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特開2023-177158歩行困難な被介護者のための搬送装置
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  • 特開-歩行困難な被介護者のための搬送装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177158
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】歩行困難な被介護者のための搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/14 20060101AFI20231206BHJP
   A61G 7/14 20060101ALI20231206BHJP
   A61G 5/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61G5/14
A61G7/14
A61G5/00 701
A61G5/10 715
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089942
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】596103112
【氏名又は名称】明石 昌毅
(74)【代理人】
【識別番号】100071216
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 昌毅
(74)【代理人】
【識別番号】100130395
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】明石 昌毅
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ベッド、車椅子、トイレ等の設備のいずれにも付属することなく、これらの設備の多数に対応してそれらの間の被介護者の移乗を補助する独立の装置をより安定した形態にて提供する。
【解決手段】キャスター10により床面上を自在に走行する台座12により支持された垂直支柱14により回動自在に支持された回動枠体16の一端に被介護者を支柱14に向かって座らせる坐板18が取り付けられ、回動枠体16の他端に介護者が足で踏んで自分の体重を掛ける足踏み台20が設けられている歩行困難な被介護者のための搬送装置であって、更に回動枠体16には足踏み台20と剛固に連結されて坐板18が取り付けられた回動枠体16の一方の側の延在端の下方に延在し、足踏み台20がキャスター10を支点として床面より浮き上がる方向に所定の角度を越えて傾動しようとするとき床面に接触してこれを阻止する延在部200が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のキャスターにより床面上を任意の方向に自由に走行できる台座と、前記台座により垂直に支持された支柱と、前記支柱によりその周りに自由に回動可能に支持されて前記支柱の両側に延在する回動枠体とを有し、前記回動枠体の一方の側の延在端には被介護者を前記支柱に向かって座らせる坐板が取り付けられており、前記回動枠体の他方の側の延在端には介護者が足で踏んで自分の体重を掛ける足踏み台が設けられており、更に前記回動枠体には前記足踏み台と剛固に連結されて前記坐板が取り付けられた前記回動枠体の一方の側の延在端の下方に延在し、前記足踏み台が前記キャスターを支点として床面より浮き上がる方向に所定の角度を越えて傾動しようとするとき床面に接触してこれを阻止する延在部が設けられていることを特徴とする歩行困難な被介護者のための搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行困難な被介護者をベッド、車椅子、トイレ等の間に移送する作業を補助する搬送装置に係る。
【背景技術】
【0002】
ベッド、車椅子、洋式トイレの弁座の間に被介護者を移送する装置として、本願出願人と同一人は、特許文献1にて「複数個のキャスターにより床面上を任意の方向に自由に走行できる台座と、前記台座により垂直に支持された支柱と、前記支柱によりその周りに自由に回動可能に支持されて前記支柱の両側に延在する回動枠体とを有し、前記回動枠体の一方の側の延在端には被介護者を前記支柱に向かって座らせる坐板が取り付けられており、前記回動枠体の他方の側の延在端には介護者が足で踏んで自分の体重を掛ける足踏み台が設けられていることを特徴とする歩行困難な被介護者のための搬送装置」を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-16417
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先の出願の装置では、坐板に掛かる被介護者の体重は、主として、足踏み台に掛かる介護者の体重により釣り合わされるようになっており、被介護者が坐板に着座してその体重を坐板に掛けているときには、介護者は足踏み台に自らの体重を掛け続けていなければならない。本発明は、先の出願の装置を改良し、被介護者の搬送に当たっては被介護者の体重を介護者の体重により釣り合わせるとの基本的作動原理はそのままであるが、搬送の合間に介護者が一時的に足踏み台に掛ける自身の体重を外すことがあっても、装置は安定した姿勢に保たれるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明は、複数個のキャスターにより床面上を任意の方向に自由に走行できる台座と、前記台座により垂直に支持された支柱と、前記支柱によりその周りに自由に回動可能に支持されて前記支柱の両側に延在する回動枠体とを有し、前記回動枠体の一方の側の延在端には被介護者を前記支柱に向かって座らせる坐板が取り付けられており、前記回動枠体の他方の側の延在端には介護者が足で踏んで自分の体重を掛ける足踏み台が設けられており、更に前記回動枠体には前記足踏み台と剛固に連結されて前記坐板が取り付けられた前記回動枠体の一方の側の延在端の下方に延在し、前記足踏み台が前記キャスターを支点として床面より浮き上がる方向に所定の角度を越えて傾動しようとするとき床面に接触してこれを阻止する延在部が設けられていることを特徴とする歩行困難な被介護者のための搬送装置を提案するものである。
【発明の効果】
【0006】
上記の如く、歩行困難な被介護者のための搬送装置が、複数個のキャスターにより床面上を任意の方向に自由に走行できる台座と、前記台座により垂直に支持された支柱と、前記支柱によりその周りに自由に回動可能に支持されて前記支柱の両側に延在する回動枠体とを有し、前記回動枠体の一方の側の延在端には被介護者を前記支柱に向かって座らせる坐板が取り付けられており、前記回動枠体の他方の側の延在端には介護者が足で踏んで自分の体重を掛ける足踏み台が設けられているような歩行困難な被介護者のための搬送装置において、更に前記回動枠体には前記足踏み台と剛固に連結されて前記坐板が取り付けられた前記回動枠体の一方の側の延在端の下方に延在し、前記足踏み台が前記キャスターを支点として床面より浮き上がる方向に所定の角度を越えて傾動しようとするとき床面に接触してこれを阻止する延在部が設けられていれば、被介護者の搬送に当たっては被介護者の体重を介護者の体重により釣り合わせるとの基本的作動原理による装置の作動はそのままにして、搬送の合間に介護者が一時的に足踏み台に掛ける自身の体重を外すことがあっても、装置は安定した姿勢に保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明による搬送装置を一つの実施の形態について示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示されている搬送装置は、複数個(この例では8個)のキャスター10により床面上を任意の方向に自由に走行できる台座12と、台座12により垂直に支持された支柱14と、支柱14によりその周りに自由に回動可能に支持されて支柱14の両側に延在する回動枠体16とを有している。回動枠体16の一方の側の延在端には被介護者を支柱14に向かって座らせる坐板18が取り付けられており、回動枠体16の他方の側の延在端には介護者が足で踏んで自分の体重を掛ける足踏み台20が設けられている。
【0009】
回動枠体16は、上記の通り、支柱14によりその周りに自由に回動可能に支持されて支柱14の両側に延在し、一方の側の延在端には被介護者を座らせる坐板18が取り付けられ、他方の側の延在端には介護者が足で踏んで自分の体重を掛ける足踏み台20が設けられているという機能的構成で於いては一つの構成要素であるが、坐板18は対応するベッド、車椅子、洋式便座等の高さに応じてその高さ位置が調節可能とされているべきことに対比して、足踏み台20は常に床面にごく近い一定の高さ位置に保持されているべきことから、回動枠体16の坐板18が取り付けられる一端側と足踏み台20が設けられる他端側とは高さ方向に変位可能であることが必要とされ、そのため図示の例では、回動枠体16は支柱14に沿って上下に変位可能で坐板18が取り付けられる前半部16-1と、支柱14に対し上下方向には偏倚せず足踏み台20が設けられている後半部16-2とが別部材として構成されており、前半部16-1の側に設けられた一対の横方向ロッド22の間に後半部16-2の側に設けられた縦方向ロッド24が係合していることにより、前半部16-1と後半部16-2とは支柱14の周りの回動に関しては一体となって回動し、その上で前半部16-1は後半部16-2に対し若干の寸法の範囲で上下方向に偏倚できるようになっている。
【0010】
支柱14は円柱部材である。回動枠体16の前半部16-1は図示の通り管を縦横斜めに組合せて箱型輪郭のトラス構造としたものであり、坐板18が取り付けられる端部は、支柱14の方を向いて坐板18上に座った被介護者の脚の邪魔にならないよう中程が開いた構造とされており、支柱14に近接する端部の上下端にて一対の円環部材26、28により支柱14に対しその周りに回動自由に且つそれに沿って上下に移動可能に装着されている。回動枠体16の後半部16-2は、Y形腕部材30の二股端に足踏み台20が設けられ、支柱14に近接する端部にて円環部材32により支柱14の下端部に対しその周りに回動自由に装着されたものである。円環部材32は台座12の上面の中央部に設けられた滑らかな円環面34上に着座しており、この円環面上に滑って回動するようになっている。台座12が平坦な床面上に全てのキャスター10を床面に接触させた状態に載置されているとき、足踏み台20は例えば1センチ程度のごく小さな間隙にて床面より平行に隔置された状態にあるように設定されていてよい。回動枠体16の前半部16-1と後半部16-2とを支柱14の周りの回動に対して連結する上記の一対の横方向ロッド22と縦方向ロッド24とは、それぞれ円環部材28とY形腕部材30に植設されている。
【0011】
回動枠体16には、これを支柱14の周りに回動させる操作に適した環状ハンドル36が設けられている。図示の例では、管状ハンドル36は回動枠体16の円環部材26の部分に取付けられている。環状ハンドル36は、回動枠体16を支柱14の周りに回動させる操作の便のためのものであると同時に、この環状ハンドルは坐板18に対して不動の環状ハンドルであるので、坐板18上に着座した被介護者が手にてこれを掴むことにより、坐板18上に着座した状態の安定を図ることができる。
【0012】
支柱14には、その中心軸線に同心の環状ハンドル38が設けられている。この環状ハンドル38は台座12を移動させまた回動させる操作の便のためのものであるが、回動枠体16は台座12上に担持されているので、回動枠体16の回動が外から阻止されていなければ、環状ハンドル38によって回動枠体16ごと搬送装置全体を回動させることもできる。また、環状ハンドル38は、介護者が足踏み台上に自分の体重を掛けつつ搬送装置を操る際にこれを掴んで自己の姿勢を安定させるのにも役立つ。環状ハンドル38は、回動枠体16が支柱14の周りに回動されると、回動枠体16に対し相対的に回動するので、坐板18上に着座した被介護者がこれを掴むことがないよう、環状ハンドル38は、図示の例では、環状ハンドル36より小径に作られ、且つ環状ハンドル36より少し上方に離して設けられている。
【0013】
回動枠体16の前半部16-1は、坐板18を取り付ける端部に一対の水平な管状の腕部40を有し、坐板18はこれらの管状腕部に近い側の両端部より管状腕部40内に差込まれる一対の棒状支脚42を有し、これら一対の棒状支脚42にて回動枠体の管状腕部40に抜き差しされることにより回動枠体16に対し容易に着脱されるようになっている。管状腕部40の一方または両方には、坐板18の棒状支脚42が差し込まれたとき、その差し込み状態を保持するための止めねじ44が設けられている。坐板18は一端支持によって被介護者を必要な強度と剛性をもって支持することをできるだけ薄い厚みにて達成するよう、ステンレス鋼板等により作られていてよい。また棒状支脚42も同様にできるだけ細い径で坐板18を必要な強度にて支持することができるよう、ステンレス鋼等により作られてよい。また、一対の棒状支脚42は、機能的形状としては、坐板18の一端より突き出たものであるが、坐板18の支持をより強固なものとするよう、坐板18の一端より突き出た一対の脚部より坐板18の側縁および外縁を回って延在するU字型の部材として構成されていてよい。
【0014】
坐板18は個々の被介護者に対応して互に交換して回動枠体16に取り付けられるよう複数個準備されていてよく、またそのうちの或るものは図示の如く中央部に洋式便座の内縁に整合する開口46を有し、被介護者が坐板18上に着座したまま用便をすませることができるようになっていてよい。
【0015】
回動枠体16を支柱14の周りに自由に回動可能に支持すると共に、支柱14による回動枠体16の支持の高さ位置を若干の寸法範囲内にて調節可能にし、回動枠体16による坐板18の支持高さを調節可能にするため、支柱14に固定されたピストンと回動枠体16に固定されたシリンダとによる油圧シリンダ/ピストン装置54が設けられている。油圧シリンダ/ピストン装置54は回動枠体16の前半部16-1の円環部材26と28の間に配置されており、そのシリンダ部が複数本(図示の例では3本)の縦方向ロッド56および58により円環部材26および28と連結されている。油圧シリンダ/ピストン装置54の構造の一例は上記先願の公開公報である特開2012-16417の図3に幾分解図的に示されている。また油圧シリンダ/ピストン装置54によって回動枠体の前半部16-1が支柱14に沿って高さを調節される構造は上記公開公報の図4および図5に示されている。
【0016】
回動枠体16の足踏み台20を担持する後半部16-2には、円環部材32を介して足踏み台20と剛固に連結されて坐板18が取り付けられた回動枠体の前半部16-1の下方に延在し、足踏み台20がキャスター10を支点として床面より浮き上がる方向に所定の角度を越えて傾動しようとするとき床面に接触してこれを阻止する延在部200が設けられている。延在部200はその内端部200iにて円環部材32に剛固に固定され、キャスター10が支柱14の周りに回動することを妨げないよう迂回湾曲して外端部200extまで延在しており、足踏み台20と同じく、台座12が平坦な床面上に全てのキャスター10を床面に接触させた状態に載置されているとき例えば1センチ程度のごく小さな間隙にて床面より平行に隔置された状態にあるように設定されていてよい。
【0017】
かくして足踏み台20がキャスター10を支点として床面より浮き上がる方向に所定の角度を越えて傾動しようとすると、延在部200がその外端部200extにて床面に接触してそれ以上装置の傾動を阻止するので、被介護者の搬送に当たっては被介護者の体重を介護者の体重により釣り合わせるとの基本的作動原理による装置の作動はそのままにして、搬送の合間に介護者が一時的に足踏み台に掛ける自身の体重を外すことがあっても、装置は安定した姿勢に保たれる。
【0018】
以上に於いては本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形につて本明の囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【符号の説明】
【0019】
10…キャスター、12…台座、14…支柱、16…回動枠体、16-1…回動枠体の前半部、16-2…回動枠体の後半部、18…坐板、20…足踏み台、22…横方向ロッド、24…縦方向ロッド、26,28…円環部材、30…Y形腕部材、32…円環部材、34…円環面、36,38…環状ハンドル、40…管状の腕部、42…棒状支脚、44…止めねじ、46…開口、48…立ち毛、50…車椅子の座面、52…被介護者の臀部、54…油圧シリンダ/ピストン装置、56,58…縦方向ロッド、200…延在部、200i…延在部の内端部、200ext…延在部の外端部
図1