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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177079
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/02 20060101AFI20231206BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65B61/02
B65B57/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089782
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】清 圭佑
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA05
3E056BA14
3E056CA01
3E056DA01
3E056EA01
3E056FA01
3E056FA02
3E056GA04
(57)【要約】
【課題】運転効率を上げることができる包装装置を提供する。
【解決手段】製袋包装装置102は、フィルムFを搬送するフィルム供給ユニット6と、印刷ユニット7と、速度検出器80と、制御部110とを備えている。印刷ユニット7は、フィルムFにレーザー光を当てて、フィルムFを印刷する。速度検出器80は、フィルムFの搬送速度に関するデータを取得する。制御部110は、速度検出器80からのデータに基づいて、フィルムFを印刷するときの印刷ユニット7の動作を、フィルムFの搬送速度に連動させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムによって物品を包装する包装装置であって、
前記フィルムを搬送する搬送部と、
前記フィルムに光を当てて前記フィルムを印刷するレーザー印刷装置と、
前記フィルムの搬送速度に関する第1情報を取得する第1情報取得部と、
前記第1情報に基づいて、前記フィルムを印刷するときの前記レーザー印刷装置の動作を、前記フィルムの搬送速度に連動させる制御部と、
を備える包装装置。
【請求項2】
前記搬送部は、回転部材を有し、
前記第1情報取得部は、前記回転部材の回転数を前記第1情報として取得する、
請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記フィルムに接して前記フィルムの搬送に伴って回転する第1部材、
をさらに備え、
前記第1情報取得部は、前記第1部材の回転数を前記第1情報として取得する、
請求項1に記載の包装装置。
【請求項4】
前記第1部材は、前記レーザー印刷装置が印刷する前記フィルムの被印刷部の近傍において、前記フィルムに押し当てられる、
請求項3に記載の包装装置。
【請求項5】
前記レーザー印刷装置は、前記フィルムの印刷を開始するときの前記フィルムの搬送速度が、前記フィルムの印刷の途中で変化したときに、前記フィルムの搬送速度の変化に応じて前記フィルムの印刷の動作を変える、
請求項1から5のいずれかに記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1(特開2010-36933号公報)に示されているような包装装置が知られている。包装装置では、包材であるフィルムによって被包装物が包装される。また、包装装置は、フィルムに印刷を行う印刷装置を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
包装装置では、フィルムの搬送速度が変わることがある。フィルムへの印刷の品質を確保するため、従来の包装装置では、フィルムが止まっているとき、或いは、フィルムの搬送速度が変化しないときに印刷を行っている。
【0004】
しかし、フィルムへの印刷のタイミングに制約があると、包装装置の運転効率が落ちることがある。
【0005】
本発明の課題は、運転効率を上げることができる包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の包装装置は、フィルムによって物品を包装する包装装置であって、搬送部と、レーザー印刷装置と、第1情報取得部と、制御部とを備えている。搬送部は、フィルムを搬送する。レーザー印刷装置は、フィルムに光を当てて、フィルムを印刷する。第1情報取得部は、フィルムの搬送速度に関する第1情報を取得する。制御部は、第1情報に基づいて、フィルムを印刷するときのレーザー印刷装置の動作を、フィルムの搬送速度に連動させる。
【0007】
この包装装置では、レーザー印刷装置の動作がフィルムの搬送速度に連動するので、フィルムの搬送速度が変化するタイミングにおいても、印刷の品質を保ちながらフィルムを印刷することができる。したがって、従来の包装装置で存在していた印刷のタイミングの制約が無くなり、包装装置の運転効率を上げることが可能になる。
【0008】
第2観点の包装装置は、第1観点の包装装置であって、搬送部は、回転部材を有している。第1情報取得部は、回転部材の回転数を第1情報として取得する。
【0009】
ここでは、フィルムを搬送する搬送部の回転部材の回転数を、フィルムの搬送速度に関する第1情報として取得している。回転部材の回転数は、第1情報として信頼性が高い情報であり、この包装装置によれば、フィルムへの印刷の品質を高くすることができる。
【0010】
第3観点の包装装置は、第1観点の包装装置であって、第1部材をさらに備えている。第1部材は、フィルムに接して、フィルムの搬送に伴って回転する。第1情報取得部は、第1部材の回転数を第1情報として取得する。
【0011】
ここでは、フィルムに接する第1部材を設け、フィルムの搬送に伴って回転する第1部材の回転数を第1情報として取得している。この包装装置によれば、フィルムに接する第1部材を用いて直接的にフィルムの搬送速度に関する第1情報を得ているため、第1情報の信頼性が高くなり、フィルムへの印刷の品質を高くすることができる。
【0012】
第4観点の包装装置は、第3観点の包装装置であって、第1部材は、レーザー印刷装置が印刷するフィルムの被印刷部の近傍において、フィルムに押し当てられる。
【0013】
ここでは、フィルムの被印刷部の近傍に第1部材を配置し、その第1部材の回転数をフィルムの搬送速度に関する第1情報として取得している。この包装装置によれば、被印刷部の近傍のフィルムの搬送速度に連動するようにレーザー印刷装置の動作が制御されるため、フィルムへの印刷の品質を更に高くすることができる。
【0014】
第5観点の包装装置は、第1観点から第5観点のいずれかの包装装置であって、レーザー印刷装置は、フィルムの印刷を開始するときのフィルムの搬送速度が、フィルムの印刷の途中で変化したときに、フィルムの搬送速度の変化に応じてフィルムの印刷の動作を変える。
【0015】
ここでは、フィルムの印刷の途中でフィルムの搬送速度が変化したか否かを監視し、フィルムの搬送速度が変化すると、その変化に応じてフィルムの印刷の動作を変えている。この包装装置によれば、きめ細かくフィルムの印刷の動作が変わるため、フィルムへの印刷の品質を更に高くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る包装装置によれば、運転効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】製袋包装装置を含む計量製袋包装システムの外観図。
図2】製袋包装装置の主要構成を示す概略斜視図。
図3】製袋包装装置のフィルム供給ユニット、印刷ユニット、レーザー吸収板の近傍におけるフィルムの移動経路を示す図。
図4】計量製袋包装システムの制御ブロック図。
図5】フィルムへの印刷動作の制御フローを示す図。
図6】変形例Bにおけるエンコーダの配置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る製袋包装装置102及びその製袋包装装置102を含む計量製袋包装システム100について、図面を参照して以下に説明する。
【0019】
図1に、計量製袋包装システム100の外観斜視図を示す。計量製袋包装システム100は、計量装置101と、製袋包装装置102とから成るシステムである。計量製袋包装システム100は、下段に製袋包装装置102を配置し、上段に計量装置101を配置した構成であって、右側には、製袋包装装置102と計量装置101とを一体的に操作できるタッチパネル111および操作スイッチ類112が設けられている。
【0020】
計量装置101は、周知構成の組合せ計量機である。製袋包装装置102の包装の対象である物品は、例えばポテトチップス等のスナック菓子類で、それが計量装置101の中央上部に供給される。中央上部に供給された物品は、複数の放射経路に分散された後、各経路の終端に配置された複数のプールホッパ24を介して、下段の対応する計量ホッパ25に供給される。各計量ホッパ25で計量された物品の重量は、組み合わされて、一定重量の物品を形成する最適組合せの計量ホッパ25が選択される。選択された計量ホッパ25は、製袋包装装置102からの排出要求信号に基づいて、物品を集合シュート26に排出する。排出された物品は、集合シュート26の滑落中に縦列状態に長く伸びながら、製袋包装装置102の漏斗部材11を通って、チューブ12の内部空間に落ちていく。これらの一群の物品は、被包装物Cとして、チューブ12の内部空間を落下する。製袋包装装置102は、被包装物Cを筒状フィルムTF内に収納した後、その筒状フィルムTFの下端部分と先行する袋Bの上端部分を同時に横シールして製袋を行う(図2参照)。
【0021】
(1)製袋包装装置の全体構成
製袋包装装置102は、被包装物Cを袋詰めして商品を製造する包装ユニット5と、この包装ユニット5にフィルムFを供給するフィルム供給ユニット6と、印刷ユニット7(図3参照)と、速度検出器80(図3参照)と、各ユニット5,6,7の駆動部の動きや印刷の動作を制御する制御部110(図4参照)と、から構成されている。フィルム供給ユニット6は、包装ユニット5の成形機構13にシート状のフィルムFを供給するユニットで、包装ユニット5の後側に隣接して設けられている。印刷ユニット7は、フィルム供給ユニット6から包装ユニット5に供給されるフィルムFに印刷するためのユニットである。速度検出器80は、フィルム供給ユニット6から包装ユニット5に供給されるフィルムFの移動速度を、印刷ユニット7の近傍において計測する機器である。
【0022】
(2)包装ユニット
包装ユニット5は、シート状のフィルムFをチューブ状のフィルムTFに成形する成形機構13と、チューブ状に成形されたフィルム(筒状フィルムTF)を下方に搬送するプルダウンベルト機構14と、筒状フィルムTFの両端の重なり部分TF-1を前側で縦シールする縦シール機構15と、横シール機構17とを備える。横シール機構17は、筒状フィルムTFによって形成された袋Bを横シールして、袋Bの上端部分と後続の袋(筒状フィルムTF)の下端部分とを同時に熱シールする。また、包装ユニット5は、外周にチューブ状のフィルムFを巻きつけながら、被包装物Cを筒状フィルムTF内に案内するチューブ12を有している。
【0023】
(2-1)成形機構
成形機構13は、チューブ12と、チューブ12の下部を取り囲むように配置されているフォーマ13aとから成る。フォーマ13aは、シート状のフィルムFをチューブ12の周囲に巻きつかせるような形状をしている(図2参照)。フィルム供給ユニット6に保持されているフィルムロールFRから繰り出されてきたシート状のフィルムFは、フォーマ13aとチューブ12との隙間を通るときに筒状に成形され、フィルムFの上面が筒状フィルムTFの内周面となり、フィルムFの下面が筒状フィルムTFの外周面となる。
【0024】
(2-2)プルダウンベルト機構
チューブ12の左右両側に配置される一対のベルト14cを有するプルダウンベルト機構14は、チューブ12に巻き付いた筒状フィルムTFを吸着して下方に搬送する機構である。図2に示すように、チューブ12を挟んで一対のベルト14cが設けられている。プルダウンベルト機構14では、吸着機能を有するベルト14cを駆動ローラ14aおよび従動ローラ14bによって回し、筒状フィルムTFを下方に移動させる。図2においては、駆動ローラ14a等を回転させるローラ駆動モータの図示を省略している。
【0025】
プルダウンベルト機構14は、フィルム供給ユニット6とともに、フィルムFを搬送する搬送部として機能する。
【0026】
(2-3)縦シール機構
縦シール機構15は、筒状フィルムTFの両端の重なり部分TF-1を、一定の圧力でチューブ12に押しつけながら加熱シールするものである。縦シール機構15は、ヒーターブロックと、その周りを筒状フィルムTFと同期走行する金属ベルトとで構成されている。
【0027】
(2-4)横シール機構
横シール機構17は、チューブ12の中を通って筒状フィルムTFの中に被包装物Cが落下してきた状態で、筒状フィルムTFを横シールして、被包装物Cが充填された袋Bを形成する。横シール機構17は、ヒーターを内蔵する一対のシールジョー51と、この一対のシールジョー51を筒状フィルムTFに対して互いに近接離反させる図示しない駆動機構とで構成される。一方のシールジョー51には、図示しないカッターが内蔵され、これを作動させて、筒状フィルムTFの下端の袋Bと後続の筒状フィルムTFとの間を上下に分離する。
【0028】
(3)フィルム供給ユニット
フィルムFを搬送する搬送部として機能するフィルム供給ユニット6は、主として、フィルムロール保持部60aと、フィルムFをガイドするローラ61a~61g,65a,65bとを有している。
【0029】
フィルムロール保持部60aは、袋Bの材料(包材)であるシート状のフィルムFが巻かれたフィルムロールFRを保持する軸である。図3に示すように、フィルムロール保持部60aは、製袋包装装置102のフィルムFの搬送経路において、最上流に配置されている。フィルムロール保持部60aは、ロール駆動モータ(図示せず)が作動することによって回転させられる。フィルムロール保持部60aが回転すると、フィルムロールFRからフィルムFが繰り出される。フィルムロールFRから引き出されたフィルムFは、図3に示すように各ローラ61a~61g,65a,65bによってガイドされ、成形機構13へと搬送される。
【0030】
ローラ61a~61g,65a,65bのうち、ローラ65a,65bは、フィルムFに作用する張力の大きさを調整する役割を果たす。ローラ65a,65bは、アーム63の2つの先端部に軸支されており、その軸が、アーム63の回転に従って移動する。アーム63は、フレームに固定されている回転軸63aを支点として回動する。
【0031】
(4)印刷ユニットおよびレーザー吸収板
印刷ユニット7は、レーザー光を連続して発振しながら、レーザー光のスポットを移動させ、フィルムFの印刷層を発光させて印刷を行う。印刷ユニット7は、主として、レーザー照射器71と、ミラー駆動モータ72を含む光学機構と、データ記憶部73とを有している(図4参照)。レーザー照射器71は、レーザー光を発する。光学機構は、そのミラー駆動モータ72が、後述する印刷データに基づいて制御部110によって制御される。光学機構に含まれるミラーは、レーザー照射器71からのレーザー光の向きを変えて、レーザー光に所定の軌跡を描かせる。データ記憶部73は、印字などに関する印刷データを記憶している。印刷データは、フィルムFに印刷するために予め設定されているデータであって、外部入力される、あるいは、タッチパネル111などから入力されるデータである。印刷データは、印刷のためのレーザー光のスポットの軌跡を含んでいる。
【0032】
印刷ユニット7は、ローラ61eとローラ61fとの間に掛け渡されているフィルムFの被印刷部F-1に対して、レーザー光が後側から前側に向けて照射されるように配置されている(図3および図6参照)。
【0033】
レーザー吸収板79は、印刷ユニット7と対になる部材であり、鉛直方向に延びるフィルムFの被印刷部F-1を挟んで印刷ユニット7と逆側に配置されている(図3参照)。レーザー吸収板79は、印刷ユニット7から照射されたレーザー光が反射、拡散することを抑制するために設けられている。
【0034】
(5)速度検出器
フィルムFの搬送速度に関する計測を行う速度検出器80は、図3に示すように、フィルムFに接するホイール81を有している。回転体であるホイール81は、図示しないバネ部材によって、レーザー吸収板79に押し付けられる。これにより、ホイール81は、フィルムFに押し付けられた状態になって、フィルムFの移動に伴って回転する。ホイール81は、印刷ユニット7が印刷するフィルムFの被印刷部F-1の近傍において、フィルムFに押し当てられている。具体的には、フィルムFの被印刷部F-1の右側(図3の手前側)の部分に、ホイール81が配置されている。
【0035】
速度検出器80は、ホイール81の回転数を測定し、その測定データを出力する機器である。速度検出器80は、フィルムFの搬送速度に関する測定データを、制御部110に送る。すなわち、速度検出器80は、フィルムFの搬送に伴って回転するホイール81の回転数を測定データとして取得し、その測定データを制御部110に送る。
【0036】
(6)制御部
以下に、製袋包装装置102を制御する制御部110について説明する。制御部110は、上述のように計量装置101の制御部を兼ねている。
【0037】
図4は、計量製袋包装システム100の制御に関係するブロック図である。制御部110は、計量装置101と製袋包装装置102を個別にあるいは一体的に制御するもので、コンピュータにより実現されるものである。制御部110は、制御演算装置と記憶装置とを備える。制御演算装置には、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0038】
制御部110は、タッチパネル111等で設定されたパラメータや運転条件に従って、包装ユニット5およびフィルム供給ユニット6の各駆動部を制御する。また、制御部110は、計量装置101のフィーダ、プールホッパ24、計量ホッパ25などを制御する。具体的には、制御部110は、計量装置101と製袋包装装置102に装備される各種センサから必要な情報を取り込み、その情報に基づいて各種制御を行う。また、制御部110は、速度検出器80からの測定データを受けて、フィルムFを印刷するときの印刷ユニット7の動作を、フィルムFの搬送速度に連動させて制御する。
【0039】
(7)製袋包装装置の動作
(7-1)全体の概略動作
以下に示す各動作は、制御部110が各機構、各部を制御することによって実行される動作である。
【0040】
図2に示すように、シート状のフィルムFは、成形機構13で筒状に成形された後、チューブ12の周囲に巻かれて筒状フィルムTFに形成される。チューブ12に巻かれた筒状フィルムTFは、その両サイドに配置された一対のベルト14cによって、連続的にあるいは間欠的に引き下げられる。筒状フィルムTFの両側縁部の合わせ目(重なる部分TF-1)は、縦シール機構15で縦シールされる。筒状フィルムTFは、横シール機構17で横シールされて、袋Bの上部シール部と、後続の袋B(筒状フィルムTF)の下部シール部とが形成される。
【0041】
(7-2)印刷ユニットの印刷動作
制御部110による、印刷ユニット7の印刷動作の制御フローを、図5に示す。
【0042】
フィルムFが連続的に或いは間欠的に搬送され、フィルムFのうち印刷が必要な被印刷部F-1が印刷ユニット7に対向する位置に来ると、ステップS11において、被印刷部F-1が印刷開始位置に来たと判定され、ステップS12に移る。
【0043】
ステップS12では、速度検出器80が送ってきている測定データを取得し、その測定データに基づいて制御部110がフィルムFの搬送速度を演算する。ステップS13では、演算して求めたフィルムFの搬送速度に基づいて、ミラー駆動モータ72の動作速度を決定する。ステップS13で決定するミラー駆動モータ72の動作速度は、印刷データが示すレーザー光の軌跡を描く際の基準となる基準動作速度であって、フィルムFの搬送速度が遅ければ遅い速度、フィルムFの搬送速度が速ければ速い速度、に設定される。
【0044】
ステップS14では、データ記憶部73が記憶している印刷データに基づいて、レーザー照射器71によるレーザー発振と、ミラー駆動モータ72のミラー駆動とが、制御部110によって制御される。
【0045】
フィルムFが間欠的に搬送されており、印刷開始から印刷終了までフィルムFが移動しないときには、フィルムFの搬送速度はゼロであり、ステップS16では、常に、フィルム搬送速度の変化が無いという判定になる。ステップS15で印刷ユニット7によるフィルムFへの印刷が終了したと判定されると、一旦フローが終了する。その後、次のフィルムFの被印刷部F-1が印刷開始位置に来たか否かを監視するため、次の印刷動作制御フローが開始される。
【0046】
フィルムFが連続的に搬送されており、印刷開始から印刷終了までフィルムFが移動し続けるときには、フィルムFの搬送速度は、一定、或いは、変化する。ステップS16では、速度検出器80の測定データに基づいて、フィルムFの搬送速度に変化があったか否かが判定される。フィルムFの搬送速度に変化があれば、ステップS13に戻って、変化後のフィルムFの搬送速度に基づいて、ミラー駆動モータ72の基準の動作速度が再設定される。新たに設定されたミラー駆動モータ72の基準の動作速度を用いて、ステップS14では、レーザー発振およびミラー駆動の制御が行われる。すなわち、印刷ユニット7は、フィルムFの印刷を開始するときのフィルムFの搬送速度が、フィルムFの印刷の途中で変化したときに、フィルムFの搬送速度の変化に応じてフィルムFの印刷の動作を変えることになる。
【0047】
なお、フィルムFが連続的に搬送されている場合も、ステップS15で印刷ユニット7によるフィルムFへの印刷が終了したと判定されると、一旦フローが終了する。その後、次のフィルムFの被印刷部F-1が印刷開始位置に来たか否かを監視するため、次の印刷動作制御フローが開始される。
【0048】
(8)特徴
従来の包装装置では、フィルムの搬送速度の変化によって、印刷の品質が落ちることがある。このため、従来の包装装置では、フィルムが止まっているとき、或いは、フィルムの搬送速度が変化しないときに印刷を行っている。
【0049】
また、縦ピロー型の製袋包装装置において、従来、印刷装置としてサーマルプリンタが多用されている。そして、フィルムが連続的に搬送される連続製袋モードと、フィルムが間欠的に搬送される間欠製袋モードとを切り替えることができる製袋包装装置の場合、サーマルプリンタと対になって設けられるゴム製の部材(ボード又はローラ)を、モードの切り替えに合わせて取り替える必要がある。このことが、包装装置の運転効率の低下を招いている。
【0050】
これらの従来の包装装置における問題は、本実施形態の製袋包装装置102によって解消することができる。
【0051】
(8-1)
本実施形態の製袋包装装置102では、レーザー印刷装置である印刷ユニット7の動作が、フィルムFの搬送速度に連動する(図5のステップS16およびステップS13を参照)。このため、フィルムFの搬送速度が変化するタイミングであっても、印刷の品質を保ちながらフィルムFを印刷することができる。したがって、従来の包装装置で存在していた印刷のタイミングの制約が無くなり、製袋包装装置102の運転効率は、従来の包装装置よりも良くなる。
【0052】
(8-2)
本実施形態の製袋包装装置102では、速度検出器80において、フィルムFに接するホイール81を設け、フィルムFの搬送に伴って回転するホイール81の回転数を測定データとして取得している。この製袋包装装置102によれば、フィルムFに接するホイール81を用いて直接的にフィルムFの搬送速度に関する測定データを得ているため、測定データの信頼性が高く、フィルムFへの印刷の品質を高く保つことができる。
【0053】
(8-3)
本実施形態の製袋包装装置102では、フィルムFの被印刷部F-1の近傍にホイール81を配置し、そのホイール81の回転数をフィルムFの搬送速度に関する測定データとして取得している。この製袋包装装置102によれば、被印刷部F-1の近傍のフィルムFの搬送速度に連動するように印刷ユニット7の動作が制御されるため、フィルムFへの印刷の品質が非常に高くなる。
【0054】
(8-4)
本実施形態の製袋包装装置102では、図5のステップS16に示すように、フィルムFの印刷の途中でフィルムFの搬送速度が変化したか否かを監視し、フィルムFの搬送速度が変化すると、その変化に応じてフィルムFの印刷の動作を変えている(図5のステップS13およびステップS14を参照)。この製袋包装装置102によれば、フィルムFの搬送速度に連動して、きめ細かくフィルムFの印刷の動作が変わるため、フィルムFへの印刷の品質が、印刷開始に近い時間帯でも印刷終了に近い時間帯でも、非常に高くなる。
【0055】
(9)変形例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0056】
(9-1)変形例A
上記実施形態の製袋包装装置102では、制御部110を、計量装置101と製袋包装装置102とで共通のものとしているが、各装置に個別に制御部を配備してもよい。また、包装ユニット5、フィルム供給ユニット6および印刷ユニット7が全て制御部110によってコントロールされる構成に代えて、各ユニット5,6,7に個別に制御部を配備する構成を採ることもできる。
【0057】
(9-2)変形例B
上記実施形態の製袋包装装置102では、フィルムFにホイール81を押し当てる速度検出器80を採用しているが、これに代えて、図6に示すエンコーダ180を採用してもよい。
【0058】
エンコーダ180は、フィルムFの搬送部として機能するフィルム供給ユニット6のローラ61eの端部に配置されて、ローラ61eの回転数を測定する機器である。変形例Bでは、ローラ61eの外周面に円筒状のゴムを嵌め、フィルムFの搬送に伴ってローラ61eが回転するように構成している。エンコーダ180は、例えば光学式のロータリーエンコーダであり、ローラ61eの回転角度を計測し、その計測データを、フィルムFの搬送速度に関するデータとして制御部110に送る。
【0059】
このように速度検出器80に代えてエンコーダ180を採用する場合にも、制御部110は、図5に示す印刷動作の制御を同様に行うことができ、上記実施形態の(8)特徴の欄に記載している効果を得ることができる。
【0060】
なお、ここではローラ61eの端部にエンコーダ180を装着しているが、フィルム供給ユニット6の他のローラにエンコーダを装着してもよいし、フィルムFの搬送を行うためのモータにエンコーダを装着してもよい。
【符号の説明】
【0061】
6 フィルム供給ユニット(搬送部)
7 印刷ユニット(レーザー印刷装置)
14 プルダウンベルト機構(搬送部)
80 速度検出器(第1情報取得部)
81 ホイール(回転部材)
102 製袋包装装置(包装装置)
110 制御部
180 エンコーダ(第1情報取得部)
F フィルム
F-1 フィルムの被印刷部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2010-36933号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6