(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177194
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】単結晶引き上げ方法および単結晶引き上げ装置
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20231206BHJP
C30B 15/20 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C30B29/06 502
C30B15/20
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121306
(22)【出願日】2022-07-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】202210629430.4
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522303939
【氏名又は名称】四川晶科能源有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】白 ▲梟▼▲龍▼
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF10
4G077PF02
4G077PF09
(57)【要約】
【課題】本発明は、単結晶引き上げ方法および単結晶引き上げ装置を開示する。
【解決手段】方法は、第1段階において、撮像装置で種結晶軸及び熱シールドの下縁の画素画像を取得し、画像処理装置で熱シールドの下縁の画素画像に基づいて、第2方向に沿って延在する基準線を有する基準円をフィッティングし、基準円の円心が基準線にあり、種結晶軸が下降するとき、種結晶軸の画素画像が徐々に基準線に近づくステップと、種結晶軸の画素画像の底辺が基準線と交差するとき、種結晶軸の底面が熱シールドの下縁と面一となるステップとを含む。従来技術よりも、本発明は、熱シールドの下縁位置を標定とし、種結晶軸の底端が熱シールドの下縁と面一となるように撮像装置及び画像処理装置で種結晶軸の位置を位置決めし、次に、種結晶軸を所定の高さだけ下降させ、種結晶軸の正確な下降溶接を実現し、種結晶軸の位置の大きなずれによる溶接異常課題を回避する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン材料を坩堝に入れて溶融し、溶融されたシリコン材料でシリコン融液を形成するステップと、
熱シールドを所定の位置に下降させ、この時に前記熱シールドの下縁と前記シリコン融液の液面との間に第1所定距離が形成されるステップと、
第1段階において、重錘を用いて種結晶軸を吊り下げて第1方向に沿って徐々に下降させ、撮像装置を用いて前記種結晶軸および前記熱シールドの下縁の画素画像を取得し、画像処理装置を用いて前記熱シールドの下縁の画素画像に基づいて基準円をフィッティングし、前記基準円が第2方向に沿って延在する基準線を有し、前記基準円の円心が前記基準線にあり、前記種結晶軸が下降するとき、前記種結晶軸の画素画像が徐々に前記基準線に近づくステップと、
前記種結晶軸の画素画像の底辺が前記基準線と交差するとき、前記種結晶軸の底面が前記熱シールドの下縁と面一となり、この時に第2段階に入り、画像処理装置がこの時の前記種結晶軸の位置を記録し、その後、引き続き前記種結晶軸を所定の高さだけ下降させ、前記種結晶軸の底端が前記シリコン融液内に延在し、溶接を行うステップと、
シーディングを行うステップと、
ショルダーリングを行うステップと、
同径化を行うステップと、
仕上を行うステップと、を含む、ことを特徴とする単結晶引き上げ方法。
【請求項2】
前記第1段階において、前記種結晶軸が前記シリコン融液の液面から第2所定距離だけ離れる位置まで徐々に下降し、前記シリコン融液の液面温度が徐々に溶接温度に近づくまで加熱されると、この時に前記種結晶軸を再び前記熱シールドの下縁と面一となるまで下降させることが可能であり、この時に前記第2段階に入り、前記シリコン融液の液面温度が溶接温度条件に達すると、前記種結晶軸を所定の高さだけ下降させ、前記種結晶軸の底部が前記シリコン融液内に延在し、溶接を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項3】
前記第1段階において、前記種結晶軸を初期位置から前記シリコン融液の液面から第3所定距離だけ離れる位置まで下降させて第1時間間隔保持し、その後、前記種結晶軸を前記シリコン融液の液面から第4所定距離だけ離れる位置まで下降させて第2時間間隔保持し、最後に前記種結晶軸を前記シリコン融液の液面から第2所定距離だけ離れる位置まで下降させて第3時間間隔保持する、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項4】
前記所定の高さは、前記第1所定距離と前記種結晶軸の細径の長さとの和に等しい、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項5】
前記第1方向は、前記第2方向に垂直である、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項6】
前記種結晶軸の軸線方向は、前記熱シールドの軸線方向と重なる、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項7】
前記第1所定距離は、30mm~50mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項8】
前記第2所定距離は、350mm~450mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項9】
単結晶引き上げ装置であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の単結晶引き上げ方法を用いて引き上げを行い、
シリコン融液を収容するための坩堝および前記坩堝を加熱するための加熱部材が内部に設けられる炉体と、
前記炉体内に設けられ、前記坩堝の上方に位置する熱シールドと、
前記熱シールドの内部に吊り下げられ、下端に種結晶軸が接続され、前記種結晶軸が前記シリコン融液の液面に対して接近するまたは離れるように前記種結晶軸が第1方向に沿って移動可能である重錘と、
前記熱シールドの上方に設けられ、種結晶軸および前記熱シールドの下縁の画素画像を取得するための撮像装置と、
前記撮像装置と信号接続され、前記熱シールドの下縁の画素画像に基づいて基準円をフィッティング可能であり、前記基準円が第2方向に沿って延在する基準線を有し、前記基準円の円心が前記基準線にあり、前記種結晶軸の画素画像の底辺が前記基準線と交差するとき、前記種結晶軸の底面が前記熱シールドの下縁と面一となる画像処理装置と、を備える、ことを特徴とする単結晶引き上げ装置。
【請求項10】
前記撮像装置は、CCDカメラである、ことを特徴とする請求項9に記載の単結晶引き上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン単結晶製造技術分野に関し、特に、単結晶引き上げ方法および単結晶引き上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の単結晶引き上げプロセス過程において、単結晶炉の炉内で石英坩堝内に入れたシリコン材料の融解が完了すると、シリコン液面が穏やかになる傾向にあり、溶融材料が完了したことを示し、この時に堝位置および熱シールド位置の配置が既に完了した。次に種結晶軸を取り付けた後、予熱溶接工程を開始し、石英坩堝内の液面温度が溶接温度に達すると、手動で種結晶軸を下降して溶接を行い、このような種結晶軸の下降を手動で制御する方法は、効率が低くかつ精度が高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術における技術課題を解決し、種結晶軸のヘッド位置と液面との相対位置の精確な特定を実現でき、引き上げプロセス自動化を実現できる単結晶引き上げ方法および単結晶引き上げ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、単結晶引き上げ方法を提供する。当該単結晶引き上げ方法は、シリコン材料を坩堝に入れて溶融し、溶融されたシリコン材料でシリコン融液を形成するステップと、熱シールドを所定の位置に下降させ、この時に熱シールドの下縁とシリコン融液の液面との間に第1所定距離が形成されるステップと、第1段階において、重錘を用いて種結晶軸を吊り下げて第1方向に沿って徐々に下降させ、撮像装置を用いて種結晶軸および熱シールドの下縁の画素画像を取得し、画像処理装置を用いて熱シールドの下縁の画素画像に基づいて基準円をフィッティングでき、基準円が第2方向に沿って延在する基準線を有し、基準円の円心が基準線にあり、種結晶軸が下降するとき、種結晶軸の画素画像が徐々に基準線に近づくステップと、種結晶軸の画素画像の底辺が基準線と交差するとき、種結晶軸の底面が熱シールドの下縁と面一となり、この時に第2段階に入り、画像処理装置がこの時の種結晶軸の位置を記録し、その後、引き続き種結晶軸を所定の高さだけ下降させ、種結晶軸の底端がシリコン融液内に延在し、溶接を行うステップと、シーディングを行うステップと、ショルダーリングを行うステップと、同径化を行うステップと、仕上を行うステップと、を含む。
【0005】
以上に記載の単結晶引き上げ方法において、好ましくは、第1段階において、種結晶軸が徐々にシリコン融液の液面から第2所定距離だけ離れる位置まで下降し、シリコン融液の液面温度が徐々に溶接温度に近づくまで加熱されると、この時に種結晶軸を再び熱シールドの下縁と同一平面になるまで下降させることが可能であり、この時に第2段階に入り、シリコン融液の液面温度が溶接温度条件に達すると、種結晶軸を所定の高さだけ下降させ、種結晶軸の底部がシリコン融液内に延在し、溶接を行う。
【0006】
以上に記載の単結晶引き上げ方法において、好ましくは、第1段階において、種結晶軸を初期位置からシリコン融液の液面から第3所定距離だけ離れる位置まで下降させて第1時間間隔保持し、その後、種結晶軸をシリコン融液の液面から第4所定距離だけ離れる位置まで下降させて第2時間間隔保持し、最後に種結晶軸をシリコン融液の液面から第2所定距離だけ離れる位置まで下降させて第3時間間隔保持する。
【0007】
以上に記載の単結晶引き上げ方法において、好ましくは、所定の高さは、第1所定距離と種結晶軸の細径の長さとの和に等しい。
【0008】
以上に記載の単結晶引き上げ方法において、好ましくは、第1方向は、第2方向に垂直である。
【0009】
以上に記載の単結晶引き上げ方法において、好ましくは、種結晶軸の軸線方向は、熱シールドの軸線方向と重なる。
【0010】
以上に記載の単結晶引き上げ方法において、好ましくは、第1所定距離は、30mm~50mmである。
【0011】
以上に記載の単結晶引き上げ方法において、好ましくは、第2所定距離は、350mm~450mmである。
【0012】
本願は、単結晶引き上げ装置をさらに提供する。当該単結晶引き上げ装置は、前記単結晶引き上げ方法を用いて引き上げを行い、炉体内にシリコン融液を収容するための坩堝および坩堝を加熱するための加熱部材が設けられる炉体と、炉体内に設けられ、坩堝の上方に位置する熱シールドと、熱シールドの内部に吊り下げられ、下端に種結晶軸が接続され、種結晶軸がシリコン融液の液面に対して接近するまたは離れるように種結晶軸が第1方向に沿って移動可能である重錘と、熱シールドの上方に設けられ、種結晶軸および熱シールドの下縁の画素画像を取得するための撮像装置と、撮像装置と信号接続され、熱シールドの下縁の画素画像に基づいて基準円をフィッティング可能であり、基準円が第2方向に沿って延在する基準線を有し、基準円の円心が基準線にあり、種結晶軸の画素画像の底辺が基準線と交差するとき、種結晶軸の底面が熱シールドの下縁と面一となる画像処理装置と、を備える。
【0013】
以上に記載の単結晶引き上げ方法において、好ましくは、撮像装置は、CCDカメラである。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比較して、本発明は、熱シールドの下縁位置を標定とし、種結晶軸の底端が熱シールドの下縁と面一となるように撮像装置および画像処理装置を利用して種結晶軸の位置を位置決めし、次に種結晶軸を所定の高さだけ下降させ、種結晶軸の正確な下降溶接を実現し、種結晶軸の位置の大きなずれによる溶接異常課題を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願による引き上げ方法のフローチャートである。
【
図2】本願による実施例一の種結晶軸溶接方法のフローチャートである。
【
図3】本願による実施例一の種結晶軸および熱シールドの下縁の画素画像概略図一である。
【
図4】本願による実施例一の種結晶軸および熱シールドの下縁の画素画像概略図二である。
【
図5】本願による実施例二の撮像装置により撮像される画面の概略図である。
【
図6】本願による実施例三の撮像装置により撮像される画面の概略図である。
【
図7】本願による実施例三のショルダーリング制御スキームのフローチャートである。
【
図8】本願による単結晶引き上げ装置の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照して説明する実施例は例示的なものであり、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0017】
半導体業界および太陽光発電業界の発展に伴い、シリコン単結晶に対してより大きな市場需要を提供し、現在のチョクラルスキー法でシリコン単結晶を成長させることは、現在、シリコン単結晶を製造する最も広範な適用技術であり、当該方法において、固体シリコン材料ブロックを坩堝2内に入れ、周辺のヒータにより一定の電力を与え、それを加熱して溶融し、その後にヒータの電力を低下させ、一定の過冷却度を制御した後、配向された種結晶軸7を採用して既に溶融されたシリコン融液4と接触し、溶接を行い、溶液の温度と種結晶軸7の速度を調整することにより、種結晶軸7を大きく成長させて所定の長さに達し、その後にシーディング、ショルダーリング、同径化等の操作を行い、同径に達して単結晶を成長させ、坩堝2内のシリコン融液4が少ない場合、歩留まりを向上させるために、同径化終了後、仕上操作を行う。
【0018】
溶接工程において、従来の溶接技術は、手動制御によって溶接を行うものであり、自動化を実現できず、種結晶軸の位置を特定して種結晶軸を下降させて溶接を行う技術的解決手段もあり、この解決手段はプロセスパラメータを継続的にデバッギングする必要があり、かつ誤差が大きく、生産管理に対してより高い要求を提出し、かつ、パラメータ設定誤差による溶接の事故が発生しやすい。
【0019】
溶接工程で発生する上記技術課題を解決するために、
図1~
図4および
図8に示すように、本願は、単結晶引き上げ方法を提供し、以下のステップを含む。
【0020】
シリコン融液4の液面が穏やかになる傾向になるまでシリコン材料を坩堝2に入れて溶融を行い、材料の溶融を完了させる。
【0021】
シリコン融液4の重力方向の上方には、重力方向に往復移動可能な熱シールド5が設けられており、材料の溶融が完了した後、熱シールド5を所定の位置まで下降させ、この時に熱シールド5の下縁とシリコン融液4の液面との間に第1所定距離が形成される。
【0022】
上記所定の位置は標定された位置であり、この所定の位置で、熱シールド5の下縁とシリコン融液4の液面との間が標定された第1所定距離を保持し、この第1所定距離を基準値とし、種結晶軸7が熱シールド5の下縁と同一の水平面に到達するとき、種結晶軸7の底端とシリコン融液4の液面との間のピッチが第1所定距離であることを表し、種結晶軸7の初期位置も精確に位置決めされ、後続の種結晶軸7の自動的な下降および溶接に対して、位置決め基準となり、種結晶軸7の下降が多すぎるかまたは少なくすぎることによる溶接異常の不具合を回避することができる。
【0023】
第1段階において、重錘6を利用して種結晶軸7を吊り下げて第1方向に沿って徐々に下降させ、本願の実施例では、第1方向を重力方向とし、重錘6の他端には、種結晶軸7に対する昇降動作を駆動するための自動昇降装置が接続される。
【0024】
熱シールド5の重力方向の上方に撮像装置8が設けられ、撮像装置8が画像処理装置と通信可能に接続され、撮像装置8を利用して種結晶軸7および熱シールド5の下縁の画素画像を取得し、撮像装置8の撮像方向と第1方向との間に所定の角度が形成され、これにより、熱シールド5の下縁の画素画像は標準円ではなく、略楕円であり、かつ撮像装置8の固定点が異なって、その撮像方向に差異が存在するため、収集された画素画像に形成された略楕円構造も異なる。このような撮像装置8の固定点の違いによる画素画像の差異を解消するために、画像処理装置を利用して熱シールド5の下縁の画素画像に基づいて基準円9をフィッティングし、この基準円9が標準円であり、基準円9は第2方向に沿って延在する基準線10を有し、本願実施例では、第1方向が第2方向に垂直であり、第2方向が種結晶軸7に垂直な方向に設定され、基準円9の円心が基準線10にあり、種結晶軸7を下降するときに、種結晶軸7の画素画像が基準線10に徐々に近づく。
【0025】
種結晶軸7の画素画像の底辺が基準線10と交差するとき、種結晶軸7の底面が熱シールド5の下縁と面一であることを示し、この時に第2段階に入り、画像処理装置がこの時の種結晶軸7の位置を記録し、その後、指令信号を自動昇降装置に送信し、自動昇降装置を利用して種結晶軸7を所定の高さだけ下降させ続け、この所定の高さがカスタムされた高さであり、種結晶軸7の初期位置が既に特定されているため、所定の高さのパラメータを予め特定すればよく、プロセスパラメータを継続的にデバッギングする必要がなく、種結晶軸7の底端が所定の高さだけ下降した後にシリコン融液4内に延在し、溶接を行い、さらに順にシーディング、ショルダーリング、同径化および仕上作業を行う。
【0026】
上記実施例は、熱シールド5の下縁位置を標定とし、種結晶軸7の底端が熱シールド5の下縁と面一となるように、撮像装置8および画像処理装置を利用して種結晶軸7の位置を位置決めし、次に種結晶軸7を所定の高さだけ下降させ、種結晶軸7の正確な下降溶接を実現し、種結晶軸7の位置の大きなずれによる溶接異常の不具合を回避する。
【0027】
本願による実施例では、第1段階において、種結晶軸7は、シリコン融液4の液面から第2所定距離だけ離れる箇所に徐々に下降し、種結晶軸7が徐々に下降する過程は、種結晶軸7が徐々に且つ十分に予熱し、種結晶軸7が早すぎて高温に達して結晶欠陥の生成を引き起こすことを防止するためであり、シリコン融液4の液面温度が溶接温度に徐々に近づくまで加熱される場合、この時に熱シールド5が所定の位置にあり、種結晶軸7を熱シールド5の下縁と面一となるまで再び下降し、この時に種結晶軸7の底部からシリコン融液4の液面表面までの距離が第1所定距離であり、これにより、種結晶軸7に特定の初期位置を定義することができ、後続の種結晶軸7の下降作業を容易にし、種結晶軸7の下降が多すぎるかまたは少なすぎることによる溶接工程の不安定を回避する。この時に第2段階に入り、シリコン融液4の液面温度が溶接温度条件に達すると、種結晶軸7を所定の高さだけ下降させ、種結晶軸7の底部がシリコン融液4内に延在し、溶接を行う。
【0028】
本願による実施例では、第1段階において、種結晶軸7を初期位置からシリコン融液4の液面から第3所定距離だけ離れる位置まで下降させて第1時間間隔を保持し、その後、種結晶軸7を第4所定距離だけ離れる位置まで下降させて第2時間間隔を保持し、最後に種結晶軸7をシリコン融液4の液面から第2所定距離だけ離れる位置まで下降させて第3時間間隔を保持する。種結晶軸7は3つのステップに分けて液面の上方から第2所定距離だけ離れる位置まで下降することにより、種結晶軸7の昇温が速すぎることによる結晶欠陥を防止する。実行可能な実施形態では、この過程において、種結晶軸7はまず初期位置からシリコン融液4の液面から1300mm~1700mmだけ離れる位置まで下降し、5min~10min維持し、再び500mm~900mmまで下降して5min~10min維持し、さらに350mm~450mmまで下降して10min~15min維持する。当業者であれば分かるように、このプロセス位置および時間を制御システムにおいて調整することができる。種結晶軸7を徐々に予熱しかつ温度調整前の準備作業の時間要求を満たすために、好ましくは、種結晶軸7はまず初期位置からシリコン融液4の液面から1500mmだけ離れる位置まで下降して10min維持し、再び700mmまで下降して5min維持し、さらに400mmまで下降して10min維持し、これにより、種結晶軸7が徐々に且つ十分に予熱し、種結晶軸7が早すぎて高温に達して結晶欠陥の生成を引き起こすことを防止する。
【0029】
本願による実施例では、所定の高さが第1所定距離と種結晶軸7の細径の長さとの和に等しく、この細径の長さは種結晶軸7がシリコン融液4に延在する長さであり、この細径の長さは好ましくは130mm~140mmであり、具体的には、細径の長さは130mm、132mm、134mm、136mm、138mm、140mm等であってもよい。種結晶軸7の細径の長さは製造管理において統一的に要求され、かつパラメータにおいて設定することができ、熱シールド5の位置が既に特定されているため、第1所定距離値は固定値であり、種結晶軸7の細径の長さも固定値であり、これにより固定長さも固定されたパラメータであり、制御システムにおいてプロセスパラメータを頻繁にデバッギングする必要があることを回避すると共に、パラメータ設定誤差による溶接の事故発生を減少させることができる。
【0030】
本願による実施例では、種結晶軸7の軸線方向が熱シールド5の軸線方向と重なり、種結晶軸7と熱シールド5とをセンタリングして設置し、種結晶軸7および熱シールド5の下縁の画素画像において、種結晶軸7の画素画像は重力方向に沿って延在するストライプ構造であり、種結晶軸7の延在方向は基準円9の円心を経過し、これにより、基準線10が位置する円心領域をテスト領域として定義することができ、テスト領域内に、基準線10の階調値が変化し、すなわち、種結晶軸7が基準線10と接触するまで下降したことを表すため、種結晶軸7が熱シールド5と水平な位置まで下降したことを判定することができる。
【0031】
本願による実施例では、第1所定距離が30mm~50mm(両端値を含む)であり、具体的には、第1所定距離が30mm、35mm、40mm、45mm、50mm等であってもよい。実施可能な実施形態として、熱シールド5が最低点に到達すると、所定の位置に到達し、このように熱シールド5を位置決めする必要がなく、熱シールド5のパラメータ設定による溶接欠陥の技術課題を回避し、好ましくは第1所定距離が30mmであり、当業者であれば分かるように、この第1所定距離の選択値を制御システムにおいて調整し、かつパラメータにおいて設定することができる。
【0032】
本願による実施例では、第2所定距離が350mm~450mm(両端値を含む)であり、具体的には、第2所定距離が350mm、375mm、400mm、425mm、450mm等であってもよい。第2所定距離が大きすぎると好ましくなく、大きすぎると予熱が不十分であり、小さすぎると好ましくなく、小さすぎると予熱が過度であり、いずれも結晶欠陥の生成を引き起こし、好ましくは第2所定距離が400mmであり、当業者であれば分かるように、この第2所定距離の選択値を制御システムにおいて調整し、かつパラメータにおいて設定することができる。
【0033】
以下に具体的な実施例により本解決手段を紹介する。
【0034】
S10ステップ:固体多結晶シリコン材料を坩堝2に入れ、固体多結晶シリコン材料が坩堝2内で高温加熱され、固体多結晶シリコン材料が徐々に融解し、固体多結晶シリコン材料が全て溶融して液体状のシリコン融液4になったときに、シリコン融液4の液面が穏やかになる傾向にあり、溶融が完了したと見なす。
【0035】
S20ステップ:材料の溶融が完了した後、種結晶軸7を種結晶チャックに取り付け、種結晶旋回/副室浄化工程により、種結晶軸7が単結晶炉副室で旋回して単結晶路主室に接続され、副室排気を経てアルゴンガスを導入して浄化し、副室の気圧圧力が主室と一致した後、主室と副室の隔離弁を開く。
【0036】
S30ステップ:堝位置を配置し、坩堝2をプロセスに要求される位置に配置し、完了した後に予熱溶接工程を開始し、種結晶軸7を液面から1500mm離れる位置まで下降させて5min維持し、再び700mmまで下降させて5min維持し、さらに400mmまで下降して10min維持する。
【0037】
S40ステップ:シリコン融液4の液面温度が予熱溶接工程の電力調整で、徐々に溶接温度に接近し、種結晶軸7を再び下降させ、この時に撮像装置8を利用して種結晶軸7および熱シールド5の下縁の画素画像を取得し、画像処理装置を利用して熱シールド5の下縁の画素画像に基づいて基準円9をフィッティングし、基準円9が第2方向に沿って延在する基準線10を有し、種結晶軸7が種結晶軸7の画素画像の底辺まで下降して基準線10と交差し、すなわち、種結晶軸7の底面が熱シールド5の下縁と面一となると、種結晶軸7が下降を停止し、この時に種結晶軸7がシリコン融液4の液面上方から離れる間隔は30mmである。
【0038】
S50ステップ:制御システムは自動的に加熱電力を調整し、シリコン融液4の液面温度を調節し、シリコン融液4の液面温度が溶接温度に達した後、制御システムは種結晶軸7の位置の下降動作をトリガし、溶接を行い、溶接完了後に温度調整工程に入る。
【0039】
S60ステップ:シリコン融液4の液面温度がプロセスに要求される目標温度に達し、15min維持し続ける場合、シーディング工程に入ることができると判定し、シーディング開始後、シリコン単結晶は液体状から固体まで種結晶軸7の結晶原子配列に沿って成長し始め、結晶内部の転位を排除するために、シーディングは結晶直径が6mmに達し、プロセスに要求される長さに達する必要がある。
【0040】
S70ステップ:シーディングの結晶長さが要求に達すると、システムがショルダーリング工程に入り、ショルダーリング過程において、プロセスに要求される直径に達するまで、結晶の直径が徐々に大きくなる。
【0041】
S80ステップ、仕上。
【0042】
本願のいくつかの実施例では、溶融材料工程において、シリコン材料が完全に溶融して液体状のシリコン融液4となったか否かについて、全溶融検出を行うことにより判断する必要があり、
図5および
図8に示すように、撮像装置8および画像処理装置を利用して坩堝2内のシリコン材料の全溶融検出を行う。
【0043】
単結晶引き上げプロセス過程において、単結晶炉内に多結晶シリコン材料を入れ、炉を合わせた後、ヒータをオンにして高温を発生させるとともに、炉体1内に保護ガスとしてArガスを導入して酸素を遮断し、炉体1全体にドライポンプを採用して一定の真空度まで抽出し、高温により生成された揮発物を炉体1外に継続的に排出されることを保証する。この時に固体多結晶シリコン材料が炉体1内の高温により融解し始め、シリコン材料がある程度まで融解すると、材料供給筒で再び材料を供給することができ、生産に要求されるシリコン材料が坩堝2内に供給されるまで、材料供給が停止し、この時に、シリコン材料の融解が完了し、固体多結晶シリコン材料が全て溶融して液体状のシリコン融液4になるまで、ヒータ電力を与え続ける。
【0044】
この過程において、撮像装置8および画像処理装置を利用してホットフィールド内のシリコン液面の変化および制御システムパラメータ設定を観察して溶融材料が完了したか否かを判定し、撮像装置8により熱シールド5の下縁の画素画像を取得し、熱シールド5の下縁に形成された略楕円形画素画像において、いくつかの異なる領域が存在し、第1領域は、既にシリコン融液4に溶融された部分であり、第2領域は、溶融されていない多結晶シリコン材料ブロック部分であり、第1領域と第2領域の階調値に明らかな差異が存在し、画像処理装置は画素画像において位置が固定された第1測定枠11を定義し、第1測定枠11は、データサンプリングを特定する範囲を定義するためのものであり、高さ*幅の定義範囲は、一般に、900±100mm*250±50mmであり(この値の設定は、CCDの解像度の画素座標によって決定され、解像度が高いCCDほど、画素点が増えるので、測定範囲が変わらない場合、測定座標点は実際に応じて調整される必要がある)、具体的には、範囲値は、800mm*200mm、820mm*210mm、840mm*220mm、860mm*230mm、880mm*240mm、900mm*250mm、920mm*260mm、940mm*270mm、960mm*280mm、980mm*290mm、1000mm*300mm等であってもよい。中心座標は、シリコン融液4が熱シールド5の倒れ込み像の影響を受けていない位置に設定され、データサンプリングの範囲を特定するために使用され、固体シリコン材料ブロックが融解完了に近づくとき、シリコン液面表面に最後のシリコン材料ブロックが浮っているので、この時に坩堝2は低回転速度を採用し、かつ、保護気体Arが炉体1の上部から炉体1の下部に流下するので、固体シリコン材料ブロックがシリコン融液4の表面に浮遊して前後に移動し、第1測定枠11内で階調値の持続的で無秩序な変化をもたらし、シリコン液面が穏やかになる傾向にあると、第1測定枠11内の画像の平均階調値は一定時間内に変化しなくなるが、この時に平均階調値は、一般的に50±5画素以内であり、設定可能な時間パラメータは15分間であり、10分間、12分間、17分間または20分間であってもよく、この時間範囲内に階調値が50±5画素範囲にあるため、溶融材料が完了したと考えられ、この判定は、画像処理装置内の視角ソフトウェアに基づいて、第1測定枠11内の階調値の変化と制御システムで設定された境界条件パラメータ、例えば、階調値の変化差分値の最小値、判定時間、判定条件が達成された後に予熱溶接工程に入る時間を算出することができる。
【0045】
本願のいくつかの実施例では、予熱溶接工程において、
図6および
図8に示すように、撮像装置8および画像処理装置を利用して熱シールド5の液口間距離の測定スキームが完成する。
【0046】
シリコン材料の溶融が完了すると、シリコン融液4の液面が穏やかになる傾向にあり、この時に熱シールド5を最低点すなわち所定の位置まで下降させ、同時に堝位置を上昇させ、熱シールド5の下縁からシリコンまでの距離を一定の距離にし、この距離は液口間距離と呼ばれる。
【0047】
撮像装置8により熱シールド5の下縁の画素画像を取得し、熱シールド5の下縁に形成された略楕円形画素画像において、熱シールド5の下縁の境界にシリコン液面に倒れ込み像が存在し、この倒れ込み像と略楕円形の境界との間に三日月形画像が形成され、画像処理装置は画素画像においてデータサンプリングの範囲を特定するための第2測定枠12を定義し、この範囲はソフトウェアで設定することができ、一般的にこの第2測定枠12の高さ*幅範囲を140±10mm*90±10mmに設定し(この値の設定は、CCD解像度の画素座標によって决定される)、階調差閾値を捕捉して5~25画素範囲に設定し、具体的には10画素、15画素または20画素であってもよく、設定範囲および境界条件に基づいて、視角ソフトウェアは三日月境界の隣接する2つの円弧線をキャプチャすることができ、円弧線により円弧線のフィッティング円の接線を算出することができ、この2つの接線の垂直間隔は液体口距離測定値である。
【0048】
実際の操作において、この測定値は、手動または自動校正方法に基づいて校正することができ、校正過程において、システムは坩堝モータの昇降距離に基づいて実際の距離と測定距離との線形関係を特定し、これにより液口間距離の測定値を取得して液口間距離の実際値を標定することができる。
【0049】
自動校正方法としては、下降してさらに一定値の堝位置を上昇させ、一般的には8~15mm(下降距離は堝位置の機械的距離がモータの回転数により変換されてもよい)でこのピッチの変化を判定し、具体的には10mm、12mm、14mmであってもよく、これによりフィッティング式が得られ、校正を完了した後に液口間距離の距離が特定される。
【0050】
本願のいくつかの実施例では、ショルダーリング工程において、ショルダーリングのショルダー形状を自動制御する必要があり、
図7および
図8に示すように、本実施例は、主にショルダーリング過程のプロセスフローアルゴリズム論理に関する。引き上げ過程において、結晶はシーディングからショルダーリングまでさらに同径に達し、ショルダーリング過程は、単結晶引き上げ過程において結晶直径が小さいから徐々に大きくなる過程であり、本願による実施例では、この過程は単結晶炉装置が制御システムによりショルダーリング引き上げ速度とショルダーリング電力量を制御することによりショルダー形状を制御してショルダーリングを実現する過程であり、制御システムにおいて一セットの基礎的なパラメータを設定し、かつPIDアルゴリズムの制御パラメータを与える。
【0051】
具体的には、ショルダーリング自動制御のステップは、以下を含む。
【0052】
ステップ一:ショルダーリング開始。
【0053】
ステップ二:パラメータテーブルに従って初期引き上げ速度および電力低減値を与える。
【0054】
ステップ三:制御システムがショルダー直径を測定し、ショルダー長さを算出する。
【0055】
ステップ四:制御システムが単位時間あたりのショルダー長さの差分値およびショルダー直径の差分値に基づいて角度正接値を算出する。
【0056】
ステップ五:パラメータテーブルでは、ショルダー長さに基づいて角度正接値を設定し、PIDアルゴリズムおよびショルダーリングの平均引き上げ速度を採用して実際の引き上げ速度を制御する。
【0057】
例えば、シーディング段階において、単結晶の平均引き上げ速度が300mm/hであり、シードの長さが一定の長さに達すると、結晶がショルダーリング段階にジャンプし、この段階でまず初期引き上げ速度を与えてこの引き上げ速度を60mm/hに設定し、この引き上げ速度下で結晶がショルダー長さで徐々に増加し、制御システムのパラメータテーブルで同時に所定の電力が徐々に低下する。この時に結晶の長さが増加する(Y方向と定義することができる)に連れて、同時に結晶の直径が増加し始め(X方向と定義することができる)、直径が増加するX方向に、引き上げシステムは直径の変化レートを算出することができかつ一定時間の平均成長レート(X方向)を算出することができ、この時に結晶のY方向の上昇速度は結晶引き上げ速度であり、このパラメータシステムは一定時間内の平均引き上げ速度を算出することができる。
【0058】
安定な制御を容易にするために、本願実施例は、10分間の平均直径成長レートおよび10分間の平均引き上げ速度で演算および制御を行い、ショルダー角度の正接関数はTanA=V平均直径レート(mm/min)/V平均引き上げ速度(mm/min)と表すことができ、ショルダーリング過程において異なるショルダー長さに一定角度値を設定し、この角度の対応値は正接関数で表すことができ、すなわち、TanAであり、ショルダーリングのショルダー形状を制御するために、理論的に最適なショルダー形状はショルダー高さに基づいてショルダーリングを初期、中期、および後期の3つの段階に分けることができ、ショルダーリング初期はTanA=0.48~0.1範囲を設定することができ、ショルダーリング中期はTanA=0.9~1.9であり、ショルダーリング後期はTanA=1.8~2.3であり、ショルダー長さでTanAのパラメータテーブルを与えることができ、安定な制御およびPLCシステムの容易な制御のために、実際に制御されたこのパラメータTanA’値をV10分間平均直径レート/V10分間平均引き上げ速度の値に設定する。ショルダーリングを開始した後にこの値を算出することができ、システムは1分間~5分間後に制御を開始するように設定することができる。そのためTanA’-TanA表で差分値を取得し、PLC制御はこの差分値に基づいて、PID制御モデルで制御することができ(例えば、式1はPID算出式である)、ここで、Atは設定引き上げ速度であり、A0は実際の平均引き上げ速度である。P、I、Dはショルダー長さの所定値に基づいて制御することができる。
【0059】
【0060】
また、結晶成長時に単位時間当たりに引き出された単結晶の体積は、電力低減値に正比例するので、ショルダーリングプロセスの需要を満たすために、システムパラメータ設定時に一定の電力低減幅を設定することができる。
【0061】
ショルダーリング過程は、引き上げ速度を設定してショルダーリング過程の結晶成長を制御し、式においてδB=TanA’-TanAであり、表1に示すように、標準ショルダーリングパラメータが20minである時にTanA=0.6704に設定し、この時に実際にTanA’=0.7(仮定)が算出され、δB=0.0296が得られ、この時にδB/δtの値を同時に収集し、10sの実際のδBの値に設定することができ、この値が0.01であると仮定し、プログラムが
【0062】
【0063】
を算出するように設定し、この値をT=30minに設定することができ、10sごとに1つの値を取りかつ積算し、この算出値が0.05であると仮定する。実際の制御テストでショルダーリング過程において積分の作用を小さくすることができ、この積分部分の引き上げ速度制御への影響を低減することができるため、算出結果に基づいてIの設定値を小さくすることができる。
【0064】
A0=90mm/hとすると、この時に引き上げ速度をAt=90+0.0296*P+0.05*I+0.01*Dに設定し、実際のテストにおいてショルダーリングの実際の制御状態に応じて、P、I、D値を設定することで、ショルダーリング過程の制御を実現する。
【0065】
【0066】
以上の実施例に基づき、本願は、前記単結晶引き上げ方法を用いて引き上げを行う単結晶引き上げ装置をさらに提供する。
図3、
図4および
図8に示すように、単結晶引き上げ装置は、炉体1、熱シールド5、重錘6、撮像装置8及び画像処理装置を備える。
【0067】
炉体1には、内部にシリコン融液4を収容するための坩堝2および坩堝2を加熱するための加熱部材3が設けられている。実行可能な実施形態では、坩堝2は、シリコン材料、例えば多結晶シリコンを収容するための石英坩堝およびCC坩堝を含む。シリコン材料はその中でシリコン融液として加熱され、CC坩堝は石英坩堝の外側に包まれ、加熱過程において石英坩堝に支持を提供するために用いられ、ヒータは黒鉛坩堝の外側に設けられ、坩堝2の底部に支持ロッドが設けられ、支持ロッドが坩堝2およびシリコン材料を支持するために用いられ、坩堝2に回転または昇降の動力を与えることができる。
【0068】
熱シールド5は、炉体1内に設けられ、坩堝2の上方に位置し、下向きに延在したシリコン単結晶成長領域を取り囲む逆円錐形スクリーン状物を有し、ヒータおよび高温シリコン融液4の成長したシリコン単結晶インゴットへの直接熱放射を遮断し、シリコン単結晶インゴットの温度を低下させることができ、また熱シールドはさらに下向きに吹く保護ガスを集中して成長界面の近傍に直接噴射させ、シリコン単結晶インゴットの放熱をさらに強化することができる。
【0069】
重錘6は、コードを介して熱シールド5の内部に吊り下げられ、重錘6の下端に種結晶軸7が接続され、シリコン融液4の液面に接近するかまたはシリコン融液4の液面から離れるように種結晶軸7が第1方向に沿って移動可能であり、単結晶成長プロセスにおいて、種結晶軸7が溶接、シーディング、ショルダーリング、ショルダーリング回転、同径化等の過程を経てシリコン単結晶インゴットとして成長する。
【0070】
撮像装置8について、撮像装置8は熱シールド5の上方に設けられ、種結晶軸7および熱シールド5の下縁の画素画像を取得するためのものであり、1つの実行可能な実施形態では、撮像装置8がCCDカメラである。
【0071】
画像処理装置は、撮像装置8と信号接続され、画像処理装置は、熱シールド5の下縁の画素画像に基づいて基準円9をフィッティングし、基準円9が第2方向に沿って延在する基準線10を有し、基準円9の円心が基準線10にあり、種結晶軸7の画素画像の底辺が基準線10と交差するとき、種結晶軸7の底面が熱シールド5の下縁と面一となる。
【0072】
以上は、図面に示された実施例に基づいて本発明の構造、特徴および作用効果を詳細に説明した。上述したのは、本発明の好ましい実施例に過ぎない。本発明は、図面に示されたもので実施範囲を限定するものではない。本発明の思想に基づいて行われた変更、または均等変化に修正された均等実施例は、依然として明細書および図示に含まれた精神を超えない場合、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0073】
1 炉体、2 坩堝、3 加熱部材、4 シリコン融液、5 熱シールド、6 重錘、7 種結晶軸、8 撮像装置、9 基準円、10 基準線、11 第1測定枠、12 第2測定枠。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン材料を坩堝に入れて溶融し、溶融されたシリコン材料でシリコン融液を形成するステップと、
熱シールドを所定の位置に下降させ、この時に前記熱シールドの下縁と前記シリコン融液の液面との間に第1所定距離が形成されるステップと、
第1段階において、重錘を用いて種結晶軸を吊り下げて第1方向に沿って徐々に下降させ、撮像装置を用いて前記種結晶軸および前記熱シールドの下縁の画素画像を取得し、画像処理装置を用いて前記熱シールドの下縁の画素画像に基づいて基準円をフィッティングし、前記基準円が第2方向に沿って延在する基準線を有し、前記基準円の円心が前記基準線にあり、前記種結晶軸が下降するとき、前記種結晶軸の画素画像が徐々に前記基準線に近づくステップと、
前記種結晶軸の画素画像の底辺が前記基準線と交差するとき、前記種結晶軸の底面が前記熱シールドの下縁と面一となり、この時に第2段階に入り、画像処理装置がこの時の前記種結晶軸の位置を記録し、その後、引き続き前記種結晶軸を所定の高さだけ下降させ、前記種結晶軸の底端が前記シリコン融液内に延在し、溶接を行うステップと、
シーディングを行うステップと、
ショルダーリングを行うステップと、
同径化を行うステップと、
仕上を行うステップと、を含む、ことを特徴とする単結晶引き上げ方法。
【請求項2】
前記第1段階において、前記種結晶軸が前記シリコン融液の液面から第2所定距離だけ離れる位置まで徐々に下降し、前記シリコン融液の液面温度が徐々に溶接温度に近づくまで加熱されると、この時に前記種結晶軸を再び前記熱シールドの下縁と面一となるまで下降させることが可能であり、この時に前記第2段階に入り、前記シリコン融液の液面温度が溶接温度条件に達すると、前記種結晶軸を所定の高さだけ下降させ、前記種結晶軸の底部が前記シリコン融液内に延在し、溶接を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項3】
前記第1段階において、前記種結晶軸を初期位置から前記シリコン融液の液面から第3所定距離だけ離れる位置まで下降させて第1時間間隔保持し、その後、前記種結晶軸を前記シリコン融液の液面から第4所定距離だけ離れる位置まで下降させて第2時間間隔保持し、最後に前記種結晶軸を前記シリコン融液の液面から第2所定距離だけ離れる位置まで下降させて第3時間間隔保持する、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項4】
前記所定の高さは、前記第1所定距離と前記種結晶軸の細径の長さとの和に等しい、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項5】
前記第1方向は、前記第2方向に垂直である、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項6】
前記種結晶軸の軸線方向は、前記熱シールドの軸線方向と重なる、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項7】
前記第1所定距離は、30mm~50mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項8】
前記第2所定距離は、350mm~450mmである、ことを特徴とする請求項2に記載の単結晶引き上げ方法。
【請求項9】
単結晶引き上げ装置であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の単結晶引き上げ方法を用いて引き上げを行い、
シリコン融液を収容するための坩堝および前記坩堝を加熱するための加熱部材が内部に設けられる炉体と、
前記炉体内に設けられ、前記坩堝の上方に位置する熱シールドと、
前記熱シールドの内部に吊り下げられ、下端に種結晶軸が接続され、前記種結晶軸が前記シリコン融液の液面に対して接近するまたは離れるように前記種結晶軸が第1方向に沿って移動可能である重錘と、
前記熱シールドの上方に設けられ、種結晶軸および前記熱シールドの下縁の画素画像を取得するための撮像装置と、
前記撮像装置と信号接続され、前記熱シールドの下縁の画素画像に基づいて基準円をフィッティング可能であり、前記基準円が第2方向に沿って延在する基準線を有し、前記基準円の円心が前記基準線にあり、前記種結晶軸の画素画像の底辺が前記基準線と交差するとき、前記種結晶軸の底面が前記熱シールドの下縁と面一となる画像処理装置と、を備える、ことを特徴とする単結晶引き上げ装置。
【請求項10】
前記撮像装置は、CCDカメラである、ことを特徴とする請求項9に記載の単結晶引き上げ装置。