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特開2023-1772403-トリアゾリルメチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン化合物、およびその調製方法と応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177240
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】3-トリアゾリルメチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン化合物、およびその調製方法と応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/14 20060101AFI20231206BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
A61P31/14
A61K31/53
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023055565
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202210618258.2
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522281350
【氏名又は名称】シャンシー・パンロン・ファーマシューティカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHAANXI PANLONG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO. 2801, BALIU 2ND ROAD, MODERN TEXTILE INDUSTRIAL PARK, BAQIAO DISTRICT, XI’AN, 710025 SHAANXI, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】チェンユアン・リャン
(72)【発明者】
【氏名】リャン・シン
(72)【発明者】
【氏名】レイ・ティエン
(72)【発明者】
【氏名】ジンイー・リー
(72)【発明者】
【氏名】シャオリン・シエ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥジュー・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】カンシオン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】シャオジュン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】シウディン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スンディエン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】イーティン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ・マー
(72)【発明者】
【氏名】シュイファ・ジョウ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB09
4C063CC43
4C063DD22
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC64
4C086GA07
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗コロナウイルス薬を提供する。
【解決手段】式Iの化合物、その薬学的に許容される塩、またはその互変異性体が開示される。

(式中、R、R、RおよびRは、水素、メチル基など;Rは水素またはハロゲンであり;かつ、Rは水素、C1~C4アルカンまたはC1~C4シクロアルカンである。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、その薬学的に許容される塩、またはその互変異性体。
【化1】
(式中、R、R、RおよびRは、水素、メチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ハロゲン、フェニルおよび芳香族複素環からなる群から独立して選択され;Rは水素またはハロゲンであり;かつ、Rは水素、C1~C4アルカンまたはC1~C4シクロアルカンである。)
【請求項2】
前記化合物が、
【化2】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記薬学的に許容される塩が、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸、およびアスパラギン酸からなる群から選択されるうちの1つを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物を含む、抗コロナウイルス医薬製剤。
【請求項5】
前記コロナウイルスが、新型コロナウイルスSARS-CoV-2である、請求項4に記載の抗コロナウイルス医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年6月1日に出願された中国特許出願第202210618258.2号の優先権を主張し、この出願は、本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬化学の技術分野に属し、特に3-トリアゾリルメチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン化合物、およびその調製方法と応用に関する。
【背景技術】
【0003】
COVID-19(新型コロナウイルス肺炎)は、感染力が強く、病原性も高いが、その変異株であるデルタ株とオミクロン株はより強い感染力を有する。絶え間なく生じる変異株は、世界の疫病状況をより複雑にしている。新型コロナウイルスは、人間の健康、社会の安定、および経済の発展に深刻な脅威をもたらしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3CLpro(3C様プロテアーゼ、主要プロテアーゼMproとしても知られている)は、コロナウイルスの重要な非構造タンパク質として、マイクロRNAウイルスの3Cプロテアーゼと同様の切断部位特異性を有し、子孫ウイルスの複製と転写に極めて重要な役割を果たす。3CLproは3つのドメインを有する。ドメインIおよびドメインIIは主にβシート構造から構成され、ドメインIIIは主にαヘリックス構造から構成される。活性部位は、ドメインIとIIとの間に形成される溝に位置している。ドメインIIIは二量体形成に関与している。ドメインIIIと比較して、異なるコロナウイルスのドメインIとドメインIIの配列保存性は高く、これは活性部位が最初の2つのドメインに位置していることと一致する。3CLproは、保存的システインおよびヒスチジンを触媒アミノ酸として用い、システインが求核攻撃基でヒスチジンが塩基性基である触媒二重鎖、を形成している。コロナウイルス3CLproは、ウイルス複製に必須であり、高度に保存されているため、理想的な抗コロナウイルス薬の標的となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
1つの実施形態において、本願は、式Iの化合物、その薬学的に許容される塩、そのジアステレオマーまたはその互変異性体を開示する。
【0006】
【化1】
【0007】
、R、RおよびRは、水素、メチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ハロゲン、フェニルおよび芳香族複素環からなる群から独立して選択され;Rは水素またはハロゲンであり;かつ、Rは水素、C1~C4アルカンまたはC1~C4シクロアルカンである。
【0008】
別の実施形態では、前記化合物は、
【化2】
からなる群から選択される。
【0009】
別の実施形態では、前記薬学的に許容される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸、およびアスパラギン酸からなる群から選択されるうちの1つを含む。
【0010】
別の実施形態において、本願は、本願の化合物を含む抗コロナウイルス医薬製剤、を開示する。
【0011】
別の実施形態において、前記コロナウイルスは、新型コロナウイルスSARS-CoV-2である。
【0012】
従来技術と比較して、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0013】
3CLpro阻害活性試験の結果により、本発明の化合物が3CLpro阻害作用に強い効果を有することが、示される。具体的には、3CLproに対する化合物1、化合物7、化合物12、化合物15、化合物16、化合物17、化合物18、化合物22および化合物23のIC50値はいずれも200nM未満であり、なかでも新型コロナウイルス薬S-216722およびPF-07321332と比較して、化合物1が最も優れた阻害活性(IC50<100nM)を有し;3CLpro細胞毒性試験の結果、A549細胞、HepG2細胞、およびHEK293細胞に対する化合物1の阻害率は、どの濃度でもPF-07321332およびS-217622の阻害率よりも低く、この2つの陽性薬剤より毒性が低く、抗コロナウイルス薬として開発および応用が可能である。
【0014】
本発明は、3-トリアゾリルメチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン化合物の調製方法を提供する。当該方法は、反応装置の要求が低く環境汚染が少ない比較的温和な条件で、実行され得、同時に、原子効率(atom economy)が高く、工業生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(詳細な説明)
当業者が本発明の解決策をよりよく理解できるようにするために、本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態における添付図面を参照して、以下に明確にかつ完全に説明する。明らかに、記載された実施形態は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、実施形態の全てではない。本発明の実施形態に基づき、創造的な努力なしに当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に入る。
【0016】
なお、本発明の説明および特許請求の範囲並びに上記図面における「第1」、「第2」などの用語は、類似のものを区別するために用いられ、必ずしも特定の順序または配列を説明するために用いられないことに留意されたい。このように使用されるデータは、本明細書に記載される本発明の実施形態が本明細書に図示または記載される以外の順序で実施され得るように、適切な状況下で交換され得ることを理解されたい。さらに、用語「含む(comprising)」および「有する(having)」、ならびにそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップまたはユニットを含むプロセス、方法、システム、生成物またはデバイスは、必ずしも明示的に列挙したものに限られない。むしろ、それらのステップまたはユニットには、明示的に列挙されていない、またはこれらのプロセス、方法、生成物もしくはデバイス固有の、他のステップもしくはユニットが含まれ得る。
【0017】
以下、添付の図面と併せて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
本願は、式Iの化合物、その薬学的に許容される塩、そのジアステレオマー、またはその互変異性体を開示する。
【0019】
【化3】
【0020】
、R、RおよびRは、水素、メチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ハロゲン、フェニルおよび芳香族複素環からなる群から独立して選択され;Rは水素またはハロゲンであり;かつ、Rは水素、C1~C4アルカンまたはC1~C4シクロアルカンである。
【0021】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を意味する。
【0022】
前記薬学的に許容される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、レモン酸(lemon acid)、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸、またはアスパラギン酸の塩であり得る。
【0023】
本発明の3-トリアゾリルメチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン化合物の調製方法は、以下の通りである。
【0024】
(1)3-tert-ブチル-6-(エチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジオン(出発物質)をブロモベンジル化合物でアルキル化して、化合物a1~化合物a24を得る。
【0025】
【化4】
【0026】
3-tert-ブチル-6-(エチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジオンとブロモベンジル化合物とのモル比は、1:1である。化合物a1~化合物a24の合成プロセスで使用する溶媒は、アセトニトリルである。反応は、炭酸カリウムを用いて加熱還流条件下で行う。ブロモベンジル化合物は、以下の通りである。
【0027】
【0028】
(2)ステップ(1)で得られた化合物a1~化合物a24からtert-ブチル基を除去して、対応する化合物b1~化合物b24を得た後、3-ブロモプロピンと反応させて、対応する化合物c1~化合物c24を得る。
【0029】
本願の化合物の調製方法は、以下の通りである。
【0030】
【化5】
【0031】
化合物b1~化合物b24の合成プロセスで使用する溶媒はトリフルオロ酢酸、化合物b1~化合物b24と3-ブロモプロピンとのモル比は1:1.2、化合物c1~化合物c24の合成プロセスで使用する溶媒は、アセトニトリルであり、反応は加熱還流条件で炭酸カリウムと共に行う。
【0032】
(3)ステップ(2)で得られた化合物c1~化合物c24は、6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-アミンまたは2-メチル-5-アミノ-2H-インダゾールと反応し、対応する化合物d1~化合物d24を得る。
【0033】
【化6】
【0034】
化合物c1~化合物c24と、6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-アミンまたは2-メチル-5-アミノ-2H-インダゾールとのモル比は1:1.3である。化合物c1~化合物c24を調製するプロセスで使用する触媒は酢酸であり、使用する溶媒はtert-ブタノールである。
【0035】
(4)ステップ(3)で得られた化合物d1~化合物d15をアジドトリメチルシランと反応させて、3-トリアゾリルメチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン1~15(式Iにおいて、RはHである。)を得る;あるいは、
ステップ(3)で調製した化合物d16~d20をアジドトリメチルシランと反応させて対応する化合物e16~化合物e20を得、これをさらにトリフルオロメタンスルホン酸メチルまたはトリフルオロメタンスルホン酸エチルと反応させて3-トリアゾリルメチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン16~20(式Iにおいて、RはC1~C2アルカンである)を得る;あるいは、
ステップ(3)で得られた化合物d21~化合物d24をアジドアルカン化合物と反応させて、3-トリアゾリルメチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン21~24(式Iにおいて、Rは、C3~C4アルカンまたはシクロアルカンである)を得る。
【0036】
【化7】
【0037】
化合物d1~化合物d20とアジドトリメチルシランとのモル比は1:1.5であり、トリフルオロメタンスルホン酸メチルまたはトリフルオロメタンスルホン酸エチルと化合物e16~化合物e20とのモル比は1:1.2であり、化合物d21~化合物d24とアジドアルカン化合物とのモル比は1:1.2である。化合物1~化合物15の合成プロセスで使用する溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドおよびメタノールであり、使用する触媒はヨウ化第一銅である。化合物16~化合物20の合成プロセスで使用する溶媒は1,4-ジオキサンであり、使用する触媒はビス-ジベンジリデンアセトンパラジウム、2-(ジ-tert-ブチルホスフィン)-3,6-ジメトキシ-2’-4’-6’トリ-1-プロピル-1,1’-ビスフェノールおよびリン酸カリウムである。化合物21~化合物24の合成に用いる溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランおよび水であり、用いる触媒は、硫酸銅五水和物およびアスコルビン酸ナトリウムである。
【実施例0038】
上記化合物の合成例を以下に示す。
【0039】
1.化合物1~化合物24の調製
【0040】
実施例1
化合物1:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0041】
(1)化合物a1の調製
【化8】
【0042】
3-tert-ブチル-6-(エチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジオン(114.7mg、0.5mmol)、2,4,5-トリアジンフルオロベンジルブロミド(112.5mg、0.5mmol)および炭酸カリウム(82.9mg、0.6mmol)を反応器に入れ、アセトニトリル10mLに溶解し、加熱還流し、時間撹拌し、TLCでモニターした。反応終了後、反応混合物を減圧下で濃縮し、溶媒を除去した。得られた固体残渣を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。有機相を回収し、カラムクロマトグラフィー(移動相として石油エーテル:酢酸エチル(V:V)=3:1)で分離精製し、乾燥して168.9mgの化合物a1(収率90.47%)を得た。HNMRスペクトルで化合物a1の構造を確認した。
【0043】
(2)化合物c1の調製
【化9】
【0044】
ステップ1:化合物b1の合成
得られた化合物a1(373.4mg、1mmol)を反応器に入れ、5mLのトリフルオロ酢酸(TFA)を加え、室温で一晩撹拌した後、トルエンと共沸濃縮して溶媒を除去し、乾燥して298.6mgの化合物b1(収率94.10%)を得た。
【0045】
ステップ2:化合物c1の合成
化合物b1(317.3mg、1mmol)、3-ブロモプロピン(0.1mL、1.2mmol)および炭酸カリウム(165.9mg、1.2mmol)を反応器に入れ、10mLのアセトニトリルに溶解し、加熱還流し、撹拌した。反応を5時間行い、TLCでモニターをした。反応終了後、得られた反応溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、有機相を回収し、カラムクロマトグラフィー(移動相として石油エーテル:酢酸エチル(V:V)=1:1)により精製した。乾燥後、279.9mgの化合物c1(収率78.78%)を得た。HNMRスペクトルで化合物c1の構造を確認した。
【0046】
(3)化合物d1の調製
【化10】
【0047】
化合物c1(177.7mg、0.5mmol)と6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-アミン(118.1mg、0.65mmol)と酢酸(570μL、10mmol)を反応器に入れ、5mLのtert-ブタノールを加え、反応物を100℃で4時間撹拌し、TLCでモニターした。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(移動相としてシクロヘキサン:酢酸エチル(V:V)=10:1)で分離精製し、乾燥して125.6mgの化合物d1(収率52.90%)を得た。HNMRスペクトルで化合物d1の構造を確認した。
【0048】
(4)化合物1の調製
【化11】
【0049】
化合物d1(2.4g、5mmol)、アジドトリメチルシラン(864.1mg、7.5mmol)およびヨウ化第一銅(47.6mg、0.25mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド90mLとメタノール10mLとの混合物と共に、反応器に入れ、反応物を一晩加熱撹拌し、TLCでモニターした。反応終了後、室温まで冷却した。得られた反応液を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、有機相を回収し、カラムクロマトグラフィー(移動相としてジクロロメタン:メタノール(V:V)=12:1)で分離精製し、乾燥させて、995.3mgの化合物1(収率38.44%)を得た。
【0050】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.88-4.53 (m, 1H), 10.99 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.83-7.50 (m, 4H), 7.12 (s, 1H), 5.23 (d, J = 54.0 Hz, 2H), 4.99 (s, 2H), 4.16 (d, J = 31.9 Hz, 3H)。
【0051】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 154.87, 153.65, 151.31, 150.18, 148.58, 146.61, 145.89, 139.91, 137.12, 132.97, 127.63, 126.37, 124.56, 122.26, 121.66, 117.32, 111.72, 106.19, 55.38, 37.21, 31.15。
【0052】
実施例2
化合物2:(E)-3-((1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-ベンジル-6-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5)-イル)イミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0053】
【化12】
【0054】
化合物2を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率42.23%)。
【0055】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.91-14.49 (m, 1H), 11.02 (s, 1H), 8.84 (s, 2H), 8.05 - 7.92 (m, 2H), 7.86-7.51(m, 4H), 7.10 (s, 1H), 5.25 (d, J = 53.2 Hz, 2H), 5.12 (s, 2H), 4.11 (d, J = 31.6 Hz, 3H)。
【0056】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 147.66, 146.32, 143.23, 140.09, 138.21, 136.11, 135.78, 129.85, 127.56, 122.56, 122.12, 112.25, 111.12, 107.56, 107.45, 106.01, 105.56, 35.12, 34.07。
【0057】
実施例3
化合物3:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(4-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0058】
【化13】
【0059】
化合物3を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率42.75%)。
【0060】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.85-14.39 (m, 1H), 10.89 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.12-7.83 (m, 2H), 7.66-7.45(m, 4H), 7.05 (s, 1H), 5.11 (d, J = 53.9 Hz, 2H), 4.87 (s, 2H), 4.16 (d, J = 31.2 Hz, 3H), 2.19 (s, 3H)。
【0061】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 153.97, 153.27, 149.29, 147.32, 146.62, 145.31, 144.72, 136.22, 133.57, 128.43, 125.67, 124.43, 123.76, 122.16, 115.42, 111.75, 107.45, 45.88, 41.11, 21.78。
【0062】
実施例4
化合物4:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(4-(tert-ブチル)ベンジル)-6-(6-クロロ-2-メチル)-イル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0063】
【化14】
【0064】
化合物4を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率35.46%)。
【0065】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.63-14.22 (m, 1H), 11.12 (s, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.09 - 7.87 (m, 2H), 7.65-7.43(m, 4H), 7.01 (s, 1H), 5.09 (d, J = 53.8 Hz, 2H), 4.86 (s, 2H), 4.06 (d, J = 31.6 Hz, 3H), 1.33 (s, 9H)。
【0066】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 152.56, 147.23, 146.92, 142.45, 139.85, 135.41, 134.02, 133.58, 130.56, 127.45, 126.46, 124.25, 122.26, 119.47, 117.74, 116.85, 116.36, 116.01, 111.72, 40.22, 35.47, 31.32。
【0067】
実施例5
化合物5:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(4-ニトロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0068】
【化15】
【0069】
化合物5を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率32.10%)。
【0070】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.94-14.53 (m, 1H), 11.06 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 7.95 - 7.83 (m, 2H), 7.53 - 7.21(m, 4H), 7.07 (s, 1H), 5.12 (d, J = 53.2 Hz, 2H), 4.92 (s, 2H), 4.21 (d, J = 31.1 Hz, 3H)。
【0071】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 153.97, 152.85, 151.51, 150.88, 148.78, 147.11, 145.49, 140.41, 138.32, 133.57, 128.17, 125.56, 122.16, 118.52, 114.72, 109.79, 50.18, 39.91, 36.25。
【0072】
実施例6
化合物6:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(4-メトキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0073】
【化16】
【0074】
化合物6を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率32.05%)。
【0075】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.74 - 14.32 (m, 1H), 10.89 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 8.03 - 7.62 (m, 2H), 7.32 - 7.13(m, 4H), 6.98 (s, 1H), 5.11 (d, J = 54.3Hz, 2H), 4.76 (s, 2H), 4.23 (d, J = 31.8 Hz, 3H), 3.81 (s,3H)。
【0076】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 155.47, 154.55, 153.71, 152.48, 149.58, 148.61, 146.12, 142.56, 139.98, 135.65, 129.23, 126.37, 123.73, 119.63, 116.85, 111.56, 54.23, 49.52, 41.02, 39.85。
【0077】
実施例7
化合物7:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(4-(トリフルオロメトキシ)ベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0078】
【化17】
【0079】
化合物7を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率26.36%)。
【0080】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.35-14.12 (m, 1H), 10.65 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.92 - 7.61 (m, 2H), 7.12-6.89(m, 4H), 6.73 (s, 1H), 4.96 (d, J = 53.9Hz, 2H), 4.61 (s, 2H), 4.02 (d, J = 31.2 Hz, 3H)。
【0081】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 156.01, 154.12, 152.45, 151.63, 149.46, 147.95, 145.48, 141.77, 138.45, 132.19, 129.45, 128.61, 125.63, 124.18, 118.17, 112.69, 111.93, 48.63, 40.14, 38.63。
【0082】
実施例8
化合物8:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(4-フルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0083】
【化18】
【0084】
化合物8を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率40.42%)。
【0085】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.93-14.52 (m, 1H), 10.94 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.12 - 7.88 (m, 2H), 7.43-7.25(m, 4H), 7.02 (s, 1H), 5.34 (d, J = 53.9 Hz, 2H), 4.85 (s, 2H), 4.09 (d, J = 31.8 Hz, 3H)。
【0086】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 159.57, 153.75, 152.67, 151.54, 147.69, 144.86, 142.45, 139.73, 136.83, 134.58, 127.32, 125.72, 122.85, 118.93, 115.15, 111.12, 47.38, 40.58, 38.92。
【0087】
実施例9
化合物9:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(4-クロロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0088】
【化19】
【0089】
化合物9を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率38.42%)。
【0090】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.65-14.30 (m, 1H), 10.81 (s, 1H), 8.86 (s, 1H), 8.09 - 7.56 (m, 2H), 7.23-7.09(m, 4H), 6.96 (s, 1H), 5.21 (d, J = 53.5 Hz, 2H), 4.77 (s, 2H), 3.92 (d, J = 31.5 Hz, 3H)。
【0091】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 153.68, 151.12, 150.45, 149.32, 147.45, 144.75, 142.18, 139.14, 136.25, 134.24, 127.47, 125.85, 122.36, 118.47, 115.41, 111.49, 47.78, 40.49, 38.14。
【0092】
実施例10
化合物10:(E)-3-((1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(4-ブロモフェニル)-6-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0093】
【化20】
【0094】
化合物10を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率39.77%)。
【0095】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.77-14.42 (m, 1H), 11.01 (s, 1H), 8.93 (s, 1H), 8.17 - 7.68 (m, 2H), 7.32-7.12(m, 4H), 7.01 (s, 1H), 5.44 (d, J = 53.6 Hz, 2H), 4.86 (s, 2H), 4.01 (d, J = 31.8 Hz, 3H)。
【0096】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 154.12, 153.98, 148.53, 142.23, 141.56, 139.42, 138.17, 137.45, 136.46, 130.58, 129.37, 127.41, 125.86, 122.16, 119.45, 113.98, 45.19, 40.86, 38.63。
【0097】
実施例11
化合物11:(E)-3-((1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-([1,1-ビフェニル]-4-イルメチル)-6-(((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0098】
【化21】
【0099】
化合物11を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率25.01%)。
【0100】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.75-14.32 (m, 1H), 11.23 (s, 1H), 8.71 (s, 1H), 7.99 - 7.82 (m, 2H), 7.65-7.43(m, 6H), 7.40-7.31 (s, 4H), 5.13 (d, J = 53.9 Hz, 2H), 4.79 (s, 2H), 4.13 (d, J = 31.9 Hz, 3H)。
【0101】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 153.74, 152.02, 148.43, 145.45,143.89, 141.43, 138.51, 136.58, 132.68, 132.42, 131.71, 129.56, 128.26, 127.78, 126.72, 119.56, 115.85, 114.74, 112.85, 111.41, 48.36, 47.58, 41.68。
【0102】
実施例12
化合物12:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0103】
【化22】
【0104】
化合物12を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率27.52%)。
【0105】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.89-14.56 (m, 1H), 11.10 (s, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.19 - 7.92 (m, 2H), 7.52-7.36(m, 4H), 7.14 (s, 1H), 5.46 (d, J = 53.8 Hz, 2H), 4.92 (s, 2H), 4.13 (d, J = 31.7 Hz, 3H)。
【0106】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 155.12, 152.83, 148.58, 142.52, 141.76, 139.79, 137.85, 135.56, 131.03, 129.46, 128.73, 126.86, 125.87, 124.41, 123.38, 119.24, 113.16, 46.10, 41.78, 40.23。
【0107】
実施例13
化合物13:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(3,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0108】
【化23】
【0109】
化合物13を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率26.44%)。
【0110】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.91-14.45 (m, 1H), 11.05 (s, 1H), 8.45 (s, 1H), 8.15- 7.89 (m, 2H), 7.74-7.56(m, 3H), 7.12 (s, 1H), 5.15 (d, J = 54.1 Hz, 2H), 4.93 (s, 2H), 4.21 (d, J = 31.5 Hz, 3H), 2.21-2.19 (s, 6H)。
【0111】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 153.76, 151.23, 149.58, 145.59, 143.53, 141.81, 139.52, 135.45, 133.76, 129.57, 128.53, 123.89, 121.43, 120.83, 117.36, 115.81, 47.25, 45.43, 43.57, 25.69。
【0112】
実施例14
化合物14:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(3,5-ジメトキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0113】
【化24】
【0114】
化合物14を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率24.93%)。
【0115】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.96-14.51 (m, 1H), 11.09 (s, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.22- 7.72 (m, 2H), 7.63-7.51(m, 3H), 7.21 (s, 1H), 5.13 (d, J = 54.2 Hz, 2H), 4.89 (s, 2H), 4.11 (d, J = 31.4 Hz, 3H), 3.81 (s, 6H)。
【0116】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 161.45, 155.75, 152.41, 149.47, 145.15, 143.78, 141.47, 135.12, 132.49, 128.57, 126.47, 121.74, 119.38, 115.56, 109.53, 104.41, 54.13, 45.58, 43.76, 41.15。
【0117】
実施例15
化合物15:(E)-3-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-1-(3,5-ジフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0118】
【化25】
【0119】
化合物15を、異なる出発物質を使用して化合物1(実施例1)と同じ方法で、調製した(収率26.78%)。
【0120】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 14.86-14.47 (m, 1H), 10.95 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.78-7.21 (m, 5H), 7.15 (s, 1H), 5.65 (d, J = 54.2 Hz, 2H), 4.84 (s, 2H), 4.11 (d, J = 31.7 Hz, 3H)。
【0121】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 159.47, 155.82, 154.73, 148.78, 146.45, 143.61, 141.83, 137.82, 132.41, 128.85, 126.49, 120.53, 118.88, 116.52, 109.62, 106.87, 52.98, 41.91, 39.15。
【0122】
実施例16
化合物16:(E)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0123】
(1)化合物a16の調製
調製方法は、実施例1と同じである。
【0124】
(2)化合物c16の調製
調製方法は、実施例1と同じである。
【0125】
(3)化合物d16の調製
調製方法は、実施例1と同じである。
【0126】
(4)化合物e16の調製
調製方法は、実施例1における化合物1の調製と同じである。
【0127】
(5)化合物16の調製
【化26】
【0128】
ビスジベンジリデンアセトンパラジウム(6.9mg、0.012mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィン)-3,6-ジメトキシ-2’-4’-6’トリ-1-プロピル-1,1’-ビスフェニル(8.7mg、0.018mmol)、およびリン酸カリウム(95.5mg、0.45mmol)を、1.5mLの1,4-ジオキサンの入った反応器に入れ、120℃で5分間、撹拌および加熱し、その後室温に冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸メチル(49.2mg、0.3mmol)およびステップ(4)で調製した化合物e16(186.4mg、0.36mmol)を加え、次いで、反応混合物を70℃で24時間撹拌した。反応終了後、反応液を希釈し、ジクロロメタン溶液で抽出し、有機相を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(移動相としてジクロロメタン:メタノール(V:V)=12:1)で分離精製し、乾燥して33.6mgの化合物16(収率21.03%)を得た。
【0129】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 11.95-10.12 (m, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.74-7.41 (m, 4H), 7.01 (s, 1H), 5.45 (d, J = 53.9 Hz, 2H), 4.85 (s, 2H), 4.22 (d, J = 31.7 Hz, 6H)。
【0130】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 156.78, 154.72, 153.51, 149.43, 148.85, 146.45, 145.89, 143.82, 141.71, 137.82, 134.53, 131.74, 125.71, 122.86, 121.46, 116.78, 112.16, 107.82, 55.18, 37.51, 35.05, 31.76。
【0131】
実施例17
化合物17:(E)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-3-(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0132】
【化27】
【0133】
化合物17を、異なる出発物質を使用して化合物16(実施例16)と同じ方法で、調製した(収率23.52%)。
【0134】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 11.78-10.23 (m, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.45-7.31 (m, 4H), 6.98 (s, 1H), 5.75 (d, J = 53.8 Hz, 2H), 4.65 (s, 2H), 4.17 (d, J = 31.7 Hz, 5H), 2.23 (s, 3H)。
【0135】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 157.47, 154.56, 153.63, 149.12, 148.78, 146.86, 145.75, 143.46, 142.25, 137.74, 135.76, 131.58, 125.43, 122.86, 121.74, 117.73, 114.63, 109.39, 54.52, 35.23, 34.47, 31.25, 15.36。
【0136】
実施例18
化合物18:(E)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-3-(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-(イル)メチル)-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0137】
【化28】
【0138】
化合物18を、異なる出発物質を使用して化合物16(実施例16)と同じ方法で、調製した(収率22.41%)。
【0139】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 11.07-10.96 (m, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.49-7.14 (m, 4H), 6.67 (s, 1H), 5.48 (d, J = 53.7 Hz, 2H), 4.27 (s, 2H), 4.11 (d, J = 31.5 Hz, 3H), 2.24 (s, 1H), 1.61 (s, 3H), 1.04 (s, 3H)。
【0140】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 159.13, 154.35, 153.25, 149.31, 148.35, 146.35, 145.64, 143.67, 142.15, 138.75, 136.58, 132.96, 127.24, 123.85, 121.46, 118.45, 114.42, 108.74, 54.96, 36.24, 33.57, 31.85, 28.75, 15.32。
【0141】
実施例19
化合物19:(E)-6-(2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-3-(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(4-フルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0142】
【化29】
【0143】
化合物19を、異なる出発物質を使用して化合物16(実施例16)と同じ方法で、調製した(収率24.70%)。
【0144】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 10.97-10.76 (m, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.56-7.24 (m, 5H), 6.34 (s, 1H), 5.67 (d, J = 53.6 Hz, 2H), 4.24 (s, 2H), 4.01 (d, J = 31.7 Hz, 3H), 2.12 (s, 1H), 1.46 (s, 3H), 1.14 (s, 3H)。
【0145】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 159.32, 154.56, 153.76, 149.24, 148.75, 146.24, 145.42, 143.74, 142.57, 138.58, 136.97, 132.35, 127.24, 121.46, 118.75, 114.46, 108.35, 54.74, 36.35, 33.68, 31.46, 28.68, 15.57。
【0146】
実施例20
化合物20:(E)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-3-(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(4-フルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0147】
【化30】
【0148】
化合物20を、異なる出発物質を使用して化合物16(実施例16)と同じ方法で、調製した(収率23.76%)。
【0149】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 10.89-10.66 (m, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.45-7.14 (m, 4H), 6.64 (s, 1H), 5.23 (d, J = 53.7 Hz, 2H), 4.46 (s, 2H), 4.13 (d, J = 31.5 Hz, 3H), 2.23 (s, 1H), 1.26 (s, 3H), 1.09 (s, 3H)。
【0150】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 159.46, 154.85, 153.35, 149.86, 148.46, 146.35, 145.46, 143.35, 142.25, 138.47, 136.63, 132.85, 127.58, 121.85, 118.25, 114.86, 108.35, 54.85, 36.46, 33.75, 31.68, 28.86, 15.24。
【0151】
実施例21
化合物21:(E)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-3-(1-シクロプロピル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0152】
(1)化合物a21の調製
調製方法は、実施例1と同じである。
【0153】
(2)化合物c21の調製
調製方法は、実施例1と同じである。
【0154】
(3)化合物d21の調製
調製方法は、実施例1と同じである。
【0155】
(4)化合物21の調製
【化31】
【0156】
アジ化ナトリウム(598.1mg、9.2mmol)およびブロモシクロプロパン(240μL、3mmol)を反応器に入れ、乾燥DMF5mLに溶解し、反応混合物を60℃で一晩撹拌し、TLCでモニターした。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、ブラインおよびテトラヒドロフランで抽出し、テトラヒドロフラン層を回収し、5%塩化リチウム溶液で洗浄し、MgSOで乾燥して、アジドシクロプロパンを得た。
【0157】
化合物d21(142.4mg、0.3mmol)、アジドシクロプロパン(29.9mg、0.36mmol)、硫酸銅五水和物(30.0mg、0.12mmol)およびアスコルビン酸ナトリウム(23.8mg、0.12mmol)を反応器に入れ、アルゴン保護下で、テトラヒドロフラン10mLと水1mLとの混合溶液に溶解し、45℃で一晩加熱撹拌しTLCでモニターをした。反応終了後、得られた反応液を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(移動相としてジクロロメタン:メタノール(V:V)=12:1)で分離精製し、乾燥して35.2mgの化合物21(収率21.03%)を得た。
【0158】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 11.01-10.36 (m, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.56-7.25 (m, 4H), 7.12 (s, 1H), 5.38 (d, J = 53.7 Hz, 2H), 4.76 (s, 2H), 4.52 (d, J = 31.5 Hz, 3H), 2.56 (s, 1H), 1.21 (s, 2H), 0.86 (s, 2H)。
【0159】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 158.45, 155.86, 154.56, 149.86, 148.43, 146.76, 145.41, 143.78, 142.52, 138.47, 136.71, 132.78, 127.78, 123.52, 121.02, 118.57, 114.18, 108.75, 54.13, 36.85, 33.54, 31.17, 2.15。
【0160】
実施例22
化合物22:(E)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-3-(1-イソプロピル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0161】
【化32】
【0162】
化合物22を、異なる出発物質を使用して化合物21(実施例21)と同じ方法で、調製した(収率21.30%)。
【0163】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 11.21-10.76 (m, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.36-7.15 (m, 4H), 6.88 (s, 1H), 5.18 (d, J = 53.6 Hz, 2H), 4.36 (s, 2H), 4.01 (d, J = 31.7 Hz, 3H), 2.16 (s, 1H), 1.71 (s, 3H), 1.06 (s, 3H)。
【0164】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 158.32, 154.86, 153.78, 149.12, 148.03, 146.54, 145.15, 143.36, 142.22, 138.67, 136.63, 132.53, 127.85, 123.32, 121.45, 118.80, 114.53, 108.67, 54.14, 36.56, 33.24, 31.09, 28.14。
【0165】
実施例23
化合物23:(E)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-3-(1-イソブチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0166】
【化33】
【0167】
化合物23を、異なる出発物質を使用して化合物21(実施例21)と同じ方法で、調製した(収率19.22%)。
【0168】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 10.34-10.32 (m, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.25-7.11 (m, 4H), 6.56 (s, 1H), 5.27 (d, J = 53.7 Hz, 2H), 4.25 (s, 2H), 4.04 (d, J = 31.2 Hz, 3H), 2.16 (s, 1H), 1.16 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 0.81 (s, 2H)。
【0169】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 159.26, 154.67, 153.36, 149.17, 148.58, 146.37, 145.57, 143.36, 142.36, 138.58, 136.25, 132.48, 127.24, 123.69, 121.36, 118.58, 114.68, 108.35, 54.66, 36.96, 33.24, 31.68, 28.46, 19.78。
【0170】
実施例24
化合物24:(E)-6-(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-3-(1-シクロブチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル)-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
【0171】
【化34】
【0172】
化合物24を、異なる出発物質を使用して化合物21(実施例21)と同じ方法で、調製した(収率17.56%)。
【0173】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 10.78-10.12 (m, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.15-7.01 (m, 4H), 6.16 (s, 1H), 5.54 (d, J = 53.5 Hz, 2H), 4.42 (s, 2H), 4.11 (d, J = 31.4 Hz, 3H), 2.31 (s, 1H), 1.82 (s, 3H), 1.46 (s, 3H)。
【0174】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 158.56, 154.12, 153.16, 149.67, 148.36, 146.37, 145.27, 143.19, 142.19, 138.53, 136.48, 132.49, 127.19, 123.95, 121.10, 118.56, 114.57, 108.47, 54.95, 36.26, 33.96, 31.35, 28.36, 15.64。
【0175】
2.生理活性アッセイ
【0176】
(1)3CLpro阻害活性試験
SARS-CoV-2 3CLproに対する化合物の阻害活性は、蛍光共鳴エネルギー移動を用いて測定した。
【0177】
様々な濃度(最終濃度1000、500、250、125、62.5、31.25、15.63、7.81、3.90、1.95nM、DMSO中)で調製した化合物溶液10μLとSARS-CoV-2 3CLpro(Shanghai Biyuntian Biotechnology Co.,Ltd.、最終濃度:0.5μM、Tris-HCl緩衝液(20mM Tris-HCl、100 mM NaCl、1mM EDTA、pH7.4)で希釈))40μLとを混合し、黒色の96ウェルプレートに加え、37℃で10分間インキュベートした。蛍光基質Dabcyl-KTSAVLQSGFRKME-Edans(Shanghai Biyuntian Biotechnology Co.,Ltd.、最終濃度:20μM)を50μL加えて反応を開始し、10分間インキュベートし、蛍光検出用の多機能マイクロプレートリーダー(Thermo Fisher Scientific Co.,Ltd.、Varioskan Flash)により測定を行った(励起波長:340nm、発光波長:490nm)。蛍光値を記録し、試料の阻害率を算出した。酵素活性対照として、化合物を含まないDMSOを使用し、ブランク対照として、SARS-CoV-2 3CLproを含まないTris-HClバッファーを使用し、処理方法は同じであった。試料(化合物1~化合物9)のIC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを用いた非線形回帰分析により算出した。
【0178】
阻害率(%)=(RFU酵素活性対照-RFU試料)/(RFU_酵素活性対照-RFU_ブランク対照)×100%
【0179】
実験結果を表1および表2に示す(表1中、IC50の欄、A:IC50<100nM、B:IC50=200~500nM、C:500~1000nM、D:>1000nM)、実施例の化合物はいずれも3CLproに対して阻害活性を有しており、なかでも化合物1、化合物7、化合物12、化合物15、化合物16、化合物17、化合物18、化合物22および化合物23は、IC50値が100nM未満と、3CLproに対して強い阻害作用を有する。
【0180】
【表1】
【0181】
【表2】
【0182】
表1および表2のデータは、化合物1~24はいずれも3CLproに対して異なる程度の阻害を有することを示した。3CLproに対する化合物1、化合物7、化合物12、化合物15、化合物16、化合物17、化合物18、化合物22および化合物23のIC50値は、すべて200nM未満であり、コロナウイルス3CLproに対する3-トリアゾリルメチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジケトンの阻害活性が示された。具体的には、3CLproに対する化合物1、化合物12、化合物17のIC50は、それぞれ96.60nM、177.8nM、123.2nMであり、なかでも化合物1は最も優れた阻害活性(IC50<100nM)を有しており、抗コロナウイルス薬として開発および応用され得る。
【0183】
(2)3CLpro細胞毒性試験
化合物1、化合物12および化合物17のin vitro細胞毒性は、MTT法により評価した。HepG2、HEK293およびA549細胞を対数増殖期に採取し、トリプシンで消化し、細胞懸濁液を調製した。細胞密度を5×10細胞数/mLに調整し、滅菌済み96ウェル細胞培養プレートに1ウェルあたり180μL接種し、5%COインキュベーター内で、37℃で24時間インキュベートした。ウェルプレートの底に細胞が付着した後、濃度勾配をつけた薬液を各ウェルに20μLずつ加え、ブランク群(細胞なし、化合物なし)、対照群(化合物なし)を含む6つのデュプリケートウェルを並行して設定した。5%COインキュベーター内で、37℃で24時間インキュベートした後、各ウェルに5g/LのMTT溶液20μLを添加して4時間インキュベートした。インキュベート後、ウェル内の培養液を静かに吸引し、各ウェルに100μLのDMSOを添加し、シェーカー上で低速で10分間振とうして結晶を完全に溶解し、細胞生存率を算出した。その結果を表3~5に示す。
【0184】
細胞生存率(%)=(サンプル群OD値-ブランク群OD値)/(対照群OD値-ブランク群OD値)
【0185】
【表3】
【0186】
【表4】
【0187】
【表5】
【0188】
表3~表5は、A549細胞、HEK293細胞およびHepG2細胞に対するPF-07321332、S-217622、および代表的な化合物1、化合物12および化合物17の、それぞれ様々な濃度における阻害率を示す。かかるデータは、A549細胞、HepG2細胞およびHEK293細胞に対する化合物1の阻害率が、いずれの濃度においてもPF-07321332およびS-217622の阻害率より低いことを示す。試験した3種の細胞に対する400nMおよび200nMでの化合物12および化合物17については、毒性はPF-07321332およびS-217622よりもわずかに高かったが、A549細胞、HEK293およびHepG2細胞を12.5nM以下で処理した場合、細胞生存率はPF-07321332およびS-217622よりも高かった。要約すると、化合物1は、3CLプロテアーゼに対して良好な阻害活性と低毒性という特徴を有しており、さらに研究され得る。
【0189】
上記の内容は、本発明の技術的思想を説明するためのものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の技術的思想に基づいて提案された技術的解決策に基づいて行われるいかなる変更も、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【外国語明細書】