(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177236
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電流制御式セグメント化レーザドライバ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/042 20060101AFI20231206BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20231206BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01S5/042 630
H01L33/00 J
H01S5/183
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023044896
(22)【出願日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】17/804,792
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セロン ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード デイビス
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン キャリー
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル ヤン
【テーマコード(参考)】
5F173
5F241
【Fターム(参考)】
5F173SE01
5F173SF32
5F173SF43
5F173SF72
5F173SJ02
5F173SJ04
5F173SJ12
5F173SJ16
5F173SJ17
5F241AA09
5F241BB02
5F241BC10
5F241BC16
5F241BC17
5F241BC33
5F241BC42
5F241BC47
5F241BC50
5F241BD02
(57)【要約】
【課題】レーザ回路を提供する。
【解決手段】一例では、1つまたは複数の定電流源を使用してレーザドライババイアス制御を導出するためのプロキシレーザ駆動セル及びプロキシコンパレータ回路を含む、レーザ回路が本明細書で開示される。第1及び第2の電圧成分を有するプロキシ電圧に基づいて出力を生成するように適合されたコンパレータ回路であって、電圧成分の1つがレーザ制御電流を示す1つまたは複数の定電流源に基づいて生成される、コンパレータ回路を含むレーザ回路が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ回路であって、
供給電圧を提供するように適合された供給電力バスと、
第1の定電流源と、
第2の定電流源と、
レーザの電流経路内の少なくとも1つのレーザ駆動セルであって、前記レーザ駆動セルを通るレーザ電流を調整するように適合されたドライババイアス制御トランジスタを備える、前記レーザ駆動セルと、
少なくとも1つのプロキシレーザ駆動セルであって、前記プロキシレーザ駆動セルを通るプロキシ駆動電流を調整するように適合されたプロキシドライバ制御トランジスタを備える、前記プロキシレーザ駆動セルと、
第1の入力、第2の入力、及び出力を備えるプロキシコンパレータ回路であって、前記プロキシコンパレータ回路は、前記第1の入力と前記第2の入力との間の差に基づいて前記出力を生成するように適合され、前記第1及び前記第2の定電流源は前記プロキシコンパレータ回路の前記第1の入力でプロキシ電圧を確立する、前記プロキシコンパレータ回路と、
を備え、
前記プロキシコンパレータ回路の前記出力は、前記プロキシコンパレータ回路の前記出力が前記プロキシレーザ駆動セルを通る電流を変化させるように、前記プロキシレーザ駆動セルと電気的にインタフェース接続され、
前記プロキシレーザ駆動セルのプロキシゲート制御信号は、前記ドライババイアス制御トランジスタに電気的にインタフェース接続される、
前記レーザ回路。
【請求項2】
前記レーザ駆動セルがレーザ駆動セルドレイン電圧を有し、前記プロキシ駆動セルがプロキシレーザ駆動セルドレイン電圧を有し、前記コンパレータ回路が前記プロキシ駆動セルドレイン電圧をサーボ制御して前記レーザ駆動セルドレイン電圧に一致させるように適合される、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項3】
前記レーザが、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項4】
前記プロキシコンパレータ回路の前記出力が、第1のプロキシ結合トランジスタ及び第2のプロキシ結合トランジスタを介して前記プロキシレーザ駆動セルと電気的にインタフェース接続され、前記第1及び第2の結合トランジスタのそれぞれのゲートは前記プロキシコンパレータ回路の前記出力に電気的に接続される、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項5】
前記第1のプロキシ結合トランジスタが電流ミラーに電気的に接続されたドレイン端子を有し、前記電流ミラーの出力は前記プロキシドライバ制御トランジスタのゲートに電気的に接続されて前記プロキシゲート制御信号を提供する、請求項4に記載のレーザ回路。
【請求項6】
前記プロキシゲート制御信号が、電圧対電流コントローラを介して前記ドライババイアス制御トランジスタに電気的にインタフェース接続される、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項7】
前記第2のプロキシ結合トランジスタが、前記プロキシドライバ制御トランジスタのドレイ及び前記プロキシコンパレータ回路の前記第2の入力に電気的に接続されたドレイン端子を有する、請求項4に記載のレーザ回路。
【請求項8】
前記プロキシコンパレータ回路の前記第1の入力が、前記レーザのレーザ閾値電圧にほぼ等しい第1の電圧成分と、前記レーザの電流ベースの電圧降下に比例する第2の電圧成分とを含むプロキシ電圧を受信するように適合され、前記レーザの前記電流ベースの電圧降下は、レーザを通る電流の関数である、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項9】
前記プロキシコンパレータ回路の前記第1の入力が、前記第1の定電流源、前記第2の定電流源、及びプロキシ抵抗と電気的にインタフェース接続され、前記プロキシ抵抗は、電気的に前記プロキシコンパレータ回路の前記第1の入力と前記供給電力バスとの間にあり、第1及び第2の定電流源はそれぞれ、前記プロキシコンパレータ回路の前記第1の入力で前記プロキシ電圧を確立する定電流を各々シンクするように適合される、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項10】
前記プロキシ電圧が、前記レーザの電流ベースの電圧降下と合計された前記レーザのレーザニー電圧を示し、前記レーザの前記電流ベースの電圧降下は、レーザを通る電流の関数である、請求項9に記載のレーザ回路。
【請求項11】
前記プロキシコンパレータ回路の前記第1の入力が反転であり、前記プロキシコンパレータ回路の前記第2の入力が非反転である、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項12】
前記第1及び第2の定電流源がデジタル的に構成可能である、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項13】
前記レーザ駆動セルが、前記レーザの前記電流経路にドライバイネーブルトランジスタをさらに備え、前記プロキシレーザ駆動セルが、前記プロキシドライバ制御トランジスタの電流経路にプロキシイネーブルトランジスタをさらに備える、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項14】
前記第2の定電流源が、電流ミラーの出力及び前記プロキシドライバ制御トランジスタのゲートに電気的にインタフェース接続された定電流を供給するように適合される、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項15】
前記プロキシコンパレータ回路が演算増幅器を備える、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項16】
電気的に前記第2の定電流源と前記プロキシコンパレータ回路との間にスケーリング増幅器をさらに備える、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項17】
前記レーザ回路が、それぞれが前記レーザの電流経路内にある複数のレーザ駆動セルをさらに備える、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項18】
前記レーザ回路が、複数のプロキシレーザ駆動セルをさらに備える、請求項1に記載のレーザ回路。
【請求項19】
前記レーザ回路が、複数の第2のプロキシ結合トランジスタをさらに備え、各第2のプロキシ結合トランジスタは、各プロキシレーザ駆動セル内の前記プロキシドライバ制御トランジスタにそれぞれ電気的に結合される、請求項18に記載のレーザ回路。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体レーザは、様々なデジタル制御用途に有用である。垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)は、産業、生物医学、通信などの用途で特に使用される半導体レーザの一種である。しかしながら、レーザパワーを制御する従来の方法は、通常、ドライバゲート電圧をレーザ光出力パワーに直接相関させることに基づいている。このような相関関係は、通常、応用環境でユーザが広範なレーザ固有のキャリブレーションを行うか、2点キャリブレーションに基づく精度の低い線形キャリブレーションによって取得する必要がある。しかし、VCSELを含む半導体レーザは非線形電圧対電力動作を示し、電圧対レーザパワー制御を良好な精度で達成することを困難にするため、このようなキャリブレーション方式は通常、レーザの様々な光パワーに対して適切なソリューションを提供しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本明細書に開示されるのは、レーザ回路であって、供給電圧を提供するように適合された供給電力バスと、第1の定電流源と、第2の定電流源と、レーザ駆動セルを通るレーザ電流を調整するように適合されたドライババイアス制御トランジスタを有するレーザの電流経路内の少なくとも1つのレーザ駆動セルと、プロキシレーザ駆動セルを通るプロキシ駆動電流を調整するように適合されたプロキシドライバ制御トランジスタを有する少なくとも1つのプロキシレーザ駆動セルと、第1の入力、第2の入力、及び出力を有するプロキシコンパレータ回路であって、プロキシコンパレータ回路は、第1の入力と第2の入力との間の差に基づいて出力を生成するように適合され、第1及び第2の定電流源は、プロキシコンパレータ回路の第1の入力でプロキシ電圧を確立する、プロキシコンパレータ回路と、を有するレーザ回路である。本開示の一態様では、プロキシコンパレータ回路の出力は、プロキシコンパレータ回路の出力がプロキシレーザ駆動セルを通る電流を変化させるように、プロキシレーザ駆動セルと電気的にインタフェース接続され、プロキシレーザ駆動セル用のプロキシゲート制御信号は、ドライババイアス制御トランジスタに電気的にインタフェース接続されている。本開示の別の態様では、レーザ駆動セルはレーザ駆動セルドレイン電圧を有し、プロキシ駆動セルはプロキシレーザ駆動セルドレイン電圧を有し、コンパレータ回路はプロキシ駆動セルドレイン電圧をサーボ制御してレーザ駆動セルドレイン電圧に一致させるように適合される。本開示のさらに別の態様では、レーザは垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である。本開示の別の態様では、プロキシコンパレータ回路の出力は、第1のプロキシ結合トランジスタ及び第2のプロキシ結合トランジスタを介してプロキシレーザ駆動セルと電気的にインタフェース接続され、第1及び第2の結合トランジスタのそれぞれのゲートはプロキシコンパレータ回路の出力に電気的に接続されている。
【0003】
開示されたレーザ回路の例は、電流ミラーに電気的に接続されたドレイン端子を有する第1のプロキシ結合トランジスタを含み、電流ミラーの出力はプロキシドライバ制御トランジスタのゲートに電気的に接続されてプロキシゲート制御信号を提供する。本開示の一態様では、プロキシゲート制御信号は、電圧対電流コントローラを介してドライババイアス制御トランジスタに電気的にインタフェース接続される。本開示の別の態様では、第2のプロキシ結合トランジスタは、プロキシドライバ制御トランジスタのドレイン及びプロキシコンパレータ回路の第2の入力に電気的に接続されたドレイン端子を有する。本開示のさらに別の態様では、プロキシコンパレータ回路の第1の入力は、レーザのレーザ閾値電圧にほぼ等しい第1の電圧成分と、レーザの電流ベースの電圧降下に比例する第2の電圧成分とを有するプロキシ電圧を受信するように適合され、レーザの電流ベースの電圧降下は、レーザを通る電流の関数である。本開示の別の態様では、プロキシコンパレータ回路の第1の入力は、第1の定電流源、第2の定電流源、及びプロキシ抵抗と電気的にインタフェース接続され、プロキシ抵抗は、電気的にプロキシコンパレータ回路の第1の入力と供給電力バスとの間にあり、第1及び第2の定電流源はそれぞれ、プロキシコンパレータ回路の第1の入力でプロキシ電圧を確立する定電流を各々シンクするように適合される。本開示のさらに別の態様では、プロキシ電圧は、レーザの電流ベースの電圧降下と合計されたレーザのレーザニー電圧を示し、レーザの電流ベースの電圧降下は、レーザを通る電流の関数である。本開示の別の態様では、プロキシコンパレータ回路の第1の入力は反転であり、プロキシコンパレータ回路の第2の入力は非反転である。
【0004】
本明細書に開示されるのは、少なくとも1つのプロキシレーザ駆動セルを有するレーザ回路であり、レーザ回路は、デジタル構成可能な第1及び第2の定電流源を含む。本開示の別の態様では、レーザ駆動セルは、レーザの電流経路にドライバイネーブルトランジスタを含み、プロキシレーザ駆動セルは、プロキシドライバ制御トランジスタの電流経路にプロキシイネーブルトランジスタを含む。本開示の別の例示的な態様では、第2の定電流源は、電流ミラーの出力及びプロキシドライバ制御トランジスタのゲートに電気的にインタフェース接続された定電流を供給するように適合される。本開示の一態様では、プロキシコンパレータ回路は演算増幅器を備える。本開示の別の態様では、スケーリング増幅器は、電気的に第2の定電流源とプロキシコンパレータ回路との間にある。本開示のさらに別の態様では、レーザ回路は、それぞれがレーザの電流経路及び/または複数のプロキシレーザ駆動セル内にある複数のレーザ駆動セルを含む。本開示の別の態様では、レーザ回路は、複数の第2のプロキシ結合トランジスタを含み、各第2のプロキシ結合トランジスタは、各プロキシレーザ駆動セル内のプロキシドライバ制御トランジスタにそれぞれ電気的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】開示された実施形態による、レーザ回路の電気回路図である。
【
図2】開示された実施形態による、電圧対電流コントローラ及び電流対電圧コントローラの電気回路図である。
【
図3】開示された実施形態による、レーザ回路の電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書ではレーザパワーと呼ばれるレーザ光パワーは、レーザを流れる電流の関数である。この仕様の残りの部分はVCSELに関して説明されるが、他のレーザにも同様に適用可能であることに留意されたい。従来のドライバ設計は、VCSELに電流を流す金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のゲート電圧を制御することに基づいており、そのゲート電圧はVCSEL負荷電圧とは無関係に光パワーに相関している。しかしながら、レーザ制御MOSFETは比較的大量の電流を通過させる必要があるため、ドレイン電圧が変化するとMOSFET内のチャネル長が変化する。これはチャネル長変調として知られている。チャネル長変調により、ドレイン-ソース間電圧(VDS)に対するMOSFETのドレイン電流の変動が生じる。このように、ドライバMOSFETのVDSの局所的な変動は、レーザの電圧制御に対する光パワーの変動と不正確さをもたらす可能性がある。これは、ローカル接地間に変動があるマルチVCSELアレイで特に一般的であり得る。このような不正確さは、キャリブレーション後であっても、レーザの光出力の正確性を約80%未満にする可能性がある。本明細書で開示されるように、変化するVCSEL電流/順方向電圧特性及び供給電圧に基づいてVCSELドライバ制御電圧を制御することは、レーザキャリブレーションまたは他の電流近似技術のみに基づいてVCSELドライバ制御電圧を制御するよりも正確な光パワー制御をもたらす。
【0007】
本明細書に開示されるのは、制御回路において所望の動作電流に対するゲート電圧を導出し、電流駆動の変動を補償する実際のVCSELにおけるローカル接地に対するそのゲート電圧を再現することによって、関心のある実際の測定基準(光パワー)を目標とし、制御する、改良されたレーザ回路及びドライバである。ユーザが所望の光パワーからより容易に導出できる所望の電流を選択できるようにすることにより、ドライバはより正確かつ容易にレーザを駆動して所望の光パワーを抽出することができる。
【0008】
例示的な実施形態で開示される制御電流は、実際の回路内VCSEL(及び付随するドライバ回路)の適切なニー電圧及び電圧電流抵抗(I-R)降下特性をシミュレートするレプリカまたはプロキシのレーザ回路を使用することによって導出されるので、レーザを通る電流を正確に制御することができる。レーザの電流経路内の実際のレーザ駆動セル、例えばドライバFET(複数可)のドライババイアス電圧は、レプリカまたはプロキシVCSEL回路を流れる電流及びドライバ回路の両端の実際の電圧に基づいてプロキシ制御回路によって制御される。これにより、電圧変動に基づく不正確さが最小限に抑えられ、そのためチャネル長変調と電流の不正確さが最小限に抑えられる。このようにして、ドライババイアス電圧は直接制御されるのではなく、実際のドライバのオン状態の動作電圧での所望の電流から導出される。このようなソリューションは、98%を超える実際の光出力の精度を提供することができ、従来技術よりも改善される。
【0009】
図1に示すのは、例えばVCSELとすることができる半導体レーザ204を含む例示的なレーザ回路200である。レーザ204には、V
ddともラベル付けされた供給電力バス202から電力が供給される。電流205は、VCSEL204を通ってローカルレーザ接地207に流れる。VCSELの両端の電圧が閾値電圧(「ニー」電圧またはジャンクション電圧とも呼ばれる)を超えると、VCSELは電流を伝導し始める。その電流が閾値電流を超え、VCSELがニー電圧を超えてVCSELのI-R降下を克服すると、VCSELはレーザ発振を開始する。順方向電圧は、ニー電圧にVCSEL抵抗の両端の電圧降下を加えたものに等しくなる。VCSEL204を通る電流205は、例えばドライババイアス制御トランジスタ210を含むVCSEL204の電流経路内のレーザ駆動セル206を介して制御され、これは、nチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)として示されている。バイアス制御トランジスタ210は、MOSFETの飽和領域で動作することができる。以下で説明するように、バイアス制御トランジスタは、特定の構成では三極管領域で動作させることができる。飽和領域では、ドレイン電流、すなわち電流205は、バイアス制御トランジスタのゲート電圧に基づいて変化し、これにより、レーザ204の電流205制御が可能になる。しかし、ドレイン電流205は、ドライババイアス制御トランジスタのV
DSに対しても変化する。これは、例えば前述のチャネル長変調効果によるものである。このような変動の勾配も、レーザ204の変動する条件で変化する。したがって、開示されたレーザ回路200は、プロキシ回路を利用して、プロキシドレイン電圧に基づいて制御信号を決定し、そのような変動に関連する誤差を低減する。
図1は、論証目的でn及びpチャネルMOSFETを使用するが、構成、例えば、正側または負側制御に応じて、他のタイプのトランジスタまたは電界効果トランジスタ(FET)も使用できることを理解されたい。同様に、本開示は、nチャネルトランジスタまたはpチャネルトランジスタが示されている場合にそれらに限定されない。VCSEL204の負側制御用にnチャネルMOSFETが示されているが、別の構成では正側制御用にpチャネルMOSFETを使用することもできる。本明細書に開示された他のn及びpチャネルMOSFETにも同じことが当てはまる。
【0010】
ドライババイアス制御トランジスタ210は、ドライババイアスゲート制御信号211によって駆動されるように適合され得る。任意選択で、レーザ駆動セル206は、レーザ204の電流経路内に、「オン」「オフ」イネーブルトランジスタとして、またはレーザ204の時間循環または変調のために機能することができる、例えばドライバイネーブルトランジスタ212などの第2のトランジスタを含んでもよい。そのような構成では、ドライバイネーブルトランジスタ212は、ドライバイネーブルゲート制御信号213を介してレーザ204をデジタル的に時間循環させるように適合され得る一方、ドライババイアス制御トランジスタ210は、ドライババイアスゲート制御信号211を介して電流205を、したがって、レーザ204の光パワー出力を制御する。
【0011】
ドライババイアスゲート制御信号211は、実際のレーザ204及びその関連するレーザ駆動セル206の電圧降下を比例的に表すかまたは一致させるように設計されたプロキシレーザ駆動セル220を使用することによって導出される。プロキシレーザ駆動セル220は、プロキシレーザ駆動セル220を通るプロキシ駆動電流221を調整するように適合されたプロキシドライバ制御トランジスタ222を含み得る。プロキシドライバ制御トランジスタ222は、nチャネルMOSFETとして示されている。プロキシレーザ駆動セル220は、レーザ駆動セル206を比例して表すように設計されているため、プロキシドライバ制御トランジスタ222は、ドライババイアス制御トランジスタ210と同様の構成になるように選択することができるが、プロキシレーザ駆動セル220とは異なる比例比率であってもよい。
【0012】
プロキシドライバ制御トランジスタ222は、ドライババイアス制御トランジスタ210と同様の電流制御及びチャネル長変調効果を有するように選択されるべきである。プロキシドライバ制御トランジスタ222は、ドライババイアス制御トランジスタ210と同じトランジスタであるように選択されてもよいが、ドライババイアス制御トランジスタ210は、レーザ204の全電流205を通過させるのに十分な大きさでなければならず、したがって同じトランジスタを使用することは、効果的ではあるが、プロキシレーザ駆動セル220内で無駄な電力が発生する可能性があることに留意されたい。したがって、プロキシドライバ制御トランジスタ222は、ドライババイアス制御トランジスタ210と同様のチャネル変調効果及びチャネル電流密度を有するのに十分な大きさであるという条件で、ドライババイアス制御トランジスタ210の電流能力のスケーリング部分としてサイズ決定することができ、これにより、より少ない電力コストで電圧降下特性を正確に再現するバランスを提供できる。これは、ドライババイアス制御トランジスタ210よりも小さいチャネル幅を有するプロキシドライバ制御トランジスタ222用のMOSFETを使用して達成することができる。そうすることで、ドライババイアス制御トランジスタ210ほど多くの電流を使用することなく、ドライババイアス制御トランジスタ210と比較して正確なプロキシ特性を提供する。例えば、プロキシドライバ制御トランジスタ222は、ドライババイアス制御トランジスタ210の1から1/1,000,000のスケーリングされた電流定格及び/またはチャネル幅を有するように選択されてもよく、別の例では、スケーリングされた乗数は約1/100から約1/10,000である。プロキシレーザ駆動セル220と同様に、任意選択で、プロキシレーザ駆動セル206は、プロキシドライバ制御トランジスタ222の電流経路に、同様に「オン」「オフ」イネーブルトランジスタとして、またはプロキシレーザ駆動セル206の時間循環または変調を行うために機能することができる、第2のトランジスタ、例えばプロキシイネーブルトランジスタ223を含むことができる。プロキシイネーブルトランジスタ223は、ドライバイネーブルトランジスタ212と同様のIR降下特性を有するように選択することができるが、プロキシドライバ制御トランジスタ222と同様の部分的な電流搬送能力を有するようにスケーリングすることができる。電流は、プロキシレーザ駆動セル220を通ってプロキシ接地225に流れる。プロキシ接地225は、ローカルレーザ接地207と同じ電位である必要はない。
【0013】
レーザ回路200は、第1の定電流源214及び第2の定電流源216を含む。本明細書で使用されるように、定電流源は、その構成または機能に応じて電流をシンクまたはソースするように適合させることができ、これについては後述する。第1及び第2の定電流源214、216は、2つの別個の電流源として概略的に示されているが、そのような構成が少なくとも2つの異なる電流を設定する能力を提供するという条件で、それらを単一のデバイスまたはパッケージに組み合わせる必要はなく、入力232でプロキシ電圧を制御するために必要に応じて組み合わせることができる(後述)。一例では、第1及び第2の定電流源214、216は、例えば、電流デジタル/アナログコンバータ(I-DAC)である。第1及び第2の定電流源214、216の各々は、それぞれ、電流シンク「入力」215、217をそれぞれ有し、第2の定電流源216も、定電流を供給する「出力」218を有する。この開示の目的で、定電流源の端子が電流をシンクするように適合されている場合、それは「入力」と呼ばれ、電流を供給するように適合されている端子は「出力」と呼ばれ、それは 電流をシンクまたは供給するそれぞれの機能に基づいており、例えば、第1の定電流源入力215、第2の定電流源第1入力217、及び第2の定電流源出力218はそれぞれ、電流を入力215、217にシンクするように適合され、出力218に電流を供給する。
【0014】
第1及び第2の定電流源214、216のそれぞれは、デジタル入力または他のシステム構成のいずれかを介して構成可能であり、第1の定電流源入力215、第2の定電流源入力217、及び第2の定電流源出力218のそれぞれを介してシンク/供給される電流の量を変更することができる。そのような構成は、構成入力250として概略的に表される。第1及び第2の定電流源214、216のそれぞれは、プロキシ抵抗252を介して第1の定電流源入力215及び第2の定電流源入力217に電流をシンクして、供給電力バス202を参照して、プロキシ抵抗252の両端の電圧降下に基づいてプロキシコンパレータ回路230の入力232でプロキシ電圧を確立するように構成される。プロキシコンパレータ回路230(その動作については後述する)は、例えば、サーボ増幅器として実装することができる。プロキシ抵抗252は、所望のプロキシ電圧を提供するように、第1及び第2の定電流源214、216と共に選択されるべきである。プロキシ電圧、したがってプロキシコンパレータ回路230の入力232における電圧は、2つの電圧成分の合計である。第1は、プロキシ抵抗252を通って第1の定電流源入力215にシンクされる電流253によって確立される電圧降下成分である。第2は、プロキシ抵抗252を通って第2の定電流源入力217にシンクされる電流251によって確立される電圧降下である。この構成では、第1及び第2の定電流源214、216は、例えば構成入力250を介して、所望の相対プロキシ電圧成分に対して適切な電流をシンクするように、独立して構成することができる。例えば、第1の定電流源214は、プロキシ電圧の第1のプロキシ電圧成分がレーザ204のニー電圧を表すかまたはそれに等しくなるように十分な電流をシンクするように構成することができ、第2の定電流源216は、プロキシ電圧の第2のプロキシ電圧成分がレーザ204のI-R降下を表すかまたはそれに等しくなるように、レーザ204の所望の電流205、またはその比例部分をシンクするように構成することができる。したがって、プロキシ電圧は、第1及び第2のプロキシ電圧成分の合計であり、これは合わせて、レーザ204の順方向電圧を表すか、それに等しい。第2の定電流源216の出力218はまた、第2の定電流源216の入力217にシンクされるのと同じ量の電流、またはその比例値を供給するように構成され得る。任意選択で、構成可能なスケーリング増幅器260(スケーリング構成入力262を介して構成可能)を含めて、第2の定電流源入力217のシンク能力を比例的にスケーリングまたは増幅して、レーザ204のI-R降下を表すかまたはそれに等しい所望のプロキシ電圧またはその比例倍率を得ることができる。以下で説明するように、プロキシコンパレータ回路230は、プロキシコンパレータ回路230の第2の入力234へのプロキシレーザ駆動セル220の電流221を示すフィードバック信号に基づいて、その出力238を平衡に駆動する。
【0015】
プロキシコンパレータ回路230は、240でプロキシレーザ駆動セル220と電気的にインタフェース接続される。例えば、インタフェース240は、プロキシゲート結合トランジスタ242と呼ばれる第1のプロキシ結合トランジスタと、プロキシドレイン結合トランジスタ244と呼ばれる第2のプロキシ結合トランジスタとを有するように示されている。プロキシゲート結合トランジスタ242及びプロキシドレイン結合トランジスタ244の各々は、本構成ではpチャネルMOSFETとして示されているが、上述のように、他の構成も使用され得る。プロキシコンパレータ回路230の出力238は、プロキシゲート結合トランジスタ242及びプロキシドレイン結合トランジスタ244のそれぞれのゲートに電気的に接続される。また、プロキシゲート結合トランジスタ242及びプロキシドレイン結合トランジスタ244のそれぞれのソースは、供給電力バス202に電気的に接続される。プロキシゲート結合トランジスタ242のドレインは、電流ミラー入力電流254を電流ミラー出力電流255にミラーリングする電流ミラー253に電気的に接続され、電流シンクとして構成されるように示されている。例えばカスコード電流ミラーなどの任意の既知の電流ミラーを使用することができるが、説明の目的で、ミラーリングされたnチャネルMOSFETトランジスタ256A及びミラーリングnチャネルMOSFETトランジスタ256Bを有する単純な電流ミラー253が示されており、各トランジスタ256Aのゲートは、プロキシゲート結合トランジスタ242のドレインに接続され、電気的に接続される。電流ミラー253の機能は、電流ミラー入力電流254を電流ミラー出力電流255にミラーリングすることである。ミラーリングされたトランジスタ256A及びミラーリングトランジスタ256Bが同等のトランジスタであると仮定すると、電流ミラー入力電流254は電流ミラー出力電流255に等しくなる。しかしながら、代わりに、ミラーリングトランジスタ256Bはまた、電流ミラー入力電流254が電流ミラー出力電流255の分数または倍数となるように、ミラーリングされたトランジスタ256Aのスケール倍数のサイズであってもよい。
【0016】
しかしながら、電流ミラー253の構成に関係なく、平衡状態では、電流ミラー出力電流255(または電流シンク入力)は、第2の定電流源出力218によって供給される第2の定電流源出力電流219に等しくなる。電流ミラー253の出力257は、プロキシドライバ制御トランジスタ222及び第2の定電流源出力218に電気的に接続されて、プロキシゲート制御信号224を提供する。さらに、プロキシドレイン結合トランジスタ244のドレインは、プロキシドライバ制御トランジスタ222のドレイン及びプロキシコンパレータ回路230の第2の入力234に電気的に接続される。
【0017】
プロキシドレイン結合トランジスタ244は、プロキシ駆動電流221を通過させるようにサイズ設定されているが、プロキシゲート結合トランジスタ242は、プロキシドレイン結合トランジスタ244のスケーリング部分としてサイズ設定されて、レーザ回路200の電力消費を低減することができる。そのような場合、電流ミラー253は、異なるサイズのトランジスタ256A、256Bを使用して必要に応じてスケーリングされ、電流219と整合することができる。
【0018】
プロキシコンパレータ回路238は、サーボ増幅器として構成された演算増幅器(OPAMP)及び追加の構成回路を含むことができるが、プロキシコンパレータ回路230への追加の入力、例えば正及び負の供給電圧は、明確にするために省略されている。示されるように、プロキシコンパレータ回路230の第1の入力232は反転入力であり、プロキシコンパレータ回路230の第2の入力234は非反転入力である。プロキシコンパレータ回路230は、その第1及び第2の入力232、234を比較し、その差をゼロに近づけるためのサーボ回路として構成される。
【0019】
平衡状態では、第1の定電流源214は、プロキシ抵抗252を介して十分な電流253をシンクしてレーザ204のニー電圧を整合させるように構成することができ、第2の定電流源216は、電流251からプロキシ抵抗252を通る電圧降下がレーザ204のIR降下と整合するように、所望の電流205に比例する電流を217でシンクする(及び218で供給する)ように構成することができる。したがって、222のゲート電圧(プロキシゲート制御信号224)は、レーザドライバセル206の導出制御基準であり、
図1でV
controlとも呼ばれ、これは、ドライババイアスゲート制御信号211(211からローカルレーザ接地207への電位)を生成するために使用される。これは、プロキシ駆動セル220の適切なドレイン電圧に対する219での電流を示して、レーザ204の負荷電圧(順方向電圧)に従って、レーザ駆動セル206のドレイン電圧を整合させる。すなわち、プロキシ駆動セル220は、所望の電流に対してレーザ駆動セル206と同じドレイン電圧条件で動作するので、プロキシゲート制御信号224はそれに応じて導出される。
【0020】
一例として、より多くのレーザ204の電流205が望まれる場合、第2の定電流源216の構成入力250は、第2の定電流源入力217を通してより多くの電流をシンクする(そして、第2の定電流源出力218においてより多くの電流219を供給する)ように調整することができ、より多くの電流251がプロキシ抵抗252を介して引き出され、プロキシ抵抗252の両端の電圧降下が増加するため、プロキシコンパレータ回路の第1の入力232でのプロキシ電圧が減少する。プロキシコンパレータ回路の第1の入力232で得られるプロキシ電圧は反転入力であるため、これにより、最初にプロキシコンパレータ回路の出力238が増加する。この増加は、プロキシゲート結合トランジスタ242及びプロキシドレイン結合トランジスタ244の両方のソースからゲートへの電圧の最初の減少をもたらし、これにより、電流ミラー入力電流254及びプロキシ駆動電流221が最初に減少する。電流ミラー入力電流254の減少は、最初に電流ミラー出力電流255の減少をもたらす。増加した供給電流219と減少した電流ミラー出力電流255との間の差により、プロキシゲート制御信号224が増加し、これにより電流221が増加する。
【0021】
電流221が増加すると、プロキシコンパレータ回路の第2の入力234の電圧が低下し、これによりプロキシコンパレータ回路の出力238が減少し、したがって電流254及び電流ミラー出力255が増加する。このサイクルは、電流ミラー出力255が供給電流219と等しくなるまで続く。さらに安定した後、コンパレータ回路230は、最終的に、第1及び第2の入力232、234の間の差をゼロに向かってサーボ制御し、その時点で、プロキシドライバ制御トランジスタ222のドレイン電圧は、ドライババイアス制御トランジスタ210のドレイン電圧を表すかまたはそれに等しい、構成入力250を介してプログラムされた232でのプロキシ電圧にほぼ等しくなる。さらに、電流ミラー入力電流254は、電流ミラー出力255及び供給電流219と事実上等しく(または比例し)、電流221は、電流ミラー入力電流254の倍率である(プロキシゲート結合トランジスタ242及びプロキシドレイン結合トランジスタ244の相対スケーリングに基づく)ため、結果として生じる電流221は、供給電流219のスケーリング電流である。その時点で、プロキシドライバ制御トランジスタ222のドレイン電圧は(したがって、プロキシレーザ駆動セル220のドレイン電圧も)、ドライババイアス制御トランジスタ210のドレイン電圧(したがってまた、レーザ駆動セル206のドレイン電圧)にほぼ等しくなければならず、プロキシ駆動電流221とドライババイアス制御トランジスタ210との間の任意のスケーリング(上述)により、レーザ電流205は、プロキシ駆動電流221の比率及び供給電流219の比率となる。したがって、平衡状態では、プロキシゲート制御信号224は、所望のレーザ電流205に対して適切に導出された相対Vcontrol信号である。
【0022】
全体的な効果は、レーザ回路200が、プロキシレーザ駆動セル220を介して、プロキシドライバ制御トランジスタ222及びドライババイアス制御トランジスタ210用の同じドレイン電圧で、プロキシ駆動電流221(供給電流219のスケーリングされた倍数)に対して、スケーリングされたレーザ電流205でレーザ駆動セル206を駆動するのに適したプロキシゲート制御信号224(Vcontrol)を生成することである。
【0023】
より少ない電流のレーザ電流205が望まれる場合、逆の条件も真であり、その場合、第2の定電流源216の構成入力250は、第2の定電流源入力217においてより少ない電流をシンクする(そして、第2の定電流源出力218においてより少ない電流を供給する)ように調整される。
【0024】
導出されたゲート電圧であるプロキシゲート制御信号224は、ローカルレーザ接地207とプロキシ接地225との間の差の影響を最小限に抑える方法で、例えば電圧対電流コントローラ300(またはV対Iコントローラ)の使用を介して、レーザ駆動セル206に電気的にインタフェース接続される。電圧対電流コントローラの一例が
図2に示されている。しかしながら、開示された電圧信号を電流信号に変換する追加の構成があることを理解されたい。
【0025】
図2を参照すると、例示的な電圧対電流コントローラ300は、増幅器312をコンパレータとして利用し、例えばオペアンプとMOSFET314を利用して、抵抗316の両端の電圧降下がプロキシゲート制御信号224(V
control)の電圧降下と等しくなるまで、抵抗316を通る電流をサーボ制御する。次に、その電流は、一例では、電流ミラー320を介してミラーリングされ、1つまたは複数の駆動セル206に転送及び接続され得る。
【0026】
1つまたは複数の駆動セルに近接して、電流をローカルレーザ接地207a(または207a...207n)に対するドライババイアスゲート制御信号211に変換するために、抵抗317aの両端に生じた同じI-R電圧抵抗値を使用して、電流対電圧コンバータ310aから310n(nは任意の整数)をそれぞれ実装することができる。1:1電流ミラー320が利用される場合(
図2のMが1に等しい)、抵抗317aは316に等しいことに留意されたい。しかしながら、Mが1に等しくなく、電流がスケーリングされる他の構成が使用されてもよい。ドライババイアスゲート制御信号211は、ローカルレーザ接地207に対して抵抗317aにわたって生成されるので、接地変動に関する不正確さは最小限に抑えられる。さらに、必要に応じて、(
図3を参照して説明したように)各レーザ駆動セル206(a...n)に対して1つの電流対電圧コンバータ310a~nを設けることができ、または近接した複数のレーザ駆動セル206が、1つまたは複数の電流対電圧コンバータ310を共有することができる。それにもかかわらず、同じゲート-ソース電圧は、ローカルレーザ接地207に関係なく、1つまたは複数の駆動セル206において実装され得る。
【0027】
任意選択で、同様の参照番号が同様の構成要素を示している(明確にするために特定の参照番号は省略されている)
図3のレーザ回路200aに示すように、複数のレーザ駆動セル206a、206b...206n(nは任意の整数とすることができる)があり、レーザ駆動セルの各々は集合的に206Nと呼ばれる。したがって、導出されたプロキシゲート制御信号224は、ドライババイアスゲート制御信号211N(それぞれ211a、211b...211n)として適用することができ、それにより、レーザ駆動セル206Nのそれぞれは、例えば、並行して、レーザ204の駆動電流205を集合的に通過させるようにすることができる。または、別の代替案では、ドライバイネーブルトランジスタ212N(212a、212b...212n)を使用して、最大出力パワー未満が望まれるときには、1つまたは複数のレーザドライバセル206を選択的に有効にしてレーザ204の全体的電流205を低減することができる。レーザ駆動セル206Nを複数のレーザ駆動セル206a、206b...206nに分割することによって、モノリシックレーザ駆動セルと比較すると、例えばシミュレーション精度、生産試験、スケーラビリティ、及び物理的設計を含む特定の利点を得ることができる。
【0028】
上述のように、レーザ駆動セル206Nは、ロー側スイッチ(n-ch)またはハイ側スイッチ(p-ch)として実装され得る(図面に示されるのはロー側スイッチのみである)。通常、高電流モノリシックレーザドライバでは、ドライババイアス制御トランジスタやドライバイネーブルトランジスタ、FETなどのスイッチを、RDSまたはVDSAT(トランジスタを飽和状態に保つために必要な最小電圧)を低くするために大きくする必要がある。アンペア範囲(つまり>1A)の電流の場合、FETの寸法はミリメートル単位にすることができ、任意のCMOSインバータプリドライバのFETは、例えば100μmの幅を有することができる。
【0029】
こうして、シミュレーションの精度を向上させることができる。大型デバイスには抵抗器とコンデンサの寄生成分が分布しており、デバイス自体の内部でも遅延や電流集中を引き起こす。管理可能なサイズのサブセクションが多数ある実装では、この問題は比例して軽減される。複数のレーザ駆動セルサブセクション間の抵抗と静電容量のシミュレーションの決定は、標準的なIC抽出技術に依存しており、大型のモノリシックデバイスに関連する大きな抵抗器とコンデンサの寄生の影響を最小限に抑える。
【0030】
さらに、特に製造中のウェーハソート環境では、高電流を品質保証テストで管理するのが困難である。ワイヤとプローブは長く、高電流回路の適切な動作を妨げる抵抗とインダクタンスがある。複数のレーザ駆動セル間のセグメント化された設計は、一度に1つのセグメントでテストできる。
【0031】
セグメント化された設計は、より簡単に拡張することもできる。セグメント化された回路の将来のバージョンまたはより高い現在のバージョンは、セグメントまたはレーザ駆動セルの数を増やすことによって作成できる。すでに設計され、実証されているセグメントは、信頼できる結果をもたらす。また、セグメントは、必要に応じて集積回路上に地理的に分散させることができる。高電流の場合、多くの入力と出力が負荷に送られる(パッド、ピラー、はんだバンプなど、負荷に対する物理的なインタフェースの種類は問わない)。ドライバのセグメントは、関連する入力及び出力の近くに配置できる。
【0032】
図面には示されていないが、プロキシ駆動セル220の相対電流を適切にスケーリングするために、追加のプロキシレーザ駆動セル220及び/またはプロキシドライバ制御トランジスタ222を並列動作で利用することもできる。
【0033】
レーザ回路200の上記の説明は、ドライババイアス制御トランジスタ210(及びプロキシドライバ制御トランジスタ222)が飽和領域で動作するように説明されており、これは、制御すべき電流勾配対ドレイン電圧変動が小さいため有利であり得る。しかしながら、電流-ドレイン電圧勾配が大きくなるにもかかわらず、代わりにトランジスタを三極管領域で動作させることもできる。
【0034】
新規として主張され、米国の特許状によって保護されることが望まれるものは次のとおりである。
【外国語明細書】