(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177097
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電子部品の製造装置及び電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 13/00 20130101AFI20231206BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20231206BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20231206BHJP
B23K 26/142 20140101ALI20231206BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20231206BHJP
【FI】
H01G13/00
H01G4/30 311Z
H01G4/30 517
B23K26/00 H
B23K26/142
B23K26/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089811
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】井上 順之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英克
(72)【発明者】
【氏名】大野 慧
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健
(72)【発明者】
【氏名】佐林 勇斗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 脩介
【テーマコード(参考)】
4E168
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
4E168AD01
4E168CB04
4E168CB07
4E168CB11
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA28
4E168DA32
4E168DA45
4E168DA46
4E168DA47
4E168EA15
4E168EA17
4E168FC01
4E168JA15
5E001AB03
5E001AH05
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082FG52
5E082KK01
5E082MM05
(57)【要約】
【課題】レーザ光の照射によってチップの表面を簡易かつ確実に加工する電子部品の製造装置を提供する。
【解決手段】製造装置MD1は、回転軸Ax1の周りに回転する回転部30と、チップ1を保持し、かつ、回転部30と共に回転軸Ax1の周りに回転するように回転部30に配置されている保持部40と、回転部30の所定の回転角度位置RP1,RP2に位置すると共に、レーザ光L1を照射するレーザ照射部10と、回転部30、保持部40、及びレーザ照射部10それぞれの駆動を制御する制御部CT1と、を備える。制御部CT1は、チップ1を保持する保持部40が所定の回転角度位置RP1,RP2に位置するように、回転部の駆動を制御し、所定の回転角度位置RP1,RP2でレーザ照射部10が所定の表面1sにレーザ光L1を照射するように、保持部40及びレーザ照射部10それぞれの駆動を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射することによって、チップの複数の表面のうち所定の表面を加工する電子部品の製造装置であって、
回転軸の周りに回転する回転部と、
前記チップを保持し、かつ、前記回転部と共に前記回転軸の周りに回転するように前記回転部に配置されている保持部と、
前記回転部の所定の回転角度位置に位置すると共に、前記レーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記回転部、前記保持部、及び前記レーザ照射部それぞれの駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記チップを保持する前記保持部が前記所定の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記所定の回転角度位置で前記レーザ照射部が前記所定の表面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記レーザ照射部それぞれの駆動を制御する、電子部品の製造装置。
【請求項2】
前記所定の表面は、第一面と第二面とを含み、
前記レーザ照射部は、
前記所定の回転角度位置のうち第一の回転角度位置に位置する第一のレーザ照射部と、
前記所定の回転角度位置のうち第二の回転角度位置に位置する第二のレーザ照射部と、を含み、
前記制御部は、
前記チップを保持する前記保持部が前記第一の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記第一の回転角度位置で前記第一のレーザ照射部が前記第一面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記第一のレーザ照射部それぞれの駆動を制御し、
前記チップを保持する前記保持部が前記所定の回転角度位置のうち第三の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記第三の回転角度位置で前記チップの向きを回転させて前記第二のレーザ照射部が前記第二面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部の駆動を制御し、
前記チップを保持する前記保持部が前記第二の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記第二の回転角度位置で前記第二のレーザ照射部が前記第二面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記第二のレーザ照射部それぞれの駆動を制御し、
前記第三の回転角度位置は、前記第一の回転角度位置と前記第二の回転角度位置との間に位置する、請求項1に記載の電子部品の製造装置。
【請求項3】
前記所定の表面は、第一面と第二面とを含み、
前記レーザ照射部は、
前記所定の回転角度位置のうち第一の回転角度位置に位置する第一のレーザ照射部を含み、
前記制御部は、
前記チップを保持する前記保持部が前記第一の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記第一の回転角度位置で前記第一のレーザ照射部が前記第一面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記第一のレーザ照射部それぞれの駆動を制御し、
前記第一の回転角度位置で前記チップの向きを回転させて前記第一のレーザ照射部が前記第二面に前記レーザ光を照射するように前記保持部及び前記第一のレーザ照射部それぞれの駆動を制御する、請求項1に記載の電子部品の製造装置。
【請求項4】
検査部を更に備え、
前記検査部は、
前記所定の表面に前記レーザ光を照射する前に、前記所定の回転角度位置で前記レーザ照射部が前記所定の表面に前記レーザ光を照射するように、前記チップの位置と前記所定の表面の向きとを検査する第一検査と、
前記レーザ光の照射を受けた前記所定の表面を検査する第二検査との少なくとも一つを行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
【請求項5】
前記チップを収納する複数の収納部分を有する収納部を更に備え、
前記制御部は、前記第一及び第二検査の結果を受けて、前記複数の収納部分のなかから、前記チップを収納する収納部分を選定する、請求項4に記載の電子部品の製造装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記第一検査の結果を受けて前記レーザ光の照射を停止すると判断した場合に選定する前記収納部の収納部分は、前記制御部が、前記第二検査の結果を受けて前記レーザ光の照射を停止すると判断した場合に選定する前記収納部の収納部分と異なる、請求項5に記載の電子部品の製造装置。
【請求項7】
前記レーザ光の照射によって前記所定の表面から発生した昇華物を排気する排気部を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
【請求項8】
前記排気部は、前記昇華物を前記排気部に取り入れる排気ダクトを有し、
前記排気ダクトは、前記チップを挟んで前記保持部とは反対側に位置する、請求項7に記載の電子部品の製造装置。
【請求項9】
前記保持部は、前記保持部の回転軸の周りに前記チップを回転させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
【請求項10】
前記保持部は、前記チップを吸着する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
【請求項11】
前記保持部は、前記レーザ光に光学的に透明な材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
【請求項12】
前記レーザ照射部は、波長が250nm~1600nmの範囲内であるレーザ光を照射する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
【請求項13】
前記レーザ照射部は、パルス幅が10-8~10-15秒であるパルスレーザ光を照射する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
【請求項14】
請求項1に記載の電子部品の製造装置を用いた電子部品の製造方法であって、
前記制御部が、前記チップを保持する前記保持部が前記所定の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御して、前記保持部を回転させる工程と、
前記制御部が、前記所定の回転角度位置で前記レーザ照射部が前記所定の表面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記レーザ照射部それぞれの駆動を制御する工程と、
前記制御部が、前記レーザ照射部の駆動を制御して、前記所定の回転角度位置で前記所定の表面に前記レーザ光を照射させる工程と、を含む、電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造装置及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている電子部品の製造装置は、チップの所定の表面へのレーザ光の照射により、当該チップの所定の表面を加工する(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本技術分野では、生産性向上のため、複数の表面を含むチップの所定の表面へのレーザ光の照射により、チップの表面を簡易かつ確実に加工する製造装置及び製造方法の確立が望まれる。
本発明の一つ態様は、レーザ光の照射によってチップの表面を簡易かつ確実に加工する電子部品の製造装置を提供することを目的とする。本発明の別の一態様は、レーザ光の照射によってチップの表面を簡易かつ確実に加工する電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様に係る電子部品の製造装置は、レーザ光を照射することによって、チップの複数の表面のうち所定の表面を加工する電子部品の製造装置であって、回転軸の周りに回転する回転部と、チップを保持し、かつ、回転部と共に回転軸の周りに回転するように回転部に配置されている保持部と、回転部の所定の回転角度位置に位置すると共に、レーザ光を照射するレーザ照射部と、回転部、保持部、及びレーザ照射部それぞれの駆動を制御する制御部と、を備える。制御部は、チップを保持する保持部が所定の回転角度位置に位置するように、回転部の駆動を制御し、所定の回転角度位置でレーザ照射部が所定の表面にレーザ光を照射するように、保持部及びレーザ照射部それぞれの駆動を制御する。
【0006】
上記一つの態様によれば、回転部が、レーザ光照射の対象であるチップを所定の回転角度位置に位置させると共に、所定の回転角度位置でレーザ照射部が所定の表面にレーザ光を照射する。したがって、チップの所定の表面は、レーザ光の照射を受けやすい。この結果、上記一つの態様は、レーザ光の照射によってチップの表面を簡易かつ確実に加工する。
【0007】
上記一つの態様では、所定の表面は、第一面と第二面とを含んでよい。レーザ照射部は、所定の回転角度位置のうち第一の回転角度位置に位置する第一のレーザ照射部と、所定の回転角度位置のうち第二の回転角度位置に位置する第二のレーザ照射部と、を含んでよい。制御部は、チップを保持する保持部が第一の回転角度位置に位置するように、回転部の駆動を制御し、第一の回転角度位置で第一のレーザ照射部が第一面にレーザ光を照射するように、保持部及び第一のレーザ照射部それぞれの駆動を制御し、チップを保持する保持部が所定の回転角度位置のうち第三の回転角度位置に位置するように、回転部の駆動を制御し、第三の回転角度位置でチップの向きを回転させて第二のレーザ照射部が第二面にレーザ光を照射するように、保持部の駆動を制御し、チップを保持する保持部が第二の回転角度位置に位置するように、回転部の駆動を制御し、第二の回転角度位置で第二のレーザ照射部が第二面にレーザ光を照射するように、保持部及び第二のレーザ照射部それぞれの駆動を制御してもよい。第三の回転角度位置は、第一の回転角度位置と第二の回転角度位置との間に位置してもよい。
第一の回転角度位置で第一面にレーザ光を照射し、かつ、第二の回転角度位置で第二面にレーザ光を照射する構成では、所定の表面のうち第一面と第二面とが、レーザ光の照射を受けやすい。この結果、本構成は、レーザ光の照射によってチップの表面をより簡易かつ確実に加工する。
【0008】
上記一つの態様では、所定の表面は、第一面と第二面とを含んでよい。レーザ照射部は、所定の回転角度位置のうち第一の回転角度位置に位置する第一のレーザ照射部を含んでよい。制御部は、チップを保持する保持部が第一の回転角度位置に位置するように、回転部の駆動を制御し、第一の回転角度位置で第一のレーザ照射部が第一面にレーザ光を照射するように、保持部及び第一のレーザ照射部それぞれの駆動を制御し、第一の回転角度位置でチップの向きを回転させて第一のレーザ照射部が第二面にレーザ光を照射するように保持部及び第一のレーザ照射部それぞれの駆動を制御してもよい。
第一の回転角度位置で第一面及び第二面にレーザ光を照射するようにチップを回転させる構成では、所定の表面のうち第一面と第二面とが、レーザ光の照射を受けやすい。この結果、本構成は、レーザ光の照射によってチップの表面をより簡易かつ確実に加工する。
【0009】
上記一つの態様は、検査部を備えてもよい。検査部は、所定の表面にレーザ光を照射する前に、所定の回転角度位置でレーザ照射部が所定の表面にレーザ光を照射するように、チップの位置と所定の表面の向きとを検査する第一検査と、レーザ光の照射を受けた所定の表面を検査する第二検査との少なくとも一つを行ってもよい。
検査部が第一検査と第二検査との少なくとも一つを行う構成では、制御部は、レーザ光の照射を受けた所定の表面の検査と、所定の表面がレーザ光の照射を受けるか否かの検査を的確に行う。この結果、本構成は、レーザ光の照射によってチップの表面を更により確実に加工する。
【0010】
上記一つの態様は、チップを収納する複数の収納部分を有する収納部を備えてもよい。制御部は、第一及び第二検査の結果を受けて、複数の収納部分のなかから、チップを収納する収納部分を選定してもよい。
制御部が、第一及び第二検査を受けて、複数の収納部分のなかから、チップを収納する収納部分を選定する構成は、第一及び第二検査の結果に応じて、チップを選定する。この結果、本構成では、レーザ光の照射によって複数のチップの表面がより確実に加工されたチップが、的確に選定される。
【0011】
上記一つの態様では、制御部が、第一検査の結果を受けてレーザ光の照射を停止すると判断した場合に選定する収納部の収納部分は、制御部が、第二検査の結果を受けてレーザ光の照射を停止すると判断した場合に選定する収納部の収納部分と異なってよい。
制御部が、第一及び第二検査の結果を受けてレーザ光の照射を停止すると判断した場合に選定する収納部の収納部分が互いに異なる構成では、レーザ光の照射を受けたチップと、レーザ光の照射を受けていないチップとが互いに分離して収納される。したがって、収納されたチップのうち、レーザ光の照射を受けていないチップは、たとえば、レーザ光の照射を受けるように、再度、保持部に保持される。この結果、たとえば、第一及び第二検査での判断に誤りがあった場合にも、チップの表面加工における歩留まりの低下が抑制される。
【0012】
上記一つの態様は、レーザ光の照射によって所定の表面から発生した昇華物を排気する排気部を備えてもよい。
排気部を備える構成では、レーザ光の光路上から、昇華物が取り除かれる。
【0013】
上記一つの態様では、排気部は、昇華物を排気部に取り入れる排気ダクトを有してよい。排気ダクトは、チップを挟んで保持部とは反対側に位置してもよい。
排気ダクトが、チップを挟んで保持部とは反対側に位置する構成では、レーザ光の光路上から、昇華物が確実に取り除かれる。
【0014】
上記一つの態様では、保持部は、保持部の回転軸の周りにチップを回転させてもよい。
保持部が、保持部の回転軸の周りにチップを回転させる構成では、保持部は、確実にチップを回転する。この結果、本構成は、レーザ光の照射によって複数のチップの表面を更により簡易かつ確実に加工する。
【0015】
上記一つの態様では、保持部は、チップを吸着してもよい。
保持部が、チップを吸着する構成では、保持部は、チップに対する機械的ストレスをより低減させて、チップを保持する。この結果、本構成は、レーザ光の照射によって複数のチップの表面を更により簡易かつ確実に加工する。
【0016】
上記一つの態様では、保持部は、レーザ光に光学的に透明な材料を含んでもよい。
保持部が、レーザ光に光学的に透明な材料からなる構成では、保持部は、複数のチップに向けて照射するレーザ光によって劣化しがたい。
【0017】
上記一つの態様では、レーザ照射部は、波長が250nm~1600nmの範囲内であるレーザ光を照射してもよい。
波長が250nm~1600nmの範囲内であるレーザ光は、レーザ照射部に含まれる光導波路及び光学レンズと、大気とを透過しやすいので、レーザ光の光強度は減衰しがたい。したがって、上記波長範囲のレーザ光は、チップに吸収されやすい。チップの表面は、レーザ光の照射による加工をより確実に受ける。
【0018】
上記一つの態様では、レーザ照射部は、パルス幅が10-8~10-15秒であるパルスレーザ光を照射してもよい。
パルス幅が10-8~10-15秒であるパルスレーザ光がチップに照射される構成では、チップは、レーザ光の照射時に熱効果を受けがたい。したがって、チップの表面は、レーザ光の照射による加工をより確実に受ける。
【0019】
本発明の別の一つの態様に係る電子部品の製造方法は、上記電子部品の製造装置を用いた電子部品の製造方法であって、制御部が、チップを保持する保持部が所定の回転角度位置に位置するように、回転部の駆動を制御して、保持部を回転させる工程と、制御部が、所定の回転角度位置でレーザ照射部が所定の表面にレーザ光を照射するように、保持部及びレーザ照射部それぞれの駆動を制御する工程と、制御部が、レーザ照射部の駆動を制御して、所定の回転角度位置で所定の表面にレーザ光を照射させる工程と、を含む。
【0020】
上記別の一つの態様によれば、回転部が、レーザ照射に対象のチップを所定の回転角度位置に位置させると共に、所定の回転角度位置でレーザ照射部が所定の表面にレーザ光を照射する。したがって、チップの所定の表面は、レーザ光の照射を受けやすい。この結果、上記一つの態様は、レーザ光の照射によってチップの表面を簡易かつ確実に加工する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一つ態様は、レーザ光の照射によってチップの表面を簡易かつ確実に加工する電子部品の製造装置を提供する。本発明の別の一態様は、レーザ光の照射によってチップの表面を簡易かつ確実に加工する電子部品の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子部品の製造装置を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る電子部品の製造装置を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る電子部品の製造装置のブロック図である。
【
図4】
図4は、レーザ照射部と保持部とを示す図である。
【
図5】
図5は、レーザ照射部と回転部と保持部とを示す図である。
【
図6】
図6は、レーザ光照射の軌跡を示す図である。
【
図7】
図7は、チップの回転の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、チップの回転の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、チップの回転の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0024】
図1~
図6を参照して、本実施形態に係る電子部品の製造装置及び電子部品の製造方法を説明する。
図1は、本実施形態に係る電子部品の製造装置を示す外観図である。
図2は、本実施形態に係る電子部品の製造装置を示す図である。
図3は、本実施形態に係る電子部品の製造装置のブロック図である。
図4は、レーザ照射部と保持部とを示す図である。
図5は、レーザ照射部と回転部と保持部とを示す図である。
図6は、チップへのレーザ光照射の軌跡を示す図である。
図4及び
図5では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。
【0025】
図1~
図3に示されるように、本実施形態では、電子部品の製造装置MD1は、制御部CT1と、レーザ照射部10と、供給部20と、回転部30と、保持部40と、検査部50と、収納部60と、を備える。製造装置MD1は、チップ1にレーザ光L1を照射することによって、チップ1を加工して電子部品ED1を作製する。制御部CT1は、レーザ照射部10、供給部20、回転部30、保持部40、検査部50、及び収納部60それぞれの駆動を制御する。レーザ照射部10は、チップ1にレーザ光L1を照射する。供給部20は、保持部40にチップ1を供給する。回転部30は、回転子31を含む。回転部30は、回転子31によって、回転軸Ax1の周りに回転する。保持部40は、チップ1を保持し、かつ、回転部30と共に回転軸Ax1の周りに回転する。保持部40は、回転部30に配置されている。検査部50は、チップ1の外観を検査する。収納部60は、チップ1を収納する。チップ1は、たとえば、セラミック焼成体である。電子部品ED1は、たとえば、積層コンデンサを含む。電子部品ED1は、たとえば、積層コンデンサ以外のコンデンサ、インダクタ、バリスタ、又は積層固体電池を含む。製造装置MD1は、載置台BS1を備える。
図1に示される一例では、載置台BS1は、制御部CT1と供給部20と回転部30とを載置する。
【0026】
制御部CT1は、たとえば、制御回路CT1aと、レーザ照射部駆動回路10pと、供給部駆動回路20pと、回転部駆動回路30pと、保持部駆動回路40pと、検査部駆動回路50pと、収納部駆動回路60pとを含む。制御回路CT1aは、たとえば、レーザ照射部駆動回路10pと、供給部駆動回路20pと、回転部駆動回路30pと、保持部駆動回路40pと、検査部駆動回路50pと、収納部駆動回路60pとを制御する。レーザ照射部駆動回路10pは、たとえば、制御回路CT1aからの指令を受けて、レーザ照射部10を駆動する。供給部駆動回路20pは、たとえば、制御回路CT1aからの指令を受けて、供給部20を駆動する。回転部駆動回路30pは、たとえば、制御回路CT1aからの指令を受けて、回転部30を駆動する。保持部駆動回路40pは、たとえば、制御回路CT1aからの指令を受けて、保持部40を駆動する。検査部駆動回路50pは、たとえば、制御回路CT1aからの指令を受けて、検査部50を駆動する。収納部駆動回路60pは、たとえば、制御回路CT1aからの指令を受けて、収納部60を駆動する。本実施形態では、検査部駆動回路50pは、たとえば、検査部50での外観検査の結果を制御回路CT1aに送信する。
【0027】
レーザ照射部10は、レーザ照射部駆動回路10pからの指令を受けて、複数の表面1sを含むチップ1にレーザ光L1を照射する。本実施形態では、レーザ照射部10は、レーザ照射部10a,10bを含む。レーザ照射部10a,10bは、たとえば、互いに同一の構成を有する。製造装置MD1は、回転軸Ax1の軸方向から見て、レーザ照射部10aを、回転部30の回転角度位置RP1に配置する。製造装置MD1は、回転軸Ax1の軸方向から見て、レーザ照射部10bを、回転部30の回転角度位置RP2に配置する。本実施形態では、後述の通り、供給部20を、回転部30の回転角度位置RPsに配置する。回転角度位置RP1は、回転角度位置RPsと回転角度TH1を成す。回転軸Ax1の軸方向から見て、回転角度位置RP1は、たとえば、回転角度位置RPsとの間で時計回りに回転角度TH1を成す。回転角度位置RP2は、回転角度位置RPsと回転角度TH2を成す。回転軸Ax1の軸方向から見て、回転角度位置RP2は、たとえば、回転角度位置RPsとの間で時計回りに回転角度TH2を成す。回転角度TH2は、たとえば、回転角度TH1より大きい。本実施形態では、製造装置MD1は、たとえば、2回のレーザ光L1の照射を行う。たとえば、レーザ照射部10aが、第1回目のレーザ光L1の照射を行い、レーザ照射部10bが、第2回目のレーザ光L1の照射を行う。たとえば、回転角度位置RP1が、第一の回転角度位置を構成する場合、回転角度位置RP2は、第二の回転角度位置を構成する。
【0028】
図4に示されるように、レーザ照射部10は、光源ユニット12と、走査ユニット14とを有する。
図4は、レーザ照射部10の構成の一例を示している。光源ユニット12は、たとえば、ファイバレーザアンプ12aと、ファイバレーザアンプのための励起光源12bとを含む。励起光源12bは、たとえば、半導体レーザを含む。たとえば、光導波路12cが、ファイバレーザアンプ12aと励起光源12bとを光学的に接続する。光導波路12cは、たとえば、光ファイバを含む。本実施形態では、光源ユニット12は、波長が250nm~1600nmの範囲内であるレーザ光L1を発生させる。レーザ光L1は、たとえば、パルス光である。レーザ光L1がパルス光である場合、レーザ光L1のパルス幅は、たとえば、10
-8~10
-15秒である。
図4において、レーザ光L1は、矢印で模式的に示されている。レーザ光L1を示す矢印は、当該矢印を図面上で見やすくするために、光路から離間して示されている。
【0029】
図4に示されるように、光源ユニット12で発生したレーザ光L1は、たとえば、光導波路12dを通して、走査ユニット14に導かれる。光導波路12dは、たとえば、光ファイバを含む。走査ユニット14は、たとえば、レーザ光L1の光路を調整すると共に、光路が調整されたレーザ光L1をチップ1に向けて出射する。本実施形態では、走査ユニット14は、たとえば、筐体14aと、筐体14aに収容された光学ミラー14b及び光学レンズ14cと、を有している。光学ミラー14bは、光学ミラー14bの反射面の向きを変えることによって、光源ユニット12からのレーザ光L1の光路を調整する。光学ミラー14bは、光学レンズ14cに向けてレーザ光L1を反射する。光学レンズ14cは、光学ミラー14bによって反射されたレーザ光L1をチップ1に向けて出射する。本実施形態では、光学ミラー14bは、たとえば、ガルバノミラーを含む。光学レンズ14cは、たとえば、f-θレンズを含む。たとえば、ガルバノミラーとf-θレンズとの組み合わせが、レーザ光L1の光路を調整し、当該レーザ光L1をチップ1に向けて出射する。走査ユニット14は、光学レンズ14cと光学ミラー14bとを保護する光学窓14dを有している。光学ミラー14bは、上記波長範囲のレーザ光を反射する。光学レンズ14cと光学窓14dとは、上記波長範囲のレーザ光を透過させる。レーザ光L1は、走査ユニット14によって、チップ1を走査する。本実施形態では、チップ1の所定の表面1s上に集光されたレーザ光L1のビーム径(直径)は、たとえば、0.03mmである。
【0030】
レーザ照射部10は、たとえば、冷却ユニット16を備える。冷却ユニット16は、たとえば、冷却水循環装置16aと接続管16bを含む。冷却ユニット16は、たとえば、接続管16bによって、光源ユニット12と走査ユニット14とに接続される。接続管16bは、たとえば、冷却ユニット16と光源ユニット12とを接続する接続管16cを含む。接続管16bは、たとえば、冷却ユニット16と走査ユニット14とを接続する接続管16dを含む。冷却ユニット16は、たとえば、光源ユニット12と走査ユニット14とに冷却水を供給して、光源ユニット12と走査ユニット14とを冷却する。冷却水は、たとえば、冷却ユニット16と、光源ユニット12及び走査ユニット14とを循環する。冷却水循環装置16aは、たとえば、循環する冷却水を冷却する。
【0031】
レーザ照射部10は、たとえば、パワーメータ18を備える。パワーメータ18は、複数のチップ1に照射されるレーザ光L1の光強度を計測する。走査ユニット14から、チップ1が保持部40に保持される位置に向かう方向に見て、パワーメータ18は、たとえば、走査ユニット14によりレーザ光L1が走査される範囲の内側であって、チップ1が保持部40に保持される範囲の外側に配置される。走査ユニット14から、チップ1が保持部40に保持される位置に向かう方向に見て、パワーメータ18は、たとえば、チップ1が保持部40に保持される位置よりも後方に配置される。レーザ光L1の光強度の計測は、たとえば、チップ1が保持部40に保持されていないときに行われる。したがって、レーザ光L1の光強度の計測は、たとえば、光源ユニット12からチップ1へのレーザ光L1の照射前及びレーザ光L1の照射後の少なくともいずれか一方で行われる。
【0032】
レーザ照射部10は、たとえば、距離計19を備える。距離計19は、たとえば、走査ユニット14とチップ1との距離を計測する。したがって、走査ユニット14とチップ1との距離の計測によって、たとえば、走査ユニット14により、レーザ光L1の焦点をチップ1の所定の表面1sに一致させる。本実施形態では、チップ1の所定の表面1s上に集光されたレーザ光L1のビーム径(直径)は、たとえば、0.03mmである。
【0033】
図6に示されるように、レーザ光L1を照射する際には、たとえば、チップ1の位置に基づいて、チップ1にレーザ光L1を照射する。したがって、レーザ照射部10は、レーザ照射部駆動回路10pからの指令を受けて、たとえば、チップ1が配置された位置にのみ、レーザ光L1を照射する。レーザ照射部10は、たとえば、チップ1が配置されていない位置には、レーザ光L1を照射しない。
図6は、矢印で示した方向に沿って、レーザ光L1が走査する軌跡L1aを例示している。実線は、チップ1が配置された位置にレーザ光L1を照射することを示している。破線は、チップ1が配置されていない位置にレーザ光L1を照射しないことを示している。光源ユニット12は、たとえば、光源ユニット12からのレーザ光L1をオンオフする機構を含んでいる。この機構によって、たとえば、レーザ照射部駆動回路10pからの指令を受けて、レーザ光L1を照射するときにレーザ光L1を透過させ、レーザ光L1を照射しないときにレーザ光L1を遮断する。オンオフする機構は、たとえば、光源ユニット12のレーザ光L1の出射口に配置され、レーザ光L1の出射を遮断する。
【0034】
チップ1にレーザ光L1を照射する際に、製造装置MD1は、たとえば、検査部50を用いて、チップ1が配置された位置を識別する。制御部CT1は、たとえば、検査部50からの、チップ1が配置された位置に関する識別情報に基づいて、走査ユニット14及び上記レーザ光L1をオンオフする機構を制御する。本実施形態では、制御部CT1は、たとえば、予め回転角度位置RP1及び回転角度位置RP2における、チップ1が配置される位置についての位置データを読み込んでおいてもよい。制御部CT1は、読み込んでおいた位置データに基づいて、走査ユニット14及び上記レーザ光L1をオンオフする機構を制御してもよい。
【0035】
図1及び
図2に示されるように、製造装置MD1は、回転部30の回転角度位置RPsに供給部20を配置する。供給部20は、供給部駆動回路20pからの指令を受けて、保持部40にチップ1を供給する。供給部20は、たとえば、ホッパー22及びフィーダ24を有している。ホッパー22は、複数のチップ1を収容する。供給部20は、たとえば、ホッパー22の底の一部を開放することによって、複数のチップ1をフィーダ24に供給する。フィーダ24は、たとえば、ボウルフィーダ25とリニアフィーダ26とを含む。ボウルフィーダ25は、ホッパー22から複数のチップ1を受けとる。複数のチップ1は、ボウルフィーダ25を通過する間に、たとえば、互いに略同一の姿勢をとるように並ぶ。リニアフィーダ26は、上記並んだ複数のチップ1を保持部40に供給する。供給部20は、たとえば、リニアフィーダ26の先端部に、リニアフィーダ26から排出された各チップ1を載せるための載置部分27を有している。
【0036】
図1及び
図5に示されるように、回転部30は、たとえば、基体32と接続体33とを有する。基体32と接続体33とは、たとえば、回転子31に接続されている。制御部CT1は、チップ1を保持する保持部40が所定の回転角度位置に位置するように、回転部30を駆動する。本実施形態では、回転部30は、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、回転軸Ax1の周りに回転する。基体32は、たとえば、回転子31の外側に位置し、回転子31の回転と共に、回転軸Ax1の周りに回転する。基体32は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、円環形状を呈する。基体32の円環形状の内径は、たとえば、回転子31の外径に一致する。接続体33は、たとえば、基体32と保持部40とを接続する。接続体33は、基体32と回転子31との回転に合わせて、保持部40を回転軸Ax1の周りに回転させる。回転子31は、たとえば、モータである。回転子31は、たとえば、円柱形状を呈する。回転子31の回転軸Ax1は、たとえば、回転子31の円柱形状の中心線に一致する。回転軸Ax1の軸方向は、たとえば、接続体33と直交する。
【0037】
保持部40は、回転部30と共に回転軸Ax1の周りに回転する。保持部40は、保持体41と接続体42を有している。接続体42は、たとえば、保持体41と接続体33とを接続する。保持体41は、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、たとえば、回転角度位置RPsで載置部分27に載せられたチップ1をピックアップする。保持体41は、たとえば、当該保持体41の先端部に保持部分43を含む。保持部分43は、たとえば、吸着ノズルを含む。本実施形態では、吸着ノズルがチップ1をピックアップする。保持体41は、たとえば、チップ1を吊り下げる。吸着ノズルは、たとえば、ジルコニア、石英ガラス、又はサファイアを含む。本実施形態では、保持体41は、吸着ノズル以外の構成を有してもよい。保持体41は、たとえば、チップ1の一対の側面1c(
図11を参照)を挟むアームのような構成を有してもよい。チップ1の側面1cを挟む場合でも、保持体41は、たとえば、チップ1を吊り下げる。保持部40は、複数の表面1sのうち所定の表面1sが、回転角度位置RP1でレーザ照射部10に向くようにチップ1を保持する。所定の表面1sは、たとえば、チップ1の端面1a,1b(
図11を参照)のいずれか一方である。
【0038】
保持部40は、たとえば、保持体41の回転軸Ax2の周りに保持体41を回転させることが可能である。保持部40は、たとえば、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、保持体41を回転させる。回転軸Ax2の軸方向は、たとえば、回転軸Ax1の軸方向に一致する。保持部40は、たとえば、回転子44を有する。回転子44は、たとえば、接続体42に支持される。回転子44は、たとえば、回転軸Ax2の周りに保持体41を回転させる。回転子44は、たとえば、モータである。回転子44は、たとえば、円柱形状を呈する。保持体41は、先端部の保持部分43以外は、たとえば、円柱形状を呈する。回転軸Ax2は、たとえば、保持体41の円柱形状の中心線に一致する。保持部分43以外の保持体41は、たとえば、アルマイト、又は炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics:CFRP)を含む。
【0039】
保持部40は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転部30の回転角度位置RP3で保持体41を回転させる。回転角度位置RP3は、回転角度位置RPsと回転角度TH3を成す。すなわち、回転軸Ax1の軸方向から見て、回転角度位置RP3は、たとえば、回転角度位置RPsとの間で時計回りに回転角度TH3を成す。回転角度位置RP3は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転角度位置RP1と回転角度位置RP2との間に位置する。回転角度TH3は、たとえば、回転角度TH1と回転角度TH2との間の大きさを有する。たとえば、回転角度位置RP3が、第三の回転角度位置を構成する。
【0040】
制御部CT1は、所定の回転角度位置でレーザ照射部10が所定の表面1sにレーザ光L1を照射するように、保持部40及びレーザ照射部10それぞれの駆動を制御する。制御部CT1は、たとえば、チップ1の位置と所定の表面1sの向きとを調整する。保持部40は、たとえば、複数の表面1sのうち、回転角度位置RP1でレーザ光L1が照射されなかった所定の表面1sが、回転角度位置RP2でレーザ照射部10bに向くようにチップ1を回転させる。所定の表面1sは、たとえば、端面1a,1bのいずれか他方である。したがって、回転角度位置RP1でレーザ光L1が端面1aに照射された場合、保持部40は、たとえば、回転角度位置RP2でレーザ光L1が端面1bに照射されるようにチップ1を回転させる。回転角度位置RP1でレーザ光L1が端面1bに照射された場合、保持部40は、たとえば、回転角度位置RP2でレーザ光L1が端面1aに照射されるようにチップ1を回転させる。
【0041】
図7~
図10に示されるように、保持部40は、回転軸Ax2の周りに保持体41を回転させることなく、チップ1を回転させてもよい。
図7~
図10は、チップ1の向きを回転させる工程を示す図である。保持部40は、たとえば、回転角度位置RP3で、
図7~
図10に例示されているようなチップ1の回転を行う。
【0042】
図7に示されるように、初めに、たとえば、チップ1を載せる載置台45を、回転角度位置RP3に配置する。載置台45は、回転体46を有する。回転体46は、たとえば、回転体46の回転軸Ax3の周りに載置台45を回転させる。回転体46は、たとえば、円柱形状を呈する。回転体46の回転軸Ax3は、たとえば、回転体46の円柱形状の中心線に一致する。本実施形態では、回転軸Ax3は、たとえば、回転軸Ax2と一致する。載置台45は、回転軸Ax2の軸方向から見て、たとえば、円形状又は矩形状を呈する。
【0043】
図8に示されるように、続いて、たとえば、保持部40は、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、保持体41がチップ1を保持する力を一時的に緩める。この結果、チップ1は、たとえば、保持体41から解放され、載置台45上に載置される。
【0044】
図9に示されるように、続いて、たとえば、保持部40は、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、たとえば、回転軸Ax3の周りに載置台45を回転させる。この結果、チップ1の表面1sの向きが反転する。
図9に示される例では、端面1aと端面1bとが互いに反転している。
【0045】
図10に示されるように、続いて、保持部40は、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、保持体41に再びチップ1をピックアップさせる。保持体41が再びチップ1をピックアップする際には、たとえば、保持体41が再びチップ1をピックアップするように、チップ1を載せた載置台45を保持体41に近づける。保持体41が再びチップ1をピックアップした後には、たとえば、載置台45を保持体41から遠ざける。保持部40は、たとえば、
図7に示される位置に載置台45を戻す。
【0046】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態では、検査部50は、検査部50a,50b,50c,50dを含む。検査部50a,50b,50c,50dは、たとえば、互いに同一の構成を有する。検査部50は、検査部駆動回路50pからの指令を受けて、たとえば、チップ1の外観を検査する。検査部50は、たとえば、カメラを含む。検査部50は、たとえば、所定の表面1sにレーザ光L1を照射する前に、レーザ照射部10が所定の表面1sにレーザ光L1を照射するように、チップの位置と所定の表面1sの向きとを検査する第一検査を行う。検査部50は、たとえば、レーザ光の照射を受けた前記所定の表面を検査する第二検査を行う。検査部50は、第一検査と第二検査との少なくとも一つを行う。本実施形態では、検査部50は、第一検査と第二検査とを行う。
【0047】
製造装置MD1は、たとえば、検査部50aを回転角度位置RP4に配置する。回転角度位置RP4は、回転角度位置RPsと回転角度TH4を成す。すなわち、回転軸Ax1の軸方向から見て、回転角度位置RP4は、たとえば、回転角度位置RPsとの間で時計回りに回転角度TH4を成す。回転角度位置RP4は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転角度位置RPsと回転角度位置RP1との間に位置する。回転角度TH4は、たとえば、回転角度TH1より小さい。
【0048】
検査部50aは、たとえば、第一検査によって、チップ1が回転角度位置RP1でレーザ照射部10のレーザ光L1の照射範囲に収まるように、保持部40がチップ1を保持しているかどうかを検査する。検査部50aは、たとえば、チップ1が落下しないように保持部40がチップ1を保持しているかどうかも検査する。検査部50aによる第一検査の結果を受けて、制御部CT1が、保持部40はチップ1を適正に保持していないと判断した場合、保持部40は、たとえば、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、保持するチップ1の位置を変更する。保持部分43が吸着ノズルを含む場合、保持部40は、チップ1を吸着する力の大きさを調整可能である。したがって、保持部40は、たとえば、チップ1を吸着する力を一時的に弱めて、チップ1を吸着する位置を変更する。この場合には、上述した載置台45を利用する。
【0049】
保持部40は、たとえば、回転角度位置RP4で、保持するチップ1の位置の変更を行う。検査部50aは、たとえば、第一検査によって、位置を変更したチップ1を検査する。検査部50aによる第一検査の結果を受けて、制御部CT1が、チップ1の位置の変更が適正に行われていると判断した場合、たとえば、レーザ照射部10と回転部30とを制御して、当該チップ1に対して、回転角度位置RP1でレーザ光L1を照射する。制御部CT1は、第一検査によって、チップ1の位置の変更が適正に行われていないと判断した場合、当該チップ1に対して、たとえば、回転角度位置RP1及び回転角度位置RP2でのレーザ光L1の照射をそれぞれ行わないように、レーザ照射部駆動回路10pを制御する。制御部CT1は、検査部50aによる第一検査の結果から、回転角度位置RP1及び回転角度位置RP2でのレーザ光L1の照射を行わないと判断したチップ1を、たとえば、第一類に分類する。
【0050】
製造装置MD1は、たとえば、検査部50bを回転角度位置RP5に配置する。回転角度位置RP5は、回転角度位置RPsと回転角度TH5を成す。すなわち、回転軸Ax1の軸方向から見て、回転角度位置RP5は、たとえば、回転角度位置RPsとの間で時計回りに回転角度TH5を成す。回転角度位置RP5は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転角度位置RP1と回転角度位置RP3との間に位置する。回転角度TH5は、たとえば、回転角度TH1と回転角度TH3との間の大きさを有する。
【0051】
検査部50bは、たとえば、第二検査によって、レーザ照射部10がチップ1に対してレーザ光L1を適正に照射したかどうかを検査する。検査部50bによる第二検査の結果を受けて、制御部CT1が、レーザ照射部10aがチップ1に対してレーザ光L1を適正に照射していると判断した場合、たとえば、回転部30を制御して、回転角度位置RP3で保持体41を回転させる。したがって、保持部40は、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、複数の表面1sのうち、回転角度位置RP1でレーザ光L1が照射されなかった所定の表面1sが、回転角度位置RP2でレーザ照射部10に向くようにチップ1を回転させる。検査部50bによる第二検査の結果を受けて、制御部CT1が、レーザ照射部10aがチップ1に対してレーザ光L1を適正に照射していないと判断した場合、当該チップ1に対して、たとえば、回転角度位置RP3でのチップ1の回転を行わないように、保持部40を制御する。制御部CT1は、当該チップ1に対して、たとえば、回転角度位置RP2でのレーザ光L1の照射を行わないように、レーザ照射部駆動回路10pを制御する。制御部CT1は、回転角度位置RP5での検査部50による第二検査の結果から、回転角度位置RP2でのレーザ光L1の照射を行わないと判断したチップ1を、たとえば、第二類に分類する。
【0052】
製造装置MD1は、たとえば、検査部50cを回転角度位置RP6に配置する。回転角度位置RP6は、回転角度位置RPsと回転角度TH6を成す。すなわち、回転軸Ax1の軸方向から見て、回転角度位置RP6は、たとえば、回転角度位置RPsとの間で時計回りに回転角度TH6を成す。回転角度位置RP6は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転角度位置RP3と回転角度位置RP2との間に位置する。回転角度TH6は、たとえば、回転角度TH3と回転角度TH2との間の大きさを有する。
【0053】
検査部50cは、たとえば、第一検査によって、保持部40が、回転角度位置RP2でレーザ照射部10のレーザ光L1の照射範囲に収まるように、回転角度位置RP3で回転させたチップ1を保持しているかどうかを検査する。検査部50cは、たとえば、チップ1が落下しないように保持部40がチップ1を保持しているかどうかも検査する。保持部40がチップ1を適正に保持していないと制御部CT1が判断した場合、保持部40は、たとえば、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、保持するチップ1の位置を変更する。
【0054】
保持部40は、保持するチップ1の位置の変更を、たとえば、回転角度位置RP6で行う。制御部CT1は、チップ1の位置の変更が適正に行われていると判断した場合、たとえば、レーザ照射部駆動回路10pと回転部駆動回路30pとを制御して、当該チップ1に対して、回転角度位置RP2でレーザ光L1を照射する。検査部50cによる第一検査の結果を受けて、制御部CT1が、チップ1の位置の変更が適正に行われていないと判断した場合、当該チップ1に対して、たとえば、回転角度位置RP2でのレーザ光L1の照射を行わないように、レーザ照射部駆動回路10pを制御する。制御部CT1は、検査部50cによる第一検査の結果を受けて、回転角度位置RP2でのレーザ光L1の照射を行わないと判断したチップ1を、たとえば、第三類に分類する。
【0055】
製造装置MD1は、たとえば、検査部50dを回転角度位置RP7に配置する。回転角度位置RP7は、回転角度位置RPsと回転角度TH7を成す。すなわち、回転軸Ax1の軸方向から見て、回転角度位置RP7は、たとえば、回転角度位置RPsとの間で時計回りに回転角度TH7を成す。回転角度位置RP7は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転角度位置RP2と回転角度位置RP8との間に位置する。回転角度TH7は、たとえば、回転角度TH2と回転角度TH8との間の大きさを有する。
【0056】
検査部50dは、たとえば、第二検査によって、回転角度位置RP2でレーザ照射部10がチップ1に対してレーザ光L1を適正に照射したかどうかを検査する。検査部50dによる第二検査の結果を受けて、制御部CT1が、レーザ照射部10bがチップ1に対してレーザ光L1を適正に照射していないと判断した場合、当該適正でないと判断したチップ1を、たとえば、第四類に分類する。検査部50cによる第二検査の結果を受けて、制御部CT1が、レーザ照射部10がチップ1に対してレーザ光L1を適正に照射していると判断した場合、当該適正と判断したチップ1を、たとえば、第五類に分類する。
【0057】
図1及び
図2に示されるように、収納部60は、上記レーザ光L1の照射及び検査部50による検査が終了したチップ1を収納する。収納部60は、たとえば、上記の各分類、すなわち、第一類~第五類に合わせて、チップ1を分別収納する。収納部60は、たとえば、収納部分60a,60b,60c,60dを含む。
【0058】
製造装置MD1は、たとえば、収納部分60aを回転角度位置RP8に配置する。回転角度位置RP8は、回転角度位置RPsと回転角度TH8を成す。すなわち、回転軸Ax1の軸方向から見て、回転角度位置RP8は、たとえば、回転角度位置RPsとの間で時計回りに回転角度TH8を成す。回転角度位置RP8は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転角度位置RP7と回転角度位置RPsとの間に位置する。回転角度TH8は、たとえば、回転角度TH7より大きい。
製造装置MD1は、たとえば、収納部分60bを回転角度位置RP9に配置する。回転角度位置RP9は、回転角度位置RPsと回転角度TH9を成す。回転角度位置RP9は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転角度位置RP8と回転角度位置RPsとの間に位置する。回転角度TH9は、たとえば、回転角度TH8より大きい。
製造装置MD1は、たとえば、収納部分60cを回転角度位置RP10に配置する。回転角度位置RP10は、回転角度位置RPsと回転角度TH10を成す。回転角度位置RP10は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転角度位置RP9と回転角度位置RPsとの間に位置する。回転角度TH10は、たとえば、回転角度TH9より大きい。
製造装置MD1は、たとえば、収納部分60dを回転角度位置RP11に配置する。回転角度位置RP11は、回転角度位置RPsと回転角度TH11を成す。回転角度位置RP11は、回転軸Ax1の軸方向から見て、たとえば、回転角度位置RP10と回転角度位置RPsとの間に位置する。回転角度TH11は、たとえば、回転角度TH10より大きい。
【0059】
収納部分60aは、たとえば、第一類のチップ1を収納する。収納部分60aに収納したチップ1は、レーザ光L1の照射を受けていない。製造装置MD1は、収納部分60aに収納したチップ1を、たとえば、ホッパー22に再度供給する。たとえば、レーザ照射部10aは、回転角度位置RP1で、ホッパー22に再度供給されたチップ1に対してレーザ光L1を照射する。
収納部分60bは、たとえば、第二類及び第三類のチップ1を収納する。第二類のチップ1と、第三類のチップ1とは、回転角度位置RP2でのレーザ光L1の照射を受けていない点で、互いに共通する。本実施形態では、第二類及び第三類のチップ1を、それぞれ異なる収納部分に収納してもよい。
収納部分60cは、たとえば、第四類のチップ1を収納する。第四類のチップ1は、回転角度位置RP1,RP2でのレーザ光L1の照射を受けている。
収納部分60dは、たとえば、第五類のチップ1を収納する。第五類のチップ1は、回転角度位置RP1,RP2でのレーザ光L1の照射を適正に受けている。本実施形態では、第五類のチップ1に対して、たとえば、外部電極4,5を形成し、後述の
図13に例示したような電子部品ED1を作製する。
【0060】
第一類のチップ1を収納する際には、制御部CT1は、たとえば、回転角度位置RP8で収納部分60aが第一類のチップ1を収納するように、回転部30及び保持部40それぞれの駆動を制御する。回転部30は、たとえば、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、保持部40を回転角度位置RP8に位置させる。保持部分43が吸着ノズルを含む場合、保持部40は、たとえば、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、チップ1を収納部分60aに収納するように、チップ1を吸着する力を弱める。第一類のチップ1は、保持部40に保持されなくなり、収納部分60aに収納される。
第二類及び第三類のチップ1を収納する際には、制御部CT1は、たとえば、回転角度位置RP9で収納部分60bが第二類及び第三類のチップ1を収納するように、回転部30及び保持部40それぞれの駆動を制御する。第二類及び第三類のチップ1は、たとえば、回転角度位置RP9で保持部40に保持されなくなり、収納部分60bに収納される。
第四類のチップ1を収納する際には、制御部CT1は、たとえば、回転角度位置RP10で収納部分60cが第四類のチップ1を収納するように、回転部30及び保持部40それぞれの駆動を制御する。第四類のチップ1は、たとえば、回転角度位置RP10で保持部40に保持されなくなり、収納部分60cに収納される。
第五類のチップ1を収納する際には、制御部CT1は、たとえば、回転角度位置RP11で収納部分60dが第五類のチップ1を収納するように、回転部30及び保持部40それぞれの駆動を制御する。第五類のチップ1は、たとえば、回転角度位置RP11で保持部40に保持されなくなり、収納部分60dに収納される。
収納部分60a,60b,60c,60dは、たとえば、チップ1を収納するための開閉口を有してもよい。たとえば、収納部分60dは、収納部駆動回路60pからの指令を受けて、たとえば、第一類~第四類のチップ1が、収納部分60dに収納されないように開閉口を閉じてもよい。
【0061】
図5に示されるように、製造装置MD1は、たとえば、排気部70を備える。レーザ光L1の照射によって、チップ1の所定の表面1sから、たとえば、昇華物SB1が生じる。排気部70は、たとえば、チップ1の所定の表面1sから発生した昇華物SB1を取り除く。排気部70は、レーザ光L1の光路上から、昇華物SB1を取り除く。排気部70は、たとえば、チップ1を挟んで保持体41とは反対側に位置する。排気部70は、たとえば、排気ダクト71と集塵機72とを有する。集塵機72は、たとえば、フィルタ73とポンプ74とを含む。排気ダクト71は、レーザ光L1が照射されるチップ1の所定の表面1sの近くに配置される。ポンプ74による吸引力によって、排気ダクト71から、チップ1の所定の表面1sから発生した昇華物SB1が、集塵機72に吸い込まれる。フィルタ73は、昇華物SB1を含む大気から昇華物SB1を取り除く。排気ダクト71は、昇華物SB1が取り除かれた大気AR1を製造装置MD1の外部に排気する。
【0062】
以下、
図11~
図13を参照して、電子部品ED1に含まれるチップ1と、電子部品ED1とについて説明する。本実施形態では、チップ1は、直方体形状を呈している。チップ1は、上述の通り、たとえば、セラミック焼成体である。セラミック焼成体は、たとえば、複数のセラミックグリーンシートを積層して圧着し、所定温度にて所定時間焼成することで形成される。複数のセラミックグリーンシートは、たとえば、第一方向D1に積層している。グリーンシートの各層が互いに重なり合っている層の境界は、視認できない程度に一体化されている。セラミックグリーンシートには、たとえば、内部電極の電極パターンが形成されている。本実施形態では、チップ1は、たとえば、当該チップ1に外部電極を形成する前のセラミック焼成体である。
図11は、内部電極の図示を省略している。チップ1では、内部電極のための電極パターンは形成されていなくてもよい。
【0063】
本実施形態では、チップ1は、直方体形状を呈している。チップ1は、複数の表面1sを有している。複数の表面1sは、たとえば、互いに対向している一対の端面1a,1bと、端面1a,1bを連結している側面1cと、を含んでいる。側面1cは、互いに対向している一対の側面1c1,1c2と、互いに対向している一対の側面1c3,1c4と、を有している。端面1a,1b、側面1c1,1c2、及び側面1c3,1c4は、たとえば、矩形状を呈している。
図11に示されるチップ1は、上述のレーザ光L1の照射によって表面1sを加工する前の状態を示している。本明細書での「直方体形状」は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。本明細書での「矩形状」は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状を含む。たとえば、端面1aが、第一面を構成する場合、端面1bは、第二面を構成する。たとえば、端面1aが、第二面を構成する場合、端面1bは、第一面を構成する。
【0064】
端面1a,1bは、第一方向D1に交差する第二方向D2で互いに対向している。端面1a,1bは、チップ1の第二方向D2での両端を規定している。端面1a,1bは、たとえば、第二方向D2に直交している。側面1c1,1c2は、端面1a,1bと隣り合うと共に、第一方向D1で互いに対向している。側面1c1,1c2は、チップ1の第一方向D1での両端を規定している。側面1c1,1c2は、たとえば、第一方向D1に直交している。側面1c3,1c4は、端面1a,1b及び側面1c1,1c2と隣り合うと共に、第一方向D1及び第二方向D2に交差する第三方向D3で互いに対向している。側面1c3,1c4は、チップ1の第三方向D3での両端を規定している。側面1c3,1c4は、たとえば、第三方向D3に直交している。本実施形態では、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は、互いに直交している。
【0065】
端面1a,1bは、側面1c1と側面1c2とを連結するように、第一方向D1に延在している。端面1a,1bは、側面1c3と側面1c4とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1c1,1c2は、端面1aと端面1bとを連結するように、第二方向D2に延在している。側面1c1,1c2は、側面1c3と側面1c4とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1c3,1c4は、端面1aと端面1bとを連結するように、第二方向D2に延在している。側面1c3,1c4は、側面1c1と側面1c2とを連結するように、第一方向D1に延在している。端面1a,1bと、側面1c1,1c2と、側面1c3,1c4とは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、端面1a,1bと、側面1c1,1c2と、側面1c3,1c4との間には、稜線部が位置する。
【0066】
図12に示されるように、チップ1は、たとえば、チップ1の内部に複数の内部電極2,3を含む。内部電極2と内部電極3とは、チップ1内において、第一方向D1に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極2,3は、たとえば、導電性材料を含む。導電性材料は、たとえば、Cu、Ni又はPtを含む。内部電極2,3は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。内部電極2と内部電極3とは、たとえば、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。
図12は、4つの内部電極2と、4つの内部電極3とを例示している。
【0067】
内部電極2,3は、第一方向D1から見て矩形状を呈している。内部電極2,3の長辺方向は、たとえば、第二方向D2である。内部電極2,3の短辺方向は、たとえば、第三方向D3である。内部電極2,3は、たとえば、第二方向D2に延在している。内部電極2は、たとえば、端面1a寄りに端面2aを有している。内部電極3は、たとえば、端面1b寄りに端面3bを有している。
図12に示されるように、後述のレーザ光の照射によって表面1sを加工する前には、内部電極2は、たとえば、端面1aに露出していない。端面1aと端面2aとは、たとえば、第二方向D2で距離P2aを成している。レーザ光L1の照射によって表面1sを加工する前には、内部電極3は、たとえば、端面1bに露出していない。端面1bと端面3bとは、たとえば、第二方向D2で距離P3bを成している。
【0068】
チップ1の第一方向D1での長さは、たとえば、2.6mmである。チップ1の第二方向D2での長さは、たとえば、5.7mmである。チップ1の第三方向D3での長さは、たとえば、5.0mmである。チップ1では、たとえば、第二方向D2が長辺方向である。
【0069】
図13に例示されるように、電子部品ED1は、たとえば、内部電極2,3を含むチップ1と、チップ1の表面1sに配置される外部電極4,5を有している。内部電極2は、外部電極4に接続されている。外部電極4は、たとえば、端面1aを覆うように配置されている。外部電極4は、側面1cの一部の面上にも配置されている。内部電極3は、外部電極5に接続されている。外部電極5は、たとえば、端面1bを覆うように配置されている。外部電極5は、側面1cの一部の面上にも配置されている。
【0070】
電子部品ED1では、上述のレーザ光L1の照射によって端面1aが加工されている。端面1aの加工によって、たとえば、複数の溝GR1が形成されている。
図13に示される例では、複数の溝GR1は、第三方向D3に延在している。複数の溝GR1の形成によって、各内部電極2の端面2aが、端面1aに露出する。この結果、内部電極2は、外部電極4に電気的かつ物理的に接続される。
図13に示される例では、各溝GR1の第二方向D2での深さは、たとえば、距離P2a以上である。各溝GR1の第一方向D1での幅は、たとえば、内部電極2の端面2aの第一方向D1での幅以上である。
【0071】
電子部品ED1では、上述のレーザ光L1の照射によって端面1bが加工されている。端面1bの加工によって、たとえば、複数の溝GR1が形成されている。
図13に示される例では、複数の溝GR1は、第三方向D3に延在している。複数の溝GR1の形成によって、各内部電極3の端面3bが、端面1bに露出する。この結果、内部電極3は、外部電極5に電気的かつ物理的に接続される。
図13に示される例では、各溝GR1の第二方向D2での深さは、たとえば、距離P3b以上である。各溝GR1の第一方向D1での幅は、たとえば、内部電極3の端面3bの第一方向D1での幅以上である。
【0072】
図13では、端面1a,1bに形成される複数の溝GR1は、第三方向D3に延在するように形成されている。本実施形態では、複数の溝GR1は、内部電極2の端面2aの少なくとも一部が端面1aに露出するように形成されればよい。複数の溝GR1は、内部電極3の端面3bの少なくとも一部が端面1bに露出するように形成されればよい。したがって、端面1a,1bの少なくともいずれか一方において、複数の溝GR1は、たとえば、第一方向D1に延在するように形成される。端面1a,1bの少なくともいずれか一方において、溝GR1は、たとえば、第一方向D1と第三方向D3とに交差する方向に延在するように形成される。たとえば、端面1a,1bのいずれか一方において、複数の溝GR1は、第三方向D3に延在するように形成され、端面1a,1bのいずれか他方において、複数の溝GR1は、第一方向D1に延在するように形成される。端面1a,1bに形成される各溝GR1は、たとえば、互いに略平行に延在している。端面1a,1bに形成される各溝GR1は、互いに交差していてもよい。第二方向D2から見て、一つの端面2aは、たとえば、一つの溝GR1と交差してよく、複数の溝GR1と交差してもよい。第二方向D2から見て、一つの端面3bは、たとえば、一つの溝GR1と交差してよく、複数の溝GR1と交差してもよい。
【0073】
電子部品ED1では、
図13に例示したような溝GR1が形成されることなく、たとえば、端面1a,1bの全体が、レーザ光L1の照射によって削られてもよい。端面1aの全体がレーザ光L1の照射によって削られる場合、たとえば、端面1aが第二方向D2に削られる深さは、距離P2a以上である。この結果、各内部電極2の端面2aが、端面1aに露出する。端面1bの全体がレーザ光L1の照射によって削られる場合、たとえば、端面1bが第二方向D2に削られる深さは、距離P3b以上である。この結果、各内部電極3の端面3bが、端面1bに露出する。本実施形態では、第三方向D3に延在する複数の溝GR1を形成し、形成する各溝GR1の第一方向D1での間隔を狭くすることによって、実質的に端面1a,1bの全体を削ってもよい。端面1aへのレーザ光L1の照射によって各内部電極2の端面2aが露出する場合、端面1aの全ての領域が削られなくてもよい。端面1bへのレーザ光L1の照射によって各内部電極3の端面3bが露出する場合、端面1bの全ての領域が削られなくてもよい。
【0074】
外部電極4,5は、たとえば、焼付導体層を有している。外部電極4,5は、チップ1の表面1sに付与された導電ペーストを焼き付けることにより形成される。導電ペーストは、たとえば、Cu、Ni、又はAgからなる金属粉と、ガラスと、樹脂と、有機溶剤とを含む。外部電極4,5は、たとえば、焼付導体層上に形成されるめっき層を有している。めっき層は、たとえば、Niめっき層及びSnめっき層である。
【0075】
電子部品ED1の製造方法の一例について説明する。各工程の順番は、互いに入れ替わってもよい。上記製造方法では、たとえば、初めに、複数の表面1sを含むチップ1を準備する。本実施形態では、たとえば、複数のチップ1を準備する。続いて、たとえば、準備したチップ1を供給部20に収容する。供給部20は、回転角度位置RPsに位置する。供給部20は、供給部駆動回路20aからの指令を受けて、たとえば、載置部分27にチップ1を載置する。
【0076】
続いて、保持部40は、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、載置部分27に載置されたチップ1を保持する。続いて、回転部30は、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、回転軸Ax1の周りに、チップ1を保持した保持部40を回転させる。回転部30は、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、たとえば、チップ1を保持した保持部40を回転角度位置RP4で停止させる。
【0077】
続いて、回転角度位置RP4に配置された検査部50が、保持部40に保持されたチップ1の外観を検査する。制御部CT1は、回転角度位置RP1でレーザ照射部10aが第一面1sにレーザ光L1を照射するように、保持部40及びレーザ照射部10aそれぞれの駆動を制御する。制御部CT1は、たとえば、チップ1の位置と第一面1sの向きとを調整する。回転部30は、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、たとえば、外観の検査を受けたチップ1を保持した保持部40を、回転角度位置RP1まで回転させる。チップ1を保持した保持部40は、たとえば、回転角度位置RP1で停止する。回転角度位置RP1に配置されたレーザ照射部10は、レーザ照射部駆動回路10pからの指令を受けて、外観検査の結果によりレーザ光L1の照射対象となったチップ1に対し、第1回目のレーザ光L1の照射を行う。回転部30は、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、たとえば、レーザ光L1の照射を受けたチップ1を保持した保持部40を、回転角度位置RP5まで回転させる。チップ1を保持した保持部40は、たとえば、回転角度位置RP5で停止する。
【0078】
続いて、回転角度位置RP5に配置された検査部50が、保持部40に保持されたチップ1の外観を検査する。回転部30は、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、たとえば、外観検査の結果により第2回目のレーザ光L1の照射対象となったチップ1を保持した保持部40を、回転角度位置RP3まで回転させる。チップ1を保持した保持部40は、たとえば、回転角度位置RP3で停止する。保持部40は、保持部駆動回路40pからの指令を受けて、複数の表面1sのうち、回転角度位置RP1でレーザ光L1が照射されなかった所定の表面1sが、回転角度位置RP2でレーザ照射部10に向くようにチップ1を回転させる。
【0079】
続いて、回転部30は、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、たとえば、チップ1を保持した保持部40を、回転角度位置RP6まで回転させる。チップ1を保持した保持部40は、たとえば、回転角度位置RP6で停止する。回転角度位置RP6に配置された検査部50が、保持部40に保持されたチップ1の外観を検査する。回転部30は、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、たとえば、外観の検査を受けたチップ1を保持した保持部40を、回転角度位置RP2まで回転させる。チップ1を保持した保持部40は、たとえば、回転角度位置RP2で停止する。
【0080】
続いて、回転角度位置RP2に配置されたレーザ照射部10bは、レーザ照射部駆動回路10pからの指令を受けて、外観検査の結果により第2回目のレーザ光L1の照射対象となったチップ1に第2回目のレーザ光L1の照射を行う。制御部CT1は、回転角度位置RP2でレーザ照射部10bが第二面1sにレーザ光L1を照射するように、保持部40とレーザ照射部10bとを駆動する。制御部CT1は、たとえば、チップ1の位置と第二面1sの向きとを調整する。回転部30は、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、たとえば、回転角度位置RP2で第2回目のレーザ光L1の照射を受けたチップ1を保持した保持部40を、回転角度位置RP7まで回転させる。チップ1を保持した保持部40は、たとえば、回転角度位置RP7で停止する。回転角度位置RP7に配置された検査部50が、保持部40に保持されたチップ1の外観を検査する。
【0081】
回転部30は、たとえば、回転部駆動回路30pからの指令を受けて、第一及び第二検査の結果に応じて、チップ1を保持した保持部40を、回転角度位置RP8,RP9,RP10,RP11のいずれか一つにまで回転させる。回転角度位置RP8,RP9,RP10,RP11には、それぞれ対応する収納部分60a,60b,60c,60dが配置されている。第一類~第五類のチップ1を収納部分60a,60b,60c,60dに収納する際には、保持部40は、たとえば、回転角度位置RP7,RP8,RP9,RP10,RP10の順に回転軸Ax1の周りに回転する。回転角度位置RP11は、回転角度位置RP8,RP9,RP10よりも、回転角度位置RP7から離れている。収納部分60a,60b,60c,60dは、たとえば、第一類~第五類に合わせて、チップ1を分別収納する。本実施形態では、収納部分60dに収納したチップ1に対して、たとえば、外部電極4,5を形成し、電子部品ED1を作製する。
【0082】
上述の説明では、回転角度位置RP1に配置されたレーザ照射部10aが、第1回目のレーザ光L1の照射を行い、回転角度位置RP2に配置されたレーザ照射部10bが、第2回目のレーザ光L1の照射を行っている。回転角度位置RP3で保持部40が、保持体41を回転させている。本実施形態では、回転角度位置RP1に配置されたレーザ照射部10aが、第一回目及び第2回目のレーザ光L1の照射を行ってもよい。
【0083】
制御部CT1は、たとえば、チップ1を保持する保持部40が回転角度位置RP1に位置するように、回転部30の駆動を制御する。制御部CT1は、回転角度位置RP1でレーザ照射部10aが第一面1sにレーザ光L1を照射するように、保持部40とレーザ照射部10aとを駆動する。制御部CT1は、たとえば、チップ1の位置と第一面1sの向きとを調整する。制御部CT1は、たとえば、回転角度位置RP1でチップ1の向きを回転させてレーザ照射部10aが第二面1sにレーザ光L1を照射するように保持部40及びレーザ照射部10aそれぞれの駆動を制御する。
【0084】
保持部40は、複数の表面1sのうち、回転角度位置RP1でレーザ光L1が照射されなかった所定の表面1sが、回転角度位置RP1でレーザ照射部10aに向くようにチップ1を回転させてもよい。この場合、レーザ光L1の照射の対象となるチップ1は、第2回目のレーザ光L1の照射が終了するまで、回転角度位置RP1に留まっていてもよい。レーザ光L1の照射の対象となるチップ1は、第1回目のレーザ光L1の照射が終了した後、回転軸Ax1の周りを一周して、再び、回転角度位置RP1に位置してもよい。チップ1が回転角度位置RP1に位置している間に、検査部50による検査を行ってもよい。チップ1が回転角度位置RP1以外に位置している間に、検査部50による検査を行ってもよい。本実施形態では、回転角度位置RP2に配置されたレーザ照射部10bが、第一回目及び第2回目のレーザ光L1の照射を行ってもよい。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品ED1の製造装置MD1は、レーザ光L1を照射することによって、チップ1の複数の表面1sのうち所定の表面1sを加工する電子部品ED1の製造装置MD1であって、回転軸Ax1の周りに回転する回転部30と、チップ1を保持し、かつ、回転部30と共に回転軸Ax1の周りに回転するように回転部30に配置されている保持部40と、回転部30の所定の回転角度位置RP1,RP2に位置すると共に、レーザ光L1を照射するレーザ照射部10と、回転部30、保持部40、及びレーザ照射部10それぞれの駆動を制御する制御部CT1と、を備える。制御部CT1は、チップ1を保持する保持部40が所定の回転角度位置RP1,RP2に位置するように、回転部の駆動を制御し、所定の回転角度位置RP1,RP2でレーザ照射部10が所定の表面1sにレーザ光L1を照射するように、保持部40及びレーザ照射部10それぞれの駆動を制御する。
【0086】
製造装置MD1によれば、回転部30が、レーザ光照射の対象であるチップ1を所定の回転角度位置RP1,RP2に位置させると共に、所定の回転角度位置RP1,RP2でレーザ照射部10が所定の表面1sにレーザ光L1を照射する。したがって、チップ1の所定の表面1sは、レーザ光L1の照射を受けやすい。この結果、製造装置MD1は、レーザ光L1の照射によってチップ1の表面1sを簡易かつ確実に加工する。
【0087】
製造装置MD1では、所定の表面1sは、第一面1a,1bと第二面1a,1bとを含む。レーザ照射部10は、所定の回転角度位置RP1,RP2のうち回転角度位置RP1に位置するレーザ照射部10aと、所定の回転角度位置RP1,RP2のうち回転角度位置RP2に位置するレーザ照射部10bと、を含む。制御部CT1は、チップ1を保持する保持部40が回転角度位置RP1に位置するように、回転部30の駆動を制御し、回転角度位置RP1でレーザ照射部10aが第一面1a,1bにレーザ光L1を照射するように、保持部40及びレーザ照射部10aそれぞれの駆動を制御し、チップ1を保持する保持部40が所定の回転角度位置RP1,RP2,RP3のうち回転角度位置RP3に位置するように、回転部30の駆動を制御し、回転角度位置RP3でチップ1の向きを回転させてレーザ照射部10bが第二面1b,1aにレーザ光L1を照射するように、保持部40の駆動を制御し、チップ1を保持する保持部40が回転角度位置RP2に位置するように、回転部30の駆動を制御し、回転角度位置RP2でレーザ照射部10bが第二面1b,1aにレーザ光L1を照射するように、保持部40及びレーザ照射部10bそれぞれの駆動を制御する。回転角度位置RP3は、回転角度位置RP1と回転角度位置RP2との間に位置する。
この場合、所定の表面1sのうち第一面1a,1bと第二面1b,1aとが、レーザ光L1の照射を受けやすい。この結果、製造装置MD1は、レーザ光L1の照射によってチップ1の表面1sをより簡易かつ確実に加工する。
【0088】
製造装置MD1では、所定の表面1sは、第一面1a,1bと第二面1b,1aとを含む。レーザ照射部10は、所定の回転角度位置RP1,RP2のうち回転角度位置RP1に位置するレーザ照射部10aを含む。制御部CT1は、チップ1を保持する保持部40が回転角度位置RP1に位置するように、回転部30の駆動を制御し、回転角度位置RP1でレーザ照射部10aが第一面1a,1bにレーザ光を照射するように、保持部40及びレーザ照射部10aそれぞれの駆動を制御し、回転角度位置RP1でレーザ照射部10aが第二面1b,1aにレーザ光L1を照射するように保持部40及びレーザ照射部10aそれぞれの駆動を制御する。
この場合、所定の表面1sのうち第一面1a,1bと第二面1b,1aとが、レーザ光L1の照射を受けやすい。この結果、製造装置MD1は、レーザ光L1の照射によってチップ1の表面1sをより簡易かつ確実に加工する。
【0089】
製造装置MD1は、検査部50を備える。検査部50は、所定の表面1sにレーザ光L1を照射する前に、所定の回転角度位置RP1,RP2でレーザ照射部10が所定の表面1sにレーザ光L1を照射するように、チップ1の位置と所定の表面1sの向きとを検査する第一検査と、レーザ光L2の照射を受けた所定の表面1sを検査する第二検査との少なくとも一つを行う。
この場合、制御部CT1は、レーザ光L1の照射を受けた所定の表面1sの検査と、所定の表面1sがレーザ光L1の照射を受けるか否かの検査を的確に行う。この結果、製造装置MD1は、レーザ光L1の照射によってチップ1の表面1sを更により確実に加工する。
【0090】
製造装置MD1では、チップ1を収納する複数の収納部分60a,60b,60c,60dを有する収納部60を備える。制御部CT1は、第一及び第二検査の結果を受けて、複数の収納部分60a,60b,60c,60dのなかから、チップ1を収納する収納部分60a,60b,60c,60dを選定する。
この場合、第一及び第二検査の結果に応じて、チップ1を選定する。この結果、製造装置MD1では、レーザ光L1の照射によって複数のチップ1の表面1sがより確実に加工されたチップ1が、的確に選定される。
本実施形態では、回転角度位置RP11は、回転角度位置RP8,RP9,RP10よりも、回転角度位置RP7から離れている。したがって、保持部40が回転角度位置RP7から回転角度位置RP11に向かって回転する際に、たとえば、回転部30及び保持部40において異常動作又は異常停止が起こった場合も、回転角度位置RP8,RP9,RP10のそれぞれで収納されるべき第一類~第四類のチップ1が、回転角度位置RP11で収納されることが起こりがたい。製造装置MD1は、第一類~第四類のチップ1が第五類のチップ1と混ざることを防止する。
【0091】
製造装置MD1では、制御部CT1が、第一検査の結果を受けてレーザ光L1の照射を停止すると判断した場合に選定する収納部60の収納部分60a,60b,60c,60dは、制御部CT1が、第二検査の結果を受けてレーザ光L1の照射を停止すると判断した場合に選定する収納部60の収納部分60a,60b,60c,60dと異なってよい。
この場合、レーザ光L1の照射を受けたチップ1と、レーザ光L1の照射を受けていないチップ1とが互いに分離して収納される。したがって、収納されたチップ1のうち、レーザ光L1の照射を受けていないチップ1は、たとえば、レーザ光L1の照射を受けるように、再度、保持部40に保持される。この結果、たとえば、第一及び第二検査での判断に誤りがあった場合にも、チップ1の表面加工における歩留まりの低下が抑制される。
【0092】
製造装置MD1は、レーザ光L1の照射によって所定の表面1sから発生した昇華物SB1を排気する排気部70を備える。
この場合、レーザ光L1の光路上から、昇華物SB1が取り除かれる。
【0093】
製造装置MD1では、排気部70は、昇華物SB1を排気部70に取り入れる排気ダクト71を有する。排気ダクト71は、チップ1を挟んで保持部40とは反対側に位置する。
この場合、レーザ光L1の光路上から、昇華物SB1が確実に取り除かれる。
【0094】
製造装置MD1では、保持部40は、保持部40の回転軸Ax2の周りにチップ1を回転させる。
この場合、保持部40は、確実にチップを回転する。この結果、製造装置MD1は、レーザ光L1の照射によって複数のチップ1の表面1sを更により簡易かつ確実に加工する。
【0095】
製造装置MD1では、保持部40は、チップを吸着する。
この場合、保持部40は、チップ1に対する機械的ストレスをより低減させて、チップ1を保持する。この結果、製造装置MD1は、レーザ光L1の照射によって複数のチップ1の表面1sを更により簡易かつ確実に加工する。
【0096】
製造装置MD1では、保持部40は、レーザ光L1に光学的に透明な材料を含む。
この場合、保持部40は、複数のチップ1に向けて照射するレーザ光L1によって劣化しがたい。
【0097】
製造装置MD1では、レーザ照射部10は、波長が250nm~1600nmの範囲内であるレーザ光L1を照射する。
この場合、レーザ照射部10に含まれる光導波路12d及び光学レンズ14cと、大気とを透過しやすいので、レーザ光L1の光強度は減衰しがたい。したがって、上記波長範囲のレーザ光L1は、チップ1に吸収されやすい。チップ1の表面1sは、レーザ光L1の照射による加工をより確実に受ける。
【0098】
製造装置MD1では、レーザ照射部10は、パルス幅が10-8~10-15秒であるパルスレーザ光を照射する。
この場合、チップ1は、レーザ光L1の照射時に熱効果を受けがたい。したがって、チップ1の表面1sは、レーザ光L1の照射による加工をより確実に受ける。
【0099】
本実施形態に係る電子部品ED1の製造方法は、電子部品ED1の製造装置MD1を用いた電子部品ED1の製造方法であって、制御部CT1が、チップ1を保持する保持部40が所定の回転角度位置RP1,RP2に位置するように、回転部30の駆動を制御して、保持部40を回転させる工程と、制御部CT1が、所定の回転角度位置RP1,RP2でレーザ照射部10が所定の表面1sにレーザ光L1を照射するように、保持部40及びレーザ照射部10それぞれの駆動を制御する工程と、制御部CT1が、レーザ照射部10の駆動を制御して、所定の回転角度位置RP1,RP2で所定の表面1sにレーザ光L1を照射させる工程と、を含む。
【0100】
電子部品の製造方法によれば、回転部30が、レーザ光照射の対象のチップ1を所定の回転角度位置RP1,RP2に位置させると共に、所定の回転角度位置RP1,RP2でレーザ照射部10が所定の表面1sにレーザ光L1を照射する。したがって、チップ1の所定の表面1sは、レーザ光L1の照射を受けやすい。この結果、上記電子部品ED1の製造方法は、レーザ光L1の照射によってチップ1の表面1sを簡易かつ確実に加工する。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0102】
製造装置MD1は、チップ1を収納する複数の収納部分60a,60b,60c,60dを有する収納部60を備えなくてもよい。製造装置MD1が、チップ1を収納する複数の収納部分60a,60b,60c,60dを有する収納部60を備えている構成は、上述したように、第一及び第二検査の結果に応じて、チップ1を選定する。この結果、製造装置MD1では、レーザ光L1の照射によって複数のチップ1の表面1sがより確実に加工されたチップ1が、的確に選定される。
製造装置MD1は、レーザ光L1の照射によって所定の表面1sから発生した昇華物SB1を排気する排気部70を備えなくてもよい。製造装置MD1が排気部70を備える構成では、上述したように、レーザ光L1の光路上から、昇華物SB1が取り除かれる。
製造装置MD1では、排気ダクト71は、チップ1を挟んで保持部40とは反対側に位置しなくてもよい。排気ダクト71が、チップ1を挟んで保持部40とは反対側に位置する構成では、上述したように、レーザ光L1の光路上から、昇華物SB1が確実に取り除かれる。
製造装置MD1では、保持部40は、チップを吸着しなくてもよい。保持部40が、チップを吸着する構成では、上述したように、保持部40は、チップ1に対する機械的ストレスをより低減させて、チップ1を保持する。この結果、製造装置MD1は、レーザ光L1の照射によって複数のチップ1の表面1sを更により簡易かつ確実に加工する。
【0103】
上述した実施形態の記載から把握されるとおり、本明細書は、以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
レーザ光を照射することによって、チップの複数の表面のうち所定の表面を加工する電子部品の製造装置であって、
回転軸の周りに回転する回転部と、
前記チップを保持し、かつ、前記回転部と共に前記回転軸の周りに回転するように前記回転部に配置されている保持部と、
前記回転部の所定の回転角度位置に位置すると共に、前記レーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記回転部、前記保持部、及び前記レーザ照射部それぞれの駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記チップを保持する前記保持部が前記所定の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記所定の回転角度位置で前記レーザ照射部が前記所定の表面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記レーザ照射部それぞれの駆動を制御する、電子部品の製造装置。
(付記2)
前記所定の表面は、第一面と第二面とを含み、
前記レーザ照射部は、
前記所定の回転角度位置のうち第一の回転角度位置に位置する第一のレーザ照射部と、
前記所定の回転角度位置のうち第二の回転角度位置に位置する第二のレーザ照射部と、を含み、
前記制御部は、
前記チップを保持する前記保持部が前記第一の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記第一の回転角度位置で前記第一のレーザ照射部が前記第一面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記第一のレーザ照射部それぞれの駆動を制御し、
前記チップを保持する前記保持部が前記所定の回転角度位置のうち第三の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記第三の回転角度位置で前記チップの向きを回転させて前記第二のレーザ照射部が前記第二面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部の駆動を制御し、
前記チップを保持する前記保持部が前記第二の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記第二の回転角度位置で前記第二のレーザ照射部が前記第二面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記第二のレーザ照射部それぞれの駆動を制御し、
前記第三の回転角度位置は、前記第一の回転角度位置と前記第二の回転角度位置との間に位置する、請求項1に記載の電子部品の製造装置。
(付記3)
前記所定の表面は、第一面と第二面とを含み、
前記レーザ照射部は、
前記所定の回転角度位置のうち第一の回転角度位置に位置する第一のレーザ照射部を含み、
前記制御部は、
前記チップを保持する前記保持部が前記第一の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御し、
前記第一の回転角度位置で前記第一のレーザ照射部が前記第一面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記第一のレーザ照射部それぞれの駆動を制御し、
前記第一の回転角度位置で前記チップの向きを回転させて前記第一のレーザ照射部が前記第二面に前記レーザ光を照射するように前記保持部及び前記第一のレーザ照射部それぞれの駆動を制御する、請求項1に記載の電子部品の製造装置。
(付記4)
検査部を更に備え、
前記検査部は、
前記所定の表面に前記レーザ光を照射する前に、前記所定の回転角度位置で前記レーザ照射部が前記所定の表面に前記レーザ光を照射するように、前記チップの位置と前記所定の表面の向きとを検査する第一検査と、
前記レーザ光の照射を受けた前記所定の表面を検査する第二検査との少なくとも一つを行う、付記1~3のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
(付記5)
前記チップを収納する複数の収納部分を有する収納部を更に備え、
前記制御部は、前記第一及び第二検査の結果を受けて、前記複数の収納部分のなかから、前記チップを収納する収納部分を選定する、付記4に記載の電子部品の製造装置。
(付記6)
前記制御部が、前記第一検査の結果を受けて前記レーザ光の照射を停止すると判断した場合に選定する前記収納部の収納部分は、前記制御部が、前記第二検査の結果を受けて前記レーザ光の照射を停止すると判断した場合に選定する前記収納部の収納部分と異なる、付記5に記載の電子部品の製造装置。
(付記7)
前記レーザ光の照射によって前記所定の表面から発生した昇華物を排気する排気部を更に備える、付記1~6のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
(付記8)
前記排気部は、前記昇華物を前記排気部に取り入れる排気ダクトを有し、
前記排気ダクトは、前記チップを挟んで前記保持部とは反対側に位置する、付記7に記載の電子部品の製造装置。
(付記9)
前記保持部は、前記保持部の回転軸の周りに前記チップを回転させる、付記1~8のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
(付記10)
前記保持部は、前記チップを吸着する、付記1~9のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
(付記11)
前記保持部は、前記レーザ光に光学的に透明な材料を含む、付記1~10のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
(付記12)
前記レーザ照射部は、波長が250nm~1600nmの範囲内であるレーザ光を照射する、付記1~11のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
(付記13)
前記レーザ照射部は、パルス幅が10-8~10-15秒であるパルスレーザ光を照射する、付記1~12のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置。
(付記14)
付記1~13のいずれか一項に記載の電子部品の製造装置を用いた電子部品の製造方法であって、
前記制御部が、前記チップを保持する前記保持部が前記所定の回転角度位置に位置するように、前記回転部の駆動を制御して、前記保持部を回転させる工程と、
前記制御部が、前記所定の回転角度位置で前記レーザ照射部が前記所定の表面に前記レーザ光を照射するように、前記保持部及び前記レーザ照射部それぞれの駆動を制御する工程と、
前記制御部が、前記レーザ照射部の駆動を制御して、前記所定の回転角度位置で前記所定の表面に前記レーザ光を照射させる工程と、を含む、電子部品の製造方法。
【符号の説明】
【0104】
1…チップ、1s…表面、10…レーザ照射部、20…供給部、30…回転部、31…回転子、40…保持部、50…検査部、60…収納部、70…排気部、Ax1…回転軸、Ax2…回転軸、ED1…電子部品、L1…レーザ光、MD1…製造装置、RP1…回転角度位置、RP2…回転角度位置、RP3…回転角度位置。