(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177250
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】リーフディスク型フィルター
(51)【国際特許分類】
B29C 48/69 20190101AFI20231206BHJP
B01D 29/39 20060101ALI20231206BHJP
B01D 46/10 20060101ALI20231206BHJP
B29L 31/14 20060101ALN20231206BHJP
【FI】
B29C48/69
B01D29/34 501C
B01D29/34 520Z
B01D46/10 A
B29L31:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066877
(22)【出願日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2022088241
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井ノ本 健
(72)【発明者】
【氏名】宮地 彼方
【テーマコード(参考)】
4D058
4D116
4F207
【Fターム(参考)】
4D058JA12
4D058JA19
4D058KA08
4D058KA14
4D058KC51
4D116AA15
4D116BB04
4D116BB06
4D116BC06
4D116BC76
4D116DD03
4D116EE01
4D116EE02
4D116EE12
4D116FF20B
4D116GG02
4D116GG03
4D116GG12
4D116GG21
4D116GG23
4D116KK04
4D116QB04
4D116QB11
4D116QB13
4D116QB16
4D116QB22
4D116QB23
4D116QB50
4D116VV16
4F207AJ08
4F207AM10
4F207KA01
4F207KL40
(57)【要約】
【課題】
本発明は、内部で生じる異物の少ないリーフディスク型フィルターを提供する。
【解決手段】
本発明のリーフディスク型フィルターは、隙間をあけて対向し、それぞれの一方の端部で前記隙間を塞ぐように結合している、流体を濾過して隙間へ流す第1の濾材部および第2の濾材部と、隙間に配置され、当該隙間を維持するように第1の濾材部と第2の濾材部とを支持するリテーナー部と、第1の濾材部および第2の濾材部のそれぞれの他方の端部に接続し、隙間と連通して流体を当該リーフディスク型フィルターの外部へ排出するハブ部と、を有し、第1の濾材部と第2の濾材部とが一体で成形されて結合している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーフディスク型フィルターであって、
隙間をあけて対向し、それぞれの一方の端部で前記隙間を塞ぐように結合している、流体を濾過して前記隙間へ流す第1の濾材部および第2の濾材部と、
前記隙間に配置され、当該隙間を維持するように前記第1の濾材部と前記第2の濾材部とを支持するリテーナー部と、
前記第1の濾材部および前記第2の濾材部のそれぞれの他方の端部に接続し、前記隙間と連通して前記流体を当該リーフディスク型フィルターの外部へ排出するハブ部と、を有し、
前記第1の濾材部と前記第2の濾材部とが一体で成形されて結合している、
リーフディスク型フィルター。
【請求項2】
前記第1の濾材部または前記第2の濾材部の少なくとも一方が、前記リテーナー部と一体で成形されて結合している、請求項1のリーフディスク型フィルター。
【請求項3】
前記第1の濾材部、前記第2の濾材部または前記リテーナー部の少なくとも1つが前記ハブ部と一体で成形されて結合している、請求項1または2のリーフディスク型フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーフディスク型フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質体を通して流体中の異物を除去し、品質低下や工程トラブルを防止するためにフィルターが使用される。例えば、化学繊維の分野においては、溶融ポリマー中の異物を金属フィルターによって濾過することにより、紡糸、製膜の品質向上を図っている。このフィルターには様々な種類があるが、高粘度、大流量の流体に適したものにリーフディスク型フィルターがある。
図4は、一般的なリーフディスク型フィルターの周方向に垂直な断面図である。
図4に示すように、一般的なリーフディスク型フィルターは、隙間6をあけて対向し、それぞれの一方の端部で隙間6を塞ぐように結合している、流体を濾過して隙間6へ流す第1の濾材部1および第2の濾材部2と、隙間6に配置され、第1の濾材部1と第2の濾材部2を支持するリテーナー部3と、第1の濾材部1と第2の濾材部2のそれぞれの他方の端部に接続し、隙間6と連通して流体を外部へ排出するハブ部4と、で構成されている。リーフディスク型フィルターは流体に混入している異物を第1の濾材部1と第2の濾材部2で除去し、ハブ部4から外部へ排出する。しかし、このリーフディスク型フィルター内で新たに異物が混入することがある。例えば、溶融ポリマーの劣化物である。リーフディスク型フィルター内は複数の部材から構成され、また流体の流れる流路が狭く、複雑なため、流体が滞留する部分が多い。そのような滞留部で高温状態のまま長時間経過した溶融ポリマーは劣化して劣化物が発生する。
【0003】
滞留部を減らして劣化物の発生を抑制するリーフディスク型フィルターの技術として、特許文献1には、ハブ部材に設けられた透孔の開口付近の滞留部を減らす目的で、凸状部を設けたポリマーフィルター用ハブが開示されている。
図5は、特許文献1のポリマーフィルター用ハブの周方向および軸方向に垂直な断面図である。
図5に示すように特許文献1のポリマーフィルター用ハブは、フィルター濾材1、2と、リテーナー3と、複数の透孔5を設けたハブ4と、で構成されている。リテーナー3を挟んでフィルター濾材1と2を重ね合わせ、外周部7で互いを結合し、内周部をハブ4と結合することで、溶融ポリマーが流れる濾過室6を形成する。濾過室6から流れて来た溶融ポリマーがハブ4で各透孔5に分かれて流入するため、隣り合う透孔5の開口付近には滞留部が生じる。それに対して、滞留する部分に凸状部8を設けることで、滞留部を減らすことができる。
【0004】
また、滞留部を減らして劣化物の発生を抑制するリーフディスク型フィルターの別の技術として、特許文献2には、リテーナー部として一般的に使用されるメッシュで生まれる滞留部を減らす目的で、濾材の内面に凸状の支持部を設けた焼結フィルターが開示されている。
図6は、特許文献2の焼結フィルターの周方向および軸方向に垂直な断面図である。
図6に示すように、特許文献2の焼結フィルターは、焼結で作られた凸状の支持部3を設けた濾材1と、凸状の支持部31を設けた濾材2と、芯金具4と、で構成されている。支持部3、31を内面にして濾材1と濾材2を重ね合わせ、外周部7を閉塞し、内周部を芯金具4と結合することで、溶融ポリマーが流れる濾過室6を形成する。メッシュよりも単純な形状の支持部3、31で濾過室6を形成することで、滞留部を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6198139号公報
【特許文献2】特許第4843159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リーフディスク型フィルター内で新たに混入する異物には、リーフディスク型フィルターを構成する部材の破片もある。この破片の発生原因ははっきりしていないが、発生原因のひとつとして、焼結で成型された濾材部から脱落したものが考えられる。しかしながら、上記の特許文献1および特許文献2の技術では、滞留による劣化物を減らすことはできるが、リーフディスク型フィルターを構成する部材の破片に関しては何ら開示されておらず、これらの異物を減らすことはできない。このように、滞留物や破片も含めて、内部で生じる異物の少ないリーフディスク型フィルターが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明のリーフディスク型フィルターは、隙間をあけて対向し、それぞれの一方の端部で前記隙間を塞ぐようにつながっている、流体を濾過して上記隙間へ流す第1の濾材部および第2の濾材部と、上記隙間に配置され、当該隙間を維持するように上記第1の濾材部と上記第2の濾材部を支持するリテーナー部と、上記第1の濾材部および上記第2の濾材部のそれぞれの他方の端部に接続し、上記隙間と連通して上記流体を当該リーフディスク型フィルターの外部へ排出するハブ部と、を有し、さらに下記(1)~(8)のいずれか、またはこれら複数の態様を有している。
【0008】
(1)上記第1の濾材部と上記第2の濾材部とが一体で成形されて結合している。
(2)上記第1の濾材部または上記第2の濾材部の少なくとも一方が、上記リテーナー部と一体で成形されて結合している。
(3)上記第1の濾材部、上記第2の濾材部または上記リテーナー部の少なくとも1つが上記ハブ部と一体で成形されて結合している。
(4)上記ハブ部が多孔質体であり、好ましくは上記ハブ部の内部で耐荷重部の空孔率が他よりも低くなっている。
(5)上記リテーナー部が多孔質体であり、好ましくは上記リテーナー部の内部で空孔率が異なっている。
(6)上記リテーナー部の全体が一体で成形されている。
(7)上記第1の濾材部または前記第2の濾材部の少なくとも一方が、全体が一体で成形されている。
(8)上記リテーナー部と上記ハブ部とが一体で成形されて結合している。
【0009】
次に、本発明における各用語の意味を説明する。
「流体」とは、気体や液体の材料である。流体としては、空気、ガス、液体、溶融ポリマーなどであるが、これらに限らない。複数種類の流体が混合されていてもよい。
【0010】
「一体で成形されて結合している」とは、個別に成形された2つ以上の部材が、ボルト締結、溶接、ロウ付け、接着、焼結などで結合しているのではなく、2つ以上の部材が一体で成形されて、ボルト締結、溶接、ロウ付け、接着、焼結などを用いずに結合していることである。
【0011】
「全体が一体で成形されている」とは、1つの部材が、複数の部品が組合わされて構成されているのではなく、1つの部材の全体が一体で成形されており、複数の部品に分けられないようになっていることである。
【0012】
「第1の濾材部」、「第2の濾材部」とは、流体を濾過する円盤状の多孔質体である。材質としては、樹脂、金属、セラミックなどであるが、これらに限らない。濾材部の内部で、材質、空孔率、ろ過精度、孔形状が異なってもよい。空孔率は20~80%の範囲が好ましい。空孔率が20%以上であると無孔部分での流体の滞留を抑制でき、80%以下であると濾材部の破損を抑制できる。同じ濾材部の内部での空孔率のばらつきは±10%以内が好ましい。空孔率のばらつきが±10%以内であると流体が濾材全体を均一に流れて滞留を抑制できる。ろ過精度は1~100μmの範囲が好ましい。ろ過精度が1μm以上であると目詰まりを抑制でき、100μm以下であると製品での異物トラブルを抑制できる。
【0013】
「隙間」とは、第1の濾材部と第2の濾材部との間に形成され、流体が流れる空間である。
【0014】
「リテーナー部」とは、隙間に配置され、この隙間を維持するように第1の濾材部と第2の濾材部を支持する部分である。材質としては、樹脂、金属、セラミックなどであるが、これらに限らない。多孔質体でもよい。リテーナー部の内部で、材質、空孔率、孔形状が異なってもよい。
【0015】
「ハブ部」とは、隙間と連通して、流体をリーフディスク型フィルターの外部へ排出する部分である。材質としては、樹脂、金属、セラミックなどであるが、これらに限らない。多孔質体でもよい。ハブ部の内部で、材質、空孔率、孔形状が異なってもよい。ハブ部は、流体を外部へ排出する流路を有する。
【0016】
「耐荷重部」とは、ハブ部の一部分で、リーフディスク型フィルターを使用する際に当該リーフディスク型フィルター以外の部材と接触する付近の部分である。当該リーフディスク型フィルター以外の部材としては、隣接するリーフディスク型フィルター、リーフディスク型フィルター間に設置されたガスケットなどであるが、これらに限らない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リーフディスク型フィルター内部で発生する異物を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の濾材部と第2の濾材部とが一体で成形されて結合している本発明のリーフディスク型フィルターの周方向に垂直な断面図である。
【
図2】第1の濾材部および第2の濾材部とリテーナー部とが一体で成形されて結合している本発明のリーフディスク型フィルターの周方向に垂直な断面図である。
【
図3】第1の濾材部、第2の濾材部およびリテーナー部とハブ部とが一体で成形されて結合している本発明のリーフディスク型フィルターの周方向に垂直な断面図である。
【
図4】一般的なリーフディスク型フィルターの周方向に垂直な断面図である。
【
図5】特許文献1のポリマーフィルター用ハブの周方向および軸方向に垂直な断面図である。
【
図6】特許文献2の焼結フィルターの周方向および軸方向に垂直な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明について詳細に述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施形態に限定されるものではない。
図1~3は本発明のリーフディスク型フィルターに関する図である。なお、従来の技術と同じ用途および機能を有している部材については、同じ符号を有している場合がある。
【0020】
本発明者らはリーフディスク型フィルターを構成する部材の破片について実験、理論計算を重ねた結果、部材間の接触によって発生した破片であることを見出した。
図4に示すように、一般的なリーフディスク型フィルターは、各部材が接触している、または部分的にしか結合されていない。例えば、第1の濾材部1と第2の濾材部2は外周部を溶接11などで、第1の濾材部1および第2の濾材部2はハブ部4と溶接12などで、リテーナー部3はハブ部4と溶接13などで結合している。このように溶接などで結合すると、接触面の一部のみしか結合できないため、結合されていない接触面が残る。さらに第1の濾材部1および第2の濾材部2はリテーナー部3と接触しているだけで、結合はされていない。このような状態で、加熱や流体圧によるリーフディスク型フィルターの変形で、接触面で部材同士が擦れあい、部材の一部が脱落して異物となる。そこで、本発明者らはさらに鋭意検討を重ねた結果、部材同士の接触面が少ない本発明のリーフディスク型フィルターを見出した。
【0021】
本発明のリーフディスク型フィルターを説明する。
図1は本発明のリーフディスク型フィルターの一態様の概要図であり、周方向に垂直な断面図である。
図1に示すように、本発明のリーフディスク型フィルターは、一般的なリーフディスク型フィルターと同様に、隙間6をあけて対向し、それぞれの一方の端部で隙間6を塞ぐように結合している、流体を濾過して隙間6へ流す第1の濾材部1および第2の濾材部2と、隙間6に配置され、隙間6を維持するように第1の濾材部1と第2の濾材部2を支持するリテーナー部3と、第1の濾材部1とおよび第2の濾材部2のそれぞれの他方の端部と接続し、隙間6と連通して流体をリーフディスク型フィルターの外部へ排出するハブ部4と、で構成されている。
【0022】
さらに本発明のリーフディスク型フィルターは、
図1に示すように、第1の濾材部1と第2の濾材部2とが一体で成形されて結合していることが好ましい。このような態様になっていることで、部材同士の接触面を減らし、部材同士の擦れあいによる部材の脱落を抑制できる。
【0023】
本発明のリーフディスク型フィルターは、第1の濾材部または第2の濾材部の少なくとも一方が、リテーナー部と一体で成形されて結合していることが好ましい。
図2は、本発明のリーフディスク型フィルターの別態様の概要図であり、周方向に垂直な断面図である。
図2に示すように、本態様のリーフディス型フィルタークは、
図1に示すリーフディスク型フィルターの態様に加えて、さらに第1の濾材部1および第2の濾材部2の両方がリテーナー部3と一体で成形されて結合している。このような態様になっていることで、
図1の態様よりもさらに部材同士の接触面を減らし、部材同士の擦れあいによる部材の脱落を抑制できる。
【0024】
本発明のリーフディスク型フィルターは、第1の濾材部1または第2の濾材部2の一方が、リテーナー部3と一体で成形されて結合していている態様であっても、部材同士の接触面が減るので、部材同士の擦れあいによる部材の脱落を抑制できるが、
図2のように、第1の濾材部1および第2の濾材部2の両方がリテーナー部3と一体で成形されて結合している態様がより好ましい。
【0025】
本発明のリーフディスク型フィルターは、第1の濾材部、第2の濾材部またはリテーナー部の少なくとも一つがハブ部と一体で成形されて結合していることが好ましい。
図3は、本発明のリーフディスク型フィルターの別態様の概要図であり、周方向に垂直な断面図である。
図3に示すように、本態様のリーフディスク型フィルターは、
図2に示すリーフディスク型フィルターの態様に加えて、さらに第1の濾材部1、第2の濾材部2およびリテーナー部3の全てがハブ部4と一体で形成されて結合している。このような態様になっていることで、
図2の態様よりもさらに部材同士の接触面を減らし、部材同士の擦れあいによる部材の脱落を抑制できる。
【0026】
本発明のリーフディスク型フィルターは、第1の濾材部1、第2の濾材部2またはリテーナー部3のいずれか1つまたは2つがハブ部と一体で成形されて結合している態様であっても、部材同士の接触面が減るので、部材同士の擦れあいによる部材の脱落を抑制できるが、
図3のように、第1の濾材部1、第2の濾材部2およびリテーナー部3の全てがハブ部4と一体で形成されて結合している態様がより好ましい。
【0027】
本発明のリーフディスク型フィルターは、(i)第1の濾材部1と第2の濾材部2とが一体で成形されて結合している、(ii)第1の濾材部または第2の濾材部の少なくとも一方が、リテーナー部と一体で成形されて結合している、または(iii)第1の濾材部、第2の濾材部またはリテーナー部の少なくとも一つがハブ部と一体で成形されて結合している、のいずれか1つを満たす態様であっても部材同士の接触面が減るので、部材同士の擦れあいによる部材の脱落を抑制できるが、上記(i)~(iii)の複数を満たす態様であるのが好ましい。
【0028】
本発明のリーフディスク型フィルターは、部材同士を一体で成形して結合することで、部材の脱落を抑制できることの他に、溶接などの結合部や接触面での滞留を減らし、劣化物の発生も低減することもできる。
【0029】
本発明のリーフディスク型フィルターは、ハブ部が多孔質体であることが好ましい。ハブ部を多孔質体にすることで、第1の濾材部の外側から第1の濾材部の内部をとおって、もしくは第2の濾材部の外側から第2の濾材部の内部をとおって隙間に入り、隙間を流れてハブ部に至った流体、第1の濾材部の外側から第1の濾材部の内部をとおって、もしくは第2の濾材部の外側から第2の濾材部の内部をとおって、隙間には入らずに直接ハブ部に至った流体、またはリーフディスク型フィルターの外部から直接ハブ部に至った流体がハブ部の内部に流れやすくなり、リーフディスク型フィルターでの圧力損失が低減し、リーフディスク型フィルターの変形を抑制することができる。さらに流体の流れが遅い領域も低減し、滞留も抑制することができる。
【0030】
ハブ部が多孔質体であることに加え、ハブ部の内部で耐荷重部の空孔率が他よりも低いことが好ましい。耐荷重部の空孔率を低くし、他の空孔率を高くすることで、強度を維持しながら流体の流れをさらに円滑にし、リーフディスク型フィルターの変形を抑制することができる。さらに流体の流れが遅い領域も低減し、滞留も抑制することができる。
【0031】
本発明のリーフディスク型フィルターは、リテーナー部が多孔質体であることが好ましい。リテーナー部を多孔質体にすることで、第1の濾材部と第2の濾材部との間の隙間を流れる流体がハブ部まで流れやすくなり、リーフディスク型フィルターでの圧力損失が低減し、リーフディスク型フィルターの変形を抑制することができる。さらに流体の流れが遅い領域も低減し、滞留も抑制することができる。
【0032】
リテーナー部が多孔質体であることに加え、リテーナー部の内部で空孔率が異なることが好ましい。リテーナー部の内部で空孔率を変え、強度が必要でない部分の空孔率を上げることで、流体の流れをさらに円滑にし、リーフディスク型フィルターの変形を抑制することができる。さらに流体の流れが遅い領域も低減し、滞留も抑制することができる。
【0033】
本発明のリーフディスク型フィルターは、リテーナー部の全体が一体で成形されていることが好ましい。リテーナー部の全体が一体で成形されていることで、リテーナー部の内部での擦れあいを低減し、部材の脱落を抑制できる。さらに流体の流れが遅い領域も低減し、滞留も抑制することができる。
【0034】
本発明のリーフディスク型フィルターは、第1の濾材部または第2の濾材部の少なくとも一方が、全体が一体で成形されていることが好ましい。第1の濾材部または第2の濾材部の全体が一体で成形されていることで、濾材部の内部での擦れあいを低減し、部材の脱落を抑制できる。さらに流体の流れが遅い領域も低減し、滞留も抑制することができる。
【0035】
本発明のリーフディスク型フィルターは、リテーナー部とハブ部とが一体で成形されて結合していることが好ましい。リテーナー部とハブ部が一体で成形されて結合していることで、リテーナー部とハブ部との擦れあいを低減し、部材の脱落を抑制できる。さらに流体の流れが遅い領域も低減し、滞留も抑制することができる。
【実施例0036】
[実施例1]
SUS316Lを材料として3Dプリンターを用いて製作した
図1に示すリーフディスク型フィルターを用いて、実際にシートを製造して評価した結果を説明する。本実施形態における具体的なシートの成形方法は以下の通りである。
(1)流体:ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(東レ(株)製熱可塑性樹脂F20S)
(2)仕込み:シート材料は乾燥後に押出機に供給。押出量は100kg/h、押出機から口金までの温度は280℃に設定した。
(3)フィルター:リーフディスク型フィルターは径φ305mm、厚みは8mm、濾材部間の隙間は2mm、濾材部のろ過精度は10μm、空孔率は40±5%とした。リーフディスク型フィルターを50枚重ねて使用した。第1の濾材部と第2の濾材部は一体で成形されて結合している。
(4)成形口金:スリット幅500mm、スリット間隙2mm。
(5)吐出:流体を口金からシート状に押出した後、冷水で急冷固化し、シート厚みが1mmになるよう成形した。
(6)異物の評価:成形した長さ1mのシートを確認し、視認できる異物の個数を数えた。
【0037】
[実施例2]
3Dプリンターを用いて製作した
図2に示すリーフディスク型フィルターを使用した以外は、実施例1と同様にしてシートを成形した。
【0038】
[実施例3]
3Dプリンターを用いて製作した
図3に示すリーフディスク型フィルターを使用した以外は、実施例1と同様にしてシートを成形した。
【0039】
[比較例1]
図4に示す、どの部材同士も一体で成形されて結合していないリーフディスク型フィルターを使用した以外は、実施例1と同様にしてシートを成形した。
【0040】
[評価結果]
各実施例、各比較例の効果は、比較例1に対して異物個数がどの程度低減できたかで評価した。
【0041】
比較例1は異物個数が125個であった。
【0042】
一方、実施例1は異物個数が98個と、比較例1に比べて低減した。さらに、実施例2は異物個数が78個、実施例3は異物個数が69個と、いずれも実施例1と比べても異物個数がさらに低減した。