(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177228
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】靴下
(51)【国際特許分類】
A41B 11/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A41B11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030868
(22)【出願日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2022089806
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517170052
【氏名又は名称】デサントジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸床 文彦
(72)【発明者】
【氏名】坪内 敬治
(72)【発明者】
【氏名】大星 雅代
(72)【発明者】
【氏名】池田 達雄
【テーマコード(参考)】
3B018
【Fターム(参考)】
3B018AA03
3B018AB04
3B018AB06
3B018AB07
3B018AC01
3B018AD02
(57)【要約】
【課題】足裏のアーチ構造をサポートすることができ、かつ足を過度に締め付けない靴下を提供する。
【解決手段】足甲側の上面と、足裏側の底面と、足内側の内側面と、足外側の外側面とを有する靴下11であって、靴下11は、ベース部12と、ベース部12よりも伸長応力の大きい高緊締部13を有し、高緊締部13は、上面を起点に、外側面、底面、内側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している、または、上面を起点に、内側面、底面、外側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足甲側の上面と、足裏側の底面と、足内側の内側面と、足外側の外側面とを有する靴下であって、
前記靴下は、ベース部と、前記ベース部よりも伸長応力の大きい高緊締部を有し、
前記高緊締部は、前記上面を起点に、前記外側面、前記底面、前記内側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在していることを特徴とする靴下。
【請求項2】
前記高緊締部は、前記底面において、母趾球の中心および小趾球の中心と重ならないように設けられている請求項1に記載の靴下。
【請求項3】
前記高緊締部は、前記上面を起点に、前記外側面、前記底面、前記内側面、足首回りの前側、足首回りの外側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している請求項1または2に記載の靴下。
【請求項4】
前記高緊締部は、前記上面を起点に、前記外側面、前記底面、前記内側面、足首回りの内側、足首回りの後側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している請求項1または2に記載の靴下。
【請求項5】
前記高緊締部は、前記底面において、後方かつ内方に向かって延びている請求項1または2に記載の靴下。
【請求項6】
前記靴下は、前記底面の前後方向の伸長応力が横方向の伸長応力よりも大きい請求項1または2に記載の靴下。
【請求項7】
足甲側の上面と、足裏側の底面と、足内側の内側面と、足外側の外側面とを有する靴下であって、
前記靴下は、ベース部と、前記ベース部よりも伸長応力の大きい高緊締部を有し、
前記高緊締部は、前記上面を起点に、前記内側面、前記底面、前記外側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在していることを特徴とする靴下。
【請求項8】
前記高緊締部は、前記底面において、母趾球の中心および小趾球の中心と重ならないように設けられている請求項7に記載の靴下。
【請求項9】
前記高緊締部は、前記上面を起点に、前記内側面、前記底面、前記外側面、足首回りの前側、足首回りの内側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している請求項7または8に記載の靴下。
【請求項10】
前記高緊締部は、前記上面を起点に、前記内側面、前記底面、前記外側面、足首回りの外側、足首回りの後側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している請求項7または8に記載の靴下。
【請求項11】
前記高緊締部は、前記底面において、後方かつ外方に向かって延びている請求項7または8に記載の靴下。
【請求項12】
前記靴下は、前記底面の前後方向の伸長応力が横方向の伸長応力よりも大きい請求項7または8に記載の靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は靴下に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の足裏には、骨、足底腱膜、足底筋群によって、縦方向と横方向のアーチ構造が形成されている。
図17に示すように、縦方向のアーチ構造には、踵骨B1から第1中足骨B2にかけてアーチを形成する内側縦アーチと、踵骨B1から第5中足骨B3にかけてアーチを形成する外側縦アーチが含まれ、横方向のアーチ構造には、第1中足骨B2から第5中足骨B3にかけてアーチを形成する横アーチが含まれる。これらの足裏のアーチ構造は、歩行接地時の衝撃を緩和するクッションの役割を果たすとともに、アーチ構造の上下動が足裏の踏み返し動作をサポートして、バネとなり、歩行時の推進力に寄与する。
【0003】
一方、長時間歩いたり走ったりすると、足底腱膜や足底筋群のテンションが弱まり、足裏のアーチ構造のサポートが不十分となりやすくなる。その結果、足の衝撃吸収能力が低下し、足の疲労や足のケガを招きやすくなるおそれがある。このような足裏のアーチ構造の機能低下を防ぐために、従来、足裏のアーチ構造をサポートするための靴下が様々提案されている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-19994号公報
【特許文献2】特開2009-155763号公報
【特許文献3】特開2006-348406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3に開示される靴下は、足裏部に緊締力や弾性力を高めた締付部やサポート部が設けられ、当該締付部やサポート部が足甲部や足首部にかけて延在し、足甲部や足首部を取り囲むように設けられている。引用文献1~3の靴下は、このように締付部やサポート部が設けられることにより、足裏のアーチ構造がサポートされるものとなっている。一方、足裏以外の部分、例えば足甲部や足首部では、締付部やサポート部によって足の甲回りや足首回りが過度に締め付けられるおそれがあり、これにより足の疲労を招いたり、足首の動きが制限されることが懸念される。またその結果、靴下の着用感が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、足裏のアーチ構造をサポートすることができ、かつ足を過度に締め付けない靴下を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記実施形態に係る靴下を提供する。
[1]足甲側の上面と、足裏側の底面と、足内側の内側面と、足外側の外側面とを有する靴下であって、靴下は、ベース部と、ベース部よりも伸長応力の大きい高緊締部を有し、高緊締部は、上面を起点に、外側面、底面、内側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している靴下。
[2]高緊締部は、底面において、母趾球の中心および小趾球の中心と重ならないように設けられている[1]に記載の靴下。
[3]高緊締部は、上面を起点に、外側面、底面、内側面、足首回りの前側、足首回りの外側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している[1]または[2]に記載の靴下。
[4]高緊締部は、上面を起点に、外側面、底面、内側面、足首回りの内側、足首回りの後側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している[1]または[2]に記載の靴下。
[5]高緊締部は、底面において、後方かつ内方に向かって延びている[1]~[4]のいずれかに記載の靴下。
[6]靴下は、底面の前後方向の伸長応力が横方向の伸長応力よりも大きい[1]~[5]のいずれかに記載の靴下。
【0008】
上記実施形態の靴下によれば、高緊締部によって足裏の内側縦アーチがサポートされ、足の外反が起こりにくくすることができる。また、高緊締部によって足が過度に締め付けられず、靴下の着用感を高めることができる。
【0009】
本発明はまた、下記実施形態に係る靴下も提供する。
[7]足甲側の上面と、足裏側の底面と、足内側の内側面と、足外側の外側面とを有する靴下であって、靴下は、ベース部と、ベース部よりも伸長応力の大きい高緊締部を有し、高緊締部は、上面を起点に、内側面、底面、外側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している靴下。
[8]高緊締部は、底面において、母趾球の中心および小趾球の中心と重ならないように設けられている[7]に記載の靴下。
[9]高緊締部は、上面を起点に、内側面、底面、外側面、足首回りの前側、足首回りの内側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している[7]または[8]に記載の靴下。
[10]高緊締部は、上面を起点に、内側面、底面、外側面、足首回りの外側、足首回りの後側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している[7]または[8]に記載の靴下。
[11]高緊締部は、底面において、後方かつ外方に向かって延びている[7]~[10]のいずれかに記載の靴下。
[12]靴下は、底面の前後方向の伸長応力が横方向の伸長応力よりも大きい[7]~[11]のいずれかに記載の靴下。
【0010】
上記実施形態の靴下によれば、高緊締部によって足裏の外側縦アーチがサポートされ、足の内反が起こりにくくすることができる。そのため、足首の内反捻挫が起こりにくくなる。また、高緊締部によって足が過度に締め付けられず、靴下の着用感を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の靴下によれば、足裏のアーチ構造をサポートしつつ、足を過度に締め付けないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る靴下を表し、
図1(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図1(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表す。
【
図2】第1実施形態に係る靴下を表し、
図2(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図2(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。
【
図3】第1実施形態に係る靴下を表し、
図3(a)は平面状に広げた状態の靴下を底面から見た図を表し、
図3(b)は平面状に広げた状態の靴下を上面から見た図を表す。
【
図4】第1実施形態に係る靴下を表し、
図4(a)は平面状に広げた状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図4(b)は平面状に広げた状態の靴下を外側面から見た図を表し、
図4(c)は平面状に広げた状態の靴下をつま先側から見た図を表し、
図4(d)は平面状に広げた状態の靴下を履き口側から見た図を表す。
【
図5】第1実施形態の変形例に係る靴下を表し、
図5(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図5(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表す。
【
図6】第1実施形態の変形例に係る靴下を表し、
図6(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図6(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。
【
図7】第2実施形態に係る靴下を表し、
図7(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図7(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表す。
【
図8】第2実施形態に係る靴下を表し、
図8(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図8(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。
【
図9】第3実施形態に係る靴下を表し、
図9(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図9(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表す。
【
図10】第3実施形態に係る靴下を表し、
図10(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図10(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。
【
図11】第3実施形態に係る靴下を表し、
図11(a)は平面状に広げた状態の靴下を底面から見た図を表し、
図11(b)は平面状に広げた状態の靴下を上面から見た図を表す。
【
図12】第3実施形態に係る靴下を表し、
図12(a)は平面状に広げた状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図12(b)は平面状に広げた状態の靴下を外側面から見た図を表し、
図12(c)は平面状に広げた状態の靴下をつま先側から見た図を表し、
図12(d)は平面状に広げた状態の靴下を履き口側から見た図を表す。
【
図13】第3実施形態の変形例に係る靴下を表し、
図13(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図13(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表す。
【
図14】第3実施形態の変形例に係る靴下を表し、
図14(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図14(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。
【
図15】第4実施形態に係る靴下を表し、
図15(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図15(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表す。
【
図16】第4実施形態に係る靴下を表し、
図16(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図16(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の靴下は、靴下の底面を含む部分に高緊締部が設けられたものであり、高緊締部によって足裏のアーチ構造がサポートされるように構成されたものである。
図17に示すように、足裏のアーチ構造には、踵骨B1から第1中足骨B2にかけてアーチを形成する内側縦アーチと、踵骨B1から第5中足骨B3にかけてアーチを形成する外側縦アーチが含まれるが、本発明の靴下は、足裏のアーチ構造のうち内側縦アーチまたは外側縦アーチをサポートするように、高緊締部が設けられているものである。
【0014】
例えば、足裏において、内側縦アーチのアーチ構造が十分に保てなくなると、着地の際の弾力性を発揮するクッションの役割(バネサポート)がなくなり、衝撃吸収がうまくできずに膝や腰に負荷がかかることになる。また、踵骨が内側に傾いて、足にうまく体重がかけられなくなり、体が不安定となり、足の外反が起こりやすくなる。これに対して、内側縦アーチをサポートするように高緊締部が設けられる場合は、土踏まず部分のアーチ構造が恒常的にサポートされやすくなり、足の外反が起こりにくくなる。このような靴下は、強度が低い運動を行う際や日常の動作を行う際に着用するのに適したものとなる。
【0015】
一方、足裏において、外側縦アーチのアーチ構造が十分に保てなくなると、足の内反が起こりやすくなる。この場合、足首の内反捻挫が起こりやすくなる。そのため、外側縦アーチをサポートするように高緊締部が設けられる場合は、足首の内反捻挫を防ぐことができるものとなる。このような靴下は、内反捻挫のケガが多い運動強度が高いスポーツを行う際に着用するのに適したものとなる。
【0016】
本発明の靴下は、上記のように高緊締部が足裏の内側縦アーチまたは外側縦アーチをサポートするように設けられた上で、高緊締部が足の甲回りや足首回りを過度に締め付けないように形成されている。具体的には、高緊締部が、足のつま先側から踵側に向かって足の周方向に延びるように設けられつつ、足の甲回りや足首回りにおいて周方向に延びる環状部を形成しないように設けられている。これにより、高緊締部によって足趾が過度に締め付けられず、靴下の着用感を高めることができる。
【0017】
以下、本発明の靴下について図面を参照して具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0018】
本発明の第1実施形態に係る靴下について、
図1~
図4を参照して説明する。第1実施形態に係る靴下は、高緊締部によって足裏の内側縦アーチがサポートされるように構成されたものである。
図1~
図4には右足用の靴下が示されており、左足用の靴下は右足用の靴下を鏡に映したように形成される。
【0019】
図1および
図2には、着用状態の第1実施形態の靴下が示されている。
図1(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図1(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表し、
図2(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図2(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。
図3および
図4には、平面状に広げた状態の第1実施形態の靴下が示されている。
図3(a)は平面状に広げた状態の靴下を底面から見た図(背面図)を表し、
図3(b)は平面状に広げた状態の靴下を上面から見た図(正面図)を表し、
図4(a)は平面状に広げた状態の靴下を内側面から見た図(左側面図)を表し、
図4(b)は平面状に広げた状態の靴下を外側面から見た図(右側面図)を表し、
図4(c)は平面状に広げた状態の靴下をつま先側から見た図(平面図)を表し、
図4(d)は平面状に広げた状態の靴下を履き口側から見た図(底面図)を表す。なお図面では、高緊締部を斜線ハッチングで表している。
【0020】
靴下11は、足甲側の上面と、足裏側の底面と、足内側の内側面と、足外側の外側面とを有する。靴下11において、上面とは、着用時に足の甲側に位置する部分を意味し、底面とは、着用時に足裏側に位置する部分を意味する。内側面は、足の内側すなわち母趾側に位置する部分を意味し、外側面は、足の外側すなわち小趾側に位置する部分を意味する。なお、靴下11において、前方とはつま先側の方向を意味し、後方とは踵側の方向を意味する。靴下11はまた、足趾を覆うつま先部14と、踵を覆う踵部15を有する。
【0021】
靴下11の丈の長さは特に限定されず、アンクレットのようなローソックスであってもよく、ハイソックスやオーバーニーソックスであってもよい。図面に示した靴下11は、ローソックスの例が示されている。靴下11のつま先部14は、母趾から小趾までが入る1つの袋部として形成されていてもよく、5本の各趾用の5つの袋部を有するように形成されていてもよく、母趾用の袋部と示趾から小趾までが入る袋部の2つの袋部を有するように形成されていてもよい。つま先部14の袋部の数は3つであっても4つであってもよい。図面に示した靴下11は、1つの袋部から形成されたつま先部14を有している。
【0022】
靴下11は、相対的に小さい伸長応力を示すベース部12と相対的に大きい伸長応力を示す高緊締部13とを有する。高緊締部13は、ベース部12よりも伸長応力が大きく形成されている。靴下11では、高緊締部13が、上面を起点に、外側面、底面、内側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している。このように高緊締部13が設けられることにより、足裏の内側縦アーチが高緊締部13により効果的にサポートされる。すなわち、高緊締部13が、底面から外側面を通って上面まで延びるとともに、底面から内側面を通って足首回りまで延びるように設けられることにより、高緊締部13の上面に位置する部分と足首回りに位置する部分がアンカーとなって、底面に位置する高緊締部13によって足裏の内側縦アーチが持ち上げられ、サポートされる。これにより、足の外反が起こりにくくすることができる。また、高緊締部13は上記のように起点と終点を有する帯状に設けられているため、高緊締部13が足を周方向に取り囲むような環状には設けられず、高緊締部13によって足の甲回りや足首回りが過度に締め付けられない。そのため、足が過度に締め付けられることによる疲労が起こりにくく、また足首の動きが制限されにくくなり、靴下11の着用感を良好なものとすることができる。靴下11は、強度が低い運動を行う際や日常の動作を行う際に着用するのに適している。
【0023】
ベース部12は、高緊締部13に隣接して設けられ、靴下11の上面、底面、内側面、外側面、足首回りにそれぞれ設けられることが好ましい。
【0024】
高緊締部13は、靴下11の上面を起点に設けられる。靴下11の上面において、高緊締部13の起点はつま先部14よりも後方に位置することが好ましく、足趾の付け根よりも後方に位置することが好ましい。また、高緊締部13の起点は、第1中足骨よりも外方に位置することが好ましく、第2中足骨よりも外方に位置することが好ましい。
【0025】
靴下11の上面において、高緊締部13の前方端はつま先部14よりも後方に位置することが好ましく、足趾の付け根よりも後方に位置することが好ましい。また、靴下11の上面において、高緊締部13(具体的には始点となる上面に位置する高緊締部13)は、第5中足骨の前半分の少なくとも一部と重なるように配置されることが好ましい。
【0026】
靴下11において、上面を起点として設けられた高緊締部13は、外側面を通って底面に延在する。靴下11の外側面および底面では、高緊締部13の前方端がつま先部14よりも後方に位置することが好ましく、足趾の付け根よりも後方に位置することが好ましい。一方、靴下11の底面において、高緊締部13の後方端は踵部15よりも前方に位置することが好ましい。
【0027】
靴下11の外側面では、高緊締部13(具体的には始点となる上面に位置する高緊締部13と底面に位置する高緊締部13の間に位置する高緊締部13)は第5中足骨の少なくとも一部と重なるように配置されることが好ましく、第5中足骨の前半分の少なくとも一部と重なるように配置されることがより好ましい。靴下11の底面では、高緊締部13は中足骨の少なくとも一部と重なるように配置されることが好ましく、さらに楔状骨の少なくとも一部と重なるように配置されてもよい。これにより楔状骨と中足骨とが同時にサポートされ、より効果的に内側縦アーチをサポートすることができる。
【0028】
靴下11の底面において、高緊締部13は、母趾球の中心および小趾球の中心と重ならないように配置されることが好ましい。このように高緊締部13が配置されることにより、足趾の把持力を高めることができる。そのため、靴下11を着用した状態で楽に歩いたり走ったりすることができる。高緊締部13は、母趾球の全部と重ならないように配置されてもよく、小趾球の全部と重ならないように配置されてもよい。
【0029】
靴下11の底面において、高緊締部13は、後方かつ内方に向かって延びていることが好ましい。このように高緊締部13が設けられることにより、足裏の内側縦アーチが高緊締部13によって効率的に持ち上げられ、高緊締部13によるサポート力を高めやすくなる。
【0030】
高緊締部13は、靴下11の底面から内側面を通って足首回りまで延在する。靴下11の内側面では、高緊締部13の前方端はつま先部14よりも後側に位置することが好ましく、足趾の付け根よりも後側に位置することが好ましい。靴下11の内側面では、高緊締部13(具体的には底面から足首回りに向かって延びる高緊締部13)は第1中足骨の少なくとも一部および/または内側楔状骨の少なくとも一部と重なって配置されることが好ましい。
【0031】
内側面を通った高緊締部13は、足首回りの前側に向かって延びてもよく、足首回りの前側を通らずに足首回りの内側に向かって延びてもよい。高緊締部13は、足首回りのいずれかの地点を終点として延在している。高緊締部13は、足首回りの前側を終点としてもよく、足首回りの内側または外側を終点としてもよく、足首回りの後側を終点としてもよい。足首回りの前側、内側、外側、後側は、足首回りを90°ずつ4つに区分したときの前側、内側、外側、後側として定められる。足首回りとしては、踝の下端から上方に8cm以内の範囲(より好ましくは5cm以内の範囲)として定められることが好ましい。高緊締部13が足首回りを終点として設けられることにより、靴下11の足首回りより上方の部分が強く締め付けられず、着用感を高めることができる。なお、靴下の足首回りの上下方向の長さは、靴下を着用しない状態で測定した長さを意味する。
【0032】
第1実施形態に係る靴下11Aでは、高緊締部13は、上面を起点に、外側面、底面、内側面、足首回りの前側、足首回りの外側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している。このように高緊締部13が設けられることにより、高緊締部13によって足裏の内側縦アーチのサポート力が高められ、内側縦アーチをより高く持ち上げることができる。高緊締部13は、足首回りの外側から足首回りの後側を通るように設けられることが好ましく、さらに足首回りの内側まで延びるように設けられることが好ましい。
【0033】
高緊締部13は、足首回りを一周して高緊締部13に接続しないように設けられる。すなわち、靴下11の足首回りでは、周方向に高緊締部13が途切れる部分が存在する。高緊締部13の終点の先にはベース部12が存在し、ベース部12が足首回りを上下方向に縦断するように設けられることが好ましい。同様に、高緊締部13の始点の先(手前)にはベース部12が存在し、高緊締部13の始点の先(手前)は高緊締部13の他の部分に接続しない。
【0034】
高緊締部13は、靴下11の上面を起点とし足首回りを終点とした帯状に延びるように設けられているが、帯状の高緊締部13の幅は5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。このように高緊締部13を形成することにより、高緊締部13によって安定して足裏の内側縦アーチをサポートすることができる。帯状の高緊締部13の幅の上限は特に限定されず、例えば100mm以下、80mm以下、60mm以下、40mm以下または30mm以下であってもよい。なお、高緊締部13の幅は、靴下を着用しない状態で測定した幅を意味する。
【0035】
帯状の高緊締部13は、始点から終点まで一定の幅で形成されてもよく、そうでなくてもよい。帯状の高緊締部13の両幅の外縁は、例えば、直線状に形成されてもよく、波状に形成されてもよく、ジグザグ状に形成されてもよい。また、帯状の高緊締部13は、幅方向(高緊締部13の延在方向に対して垂直方向)に並んで配置された複数本の帯状部から構成されてもよい。
【0036】
靴下11Aでは、高緊締部13が足首回りにおいて周方向に1回り未満で延在するように設けられているが、高緊締部13は、足首回りにおいて周方向にらせん状に1回り以上延在するように配置されていてもよい。そのように高緊締部13が配置された靴下の構成例を
図5および
図6に示す。
図5および
図6には、第1実施形態の変形例に係る靴下が示されている。
図5(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図5(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表し、
図6(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図6(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。なお、第1実施形態の変形例に係る靴下について、上記の第1実施形態の靴下の説明と重複する部分の説明は省略する。
【0037】
第1実施形態の変形例に係る靴下11Bでは、高緊締部13が、足首回りにらせん状に配置されている。このように高緊締部13が配置されていれば、高緊締部13の足首回りでのアンカー効果が高まり、高緊締部13によって足裏の内側縦アーチがより安定してサポートされる。なお、靴下11Bにおいても、高緊締部13の終点は足首回りに位置する。また、高緊締部13の終点の先にベース部12が存在し、足首回りにおいて周方向に高緊締部13が途切れる部分が存在する。
【0038】
次に、第2実施形態に係る靴下について、
図7および
図8を参照して説明する。
図7および
図8には右足用の靴下が示されており、左足用の靴下は右足用の靴下を鏡に映したように形成される。
【0039】
図7および
図8には、着用状態の第2実施形態の靴下が示されている。
図7(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図7(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表し、
図8(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図8(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。なお、第2実施形態に係る靴下について、上記の第1実施形態の靴下の説明と重複する部分の説明は省略する。
【0040】
第2実施形態に係る靴下11Cも、高緊締部13が足裏の内側縦アーチをサポートできるように構成されたものである。高緊締部13は、上面を起点に、外側面、底面、内側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在しており、これにより、足裏の内側縦アーチが高緊締部13によってサポートされ、足の外反が起こりにくくなる。
【0041】
第2実施形態に係る靴下11Cは、第1実施形態に係る靴下11Aとは、内側面から足首回りにかけての高緊締部13の配置が異なる。第2実施形態に係る靴下11Cでは、高緊締部13は、内側面から、足首回りの内側、足首回りの後側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している。このように高緊締部13が設けられることにより、高緊締部13によって足裏の内側縦アーチを前後方向に広くサポートすることが容易になる。高緊締部13は、足首回りの後側から足首回りの外側を通るように設けられることが好ましく、さらに足首回りの前側まで延びるように設けられることが好ましい。第2実施形態に係る靴下11Cでも、高緊締部13は、足首回りを一周して高緊締部13に接続しないように設けられる。すなわち、靴下の足首回りでは、周方向に高緊締部13が途切れる部分が存在する。高緊締部13は、足首回りにおいてらせん状に延在するように配置されてもよい。
【0042】
次に、第3実施形態に係る靴下について、
図9~
図12を参照して説明する。第3実施形態に係る靴下は、高緊締部によって足裏の外側縦アーチがサポートされるように構成されたものである。
図9~
図12には右足用の靴下が示されており、左足用の靴下は右足用の靴下を鏡に映したように形成される。
【0043】
図9および
図10には、着用状態の第3実施形態の靴下が示されている。
図9(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図9(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表し、
図10(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図10(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。
図11および
図12には、平面状に広げた状態の第3実施形態の靴下が示されている。
図11(a)は平面状に広げた状態の靴下を底面から見た図(背面図)を表し、
図11(b)は平面状に広げた状態の靴下を上面から見た図(正面図)を表し、
図12(a)は平面状に広げた状態の靴下を内側面から見た図(左側面図)を表し、
図12(b)は平面状に広げた状態の靴下を外側面から見た図(右側面図)を表し、
図12(c)は平面状に広げた状態の靴下をつま先側から見た図(平面図)を表し、
図12(d)は平面状に広げた状態の靴下を履き口側から見た図(底面図)を表す。なお、第3実施形態に係る靴下について、高緊締部以外の説明は、第1実施形態の靴下の上記説明が参照される。
【0044】
靴下21は、相対的に小さい伸長応力を示すベース部22と相対的に大きい伸長応力を示す高緊締部23とを有する。高緊締部23は、ベース部22よりも伸長応力が大きく形成されている。靴下21では、高緊締部23が、上面を起点に、内側面、底面、外側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している。このように高緊締部23が設けられることにより、足裏の外側縦アーチが高緊締部23により効果的にサポートされる。すなわち、高緊締部23が、底面から内側面を通って上面まで延びるとともに、底面から外側面を通って足首回りまで延びるように設けられることにより、高緊締部23の上面に位置する部分と足首回りに位置する部分がアンカーとなって、底面に位置する高緊締部23によって足裏の外側縦アーチがサポートされる。これにより、足の内反が起こりにくくなり、内反捻挫のケガが多い運動強度が高いスポーツを行う際に着用するのに適したものとなり、足首の内反捻挫を起こりにくくすることができる。また、足裏の母指球に力が入ることを促すことができ、ゴルフなど母指球に力を入れることが求められるスポーツを行う際に好適に着用できるものとなる。さらに、高緊締部23は上記のように起点と終点を有する帯状に設けられているため、高緊締部23が足を周方向に取り囲むような環状には設けられず、高緊締部23によって足の甲回りや足首回りが過度に締め付けられない。そのため、足が過度に締め付けられることによる疲労が起こりにくく、また足首の動きが制限されにくくなり、靴下21の着用感を良好なものとすることができる。靴下21は、運動強度が高いスポーツや、母指球に力を入れることが求められるスポーツを行う際に着用するのに適している。
【0045】
高緊締部23は、靴下21の上面を起点に設けられる。靴下21の上面において、高緊締部23の起点はつま先部24よりも後方に位置することが好ましく、足趾の付け根よりも後方に位置することが好ましい。また、高緊締部23の起点は、第5中足骨よりも内方に位置することが好ましく、第4中足骨よりも内方に位置することが好ましい。
【0046】
靴下21の上面において、高緊締部23の前方端はつま先部24よりも後方に位置することが好ましく、足趾の付け根よりも後方に位置することが好ましい。また、靴下21の上面において、高緊締部23(具体的には始点となる上面に位置する高緊締部23)は、第1中足骨の前半分の少なくとも一部と重なるように配置されることが好ましい。
【0047】
靴下21において、上面を起点として設けられた高緊締部23は、内側面を通って底面に延在する。靴下21の内側面および底面では、高緊締部23の前方端がつま先部24よりも後方に位置することが好ましく、足趾の付け根よりも後方に位置することが好ましい。一方、靴下21の底面において、高緊締部23の後方端は踵部25よりも前方に位置することが好ましい。
【0048】
靴下21の内側面では、高緊締部23(具体的には始点となる上面に位置する高緊締部23と底面に位置する高緊締部23の間に位置する高緊締部23)は第1中足骨の少なくとも一部と重なるように配置されることが好ましく、第1中足骨の前半分の少なくとも一部と重なるように配置されることがより好ましい。靴下21の底面では、高緊締部23は中足骨の少なくとも一部と重なるように配置されることが好ましく、さらに楔状骨の少なくとも一部と重なるように配置されてもよい。
【0049】
靴下21の底面において、高緊締部23は、母趾球の中心および小趾球の中心と重ならないように配置されることが好ましい。このように高緊締部23が配置されることにより、足趾の把持力を高めることができる。そのため、靴下21を着用した状態で楽に歩いたり走ったりすることができる。高緊締部23は、母趾球の全部と重ならないように配置されてもよく、小趾球の全部と重ならないように配置されてもよい。
【0050】
靴下21の底面において、高緊締部23は、後方かつ外方に向かって延びていることが好ましい。このように高緊締部23が設けられることにより、足裏の外側縦アーチが高緊締部23によって効率的にサポートされやすくなる。
【0051】
高緊締部23は、靴下21の底面から外側面を通って足首回りまで延在する。靴下21の外側面では、高緊締部23の前方端はつま先部24よりも後方に位置することが好ましく、足趾の付け根よりも後方に位置することが好ましい。靴下21の外側面では、高緊締部23(具体的には底面から足首回りに向かって延びる高緊締部23)は第5中足骨の少なくとも一部および/または立方骨の少なくとも一部と重なって配置されることが好ましい。
【0052】
外側面を通った高緊締部23は、足首回りの前側に向かって延びてもよく、足首回りの前側を通らずに足首回りの外側に向かって延びてもよい。高緊締部23は、足首回りのいずれかの地点を終点として延在している。高緊締部23は、足首回りの前側を終点としてもよく、足首回りの内側または外側を終点としてもよく、足首回りの後側を終点としてもよい。高緊締部23が足首回りを終点として設けられることにより、靴下21の足首回りより上方の部分が強く締め付けられず、着用感を高めることができる。
【0053】
第3実施形態に係る靴下21Aでは、高緊締部23は、上面を起点に、内側面、底面、外側面、足首回りの前側、足首回りの内側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している。このように高緊締部23が設けられることにより、高緊締部23によって足裏の外側縦アーチのサポート力が高められ、足の内反がより起こりにくくすることができる。高緊締部23は、足首回りの内側から足首回りの後側を通るように設けられることが好ましく、さらに足首回りの外側まで延びるように設けられることが好ましい。
【0054】
高緊締部23は、足首回りを一周して高緊締部23に接続しないように設けられる。すなわち、靴下21の足首回りでは、周方向に高緊締部23が途切れる部分が存在する。高緊締部23の終点の先にはベース部22が存在し、ベース部22が足首回りを上下方向に縦断するように設けられることが好ましい。同様に、高緊締部23の始点の先(手前)にはベース部22が存在し、高緊締部23の始点の先(手前)は高緊締部23の他の部分に接続しない。
【0055】
高緊締部23は、靴下21の上面を起点とし足首回りを終点とした帯状に延びるように設けられているが、帯状の高緊締部23の幅は5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。このように高緊締部23を形成することにより、高緊締部23によって安定して足裏の外側縦アーチをサポートすることができる。帯状の高緊締部23の幅の上限は特に限定されず、例えば100mm以下、80mm以下、60mm以下、40mm以下または30mm以下であってもよい。なお、高緊締部23の幅は、靴下を着用しない状態で測定した幅を意味する。
【0056】
帯状の高緊締部23は、始点から終点まで一定の幅で形成されてもよく、そうでなくてもよい。帯状の高緊締部23の両幅の外縁は、例えば、直線状に形成されてもよく、波状に形成されてもよく、ジグザグ状に形成されてもよい。また、帯状の高緊締部23は、幅方向(高緊締部23の延在方向に対して垂直方向)に並んで配置された複数本の帯状部から構成されてもよい。
【0057】
靴下21Aでは、高緊締部23が足首回りにおいて周方向に1回り未満で延在するように設けられているが、高緊締部23は、足首回りにおいて周方向にらせん状に1回り以上延在するように配置されていてもよい。そのように高緊締部23が配置された靴下の構成例を
図13および
図14に示す。
図13および
図14には、第3実施形態の変形例に係る靴下が示されている。
図13(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図13(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表し、
図14(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図14(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。なお、第3実施形態の変形例に係る靴下について、上記の第3実施形態の靴下の説明と重複する部分の説明は省略する。
【0058】
第3実施形態の変形例に係る靴下21Bでは、高緊締部23が、足首回りにらせん状に配置されている。このように高緊締部23が配置されていれば、高緊締部23の足首回りでのアンカー効果が高まり、高緊締部23によって足裏の外側縦アーチがより安定してサポートされる。なお、靴下21Bにおいても、高緊締部23の終点は足首回りに位置する。また、高緊締部23の終点の先にベース部22が存在し、足首回りにおいて周方向に高緊締部23が途切れる部分が存在する。
【0059】
次に、第4実施形態に係る靴下について、
図15および
図16を参照して説明する。
図15および
図16には右足用の靴下が示されており、左足用の靴下は右足用の靴下を鏡に映したように形成される。
【0060】
図15および
図16には、着用状態の第4実施形態の靴下が示されている。
図15(a)は着用状態の靴下を底面から見た図を表し、
図15(b)は着用状態の靴下を上面から見た図を表し、
図16(a)は着用状態の靴下を内側面から見た図を表し、
図2(b)は着用状態の靴下を外側面から見た図を表す。なお、第4実施形態に係る靴下について、上記の第3実施形態の靴下の説明と重複する部分の説明は省略する。
【0061】
第4実施形態に係る靴下21Cも、高緊締部23が足裏の外側縦アーチをサポートできるように構成されたものである。高緊締部23は、上面を起点に、内側面、底面、外側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在しており、これにより、足裏の外側縦アーチが高緊締部23によってサポートされ、足の内反が起こりにくくなる。
【0062】
第4実施形態に係る靴下21Cは、第3実施形態に係る靴下21Aとは、外側面から足首回りにかけての高緊締部23の配置が異なる。第4実施形態に係る靴下21Cでは、高緊締部23は、外側面から、足首回りの外側、足首回りの後側をこの順番で通り、足首回りを終点として延在している。このように高緊締部23が設けられることにより、高緊締部23によって足裏の外側縦アーチを前後方向に広くサポートすることが容易になる。高緊締部23は、足首回りの後側から足首回りの内側を通るように設けられることが好ましく、さらに足首回りの前側まで延びるように設けられることが好ましい。第4実施形態に係る靴下21Cでも、高緊締部23は、足首回りを一周して高緊締部23に接続しないように設けられる。すなわち、靴下の足首回りでは、周方向に高緊締部23が途切れる部分が存在する。高緊締部23は、足首回りにおいてらせん状に延在するように配置されてもよい。
【0063】
ベース部と高緊締部の構成材料について説明する。ベース部と高緊締部は、高緊締部がベース部よりも大きい伸長応力を示す限り、これらの構成材料は特に限定されない。ベース部と高緊締部は伸縮性を有することが好ましく、同程度の長さを伸長させるのに、ベース部は相対的に小さい力を要し、高緊締部は相対的に大きい力を要するものであることが好ましい。
【0064】
伸長応力は、例えば、30%伸長時の応力を測定することにより求めることができる。具体的には、測定対象となる試験片を引張試験機で引っ張り、その際の応力を測定することにより求める。この際、1インチの幅で切り出した試験片を、つかみ間隔が例えば50mmとなるように留め具間に固定する。そして、試験片を200mm/分の引張速度で引っ張りながら、留め具間の距離が130mmになったときの応力を測定し、このときの値を伸長応力とする。
【0065】
ベース部と高緊締部の伸長応力の値は適宜設定することができる。ベース部の伸長応力(30%伸長時の応力)の値としては、例えば、1.5N~4.0N程度とすることができる。高緊締部の伸長応力(30%伸長時の応力)の値としては、例えば、1.8N~6.0N程度とすることができる。なお、高緊締部の伸長応力は、高緊締部の延在方向に沿って伸長させたときの伸長応力を意味する。
【0066】
高緊締部の伸長応力は、例えば、ベース部の伸長応力の1.05倍以上2.0倍以下が好ましく、1.5倍以下がより好ましい。これにより、高緊締部によって足裏の内側縦アーチまたは外側縦アーチが適度にサポートされるとともに、高緊締部によって足が過度に締め付けられず、靴下の着用感を高めることができる。また、高緊締部での引っ張り時と回復時の応力差が過度に大きくならず、高緊締部における残留歪みやへたり性を小さいものとすることができる。
【0067】
靴下はまた、底面の前後方向の伸長応力(30%伸長時の応力)が横方向の伸長応力(30%伸長時の応力)よりも大きいことが好ましい。これにより、内側縦アーチまたは外側縦アーチがより高く持ち上げられやすくなる。靴下の底面の前後方向の伸長応力と横方向の伸長応力は、底面の中心(前後方向および横方向の中心)を起点に前後方向または横方向に伸長させることにより求める。靴下の底面の前後方向の伸長応力は、例えば、靴下の底面の横方向の伸長応力の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、また2.0倍以下が好ましく、1.8倍以下がより好ましい。靴下の底面の前後方向の伸長応力(30%伸長時の応力)の値としては、例えば、1.8N~8.0N程度とすることができる。靴下の底面の横方向の伸長応力(30%伸長時の応力)の値としては、例えば、1.6N~6.0N程度とすることができる。
【0068】
靴下はまた、底面の横方向の回復時の伸長応力(30%伸長時の応力)が前後方向の回復時の伸長応力(30%伸長時の応力)よりも大きいことが好ましい。これにより、内側縦アーチまたは外側縦アーチサポートの効果がさらに高められる。靴下の底面の横方向の回復時の伸長応力は、例えば、靴下の底面の前後方向の回復時の伸長応力の1.5倍以上が好ましく、2.0倍以上がより好ましく、また4.0倍以下が好ましく、3.0倍以下がより好ましい。靴下の底面の横方向の回復時の伸長応力(30%伸長時の応力)の値としては、例えば、1.0N~5.0N程度とすることができる。靴下の底面の前後方向の回復時の伸長応力(30%伸長時の応力)の値としては、例えば0.4N~2.0N程度とすることができる。
【0069】
ベース部と高緊締部を設ける方法としては、(1)ベース部と高緊締部を伸長応力が互いに異なる材料で構成し、それらの材料を繋ぎ合わせてベース部と高緊締部を形成する方法、(2)ベース部と高緊締部をそれぞれ織布または編布で構成し、織布の織組織や織密度を変えたり、編布の編組織や編密度を変えたり、織布または編布を構成する糸の種類(例えば、弾性糸の使用の有無)や太さ等を変えることにより、伸長応力の差を出してベース部と高緊締部を形成する方法、(3)靴下の基材に伸長応力の高いシート部材を部分的に取り付けて、当該シート部材を取り付けた部分を高緊締部、それ以外の部分をベース部とする方法、(4)靴下の基材にエラストマー材料を塗布して、エラストマー材料を塗布した部分を高緊締部、それ以外の部分をベース部とする方法等が挙げられる。
【0070】
前記(1)の方法でベース部と高緊締部を構成する材料や、前記(3)の方法や前記(4)の方法で用いられる基材としては、織布、編布、エラストマー(例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等の合成樹脂)から構成されるシート部材等が挙げられる。前記(2)の方法で用いられる高緊締部を構成する糸の種類としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、綿、紙繊維、ウール、シルク、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられる。前記(3)の方法で用いられる伸長応力の大きいシート部材の材料や、前記(4)の方法で用いられるエラストマー材料としては、天然ゴム;スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソブチレン等の合成ゴム;ポリウレタン、ポリエーテル・ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等の合成樹脂等が挙げられる。また、前記(3)の方法で用いられる伸長応力の大きいシート部材として、伸縮性を有する織布や編布、不織布等を用いてもよい。
【0071】
前記(2)の方法では、2種類以上の糸から構成された織布または編布から特定の糸を所定のパターンで除去して高緊締部を形成してもよく、高緊締部を形成する領域で特定の糸を全く除去しなくてもよい。前記(3)や前記(4)の方法では、高緊締部が形成される領域にシート部材やエラストマー材料を一様に設けてもよく、斜め線状やドット状等の所定のパターンで設けてもよい。高緊締部は、始点から終点にかけて連続的に繋がるように設けられることが好ましいが、高緊締部の延在方向に対して一部断続部分を有していてもよい。この場合の断続部分の長さは3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましく、これにより高緊締部による効果が奏されやすくなる。
【0072】
つま先部や踵部は、それ以外の部分よりも高いクッション性を有するように形成されていたり、高いグリップ力を有するように形成されていてもよい。この場合、ベース部と高緊締部は、つま先部や踵部以外の部分として規定されることが好ましい。つま先部と踵部は、ベース部よりも伸長応力が大きくてもよく小さくてもよく同じであってもよいが、高緊締部よりも伸長応力が小さいことが好ましい。
【0073】
以上、本発明の靴下について図面を参照して説明したが、本発明の靴下は高緊締部が所定の配置で設けられるところに特徴を有するものである。従って、靴下の全体形状は特に限定されず、高緊締部の配置において靴下の特徴が現れるものである。高緊締部は、靴下の上面を起点に、外側面、底面、内側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在するか、靴下の上面を起点に、内側面、底面、外側面をこの順番で通り、足首回りを終点として延在するように配置されていれば、図面に示した形状に限定されない。例えば、図面では、高緊締部は1本の帯状部から構成されているが、高緊締部は複数本の帯状部が並行して配置されて構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
11、21: 靴下
12、22: ベース部
13、23: 高緊締部
14、24: つま先部
15、25: 踵部