IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 高田製薬株式会社の特許一覧

特開2023-177182リバーロキサバン錠剤およびその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177182
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】リバーロキサバン錠剤およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5377 20060101AFI20231206BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61P7/02
A61K47/38
A61K47/26
A61K9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022098447
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000169880
【氏名又は名称】高田製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田村 優樹
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康平
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大夢
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076DD22
4C076DD38
4C076DD47
4C076DD55
4C076EE16B
4C076EE31
4C076EE32
4C076FF06
4C086AA02
4C086BC73
4C086GA04
4C086GA09
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086NA20
4C086ZA54
(57)【要約】
【課題】結晶セルロースを含み、かつ、造粒時間を長くしても、溶出性の低下が抑制されたリバーロキサバン錠剤とその製造方法を提供する。
【解決手段】
リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤とを含む造粒物を含有するリバーロキサバン錠剤であって、前記結晶セルロースのかさ密度が0.25g/cm以下であり、かつ、前記結晶セルロースを前記造粒物中にのみ含有する、リバーロキサバン錠剤により解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤とを含む造粒物を含有するリバーロキサバン錠剤であって、前記結晶セルロースのかさ密度が0.25g/cm以下であり、かつ、前記結晶セルロースを前記造粒物中にのみ含有する、リバーロキサバン錠剤。
【請求項2】
さらにD-マンニトールを含有する、請求項1に記載のリバーロキサバン錠剤。
【請求項3】
前記D-マンニトールを少なくとも前記造粒物以外の成分中に含有する、請求項2に記載のリバーロキサバン錠剤。
【請求項4】
前記結晶セルロースの含有量が、前記造粒物100質量%中10~40質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のリバーロキサバン錠剤。
【請求項5】
リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤とを含む造粒物を含有し、前記結晶セルロースを前記造粒物中にのみ含有するリバーロキサバン錠剤の製造方法であって、前記リバーロキサバンと前記結晶セルロースと崩壊剤を含有する造粒物を製造する造粒工程を有し、前記結晶セルロースのかさ密度が、0.25g/cm以下である、リバーキサバン錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リバーロキサバン錠剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リバーロキサバン、すなわち、(5-クロロ-N-([(5S)-2-オキソ-3-[4-(3-オキソ-4-モルホリニル)-フェニル]-1,3-オキサゾリジン-5-イル]-メチル)-2-チオフェンカルボキサミドは、血液凝固を阻止する作用を有する経口第Xa因子阻害剤として知られている。リバーロキサバンは水にほとんど溶けないため、これを有効成分として含む錠剤の開発においては、溶出性を向上するための検討が重要である。
例えば特許文献1においては、リバーロキサバンを含む造粒物中に結晶セルロースを実質的に含有しないようにすると、溶出性が改善されることが記載されている。
【0003】
錠剤の一般的な製造方法としては、造粒工程により造粒物を製造し、得られた造粒物に必要に応じて添加物を加え、打錠する方法があるが、ここで造粒物の流動性が優れていると、質量や密度のバラつきが少ない錠剤が得られやすいという傾向がある。また、造粒物の流動性が優れていることは、打錠工程の作業効率の点でも好ましい。造粒物の流動性は造粒工程の時間(造粒時間)と相関があり、造粒時間を長くすると流動性に優れた造粒物が得られやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-108324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事情から、造粒物中に結晶セルロースを含有しないようにするとともに、造粒時間を長くすることにより、溶出性に優れ、質量や密度のバラつきのないリバーロキサバン錠剤が得られることが期待される。
しかしながら、結晶セルロースは、他の成分との反応性が低い点等で優れた賦形剤であり、結晶セルロースの使用が制限されることは好ましくない。
また、本発明者の検討により、リバーロキサバン錠剤を製造するにあたり造粒時間を長くすると、得られた造粒物を含むリバーロキサバン錠剤の溶出性が低下することが明らかとなった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、結晶セルロースを含み、かつ、造粒時間を長くしても、溶出性の低下が抑制されたリバーロキサバン錠剤とその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討を進めた結果、結晶セルロースとして、かさ密度が0.25g/cm以下のものを使用し、かつ、結晶セルロースを造粒物中にのみ含有させるとともに、造粒物に崩壊剤を含有させることによって、造粒時間を長くしても、溶出性の低下が抑制されたリバーロキサバン錠剤を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は以下の態様を有する。
〔1〕リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤とを含む造粒物を含有するリバーロキサバン錠剤であって、前記結晶セルロースのかさ密度が0.25g/cm以下であり、かつ、前記結晶セルロースを前記造粒物中にのみ含有する、リバーロキサバン錠剤。
〔2〕さらにD-マンニトールを含有する、〔1〕に記載のリバーロキサバン錠剤。
〔3〕前記D-マンニトールを少なくとも前記造粒物以外の成分中に含有する、〔2〕に記載のリバーロキサバン錠剤。
〔4〕前記結晶セルロースの含有量が、前記造粒物100質量%中10~40質量%である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のリバーロキサバン錠剤。
〔5〕リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤とを含む造粒物を含有し、前記結晶セルロースを前記造粒物中にのみ含有するリバーロキサバン錠剤の製造方法であって、前記リバーロキサバンと前記結晶セルロースと崩壊剤を含有する造粒物を製造する造粒工程を有し、前記結晶セルロースのかさ密度が、0.25g/cm以下である、リバーキサバン錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、結晶セルロースを含み、かつ、造粒時間を長くしても、溶出性の低下が抑制されたリバーロキサバン錠剤とその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリバーロキサバン錠剤(以下、単に錠剤という場合もある。)は、リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤を含む造粒物を含有する。結晶セルロースは、他の成分との反応性が低く、賦形剤として好ましい。
【0011】
リバーロキサバンとしては、特に制限はなく、市場より入手可能なものを使用できる。結晶形態でも、アモルファス形態でもよい。錠剤中のリバーロキサバンの量は、錠剤を100質量%とした場合、たとえば2~30質量%とすることができ、好ましくは5~20質量%、より好ましくは8~15質量%である。
【0012】
結晶セルロースとしては、かさ密度が0.25g/cm以下のものを使用する。結晶セルロースのかさ密度の上限は0.23g/cmであることが好ましい。結晶セルロースのかさ密度の下限は、0.10g/cmであることが好ましく、0.20g/cmであることがより好ましい。このようなかさ密度の結晶セルロースを使用することによって、造粒工程において造粒時間を長くした場合でも、得られた造粒物を含む錠剤は溶出性の低下が抑制されたものとなる。一方、かさ密度が上記上限値を超えた結晶セルロースを使用すると、造粒時間を長くした場合、錠剤の溶出性の低下が顕著となる。
【0013】
結晶セルロースとしては、市販品のうち、、該当するかさ密度のものを適宜使用できる。
かさ密度の測定方法は、第17改正日本薬局方の一般試験法「3.01かさ密度及びタップ密度測定法」による。
【0014】
錠剤中の結晶セルロースの量は、錠剤を100質量%とした場合、たとえば7~30質量%とすることができ、好ましくは10~20質量%、より好ましくは12~17質量%である。
造粒物中の結晶セルロースの量は、造粒物を100質量%とした場合、たとえば10~40質量%とすることができ、好ましくは20~30質量%、より好ましくは22~28質量%である。
結晶セルロースは、造粒物にのみ含まれ、造粒物以外の成分(通常、打錠工程の前に造粒物に添加される成分であり、「後添加物」という場合もある。)には含まれない。これにより造粒工程において造粒時間を長くした場合でも、得られた造粒物を含む錠剤は溶出性の低下が抑制されたものとなる。
【0015】
本発明の錠剤は、リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤の他に、医薬品分野で使用可能な結晶セルロース以外の賦形剤、結合剤、界面活性剤、滑沢剤等をいずれも含有することができる。
【0016】
結晶セルロース以外の賦形剤としては、たとえば、乳糖水和物、無水乳糖、D-マンニトール、精製白糖、バレイショデンプン、アルファー化デンプン等が挙げられ、これらのうちの1種以上を必要に応じて使用できるが、D-マンニトールを使用することが好ましい。
結晶セルロース以外の賦形剤の含有量は、錠剤100質量%中、40~80質量%が好ましく、50~70質量%がより好ましく、55~65質量%がさらに好ましい。また、結晶セルロース以外の賦形剤は、造粒物に含まれていても、後添加物に含まれていても、これらの両方に含まれていてもよいが、少なくとも後添加物に含まれることが好ましく、両方に含まれることがより好ましい。両方に含まれる場合、造粒物に含まれる結晶セルロース以外の賦形剤の量(A)と、後添加物に含まれる結晶セルロース以外の賦形剤の量(B)との比率A/Bは、0.1~5が好ましく、0.5~3がより好ましく、1~2が特に好ましい。
【0017】
本発明においては、特に、結晶セルロース以外の賦形剤としてD-マンニトールを採用し、D-マンニトールを少なくとも後添加物に含有することが好ましい。後添加物にD-マンニトールが含まれると、打錠用組成物の流動性が向上する。よって、造粒時間を長くして流動性を向上させた造粒物と組み合わせることが好適である。
【0018】
崩壊剤としては、たとえば、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられ、これらのうち1種以上を造粒物および後添加物のいずれも含むことができるが、特に、少なくとも造粒物に崩壊剤を含有させることが、造粒工程において造粒時間を長くした場合でも、得られた造粒物を含む錠剤の溶出性低下を抑制する点で必要である。
崩壊剤の量は、錠剤100質量%中、1~20質量%が好ましく、2~15質量%がさらに好ましく、5~13質量%が特に好ましい。
崩壊剤としてはクロスポビドンおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むことが錠剤の溶出性および崩壊性の点で好ましく、特にクロスポビドンおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを造粒物に錠剤100質量%中1~5質量%の範囲で含むことが好ましい。また、後添加物に錠剤100質量%中2~8質量%の範囲で含むことも好ましい。
【0019】
結合剤としては、たとえば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリルアルコール、アンモニオメタクリレート・コポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、デキストリン、水アメ等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
結合剤の含有量は、錠剤100質量%中、0.1~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.1~3質量%がさらに好ましい。これらのうちの1種以上を使用できる。結合剤は造粒物に添加することが好ましい。
【0020】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80等が挙げられ、錠剤100質量%中、0.1~5質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましく、0.1~1質量%がさらに好ましい。これらのうちの1種以上を使用できる。界面活性剤は造粒物に添加することが好ましい。
【0021】
滑沢剤としては、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
滑沢剤の含有量は、錠剤100質量%中、0.1~5質量%が好ましく、0.5~4質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。滑沢剤は、後添加物に添加することが好ましい。
【0022】
着色剤としては、たとえば黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
その他の添加剤としては、酸化チタン、カルナウバロウ等が挙げられる。
【0023】
本発明の錠剤の製造方法は、リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤とを含む造粒物を含有し、結晶セルロースを造粒物中にのみ含有するリバーロキサバン錠剤の製造方法であって、リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤を含有する造粒物を製造する造粒工程を有し、結晶セルロースのかさ密度が、0.25g/cm以下である、リバーキサバン錠剤の製造方法である。本発明の製造方法は、造粒工程で得られた造粒物に必要に応じて後添加物を加え、得られた打錠用組成物を打錠する打錠工程を有する方法が好ましい。造粒工程は、流動層造粒、撹拌造粒等の公知の湿式造粒方法で行うことが好ましく、撹拌造粒が好ましい。
湿式造粒の場合、公知の造粒装置を用い、造粒用組成物に溶媒を加えて造粒するが、溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等を使用でき、これらのうちの1種を用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
造粒時間には特に制限はなく、適宜設定できるが、造粒時間を長くすると造粒物の流動性が優れるが、その一方で、錠剤の溶出性が低下する傾向がある。そのため、これらの特性を勘案し、適切な流動時間を設定することが好ましい。しかしながら、本発明では、結晶セルロースとして上記のようなかさ密度のものを使用することによって、造粒工程の時間を長くして流動性に優れた造粒物とした場合であっても、溶出性の低下が抑制されたリバーロキサバン錠剤を製造できる。
【0024】
打錠工程には、錠剤成形に一般に使用される打錠機を使用できる。また、打錠する際には、上記した各種添加剤を必要に応じて後添加物として造粒物に加えてもよい。
打錠工程の後には、必要に応じて、得られた錠剤をコーティングする被覆工程等、他の工程を行ってもよい。
【0025】
本発明で製造する錠剤の態様には特に制限はなく、即放性、徐放性のいずれもよく、また、普通錠でも口腔内崩壊錠でもよい。必要に応じて表面に被覆が設けられたコーティング錠でもよい。本発明の錠剤の好ましい形態としては、唾液または少量の水で崩壊する口腔内崩壊錠が挙げられる。
【実施例0026】
[例1~3]
下記の表1の処方に従い、一錠あたり127.5mgの錠剤(口腔内崩壊錠)を製造した。
具体的には、まず、表1の造粒物の欄に記載の各成分を混合して造粒用組成物とし、造粒用組成物に溶媒として水を加えて撹拌造粒し、ついで乾燥、整粒を行い、整粒物(造粒物)を得た。撹拌造粒には、撹拌混合造粒機(バーチカルグラニュレータ(FM-VG-10型)、パウレック社製)を用いた。
ついで、得られた整粒物に対して、表1の後添加物の欄に記載の各成分を加えて混合して打錠用組成物とし、これをロータリー打錠機(VELA5、菊水製作所製)で打錠成形し、例1~3の錠剤をそれぞれ得た。
なお、表1に記載のとおり、各例ではかさ密度の異なる結晶セルロースを使用した。具体的には、例1ではかさ密度が0.22g/cmの結晶セルロース(平均粒子径50μm、吸水性260%)、例2ではかさ密度が0.29g/cmの結晶セルロース(平均粒子径50μm、吸水性230%)、例3ではかさ密度が0.29g/cmの結晶セルロース(平均粒子径90μm、吸水性260%)の結晶セルロースを用いた。
また、各例において、造粒時間を2分間とした錠剤と、6分間とした錠剤を製造した。
得られた合計6種類の錠剤について、以下の方法により、平均溶出率を評価し、造粒時間の増加による溶出低下率(%)を算出した。結果を表2(例1)、表3(例2)、表4(例3)に示す。
【0027】
<平均溶出率>
得られた錠剤1個により、毎分50回転で溶出試験を行った。試験開始から所定時間後(表2~4に記載のとおり、30分後、60分後、120分後)に、溶出液10mLを正確に採り、直ちに37±0.5℃に加温した試験液10mLを正確に補った。この液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、初めのろ液5mLを除き,次のろ液2mLを正確に量りとった。これに試験液1mLを正確に加え,アセトニトリル/水混液(7:3)を1mL加え,試料溶液とした。
一方、定量用リバーロキサバン約33mgをアセトニトリル/水混液(7:3)100mLに溶かし、この液10mLを正確に量りとり、アセトニトリル/水混液(7:3)を加えて正確に100mLとした。この液1mLを正確に量りとり、試験液3mLを加え、標準溶液とした。
試料溶液及び標準溶液について、HPLC法により試験を行い、波長248nmにおける紫外吸収を測定しクロマトグラムを得て、各試料溶液の溶出試験開始30分後、60分後、120分後における溶出率(%)を標準溶液のピーク面積を基準として求めた。
なお、移動相には、過塩素酸溶液(過塩素酸43mLを精製水に溶解して全量50000mLとした濃度の液)を1000mL調製し、ここから650mLとり、アセトニトリル280mL、メタノールを70mL加えたものを用いた。
【0028】
<造粒時間の増加による溶出低下率:ΔA(%))
以下の式により求めた。
ΔA(%)=(A2-A6)×100/A2
なお、上記式中の記号は以下を意味する。
A2:造粒時間を2分間とした錠剤の平均溶出率(%)
A6:造粒時間を6分間とした錠剤の平均溶出率(%)
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
表2~4に示すように、リバーロキサバンと結晶セルロースと崩壊剤とを含む造粒物を含有し、結晶セルロースを造粒物中にのみ含有する各例において、かさ密度が0.22g/cmの結晶セルロースを用いた例1では、溶出試験開始30分、60分、120分のいずれにおいても、かさ密度が大きい結晶セルロースを用いた例2および例3に比べて、造粒時間の増加による溶出低下率ΔAが小さく、造粒時間を長くした場合の溶出性低下が抑制されていた。