(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017713
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】複数の作業装置と少なくとも1つの筒体格納器とを有する繊維機械
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
B65H67/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022110678
(22)【出願日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】10 2021 118 854.7
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】512013754
【氏名又は名称】マスチネンファブリック ライター アーゲー
【氏名又は名称原語表記】MASCHINENFABRIK RIETER AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstr. 20, 8406 Winterthur Swizerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アダルベルト シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】エヴシェン ピラシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラード クスタース
(57)【要約】 (修正有)
【課題】筒体格納器の使用を改善することを達成する繊維機械および繊維機械の操作方法を提供する。
【解決手段】作業装置(2)の筒体保持具(10)によって保持された筒体(5)に糸(3)を巻き取るように実装された作業装置(2)を複数有する繊維機械であって、各作業装置(2)は、筒体(5)を収容し当該作業装置(2)に筒体(5)を供給するための少なくとも1つの筒体格納器(9)と関連付けられ、筒体格納器(9)は、筒体(5)を一時的に受け取るための容器(11)を備えた繊維機械に関する。本発明によれば、容器(11)は、容器(11)に筒体(5)を充填するための充填位置(12)と、筒体(5)を筒体格納器(9)の中間収容器にまたは直接筒体保持具(10)に移送することができる移送位置(13)との間で移動することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置(2)の筒体保持具(10)によって保持された筒体(5)に糸(3)を巻き取るように実装された作業装置(2)を複数有する繊維機械(1)であり、
各作業装置(2)は、筒体(5)を収容し当該作業装置(2)に筒体(5)を供給するための少なくとも1つの筒体格納器(9)と関連付けられ、筒体格納器(9)は、筒体(5)を一時的に受け取るための容器(11)を備えた繊維機械(1)であって、
容器(11)は、容器(11)に筒体(5)を充填するための充填位置(12)と、筒体(5)を筒体格納器(9)の中間収容器(21)にまたは直接筒体保持具(10)に移送することができる移送位置(13)との間で移動することができることを特徴とする繊維機械(1)。
【請求項2】
容器(11)は、筒体(5)を充填位置(12)で一時的に受け取り当該筒体(5)を充填位置(12)から移送位置(13)に移動するように移動することができ、これにおいて移送位置(13)は、作業装置(2)の正面図で充填位置(12)よりも上方に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の繊維機械。
【請求項3】
容器(11)は、旋回しおよび/または回転しおよび/または線的に移動することができることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維機械。
【請求項4】
容器(11)は、少なくとも30°、特に少なくとも45°の角度(15)で旋回および/または回転することができ、および/または
容器(11)は、少なくとも10cm、特に少なくとも30cm、好ましくは少なくとも50cm移動することができ、および/または
移送位置(13)と充填位置(12)との間に、少なくとも10cm、特に少なくとも30cm、好ましくは少なくとも50cmの高低差(16)があることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項5】
作業装置(2)の正面図において、移送位置(13)は筒体保持具(10)および筒体保持具(10)の下方の充填位置(12)よりも上方に配置され、および/または作業装置(2)の正面図において、移送位置(13)は容器(11)の旋回軸(14)および容器(11)の旋回軸(14)の下方の充填位置(12)よりも上方に配置されたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに1項に記載の繊維機械。
【請求項6】
筒体格納器(9)は、少なくとも容器(11)が取り付けられる保持アーム(19)を少なくとも1つ備え、これにおいて保持アーム(19)は旋回可能および/または回転可能に支持され、および/またはこれにおいて容器(11)は保持アーム(19)に沿って線的に移動することができることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項7】
繊維機械(1)および/または作業装置(2)および/または筒体格納器(9)は、容器(11)を移送位置(13)に固定するために固定具(17)を備え、これにおいて固定具(17)は、好ましくは少なくとも1つのフックおよび/または少なくとも1つの磁気要素を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項8】
繊維機械(1)および/または作業装置(2)および/または筒体格納器(9)は、容器(11)を移送位置(13)の方へ移動および/または押圧するために、および/または、特に少なくとも1つのフックおよび/または少なくとも1つの磁気要素を用いて容器(11)を移送位置(13)に固定するために、エネルギー蓄積器(18)、特にばね要素および/または弾性要素を備えたことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項9】
容器(11)および/または筒体格納器(9)は、容器(11)の位置および/または向きを確認するために、センサー要素(20)を備えたことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項10】
繊維機械(1)および/または筒体格納器(9)は、少なくとも容器(11)を移送位置(13)と充填位置(12)との間で移動することができるアクチュエータ(22)を少なくとも1つ備えたことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項11】
繊維機械(1)は複数の筒体格納器(9)を備え、または各作業装置(2)は専用の筒体格納器(9)と関連付けられたことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項12】
少なくともいくつかの容器(11)を充填位置(12)と移送位置(13)との間で共に移動するために、当該容器を互いに連結したことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項13】
中間収容器(21)は、繊維機械(1)に対して固定的に移動することを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項14】
容器(11)は、手動操作用のハンドル要素を少なくとも1つ備え、および/または
容器(11)は、繊維機械(1)の作業者により充填位置(12)と移送位置(13)との間で移動するように実装され、
これにおいて容器(11)は好ましくはこの目的のために操作要素を備え、および/またはこれにおいてハンドル要素はそれに応じて実装されたことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の繊維機械。
【請求項15】
繊維機械(1)、好ましくは1つ以上の請求項に記載の繊維機械(1)の作業装置(2)であって、作業装置(2)の筒体保持具(10)によって保持された筒体(5)に糸(3)を巻き取る作業装置(2)への供給方法であり、
各作業装置(2)は、筒体(5)を収容し当該作業装置(2)に筒体(5)を供給するための少なくとも1つの筒体格納器(9)と関連付けられ、筒体格納器(9)は、筒体(5)を一時的に受け取るための容器(11)を備えた供給方法であって、
容器(11)は、容器(11)に筒体(5)を充填するための充填位置(12)と、筒体(5)を筒体格納器(9)の中間収容器(21)にまたは直接筒体保持具(10)に移送する移送位置(13)との間で移動することを特徴とする供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置の筒体保持具によって保持された筒体に糸を巻き取るように実装された作業装置を複数有する繊維機械であって、各作業装置は、筒体を収容し当該作業装置に筒体を供給するための少なくとも1つの筒体格納器と関連付けられ、筒体格納器は、筒体を一時的に受け取るための容器を備えた繊維機械に関する。さらに、本発明は、繊維機械の作業装置であって、作業装置の筒体保持具によって保持された筒体に糸を巻き取る作業装置への供給方法であって、各作業装置は、筒体を収容し当該作業装置に筒体を供給するための少なくとも1つの筒体格納器と関連付けられ、筒体格納器は、筒体を一時的に受け取るための容器を備えた供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空の筒体を作業装置の操作のために待機させておく空き筒体格納器を有する繊維機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ公開特許公報10 2008 053246 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、筒体格納器の使用を改善することである。
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴を有する繊維機械および繊維機械の操作方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業装置の筒体保持具によって保持された筒体に糸を巻き取るように実装された作業装置を複数有する繊維機械が提案される。作業装置は、例えば巻取機の作業装置であって、筒体、いわゆる巻取筒体に紡糸筒体(例えば、リング精紡機に由来する)よりも多くの量の糸を供給するために糸を紡糸筒体から巻取筒体に巻き直す作業装置であることができる。それに加え、またはその代わりに、作業装置は、ローター精紡機またはエアジェット精紡機などの精紡機の作業装置であってもよい。精紡機では、糸はまだ比較的緩い紡織繊維から紡がれ、その後、糸は筒体に巻き取られる。
【0007】
さらに、各作業装置には、筒体を収容し当該作業装置に筒体を供給するための少なくとも1つの筒体格納器が割り当てられる。これにより、各作業装置は、筒体格納器にアクセスしたり、筒体格納器から空の筒体の供給を受けたりすることができる。筒体格納器は、筒体を一時的に受け取るための容器をさらに備える。各作業装置には、それ自身の筒体格納器が割り当てられることが好ましい。しかしながら、複数の、例えば2つの隣接する作業装置が共通の筒体格納器から供給を受けることも考えられる。
【0008】
本発明によれば、容器は、容器に空の筒体を充填するための充填位置と、筒体を筒体格納器の中間収容器にまたは直接筒体保持具に移送することができる移送位置との間で移動することができる。充填位置では、容器に空の筒体を容易に充填することができる。その後、容器は移送位置に移動することができる。これにより、筒体格納器への充填がより容易かつより簡便になる。なおかつ、移送位置では、容器は、この容器が他の操作を妨げないようにスペースを節約して配置することができる。
【0009】
中間収容器および容器は、例えば筒体が中間収容器に転がり込むといったように、筒体が容器から中間収容器に自動的に移動するように、互いに関連付けて配置することができる。例えば、容器は、少なくともいくつかの領域において、中間収容器よりも高く配置される。
【0010】
容器が、筒体を充填位置で一時的に受け取り当該筒体を充填位置から作業装置の正面図で充填位置よりも上方に配置された移送位置に移動するように移動することができると、有利である。これはまた、充填位置が、作業装置の正面図で移送位置よりも下方に配置されることを意味する。これにより、筒体を筒体格納器に手動で再装填する作業員は、より容易かつ簡便に容器に筒体を装填することができる。
【0011】
それに加え、またはその代わりに、容器が旋回可能であると、有利である。それに加え、またはその代わりに、容器が回転可能であると、有利である。これにより、容器または筒体格納器は、構造面での労力をほとんど伴わずに、容器を充填位置と移送位置との間で移動することができるように実装することができる。
【0012】
さらに、それに加え、またはその代わりに、容器が線的に移動することができると、有利である。容器の線的可動性を用いることにより、容器は充填位置と移送位置との間の直線経路上を移動することになり、その結果スペースが節約される。容器のこのような可動性により、充填位置と移送位置との間の障害物に注意を払う必要があまりないため、作業装置の再設計が少なくて済む。
【0013】
容器が、少なくとも30°の角度で旋回および/または回転することができると、有利である。容器は、少なくとも45°の角度で旋回および/または回転することもできる。これにより、充填位置で容器への充填を簡便に行うことができ、その後、容器はさらなる中断をこうむることなく移送位置の方へ十分に旋回しまたは向かうことができる。
【0014】
それに加え、またはその代わりに、容器が、少なくとも10cm移動することができると、有利である。容器は、少なくとも30cm移動可能であってもよい。さらに、容器は、少なくとも50cm移動可能であってもよい。これにより、容器は充填位置の方へ十分に移動することになり、容器への空の筒体の充填が簡便になる。
【0015】
それに加え、またはその代わりに、移送位置と充填位置との間に少なくとも10cmの高低差があると、有利である。高低差は、少なくとも30cmであってもよい。さらに、高低差は、少なくとも50cmであってもよい。これにより、充填位置においてあまり労せずに容器への充填を行うことができる。
【0016】
作業装置の正面図において、移送位置が筒体保持具よりも上方に配置され、充填位置が筒体保持具よりも下方に配置されると、有利である。例えば、移送位置を筒体保持具の斜め上方に配置し、充填位置を筒体保持具の斜め下方に配置することができる。これにより、筒体を容器から筒体保持具に移送するときに筒体を持ち上げる必要がなく、筒体には別途重力によって少なくとも部分的になされる低位への移動のみがなされればよいため、筒体保持具への供給を簡素化することができる。
【0017】
それに加え、またはその代わりに、作業装置の正面図において、移送位置が容器の旋回軸よりも上方に配置され、充填位置が容器の旋回軸よりも下方に配置されると、有利である。また、移送位置および充填位置は、旋回軸がこれら2つの位置の真ん中に位置するように配置することができる。
【0018】
概して、充填位置の配置により、容器への充填を簡便に行うことが可能になる。また、移送位置の配置により、筒体を良好に移送することができ、または作業装置の操作の妨げとなる繊維機械上の領域の外で容器を移動することができる。
【0019】
筒体格納器が、少なくとも容器が取り付けられる保持アームであって、旋回可能および/または回転可能に支持された保持アームを少なくとも1つ備えると、有利である。保持アームを用いることにより、容器は、狙いを定めて旋回および/または回転することができる。それに加え、またはその代わりに、容器は、保持アームに沿って線的に移動することもできる。容器を充填位置と移送位置との間で移動するために、この容器を保持アームに沿って移動することができる。
【0020】
容器を移送位置に固定するために、繊維機械が固定具を備えると、有利である。それに加え、またはその代わりに、容器を移送位置に固定するために、筒体格納器が固定具を備えると、有利である。それに加え、またはその代わりに、容器を移送位置に固定するために、作業装置が固定具を備えると、有利である。固定具は、例えば、容器を移送位置に固定することができるフックを少なくとも1つ含むことができる。それに加え、またはその代わりに、容器を固定するために、固定具は少なくとも1つの磁気要素を含むことができる。例えば磁気要素またはフックの固定具を用いることにより、容器を例えば繊維機械または作業装置のフレームに固定することができる。掛け金方式またはスナップイン要素による固定も考えられる。
【0021】
容器を移送位置の方に移動および/または押圧するために、繊維機械がエネルギー蓄積器を備えると、有利である。それに加え、またはその代わりに、容器を移送位置の方に移動および/または押圧するために、筒体格納器がエネルギー蓄積器を備えると、有利である。それに加え、またはその代わりに、容器を移送位置の方に移動および/または押圧するために、作業装置がエネルギー蓄積器を備えると、有利である。これにより、例えば作業員が充填後に容器を手放した際に、容器は充填位置から移送位置に自主的に移動することができる。エネルギー蓄積器は、例えばばね要素または弾性要素であることができる。さらに、容器の移送位置への移動を制動するために、エネルギー蓄積器には、例えばガス圧ばね方式の制動機構を設けるか、連結することができる。
【0022】
それに加え、またはその代わりに、固定具は、エネルギー蓄積器を用いて、対応する対抗要素と係合させることができる。例えば、エネルギー蓄積器による動きを用いてフックを対応する対向要素と係合させ、および/または少なくとも1つの磁気要素をフレームに固定することにより、容器が固定される。
【0023】
エネルギー蓄積器が設けられた場合、容器を充填位置に固定する固定具が設けられると、有利である。これにより、作業員は、エネルギー蓄積器の力に抗して容器を保持することを要せずに、容器への充填を容易に行うことができる。
【0024】
容器の位置および/または向きを確認するために、容器がセンサー要素を備えると、有利である。それに加え、またはその代わりに、容器の位置および/または向きを確認するために、筒体格納器がセンサー要素を備えると、有利である。これにより、例えば、容器が繊維機械の作業者の移動経路内に存在するか否かを判定することができ、作業者と容器との衝突を防ぐことができる。
【0025】
繊維機械が、少なくとも容器を移送位置と充填位置との間で移動することができるアクチュエータを少なくとも1つ備えると、有利である。それに加え、またはその代わりに、筒体格納器が、少なくとも容器を移送位置と充填位置との間で移動することができるアクチュエータを少なくとも1つ備えると、有利である。これにより、容器を快適に無理なく移動することができる。また、容器が作業者の移動経路内に突出している場合に、この容器を上記のように移動することができる。アクチュエータは、少なくとも1つのセンサー要素の測定に基づいて作動させることもできる。アクチュエータは、例えば、電気モータ、または空気圧もしくは油圧のシリンダである。
【0026】
繊維機械が複数の筒体格納器を備えると、有利である。作業装置と筒体格納器との間の最短経路を可能な限り実現するために、複数の筒体格納器は、繊維機械に沿って間隔を空けて配置することができる。あるいは、各作業装置は、専用の筒体格納器と関連付けることができる。
【0027】
少なくともいくつかの容器を充填位置と移送位置との間で共に移動するために、これら容器を互いに連結すると、有利である。これにより、単一の作業ステップで複数の容器を同時に充填位置に移動し、これら容器の少なくともいくつかに筒体を充填することができる。移送位置に戻す際にも、これら複数の容器を移動するには単一の作業ステップで十分である。
【0028】
中間収容器が繊維機械に対して固定的に配置されると、有利である。これにより、中間収容器に係る設計労力が低減される。
【0029】
容器が、手動操作用のハンドル要素を少なくとも1つ備えると、有利である。これにより、容器は、充填位置と移送位置との間で容易に移動することができる。
【0030】
それに加え、またはその代わりに、容器が、繊維機械の作業者により充填位置と移送位置との間で移動するように実装されると、有利である。これにより、作業者は、容器を移送位置と充填位置との間で自主的に移動することができる。たとえば、作業者は筒体格納器に待機中の筒体が存在しないことを認識することができ、この場合に作業者は容器を充填位置に移動することができる。これにより、筒体格納器への充填を行う作業員は、対応する筒体格納器に充填を行う必要があることを認識することができる。さらに、この目的のために、容器は、作業者が握ることができる操作要素を備えることができる。それに加え、またはその代わりに、ハンドル要素は、作業者がハンドル要素を用いて容器を移動することができるように実装することもできる。
【0031】
また、繊維機械の作業装置であって、作業装置の筒体保持具によって保持された筒体に糸を巻き取る作業装置への供給方法も提案される。繊維機械は、前記および/または下記の記述の1つ以上の特徴を備えることができる。
【0032】
各作業装置は、筒体を収容し当該作業装置に筒体を供給するための少なくとも1つの筒体格納器と関連付けらる。筒体格納器は、筒体を一時的に受け取るための容器を備える。筒体保持具に取り付けられた筒体が完全に巻き取られ、新しい空の筒体と交換される場合に、筒体が筒体格納器に収容される。
【0033】
本発明によれば、容器は、容器に筒体を充填するための充填位置と、筒体を筒体格納器の中間収容器にまたは直接筒体保持具に移送する移送位置との間で移動する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下の実施例で、本発明のさらなる利点を説明する。以下の図面を示す。
【0035】
【
図1】
図1は、複数の作業装置を有する繊維機械の概略図である。
【
図2】
図2は、筒体格納器および容器を有する巻取機の作業装置の概略側面図である。
【
図3】
図3は、別の作業装置であって、中間収容器を有する巻取機の作業装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に、糸3を筒体5に巻き取る作業装置2を複数有する繊維機械1の概略図を示す。本発明は、ここでは、巻取機の作業装置2による例を用いて説明する。あるいは、作業装置2は、紡糸機の作業装置2であって、糸3を緩い織物材料から紡ぎ、この糸3を紡糸機において紡糸筒体と称される筒体5に巻き取る作業装置2であってもよい。この例では、糸3は、紡糸筒体4から、巻取機において巻取筒体とも称される筒体5に巻き直される。筒体5に紡糸筒体4よりも多くの量の糸3を供給するために、糸2はここで巻き直される。
【0037】
作業装置2または巻取機は、2つの糸端を互いに接続することができる継ぎ具6も備える。
【0038】
本実施形態において巻取機の作業装置2として具体化された作業装置2は、紡糸筒体側の糸端を紡糸筒体4から継ぎ具6まで移動するために、吸引ノズル7を備える。また、ここに示した作業装置2は、紡糸筒体側の糸端を継ぎ具6に移動するために、吸引管8を備える。
【0039】
さらに、各作業装置2には、筒体5を収容し当該作業装置2に筒体5を供給するための少なくとも1つの筒体格納器9が割り当てられる。筒体5は、糸3で完全に満たされた筒体5を新しい空の筒体5と交換することができるようにするために収容される。
【0040】
図2に、対応する作業装置2の概略側面図を示し、これに基づいて例を用いながら本発明を説明する。しかしながら、作業装置2は、紡糸機の作業装置2であって、糸3を、この場合は紡糸筒体4と称される筒体5にも巻き取る作業装置2であってもよい。
【0041】
前述の図の少なくとも1つで既に説明した特徴は、簡単のため再度説明は行わない。さらに、特徴は、この図または以下の図の少なくとも1つにおいてのみ説明することもあり得る。さらに、簡単のため、同じ特徴には同じ参照番号を用いる。また、明確のため、すべての特徴を以下の図に示すとは限らず、および/またはすべての特徴に参照番号を付すとは限らない。しかしながら、前述の図の1つ以上に示した特徴は、この図または以下の図の1つ以上にも存在し得る。さらに、明確のため、特徴はこの図または以下の図の1つ以上においてのみ示すこともあり得、および/または特徴に参照番号を付すこともあり得る。その場合も、以下の図の1つ以上においてのみ示す特徴が、前述の図に既に存在していることもあり得る。
【0042】
容器11は、容器11に筒体5を充填するための充填位置12と、移送位置13との間で移動することができる。移送位置13では、筒体5は、本実施形態に係る筒体保持具10に直接移送することができる。筒体5は、当然ながら、筒体保持具10上の筒体5が糸3で満たされ、満たされた筒体5が容器11からの新しい空の筒体5と交換される際にのみ、筒体保持具10に移送される。
【0043】
容器11、筒体5、および以下でより詳細に説明する要素は、ここでは移送位置13において実線で示す。充填位置12では、容器11、筒体5、および対応する要素は一点鎖線で示す。
【0044】
本実施形態によれば、容器11は、旋回軸14を中心に旋回することができる。容器11は、例えば継ぎ手を用いて旋回軸14において旋回可能であることができる。ここで説明した旋回を用いることにより、容器11は、充填位置12での作業員による容器11または筒体格納器9への充填を簡素化するように充填位置12と移送位置13との間で移動することができる。
【0045】
さらに、筒体格納器9および/または作業装置2および/または繊維機械1は、容器11を旋回するために、ここでは概略的に示したアクチュエータ22を備える。アクチュエータ22は、ここでは旋回軸14に連結される。
【0046】
ここに示した実施形態によれば、容器11は、角度15で旋回することができる。この角度は、容器11を十分下方に旋回し、容器11または筒体格納器9への充填を容易に行うことができるようにするために、少なくとも30°であることができる。しかしながら、角度15は、45°よりも大きくてもよい。
【0047】
また、ここに示すように、充填位置12と移送位置13との間には、少なくとも10cmの高低差16を設けることができる。これにより、容器11または筒体格納器9に対し、充填位置12において容易に充填を行うことができる。高低差16は、少なくとも30cmまたは50cmでさえあってもよい。
【0048】
筒体格納器9は、ここでは容器11が取り付けられる保持アーム19を備える。保持アーム19を用いることにより、容器11は、例えば旋回軸14を中心に旋回することができる。
【0049】
本実施形態によれば、繊維機械1および/または作業装置2および/または筒体格納器9は、容器11を移送位置13に固定することができる固定具17を備える。固定具17は、例えば作業装置2上に配置した、ここでは図示しない例えば対向要素に固定することができる。固定具17は、ここでは、例えば作業装置2上または作業装置2のフレーム上に遊動可能に取り付けることができるフックとして実装されている。固定具17は、ここでは容器11上に配置しており、簡単のため移送位置13における容器11上にのみ示す。それに加え、またはその代わりに、固定具17は、容器11を移送位置13に固定するために、少なくとも1つの磁気要素を含むこともできる。磁気要素は、例えば、作業装置のフレームと相互作用することもできる。
【0050】
さらに、繊維機械1および/または作業装置2および/または筒体格納器9は、エネルギー蓄積器18を備える。エネルギー蓄積器18を用いることにより、容器11は、容器11を移送位置13の方へ引っ張る引張力を受けることができる。作業員は、容器11への充填を行うに際し、容器11を移送位置13から充填位置12に引っ張るだけでよい。その後、作業員が容器11を手放すことにより、容器11はエネルギー蓄積器18により自動的に移送位置13に戻される。有利な形態として、エネルギー蓄積器18による移送位置への移動を制動するために、制動機構を設けることもできる。また、充填時に容器11を充填位置12に固定するために、充填位置12の領域にも固定具17を配置すると、有利である。
【0051】
本実施形態によれば、エネルギー蓄積器18は、保持アーム19上に配置される。それに加え、またはその代わりに、エネルギー蓄積器18は、容器11上に配置することもできる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る容器11は、センサー要素20を備える。センサー要素20を用いることにより、容器11の位置および/または向きを確認することができる。これにより、容器11が例えば作業者の移動経路内に突出して衝突が差し迫っているか否かを判定することができる。
【0053】
さらに、本実施形態によれば、容器11は、移送位置13では旋回軸14よりも上方に位置し、充填位置12では旋回軸14よりも下方に位置する。移送位置13における容器11は、ここでは筒体保持具10または筒体5が巻き取られる位置の上方に位置し、充填位置12では、容器11は、少なくとも部分的に筒体保持具10または筒体5が巻き取られる位置の下方に位置する。これにより、容器11への充填を容易に行うことができる。
【0054】
図3に、筒体格納器9のさらなる実施形態を示す。簡単および明確のため、最も重要な特徴が既に説明されおよび/または前述の図に関して示された場合、これら特徴にのみ参照番号を付し、および/またはこれら特徴のみをここに示す。
【0055】
ここに示した筒体格納器9は、中間収容器21をさらに備える。ここで、容器11は、筒体5を充填するための充填位置12に移動する。充填後、容器11は移送位置13へ移動し、筒体5は、この実施形態では中間収容器21に移送される。容器11および中間収容器21は、例えば筒体5が中間収容器21に転がり込むことによってこの筒体が容器11から中間収容器に自動的に移動するように、例えば互いに関連して配置することができる。その後、筒体5は、新しい空の筒体5が筒体保持具10に設置されるまでの間、一時的に中間収容器21に収容される。
【0056】
中間収容器21は、作業装置2に固定して配置することが好ましい。
【0057】
本発明は、図示および説明した実施例に限定されない。特許請求の範囲内での変更は、たとえその特徴が異なる実施形態で図示され説明されていたとしても、これら特徴の組み合わせと同様に可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 繊維機械
2 作業装置
3 糸
4 紡糸筒体
5 筒体
6 継ぎ具
7 吸引ノズル
8 吸引管
9 筒体格納器
10 筒体保持具
11 容器
12 充填位置
13 移送位置
14 旋回軸
15 角度
16 高低差
17 固定具
18 エネルギー蓄積器
19 保持アーム
20 センサー要素
21 中間収容器
22 アクチュエータ
【外国語明細書】