワード線引出部35及び選択ゲート線引出部36として引き出される。第1のメモリセルアレイ領域28aの外側に引き出されたワード線引出部35及び選択ゲート線引出部36は、第1のメモリセルアレイ領域28aの外側に設けられた第1の信号線引出電極37aに接続されている。
【0030】
また、第1の柱状部13aのチャネルボディ20と第1のビット線16a及び第1のソース線17aは電気的に接続されている。さらに、第1のビット線16a及び第1のソース線17aの少なくとも一部も同様に、他の配線層やプラグによって、第2面Sa2に垂直な方向から見て第1のメモリセルアレイ領域28aの外側に、第1のビット線引出部及び第1のソース線引出部として引き出される(図示略)。第1のメモリセルアレイ領域28aの外側に引き出された第1のビット線引出部及び第1のソース線引出部は、第1のメモリセルアレイ領域28aの外側に設けられた第1の信号線引出電極37aに接続されている。
【0031】
第1のメモリセルアレイ層200の第1面Sa1及び第2面Sa2には、第1の表面配線層38a及び第2の表面配線層39aが設けられている。第1の表面配線層38aと第2の表面配線層39aは、それぞれ第1面Sa1及び第2面Sa2に埋め込まれており、図示を略した層間絶縁層から表面が露出している。
ここで、例えば、第1の信号線引出電極37aは、第1のメモリセルアレイ層200の第1面Sa1及び第2面Sa2にそれぞれ設けられた第1の表面配線層38a及び第2の表面配線層39aに電気的に接続されている。第1の信号線引出電極37a、第1の表面配線層38a及び第2の表面配線層39aは、第1のメモリセルアレイ層200をZ方向に貫通している。
【0032】
図1に示すように、第1のメモリセルアレイ領域28aの外側に、第1の外部接続電極40aが設けられている。すなわち、第1の外部接続電極40aは、メモリセルアレイにおける階段構造部29よりもさらに外側の領域に設けられている。
第1の外部接続電極40aは、第1のメモリセルアレイ層200の第1面Sa1及び第2面Sa2にそれぞれ設けられた第1の表面配線層38a及び第2の表面配線層39aに電気的に接続されている。第1の表面配線層38a及び第2の表面配線層39aは、それぞれ第1面Sa1及び第2面Sa2に埋め込まれており、図示略の層間絶縁層から表面が露出している。第1の外部接続電極40a、第1の表面配線層38a及び第2の表面配線層39aは第1のメモリセルアレイ層200をZ方向に貫通している。
【0033】
図1に示すように制御回路層100は回路用基板1上に設けられている。制御回路層100の回路用基板1は、例えばシリコン基板である。制御回路層の回路用基板1の回路形成面には、制御回路1Aが形成されている。制御回路1Aとしては、トランジスタを含む集積回路として形成されている。トランジスタとしては、ゲート電極、ソース/ドレイン領域などを有するMOSFET構造を有する。MOSFETのソース/ドレイン領域は、他の配線層やプラグによって、回路側接続電極41に接続されている。回路側接続電極41は、制御回路層100の回路形成面に設けられた第1の回路側表面配線層42に電気的に接続されている。第1の回路側表面配線層42は、回路形成面に埋め込まれており、図示略の層間絶縁層から表面が露出している。また、第1の回路側表面配線層42に隣接するように第2の回路側表面配線層43が設けられており、第2の回路側表面配線層43は第1のメモリセルアレイ層200側の第1の表面配線層38aに接続されている。第2の回路側表面配線層43は、回路形成面に埋め込まれており、図示略の層間絶縁層から表面が露出している。
【0034】
第2のメモリセルアレイ層300は、図1乃至図4に示した第1のメモリセルアレイ層200と同様の構成となっている。すなわち、第2のメモリセルアレイ層300は、図1における第3面(下面)Sb1と第3面と反対側の第4面(上面)Sb2を持ち、3次元構造の第2のメモリセルアレイ10bを有する。その他、第2のメモリセルアレイ層300において、第1のメモリセルアレイ層200と同様の構成については適宜説明を省略する。
【0035】
第2のメモリセルアレイ層300は基板を含んでいない。また、第2のソース線SLより第4面Sb2側にさらに第2のソース側配線層19bが設けられている。
第1のメモリセルアレイ層200と同様に、ワード配線層33及び選択ゲート配線層34の少なくとも一部は他の配線層やプラグによって、第3面Sb1に垂直な方向から見て第2のメモリセルアレイ領域28bの外側に、ワード線引出部35及び選択ゲート線引出部36として引き出される。第2のメモリセルアレイ領域28bの外側に引き出されたワード線引出部35及び選択ゲート線引出部36は、第2のメモリセルアレイ領域28bの外側に設けられた第2の信号線引出電極37bに接続されている。
【0036】
また、第2の柱状部13bのチャネルボディ20と第2のビット線BL及び第2のソース線SLは電気的に接続されている。さらに、第2のビット線BL及び第2のソース線SLの少なくとも一部は、他の配線層やプラグによって、第3面に垂直な方向から見て第2のメモリセルアレイ領域28bの外側に、第2のビット線引出部及び第2のソース線引出部として引き出される(図示略)。第2のメモリセルアレイ領域28bの外側に引き出された第2のビット線引出部及び第2のソース線引出部は、第2のメモリセルアレイ領域28bの外側に設けられた第2の信号線引出電極37bに接続されている。なお、第2のメモリセルアレイ領域28b内の構成は、第1のメモリセルアレイ層200のメモリセルアレイ領域28aの構成と同じであるので適宜符号の記載と説明を省略する。
【0037】
なお、第2のメモリセルアレイ領域28b内の構成は、第1のメモリセルアレイ領域28a内の構成と同じであるが、上下が反転された構成となっている点が異なる。
第1のメモリセルアレイ領域28aに形成されている複数の電極層WLは、先に説明したように、図1に示すX方向一側と、図1では記載を略したX方向他側の両方を合わせると、断面視台形状の輪郭を形成するように配置されている。
【0038】
これに対し、第2のメモリセルアレイ領域28bに形成されている複数の電極層WLは、図1に示すX方向一端側と、図1では記載を略したX方向他端側の両方を合わせると、断面視において倒立した台形状の輪郭を形成するように配置されている。従って、第2のメモリセルアレイ領域28bに形成されている階段構造部29の傾斜部29aは第3面Sb1に向けられている。
換言すると、図1に示すメモリセルアレイ領域28bに形成されている複数の電極層WLとそれらの間に形成されている絶縁層を合わせて断面視において倒立した台形状の輪郭を形成するように積層体12aが配置されている(なお、倒立した台形状とは、第1のメモリセルアレイ領域28aに形成されている複数の電極層WLが形成する台形状に対して倒立していることを意味する)。
【0039】
第2のメモリセルアレイ層300の第3面Sb1及び第4面Sb2には、第3の表面配線層38b及び第4の表面配線層39bが設けられている。第3の表面配線層38b及び第4の表面配線層39bは、それぞれ第3面Sb1及び第4面Sb2に埋め込まれており、図示しない層間絶縁層から表面が露出している。ここで、第2の信号線引出電極37bは第2のメモリセルアレイ層300の第3面Sb1及び第4面Sb2にそれぞれ設けられた第3の表面配線層38b及び第4の表面配線層39bに電気的に接続されている。第2の信号線引出電極、第3及び第4の表面配線層は、第2のメモリセルアレイ層300をZ方向に貫通している。
【0040】
また、図1に示すように第2のメモリセルアレイ領域28bの外側に、第2の外部接続電極40bが設けられている。すなわち、第2の外部接続電極40bは、メモリセルアレイにおける階段構造部29よりもさらに外側の領域に設けられている。第2の外部接続電極40bは、第2のメモリセルアレイ層300の第3面Sb1及び第4面Sb2にそれぞれ設けられた第3の表面配線層38b及び第4の表面配線層39bに電気的に接続されている。第3の表面配線層38b及び第4の表面配線層39bは、それぞれ第3面Sb1及び第4面Sb2に埋め込まれており、図示しない層間絶縁層から表面が露出している。第2の外部接続電極40b、第3の表面配線層38b及び第4の表面配線層39bは第2のメモリセルアレイ層300をZ方向に貫通している。第4の表面配線層39bのうち、第2の外部接続電極40bに電気的に接続された表面配線層39bの上に、外部接続パッド52が設けられている。
【0041】
図1に示すように、第1面Sa1に設けられた第1の表面配線層38aは、回路形成面に設けられた第1、第2の回路側表面配線層42、43と貼り合され、接合されている。第1の表面配線層38a及び第1、第2の回路側表面配線層42、43は、例えば銅または銅を主成分とする銅合金からなる。第1の表面配線層38a及び第1の回路側表面配線層42の周囲には絶縁層(図示略)が設けられている。絶縁層は、例えば無機膜、樹脂膜などである。
第1のメモリセルアレイ層200と制御回路層100は第1の表面配線層38a及び第1、第2の回路側表面配線層42、43を介し、電気的に接続されている。
【0042】
また、図1に示すように、第2面Sa2に設けられた第2の表面配線層39aは、第3面Sb1に設けられた第3の表面配線層38bと貼り合され、電気的に接合されている。第2の表面配線層39a及び第3の表面配線層38bは、例えば銅または銅を主成分とする銅合金からなる。第2面に設けられた第2の表面配線層39a及び第3面Sb1に設けられた第3の表面配線層38bの周囲には絶縁層(図示略)が設けられている。この絶縁層は、例えば無機膜であり、シリコン窒化膜を含む。
【0043】
第1のメモリセルアレイ層200と第2のメモリセルアレイ層300は、第2の表面配線層39a及び第3の表面配線層38bを介し、電気的に接続されている。
第1のメモリセルアレイ層200の第2面Sa2と、第2のメモリセルアレイ層300の第3面Sb1が張り合わされているので、第2面Sa2と第3面Sb1の境界面が積層境界面bsとされる。
また、第1のメモリセルアレイ層200の階段構造部29は、その傾斜部29aを積層境界面bsに向けて積層され、第2のメモリセルアレイ層300の階段構造部29は、その傾斜部29bを積層境界面bsに向けて積層されていることとなる。
【0044】
先に説明した通り、第1のメモリセルアレイ層200に形成されているワード線引出部35、選択ゲート線引出部36などは、第1のメモリセルアレイ層200において第2面Sa2に近い側のレイヤーに形成されていた。これに対し、第2のメモリセルアレイ層300に形成されているワード線引出部35、選択ゲート線引出部36などは、第2のメモリセルアレイ層300において第3面Sb1に近い側のレイヤーに形成されている。
【0045】
なお、配線層の周囲の絶縁層が無機膜の場合、接合面において配線層同士の接合を行うとともに、無機膜同士の水素接合を利用した接合を行うことができる。よって、絶縁層として無機膜を用いると、接合面の隙間が生じにくいため、樹脂膜を用いたアンダーフィルを行う必要がなくなるという点で好ましい。
【0046】
「半導体記憶装置の製造方法」
図1図4に示す構成の半導体記憶装置SMDは、図5に示すような円板状の半導体基板(半導体ウエハ)Wに対し複数の配線や回路、絶縁層、電極層などを形成した領域を碁盤の目状に区切った複数の領域に各々形成し、この基板Wを複数枚用意する。そして、それぞれの半導体基板Wを貼り合わせ、貼り合わせ後に碁盤の目状に配置した領域を区画する切断線CL…CL(nは任意整数)および切断線SL…SL(nは任意整数)に沿って切断することにより図1図4に示す半導体記憶装置SMDを複数製造することができる。
以下の説明では、図面と説明を簡略化するため、1枚の基板に1つの半導体記憶装置SMDを形成する場合を想定し、半導体記憶装置SMDの製造方法について説明する。
【0047】
前述の半導体記憶装置SMDを製造するには、図6に示すような第1の基板60の一面に第1のメモリセルアレイ層200を形成した第1のウエハ61と、第2の基板62の一面に第2のメモリセルアレイ層300を形成した第2のウエハ63を用意する。そして、第1のメモリセルアレイ層200の絶縁層200Aとメモリセルアレイ層300の絶縁層300Aどうしを対向させて第1の基板60と第2の基板62を図6に示すように貼り合わせる。基板60と基板62を貼り合わせる場合、第2の表面配線層39aと第3の表面配線層38bが接合するように貼り合わせる。図6以降の図では図面を見やすくするために絶縁層200A、300Aの部分は白抜き図として略記している。
【0048】
第1の基板60と第2の基板62は、いずれも円板状の基板であり、その外周縁の角部は面取加工されているので、適切な曲率を有し、角が丸く加工されたアール部60a、62aが形成されている。
これらのアール部60a、62aに対し第1のメモリセルアレイ層200、第2のメモリセルアレイ層300などの絶縁層の周縁部が成膜されるので、アール部60a、62a上にもこれら絶縁層の周縁部65、66が被覆されている。
【0049】
図6に示すように第1の基板60と第2の基板62を貼り合わせた状態の部分拡大断面を図9に示す。
図9に示すように第1の基板60と第2の基板62を貼り合わせる場合、第1の基板60側の第2の表面配線層39aと第2の基板62側の第3の表面配線層38bを位置合わせして貼り合わせ、配線層どうしを電気的に接合する。なお、図9に示す第1の基板60においては、第1の基板60の一面上に絶縁層50を介し第1のメモリセルアレイ層200が形成され、第2の基板62の一面上に絶縁層50を介し第2のメモリセルアレイ層300が形成されている。
【0050】
第1の基板60上に第1のメモリセルアレイ層200を形成する工程と、第2の基板62上に第2のメモリセルアレイ層300を形成する工程は同等の工程であるが、両アレイ層200、300を構成する要素は上下が反転された構成である。
このため、第1の基板60に第1のメモリセルアレイ層200を形成する場合、第1のメモリセルアレイ10aに形成するソース線SLを第1の基板60に近い側に形成するように複数の配線や回路、絶縁層、電極層などが形成される。第2の基板62に第2のメモリセルアレイ層300を形成する場合、第2のメモリセルアレイ10bに形成するソース線SLは第2の基板62に近い側に形成するように複数の配線や回路、絶縁層、電極層などが形成される。
【0051】
図9では、第1の基板60の第1のメモリセルアレイ層200上に、上下を反転させた第2の基板62の第2のメモリセルアレイ層300を重ねた状態を示すため、各メモリセルアレイ層200、300に形成されている階段構造部29も絶縁層200A、300Aを介し互いに向き合う方向に形成されている。
従って、第1の基板60と第2の基板62を貼り合わせた面が積層境界面bsであり、第1のメモリセルアレイ層200において積層境界側の面が第2面Sa2となり、第2のメモリセルアレイ層300において積層境界側の面が第3面Sb1となる。
【0052】
図6に示すように第1の基板60と第2の基板62を貼り合わせた後、図7に示すように第2の基板62の周縁部を研削除去するトリム加工を施す。
トリム加工では、貼り合わせた第2の基板62の周縁部62bから該周縁部62bに対向する第1の基板60の周縁部60bにかけて、第2の基板62の周縁部62bと、第1の基板60の周縁部60bを所定幅に渡り両基板間の絶縁層を含めて除去する。このトリム加工では、第2の基板62の周縁部62bについては、その厚さ方向全部を除去する。第1の基板60の周縁部60bでは、その厚さ方向の一部(数分の一程度)を除去する。周縁部60bの除去幅と、周縁部62bの除去幅は同等として対応幅を除去する。
トリム加工により、第1の基板60の周縁部60bの上面側に周段部形状の第1のトリム部60dを形成できるとともに、第2の基板62の外周部にはアール部を有していない外周面とした第2のトリム部62dを形成できる。また、第1の基板60側の第1のメモリセルアレイ層200の周囲に第1のアレイ層トリム部60fを形成し、第2の基板62側の第2のメモリセルアレイ層300の周囲に第2のアレイ層トリム部62fを形成できる。
【0053】
トリム加工により除去する幅は、第1の基板60と第2の基板62のアール部60a、62aが形成されている領域を少なくとも除去できる幅とする。この除去幅が大き過ぎると、実際の製造工程において、図5に示すように半導体基板Wに複数形成されている碁盤目状に配置した領域の外側の領域を除去する面積が大きくなる。この除去する領域に形成されているメモリセルアレイ層は廃棄対象となるため、トリム除去幅が大きいと1枚の基板から製造できるメモリセルアレイ層の数が減り、歩留まりが低下する。
【0054】
次に、第1の基板60に対し第1のメモリセルアレイ層200を形成した側と反対側の面から研削加工を行って第1の基板60の残余部分を除去する。第1のメモリセルアレイ層200から第1の基板60を除去した状態の部分拡大断面を図10に示す。
図10は、第1のメモリセルアレイ層200を形成した側の第1の基板60を除去し、更に絶縁層50を除去した状態を示す。
図10に示す状態から、第1のメモリセルアレイ層200に形成されている第1の外部接続電極40aに接続する第1の表面配線層38aを形成し、第1の信号線引出電極37aに接続する第1の表面配線層38aを形成する。
【0055】
この後、別途用意した第3の基板68上に制御回路層100を備えた第3のウエハ70を用意し、図8に示すように、第1のメモリセルアレイ層200と制御回路層100を張り合わせにより接続する。
制御回路層100の上面側には、図1に示す第1の回路側表面配線層42と第2の回路側表面配線層43が形成されている。このため上述の貼り合わせにより、図11に示すように第1の回路側表面配線層42を一方の第1の表面配線層38aに接続し、第2の回路側表面配線層43を他方の第1の表面配線層38aに接続することができる。
【0056】
図11に示すように第2のメモリセルアレイ層300と制御回路層100を貼り合わせることで図1に近い積層構造を得ることができる。
図11に示す積層構造から、第2の基板62と絶縁層50を研削により除去し、外部接続パッド52を形成すると、図1に示す構造を得ることができる。
【0057】
図6図11を用いて以上説明したように半導体記憶装置SMDを製造する製造方法を採用すると、第1のウエハ61と第2のウエハ63を貼り合わせてから1回のトリム工程により、第1のウエハ61と第2のウエハ63にトリム部60d、62dを形成できる。
これに対し、以下に説明する比較例の製造方法によると、トリム工程を2回行う必要が生じる。
【0058】
「比較例の製造方法」
比較例の製造方法では、第3の基板68上に制御回路層100を備えた第3のウエハ70を最初に用意し、図12に示すように、第1のメモリセルアレイ層200Mを第1の基板60の一面に備えた第1のウエハ61と貼り合わせて接合する。貼り合わせる直前の第3のウエハ70と第1のウエハ61の部分拡大断面を図15に示し、貼り合わせた後の第3のウエハ70と第1のウエハ61の部分拡大断面を図16に示す。
なお、第1のメモリセルアレイ層200Mは、先の実施形態と異なり、第2のメモリセルアレイ層300の構造と上下反転構造ではなく、第2のメモリセルアレイ層300の構造と同等の構造とする。
【0059】
なお、第1のウエハ61は予め第1のトリム加工を施し、第1の基板60の周縁部に第1のトリム部60eを形成しておく。
また、図13に示すように第2の基板62の一面に第2のメモリセルアレイ層300を形成した第2のウエハ63を用意し、第2の基板62の周縁部に第2のトリム加工を施し、周段部形状の第2のトリム部62eを形成しておく。
【0060】
この後、図12に示す第1の基板60を上面側から研削して除去し、第1のメモリセルアレイ層200を露出させる。ここで、先のトリム加工を施して第1のトリム部60eを形成するのは以下の理由による。
図12に示す第1の基板60を上面側から研削して第1の基板60の厚さを減じてゆく場合、仮に、第1のトリム部60eを形成していない基板周縁部にアール部を備えたままの基板であると、第1の基板60の研削最終段階において、基板外周縁部にナイフエッジ形状の尖鋭な周縁部が残留する。このナイフエッジ形状の周縁部は、基板研削工程の最終段階において折損するか、基板に割れを生じさせるおそれがある。研削工程において基板周縁部から折損部を生じると、折損部が研削具と基板との間に侵入し、基板表面を傷付けるおそれがある。このため、第1の基板60に第1のトリム部60eを形成する必要がある。
【0061】
図12に示す第1の基板60を研削して除去し、第1のメモリセルアレイ層200Mを露出させたならば、図13に示した第2の基板62に形成されている第2のメモリセルアレイ層300を図14に示すように第1のメモリセルアレイ層200Mに貼り合わせる。張り合わせにより第1のメモリセルアレイ層200Mの第2の表面配線層39aと第2のメモリセルアレイ層300の第3の表面配線層38bを電気的に接合する。
【0062】
図14に示すように第3のウエハ70上の第1のメモリセルアレイ層200に対し、第2のメモリセルアレイ層300を貼り合わせた後、第2の基板62を研削して除去し、第2のメモリセルアレイ層300を露出させる必要がある。
ここで、第2の基板62を研削して除去する研削工程最終段階においては、先に説明した第1の基板60を研削する場合と同様に、基板周縁部にナイフエッジ形状の周縁部が残留するおそれがある。このため、第2の基板62にも第2のトリム部62eを形成する必要がある。
【0063】
図14に示す状態から、第2の基板62を除去すると第2のメモリセルアレイ層300を露出させることができるので、第2のメモリセルアレイ層300の絶縁層上に外部接続パッド52を形成すると図17に示す半導体記憶装置SMD#を得ることができる。
図17に示す構造は、第1のメモリセルアレイ層200Mの階段構造部29の向きが基板1側(-Z方向側)に向いている以外は、先に説明した実施形態の第1のメモリセルアレイ層200の構造と同等である。
【0064】
比較例の製造方法により得られた図17に示す半導体記憶装置SMD#であっても、図1に示す半導体記憶装置SMDと同様、データの消去・書き込みを電気的に自由に実施でき、電源を切っても記憶内容を保持できる不揮発性半導体記憶装置となっている。
しかし、半導体記憶装置SMD#を製造するためには、前述の如くトリム加工を2回行う必要がある。トリム加工は、基板を研削により除去する工程であり、基板を研削するには時間を要し、煩雑な工程であるため、トリム加工を2回から1回に減少できることは、半導体記憶装置SMDの製造工程において大きな省力効果を得たこととなる。
【0065】
基板の周縁部をトリム加工する場合、必然的に基板周縁部のトリム加工領域のメモリセルアレイ層は廃棄対象となる。このため、2回のトリム加工が必要な製造方法に対し、1回のトリム加工で済む製造方法の方が廃棄対象のメモリセルアレイ層を削減できるようになる。このことは、1枚の基板から製造できる半導体記憶装置SMDの個数を増加できることとなるので、生産効率の向上となる。
【0066】
また、図14に示す比較例の製造方法の場合、制御回路層100を備えた第3のウエハ70を用意し、第3のウエハ70上の第1のメモリセルアレイ層200に対し、第2のメモリセルアレイ層300と張り合わせにより接続する場合、張り合わせ面に段差dを生じる。
この段差dは、図12に示す第1の基板60の周縁部にトリム部60eを形成する場合のトリム幅と、図13に示す第2の基板62に第2のトリム部62eを形成する場合のトリム幅を変更していることに起因する。
トリム部60eのトリム幅よりトリム部62eのトリム幅が大きいということは、第2の基板62側に形成する第2のメモリセルアレイ層300において廃棄対象個数が増加することを意味する。
【0067】
先に図5に示したように1枚の円板状の半導体基板Wに対し複数の領域を設定し、領域毎に半導体記憶装置SMDを製造する場合、半導体基板Wの外周より若干内側に円形状の鎖線Lを示した。この鎖線Lと半導体基板Wの外周との間の領域がトリム部を形成する領域となる。鎖線Lで示す円が少しでも小さくなると、換言すると、トリム幅が大きくなると、廃棄対象となる第2のメモリセルアレイ層が増加することがわかる。
【0068】
これに対し、先の実施形態において説明した製造方法によると、図7に示すように第1のメモリセルアレイ層200を備えた第1の基板60に対し、第2のメモリセルアレイ層300を備えた第2の基板62を最初に貼り合わせる。この張り合わせの後、トリム部60d、62dを同時に形成するので、第1の基板60のトリム幅と第2の基板62のトリム幅を同一にできる。従って、第1の基板60と第2の基板62で廃棄対象とするメモリセルアレイ層の数を同じにできるので、比較例の製造方法より基板1枚当たりに製造できる半導体記憶装置SMDの個数を多くできる。
【0069】
また、比較例の製造方法では、図14に示すように第1のメモリセルアレイ層200Mと第3のメモリセル層300の間に段差dを有していた。これに対し、先の実施形態では、図8に示す張り合わせ構成の場合、第1のメモリセルアレイ層200と第3のメモリセルアレイ層300の間に段差を有していない構成にできる。
【符号の説明】
【0070】
MC…メモリセル、
MS…メモリストリング、
SMD…半導体記憶装置、
WL…電極層、
bs…積層境界面、
1…回路用基板、
10a…第1のメモリセルアレイ、
10b…第2のメモリセルアレイ
11…絶縁層、
12a…積層体、
13a…第1の柱状部、
14、15、18…層間絶縁層、
16a…第1のビット線、
17a…第1のソース線、
19a…第1のソース側配線層、
28a…第1のメモリセルアレイ領域、
28b…第2のメモリセルアレイ領域、
29…階段構造部、
29a、29b…傾斜部、
30、32…コンタクトプラグ、
38a…第1の表面配線層、
39a…第2の表面配線層、
38b…第3の表面配線層、
39b…第4の表面配線層、
42…第1の回路側表面配線層、
43…第2の回路側表面配線層、
60…第1の基板、
60a…アール部、
60d…第1のトリム部、
60f…第1のアレイ層トリム部、
61…第1のウエハ、
62…第2の基板、
62a…アール部、
62d…第2のトリム部、
62f…第2のアレイ層トリム部、
63…第2のウエハ、
68…第3の基板、
100…制御回路層、
200…第1のメモリセルアレイ層、
200A…絶縁層、
300…第2のメモリセルアレイ層、
300A…絶縁層。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図17