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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177147
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】天井開口部補強構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/06 20060101AFI20231206BHJP
   E04B 9/16 20060101ALI20231206BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
E04B9/06 A
E04B9/16 B
E04B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089911
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】393016837
【氏名又は名称】株式会社桐井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野曽原 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】下氏 亮介
(72)【発明者】
【氏名】荒井 智一
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 源記
(57)【要約】
【課題】開口部の周縁部の強度を確保できるとともに、開口部の上方空間において十分な高さ寸法を確保できる天井開口部補強構造を提供する。
【解決手段】天井板2に形成された開口部3を補強する天井開口部補強構造1において、
複数の野縁受け10,10・・と、野縁受け10の下側に連結され、野縁受け11と交差する方向に延在する複数の野縁11,11・・と、野縁11の下側に固定された天井板2と、開口部3の周縁部に配置され野縁11と交差する方向に延在し、開口部3を補強する補強部材20と、を備えている。複数の野縁受け10,10・・のうち少なくとも一本は、開口部3に対応する位置で分離されており、補強部材20は、開口部3の両側にそれぞれ配置され、分離された野縁受け10のそれぞれに連結された少なくとも2つの野縁11,11に接続されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井板に形成された開口部を補強する天井開口部補強構造において、
複数の野縁受けと、
前記野縁受けの下側に連結され、前記野縁受けと交差する方向に延在する複数の野縁と、
前記野縁の下側に固定された前記天井板と、
前記開口部の周縁部に配置され前記野縁と交差する方向に延在し、前記開口部を補強する補強部材と、
を備え、
前記複数の野縁受けのうち少なくとも一本は、前記開口部に対応する位置で分離されており、
前記補強部材は、前記開口部の両側にそれぞれ配置され、分離された前記野縁受けのそれぞれに連結された少なくとも2つの前記野縁に接続されている、
ことを特徴とする天井開口部補強構造。
【請求項2】
前記複数の野縁は、互いに等間隔で配置された等間隔野縁と、前記開口部の周縁部に沿って前記等間隔野縁の間に配置された追加野縁と、を備え、
分離された前記野縁受けは、2つの前記追加野縁に連結され、
前記補強部材は、2つの前記追加野縁に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の天井開口部補強構造。
【請求項3】
複数の前記等間隔野縁のうち少なくとも一本は、前記開口部に対応する位置で分離されており、
分離された前記等間隔野縁の端部は、前記補強部材に接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の天井開口部補強構造。
【請求項4】
前記補強部材は、長尺プレートにて構成されており、
前記野縁の下面に敷設されビス止めされている
ことを特徴とする請求項1に記載の天井開口部補強構造。
【請求項5】
前記補強部材は、前記天井板の継目部を跨って配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の天井開口部補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井開口部補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
天井構造は、上部構造体に取り付けられた吊ボルトに野縁受けを取り付け、その野縁受けに野縁を連結し、野縁の下側に天井板を固定して構成されたものが知られている。この天井構造において、開口部を設けると、場所によっては野縁受けが分離される場合がある。このような開口部を補強する構造としては、分離された野縁受けに、補強架構が掛け渡された補強構造が知られている。補強架構は、門型あるいはアーチ形状(例えば特許文献1参照)を呈している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-323593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の補強構造では、開口部の上方に補強架構が通過しているため、開口部の上方空間が遮られ、高さ寸法が制限されるため、大型の設備機器が設置できない場合があるという問題があった。
【0005】
このような観点から、本発明は、開口部の周縁部の強度を確保できるとともに、開口部の上方空間において十分な高さ寸法を確保できる天井開口部補強構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、天井板に形成された開口部を補強する天井開口部補強構造である。かかる天井開口部補強構造は、複数の野縁受けと、前記野縁受けの下側に連結され、前記野縁受けと交差する方向に延在する複数の野縁と、前記野縁の下側に固定された前記天井板と、前記開口部の周縁部に配置され前記野縁と交差する方向に延在し、前記開口部を補強する補強部材と、を備えている。前記複数の野縁受けのうち少なくとも一本は、前記開口部に対応する位置で分離されており、前記補強部材は、前記開口部の両側にそれぞれ配置され、分離された前記野縁受けのそれぞれに連結された少なくとも2つの前記野縁に接続されている、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の天井開口部補強構造において、開口部に対応する位置とは、開口部の上方位置である。前記天井開口部補強構造によれば、分離された野縁受けの一方の野縁受けに作用する応力は、野縁、補強部材、野縁を介して、他方の野縁受けへと伝達できる。そして、応力を野縁受けに接続されたブレースに伝達できる。したがって、天井としての強度を確保できる。また、補強部材が開口部の周縁部に配置されているので、開口部の上方空間を通過しない。よって、開口部の上方空間において十分な高さ寸法を確保でき、大型の設備機器であっても設置可能となる。
【0008】
本発明の天井開口部補強構造においては、前記複数の野縁は、互いに等間隔で配置された等間隔野縁と、前記開口部の周縁部に沿って前記等間隔野縁の間に配置された追加野縁と、を備え、分離された前記野縁受けは、2つの前記追加野縁に連結され、前記補強部材は、2つの前記追加野縁に接続されているものが好ましい。このような構成によれば、開口部の周縁部の補強をさらに強化できるので、天井の強度をより一層強くできる。
【0009】
また、本発明の天井開口部補強構造においては、複数の前記等間隔野縁のうち少なくとも一本は、前記開口部に対応する位置で分離されており、分離された前記等間隔野縁の端部は、前記補強部材に接続されているものが好ましい。このような構成によれば、野縁が分離された場合に、分離された野縁間で応力の伝達を行える。
【0010】
さらに、本発明の天井開口部補強構造においては、前記補強部材は、長尺プレートにて構成されており、前記野縁の下面に敷設されビス止めされているものが好ましい。このような構成によれば、補強部材が天井板の上に設置されるので、補強部材と天井板も固定することができる。したがって、天井板も介して応力を伝達できるので、天井の強度をより一層強くできる。
【0011】
また、本発明の天井開口部補強構造においては、前記補強部材は、前記天井板の継目部を跨って配置されているものが好ましい。このような構成によれば、天井板の継目部の目開きを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る天井開口部補強構造によれば、開口部の周縁部の強度を確保できるとともに、開口部の上方空間において十分な高さ寸法を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態に係る天井開口部補強構造の天井下地材を示した斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る天井開口部補強構造の天井下地材を示した伏図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る天井開口部補強構造の天井板の配置状態を示した伏図である。
図4図2のiv-iv線断面図である。
図5図2のv-v線断面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る天井開口部補強構造の天井下地材を示した伏図である。
図7図6のvii-vii線断面図である。
図8図6のviii-viii線断面図である。
図9】本発明の第二実施形態に係る天井開口部補強構造の天井下地材を示した伏図である。
図10図9のx-x線断面図である。
図11図9のxi-xi線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第一実施形態に係る天井開口部補強構造について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。図1および図2に示すように、本発明に係る天井開口部補強構造1は、天井板2に形成された開口部3を補強するものであって、野縁受け10と、野縁11と、天井板2と、補強部材20とを備えている。本実施形態では、一本の野縁受け10および一本の野縁11が開口部3で分離されている場合を例に挙げて説明する。本実施形態の説明において、野縁受け10が延在する方向を「X方向」、野縁11が延在する方向を「Y方向」とする。
【0015】
野縁受け10は、野縁11を支持する部材であって、上階の床スラブ等からなる上部構造体(図示せず)から垂下された吊ボルト4に吊金具5を介して支持されている。吊金具5は、上端部が吊ボルト4の下端部に固定され、断面U字状の下端部が野縁受け10を支持している。
【0016】
野縁受け10は、複数本設けられており、それぞれがX方向に沿って延在している。野縁受け10は、Y方向に所定の間隔をあけて互いに平行に配置されている。野縁受け10は、ウェブと一対のフランジとを備えた断面C型のチャンネル材にて構成されており、フランジが上下になるように配置されている。野縁受け10のウェブには、ブレース6が接続されている。ブレース6は、野縁受け10と吊ボルト4の上端部とに掛け渡されている。
【0017】
野縁11は、野縁受け10の下側に設けられ、平面視で野縁受け10と直交する方向(X方向)に延在している。野縁11は、複数本設けられ、X方向に等間隔をあけて互いに平行に配置されている。野縁11は、断面溝型の長尺部材からなる。溝型の両側面の上端部には、幅方向内側にそれぞれ突出するリップ部が形成されている。溝型の底面には、天井板2がビス等の固定部材によって固定される。野縁11は、平面視で野縁受け10に対して直交する方向に延在している。野縁11は、野縁受け10にクリップ7を介して接続されている。クリップ7は、上端部が野縁受け10の上面に掛け止められ、下端部が野縁11の内側に挿入されてリップ部を下側から係止している。
【0018】
野縁11は、等間隔野縁15と、追加野縁16とを備えている。等間隔野縁15は、互いに等間隔で配置される通常の野縁であって、天井面全体に亘って設けられている。
追加野縁16は、開口部3を補強する追加部位であって、野縁11に沿った方向に延在している。追加野縁16は、通常の等間隔野縁15と同様に、リップ部を備えた断面溝型の長尺部材からなる。追加野縁16は、開口部3を挟む等間隔野縁15,15の間に配置され、開口部3の周縁部の上に敷設されている。追加野縁16の端部は、開口部3の周縁部を超えて、周縁部から離反する方向に所定長さで突出している。
【0019】
追加野縁16は、追加野縁受け22を介して等間隔野縁15に接続されている。追加野縁受け22は、野縁受け10と同様に、断面C型のチャンネル材にて構成されており、フランジが上下になるように配置されている。追加野縁受け22は、開口部3を挟む一対の等間隔野縁15,15と一対の追加野縁16,16と、開口部3に分離された等間隔野縁15に掛け渡されており、クリップ7によって、各野縁15,16にそれぞれ接続されている。
【0020】
本実施形態の開口部3は、Y方向に長い長方形形状を呈しており、一本の野縁受け10と一本の等間隔野縁15(野縁11)を分離する位置に配置されている。つまり、本実施形態では、一本の野縁受け10と一本の等間隔野縁15が、開口部3に対応する位置(開口部3の上方位置)で分離されている。分離された野縁受け10は、開口部3の長手方向(Y方向)の中間部に位置している。分離された等間隔野縁15は、開口部3の短手方向(X方向)の中間部に位置している。開口部3には、例えば照明器具等の設備機器8が装着されている。開口部3の周縁部のうち、長辺部に沿って追加野縁16が設けられ、短辺部に沿って補強部材20が設けられている。
【0021】
図3に示すように、天井板2は、室内に露出する天井の表面材であって、等間隔野縁15の下面に敷設されている。図3に示すように、天井板2は、矩形形状を呈し、X方向およびY方向に突き合わされて設置されている。隣り合う天井板2が突き合わされて、目地となる継目部9が形成される。開口部3の長手方向(Y方向)の周縁部には、X方向に延在する継目部9が二本交差している。開口部3の短手方向(X方向)の周縁部には、Y方向に延在する継目部9が一本交差している。
【0022】
図1図2および図4に示すように、補強部材20は、開口部3を補強する部位であって、開口部3の周縁部に設けられている。補強部材20は、長方形状の長尺プレートにて構成され、等間隔野縁15(野縁11)と交差する方向(X方向)に延在して配置されている。補強部材20は、開口部3の矩形の周縁部のうち、等間隔野縁15(野縁11)と直交する短辺部の天井板2の上に敷設されている。補強部材20の端部は、開口部3をX方向両側から挟む位置に配置された一対の等間隔野縁15,15の下側まで延在しており、等間隔野縁15および追加野縁16の底面と、天井板2との間に敷設されている。補強部材20の端部は、等間隔野縁15および追加野縁16の底面(下面)にそれぞれビス止めされている。ビスは、一般的なボードビスが使用されている。補強部材20の長手方向中間部は、開口部3で分離された等間隔野縁15の端部と交差しており、補強部材20が等間隔野縁15の端部の底面(下面)にビス止めされている。補強部材20は、長手方向中間部において、天井板2の継目部9を跨って配置されている(図3参照)。
【0023】
第一実施形態に係る天井開口部補強構造1によれば、野縁受け10が開口部3で分離されているが、分離された一方の野縁受け10に作用した応力は、一方の等間隔野縁15および追加野縁16、補強部材20,20および他方の等間隔野縁15および追加野縁16を介して、分離された他方の野縁受け10へと伝達される。つまり、野縁受け10に作用した応力は、適宜ブレース6に伝達されるので、天井としての強度を確保できる。
【0024】
また、補強部材20が開口部3の周縁部に配置されており、開口部の上方空間を通過しない。よって、開口部3の上方空間において十分な高さ寸法を確保できるので、大型の設備機器であっても設置可能となる。さらに、開口部3の周縁部に沿って追加野縁16が配置され、この追加野縁16は補強部材20に接続されているので、開口部3の周縁部には、補強部材20および追加野縁16が枠状に配置されることになる。これにより、開口部3は、効率的に補強され、地震時等の変形を抑制できる。
【0025】
補強部材20は、長尺プレートにて構成されているので、開口部3を挟んで配置された等間隔野縁15および追加野縁16と、天井板2との間に敷設することができる。そして、補強部材20は、等間隔野縁15および追加野縁16と固定することができるので、補強部材20,等間隔野縁15および追加野縁16を一体化できる。よって、天井の強度をより一層強くできる。さらに、補強部材20は、天井板2の継目部9を跨って配置されているので、天井板2の継目部9の目開きを抑制できる。
【0026】
次に、本発明の第二実施形態に係る天井開口部補強構造について図6乃至図8を参照しつつ詳細に説明する。第二実施形態に係る天井開口部補強構造1aは、図6乃至図8に示すように、開口部3aは、正方形形状を呈しており、第一実施形態の開口部3より大きい。開口部3aは、一本の野縁受け10と三本の等間隔野縁15,15,15が開口部3aで分離されている。
【0027】
本実施形態においても、開口部3aの周縁部のうち、野縁11に交差する方向(X方向)に延在する周縁部に、補強部材20が設けられている。補強部材20は、分離された三本の等間隔野縁15,15,15にそれぞれ交差し、各等間隔野縁15の底面にビス止めされている。補強部材20の端部は、追加野縁16と交差する位置まで延在している。補強部材20は、開口部3aを挟む等間隔野縁16には交差していない。
【0028】
一方、開口部3aの周縁部のうち、等間隔野縁15(野縁11)に沿った方向(Y方向)に延在する周縁部に、追加野縁16が設けられている。追加野縁16は、補強部材20と交差し、交差部分において補強部材20とビス止めされている。
【0029】
追加野縁16は、追加野縁受け22を介して等間隔野縁15に接続されている。追加野縁受け22は、開口部3aを挟む一対の等間隔野縁15,15と、一対の追加野縁16,16と、開口部3aにて分離された三本の等間隔野縁15,15,15に掛け渡されており、クリップ7(図8参照)によって、各野縁15,16にそれぞれ接続されている(図6参照)。
【0030】
第二実施形態に係る天井開口部補強構造1aによれば、大きい正方形形状の開口部3aであっても、第一実施形態と同様に、分離された一方の野縁受け10に作用した応力は、一方の追加野縁16、補強部材20,20および他方の追加野縁16を介して、分離された他方の野縁受け10へと伝達される。つまり、野縁受け10に作用した応力は、適宜ブレース6に伝達されるので、天井としての強度を確保できる。また、第一実施形態と同様に、開口部3aの上方空間において十分な高さ寸法を確保できる。特に第二実施形態では、分離された三本の野縁11,11,11を補強部材20で連結することで天井の強度を効率的に強くできる。さらに、大型の設備機器8a(図7および図8参照)も設置可能となる。
【0031】
次に、本発明の第三実施形態に係る天井開口部補強構造について図9乃至図11を参照しつつ詳細に説明する。第三実施形態に係る天井開口部補強構造1bは、図9乃至図11に示すように、開口部3bは、Y方向に長い長方形形状を呈しており、一本の等間隔野縁15に隣接しているとともに、一本の野縁受け10と一本の等間隔野縁15が開口部3bで分離されている。本実施形態では、開口部3bは、分離された等間隔野縁15が、開口部3bの短手方向(X方向)の中間部から外れた部分に位置している。開口部3bは、周縁部のうち一方の長辺部(図9中、下側の長辺部)が等間隔野縁15に接して配置されている。
【0032】
本実施形態においても、開口部3bの周縁部のうち、野縁11に交差する方向(X方向)に延在する周縁部(短辺部)に、補強部材20が設けられている。補強部材20は、分離された一本の等間隔野縁15に交差し、等間隔野縁15の底面にビス止めされている。補強部材20の一端部(図9中、上側の端部)は、追加野縁16と交差する位置まで延在している。補強部材20の一端部は、開口部3aを挟む等間隔野縁16には交差していない。補強部材20の他端部(図9中、下側の端部)は、開口部3bに隣接する等間隔野縁15と交差する位置まで延在している。
【0033】
一方、開口部3bの周縁部のうち、等間隔野縁15(野縁11)に沿った方向(Y方向)に延在する周縁部のうち、図9中、上側の周縁部(長辺部)には、追加野縁16が設けられている。追加野縁16は、補強部材20と交差し、交差部分において補強部材20とビス止めされている。
【0034】
追加野縁16は、追加野縁受け22を介して等間隔野縁15に接続されている。追加野縁受け22は、開口部3bを挟む等間隔野縁15,15のうち一方(図9中、上側)の等間隔野縁15と、一本の追加野縁16と、開口部3bにて分離された等間隔野縁15と、開口部3bに隣接する等間隔野縁15とに掛け渡されており、クリップ7(図11参照)によって、各野縁15,16にそれぞれ接続されている(図9参照)。
【0035】
第三実施形態に係る天井開口部補強構造1bによれば、開口部3bの周縁部の一辺が等間隔野縁15に隣接し、等間隔野縁15の配置位置からオフセットしている場合であっても、第一実施形態と同様の作用効果を得られる。また、開口部3bの位置が設備機器8bの配置ピッチに合わせられた美観の良好な天井構造を提供することができる。
【0036】
以上、本発明を実施するための形態についてそれぞれ説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、材質、形状や大きさなど適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、開口部3が野縁受け10と等間隔野縁15の両方を分離するように配置されているが、これに限定されるものでない。本発明の天井開口部補強構造は、開口部が野縁受けのみを分離するように配置された場合、または開口部が野縁のみを分離するように配置された場合であっても、適用することができる。野縁受けが分離されていない場合には、野縁受けは繋がっているので、野縁受けに作用した応力は、適宜ブレースに伝達される。これとともに、開口部は、補強部材と追加野縁とで枠状に補強されるので、地震時等の変形を抑制できる。
【0037】
また、前記実施形態では、開口部3の周縁部に少なくとも一本の追加野縁16が設けられているが、開口部3を隣り合う等間隔野縁15,15の間で各等間隔野縁15に隣接して形成する場合には、開口部3の周縁部に配置された等間隔野縁15に追加野縁16の役目を持たせることができる。つまり、開口部3の周縁部に追加野縁を設けなくてよい場合がある。この場合、分離された一方の野縁受けに作用した応力は、一方の等間隔野縁15、補強部材20,20および他方の等間隔野縁15を介して、分離された他方の野縁受け10へと伝達される。
【0038】
さらに、前記実施形態では、補強部材20は、等間隔野縁15,追加野縁16とビス止めされているが、天井板2も合わせて固定してもよい。また、補強部材20を各野縁15,16とは別途の位置で天井板2にビス止めしてもよい。このような構成によれば、天井の強度をより一層強くすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 天井開口部補強構造
2 天井板
3 開口部
9 継目部
10 野縁受け
11 野縁
15 等間隔野縁
16 追加野縁
20 補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11