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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177174
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】植物栽培支援システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20231206BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A01G9/24 N
A01G9/24 Q
A01G9/24 P
A01G7/00 601Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089974
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】523108898
【氏名又は名称】合同会社JG
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 忍
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
【Fターム(参考)】
2B022AA05
2B022DA17
2B029MA08
2B029SB06
2B029SB11
2B029SB15
(57)【要約】
【課題】気候の寒暑にかかわらない植物の安定的な栽培および栽培施設への電力供給を循環型によってリサイクル可能にかつ低コストで行うことができる植物栽培支援システムおよび方法を提供すること。
【解決手段】植物を屋内栽培する施設4への電力供給および前記施設4の屋内の加温または冷却を行って前記屋内栽培を支援するための植物栽培支援システム1であって、廃棄物固形燃料211と家畜から排泄された糞尿を炭化した燃料を燃焼させることによって発生した熱を利用して前記電力供給を行う電力供給装置2と、地熱を利用して前記屋内の加温または冷却を行う加温/冷却装置3とを備えたこと。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を屋内栽培する施設への電力供給および前記施設の屋内の加温または冷却を行って前記屋内栽培を支援するための植物栽培支援システムであって、
廃棄物固形燃料を燃焼させることによって発生した熱を利用して前記電力供給を行う電力供給装置と、
地熱を利用して前記屋内の加温または冷却を行うとともに前記屋内の熱を二次的利用手段に付与して前記屋内の冷却を行う加温/冷却装置と
を備えたことを特徴とする植物栽培支援システム。
【請求項2】
前記電力供給装置は、
前記廃棄物固形燃料を燃焼させて前記熱を発生させる発熱手段と、
所定の作動流体が循環する循環路と、
前記発熱手段によって発生した熱を前記循環路内の前記作動流体に供給することによって前記作動流体を液体から蒸気に変換する熱供給手段と、
この熱供給手段によって発生した前記蒸気を利用した発電を行い、この発電によって生じた電力を前記施設に供給する発電手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培支援システム。
【請求項3】
前記加温/冷却装置は、
循環路内を循環する所定の作動流体を圧縮させる圧縮手段と、
前記作動流体を膨張させる膨張手段と、
前記膨張または前記圧縮の後の前記作動流体と土壌および二次的利用手段との熱交換を行う第1の熱交換手段と、
前記圧縮または前記膨張の後の前記作動流体と前記屋内との熱交換を行う第2の熱交換手段と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の植物栽培支援システム。
【請求項4】
前記発電手段によって発生した電力の一部を前記加温/冷却装置の動力に利用すること
を特徴とする請求項3に記載の植物栽培支援システム。
【請求項5】
前記廃棄物固形燃料は、RPFおよび家畜から排泄された糞尿を炭化した燃料を含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の植物栽培支援システム。
【請求項6】
前記植物は、タモギタケを含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の植物栽培支援システム。
【請求項7】
植物を屋内栽培する施設への電力供給および前記施設の屋内の加温または冷却を行って前記屋内栽培を支援するための植物栽培支援方法であって、
廃棄物固形燃料を燃焼させることによって発生した熱を利用して前記電力供給を行う第1のステップと、
地熱を利用して前記屋内の加温または冷却を行うとともに二次的利用手段を利用して前記屋内の冷却を行う第2のステップと
を含むことを特徴とする植物栽培支援方法。
【請求項8】
前記第1のステップは、
前記廃棄物固形燃料を燃焼させて前記熱を発生させる第1-1のステップと、
この第1-1のステップにおいて発生した熱を、循環路内を循環する所定の作動流体に供給することによって前記作動流体を液体から蒸気に変換する第1-2のステップと、
この第1-2のステップにおいて発生した前記蒸気を利用した発電を行い、この発電によって生じた電力を前記施設に供給する第1-3のステップと
を含むことを特徴とする請求項7に記載の植物栽培支援方法。
【請求項9】
前記第2のステップは、
循環路内を循環する所定の作動流体を圧縮させる第2-1のステップと、
前記作動流体を膨張させる第2-2のステップと、
前記膨張または前記圧縮の後の前記作動流体と土壌との熱交換および/または前記圧縮の後の前記作動流体と二次的利用手段との熱交換を行う第2-3のステップと、
前記圧縮または前記膨張の後の前記作動流体と前記屋内との熱交換を行う第2-4のステップと
を含むことを特徴とする請求項8に記載の植物栽培支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培支援システムおよび方法に係り、特に、植物の屋内栽培を支援するのに好適な植物栽培支援システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物をエネルギ資源等に再利用して、資源を循環させるとともに廃棄物の発生を抑制し、これにより環境に与える負荷をできるだけ低減させる循環型社会の実現が推進されるようになった。
【0003】
そして、これまでにも、かかる循環型社会を目指す種々の試みがなされており、その一つに、生ゴミやプラスチックゴミ等の廃棄物を原料とした廃棄物固形燃料の利用がある。
【0004】
本発明者は、このような廃棄物固形燃料を利用したハウス栽培に関する技術を既に提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-5380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術によれば、廃棄物固形燃料を燃焼させることによって発生した熱を用いて温風または温水を生成し、生成された温風または温水を施設園芸用ハウスに供給してハウス内を加温することができる。
【0007】
ところで、ハウス栽培においては、季節にかかわらずに植物を安定的に栽培するために、夏季等の熱暑時にハウス内を積極的に冷却することが望ましい場合がある。このような場合に、廃棄物固形燃料は、寒冷時にハウス内を加温するための熱源とはなり得るが、冷却にそのまま利用することはできない。
【0008】
一方、ハウス栽培には、ハウス内の照明その他の動力に電力が必要であり、この電力を低コストで供給することが求められていた。
【0009】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、気候の寒暑にかかわらない植物の安定的な栽培および栽培施設への電力供給を循環型によってリサイクル可能にかつ低コストで行うことができる植物栽培支援システムおよび方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明に係る植物栽培支援システムは、植物を屋内栽培する施設への電力供給および前記施設の屋内の加温または冷却を行って前記屋内栽培を支援するための植物栽培支援システムであって、廃棄物固形燃料を燃焼させることによって発生した熱を利用して前記電力供給を行う電力供給装置と、地熱を利用して前記屋内の加温または冷却を行うとともに前記屋内の熱を二次的利用手段に付与して前記屋内の冷却を行う加温/冷却装置とを備えたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る植物栽培支援方法は、植物を屋内栽培する施設への電力供給および前記施設の屋内の加温または冷却を行って前記屋内栽培を支援するための植物栽培支援方法であって、廃棄物固形燃料を燃焼させることによって発生した熱を利用して前記電力供給を行う第1のステップと、地熱を利用して前記屋内の加温または冷却を行うとともに二次的利用手段を利用して前記屋内の冷却を行う第2のステップとを含むことを特徴としている。
【0012】
そして、このような本発明によれば、廃棄物固形燃料を施設への電力供給に利用することができるとともに、地熱を施設屋内の加温または冷却に利用することができるので、気候の寒暑にかかわらない植物の安定的な栽培および栽培施設への電力供給を低コストで行うことができる。
【0013】
さらに、本発明の植物栽培支援システムにおいて、前記電力供給装置は、前記廃棄物固形燃料を燃焼させて前記熱を発生させる発熱手段と、所定の作動流体が循環する循環路と、前記発熱手段によって発生した熱を前記循環路内の前記作動流体に供給することによって前記作動流体を液体から蒸気に変換する熱供給手段と、この熱供給手段によって発生した前記蒸気を利用した発電を行い、この発電によって生じた電力を前記施設に供給する発電手段とを備えてもよい。同様に、本発明の植物栽培支援方法において、前記第1のステップは、前記廃棄物固形燃料を燃焼させて前記熱を発生させる第1-1のステップと、この第1-1のステップにおいて発生した熱を、循環路内を循環する所定の作動流体に供給することによって前記作動流体を液体から蒸気に変換する第1-2のステップと、この第1-2のステップにおいて発生した前記蒸気を利用した発電を行い、この発電によって生じた電力を前記施設に供給する第1-3のステップとを含んでもよい。
【0014】
そして、このような本発明によれば、電力供給を簡便かつ効率的に行うことができる。
【0015】
さらにまた、本発明の植物栽培支援システムにおいて、前記加温/冷却装置は、循環路内を循環する所定の作動流体を圧縮させる圧縮手段と、前記作動流体を膨張させる膨張手段と、前記膨張または前記圧縮の後の前記作動流体と土壌との熱交換を行う第1の熱交換手段と、前記圧縮または前記膨張の後の前記作動流体と前記屋内との熱交換を行う第2の熱交換手段とを備えてもよい。同様に、本発明の植物栽培支援方法において、前記第2のステップは、循環路内を循環する所定の作動流体を圧縮させる第2-1のステップと、前記作動流体を膨張させる第2-2のステップと、前記膨張または前記圧縮の後の前記作動流体と土壌との熱交換および/または前記圧縮の後の前記作動流体と二次的利用手段との熱交換を行う第2-3のステップと、、前記圧縮または前記膨張の後の前記作動流体と前記屋内との熱交換を行う第2-4のステップとを含んでもよい。
【0016】
そして、このような本発明によれば、施設屋内の加温/冷却を二酸化炭素の排出量を削減しつつ低コストで行うことができる。
【0017】
また、本発明の植物栽培支援システムにおいて、前記発電手段によって発生した電力の一部を前記加温/冷却装置の動力に利用してもよい。
【0018】
そして、このような構成によれば、廃棄物固形燃料を、電力供給を介して間接的に屋内の加温/冷却に利用することができる。
【0019】
さらに、本発明の植物栽培支援システムにおいて、前記廃棄物固形燃料は、RPF(Ref
use Paper & Plastic Fuel)であってもよい。
【0020】
そして、このような構成によれば、発熱量がコントロールされた良質かつ製造原価が安価な燃料を利用することができるので、屋内栽培を更に安定的かつ低コストで行うことができる。
【0021】
さらにまた、本発明の植物栽培支援システムにおいて、前記植物は、タモギタケを含んでもよい。
【0022】
そして、このような構成によれば、厳格な温度管理が求められるタモギタケを安定的かつ安価に栽培することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、気候の寒暑にかかわらない植物の安定的な栽培および栽培施設への電力供給を低コストで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る植物栽培支援システムの実施形態を示す概略構成図
図2】本発明に係る植物栽培支援方法の実施形態において、電力供給処理を示すフローチャート
図3】植物栽培支援方法の実施形態において、加温処理を示すフローチャート
図4】植物栽培支援方法の実施形態において、冷却処理を示すフローチャート
図5】植物栽培支援システムの変形例を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0025】
(植物栽培支援システム)
以下、本発明に係る植物栽培支援システムの実施形態について、図1を参照して説明する。
【0026】
図1は、本実施形態における植物栽培支援システム1を示す概略構成図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態における植物栽培支援システム1は、電力供給装置2と、加温/冷却装置3と、植物を屋内栽培する施設としての農業用ハウス4とによって構成されている。
【0028】
このように構成された植物栽培支援システム1は、電力供給装置2による農業用ハウス4への電力供給および加温/冷却装置3による農業用ハウス4の屋内の加温または冷却を行って屋内栽培を支援するようになっている。このとき、電力供給装置2は、廃棄物固形燃料を燃焼させることによって発生した熱を利用して電力供給を行うようになっている。また、加温/冷却装置3は、地熱を利用して屋内の加温または冷却を行ったり、屋内の冷却時に屋内の温度を二次的に利用したりするようになっている。
【0029】
以下、植物栽培支援システム1のより具体的な構成を説明する。
【0030】
〔電力供給装置〕
図1に示すように、電力供給装置2は、発熱手段としてのバイオマスボイラ21と、熱交換発電装置22とによって構成されている。
【0031】
<バイオマスボイラ>
まず、バイオマスボイラ21について詳述すると、図1に示すように、バイオマスボイ
ラ21は、廃棄物固形燃料211の燃焼が行われる燃焼室212を有している。この燃焼室212内には、図1に示すように、燃焼室212の室内雰囲気と給熱用循環路(熱供給手段に該当)213内を循環する水210との熱交換を行うための熱交換部214が配設されている。
【0032】
また、図1に示すように、燃焼室212の入口には、燃焼室212内に廃棄物固形燃料211を投入する投入部215が配設されている。
【0033】
さらに、図1に示すように、燃焼室212には、廃棄物固形燃料211への着火を行う着火部216が配設されている。
【0034】
さらにまた、燃焼室212の外部には、廃棄物固形燃料211を投入部215に供給する供給装置217が配設されている。
【0035】
なお、廃棄物固形燃料211は、好ましくは、RPFや家畜から排泄された糞尿を炭化した燃料とされている。また、供給装置217は、廃棄物固形燃料211が収容された燃料サイロやベルトコンベア等によって構成してもよい。また、図示しないが、バイオマスボイラ21は、廃棄物固形燃料211の燃焼灰を排出する排出コンベア、排熱を利用して燃焼用の空気を予熱する空気余熱器、煤煙を集塵する集塵機、バイオマスボイラ21の動作を電気的に制御するための制御装置等を備えていてもよい。さらに、給熱用循環路213内には、水210を循環させるポンプ等の循環手段を設けてもよい。
【0036】
<熱交換発電装置>
次に、熱交換発電装置22について詳述すると、図1に示すように、熱交換発電装置22は、所定の発電用作動流体220が循環される発電用循環路221を有している。
【0037】
この発電用循環路221上には、蒸発器222が配設されており、この蒸発器222は、バイオマスボイラ21側から延設された給熱用循環路213の一部を発電用循環路221内に配置することによって構成されている。
【0038】
そして、この蒸発器222内の給熱用循環路213は、当該循環路213内の熱水210の熱を発電用作動流体220に供給(熱交換)することによって、発電用作動流体220を蒸発(気化)させて液体から蒸気(気体)に変換するようになっている。
【0039】
また、図1に示すように、発電用循環路221上には、発電手段としてのタービン発電機223が配設されている。このタービン発電機223は、蒸発器222において発生した蒸気がタービン発電機223を通過する際に発電機223の回転子に直結されたタービンを回転させることによって、発電機223の電機子(固定子または回転子)に起電力を誘導させて発電を行うようになっている。
【0040】
このタービン発電機223の発電電力は、送電線224を通じて農業用ハウス4に送電されるようになっている。
【0041】
なお、発電用作動流体220は、フロンやアンモニア等の低沸点液体であってもよい。また、発電用循環路221上には、凝集器や循環ポンプ等を更に配置してもよい。さらに、熱交換発電装置22は、その動作を電気的に制御するための制御装置を備えていてもよい。
【0042】
〔加温/冷却装置〕
また、図1に示すように、加温/冷却装置3は、所定の加温/冷却用作動流体30が循
環される加温/冷却用循環路31を有している。この加温/冷却用循環路31上には、図1に示すように、圧縮手段としての圧縮機32が配設されており、この圧縮機32は、加温/冷却用作動流体30を圧縮・加熱するようになっている。
【0043】
さらに、図1に示すように、加温/冷却用循環路31上には、膨張手段としての膨張弁33が配設されており、この膨張弁33は、加温/冷却用作動流体30を膨張・冷却するようになっている。
【0044】
さらにまた、図1に示すように、加温/冷却用循環路31上には、第1の熱交換手段としての第1熱交換器34が配設されている。この第1熱交換器34は、加温/冷却用循環路31内と土壌5中との間に、水3411が循環される熱交換用循環路341を配設することによって構成されている。この第1熱交換器34は、膨張弁33による膨張後または圧縮機32による圧縮後の加温/冷却用作動流体30と土壌5との熱交換を行うようになっている。さらに、第1熱交換器34には、加温/冷却用循環路31内と温水発生器等の二次的利用手段36との間に、水3421が循環される熱交換用循環路342が配設されている。これにより第1熱交換器34は、圧縮機32による圧縮後の加温/冷却用作動流体30と二次的利用手段36との熱交換を行うことができるようになっている。
【0045】
また、図1に示すように、加温/冷却用循環路31上には、第2の熱交換手段としての第2熱交換器35が配設されている。この第2熱交換器35は、加温/冷却用循環路31内と農業用ハウス4の屋内との間に管路351を配設することによって構成されている。
【0046】
この第2熱交換器35は、圧縮機32による圧縮後または膨張弁33による膨張後の加温/冷却用作動流体30と、農業用ハウス4の屋内との熱交換を、管路351内の流体3511を介して行うようになっている。管路351内の流体3511は、無端の管路351内を循環する水であってもよく、または、ハウス屋内に対して管路351端部の不図示の吸排気口を通して吸排される空気であってもよい。
【0047】
また、図1の黒塗り矢印は、寒冷時において地熱を利用して農業用ハウス4の屋内を加温する場合における熱の移動状態を示している。一方、図1の白抜き矢印は、熱暑時において農業ハウス4の屋内の熱を土壌5に逃がしたり、二次的利用手段36によって屋内の熱量を再利用したりして、屋内を冷却する場合における熱の移動状態を示している。
【0048】
なお、加温/冷却用作動流体30は、フロンやアンモニア等の低沸点液体であってもよい。また、熱交換用循環路341上には、水3411および水3421を循環させるポンプ等の循環手段を配置してもよい。さらに、管路351内の流体3511を水とする場合には、管路351内に、ポンプ等の循環手段を配置してもよい。一方、管路351内の流体3511を空気とする場合には、流路上または流路端に送気ファンを設けてもよい。さらにまた、加温/冷却装置3は、その動作を電気的に制御するための制御装置を備えていてもよい。また、加温/冷却装置3の動作は、PCおよび通信等を用いた遠隔操作によって管理してもよい。
【0049】
〔農業用ハウス〕
農業用ハウス4は、例えば、アルミパイプ等の骨組に塩化ビニルフィルムやポリエチレンフィルム等の保護被覆資材を被覆して組み立てられており、屋内では、所望の植物が栽培されている。この植物としては、野菜、果樹、花等の種々の植物を採用することができるが、本実施形態においては、厳格な温度管理が求められるタモギタケも好適に採用することができる。
【0050】
図1に示すように、農業用ハウス4内には、照明その他のハウス内の動力の負荷41が配設されており、この負荷41には、電力供給装置2側から電力が供給されるようになっている。なお、農業ハウス4には、電力供給装置2側から供給される電力を蓄電する蓄電装置が設けられていてもよい。
【0051】
また、図1に示すように、農業用ハウス4の屋内は、加温/冷却装置3によって、管路351内の流体3511を介した加温または冷却が行われるようになっている。なお、農業用ハウス4内には、図1に示すように、加温/冷却装置3側または加温/冷却装置3を管理する管理者(サーバ)側で監視可能とされた温度センサ42を設けておき、この温度センサ42の検出結果に応じた加温/冷却が行われるように構成してもよい。
【0052】
(植物栽培支援方法)
次に、前述した植物栽培支援システム1を適用した本発明に係る植物栽培支援方法の実施形態について、図2乃至図4を参照して説明する。
【0053】
〔電力供給処理〕
本実施形態においては、電力供給装置2により、図2に示すような農業用ハウス4への電力供給処理を行う。
【0054】
すなわち、まず、図2のステップ21(ST21)において、バイオマスボイラ21により、廃棄物固形燃料211を燃焼させる。このステップ21(ST21)の工程は、供給装置217によって廃棄物固形燃料211を燃焼室212入口の投入部215に供給し、供給された廃棄物固形燃料211を投入部215から燃焼室212内に投入し、投入された廃棄物固形燃料211に対して着火部216による着火を行うことによって実行される。
【0055】
次いで、ステップ22(ST22)において、バイオマスボイラ21および熱交換発電装置22により、ステップ21(ST21)において発生した熱を利用して、発電用作動流体220を液体から蒸気に変換する。このステップ22(ST22)の工程は、熱交換部214によって燃焼室212内の燃焼熱を給熱用循環路213内の水210に付与して熱水に変換し、この熱水を当該循環路213を通じて蒸発器222内まで循環させ、この循環させた熱水を蒸発器222内の発電用作動流体220と熱交換することによって実行される。
【0056】
次いで、ステップ23(ST23)において、熱交換発電装置22により、ステップ22(ST22)において発生した蒸気を発電用循環路221を通じてタービン発電機223に供給することによって、タービンを回転させて発電を行う。
【0057】
次いで、ステップ24(ST24)において、タービン発電機223により、ステップ23(ST23)において発生した電力を送電線224を通じて農業用ハウス4に供給する。
【0058】
〔加温処理〕
また、本実施形態においては、加温/冷却装置3により、図3に示すような農業用ハウス4の加温処理を必要に応じて行う。
【0059】
すなわち、図3のステップ31(ST31)において、圧縮機32により、土壌5との熱交換によって蒸気となっている加温/冷却用循環路31内の加温/冷却用作動流体30を、圧縮して加熱する。
【0060】
次いで、ステップ32(ST32)において、第2熱交換器35により、ステップ31(ST31)において圧縮・加熱された加温/冷却用作動流体30と農業用ハウス4の屋内との熱交換を管路351内の流体3511を介して行って、ハウス屋内を加温する。この熱交換後の加温/冷却用作動流体30は、凝集されて液化する。
【0061】
次いで、ステップ33(ST33)において、膨張弁33により、ステップ32(ST32)による熱交換後の加温/冷却用作動流体30を膨張させて冷却する。
【0062】
次いで、ステップ34(ST34)において、第1熱交換器34により、ステップ33(ST33)における膨張・冷却後の加温/冷却用作動流体30を、土壌5との熱交換によって蒸発させる。
【0063】
このような一連のサイクルを繰り返せば、ハウス屋内の加温が継続される。
【0064】
〔冷却処理〕
さらに、本実施形態においては、加温/冷却装置3により、図4に示すような農業用ハウス4の冷却処理を必要に応じて行う。
【0065】
すなわち、図4のステップ41(ST41)において、圧縮機32により、農業用ハウス4の屋内との熱交換によって蒸気となっている加温/冷却用循環路31内の加温/冷却用作動流体30を、圧縮して加熱する。
【0066】
次いで、ステップ42(ST42)において、第1熱交換器34により、ステップ41(ST41)において圧縮・加熱された加温/冷却用作動流体30と土壌5および/または二次的利用手段36との熱交換を行って、加温/冷却用作動流体30の熱を土壌5に逃がしたり、二次的利用手段36によって屋内の熱量を再利用したりする。この熱交換後の加温/冷却用作動流体30は、凝集されて液化する。
【0067】
次いで、ステップ43(ST43)において、膨張弁33により、ステップ42(ST42)による熱交換後の加温/冷却用作動流体30を膨張させて冷却する。
【0068】
次いで、ステップ44(ST44)において、第2熱交換器35により、ステップ43(ST43)における膨張・冷却後の加温/冷却用作動流体30をハウス屋内との熱交換によって蒸発させることによって、ハウス屋内を冷却する。
【0069】
このような一連のサイクルを繰り返せば、ハウス屋内の冷却が継続される。
【0070】
(変形例)
次に、図5は、本実施形態の変形例を示したものである。
【0071】
図5に示すように、本変形例においては、電力供給装置2によって発生した電力を、農業用ハウス4だけでなく、加温/冷却装置3にも供給(送電)している。この供給された電力は、圧縮機32の動力等に利用すればよい。
【0072】
以上述べたように、本発明によれば、廃棄物固形燃料211を農業用ハウス4への電力供給に利用することができるとともに、地熱をハウス屋内の加温または冷却に利用することができるので、気候の寒暑にかかわらない植物の安定的な栽培および栽培施設への電力供給を効率的かつ低コストで行うことができる。
【0073】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 植物栽培支援システム
2 電力供給装置
211 廃棄物固形燃料
3 加温/冷却装置
4 農業用ハウス
図1
図2
図3
図4
図5