(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177103
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電極積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089826
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 圭介
【テーマコード(参考)】
5H028
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB11
5H028BB19
5H028CC05
5H028HH00
(57)【要約】
【課題】複数積層された電極におけるタブ位置を検出できる電極積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】電極積層体1の製造方法は、シート状に形成された負極本体31Aと、負極本体31Aの一辺311から第1方向Zに突出するタブ31Bとを有する負極3を、第1方向Zと直交する第2方向Yに複数積層してなる電極積層体1の製造方法であって、電極積層体1のタブ31Bに対して、第2方向Yと直交する第3方向Xから光を照射し、タブ31Bに照射した光の反射光を、第2方向Yと直交し、かつ第3方向Xに対して傾斜した第4方向Rから受光し、受光した反射光に基づいて、タブ31Bの第3方向Xにおける位置を検出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成された電極本体と、前記電極本体の一辺から第1方向に突出するタブとを有する電極を、前記第1方向と直交する第2方向に複数積層してなる電極積層体の製造方法であって、
前記電極積層体の前記タブに対して、前記第2方向と直交する第3方向から光を照射し、
前記タブに照射した光の反射光を、前記第2方向と直交し、かつ前記第3方向に対して傾斜した第4方向から受光し、
受光した前記反射光に基づいて、前記タブの前記第3方向における位置を検出する、
電極積層体の製造方法。
【請求項2】
前記タブに対して照射される前記光は、
前記タブの前記第3方向における前記光の照射側端に位置し、前記第3方向と直交する方向に沿って延びる端辺に照射される、
請求項1に記載の電極積層体の製造方法。
【請求項3】
前記第3方向と前記第4方向とがなす角は、鋭角である、
請求項2に記載の電極積層体の製造方法。
【請求項4】
検出した前記タブの前記第3方向における位置に基づいて、次に前記電極を積層するときの前記タブの前記第3方向における位置を補正する、
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の電極積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池を構成する電極積層体であって、シート状に形成された正極と負極とがセパレータを介して交互に積層されることにより構成された電極積層体が知られている(特許文献1参照)。このような電極積層体においては、例えば正極および負極の一辺からそれぞれタブが突出しており、正極、負極、およびセパレータはタブの突出方向と直交する方向に積層されている。
【0003】
複数積層された正極および負極には積層ずれが生じることがあるが、正極および負極のタブは、それぞれ集積されて溶着された状態で電極端子と接合されるため、タブに生じる積層ずれは所定の範囲内に収めることが好ましい。
【0004】
タブに生じる積層ずれを所定の範囲内に収めるためには、タブの積層ずれ量を把握することが重要である。例えば、タブの突出方向ならびに正極および負極の積層方向と直交する方向におけるタブの積層ずれ量を把握する場合、タブの突出方向に沿った方向から光を照射し、タブにおいて正反射した反射光を受光することによって、タブの突出方向側の端辺の角部の位置を検出すること、または、正極もしくは負極からのタブの立ち上がり部分の位置を検出することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のようにタブにおける端辺の角部の位置を検出しようとした場合、タブは薄い金属箔により形成されているため変形し易く、隣接するタブの端辺が重なりあったり、端辺に照射した光が一定方向に反射しなくて全てのタブについての反射光を受光することが困難であったりして、タブ位置の検出を行うことが困難であった。
【0007】
また、タブの立ち上がり部分の位置を検出しようとした場合は、タブの立ち上がり部分が円弧形状に形成されており、タブの立ち上がり位置を正確に捉えることが困難であるため、タブ位置の検出を行うことが困難であった。
【0008】
そこで、本発明においては、複数積層された電極におけるタブ位置の検出を行うことができる電極積層体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、電極積層体の製造方法は、シート状に形成された電極本体と、前記電極本体の一辺から第1方向に突出するタブとを有する電極を、前記第1方向と直交する第2方向に複数積層してなる電極積層体の製造方法であって、前記電極積層体の前記タブに対して、前記第2方向と直交する第3方向から光を照射し、前記タブに照射した光の反射光を、前記第2方向と直交し、かつ前記第3方向に対して傾斜した第4方向から受光し、受光した前記反射光に基づいて、前記タブの前記第3方向における位置を検出する。
【0011】
これにより、タブの第3方向における位置を検出してタブの積層ずれ量を把握することができる。
【0012】
また、前記タブに対して照射される前記光は、前記タブの前記第3方向における前記光の照射側端に位置し、前記第3方向と直交する方向に沿って延びる端辺に照射される。
【0013】
これにより、タブに変形等が生じていた場合でも、タブからの反射光を良好に受光することができる。
【0014】
また、前記第3方向と前記第4方向とがなす角は、鋭角である。
【0015】
これにより、タブからの反射光を効果的に受光することができる。
【0016】
また、検出した前記タブの前記第3方向における位置に基づいて、次に前記電極を積層するときの前記タブの前記第3方向における位置を補正する。
【0017】
これにより、次に積層される電極におけるタブの積層ずれ量を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タブの第3方向における位置を検出してタブの積層ずれ量を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】負極のタブにおける第1側辺側の端部を示す平面図である。
【
図7】電極積層体の別実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0021】
[電極積層体]
図1に示す電極積層体1は、本発明の製造方法に係る電極積層体の一実施形態であり、例えば二次電池に用いることができる。電極積層体1は、正極2と、負極3と、セパレータ4とを備えている。
【0022】
正極2は、例えばアルミニウム箔からなる金属箔21と、金属箔21の両面に形成された正極活物質層22とを有している。金属箔21は、長尺のシート状に形成された正極本体21Aと、正極本体21Aの一辺211から突出するタブ21Bとを有している。
【0023】
図1に示すように、シート面が水平方向に面する姿勢で配置された正極本体21Aにおいては、一辺211は正極本体21Aの上端に位置し、タブ21Bは一辺211から第1方向Zの上側に向けて突出している。一辺211からは、複数のタブ21Bが突出している。正極活物質層22は、金属箔21における正極本体21Aのタブ21B側の縁部およびタブ21Bを除いた領域に形成されている。
【0024】
負極3は、例えば銅箔からなる金属箔31と、金属箔31の両面に形成された負極活物質層32とを有している。金属箔31は、長尺のシート状に形成された負極本体31Aと、負極本体31Aの一辺311から突出するタブ31Bとを有している。
【0025】
図1に示すように、シート面が水平方向に面する姿勢で配置された負極本体31Aにおいては、一辺311は負極本体31Aの上端に位置し、タブ31Bは一辺311から第1方向Zの上側に向けて突出している。一辺311からは、複数のタブ31Bが突出している。負極活物質層32は、金属箔31における負極本体31Aのタブ31B側の縁部およびタブ31Bを除いた領域に形成されている。
【0026】
セパレータ4は、例えば樹脂部材を長尺のシート状に形成した織布または不織布からなっている。
【0027】
電極積層体1は、正極2と負極3とが互いのシート面が対向するように積層されるとともに、正極2と負極3との間にセパレータ4が介在した状態で、正極2、負極3、およびセパレータ4を長円柱状に巻回することにより構成される。電極積層体1の最外層にはセパレータ4が巻回されている。
図1に示す電極積層体1においては、巻回された正極2、負極3、およびセパレータ4は、第1方向Zと直交する第2方向Yに積層されている。
【0028】
電極積層体1においては、正極2における複数のタブ21Bが第2方向Yに積層されている。つまり、正極2の正極本体21Aから突出するタブ21Bは、正極本体21Aの長尺方向において、正極2が巻回されて電極積層体1を構成したときに互いに積層される位置に配置されている。積層された複数のタブ21Bは、電極積層体1が二次電池に組み込まれる際に、集積されて溶着された状態で二次電池の正極端子に接合される。
【0029】
また、電極積層体1においては、負極3における複数のタブ31Bが第2方向Yに積層されている。つまり、負極3の負極本体31Aから突出するタブ31Bは、負極本体31Aの長尺方向において、負極3が巻回されて電極積層体1を構成したときに互いに積層される位置に配置されている。積層された複数のタブ31Bは、電極積層体1が二次電池に組み込まれる際に、集積されて溶着された状態で二次電池の負極端子に接合される。
【0030】
図2に示すように、正極2のタブ21Bは、タブ21Bの第1方向Zに沿った突出方向側の端辺となる上辺212と、第1方向Zおよび第2方向Yと直交する方向における一側の端辺となる第1側辺213と、第1方向Zおよび第2方向Yと直交する方向における他側の端辺となる第2側辺214とを有している。本実施形態においては、第1方向Zおよび第2方向Yと直交する方向を第3方向Xと規定する。
【0031】
上辺212は、第1方向Zおよび第2方向Yと直交する方向である第3方向Xに沿って延びている。第1側辺213および第2側辺214は、第3方向Xと直交する方向である第1方向Zに沿って延びている。
【0032】
第1側辺213の正極本体21Aにおける一辺211からの立ち上がり部分には、円弧形状に形成される第1円弧部215が形成されており、第2側辺214の正極本体21Aにおける一辺211からの立ち上がり部分には、円弧形状に形成される第2円弧部216が形成されている。
【0033】
図2に示すように、負極3のタブ31Bは、タブ31Bの第1方向Zに沿った突出方向側の端辺となる上辺312と、第1方向Zおよび第2方向Yと直交する第3方向Xにおける一側の端辺となる第1側辺313と、第1方向Zおよび第2方向Yと直交する第3方向Xにおける他側の端辺となる第2側辺314とを有している。上辺312は、第1方向Zおよび第2方向Yと直交する方向である第3方向Xに沿って延びている。第1側辺313および第2側辺314は、第3方向Xと直交する方向である第1方向Zに沿って延びている。
【0034】
第1側辺313の負極本体31Aにおける一辺311からの立ち上がり部分には、円弧形状に形成される第1円弧部315が形成されており、第2側辺314の負極本体31Aにおける一辺311からの立ち上がり部分には、円弧形状に形成される第2円弧部316が形成されている。
【0035】
電極積層体1においては、タブ21Bおよびタブ31Bは、それぞれ第2方向Yに積層されているが、正極2および負極3を巻回する際の巻回圧力がばらつくこと等により、タブ21Bおよびタブ31Bには第3方向Xに積層ずれが生じることがある。
【0036】
タブ21Bおよびタブ31Bは、それぞれ集積されて溶着された状態で二次電池の電極端子と接合されるため、タブ21Bおよびタブ31Bに生じる積層ずれは、所定の範囲内に収まっていることが好ましい。また、タブ21Bおよびタブ31Bに生じる積層ずれを所定の範囲内に収めるためには、タブ21Bおよびタブ31Bの積層ずれ量を把握することが重要である。
【0037】
図3に示すように、例えば積層されたタブ31Bを上方から見た場合、積層されたタブ31Bに積層ずれが生じていて、上辺312における第1側辺313側の端部の第3方向Xの位置がタブ31B毎にばらついた状態となることがある。
【0038】
このときに、タブ31Bの上方から第1方向Zに沿って光を照射し、タブ31Bにおいて正反射した反射光を受光することによって、上辺312における第1側辺313側の端部の位置を計測しようとした場合、薄い金属箔により形成されるタブ31Bに変形やうねりが生じて、隣接するタブ31B同士が重なりあったり(
図3における矢印Aにて差し示す箇所を参照)、上辺312に照射した光が一定方向に反射しなかったりして、全てのタブ31Bについて位置の検出を行うことが困難である。
【0039】
また、タブ31Bにおける第1側辺313の一辺311からの立ち上がり部分の第3方向Xの位置を検出しようとした場合、第1側辺313の立ち上がり部分には円弧形状の第1円弧部315が形成されているため、タブ31Bの立ち上がり位置を正確に捉えることが困難である。
【0040】
[電極積層体の製造方法および測定装置]
そこで、本発明においては、電極積層体1を製造する際に、
図4、
図5に示す測定装置5を用いてタブ21Bおよびタブ31Bの位置を検出することで、タブ21Bおよびタブ31Bの積層ずれ量を把握可能としている。以下の説明においては、負極3におけるタブ31Bの位置を検出る際の電極積層体1の製造方法について説明するが、正極2におけるタブ21Bの位置を検出する際の電極積層体1の製造方法についても同様である。
【0041】
測定装置5は、照射器51と、カメラ52と、コントローラ53とを備えている。照射器51はレーザ光を照射する照射器であり、積層されたタブ31Bの第1側辺313に対して第3方向Xの一側からレーザ光を照射するように構成されている。レーザ光は、光の一例である。照射器51からのレーザ光は第2方向Yに広がったライン状の光であり、第2方向Yにおいて積層された全てのタブ31Bの第1側辺313に照射される。第1側辺313は、タブの第3方向における光の照射側端に位置し、第1方向に沿って延びる端辺の一例である。
【0042】
電極積層体1は、測定装置5によりタブ31Bの第3方向における位置を検出する際には、例えば巻回軸が上下方向に沿った姿勢に配置される。この場合、照射器51からのレーザ光の照射方向となる第3方向Xは水平方向に沿った方向となり、タブ31Bの突出方向である第1方向Zは第3方向Xと直交する上下方向となる。また、タブ31Bの積層方向である第2方向Yは、第3方向Xと直交する水平方向となる。照射器51からのレーザ光は、例えば積層されたタブ31Bの第1側辺313における上下方向の途中部に照射される。
【0043】
カメラ52は、積層されたタブ31Bの第1側辺313を、第3方向Xに対して傾斜した第4方向Rから撮像する撮像機であり、第1側辺313に照射されたレーザ光の反射光を、第4方向Rから受光する。カメラ52から受光する第1側辺313からの反射光は、主に第1側辺313において乱反射した拡散反射光である。
【0044】
第4方向Rは、第2方向Yと直交し、かつ第3方向Xに対して傾斜した方向であり、第3方向Xに対して角度θだけ上方に傾斜している。つまり、第3方向Xと第4方向Rとがなす角の角度はθである。本実施形態においては、角度θは第3方向Xと第4方向Rとがなす角が鋭角となる角度である。
【0045】
コントローラ53は、照射器51およびカメラ52の動作を制御するとともに、カメラ52が撮像した画像の処理を行う。
【0046】
このように構成される測定装置5を用いて、照射器51からタブ31Bの第1側辺313にレーザ光を照射した場合、
図6に示すような画像Gをカメラ52によって撮像することができる。
【0047】
タブ31Bの第1側辺313にレーザ光が照射されると、照射されたレーザ光が第1側辺313において散乱した反射光がカメラ52により受光され、
図6においては、受光されたレーザ光の反射光が輝点Pとして映る。
【0048】
本実施形態においては、レーザ光の照射方向となる第3方向Xと、カメラ52の受光方向となる第4方向Rとがなす角の角度θは、第1側辺313からの反射光をカメラ52によって良好に受光することができる角度に、適宜、設定することができる。
【0049】
図6に示した画像Gにおける輝点Pの上下方向の位置は、タブ31Bにおける第1側辺313の第3方向Xの位置に応じて変化し、第1側辺313が第3方向Xにおいて照射器51の近くに位置するほど、
図6において輝点Pは下方に位置する。
【0050】
例えば、
図3に示すように、第3方向Xにおいて、上辺312bにおけるレーザ光の照射側端に位置する第1側辺313bが、上辺312aにおけるレーザ光の照射側端に位置する第1側辺313aよりも、レーザ光の照射側に位置していた場合、
図6の第1側辺313bに現れる輝点Pbは、第1側辺313aに現れる輝点Paよりも下方に位置することとなる。
【0051】
逆に、
図3に示すように、第3方向Xにおいて、上辺312cにおけるレーザ光の照射側端に位置する第1側辺313cが、第1側辺313bよりもレーザ光の照射側から遠くに位置していた場合、
図6の第1側辺313cに現れる輝点Pcは、第1側辺313bに現れる輝点Pbよりも上方に位置する。
【0052】
また、例えば、上辺312aにおけるレーザ光の照射側端の位置と、上辺312bにおけるレーザ光の照射側端の位置との、第3方向Xにおけるずれ量Laは、
図6に示す画像Gにおける、輝点Paと輝点Pbとの上下方向の寸法Daを、上辺312aが延出する第3方向Xと、カメラ52が反射光を受光する第4方向Rとがなす角の角度θに基づいて補正することにより求めることができる。これにより、上辺312aを有するタブ31Bの第3方向Xにおける位置と、上辺312bを有するタブ31Bの第3方向Xにおける位置との関係を求めることができる。
【0053】
同様に、上辺312bにおけるレーザ光の照射側端の位置と、上辺312cにおけるレーザ光の照射側端の位置との、第3方向Xにおけるずれ量Lbは、
図6に示す画像Gにおける、輝点Pbと輝点Pcとの上下方向の寸法Dbを、上辺312bが延出する第3方向Xと、カメラ52が反射光を受光する第4方向Rとがなす角の角度θに基づいて補正することにより求めることができる。これにより、上辺312bを有するタブ31Bの第3方向Xにおける位置と、上辺312cを有するタブ31Bの第3方向Xにおける位置との関係を求めることができる。
【0054】
このように、
図6に示した輝点Pに基づいて、積層されたタブ31Bの位置を検出することで、タブ31Bの積層ずれ量を把握することができる。特に、積層されたそれぞれのタブ31Bの位置を検出することで、タブ31Bの第2方向Yの位置に対する、第3方向Xにおける位置のずれ量の傾向を把握することができる。
【0055】
また、タブ31Bの位置を検出する際に、タブ31Bにおけるレーザ光の照射側端に位置し、第1方向Zに沿って延びる第1側辺313にレーザ光を照射することで、薄い金属箔にて形成されるタブ31Bに変形等が生じていた場合でも、タブ31Bからの反射光を良好に受光することが可能となっている。
【0056】
さらに、レーザ光を第1側辺313に照射する第3方向Xと、第1側辺313からの反射光を受光する第4方向Rとがなす角を鋭角とすることで、タブ31Bからの反射光を効果的に受光することが可能となっている。
【0057】
また、測定装置5よる積層されたタブ31Bの位置の検出は、正極2、負極3、およびセパレータ4を巻回して電極積層体1を製造する製造工程において実施することができ、製造工程において製造された電極積層体1に対してタブ31Bの位置の検出を実施し、タブ31B位置の検出結果を、次回または次ロットの電極積層体1の製造時等にフィードバックすることができる。
【0058】
例えば、検出したタブ31Bの位置に基づいて把握したタブ31Bの積層ずれ量が、所定の規格値を超えていた場合、次の電極積層体1の製造時等における、正極2、負極3、およびセパレータ4を巻回して積層する際の巻回条件等に、タブ31B位置の検出結果をフィードバックすることで、次に製造される電極積層体1のタブ31Bの積層ずれ量を小さくして規格値内に収めることが可能となる。これにより、積層されたタブ31Bを集積して溶着する際に、タブ31Bを良好に溶着することができる。
【0059】
本実施形態においては、レーザ光の照射方向である第3方向Xが、正極2、負極3、およびセパレータ4の積層方向である第2方向Yと直交し、かつタブ31Bの突出方向である第1方向Zと直交する方向と規定し、第1方向Zに沿って延びる第1側辺313にレーザ光を照射する場合について説明した。
【0060】
ただし、レーザ光の照射方向である第3方向Xは、正極2、負極3、およびセパレータ4の積層方向である第2方向Yと直交する方向であれば、タブ31Bの突出方向である第1方向Zと直交する方向以外の方向に規定することもできる。
【0061】
例えば、レーザ光の照射方向である第3方向Xを、正極2、負極3、およびセパレータ4の積層方向である第2方向Yと直交し、かつタブ21Bの突出方向である第1方向Zに沿った方向と規定することもできる。この場合、第3方向Xは、第1方向Zと平行な方向となる。
【0062】
第3方向Xを、第2方向Yと直交し、かつ第1方向Zと平行な方向と規定した場合、レーザ光を第3方向Xと直交する方向に延びる上辺312に照射して、上辺312の第3方向Xに沿った方向の位置を検出することができる。これにより、タブ21Bの突出方向となる第1方向Zにおける積層ずれ量を把握することが可能となる。
【0063】
[電極積層体の別実施形態]
本実施形態においては、長尺の正極2、負極3、およびセパレータ4を巻回することにより構成された電極積層体1について説明したが、本発明に係る電極積層体の製造方法は、短冊状の正極102、負極103、およびセパレータ104を積層することにより構成された電極積層体101に適用することも可能である。
【0064】
図7に示すように、電極積層体101は、正極102、負極103、およびセパレータ104を備えている。正極102は、例えばアルミニウム箔からなり、両面に正極活物質層が形成された金属箔121を有しており、金属箔121は、矩形状に形成された正極本体121Aと、正極本体121Aの一辺から突出するタブ121Bとを有している。
【0065】
負極103は、例えば銅箔からなり、両面に負極活物質層が形成された金属箔131を有しており、金属箔131は、矩形状に形成された負極本体131Aと、負極本体131Aの一辺から突出するタブ131Bとを有している。セパレータ104は、例えば樹脂部材を矩形状に形成した織布または不織布からなっている。
【0066】
電極積層体101は、例えば下方からセパレータ104、負極103、セパレータ104、正極102、セパレータ104、負極103・・・を順に積み重ねることで、正極102、負極103、およびセパレータ104を積層している。このように構成された電極積層体101においても、測定装置5を用いて、第2方向Yに積層されたタブ121Bおよびタブ131Bの第3方向Xにおける位置を検出することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、101 電極積層体
2、102 正極
3、103 負極
4、104 セパレータ
21、121 金属箔
21A、121A 正極本体
21B、121B タブ
31、131 金属箔
31A、131A 負極本体
31B、131B タブ
211 (正極本体の)一辺
213 (タブ21Bの)第1側辺
311 (負極本体の)一辺
313 (タブ31Bの)第1側辺
R 第4方向
X 第3方向
Y 第2方向
Z 第1方向
θ (第3方向と第4方向とがなす角の)角度