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特開2023-177185医用画像処理装置、方法、プログラム及び医用システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177185
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、方法、プログラム及び医用システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20231206BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20231206BHJP
   G06V 10/25 20220101ALI20231206BHJP
【FI】
A61B6/03 360D
A61B6/03 360J
G06T7/11
G06V10/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099083
(22)【出願日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】202210607591.3
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 岳人
(72)【発明者】
【氏名】坂口 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】リ ユフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ チー
(72)【発明者】
【氏名】チゥ ツァンスェン
(72)【発明者】
【氏名】マ ユンジュン
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA16
4C093FD03
4C093FD11
4C093FF22
4C093FF23
4C093FF28
5L096BA06
5L096BA13
5L096FA02
5L096FA12
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】新たな計測項目の計測値を容易に算出すること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、抽出部と、設定部と、記憶部とを備える。取得部は、医用画像を取得する。抽出部は、医用画像から注目領域を抽出する。設定部は、注目領域に関する特徴量を算出するための計算ルールを設定する。記憶部は、計算ルールを記憶する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を取得する取得部と、
前記医用画像から注目領域を抽出する抽出部と、
前記注目領域に関する特徴量を算出するための計算ルールを設定する設定部と、
前記計算ルールを記憶する記憶部と、
を備える、医用画像処理装置。
【請求項2】
前記計算ルールに基づいて、前記注目領域の特徴量を算出する算出部をさらに備える、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記特徴量を算出するための計算ルールとして、前記注目領域の解剖学的な情報を抽出するためのルールを設定する、請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、所定の形式の格子点群として前記注目領域を抽出し、
前記設定部は、前記格子点群に基づいて、前記計算ルールを設定する、請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記抽出部は、解剖学的特徴点に基づいて前記注目領域を抽出し、
前記設定部は、前記解剖学的特徴点に基づいて、前記計算ルールを設定する、請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記設定部は、設定した計算ルールに対して被検体の特性に応じた変更を加える、請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記計算ルールの特徴に基づいて、複数の計算ルールを分類して記憶する、請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記算出部は、手技の手順に応じた計算ルールを取得し、取得した計算ルールに基づいて、前記注目領域の特徴量を算出する、請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記注目領域に対して適用する図形要素と、当該注目領域における計算項目とを受け付ける受付部をさらに備え、
前記設定部は、前記受付部によって受け付けられた図形要素と計算項目との組み合わせに基づく計算ルールを設定する、請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記設定部は、前記注目領域に関する特徴量として、当該注目領域の形態情報及び性状情報の少なくとも1つを算出するための計算ルールを設定する、請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記注目領域の形態情報は、当該注目領域における距離、面積、体積、及び、角度を含み、
前記注目領域の性状情報は、前記注目領域における所定の範囲の画素値の最大値、最小値、平均値、分散値、及びヒストグラムを含む、請求項10に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
医用画像を取得し、
前記医用画像から注目領域を抽出し、
前記注目領域に関する特徴量を算出するための計算ルールを設定し、
前記計算ルールを記憶部に記憶させる、
ことを含む、医用画像処理方法。
【請求項13】
医用画像を取得し、
前記医用画像から注目領域を抽出し、
前記注目領域に関する特徴量を算出するための計算ルールを設定し、
前記計算ルールを記憶部に記憶させる、
各処理をコンピュータに実行させる、医用画像処理プログラム。
【請求項14】
医用デバイスに関する情報の更新を受け付ける受付部と、
前記更新のタイミングに基づいて、ユーザ端末に対する通知情報を生成する生成部と、
前記通知情報を前記ユーザ端末に通知する通知部と、
を備える、医用システム。
【請求項15】
前記受付部は、前記医用デバイスの許認可に関する情報を取得し、
前記生成部は、前記医用デバイスが許認可されたタイミングで前記ユーザ端末に対する通知情報を生成する、請求項14に記載の医用システム。
【請求項16】
前記受付部は、前記医用デバイスの仕様、価格、当該医用デバイスに関する使用方法乃至ガイドラインの内少なくとも1つの更新に関する情報を取得し、
前記生成部は、前記医用デバイスの仕様、価格、当該医用デバイスに関する使用方法乃至ガイドラインの内少なくとも1つが更新されたタイミングで前記ユーザ端末に対する通知情報を生成する、請求項14に記載の医用システム。
【請求項17】
前記受付部は、前記医用デバイスの廃版に関する情報を取得し、
前記生成部は、前記医用デバイスが廃版となったタイミングで前記ユーザ端末に対する通知情報を生成する、請求項14に記載の医用システム。
【請求項18】
前記生成部は、前記医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールに関する通知情報を生成し、
前記通知部は、前記計算ルールに関する通知情報を前記ユーザ端末に通知する、請求項14乃至17のいずれか1つに記載の医用システム。
【請求項19】
前記ユーザ端末から新規の医用デバイスの取得に応じた計算ルールの要求情報を受信する受信部と、
前記要求情報に基づいて、前記医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールに関する更新プログラムを前記ユーザ端末に送信する送信部と、をさらに備える、請求項14乃至16のいずれか1つに記載の医用システム。
【請求項20】
第1のユーザ端末から前記医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールを受信する受信部と、
前記計算ルールの認証結果に基づいて、前記計算ルールを第2のユーザ端末に送信する送信部と、をさらに備える、請求項14乃至16のいずれか1つに記載の医用システム。
【請求項21】
複数の前記ユーザ端末から、前記医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールの使用履歴をそれぞれ受信する受信部と、
前記使用履歴を統合した使用履歴情報を、複数の前記ユーザ端末に送信する送信部と、をさらに備える、請求項14乃至16のいずれか1つに記載の医用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、方法、プログラム及び医用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野では、様々な治療法が日々開発されている。このような様々な治療法について、治療法の適用可否の判断、複数の治療法から適切な治療法の選択、選択した治療法による具体的な治療計画を行うためには、治療対象又は治療対象に関与する解剖構造の適切な把握が重要である。例えば、解剖構造の把握を支援するために、医用画像から対象の解剖構造に関する情報を自動(あるいは、半自動)で取得する技術が知られている。
【0003】
これらの技術は、医用画像から対象となる解剖構造の領域(以下、注目領域)を取得し、当該注目領域に基づいて製品内に登録されている予め定めた計測項目に対する計測値を算出する。しかしながら、これらの技術は、予め定めた計測項目に対する計測値を算出するため、新しい治療法が開発され新しい計測項目の計測値が必要となる場合には、当該新しい計測項目に対する計測値は自動で算出できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-171475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、新たな計測項目の計測値を容易に算出することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、抽出部と、設定部と、記憶部とを備える。取得部は、医用画像を取得する。抽出部は、前記医用画像から注目領域を抽出する。設定部は、前記注目領域に関する特徴量を算出するための計算ルールを設定する。記憶部は、前記計算ルールを記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の処理回路が有する各処理機能によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、第1の実施形態に係る注目領域の抽出処理の一例を示す図である。
図3B図3Bは、第1の実施形態に係る注目領域の抽出処理の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る計算ルールの設定の例を説明するための図である。
図5A図5Aは、第1の実施形態に係る計算ルールの設定の例を説明するための図である。
図5B図5Bは、第1の実施形態に係る計算ルールの設定の例を説明するための図である。
図6A図6Aは、第1の実施形態に係る計算ルールの設定の例を説明するための図である。
図6B図6Bは、第1の実施形態に係る計算ルールの設定の例を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る計算ルールの設定の例を説明するための図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る計算ルールの設定の例を説明するための図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る計算ルールの設定の例を説明するための図である。
図10A図10Aは、第1の実施形態に係る計算ルールを設定するための画面の一例を示す図である。
図10B図10Bは、第1の実施形態に係る計算ルールを設定するための画面の一例を示す図である。
図11A図11Aは、第1の実施形態に係る「Point」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図11B図11Bは、第1の実施形態に係る「Point」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図11C図11Cは、第1の実施形態に係る「Point」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図11D図11Dは、第1の実施形態に係る「Point」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図11E図11Eは、第1の実施形態に係る「Point」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図11F図11Fは、第1の実施形態に係る「Point」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図12図12は、第1の実施形態に係る「Line」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図13A図13Aは、第1の実施形態に係る「Open Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図13B図13Bは、第1の実施形態に係る「Open Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図13C図13Cは、第1の実施形態に係る「Open Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図13D図13Dは、第1の実施形態に係る「Open Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図13E図13Eは、第1の実施形態に係る「Open Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図13F図13Fは、第1の実施形態に係る「Open Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図13G図13Gは、第1の実施形態に係る「Open Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図14A図14Aは、第1の実施形態に係る「Closed Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図14B図14Bは、第1の実施形態に係る「Closed Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図14C図14Cは、第1の実施形態に係る「Closed Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図14D図14Dは、第1の実施形態に係る「Closed Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図14E図14Eは、第1の実施形態に係る「Closed Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図14F図14Fは、第1の実施形態に係る「Closed Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図14G図14Gは、第1の実施形態に係る「Closed Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図15A図15Aは、第1の実施形態に係る「Plane」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図15B図15Bは、第1の実施形態に係る「Plane」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図15C図15Cは、第1の実施形態に係る「Plane」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図15D図15Dは、第1の実施形態に係る「Plane」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図16A図16Aは、第1の実施形態に係る「Curved Surface」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図16B図16Bは、第1の実施形態に係る「Curved Surface」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図16C図16Cは、第1の実施形態に係る「Curved Surface」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図16D図16Dは、第1の実施形態に係る「Curved Surface」のElementを設定するGUIの例を示す図である。
図17A図17Aは、第1の実施形態に係る計測項目を設定するGUIの例を示す図である。
図17B図17Bは、第1の実施形態に係る計測項目を設定するGUIの例を示す図である。
図17C図17Cは、第1の実施形態に係る計測項目を設定するGUIの例を示す図である。
図17D図17Dは、第1の実施形態に係る計測項目を設定するGUIの例を示す図である。
図18図18は、第1の実施形態に係る計測項目を設定するGUIの例を示す図である。
図19図19は、第2の実施形態に係る医用システムの構成例を示す図である。
図20図20は、第2の実施形態に係る提供サービスの例を示す図である。
図21図21は、第2の実施形態に係るユーザ端末に提供する計算ルールの例を説明するための図である。
図22図22は、第2の実施形態に係るユーザ端末に提供する計算ルールの例を説明するための図である。
図23図23は、第2の実施形態に係るユーザ端末に提供する計算ルールの例を説明するための図である。
図24図24は、第2の実施形態に係る計算ルールの変更の例を説明するための図である。
図25A図25Aは、第2の実施形態に係る課金サービスの一例を示す図である。
図25B図25Bは、第2の実施形態に係る共有サービスにおける認証を説明するための図である。
図25C図25Cは第2の実施形態に係る共有サービスにおける認証を説明するための図である。
図26図26は、第2の実施形態に係るFeedbackサービスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置、方法、プログラム及び医用システムの実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係る医用画像処理装置、方法、プログラム及び医用システムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、本実施形態に係る医用画像処理装置3は、医用画像診断装置1及び医用画像保管装置2と、ネットワークを介して通信可能に接続されている。なお、図1に示すネットワークには、その他種々の装置及びシステムが接続される場合でもよい。
【0010】
医用画像診断装置1は、被検体を撮像して医用画像を生成する。そして、医用画像診断装置1は、生成した医用画像をネットワーク上の各種装置に送信する。例えば、医用画像診断装置1は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置等である。
【0011】
医用画像保管装置2は、被検体に関する各種の医用画像を保管する。具体的には、医用画像保管装置2は、ネットワークを介して医用画像診断装置1から医用画像を受信し、当該医用画像を自装置内の記憶回路に記憶させて保管する。例えば、医用画像保管装置2は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。また、例えば、医用画像保管装置2は、PACS(Picture Archiving and Communication System)等によって実現され、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠した形式で医用画像を保管する。
【0012】
医用画像処理装置3は、被検体の医用画像に関する各種処理を行う。具体的には、医用画像処理装置3は、ネットワークを介して医用画像診断装置1又は医用画像保管装置2から医用画像を受信し、当該医用画像を用いて各種の情報処理を行う。例えば、医用画像処理装置3は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0013】
例えば、医用画像処理装置3は、通信インターフェース31と、入力インターフェース32と、ディスプレイ33と、記憶回路34と、処理回路35とを備える。
【0014】
通信インターフェース31は、医用画像処理装置3と、ネットワークを介して接続された他の装置との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、通信インターフェース31は、処理回路35に接続されており、他の装置から受信したデータを処理回路35に送信、又は、処理回路35から受信したデータを他の装置に送信する。例えば、通信インターフェース31は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0015】
入力インターフェース32は、利用者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インターフェース32は、処理回路35に接続されており、利用者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路35に送信する。例えば、入力インターフェース32は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インターフェース、及び音声入力インターフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース32は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ送信する電気信号の処理回路も入力インターフェース32の例に含まれる。
【0016】
ディスプレイ33は、各種情報及び各種データを表示する。具体的には、ディスプレイ33は、処理回路35に接続されており、処理回路35から受信した各種情報及び各種データを表示する。例えば、ディスプレイ33は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0017】
記憶回路34は、各種データ及び各種プログラムを記憶する。具体的には、記憶回路34は、処理回路35に接続されており、処理回路35から受信したデータを記憶、又は、記憶しているデータを読み出して処理回路35に送信する。例えば、記憶回路34は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0018】
処理回路35は、医用画像処理装置3の全体を制御する。例えば、処理回路35は、入力インターフェース32を介して利用者から受け付けた入力操作に応じて、各種処理を行う。例えば、処理回路35は、他の装置から送信されたデータを通信インターフェース31を介して受信し、受信したデータを記憶回路34に格納する。また、例えば、処理回路35は、記憶回路34から受信したデータを通信インターフェース31に送信することで、当該データを他の装置に送信する。また、例えば、処理回路35は、記憶回路34から受信したデータをディスプレイ33に表示する。
【0019】
以上、本実施形態に係る医用画像処理装置3の構成例について説明した。例えば、本実施形態に係る医用画像処理装置3は、病院や診療所等の医療機関に設置され、医師等の利用者によって行われる各種診断や治療計画の策定等を支援する。例えば、医用画像処理装置3は、注目領域について新たな計測項目の計測値を容易に算出するための各種処理を実行する。以下、医用画像処理装置3について、詳細に説明する。
【0020】
例えば、図1に示すように、本実施形態では、医用画像処理装置3の処理回路35が、制御機能351と、画像取得機能352と、抽出機能353と、設定機能354と、算出機能355とを実行する。ここで、制御機能351は、受付部の一例である。画像取得機能352は、取得部の一例である。また、抽出機能353は、抽出部の一例である。また、設定機能354は、設定部の一例である。また、算出機能355は、算出部の一例である。
【0021】
制御機能351は、入力インターフェース32を介した操作に応じて、種々のGUI(Graphical User Interface)や、種々の表示情報を生成して、ディスプレイ33に表示するように制御する。例えば、制御機能351は、注目領域に対して計測項目を設定するためのGUIや、注目領域の形態情報などをディスプレイ33に表示させる。なお、制御機能351による処理については、後に詳述する。
【0022】
画像取得機能352は、通信インターフェース31を介して、医用画像診断装置1又は医用画像保管装置2から被検体の医用画像を取得する。具体的には、画像取得機能352は、注目領域(例えば心臓弁など)を含むボリュームデータを取得する。なお、画像取得機能352は、3次元で時間方向に複数撮像することで得られる複数のボリュームデータを取得することもできる。例えば、画像取得機能352は、上記したボリュームデータとして、CT画像、超音波画像、MRI画像、X線画像、Angio画像、PET画像、SPECT画像などを取得する。処理回路35は、上記した画像取得機能352を実行することで、医用画像診断装置1又は医用画像保管装置2から被検体の医用画像を受信し、受信した医用画像を記憶回路34に記憶させる。
【0023】
抽出機能353は、医用画像から注目領域を抽出する。具体的には、抽出機能353は、画像取得機能352によって取得されたボリュームデータにおける注目領域を抽出する。なお、抽出機能353による処理については、後に詳述する。
【0024】
設定機能354は、注目領域に関する特徴量を算出するための計算ルールを設定する。具体的には、設定機能354は、特徴量を算出するための計算ルールとして、注目領域の解剖学的な情報を抽出するためのルールを設定する。ここで、記憶回路34は、設定機能354によって設定された計算ルールを記憶する。なお、設定機能354による処理については、後に詳述する。
【0025】
算出機能355は、計算ルールに基づいて、注目領域の特徴量を算出する。なお、算出機能355による処理については、後に詳述する。
【0026】
上述した処理回路35は、例えば、プロセッサによって実現される。その場合に、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路34に記憶される。そして、処理回路35は、記憶回路34に記憶された各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、処理回路35は、各プログラムを読み出した状態において図1に示した各処理機能を有することとなる。
【0027】
なお、処理回路35は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、処理回路35が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路35が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、各処理機能に対応するプログラムが単一の記憶回路34に記憶される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、各処理機能に対応するプログラムが複数の記憶回路が分散して記憶され、処理回路35が、各記憶回路から各プログラムを読み出して実行する構成としても構わない。
【0028】
次に、医用画像処理装置3による処理の手順について、図2を用いて説明した後、各処理の詳細について説明する。図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3の処理回路35が有する各処理機能によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0029】
例えば、図2に示すように、本実施形態では、画像取得機能352が、医用画像診断装置1又は医用画像保管装置2から被検体の医用画像(ボリュームデータ)を取得する(ステップS101)。例えば、画像取得機能352は、入力インターフェース32を介したボリュームデータの取得操作に応じて、注目領域の解剖構造の形態情報を含むボリュームデータを取得する。この処理は、例えば、処理回路35が、画像取得機能352に対応するプログラムを記憶回路34から呼び出して実行することにより実現される。
【0030】
続いて、抽出機能353が、取得されたボリュームデータについて、医用画像に含まれる注目領域(例えば、心臓弁など)を抽出する(ステップS102)。この処理は、例えば、処理回路35が、抽出機能353に対応するプログラムを記憶回路34から呼び出して実行することにより実現される。
【0031】
そして、設定機能354が、注目領域における特徴量を算出するための計算ルールを設定する(ステップS103)。この処理は、例えば、処理回路35が、設定機能354に対応するプログラムを記憶回路34から呼び出して実行することにより実現される。
【0032】
続いて、算出機能355が、設定された計算ルールに基づいて、注目領域における特徴量を算出する(ステップS104)。この処理は、例えば、処理回路35が、算出機能355に対応するプログラムを記憶回路34から呼び出して実行することにより実現される。
【0033】
以下、医用画像処理装置3によって実行される各処理の詳細について、説明する。なお、以下では、僧帽弁を注目領域とする場合の処理を一例に挙げて説明するが、本実施形態にて説明する処理の対象はこれに限らず、その他種々の注目領域を対象とすることができる。また、以下では、医用画像としてCT画像を用いる場合について説明するが、本実施形態にて説明する処理の対象はこれに限らず、その他種々の医用画像を対象とすることができる。
【0034】
(医用画像の取得処理)
図2のステップS101で説明したように、画像取得機能352は、入力インターフェース32を介したボリュームデータの取得操作に応じて、注目領域(僧帽弁)の3次元の形態情報を含むボリュームデータを取得する。例えば、画像取得機能352は、僧帽弁を3次元で撮像したCT画像を取得する。
【0035】
なお、ステップS101における医用画像の取得処理は、上記したように、入力インターフェース32を介したユーザの指示により動作が開始される場合でもよいが、自動的に処理が開始される場合でもよい。かかる場合には、例えば、画像取得機能352は、医用画像保管装置2を監視しておき、新しいボリュームデータが保管されるごとに自動的にボリュームデータを取得する。
【0036】
ここで、画像取得機能352は、予め設定された取得条件に基づいて新しく保管されたボリュームデータを判定し、ボリュームデータが取得条件を満たした場合に取得処理を実行するようにしてもよい。例えば、ボリュームデータの状態を判定することができる取得条件が記憶回路34に記憶され、画像取得機能352は、記憶回路34に記憶された取得条件に基づいて、新しく保管されたボリュームデータを判定する。
【0037】
一例を挙げると、記憶回路34は、取得条件として、「心臓を対象とする撮像プロトコルで撮像されたボリュームデータを取得」や、「拡大再構成された医用画像を取得」、或いは、それらの組み合わせを記憶する。画像取得機能352は、上記した取得条件を満足するボリュームデータを取得する。
【0038】
(注目領域の抽出処理)
図2のステップS102で説明したように、抽出機能353は、ボリュームデータについて、注目領域を抽出する。具体的には、抽出機能353は、CT画像における注目領域(僧帽弁)を特定し、特定した領域の情報を予め定めた形式で抽出する。より具体的には、抽出機能353は、注目領域において予め定める特徴的な位置を、被検体の違いによらず注目領域における同一の解剖学的意味を持つ位置として抽出する。すなわち、抽出機能353は、CT画像上において僧帽弁の示す領域における予め定める一部又は全部の画素の座標情報を取得する。
【0039】
例えば、抽出機能353は、特定した注目領域の解剖学的構造に基づいて、注目領域における各位置を識別子で表現した情報として取得する。ここで、上記識別子とは、例えば、注目領域の解剖学的構造に基づく座標情報や、当該座標情報に任意に割り当てた文字列、ID、Tagなどを含む。
【0040】
一例を挙げると、抽出機能353は、所定の形式の格子点群として注目領域を抽出する。すなわち、抽出機能353は、注目領域を複数の格子点群で表現されるメッシュとして抽出する。ここで、注目領域がメッシュで抽出された場合、各格子点が特徴的な位置を示すこととなる。このメッシュを構成する格子点の数や配置を予め定めることで、被検体の違いによる注目領域の形態の違いに関わらず、注目領域を同じ形式で抽出することができる(もちろん、注目領域の形態が異なる場合は格子点間の距離は異なる)。なお、注目領域を抽出する所定の形式(例えば、メッシュを構成する格子点の数や配置)は、注目領域の種別ごと(例えば、生体器官ごとや、生体器官を構成する解剖構造ごと)に定義される。
【0041】
心臓弁おける特徴的な位置としては、例えば、僧帽弁におけるCommissureの位置や大動脈弁におけるArantius bodyやNadirの位置などがあげられる。注目領域における特徴的な位置は、上記した特徴的な位置との相対的な位置関係によって定められてもよい。すなわち、上記した特徴的な位置以外の各格子点の位置は、当該特徴的な位置の格子点の位置との相対的な位置関係を予め定めることにより、全ての格子点が異なる被検体間で同一の解剖学的意味を持つ位置として抽出される。相対的な位置は、各格子点においてそれぞれ予め定義してもよいし、各列又は各行における分割方法(予め定める数に等間隔に分けるなど)を定義することにより定義してもよい。
【0042】
以下、図3A及び図3Bを用いて、抽出機能353による処理の一例を説明する。図3A及び図3Bは、第1の実施形態に係る注目領域の抽出処理の一例を示す図である。例えば、抽出機能353は、図3Aの上段の図に示すように、CT画像における僧帽弁に対応する領域(前尖310及び後尖320)を特定する。そして、抽出機能353は、図3Aの下段に示すように、特定した各領域を、予め定めた形式による複数の格子点群で表現した座標情報として抽出する。
【0043】
例えば、抽出機能353は、弁輪側から弁尖側に向かう方向について弁輪上を「0」とするx座標で表し、弁輪の周方向について前尖310と後尖320との間を「0」とするy座標で表した(x, y)座標系に基づく形式で表現される格子点群として、僧帽弁を抽出する。なお、図3Aでは、僧帽弁を(0,0)~(8,41)の位置に存在する9行*42列の378点の格子点で表現している。
【0044】
ここで、抽出機能353は、僧帽弁のように複数の構造(前尖及び後尖)からなる注目領域について、各構造夫々に対して予め形式を定めて抽出してもよい。例えば、僧帽弁の前尖310を(0,0)~(8,18)の位置に存在する9行*19列の171点で表現し、僧帽弁の後尖320を(0,19)~(8,44)の位置に存在する9行*25列の225点で表現する。このとき、前尖310における端の格子点((0,0)~(8,0),(0,18)~(8,18))と、後尖における端の格子点((0,19)~(8,19),(0,44)~(8,44))とを共有させることで、図3Aの下段に示すように、僧帽弁全体として9行*42列の格子点群となる。
【0045】
また、図3Bに示すように、抽出機能353は、大動脈弁についても同様に、右冠尖330、左冠尖340、無冠尖350を予め定める所定の形式の複数の格子点で表現して抽出することができる。ここで、抽出機能353は、注目構造を示す格子点群の他に、注目領域に関係する注目領域以外の領域における特徴的な位置を特徴点として合わせて抽出することもできる。例えば、抽出機能353は、図3Bに示すように、大動脈周囲の構造であるValsalva洞360を複数の格子点で表現して抽出することができる。
【0046】
なお、抽出機能353は、上記したメッシュ以外にも種々の方法で注目領域を抽出することができる。例えば、抽出機能353は、解剖学的特徴点に基づいて注目領域を抽出する。すなわち、抽出機能353は、解剖学的特徴点を示す点群により注目領域を抽出する。
【0047】
上述したように、抽出機能353は、注目領域において予め定める特徴的な位置を、解剖学的意味を持つ位置として抽出する。ここで、抽出機能353による抽出処理は、種々の方法によって実現することができる。例えば、抽出機能353は、入力インターフェース32を介してCT画像上に指定された各格子点位置に相当する画素位置を抽出することができる。すなわち、抽出機能353は、ユーザが手動で指定した各格子点位置を注目領域として抽出する。
【0048】
また、例えば、抽出機能353は、既知の点群抽出技術によりCT画像に描出される解剖学的構造に基づいて格子点群を抽出することができる。また、例えば、抽出機能353は、既知の領域抽出技術によりCT画像に描出される解剖学的構造に基づいて注目領域を抽出し、抽出した領域に対して予め定義される形式の格子点群を設定することで、格子点群を抽出することができる。
【0049】
ここで、抽出機能353は、既知の領域抽出技術として、例えば、CT値に基づく大津の二値化法、領域拡張法、スネーク法、グラフカット法、ミーンシフト法などを用いることができる。また、抽出機能353は、格子点群の設定においては、非線形の変形位置合わせ処理を用いて、予め定義される形式の格子点群を抽出した領域に合わせて変形することで実現できる。例えば、非線形の変形位置合わせ処理としては、FFD(Free-Form Deformation)手法やLDDMM(Large Deformation Diffeomorphic Metric Mapping)手法のような既知の手法が適用可能である。
【0050】
また、その他、抽出機能353は、機械学習技術(深層学習含)を用いて事前に準備された学習用データに基づいて構築される学習済みモデル(点群モデル)を用いて、格子点群を直接抽出することもできる。また、抽出機能353は、機械学習技術(深層学習含)を用いて事前に準備された学習用データに基づいて構築される学習済みモデル(注目領域の形状モデル)を用いて注目領域を特定してから当該注目領域から格子点群を抽出することもできる。
【0051】
ここで、画像全体を対象としてグラフカット法などの領域抽出処理やLDDMM法のような変形位置合わせ処理を行った場合、計算コストが過剰に高くなる可能性がある。そこで、抽出機能353は、注目領域に関連し、且つ、注目領域よりも大きいが画像全体よりは小さい領域(以下、関連領域と記す。例えば、対象臓器を僧帽弁とする場合には、心臓領域や左心室及び左心臓の周囲の領域等)を特定し、特定した関連領域にのみ上記処理を適用することもできる。なお、関連領域は、入力インターフェース32を用いて手動で設定されてもよい。
【0052】
上述したように注目領域を抽出すると、抽出機能353は、抽出結果を記憶回路34に記憶させる。すなわち、抽出機能353は、抽出した格子点群について、各位置を特定できるように、任意の位置における相対的な位置関係を示す情報として抽出結果を保存する。例えば、抽出機能353は、画像の原点や抽出される特徴点の1つを起点として、座標位置として記録する。
【0053】
(計算ルールの設定処理)
図2のステップS103で説明したように、設定機能354は、注目領域の特徴量を算出するための計算ルールを設定する。具体的には、設定機能354は、抽出機能353によって抽出された注目領域における特徴的な位置に基づいて、計算ルールを設定する。換言すると、設定機能354は、抽出機能353によって表現(指定、定義、付加)された識別子を関連付ける計算ルールを設定する。
【0054】
例えば、設定機能354は、抽出機能353によって抽出された格子点群に基づいて、計算ルールを設定する。或いは、設定機能354は、抽出機能353によって抽出された解剖学的特徴点に基づいて、計算ルールを設定する。すなわち、設定機能354は、注目領域において解剖学的意味のある位置として抽出された位置を用いた特徴量を算出するための計算ルールを設定する。ここで、設定機能354は、注目領域に関する特徴量として、当該注目領域の形態情報及び性状情報の少なくとも1つを算出するための計算ルールを設定する。
【0055】
例えば、特徴量とは、注目領域における特定の位置の距離、面積、体積、角度などの形態的な情報と、注目領域における特定の範囲の画素値の最大値、最小値、平均値、分散値、ヒストグラムなどの性状の情報とを含む。なお、上記した特徴量はあくまでも一例であり、ステップS102で抽出した注目領域に基づき、設定機能354によって設定可能な特徴量であればどのような種類の特徴量でもよい。
【0056】
以下、設定機能354によって設定される特徴量の例について、図4図9を用いて説明する。図4図9は、第1の実施形態に係る計算ルールの設定の例を説明するための図である。
【0057】
例えば、設定機能354は、注目領域における特徴的な位置を用いて、直線距離を示す特徴量を算出するための計算ルールを設定する。一例を挙げると、設定機能354は、図4に示すように、注目領域を示す格子点群に基づいて(0,9)の位置の格子点P1と(0,30)の位置の格子点P2との2点を指定し、当該2点間の距離を算出する計算ルールを設定する。なお、設定機能354は、図示の2点間に限らず、任意の格子点間の距離を算出するための計算ルールを設定することができる。
【0058】
また、設定機能354は、2点間の距離だけではなく、点と直線との間の距離、曲線と曲線との間の距離、平面と点との間の距離、曲面と平面との間の距離などのように、点、直線、曲線、平面、曲面などの注目領域の格子点群から定義可能な任意の図形同士の距離を算出する計算ルールを設定することもできる。
【0059】
また、例えば、設定機能354は、注目領域における特徴的な位置を用いて、折れ線の距離を示す特徴量を算出するための計算ルールを設定する。一例を挙げると、設定機能354は、図5Aに示すように、注目領域を示す格子点群に基づいて(0,9)の位置の格子点P1と(0,30)の位置の格子点P2と(0,17)の位置の格子点P3と(0,24)の位置の格子点P4との4点を指定し、P1とP3の距離とP3とP4の距離とP4とP2の距離との合計値を算出する計算ルールを設定する。なお、設定機能354は、図示の点に限らず、任意の点間で形成される折れ線の距離を算出するための計算ルールを設定することができる。
【0060】
また、例えば、設定機能354は、注目領域における特徴的な位置を用いて、開曲線の距離を示す特徴量を算出するための計算ルールを設定する。一例を挙げると、設定機能354は、図5Bに示すように、図5Aと同様の4点を指定し、当該4点を通る滑らかな開曲線(例えば、スプライン曲線)の距離を算出する計算ルールを設定する。なお、設定機能354は、図示の点に限らず、任意の点を用いて形成される開曲線の距離を算出するための計算ルールを設定することができる。
【0061】
また、例えば、設定機能354は、注目領域における特徴的な位置を用いて、矩形の周囲長や面積を示す特徴量を算出するための計算ルールを設定する。一例を挙げると、設定機能354は、図6Aに示すように、注目領域を示す格子点群に基づいて(0,9)の位置の格子点P1と(0,18)の位置の格子点P5と(0,26)の位置の格子点P6と(0,35)の位置の格子点P7と(0,0)の位置の格子点P8との5点を指定し、当該5点を頂点とする矩形(この例の場合は五角形)の周囲長や面積を算出するルールを設定する。
【0062】
同様に、設定機能354は、図6Bに示すように、格子点P1と格子点P5と格子点P6と格子点P7と格子点P8との5点を指定し、当該5点を通る滑らかな閉曲線の周囲長や面積を算出する計算ルールを設定する。なお、閉曲線は、スプライン補間などを用いて滑らかな曲線を算出してもよいし、円近似や楕円近似により円や楕円として算出してもよい。円近似や楕円近似には、最小二乗法を用いることで容易に近似することができる。
【0063】
また、円や楕円を算出する場合、設定機能354は、周囲長や面積だけでなく、円の半径や直径、楕円の長径や短径や楕円率などを算出する計算ルールを設定することもできる。また、設定機能354は、閉曲線の内部の領域の画素値に基づいて、当該閉曲線内部における画素分布(ヒストグラム)、画素値の平均値、画素値の最大値、画素値の最小値、画素値の分散や偏差、特定範囲内(一定値以上や一定値以下を含む)の画素値を有する画素の数などを算出する計算ルールを設定することもできる。
【0064】
また、例えば、設定機能354は、注目領域における特徴的な位置を用いて、角度を示す特徴量を算出するための計算ルールを設定する。一例を挙げると、設定機能354は、図7に示すように、注目領域を示す格子点群に基づいて(0,30)の位置の格子点P2と(0,18)の位置の格子点P5と(0,0)の位置の格子点P8との3点を指定し、当該3点がなす鋭角又は鈍角の大きさを算出する計算ルールを設定する。
【0065】
また、例えば、設定機能354は、注目領域における特徴的な位置を用いて立方体、直方体、多面体、球、楕円球などの3次元領域を設定し、当該3次元領域の容積や当該3次元領域の内部における画素分布(ヒストグラム)、画素値の平均値、画素値の最大値、画素値の最小値、画素値の分散や偏差、特定範囲内(一定値以上や一定値以下を含む)の画素値を有する画素の数などを算出する計算ルールを設定することもできる。
【0066】
ここで、3次元領域の設定においては、立方体や直方体や多面体の場合はその中心や頂点などの3次元領域の形成に必要な特徴点を設定するようにしてもよいし、任意の同一平面上に存在しない4点以上の格子点を指定し、当該格子点群の外接又は内接直方体を設定してもよい。また、球や楕円球の場合も中心や焦点などの特徴点や半径などの3次元領域の形成に必要な情報を設定できるようにしてもよい。または、指定された格子点に基づいて予め定める形態の多角形や球などの近似形を算出するアルゴリズムを事前に定義しておき、任意の格子点群に対して当該アルゴリズムを適用することで3次元領域を設定してもよい。
【0067】
上記はあくまでも例であり、ステップS102において算出される注目領域や注目領域に関係する特徴点に基づく特徴量の算出であれば、どのような計算ルールを設定してもよい。図4から図7では説明の都合上、計算ルールの設定に使用した全ての格子点のx座標は0であったが、もちろん0でなくともよいし、計算ルールにおいて異なるx座標を持つ複数の格子点を設定してもよい。
【0068】
上記した例では、計算ルールの設定において、注目領域を示す格子点群における任意の格子点や注目領域に関係する特徴点を指定することによって計算ルールを設定する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限らず、格子点群から直接に格子点を選択するのではなく、当該格子点群から特定可能な格子点以外の点を指定する場合でもよい。
【0069】
例えば、設定機能354は、図8に示すように、(0,9)の位置の格子点P1と(0,30)の位置の格子点P2との2点を端点とする直線L1と、(0,18)の位置の格子点P5と(0,0)の位置の格子点P8との2点を端点とする直線L2との交点Oを特徴点として指定する。これにより、設定機能354は、例えば、(0,36)の位置の格子点P9と交点Oとの距離を算出する計算ルールを設定できる。なお、設定機能354は、図示の点に限らず、任意の点を用いて形成される直線同士の交点を設定することができる。また、設定機能354は、直線同士の交点だけではなく、曲線と曲線との交点や曲面と直線との交点などを設定することができる。
【0070】
また、設定機能354は、格子点群から特定可能な任意の点又は領域から最も遠い又は最も近い任意の格子点群内の格子点を指定することもできる。一例を挙げると、設定機能354は、図8に示す格子点P5と格子点P2と格子点P8との3点を通る断面を特定し、僧帽弁を示す格子点群の中から当該断面から最も遠い直線距離にある格子点を指定する。すなわち、設定機能354は、図9に示すように、格子点P5と格子点P2と格子点P8との3点を通る断面900を特定し、前尖910において断面900から最も遠い格子点911と、後尖920において断面900から最も遠い格子点921とを指定する。なお、図9は、図8における前尖910において断面900から最も遠い格子点911と、後尖920において断面900から最も遠い格子点921とを通る平面によって形成される僧帽弁の断面を示す。
【0071】
また、設定機能354は、上記のような計算ルールによって計算される各種の特徴量を複数組み合わせた計算ルールを設定することもできる。すなわち、設定機能354は、各計算ルールと夫々の計算ルールを繋ぐ数式を設定することができる。また、設定機能354は、各特徴量に重みを設定した計算ルールを設定することもできる。なお、当該数式においては、ユーザの利便性を考えると単純な四則演算での設定が現実的だが、どのような数式を設定できるようにしてもよい。
【0072】
例えば、図8における直線L1の距離と直線L2の距離との和(合計値)を算出する計算ルールを設定してもよいし、直線L1に2倍の重みを与えて、直線L1の2倍の距離と直線L2の距離との和(合計値)を算出するルールを設定してもよい。
【0073】
また、ユーザによる任意の評価指標の設定を可能とするために、単位の異なる種類の特徴量に対しても数式を設定できるようにしてもよい。例えば、図6Bに示される閉曲線内の面積と図7で表される角度の値との和を算出できるようにしてもよい。
【0074】
設定機能354は、上記した種々の計算ルールをユーザの指定に応じて設定し、設定した計算ルールを記憶回路34に保存する。また、設定機能354は、既に記憶回路34に保存された計算ルールを読み出すことで、抽出機能353によって抽出された注目領域に対する計算ルールを設定する。
【0075】
以下、計算ルールを設定するためのGUIの例と、ユーザの操作例を説明する。例えば、設定機能354は、以下で説明するGUIを介したユーザの操作に応じて、計算ルールを設定する。図10A及び図10Bは、第1の実施形態に係る計算ルールを設定するための画面の一例を示す図である。例えば、制御機能351は、図10Aに示すように、領域1010~領域1070と、ボタン1080と、ボタン1090とを含むGUIをディスプレイ33に表示させ、当該GUIを介してユーザの操作を受け付ける。
【0076】
図10Aにおける領域1010は、新しく設定する計測項目の種類(Add Measurement)又は、計算ルールを構成する要素(Add Element後述する)を選択する領域である。ユーザはこれらの選択肢から1つを選択する。
【0077】
図10Aの例では、制御機能351は、選択可能な計測項目の種類として「Direct Distance」、「Open Curve」、「ROI」、「Angle」、「VOI」を表示させ、「Direct Distance」が選択されている状態を示す。なお、各計測項目の種類とそれらが選択された際のGUIや処理系については後に詳述する。また、図10Aの例では、制御機能351は、選択可能な計算ルールを構成する要素として、「Point」、「Line」、「Open Curve」、「Closed Curve」、「Plane」、「Cureved Surface」を表示させている。なお、これらはあくまでも一例であり、他の選択肢を設定可能としてもよい。制御機能351は、領域10101における選択肢の選択に基づいて、領域1040、領域1050における表示内容を変更する(この点については、後に詳述する)。
【0078】
図10Aにおける領域1020は、解析対象を選択する領域であり、ユーザは注目領域に対応する解剖学的構造(例えば、「Mitral Valve」)を選択する。なお、領域1020の選択は、後述する領域1060に初期表示する格子点群のテンプレートを選択するためや、設定する計測項目(計算ルール)をコンピュータの内部的に管理するためのものであって、必ずしも必要ではなく、本領域の有無は本実施形態の限定要因にはなり得ない。
【0079】
図10Aにおける領域1030は、設定する計測項目の名前を設定する領域であり、ユーザはキーボードなどの入力インターフェース32を用いて、任意の計測項目名を設定できる。なお、設定した計測項目名が既に利用されている計測項目名と同じであった場合は、警告を表示して当該名前を登録できないように制御してもよいし、当該名前の先頭や最後尾に予め定める又はランダムな文字列を自動で追加して登録するように制御してもよい。もちろん、予め定めるルールを逸脱した名前は設定できないように制御してもよいし、警告を表示して修正を促すようにしてもよい。
【0080】
図10Aにおける領域1040は、領域1010で選択された計測項目の種類に対応する計測項目を設定する領域である。具体的には、領域1010は、新しく設定する計測項目における計測の対象となる項目の種類を設定する領域であり、領域1040は、新しく設定する計測項目において実行する計算内容の種類を設定する領域である。すなわち、領域1040は、領域1010において設定された計測の対象に対してどのような計算を行うかを設定する領域である。なお、以下では、領域1010において設定される計測項目の種類を計測対象項目と記し、領域1040において設定される計測項目の種類を計測内容項目と記す。各計測対象項目の種類(Add Measurement)に対する計測内容項目の種類については後述するが、図10Aの例では、制御機能351は、「Diameter [mm]」と「pixel」との選択肢を表示させており、「Diameter [mm]」が選択されている状態を示す。ここで、「Diameter [mm]」は、設定する直線の実空間上での距離(mm)を算出するという意味である。また、「pixel」は、設定する直線が画像上において通過するpixel数を算出するという意味である。なお、図10Aの例では、「Diameter [mm]」のみを選択しているが、両方を選択してもよい。
【0081】
図10Aにおける領域1050は、詳細な計算ルールを設定する領域である。計算ルールは、主にElementに基づいて設定される。図10Aの例では、制御機能351は、「Direct Distance」の計算ルールを設定するためのUIを表示させている。「Direct Distance(つまり、直線距離)」は、2つのElementの間の最小距離として算出できる。従って、領域1050は、2つのElementが選択できるUIとなっている。図10Aの例では、タブ1051にて2つのElementの設定を切り替えられるようになっている。タブ1052ではElementの種類を選択できるようになっており、図10Aでは、「Point」のElementが選択されている。
【0082】
領域1053には、選択可能なElementがリスト表示されている(つまり、「Point」のElementの一覧が表示されている)。領域1053においてリスト表示される選択可能なElementは、領域1010の「Add Element」を用いて予め設定したElementである。なお、表示されるElementは、領域1020で設定した解析対象の領域に関するElementのみでもよいし、他の異なる対象に関するElementもあわせて表示してもよい。また、それらを切り替えられるようにしてもよい。図10Aの例では、「Posteromedial Trigone」のElementが選択されている。希望するElementが当該リストに存在しない場合は、ユーザは、領域1010で「Add Element」を選択し、当該計算ルールを設定する前にElementを追加することができる。なお、ボタン1054は、「Add Element」の「Point」を選択した場合と同様の画面に推移するためのボタンである。
【0083】
図10Aにおける領域1060は、計算ルールを適用する解剖構造を示す格子点群のテンプレートを表示する領域である。制御機能351は、格子点群1061のように、各格子点の位置関係を保ったまま表示することで、当該解剖構造を示す格子点群を表示することができる。ここで、格子点群1061は、僧帽弁を示す格子点群のテンプレートを示す。なお、本GUIにおいて表示する格子点群(テンプレート)は、設定した計算ルールに対応する計測位置をユーザが視認できるようにするための表示であるため、ユーザ毎に異なるテンプレートを表示する必要はなく、対象となる構造毎に1つのテンプレートを有していればよい。もちろん、同一の解剖構造に対して複数の格子点群のテンプレートを予め用意しておき、本GUIによる計算ルール設定の際に計算ルールを適用する格子点群のテンプレートをユーザに任意に選択させてもよい。なお、当該領域の格子点群は、マウス等の入力インターフェース32を介した指示により、任意の方向から観察することができる。
【0084】
図10Aの例では、隣り合う格子点を直線でつなぐことにより四角形の群で形成されるメッシュとして表示しているが、表示する格子点群を構成する各格子点の位置関係を保てればどのような表示形態で表示してもよい。また、表示するテンプレートは領域1020で指定した解剖構造に関するテンプレートのみを表示してもよいし、ユーザが他のテンプレートと任意に切り替えられるようにしてもよい。勿論複数のテンプレートを同時に表示できるようにしてもよい。
【0085】
図10Aにおける格子点群1061には、領域1050でElement1として設定したPointに対応する位置に点E1が表示され、領域1050でElement2として設定したPointに対応する位置に点E2が表示されている。制御機能351は、計算ルールとして領域1010で設定したDirect Distanceを算出する直線に対応する直線L3を表示している。このように、選択したElementや計算ルールに対応する点、直線、曲線、領域、ROI、角度などを格子点群と合わせて表示することにより、ユーザが設定する計算ルールが視覚的に把握可能となる。
【0086】
ボタン1062は、テンプレートの切り替えのためのボタンである。心臓弁は動くので、特に、心臓の収縮期と拡張期とで格子点群の位置関係が異なる。従って、1つのテンプレートでは計算ルールを設定できない場合がある。従って、ボタン1062を選択することにより収縮期のテンプレートと拡張期のテンプレートを切り替えることができる。勿論、ボタン1062ではなく、解析対象として拡張期の僧帽弁と収縮期の僧帽弁とのように複数定義しておくことで、領域1020における解析対象の選択時に心位相を選択できるようにしてもよい。その場合は、ボタン1062は不要である。また、図10Aでは、収縮期と拡張期との2つの位相のみの切り替えが可能なGUIとしているが、0~99%における任意の心位相を選択できるようなGUIを備えてもよい。
【0087】
図10Aにおける領域1070は、領域1060に表示するテンプレートとその表示条件を設定するための領域である。図10Aの例では、表示可能な格子点群(テンプレート)として、「Aortic Root」、「AV:RCC(Aortic Valve:Right Coronary cusp)」、「AV:LCC(Aortic Valve:Left Coronary cusp)」、「AV:NCC(Aortic Valve:None Coronary cusp)」、「LV(Left Ventricle)」、「RV(Right Ventricle)」、「LA(Left Atrial)」、「RA(Right Atrial)」、「MV Ant Leaflet(Mitral Valve Anterior Leaflet)」、「MV Post Leaflet(Mitral Valve Posterior Leaflet)」が設定されており、「MV Ant Leaflet」と「MV Post Leaflet」がボタン1071をチェックすることで選択されている。
【0088】
また、ボタン1072を選択することで、図10Bに示すウインドウ1073のような画面を表示し、ユーザが各格子点群の領域1060に表示する際の表示条件を設定できるようにする。ウインドウ1073では、RGB値を設定することで表示色を選択することができる。勿論、設定できる表示条件はこれに限らず、透過度、彩度、明度などの色条件や、格子点を繋ぐ線の太さなどを設定できてもよい。また表示色は、RGBに限らずYCbCrで設定できてもよいし、グレースケールでもよい。また、ウインドウ1073のように任意の数値を入力させるのではなく、任意のルックアップテーブルや使用できる色の候補を提示してユーザに選択させてもよい。
【0089】
また、領域1060における格子点群1061の表示形態の種類を変更できるようにしてもよい。例えば、図10Aにおける格子点群1061は、メッシュとして表示しているが、ポリゴン表示や格子点を繋ぐ直線のない格子点群だけの表示に切り替えられるようにしてもよい。
【0090】
ボタン1080は、設定した計算ルールやElementを保存するためのボタンであり、ボタン1080を選択すると、記憶回路34における任意の記憶領域に当該計算ルールやElementが記録される。また、ボタン1090は、削除ボタンであり、ボタン1090の選択により設定した計算ルールやElementが削除される。
【0091】
次に、Elementの詳細について説明する。Elementは計算ルールの構成要素である。以下では、「Point」、「Line」、「Open Curve」、「Closed Curve」、「Plane」、「Cureved Surface」のそれぞれについてElementの定義の方法をGUIの例と共に説明する。しかしながら、計算ルールを構成する要素はこれに限らず、どのようなElementを設定してもよい。
【0092】
(Pointの設定)
まず、図11A図11Fを用いて、「Point」のElementの設定について説明する。図11A図11Fは、第1の実施形態に係る「Point」のElementを設定するGUIの例を示す図である。図11A図11Fは、領域1010においてAdd Elementの「Point」を選択した際の図10Aの領域1050に対応する画面例である。なお、Add Elementを選択した際には領域1040には何も表示しない、または領域1040の領域自体を表示せずにその代わりに領域1050を領域1040が表示される範囲まで含めて大きく表示してもよい。これは、以下の他のElementを選択した際にも同様である。
【0093】
図11Aは、格子点群から任意の1つの格子点を選択する方法のためのGUIの例を示す。図11Aにおける領域1100は、設定するElementの名前を設定するための領域であり、ユーザはキーボードなどの入力インターフェース32を用いて任意の名前を設定する。図10Aの領域1030で説明したように、設定した計測項目名が既に利用されている計測項目名と同じであった場合は、警告を表示して当該名前を登録できないように制御してもよいし、当該名前の先頭や最後尾に予め定める又はランダムな文字列を自動で追加して登録するように制御してもよい。もちろん、予め定めるルールを逸脱した名前は設定できないように制御してもよいし、警告を表示して修正を促すようにしてもよい。
【0094】
UI1111及び1112は、格子点群から任意の格子点を選択するためのUIであり、UI1112にて対象となる格子点群を選択する。UI1112においては、領域1060に表示している領域の格子点群や領域1020として解析対象として設定した注目領域に対応する格子点群が自動的に初期値として設定されるように制御してもよい。
【0095】
UI1111は、UI1112にて設定した格子点群におけるElementとして設定する格子点群の位置関係を示す情報である。図11Aでは、UI1111を(x, y)座標系で示しているが、どのような形態で位置関係を定義してもよい。また、UI1111にて直接位置関係の情報を入力してもよいし、領域1060に表示されるテンプレートにて対象とする格子点を選択することで、選択した格子点に対応する位置関係の情報が自動的に入力されるように制御してもよい。また、図11Aでは、格子点群から1点を選択することにより「Point」のElementを設定したが、ステップS102において注目領域を示す格子点群の他に、注目領域に関係する注目領域以外の領域における特徴的な位置を特徴点として抽出した場合には、当該特徴点を選択できるようにしてもよい。
【0096】
【数1】
【0097】
図11Cは、指定された開曲線に対する任意の分位点(Quantile point)を設定するためのGUIの例を示す。UI1131には、事前に設定される「Open Curve」のElementのリストが表示される。ユーザは当該リストから「Open Curve」のElementを1つ選択する。UI1132は、図11Bと同様に、分位qを設定するためのGUIである。すなわち、図11Cに示すGUIでは、選択した「Open Curve」をq:1-qで分割した際のqの位置の点を「Point」のElementとして設定する。
【0098】
図11Dは、指定されたElement(開曲線、閉曲線、閉曲面)に対応する格子点群の重心を「Point」のElementとして設定するGUIの一例を示す図である。UI1142によって指定するElementの種類が選択される。UI1142を選択することにより、対応するElementのリストがUI1141に表示される。ユーザは、UI1141に表示されたリストの中からElementを1つ選択することにより、当該Elementの重心を「Point」のElementとして設定する。なお、重心のみならず、当該格子点群から算出可能な特徴点(例えば、内心、外心、垂心、傍心など)を設定できるようにしてもよい。
【0099】
図11Eは、任意のElement1を構成する格子点群の中から、当該Element1とは異なるElement2から最も遠い(Farthest)点又は最も近い(Nearest)点を「Point」のElementとして設定するGUIの例である。UI1153により任意のElement1の種類が選択される。それにより、UI1155に当該Element1の種類に対応するElementがリスト表示される。そして、ユーザは当該リストからElement1を選択する。ここで、Element1は、複数の格子点から構成されるElementから選択される(つまり、「Point」のElementは設定しない)。そして、UI1152により、距離を算出する基点となるElement2の種類が選択される。それにより、UI1154に当該Element2の種類に対応するElementがリスト表示される。そして、ユーザは当該リストからElement2を選択する。最後に、UI1151において、Element1を構成する格子点群の中から、Element2から「最も遠い位置」の格子点を「Point」のElementとして設定するのか、或いは、「最も近い位置」の格子点を「Point」のElementとして設定するのかが選択される。
【0100】
図11Fは、任意の2つのElementにおける交点を「Point」のElementとして設定するためのGUIの例を示す。UI1161及び1162により、交点を求める2つのElementの種類が設定される。ここで、UI1161及び1162において設定されるElementの種類は、同じ種類でもよく、異なる種類でもよい。UI1161及び1162が選択されることにより、対応するElementのリストがUI1163及び1164に表示され、ユーザは表示されたリストからElementを1つずつ選択する。
【0101】
なお、選択した2つのElementが交点を持たないことが明らか(平行である等)である場合(明らかか否かは事前に定義しておく)には、警告を表示し選択できないように制御してもよい。ここまで「Point」のElementの設定について具体的に説明したが、実施形態は、本GUIに限定されない。格子点群の関係性から特定の1点を設定できればどのような方法で「Point」のElementを設定してもよい。
【0102】
(Lineの設定)
次に、図12を用いて、「Line」のElementの設定について説明する。図12は、第1の実施形態に係る「Line」のElementを設定するGUIの例を示す図である。図12は、領域1010においてAdd Elementの「Line」を選択した際の図10Aの領域1050に対応する画面例である。図12においては、「Line」のElementは2つの任意のElement間の最小距離の位置に対応する直線として定義する。UI1201及び1202により、最小距離を求める2つのElementの種類が設定される。ここで、UI1201及び1202において設定されるElementの種類は、同じ種類でもよく、異なる種類でもよい。UI1201及び1202が選択されることにより、対応するElementのリストがUI1203及び1204に表示され、ユーザは表示されたリストからElementを1つずつ選択する。設定機能354は、選択された2つのElement間の最小距離と当該最小距離を有する直線の位置を特定し、当該直線を「Line」のElementとして設定する。なお、選択された2つのElementが距離を持たないことが明らか(交差する、平面と当該平面上の点、等)である場合(明らかか否かは事前に定義しておく)には、警告を表示し選択できないように制御してもよい。
【0103】
(Open Curveの設定)
次に、図13A図13Gを用いて、「Open Curve」のElementの設定について説明する。図13A図13Gは、第1の実施形態に係る「Open Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。図13A図13Gは、領域1010においてAdd Elementの「Open Curve」を選択した際の図10Aの領域1050に対応する画面例である。
【0104】
図13Aにおいては、任意の3つ以上の点から曲線又は折れ線を算出し「Open Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。当該3つ以上の点においては、UI1302に表示される「Point」のElementのリストから選択してもよいし、図10Aにおける領域1060に表示されるテンプレートに対して任意の格子点を、入力インターフェース32を用いて指定することにより選択してもよい。UI1301は、選択した点群を繋ぐ線を「曲線」とするか「直線」とするかを選択するためのUIである。「直線」を選択した場合には、選択した点群を一定の順序(例えば、設定した順)に直線でつないだ折れ線が「Open Curve」のElementとして設定される。「曲線」を選択した場合は、既知の曲線近似処理(例えば、スプライン曲線など)を用いて、選択した点群間を補間して曲線を作成し「Open Curve」のElementとして設定される。
【0105】
図13Bにおいては、任意の曲面と任意の断面とにおける交差領域を「Open Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1311に「Plane」のElementのリストが表示され、UI1312に「Curved Surface」のElementのリストが表示される。ユーザは、夫々のリストから夫々1つのElementを選択することで、当該Elementから算出される開曲線を「Open Curve」のElementとして設定する。例えば、ユーザは、UI1311を介して図13Cの上段の図に示す断面1315を選択し、UI1312を介して図13Cの上段の図に示す前尖1313と後尖1314とを選択する。これにより、設定機能354は、選択された断面1315と、選択された曲面(前尖1313及び後尖1314)との交差領域(図13Cの下段の図に示す前尖1313を示す開曲線及び後尖1314を示す開曲線)を算出して、算出した開曲線を「Open Curve」のElementとして設定する。
【0106】
図13Dにおいては、異なる2つの任意の曲面における交差領域を「Open Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1321とUI1322に「Curved Surface」のElementのリストが表示される。ユーザは、夫々のリストから夫々1つのElementを選択することで当該Elementから算出される開曲線を「Open Curve」のElementとして設定する。すなわち、ユーザは、例えば、図13Cの上段の図における断面1315に代えて任意の曲面を選択する。これにより、設定機能354は、曲面と曲面との交差領域(開曲線)を算出して、算出した開曲線を「Open Curve」のElementとして設定する。
【0107】
図13Eにおいては、任意の曲面と当該曲面上の2点を選択し、当該2点を端点とする曲面に沿った最小曲線を「Open Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1331に「Curved Surface」のElementのリストが表示される。ユーザは、リストから1つのElementを選択する。UI1332には、ユーザが選択した「Curved Surface」上の「Point」のElementが表示される。ユーザは、当該Elementから2つの点を選択する。なお、図10Aにおける領域1060に表示されるテンプレートに対して任意の2点の格子点を、入力インターフェース32を用いて指定することにより選択してもよい。
【0108】
例えば、ユーザは、UI1331を介して図13Fに示す後尖1333を選択し、UI1332を介して図13Fに示す点1334と点1335とを選択する。これにより、設定機能354は、選択された2点(点1334及び点1335)を端点とし、後尖1333の曲面に沿った最小曲線1336を算出して、算出した曲線1336を「Open Curve」のElementとして設定する。
【0109】
図13Gにおいては、任意の開曲線を任意の断面に投影してできる開曲線を「Open Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1341には「Plane」のElementのリストが表示されるため、ユーザはそのうちの1つを選択し投影面として設定する。UI1342には「Open Curve」のElementのリストが表示されるため、ユーザはそのうちの1つを選択し投影対象となる曲線として設定する。設定機能354は、選択された開曲線を、選択された投影面に投影した開曲線を「Open Curve」のElementとして設定する。
【0110】
以上、「Open Curve」のElementの設定について具体的に説明したが、実施形態は上記したGUIに限定されない。格子点群の関係性から特定の曲線を設定できればどのような方法で「Open Curve」のElementを設定してもよい。
【0111】
(Closed Curveの設定)
次に、図14A図14Gを用いて、「Closed Curve」のElementの設定について説明する。図14A図14Gは、第1の実施形態に係る「Closed Curve」のElementを設定するGUIの例を示す図である。図14A図14Gは、領域1010においてAdd Elementの「Closed Curve」を選択した際の図10Aの領域1050に対応する画面例である。
【0112】
図14Aにおいては、任意の3つ以上の点から曲線又は多角形を算出し「Closed Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。当該3つ以上の点においては、UI1402に表示される「Point」のElementのリストから選択してもよいし、図10Aにおける領域1060に表示されるテンプレートに対して任意の格子点を、入力インターフェース32を用いて指定することにより選択してもよい。UI1401は、選択した点群を繋ぐ線を「曲線」とするか「直線」とするかを選択するためのUIである。「直線」を選択した場合には、選択した点群を一定の順序(例えば、設定した順)に直線でつないだ多角形が「Closed Curve」のElementとして設定される。「曲線」を選択した場合は、既知の曲線近似処理(例えば、スプライン曲線など)を用いて、選択した点群間を補間して閉曲線を作成し「Closed Curve」のElementとして設定される。
【0113】
図14Bにおいては、任意の平面と任意の曲面とにおける交差領域又は異なる2つの任意の曲面における交差領域を「Closed Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1411は、任意の平面と任意の曲面とにおける交差領域の設定と、異なる2つの任意の曲面における交差領域の設定との、いずれを対象とするのかを選択するためのUIである。UI1412には、UI1411にて選択したElementの種類(平面か曲面か)に対応するElementのリストが表示され、UI1413には「Curved Surface」のElementのリストが表示される。ユーザは、夫々のリストから夫々1つのElementを選択することで当該Elementから算出される閉曲線を「Closed Curve」のElementとして設定する。
【0114】
例えば、ユーザは、UI1412を介して図14Cに示す断面1414を選択し、UI1413を介して図14Cに示す後尖1415を選択する。これにより、設定機能354は、選択された断面1414と後尖1333の曲面との交差領域(閉曲線1416)を算出して、算出した閉曲線1416を「Closed Curve」のElementとして設定する。
【0115】
図14Dにおいては、任意の閉曲線を任意の断面に投影してできる閉曲線を「Closed Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1422には「Plane」のElementのリストが表示されるため、ユーザはそのうちの1つを選択し投影面として設定する。UI1421には「Closed Curve」のElementのリストが表示されるため、ユーザはそのうちの1つを選択し投影対象となる閉曲線として設定する。設定機能354は、選択された閉曲線を、選択された投影面に投影した閉曲線を「Closed Curve」のElementとして設定する。
【0116】
図14Eにおいては、任意の3次元領域を任意の位置で切った時の断面の輪郭を示す閉曲線を「Closed Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1431は、予め抽出される任意の3次元領域を選択するためのUIであり、UI1436に選択肢が提示される。ユーザは、提示される選択肢より1つの3次元領域を指定する。UI1432~UI1435は、当該3次元領域を切る断面に対する条件を設定するものである。UI1432は、当該断面で切った際の当該3次元領域の輪郭に対する条件を指名しており、図14Eでは最大の周囲長を有すことを条件として設定している。なお、最小の周囲長を有すことを条件として指定してもよいし、任意の値に最も近い値となる周囲長(や面積)を有すことを条件として指定してもよい。
【0117】
UI1433及びUI1434は、断面を探索する範囲の条件を設定するためのUIであり、UI1433及びUI1434で囲まれる範囲の領域でのみ他の設定する条件を満たす断面を探索する。当該範囲を設定するための2つの断面の候補として「Plane」のElementのリストがUI1437とUI1438に表示され、ユーザは夫々1つのElementを指定する。UI1435は、3次元領域を切る断面が他の断面と平行な位置関係にある場合に指定するためのUIであり、平行な位置関係にある別の断面の候補として「Plane」のElementのリストがUI1439に表示される。他の断面と平行な位置関係にある断面を指定する場合に、ユーザは、UI1439から1つのElementを指定する。もちろん、これは例あり、平行な位置関係ではなく垂直な位置関係や、一定距離離れていることを条件にするなど、断面の特定を容易にすることが可能な条件であればどのような条件を設定できるようにしてもよい。
【0118】
なお、UI1433~UI1435による条件設定を用いることで、断面の特定が容易になるが、UI1433~UI1435の条件は必ずしも必要ではなく、予め定義する処理方法に基づいて条件を満たす断面を特定できればどのような方法でもよい。設定機能354は、条件を満たす断面上における選択した領域の輪郭に相当する閉曲線を「Closed Curve」のElementとして設定する。
【0119】
例えば、ユーザは、UI1431及びUI1436を介して、図14Fに示す僧帽弁1440を含む3次元領域を指定する。なお、図14Fでは、僧帽弁1440及び周辺領域を模式的に示しているが、実際には、これらの3次元領域はメッシュとして抽出されている。そして、ユーザは、UI1433及びUI1434を介して図14Fに示す断面1441と断面1442とを選択し、断面を探索する範囲を設定する。
【0120】
設定機能354は、断面1441と断面1442との間の範囲において設定可能な断面1443において、3次元領域を切った時の断面の輪郭の周囲長が最大となる断面を特定し、特定した断面における3次元領域の輪郭を示す閉曲線を「Closed Curve」のElementとして設定する。
【0121】
図14Gにおいては、任意の閉曲面の輪郭を「Closed Curve」のElementとして設定するためのGUIの例である。ユーザは、UI1452に表示される「Curved Surface」のElementのリストから任意の1つのElementを選択し、当該Elementの輪郭が「Closed Curve」のElementとして設定される。なお、選択したElementの輪郭において複数の閉曲面が存在する場合(例えば、筒のような形状の場合、筒の上端と下端とで輪郭を取れる)には、夫々をリスト表示してもよい。あるいは、対応する輪郭を図10Aの領域1060に表示し、ボタン1451を用いて当該複数の輪郭を次々と表示し、ユーザに適切な輪郭を表示させるように制御してもよい。
【0122】
以上、「Closed Curve」のElementの設定について具体的に説明したが、実施形態は上記したGUIに限定されない。格子点群の関係性から特定の閉曲線を設定できればどのような方法で「Closed Curve」のElementを設定してもよい。
【0123】
(Planeの設定)
次に、図15A図15Dを用いて、「Plane」のElementの設定について説明する。図15A図15Dは、第1の実施形態に係る「Plane」のElementを設定するGUIの例を示す図である。図15A図15Dは、領域1010においてAdd Elementの「Plane」を選択した際の図10Aの領域1050に対応する画面例である。
【0124】
図15Aにおいては、任意の3点を通る断面を「Plane」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1501~UI1503には、それぞれ「Point」のElementのリストが表示され、ユーザは夫々のリストから夫々1つのElementを選択することにより当該3点を通る断面が自動的に特定され、特定された断面を「Plane」のElementとして設定する。夫々のリストからのElementの選択においては、同一のElementが選択された際に警告を表示するように制御してもよいし、同一のElementが選択できないように既に選択したElementはリストから削除するように制御してもよい。また、同一直線上の3点は指定できないように制御してもよい。
【0125】
図15Bにおいては、任意の開曲線又は閉曲線又は閉曲面に対する最小二乗平面を「Plane」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1511は、Elementの種類(開曲線、閉曲線、閉曲面)を選択するUIであり、ユーザの選択に応じて対応するElementのリストがUI1512に表示される。ユーザは、当該リストから1つのElementを選択する。設定機能354は、選択されたElementの最小二乗平面を自動的に算出し、当該平面を「Plane」のElementとして設定する。
【0126】
図15Cにおいては、任意の直線を通り任意の平面に垂直な平面を「Plane」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1521には「Line」のElementのリストが表示され、UI1522には「Plane」のElementのリストが表示される。ユーザは、夫々のリストから夫々1つのElementを選択する。設定機能354は、選択された「Line」のElementを通り、選択された「Plane」のElementに垂直な平面を「Plane」のElementとして設定する。なお、「Line」のElementの代わりに、2つの「Point」のElementを選択させるようにしてもよい。
【0127】
図15Dにおいては、任意の平面に平行で任意の距離だけ離れた位置の平面を「Plane」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1531は、任意の距離を設定するUIであり、ユーザは、入力インターフェース32を用いて任意の距離を入力する。UI1532には「Plane」のElementのリストが表示され、ユーザはリストの中から1つのElementを選択する。設定機能354は、選択された「Plane」のElementに平行で、設定された任意の距離だけ離れた位置の平面を「Plane」のElementとして設定する。
【0128】
以上、「Plane」のElementの設定について具体的に説明したが、実施形態は上記したGUIに限定されない。格子点群の関係性から特定の平面を設定できればどのような方法で「Plane」のElementを設定してもよい。
【0129】
(Curved Surfaceの設定)
次に、図16A図16Dを用いて、「Curved Surface」のElementの設定について説明する。図16A図16Dは、第1の実施形態に係る「Curved Surface」のElementを設定するGUIの例を示す図である。図16A図16Dは、領域1010においてAdd Elementの「Curved Surface」を選択した際の図10Aの領域1050に対応する画面例である。
【0130】
図16Aにおいては、任意の曲面における任意の分位数の位置の曲面を「Curved Surface」のElementとして設定するためのGUIの例である。すなわち、図16Aは、任意の曲面を任意の分位数の位置で分割させることで形成される曲面を設定するためのGUIであり、分割元となる曲面の指定と分位数の位置の指定とを受け付ける。
【0131】
UI1603には「Curved Surface」のElementのリストが表示され、ユーザは1つのElementを選択する。UI1601~UI1602は、選択したElementにおける分位数の位置を指定するためのUIであり、ユーザは、UI1601~UI1602を介して任意の位置を指定する。曲面を任意の分位数の位置で分割した場合には、複数の曲面が形成される。ユーザは、ボタン1604により、形成された曲面を順次切り替えることができる。設定機能354は、ユーザによって指定された曲面を「Curved Surface」のElementとして設定する。
【0132】
例えば、ユーザは、UI1603を介して、分割対象の曲面として僧帽弁の前尖を指定する。そして、ユーザは、UI1601~UI1602を操作することで、例えば、図16Bに示すように、列方向に3分位の位置1064と6分位の位置1605とを指定する。これにより、設定機能354は、僧帽弁の前尖を上記分位数の位置で分割した曲面A1と曲面A2と曲面A3とを算出して、算出した曲面を「Curved Surface」のElementとして設定する。なお、複数の曲面からユーザが選択した曲面のみが「Curved Surface」のElementとして設定される場合でもよい。
【0133】
図16Cにおいては、任意の曲面における任意の平面より上又は下に位置する部分の曲面を「Curved Surface」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1612に「Curved Surface」のElementのリストが表示され、ユーザは当該リストより1つのElementを選択する。UI1613には「Plane」のElementのリストが表示され、ユーザは当該リストより1つのElementを選択する。UI1611は、選択された曲面が、選択された平面の上側に位置するか、或いは、下側に位置するかを選択するためのUIであり、ユーザは、どちらかを選択する。設定機能354は、選択された「Curved Surface」のElementにおける、選択された「Plane」のElementの選択された側に存在する曲面を「Curved Surface」のElementとして設定する。
【0134】
図16Dは、任意の曲面において任意の平面に囲まれる部分の曲面を「Curved Surface」のElementとして設定するためのGUIの例である。UI1621に「Curved Surface」のElementのリストが表示され、ユーザは当該リストより1つのElementを選択する。UI1622及びUI1623には「Plane」のElementのリストが表示され、ユーザは当該リストよりそれぞれ1つのElementを選択する。設定機能354は、選択された「Curved Surface」のElementにおいて、選択された2つの「Plane」のElementに挟まれる部分に位置する曲面を「Curved Surface」のElementとして設定する。
【0135】
また、曲面を形成するための様々な非線形フィット関数が知られている(例えば、Chebyshev系列の多項式、Cos系列の多項式、非線形ロジスティック用量応答(Dose Response)関数、非線形指数関数、非線形極値関数など)。医用画像処理装置3は、これらのフィット関数の何れかをユーザに選択させ、選択された関数に必要なパラメータと必要な個数の格子点の指定を受け付けることにより、解析対象の格子点群からユーザ任意の曲面を設定してもよい。かかる場合には、医用画像処理装置3は、このような設定を可能とするGUIを備えてもよい。
【0136】
以上、「Curved Surface」のElementの設定について具体的に説明したが、実施形態は上記したGUIに限定されない。格子点群の関係性から特定の平面を設定できればどのような方法で「Curved Surface」のElementを設定してもよい。
【0137】
ここまで、様々なElementを設定する方法について詳細に説明したが、Elementの種類はこれに限らず、格子点群または特徴点(格子点群に基づく特徴点や、解剖学的特徴点)から設定可能な種類の形態であればどのような情報をElementとして設定できるようにしてもよい。また、図では僧帽弁に関するElementのみをリスト表示する例で説明したが、複数の解剖構造に対するElementを同時にリスト表示してもよいし、切り替えられるようにしてもよい。
【0138】
次に、設定したElementを用いて計測項目を設定する方法について、図17A図17Dを用いて説明する。図17A図17Dは、第1の実施形態に係る計測項目を設定するGUIの例を示す図である。以下では、「Direct Distance」、「Open Curve」、「ROI」、「Angle」、「VOI」のそれぞれについて計算ルールの設定の方法をGUIの例と共に説明する。
【0139】
(Direct Distanceに関する設定)
「Direct Distance」については、2つのElementを指定し、当該Element間の距離を算出する例について、図10Aを用いて説明した。別の方法としては、例えば、「Line」のElementを指定させ、当該Lineの長さを算出するようにしてもよい。かかる場合には、2つのElement間の最小距離に対応する線分を「Line」のElementとして登録する。
【0140】
(Open Curveに関する設定)
図17Aは、領域1010においてAdd Measurementの「Open Curve」を選択した際の図10Aの領域1010、領域1040及び領域1050に対応する画面例である。領域1700には、図10Aにおける「Direct Distance」の領域1040に表示されるMeasurement itemと同様に「Diameter [mm]」と「pixel」との選択肢が表示されている。なお、当該項目は、Direct Distanceと同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0141】
領域1701には「Open Curve」のElementのリストが表示され、ユーザはそのうちの1つを選択することにより、領域1701で選択した「Open Curve」のElementに対応する位置における領域1700で選択した計測内容項目を算出する計算ルールを設定する。所望のElementが当該リストに存在しない場合には、ユーザは、図10Aにおける領域1010と同様に、計算ルールを設定する前にElementを追加する。ボタン1702は「Add Element」の「Open Curve」を選択した場合と同様の画面に推移するためのボタンである。
【0142】
(ROIに関する設定)
図17Bは、領域1010においてAdd Measurementの「ROI」を選択した際の図10Aの領域1010、領域1040及び領域1050に対応する画面例である。領域1710には、ROIに対する計測内容項目として面積、周囲長、最大径、最小径、アスペクト比、円形度、画素数、平均画素値、最大画素値、最小画素値、画素中央値に相当する計測内容項目が選択肢として表示されている。図17Bでは、面積、周囲長、アスペクト比、平均画素値が選択されている。領域1711には「Closed Curve」のElementのリストが表示され、ユーザはそのうちの1つを選択することにより、領域1711で選択した「Closed Curve」のElementに対応する位置における領域1710で選択した計測内容項目を算出する計算ルールを設定する。所望のElementが当該リストに存在しない場合には、ユーザは、図10Aにおける領域1010と同様に、計算ルールを設定する前にElementを追加する。ボタン1712は、「Add Element」の「Closed Curve」を選択した場合と同様の画面に推移するためのボタンである。
【0143】
(Angleに関する設定)
図17Cは、領域1010においてAdd Measurementの「Angle」を選択した際の図10Aの領域1010、領域1040及び領域1050に対応する画面例である。領域1720には、Angleに対する計測内容項目として優角(180度より大きい角)と劣角(180度より小さい角)とが選択肢として表示されており、劣角が選択されている。Angleは、直線又は平面の2つのElementがなす角度として算出できる。従って、領域1050に相当する領域には「Line」及び「Plane」におけるElementから2つのElementが選択できるUIとなっている。タブ1721にて2つのElementの設定が切り替えられるようになっている。
【0144】
領域1722には、選択した「Line」又は「Plane」におけるElementのリストが表示されている。ユーザは、Angleをなす2つのElementを選択することにより、領域1722で選択した2つのElementがなす角度に対する領域1720で選択した計測内容項目を算出する計算ルールを設定する。所望のElementが当該リストに存在しない場合には、ユーザは、図10Aにおける領域1010と同様に、計算ルールを設定する前にElementを追加する。ボタン1723は、「Add Element」の「Angle」を選択した場合と同様の画面に推移するためのボタンである。
【0145】
(VOIに関する設定)
図17Dは、領域1010においてAdd Measurementの「VOI」を選択した際の図10Aの領域1010、領域1040及び領域1050に対応する画面例である。領域1730には、VOIに対する計測内容項目として体積、表面積、球形度、画素数、平均画素値、最大画素値、最小画素値、画素中央値に相当する計測内容項目が選択肢として表示されている。図17Dでは、面積、表面積、平均画素値が選択されている。VOIは、複数のElementに囲まれた領域として定義され、当該領域に対して各計測内容項目の計測値が算出可能である。
【0146】
図17Dでは、領域1050に相当する領域には6つの「Plane」のElementか、2つの曲面を設定できるGUIとなっているが、他のGUIでもよい。例えば、4つのPlaneの選択や3つ以上の曲面を設定できるようにしてもよい。また、選択するElementによって囲まれる領域が1つに定まるまで確定できないようにしてもよい。また、Elementが、定義されている格子点群(例えば、図10Aの1070に対応するものなど、Aortic root、LA、LV、RA、RVなど)から選択されてもよい。図17Dでは、「Closed Surface」が選択されているため、タブ1731において2つのElementの設定を切り替えられるようになっている。ここで、「Plane」が選択された際には6つのタブを表示し、6つのElementを設定できるようにしてもよい。領域1732には、選択された「Closed Surface」又は「Plane」におけるElementのリストが表示される。ユーザは、領域1732で選択した複数のElementにより規定されるVOIに対して、領域1730で選択した計測内容項目を算出する計算ルールを設定する。所望のElementが当該リストに存在しない場合には、ユーザは、図10Aにおける領域1010と同様に、計算ルールを設定する前にElementを追加する。ボタン1733は、「Add Element」の「Closed Surface」を選択した場合と同様の画面に推移するためのボタンである。
【0147】
上述したように、本実施形態では、計測の対象をElementによって構成し、構成した対象に対して計測内容項目を設定することで、新しい計測項目を設定する。ここで、Elementは、上記したように、「Point」、「Line」、「Open Curve」、「Closed Curve」、「Plane」、「Cureved Surface」などの図形要素を含む。すなわち、本実施形態に係る医用画像処理装置3は、これらの図形要素と、計測内容項目(計算項目)との組み合わせによって種々の計算ルールを設定することができる。具体的には、制御機能351が、注目領域に対して適用する図形要素と、当該注目領域における計算項目とを受け付ける。そして、設定機能354が、制御機能351によって受け付けられた図形要素と計算項目との組み合わせに基づく計算ルールを設定する。
【0148】
ここまで、Elementに基づいて様々な計算ルールを設定する方法について詳細に説明したが、計算ルールの種類はこれに限らず、Elementから設定可能な種類の形態であればどのように計算ルールを設定する場合でもよい。また、図では僧帽弁に関するElementのみをリスト表示する例で説明したが、複数の解剖構造に対するElementを同時にリスト表示してもよいし、切り替えられるようにしてもよい。
【0149】
また、複数の計算項目を統合した計算項目(計算ルール)を設定できるようにしてもよい。図18は、第1の実施形態に係る計測項目を設定するGUIの例を示す図である。図18では、複数の計算項目を四則演算などの一般的に知られる計算ルールを用いて統合するGUIを示す。領域1801は、作成する計算ルールを表示する領域であり、領域1802~領域1804により指定される計測項目、数値、演算子を用いて計算ルールを設定する。領域1802は、数値や演算子を設定する領域である。ユーザは、入力インターフェース32を用いて対応するボタンを選択することで、数値や演算子を設定できる。領域1803は、事前に定義した計測対象項目を選択するための領域であり、各計測種(Direct DistanceやROI等)毎に設定されている計測対象項目名がリスト表示される。領域1804は、ユーザが選択した計測対象項目名に対応する計測内容項目(Diameterなど)が表示され、ユーザはそのうち1つを選択する。
【0150】
図18の例では、ユーザが、領域1802において「0.1」、「×」、「()」を順に設定して、当該()内に領域1803においてAP-Lengthを選択して領域1804におけるDiameterを選択し、次に領域1802において「+」、「0.9」、「×」、「()」を順に設定した後、次に()内に領域1803においてCommissure to Commissureを選択して領域1804におけるDiameterを選択しようとしている例である。Setボタン1805が選択されることにより、領域1801に定義されている計算ルールをもつ新しい計測項目が設定される。計算ルールが定まる前ではSetボタン1805は選択できないように制御してもよいし、ユーザに警告を表示してもよい。また、同じ単位をもつ計測項目しか計算ルールとして統合できないように制御してもよい。領域1802に表示する演算子はより高度な演算子や関数(指数関数や三角関数、対数関数など)を定義できるようにしてもよい。
【0151】
以上、ステップS103の処理として様々な具体例を説明したが、上記した例はあくまでも1例であり、実施形態はこれらの例に限定されない。格子点群に基づく計算ルールを設定できればどのような方法でもよい。また、本稿では便宜上にステップS101~S102の後にステップS103の処理を実施したが、過去の別又は同じ患者の症例で事前にステップS103の設定を実施している場合は、ステップS103として新たに計算ルールを設定する必要はなく、事前に設定した計算ルールを読み出すだけでもよい。
【0152】
また、設定した計算ルールを出力できる機能を有してもよい。また、事前に他者又は他施設が作成した計算ルールを入力できるようにし、当該計算ルールを設定できる機能を有してもよい。
【0153】
上述したように、設定機能354は、注目領域に関する特徴量を算出するための計算ルールを設定する。ここで、設定機能354は、設定した計算ルールに対して被検体の特性に応じた変更を加えることができる。例えば、設定機能354は、被検体の特性に応じた変更ルールを取得し、取得した変更ルールを用いて計算ルールを変更する。一例を挙げると、設定機能354は、被検体の年齢や、身体情報(例えば、身長、体重等)、注目領域における特徴(例えば、欠損が生じている等)、被検体に対する治療内容等に応じて設定された変更ルールに基づいて、設定した計算ルールを変更する。
【0154】
ここで、変更ルールの設定の一例について説明する。変更ルールは、設定された計算ルールごとに設定され、計算ルールに対応付けて記憶回路34に記憶される。例えば、被検体の年齢や身体情報に応じて、計測する位置を変更する変更ルールを設定することができる。かかる場合には、例えば、計算ルールにおける座標情報に対して変更を加えるための座標変換情報が、変更ルールとして設定される。図4を用いて一例を説明すると、例えば、図4に示すP1(0,9)とP2(0,30)との直線距離を計測する計算ルールが設定されたとする。これに対して、例えば、座標変換情報「P1+(0,1)」が変更ルールとして設定される。この座標変換情報は、計算ルールにおけるP1の座標を、当該座標に対して(0,1)を加えた座標(0,10)に変更することを意味する。すなわち、変更ルール適用後の計算ルールは、(0,10)とP2(0,30)との直線距離を計測するルールとなる。この座標変換情報は、年齢や身体情報と注目領域との関係に関する知見をもとにユーザによって設定される。
【0155】
また、例えば、注目領域における特徴や、被検体に対する治療内容に応じて、計測内容項目を変更する変更ルールを設定することも可能である。かかる場合には、計測内容項目を変更するための変更情報が、変更ルールとして設定される。例えば、VOIの体積を計測する計算ルールが設定されたとする。これに対して、例えば、変更情報「体積→表面積」が変更ルールとして設定される。この変更情報は、計算ルールにおける計測内容項目を、「体積」から「表面積」に変更することを意味する。すなわち、変更ルール適用後の計算ルールは、VOIの表面積を計測する計算ルールとなる。この変更情報は、注目領域における特徴や被検体に対する治療内容と注目領域との関係に関する知見をもとにユーザによって設定される。
【0156】
上述した変更ルールは、あくまでも一例であり、計算ルールを変更するための変更ルールとして、その他種々の変更を任意に設定することができる。なお、ユーザによって変更ルールが設定される場合、変更用のGUIが表示される。
【0157】
上述したように、注目領域に関する特徴量を算出するための計算ルールを設定すると、設定機能354は、設定した計算ルールを算出機能355に送信する。また、設定機能354は、ユーザの操作に応じて新たに設定した計算ルールを記憶回路34に記憶させる。すなわち、設定機能354は、計算ルール及び変更ルールを用いて変更した計算ルールを、算出機能355に送信したり、記憶回路34に記憶させたりする。
【0158】
例えば、設定機能354は、設定したElementの情報(注目領域の解剖学的構造に基づく座標情報や、当該座標情報に任意に割り当てた文字列、ID、Tagなどの識別子)と、計測項目とを、算出機能355に送信したり、記憶回路34に記憶させたりする。ここで、設定機能354は、各計算ルールに対して、計算ルールを識別するための識別子を付与し、記憶回路34に記憶させる。
【0159】
記憶回路34は、設定機能354によって設定された計算ルールを記憶する。ここで、記憶回路34は、計算ルールの特徴に基づいて、複数の計算ルールを分類して記憶することができる。例えば、記憶回路34は、特定の手技に用いられる一連の計算ルールや、同一被検体に対して用いられる複数の計算ルールを、それぞれまとめて記憶する。このとき、変更ルールを用いた変更した計算ルールがある場合、記憶回路34は、計算ルールと変更ルールを用いて変更した計算ルールとをまとめて記憶する。
【0160】
なお、上記した例では、設定機能354が、GUIを介したユーザの操作に応じて計算ルールを設定する場合について説明した。しかしながら、設定機能354は、記憶回路34に記憶済みの計算ルールを読み出すことで、計算ルールを設定することもできる。例えば、設定機能354は、計算ルールを識別するための識別子(被検体の情報や、手技に関する情報等)を取得し、取得したい識別子に対応する計算ルールを記憶回路34から読み出して設定する。なお、計算ルールを識別するための識別子は、例えば、ユーザが入力した情報から取得されてもよい。
【0161】
(特徴量の算出処理)
図2のステップS104で説明したように、算出機能355は、設定された計算ルールを用いて、注目領域に関する特徴量を算出する。具体的には、算出機能355は、設定機能354によって設定されたElementと計測項目とを、抽出機能353によって抽出された注目領域(例えば、格子点群)に適用することで、当該注目領域における特徴量を算出する。
【0162】
ここで、算出機能355は、手技に応じて適切な計算ルールを用いるように制御することもできる。具体的には、算出機能355は、手技の手順に応じた計算ルールを取得し、取得した計算ルールに基づいて、注目領域の特徴量を算出する。例えば、算出機能355は、手技のワークフローにおける各ステップや、シーンに沿って、適切な計算ルールを記憶回路34から読み出し、読み出した計算ルールに沿った特徴量(計測値)を算出する。
【0163】
かかる場合に、まず、手技のワークフローにおける各ステップや、シーンに対して計算ルールをそれぞれ対応付けた対応情報が記憶回路34に記憶される。例えば、手技のワークフローにおける各ステップやシーンに対して、それぞれを識別するための識別情報が設定される。そして、ユーザによる操作に基づいて、当該識別情報に対して計算ルールを夫々対応付けた対応情報が生成され、生成された対応情報が記憶回路34に記憶される。ここで、識別情報に対して対応付ける計算ルールは、ユーザによって任意に選択される。
【0164】
算出機能355は、ユーザによって入力された識別情報に基づいてワークフローのステップやシーンを特定し、特定したワークフローのステップやシーンに対応付けられた計算ルールを記憶回路34から読み出す。そして、算出機能355は、読み出した計算ルールに基づいて、注目領域に関する計測値を算出する。例えば、ユーザは、ワークフローに含まれる一連のステップに対応する識別情報を実施順に入力しておき、手技中、各ステップの切り替わりのタイミングで切り替え操作を実行する。算出機能355は、切り替え操作に応じて、実施順に識別情報に対応する計算ルールを読み出し、読み出した計算ルールに基づいて計測値を算出する。
【0165】
算出機能355によって特徴量(計測値)が算出されると、制御機能351は、算出された計測値について種々の処理を実行する。例えば、制御機能351は、算出された計測値を、ディスプレイ33にて表示するように制御する。また、制御機能351は、例えば、CSV形式などで外部装置に出力したり、デジタル情報として他の医療ソフトウェア(電子カルテ、レポートソフトなど)に出力したりすることができる。また、制御機能351は、例えば、院内DBや本実施形態に係る医用画像処理プログラムが動作している計算機におけるHDD等の記憶装置に自動的に記憶するように制御することもできる。
【0166】
上述したように、第1の実施形態によれば、画像取得機能352は、医用画像を取得する。抽出機能353は、医用画像から注目領域を抽出する。設定機能354は、注目領域に関する特徴量を算出するための計算ルールを設定する。記憶回路34は、計算ルールを記憶する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、新たな計測項目の計測値を容易に算出することを可能にする。
【0167】
また、第1の実施形態によれば、算出機能355は、計算ルールに基づいて、注目領域の特徴量を算出する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、未登録の計測項目に対してもユーザが設定する任意の計算ルールに基づいて自動で計測値を算出することを可能にする。
【0168】
また、第1の実施形態によれば、設定機能354は、特徴量を算出するための計算ルールとして、注目領域の解剖学的な情報を抽出するためのルールを設定する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、設定した計算ルールに基づいて特徴量を算出することで、解剖学的に意味のある計測値を算出することを可能にする。
【0169】
また、第1の実施形態によれば、抽出機能353は、所定の形式の格子点群として注目領域を抽出する。設定機能354は、格子点群に基づいて、計算ルールを設定する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、注目領域を予め定めた形式の格子点で抽出することができ、解剖学的意味を持つ位置として注目領域の各位置を抽出することを可能にする。
【0170】
また、第1の実施形態によれば、抽出機能353は、解剖学的特徴点に基づいて注目領域を抽出する。設定機能354は、解剖学的特徴点に基づいて、計算ルールを設定する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、解剖学的意味を持つ位置として注目領域の各位置を抽出することを可能にする。
【0171】
また、第1の実施形態によれば、設定機能354は、設定した計算ルールに対して被検体の特性に応じた変更を加える。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、より被検体に適した計算ルールを設定することを可能にする。
【0172】
また、第1の実施形態によれば、記憶回路34は、前記計算ルールの特徴に基づいて、複数の計算ルールを分類して記憶する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、計算ルールの管理を容易に行うことを可能にする。
【0173】
また、第1の実施形態によれば、算出機能355は、手技の手順に応じた計算ルールを取得し、取得した計算ルールに基づいて、注目領域の特徴量を算出する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、状況に応じて適切な計算ルールを自動で用いることを可能にする。
【0174】
また、第1の実施形態によれば、制御機能351は、注目領域に対して適用する図形要素と、当該注目領域における計算項目とを受け付ける。設定機能354は、制御機能351によって受け付けられた図形要素と計算項目との組み合わせに基づく計算ルールを設定する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、新たな計測項目を容易に設定することを可能にする。
【0175】
また、第1の実施形態によれば、設定機能354は、注目領域に関する特徴量として、当該注目領域の形態情報及び性状情報の少なくとも1つを算出するための計算ルールを設定する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、注目領域における形態と性状の特徴を算出することを可能にする。
【0176】
また、第1の実施形態によれば、注目領域の形態情報は、当該注目領域における距離、面積、体積、及び、角度を含む。注目領域の性状情報は、注目領域における所定の範囲の画素値の最大値、最小値、平均値、分散値、及びヒストグラムを含む。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、注目領域における種々の特徴を算出することを可能にする。
【0177】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態において説明した計算ルールを他者に提供する医用システムについて説明する。第1の実施形態において説明したように、本願に係る医用画像処理装置は、注目領域における各位置を、解剖学的意味をもつ位置として抽出し、抽出した位置を用いて計算ルールを設定する。この計算ルールを用いた計測は、画像の絶対位置情報(画素、画像濃度)に基づく計測とは異なり、注目領域がどのような形状をしている場合でも解剖学的に同一の意味をもつ計測値を算出することができる。また、本願に係る医用画像処理装置は、上記計算ルールを自由に設定することができることから、注目領域に関する新たな計測項目が生じた場合でも、当該計測項目の計測値を算出するための計算ルールを容易に設定することができる。
【0178】
そこで、本実施形態では、このような計算ルールを利用可能とするサービスを医療機関や医療機器メーカーに提供する医用システムについて説明する。図19は、第2の実施形態に係る医用システムの構成例を示す図である。例えば、図19に示すように、本実施形態に係る医用システムは、管理会社に設置された医用画像処理装置3aと、デバイスメーカーに設置されたユーザ端末4aと、医療機関に設置されたユーザ端末4bとがネットワークを介して通信可能に接続されている。なお、図19には、医用画像処理装置3a、ユーザ端末4a、及び、ユーザ端末4bのみを示しているが、ネットワークには、その他種々の装置及びシステムが接続される場合でもよい。例えば、行政機関に設置された装置などが接続される場合でもよい。
【0179】
デバイスメーカーは、種々の医用デバイスを製造・販売する会社であり、ユーザ端末4aを管理する。ユーザ端末4aは、第1の実施形態に係る医用画像処理プログラムが組み込まれ、第1の実施形態において説明した種々の処理を実行することができる。すなわち、ユーザ端末4aは、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3と同様の処理を実行することができる。
【0180】
医療機関は、例えば、病院やクリニックであり、ユーザ端末4bを管理する。ユーザ端末4bは、第1の実施形態に係る医用画像処理プログラムが組み込まれ、第1の実施形態において説明した種々の処理を実行することができる。すなわち、ユーザ端末4bは、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3と同様の処理を実行することができる。
【0181】
管理会社は、医用画像処理装置3aを運用管理することで、計算ルールの提供を管理する。具体的には、管理会社は、デバイスメーカー及び医療機関と契約することで、本願に係る医用画像処理プログラムの使用を許諾するとともに、計算ルールの使用に関する種々のサービスを提供する。
【0182】
例えば、医用画像処理装置3aは、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3と比較して、計算ルールを提供するための各種機能を実行する点が異なる。具体的には、医用画像処理装置3aは、生成機能356と、通知機能357と、送受信機能358とを新たに実行する点と、制御機能351による処理内容とが異なる。以下、これらを中心に説明する。なお、図19では、1つの医用画像処理装置3aが、第1の実施形態にて説明した各種機能と、計算ルールの提供に関する各種機能とを実行する場合について示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、第1の実施形態にて説明した各種機能を実行する装置と、計算ルールの提供に関する各種機能を実行する装置とが別々であってもよい。
【0183】
第2の実施形態に係る制御機能351は、医用デバイスに関する情報の更新を受け付ける。具体的には、制御機能351は、新規医用デバイスに関する情報、既存のデバイスに関する情報を取得する。なお、制御機能351による処理については、後に詳述する。
【0184】
生成機能356は、医用デバイスに関する情報の更新を制御機能351が受け付けたタイミングに基づいて、ユーザ端末に対する通知情報を生成する。具体的には、生成機能356は、医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールに関する通知情報を生成する。なお、生成機能356による処理については、後に詳述する。
【0185】
通知機能357は、通知情報をユーザ端末に通知する。具体的には、通知機能357は、計算ルールに関する通知情報をユーザ端末に通知する。なお、通知機能357による処理については、後に詳述する。
【0186】
送受信機能358は、ユーザ端末4bとの間で計算ルールに関する情報を送受信する。具体的には、送受信機能358は、新規の医用デバイスの取得に応じた計算ルールの要求情報を受信し、要求情報に基づいて、医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールに関する更新プログラムをユーザ端末4bに送信する。なお、送受信機能358による処理については、後に詳述する。
【0187】
第2の実施形態に係る医用画像処理装置3aは、管理会社による運用管理のもと、上記した各機能により、例えば、図20に示す「研究開発時サービス」、「新規登録サービス」、「更新サービス」、「廃版サービス」、「課金サービス」、「デバイス管理サービス」、「共有サービス」、「Feedbackサービス」を、デバイスメーカーや、医療機関に提供する。なお、図20は、第2の実施形態に係る提供サービスの例を示す図である。
【0188】
(研究開発時サービス)
研究開発時サービスは、デバイスメーカーに対して提供されるサービスであり、医用画像処理プログラムの自由な使用を許諾するサービスである。すなわち、研究開発時サービスの提供を受けているデバイスメーカーは、新たなデバイスを開発するとともに、ユーザ端末4aを用いて開発したデバイスに関する計算ルールを自由に設定することができる。なお、医用画像処理装置3aの制御機能351は、研究開発時サービスを提供している間、自装置の新たな機能や、改善された機能などをユーザ端末4aに提供するように制御することもできる。
【0189】
例えば、記憶回路34は、研究開発時サービスの契約を結ぶデバイスメーカーの情報(デバイスメーカーの識別情報、契約内容、情報の送受信先など)を記憶する。制御機能351は、記憶回路34に記憶されたデバイスメーカーの情報に基づいて、医用画像処理プログラムの自由な使用を許諾する。例えば、制御機能351は、デバイスメーカーの識別情報に基づいて、記憶回路34に記憶された計算ルールに対するデバイスメーカーからの利用要求を承認し、計算ルールに対する自由なアクセスを許可する。また、通知機能357は、自装置の新たな機能や、改善された機能などを研究開発時サービスの契約を結ぶデバイスメーカーのユーザ端末4aに通知する。
【0190】
ここで、研究開発時サービスは、デバイスメーカーによって設定された計算ルールを管理会社に提供することを条件に、無償で提供される場合でもよい。すなわち、管理会社は、デバイスメーカーが自社で開発した医用デバイスに適応した計算ルールと引き換えに、医用画像処理プログラムを無償提供する。
【0191】
(新規登録サービス)
新規登録サービスは、医療機関に対して提供されるサービスであり、医用画像処理プログラムの使用許諾を受けている医療機関に対して、新たなデバイスに適応した計算ルールを提供する。例えば、制御機能351は、デバイスメーカーから新たな医用デバイスに関する情報と、当該医用デバイスに適応した計算ルールとを取得する。生成機能356は、取得された医用デバイスに関する情報と、計算ルールに関する情報とを含む通知情報を生成する。通知機能357は、生成機能356によって生成された通知情報を医療機関のユーザ端末4bに通知する。ここで、通知機能357は、計算ルールのファイルをダウンロード可能とした通知情報をユーザ端末4bに通知する。すなわち、通知機能357は、医療機関におけるユーザが通知情報を閲覧し、通知された計算ルールをダウンロードして使用することができるように、通知情報を通知する。
【0192】
ここで、医用デバイスの許認可に応じて、通知情報が通知される場合でもよい。すなわち、制御機能351は、医用デバイスの許認可に関する情報を取得し、生成機能356は、医用デバイスが許認可されたタイミングでユーザ端末4bに対する通知情報を生成する。一例を挙げると、制御機能351は、医用デバイスの認可された情報、或いは、医用デバイスが保険収載された情報を取得する。生成機能356は、医用デバイスの認可されたタイミング、或いは、医用デバイスが保険収載されたタイミングで通知情報を生成する。なお、制御機能351は、医用デバイスの許認可に関する情報を、ユーザによる入力操作に応じて取得する場合でもよく、ネットワークを介して外部装置から取得する場合でもよい。
【0193】
送受信機能358は、新規の医用デバイスの取得に関する要求情報をユーザ端末4bから受信し、受信した要求に対応する計算ルールをユーザ端末4bに送信する。例えば、送受信機能358は、通知情報を受信したユーザ端末4bからの計算ルールのダウンロードの要求に応じて、計算ルールのファイルをユーザ端末4bに送信する。
【0194】
ここで、送受信機能358は、第1の実施形態において説明した種々の形態で、ユーザ端末4bに計算ルールを提供することができる。図21図23は、第2の実施形態に係るユーザ端末4bに提供する計算ルールの例を説明するための図である。
【0195】
例えば、送受信機能358は、計算ルール及び変更ルールを用いて変更した計算ルールをユーザ端末4bに送信する。一例を挙げると、送受信機能358は、図21に示すように、「どことどの間の長さを測定するか等」の元の計算ルールと、元の計算ルールを年齢、体重に応じて変更した派生計算ルールと、元の計算ルールを注目部位における欠損によって変更した派生計算ルールと、元の計算ルールを2回治療の予定に応じて変更した派生計算ルールとをまとめてユーザ端末4bに送信する。
【0196】
また、例えば、送受信機能358は、計算ルールの特徴に基づいて分類された複数の計算ルールをユーザ端末4bに送信する。一例を挙げると、送受信機能358は、図22に示すように、「弁用のルール」と「ルート用のルール」とがパッケージとなった計算ルールをユーザ端末4bに送信する。
【0197】
また、例えば、送受信機能358は、手技のワークフローにおける各ステップや、シーンに対して割り当てられた複数の計算ルールをユーザ端末4bに送信する。一例を挙げると、送受信機能358は、図23に示すように、「入るかどうか?」に割り当てられたルールAと、「どのサイズか?」に割り当てられたルールBと、「どのアプローチか?」に割り当てられたルールCとを含む計算ルールをユーザ端末4bに送信する。
【0198】
なお、ルールAは、例えば、医用デバイスが体内に入るか否かを判定するための長さや面積を算出する計算ルールなどを含む。また、ルールBは、例えば、体内に留置する医用デバイスを選択するための計測値を算出する計算ルールなどを含む。また、ルールCは、医用デバイスが注目領域までに到達するまでに通過する部位(例えば、大動脈、手、足、腹部など)を計測するための計算ルールなどを含む。
【0199】
なお、新規登録サービスの場合、新規の医用デバイスの許認可に応じて課金を行う場合でもよい。例えば、新規の医用デバイスが認可される前、或いは、保険収載される前は計算ルールを無料で提供し、新規の医用デバイスが認可された後、或いは、保険収載された後は計算ルールを有料で提供するようにしてもよい。この場合、例えば、国ごとに許認可のタイミングは異なるため、国ごとに許認可の状況に応じて提供サービスの内容が変わることとなる。
【0200】
(更新サービス)
更新サービスは、医療機関に対して提供されるサービスであり、医用画像処理プログラムの使用許諾を受けている医療機関に対して、既存のデバイスの変更に応じて変更された計算ルールを提供する。例えば、制御機能351は、デバイスメーカーから医用デバイスの変更に関する情報と、当該医用デバイスに適応するために変更された計算ルールとを取得する。生成機能356は、取得された医用デバイスの変更に関する情報と、変更された計算ルールに関する情報とを含む通知情報を生成する。通知機能357は、生成機能356によって生成された通知情報を医療機関のユーザ端末4bに通知する。なお、通知機能357は、計算ルールのファイルをダウンロード可能とした通知情報をユーザ端末4bに通知する。
【0201】
例えば、制御機能351は、医用デバイスの仕様、価格、当該医用デバイスに関する使用方法乃至ガイドラインの内少なくとも1つの更新に関する情報を取得し、生成機能356は、医用デバイスの仕様、価格、当該医用デバイスに関する使用方法乃至ガイドラインの内少なくとも1つが更新されたタイミングでユーザ端末4bに対する通知情報を生成する。なお、計算ルールが変更されない場合、生成機能356は、計算ルールに変更がないことを示す情報を含む通知情報を生成する。
【0202】
送受信機能358は、変更された医用デバイスに対応する変更後の計算ルールの取得に関する要求情報をユーザ端末4bから受信し、受信した要求に対応する変更後の計算ルールをユーザ端末4bに送信する。例えば、送受信機能358は、通知情報を受信したユーザ端末4bからの計算ルールのダウンロードの要求に応じて、変更後の計算ルールのファイルをユーザ端末4bに送信する。
【0203】
ここで、医用デバイスの変更に応じて変更された計算ルールに対して変更ルールに基づく計算ルールが対応付けられている場合、送受信機能358は、医用デバイスの変更に応じて変更された計算ルールとともに、当該計算ルールを変更ルールに基づいて変更した計算ルールもあわせて送信する。
【0204】
図24は、第2の実施形態に係る計算ルールの変更の例を説明するための図である。ここで、図24では、図21における元の計算ルールに変更が生じた場合の派生計算ルールに対する変更について示す。例えば、図21における元の計算ルールに変更が生じた場合、設定機能354は、図24に示すように、変更後の計算ルールに対して図21で説明した変更ルールを適用することで、派生計算ルールに対してそれぞれ変更を加える。送受信機能358は、変更後の計算ルールと、変更後の派生計算ルールとをまとめてユーザ端末4bに送信する。
【0205】
(廃版サービス)
廃版サービスは、医療機関に対して提供されるサービスであり、医用画像処理プログラムの使用許諾を受けている医療機関に対して、廃版となったデバイスの情報を提供する。例えば、制御機能351は、デバイスメーカーから医用デバイスの廃版に関する情報を取得する。生成機能356は、医用デバイスが廃版となったタイミングでユーザ端末4bに対する通知情報を生成する。すなわち、生成機能356は、取得された医用デバイスの廃版に関する情報を含む通知情報を生成する。通知機能357は、生成機能356によって生成された通知情報を医療機関のユーザ端末4bに通知する。
【0206】
ここで、生成機能356は、廃版となったデバイスに対応する計算ルールの削除に関する情報を含む通知情報を生成することができる。例えば、生成機能356は、廃版となったデバイスに対応する計算ルールを削除してよいか否かを問い合わせる通知情報を生成する。ここで、ユーザ端末4bから当該計算ルールを削除してよい旨の情報を取得すると、管理会社と医療機関との契約における当該計算ルールの使用許諾を削除する。
【0207】
(課金サービス)
課金サービスは、医療機関に対して提供されるサービスであり、医用画像処理プログラムの使用許諾を受けている医療機関に対して、種々の課金サービスを提供する。例えば、制御機能351は、医用画像処理プログラムを組み込む時点で定額の課金を行い、以降の計測ルールのダウンロードを無料とする課金サービスを提供することができる。また、例えば、制御機能351は、計測ルールをダウンロードするごとに課金を行う課金サービスを提供することができる。また、例えば、制御機能351は、一定期間経過するまで、或いは、一定数の計算ルールをダウンロードするまで、無料で提供し、それらを超過した時点から課金を行う課金サービスを行うことができる。また、例えば、制御機能351は、一定期間(例えば、1年など)の使用を、定額で提供する課金サービスを行うことができる。
【0208】
また、例えば、制御機能351は、図25Aに示すように、更新された計算ルールを毎月配信したり、契約期間中、自由にダウンロード可能としたりする課金サービスを提供することもできる。なお、図25Aは、第2の実施形態に係る課金サービスの一例を示す図である。
【0209】
(デバイス管理サービス)
デバイス管理サービスは、医療機関に対して提供されるサービスであり、医用画像処理プログラムの使用許諾を受けている医療機関に対して、当該医療機関が採用している医用デバイスの情報を管理するサービスである。例えば、制御機能351は、ユーザ端末4bから受信した計算ルールのダウンロード履歴に基づいて、当該ユーザ端末4bが採用する医用デバイスのリストを作成し、記憶回路34に保存する。そして、制御機能351は、新規医用デバイスの追加や、医用デバイスの廃版の情報に基づいて、当該医用デバイスのリストを更新する。
【0210】
このリストを用いることで、通知機能357は、医用デバイスの更新を通知する際に、更新された医用デバイスを採用している医療機関のユーザ端末4bに対してのみ、更新の情報を通知するように制御できる。
【0211】
(共有サービス)
共有サービスは、医療機関に対して提供されるサービスであり、医用画像処理プログラムの使用許諾を受けている医療機関に対して、当該医療機関で作成した計算ルールを他の医療機関に提供することを可能とするサービスである。このサービスを実現するためには、管理会社は、まず、医療機関のユーザ端末4bにおける、計算ルールの新規作成、ダウンロードした計算ルールの改変を許諾する。そのうえで、管理会社は、以下の共有サービスを提供する。例えば、管理会社は、医療機関同士の計算ルールの共有を許諾する共有サービスを提供する。すなわち、管理会社は、管理会社を介さず(管理会社の認証を得ることなく)、医療機関同士で計算ルールを共有する共有サービスを提供する。
【0212】
また、管理会社は、医療機関で作成された計算ルールを認証したうえで共有する共有サービスを提供することもできる。具体的には、送受信機能358は、第1のユーザ端末から医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールを受信する。そして、送受信機能358は、計算ルールの認証結果に基づいて、計算ルールを第2のユーザ端末に送信する。
【0213】
例えば、送受信機能358は、図25Bに示すように、計算ルールを使用した回数(患者数、使用回数)の通知と、当該医療機関で作成した計算ルールの定義ファイルのアップロードとを受け付ける。そして、管理会社は、受け付けた内容に基づいて、図25Cに示すように、アップロードされたファイルの認証を行う。ここで、管理会社によって認証された計算ルールが、共有可能なファイルとなる。例えば、送受信機能358は、ファイルをアップロードした医療機関に対して、認証された旨の情報を送信する。そして、送受信機能358は、他の医療機関のユーザ端末4bに対して、アプロードされた計算ルールを送信する。これにより、医療機関は、他の医療機関との間で、独自に作成した計算ルールを共有することができる。なお、計算ルールの認証は、管理会社に限らず、デバイスメーカーが行う場合でもよい。
【0214】
(Feedbackサービス)
Feedbackサービスは、医療機関に対して提供されるサービスであり、医用画像処理プログラムの使用許諾を受けている医療機関に対して、種々の医療機関での計算ルールの使用状況を提供するサービスである。具体的には、送受信機能358は、複数のユーザ端末から、医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールの使用履歴をそれぞれ受信する。そして、送受信機能358は、使用履歴を統合した使用履歴情報を、複数のユーザ端末に送信する。
【0215】
例えば、送受信機能358は、各医療機関のユーザ端末4bから計算ルールを使用した回数(患者数、使用回数)の通知を受信する。そして、送受信機能358は、計算ルールの種類ごとに、使用回数の合計値を算出し、算出した合計値を各医療機関のユーザ端末4bに送信する。かかる場合には、例えば、管理会社は、図26に示すように、計算ルールの使用回数を提供する交換サイトを運営し、当該交換サイトによって計算ルールの種類ごとの使用回数の合計値を提供する。例えば、送受信機能358は、計算ルールのダウンロード画面に、使用された回数を表示するように制御することもできる。なお、医療機関からFeedbackされる情報は、使用回数だけに限らず、例えば、使用した際の実績(計算ルールが適切であったか否かなどの情報)を含む場合でもよい。また、図26は、第2の実施形態に係るFeedbackサービスの一例を示す図である。
【0216】
上述したように、第2の実施形態によれば、制御機能351は、医用デバイスに関する情報の更新を受け付ける。生成機能356は、更新のタイミングに基づいて、ユーザ端末に対する通知情報を生成する。通知機能357は、通知情報を前記ユーザ端末に通知する。したがって、第2の実施形態に係る医用システムは、医用デバイスに関する情報の更新に応じて、ユーザ端末に通知を行うことができ、当該医用デバイスに関連する新たな計測項目が生じた場合にも即座に対応することを可能にし、新たな計測項目の計測値を容易に算出することを可能にする。
【0217】
また、第2の実施形態によれば、制御機能351は、医用デバイスの許認可に関する情報を取得する。生成機能356は、医用デバイスが許認可されたタイミングでユーザ端末に対する通知情報を生成する。したがって、第2の実施形態に係る医用システムは、医用デバイスの許認可されたことを条件に、情報を通知することを可能にする。
【0218】
また、第2の実施形態によれば、制御機能351は、医用デバイスの仕様、価格、当該医用デバイスに関する使用方法乃至ガイドラインの内少なくとも1つの更新に関する情報を取得する。生成機能356は、医用デバイスの仕様、価格、当該医用デバイスに関する使用方法乃至ガイドラインの内少なくとも1つが更新されたタイミングで前記ユーザ端末に対する通知情報を生成する。したがって、第2の実施形態に係る医用システムは、医用デバイスに関する種々の更新に対して対応することを可能にする。
【0219】
また、第2の実施形態によれば、制御機能351は、医用デバイスの廃版に関する情報を取得する。生成機能356は、医用デバイスが廃版となったタイミングでユーザ端末に対する通知情報を生成する。したがって、第2の実施形態に係る医用システムは、廃版になった医用デバイスの情報をユーザに提供することを可能にする。
【0220】
また、第2の実施形態によれば、生成機能356は、医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールに関する通知情報を生成する。通知機能357は、計算ルールに関する通知情報をユーザ端末に通知する。したがって、第2の実施形態に係る医用システムは、計算ルールに関する通知を行うことを可能にする。
【0221】
また、第2の実施形態によれば、送受信機能358は、ユーザ端末から医用デバイスの購入・取得に関する要求情報を受信する。送受信機能358は、要求情報に基づいて、医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールに関する更新プログラムをユーザ端末に送信する。したがって、第2の実施形態に係る医用システムは、更新した計算ルールをユーザ端末に提供することを可能にする。
【0222】
また、第2の実施形態によれば、送受信機能358は、第1のユーザ端末から医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールを受信する。送受信機能358は、計算ルールの認証結果に基づいて、計算ルールを第2のユーザ端末に送信する。したがって、第2の実施形態に係る医用システムは、ユーザから受信した計算ルールを他のユーザに共有させることを可能にする。
【0223】
また、第2の実施形態によれば、送受信機能358は、複数のユーザ端末から、医用デバイスが関与する生体器官における特徴量を算出するための計算ルールの使用履歴をそれぞれ受信する。送受信機能358は、使用履歴を統合した使用履歴情報を、複数のユーザ端末に送信する。したがって、第2の実施形態に係る医用システムは、使用実績を加味した計算ルールをユーザに提供することを可能にする。
【0224】
(その他の実施形態)
なお、上述した実施形態では、本明細書における受付部、取得部、抽出部、設定部、算出部、生成部、通知部、受信部、及び、送信部を、それぞれ、処理回路の制御機能、画像取得機能、抽出機能、設定機能、算出機能、生成機能、通知機能、及び、送受信機能によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における受付部、取得部、抽出部、設定部、算出部、生成部、通知部、受信部、及び、送信部は、実施形態で述べた制御機能、画像取得機能、抽出機能、設定機能、算出機能、生成機能、通知機能、及び、送受信機能によって実現する他にも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0225】
また、上述した実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0226】
ここで、プロセッサによって実行される医用画像処理プログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、この医用画像処理プログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、この医用画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、この医用画像処理プログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体から医用画像処理プログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0227】
また、上述した実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0228】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0229】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、新たな計測項目の計測値を容易に算出することができる。
【0230】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0231】
3、3a 医用画像処理装置
35 処理回路
351 制御機能
352 画像取得機能
353 抽出機能
354 設定機能
355 算出機能
356 生成機能
357 通知機能
358 送受信機能
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図26