(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177187
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】太陽電池、その製造方法、及び光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/068 20120101AFI20231206BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L31/06 300
H01L31/04 560
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102818
(22)【出願日】2022-06-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】202210606614.9
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】ナンナン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジンション ジン
(72)【発明者】
【氏名】ビーコー ジャン
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA01
5F151AA16
5F151BA11
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5F251GA14
5F251JA03
5F251JA04
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】太陽電池は、互いに対向して設けられた正面及び背面を含む半導体基板1と、半導体基板1の正面におけるエミッタ2及び正面パッシベーション層5と、半導体基板1の背面におけるトンネル層3、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層41と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層42を含むドープ導電層4、及び背面パッシベーション層6と、エミッタ2に接触する正面電極7及び第1ドープ導電層41に接触する背面電極8と、を有し、第1ドープ導電層41は、第2ドープ導電層42より低い酸素含有量を有する。
【効果】半導体/金属の界面におけるキャリア再結合中心を減少し、パッシベーション効果を向上することができるとともに、金属化領域の位置を合わせるドープ多結晶シリコンに、より優れた導電性を付与し、これにより太陽電池の変換効率を向上させることもできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
前記太陽電池は、
互いに対向して設けられた正面及び背面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の正面におけるエミッタ及び正面パッシベーション層と、
前記半導体基板の背面におけるトンネル層、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層を含むドープ導電層、及び背面パッシベーション層と、
前記エミッタに接触する正面電極及び前記第1ドープ導電層に接触する背面電極と、を備え、
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第2ドープ導電層中の酸素含有量よりも低いことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、前記背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1トンネル層中の酸素含有量は、前記第2トンネル層中の酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、前記背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層と前記第1トンネル層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記第2トンネル層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第1トンネル層中の酸素含有量よりも低い、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1ドープ導電層に占める酸素の質量割合は、19%~22%である、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1トンネル層に占める酸素の質量割合は、25%~30%である、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1ドープ導電層中の窒素含有量は、前記第2ドープ導電層中の窒素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1ドープ導電層に占める窒素の質量割合は、3%~5%である、ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記ドープ導電層は、炭化シリコンと多結晶シリコンのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1ドープ導電層と前記第2ドープ導電層は、いずれもリンドープ層であり、
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、前記第2ドープ導電層中のリン濃度よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、1×1020cm-3~1×1021cm-3であり、前記第2ドープ導電層中のリン濃度は、8×1019cm-3~5×1020cm-3であり、及び/又は、
前記第1ドープ導電層のシート抵抗は、30Ω/sq~80Ω/sqであり、前記第2ドープ導電層のシート抵抗は、60Ω/sq~400Ω/sqであり、及び/又は、
第1ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmであり、前記第2ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmである、ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項13】
太陽電池の製造方法であって、
前記太陽電池の製造方法は、
テクスチャ処理後の半導体基板の正面にエミッタを形成する工程と、
前記半導体基板の背面にトンネル層及び導電層を形成し、前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行って、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層を含むドープ導電層を形成する工程と、
前記第1ドープ導電層と第2ドープ導電層の表面に背面パッシベーション層を形成し、前記エミッタの表面に正面パッシベーション層を形成する工程と、
前記背面パッシベーション層を通して前記第1ドープ多結晶シリコン層と接触する背面電極と、前記正面パッシベーション層を通して前記エミッタと接触する正面電極を形成する工程と、を含み、
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第2ドープ導電層中の酸素含有量よりも低いことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1トンネル層中の酸素含有量は、前記第2トンネル層中の酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層と前記第1トンネル層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記第2トンネル層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記第1ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第1トンネル層中の酸素含有量よりも低い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記第1ドープ導電層中の窒素含有量は、前記第2ドープ導電層中の窒素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記導電層に対するドーピング処理及びレーザー局所処理に用いるドープ源は、リン源であり、
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、前記第2ドープ導電層中のリン濃度よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項20】
光起電力モジュールであって、
前記光起電力モジュールは、カバー、封止材料層、及び太陽電池ストリングを備え、
前記太陽電池ストリングは、請求項1~12のいずれか一項に記載の太陽電池、又は請求項13~19のいずれか一項に記載の製造方法で製造された太陽電池を複数含むことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽光起電力モジュール分野に関し、特に、太陽電池、その製造方法、及び光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
TOPConは、選択的キャリア原理に基づくトンネル酸化層パッシベーションコンタクト(Tunnel Oxide Passivated Contact)太陽電池技術である。TOPCon電池の構造は、N型シリコン基板による電池であり、電池背面に酸化シリコン超薄膜を作製してからドープシリコン薄膜を堆積し、上記2薄膜ともによりパッシベーションコンタクト構造を形成し、表面におけるキャリア再結合と半導体/金属の界面におけるキャリア再結合を効果的に低減し、電池の変換効率の更なる向上のためにより多くの可能性を提供する。
【0003】
TOPCon電池の変換効率が高いが、パッシベーションコンタクト構造の製造がTOPCon電池の製造プロセスを複雑させ、TOPCon電池の製造コストを高くさせ、かつ変換効率の向上に限界もあるため、TOPCon電池の変換効率を向上することは、太陽電池の製造にさらに求められるものであり、光起電力産業において喫緊な課題でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、上記課題を解消するために、金属化領域のパッシベーション性能を確保し、電池における半導体-金属の接触抵抗を低減しつつ開放電圧を確保することにより、電池効率と性能を向上させることができる太陽電池、その製造方法、及び光起電力モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様により、
互いに対向して設けられた正面及び背面を含む半導体基板と、
前記半導体基板の正面におけるエミッタ及び正面パッシベーション層と、
前記半導体基板の背面におけるトンネル層、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層と前記背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層を含むドープ導電層、及び背面パッシベーション層と、
前記エミッタに接触する正面電極及び前記第1ドープ導電層に接触する背面電極と、を有する太陽電池であって、
前記第1ドープ導電層は、前記第2ドープ導電層より低い酸素含有量を有することを特徴とする太陽電池を提供する。
【0006】
第1態様において、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、前記背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、前記第1トンネル層は前記第2トンネル層より高い酸素含有量を有する。
【0007】
第1態様において、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、前記背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、前記第1ドープ導電層と前記第1トンネル層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記第2トンネル層との界面における酸素含有量よりも高い。
【0008】
第1態様において、前記第1ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量よりも高い。
【0009】
第1態様において、前記第1ドープ導電層は、前記第1トンネル層より低い酸素含有量を有する。
【0010】
第1態様において、前記第1ドープ導電層に占める酸素の質量割合は、19%~22%である。
【0011】
第1態様において、前記第1トンネル層に占める酸素の質量割合は、25%~30%である。
【0012】
第1態様において、前記第1ドープ導電層は、第2ドープ導電層より高い窒素含有量を有する。
【0013】
第1態様において、前記第1ドープ導電層に占める窒素の質量割合は、3%~5%である。
【0014】
第1態様において、前記ドープ導電層は、炭化シリコンと多結晶シリコンのうちの少なくとも1種を含む。
【0015】
第1態様において、前記第1ドープ導電層と前記第2ドープ導電層は、いずれもリンドープ層であり、前記第1ドープ導電層は、前記第2ドープ導電層より高いリン濃度を有する。
【0016】
第1態様において、前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、1×1020cm-3~1×1021cm-3であり、前記第2ドープ導電層中のリン濃度は、8×1019cm-3~5×1020cm-3であり、及び/又は、
前記第1ドープ導電層のシート抵抗は、30Ω/sq~80Ω/sqであり、前記第2ドープ導電層のシート抵抗は、60Ω/sq~400Ω/sqであり、及び/又は、
第1ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmであり、前記第2ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmである。
【0017】
本発明の第2態様により、
テクスチャ処理後の半導体基板の正面にエミッタを形成する工程と、
前記半導体基板の背面にトンネル層及び導電層を形成し、前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行って、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層を含むドープ導電層を形成する工程と、
前記第1ドープ導電層と第2ドープ導電層の表面に背面パッシベーション層を形成し、前記エミッタの表面に正面パッシベーション層を形成する工程と、
前記背面パッシベーション層を通して前記第1ドープ多結晶シリコン層と接触する背面電極と、前記正面パッシベーション層を通して前記エミッタと接触する正面電極とを形成する工程と、を含む太陽電池の製造方法であって、
前記第1ドープ導電層は、前記第2ドープ導電層より低い酸素含有量を有することを特徴とする製造方法を提供する。
【0018】
第2態様において、前記導電層に対してドーピング処理とレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1トンネル層は、前記第2トンネル層より高い酸素含有量を有する。
【0019】
第2態様において、前記導電層に対してドーピング処理とレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層と前記第1トンネル層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記第2トンネル層との界面における酸素含有量よりも高い。
【0020】
第2態様において、前記導電層に対してドーピング処理とレーザー局所処理を行った後、前記第1ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量よりも高い。
【0021】
第2態様において、前記導電層に対してドーピング処理とレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層は、前記第1トンネル層より低い酸素含有量を有する。
【0022】
第2態様において、前記導電層に対してドーピング処理とレーザー局所処理を行った後、前記第1ドープ導電層は、前記第2ドープ導電層より高い窒素含有量を有する。
【0023】
第2態様において、前記導電層に対してドーピング処理とレーザー局所処理を行うドープ源は、リン源であり、
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、前記第2ドープ導電層のリン濃度より高い。
【0024】
本発明の第3態様により、カバーと、封止材料層と、第1態様に記載の太陽電池を複数含む太陽電池ストリングとを備える光起電力モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0025】
従来技術に比べて、本発明は、下記効果を実現した。
【0026】
本発明により、第1ドープ導電層の酸素含有量を第2ドープ導電層の酸素含有量よりも低く制御することにより、太陽電池背面におけるドープ導電層を選択的構造にすることができる。また、第2ドープ導電層における高い酸素含有量によって半導体/金属の界面におけるキャリア再結合中心を減少し、パッシベーション効果を向上することができる一方、第1ドープ導電層における低い酸素含有量によって、金属化領域の位置を合わせるドープ多結晶シリコンに、より優れた導電性を付与することができる。これにより、半導体-金属の接触抵抗を低減しつつ開放電圧を確保し、太陽電池の電池性能と変換効率を向上させることができる。
【0027】
本発明の他の特徴及び利点については、以下の明細書に説明し、かつ、一部が明細書の記載から明らかになるか、又は本発明の実施例を実施することにより理解される。本発明の目的と他の利点は、明細書及び図面に具体的に示される構成により実現、達成される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、本発明の実施例の構成をより明確に説明するために、実施例の説明のために必要な図面を簡単に説明する。当然ながら、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例を示すものに過ぎず、当業者にとって、創造的労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明に係る太陽電池の構造を示す模式図である。
【
図2】本発明に係る太陽電池の製造フローチャートである。
【
図3】本発明によりエミッタを製造した後の構造を示す模式図である。
【
図4】本発明により導電層へのドーピング処理とレーザー局所処理をした後の構造を示す模式図である。
【
図5】本発明により半導体基板の正面および背面にそれぞれ正面パッシベーション層及び背面パッシベーション層を形成した後の構造を示す模式図である。
【
図6】本発明に係る光起電力モジュールの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の構成をよりよく理解させるために、図面を参照しながら本発明の実施形態や実施例を詳細に説明する。
【0030】
なお、説明される実施形態や実施例は、本発明の一部の実施形態や実施例に過ぎず、全ての実施形態や実施例ではない。当業者が本明細書に記載の実施形態や実施例に基づいて創造的労働をしない前提で得られる他の全ての実施形態や実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0031】
本発明の実施形態や実施例において使用される用語は、特定の実施形態や実施例を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の実施形態や実施例及び添付の特許請求の範囲に使用される単数形の「1種」、「前記」及び「該」は、文脈により特に他の意味を示すことがない限り、複数形も含むように使用する。
【0032】
なお、本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連対象の関係を示すものに過ぎず、前記関係は、3種存在することが可能である。例えば、A及び/又はBの場合、Aが単独で存在する、A及びBが共に存在する、Bが単独で存在するという3種の関係が存在することを意味することができる。また、本明細書における記号「/」は、一般的に、その前後における関連対象が「又は」という関係を有することを示す。
【0033】
なお、本発明の実施形態や実施例に記載される「上」、「下」、「左」、「右」などの方位語は、図面で示す角度から記述するものであり、本発明を制限するものと理解するべきではない。また、ここで、一部材が別の部材の「上」又は「下」に接続されると記載する場合、前記別の部材の「上」又は「下」に直接的に接続されるだけでなく、中間部材を介して前記別の部材の「上」又は「下」に間接的に接続されることも可能であると理解するべきである。
【0034】
なお、図面におけるフローチャートに示される工程は、例えば1組のコンピュータ実行可能な命令を含むコンピュータシステムで実行してもよい。そして、フローチャートに論理的順序が示されているが、各実施形態や実施例における工程の順序は、本明細書に特定される順序にしたがって順次行うことには限らず、場合によっては、具体的な必要に応じて工程の実施を調整し、ここで記載の順序と異なる順序で、示される又は説明される各工程を実行してもよい。
さらに、本開示において、「金属化領域」とは、太陽電池の正面又は背面における電極を形成した領域を意味しており、「非金属化領域」とは、太陽電池の正面又は背面における電極を形成していない領域を意味している。
【0035】
TOPCon電池は、「トンネル効果」によって背面パッシベーションを実現するものである。従来のTOPCon電池は、背面構造として、内から外への順に半導体基板、トンネル酸化層、ドープ多結晶シリコン層、背面パッシベーション層、及び背面金属電極であり、その中、金属電極は、半導体とオーミック接触を形成し、トンネル酸化層は、ドープ多結晶シリコン層とトンネル酸化層パッシベーションコンタクト構造を形成する。太陽電池の変換効率と性能をさらに向上させるために、金属化領域の接触抵抗を低減することは、光起電力産業で喫緊な課題になる。
【0036】
さらに、当分野で太陽電池の製造プロセスに対する改良が始まり、主にレーザードーピング法によって金属化領域中にヘビードーピング領域を形成することにより、金属化領域の接触抵抗を低下し、太陽電池の変換効率を向上させるが、レーザー処理過程中で電池の膜層に一定の損傷を与えることを回避できず、電池性能の低下を招くことになる。
【0037】
したがって、太陽電池の変換効率及び電池性能を向上させるために、本発明により、
図1に示されるように、
互いに対向して設けられた正面及び背面を含む半導体基板1と、
半導体基板1の正面におけるエミッタ2及び正面パッシベーション層5と、
半導体基板1の背面におけるトンネル層3、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層41と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層42を含むドープ導電層4、及び背面パッシベーション層6と、
エミッタ2に接触する正面電極7及び第1ドープ導電層41に接触する背面電極8と、を備える太陽電池であって、
前記第1ドープ導電層41は、前記第2ドープ導電層41とり低い酸素含有量を有することを特徴とする太陽電池を提供する。
【0038】
本発明の上記態様において、第1ドープ導電層41の酸素含有量を第2ドープ導電層42の酸素含有量よりも低く制御することにより、太陽電池の背面におけるドープ導電層4を選択的構造にすることができる。また、第2ドープ導電層42の高い酸素含有量により、半導体/金属の界面におけるキャリア再結合中心を減少し、パッシベーション効果を向上することができる一方、第1ドープ導電層41の低い酸素含有量により、金属化領域の位置を合わせるドープ多結晶シリコンに、より優れた導電性を付与することができる。これにより、半導体-金属の接触抵抗を低減しつつ開放電圧を確保し、太陽電池の電池性能と変換効率を向上させることができる。
【0039】
ここで、半導体基板1の正面は、太陽に向く面(すなわち、受光面)であり、半導体基板1の背面は、太陽とは反対する面(すなわち、非受光面)である。いくつかの実施形態において、半導体基板1は、N型半導体基板である。N型半導体基板は、結晶シリコン基板(シリコン基板)、例えば、多結晶シリコン基板、単結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板、又は炭化シリコン基板のうちの1種であってもよく、本発明において、半導体基板の具体的な種類に制限がない。また、半導体基板のドーピング元素は、リン、窒素などであってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、N型半導体基板は、N型結晶シリコン基板(又はシリコン片)であり、厚さが60μm~240μmであり、具体的に、60μm、80μm、90μm、100μm、120μm、150μm、200μm又は240μm等であってもよく、ここで限定されない。
【0041】
いくつかの実施形態において、エミッタ2は、ホウ素ドープ拡散層であるP型エミッタである。ホウ素ドープ拡散層は、ホウ素源を用いて拡散プロセスによりホウ素原子を正面に一定の深さまで拡散させてなるP型エミッタ(すなわち、P+層)である。例えば、ホウ素源は、液状の三臭化ホウ素又は三塩化ホウ素であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、トンネル層3は、薄い酸化物層であり、例えば、酸化シリコン又は金属酸化物であってもよく、且つそれ以外の元素、例えば窒素を含有してもよい。例示的に、トンネル層3は、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層、酸化モリブデン層、酸化ハフニウム層からなる群から選ばれる1種以上の積層構造であってもよい。他の実施形態において、トンネル層3は、酸素含有窒化シリコン層、酸素含有炭化シリコン層等であってもよい。このようなトンネル層は、実際の効果として、完全なトンネル障壁を形成しないことが可能であり、その原因として、例えばピンホールなどの欠陥が含まれることにより、他の電荷キャリアの輸送メカニズム(例えば、ドリフト、拡散)がトンネル効果より支配的になることが挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態において、トンネル層3の厚さは、0.8nm~2nmである。具体的に、トンネル層3の厚さは、0.8nm、0.9nm、1.0nm、1.2nm、1.4nm、1.6nm、1.8nm又は2nm等である。トンネル層3の厚さは、該トンネル層が形成された表面の法線方向における該トンネル層の厚さを指す。トンネル層3の厚さが大きすぎると、トンネル層の接触抵抗の低減に不利である。トンネル層の厚さを制御することにより、接触抵抗によるフィルファクターの低下を抑制することができる。本発明では、半導体基板1の背面にトンネル層を形成することにより、太陽電池の開放電圧を改善し、太陽電池の効率を高めることができる。いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41中の酸素含有量は、19%~22%であり、具体的に、例えば19%、19.5%、19.7%、20.5%、20.8%、21%、21.3%、21.5%、21.8%及び22%であってもよく、また、第2ドープ導電層42中の酸素含有量は、27%~28%であり、具体的に、例えば27%、27.02%、27.5%、27.85%及び28%等であってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、トンネル層3は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層31と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層32を含み、第1トンネル層31中の酸素含有量が第2トンネル層32中の酸素含有量よりも高い。第1トンネル層31中の酸素含有量は、25%~30%であり、例えば25%、26%、27%、28%、29%又は30%であってもよく、また、第2トンネル層32中の酸素含有量は、例えば17%、17.5%、18%、18.3%及び19%であってもよい。本発明では、第1トンネル層31の酸素含有量を第2トンネル層32の酸素含有量よりも高く制御することにより、すなわち、第1トンネル層31中の架橋酸素の数を多くすることにより、第1トンネル層31の緻密性を向上し、トンネル層に孔隙の存在を回避し、同時に低い酸素含有量を有する第2トンネル層32によりトンネル効果を確保し、これにより電池のパッシベーション効果を向上することができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41と第1トンネル層31との界面における酸素含有量が、第2ドープ導電層42と第2トンネル層32との界面における酸素含有量よりも高い。ドープ導電層4とトンネル層3との界面における酸素含有量を制御することにより、金属化領域の位置を合わせるトンネル層3の膜品質を改善し、電池のパッシベーション効果をさらに高めることができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41と背面パッシベーション層6との界面における酸素含有量は、第2ドープ導電層42と背面パッシベーション層6との界面における酸素含有量よりも高い。本発明では、ドープ導電層4と背面パッシベーション層6の界面における酸素含有量を制御することにより、金属化領域の位置を合わせるトンネル層の膜品質を改善し、電池のパッシベーション効果をさらに高めることができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41中の酸素含有量は、第1トンネル層31中の酸素含有量より低い。第1トンネル層31中の高い酸素含有量により、第1トンネル層31の緻密性を向上し、半導体基板1と第1トンネル層31の取扱い時の安全性が向上することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41中の窒素含有量は、第2ドープ導電層42中の窒素含有量よりも高い。
【0049】
いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41に占める窒素の質量割合は、3%~5%であり、具体的に、例えば3%、3.5%、4%、4.5%又は5%であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、第2ドープ導電層42に占める窒素の質量割合は、1%~2%であり、具体的に、例えば1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%又は2%であってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、ドープ導電層4は、炭化シリコン及び多結晶シリコンのうちの少なくとも1種を含み、すなわち、ドープ導電層4は、ドープ多結晶シリコン層であってもよく、炭化シリコン層であってもよく、ドープ多結晶シリコン層と炭化シリコン層とからなる複合層であってもよい。具体的に、第1ドープ導電層41及び第2ドープ導電層中のドーパントは、n型ドーパントであり、n型ドーパントとして、例えばV族元素(P、As、Bi、Sb等を含む)のn型不純物であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、ドープ導電層4がドープ多結晶シリコン層である場合、ドープ多結晶シリコン層4中のドーピング元素は、リンであり、すなわち、第1ドープ導電層41と第2ドープ導電層42は、いずれもリンドープ多結晶シリコン層である。第1ドープ導電層41中のリン濃度を第2ドープ導電層42中のリン濃度よりも高くすることにより、第1ドープ導電層41を金属化領域においてヘビードーピング領域にさせ、金属化領域のパッシベーション効果を向上することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41中のリン濃度は、1×1020cm-3~1×1021cm-3であり、具体的に、例えば1×1020cm-3、2×1020cm-3、3×1020cm-3、4×1020cm-3、5×1020cm-3、6×1020cm-3、7×1020cm-3、8×1020cm-3、9×1020cm-3又は1×1021cm-3であってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、第2ドープ導電層42中のリン濃度は、8×1019cm-3~5×1020cm-3であり、具体的に、例えば8×1019cm-3、9×1019cm-3、1×1020cm-3、2×1020cm-3、3×1020cm-3、4×1020cm-3又は5×1020cm-3であってもよい。
【0055】
理解できるように、第1ドープ導電層41と第2ドープ導電層42中のリン濃度をそれぞれ上記範囲内に制御することにより、太陽電池の背面に選択性構造を形成することができる。つまり、金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層41をn++ヘビードーピング領域にし、非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層42をn+多結晶シリコン層にすることにより、金属化領域の接触抵抗を低減し、電池のフィルファクターを向上し、さらに電池性能を向上することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41のシート抵抗は、30Ω/sq~80Ω/sqであり、具体的に、例えば30Ω/sq、40Ω/sq、50Ω/sq、60Ω/sq、70Ω/sq又は80Ω/sqであってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、第2ドープ導電層42のシート抵抗は、60Ω/sq~400Ω/sqであり、具体的に、例えば60Ω/sq、80Ω/sq、100Ω/sq、150Ω/sq、200Ω/sq、300Ω/sq又は400Ω/sqであってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41の厚さは、30nm~300nmであり、具体的に、例えば30nm、50nm、70nm、90nm、110nm、150nm、200nm、250nm又は300nmであってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態において、第2ドープ導電層42の厚さは、30nm~300nmであり、具体的に、例えば30nm、50nm、70nm、90nm、110nm、150nm、200nm、250nm又は300nmであってもよい。
【0060】
理解できるように、第1ドープ導電層41と第2ドープ導電層42の厚さは、同じであってもよく、すなわち、本発明により、第1ドープ導電層41及び第2ドープ導電層42のそれぞれの元素分布を変更するだけで、電池のパッシベーション効果を向上し、導電性とフィルファクターを向上し、さらに太陽電池の電池性能を向上することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、正面パッシベーション層5は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどのうち少なくとも1種、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。正面パッシベーション層5は、半導体基板1に良好なパッシベーション効果を与えることができ、電池の変換効率の向上に寄与する。なお、正面パッシベーション層5は、入射光の反射を低減する作用を発揮することもでき、いくつかの実施形態において、反射防止層としてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、正面パッシベーション層5の厚さは、10nm~120nmの範囲であり、具体的に、10nm、20nm、30nm、42nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm又は120nm等であってもよく、当然ながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0063】
いくつかの実施形態において、背面パッシベーション層6は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどのうち少なくとも1種又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これに限定されない。背面パッシベーション層6が積層設置された窒化シリコン層と酸化シリコン層であるか、又は積層設置された窒化シリコン層と酸窒化シリコン層である場合、窒化シリコン層は、ドープ導電層4の表面に位置し、酸化シリコン層又は酸窒化シリコン層は、窒化シリコン層の表面に位置する。
【0064】
いくつかの実施形態において、背面パッシベーション層6の厚さは、70nm~120nmの範囲であり、具体的に、70nm、80nm、90nm、100nm又は120nm等であってもよく、当然ながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0065】
いくつかの実施形態では、正面電極7と背面電極8は、いずれも金属バスバー電極であり、金属バスバー電極の材質として、銅、銀、アルミニウム、ニッケルのうちの少なくとも1種を含む。金属バスバー電極の材質が銅、銀、アルミニウム、ニッケルである場合、いずれも腐食されやすい。
【0066】
金属バスバー電極は、バスバーとフィンガーを含む。フィンガーは、バスバーに接続され、太陽電池が発生する電流を集めるものである。バスバーは、サフィンガーの電流を集めるものである。
【0067】
本発明の好ましい実施態様として、複数本のバスバーを等間隔に分布させることにより、各バスバーに集められる電流をより均一にすることができる。
【0068】
また、本発明により、上記した太陽電池を製造する方法も提供する。本発明に係る太陽電池の製造方法のフローチャートである
図2に示されるように、
テクスチャ処理後の半導体基板1の正面にエミッタ2を形成する工程と、
半導体基板1の背面にトンネル層3と導電層を形成し、導電層に対してドーピング処理とレーザー局所処理を行って、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層41と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層42を含むドープ導電層4を形成する工程と、
第1ドープ導電層41と第2ドープ導電層42の表面に背面パッシベーション層6を形成し、エミッタ2の表面に正面パッシベーション層5を形成する工程と、
背面パッシベーション層6を通して第1ドープ多結晶シリコン層と接触する背面電極8と、正面パッシベーション層5を通してエミッタ2と接触する正面電極7を形成する工程と、を含む太陽電池の製造方法であって、
第1ドープ導電層41は、第2ドープ導電層42より低い酸素含有量を有することを特徴とする太陽電池の製造方法を提供する。
【0069】
いくつかの実施形態において、半導体基板1の正面は、太陽に向く面(すなわち、受光面)であり、半導体基板1の背面は、太陽とは反対する面(すなわち、非受光面)である。
【0070】
具体的に、本発明に係る太陽電池の製造方法は、N型太陽電池の製造に用いることができ、さらにN型TOPCon電池の製造に用いることができるものである。以下、本発明の図面を参照しながら、本発明のN型TOPCon電池の製造方法を明確且つ完全に説明する。なお、説明される実施形態や実施例は、本発明の一部の実施形態や実施例に過ぎず、全ての実施形態や実施例ではない。
【0071】
<工程S100>
図3に示されるように、工程S100において、テクスチャ処理後の半導体基板1の正面にエミッタ2を形成する。
【0072】
いくつかの実施形態において、半導体基板1は、N型半導体基板であり、N型半導体基板は、結晶シリコン基板(シリコン基板)、例えば多結晶シリコン基板、単結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板、又は炭化シリコン基板のうちの1種であってもよく、本発明において半導体基板の具体的な種類について限定されない。半導体基板のドーピング元素は、リン、窒素などであってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、半導体基板1の正面と背面に対してテクスチャ処理を行って、テクスチャ表面又は表面テクスチャ構造(例えば、ピラミッド構造)を形成してもよい。テクスチャ処理の方式は、化学エッチング、レーザーエッチング、機械法及びプラズマエッチングなどであってもよいがここで限定されない。例示的に、NaOH溶液を用いて半導体基板1の正面と背面に対してテクスチャ処理を行ってもよい。NaOH溶液による腐食は、異方性を示すため、ピラミッド状表面テクスチャ構造を製造することができる。
【0074】
理解できるように、テクスチャ処理によって半導体基板1の正面に表面テクスチャ構造を形成し、光閉じ込め効果を発揮し、太陽電池による光線の吸収量を増加し、さらに太陽電池の変換効率を向上することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、テクスチャ処理前に、表面の金属と有機汚染物を除去するために、N型半導体基板1を洗浄する工程をさらに含んでもよい。
【0076】
いくつかの実施形態において、高温拡散、ペーストによるドーピング又はイオン注入のうちのいずれか1種以上の方法により半導体基板1の正面にエミッタ2を形成してもよい。具体的に、ホウ素源を用いてホウ素原子を拡散してエミッタ2を形成する。いくつかの実施形態において、エミッタ2を選択的エミッタ構造とする。ホウ素源として、例えば、三臭化ホウ素を使用して拡散処理をしてもよく、それによって結晶シリコンとしての微結晶シリコン相を、多結晶シリコン相に変換させることが可能である。半導体基板1の正面に高濃度のホウ素を有するため、通常、ホウケイ酸ガラス層(BSG)を形成する。このホウケイ酸ガラス層は、金属ゲッタリング作用を有し、太陽電池の正常動作に影響を与え、後で除去する必要がある。
【0077】
<工程S200>
図4に示されるように、工程200において、半導体基板1の背面にトンネル層3及び導電層を形成し、導電層に対してドーピング処理、レーザー局所処理を行って、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層41と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層42を含むドープ導電層4を形成し、第1ドープ導電層41中の酸素含有量は、第2ドープ導電層42の酸素含有量よりも低い。
【0078】
いくつかの実施形態において、半導体基板1の背面にトンネル層3を形成してから、トンネル層3の表面にドープ多結晶シリコン層4を形成してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明における酸化層を形成するための具体的な手段について限定されない。例示的に、オゾン酸化法、高温熱酸化法及び硝酸酸化法のうちの何れか1種により、半導体基板1の背面を酸化してもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明における導電層を形成するための具体的な手段について限定されない。例示的に、低圧化学気相堆積法、プラズマ支援化学気相堆積法及び常圧化学気相堆積法のうちのいずれか1種により、導電層をトンネル層の表面に堆積してもよく、これにより酸化層への保護作用を発揮することができる。次に、導電層に対してドーピング処理を行ってhigh-low接合(n/n+‐Si)を形成することにより、キャリアの電池背面での再結合速度を効果的に低減し、太陽電池の変換効率をさらに向上させることができる。
【0081】
いくつかの実施例において、導電層を堆積しながら、in-situドーピング処理してドープ導電層4を形成してもよい。ドープ導電層4は、炭化シリコン及び多結晶シリコンのうちの少なくとも1種を含み、つまり、ドープ導電層4は、ドープ多結晶シリコン層であってもよく、炭化シリコン層であってもよく、ドープ多結晶シリコン層と炭化シリコン層とからなる複合層であってもよい。
【0082】
いくつかの実施形態において、ドープ導電層4がリンドープ多結晶シリコン層である場合、リンのドープ源は、高温拡散、ペーストによるドーピング又はイオン注入のうちの何れか1種以上の方法により製造してもよい。
【0083】
いくつかの実施形態において、金属化領域とは、背面電極8が背面パッシベーション層6を通してドープ多結晶シリコン層と接触を形成する領域を指し、非金属化領域とは、ドープ多結晶シリコン層における他の領域を指す。理解できるように、ドープ多結晶シリコン層4は、間隔を隔てて設置された第1ドープ多結晶シリコン層41と第2ドープ多結晶シリコン層42から構成される。
【0084】
いくつかの実施形態において、ドープ導電層4がリンドープ多結晶シリコン層である場合、レーザー局所処理で使用されるドープ源は、ドープ多結晶シリコン層の表面におけるリンケイ酸塩ガラス、及び多結晶シリコン層中の不活性リンであり、レーザーによってこれらのリンを活性化して、より高いリン濃度を有する、ヘビードーピングされた多結晶シリコン層を形成する。
【0085】
いくつかの実施形態において、レーザー局所処理に用いられるレーザーは、波長が532nmの緑色光を含み、当然ながら、他の波長範囲のレーザーであってもよく、ここで限定されない。
【0086】
いくつかの実施形態において、レーザー局所処理におけるパルス幅は、15ns~40nsであり、具体的に、例えば15ns、18ns、20ns、25ns、26ns、29ns、30ns、32ns、35ns又は40nsであってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、レーザー局所処理におけるレーザー周波数は、100KHz~400KHzであり、具体的に、例えば100KHz、150KHz、200KHz、250KHz、300KHz、350KHz又は400KHzであってもよい。
【0088】
いくつかの実施形態において、レーザー局所処理における総合レーザーエネルギーは、0.1J/cm2~0.2J/cm2であり、具体的に、例えば0.1J/cm2、0.13J/cm2、0.15J/cm2、0.18J/cm2又は0.2J/cm2であってもよい。
【0089】
出願人は、レーザー局所処理におけるパルス幅、レーザー周波数、及び総合レーザーエネルギーを上記特定の範囲内に制御することで、金属化領域にヘビードーピング領域を形成することを確保することができると発見した。
【0090】
いくつかの実施形態において、導電層をドーピング処理して得られたドープ導電層4中の濃度は、8×1019cm-3~5×1020cm-3である。その後、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層4に対してレーザー局所処理を行う。レーザー局所処理の過程中で、レーザーがドープ導電層4に作用して、金属化領域の位置を合わせる多結晶シリコンを溶融させて再結晶する。この過程中で、シリコンの結晶格子を占めるリンが多くなり、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層(すなわち、第1ドープ導電層41)中のリン濃度を増加してヘビードーピング領域を形成する。第1ドープ導電層41中のリン濃度は、1×1020cm-3~1×1021cm-3であり、具体的に、例えば1×1020cm-3、2×1020cm-3、3×1020cm-3、4×1020cm-3、5×1020cm-3、6×1020cm-3、7×1020cm-3、8×1020cm-3、9×1020cm-3又は1×1021cm-3であってもよい。一方、非金属化領域の位置を合わせるドープ導電層(すなわち、第2ドープ導電層42)中のリン濃度は、そのまま保持し、すなわち、第2ドープ導電層42中のリン濃度は、8×1019cm-3~5×1020cm-3であり、具体的に、例えば8×1019cm-3、9×1019cm-3、1×1020cm-3、2×1020cm-3、3×1020cm-3、4×1020cm-3又は5×1020cm-3であってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態において、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層に対してレーザーによりヘビードーピングすることにより、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層中の膜層構成元素を変化させる。その中、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層中の窒素が増加し、つまり、第1ドープ導電層41中の窒素含有量は、第2ドープ導電層42中の窒素含有量よりも高くなる。具体的に、第1ドープ導電層41に占める窒素の質量割合は、3%~5%であり、第2ドープ導電層42に占める窒素の質量割合は、1%~2%である。また、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層中の酸素含有量は、低下する。第1ドープ導電層41中の酸素含有量は、第2ドープ導電層42中の酸素含有量よりも低くなり、第1ドープ導電層41中の酸素の含有量は、19%~22%であり、第2ドープ導電層42中の酸素含有量は、27%~28%である。本発明では、第1ドープ導電層41中の酸素含有量を第2ドープ導電層42の酸素含有量よりも低く制御することにより、太陽電池の背面におけるキャリア再結合中心を減少し、レーザー処理による金属化領域の機械的損傷による欠陥を補うことができ、この上に、第1ドープ導電層41中の窒素含有量を第2ドープ導電層42中の窒素含有量より高く制御することにより、製造された太陽電池に優れたパッシベーション効果とともに高い導電性を付与し、さらに太陽電池の電池性能を向上することができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層に対してレーザーによりヘビードーピングすることにより、金属化領域の位置を合わせるトンネル層3中の酸素含有量を増加し、つまり、第1トンネル層31中の酸素含有量を第2トンネル層32中の酸素含有量よりも高くし、トンネル層3中の架橋酸素の数を増加する。これにより、トンネル層3の密度を増加し、トンネル層3のトンネル効果を確保しつつ、レーザーによるトンネル層中の孔隙の増加という問題を効果的に改善し、レーザーによりヘビードーピングされた領域のパッシベーション性能を確保することができ、さらに、電池における半導体-金属の接触抵抗を低減しつつ開放電圧を確保し、電池効率を向上することができる。
【0093】
いくつかの実施形態において、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層に対してレーザーによりヘビードーピングすることにより、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層とトンネル層3との界面における酸素含有量を増加し、つまり、第1ドープ導電層41と第1トンネル層31との界面における酸素含有量を第2ドープ導電層42と第2トンネル層32との界面における酸素含有量より高くさせる。金属化領域の位置を合わせるドープ導電層とトンネル層3との界面における酸素含有量の増加によって、金属化領域の位置を合わせるトンネル層3の膜品質を改善することができ、電池のパッシベーション効果をさらに高めることができる。
【0094】
<工程S300>
図5に示されるように、工程S300において、第1ドープ導電層41と第2ドープ導電層42の表面に背面パッシベーション層6を形成し、エミッタ2の表面に正面パッシベーション層5を形成する。
【0095】
いくつかの実施形態において、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層に対してレーザーによりヘビードーピングすることにより、金属化領域の位置を合わせるドープ導電層と背面パッシベーション層6との界面における酸素含有量を増加し、つまり、第1ドープ導電層41と背面パッシベーション層6との界面における酸素含有量を第2ドープ導電層42と背面パッシベーション層6との界面における酸素含有量より高くさせる。金属化領域の位置を合わせるドープ導電層と背面パッシベーション層6との界面における酸素含有量の増加によって、金属化領域の背面パッシベーション層6の膜品質を改善することができ、電池のパッシベーション効果をさらに高めることができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、第1ドープ導電層41と第2ドープ導電層42の表面に背面パッシベーション層6を形成する。背面パッシベーション層6は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの少なくとも1種又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0097】
例えば、背面パッシベーション層6は、窒化シリコンからなる。窒化シリコン薄膜層は、反射防止膜として機能することができ、そして良好な絶縁性、緻密性、安定性及び不純物イオンマスキング能力を有する。窒化シリコン薄膜層は、半導体基板1に対してパッシベーション作用を及ぼし、太陽電池の光電変換効率を明らかに改善することができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、背面パッシベーション層6の厚さは、70nm~120nmの範囲であり、具体的に、70nm、80nm、90nm、100nm又は120nm等であってもよく、当然ながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0099】
いくつかの実施形態において、背面パッシベーション層6が、積層設置された窒化シリコン層と酸化シリコン層であるか、又は積層設置された窒化シリコン層と酸窒化シリコン層である場合、窒化シリコン層は、ドープ導電層4の表面に位置し、酸化シリコン層又は酸窒化シリコン層は、窒化シリコン層の表面に位置する。
【0100】
いくつかの実施形態において、正面パッシベーション層5は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどからなる群から選ばれる少なくとも1種又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。前記正面パッシベーション層5は、半導体基板1に良好なパッシベーション効果を発揮することができ、電池の変換効率の向上に寄与する。なお、前記正面パッシベーション層5は、入射光の反射を低減する作用を発揮することもでき、いくつかの実施形態において、反射防止層と呼ばれてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、正面パッシベーション層5の厚さは、10nm~120nmの範囲であり、具体的に、10nm、20nm、30nm、42nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm又は120nm等であってもよく、当然ながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0102】
<工程S400>
図1に示されるように、工程400において、背面パッシベーション層6を通して第1ドープ多結晶シリコン層41と接触する背面電極8と、正面パッシベーション層5を通してエミッタ2と接触する正面電極7を形成する。
【0103】
いくつかの実施形態において、半導体基板1の正面にスラリーを用いて正面バスバー及び正面フィンガーを印刷し、乾燥して対応する正面電極7を形成する。半導体基板1の背面にスラリーを用いて背面バスバー及び背面フィンガーを印刷し、乾燥して対応する背面電極8を形成する。最後に乾燥したセルを焼結して太陽電池を製造する。
【0104】
本発明の実施形態において、正面電極7と背面電極8の具体的な材質について限定されない。例えば、正面電極7は、銀電極又は銀アルミニウム合金電極であり、背面電極8は、銀電極又は銀アルミニウム合金電極である。
【0105】
なお、本明細書では、特に断りのない限り、各処理工程は、記載の順序で行ってもよいし、記載の順序と異なる順序で行ってもよい。本発明において、太陽電池を製造するための工程の順序について限定されず、実際の製造プロセスに応じて調整してもよい。
【0106】
本発明の第3態様において、前記太陽電池を電気的に接続してなる電池ストリングを含む光起電力モジュール1000を提供する。
【0107】
具体的に、
図6に示されるように、光起電力モジュール1000は、第1カバー200、第1封止接着剤層300、太陽電池ストリング、第2封止接着剤層400、及び第2カバー500を備える。
【0108】
いくつかの実施形態において、太陽電池ストリングは、導電バンドにより接続される複数の前述した太陽電池100を含む。太陽電池100同士の間の接続形態は、部分積層であってもスプライシングであってもよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、
第1カバー200、第2カバー500は、透明又は不透明のカバー、例えばガラスカバー、プラスチックカバーであってもよい。
【0110】
第1封止接着剤層300は、両側にそれぞれ第1カバー200、電池ストリングと接触して貼り合わせており、第2封止接着剤層400は、両側にそれぞれ第2カバー500、電池ストリングと接触して貼り合わせている。上記した第1封止接着剤層300、第2封止接着剤層400はそれぞれ、エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレン‐オクテンエラストマー(POE)接着フィルム、又はポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルムであってもよい。
【0111】
光起電力モジュール1000は、その積層過程中で積層ずれの現象の発生を防止するために、全体側辺包囲式で封止され、すなわち、封止テープを用いて光起電力モジュール1000の側辺を完全に被覆して封止することができる。
【0112】
光起電力モジュール1000は、光起電力モジュール1000の一部の辺縁部に固定されて封止するための辺縁封止部材をさらに備る。該辺縁封止部材は、光起電力モジュール1000における角部に近い辺縁部に固定されて封止作用を発揮することができる。該辺縁封止部材は、耐高温接着テープであってもよい。該耐高温接着テープは、優れた耐高温特性を有し、積層過程中で分解したり脱落したりすることがなく、光起電力モジュール1000を確実に封止することを確保することができる。ここで、耐高温接着テープは、両端にそれぞれ第2カバー500と第1カバー200に固定されている。該耐高温接着テープは、両端にそれぞれ第2カバー500と第1カバー200に接着されてもよく、その中間部が光起電力モジュール1000の側辺を位置規制して、光起電力モジュール1000の積層過程中で積層ずれが発生することを防止することができる。
【0113】
いくつかの実施形態において、光起電力モジュール1000は、フレーム(
図6に図示せず)をさらに備える。フレームには、アルミニウム合金の材質又はステンレス鋼の材質を採用することができる。フレームにアルミニウム合金材質を使用する場合、フレームの強度、耐腐食性がいずれも非常に高い。フレームは、電池パネル全体を支持し保護する役割を果たすことができる。光起電力モジュールは、フレームにより外部の光起電力架台に接続されてもよく、複数の光起電力モジュールは相互に接続されて太陽光発電所を構成してもよい。
【0114】
以上には、本発明の好適な実施形態や実施例を示したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、当業者が行い得る変更、等価代替、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 半導体基板
2 エミッタ
3 トンネル層
31 第1トンネル層
32 第2トンネル層
4 ドープ導電層
41 第1ドープ導電層
42 第2ドープ導電層
5 正面パッシベーション層
6 背面パッシベーション層
7 正面電極
8 背面電極
1000 光起電力モジュール
100 太陽電池
200 第1カバー
300 第1封止接着剤層
400 第2封止接着剤層
500 第2カバー
【手続補正書】
【提出日】2023-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
前記太陽電池は、
互いに対向して設けられた正面及び背面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の正面におけるエミッタ及び正面パッシベーション層と、
前記半導体基板の背面におけるトンネル層、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層を含むドープ導電層、及び背面パッシベーション層と、
前記エミッタに接触する正面電極及び前記第1ドープ導電層に接触する背面電極と、を備え、
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第2ドープ導電層中の酸素含有量よりも低いことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、前記背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1トンネル層中の酸素含有量は、前記第2トンネル層中の酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、前記背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層と前記第1トンネル層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記第2トンネル層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第1トンネル層中の酸素含有量よりも低い、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1ドープ導電層に占める酸素の質量割合は、19%~22%である、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1トンネル層に占める酸素の質量割合は、25%~30%である、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1ドープ導電層中の窒素含有量は、前記第2ドープ導電層中の窒素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1ドープ導電層に占める窒素の質量割合は、3%~5%である、ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記ドープ導電層は、炭化シリコンと多結晶シリコンのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1ドープ導電層と前記第2ドープ導電層は、いずれもリンドープ層であり、
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、前記第2ドープ導電層中のリン濃度よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、1×1020cm-3~1×1021cm-3であり、前記第2ドープ導電層中のリン濃度は、8×1019cm-3~5×1020cm-3であり、及び/又は、
前記第1ドープ導電層のシート抵抗は、30Ω/sq~80Ω/sqであり、前記第2ドープ導電層のシート抵抗は、60Ω/sq~400Ω/sqであり、及び/又は、
第1ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmであり、前記第2ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmである、ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項13】
太陽電池の製造方法であって、
前記太陽電池の製造方法は、
テクスチャ処理後の半導体基板の正面にエミッタを形成する工程と、
前記半導体基板の背面にトンネル層及び導電層を形成し、前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行って、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層を含むドープ導電層を形成する工程と、
前記第1ドープ導電層と第2ドープ導電層の表面に背面パッシベーション層を形成し、前記エミッタの表面に正面パッシベーション層を形成する工程と、
前記背面パッシベーション層を通して前記第1ドープ導電層と接触する背面電極と、前記正面パッシベーション層を通して前記エミッタと接触する正面電極を形成する工程と、を含み、
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第2ドープ導電層中の酸素含有量よりも低いことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1トンネル層中の酸素含有量は、前記第2トンネル層中の酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層と前記第1トンネル層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記第2トンネル層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記第1ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第1トンネル層中の酸素含有量よりも低い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記第1ドープ導電層中の窒素含有量は、前記第2ドープ導電層中の窒素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記導電層に対するドーピング処理及びレーザー局所処理に用いるドープ源は、リン源であり、
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、前記第2ドープ導電層中のリン濃度よりも高い、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項20】
光起電力モジュールであって、
前記光起電力モジュールは、カバー、封止材料層、及び太陽電池ストリングを備え、
前記太陽電池ストリングは、請求項1~12のいずれか一項に記載の太陽電池を複数含むことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項21】
請求項13~19のいずれか一項に記載の製造方法で太陽電池を製造すること、
複数の前記太陽電池を用いて太陽電池ストリングを製造すること、及び
前記太陽電池ストリングをカバー及び封止材料層とともに使用して光起電力モジュールを製造することを含む、光起電力モジュールの製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
前記太陽電池は、
互いに対向して設けられた正面及び背面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の正面におけるエミッタ及び正面パッシベーション層と、
前記半導体基板の背面におけるトンネル層、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層を含むドープ導電層、及び背面パッシベーション層と、
前記エミッタに接触する正面電極及び前記第1ドープ導電層に接触する背面電極と、を備え、
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、19~22質量%であり、
前記第2ドープ導電層中の酸素含有量は、27~28質量%であることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、前記背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1トンネル層中の酸素含有量は、前記第2トンネル層中の酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、前記背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層と前記第1トンネル層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記第2トンネル層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第1トンネル層中の酸素含有量よりも低い、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1トンネル層に占める酸素の質量割合は、25%~30%である、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1ドープ導電層中の窒素含有量は、前記第2ドープ導電層中の窒素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1ドープ導電層に占める窒素の質量割合は、3%~5%である、ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記ドープ導電層は、炭化シリコンと多結晶シリコンのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1ドープ導電層と前記第2ドープ導電層は、いずれもリンドープ層であり、
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、前記第2ドープ導電層中のリン濃度よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、1×1020cm
-3
~1×1021cm
-3
であり、前記第2ドープ導電層中のリン濃度は、8×1019cm
-3
~5×1020cm
-3
であり、及び/又は、
前記第1ドープ導電層のシート抵抗は、30Ω/sq~80Ω/sqであり、前記第2ドープ導電層のシート抵抗は、60Ω/sq~400Ω/sqであり、及び/又は、
第1ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmであり、前記第2ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmである、ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
太陽電池の製造方法であって、
前記太陽電池の製造方法は、
テクスチャ処理後の半導体基板の正面にエミッタを形成する工程と、
前記半導体基板の背面にトンネル層及び導電層を形成し、前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行って、背面金属化領域の位置を合わせる第1ドープ導電層と背面非金属化領域の位置を合わせる第2ドープ導電層を含むドープ導電層を形成する工程と、
前記第1ドープ導電層と第2ドープ導電層の表面に背面パッシベーション層を形成し、前記エミッタの表面に正面パッシベーション層を形成する工程と、
前記背面パッシベーション層を通して前記第1ドープ導電層と接触する背面電極と、前記正面パッシベーション層を通して前記エミッタと接触する正面電極を形成する工程と、を含み、
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、19~22質量%であり、
前記第2ドープ導電層中の酸素含有量は、27~28質量%であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1トンネル層中の酸素含有量は、前記第2トンネル層中の酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層と前記第1トンネル層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記第2トンネル層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記第1ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量は、前記第2ドープ導電層と前記背面パッシベーション層との界面における酸素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記トンネル層は、背面金属化領域の位置を合わせる第1トンネル層と、背面非金属化領域の位置を合わせる第2トンネル層を含み、
前記第1ドープ導電層中の酸素含有量は、前記第1トンネル層中の酸素含有量よりも低い、ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記導電層に対してドーピング処理及びレーザー局所処理を行った後、前記第1ドープ導電層中の窒素含有量は、前記第2ドープ導電層中の窒素含有量よりも高い、ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記導電層に対するドーピング処理及びレーザー局所処理に用いるドープ源は、リン源であり、
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、前記第2ドープ導電層中のリン濃度よりも高い、ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
光起電力モジュールであって、
前記光起電力モジュールは、カバー、封止材料層、及び太陽電池ストリングを備え、
前記太陽電池ストリングは、請求項1~11のいずれか一項に記載の太陽電池を複数含むことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項20】
請求項12~18のいずれか一項に記載の製造方法で太陽電池を製造すること、
複数の前記太陽電池を用いて太陽電池ストリングを製造すること、及び
前記太陽電池ストリングをカバー及び封止材料層とともに使用して光起電力モジュールを製造することを含む、光起電力モジュールの製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
前記第1ドープ導電層中のリン濃度は、1×10
20
cm-3~1×10
21
cm-3であり、前記第2ドープ導電層中のリン濃度は、8×10
19
cm-3~5×10
20
cm-3であり、及び/又は、
前記第1ドープ導電層のシート抵抗は、30Ω/sq~80Ω/sqであり、前記第2ドープ導電層のシート抵抗は、60Ω/sq~400Ω/sqであり、及び/又は、
第1ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmであり、前記第2ドープ導電層の厚さは、30nm~300nmである、ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。